JP2004026829A - キナクリドン化合物の合成法 - Google Patents

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Abstract

【課題】用途が広く、また収率および純度の高いN,N´−ジアリールキナクリドン化合物の合成法を提供する。
【解決手段】1,4−ジアルキルカルボキシレート−2,5−ビス(N−アリールアミノ)ベンゼンをヨードアリール化合物と反応させて、対応する2,5−ビス(N−ジアリールアミノ)化合物を生成させる段階を含むN,N´−ジアリールキナクリドン化合物の製造方法。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機合成の分野に関し、1,4−ジアルキルカルボキシレート−2,5−ビス(N−アリールアミノ)ベンゼンをヨードアリール化合物と反応させて、対応する2,5−ビス(N−ジアリールアミノ)化合物を生成させる段階を含むN,N´−ジアリールキナクリドン化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
N,N´−ジアリールキナクリドンは、近年、有用な材料になってきたが、それを製造するための合成法が必要となってきた。米国特許第6,376,107号明細書において、Heuer 等は、ジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミドのような溶媒中で、非置換のキナクリドンおよびアルキルハリドを水素化ナトリウムのような塩基と接触させることによってN,N´−ジアルキルキナクリドンを製造することを開示している。しかしながら、これは、アリールハリドの場合までその適用を拡大することはできない。
【0003】
(チェコ特許第262587号、および同第261338号明細書の)一連の開示において、Radl 等は、ジメチルホルムアミドのような溶媒中で、4−オキソジヒドロキノリンをニトロアリールハリドおよび水素化ナトリウムのような塩基と反応させることを開示している。しかし、この開示では、単に、ニトロ基を含むアリールハリドの使用を教示するだけであって、当業者であれば、他の置換基をもつ、あるいは全く置換基をもたないアリールハリドは、この方法では決して効率的に反応しないことを理解するであろう。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第6,376,107号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明では、用途が多く、かつ高い収率と純度を与えるN,N′―ジアリールキナクリドン化合物の合成法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、1,4−ジアルキルカルボキシレート−2,5−ビス(N−アリールアミノ)ベンゼンをヨードアリール化合物と反応させて、対応する2,5−ビス(N−ジアリールアミノ)化合物を生成させる段階を含むN,N´−ジアリールキナクリドン化合物の製造方法が提供される。この方法は、用途が多く、かつ高収率で高純度のN,N′―ジアリールキナクリドン化合物の合成法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明方法は、上述のように要約される。この方法は、塩基、金属、任意の溶媒、および任意の金属配位子の存在下に、1,4−ジアルキルカルボキシレート−2,5−ビス(N−アリールアミノ)ベンゼンをヨードアリール化合物と接触させて、1,4−ジアルキルカルボキシレート−2,5−ビス(N,N´−ジアリールアミノ)ベンゼンを生成させる段階を含むN,N′―ジアリールキナクリドンの製造における中間体の合成に有用である。
【0008】
前記1,4−ジアルキルカルボキシレート−2,5−ビス(N−アリールアミノ)ベンゼン化合物は、式1で表わされる。
【化1】
Figure 2004026829
式中、RおよびRは、メチルのような5個未満の炭素原子を有する線状もしくは分枝状炭化水素であってよく、RおよびRは、水素、アルキル、アリール、アルコキシ、フッ素、塩素、臭素、ニトロまたはシアノ基であってよく、R〜R14は、例えば、水素、塩素、臭素もしくはフッ素のようなハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシル、またはメチル、トリフルオロメチル、エチルのような分枝鎖もしくは直鎖を含むアルキル基、メトキシ、エトキシ、プロポキシのようなアルコキシ、フェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、ナフチルのようなアリール、フェノキシ、トリルオキシのようなアリールオキシ、アセトアミド、ベンズアミドのようなカルボンアミド、アセチル、フェノキシカルボニルのようなアシル、メチルスルホニル、フェノキシスルホニルのようなスルホニル、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシのようなアシルオキシ、N−置換カルバモイル、N−置換スルファモイルのような更に置換されてもよい基、複素環式オキシ基または複素環式チオ基である。分子が2個以上の置換基を有するときは、他に提供されることがなければ、その置換基は一緒に結合して環、例えば縮合環を形成してもよい。より好ましくは、基RおよびRは、エチルまたはメチル基であってよく、RおよびRは、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、プロピル、メトキシ、エトキシ、フェニルであってよく、そしてR〜R14は、RおよびRと同じものに加えて、ニトロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、シクロヘキシル、シアノであってよい。最も好ましくは、少なくともRもしくはRおよびR10もしくはR14は水素である。RおよびRもしくはRおよびR、またはR12およびR13もしくはR11およびR12は、縮合ベンゼン環、シクロヘキシル環、またはオキサゾール環を形成してよい。典型的には、ジカルボキシレートの環の一つは、フェニル、ビフェニル、またはナフチル基で置換され、そしてアリール環上に4個までの置換基は容易に置換される。
【0009】
ヨードアリール基は、式2で表わされる。
【化2】
Figure 2004026829
【0010】
使用される特定置換基R15は、特定の用途に所望の特性を達成するように当業者によって選択されてよく、それには、R〜R14に関して広義に上記した同じ置換基が含まれてよい。より好ましくは、R15は、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、プロピル、メトキシ、エトキシ、フェニル、ニトロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、シクロヘキシル、シアノであってよい。R15は、親のベンゼン環との縮合環であってよい。最も好ましくは、R15は、水素、メチル、エチル、シクロヘキシル、ヒドロキシ、フェニル、メトキシ、またはエトキシであってよい。沃素に対するオルト位に大きな置換基があることは好ましくなく、沃素に対する少なくとも1個のオルト位は水素であることが最も好ましい。
【0011】
使用されるヨードアリール化合物の量は、式1当たりとしての出発中間体1,4−ジアルキルカルボキシレート−2,5−ビス(N−アリールアミノ)ベンゼンとの関連で、2〜10当量であってよく、2当量より大であることがより好ましい。当該方法を実施するのに必要な塩基は、カーボネート塩、ホスフェ−ト塩、NaOHのような水酸化物、NaHのような水素化物、またはアルコキシドであってよい。最も好ましくは、使用される塩基は、式1当たり2当量以上、最も好ましくは2〜2,5当量の量のKCO、CsCOであってよい。
【0012】
カップリングを有効にするために使われる金属は、10モル%以上(式1に対するモル%)の量の、元素の銅金属、沃化銅(I)、もしくは塩化銅(I)、酸化銅(I)、またはこれらの組み合わせであってよい。仮に、銅が単独で用いられるならば、式1当たり約2当量与えることが有効である。より好ましくは、銅と沃化銅(I)、または銅と塩化銅(I)の組み合わせが用いられる。ここで、20モル%以上の銅(式1に対して)を与えること、式1に対して10モル%以上の塩化銅(I)または沃化銅(I)を与えることが有効である。これら実施態様のあるものでは、1,10−フェナントロリン、または1,2−トランス−シクロヘキシルジアミンのような金属配位子が、反応を促進させるための金属配位子として使われてもよい。その使用は、特に、銅塩のみが用いられる場合に有効である。
【0013】
前述した反応条件下で、カップリングを有効にするために必要な温度は、80℃より高くなければならず、より好ましくは100℃より高く、最も好ましくは約150℃である。この温度要件は、式1および2に記載される置換基の特性によって指示される。
【0014】
混合物の粘度を下げるために、任意に溶媒が使用されてもよい。当該溶媒は、反応時に蒸発してしまうものがよく、あるいは、それが残ってもよい。トルエンおよびジクロロベンゼンは、有用な溶媒の制約のない例である。塩化メチレンは、環境問題のため好ましい溶媒ではない。
【0015】
また、本発明には、1,4−ジアルキルカルボキシレート−2,5−ヒドロキシ1,4−シクロヘキサジエンをアリールアミンと縮合させて相当する1,4−ジアルキルカルボキシレート−2,5−ビス(アリールアミノ)1,4−シクロへサジエンを生成させ、次いでこのシクロヘキサジエンを酸化して相当するベンゼン化合物とし、更にN−ベンジン化する工程を含むN,N´−ジアリールキナクリドン化合物を生成する方法も含まれる。
【0016】
N´−ジフェニルキナクリドンの合成
全体の置換キナクリドンの合成機構は、化合物(7)、N,N´−ジフェニルキナクリドンを製造する以下の段階で例証される。本発明は、段階3を指向しているが、アリール置換キナクリドンを合成するために使用できる他の段階のいくつかを理解することは有用である。
【0017】
【化3】
Figure 2004026829
【0018】
この工程は、出発物質(化合物1)を芳香族アミン化合物(本件の場合には、アニリン、化合物2)と縮合して、1,4−シクロヘキサジエン−1,4−ジメチルカルボキシレート−2,5−ビス(アリールアミン)、化合物3を生成させることを伴う。次の段階は、公知な方法、好ましくは空気酸化のような緩和な方法を用いて1,4−シクロヘキサジエン化合物(化合物3)を酸化して、ベンゼン化合物(化合物4)とすることである。次いで、本発明で先に記載したように、得られる1,4−ジメチルカルボキシレート−2,5−ビス(アリールアミノ)ベンゼンをヨードアリール試薬(本件の場合には、ヨードベンゼン、化合物5)と反応させることによって、その両アリールアミノ基上の水素が更にアリール基と置換するように反応させる。次に、1,4−ジメチルカルボキシレート−2,5−ビス(N,N′−ジアリール)化合物(化合物6)を加水分解して、先に述べたメタンスルホン酸と接触させることによって一段階で縮合(環化)させて、当該化合物をN,N´−ジフェニル置換キナクリドン(化合物7)に変える。アリール基の特性によって、本反応では、異性体を生成させることができる。
【0019】
他に特別に述べることのない限り、用語「基」、「置換された」または「置換基」は、水素以外のいずれかの基またはラジカルを意味する。更に、本明細書中で置換可能な水素を含む化合物または基に言及したときは、それは、また、その置換基が意図する使用に必要な特性を破壊しない限り、非置換形のみならず、それが本明細書で述べるような更に他の何らかの置換基または置換基群で置換される形態を含めることを意図している。正しく、置換基は、ハロゲンであってよく、また、炭素、ケイ素、酸素、窒素、リン、または硫黄原子によって分子の残部に結合されてもよい。この置換基は、例えば、クロロ、ブロモまたはフルオロのようなハロゲン;ニトロ;ヒドロキシル;シアノ;カルボキシル;または更に置換されてもよい基、例えば、メチル、トリフルオロメチル、エチル、t−ブチル、3−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)プロピル、シクロヘキシル、およびテトラデシルのような直鎖もしくは分枝鎖またはシクロアルキルを含むアルキル;エチレン、2−ブテンのようなアルケニル;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、2−メトキシエトキシ、sec−ブトキシ、ヘキシルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、テトラデシルオキシ、2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)エトキシ、および2−ドデシルオキシエトキシのようなアルケニル;フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、ナフチルのようなアリール;フェノキシ、2−メチルフェノキシ、α−またはβ−ナフチルオキシおよび4−トリルオキシのようなアリールオキシ;アセトアミド、ベンズアミド、ブチルアミド、テトラデカンアミド、α−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)アセトアミド、α−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)ブチルアミド、α−(3−ペンタデシルフェノキシ)ヘキサンアミド、α−(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェノキシ)テトラデカンアミド、2−オキソ−ピロリドン−1−イル、2−オキソ−5−テトラデシルピロリン−1−イル、N−メチルテトラデカンアミド、N−コハク酸イミド、N−フタルイミド、2,5−ジオキソ−1−オキサゾリジンイル、3−ドデシル−2,5−ジオキソ−1−イミダゾールイル、およびN−アセチル−N−ドデシルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、ベンジルオキシカルボニルアミノ、ヘキサデシルオキシカルボニルアミノ、2,4−ジ−t−ブチルフェノキシカルボニルアミノ、フェニルカルボニルアミノ、2,5−(ジ−t−ペンチルフェニル)カルボニルアミノ、p−ドデシルフェニルカルボニルアミノ、p−トリルカルボニルアミノ、N−メチルウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N−メチル−N−ドデシルウレイド、N−ヘキサデシルウレイド、N,N−ジオクタデシルウレイド、N,N−ジオクチル−N´−エチルウレイド、N−フェニルウレイド、N,N−ジフェニルウレイド、N−フェニル−N−p−トリルウレイド、N−(m−ヘキサデシルフェニル)ウレイド、N,N−(2,5−t−ペンチルフェニル)−N´−エチルウレイド、およびt−ブチルカルボンアミドのようなカルボンアミド;メチルスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トリルスルホンアミド、p−ドデシルベンゼンスルホンアミド、N−メチルテトラデシルスルホンアミド、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ、およびヘキサデシルスルホンアミドのようなスルホンアミド;N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−ヘキサデシルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイルのようなスルファモイル;N−[3−(ドデシルオキシ)プロピル]スルファモイル、N−[4−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)ブチル]スルファモイル、N−メチル−N−テトラデシルスルファモイル、およびN−ドデシルスルファモイル;N−メチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル、N−オクタデシルカルバモイル、N−[4−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)ブチル]カルバモイル、N−メチル−N−テトラデシルカルバモイル、およびN,N−ジオクチルカルバモイルのようなカルバモイル;アセチル、(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)アセチル、フェノキシカルボニル、p−ドデシルオキシフェノキシカルボニル、メトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、テトラデシルオキシカルボニル、エポキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、3−ペンタデシルオキシカルボニル、およびドデシルオキシカルボニルのようなアシル;メトキシスルホニル、オクチルオキシスルホニル、テトラデシルオキシスルホニル、2−エチルヘキシルオキシスルホニル、フェノキシスルホニル、2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシスルホニル、メチルスルホニル、オクチルスルホニル、2−エチルヘキシルスルホニル、ドデシルスルホニル、ヘキサデシルスルホニル、フェニルスルホニル、4−ノニルフェニルスルホニル、およびp−トリルスルホニルのようなスルホニル;ドデシルスルホニルオキシ、およびヘキサデシルスルホニルオキシのようなスルホニルオキシ;メチルスルフィニル、オクチルスルフィニル、2−エチルヘキシルスルフィニル、ドデシルスルフィニル、ヘキサデシルスルフィニル、フェニルスルフィニル、4−ノニルフェニルスルフィニル、およびp−トリルスルフィニルのようなスルフィニル;エチルチオ、オクチルチオ、ベンジルチオ、テトラデシルチオ、2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)エチルチオ、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、およびp−トリルチオのようなチオ;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、オクタデカノイルオキシ、p−ドデシルアミドベンゾイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ、N−エチルカルバモイルオキシ、およびシクロヘキシルカルボニルオキシのようなアシルオキシ;フェニルアニリノ、2−クロロアニリノ、ジエチルアミン、ドデシルアミンのようなアミン;1(N−フェニルイミド)エチル、N−コハク酸イミドまたは3−ベンジルヒダントインイルのようなイミノ;ジメチルホスフェ−トおよびエチルブチルホスフェ−トのようなホスフェ−ト;ジエチルおよびジヘキシルホスファイトのようなホスファイト;複素環式基、複素環式オキシ基、または複素環式チオ基で、そのそれぞれは置換されてよく、そしてそれには、2−フリル、2−チエニル、2−ベンズイミダゾールイルオキシまたは2−ベンゾチアゾールイルのような、炭素原子および酸素、窒素および硫黄からなる群から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子からなる3〜7員環の複素環式環が含まれる;トリエチルアンモニウムのような第4級アンモニウム;およびトリメチルシリルオキシのようなシリルオキシであってよい。
【0020】
所望の場合、置換基それ自体は、上記置換基で一度以上更に置換されてもよい。使用される特定の置換基は、特定の用途に要求される所望の特性を達成するために当業者によって選択されてよく、それには、例えば、疎水性基、可溶化基、ブロック化基、および離脱もしくは離脱可能性基が含まれる。分子が2個以上の置換基を有するときは、他に提供がなければ、その置換基が共に結合して、縮合環のような環を形成してもよい。一般に、上記の基およびその置換基には、48個までの炭素原子を有するもの、典型的には1〜36個の炭素原子で、通常は24個未満の炭素原子を有するものが含まれてよいが、選択される特定の置換基によってはそれより大きい数の炭素原子を含むものであってもよい。
【0021】
ハメット定数は、より電子吸引度の大きい正の値をもつアリール環上の置換基についての相対電子吸引度を判定する。数値は、C. Hansch および A.J. Leo 著の「Substituent Constants for Correlation Analysis in Chemistry and Biology(化学および生化学における相関分析のための置換基定数)」、Willey 発行、ニューヨーク(1979年) および D.D. Perrin, B. Dempsey および E.P. Serjeant 著 の「pKa Prediction for Organic Acids and Bases(有機の酸および塩基のためのpKa予測)」、Chapman & Hall発行、ニューヨーク(1981年)のような多くのハンドブックに示されている。
【0022】
【実施例】
4−シクロヘキサジエン−1 4−ジカルボン酸 5−ビス フェニルアミノ ジメチルエステル(3)の製造
1,4−シクロヘキサンジオン−2,5−ジカルボキシレート(1)の50g(215ミリモル、1当量)のサンプルを、250mL丸底フラスコ中で僅か過剰のアニリン(2)(45mL)と混合した。得られた正味の混合物を、加熱マントルによって4時間、80〜90℃まで加熱した。通常、この生成物は、4時間以内の加熱で沈積する。次いで、混合物を熱から解放して、暖めつつメタノールを添加して、メタノール中に固体をスラリー化した。生成物を濾過によって単離し、100mLのメタノール、次いで50mLのP950リグロインで洗浄し、乾燥したところ、77g(95%)の透明物質を得た。この生成物は、更に精製することなく次の段階で使うことができる。
【0023】
4−ベンゼンジカルボン酸 5−ビス フェニルアミノ ジメチルエステル の製造
化合物(3)の50gのサンプルを、2Lの三口丸底フラスコ内で、1Lのトルエン中に一部溶解させた。一つの接続部に還流凝縮機を装着し、ひとつの接合部に栓をし、他の接合部を空気流と接続した。激しく攪拌した混合物を、加熱マントルによる還流直下に導き、そして空気流をその液体表面で発生させた。4時間後、TLCによれば、副産物は全く無く、そして50%の不純物のない、シクロヘキセン中間体から芳香族生成物への転化を示していた。反応は、更に4時間後に完了したが、極少量の不純物しか存在しなかった。混合物を濃縮後、その赤色固体残留物を50mLのメタノール中に懸濁させ、固体を濾過によって単離し、他のメタノールの一部(50mL)で、続いて、P950リグロインで洗浄したところ、90%(44.8g)の鮮やかなオレンジ色の生成物を得た。母液を濃縮、冷却して、上記処理を繰り返せば、更に多くの生成物(4)が回収できる。
なお、これに代えて、前記酸化は、塩化メチレン中で行なうことができるが、その転化は、トルエン中ほど不純物無しには起こらず、更に、生成物の固定に塩化メチレンを使うことは安全性および廃棄の理由のため望ましくない。
【0024】
4−ベンゼンジカルボン酸 5−ビス N′−ジフェニルアミノ メチルエステル(6)の製造(本発明)
1,4−ベンゼンジカルボン酸,2,5−ビス(フェニルアミノ)−,ジメチルエステル(4)の40g(97ミリモル、1当量)のサンプル、65mL(攪拌の容易さのために必要な大過剰)のヨードベンゼン(5)、27g(194ミリモル、2当量)の炭酸カリウム、12.3g(197ミリモル、2当量)の銅、および3gの沃化銅(I)を、250mLの丸底フラスコ内で混合した。得られる混合物は、効率的に攪拌するには濃過ぎたので、攪拌を容易にするため10mLのトルエンを更に添加し、このトルエンは暫時蒸発させた。この混合物を一晩(約150〜160℃)還流した。元の赤色混合物は、緑褐色に変わった。TLCによると、極微量のベースライン不純物も無い一つのスポットを示した。粘稠な混合物を室温まで冷却し、塩化メチレン(またはTHF)でスラリー化して、無機の固体を濾過によって除いた。依然として生成物(6)を含む固体残留物を、繰返し塩化メチレン(またはTHF)で洗浄して、その洗浄物をシロップになるまで濃縮した。この濃縮物を、氷中で冷却し、得られた固体を濾過で単離し、メタノール、次いでP950リグロインで洗浄した。鮮やかな黄色の生成物を85%の収率(47g)で得た。所望の場合には、過剰のヨードベンゼンを回収し、シリカゲルプラッグを通す蒸留または濾過によって清浄にして(p950リグロインで溶離して)、その後再利用することができる。
なお、これに代えて、当該反応は、触媒量のCu(20%)およびCuI(10%)の存在下で達成することができる。これは、いくつかの理由で:即ち、反応混合物の攪拌が容易であること、触媒の使用を最小にして、それによって無機物の濾過を一層効率的にし、かつ環境的にも一層優しい方法となることで、一層好ましい工程である。
【0025】
キノ 3−b アクリジン−7 14−ジオン 12−ジヒドロ−5 12−ジフェニルまたはN N−ジフェニルキナクリドン(7)の製造
化合物(6)の167g(315ミリモル)のサンプルを、約200mLのメタンスルホン酸中に懸濁させた。粘稠な懸濁液を速やかに140℃まで加熱して、その得られる青色の混合物を4時間、その温度で攪拌した。粘稠な反応混合物を冷却して、激しく攪拌しながら、ゆっくりと氷上に(1Lのビーカー内で)注いだ。得られた赤褐色の懸濁液を、固体が沈降して液相がデカントできるようになるまで放置した。この工程を二度繰返し、次いで、もう一度、HOとNaCO(飽和水溶液)を1:1の比で用いて行なった。その後、固体を濾過によって単離したところ、139g(95%)の赤褐色の粗生成物を得た。この粗生成物は、これを熱メタノール中でスラリー化し、1時間攪拌し、次いで冷却して、濾過によってそれを単離することによって、極少量の消失も無く、更に精製することができる。このスラリー化工程は、次いで熱アセトアニリドを用いて繰り返す。その後、得られた固体を、乾燥のために、P950リグロイン(100mL)で洗浄する。このようにして得られる物質は、昇華によって更に精製することができる。
【0026】
本発明により合成されるアリール置換キナクリドン物質は、OLED装置の発光層に配合されてよい。かかる装置の特性動作をよりよくコントロールするためには、化合物(7)の場合のように、唯一の異性体が得られるように出発物質および試薬を選ぶことが望ましい。合成段階2における芳香族アミンの特性、および合成段階3において使用するヨードアリール試薬の特性によって、最終のN,N´−ジアリール置換キナクリドンの置換型が指向される。

Claims (9)

  1. 1,4−ジアルキルカルボキシレート−2,5−ビス(N−アリールアミノ)ベンゼンをヨードアリール化合物と反応させて、対応する2,5−ビス(N−ジアリールアミノ)化合物を生成させる段階を含むN,N´−ジアリールキナクリドン化合物の製造方法。
  2. 前記反応が塩基および金属の存在下で起こる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記金属が銅を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記ヨードアリール化合物が置換ヨード−フェニル化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記ベンゼン環またはその少なくとも1個のアリール基が対応するメチル基よりも少なくとも0.05大きい正のハメットσ定数を有する基で置換される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記置換基がハロゲン、アリール、芳香族複素環、または縮合芳香族もしくは複素芳香族環からなる群より選ばれる、請求項5に記載の方法。
  7. 前記反応が少なくとも80℃の温度で行なわれる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記反応が少なくとも80℃の沸点を有する有機溶媒の存在下で行なわれる請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 請求項1の反応を行い、次いでその生成物を縮合してジアリールキナクリドン化合物を生成させることを含む、緑色域で蛍光を発光させることができるN,N´−ジアリールキナクリドンの製造方法。
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