JP2004024769A - 前腕の動作に伴う筋活動の測定方法及びその装置 - Google Patents

前腕の動作に伴う筋活動の測定方法及びその装置 Download PDF

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大久保 富彦
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Abstract

【課題】筋を特定せずに前腕の動作に伴う筋活動の測定方法及び装置を提供する。
【解決手段】被験者の前腕1の周囲に環状に6個の表面電極10を配列して貼付け、表面電極10から検出した電位と接地電極11の電位との差をとり増幅する差動増幅器12、デジタル量に変換するAD変換(A/D)13、コンピューター信号処理ソフト14により、6個の表面電極10のそれぞれの電位信号に処理して出力し、表面電極10の1chから6chに対応させた電位信号の強度及びその強度分布から前腕の動作・運動を評価する前腕の動作に伴う筋活動を測定するものである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、前腕の動作に伴う筋活動の測定方法及びその装置に係り、特に前腕周囲の電位信号の強度や強度分布から動作を評価する前腕の動作に伴う筋活動の測定方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、前腕等の運動能力の評価には筋電位による評価が用いられており、神経・筋疾患や成形外科疾患などの評価では効果が得られている。これは前腕等の筋肉に針電極を尖刺して、目的筋の電位発生をとらえてその筋電位により運動能力の評価を行っている。
一方、スポーツ医学、リハビリテーション或いは高齢者などが、身体各部位の動作による運動能力を評価する場合、身体の運動能力を評価する部位の筋の位置を特定し、特定した筋の位置に電位検出端を貼付して筋電位を測定し、その筋の動作・運動による筋活動を評価している。しかし、下肢、上腕等の筋数の少ない部位では、筋の特定が容易であり、下肢、上腕の表皮面に貼付した電極で筋電位の測定を行い下肢、上腕等の運動能力を評価することができるが、前腕のように表在筋と内在筋が入り乱れている部位では、測定対象筋の位置の特定は困難であり,前腕では検出電極端を貼付して特定の筋の動作・運動による負担を評価することは困難であった。
【0003】
具体的には、前腕の動作・運動によるものである手掌でドアのノブを握りノブを回すような手首関節の回旋運動は、前腕の数多くの筋束の中の数本の筋が協力、収縮して行なわれるものである。
このような手首関節の回旋運動を行わせる前腕の筋活動を計測するために、その運動を行わせる測定対象の筋に検出電極を貼付することは、表在筋と内在筋が入り乱れているので困難であり、また、測定対象の筋の位置を特定し、その表皮面に電位検出端を貼付して筋電位の測定を行なったとしても、各筋から表皮面の電位検出端までの距離、その途中の脂肪、筋肉の組織などにより位相がずれ、重畳して電位が検出され、また筋は表在だけでなく前腕内部にも入り乱れて走向しているため、前腕の表皮面に貼付した電位検出端では筋ごとの電位を正確に測定することができず、前腕の動作・運動による筋活動を対象の筋から評価することは困難であった。なお、このような位相のずれ、重畳して検出された電位の測定データを分離して解析する研究「独立成分分析」も見られるが、まだ筋活動の現実的評価方法とはなっていない。
【0004】
なお、従来、複数の表面筋電位検出電極を配した器具を使用する技術が提案されている(例えば、特公平5−32057号、特開平08−229015号)。特公平5−32057号は、電極配列体を筋線維上に沿って貼付し、検出した筋電位信号から特定の運動における神経筋接合部の位置及び分布を測定する装置に関するものであり、また特開平08−229015号は一対の表面電極を伸縮自在のバンド等のホルダ内面に取り付け、検出した筋電位信号を所定の閾値と比較し二値の電気信号に変換し、この信号に基づく筋電位情報を被験者に画像、音声等でフィードバックさせる装置に関するものであり、前腕のように表在筋と内在筋が入り乱れている部位での動作・運動による筋活動を評価するものとは異なるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、表在筋と内在筋が入り乱れている前腕の動作にかかわる筋活動を測定するためのもので、従来のように針電極の尖刺というような恐怖感を与えることなく、また、筋を特定せずに前腕の動作を評価することができる前腕の動作に伴う筋活動の測定方法及び装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の前腕の動作に伴う筋活動の測定方法は、前腕周囲に複数個の表面電極を環状に配列して貼付け、前記複数個の表面電極のそれぞれから前腕の動作に伴って発生する電位を検出して電位信号に処理し、前腕周囲のそれぞれの位置における電位信号の強度及び前腕周囲における電位信号の強度分布から前腕の動作を評価することを特徴とするものである。
また、本発明の前腕の動作に伴う筋活動の測定方法は、前腕周囲に複数個の表面電極を環状に配列して貼付け、前記複数個の表面電極のそれぞれから前腕の動作に伴って発生する電位を検出して電位信号に処理し、前腕周囲のそれぞれの位置における電位信号を総計してその強度から前腕の動作を評価することを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の前腕の動作に伴う筋活動の測定方法は、複数個の表面電極のそれぞれから検出された電位の処理が、所定時間の元データを周波数毎の帯域別のデータに加工され、前記帯域別のデータを全波整流してから面積積分し、次いで前記帯域別の面積積分値を合計して、前腕周囲の表面電極が貼付されている位置の電位信号とすることを特徴とするものである。
また、本発明の前腕の動作に伴う筋活動の測定方法は、前腕周囲に環状に配列して貼付けられた複数個の表面電極は、複数個の表面電極がほぼ等間隔に配列されているものであり、前腕周囲の表面電極のそれぞれの位置に対応させて、多角形のレーダーチャートとして図示することを特徴とするものである。
また、本発明の前腕の動作に伴う筋活動の測定方法は、複数個の表面電極のそれぞれから検出された電位の処理が、所定時間の元データを周波数毎の帯域別のデータに加工され、前記帯域別のデータを全波整流してから面積積分し、次いで前記帯域別の面積積分値を合計して、さらに、前記合計値を総計して、前腕の総計電位信号とすることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明は、前腕周囲に環状に配列して貼付けられる複数個の表面電極及び接地電極、複数個の表面電極の検出した電位と接地電極の電位との差をとり増幅する差動増幅器、差動増幅器の元データを周波数毎の帯域別のデータに加工する手段、帯域別のデータの全波整流器及びそれを面積積分する手段、帯域別の面積積分値を合計する手段、前腕周囲に環状に配列した複数個の表面電極に対応させてチャートとして表示する手段を有し、前腕周囲のそれぞれの位置における電位信号の強度及び前腕周囲における電位信号の強度分布から前腕の動作を評価することを特徴とする前腕の動作に伴う筋活動の測定装置である。
【0009】
また、本発明は、前腕周囲に環状に配列して貼付けられる複数個の表面電極及び接地電極、複数個の表面電極の検出した電位と接地電極の電位との差をとり増幅する差動増幅器、差動増幅器の元データを周波数毎の帯域別のデータに加工する手段、帯域別のデータの全波整流器及びそれを面積積分する手段、帯域別の面積積分値を合計する手段、合計した面積積分値を総計する手段を有し、その強度から前腕の動作を評価することを特徴とする前腕の動作に伴う筋活動の測定装置である。
さらに、本発明の前腕の動作に伴う筋活動の測定装置は、前腕周囲に環状に貼付けられる複数個の表面電極が粘着式電極であり、前記粘着式電極が伸縮性帯体に着脱自在に取付けられていることを特徴とするものである。
【0010】
【作用】
本発明は、前腕周囲に複数個の表面電極を環状に配列して貼付け、前記複数個の表面電極のそれぞれから前腕の動作に伴って発生する電位を検出して電位信号に処理し、前腕周囲のそれぞれの位置における電位信号の強度及び前腕周囲における電位信号の強度分布から前腕の動作を評価するものであり、また前腕周囲に複数個の表面電極を環状に配列して貼付け、前記複数個の表面電極のそれぞれから前腕の動作に伴って発生する電位を検出して電位信号に処理し、前腕周囲のそれぞれの位置における電位信号を総計してその強度から前腕の動作を評価するもので、従来のように、前腕の回旋等の動作・運動を担当する筋の個々の筋電位を測定することなく、前腕の複数個所の部位の電位信号の強度やその分布から、前腕の回旋等の動作によりどの程度の負担がかかるか、またどの部位に負担がかかっているか、等を総体的に評価することができるものである。
【0011】
また、本発明は、前腕周囲に環状に配列して貼付けられた複数個の表面電極のそれぞれから検出された電位の処理が、所定時間の元データを周波数毎の帯域別のデータに加工され、この帯域別のデータを全波整流してから面積積分し、次いで帯域別の面積積分値を合計して表面電極が貼付されている位置の電位信号とすることにより、前腕の複数個所の部位の前腕の動作に伴って発生する電位信号を正確に測定することができる。
これは、前腕周囲に貼付けられている表面電極から検出された電位の所定時間の元データは、多くの周波数で構成されているので、元データをそのまま全波整流し、面積積分した値では、周波数の低い波形に周波数の高い波形が隠れてしまい、正確な筋活動テータを得ることができない。そこで所定時間の元データを周波数帯域別に加工して処理することにより、前腕の動作に伴って発生する電位信号を正確に測定することができるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
図1(a)は本発明の実施形態の前腕周囲に環状に複数個の表面電極を貼付けている状態を示した図、図1(b)は(a)の表面電極を貼付した位置の前腕の断面を示した図である。図2〜図5は本発明の実施形態の発生する電位の検出とその処理について示した図であり、図6は電位信号を図示する6角形のレーダーチャートである。
【0013】
図1(a)(b)に示すように、被験者の右手前腕1の周囲に環状に6個の表面電極10を配列して貼付け、また前腕1の手首付近に接地電極11を貼付ける。
前腕周囲に環状に配列して貼付ける複数個の表面電極としては、5〜8個の表面電極をほぼ等間隔に環状に配列することが好ましく、前腕周囲の5〜8個の表面電極のそれぞれの位置に対応させて、5角形〜8角形のレーダーチャートとして図示することが好ましい。実施の形態として6個の表面電極をほぼ等間隔に環状に配列し、6角形のレーダーチャートとして図示する場合を示す。
また、表面電極10及び接地電極11として、使い捨ての自己粘着式電極(ディスポ電極)を用いる場合を示す。
6個の表面電極10を貼付ける被験者の前腕1の位置は、内側上顆3より前方で、腕1の一番太いところで環状にほぼ等間隔に装着する。具体的には、6個の表面電極10を前腕1の内側上顆3より前方約60mmの位置に環状にほぼ等間隔に配列する。
また、接地電極(無感電極)11は、前腕1の手首の内側付近に貼付けられる。この接地電極(無感電極)11は、電気的に不活性な部位上で筋の少ない
関節付近の骨の隆起、腱等が望ましく、図1(a)では前腕1の手首の内側の茎状突起に貼付した。
また、接地電極11からほぼ等しい距離の前腕1の周囲に6個の表面電極10を貼付けるようにすることが好ましく、接地電極11を前腕1の手首付近まで離して位置させることにより、内側上顆3より前方約60mmの位置に貼付された6個の表面電極10は、接地電極11からほぼ等しい距離になる。
【0014】
また、図1(a)(b)の6個の表面電極10には、第1測定点(1ch)から第6測定点(6ch)が表示されている。
これは、被験者の前腕周囲の第1測定点(1ch)から第6測定点(6ch)の位置を、図5の6角形のレーダーチャートの1chから6chに対応させて図示し、図示された電位信号の強度及び強度分布から前腕の動作・運動を評価するものである。
6個の表面電極10は、前腕1の内側上顆3より前方約60mmに環状にほぼ等間隔に配列するもので、表面電極10の第1測定点(1ch)は手掌2の中指延長線上とし、被験者からみて時計回りに、ほぼ等間隔に6等分して第1測定点(1ch)から第6測定点(6ch)となるように配列して、表面電極10を前腕1に環状に貼付けている。
なお、被験者の右前腕について図1で示したが、左腕についても、同様に、その前腕の内側上顆より前方で、腕1の一番太いところで環状にほぼ等間隔に表面電極を貼付け、左前腕の動作に伴って発生する電位を検出して電位信号に処理して前腕の動作に伴う筋活動を測定するものである。
【0015】
図2は、前腕の動作に伴って発生する電位の検出と、その処理について示した図であり、被験者の前腕の周囲に環状に貼付した6個の表面電極10と接地電極11をそれぞれ接続し、表面電極10の検出した電位と接地電極11の電位との差をとり増幅する差動増幅器12、デジタル量に変換するAD変換(A/D)13、コンピューター信号処理ソフト14により、6個の表面電極10のそれぞれの電位信号に処理して出力するものである。
【0016】
図3は、コンピューター信号処理ソフト14の検出信号処理方式を示した図で、前腕の動作に伴って発生する電位信号のそれぞれの位置における強度及び前腕周囲における電位信号の強度分布から前腕の動作を評価するものである。
表面電極10の電位は、1ch〜6ch毎に処理されるもので、6個の表面電極10の一つである1chの処理について説明する。
前腕の電位は、一般に、安静時(動作・運動しないとき)は電位レベルが極めて低く、動作に伴なう筋収縮時に数mV〜数μVの電位が発生するものであり、数Hz〜百数十Hzの周波数で構成されている。
前腕の動作による筋活動の強さは、筋肉の誘発した電位信号となり、所定時間の元データは、元波形データ15のように、電圧、周波数、位相等が複雑に影響し合ったノイズ(雑音)状の波形となって測定される。なお、波形の横軸は時間で2秒間、縦軸は筋活動の電位(電圧)で振幅を表す。
【0017】
所定時間の元波形データ15は、周波数帯域別に帯域別加工データ16に加工され、それぞれ帯域別に全波整流して全波整流データ17とし、次いで帯域別にそれぞれ面積積分して面積積分値18とし、さらに面積積分値18を合計した全帯域合計値19とし、これを第1測定点(1ch)の電位信号とし出力する。このようにして、第2測定点(2ch)〜第6測定点(6ch)の電位信号も処理し出力する。
この第1測定点(1ch)〜第6測定点(6ch)の図3のように処理されて出力する電位信号は、図6の6角形のレーダーチャートに図示することが好ましい。
図6は、電位信号を図示する6角形のレーダーチャートで、1ch〜6chの座標軸は、図1(a)(b)に示した6個の表面電極10の第1測定点(1ch)〜第6測定点(6ch)に対応させて表示するものである。図3のように処理された電位信号の単位は、mV・secである。
この6角形のレーダーチャートに図示された、1ch〜6chの各chの電位信号の強度及びその強度分布から前腕の動作を評価するものである。
【0018】
また、図4に示したコンピューター信号処理ソフト14は、前腕の動作に伴って発生する電位信号を総計してその強度から前腕の動作を評価するものである。表面電極10の電位は、上述した図3と同様に、1ch〜6ch毎に処理される。前腕の動作による筋活動の強さは、筋肉の誘発した電位信号となり所定時間で元波形データ15のようになっている。元波形データ15は、周波数帯域別に帯域別加工データ16に加工され、それぞれ帯域別に全波整流して全波整流データ17とし、次いで帯域別にそれぞれ面積積分して面積積分値18とし、次いで面積積分値18を合計した全帯域合計値19とし、さらに、1ch〜6chのそれぞれの全帯域合計値19を総計した全ch総計値20として出力し、その強度から前腕の動作を評価するものである。
【0019】
元波形データを、周波数帯域別に加工し、帯域別に全波整流し、帯域別に面積積分することについて図5で説明する。なお図5は、図3及び図4の説明のためのものである。
2秒間の元波形データ15は、電圧、周波数、位相等が複雑に影響し合ったノイズ(雑音)状の波形となっているので、これをそのまま全波整流、面積積分した値では、周波数の低い波形に周波数の高い波形が隠れてしまい、前腕の動作に伴って発生する電位を検出して筋活動の正確なテータを得ることができない。
そこで、周波数帯域別抽出を行う。周波数帯域別抽出はFFT(高速フーリエ変換)により、FFT解析データを作成し、それにより周波数帯域別に抽出した。ここでは、5Hz〜85Hzを10Hzごとに8つの帯域に別けた。なお5Hz以下の帯域、85Hzを越える帯域については、極めて小さい値であったので、ここでは抽出しなかった。
【0020】
元波形データ15を、周波数帯域別加工して、5Hz〜15Hz帯域のデータ16a、15Hz〜25Hz帯域のデータ16b、25Hz〜35Hz帯域のデータ16c、35Hz〜45Hz帯域のデータ16d、45Hz〜55Hz帯域のデータ16e、55Hz〜65Hz帯域のデータ16f、65Hz〜75Hz帯域のデータ16g、75Hz〜85Hz帯域のデータ16hの8つの帯域に別けた。
次いで、8つの帯域別加工データ16a〜16hを、それぞれ全波整流して、全波整流データ17a〜17hとし、それぞれ面積積分して面積積分値18a〜18hとし、さらに面積積分値18a〜18hを合計して全帯域合計値19とし、これが1chの電位信号である。このようにして2ch〜6chの電位信号も処理されるものである。
このように、元データを8つの周波数帯域別に加工して処理することにより、前腕の動作に伴って発生する電位信号を正確に測定して出力することができるものである。
【0021】
本発明の前腕の動作に伴う筋活動の測定方法及び装置を用いることにより、簡単に、前腕の回旋等の動作・運動によりどの程度の負担がかかるか、また前腕の周囲のどの部位に負担がかかっているか等を総体的に評価することができるものであり、リハビリテーション用或いは高齢者用、障害者用等に、適する機器を開発する上で必要なデータを容易に取得することができる。
例えば、前腕に関係するマン・マシンインターフェースにおいて、その取扱いが、“楽だ”“力がいらない”なども重要なことであり、その形状、設置角度、位置、方向などを、より少ない力でより楽に操作できるようなものに設計するために、本発明により測定した筋活動量は有用なものである。
具体的には、ドアノブのバネの強さ、ジョイテックの角度やバネの強さを決めるのに必要なデータを、本発明の前腕の動作に伴う筋活動の測定方法及び装置により簡単に得ることができる。すなわち、高齢者・障害者機器開発にとって人間工学的マン・マシンインタフェースの基礎データを簡単に取得することができるものであり、また運動用の測定器具にも用いることができるものである。
【0022】
【実施例1】
本発明の実施例1について、図1〜図10を参照して説明する。
図7は実験の概要を示す図であり、図8〜図10は、実験により検出された電位信号を6角形のレーダーチャートに図示したものである。
まず、図1に示したように、6個の表面電極10を前腕1の骨内側上顆3より前方60mmに環状にほぼ等間隔に配列して、第1測定点(1ch)は手掌2の中指延長線上とし、被験者からみて時計回りに、ほぼ等間隔に6等分して第1測定点(1ch)から第6測定点(6ch)となるように表面電極10を貼付け、接地電極11は前腕1の手首付近に貼付ける。また6個の表面電極10から検出された電位は、上述した図3に示したように処理されて、図6に示した6角形のレーダーチャートに図示する。
図8〜図10の6角形のレーダーチャートのデータ(mV・s)は、2秒間の値である。また図8〜図10は、図6を縮小したもので蜘蛛の巣状の線は、図6の線のmV・sに対応するものである。
【0023】
実験の概要は、図7に示すように、軸8にレバー9を設けたハンドルをトルクメーター7に取付け、右手でレバー9を矢印R:回内、または矢印L:回外のように力を加えて、前腕の動作に伴って発生する電位を検出し、前腕周囲のそれぞれの位置における電位信号の強度及び強度から前腕の動作に伴う筋活動の測定するものである。なお、レバー9に力を加えても、軸8は回転するものではなく、レバー9に力を加えられた力は軸8からトルクメーター7に表示され、どの程度のねじり運動の力が加えられいるかを見るものである。
右の手掌1でレバー9を軽く握り、前腕2の状態は、椅子に腰掛けた状態で肘のみを椅子の肘掛に軽くつき、前腕1とその上腕を約120度のリラックス状態で、矢印R:回内(内側へのねじり)、矢印L:回外(外側へのねじり)のねじりの力を加え、その際に前腕の動作に伴って発生する6個の表面電極(図1〜図3に示した)の電位信号の強度及びその強度分布から前腕の動作を評価するものである。
【0024】
図8は、被験者からみてレバー9を30°左傾斜させた位置に取付け、これを操作して、回内R、回外Lのねじるように力を加えた場合、その前腕の動作に伴って発生する電位信号の強度及び強度分布を示したものである。
図8(a)は、被験者からみたレバー9を30°左傾斜させた取付位置を示したものである。
図8(b)は、レバー9を30°左傾斜させた取付位置で、回内Rにねじるように力を加えた場合で、この前腕の動作に伴って発生した1ch〜6chの6個の表面電極の電位信号の強度を6角形のレーダーチャートに図示したものである。
また、図7に示すレバー9に力を加えたときに、トルクメーター7に表示されたトルクが、47N・cmは鎖線、93N・cmは一点鎖線、140N・cmは実線で示した。なお図8(c)、図9、図10も鎖線、一点鎖線、実線は、同じトルクを示している。
実線のトルクが140N・cmでは1chが0.145mV・sec、2chが0.121mV・sec、3chが0.145mV・sec、4chが0.12mV・sec、5chが0.11mV・sec、6chが0.145mV・secであり、座標軸3chと6chを対称軸とした扁平な分布状態を呈している。またトルク47N・cmの鎖線、93N・cmの一点鎖線も、同様に座標軸3chと6chを対称軸とした扁平な分布状態を呈している。
【0025】
図8(c)は、レバー9を30°左傾斜させた取付位置で、回外Lにねじるように力を加えた場合で、実線のトルクが140N・cmでは、1chが0.06mV・sec、2chが0.06mV・sec、3chが0.055mV・sec、4chが0.075mV・sec、5chが0.055mV・sec、6chが0.06mV・secであり、座標軸1chと4chを対称軸とした扁平な分布状態を呈している。またトルク設定47N・cmの鎖線、93N・cmの一点鎖線も、同様に座標軸1chと4chを対称軸とした扁平な分布状態を呈している。
【0026】
図8(b)のレバー9を30°左傾斜させた取付位置で回内Rにねじるように力を加えた場合と、図8(c)のレバー9を30°左傾斜させた取付位置で回外Lにねじるように力を加えた場合の比較から、回外にねじった方が、表面電極1ch〜6chの全てで小さい電位信号であり、これは手首を回外にねじった方が少ない筋活動量であるということを示している。また手首を回内にねじった時には、6chと3chの部位の筋活動が大きく、手首を回外にねじった時には4chの部位の筋活動量が大きいことが分かる。
このように、前腕の回旋運動を担当する筋の個々の筋電位を測定することなく、前腕の特定部位(表面電極1ch〜6ch)の電位信号の強度とその分布から手首の回旋運動による筋活動量等を総体的に評価することができるものである。
【0027】
図9は、レバー9を垂直の位置を取付位置とし、これを操作しして、回内R、回外Lのねじるように力を加えた場合、その前腕の動作に伴って発生する電位信号の強度及び強度分布を示したものである。
図9(a)は、被験者からみたレバー9の垂直位置を示したものである。
図9(b)は、レバー9を垂直の取付位置で、回内Rにねじるように力を加えた場合で、この前腕の動作に伴って発生した1ch〜6chの6個の表面電極の電位信号の強度を6角形のレーダーチャートに図示したもので、トルクが140N・cmでは1chが0.10mV・sec、2chが0.082mV・sec、3chが0.10mV・sec、4chが0.085mV・sec、5chが0.09mV・sec、6chが0.105mV・secであり、座標軸3chと6chを対称軸とした扁平な分布状態を呈している。またトルク設定47N・cmの鎖線、93N・cmの一点鎖線も、同様に座標軸3chと6chを対称軸とした扁平な分布状態を呈している。
【0028】
図9(c)は、レバー9を垂直の取付位置で、回外Lにねじるように力を加えた場合で、この前腕の動作に伴って発生した1ch〜6chの6個の表面電極の電位信号の強度を6角形のレーダーチャートに図示したもので、トルクが140N・cmでは1chが0.06mV・sec、2chが0.06mV・sec、3chが0.06mV・sec、4chが0.075mV・sec、5chが0.06mV・sec、6chが0.075mV・secであり、6chに膨らんでいるが、ほぼ座標軸1chと4chを対称軸とした扁平な分布状態を呈している。またトルク設定47N・cmの鎖線、93N・cmの一点鎖線も、同様に座標軸1chと4chを対称軸とした扁平な分布状態を呈している。
【0029】
図9(b)の垂直の取付位置のレバー9を回内Rにねじるように力を加えた場合と、図9(c)の回外Lにねじるように力を加えた場合との比較から、回外Lにねじった方が、表面電極1ch〜6chの全てで小さい電位信号であり、これは手首を回外にねじった方が少ない筋活動量であるということを示している。また手首を回内Rにねじった時には、6chと3chの部位の筋活動が大きく、手首を回外Lにねじった時には4chの部位の筋活動量が大きいことが分かる。
【0030】
図10は、被験者からみてレバー9を30°右傾斜させた位置に取付け、これを操作して、回内R、回外Lのねじるように力を加えた場合、その前腕の動作に伴って発生する電位信号の強度及び強度分布を示したものである。
図10(a)は、被験者からみたレバー9を30°右傾斜させた位置を示したものである。
図10(b)は、レバー9を30°右傾斜させた取付位置で、回内Rにねじるように力を加えた場合で、この前腕の動作に伴って発生した1ch〜6chの6個の表面電極の電位信号の強度を6角形のレーダーチャートに図示したものであり、トルクが140N・cmでは1chが0.097mV・sec、2chが0.075mV・sec、3chが0.085mV・sec、4chが0.08mV・sec、5chが0.09mV・sec、6chが0.11mV・secであり、座標軸3chと6chを対称軸とした扁平な分布状態を呈している。またトルク設定47N・cmの鎖線、93N・cmの一点鎖線も、同様に座標軸3chと6chを対称軸とした扁平な分布状態を呈している。
【0031】
図10(c)は、レバー9を30°右傾斜させた取付位置で、回外Lにねじるように力を加えた場合で、実線のトルクが140N・cmでは、1chが0.04mV・sec、2chが0.043mV・sec、3chが0.045mV・sec、4chが0.04mV・sec、5chが0.04mV・sec、6chが0.04mV・secであり、ほぼどの位置でも等しい分布状態を呈しているが、トルクが47N・cmの鎖線、93N・cmの一点鎖線では、座標軸4chが突出しており、全体としては、座標軸1chと4chを対称軸とした偏平な分布状態を呈している。
【0032】
図10(b)のレバー9を30°右傾斜させた取付位置で回内Rにねじるように力を加えた場合と、図10(c)のレバー9を30°右傾斜させた操作位置で回外Lにねじるように力を加えた場合を比較すると、回外Lにねじった方が、表面電極1ch〜6chの全てで小さい電位信号であり、これは手首を回外Lにねじった方が少ない筋活動量であるということを示している。また手首を回内Rにねじった時には6chと3chの部位の筋活動量が大きく、手首を回外Lにねじった時には、おおむね、4chの部位の筋活動量が大きいことが分かる。
また、このように、6角形のレーダーチャートに示し、その座標や例えば偏平などの分布状態から、前腕のどの部位が弱いのか、前腕のどの部位をリハビリテーションすればよいかを、見出だすことができるものである。
【0033】
【実施例2】
本発明の実施例2について、図11を参照して説明する。
図11はねじりレバー角度と筋活動量について示したもので、横軸は取付け角度、縦軸は2秒間の筋活動量(mV・s)である。
横軸の取付け角度は、図7の実験の概要に示したレバー9の取付ける角度、すなわちレバー9の取付位置である。左傾斜30°はレバー9が図8(a)の取付位置であり、垂直は図9(a)の取付位置であり、右傾斜30°は図10(a)の取付位置である。また左傾斜45°はレバー9を左に45°傾斜させた位置で、右傾斜45°はレバー9を右に45°傾斜させた位置である。
縦軸の筋活動量(mV・s)は、図1に示すように、6個の表面電極10を被験者の前腕1の内側上顆3より前方約60mmに環状にほぼ等間隔に配列して、第1測定点(1ch)は手掌2の中指延長線上とし、被験者からみて時計回りに、ほぼ等間隔に6等分して第1測定点(1ch)から第6測定点(6ch)となるように表面電極10を貼付け、6個の表面電極10から検出された電位は、上述した図4に示したように、元波形データ15は、周波数帯域別に帯域別加工データ16、帯域別に全波整流データ17とし、次いで帯域別の面積積分値18とし、次いで面積積分値18を合計した全帯域合計値19とし、さらに、1ch〜6chのそれぞれの全帯域合計値19を総計した全ch総計値20である。
【0034】
図11に示したように、左傾斜45°の取付位置で、△(トルク140N・cm回内)が0.8mV・sec、左傾斜30°で△が0.78mV・sec、垂直で△が0.5mV・sec、右傾斜30°で△が0.5mV・sec、右傾斜45°で△が0.45mV・secと、回内運動においては、トルク140N・cmの回内運動においては、左傾斜45°の位置から左傾斜30°、垂直、右傾斜30°、右傾斜45°と筋活動量が少く、右傾斜位置の筋活動量が、左傾斜より小さいことを示している。
また、各位置における、◇(47N・cm回内)、□(93N・cm回内)、+(47N・cm回外)、○(93N・cm回外)、×(140N・cm回外)の筋活動量(mV・s)から、回外運動においては、どの位置においても、筋活動量に大きな差はないことを示している。
【0035】
このような被験者のデータから、回内動作の筋活動量は、レバー9の取付角度が左傾斜角度より右傾斜角度の方が小さいことを示している。回外動作の筋活動量は、レバーの取付角度にかかわらずほぼ一定であり、また、いずれのトルク値においても回外動作が回内動作より筋活動量が小さいことを示している。 すなわち、この被験者のデータは、マン・マシンインターフェース設計において一般的に慣行的に行われている垂直レバーよりも右傾斜レバー設計の方が、左右の操作を総合的に考えると筋活動量が小さくなることを示している。これから前腕の総体的な筋活動量によって機器の形状、角度、位置、方向の評価が得られるものである。
【0036】
【実施例3】
本発明の実施例3について、表1〜表3及び図12を参照して説明する。
表1〜表3は、5人(55歳〜60歳の男性)の被験者A〜Eの筋活動量(mV・s)を測定し、その筋負担率(%)を示したものである。
図7の実験の概要に示したレバー9の取付ける角度を垂直にして、右手でレバー9を矢印R:回内、または矢印L:回外のように力を加えて、前腕の動作に伴って発生する電位を検出し、前腕周囲のそれぞれの位置における電位信号の強度及び強度から前腕の動作に伴う筋活動量(mV・s)を測定した。
【0037】
また、被験者A〜Eに、図1に示すように、6個の表面電極10を前腕1の骨内側上顆3より前方60mmに環状にほぼ等間隔に配列して、第1測定点(1ch)は手掌2の中指延長線上とし、ほぼ等間隔に6等分して第1測定点(1ch)から第6測定点(6ch)となるように表面電極10を貼付け、6個の表面電極10から検出された電位を上述した図4に示したように、元波形データ15は、周波数帯域別に帯域別加工データ16、帯域別に全波整流データ17とし、次いで帯域別の面積積分値18とし、次いで面積積分値18を合計した全帯域合計値19とし、さらに、1ch〜6chのそれぞれの全帯域合計値19を総計した全ch総計値20を、筋活動量(mV・s)として示した。
筋負担率(%)は、各トルク操作時に発生する筋活動量(mV・s)を、瞬間発生最大トルクの8割のトルク操作時における筋活動量で徐したものである。
これは、瞬間発生最大トルクでは、2秒間その状態を持続することができず、筋活動量(mV・s)を測定することができなかったので、その約8割のトルクをほぼ安定して出し得るトルクの上限と仮定して、これから筋負担率(%)を求めた。
【表1】
Figure 2004024769
【表2】
Figure 2004024769
【表3】
Figure 2004024769
【0038】
表1は、被験者Aのデータである。それぞれの操作トルクで回外の方が回内より筋活動量が少ない。また瞬間発生最大トルクは回内637N・cm、回外490N・cmで、回内の方が回外より大きいトルクを発生させることができるものであった。
瞬間発生最大トルクは、回内637N・cm、回外490N・cmであり、その約8割の回内510N・cmの筋活動量1.66mV・s、回外392N・cmの筋活動量0.64mV・sを、ほぼ安定して出し得るトルクの上限と仮定して、これから筋負担率(%)を求めた。その筋負担率(%)は、140N・cmの操作トルクのとき、回内では34.1%、回外では69.3%であり、回内の方が、筋負担率(%)が小さい。各操作トルクで回内の方が、筋負担率(%)が小さい値を示した。
【0039】
表2は被験者B、C、表3は被験者D、Eのデータである。
被験者Bは、瞬間発生最大トルクは回内784N・cm、回外588N・cmで、回内の方が回外より大きいトルクを発生させることができるものであった。また、それぞれの操作トルクで回外の方が回内より筋活動量が少ない。
瞬間発生最大トルクは、回内784N・cm、回外588N・cmであり、その約8割の回内628N・cmの筋活動量2.25mV・s、回外471N・cmの筋活動量0.83mV・sを、ほぼ安定して出し得るトルクの上限と仮定して、これから筋負担率(%)を求めた。その筋負担率(%)は、294N・cmの操作トルクのとき、回内では33.3%、回外では68.8%であり、回内の方が、筋負担率(%)が小さい。各操作トルクで回内の方が、筋負担率(%)が小さい値を示した。
【0040】
被験者Cは、瞬間発生最大トルクは回内686N・cm、回外686N・cmで、回内、回外が同じ大きさトルクを発生させることができるものであった。
また、それぞれの操作トルクでは回外の方が回内より筋活動量が少ない。
瞬間発生最大トルクは、回内686N・cm、回外686N・cmであり、その約8割の回内549N・cmの筋活動量2.06mV・s、回外549N・cmの筋活動量1.27mV・sを、ほぼ安定して出し得るトルクの上限と仮定して、これから筋負担率(%)を求めた。その筋負担率(%)は、221N・cmの操作トルクのとき、回内では44.4%、回外では49.1%であり、回内と回外の筋負担率(%)は、各操作トルクで大差がない。
【0041】
被験者Dは、瞬間発生最大トルクは回内392N・cm、回外441N・cmで、回外の方が回内より大きいトルクを発生させることができるものであった。また、それぞれの操作トルクで回外の方が回内より筋活動量が少ない。
瞬間発生最大トルクは、回内392N・cm、回外441N・cmであり、その8割弱の回内294N・cmの筋活動量2.36mV・s、回外353N・cmの筋活動量0.69mV・sを、ほぼ安定して出し得るトルクの上限と仮定して、これから筋負担率(%)を求めた。その筋負担率(%)は、147N・cmの操作トルクのとき、回内では39.3%、回外では80.7%であり、回内の方が、筋負担率(%)が小さく、各操作トルクで回内の方が、筋負担率(%)が小さい値を示した。
【0042】
被験者Eは、瞬間発生最大トルクは回内686N・cm、回外588N・cmで、回内の方が回外より大きいトルクを発生させることができるものであった。また、操作トルク59N・cmから221N・cmでは回外の方が回内より筋活動量が少なく、操作トルク294N・cmでは回内の方が筋活動量が少ない。
瞬間発生最大トルクは、回内686N・cm、回外588N・cmであり、その約8割の回内549N・cmの筋活動量3.97mV・s、回外471N・cmの筋活動量3.89mV・sを、ほぼ安定して出し得るトルクの上限と仮定して、これから筋負担率(%)を求めた。その筋負担率(%)は、147N・cmの操作トルクのとき、回内では31.9%、回外では25.2%であり、回外の方が、筋負担率(%)が小さい。また294N・cmの操作トルクのとき、回内では52.8%、回外では6492%であり、回内の方が、筋負担率(%)が小さい値を示した。
【0043】
以上、被験者A〜Eのデータのように、個々の特性があり、筋力トレーニングやリハビリテーションなどで、このような筋負担率というパラメータにより前腕の筋力の変化を見る指標とすることができる。例えば、障害からの快復の度合い、トレーニングにおけるいわゆる“筋が付いた”などの評価基準になりうるものである。
【0044】
図12は、表1〜3の被験者A〜Eの回内動作の筋負担率をグラフに示したものである。横軸は操作トルク(N・cm)、縦軸は筋負担率(%)で、被験者Aは◇、Bは□、Cは△、Dは×、Eは▽である。それぞれの値については表1〜3に記載したところであるが、この被験者A〜Eの値から、平均の筋負担曲線(ロ)、操作トルクに対応する筋負担率が急勾配で上昇する筋負担曲線(イ)、操作トルクに対応する筋負担率が緩く上昇する筋負担曲線(ハ)を導き出して示した。
これらの曲線(イ)〜(ハ)から、被験者A〜Eの5人が55%の筋負担率で操作できるように、機器を設計ときには、200〜380(N・cm)のトルクで操作できるような範囲に設計すればようということが分かるもので、“力”(操作トルク)の設計範囲を求められることができるものである。
また、図12から被験者A〜Eの5人は、各自が全体に対する位置づけも明らかになり、リハビリテーション等の訓練の具体的目安に利用することができるできる。
なお、図12は被験者A〜Eの5人のデータであるが、多くの被験者の筋負担率から設計範囲を求められることにより、汎用機器の設計に効果的に利用することができる。
また、図示していないが、一般的な統計処理によってパーセンタイル値を入れることもできる。
【0045】
このような、データの利用の仕方は、従来の個々の筋を探して測定する手法では、筋の特定、解剖学的知識等が必要とされ、また、各センサの取り扱い、信号処理などに習熟していないと不可能であり、また、筋検出、測定、解析など処理の上でも大変な手間と時間がかかり、実際上不可能であったが、本発明の測定方法及び装置を用いることで、簡易に測定でき、リハビリテーション施設や介護施設あるいは機器開発の設計などにおいて有用である。
【0046】
【実施例4】
本発明の実施例4について、図13〜図16を参照して説明する。
実施例4は、前腕周囲に環状に貼付けられる表面電極が伸縮性帯体に着脱自在に取付けられている場合であり、図13は伸縮性帯体に表面電極が着脱自在に設けられているものの斜視図、図14は図13の表面電極側の平面図、図15は図14の断面図であり、図16は前腕周囲に装着した状態の斜視図である。
図13〜図15に示すように、6個の表面電極11が伸縮性帯体21にほぼ等間隔に取付けられている。表面電極11は、下部にホックの凸部11aが設けられている自己粘着式電極(ディスポ電極)を用いる。
【0047】
伸縮性帯体21には、ほぼ等間隔に台布25とホックの凹部24が設けられている。凹部24のホックにはリード線が接続され、接地電極、差動増幅器、コンピューター信号処理ソフトに接続されている。リード線は伸縮性帯体21に沿って配置されいる。リード線の配置は、台布25の下、あるいは伸縮性帯体21の中に埋め込むようにする。また台布25は、その両側を伸縮性帯体21に25aのように2点で縫い付けられているので、伸縮性帯体21が伸縮しても、それぞれの台布25は、ほぼ等しい間隔で配列されているものである。
また、伸縮性帯体21には、その両端に面ファスナー22、23が設けられている。表面電極11は、そのホック凸部11aを伸縮性帯体21の台布25のホック凹部24に、押して嵌めることにより取付けられる。
表面電極である自己粘着式電極(ディスポ電極)11が、ホックで着脱自在に取り付けられているので、その都度、使い捨ての自己粘着式電極(ディスポ電極)10を、簡単に取り外したり取り付けることができる。
【0048】
図16に示すように、前腕1の周囲に6個の表面電極11をほぼ等間隔に取付けた伸縮性帯体21を巻き付け、その両端を面ファスナーで留める。
また、6個の表面電極10、接地電極11からのリード線は、差動増幅器12、AD変換(A/D)13、コンピューター信号処理ソフト14に接続され、
図2〜図5で説明したようにそれぞれの電位信号を処理して出力するものである。伸縮性帯体21に6個の表面電極10がほぼ等間隔に取付けられているので、前腕1の周囲に環状に表面電極10をほぼ等間隔に貼付けることができる。
このように、伸縮性帯体に複数個の表面電極をほぼ等間隔に取付けることにより、前腕の太い、細いにかかわらず、伸縮性帯体の伸縮により複数個の表面電極相互の間隔をほぼ等間隔で、前腕の周囲に環状に貼付けることができるものである。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、前腕の動作に伴う筋活動の測定方法及びその装置によれば、前腕周囲の複数個の表面電極のそれぞれから前腕の動作に伴って発生する電位を検出して電位信号に処理し、前腕周囲のそれぞれの位置における電位信号の強度及びその強度分布から前腕の動作を評価するものであり、また前腕周囲のそれぞれの位置における電位信号を総計してその強度から前腕の動作を評価するもので、従来のように針電極の尖刺というような恐怖感を与えることなく、また、表在筋と内在筋が入り乱れている前腕の動作にかかわる筋活動を筋を特定せずに前腕の動作を評価することができるという効果を有し、高齢者・障害者等の機器開発にとって人間工学的マン・マシンインタフェースの基礎データを簡単に取得することができるものであり、また運動用の測定器具にも用いることができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明する図
【図2】本発明の実施形態を説明する図
【図3】本発明の実施形態を説明する図
【図4】本発明の実施形態を説明する図
【図5】本発明の実施形態を説明する図
【図6】本発明の実施形態を説明する図
【図7】本発明の実施例1を示す図
【図8】本発明の実施例1を示す図
【図9】本発明の実施例1を示す図
【図10】本発明の実施例1を示す図
【図11】本発明の実施例2を示す図
【図12】本発明の実施例3を示す図
【図13】本発明の実施例4を示す図
【図14】本発明の実施例4を示す図
【図15】本発明の実施例4を示す図
【図16】本発明の実施例4を示す図
【符号の説明】
1 前腕
2 手掌
3 内側上顆
10 表面電極
11 接地電極
12 差動増幅器
13 AD変換(A/D)
14 コンピューター信号処理ソフト
15 元波形
16 帯域別加工データ
17 全波整流データ
18 面積積分値
19 全帯域合計値
21 伸縮性帯体
22、23 面ファスナー
24 ホックの凹部
25 台布

Claims (8)

  1. 前腕周囲に複数個の表面電極を環状に配列して貼付け、前記複数個の表面電極のそれぞれから前腕の動作に伴って発生する電位を検出して電位信号に処理し、前腕周囲のそれぞれの位置における電位信号の強度及び前腕周囲における電位信号の強度分布から前腕の動作を評価することを特徴とする前腕の動作に伴う筋活動の測定方法。
  2. 前腕周囲に複数個の表面電極を環状に配列して貼付け、前記複数個の表面電極のそれぞれから前腕の動作に伴って発生する電位を検出して電位信号に処理し、前腕周囲のそれぞれの位置における電位信号を総計してその強度から前腕の動作を評価することを特徴とする前腕の動作に伴う筋活動の測定方法。
  3. 複数個の表面電極のそれぞれから検出された電位の処理が、所定時間の元データを周波数毎の帯域別のデータに加工され、前記帯域別のデータを全波整流してから面積積分し、次いで前記帯域別の面積積分値を合計して、前腕周囲の表面電極が貼付されている位置の電位信号とすることを特徴とする請求項1に記載の前腕の動作に伴う筋活動の測定方法。
  4. 前腕周囲に環状に配列して貼付けられた複数個の表面電極は、複数個の表面電極がほぼ等間隔に配列されているものであり、前腕周囲の表面電極のそれぞれの位置に対応させて、多角形のレーダーチャートとして図示することを特徴とする請求項1または3に記載の前腕の動作に伴う筋活動の測定方法。
  5. 複数個の表面電極のそれぞれから検出された電位の処理が、所定時間の元データを周波数毎の帯域別のデータに加工され、前記帯域別のデータを全波整流してから面積積分し、次いで前記帯域別の面積積分値を合計して、さらに、前記合計値を総計して、前腕の総計電位信号とすることを特徴とする請求項2に記載の前腕の動作に伴う筋活動の測定方法。
  6. 前腕周囲に環状に配列して貼付けられる複数個の表面電極及び接地電極、複数個の表面電極の検出した電位と接地電極の電位との差をとり増幅する差動増幅器、差動増幅器の元データを周波数毎の帯域別のデータに加工する手段、帯域別のデータの全波整流器及びそれを面積積分する手段、帯域別の面積積分値を合計する手段、前腕周囲に環状に配列した複数個の表面電極に対応させてチャートとして表示する手段を有し、前腕周囲のそれぞれの位置における電位信号の強度及び前腕周囲における電位信号の強度分布から前腕の動作を評価することを特徴とする前腕の動作に伴う筋活動の測定装置。
  7. 前腕周囲に環状に配列して貼付けられる複数個の表面電極及び接地電極、複数個の表面電極の検出した電位と接地電極の電位との差をとり増幅する差動増幅器、差動増幅器の元データを周波数毎の帯域別のデータに加工する手段、帯域別のデータの全波整流器及びそれを面積積分する手段、帯域別の面積積分値を合計する手段、合計した面積積分値を総計する手段を有し、その強度から前腕の動作を評価することを特徴とする前腕の動作に伴う筋活動の測定装置。
  8. 前腕周囲に環状に貼付けられる複数個の表面電極が粘着式電極であり、前記粘着式電極が伸縮性帯体に着脱自在に取付けられていることを特徴とする請求項6または7に記載の前腕の動作に伴う筋活動の測定装置。
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