JP2004015411A - 無接点切替機構付電力合成器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(n+1;n≧2)個の入力端子と、各入力端子から供給される高周波信号電力が入力される広帯域インピーダンス変成器とを具備し、広帯域インピーダンス変成器は、(n+1)の結合孔を有する導電板と、導電板とシールドケースとの間に配置される第1のインダクタンス素子とを備え、各入力端子は、内部導体と外部導体との間に配置される第2のインダクタンス素子と、内部導体の先端部の周囲に円筒状の誘電体とを備え、内部導体の先端部を導電板の結合孔に挿入することにより伝送信号の周波数において各入力端子の内部導体と導電板とを導通状態とし、導電板の結合孔から内部導体の先端部を引き抜くことにより、伝送信号の周波数において各入力端子の内部導体と導電板とを遮断状態となす。
【選択図】 図8
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無接点切替機構付電力合成器に係わり、特に、移動通信、地上波デジタルテレビ等におけるマルチキャリアパワーアンプの並列運転時に、現用系と予備系とを切り替える無接点切替部を備える無接点切替機構付電力合成器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、テレビジョンの中継放送設備などにおいては、中継放送設備の一部に故障などが生じる場合を想定し、現用系と予備系との2つを備えるのが一般的である。
例えば、電力合成部であれば、図13に示すように、5台のパワーアンプ(PA1〜PA5)を並列に接続し、このうち4台(例えば、PA1〜PA4)を現用系として使用し、残りの1台(PA5)を予備系として使用するようにしている。この場合に、パワーアンプ(PA2)に故障などが生じた場合には、スイッチ(SW2)をオフとして、当該故障が生じたパワーアンプ(PA2)を現用系から取り外し、スイッチ(SW5)をオンとして、予備系のパワーアンプ(PA5)を現用系に挿入する。なお、図13において、50は分配器、51は合成器、S1〜S5はサーキュレータ、Rは無反射終端器である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、前述したスイッチ(SW)としては、例えば、同軸リレーなどの接点型のスイッチが使用されている。
しかしながら、現用系から予備系への切り替えは運用中に行われるので、従来の接点型のスイッチではスパーク放電を伴い、接点の溶断などの事故(または、故障)が発生する恐れがあり、信頼性が低いという問題点があった。
また、接点型のスイッチが大きいため、前記スイッチ(SW1〜SW5)と合成器51とを接続する同軸ケーブル(31〜35)の長さが長くなり、それにより、合成器51の入力電圧定在波比(VSWR)が劣化するという欠点があった。
以下、この点について説明する。
図14は、同軸ケーブルの特性を説明するための図である。
図14により、[F]マトリクスを求めると、下記(1)式のようになる。
また、図14において、端子(To)を開放した場合、負荷抵抗(RL)が無限大となるので、入力アドミッタンス(Yin)は、下記(2)式のように表される。
【0004】
【数1】
【0005】
一方、図13に示す電力合成部において、合成端子(To)から見た出力アドミッタンス(Yout)の等価回路は、図15のようになる。ここで、合成器51のアドミッタンス変性比は、4:1となっている。
前述の(2)式を用いて、図15における出力アドミッタンス(Yout)を求めることにより、合成器51における、近似的な入力電圧定在波比(VSWR)を求めると、下記(3)式のようになる。
また、合成器51における電力合成数をn(n≧2)(即ち、予備系のパワーアンプが1つ、現用系のパワーアンプがn)とした時の、合成器51における、近似的な入力電圧定在波比(VSWR)は、下記(4)式のようになる。
【0006】
【数2】
【0007】
前述の(4)式を用いて、電力合成数nが2、3、4(即ち、予備系のパワーアンプが1つ、現用系のパワーアンプが2、3、4)のときの入力電圧定在波比(VSWR)を計算すると、図16、図17、図18に示す通りになる。
なお、図16、図17、図18において、縦軸は入力電圧定在波比(VSWR)、横軸は、foで正規化された周波数であり、同軸ケーブルの長さが、λg/2、1λg、1.5λg、2λgのときのそれぞれの入力電圧定在波比(VSWR)を示す。また、図16において、()内に示した同軸ケーブル長は、同軸ケーブルの絶縁体の比誘電率が2.3の場合の例である。
なお、foは、同軸ケーブル内を伝搬する伝搬波の周波数(ここでは、550MHz)、λgは、同軸ケーブル内を伝搬する伝搬波の伝搬波長を示す。
図16ないし図18のグラフから、電力合成数nが小さい程、また、伝搬波の比帯域が広くなるほど、入力電圧定在波比(VSWR)が悪くなることが分かる。
従来のテレビサテライト局のように、帯域幅が6MHzのときは、図13に示す無接点切替機構付電力合成器は、問題なく使用することが可能である。
しかしながら、地上波デジタルテレビのサテライト局では、マルチキャリアパワーアンプで増幅される信号は、約100MHzという広帯域であるので、図13に示す無接点切替機構付電力合成器を使用すると、入力電圧定在波比(VSWR)が劣化するという問題点があった。
【0008】
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、入力電圧定在波比(VSWR)が劣化するのを防止して、広帯域の高周波信号電力を合成することが可能な無接点切替機構付電力合成器を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、スパーク放電を伴わず、かつ、接点の溶断なども生じない無接点切替機構付電力合成器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
即ち、本発明は、シールドケースと、nを2以上の正の整数とするとき、(n+1)個の入力端子と、前記シールドケース内に配置され、前記各入力端子から供給される高周波信号電力が入力される広帯域インピーダンス変成器と、
前記広帯域インピーダンス変成器に接続される出力端子とを具備する無接点切替機構付電力合成器であって、前記広帯域インピーダンス変成器は、(n+1)の結合孔を有する導電板と、前記導電板とシールドケースとの間に配置される第1のインダクタンス素子とを備え、前記各入力端子は、内部導体と外部導体との間に配置される第2のインダクタンス素子を備え、前記各入力端子の内部導体は、前記第2のインダクタンス素子が形成される位置よりも前記導電板側の先端部の周囲に円筒状の誘電体を有し、前記各入力端子は、前記各入力端子の内部導体の延長方向に移動可能とされ、前記各入力端子の内部導体は、前記各入力端子の移動に伴って、先端部が前記導電板に形成された(n+1)の結合孔の対応する一つに挿入可能であり、前記各入力端子の内部導体の先端部を前記導電板の結合孔に挿入することにより、伝送信号の周波数において前記各入力端子の内部導体と前記導電板とを導通状態となし、あるいは、前記導電板の結合孔から前記各入力端子の内部導体の前記先端部を引き抜くことにより、伝送信号の周波数において前記各入力端子の内部導体と前記導電板とを遮断状態となす。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態では、前記広帯域インピーダンス変成器は、λ/4同軸変成器、あるいは、多段接続されたλ/4同軸変成器で構成される。
本発明の好ましい実施の形態では、前記(n+1)個の入力端子の中のn個の入力端子は、現用系として前記各内部導体の先端部が前記結合孔に挿入され、残りの1つの入力端子は、予備系として前記結合孔から前記内部導体の先端部が引き抜かれている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
[本発明の無接点切替機構の原理]
図1は、本発明の無接点切替機構の原理を説明するための図である。
図1に示すように、高周波信号の伝送経路に、第1のインダクタンス素子(L1)と、可変容量素子(Cv)と、第2のインダクタンス素子(L2)からなるハイパスフィルタ回路(以下、HPFという。)30を挿入する。
ここで、可変容量素子(Cv)の容量値が第1の容量値の時に、HPF30の減衰特性が、図2の(イ)に示す減衰特性になるように、また、可変容量素子(Cv)の容量値が第2の容量値の時に、HPF30の減衰特性が、図2の(ロ)に示す減衰特性になるように、第1のインダクタンス素子(L1)と第2のインダクタンス素子(L2)のインダクタンス値を設定する。なお、この図2において、foは、伝送される高周波信号の周波数である。
図2に示すように、HPF30の減衰特性を設定することにより、可変容量素子(Cv)の容量値が第1の容量値の時には、周波数がfoの高周波信号はHPF30の通過領域の周波数となるので、伝送される高周波信号(周波数がfoの高周波信号)はHPF30を通過する。即ち、無接点切替器がオン状態となる。しかしながら、可変容量素子(Cv)の容量値が第2の容量値の時には、周波数がfoの高周波信号はHPF30の減衰領域の周波数となるので、伝送される高周波信号はHPF30を流れない。即ち、切替器がオフ状態となる。
【0012】
以下、前述した点についてさらに説明する。
図3は、HPFの基本等価回路を示す回路図である。なお、この図3において、ZCは容量素子(C1)の規準化インピーダンス、YLは第1および第2のインダクタンス素子(L1,L2)の規準化アドミッタンスである。
図3に示すHPFの〔F〕マトリクスは、下記(5)式のように表され、また、図3に示すHPFの電圧伝達係数(Sv)は、下記(6)式で求めることができる。
【数3】
【0013】
今、図3に示すように、HPF30に、Einの入力電圧を加えると、HPF30の出力電圧(Eout)は、下記(7)式で求めることができる。
HPF30において、一般的な通過帯域の条件では、ZC=1、YL=0.5であるから、HPF30の通過帯域での出力電圧(Eout)は、下記(8)式のようになる。この(8)式が示すように、HPF30の通過帯域では、入力電圧(Ein)は、減衰なしで出力されることが分かる。
しかしながら、伝送される高周波信号(図2は、周波数がfoの信号)が減衰域になるように、容量素子(C1)のインピーダンス値を大きな値、例えば、ZC=100とした場合には、HPF30の出力電圧(Eout)は、下記(9)式のようになる。この(9)式に示すように、入力電圧(Ein)は、大きな減衰(36dB≒20log(Eout/Ein)を受けて出力されることが分かる。
【0014】
【数4】
【0015】
[本発明の基本等価回路]
図4は、3段形の電力合成回路を示す図である。同図において、51は、特性インピーダンスがZT1のλ/4同軸変成器の内部導体、52は、特性インピーダンスがZT2のλ/4同軸変成器の内部導体、53は、特性インピーダンスがZT3のλ/4同軸変成器の内部導体である。
ここで、λgは、λ/4同軸変成器内を伝搬する伝搬波の伝搬波長である。
図4に示す電力合成回路の〔S〕マトリクスは、下記(10)式で求めることができる。
【0016】
【数5】
【0017】
図5は、本発明の無接点切替機構付電力合成器の基本等価回路を示す回路図である。
図5に示す基本等価回路において、入力端子Ti1〜Tinに、Ein/√nの入力電圧を加えた場合に、端子T11〜T1nから出力される各HPFの出力電圧(Ei01〜Ei0n)は、前述の(8)式から下記(11)式で表される。
【数6】
Ei01=Ei02=・・・=Ei0n={(0.5+j0.875)/1.0156}×{Ein/√n}・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(11)n=4の場合に、図5に示す基本等価回路の出力電圧(Eout)を、前述の(10)式を用いて計算により求めると、下記(12)式のようになる。なお、下記(12)式において、S0は、図5に示す出力端子(To)から出力される出力電圧(Eout)、S1〜S4は、図5に示す端子T11〜T1nから出力される電圧を表している。
【0018】
【数7】
【0019】
前述の(12)式から分かるように、図5に示す出力端子(To)からは、{(0.5+j0.875)Ein/1.0156}の電圧が出力されることが分かる。即ち、出力端子(To)からは、4つの入力端子Ti1〜Ti4に、それぞれ加えられる入力電圧の√nの電圧が出力される。
図6は、本発明の無接点切替機構付電力合成器の変形基本等価回路を示す回路図であり、この図6に示す変形基本等価回路は、図5に示す各HPFにおける、λ/4同軸変成器50側のインダクタンス素子を、規準化アドミッタンスが(−jnYL)である一つのインダクタンス素子に合成した回路である。
図6に示す回路においても、出力端子(To)からは、4つの入力端子Ti1〜Ti4に、それぞれ加えられる入力電圧の√nの電圧が出力される。
【0020】
[本発明の実施の形態の無接点切替機構付電力合成器]
図7は、本発明の実施の形態の無接点切替機構付電力合成器の概略構成を示す図であり、同図(a)は、正面図、同図(b)は、同図(a)の矢印Aの方向から見た側面図である。
同図において、1はシールドケース、101〜105は入力端子、21〜25は入力端子(101〜105)の内部導体、31〜35は入力端子(101〜105)の外部導体、41〜45は入力端子(101〜105)を移動可能に支持する円筒形状の支持体、11は電力合成部を構成するQ変成器、6はQ変成器11の外部導体、13はシールドケース1に形成された突起部である。
入力端子(101〜105)には、パワーアンプで増幅された高周波信号が入力される。なお、本実施の形態では、入力端子(101〜105)の中の4つは現用系として使用され、残りの1つは予備系として使用される。
【0021】
図8は、本実施の形態の無接点切替機構付電力合成器の断面構造を示す要部断面図であり、この図8は、図7(b)のA−A’切断線に沿った断面構造を示す図である。
図8において、51,52,53は、Q変成器11の内部導体、7は絶縁体のスペーサ、12は誘電体、15は導電板、16は第2のインダクタンス素子、17は第1のインダクタンス素子であり、その他の符号は、図7と同じである。
また、図8では、入力端子101が現用系、入力端子105が予備系として使用されている場合を図示している。
図8に示すように、各入力端子(101〜105)は、導電板15側の先端部の周囲に円筒状の誘電体12が形成される。この誘電体12としては、機械的強度が強く、かつ、誘電率が高く、さらに、高周波損の少ない材料(例えば、アルミナなど)が使用される。
また、各入力端子(101〜105)は、先端部を挟んで導電板15と反対側の位置(図8では、スペーサ7で挟まれた位置)に、図6に示す各HPFのL1のインダクタンス素子として機能する第2のインダクタンス素子16が形成される。
【0022】
図9は、図8に示す第2のインダクタンス素子16を説明するための図であり、図9に示すように、第2のインダクタンス素子16は、各入力端子(101〜105)の内部導体(21〜25)を取り巻くように、各入力端子(101〜105)の内部導体(21〜25)と、外部導体(31〜35)とを電気的に接続するループ状の導電体で構成される。
図10は、図8に示す導電板15を説明するための図であり、図10に示すように、導電板15には、各入力端子(101〜105)の内部導体(21〜25)と対応する位置に、5個の結合孔(91〜95)が形成される。
また、突起部13には、図6に示す各HPFのLnのインダクタンス素子として機能する第1のインダクタンス素子17が形成される。
この第1のインダクタンス素子17は、導電板15とシールドケース1とを電気的に接続する導電体で構成される。
【0023】
本実施の形態では、入力端子(101〜105)が、図8の矢印Aの方向に移動可能とされ、例えば、図8に示す入力端子101のように、入力端子(101〜105)をシールドケース1側に押し込んだ状態のときに、入力端子(101〜105)の内部導体(21〜25)の先端部(周囲に誘電体12が形成された先端部)が、導電板15の結合孔(91〜95)に挿入される。
これにより、図6に示すC1の容量素子のインピーダンスが小さくなり、図2に示すように、周波数がfoの高周波信号は、HPFの通過領域の周波数となるので、伝送される高周波信号はHPFを通過する。即ち、無接点切替器がオン状態となる。
一方、例えば、図8に示す入力端子105のように、入力端子(101〜105)をシールドケース1から遠い方に移動させた状態のときに、入力端子(101〜105)の内部導体(21〜25)先端部(周囲に誘電体12が形成された先端部)が、導電板15の結合孔(91〜95)から引き抜かれる。
これにより、図6に示すC1の容量素子のインピーダンスが大きくなり、図2に示すように、周波数がfoの高周波信号は、HPFの減衰領域の周波数となるので、伝送される高周波信号はHPFを流れない。即ち、無接点切替器がオフ状態となる。
ここで、入力端子(101〜105)の外部導体(31〜35)は、円筒形状の支持体(41〜45)を介して、シールドケース1に定常的に接触し、シールドケース1に電気的に接続されている。
【0024】
前述した入力端子(101〜105)は、手動で移動させることも可能であるが、制御部(図示せず)により、自動的に移動させるようにしてもよい。
なお、図8において図示は省略しているが、円筒形状の支持体(41〜45)はネジなどによりシールドケース4に固定され、同様に、導電板15もネジなどにより内部導体51に固定される。
本実施の形態において、Q変成器11は、入力端子数が4の時に、インピーダンス特性が整合するようにされている。
本実施の形態では、Q変成器11は、多段接続されたλ/4同軸変成器で構成されているが、1段のλ/4同軸変成器であってもよい。
なお、図8では、2段接続されたλ/4同軸変成器を示しており、また、内部導体(51,52,53)の長さは、λg/4とされる。なお、λgは、パワーアンプで増幅された高周波信号の使用中心周波数foにおける、λ/4同軸変成器内の伝搬波長を示す。
【0025】
図11は、本実施の形態の無接点切替機構付電力合成器を使用する電力合成部を示す回路図である。
同図において、S11〜S51,S21〜S52はサーキュレータ、PA1〜PA5は、マルチキャリアパワーアンプ(MCPA)、D1〜D5は、図13に示す分配器50を構成するダイオードスイッチである。なお、Q変成器11が、3段に接続されたλ/4同軸線路で構成される場合の内部導体(51,52,53)のみを図示している。
また、図11では、ダイオードスイッチD5が挿入されるラインが予備系とされ、残りのラインが現用系の場合を図示している。
この場合に、マルチキャリアパワーアンプ(PA2)に故障などが生じた場合には、当該ラインの無接点切替器(HPF)をオフとして、当該故障が生じたマルチキャリアパワーアンプ(PA2)を現用系から取り外し、ダイオードスイッチD5が挿入されるラインの無接点切替器をオンとして、予備系のマルチキャリアパワーアンプ(PA5)を現用系に挿入する。
図11に示すように、本実施の形態では、図13に示すスイッチ(SW1〜SW5)と合成器51との間に配置される同軸ケーブル(31〜35)が存在しない。
したがって、本実施の形態では、下記(13)式に示すように、原理的に入力電圧定在波比(VSWR)が劣化することがない。
そのため、前述の図16ないし図18に示すような、入力電圧定在波比(VSWR)の周波数特性の劣化が生じない。
【0026】
【数8】
【0027】
図12は、図11に示すダイオードスイッチD5が挿入されるラインを、内部導体(51)側から見た時の等価回路を示す図である。なお、図12に示す負荷抵抗RLは、HPFの入力側に接続される規準化負荷抵抗を示す。
図12に示す回路の〔F〕マトリクスは、下記(14)式で表される。
したがって、図12に示す入力インピーダンス(Zin)は、(14)式の各要素により、下記(15)式で求めることができる。
(15)式から分かるように、図12に示す入力インピーダンス(Zin)は、容量性のハイインピーダンスであるので、現用系のラインから予備系のラインへの高周波信号の回り込みは生ぜず、各ライン間での干渉を防止することができる。
【0028】
【数9】
【0029】
OFDM変調波を用いたデジタルテレビにおいては、マルチキャリアパワーアンプ(MCPA)を用いて、帯域が約100MHzの多チャンネルのテレビ信号を同時に増幅する方式で中継放送を行うことが想定されている。
本発明の無接点切替機構付電力合成器では、このような場合でも、入力電圧定在波比(VSWR)が劣化することがないので、本発明の無接点切替機構付電力合成器はこのような用途に最適である。
さらに、本発明の無接点切替機構付電力合成器では、現用系から予備系への切り替えが運用中に行われた場合でも、容量素子(C1)のインピーダンスの変化が、電子的に見た場合も、緩やかなインピーダンスの変化となるので、従来の接点型のスイッチのように、過渡現象的な現象による火花放電などが発生しないので、接点の溶断などの事故(または、故障)も発生することがなくなり、信頼性を向上させることが可能となる。
以上、本発明を、前記実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0030】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
(1)本発明の無接点切替機構付電力合成器によれば、入力電圧定在波比(VSWR)が劣化するのを防止して、広帯域の高周波信号電力を合成することが可能となる。
(2)本発明の無接点切替機構付電力合成器によれば、スパーク放電を伴わず、かつ、接点の溶断なども生じないので、信頼性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無接点切替器の原理を説明するための図である。
【図2】図1に示すハイパスフィルタの減衰特性を示すグラフである。
【図3】HPFの基本等価回路を示す回路図である。
【図4】3段形の電力合成回路を示す図である。
【図5】本発明の無接点切替機構付電力合成器の基本等価回路を示す回路図である。
【図6】本発明の無接点切替機構付電力合成器の変形基本等価回路を示す回路図である。
【図7】本発明の実施の形態の無接点切替機構付電力合成器の概略構成を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態の無接点切替機構付電力合成器の断面構造を示す要部断面図である。
【図9】図8に示す第2のインダクタンス素子を説明するための図である。
【図10】図8に示す導電板を説明するための図である。
【図11】本発明の実施の形態の無接点切替機構付電力合成器を使用する電力合成部を示す回路図である。
【図12】図11に示すダイオードスイッチD5が挿入されるラインを、内部導体(51)側から見た時の等価回路を示す図である。
【図13】従来の電力合成部を示す回路図である。
【図14】同軸ケーブルの特性を説明するための図である。
【図15】図13に示す従来の電力合成部において、合成端子(To)から見た出力アドミッタンス(out)の等価回路を示す回路図である。
【図16】図13に示す従来の電力合成部における、電力合成数nが2のときの入力電圧定在波比(VSWR)の周波数特性を示すグラフである。
【図17】図13に示す従来の電力合成部における、電力合成数nが3のときの入力電圧定在波比(VSWR)の周波数特性を示すグラフである。
【図18】図13に示す従来の電力合成部における、電力合成数nが4のときの入力電圧定在波比(VSWR)の周波数特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1…シールドケース、21〜25,51,52,53…内部導体、31〜35,6…外部導体、41〜45…円筒形状の支持体、7…スペーサ、91〜95…結合孔、101〜105…入力端子、11…Q変成器、12…誘電体、13…突起部、14…支持体、15…導電板、16…第2のインダクタンス素子、17…第1のインダクタンス素子、31〜35…同軸ケーブル、50…分配器、51…合成器、PA1〜PA5…パワーアンプ、SW1〜SW5…スイッチ、S1〜S5,S11〜S15、S21〜S25…サーキュレータ、D1〜D5…ダイオードスイッチ、R…無反射終端器。
Claims (3)
- シールドケースと、
nを2以上の正の整数とするとき、(n+1)個の入力端子と、
前記シールドケース内に配置され、前記各入力端子から供給される高周波信号電力が入力される広帯域インピーダンス変成器と、
前記広帯域インピーダンス変成器に接続される出力端子とを具備する無接点切替機構付電力合成器であって、
前記広帯域インピーダンス変成器は、(n+1)の結合孔を有する導電板と、
前記導電板とシールドケースとの間に配置される第1のインダクタンス素子とを備え、
前記各入力端子は、内部導体と外部導体との間に配置される第2のインダクタンス素子を備え、
前記各入力端子の内部導体は、前記第2のインダクタンス素子が形成される位置よりも前記導電板側の先端部の周囲に円筒状の誘電体を有し、
前記各入力端子は、前記各入力端子の内部導体の延長方向に移動可能とされ、
前記各入力端子の内部導体は、前記各入力端子の移動に伴って、先端部が前記導電板に形成された(n+1)の結合孔の対応する一つに挿入可能であり、
前記各入力端子の内部導体の先端部を前記導電板の結合孔に挿入することにより、伝送信号の周波数において前記各入力端子の内部導体と前記導電板とを導通状態となし、あるいは、前記導電板の結合孔から前記各入力端子の内部導体の前記先端部を引き抜くことにより、伝送信号の周波数において前記各入力端子の内部導体と前記導電板とを遮断状態とすることを特徴とする無接点切替機構付電力合成器。 - 前記広帯域インピーダンス変成器は、λ/4同軸変成器、あるいは、多段接続されたλ/4同軸変成器で構成されることを特徴とする請求項1に記載の無接点切替機構付電力合成器。
- 前記(n+1)個の入力端子の中のn個の入力端子は、現用系として前記各内部導体の先端部が前記結合孔に挿入され、残りの1つの入力端子は、予備系として前記結合孔から前記内部導体の先端部が引き抜かれていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無接点切替機構付電力合成器。
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