JP2004013382A - 事業価値評価システム、および事業価値評価装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】事業進行変更基準を前提部と結論部によって構成し、前提部については、事業の不確かさのためスケジュールでいずれか1つが生じ得るとされた複数の事象の中でどの事象に確定したのかを特定するものとし、結論部については、計画時点で想定する経営上の施策として、事業の中止、拡大、縮小、延期、内容変更等を指定し、それ以降のスケジュールへの影響を記述する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、事業計画の立案に際して、当該事業遂行に必要な資金(投資)、当該事業によって得られる収入(収益)についての事業予測データを入力データとして、当該事業の事業価値を算出する事業価値評価システム、および事業価値評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
将来遂行する事業について、あるいは現在遂行している事業について、事業価値の評価を行うことは、コポレート・ファイナンス(企業財務)の分野で既に実践されており、割引キャッシュフロー法については、例えば、ダイヤモンド社発行、高橋文郎著「実践コポレート・ファイナンス」(2001年)に記載されている。また、経営目標に沿った事業計画のシミュレーションに関しては、特開2001−125962に記載されている。
【0003】
従来の事業価値評価システムは、一旦立案し、入力データとして与えられたスケジュール(以下、この入力データとして与えられたスケジュールを基本シナリオと称する)にしたがって事業の遂行を行う場合には別段問題がないが、一旦設定した事業のスケジュールを途中で変更する(事業の中止、拡大、縮小、延期、内容変更等を行う)場合には、スケジュールの変更内容(事業の中止、拡大、縮小、延期、内容変更等)に合わせた別のスケジュールを準備しておく必要があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
事業の遂行を行うにあたっては、与えられたスケジュールに対して単純に事業価値を算出するのではなく、事業の進行に伴い経営上の施策によってスケジュールそのものの代案を検討することが求められる場合がある。このような場合、経営上の施策を基本シナリオに反映したスケジュールを代案とし、この代案に基づく事業を評価し、評価価値の高い事業計画を採用する。複数の代案を評価するためには、基本となるシナリオに、異なる経営上の施策に対応する計画変更を加えた事業予測データを用いて代替シナリオを作成し、事業価値の算出を複数回繰り返す必要がある。そこで、一般に、確率的な事業価値評価の手順は、確定的な事業価値評価の手順に比して計算量が大きいため、計算処理の効率化が課題となっていた。
【0005】
本発明の目的は、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することのできる事業価値評価システム、および事業価値評価装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1に記載の事業価値評価システムは、事業計画を立案する際、当該事業進行に必要な投資、当該事業から得られる収益についての予測に基づいて事業価値を電子計算機を用いて評価するシステムにおいて,
計画時点において想定される複数の事象を分岐表示するスケジュールと、
前記スケジュールにおける事象の分岐に依存して事業の進行を変える基準を設定する事業進行変更基準と、
を備えて構成したものである。
【0007】
このように構成することにより請求項1に記載の発明によると、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができる。
【0008】
上記目的を達成するため請求項2に記載の事業価値評価システムは、事業計画を立案する際、当該事業進行に必要な投資、当該事業から得られる収益についての予測に基づいて事業価値を電子計算機を用いて評価するシステムにおいて,
計画時点において想定される複数の事象を分岐表示するスケジュールと、
前記スケジュールにおける事象の分岐に依存して事業の進行を変える基準を設定する事業進行変更基準と、
を備え、前記スケジュールと前記事業進行変更基準を前記電子計算機のディスプレィに選択的に表示できるようにしたものである。
【0009】
このように構成することにより請求項2に記載の発明によると、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができ、入力されている事項を視覚的に確認することができる。
【0010】
上記目的を達成するため請求項3に記載の事業価値評価システムは、スケジュールに含まれる事象の分岐に対し、事象が生ずる可能性に関する基準を設定するようにしたものである。
【0011】
このように構成することにより請求項3に記載の発明によると、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができる。
【0012】
上記目的を達成するため請求項4に記載の事業価値評価システムは、スケジュールに含まれる事象の分岐に対し、事象が生ずる可能性に関する基準を設定し、可能性に関する基準を電子計算機のディスプレィに表示できるようにしたものである。
【0013】
このように構成することにより請求項4に記載の発明によると、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができ、可能性に関する基準を視覚的に確認することができる。
【0014】
上記目的を達成するため請求項5に記載の事業価値評価システムは、入力した第1のスケジュールと、事業進行変更基準とを組み合わせて新たな第2のスケジュールを生成し、第2のスケジュールにおける事象の分岐によって生じうる各事象に対して、それが起こる確率を与えることにより、事業価値の確率分布を算出するようにしたものである。
【0015】
このように構成することにより請求項5に記載の発明によると、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができる。
【0016】
上記目的を達成するため請求項6に記載の事業価値評価システムは、入力した第1のスケジュールと、事業進行変更基準とを組み合わせて新たな第2のスケジュールを生成し、生成した第2のスケジュールを電子計算機のディスプレィに表示できるようにしたものである。
【0017】
このように構成することにより請求項6に記載の発明によると、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができ、生成した第2のスケジュールを視覚的に確認することができる。
【0018】
上記目的を達成するため請求項7に記載の事業価値評価システムは、入力した第1のスケジュールと、事業進行変更基準とを組み合わせて新たな第2のスケジュールを生成し、第2のスケジュールにおける事象の分岐によって生じうる各事象に対して、それが起こる確率を与えることにより、事業価値の確率分布を算出し、算出した事業価値の確率分布を電子計算機のディスプレィに表示できるようにしたものである。
【0019】
このように構成することにより請求項7に記載の発明によると、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができ、算出した事業価値の確率分布を視覚的に確認することができる。
【0020】
上記目的を達成するため請求項8に記載の事業価値評価システムは、算出した事業価値の確率分布を基に事業価値の期待値を算出するようにしたものである。
【0021】
このように構成することにより請求項8に記載の発明によると、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができる。
【0022】
上記目的を達成するため請求項9に記載の事業価値評価システムは、算出した事業価値の確率分布を基に事業価値の期待値を算出し、算出した事業価値の期待値を電子計算機のディスプレィに表示できるようにしたものである。
【0023】
このように構成することにより請求項9に記載の発明によると、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができ、算出した事業価値の期待値を視覚的に確認することができる。
【0024】
上記目的を達成するため請求項10に記載の事業価値評価システムは、事業進行変更基準を適用して生成した第2のスケジュールの事業価値の確率分布と、入力した第1のスケジュールの事業価値の確率分布を比較して、事業進行変更基準の効果の確率分布を算出するようにしたものである。
【0025】
このように構成することにより請求項10に記載の発明によると、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができる。
【0026】
上記目的を達成するため請求項11に記載の事業価値評価システムは、事業進行変更基準を適用して生成した第2のスケジュールの事業価値の確率分布と、入力した第1のスケジュールの事業価値の確率分布を比較して、事業進行変更基準の効果の確率分布を算出し、算出した事業進行変更基準の効果の確率分布を電子計算機のディスプレィに表示できるようにしたものである。
【0027】
このように構成することにより請求項11に記載の発明によると、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができ、算出した事業進行変更基準の効果の確率を視覚的に確認することができる。
【0028】
上記目的を達成するため請求項12に記載の事業価値評価システムは、事業進行変更基準を適用して生成した第2のスケジュールの事業価値の確率分布と、入力した第1のスケジュールの事業価値の期待値を比較して、事業進行変更基準の効果の期待値を算出するようにしたものである。
【0029】
このように構成することにより請求項12に記載の発明によると、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができる。
【0030】
上記目的を達成するため請求項13に記載の事業価値評価システムは、事業進行変更基準を適用して生成した第2のスケジュールの事業価値の確率分布と、入力した第1のスケジュールの事業価値の期待値を比較して、事業進行変更基準の効果の期待値を算出し、算出した事業進行変更基準の効果の期待値を電子計算機のディスプレィに表示できるようにしたものである。
【0031】
このように構成することにより請求項13に記載の発明によると、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができ、算出した事業進行変更基準の効果の期待値を視覚的に確認することができる。
【0032】
上記目的を達成するため請求項14に記載の事業価値評価システムは、第2のスケジュールにおける事象の分岐において起こる事象を乱数あるいは擬似乱数を用いて決めた上で事業価値を演算する処理を繰り返すことにより、事象の分岐における各事象の確率にしたがって、事業価値の期待値を算出するようにしたものである。
【0033】
このように構成することにより請求項14に記載の発明によると、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができる。
【0034】
上記目的を達成するため請求項15に記載の事業価値評価システムは、第2のスケジュールにおける事象の分岐において起こる事象を乱数あるいは擬似乱数を用いて決めた上で事業価値を演算する処理を繰り返すことにより、事象の分岐における各事象の確率にしたがって、事業価値の期待値を算出し、各事象の確率にしたがって算出する事業価値の期待値を前記電子計算機のディスプレィに表示できるようにしたものである。
【0035】
このように構成することにより請求項15に記載の発明によると、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができ、各事象の確率にしたがって算出する事業価値の期待値を視覚的に確認することができる。
【0036】
上記目的を達成するため請求項16に記載の事業価値評価システムは、事業計画を立案する際、当該事業進行に必要な投資、当該事業から得られる収益についての予測に基づいて事業価値を電子計算機を用いて評価するシステムにおいて,
事業のスケジュールと事業シナリオ制御ルールとを入力する入力装置と,
前記入力装置によって入力される事業の基本シナリオと事業シナリオ制御ルールを記憶すると共に、該事業の基本シナリオと事業シナリオ制御ルールとを用いて事業の代替スケジュールを生成し、代替スケジュールの事業価値を算出する演算処理手順を格納する記憶装置と,
前記記憶装置に記憶される事業の基本シナリオと事業シナリオ制御ルールとを用いて事業の代替スケジュールを生成し、代替スケジュールの事業価値を算出する演算装置と,
前記演算装置によって算出した代替スケジュールの事業価値を出力する出力装置と,
を備え電子計算機によって構成したものである。
【0037】
このように構成することにより請求項16に記載の発明によると、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができる。
【0038】
上記目的を達成するため請求項17に記載の事業価値評価システムは、演算装置によって算出した代替スケジュールの事業価値を画面表示するディスプレイを設けて構成したものである。
【0039】
このように構成することにより請求項17に記載の発明によると、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができ、演算装置によって算出した代替スケジュールの事業価値を視覚的に確認することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
スケジュールの代案は、経営上の施策に基づいて基本となるシナリオを修正したもので、基本シナリオからスケジュールの代案を生成することができれば、スケジュールの代案を改めて入力する必要はなくなる。そのためには、経営上の施策を事業進行変更基準の形で表わし、基本シナリオと事業進行変更基準からスケジュールの代案を生成すればよい。
【0041】
本発明は、この事業進行変更基準を前提部と結論部によって構成し、前提部については、事業の不確かさのためスケジュールでいずれか1つが生じ得るとされた複数の事象の中でどの事象に確定したのかを特定するものとし、結論部については、計画時点で想定する経営上の施策として、事業の中止、拡大、縮小、延期、内容変更等を指定し、それ以降のスケジュールへの影響を記述するものとしている。
【0042】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
図1には、本発明に係る事業価値評価システムの一実施例が示されている。 図において、シナリオ(Scenario)とは、一般的には、売上予測から収益を計算するような表計算ソフトで、データを一時的に変更して、結果をシミュレーションする機能をいい、図1においては、事業のスケジュールにおける事象発生の時系列を指している。図1には、本発明に係る事業価値評価システムを実施するためのシナリオに基づく5つのステップからなる事業価値評価の手順が示されている。この5つのステップは、ステップ1の基本となる事業シナリオの定義、ステップ2の事業のリスクを表わすパラメータとキャシュフローの関係の定義、ステップ3の事業シナリオ制御ルールを反映した新たな事業シナリオの定義、ステップ4の新たな事業シナリオのキャッシュフローの確率分布の計算、ステップ5のキャッシュフローの確率分布に基づく事業価値の算出とからなっている。
【0043】
この第1図に示す事業価値評価の手順においては、単純化した機械部品製造事業を例に採って説明する。また、ここでは、事業の財務データより算出したキャッシュフローのレベルで事業の状況を説明する。ここでキャッシュフロー(CashFlow)というのは、割引キャッシュフロー法で用いられるキャッシュ(資金)の流入や流出のことで、企業財務の健全性を示す指標となっている。事業の評価に用いるキャッシュフローは、企業における決算の税引後利益から、配当金と役員賞与を差し引いたものに、減価償却費を加えて算出し、いわゆる自己資金を指している。そして、このキャッシュフローは、機械部品製造事業の計画開始の時点においては、投資キャッシュフローとして発生するが、事業計画の進行に伴って、事業計画を実行することによって回収した営業キャッシュフロー(税引き後の営業利益と原価償却費を加えたもの)と、事業計画の進行にあたって追加投資を行うことによって生じる投資キャッシュフロー(運転資本需要と設備投資を加えたもの)との和として発生する。
【0044】
まず、ステップ1においては、基本となる事業シナリオ(事業のスケジュールにおける事象発生の時系列)を定義する。すなわち、ステップ1においては、事業の投資、事業の回収、事業の清算等、事業進行上の各事象のタイミングの定義と、それに伴うキャッシュフローについて定義をしている。
【0045】
すなわち、ステップ1においては、図2に示す如き事業の基本となるシナリオを定義する。この図2に示される基本シナリオは、まず、事業開始時に投資(例えば、4G円)を行ない、2年間運用した後、清算するというものである。すなわち、この図2においては、事業開始時に、投資による一定額(例えば、4G円)のキャッシュアウト(Cash Out)があり、1年後に回収によるキャッシュイン(例えば、3G円)があり、2年後に回収によるキャッシュイン(例えば、3G円)、および清算によるキャッシュイン(例えば、1G円)がある。この図2に図示の基本シナリオは、リスク要因を全く想定していない確定的なシナリオとなっている。
【0046】
図2に示す如き事業の基本となるシナリオに対し、割引キャッシュフロー法による事業の価値の算出手順が図3に示されている。この図3における事業の正味現在価値は、事業の開始時を現在とすると、回収および清算の現在価値(例えば、5.8G円)から投資額(例えば、4G円)を差し引いたもの(例えば、1.6G円)となる。この回収および清算の現在価値(例えば、5.8G円)は、発生時点から現在まで、事業のリスクやファイナンスの状況を反映した資本コストで割り引いて求める。
【0047】
次に、ステップ2においては、事業計画のどこにリスク(事業の回収の不確実性要素)が存在し、このリスクがどのキャッシュフローにどのような振れを生じさせるかを定義する。すなわち、このステップ2においては、ステップ1において定義した事業開始時に投資(例えば、4G円)を行ない、2年間運用した後、清算するという基本シナリオにおいて事業のリスクを表わすパラメータとキャシュフローの関係を定義する。
【0048】
すなわち、ステップ2における事業のリスクを表わすパラメータとキャシュフローの関係は、図4に示す如く、回収において想定されるリスクをキャッシュフローの変動範囲として表現することができる。この基本シナリオにおいて想定されるリスクは、1年目の回収と2年目の回収に想定され、上下の振れ幅にしてそれぞれ4G円(年目)と2G円(2年目)に相当する。この図4の場合、投資および清算の際のキャッシュフロー(1G円)は確定的である。
【0049】
ステップ1において定義した事業開始時に投資(例えば、4G円)を行ない、2年間運用した後、清算するという基本シナリオにおける生産設備の残存価値は、図5に示されている。この図5においては、事業開始時の生産設備の残存価値は、投資額(4G円)等しく、1年目の生産設備の残存価値は、事業開始時の生産設備の残存価値から半減した価値(2G円)となり、2年目の生産設備の残存価値は、1年目の生産設備の残存価値(2G円)から半減した価値(1G円)となる。この2年目の時点で清算することになり、この2年目の生産設備の残存価値(1G円)が清算時点の生産設備の残存価値となる。
したがって、図4に図示の清算のキャッシュイン(1G円)は、図5に図示の清算の際の生産設備の残存価値(1G円)に等しいものとなる。
【0050】
次に、ステップ1において定義した基本シナリオに対し、ステップ2において定義した事業のリスクを表わすパラメータとキャシュフローの関係における事業のリスクの連続的な確率分布が図6に示されている。この図6において、キャッシュフローの振れは、正規分布の標準偏差として表わされる。
【0051】
ステップ1において定義した基本シナリオをバイナリーツリーによって表現したものが図7に示されている。この場合、キャッシュフローの振れは、ある確率をもって二つに枝分かれするバイナリーツリーのキャッシュフロー代表値の違いとして表わされる。
【0052】
図7に図示のバイナリーツリーにおいては、まず、現在、投資額が4G円(40億円)を投資して事業を行った場合、1年後(最初の年)に回収がどうかなるかというと、50%、50%の確率で、4G円(40億円)の回収が見込まれる場合と、2G円(20億円)の回収が見込まれる場合とに分かれる。さらに、翌年、事業開始後2年後に回収がどうかなるかというと、4G円(40億円)の回収が見込まれる場合は、70%の確率で、4G円(40億円)の回収が見込まれるが、30%の確率で、一旦は良くなるが元に戻ってしまい、2G円(20億円)の回収しか見込まれない。また、事業開始後1年後(最初の年)に回収が悪かった場合には、次の年(1年後)にその水準を維持するというのも難しくなって、前年の回収、2G円(20億円)の回収を維持できるのが10%の確率で、やはり悪くなってしまうというのが90%の確率で、1G円(10億円)の回収となる。ここで回収が見込まれる確率(50%、70%、30%、10%、90%等)というのは、将来の予測と、過去のデータ(実績)に基づいて決まったものである。したがって、経済が上昇基調であるときの過去のデータから見た場合の場合、下降基調であるときの過去のデータから見た場合を示している。
【0053】
この図7に図示のバイナリーツリーは、投資ノードから清算ノードにいたるまでのパスを4通り含んでおり、それぞれのパスは事業の進行に伴う事象の組合せを表わしている。現実には、これらのパスの1つが生ずると想定されるが、どのパスになるかの確率は、枝分かれの確率を基に計算できる。
【0054】
このバイナリーツリーのパスとその確率のテーブルが図8に示されている。図8において、4通りのパスに対して、確率は、図7に示される枝分かれの確率の積として計算することができる。なお、図8に図示の事業の進行に伴うキャッシュフローの現在価値は、資本コストを年率10%として計算している。
【0055】
図9は、この結果を離散確率分布として表わしたものである。この場合の現在価値の期待値は、5.412G円、この数字から初期投資分を減じた正味現在価値は1.412G円となる。
【0056】
なお、以下の説明では、バイナリーツリーによる離散確率分布によるリスクの表現を用いる。
【0057】
ステップ3においては、事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)を読み込んで、基本となるシナリオに対応するバイナリーツリーを変更する。変更の対象となるのは、パスの追加や削除、投資額や回収額等であり、特定の事象の発生を前提とする場合もある。
【0058】
この事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)の一例が図10に示されている。この図10では、1年後の回収額が2.5G円以下となることがこのルール(変更基準)の前提条件となっている。この1年後の回収額は、事業の開始時点では確定していないため、清算時期が1年後になるのか、2年後になるのかは、1年後にならないと決定しない。そこで、この図10に示される事業シナリオ制御ロジックと、図7に示される基本シナリオとを組み合わせることによって、スケジュールの代案を得ることができる。
【0059】
このスケジュールの代案が図11に示されている。図11においては、ステップ1において定義した基本シナリオに対応するバイナリーツリーから、2年目の回収額が低いケースの枝がカットされている。それは、ルール(変更基準)の前提部が、1年目のノード(結び目又は交点)において成立するからで、1年目のノードの直後が清算ノードとなり、図5より残存価値が2G円となる。
【0060】
この図11に図示のスケジュールの代案を作成するための事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)は、前提部と結論部からなり、入力として与えられる。前提部は、計画変更が生ずる条件を表わし、バイナリーツリーで表現する場合、枝分かれのノードを特定することになる。結論部は、中止、拡大、縮小、延期等の計画変更の種類を表わし、計画変更の種類に応じて、それ以降のバイナリーツリーの構造やノードに与えられたキャッシュフローを変更する。
【0061】
この事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)において、計画変更の種類が中止の場合、前提部で指定されたノードに清算のノードを接続する。また、計画変更の種類が拡大の場合、途中で拡大規模に見合った追加投資を行なうことになり、そのノードの下流に位置するノードのキャッシュフローをそれに合わせて変更する。さらに、計画変更の種類が縮小の場合も同様に、そのノードの下流に位置するノードのキャッシュフローを縮小規模に合わせて変更する。計画変更の種類が延期の場合、延期の期間にあわせて延期のノードを接続するとともに、前提部で指定されたノードの下流のバイナリーツリーを延期のノードに接続する。事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)の指定によって、事業の基本となるシナリオが変更を受けることになるが、計画変更の時期や種類に合わせてキャッシュフローの変更後データを同時に入力する。
【0062】
ステップ4においては、事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)を加えて基本となるシナリオを変更した事業計画の確率的なキャッシュフローの期待値の現在価値を求める。ここではバイナリーツリーから回収および清算に対してキャシュインの期待値の現在価値を計算する。そして、清算額は、それ自体確定的なキャッシュインであるが、事業シナリオ制御ロジックのために清算のタイミングが確率的となっている。
【0063】
この図11に図示のバイナリーツリーは、図10に示される事業シナリオ制御ロジックによって、2年目の回収額が低いケースの枝がカットされるため、投資ノードから清算ノードにいたるまでのパスが3通りとなっている。
【0064】
このバイナリーツリーのパスとその確率のテーブルが図12に示されている。図12において、3通りのパスに対して、確率は、図11に示される枝分かれの確率の積として計算することができる。なお、図12に図示の事業の進行に伴うキャッシュフローの現在価値は、資本コストを年率10%として計算している。
【0065】
図13は、この結果を離散確率分布として表わしたものである。この場合の現在価値の期待値は、5.436G円、この数字から初期投資分を減じた正味現在価値は1.436G円となる。
【0066】
ステップ5においては、事業のキャッシュフローの確率分布から正味現在価値を算出する。事業の正味現在価値は、回収および清算に対してキャシュインの期待値の現在価値から初期の投資を差し引いたものとなる。回収および清算の現在価値は、発生時点から現在まで、事業のファイナンスの状況を反映した資本コストで割り引いて求める。この場合の現在価値の期待値は、5.436G円、この数字から初期投資分を減じた正味現在価値は1.436G円となる。
【0067】
以上の説明には、事業のシナリオをバイナリーツリーで表わし、事業計画の変更が単一の事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)に基づく例を用いた。複数の事業シナリオ制御ルールを用いることもできる。事業のリスクをバイナリーツリーで表わした場合でも、バイナリーツリーが複雑な構造となる場合には、キャッシュフローの確率分布の計算は煩雑となる。事業のリスクを連続変数の確率分布で表わした場合にも、事業のシナリオには、図14に示したような数多くの枝分かれを持つツリー構造で近似することも可能であるが、キャッシュフローの確率分布の計算は煩雑となる。
【0068】
そのような場合に有効な手法として、モンテカルロ法(Monte Carlo Method)を用いて確率分布を算出することもできる。このモンテカルロ法というのは、反復計算と乱数を用いて、数値実験によって問題の近似解を求める数学的手法のことである。このモンテカルロ法に関しては、「コンピュテーショナルファイナンス」(株式会社朝倉書店 発行)に記載されている。
【0069】
図15に、モンテカルロ法によってキャッシュフローの確率分布を決定する手順を示したフロー図が示されている。このフローチャートの手順は、シミュレーションの試行ループの中で、擬似乱数の組を作成する前段とそれを用いて確率分布を求める変数の値を算出する後段に分かれる。
まず、ステップ151において、標本数(何回のトライアルをやるか、通常は1万回以上)を入力する。このステップ151において標本数の入力を行うと、ステップ152において、乱数ベクトルの標本集団を作成する(前段に当たる)。このステップ152において、乱数ベクトルの標本集団を作成すると、ステップ153において、乱数ベクトルを選択する。このステップ153において乱数ベクトルを選択すると、ステップ154において、回収・追加投資・清算のキャッシュフローを確定する。このステップ154において回収・追加投資・清算のキャッシュフローを確定すると、ステップ155において、キャッシュフロー現在価値を算出する。このステップ155においてキャッシュフロー現在価値を算出すると、ステップ156において、事業価値の標本点を登録する。このステップ156において事業価値の標本点を登録すると、ステップ157において、標本数を達成したか否かを判定する。このステップ157において標本数を達成しなかったと判定すると、ステップ153に戻る。また、このステップ157において標本数を達成したと判定すると、ステップ158において、事業価値の確率分布を決定する(後段に当たる)。このようにモンテカルロ法の試行を繰り返すことにより、事業価値の標本を生成することができ、図16のような事業価値の区間に事業価値が収まる標本の度数をカウントすることができる。事業価値の確率分布は、標本の度数をカウントして作成したヒストグラムで表わすことができる。
【0070】
基本となるシナリオによる事業価値評価と、事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)を用いた代案シナリオによる事業価値評価を一括して行ない、事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)の効果を定量的に評価することができる。
【0071】
図17には、事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)の効果を評価する手順が示されている。すなわち、図17は、事業を制御するようなロジック(事業シナリオ制御ロジック)を入れない元の計画(事業の基本シナリオ)のままのシュミレーションをやったケースと、事業を制御するようなロジック(事業シナリオ制御ロジック)を入れてやってを同時に行ったもので、事業シナリオ制御ロジックを入れるという効果、事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)の効果が良い方に効いているのか、悪い方に効いているのかといったような、差分のような情報を計算する。すなわち、この事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)の効果は、事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)を用いた代案シナリオによる事業価値評価から基本となるシナリオによる事業価値評価を減ずることにより求まる。実施の形態で説明した機械部品製造事業の例では、基本となるシナリオによる正味現在価値が1.412G円であり、事業シナリオ制御ルールを用いた代案シナリオによる事業正味現在価値が1.436G円であるので、事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)の効果は、0.024G円であり、プラスの価値をもつことがわかる。
【0072】
基本となるシナリオと複数組みの事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)を用いて、事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)の効果を順次評価することにより、最も事業価値の高い事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)を選択することもできる。
【0073】
本実施の形態においては、バイナリーツリーを用いて、事業のリスク、すなわち不確定な状況をキャッシュフローのレベルで記述している。キャッシュフローを直接入力するのではなく、キャッシュフローの計算に必要な詳細な財務データを与えてシステムにおいて算出する形式とすることもできる。その場合、事業シナリオ制御ルールもキャッシュフローのレベルではなく、詳細な財務データから求まる経営指標のレベルで与えることもできる。
【0074】
事業のリスクについて、キャッシュフローの数値を直接与えるのではなく、良い、普通、悪いというような定性的な表現で入力して、それを基に、システムにおいて数値化する形をとることもできる。
【0075】
図18は、本発明に係る事業価値評価装置の一実施の形態が示されている。図18において、事業価値評価装置180は、入力装置181、演算装置182、出力装置183、記憶装置184、ディスプレィ185とによって構成されている。
【0076】
入力装置181は、事業の基本シナリオ、事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)を読み込む。また、記憶装置184は、事業の基本シナリオ、事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)、代案シナリオの事業価値を算出する演算処理手順を格納する。具体的には、事業の基本シナリオ1841、事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)1842、事業の代案シナリオ1843、シナリオ別のキャッシュフロー確率分布データ1844、シナリオ別の事業価値データ1845、事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)の効果1846、演算処理プログラム1847である。
【0077】
また、演算装置182は、CPUで、記憶装置184に格納される事業の基本シナリオ1841、事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)1842を用いて事業の代案シナリオ1843を生成し、この代案シナリオ1843の事業価値を算出する演算を行う。この演算装置182には、オペレーティングシステム1821が内蔵されている。さらに、出力装置183は、算出した事業価値を出力するもので、この出力装置183には、ディスプレィ185が接続されている。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、以下に述べる効果を有する。
【0079】
本願請求項1に記載の発明によれば、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができる。
【0080】
本願請求項2に記載の発明によれば、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができ、入力されている事項を視覚的に確認することができる。
【0081】
本願請求項3に記載の発明によれば、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができる。
【0082】
本願請求項4に記載の発明によれば、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができ、可能性に関する基準を視覚的に確認することができる。
【0083】
本願請求項5に記載の発明によれば、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができる。
【0084】
本願請求項6に記載の発明によれば、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができ、生成した第2のスケジュールを視覚的に確認することができる。
【0085】
本願請求項7に記載の発明によれば、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができ、算出した事業価値の確率分布を視覚的に確認することができる。
【0086】
本願請求項8に記載の発明によれば、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができる。
【0087】
本願請求項9に記載の発明によれば、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができ、算出した事業価値の期待値を視覚的に確認することができる。
【0088】
本願請求項10に記載の発明によれば、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができる。
【0089】
本願請求項11に記載の発明によれば、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができ、算出した事業進行変更基準の効果の確率を視覚的に確認することができる。
【0090】
本願請求項12に記載の発明によれば、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができる。
【0091】
本願請求項13に記載の発明によれば、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができ、算出した事業進行変更基準の効果の期待値を視覚的に確認することができる。
【0092】
本願請求項14に記載の発明によれば、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができる。
【0093】
本願請求項15に記載の発明によれば、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができ、各事象の確率にしたがって算出する事業価値の期待値を視覚的に確認することができる。
【0094】
本願請求項16に記載の発明によれば、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができる。
【0095】
本願請求項17に記載の発明によれば、確率的な事業価値評価の演算処理の効率化を図ることができ、計画の進行と共に実施可能な施策の効果の評価を支援することができ、演算装置によって算出した代替スケジュールの事業価値を視覚的に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る事業価値評価システムの実施例を示す図である。
【図2】図1に図示の事業の基本となるシナリオを示す図である。
【図3】割引キャッシュフロー法による事業の価値の算出手順を示す図である。
【図4】回収において想定されるリスクをキャッシュフローの変動範囲として表現した図である。
【図5】基本シナリオにおける生産設備の残存価値を示す図である。
【図6】事業のリスクを表わすパラメータとキャシュフローの関係における事業のリスクの連続的な確率分布を示す図である。
【図7】基本シナリオをバイナリーツリーによって表現した図である。
【図8】図7に図示のバイナリーツリーのパスとその確率のテーブルを示す図である。
【図9】図8に図示の離散確率分布を示す図である。
【図10】事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)の一例を示す図である。
【図11】図10に基づくスケジュールの代案のバイナリーツリーを示す図である。
【図12】図11に図示のバイナリーツリーのパスとその確率のテーブルを示す図である。
【図13】図12に図示の離散確率分布を示す図である。
【図14】数多くの枝分かれを持つツリー構造を示す図である。
【図15】モンテカルロ法によってキャッシュフローの確率分布を決定する手順を示すフローチャートである。
【図16】事業価値の区間に事業価値が収まる標本の度数を示す図である。
【図17】事業シナリオ制御ルール(事業進行変更基準)の効果を評価する手順を示すフローチャートである。
【図18】本発明に係る事業価値評価装置の実施の形態を示す図である。
【符号の説明】
180……………事業価値評価装置
181……………入力装置
182……………演算装置
183……………出力装置
184……………記憶装置
185……………ディスプレィ
Claims (17)
- 事業計画を立案する際、当該事業進行に必要な投資、当該事業から得られる収益についての予測に基づいて事業価値を電子計算機を用いて評価するシステムにおいて,
計画時点において想定される複数の事象を分岐表示するスケジュールと、
前記スケジュールにおける事象の分岐に依存して事業の進行を変える基準を設定する事業進行変更基準と、
を備えたことを特徴とする事業価値評価システム。 - 事業計画を立案する際、当該事業進行に必要な投資、当該事業から得られる収益についての予測に基づいて事業価値を電子計算機を用いて評価するシステムにおいて,
計画時点において想定される複数の事象を分岐表示するスケジュールと、
前記スケジュールにおける事象の分岐に依存して事業の進行を変える基準を設定する事業進行変更基準と、
を備え、前記スケジュールと前記事業進行変更基準を前記電子計算機のディスプレィに選択的に表示できるようにしたことを特徴とする事業価値評価システム。 - 請求項1又は2に記載の事業価値評価システムにおいて,
前記スケジュールに含まれる事象の分岐に対し、事象が生ずる可能性に関する基準を設定することを特徴とする事業価値評価システム。 - 請求項1又は2に記載の事業価値評価システムにおいて,
前記スケジュールに含まれる事象の分岐に対し、事象が生ずる可能性に関する基準を設定し、該可能性に関する基準を前記電子計算機のディスプレィに表示できるようにしたことを特徴とする事業価値評価システム。 - 請求項1又は2に記載の事業価値評価システムにおいて,
前記入力した第1のスケジュールと、前記事業進行変更基準とを組み合わせて新たな第2のスケジュールを生成し、該第2のスケジュールにおける事象の分岐によって生じうる各事象に対して、それが起こる確率を与えることにより、事業価値の確率分布を算出することを特徴とする事業価値評価システム。 - 請求項1又は2に記載の事業価値評価システムにおいて,
前記入力した第1のスケジュールと、前記事業進行変更基準とを組み合わせて新たな第2のスケジュールを生成し、該生成した第2のスケジュールを前記電子計算機のディスプレィに表示できるようにしたことを特徴とする事業価値評価システム。 - 請求項1又は2に記載の事業価値評価システムにおいて,
前記入力した第1のスケジュールと、前記事業進行変更基準とを組み合わせて新たな第2のスケジュールを生成し、該第2のスケジュールにおける事象の分岐によって生じうる各事象に対して、それが起こる確率を与えることにより、事業価値の確率分布を算出し、該算出した事業価値の確率分布を前記電子計算機のディスプレィに表示できるようにしたことを特徴とする事業価値評価システム。 - 請求項5、6又は7に記載の事業価値評価システムにおいて,
前記算出した事業価値の確率分布を基に事業価値の期待値を算出することを特徴とする事業価値評価システム。 - 請求項5、6又は7に記載の事業価値評価システムにおいて,
前記算出した事業価値の確率分布を基に事業価値の期待値を算出し、該算出した事業価値の期待値を前記電子計算機のディスプレィに表示できるようにしたことを特徴とする事業価値評価システム。 - 請求項5、6又は7に記載の事業価値評価システムにおいて,
前記事業進行変更基準を適用して生成した第2のスケジュールの事業価値の確率分布と、前記入力した第1のスケジュールの事業価値の確率分布を比較して、前記事業進行変更基準の効果の確率分布を算出することを特徴とする事業価値評価システム。 - 請求項5、6又は7に記載の事業価値評価システムにおいて,
前記事業進行変更基準を適用して生成した第2のスケジュールの事業価値の確率分布と、前記入力した第1のスケジュールの事業価値の確率分布を比較して、前記事業進行変更基準の効果の確率分布を算出し、前記算出した事業進行変更基準の効果の確率分布を前記電子計算機のディスプレィに表示できるようにしたことを特徴とする事業価値評価システム。 - 請求項8、9、10又は11に記載の事業価値評価システムにおいて,
前記事業進行変更基準を適用して生成した第2のスケジュールの事業価値の確率分布と、前記入力した第1のスケジュールの事業価値の期待値を比較して、前記事業進行変更基準の効果の期待値を算出することを特徴とする事業価値評価システム。 - 請求項8、9、10又は11に記載の事業価値評価システムにおいて,
前記事業進行変更基準を適用して生成した第2のスケジュールの事業価値の確率分布と、前記入力した第1のスケジュールの事業価値の期待値を比較して、前記事業進行変更基準の効果の期待値を算出し、前記算出した事業進行変更基準の効果の期待値を前記電子計算機のディスプレィに表示できるようにしたことを特徴とする事業価値評価システム。 - 請求項8、9、10又は11に記載の事業価値評価システムにおいて,
前記第2のスケジュールにおける事象の分岐において起こる事象を乱数あるいは擬似乱数を用いて決めた上で事業価値を演算する処理を繰り返すことにより、事象の分岐における各事象の確率にしたがって、事業価値の期待値を算出することを特徴とする事業価値評価システム。 - 請求項8、9、10又は11に記載の事業価値評価システムにおいて,
前記第2のスケジュールにおける事象の分岐において起こる事象を乱数あるいは擬似乱数を用いて決めた上で事業価値を演算する処理を繰り返すことにより、事象の分岐における各事象の確率にしたがって、事業価値の期待値を算出し、該各事象の確率にしたがって算出する事業価値の期待値を前記電子計算機のディスプレィに表示できるようにしたことを特徴とする事業価値評価システム。 - 事業計画を立案する際、当該事業進行に必要な投資、当該事業から得られる収益についての予測に基づいて事業価値を電子計算機を用いて評価するシステムにおいて,
事業のスケジュールと事業シナリオ制御ルールとを入力する入力装置と,
前記入力装置によって入力される事業の基本シナリオと事業シナリオ制御ルールを記憶すると共に、該事業の基本シナリオと事業シナリオ制御ルールとを用いて事業の代替スケジュールを生成し、代替スケジュールの事業価値を算出する演算処理手順を格納する記憶装置と,
前記記憶装置に記憶される事業の基本シナリオと事業シナリオ制御ルールとを用いて事業の代替スケジュールを生成し、代替スケジュールの事業価値を算出する演算装置と,
前記演算装置によって算出した代替スケジュールの事業価値を出力する出力装置と,
を備え電子計算機によって構成したことを特徴とする事業価値評価装置。 - 請求項16に記載の事業価値評価装置において,
前記演算装置によって算出した代替スケジュールの事業価値を画面表示するディスプレイを設けたことを特徴とする事業価値評価装置。
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