JP2004011186A - 高耐候性建築用内外装パネル - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の建築用パネルに代わる、耐食性、耐候性、軽量性、強度、加工性等の外装材や内装材に要求される特性の大部分を満たすような建築用パネル、特に耐候性に優れた建築用内外装パネルを提供すること。
【解決手段】金属又は合成樹脂からなるパネル本体1の表面に、炭素繊維2aの織物からなる被覆部材2が固着されてなることを特徴とする高耐候性建築用内外装パネルとする。
【選択図】 図1
【解決手段】金属又は合成樹脂からなるパネル本体1の表面に、炭素繊維2aの織物からなる被覆部材2が固着されてなることを特徴とする高耐候性建築用内外装パネルとする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の内装材や外装材に要求される耐候性や機械的強度等の各種特性において優れた高耐候性建築用内外装パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築物の外装材や内装材用のパネルとしては、木製、金属製、合成樹脂製、ガラス製、セラミック製など様々な材料からなるものが存在している。
これらの材料は、それぞれ優れた特性を有している反面、欠点や問題も有していた。例えば、木製のパネルは腐食し易い上に耐熱性が低いという欠点があり、金属製のパネルは水分により錆びてしまう上に重いという欠点があった。また、合成樹脂製のパネルは耐熱性及び強度の面で問題があり、ガラス製及びセラミック製のパネルは耐衝撃性や加工性等の面で問題があった。
このように、従来のパネルはその特性において一長一短であって、耐食性、耐候性、軽量性、強度、加工性等の外装材や内装材に要求される特性を全てにおいて満たすことはできなかった。そのため、業界においては、従来の建築用パネルに代わる高機能な新たなパネルの創出が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであって、従来の建築用パネルに代わる、耐食性、耐候性、軽量性、強度、加工性等の外装材や内装材に要求される特性の大部分を満たすような建築用パネル、特に耐候性に優れた建築用内外装パネルを提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、金属又は合成樹脂からなるパネル本体の表面に、炭素繊維の織物からなる被覆部材が固着されてなることを特徴とする高耐候性建築用内外装パネルに関する。
請求項2に係る発明は、金属又は合成樹脂からなるパネル本体の表面に、ガラス、合成樹脂、セラミックのいずれかから形成された多数の微小球からなる被覆部材が固着されてなることを特徴とする高耐候性建築用内外装パネルに関する。
請求項3に係る発明は、金属又は合成樹脂からなるパネル本体の表面に、チタン製プレートからなる被覆部材が固着されてなることを特徴とする高耐候性建築用内外装パネルに関する。
請求項4に係る発明は、前記被覆部材が、炭素繊維の織物、チタン製プレート、又はガラス、合成樹脂、セラミックのいずれかから形成された多数の微小球をアクリル樹脂で固化することにより形成されてなることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネルに関する。
【0005】
請求項5に係る発明は、表面が光硬化性樹脂によりコーティングされてなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネルに関する。
請求項6に係る発明は、表面がセラミックによりコーティングされてなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネルに関する。
請求項7に係る発明は、表面がフッ素樹脂によりコーティングされてなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネルに関する。
請求項8に係る発明は、前記パネル本体が、アルマイト処理されたアルミニウムからなることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネルに関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る高耐候性建築用内外装パネル(以下、単に建築用パネルという)の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明に係る建築用パネルの平面図であり、図2は図1のA−A線断面図である。
本発明に係る建築用パネルは、図示の如く、パネル本体(1)の表面に、炭素繊維から形成された被覆部材(2)が固着されることにより構成されている。
繊維の材料として、炭素繊維を使用するのは、これらの材料が表面硬度が高く機械的強度に優れ、しかも軽量であるという優れた特性を有するためである。
【0007】
パネル本体(1)は、金属又は合成樹脂から形成された平板状の部材であって、その表面には凹部(3)が形成されている。
この凹部(3)は、被覆部材(2)が固着される部分であり、被覆部材(2)を固着した際に被覆部材(2)の表面とパネル本体(1)の表面(凹部の周囲)とが面一となるように、被覆部材(2)の大きさ及び厚みに合わせて形成されている。
尚、パネル本体(1)の形状は、通常は図示例の如く長方形とされるが、三角形や六角形等の他の形状としてもよく、特に限定されるものではない。
【0008】
パネル本体(1)を構成する金属としては、特に限定されないが、例えばアルミニウム、チタン、ジュラルミン、ステンレス等を使用することができる。中でも軽量で錆びにくく比較的安価なアルマイト処理されたアルミニウムを使用することが最も好ましい。
パネル本体(1)を構成する合成樹脂としては、特に限定されないが、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ABS樹脂等を使用することができる。中でも強度及び耐久性に優れたABS樹脂を使用することが最も好ましい。
【0009】
被覆部材(2)は、図中の円内拡大図に示す如く、炭素繊維(2a)が縦横に織られた織物から構成されている。織物の形態としては、平織り、斜文織り(綾織り)、繻子織りなどの任意の形態を採用することができるが、平滑で丈夫な面が得られる平織りが好ましい。また、経糸が一重で緯糸が二重の緯二重組織や、経糸が二重で緯糸が一重の経二重組織などの重ね組織の形態とする構成も好適に採用できる。
【0010】
上記したように得られた炭素繊維の織物は、メタクリル樹脂等のアクリル樹脂(5)で固められることにより、薄いプレート状に成形されて被覆部材(2)となる。この被覆部材(2)の厚みは特に限定されないが、強度と軽量性のバランスの観点から0.3〜1.0mmの厚みとすることが好ましい。
織物の固化のためにアクリル樹脂を使用するのは、アクリル樹脂は優れた機械的強度及び耐候性を有し、しかも透明性及び光沢性に優れていることから、パネルの美観を向上させることもできるためである。
【0011】
また、本発明においては、図3及び図4に示す如く、被覆部材(2)をガラス、合成樹脂、セラミックのいずれかの材料から形成された多数の微小球(4)から形成する構成を採用することも可能である。
合成樹脂としては、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂等が使用されるが特に限定されない。また、セラミックとしては、例えばアルミナ、ジルコニウム等が使用されるが特に限定はされない。
微小球(4)の直径は、例えば0.3〜1.0mmとされ、このような微小径を有する多数の微小球(4)を互いに密着して並べて、メタクリル樹脂等のアクリル樹脂(5)で固められることにより、薄いプレート状に成形されて被覆部材(2)となる。この被覆部材(2)の厚みは特に限定されないが、強度と軽量性のバランスの観点から0.3〜1.0mmの厚みとすることが好ましい。
【0012】
また、本発明においては、図5に示す如く、被覆部材(2)をチタン製プレート(7)から形成する構成を採用することも可能である。
チタン製プレート(7)の厚みは、強度と軽量性のバランスの観点から例えば0.3〜1.0mmとされる。
【0013】
このようにして形成された被覆部材(2)は、上記したパネル部材(1)の凹部(3)に固着される。
固着の方法については、適当な接着剤を用いた接着など、両部材を強固に一体化することができる方法であれば特に限定されないが、本発明においては、パネル部材(1)の凹部(3)に被覆部材(2)を接着した状態で或いは接着せずに載せただけの状態で、パネルの表面を光硬化性樹脂(6)によりコーティングすることにより、パネル部材(1)と被覆部材(2)とを固着一体化する方法が好適に採用できる。
【0014】
光硬化性樹脂(6)としては、例えば、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート等のラジカル重合系樹脂、光重合付加型のポリチオール・ポリエン系樹脂、光カチオン重合型樹脂等が使用される。
このように、光硬化性樹脂(6)によりパネル表面をコーティングすることにより、日光照射による紫外線、可視光線、赤外線に対して強く、また水分に対しても強い建築用パネルを得ることができる。
【0015】
また、本発明においては、光硬化性樹脂(6)によるコーティングに代えて、フッ素樹脂によるコーティング又はセラミックによるコーティングを施すことも可能である。
フッ素樹脂によるコーティングを施した場合、耐食性、耐候性等において優れたものとなる。
セラミックによるコーティングを施す場合、使用されるセラミックの種類としては、有機性、無機性など特に限定されないが、例えばアルミナ、酸化ジルコニウム等が用いられる。
【0016】
【試験例】
本発明において、コーティング材料として用いられる光硬化性樹脂の特性についての試験結果を以下に示す。尚、以下の試験において使用した光硬化性樹脂の種類はいずれも同一のもの(SS−202:商品名)である。
1.引っ張り試験
光硬化性樹脂に紫外線を照射して硬化させた試料(長さ50mm、幅10mm)を5種類の厚みで作成し、引っ張り試験機を用いて引っ張り速度10mm/min.にて試料の引っ張り強度を測定した。
結果を表1に示す。尚、表中、T及びTMは破断時における引っ張り応力(抗張力)であり、Tは見掛け応力、TMは真応力である。また、伸びの値は破断時の伸び量である。
【表1】
【0017】
2.表面張力試験
未硬化の光硬化性樹脂を入れたビーカー内にガラス板を浸した後、樹脂液面と直角に引き上げることにより、樹脂の表面張力を測定した結果、46.022mN/mであった。
【0018】
3.熱機械分析(TMA)
試料台の表面に光硬化性樹脂を塗布した後、紫外線を照射することにより硬化して塗膜(厚み80μm)を形成し、この塗膜の静的Tg(軟化点)をTMA(Thermomechanical Analysis)の押し込み法を用いて測定した。
TMAの押し込み法とは、塗膜に一定の荷重でプローブを押し付け、温度変化させたときのプローブ位置の変化を測定するものであり、高温になると塗膜がガラス状態からゴム状態に変化して荷重に耐えられなくなって、プローブが塗膜中に入り込むので、このときの変極点の温度を静的Tgとして測定する。
測定により得られたグラフを図6に示す。グラフから静的Tgを求めた結果、41.0℃であった。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明は、金属又は合成樹脂からなるパネル本体の表面に、炭素繊維の織物からなる被覆部材が固着されてなることを特徴とする高耐候性建築用内外装パネルであるから、パネル本体は加工性に優れて安価な材料から構成することができて、表面は優れた耐食性、耐候性、表面硬度、強度を有し且つ軽量である炭素繊維の織物から構成されるので、従来の建築用パネルに代わる、耐食性、耐候性、軽量性、強度、加工性等の外装材や内装材に要求される特性の大部分を満たす建築用内外装パネルが得られる。
請求項2に係る発明は、金属又は合成樹脂からなるパネル本体の表面に、ガラス、合成樹脂、セラミックのいずれかから形成された多数の微小球からなる被覆部材が固着されてなることを特徴とする高耐候性建築用内外装パネルであるから、パネル本体は加工性に優れて安価な材料から構成することができ、表面は優れた耐食性、耐候性、表面硬度、強度、装飾性を有する微小球から構成することができるので、従来の建築用パネルに代わる、耐食性、耐候性、強度、加工性、装飾性等の外装材や内装材に要求される特性の大部分を満たす建築用内外装パネルが得られる。
【0020】
請求項3に係る発明は、金属又は合成樹脂からなるパネル本体の表面に、チタン製プレートからなる被覆部材が固着されてなることを特徴とする高耐候性建築用内外装パネルであるから、パネル本体は加工性に優れて安価な材料から構成することができ、表面は優れた耐食性、耐候性、表面硬度、強度、装飾性を有するチタン製プレートから構成することができるので、従来の建築用パネルに代わる、耐食性、耐候性、強度、加工性、装飾性等の外装材や内装材に要求される特性の大部分を満たす建築用内外装パネルが得られる。
請求項4に係る発明は、前記被覆部材が、炭素繊維の織物、チタン製プレート、又はガラス、合成樹脂、セラミックのいずれかから形成された多数の微小球をアクリル樹脂で固化することにより形成されてなることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネルであるから、被覆部材の表面を強固に保護することができ、しかも美しい外観が得られる。
【0021】
請求項5に係る発明は、表面が光硬化性樹脂によりコーティングされてなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネルであるから、日光や水分に強い耐候性に特に優れた外装材として特に好適に使用できる建築用内外装パネルが得られる。
請求項6に係る発明は、表面がセラミックによりコーティングされてなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネルであるから、耐食性や強度に特に優れた建築用内外装パネルが得られる。
請求項7に係る発明は、表面がフッ素樹脂によりコーティングされてなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネルであるから、耐食性に特に優れた建築用内外装パネルが得られる。
請求項8に係る発明は、前記パネル本体が、アルマイト処理されたアルミニウムからなることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネルであるから、パネル本体が軽量で錆びにくいものとなり、被覆材料と組み合わせることで、非常に優れた建築用内外装パネルが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る建築用パネルの平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明の別の実施形態に係る建築用パネルの平面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】本発明の別の実施形態に係る建築用パネルの断面図である。
【図6】本発明にて使用される光硬化性樹脂の熱機械分析(TMA)の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 パネル本体
2 被覆部材
2a 炭素繊維
3 凹部
4 微小球
5 アクリル樹脂
6 光硬化性樹脂
7 チタン製プレート
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の内装材や外装材に要求される耐候性や機械的強度等の各種特性において優れた高耐候性建築用内外装パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築物の外装材や内装材用のパネルとしては、木製、金属製、合成樹脂製、ガラス製、セラミック製など様々な材料からなるものが存在している。
これらの材料は、それぞれ優れた特性を有している反面、欠点や問題も有していた。例えば、木製のパネルは腐食し易い上に耐熱性が低いという欠点があり、金属製のパネルは水分により錆びてしまう上に重いという欠点があった。また、合成樹脂製のパネルは耐熱性及び強度の面で問題があり、ガラス製及びセラミック製のパネルは耐衝撃性や加工性等の面で問題があった。
このように、従来のパネルはその特性において一長一短であって、耐食性、耐候性、軽量性、強度、加工性等の外装材や内装材に要求される特性を全てにおいて満たすことはできなかった。そのため、業界においては、従来の建築用パネルに代わる高機能な新たなパネルの創出が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであって、従来の建築用パネルに代わる、耐食性、耐候性、軽量性、強度、加工性等の外装材や内装材に要求される特性の大部分を満たすような建築用パネル、特に耐候性に優れた建築用内外装パネルを提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、金属又は合成樹脂からなるパネル本体の表面に、炭素繊維の織物からなる被覆部材が固着されてなることを特徴とする高耐候性建築用内外装パネルに関する。
請求項2に係る発明は、金属又は合成樹脂からなるパネル本体の表面に、ガラス、合成樹脂、セラミックのいずれかから形成された多数の微小球からなる被覆部材が固着されてなることを特徴とする高耐候性建築用内外装パネルに関する。
請求項3に係る発明は、金属又は合成樹脂からなるパネル本体の表面に、チタン製プレートからなる被覆部材が固着されてなることを特徴とする高耐候性建築用内外装パネルに関する。
請求項4に係る発明は、前記被覆部材が、炭素繊維の織物、チタン製プレート、又はガラス、合成樹脂、セラミックのいずれかから形成された多数の微小球をアクリル樹脂で固化することにより形成されてなることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネルに関する。
【0005】
請求項5に係る発明は、表面が光硬化性樹脂によりコーティングされてなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネルに関する。
請求項6に係る発明は、表面がセラミックによりコーティングされてなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネルに関する。
請求項7に係る発明は、表面がフッ素樹脂によりコーティングされてなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネルに関する。
請求項8に係る発明は、前記パネル本体が、アルマイト処理されたアルミニウムからなることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネルに関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る高耐候性建築用内外装パネル(以下、単に建築用パネルという)の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明に係る建築用パネルの平面図であり、図2は図1のA−A線断面図である。
本発明に係る建築用パネルは、図示の如く、パネル本体(1)の表面に、炭素繊維から形成された被覆部材(2)が固着されることにより構成されている。
繊維の材料として、炭素繊維を使用するのは、これらの材料が表面硬度が高く機械的強度に優れ、しかも軽量であるという優れた特性を有するためである。
【0007】
パネル本体(1)は、金属又は合成樹脂から形成された平板状の部材であって、その表面には凹部(3)が形成されている。
この凹部(3)は、被覆部材(2)が固着される部分であり、被覆部材(2)を固着した際に被覆部材(2)の表面とパネル本体(1)の表面(凹部の周囲)とが面一となるように、被覆部材(2)の大きさ及び厚みに合わせて形成されている。
尚、パネル本体(1)の形状は、通常は図示例の如く長方形とされるが、三角形や六角形等の他の形状としてもよく、特に限定されるものではない。
【0008】
パネル本体(1)を構成する金属としては、特に限定されないが、例えばアルミニウム、チタン、ジュラルミン、ステンレス等を使用することができる。中でも軽量で錆びにくく比較的安価なアルマイト処理されたアルミニウムを使用することが最も好ましい。
パネル本体(1)を構成する合成樹脂としては、特に限定されないが、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ABS樹脂等を使用することができる。中でも強度及び耐久性に優れたABS樹脂を使用することが最も好ましい。
【0009】
被覆部材(2)は、図中の円内拡大図に示す如く、炭素繊維(2a)が縦横に織られた織物から構成されている。織物の形態としては、平織り、斜文織り(綾織り)、繻子織りなどの任意の形態を採用することができるが、平滑で丈夫な面が得られる平織りが好ましい。また、経糸が一重で緯糸が二重の緯二重組織や、経糸が二重で緯糸が一重の経二重組織などの重ね組織の形態とする構成も好適に採用できる。
【0010】
上記したように得られた炭素繊維の織物は、メタクリル樹脂等のアクリル樹脂(5)で固められることにより、薄いプレート状に成形されて被覆部材(2)となる。この被覆部材(2)の厚みは特に限定されないが、強度と軽量性のバランスの観点から0.3〜1.0mmの厚みとすることが好ましい。
織物の固化のためにアクリル樹脂を使用するのは、アクリル樹脂は優れた機械的強度及び耐候性を有し、しかも透明性及び光沢性に優れていることから、パネルの美観を向上させることもできるためである。
【0011】
また、本発明においては、図3及び図4に示す如く、被覆部材(2)をガラス、合成樹脂、セラミックのいずれかの材料から形成された多数の微小球(4)から形成する構成を採用することも可能である。
合成樹脂としては、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂等が使用されるが特に限定されない。また、セラミックとしては、例えばアルミナ、ジルコニウム等が使用されるが特に限定はされない。
微小球(4)の直径は、例えば0.3〜1.0mmとされ、このような微小径を有する多数の微小球(4)を互いに密着して並べて、メタクリル樹脂等のアクリル樹脂(5)で固められることにより、薄いプレート状に成形されて被覆部材(2)となる。この被覆部材(2)の厚みは特に限定されないが、強度と軽量性のバランスの観点から0.3〜1.0mmの厚みとすることが好ましい。
【0012】
また、本発明においては、図5に示す如く、被覆部材(2)をチタン製プレート(7)から形成する構成を採用することも可能である。
チタン製プレート(7)の厚みは、強度と軽量性のバランスの観点から例えば0.3〜1.0mmとされる。
【0013】
このようにして形成された被覆部材(2)は、上記したパネル部材(1)の凹部(3)に固着される。
固着の方法については、適当な接着剤を用いた接着など、両部材を強固に一体化することができる方法であれば特に限定されないが、本発明においては、パネル部材(1)の凹部(3)に被覆部材(2)を接着した状態で或いは接着せずに載せただけの状態で、パネルの表面を光硬化性樹脂(6)によりコーティングすることにより、パネル部材(1)と被覆部材(2)とを固着一体化する方法が好適に採用できる。
【0014】
光硬化性樹脂(6)としては、例えば、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート等のラジカル重合系樹脂、光重合付加型のポリチオール・ポリエン系樹脂、光カチオン重合型樹脂等が使用される。
このように、光硬化性樹脂(6)によりパネル表面をコーティングすることにより、日光照射による紫外線、可視光線、赤外線に対して強く、また水分に対しても強い建築用パネルを得ることができる。
【0015】
また、本発明においては、光硬化性樹脂(6)によるコーティングに代えて、フッ素樹脂によるコーティング又はセラミックによるコーティングを施すことも可能である。
フッ素樹脂によるコーティングを施した場合、耐食性、耐候性等において優れたものとなる。
セラミックによるコーティングを施す場合、使用されるセラミックの種類としては、有機性、無機性など特に限定されないが、例えばアルミナ、酸化ジルコニウム等が用いられる。
【0016】
【試験例】
本発明において、コーティング材料として用いられる光硬化性樹脂の特性についての試験結果を以下に示す。尚、以下の試験において使用した光硬化性樹脂の種類はいずれも同一のもの(SS−202:商品名)である。
1.引っ張り試験
光硬化性樹脂に紫外線を照射して硬化させた試料(長さ50mm、幅10mm)を5種類の厚みで作成し、引っ張り試験機を用いて引っ張り速度10mm/min.にて試料の引っ張り強度を測定した。
結果を表1に示す。尚、表中、T及びTMは破断時における引っ張り応力(抗張力)であり、Tは見掛け応力、TMは真応力である。また、伸びの値は破断時の伸び量である。
【表1】
【0017】
2.表面張力試験
未硬化の光硬化性樹脂を入れたビーカー内にガラス板を浸した後、樹脂液面と直角に引き上げることにより、樹脂の表面張力を測定した結果、46.022mN/mであった。
【0018】
3.熱機械分析(TMA)
試料台の表面に光硬化性樹脂を塗布した後、紫外線を照射することにより硬化して塗膜(厚み80μm)を形成し、この塗膜の静的Tg(軟化点)をTMA(Thermomechanical Analysis)の押し込み法を用いて測定した。
TMAの押し込み法とは、塗膜に一定の荷重でプローブを押し付け、温度変化させたときのプローブ位置の変化を測定するものであり、高温になると塗膜がガラス状態からゴム状態に変化して荷重に耐えられなくなって、プローブが塗膜中に入り込むので、このときの変極点の温度を静的Tgとして測定する。
測定により得られたグラフを図6に示す。グラフから静的Tgを求めた結果、41.0℃であった。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明は、金属又は合成樹脂からなるパネル本体の表面に、炭素繊維の織物からなる被覆部材が固着されてなることを特徴とする高耐候性建築用内外装パネルであるから、パネル本体は加工性に優れて安価な材料から構成することができて、表面は優れた耐食性、耐候性、表面硬度、強度を有し且つ軽量である炭素繊維の織物から構成されるので、従来の建築用パネルに代わる、耐食性、耐候性、軽量性、強度、加工性等の外装材や内装材に要求される特性の大部分を満たす建築用内外装パネルが得られる。
請求項2に係る発明は、金属又は合成樹脂からなるパネル本体の表面に、ガラス、合成樹脂、セラミックのいずれかから形成された多数の微小球からなる被覆部材が固着されてなることを特徴とする高耐候性建築用内外装パネルであるから、パネル本体は加工性に優れて安価な材料から構成することができ、表面は優れた耐食性、耐候性、表面硬度、強度、装飾性を有する微小球から構成することができるので、従来の建築用パネルに代わる、耐食性、耐候性、強度、加工性、装飾性等の外装材や内装材に要求される特性の大部分を満たす建築用内外装パネルが得られる。
【0020】
請求項3に係る発明は、金属又は合成樹脂からなるパネル本体の表面に、チタン製プレートからなる被覆部材が固着されてなることを特徴とする高耐候性建築用内外装パネルであるから、パネル本体は加工性に優れて安価な材料から構成することができ、表面は優れた耐食性、耐候性、表面硬度、強度、装飾性を有するチタン製プレートから構成することができるので、従来の建築用パネルに代わる、耐食性、耐候性、強度、加工性、装飾性等の外装材や内装材に要求される特性の大部分を満たす建築用内外装パネルが得られる。
請求項4に係る発明は、前記被覆部材が、炭素繊維の織物、チタン製プレート、又はガラス、合成樹脂、セラミックのいずれかから形成された多数の微小球をアクリル樹脂で固化することにより形成されてなることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネルであるから、被覆部材の表面を強固に保護することができ、しかも美しい外観が得られる。
【0021】
請求項5に係る発明は、表面が光硬化性樹脂によりコーティングされてなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネルであるから、日光や水分に強い耐候性に特に優れた外装材として特に好適に使用できる建築用内外装パネルが得られる。
請求項6に係る発明は、表面がセラミックによりコーティングされてなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネルであるから、耐食性や強度に特に優れた建築用内外装パネルが得られる。
請求項7に係る発明は、表面がフッ素樹脂によりコーティングされてなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネルであるから、耐食性に特に優れた建築用内外装パネルが得られる。
請求項8に係る発明は、前記パネル本体が、アルマイト処理されたアルミニウムからなることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネルであるから、パネル本体が軽量で錆びにくいものとなり、被覆材料と組み合わせることで、非常に優れた建築用内外装パネルが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る建築用パネルの平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明の別の実施形態に係る建築用パネルの平面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】本発明の別の実施形態に係る建築用パネルの断面図である。
【図6】本発明にて使用される光硬化性樹脂の熱機械分析(TMA)の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 パネル本体
2 被覆部材
2a 炭素繊維
3 凹部
4 微小球
5 アクリル樹脂
6 光硬化性樹脂
7 チタン製プレート
Claims (8)
- 金属又は合成樹脂からなるパネル本体の表面に、炭素繊維の織物からなる被覆部材が固着されてなることを特徴とする高耐候性建築用内外装パネル。
- 金属又は合成樹脂からなるパネル本体の表面に、ガラス、合成樹脂、セラミックのいずれかから形成された多数の微小球からなる被覆部材が固着されてなることを特徴とする高耐候性建築用内外装パネル。
- 金属又は合成樹脂からなるパネル本体の表面に、チタン製プレートからなる被覆部材が固着されてなることを特徴とする高耐候性建築用内外装パネル。
- 前記被覆部材が、炭素繊維の織物、チタン製プレート、又はガラス、合成樹脂、セラミックのいずれかから形成された多数の微小球をアクリル樹脂で固化することにより形成されてなることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネル。
- 表面が光硬化性樹脂によりコーティングされてなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネル。
- 表面がセラミックによりコーティングされてなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネル。
- 表面がフッ素樹脂によりコーティングされてなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネル。
- 前記パネル本体が、アルマイト処理されたアルミニウムからなることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の高耐候性建築用内外装パネル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002163205A JP2004011186A (ja) | 2002-06-04 | 2002-06-04 | 高耐候性建築用内外装パネル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002163205A JP2004011186A (ja) | 2002-06-04 | 2002-06-04 | 高耐候性建築用内外装パネル |
Publications (1)
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---|---|
JP2004011186A true JP2004011186A (ja) | 2004-01-15 |
Family
ID=30431745
Family Applications (1)
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JP2002163205A Pending JP2004011186A (ja) | 2002-06-04 | 2002-06-04 | 高耐候性建築用内外装パネル |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004011186A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7618724B2 (en) | 2004-04-13 | 2009-11-17 | Lg Chem, Ltd. | Electrochemical device comprising electrode lead having protection device |
-
2002
- 2002-06-04 JP JP2002163205A patent/JP2004011186A/ja active Pending
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US7618724B2 (en) | 2004-04-13 | 2009-11-17 | Lg Chem, Ltd. | Electrochemical device comprising electrode lead having protection device |
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