JP2004000186A - 細胞外/上皮増殖因子様タンパク質 - Google Patents

細胞外/上皮増殖因子様タンパク質 Download PDF

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Abstract

【課題】細胞外/上皮増殖因子ポリペプチドおよびこれらをコードするポリヌクレオチド、組換え技術によりこれらを産生する手順、ならびにDNA合成の誘導、創傷治癒の刺激、神経および眼球障害の処置、腎臓および肝臓障害、および胚形成、血管形成の刺激を含むポリペプチドの治療的使用、これらに対するアンタゴニスト、および新生物形成を処置する治療薬としての使用、本発明のポリペプチドの変化レベル、およびこれらをコードする核酸配列における変異を検出するための診断アッセイを提供する。
【解決手段】以下からなる群から選択されるメンバーと少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチド:特定のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;このポリヌクレオチドに相補的であるポリヌクレオチド;および上記ポリヌクレオチドの少なくとも15塩基を含むポリヌクレオチド。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新たに同定されたポリヌクレオチド、このようなポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド、このようなポリヌクレオチドおよびポリペプチドの使用、ならびにこのようなポリヌクレオチドおよびポリペプチドの産生に関する。本発明のポリペプチドは、ヒト細胞外タンパク質様/上皮増殖因子様タンパク質として推定的に同定されており、このタンパク質は本明細書中以下で「EEGF」と呼ばれる。本発明はまた、このようなポリペプチドの作用を阻害することに関する。
【0002】
【従来の技術】
細胞増殖および分化は、様々な刺激性、阻害性、ならびに相乗性の因子およびホルモンにより、開始、促進、維持および調節されるようである。細胞の恒常性機構の変化および/または破壊は、新生物形成を含む増殖関連疾患の基礎的な原因と考えられる。増殖調節因子は、シグナル伝達、細胞連絡、細胞増殖および細胞発生、胚発生、免疫応答、造血細胞の生存および分化、炎症、組織修復、および再構築、アテローム性動脈硬化症ならびにガンを含む、広く多様な病理学的および生理学的な過程に関連する。他の因子の中でもとりわけ、上皮増殖因子(EGF)、トランスフォーミング増殖因子α(TGFα)、βセルリン(betacellulin)、アンフィレギュリン(amphiregulin)、およびワクシニア増殖因子は、正常な生理学的条件下または外因性刺激への応答のいずれかにおいて、多様な細胞型によって産生される、増殖および分化調節性タンパク質であり、そしてこれらはEGFファミリーのメンバーである。
【0003】
これらのペプチド増殖因子は、自己分泌機構およびパラ分泌機構を通して上皮および表皮の細胞に影響を及ぼす。これらはまた、皮膚、角膜および胃腸管のような組織における正常な創傷治癒において重要な役割を担い、そしてこれらは全て、3つの鎖内ジスルフィド結合の保存された配置を含む、実質的なアミノ酸配列相同性を共有する。さらに、このファミリーの全ての因子は、分子量170,000の膜貫通糖タンパク質レセプターに結合し、そしてレセプターの細胞質ドメインにおけるチロシンキナーゼ活性を活性化する(Buhrow,S.A.ら,J.Bio.Chem.,258:7824−7826(1983))。
【0004】
レセプターは、皮膚ケラチノサイト、線維芽細胞、血管内皮細胞、および胃腸管(GI)の上皮細胞を含む多くの型の細胞により発現される。これらのペプチド増殖因子は、血小板、ケラチノサイト、および活性化マクロファージを含む創傷治癒に関与する幾つかの細胞によって合成される。これらの増殖因子はまた、特定の細胞の増殖および分化の刺激(例えば、新生物形成)ならびに他のタイプの細胞の阻害の両方に関与している。
【0005】
βセルリンは、32キロダルトンの糖タンパク質であり、より大きな膜貫通前駆体からタンパク質分解切断によりプロセシングされるようである。βセルリンのカルボキシル末端ドメインは、ラットのトランスフォーミング増殖因子αのカルボキシル末端ドメインと50%配列類似性を有する。βセルリンは、網膜色素上皮細胞および血管平滑筋細胞についての強力な分裂促進因子である。
【0006】
アンフィレギュリンは、新生物形成細胞におけるDNA合成に強力な阻害活性を示すが、それにもかかわらず特定の正常細胞の増殖を促進する、二機能性細胞増殖調節因子である。アンフィレギュリンの広く多様な使用が挙げられており、これは創傷およびガンの処置を含む。例えば、アンフィレギュリンは、インビトロにおいて上皮起源のいくつかのヒトガン細胞株に強力な抗増殖効果を有する。アンフィレギュリンはまた、米国特許出願第5,115,096号に示されるように、ヒト包皮線維芽細胞の増殖を誘導する。
【0007】
TGFαは多面的な生物学的効果を有する。TGFαの特定のメンバーの産物は、多数の腫瘍形成性に形質転換された線維芽細胞(Ciardielloら、J.Cell.Biochem.,42:45−57(1990))によって、ならびに腎臓ガン、乳ガン、および扁平上皮ガン、メラノーマ、およびグリア芽細胞腫を含む種々の腫瘍(Derynck,R.ら、Cancer Res.,47:707−712(1987))によって合成される。トランスジェニックマウス(腫瘍細胞が高レベルのTGFαを発現する)の分析により、TGFαの発現が、正常細胞がその腫瘍形成性対応物への転換における寄与因子であり得るという、直接的な証拠がある。マウスの系統およびTGFα発現を調節するプロモーターの選択に依存して、TGFαのトランスジェニック動物は多様な新生物形成障害を示す(Sandgrenら、Cell,61:1121−1135(1990))。
【0008】
TGFαはまた、正常な胚発生および成体生理機能において役割を果たす(Derynck,R.Adv.Cancer Res.,58:27−5(1992))。TGFαは皮膚、脳、胃腸粘膜、および活性化マクロファージを含む多くの組織において発現されている。従って、TGFαは上皮細胞の増殖の制御において重要な因子であり、創傷治癒において役割を有する。TGFαはまた、血管形成性であることが判明している(Schreiberら、Science,232:1250−1253(1986))。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明のポリペプチドは、細胞外/上皮増殖因子として推定的に同定されている。この同定は、心臓組織に豊富であるEGF様ドメインを伴った分泌タンパク質であるヒト細胞外タンパク質とのアミノ酸配列相同性の結果として得られている。
【0010】
本発明の1つの局面によれば、新規の成熟ポリペプチド、ならびに生物学的に活性な、および診断的または治療的に有用なそのフラグメント、アナログおよび誘導体が提供される。本発明のポリペプチドはヒト起源である。
【0011】
本発明の別の局面によれば、本発明のポリペプチドをコードする単離された核酸分子が提供され、この核酸分子は、mRNA、cDNA、ゲノムDNA、ならびにそのアナログ、および生物学的に活性な、および診断的または治療的に有用なフラグメントを含む。
【0012】
本発明の別の局面によれば、ATCC寄託番号第97285号に含まれるヒトcDNAにより発現される成熟ポリペプチドをコードする単離された核酸分子が提供される。
【0013】
本発明のなおさらなる局面によれば、本発明のポリペプチドをコードする核酸配列を含む組換え原核生物宿主細胞および/または真核生物宿主細胞を培養する工程を含む組換え技術により、このようなポリペプチドを産生するためのプロセスが提供される。
【0014】
本発明のなおさらなる局面によれば、このようなポリペプチド、またはこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、治療目的(例えば、血管平滑筋細胞増殖の調節、マーファン症候群の処置、創傷治癒の刺激、外傷またはAIDS痴呆後の正常な神経機能の修復、眼の障害の処置、腎臓および肝臓の障害の処置、毛包発達の促進、インビボおよびインビトロでの多様な表皮細胞および上皮細胞の増殖および分化の刺激、ならびに火傷、潰瘍、および角膜切開の処置、胚形成の刺激)のために利用するためのプロセスが提供される。
【0015】
本発明のなおさらなる局面によれば、本発明の核酸配列に特異的にハイブリダイズするのに充分な長さの核酸分子を含む核酸プローブもまた提供される。
【0016】
本発明のなおさらなる局面によれば、このようなポリペプチドに対する抗体が提供される。
【0017】
本発明のなおさらなる局面によれば、本発明のポリペプチドに対するアゴニストが提供される。
【0018】
本発明のなお別の局面によれば、このようなポリペプチドに対するアンタゴニストが提供され、これは、例えば、角膜炎症、新生物形成(例えば、腫瘍およびガン)および乾癬に対する処置において、このようなポリペプチドの作用を阻害するために使用され得る。
【0019】
本発明のさらに別の局面によれば、本発明のポリペプチドの過剰発現およびこのようなポリペプチドをコードする核酸配列における変異に関連した疾患を検出するための診断アッセイが提供される。
【0020】
本発明のなおさらなる局面によれば、科学的研究、DNAの合成、およびDNAベクターの製造に関連するインビトロ目的のため、このようなポリペプチド、またはこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを利用するためのプロセスが提供される。
【0021】
本発明のこれらおよび他の局面は、本明細書中の教示から当業者に明らかであるはずである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
1つの局面において、本発明は、以下からなる群から選択されるメンバーと少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチド:
(a)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(b)(a)のポリヌクレオチドに相補的であるポリヌクレオチド;および
(c)(a)または(b)のポリヌクレオチドの少なくとも15塩基を含むポリヌクレオチド、
を提供する。
【0023】
好ましい実施態様において、上記ポリヌクレオチドは、DNAであり得る。
【0024】
好ましい実施態様において、上記ポリヌクレオチドは、RNAであり得る。
【0025】
好ましい実施態様において、本発明は、配列番号1のヌクレオチド配列を含む、上記ポリヌクレオチドを提供する。
【0026】
好ましい実施態様において、本発明は、配列番号1のヌクレオチド38〜ヌクレオチド1228を含む、上記ポリヌクレオチドを提供する。
【0027】
別の局面において、本発明は、以下からなる群から選択されるメンバーと少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチド:
(a)ATCC寄託番号97285号に含まれるヒトcDNAにより発現された成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(b)(a)のポリヌクレオチドに相補的であるポリヌクレオチド;および
(c)(a)または(b)のポリヌクレオチドの少なくとも15塩基を含むポリヌクレオチド、
を提供する。
【0028】
別の局面において、本発明は、上記DNAを含むベクターを提供する。
【0029】
別の局面において、本発明は、上記ベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0030】
別の局面において、本発明は、上記宿主細胞から上記DNAによってコードされるポリペプチドを発現させる工程を包含する、ポリペプチドを産生するための方法を提供する。
【0031】
別の局面において、本発明は、上記ベクターで遺伝的操作した細胞を含むポリペプチドの発現が可能な細胞を産生するための方法を提供する。
【0032】
別の局面において、本発明は、配列番号2のアミノ酸配列に少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。
【0033】
別の局面において、本発明は、上記ポリペプチドに対する抗体を提供する。
【0034】
別の局面において、本発明は、上記ポリペプチドに対するアンタゴニストを提供する。
【0035】
別の局面において、本発明は、上記ポリペプチドの治療的有効量をこの患者に投与する工程を包含する、EEGFの必要性を有する患者の処置のための方法を提供する。
【0036】
別の局面において、本発明は、上記アンタゴニストの治療的有効量をこの患者に投与する工程を包含する、EEGFを阻害する必要性を有する患者の処置のための方法を提供する。
【0037】
好ましい実施態様において、本発明は、上記ポリペプチドの治療的有効量が、上記患者にこのポリペプチドをコードするDNAを提供し、そしてインビボでこのポリペプチドを発現させることによって投与される、上記方法であり得る。
【0038】
別の局面において、本発明は、上記ポリペプチドに対するアンタゴニストとして活性である化合物を同定するための方法であって:
EEGFレセプターを発現する細胞タイプを含む反応混合物とスクリーニングされるべき化合物とを接触させる工程;
この化合物が有効なアンタゴニストであるかどうかを同定するために、この化合物が結合した後のこのレセプターからシグナル発生が起こらないことを検出する工程、
を包含する、方法を提供する。
【0039】
別の局面において、本発明は、上記ポリヌクレオチドにおける変異を検出する工程を包含する、疾患または疾患に対する感受性を診断するための方法を提供する。
【0040】
別の局面において、本発明は、宿主由来の試料中の上記ポリペプチドの存在について分析する工程を包含する、診断方法を提供する。
【0041】
好ましい実施態様において、本発明は、異種ポリヌクレオチドに融合される、上記ポリヌクレオチドを提供する。
【0042】
さらに好ましい実施態様において、上記異種ポリヌクレオチドは、異種ポリペプチドをコードし得る。
【0043】
さらに好ましい実施態様において、上記異種ポリペプチドは、前記ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドに融合され得る。
【0044】
さらに好ましい実施態様において、本発明は、上記ポリヌクレオチドが調節制御配列に作動可能に連結される、上記ベクターを提供する。
【0045】
さらに好ましい実施態様において、本発明は、前記細胞が原核細胞、真核細胞、動物細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、真菌細胞、COS細胞、CHO細胞、またはE.coli細胞である、上記宿主細胞を提供し得る。
【0046】
さらに好ましい実施態様において、上記ポリペプチドは、標識されるか、改変されるか、またはポリエチレングリコールに融合され得る。
【0047】
さらに好ましい実施態様において、上記ポリペプチドは、異種ポリペプチドに融合され得る。
【0048】
さらに好ましい実施態様において、上記ポリペプチドは、N末端メチオニンを欠失し得る。
【0049】
さらに好ましい実施態様において、本発明は、上記抗体が上記ポリペプチドに特異的に結合する、上記抗体を提供する。
【0050】
さらに好ましい実施態様において、上記抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはFabフラグメントであり得る。
【0051】
別の局面において、本発明は、上記ポリヌクレオチドならびにキャリアを含有する組成物を提供する。
【0052】
別の局面において、本発明は、上記ポリペプチドならびにキャリアを含有する組成物を提供する。
【0053】
別の局面において、本発明は、上記抗体ならびにキャリアを含有する組成物を提供する。
【0054】
別の局面において、本発明は、上記アンタゴニストおよびキャリアを含有する組成物を提供する。
【0055】
別の局面において、本発明は、医薬の調製における上記ポリヌクレオチドの使用を提供する。
【0056】
別の局面において、本発明は、医薬の調製における上記ポリペプチドの使用を提供する。
【0057】
別の局面において、本発明は、医薬の調製における上記抗体の使用を提供する。
【0058】
別の局面において、本発明は、医薬の調製における上記アンタゴニストの使用を提供する。
【0059】
【発明の実施の形態】
本発明の1つの局面によれば、図1(配列番号2)の推定アミノ酸配列を有する成熟ポリペプチドをコードする単離された核酸(ポリヌクレオチド)が提供される。
【0060】
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ヒト脳および初期の脳組織から得られ得る。本発明のポリヌクレオチドは、ヒト胎児心臓cDNAライブラリーにおいて発見された。これは特徴的なEGFドメインに相同性を有する。これは、392アミノ酸のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含む。EEGFはアミノ酸レベルでヒト細胞外タンパク質に最も高い程度の相同性を示し、392アミノ酸の範囲で45%の同一性および34%の類似性を有する。このタンパク質のノーザンブロット分析は、約2kbである転写産物を伴って、心臓組織において高レベルの発現を示す。本発明の別の局面によれば、ATCC寄託番号第97285号(アメリカンタイプカルチャーコレクション、12301 Park Lawn Drive,Rockville,Maryland 20852,USA 1995年9月26日に寄託)に含まれるヒトcDNAにより発現される成熟ポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドが提供される。寄託物は、生存可能な宿主に形質転換されている全長EEGF cDNAを含むプラスミドである。
【0061】
寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の約定の下になされている。この株は、特許の発行の際には、改変されず、かつ制約または条件を伴わずに公衆に譲渡される。これらの寄託物は、当業者に対する便宜として提供されるに過ぎず、そして米国特許法第112条の下で寄託が必要とされることを認めたわけではない。寄託物に含まれるポリヌクレオチドの配列、ならびにそれによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列は、本明細書中に参考として援用され、そして本明細書中の配列のいかなる記載とのいかなる矛盾も抑えている。寄託物を製造し、使用し、または販売するためには実施許諾が必要とされ得、そしてそのような実施許諾はこれによって与えられるわけではない。本明細書を通しての「ポリヌクレオチド」に対する参考は、上記に言及されている寄託物のDNAを含む。
【0062】
本発明のポリヌクレオチドは、RNAの形態またはDNAの形態(このDNAは、cDNA、ゲノムDNA、および合成DNAを含む)であり得る。DNAは二本鎖または一本鎖であり得、そして一本鎖の場合には、コード鎖または非コード(アンチセンス)鎖であり得る。成熟ポリペプチドをコードするコード配列は、図1(配列番号1)に示すコード配列と同一であり得、または異なったコード配列であり得、そのコード配列は、遺伝コードの重複性または縮重の結果として、図1(配列番号1)のDNAと同じ成熟ポリペプチドをコードする。
【0063】
図1(配列番号2)の成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、以下を含み得るが、これらに限定されない:成熟ポリペプチドのコード配列のみ;成熟ポリペプチドのコード配列およびさらなるコード配列(例えば、リーダー配列または分泌配列もしくはプロタンパク質配列);成熟ポリペプチドのコード配列(および必要に応じてさらなるコード配列)および非コード配列(例えば、イントロンまたは成熟ポリペプチドのコード配列の5’および/もしくは3’側の非コード配列)。
【0064】
従って、用語「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」は、ポリペプチドのコード配列のみを含むポリヌクレオチド、ならびにさらなるコード配列および/または非コード配列を含むポリヌクレオチドを含む。
【0065】
本発明はさらに、図1の推定アミノ酸配列(配列番号2)を有するポリペプチドのフラグメント、アナログ、および誘導体をコードする、本明細書中上記のポリヌクレオチドの変異体に関する。ポリヌクレオチドの変異体は、このポリヌクレオチドの天然に存在する対立遺伝子変異体、またはこのポリヌクレオチドの天然に存在しない変異体であり得る。
【0066】
従って、本発明は、図1(配列番号2)に示されるのと同じ成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ならびにこのようなポリヌクレオチドの変異体を含み、この変異体は、図1のポリペプチド(配列番号2)のフラグメント、誘導体、またはアナログをコードする。このようなヌクレオチド変異体は、欠失変異体、置換変異体、および付加または挿入変異体を含む。
【0067】
本明細書中上記に示されるように、ポリヌクレオチドは、図1に示されるコード配列(配列番号1)の天然に存在する対立遺伝子変異体であるコード配列を有し得る。当該分野に公知のように、対立遺伝子変異体は、コードされるポリペプチドの機能を実質的に変化させない1つ以上のヌクレオチドの置換、欠失、または付加を有し得る、代替形態のポリヌクレオチド配列である。
【0068】
本発明はまた、ポリヌクレオチドを含む。ここで、成熟ポリペプチドのコード配列は、宿主細胞からのポリペプチドの発現および分泌を助けるポリヌクレオチド配列(例えば、細胞からのポリペプチドの輸送を制御するための分泌配列として機能するリーダー配列)と同じリーディングフレームで融合され得る。リーダー配列を有するポリペプチドはプレタンパク質であり、そして、宿主細胞によって切断されて成熟形態のポリペプチドを形成するリーダー配列を有し得る。ポリヌクレオチドはまた、さらなる5’アミノ酸残基を加えた成熟タンパク質であるプロタンパク質をコードし得る。プロ配列を有する成熟タンパク質はプロタンパク質であり、そしてこれはそのタンパク質の不活性形態である。一旦プロ配列が切断されると、活性な成熟タンパク質が残存する。従って、例えば、本発明のポリヌクレオチドは、成熟タンパク質、またはプロ配列を有するタンパク質、またはプロ配列およびプレ配列(リーダー配列)の両方を有するタンパク質をコードし得る。
【0069】
本発明のポリヌクレオチドはまた、本発明のポリペプチドの精製を可能にするマーカー配列と、インフレームで融合したコード配列を有し得る。細菌宿主の場合、マーカー配列は、pQE−9ベクターによって供給されるヘキサ−ヒスチジンタグであり得、これはマーカーに融合した成熟ポリペプチドの精製を提供し、または、例えば、哺乳動物宿主(例えばCOS−7細胞)が使用される場合、マーカー配列は赤血球凝集素(HA)タグであり得る。HAタグは、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質由来のエピトープに対応する(Wilson,I.ら、Cell,37:767(1984))。
【0070】
用語「遺伝子」は、ポリペプチド鎖を産生することに関連したDNAのセグメントを意味し;これは、コード領域の前後の領域(リーダーおよびトレーラー(trailer))ならびに個々のコードセグメント(エキソン)の間の介在配列(イントロン)を含む。
【0071】
本発明の全長のEEGF遺伝子のフラグメントは、cDNAライブラリーのためのハイブリダイゼーションプローブとして使用されて、全長遺伝子を単離し得、そしてこの遺伝子への高い配列類似性または類似の生物学的活性を有する他の遺伝子を単離し得る。この型のプローブは、好ましくは少なくとも30塩基を有し、そして、例えば、50塩基以上を含み得る。このプローブはまた、全長転写産物および完全なEEGF遺伝子(調節領域およびプロモーター領域、エキソン、ならびにイントロンを含む)を含むゲノムクローン(単数または複数)に対応するcDNAクローンを同定するために使用され得る。スクリーニングの例は、オリゴヌクレオチドプローブを合成するために公知のDNA配列を使用することにより、この遺伝子のコード領域を単離することを含む。本発明の遺伝子の配列に相補的な配列を有する標識オリゴヌクレオチドは、ヒトcDNA、ゲノムDNA、またはmRNAのライブラリーをスクリーニングして、プローブがハイブリダイズするライブラリーのメンバーを決定するために使用される。
【0072】
本発明はさらに、配列間に少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%、そしてより好ましくは少なくとも95%の同一性が存在する場合、本明細書中上記の配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。本発明は特に、本明細書中上記のポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。本明細書中で用いられる用語「ストリンジェントな条件」は、ハイブリダイゼーションが、配列間に少なくとも95%、そして好ましくは少なくとも97%の同一性が存在する場合のみに生じることを意味する。好ましい実施態様において、本明細書中上記のポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドは、図1(配列番号1)のcDNAによりコードされる成熟ポリペプチドと実質的に同じ生物学的機能または活性のいずれかを保持するポリペプチドをコードする。
【0073】
あるいは、このポリヌクレオチドは、本発明のポリヌクレオチドにハイブリダイズする、少なくとも15塩基、好ましくは少なくとも30塩基、そしてより好ましくは少なくとも50塩基を有し得、そしてこれは、本明細書中上記のように、それに同一性を有し、そしてこれは活性を保持していても保持していなくともよい。例えば、このようなポリヌクレオチドは配列番号1のポリヌクレオチドに対するプローブ(例えば、ポリヌクレオチドの回収のため)として、または診断プローブもしくはPCRプライマーとして使用され得る。
【0074】
従って、本発明は、配列番号2のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよびそれに相補的なポリヌクレオチドに少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも90%の同一性、そしてより好ましくは少なくとも95%の同一性を有するポリヌクレオチドならびにその部分(その部分は、少なくとも15の隣接塩基、好ましくは少なくとも30の隣接塩基、そしてより好ましくは50の隣接塩基を有する)ならびにそのようなポリペプチドによってコードされるポリヌクレオチドに関する。
【0075】
本発明はさらに、図1の推定のアミノ酸配列(配列番号2)を有するポリペプチド、ならびにそのようなポリペプチドのフラグメント、アナログおよび誘導体に関する。
【0076】
用語「フラグメント」、「誘導体」、および「アナログ」は、図1のポリペプチド(配列番号2)をいう場合、そのようなポリペプチドと実質的に同じ生物学的機能または活性を保持するポリペプチドを意味する。従って、アナログは、プロタンパク質部分の切断により活性化されて活性な成熟ポリペプチドを生成し得るプロタンパク質を含む。
【0077】
本発明のポリペプチドは、組換えポリペプチド、天然のポリペプチドまたは合成ポリペプチドであり得、好ましくは組換えポリペプチドであり得る。
【0078】
図1のポリペプチド(配列番号2)のフラグメント、誘導体、またはアナログは、(i)1つ以上のアミノ酸残基が保存アミノ酸残基または非保存アミノ酸残基(好ましくは保存アミノ酸残基)で置換され、そしてこのような置換されるアミノ酸残基は遺伝的コードによりコードされ得るアミノ酸残基であってもよく、またはそうでなくてもよいもの、あるいは(ii)1つ以上のアミノ酸残基が置換基を含有するもの、あるいは(iii)成熟ポリペプチドが、ポリペプチドの半減期を増加させる化合物(例えば、ポリエチレングリコール)のような別の化合物と融合されているもの、あるいは(iv)さらなるアミノ酸が、成熟ポリペプチド(例えば、リーダーならびに分泌配列、または成熟ポリペプチドならびにプロタンパク質配列の精製のために使用される配列)に融合しているもの、であり得る。このようなフラグメント、誘導体およびアナログは、本明細書中の教示から、当業者の範囲内にあると考えられる。
【0079】
本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、好ましくは、単離された形態で提供され、そして好ましくは均質に精製される。
【0080】
用語「単離された」は、物質がその本来の環境(例えば、天然に存在する場合は、天然の環境)から取り出されていることを意味する。例えば、生きている動物の中に存在する天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されていないが、天然の系において共存する物質の幾らかまたは全てから分離されている同一のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されている。このようなポリヌクレオチドはベクターの一部であり得、そして/またはこのようなポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、組成物の一部であり得、そしてそのようなベクターまたは組成物はその天然の環境の一部ではないため、なお単離され得る。
【0081】
本発明のポリペプチドは、配列番号2のポリペプチド(特に成熟ポリペプチドにおいて)、ならびに配列番号2のポリペプチドに対して少なくとも70%の類似性(好ましくは少なくとも70%の同一性)を有するポリペプチド、およびより好ましくは配列番号2のポリペプチドに対して少なくとも90%の類似性(より好ましくは少なくとも90%の同一性)、およびさらにより好ましくは配列番号2のポリペプチドに対して少なくとも95%の類似性(さらにより好ましくは少なくとも95%の同一性)を有し、またポリペプチドが一般に少なくとも30アミノ酸、およびより好ましくは少なくとも50アミノ酸を含むポリペプチドのこのような部分を有するようなポリペプチドの部分を含む。
【0082】
当該分野で公知のように、2ポリペプチド間の「類似性」は、ポリペプチドのアミノ酸配列およびそれらの保存されたアミノ酸置換物と第2のポリペプチドの配列とを比較することにより決定される。
【0083】
本発明のポリペプチドのフラグメントまたは部分は、ペプチド合成によって相当する全長ポリペプチドを生成するために使用され得、それゆえ、このフラグメントは、全長ポリペプチドを生成するための中間体として使用され得る。本発明のポリヌクレオチドのフラグメントまたは部分は、本発明の全長ポリヌクレオチドを合成するために使用され得る。
【0084】
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、本発明のベクターを用いて遺伝子操作される宿主細胞、および組換え技術による本発明のポリペプチドの産生に関する。
【0085】
宿主細胞は、本発明のベクター(これは、例えば、クローニングベクターまたは発現ベクターであり得る)を用いて遺伝子操作される(形質導入されるか、または形質転換されるか、またはトランスフェクトされる)。ベクターは、例えば、プラスミド、ウイルス粒子、ファージなどの形態であり得る。操作された宿主細胞は、プロモーターを活性化するか、形質転換体を選択するか、または本発明の遺伝子を増幅するために適切に改変した従来の栄養培地中において培養され得る。培養条件(例えば、温度、pHなど)は、発現のために選択される宿主細胞に以前使用された条件であり、そして当業者には明らかである。
【0086】
本発明のポリヌクレオチドは、組換え技術によりポリペプチドを産生するために用いられ得る。従って、例えば、ポリヌクレオチドは、ポリペプチドを発現するための種々の発現ベクターのいずれかに含まれ得る。このようなベクターは、染色体DNA配列、非染色体DNA配列、および合成DNA配列を包含する。このようなベクターは、例えば、SV40の誘導体;細菌性プラスミド;ファージDNA;バキュロウイルス;酵母プラスミド;プラスミドおよびファージDNAの組み合わせに由来するベクター、ウイルスDNA(例えば、ワクシニア、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、および仮性狂犬病)である。しかし、宿主において複製可能で、かつ存続可能である限り、他の任意のベクターも使用され得る。
【0087】
適切なDNA配列は、種々の手順によりベクターに挿入され得る。一般に、DNA配列は、当該分野で公知の手順により適切な制限エンドヌクレアーゼ部位に挿入される。このような手順および他の手順は、当業者の範囲内であると考えられる。
【0088】
発現ベクター中のDNA配列は、適切な発現制御配列(プロモーター)に作動可能に連結され、mRNAの合成を指示する。このようなプロモーターの代表的な例としては、以下が挙げられ得る:LTRまたはSV40プロモーター、E.coli lacまたはtrp、λファージPプロモーター、および原核生物細胞または真核生物細胞あるいはそのウイルス内で遺伝子の発現を制御することが知られている他のプロモーター。発現ベクターはまた、翻訳開始のためのリボソーム結合部位および転写ターミネーターを含有する。ベクターはまた、発現を増幅するための適切な配列を含有し得る。
【0089】
さらに、発現ベクターは、好ましくは、形質転換された宿主細胞の選択のための表現型特性(例えば、真核細胞培養物についてはジヒドロ葉酸レダクターゼまたはネオマイシン耐性、あるいは例えばE.coliにおけるテトラサイクリン耐性またはアンピシリン耐性)を提供する1つ以上の選択マーカー遺伝子を含有する。
【0090】
本明細書中上記のような適切なDNA配列ならびに適切なプロモーター配列または制御配列を含有するベクターは、適切な宿主を形質転換して宿主にタンパク質を発現させるために用いられ得る。
【0091】
適切な宿主の代表的な例としては、以下が挙げられ得る:細菌細胞(例えば、E.coli、Streptomyces、Salmonella typhimurium);真菌細胞(例えば酵母);昆虫細胞(例えば、Drosophila S2およびSpodoptera Sf9);動物細胞(例えば、CHO、COSまたはBowes黒色腫);アデノウイルス;植物細胞など。適切な宿主の選択は、本明細書中の教示から当業者の範囲内であると考えられる。
【0092】
さらに詳細には、本発明はまた、上記で広範に記載した1つ以上の配列を含む組換え構築物を包含する。構築物は、ベクター(例えば、プラスミドベクターまたはウイルスベクター)を包含し、このベクターの中に、本発明の配列が正方向または逆方向に挿入されている。この実施態様の好ましい局面において、構築物はさらに、配列に作動可能に連結された調節配列(例えば、プロモーターを包含する)を含む。非常に多数の適切なベクターおよびプロモーターが当業者には公知であり、そして購入可能である。以下のベクターが例として提供される;細菌性:pQE70、pQE60、pQE−9(Qiagen)、pBS、pD10、phagescript、psiX174、pbluescript SK、pbsks、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A(Stratagene);ptrc99a、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5(Pharmacia);真核性:pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、pSG(Stratagene);pSVK3、pBPV、pMSG、pSVL(Pharmacia)。しかし、他の任意のプラスミドまたはベクターも、それらが宿主において複製可能で、かつ存続可能である限り、使用され得る。
【0093】
プロモーター領域は、CAT(クロラムフェニコールトランスフェラーゼ)ベクターまたは選択マーカーを有する他のベクターを使用して、任意の所望の遺伝子から選択され得る。2つの適切なベクターは、PKK232−8およびPCM7である。特によく知られた細菌プロモーターは、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、λP、Pおよびtrpを包含する。真核生物プロモーターは、CMV即時型、HSVチミジンキナーゼ、初期SV40および後期SV40、レトロウイルス由来のLTR、およびマウスメタロチオネインIを包含する。適切なベクターおよびプロモーターの選択は、十分に当業者のレベル内である。
【0094】
さらなる実施態様では、本発明は上記の構築物を含有する宿主細胞に関する。宿主細胞は、高等真核生物細胞(例えば、哺乳動物細胞)または下等真核生物細胞(例えば、酵母細胞)であり得るか、あるいは宿主細胞は原核生物細胞(例えば、細菌細胞)であり得る。構築物の宿主細胞への導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、またはエレクトロポレーションにより達成され得る(Davis,L.,Dibner,M.,Battey,I.,Basic Methods in Molecular Biology,(1986))。
【0095】
宿主細胞中の構築物を用いて、従来の方法で組換え配列によりコードされる遺伝子産物を産生し得る。あるいは、本発明のポリペプチドは、従来のペプチド合成機により合成的に産生され得る。
【0096】
成熟タンパク質は、哺乳動物細胞、酵母、細菌、または他の細胞中で適切なプロモーターの制御下で発現され得る。無細胞翻訳系もまた、本発明のDNA構築物に由来するRNAを使用して、このようなタンパク質を産生するために用いられ得る。原核生物宿主および真核生物宿主で使用される適切なクローニングベクターおよび発現ベクターは、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor,N.Y.,(1989)(この開示は、本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
【0097】
本発明のポリペプチドをコードするDNAの高等真核生物による転写は、ベクターにエンハンサー配列を挿入することにより増大される。エンハンサーはDNAのシス作用エレメントであり、通常は約10〜約300bpであり、これはプロモーターに作用してその転写を増大させる。例として、複製起点のbp100〜270の後期側のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルスの初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。
【0098】
一般に、組換え発現ベクターは、宿主細胞の形質転換を可能とする複製起点および選択マーカー(例えば、E.coliのアンピシリン耐性遺伝子およびS.cerevisiaeのTRP1遺伝子)、ならびに下流の構造配列の転写を指示する高発現遺伝子由来のプロモーターを含有する。このようなプロモーターは、解糖酵素(例えば、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK))、α因子、酸性ホスファターゼ、または熱ショックタンパク質などをコードするオペロンに由来し得る。異種構造配列は、翻訳開始配列および翻訳終止配列、および好ましくは翻訳されたタンパク質のペリプラズム空間または細胞外の培地への分泌を指示し得るリーダー配列と適切な相内で組立てられる。必要に応じて、異種配列は、所望の特徴(例えば、発現された組換え産物の安定化または簡略化された精製)を与えるN末端同定ペプチドを含む融合タンパク質をコードし得る。
【0099】
細菌の使用に有用な発現ベクターは、機能的なプロモーターと作動可能な読み取り相で、適切な翻訳開始シグナルおよび翻訳終止シグナルと共に所望のタンパク質をコードする構造DNA配列を挿入することにより構築される。ベクターは、1つ以上の表現型選択マーカー、およびベクターの維持を確実にし、かつ所望により宿主内での増幅を提供するための複製起点を含有する。形質転換のために適切な原核生物宿主は、E.coli、Bacillus subtilis、Salmonella typhimurium、ならびにPseudomonas属、Streptomyces属、およびStaphylococcus属内の種々の種を包含するが、他の種もまた選択対象として用いられ得る。
【0100】
代表的な、しかし限定しない例として、細菌の使用に有用な発現ベクターは、周知のクローニングベクターpBR322(ATCC 37017)の遺伝的エレメントを含む市販のプラスミドに由来する選択マーカーおよび細菌性の複製起点を含有し得る。このような市販のベクターは、例えば、pKK223−3(Pharmacia Fine Chemicals,Uppsala,Sweden)およびGEM1(Promega Biotec,Madison,WI,USA)を含む。これらのpBR322「骨格」部分は、適切なプロモーターおよび発現されるべき構造配列と組み合わされる。
【0101】
適切な宿主株の形質転換および適切な細胞密度までの宿主株の増殖に続いて、選択されたプロモーターは適切な手段(例えば、温度シフトまたは化学的誘導)により誘導され、そして細胞はさらなる期間培養される。
【0102】
細胞は、代表的には遠心分離により収集され、物理的手段または化学的手段により破砕され、そして得られた粗抽出物はさらなる精製のために保持される。
【0103】
タンパク質の発現において用いられる微生物細胞は、凍結融解サイクル、超音波処理、機械的破砕、または細胞溶解剤の使用を包含する任意の便利な方法により破砕され得る。このような方法は当業者に周知である。
【0104】
種々の哺乳動物細胞の培養系もまた、組換えタンパク質を発現するために用いられ得る。哺乳動物発現系の例には、Gluzman,Cell,23:175(1981)に記載されるサル腎臓線維芽細胞のCOS−7株、および適合性のベクターを発現し得る他の細胞株(例えば、C127、3T3、CHO、HeLa、およびBHK細胞株)が含まれる。哺乳動物発現ベクターは、複製起点、適切なプロモーターおよびエンハンサー、ならびに任意の必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナー部位およびスプライスアクセプター部位、転写終結配列、および5’フランキング非転写配列をまた含有する。SV40スプライス部位、およびポリアデニル化部位に由来するDNA配列は、必要な非転写遺伝的エレメントを提供するために使用され得る。
【0105】
ポリペプチドは、以下を含む方法により組換え細胞培養物から回収され、そして精製され得る:硫安沈澱またはエタノール沈澱、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水的相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィー。必要に応じて、タンパク質の再折りたたみ(refolding)工程が、成熟タンパク質の配置を完全にするために使用され得る。最終的に、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が、最終的な精製工程に用いられ得る。
【0106】
本発明のポリペプチドは、天然の精製された産物、または化学合成手順の産物であり得るか、あるいは原核生物宿主または真核生物宿主(例えば、培養物中の細菌、酵母、高等植物、昆虫、および哺乳動物細胞)から組換え技術により産生され得る。組換え産生手順に用いられる宿主に依存して、本発明のポリペプチドは、グリコシル化され得るか、またはグリコシル化され得ない。本発明のポリペプチドはまた、最初のメチオニンアミノ酸残基を含み得る。
【0107】
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、ヒト疾患の処置および診断薬の発見のための研究用試薬および物質として使用され得る。
【0108】
本発明のポリペプチドは、血管平滑筋増殖を調節するために使用され得る。
【0109】
本発明のポリペプチドはまた、レセプターの特徴付けのために使用され得る。EGFファミリーのレセプターは現在、EGFR1、EGFR2、EGFR3、およびEGFR4と称される4つのEGFレセプターを含む。EGFR2レセプターはまた、ERB−2と称され、そしてこの分子は種々の診断および治療的適応のために利用される(Prigent,S.A.,およびLemoine,N.R.,Prog Growth Factor Res.,4:1−24(1992))。EEGFポリペプチドは、1つ以上のこれらのレセプター、ならびに未同定の新規なEGF型レセプターに対するリガンドであるようである。EEGFの使用は、このようなレセプターの同定、特徴付け、およびクローニングを補助し得る。例えば、EGFレセプター遺伝子は、トリ赤芽球症ウイルスのv−erb−Bガン遺伝子の細胞性ホモログを示す。EGFレセプターの過剰発現またはそのタンパク質のキナーゼ調節セグメントの欠損は、細胞の腫瘍化の形質転換を引き起こし得る(Manjusri,Dら、Human Cytokines,364および382(1991))。
【0110】
本発明のポリペプチドはまた、外傷もしくは他の損傷病理(例えば、AIDS、痴呆、老人性痴呆など)の結果として減少した神経の機能の修復または増強のために使用され得る。TGFαおよびそのホモログは、脳のほとんどの部分におけるEGF/TGFαレセプターに対する最も豊富なリガンドであることが見出されている(Kaserら、Mol Brain Res:16:316−322(1992))。EEGFまたはその可溶性形態はまた、眼球障害(例えば、角膜炎症)の治療に使用され得る。種々の実験は、このような病理学におけるTGFα遺伝子ファミリーのメンバーを関連づけた。ある最近の文献は、これらの増殖因子が眼の疾患で果たす役割に関連したいくつかのデータを要約している(Mannら、Cell,73:249−261(1993))。最近の実験は、TGFα遺伝子を欠如したマウスの多数が、眼の固有質への白血球および他の細胞の浸潤により角膜炎症を起こすことを示した。
【0111】
さらに、それらの標的細胞に対する特定の増殖因子の特異性は、標的細胞を破壊するための機構として利用され得る。例えば、EEGFまたはその可溶性形態は、当該分野に公知の広範な種々の方法により、毒性分子:例えば、標的細胞を不活性化する放射性医薬品に結合され得る。これらの増殖因子−毒物融合体は、標的細胞(および特定の場合では種々の「バイスタンダー」効果により隣接した細胞)を死滅させる。このような毒物融合遺伝子の最近の例は、Mesriら,J.Biol.Chem.268:4853−62(1993)によって刊行されている。EEGFおよび関連した分子はまた、リポソーム中にカプセル化され得、そして腫瘍または細胞特異的抗原を認識し結合する抗体に結合し、それによって細胞を「標的化する」手段を提供し得る。
【0112】
EEGFポリペプチドはまた、腎臓でこれらの増殖因子が発現していることが見出されているので特定の腎臓障害の処置に使用され得る。従って、これらの因子はこの器官の適切な生理学的維持に必要であり得る。処置はまた、肝臓の再生、または肝機能障害に関連し得る。
【0113】
EEGFを含む有意な処置は、創傷治癒に関連する。本発明の組成物は、生体の実質的に全ての皮膚創傷、角膜創傷、および上皮で覆われた(epithelial−lined)中空器官への障害を含む広範な種々の創傷を処置するために用いられ得る。処置に適する創傷は、火傷、擦傷、および切り傷のような外傷、ならびに外科的切開および皮膚移植術のような外科的手順から生じるものを含む。本発明のポリペプチドを用いた処置に適切な他の症状は、慢性潰瘍、糖尿病性潰瘍、他の非治癒(栄養に関する)症状(マルファン症候群を処置するべき症状、毛包発達を促進するべき症状、インビボおよびインビトロの種々の表皮および上皮細胞の増殖ならびに分化を刺激するべき症状、および胚形成を刺激するべき症状)のような慢性症状を含む。
【0114】
EEGFまたはその可溶性フラグメントは、発症領域に適用するために生理学的に受容可能なキャリアに取り込まれ得る。キャリアの性質は、広く変化し得、そして意図される適用の場所に依存する。皮膚への適用のために、クリームまたは軟膏基剤が通常好まれる;適切な基剤は、ラノリン、Silvadene(Marion)(特に火傷の処置のため)、Aquaphor(Duke Laboratories,South Norwalk,Conn.)などを含む。所望であれば、創傷のペプチドへの連続的な曝露のために、絆創膏および他の創傷包帯中にEEGF含有組成物を取り込ませることが可能である。エアロゾール適用もまた使用を見出し得る。
【0115】
処置組成物におけるEEGFの濃度は重要ではないが、上皮細胞増殖を誘導するのに充分であるべきである。組成物は局所的に発症領域に適用され、代表的には眼には点眼薬として、または皮膚にはクリーム剤、軟膏剤またはローション剤として適用され得る。眼の場合、頻回の処置が望ましく、通常4時間以内の間隔で適用される。皮膚では、1日に2回〜4回またはより頻繁な処置組成物の適用により、治癒の間、発症領域に処置組成物を継続的に維持することが望ましい。
【0116】
本発明のポリペプチドの使用量は、投与の様式、他の活性化合物の使用などと共に変化し、一般に約1μg〜100μgの範囲にある。本発明のポリペプチドは生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水などのような生理学的に受容可能なキャリアと共に使用され得る。使用される化合物の量は、本発明のポリペプチドまたは本発明のポリペプチドを含む処方物へのインビトロでの細胞応答および実験動物の応答に基づいて経験的に決定され得る。
【0117】
EEGFまたはその可溶性フラグメントは、血管形成、骨吸収、免疫応答、ならびにシナプスおよび神経細胞のエフェクター機能の調節に使用され得る。EEGFはまた、アラキドン酸カスケードの調節に使用され得る。
【0118】
適用はまた、脱毛症、失毛(hair loss)に関連し、そして毛包発達に影響する他の皮膚の症状に関連する。いくつかの系統の証拠は、このような症状の増殖因子の関与を結びつける。上記で記載されたように、TGFα遺伝子に無発現変異を含むように操作された「ノックアウト」マウスは、量的または質的な毛合成に関連した異常性を表す。さらに、マウスにおけるマッピング研究は、毛発育に影響するいくつかの変異がTGFα遺伝子座に位置することを示した(Mannら、Cell,73:249−261(1993))。EEGFまたはその誘導体の局所的または全身的適用は、脱毛症、失毛の処置のために使用され得、そしてこれらの請求項は本発明の範囲内にある。
【0119】
特定の疾患病態は、EEGF増殖因子の全身性臨床的投与により部分的に、または完全に回復され得る。この投与は、遺伝子治療の形態(下記参照)であるか;あるいはEEGF DNAの組換え構築物から、またはペプチド化学合成から合成されるペプチドもしくはタンパク質の投与を介し得る(Wooら、Protein Engineering 3:29−37(1989))。
【0120】
本発明はEEGFレセプターを同定するための方法を提供する。レセプターをコードする遺伝子は、当該分野に公知の多数の方法、例えば、リガンドパニングおよびFACS選別により、同定され得る(Coliganら、CurrentProtocols in Immun.,1(2),第5章、(1991))。好ましくは、発現クローニングが使用され、ここでポリアデニル化RNAがEEGF応答性の細胞から調製される。そして、このRNAから作製されたcDNAライブラリーはプールに分けられ、そしてこのRNAを使用して、COS細胞またはEEGF応答性でない他の細胞をトランスフェクトする。ガラススライド上で増殖したトランスフェクトされた細胞は、標識されたEEGFに曝される。これは、ヨウ素化または部位特異的タンパク質キナーゼに対する認識部位の封入を含む種々の方法によって標識され得る。固定化およびインキュベーションに続いて、スライドはオートラジオグラフィー分析に供される。ポジティブなプールは同定され、そしてサブプールが調製され、そしてサブプールおよび再スクリーニングプロセスを繰り返して再トランスフェクトされ、最終的に推定レセプターをコードする単一のクローンを得る。レセプター同定のための別のアプローチの場合、標識されたリガンドは、レセプター分子を発現する細胞膜または細胞抽出調製物に光親和性結合し得る。架橋物質はPAGEによって分離され、そしてX線フィルムに曝される。リガンドレセプターを含む標識された複合体は、切除され得、ペプチドフラグメントに分解され得、そしてタンパク質ミクロシークエンスに供され得る。ミクロシークエンスから得られたアミノ酸配列は、推定レセプターをコードする遺伝子を同定するための、cDNAライブラリーをスクリーニングするための縮合オリゴヌクレオチドプローブ対を設計するために使用され得る。
【0121】
本発明はまた、本発明のポリペプチドに対するアゴニスト化合物を同定するための、化合物をスクリーニングする方法を提供する。例として、EEGFレセプターを発現している哺乳動物細胞または膜調製物が、EEGFおよび潜在的なアンタゴニスト化合物とインキュベートされ、そしてレセプターからの2次シグナルを阻害するこの化合物の能力が、それが有効なアンタゴニストであるかどうかを決定するために測定される。このような2次メッセンジャー系はcAMPグアニル酸シクラーゼ、イオンチャンネルまたはホスホイノシチド加水分解を含むが、これらに限定されない。
【0122】
本発明のポリペプチドに対するレセプターに特異的な、潜在的なアンタゴニストを同定するための別のアッセイは、競合アッセイである。このアッセイは本発明のポリペプチドに対するレセプターを過剰発現する原形質膜(例えばヒトA431ガン細胞)を単離する工程を含む。培地(容量はおよそ10マイクロリットル)中の連続的に希釈された10nM 125I−EEGFを含む試験試料が、潜在的なアンタゴニスト化合物の存在下で5マイクログラムの原形質膜に添加され、そして4℃にて4時間インキュベートされる。反応溶液は希釈され、直ちにミリポア(millipore)フィルターに通される。次いで、フィルターを迅速に洗浄し、そして結合放射活性をガンマカウンターにおいて測定する。次いで、結合EEGFの量を測定する。コントロールアッセイもまた化合物の非存在下で行われ、アンタゴニストが結合EEGFの量を減少させるかどうか決定する。
【0123】
潜在的なアンタゴニスト化合物は、ポリペプチドに結合する、抗体または場合によってはオリゴペプチドを含む。あるいは、潜在的なアンタゴニストはレセプター(ポリペプチドの非活性型であり、それにより本発明のポリペプチドの作用を阻害する)に結合するタンパク質に密接に関連し得る。
【0124】
別のアンタゴニスト化合物は、アンチセンス技術を用いて調製したアンチセンス構築物である。アンチセンス技術は、三重らせん体またはアンチセンスDNAもしくはRNAを介して遺伝子発現をコントロールするために使用される。両方法はDNAまたはRNAへのポリヌクレオチド結合に基づく。例えば、本発明の成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の5’コード部分は、約10〜40塩基対の長さのアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドを設計するために使用される。DNAオリゴヌクレオチドは転写に関与する遺伝子の領域に相補的であるように設計され(triple helix Leeら,Nucl.Acids Res.,6:3073(1979);Cooneyら,Science,241:456(1988);およびDervanら,Science,251:1360(1991)を参照のこと)、それによって本発明のポリペプチドの転写および産生を妨げる。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドはインビボでmRNAにハイブリダイズし、本発明のポリペプチドへのmRNA分子の翻訳をブロックする(Antisense−Okano,J.Neurochem.,56:560(1991);Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression,CRC Press,Boca Raton,FL(1988))。上記のオリゴヌクレオチドもまた、アンチセンスRNAまたはDNAがインビボで発現されて、本発明のポリペプチドの産生を阻害し得るように、細胞に送達される。
【0125】
アンタゴニスト化合物は、本発明のポリペプチドに結合する微小分子を含み、そしてレセプターでその作用をブロックし、その結果正常な生物学的活性が妨げられる。微小分子はまた、結合を妨げるためにポリペプチドに結合し得る。微小分子の例は小ペプチドまたはペプチド様分子を含むが、これらに限定されない。
【0126】
アンタゴニストは、新生物形成(例えば、ガンおよび腫瘍)の処置に使用され得る。マウスの腫瘍細胞によるEGFファミリーのメンバーの分泌または生成の阻害は、腫瘍の後退を起こす。なぜなら、これらのタンパク質は、新生物形成細胞を含むすべての細胞でDNA合成の誘導を刺激するからである。
【0127】
本発明のポリペプチドに対するアンタゴニストはまた、特定の皮膚障害、例えば乾癬の処置のために、治療的に使用され得る。乾癬障害のような疾患から得られた皮膚組織診において、増殖因子のこのファミリーのメンバーの発現の上昇レベルが上昇することが見出されている(Cookら、Cancer Research,52:3224−3227(1992))。アンタゴニストは、例えば、本明細書中以下で記載されるように、薬学的に許容可能なキャリアと共に組成物において使用され得る。
【0128】
本発明のポリペプチドまたはアゴニストもしくはアンタゴニスト化合物は、適切な薬学的キャリアと組み合わせて使用され得る。このような組成物は、ポリペプチドまたは化合物の治療的有効量および薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を含む。このようなキャリアは、生理食塩水、緩衝化生理食塩水、ブドウ糖、水、グリセロール、エタノール、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。処方物は、投与の方法に適するべきである。
【0129】
本発明はまた、本発明の薬学的組成物の1つ以上の成分で満たされた1つ以上の容器を含む薬学的なパックまたはキットを提供する。このような容器(単数または複数)に付随するものは、医薬品または生物学的製品の製造、使用、または販売を統制する政府機関により規定された形態の表示であり得、この表示は、ヒトの投与のための製造、使用、または販売のその機関による認可を表す。さらに、本発明のポリペプチドまたは化合物は、他の治療的化合物と併用して用いられ得る。
【0130】
この薬学的組成物は、例えば、経口、局所、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、鼻腔内、または皮内経路による簡便な様式で投与され得る。薬学的組成物は、特定の症状の処置および/または予防に効果的な量で投与される。一般に、それらは少なくとも約10μg/kg体重の量で投与され、そして多くの場合、それらは1日に約8mg/kg体重を超えない量で投与される。多くの場合、投薬量は、1日に約10μg/kg体重から約1mg/kg体重であり、投与経路、症状などが考慮される。
【0131】
ポリペプチドおよびポリペプチドであるアンタゴニストはまた、インビボでのこのようなポリペプチドの発現により本発明に従って使用され得、これはしばしば「遺伝子治療」といわれる。
【0132】
従って、例えば、患者由来の細胞は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNAまたはRNA)を用いてエキソビボで操作され得、次いで、操作された細胞はこのポリペプチドで処置されるべき患者に提供される。このような方法は当該分野で周知であり、本明細書中の教示から明らかである。例えば、細胞は、本発明のポリペプチドをコードするRNAを含有するレトロウイルスプラスミドベクターの使用により操作され得る。
【0133】
同様に、細胞は、インビボでのポリペプチドの発現のために、例えば、当該分野で公知の手順によりインビボで操作され得る。例えば、パッケージング細胞は、本発明のポリペプチドをコードするRNAを含むレトロウイルスプラスミドベクターで形質転換され、このようにパッケージング細胞は今や目的の遺伝子を含む感染性のウイルス粒子を産生する。これらのプロデューサー細胞は、インビボで細胞を操作するためおよびインビボでのポリペプチドの発現のために、患者に投与され得る。このような方法により本発明のポリペプチドを投与するためのこれらの方法および他の方法は、本発明の教示から当業者には明らかなはずである。
【0134】
レトロウイルス(本明細書中で前記のレトロウイルスプラスミドベクターが。これから誘導され得る)は、モロニーマウス白血病ウイルス、脾臓懐死ウイルス、ラウス肉腫ウイルスのようなレトロウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、鳥類白血病ウイルス、ギボンサル白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、アデノウイルス、骨髄増殖肉腫ウイルス、および乳ガンウイルスを含むが、これらに限定されない。一つの実施態様において、このレトロウイルスプラスミドベクターはモロニーマウス白血病ウイルス由来である。
【0135】
このベクターは1つ以上のプロモーターを含む。使用され得る適切なプロモーターは、レトロウイルスLTR;SV40プロモーター;およびMillerら、Biotechniques 7巻、第9号、980−990(1989)に記載されるヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターまたは任意の他のプロモーター(例えば、ヒストン、pol IIIおよびβアクチンプロモーターを含む(これらに限定されない)、真核生物細胞性プロモーターのような細胞性プロモーター)を含むが、これらに限定されない。使用され得る他のウイルス性プロモーターは、アデノウイルスプロモーター、チミジンキナーゼ(TK)プロモーター、およびB19パルボウイルスプロモーターを含むが、これらに限定されない。適切なプロモーターの選択は、本明細書中に含まれる教示により、当業者にとって明らかである。
【0136】
本発明のポリペプチドをコードする核酸配列は、適切なプロモーターの制御下にある。使用され得る適切なプロモーターは、アデノウイルス主要後期プロモーターのようなアデノウイルスプロモーター;またはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターのような異種プロモーター;呼吸器合胞体ウイルス(RSV)プロモーター;MMTプロモーター、メタロチオネインプロモーターのような誘導性プロモーター;熱ショックプロモーター;アルブミンプロモーター;ApoAIプロモーター;ヒトグロビンプロモーター;単純ヘルペスチミジンキナーゼプロモーターのようなウイルスチミジンキナーゼプロモーター;レトロウイルスLTR(本明細書中上記の修飾型レトロウイルスLTRを含む);βアクチンプロモーター;ならびにヒト成長ホルモンプロモーターを含むが、これらに限定されない。プロモーターはまた、ポリペプチドをコードする遺伝子を制御する天然のプロモーターあり得る。
【0137】
レトロウイルスプラスミドベクターは、パッケージング細胞株を形質導入してプロデューサー細胞株を形成するために使用される。トランスフェクトされ得るパッケージング細胞の例は、PE501、PA317、ψ−2、ψ−AM、PA12、T19−14X、VT−19−17−H2、ψCRE、ψCRIP、GP+E−86、GP+envAm12、およびDAN細胞株(これらは、Miller,Human Gene Therapy,1巻、5〜14頁(1990)(これは、本明細書中で全文が参照として援用される)に記載される)を含むが、これらに限定されない。このベクターは、パッケージング細胞を当業者にとって公知の任意の手段で形質導入し得る。そのような手段は、エレクトロポレーション、リポソームの使用、およびCaPO沈降を含むが、これらに限定されない。一つの代替手段において、レトロウイルスプラスミドベクターは、リポソームにカプセル化され得るか、または脂質に結合されて、そして次いで宿主に投与され得る。
【0138】
プロデューサー細胞株は、このポリペプチドをコードする核酸配列(単数または複数)を含む感染性レトロウイルスベクター粒子を生成する。次いで、このようなレトロウイルスベクター粒子は、真核生物細胞をインビトロまたはインビボのいずれかで形質導入するのに、使用され得る。形質導入された真核生物細胞は、ポリペプチドをコードする核酸配列(単数または複数)を発現する。形質導入され得る真核生物細胞は、胚幹細胞、胚ガン細胞、ならびに造血幹細胞、肝細胞、線維芽細胞、筋芽細胞、ケラチノサイト、内皮細胞および気管支上皮細胞を含むが、これらに限定されない。
【0139】
本発明はまた、診断の場合の本発明の遺伝子の使用に関連している。本発明の遺伝子の変異型の検出は、本発明のポリペプチドの過小発現により起こる疾患(例えば、不適切な創傷の治癒、不適切な神経学的機能、眼球障害、腎臓障害および肝臓障害、毛包発達、血管形成、および胚形成)または感受性の診断を可能にする。
【0140】
本発明のヒト遺伝子における変異を有する個体は、種々の技術によりDNAレベルで検出され得る。診断のための核酸は、患者の細胞(例えば、血液、尿、唾液、組織生検、および剖検物質由来)より得られ得る。ゲノムDNAは、検出のために直接使用され得るか、または分析前にPCR(Saikiら、Nature、324:163−166(1986))を用いることにより酵素的に増幅され得る。RNAあるいはcDNAもまた、また同じ目的のために使用され得る。例として、本発明のポリペプチドをコードする核酸に相補的なPCRプライマーが、その変異を同定および分析するために使用され得る。例えば、欠失および挿入は、正常な遺伝子型との比較における増幅された産物のサイズの変化により検出され得る。点変異は、放射性標識されたRNAまたは、あるいは放射性標識されたアンチセンスDNA配列に、増幅されたDNAをハイブリダイズさせることにより同定され得る。完全にマッチした配列は、RNaseA消化または融解温度の差により、ミスマッチした二重鎖と区別され得る。
【0141】
参照遺伝子と変異を有する遺伝子との間の配列の差異は、直接DNA配列決定法により明らかにされ得る。さらに、クローン化されたDNAセグメントは、特定のDNAセグメントを検出するためのプローブとして使用され得る。この方法の感度は、PCRと組み合わされた場合に、非常に増強される。例えば、配列決定用プライマーは、二本鎖のPCR産物または改変PCRにより生成された一本鎖テンプレート分子とともに使用される。この配列決定は、放射標識されたヌクレオチドを用いる従来の手順によるか、または蛍光タグを用いる自動配列決定手順により実行される。
【0142】
DNA配列の差異に基づいた遺伝子試験は、変性剤を含むかまたは含まないゲルにおけるDNAフラグメントの電気泳動的移動度の変化の検出により達成され得る。高分解能ゲル電気泳動により微小配列の欠如または挿入が明らかになり得る。異なった配列のDNAフラグメントは、変性ホルムアミド勾配ゲルにより識別され得、そこでは異なったDNAフラグメントの移動が、それらの特定の融解温度または部分的な融解温度に依存してゲルの異なった位置で、遅延する(例えば、Myersら,Science,230:1242(1985)を参照のこと)。
【0143】
特定の位置での配列変化もまた、ヌクレアーゼ保護アッセイ(例えば、RNaseおよびS1保護)または化学的開裂方法によって明らかになり得る(例えば、Cottonら,PNAS,USA,85:4397−4401(1985))。
【0144】
従って、特定のDNA配列の検出は、ハイブリダイゼーション、RNase保護、化学的開裂、直接DNA配列決定、または制限酵素の使用(例えば、制限断片長多型(RFLP))、およびゲノムDNAのサザンブロッティングのような方法によって達成され得る。
【0145】
より従来型のゲル−電気泳動およびDNA配列決定に加えて、インサイチュ分析により変異が検出され得る。
【0146】
本発明はまた、種々の組織において本発明のポリペプチドの変化したレベルを検出するための診断的アッセイに関連する。なぜなら、正常のコントロール組織の試料と比較されるタンパク質の過剰発現が、新生物形成、皮膚障害、眼球障害および炎症などの特定の疾患症状の存在を検出し得るからである。宿主由来の試料における本発明のポリペプチドのレベルを検出するために使用されるアッセイは、当業者に周知であり、そしてラジオイムノアッセイ、競合結合アッセイ、ウェスタンブロット分析、そして好ましくは、ELISAアッセイを含む。ELISAアッセイは、最初に本発明のポリペプチドの抗原に特異的な抗体(好ましくは、モノクローナル抗体)を調製する工程を含む。さらに、レポーター抗体がモノクローナル抗体に対して調製される。レポーター抗体に対して、放射活性、蛍光、または本実施例においては西洋ワサビペルオキシダーゼ酵素のような検出可能な試薬を結合させる。試料を宿主から取り出し、固体支持体(例えば、試料中のタンパク質に結合するポリスチレンディッシュ)上でインキュベートする。次いで、ディッシュ上の任意の遊離タンパク質結合部位を、ウシ血清アルブミンのような非特異的タンパク質とともにインキュベートすることにより覆う。次に、モノクローナル抗体をディッシュ中でインキュベートし、その間にモノクローナル抗体がポリスチレンディッシュに結合している任意の本発明のポリペプチドに対して結合する。全ての未結合のモノクローナル抗体は緩衝液で洗浄除去する。西洋ワサビペルオキシダーゼに連結したレポーター抗体を、ここで、ディッシュ中に入れ、本発明のポリペプチドに結合した任意のモノクローナル抗体に対してレポーター抗体の結合を生じさせる。次いで、未結合のレポーター抗体を洗浄除去する。次いで、ペルオキシダーゼ基質をディッシュに加え、そして所定の時間に発色した量を、標準曲線と比較した場合の患者試料の所定の容量中に存在するタンパク質の量の尺度とする。
【0147】
競合アッセイもまた、宿主由来の試料において本発明のポリペプチドのレベルを決定するために使用され得る。このようなアッセイは、本発明のポリペプチドのレセプターを過剰発現する原形質膜を単離する工程を含む。次いで、標識された本発明のポリペプチドを含む試験試料を原形質膜に加え、次いで、一定時間までインキュベートする。また、本発明のペプチドを含むと考えられる宿主由来の試料を反応混合物に加える。次いで、反応混合物をフィルターを通して迅速に洗浄し、次いでレセプターの競合量(従って、試料中の本発明のポリペプチド量)を決定するために結合放射活性を測定する。
【0148】
EEGFに特異的な抗体は、ガンの診断および治療に使用され得る。なぜなら、多くのガン細胞の型が、新生物形成または過形成のプロセスの間、このTGFαファミリーの種々のメンバーをアップレギュレートするためである。これらの抗体はEEGFに結合し、そして不活性化する。EEGF(および/またはそのファミリーメンバー)に対するモノクローナル抗体は、過形成増殖異常および新生物形成増殖異常を含む(しかし、これらに限定されない)特定の障害の診断および治療の両方について、臨床で使用される。新生物形成組織による増殖因子発現のアップレギュレーションは、罹患した患者の血液中の増殖因子の増加を検出する種々の血清アッセイのための基礎を形成する。これらのアッセイは、代表的に診断的状況で使用されるだけでなく、予後の状況でも同様に(手術、化学療法などの後の潜在性の腫瘍細胞の存在を検出するために)使用される。
【0149】
さらに、EEGFレセプターを発現している悪性細胞は、レセプター結合アッセイにおける標識されたEEGFの使用により、またはEEGFレセプター自体に対する抗体の使用により、検出され得る。細胞は、EEGFのレセプターの存在および密度に基づいて識別され得、それによって、このような細胞の、EEGFの生物学的活性に対する感受性を予想する手段を提供する。
【0150】
本発明の配列はまた、染色体の同定に有益である。この配列は、個々のヒト染色体の特定の位置に特異的に標的化され、そしてその位置にハイブリダイズし得る。さらに、現在、染色体上の特定の部位を同定する必要がある。現在、染色体位置のマーキング(marking)に利用可能な、実際の配列データ(反復多型)に基づく染色体マーキング試薬はほとんどない。本発明に従うDNAの染色体へのマッピングは、これらの配列と疾患に関連する遺伝子とを相関させることにおける重要な第1段階である。
【0151】
簡潔に述べれば、配列は、cDNAからPCRプライマー(好ましくは15〜25bp)を調製することにより染色体にマップされ得る。遺伝子の3’非翻訳領域のコンピューター解析が、ゲノムDNA内で1より多いエキソンにまたがらず、従って増幅プロセスを複雑化することのないプライマーを迅速に選択するために使用される。次いで、これらのプライマーは、個々のヒト染色体を含む体細胞ハイブリッドのPCRスクリーニングに使用される。プライマーに対応するヒト遺伝子を含むハイブリッドのみが増幅フラグメントを生じる。
【0152】
体細胞ハイブリッドのPCRマッピングは、特定の染色体に特定のDNAを割り当てるための迅速な手順である。同じオリゴヌクレオチドプライマーを用いる本発明を使用して、特定の染色体由来のフラグメントのパネルまたは大きなゲノムクローンのプールを類似の様式で用いて、下位の位置決め(sublocalization)が達成され得る。染色体にマップするために同様に使用され得る他のマッピングストラテジーは、インサイチュハイブリダイゼーション、フロー選別した(flow−sorted)標識染色体でのプレスクリーニング、および染色体特異的cDNAライブラリーを構築するためのハイブリダイゼーションによる前選択を包含する。
【0153】
cDNAクローンの中期染色体スプレッドへの蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)は、1工程で正確な染色体位置を提供するために使用され得る。この技術は、50または60塩基程度の短いcDNAを用いて使用され得る。この技術の総説としては、Vermaら,Human Chromosomes:a Manual of Basic Techniques,Pergamon Press,New York(1988)を参照のこと。
【0154】
一旦配列が正確な染色体位置にマップされると、配列の染色体上での物理的な位置を遺伝地図のデータと相関させ得る。このようなデータは、例えば、V.McKusick,Mendelian Inheritance in Manに見出される(Johns Hopkins University Welch Medical Libraryからオンラインで入手可能である)。次いで、同一の染色体領域にマップされた遺伝子と疾患との関係が、連鎖解析(物理的に隣接した遺伝子の同時遺伝)により同定される。
【0155】
次に、罹患個体と非罹患個体との間のcDNAまたはゲノム配列の差異を決定する必要がある。変異がいくつかまたはすべての罹患個体に観察されるが正常な個体には全く観察されない場合、この変異はおそらく疾患の原因因子である。
【0156】
物理的マッピング技術および遺伝的マッピング技術の現在の分解能では、疾患に関連する染色体領域に正確に位置決めされたcDNAは、50〜500の可能性のある原因遺伝子の1つであり得る。(これは、1メガベースのマッピング分解能で、そして20kbあたり1遺伝子と仮定する。)
このポリペプチド、そのフラグメントもしくは他の誘導体、またはそれらのアナログ、あるいはそれらを発現する細胞は、それらに対する抗体を産生させるための免疫原として使用され得る。これらの抗体は、例えば、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり得る。本発明はまた、キメラ抗体、単鎖抗体およびヒト化抗体、ならびにFabフラグメント、またはFab発現ライブラリーの産物を包含する。当該分野で公知の種々の手順が、このような抗体およびフラグメントの産生のために使用され得る。
【0157】
本発明の配列に対応するポリペプチドに対して生成される抗体は、動物へのポリペプチドの直接注射により、または動物へのポリペプチドの投与により得られ得る。この動物は、好ましくは非ヒトである。次いで、このようにして得られた抗体は、ポリペプチド自体に結合する。このようにして、ポリペプチドのフラグメントのみをコードする配列でさえも、ネイティブなポリペプチド全体に結合する抗体を生成するために使用され得る。次いで、このような抗体は、そのポリペプチドを発現する組織からポリペプチドを単離するために使用され得る。
【0158】
モノクローナル抗体の調製のために、細胞株の連続培養により産生される抗体を提供する任意の技術が使用され得る。例としては、ハイブリドーマ技術(KohlerおよびMilstein,1975,Nature,256:495−497)、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら,1983,Immunology Today 4:72)、およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBVハイブリドーマ技術(Coleら,1985,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,77〜96頁)が挙げられる。
【0159】
単鎖抗体を産生するために記載された技術(米国特許第4,946,778号)は、本発明の免疫原性ポリペプチド産物に対する単鎖抗体を生成するために適用され得る。また、トランスジェニックマウスが、本発明の免疫原性ポリペプチド産物に対するヒト化抗体を発現するために使用され得る。
【0160】
本発明を以下の実施例を参照にしてさらに記載する;しかし、本発明はこのような実施例に限定されないことが理解されるべきである。すべての部または量は、他に明記しない限り重量基準である。
【0161】
以下の実施例の理解を容易にするために、頻繁に現れる特定の方法および/または用語が記載される。
【0162】
「プラスミド」は、小文字のpの前および/または後の大文字および/または数字により明示される。本明細書中の出発プラスミドは、市販であり、制限無く公然と入手可能であるか、または公開された手順に従って入手可能なプラスミドから構築され得る。さらに、記載されるプラスミドと等価のプラスミドが当該分野で公知であり、そして当業者には明らかである。
【0163】
DNAの「消化」は、DNA中の特定の配列でのみ作用する制限酵素でそのDNAを触媒反応的に切断することをいう。本明細書中で使用される種々の制限酵素は、市販されており、そしてそれらの反応条件、補因子、および他の必要条件は当業者に公知のものが使用された。分析目的には、代表的には1μgのプラスミドまたはDNAフラグメントが、約2単位の酵素とともに約20μlの緩衝溶液中で使用される。プラスミド構築のためのDNAフラグメントを単離する目的のために、代表的には5〜50μgのDNAが、20〜250単位の酵素で、より大きな容量中で消化される。特定の制限酵素のための適切な緩衝液および基質量は、製造者により特定される。37℃での約1時間のインキュベーション時間が通常使用されるが、しかしこれは供給者の指示に従って変わり得る。消化後、反応物をポリアクリルアミドゲル上で直接電気泳動して所望のフラグメントを単離する。
【0164】
切断フラグメントのサイズ分離は、Goeddel,D.ら,NucleicAcids Res.,8:4057(1980)により記載された8%ポリアクリルアミドゲルを使用して行われる。
【0165】
「オリゴヌクレオチド」は、一本鎖ポリデオキシヌクレオチドまたは2つの相補的なポリデオキシヌクレオチド鎖のいずれかをいい、これらは化学的に合成され得る。このような合成オリゴヌクレオチドは、5’リン酸を有さず、従ってキナーゼの存在下でリン酸とATPとを添加しなければ別のオリゴヌクレオチドと連結しない。合成オリゴヌクレオチドは、脱リン酸化されていないフラグメントに連結する。
【0166】
「連結」は、2つの二本鎖核酸フラグメントの間でリン酸ジエステル結合を形成するプロセスをいう(Maniatis,Tら、前出、146頁)。他に提供されていなければ、連結は公知の緩衝液および条件で、ほぼ等モル量の連結されるべきDNAフラグメント0.5μgあたり10単位のT4 DNAリガーゼ(「リガーゼ」)を用いて達成され得る。
【0167】
他に記載しない限り、形質転換は、Graham,F.およびVan derEb,A.,Virology,52:456−457(1973)の方法に記載のように実施された。
【0168】
以下の図面は、本発明の実施態様の例示であり、そして請求の範囲に含まれる本発明の範囲を限定することを意味しない。
【0169】
【実施例】
(実施例1)
(EEGFの細菌発現および精製)
EEGFをコードするDNA配列(ATCC第97285号)を、EEGFタンパク質の5’配列およびEEGF遺伝子の3’側の配列に対応するPCRオリゴヌクレオチドプライマーを用いて最初に増幅する。5’オリゴヌクレオチドプライマーは、配列5’GACTTCATGATGTGTGTTAACCAAAATGG 3’(配列番号3)を有し、これはBsp HI制限酵素部位、続く推定末端アミノ酸から始まるEEGFコード配列の19のヌクレオチドを含む。3’配列、5’GACTGGATCCGAATGGGTACTGCGACACATATATC 3’(配列番号4)は、BamHI部位に相補的な配列を含み、そして続いてEEGFの25ヌクレオチドを含む。制限酵素部位は、細菌発現ベクターpQE−60(Qiagen,Inc.,Chatsworth,CA)上の制限酵素部位に対応する。pQE−60は、抗生物質耐性(Amp)、細菌の複製起点(ori)、IPTG調節可能プロモーターオペレーター(P/O)、リボソーム結合部位(RBS)、6−Hisタグ、および制限酵素部位をコードする。次いで、pQE−60をBamHIで消化する。増幅配列をpQE−60に連結し、そしてヒスチジンタグおよびRBSをコードする配列とインフレームで挿入する。次いで、連結混合物を用いて、E.coli M15/rep4株(Qiagen,Inc.)をSambrook,J.ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Laboratory Press,(1989)に記載の手順により形質転換する。M15/rep4は、lacIリプレッサーを発現し、そしてまたカナマイシン耐性(Kan)を与えるプラスミドpREP4の複数コピーを含む。形質転換体をLBプレート上で増殖するそれらの能力により同定し、そしてアンピシリン/カナマイシン耐性コロニーを選択する。プラスミドDNAを単離し、制限分析により確認する。所望の構築物を含むクローンを、Amp(100μg/ml)およびKan(25μg/ml)の両方を補充したLB培地における液体培養で一晩(O/N)増殖させる。O/N培養物を用いて1:100〜1:250の比で大規模な培養物に接種する。細胞を、光学密度600(O.D.600)が0.4と0.6との間になるまで増殖させる。次いで、IPTG(「イソプロピル−B−D−チオガラクトピラノシド」)を加えて1mMの最終濃度にする。IPTGは、lacIリプレッサーを不活化することにより、P/Oを解放(clear)し遺伝子発現の増加を誘導する。細胞をさらに3〜4時間増殖させる。次いで、細胞を遠心分離により収集する。細胞ペレットをカオトロピック薬剤6MグアニジンHCl中で可溶化する。明澄化後、可溶化EEGFを、6−Hisタグを含有するタンパク質が強固に結合することを可能とする条件下で、ニッケル−キレートカラム上でのクロマトグラフィーによりこの溶液から精製する(Hochuli,Eら、J.Chromatography 411:177−184(1984))。EEGFを6MグアニジンHCl(pH5.0)中でカラムから溶出し、そして再生の目的で、3MグアニジンHCl、100mMリン酸ナトリウム、10mMグルタチオン(還元型)、および2mMグルタチオン(酸化型)に調整した。この溶液中での12時間のインキュベーションの後、タンパク質を10mMリン酸ナトリウムに対して透析する。
【0170】
(実施例2)
(バキュロウイルス発現系を用いるEEGFのクローニングおよび発現)
EEGFタンパク質をコードするDNA配列(ATCC第97285号)を、この遺伝子の5’および3’配列に対応するPCRオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅する。
【0171】
プライマー配列は以下の通りである:
5’CAGTGGATCCGCCATCATGATGTGTGTTAACCAAAATGGCG 3’(配列番号5)であり、これはBamHI制限酵素部位(太字)、続いて真核生物細胞における翻訳の開始に効率的なシグナルに類似の6ヌクレオチドを有する(Kozak,M.,J.Mol.Biol.,196:947−950(1987)(翻訳の開始コドンは「ATG」である))。
【0172】
3’プライマー、5’GCATGGTACCCGTCGGAGGCTCCAGCCCGAGG 3’(配列番号6)は、制限エンドヌクレアーゼAsn718の切断部位(太字)およびEEGF遺伝子の3’末端に相補的な22ヌクレオチドを含む。増幅配列を、市販のキット(「Geneclean」BIO 101Inc.,La Jolla,Ca.)を用いて、1%アガロースゲルより単離する。次いで、このフラグメントをエンドヌクレアーゼBamHIおよびAsp718で消化し、次いで再度1%アガロースにおいて精製する。このフラグメントを、F2と命名する。
【0173】
ベクターpA2(pVL941ベクターの改変体、下記)をバキュロウイルス発現系を用いるEEGFタンパク質の発現のために用いる(総説について、Summers,M.D.およびSmith,G.E.1987,A manualof methods for baculovirus vectors and insect cell culture procedures,Texas Agricultural Experimental Station Bulletin No.1555を参照のこと)。この発現ベクターは、オートグラファ(Autographa californica)核多角体ウイルス(AcMNPV)の強力なポリヘドリンプロモーター、それに続く制限エンドヌクレアーゼの認識部位を含む。シミアンウイルス(SV)40のポリアデニル化部位を、効率的なポリアデニル化のために用いる。組換えウイルスを容易に選択するために、E.coli由来のβガラクトシダーゼ遺伝子をポリヘドリンプロモーターと同方向に挿入し、その後ポリヘドリン遺伝子のポリアデニル化シグナルが続く。ポリヘドリン配列には、同時トランスフェクトした野生型ウイルスDNAの細胞媒介性相同組換えのためのウイルス配列が両端で隣接する。多くの他のバキュロウイルスベクターが、用いられ得る。例えば、pAc373、pRG1、pVL941、およびpAcIM1である(Luckow,V.A.およびSummers,M.D.、Virology,170:31−39)。
【0174】
プラスミドを制限酵素BamHIおよびAsp718で消化し、次いで当該分野で公知の手順によりウシ小腸ホスファターゼを用いて脱リン酸化する。次いで、市販のキット(「Geneclean」BIO 101 Inc.,La Jolla,Ca.)を用いてDNAを1%アガロースゲルより単離した。このベクターDNAをV2と命名する。
【0175】
フラグメントF2および脱リン酸化プラスミドV2を、T4 DNAリガーゼを用いて連結する。次いで、E.coli HB101細胞を形質転換し、そして制限酵素BamHIおよびAsp718を用いて、EEGF遺伝子を有するプラスミド(pBacEEGF)を含んだ細菌を同定する。クローン化フラグメントの配列を、DNA配列決定により確認した。
【0176】
5μgのプラスミドpBacEEGFを、リポフェクション法(Felgnerら Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:7413−7417(1987))を用いて、1.0μgの市販の線状化したバキュロウイルス(「BaculoGoldTM baculovirus DNA」,Pharmingen,San Diego,CA.)とともに同時トランスフェクトする。
【0177】
1μgのBaculoGoldTMウイルスDNAおよび5μgのプラスミドpBacEEGFを、50μlの無血清グレース培地(Life Technologies Inc.,Gaithersburg,MD)を含むマイクロタイタープレートの無菌ウェル中で混合する。その後、10μlのリポフェクチンおよび90μlのグレース培地を添加し、混合し、そして室温にて15分間インキュベートする。次いで、そのトランスフェクション混合物を、無血清グレース培地1mlを有する35mm組織培養プレート内に播種されたSf9昆虫細胞(ATCC CRL 1711)に滴下して添加する。プレートを、新たに加えられた溶液を混合するために、前後に振盪する。次いでプレートを、27℃で5時間インキュベートする。5時間後、トランスフェクション溶液をプレートから除去し、そして10%ウシ胎児血清を補充した1mlのグレース昆虫培地を添加する。プレートをインキュベーターに戻し、そして27℃で4日間培養を続ける。
【0178】
4日後、上清を回収し、そしてSummersおよびSmith(前出)による記載と同様にプラークアッセイを行う。改変法として、青く染色されたプラークの容易な単離を可能にする、「Blue Gal」(Life Technologies Inc.,Gaithersburg)を有するアガロースゲルを用いる。(「プラークアッセイ」の詳細な記述はまた、Life Technologies Inc.(Gaithersburg)により配布される昆虫細胞培養法およびバキュロウイルス学の使用者ガイド(9〜10頁)においても見い出され得る)。
【0179】
連続希釈の4日後、ウイルスを細胞に加え、そして青く染色されたプラークをエッペンドルフピペットのチップで拾う。次いで、組換えウイルスを含む寒天を、200μlのグレース培地を含むエッペンドルフチューブに再懸濁する。寒天を、手短な遠心分離により除去し、そして組換えバキュロウイルスを含む上清を、35mmディッシュに播種されたSf9細胞に感染させるために用いる。4日後、これらの培養ディッシュの上清を回収し、次いで4℃で保存する。
【0180】
Sf9細胞を、10%熱不活化FBSを補充したグレース培地中で増殖させる。細胞を、感染多重度(MOI)2で組換えバキュロウイルスV−EEGFに感染させる。6時間後、その培地を除去し、そしてメチオニンおよびシステインを除いたSF900 II培地(Life Technologies Inc.,Gaithersburg)に置き換える。42時間後、5μCiの35S−メチオニンおよび5μCiの35Sシステイン(Amersham)を添加する。細胞をさらに16時間インキュベートし、その後細胞を遠心分離により収集し、そして標識されたタンパク質をSDS−PAGEおよびオートラジオグラフィーにより可視化する。
【0181】
(実施例3)
(COS細胞における組換えEEGFの発現)
プラスミドEEGF HAの発現を、ベクターpcDNA3/Amp(Invitrogen)から誘導する。ベクターpcDNAI/Ampは以下を含有する:1)SV40複製起点、2)アンピシリン耐性遺伝子、3)E.coli複製起点、4)ポリリンカー領域、SV40イントロンおよびポリアデニル化部位が続くCMVプロモーター。完全なEDF前駆体、およびその3’末端にインフレームで融合されたHAタグをコードするDNAフラグメントを、ベクターのポリリンカー領域にクローン化する。それゆえ、組換えタンパク質発現はCMVプロモーター下で支配される。HAタグは、先に記載されたようなインフルエンザ赤血球凝集素タンパク質由来のエピトープに対応する(I.Wilson、H.Niman、R.Heighten、A Cherenson、M.Connolly、およびR.Lerner、1984,Cell 37:767,(1984))。標的タンパク質へのHAタグの融合により、HAエピトープを認識する抗体を用いる組換えタンパク質の容易な検出が可能になる。
【0182】
プラスミド構築ストラテジーを以下に記載する:
EEGFをコードするDNA配列(ATCC第97285号)を、2つのプライマーを用いるPCRにより構築する:5’プライマー5’GACTGGATCCGCCACCATGATGTGTGTTAACCAAAATG 3’(配列番号7)は、BamHI部位(太字)、それに続く真核動物細胞の翻訳開始に有効なシグナルに類似した6ヌクレオチドおよび開始コドンから始まるEEGFコード配列である22ヌクレオチドを含む;3’配列5’GACTTCTAGAGAATGGGTACTGCGACACATAT 3’(配列番号8)は、XbaI部位、EEGF遺伝子の22ヌクレオチド、それに続くHAタグをコードする配列を含む。pcDNA3/AmpベクターはBamHI/XbaIクローニングサイトを含み、これはPCR挿入物を3’HAタグ、続いて終止コドンをインフレームにもたらす。PCR増幅DNAフラグメントおよびベクター(pcDNA3/Amp)を、BamHIおよびXbaI制限酵素により消化し、そして連結する。連結混合物を、E.coli SURE株(Stratagene Cloning Systems,La Jolla,CA 92037より入手可能)に形質転換し、形質転換培養物をアンピシリン培地プレートに播種し、そして耐性コロニーを選択する。プラスミドDNAを形質転換体から単離し、そして正しいフラグメントの存在について制限分析により試験する。組換えEEGFの発現のために、COS細胞をDEAE−DEXTRAN法により発現ベクターでトランスフェクトする(J.Sambrook、E.Fritsch、T.Maniatis、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Laboratory Press,(1989))。EEGF HAタンパク質の発現を、放射性標識および免疫沈降法により検出する(E.Harlow,D.Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1988))。細胞を、トランスフェクションの2日後、35S−システインで8時間標識する。次いで培養培地を回収し、そして細胞を界面活性剤(RIPA緩衝液(150mM NaCl、1% NP−40、0.1% SDS、1% NP−40、0.5% DOC、50mM Tris(pH7.5))で溶解する(Wilson,I.ら、同上 37:767(1984))。細胞溶解物および培養培地の両方を、HA特異的モノクローナル抗体により沈降させる。沈降したタンパク質を15% SDS−PAGEゲル上で分析する。
【0183】
(実施例4)
(遺伝子治療を介した発現)
線維芽細胞を皮膚生検により被験体から得る。得られた組織を組織培養培地におき、そして小片に分離する。組織の小さな塊を、組織培養フラスコの湿った表面におき、それぞれのフラスコには約10片をおく。フラスコを逆さまにし、きつく閉め、そして室温に一晩放置する。室温で24時間後、フラスコを逆さまにし、組織の塊をフラスコの底に固定したまま、そして新鮮な培地(例えば、10%FBS、ペニシリン、およびストレプトマイシンを含むHamのF12培地)を加える。次に、これを37℃で約一週間インキュベートする。この時、新鮮な培地を添加し、続いて数日おきに交換する。さらに約2週間の培養後、線維芽細胞の単層が出現する。単層をトリプシン処理し、より大きなフラスコに入れる。
【0184】
モロニーマウス肉腫ウイルスの長末端反復によって隣接されているpMV−7(Kirschmeier,P,T,ら、DNA、7:219−25(1988))を、EcoRIおよびHindIIIで消化し、次いでウシ小腸ホスファターゼで処理する。線状ベクターをアガロースで分画化し、そしてガラスビーズを用いて精製する。
【0185】
本発明のポリペプチドをコードするcDNAを、おのおの5’末端配列および3’末端配列に対応するPCRプライマーを用いて増幅する。5’プライマーはEcoRI部位を含み、そして3’プライマーはHindIII部位を含む。等量のモロニーマウス肉腫ウイルス線状骨格および増幅したEcoRIおよびHindIIIフラグメントを、T4 DNAリガーゼの存在下で一緒に加える。得られた混合物を、2つのフラグメントの連結に適切な条件下で維持する。連結混合物は、細菌HB 101を形質転換するために使用される。この細菌は、次にベクターに目的の遺伝子が適切に挿入されたことを確認する目的で、カナマイシン含有寒天にプレートされる。
【0186】
両種向性pA317またはGP+am12パッケージング細胞を、組織培養で、10%ウシ血清(CS)、ペニシリン、およびストレプトマイシン添加のDulbecco改変Eagle培地(DMEM)中、コンフルエントな密度にまで増殖させる。次に、この遺伝子を含むMSVベクターを培地に加え、パッケージング細胞をこのベクターで形質転換する。パッケージング細胞は、ここで、この遺伝子を含む感染性ウイルス粒子を産生する(パッケージング細胞をここでプロデューサー細胞という)。
【0187】
新鮮な培地を形質転換プロデューサー細胞に加え、続いて、培地をコンフルエントプロデューサー細胞の10cmプレートから回収する。感染性ウイルス粒子を含む消費培地を、ミリポアフィルターを通じて濾過し、剥離したプロデューサー細胞を除去し、そして、次にこの培地を、線維芽細胞を感染させるために使用する。培地を線維芽細胞のサブコンフルエントなプレートから除去し、そして即座にプロデューサー細胞由来の培地と交換する。この培地を除去し、新鮮な培地と交換する。ウイルス力価が高い場合、実質的にすべての線維芽細胞が感染し、選択は必要ない。力価が非常に低い場合は、neoやhisのような選択マーカーを有するレトロウイルスベクターを使用する必要がある。
【0188】
次に操作された線維芽細胞を、単独またはcytodex 3マイクロキャリアビーズ上でコンフルエンスに増殖させた後、宿主に注入する。ここで、線維芽細胞はタンパク質産物を産生する。
【0189】
本発明の多くの改変および変形が上記の教示を考慮すれば可能であり、従って、特に記載された以外にも、添付の請求の範囲の範囲内で本発明は実施され得る。
【0190】
本発明は、細胞外/上皮増殖因子ポリペプチドおよびこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを開示する。組換え技術によりこのようなポリペプチドを産生するための手順、ならびにDNA合成の誘導、創傷治癒の刺激、神経障害の処置、眼球障害の処置、腎臓障害および肝臓障害、および胚形成および血管形成の刺激を含むポリペプチドの治療的使用もまた、提供される。このようなポリペプチドに対するアンタゴニストもまた、開示され、そして新生物形成の処置をするための治療薬としてのそれらの使用が開示される。さらに、本発明のポリペプチドの変化レベル、および本発明のポリペプチドをコードする核酸配列における変異を検出するための診断アッセイが開示される。
【0191】
【発明の効果】
本発明により、細胞外/上皮増殖因子ポリペプチドおよびこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、組換え技術によりこのようなポリペプチドを産生するための手順、ならびにDNA合成の誘導、創傷治癒の刺激、神経障害の処置、眼球障害の処置、腎臓障害および肝臓障害、および胚形成および血管形成の刺激を含むポリペプチドの治療的使用、このようなポリペプチドに対するアンタゴニスト、および新生物形成の処置をするための治療薬としてのそれらの使用、ならびに本発明のポリペプチドの変化レベル、および本発明のポリペプチドをコードする核酸配列における変異を検出するための診断アッセイが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1A】図1Aは、EEGFのcDNA配列および対応する推定アミノ酸配列を示す。アミノ酸の標準的な1文字略語および3文字略語の両方が使用される。
【図1B】図1Bは、EEGFのcDNA配列および対応する推定アミノ酸配列を示す。アミノ酸の標準的な1文字略語および3文字略語の両方が使用される。
【図1C】図1Cは、EEGFのcDNA配列および対応する推定アミノ酸配列を示す。アミノ酸の標準的な1文字略語および3文字略語の両方が使用される。
【図1D】図1Dは、EEGFのcDNA配列および対応する推定アミノ酸配列を示す。アミノ酸の標準的な1文字略語および3文字略語の両方が使用される。
【図2】図2は、本発明のポリペプチド(下列)とヒト細胞外タンパク質(上列)(配列番号9)との間のアミノ酸配列相同性の比較の例示である。

Claims (1)

  1. 以下からなる群から選択されるメンバーと少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチド:
    (a)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
    (b)(a)のポリヌクレオチドに相補的であるポリヌクレオチド;および
    (c)(a)または(b)のポリヌクレオチドの少なくとも15塩基を含むポリヌクレオチド。
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