JP2003532477A - ガン危険状態に関する乳管の識別法 - Google Patents

ガン危険状態に関する乳管の識別法

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Abstract

(57)【要約】 ガン危険状態に関する乳管の識別は、乳ガンに関して女性をスクリーニングするための手順において重要な要素である。ヒト乳房の6から9個の乳管を、ガンに関してより高い危険性を有するものを同定するために識別することが可能である。危険性のより高い管は、管液のアクセスおよび解析、ならびに監視および/または治療を受けるに値する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景 乳ガンは乳房の乳管内において開始すると考えられており、ヒト乳房は約6か
ら9個の管を有することが知られている。開発技術は、各管から採集された物質
を分離したままにしておき、それを別々に解析するために、これらの管から個別
に液体を採集するシステム、キット、方法、および装置を提供する。乳管から液
体および細胞物質を得るための方法およびキットに関する同時係属中の共同出願
である、1998年4月28日に申請された米国特許出願第09/067,661号および1999
年4月28日に申請されたそのCIPである米国特許出願第09/301,058号は、カテー
テルを用いて液体を管内に注入することおよび液体を採集することを開示し特許
請求している。
【0002】 乳頭吸引時に液体を生じる乳房は、乳ガンを発生する危険性が高いとして患者
を同定することが以前に見出されていた。Petrakis「乳頭吸引液を用いた良性乳
房疾患および乳ガンの疫学および自然歴に関する研究(Studies on the epid
emiology and natural history of benign breast disease and breas
t cancer using nipple aspirate fluid)」Cancer Epidemiology、Bioma
rker and Prevention(Jan/Feb 1993)2:3〜10;Petrakis「乳房疾患の疫
学研究における乳頭吸引液(Nipple aspirate fluid in epidemiological
stduies of breast disease)」Epidemiologic Reviews(1993)15:188〜1
95を参照のこと。加えて、プールされた乳頭吸引液がガンマーカーに関して解析
されている。Sauterら「乳頭吸引液:乳ガン危険性の細胞マーカーを同定するた
めの有望な非侵襲的方法(Nipple aspirate fluid:a promising non―inva
sive method to identify cellular markers of breast cancer risk
)」British Journal of Cancer 76(4):494〜501(1997)を参照のこと
【0003】 管液の解析により異常細胞を有しうる管が同定されたら、その管は、薬剤を全
身的によりむしろ、管に経管的に投与すること、または罹患している管のみを除
去することを含む、乳房温存(sparing)治療の標的とされることが可能である
。しかしながら、この方法により全乳房を検討するためには、乳房の6から9個の
すべての管が同定およびアクセスされなければならず、それは困難で時間を要す
る作業である。そして、こうした理由のため、診断を実施するために乳房の全て
の管にアクセスすることは次善の戦略に留まっている。
【0004】 したがって、乳房上の全て管より少ない数の管がアクセスおよび解析の標的と
されるように、同一の乳房上の他の管よりもガンの危険性がより高い管を同定す
るための技術を開発する必要性が当技術分野において存在する。本発明はこの問
題に対するそのような解決法を提供する。
【0005】 発明の概要 乳房における乳管のガン危険状態を識別する方法を提供することが本発明の一
つの目的である。
【0006】 乳房における乳管のガン危険状態を識別するキットを提供することが本発明の
別の一つの目的である。
【0007】 本発明のこれらのおよび他の目的は以下に記載される1またはそれ以上の態様
により提供される。ある態様において、乳房における乳管のガン危険状態を識別
する方法は、乳頭を吸引する段階、および吸引時に液体を生じる少なくとも一つ
の管流出口を位置決めする段階であって吸引時に液体を生じる管がガンの危険性
がより高いものである段階を含む。複数の管が乳頭吸引時に流出口から液体を生
じることが可能である。その方法は、液体を生じる管流出口にアクセスする段階
、アクセスした管から管内容物を回収する段階、流出口において液体の産出が一
度同定されたら管流出口の位置を記録する段階、および/または、流出口におけ
る液体の産出時に管流出口に同定可能な印付けする段階をさらに含むことが可能
である。記録する段階は、紙格子上に管流出口の相対的位置を転写すること、写
真を取ること、液体を生じる事象および/または液体を生じる管流出口の位置を
デジタルスクリーン上にリアルタイムで記録すること、ならびに液体を生じなか
った乳頭の領域を同定するために乳頭表面に陰性の痕跡をつけることの1または
それ以上を含むことが可能である。印付けする段階は、後ほど管流出口を含む場
所を同定するためにペンまたはその他の標識装置を用いて同定可能な印をつける
こと、および/またはプラグ、チューブ、ワイヤー、糸、もしくは縫合糸等の部
品を管内に設置することを含みうる。印は、数時間から数年間の時間の範囲にお
いて、乳頭表面上に存在することが可能である。その方法は、流出口の正確な位
置を識別すること、流出口の方向を識別すること、または管のその後のカニュー
レ挿入を容易にするために管の近位領域を拡大することの一つまたはそれ以上を
達成するために、医療用拡張器に液体を生じる管流出口を接触させることをさら
に含むことが可能である。
【0008】 本発明の別の態様により、乳頭を吸引する段階、吸引時に液体を生じる少なく
とも一つの管流出口の位置を決定する段階であって吸引時に液体を生じる管はガ
ンの危険性がより高いものである段階、および吸引により生じる乳頭表面におい
て、液体を生じる管から現れる、乳頭表面の任意の他の液体を生じる管から生じ
る液体とは混合していない液体のしずくを採集する段階を含む、乳房における乳
管のガン危険状態を識別する方法が提供される。本方法は、液体を生じる任意の
他の管とは別に、液体を生じる管から採集された液体を解析する段階、液体を生
じる管を印付けする段階、および/または流出口における液体の産出が一度同定
されたら管流出口の位置を記録する段階をさらに含むことが可能である。記録す
る段階は、紙格子上に流出口の相対的位置を転写すること、写真を取ること、液
体を生じる事象および/または液体を生じた管流出口の位置をデジタルスクリー
ン上にリアルタイムで記録すること、ならびに液体を生じなかった乳頭の領域を
同定するために乳頭表面に陰性の痕跡をつけることの一つまたはそれ以上を含む
ことが可能である。印付けする段階は、後ほど管流出口を含む場所を同定するた
めにペンまたはその他の標識装置を用いて同定可能な印をつけること、および/
またはプラグ、チューブ、ワイヤー、糸、もしくは縫合糸等の部品を管内に設置
することを含むことが可能である。印は、数時間から数年間の時間の範囲におい
て、乳頭表面上に存在することができる。その方法はさらに、流出口の正確な位
置を識別すること、流出口の方向を識別すること、または管のその後のカニュー
レ挿入を容易にするために管の近位領域を拡大することの一つまたはそれ以上を
達成するために、医療用拡張器に液体を生じる管流出口を接触させることを含む
ことが可能である。
【0009】 乳房における乳管のガン危険状態を識別するためのキットを含む態様は、乳頭
吸引装置、吸引時に液体を生じる流出口の位置を印付けおよび/または記録する
システム、ならびに乳頭を吸引することおよび吸引時に液体を生じる少なくとも
一つの管流出口の位置決めをすることにより乳房における乳管のガン危険状態を
識別するためのキットの使用説明書を含むことが可能である。そのようなキット
はさらに、管アクセス用具、および乳頭吸引時に液体を生じる流出口へアクセス
するためのさらなる説明書を含むことが可能である。液体を生じる管流出口の位
置を印付けおよび/または記録するシステムは、鉛筆および紙格子、カメラ、印
付け用具、デジタル記録および画像化装置、乳頭表面に陰性の痕跡をつけるシス
テム、ならびにそれを印付けするために流出口内に設置される部品の一つまたは
それ以上を含むことが可能である。キットはまた医療用拡張器を含んでもよい。
乳房における乳管のガン危険状態を識別するための別のキットは、乳頭吸引装置
、吸引時に液体を生じる流出口を通じて管へアクセスするための管アクセス用具
、ならびに、吸引時に液体を生じる少なくとも一つの管流出口の位置を決定する
ため、およびその流出口を通じてその管へアクセスするための説明書を含む、乳
頭吸引することによる乳房における乳管のガン危険状態を識別するためのキット
の使用説明書を含むことが可能である。選択的に、そのキットはまた医療用拡張
器を含むことが可能である。
【0010】 乳房における乳管のガン危険状態を識別するための別のキットは、乳頭吸引装
置、任意の他の管から生じる任意の他の液体と回収された液体を混合することな
く、管流出口において出現する液体のしずくを採集する用具、ならびに、乳頭吸
引時に液体を生じる少なくとも一つの管流出口の位置を決定することにより乳房
における乳管のガン危険状態を識別するためのキットの使用説明書、および乳頭
表面の任意の他の管から生じる任意の他の液体と採集された液体を混合すること
なく、乳頭表面においてその管流出口に由来する液体のしずくを採集するための
説明書を含むことが可能である。そのようなキットはさらに、その管におけるガ
ン危険性を決定するために任意の採集された管の液体を解析するための手段およ
び説明書を含むことが可能である。全てのキットはさらにキット内容物のための
収納器を含むことが可能である。
【0011】 乳頭吸引時に管液が乳頭表面に移動する可能性を最大化することが本発明の一
つの目的である。したがって、乳頭吸引に先だってまたはその間に乳房および/
または乳頭表面を刺激する段階を含む、乳頭吸引時に管液が乳頭表面に移動する
可能性を最大化する方法が提供される。刺激する段階は、乳頭表面に接触させて
装着可能装置を設置することを含むことが可能である。
【0012】 態様の詳細な説明 ヒト乳房乳頭のガンの危険性のより高い乳管を、より低い危険性の乳管から識
別できることが、本発明の知見である。危険性の高い管が同定されたら、例えば
その後の位置決めおよびアクセスを容易にする目的で、これらの管に印付けする
、および/またはそれらの位置を記録することが可能である。印付けは、危険性
の高い一つまたは複数の管を、後ほどのアクセス、治療、または監視のために、
位置決めすることを容易にすることが可能である。より危険性の高い管にアクセ
スすることが可能であり、およびそれらの管内容物を異常細胞、またはガンもし
くはガン前駆細胞を示す他のマーカーに関して解析することが可能である。ガン
が管内で同定された場合は、それに印付けをし、治療および/または監視するこ
とが可能である。したがって、乳房の乳管のガン危険状態を識別することは、乳
房の6から9個の乳管のいずれが、最も、またはより癌腫もしくは他のガン、また
は癌腫もしくは他のガンの前駆細胞を有する可能性が高いかを決定することを含
む。そして、それゆえ、管液の内容物におけるガンマーカーの存在について解析
すべきである。
【0013】 乳ガンは乳房における単一の乳房乳管の裏層において生じると考えられており
、さらにヒト乳房は6から9個のこれらの管を含むと考えられている。Sartorius
、JAMA 224(6):823〜827(1973)参照。乳頭表面の管流出口から生じ、乳房
の基底において管内腔が終末管小葉単位(termial ductal lobular unit、TD
LU)に到達しそれになるまで乳房において伸長および分岐する、6から9個の乳管
をヒト乳房は有していると現在では一般的には考えられている。乳ガンは乳管に
おいて開始すると考えられており、そして腺管癌またはTDLU内の癌腫はインサイ
チューであることが可能であり、またその癌腫は浸潤性であることが可能である
。乳ガンの早期段階においては、6から9個の全ての管が罹患しているわけではな
く、むしろ1本の管または管の総数より幾分少ない多数の管が癌腫を有しており
、残りは罹患していない可能性が高い。したがって、より癌腫を有する可能性が
高くそこから管液を解析のために採集されるべきである管を同定することは医学
界および患者集団にとって利益になると考えられる。
【0014】 その方法は標的乳房の乳頭吸引により実施される。乳頭吸引は、標的乳房の全
部のまたは任意の産出管からプールされた液体の解析のため、管液を回収するた
めに使用されている。乳頭吸引は吸引カップを乳頭上に設置し、管内の任意の液
体が乳頭表面にでてくることを促進するように陰圧または真空を乳頭表面に生じ
させることにより達成されうる。吸引装置は、哺乳期の母親が母乳を回収するた
めに使用する乳房ポンプに類似することが可能である。吸引は、1999年11月12日
に申請された同時係属中の共同出願である整理番号(docket)99−023に記載さ
れているようにして基本的には実施できる。吸引はまた、Papanicolaouら「乳房
のガンおよび他疾患におけるヒト乳腺の剥離細胞学およびその価値(Exfoliativ
e Cytology of the Human Mammary Gland and Its Value in Diagno
sis of Cancer and Other Diseases of the Breast)」Cancer(1958)
3月/4月、377〜409、Papanicolaouら(1958)Cancer、11:377〜409;Goodson WHおよびKing EB、第4章:乳頭の放出および分泌(Discharge and Secreti
ons of the Nipple)、乳房:良性および悪性疾患の包括的管理(The Breas
t:Comprehensive Management of Benign and Malignant Diseases)(19
98)第2版、第2巻、BlandおよびKirby編、W.B.Saunders社、フィラデルフィア
、ペンシルベニア州、pp51〜74);Sartoriusら(1997)Journal of the Nat
ional Cancer Institute 59(4):1073〜80;Kingら(1983)Journal of
the National Cancer Institute 71(6):1115〜21;Wrenschら(1992)Am
.J.Epidemiology、v.135(2):130〜141に記載されているようして達成する
ことも可能である。また一般的には、乳房:良性および悪性乳房疾患の包括的管
理、BlandおよびCopeland著、W.B.Saunders社、フィラデルフィア、ペンシル
ベニア州、1991、61〜67ページも参照のこと。乳頭吸引過程は液体を生じるまで
数回繰り返すことが可能である。加えて、吸引前また吸引中に乳房をマッサージ
および/またはしぼることにより、または吸引処理前またその最中に乳房に熱を
適用するなどの他の技術により液体産出を容易にすることが可能である。
【0015】 乳頭吸引は数名の女性においては乳頭表面の少なくとも一つの管において液体
を生じる結果となると思われる。吸引時に液体を生じるある一つの管流出口を位
置決めする過程において、吸引処理において、可能な限り早く管流出口から生じ
る少量の液体を同定することが重要である。この方法では、特定の流出口におい
て発生している溶滴またはしずくは直接液体を生じる管に関連付けられ、同様に
液体を生じている他の任意の管、または流出口に関して間違えられる可能性があ
る乳頭表面上の他の任意のトポグラフィーと混同されることはない。液体が最初
に表面に出てきた乳頭表面の位置は、おそらくその乳頭表面の管流出口の位置で
あると推定される。乳頭表面は多くの重なった皮膚および他の輪郭を有する不均
一なトポグラフィーを有しているので、その結果、流出口の同定は、乳頭表面よ
りおそらく少し光沢がありそれゆえ液体を生じていない残りの表面から識別可能
である少量の単位の液体などの指標物質の非存在下では困難でありうる。複数の
管が、乳頭吸引処理の間に乳頭表面に液体を生じうる。その事例においては、液
体が出ているまたは出てくる管流出口を同定することにより、複数の管の位置決
めをする機会が提示される。複数または多数の管流出口が、吸引中に液体を生じ
ること、流出口の位置に関して印付けおよび/もしくは記録されること、ならび
に/または本明細書に記載されているようにアクセスされることが可能である。
【0016】 したがって位置を、最初の液体流出の徴候において記録もしくは印付けまたは
さもなければ同定することが可能である。液体が最初に乳頭表面に出て来る位置
を同定する一つの単純な方法は、裸眼、または拡大鏡もしくは顕微鏡などの拡大
用具を用いることである。一度管流出口が位置決めされたならば、流出口の正確
な位置の痕跡は忘れられやすくまたは失われやすいであろうから、乳頭表面に印
付けすることが可能であり、またはそうでなければ、後で流出口の部位を再同定
するために、流出口の位置を記録することが可能である。印付けは、例えばペン
または他の目印を用いて、乳頭表面に同定可能な印を作成することが可能である
。乳頭表面の印は可視光線を用いて読み取り可能であるか、または紫外線感受性
などであってもよい。流出口の位置を記録することは、例えば鉛筆またはペンを
用いてグラフ紙または他の格子の上に流出口の相対的部位を印付けすること、例
えば乳房および乳頭を南北東西軸に方向付けすること、ならびにこれらの軸およ
び/または乳房、乳頭もしくは患者の他の目印に対して相対的に流出口の位置を
位置決めすることにより、達成されうる。印付けは、印付けすること、乳頭の写
真を取ること(例えば液体流出の前、後およびその最中に)、またはアナログも
しくはデジタルビデオカメラを用いてリアルタイムで液体産出過程を記録するこ
とにより液体産出がデジタルスクリーン上に証明および記録されることによって
も達成可能である。さらに例えば、実際に液体を生じた非常に小さな領域を特に
強調するために、液体を生じなかった乳頭の場所を同定するため乳頭表面に陰性
の痕跡をつけることが可能である。管流出口の印付けは、管が一度同定されたら
、例えばプラグ、チューブ、ワイヤー、糸または縫合糸といったある部品を管内
に設置することによっても達成できる。その部品は後ほど流出口を同定するため
に乳頭表面に観察される。また、例えば管アクセスのためのチャネルを提供する
ことができるチューブ、または医師がそれにアクセスできるまで管を開いたまま
にするワイヤといった物理的用具を管内に有することにより、必要に応じて後ほ
ど管にアクセスすることが容易となりうる。
【0017】 任意の事象において、流出口にまたは流出口の周囲に作成された印は、流出口
がしばらくして後ほど同定可能であるように作成された同定可能な印である。例
えば一つまたはそれ以上の流出口が吸引時に液体を生じ印付けされる。各々はそ
の後順番にアクセスされることが可能であり、各管から回収された液体は別々に
保存され別々に解析される。同定可能な印は、管流出口が位置する乳頭表面の領
域を同定するために、ペン(例えばヒト皮膚用ペン)またはその他の標識装置を
用いて作成できる。標識は、医師および/または患者の必要性に応じて短時間ま
たは長時間持続することが可能である。例えば、印は水またはアルコールまたは
他の有効な溶媒を用いて洗浄除去されるまで(例えば約1時間もしくは2時間また
は半日もしくは全日)残存することができる、または半永久的な入れ墨のように
作用し、そして約1年もしくは2年またはそれより長く皮膚上に残存することがで
きる。
【0018】 任意の事象において、印が短い期間または長い期間持続するのいずれであって
も、管流出口の部位または位置を記録することが可能である。部位または位置は
、乳頭表面のトポグラフィー、東西南北方向、または皮膚表面上の微小な場所の
位置の同定を支援できる体上の他の目印に対して相対的であることが可能である
。管流出口の位置を記録することは、例えば管を見るまたは監視する、罹患して
いるか疑わしいか危険性が高い管(例えばガンに罹患している、ガンの疑いがあ
る、またはガンもしくは細胞異常の高い危険性がある)の治療を容易にする、ま
たは単にその管の診断もしくは治療履歴を維持するために、有用でありうる。管
の治療には、例えば管へアクセスすること、および/またはその全部もしくは一
部を除去すること、または管の内皮裏層の全部もしくは一部を除去することが含
まれうる。
【0019】 乳頭吸引時に流出口が液体を生じた後、管の正確な位置を識別するため、管の
方向を識別するため(すなわち、まっすぐ入っているかまたは角度がついている
か)、または流出口を拡大するために、例えばアクセス用具によるアクセスがよ
り容易になるように流出口または管の初期部分を拡大するために連続的により大
きな直径を有する医療用拡張器で管を置換していくことなどにより、医療用拡張
器(例えばガラクトグラフィー手技において使用される医療用拡張器)に接触さ
せることが可能である。
【0020】 また本発明の知見により、乳頭表面が吸引可能であること、および液体の最初
の出現の際に、液体が他の管に由来する他の液体と混合される前に、乳頭表面か
ら出現している液体を採集する処置を施すことが可能である。液体のしずくは、
採集または回収を行うための任意の適切な方法または用具、例えば液体をその中
に引きこむ小さなチューブ、例えばキャピラリーチューブを用いて、採集または
回収することが可能である。液体はまた、例えば出現しているしずくに接触する
、およびそれを吸収する吸収物質を用いて採集されてもよい。しずくが任意の他
の流出口に由来する液体と混合された後でなく、それが流出口から出現している
時にしずくを採集する重要性は、液体を単一の管に起因させることが可能となる
こと、およびしたがって乳房上の任意の他の管と独立して解析することが可能で
あることである。したがって、一度乳頭が吸引され、液体しずくが出現および他
の管からの液体と混合される前にある流出口から採集されたならば、続いて手順
において液体を解析する、および/もしくはしずくが出現する管流出口に印付け
する、またはそうでなければ、管の状態を追跡しつづけることを目的として流出
口の位置を本明細書に記載されるようにして記録することが可能である。もし管
液の解析が、ガンまたは前ガンを示しているならば、患者または医師はその管を
治療および/または監視することを選択してもよく、その時は解析された液体が
回収されたその同一の管を正確に再度位置決めできることが必須であると考えら
れる。
【0021】 もし流出口および管がアクセスされるならば、管内容物は管へアクセスするた
めの用具を通じて管内から回収され、解析のために採集されてもよい。細胞にお
ける異常、またはガンの危険徴候を示す管内容物に存在する特定の一つもしくは
複数のマーカーの検出、またはガンそのものの検出が解析によって生じうる。任
意の事象において、位置決めおよび印付けされた管は、高危険度の発見または他
の診断に引き続いて治療および/または監視することが可能である。
【0022】 本発明はまた、乳頭吸引装置(例えば本明細書において記載されているこれら
の任意のもの)を含む乳頭の乳管におけるガン危険状態を識別するキット、およ
び吸引時に乳頭表面から液体を生じる任意の流出口の位置を印付けおよび/また
は記録するシステムも提供する。そのキットは、吸引時に液体を生じる一つまた
は複数の管を見つけ出すために、乳頭吸引を用いてガン危険状態により、乳頭上
の乳管を識別するためのキットの使用指示書を含みうる。キットはさらに管アク
セス用具、および乳頭吸引処理により同定される液体産出管へのアクセス説明書
を含むことができる。キットはまた、管アクセス用具を用いて管へアクセスする
前に管流出口を拡大するための一つまたそれ以上の医療用拡張器(例えばガラク
トグラフィー医療用拡張器)もまた含むことが可能である。
【0023】 または、キットは管へアクセスすることおよび解析のために液体を採集するこ
とのための乳頭吸引装置および管アクセス用具を含むことが可能である。このキ
ットはまた危険性のある管の位置決めをするために乳頭吸引すること、および乳
頭吸引時に液体を産出する管へアクセスすることについての説明書も含むと考え
られる。キットはまた本明細書で言及されている印付けおよび/または記録用具
を含むことが可能である。キットはまた、乳頭吸引装置および乳頭表面の任意の
他の管からの液体とその液体を混合することなく、乳頭表面から出現している液
体のしずくを採集するための方法または用具を含むことも可能である。このキッ
トはまたそのようにして同定された管流出口の位置を位置決めするための印付け
および/または記録用具を含むことも可能である。そのキットはまた一つまたは
複数の医療用拡張器、例えば一つまたは複数のガラクトグラフィー医療用拡張器
を含んでもよい。キットはまた本明細書に記載されているように吸引および採集
するための説明書を含みうる。任意のキットは、例えば吸引時に液体を生じる任
意の流出口を位置決めするための、印付けおよび/または記録システム、例えば
カメラ、印付け用具(例えばペンまたは入れ墨作成用具)、デジタル記録装置、
デジタル画像化装置、および/または乳頭表面に陰性の痕跡をつけるためのシス
テム、および/またはそれを印付けするために流出口および管内に設置される部
品(例えばプラグ、ワイヤーまたはチューブ)を有することが可能である。した
がって、任意のキットはまた、乳頭吸引装置および管アクセス用具を含んでもよ
く、任意のキットは乳頭吸引装置および管流出口に出現している液体のしずくを
採集する用具、例えばチューブ(例えばキャピラリーチューブ)、またはしずく
に接触させそれを吸収することが可能である吸収性のチップまたは吸収性物質を
有する用具を含んでもよい。本発明のキットはさらにキット内容物のための収納
器を含むことが可能である。
【0024】 乳頭吸引により乳管のガン危険状態を識別する感度は、管内に既に存在する管
液が乳頭吸引時に乳頭表面に移動してくる可能性を最大化することによりさらに
提供されうる。管液が乳頭表面に移動してくる可能性を最大化することは乳房お
よび/または乳頭表面を刺激することにより達成できる。乳房および/または乳
頭表面を刺激することは、例えば、乳頭表面または乳房全体において震動を与え
ることなどにより達成できる。震動は乳頭表面または乳房に一定の時間接触させ
て装着可能な装置を設置することなどにより達成される。装着可能な装置は、装
着されている間に乳頭または乳房に連続的なまたは断続的な震動を与えることが
可能である。震動は例えば電池駆動エネルギーにより、またはマイクロチップ制
御装置により提供されることが可能である。装置は、例えばブラジャー様の品物
、または乳頭にはり付けられたパッチであることが可能である。
【0025】 以下の実施例は、制限のためではなく、例証のためとして提示される。
【0026】 実施例実施例1 乳房レントゲン造影法陰性および医師検診陰性の女性がその両方の乳房におけ
る乳頭吸引のために準備された。最初に左の乳頭が吸引され、乳頭表面において
管流出口から少量の液体を産出する結果となった。液体は、乳頭表面の他の部分
と液体を混合することなく、キャピラリーチューブを用いて採集された。小さな
ペン印を液体産出および管流出口の部位に付した。乳頭の写真を取り、管の部位
を格子上に印付けした。続いて、液体を生じる管にアクセスし、管内部からより
多くの管液が回収された。乳頭吸引液をキャピラリーチューブ内に採集し、管内
部より採集された液体をガンマーカーおよび異常細胞形態に関して別々に解析し
た。その手順は、2つの管流出口が液体を生じた右乳房に関しても繰り返し行っ
た。液体はキャピラリーチューブを用いて別々に採集し、管流出口の印付けを行
った。流出口の部位を格子上に記録し、流出口は乳頭表面にペンを用いて印付け
した。続いて管にアクセスし、管液を管内部から回収し、キャピラリーチューブ
に採集された液体とは互いに別々に解析した。
【0027】実施例2 女性患者が両方の乳房に関して乳頭吸引を受ける。右乳房は乳頭表面の異なる
部位において2つの液滴を生じる。液滴の乳頭表面を、皮膚マーキングペン(例
えばシャルピエ(Sharpie)ブランドの極細チップマーカー)を用いて印付けす
る。部位Bも、おそらく異なる色(例えば赤または青)のシャルピエを用いて、
ペンで印付けする。部位Aは管アクセス用具(例えばカテーテル)を用いて証明
され、塩水を管内に注入する。乳房にマッサージを施した後、管液をカテーテル
の内腔から回収し、内空を穏やかに吸引することにより採集チューブ内に採集す
る。その手順は部位Bにおいても繰り返す。左乳房はシャルピエペンを用いて同
様に印付けされる一つの液滴(部位C)を生じ、管アクセス、液体注入、および
回収の手順を左乳房においても繰り返し行う。
【0028】 管A、BおよびCの各々に由来する物質(例えば液体、細胞、および/または他
のマーカー)が、各管のガンまたは前ガンの危険状態を正確に同定するため、最
終的には乳ガンまたは前ガンの存在または非存在に関して患者の各乳房を評価す
るために、細胞学により乳ガン特異的マーカーに関して解析される。
【0029】 本明細書において引用されている全ての刊行物および特許出願は、各々の個々
の刊行物または特許出願が具体的且つ個別に参照として組み入れられるよう示さ
れているように、参照として本明細書に組み入れられる。前述の本発明は、理解
を明瞭にする目的で説明および例示のために幾分詳細に記載されているが、添付
の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、それにある改変また
は変更がなされてもよいことは、本発明の開示に鑑みて通常の技術を有する当業
者にとっては容易に明らかであると思われる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE ,DK,DM,DZ,EC,EE,ES,FI,GB, GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,I N,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC ,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD, MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG, UZ,VN,YU,ZA,ZW

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳頭を吸引する段階、および吸引時に液体を生じる少なくと
    も一つの管流出口を位置決めする段階であって該吸引時に液体を生じる管がガン
    の危険性が比較的高い段階を含む、乳房の乳管のガン危険状態を識別する方法。
  2. 【請求項2】 液体を生じる管流出口へアクセスする段階をさらに含む、請
    求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 アクセスされた管より管内容物を回収する段階をさらに含む
    、請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 複数の管が乳頭の吸引時に液体を生じる、請求項1記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 吸引時に液体を生じる各管がアクセスされる、請求項4記載
    の方法。
  6. 【請求項6】 アクセスされた管より管内容物を回収する段階をさらに含む
    、請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 流出口における液体の産出が一度同定されたら、管流出口の
    位置を記録する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 記録する段階が、紙格子上に管流出口の相対的位置を転写す
    ること、写真を取ること、液体を生じる事象および/または液体を生じた管流出
    口の位置をデジタルスクリーン上にリアルタイムで記録すること、ならびに液体
    を生じなかった乳頭の領域を同定するために乳頭表面に陰性の痕跡をつけること
    、の一つまたは複数を含む、請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 流出口における液体の産出時に管流出口の印付けをする段階
    をさらに含む、請求項1記載の方法。
  10. 【請求項10】 印付けをする段階が、後ほど管流出口を含む場所を同定す
    るためにペンまたは他の標識装置を用いて同定可能な印を付けることを含む、請
    求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 印付けをする段階が、プラグ、チューブ、ワイヤー、糸、
    および縫合糸からなる群より選択される部品を管内に設置することを含む、請求
    項9記載の方法。
  12. 【請求項12】 印が、数時間から数年間の期間の範囲で乳頭表面に存在す
    る、請求項10記載の方法。
  13. 【請求項13】 流出口の正確な位置を識別すること、流出口の方向を識別
    すること、または管のその後のカニューレ挿入を容易にするために管の近位領域
    を拡大することの一つまたはそれ以上を達成するために、医療用拡張器に液体を
    生じる管流出口を接触させることをさらに含む、請求項1記載の方法。
  14. 【請求項14】 乳頭を吸引する段階、吸引時に液体を生じる少なくとも一
    つの管流出口の位置を決定する段階であって該吸引時に液体を生じる管がガンの
    危険性が比較的高い段階、ならびに吸引により生じる乳頭表面において、液体を
    生じる管から出現する、乳頭表面の任意の他の管から生じる液体とは混合してい
    ない液体のしずくを回収する段階を含む、乳房における乳管のガン危険状態を識
    別する方法。
  15. 【請求項15】 液体を生じる任意の他の管の液体とは別に、液体を生じる
    管から採集された液体を解析する段階をさらに含む、請求項14記載の方法。
  16. 【請求項16】 液体を生じることが一度同定されたら、乳頭表面における
    管流出口の位置を記録する段階をさらに含む、請求項14記載の方法。
  17. 【請求項17】 記録する段階が、紙格子上に管流出口の相対的位置を転写
    すること、写真を取ること、液体を生じる事象および/または液体を生じる管流
    出口の位置をデジタルスクリーン上にリアルタイムで記録すること、ならびに液
    体を生じなかった乳頭の領域を同定するために乳頭表面に陰性の痕跡をつけるこ
    との一つまたはそれ以上を含む、請求項16記載の方法。
  18. 【請求項18】 流出口における液体の産出時に管流出口を印付けする段階
    をさらに含む、請求項14記載の方法。
  19. 【請求項19】 印付けする段階が、後ほど管流出口を含む場所を同定する
    ためにペンまたはその他の標識装置を用いて同定可能な印をつけることを含む、
    請求項18記載の方法。
  20. 【請求項20】 印付けする段階が、プラグ、チューブ、ワイヤー、糸、お
    よび縫合糸からなる群より選択される部品を管内に設置することを含む、請求項
    18記載の方法。
  21. 【請求項21】 印が、数時間から数年間の期間の範囲で乳頭表面に存在す
    る、請求項19記載の方法。
  22. 【請求項22】 流出口の正確な位置を識別すること、流出口の方向を識別
    すること、または管のその後のカニューレ挿入を容易にするために管の近位領域
    を拡大することの一つまたはそれ以上を達成するために、医療用拡張器に液体を
    生じる管流出口を接触させることをさらに含む、請求項14記載の方法。
  23. 【請求項23】 乳頭吸引装置、吸引時に液体を生じる管流出口の位置を印
    付けおよび/または記録するシステム、ならびに吸引時に液体を生じる少なくと
    も一つの管流出口を位置決めすることにより乳房における乳管のガン危険状態を
    識別するためのキットの使用説明書を含む、乳房における乳管のガン危険状態を
    識別するためのキット。
  24. 【請求項24】 管アクセス用具、および乳頭吸引時に液体を生じる管へア
    クセスするためのさらなる説明書をさらに含む、請求項23記載のキット。
  25. 【請求項25】 吸引時に液体を生じる管流出口の位置を印付けおよび/ま
    たは記録するシステムが、鉛筆および紙格子、カメラ、印付け用具、デジタル記
    録および画像化装置、乳頭表面に陰性の痕跡をつけるシステム、ならびにそれを
    印付けするために流出口内に設置される部品の一つまたはそれ以上を含む、請求
    項23記載のキット。
  26. 【請求項26】 医療用拡張器をさらに含む、請求項24記載のキット。
  27. 【請求項27】 乳頭吸引装置、乳頭吸引時に液体を生じる管流出口を通じ
    て管へアクセスするための管アクセス用具、ならびに乳頭吸引時に液体を生じる
    少なくとも一つの管流出口の位置を決定することにより乳房における乳管のガン
    危険状態を識別ためのキットの使用説明書およびその流出口を通じて管へアクセ
    スするためのキットの使用説明書を含む、乳房における乳管のガン危険状態を識
    別するためのキット。
  28. 【請求項28】 医療用拡張器をさらに含む、請求項27記載のキット。
  29. 【請求項29】 乳頭吸引装置、管流出口において出現している液体のしず
    くを回収する道具、ならびに乳頭吸引時に液体を生じる少なくとも一つの管流出
    口の位置を決定することにより乳房における乳管のガン危険状態を識別するため
    のキットの使用説明書および任意の他の管から生じる任意の他の液体と採集され
    た液体を混合することなく管流出口において液体のしずくを採集するための説明
    書を含む、乳房における乳管のガン危険状態を識別するためのキット。
  30. 【請求項30】 医療用拡張器をさらに含む、請求項29記載のキット。
  31. 【請求項31】 乳頭吸引に先だってまたはその間に乳房および/または乳
    頭表面を刺激する段階を含む、乳頭吸引時に管液が乳頭表面に移動する可能性を
    最大化する方法。
  32. 【請求項32】 刺激する段階が、装着可能な装置を乳頭表面に接触させて
    設置することを含む、請求項31記載の方法。
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