JP2003524397A - オルガネラ遺伝子産物の示差的発現 - Google Patents

オルガネラ遺伝子産物の示差的発現

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JP2003524397A JP2000605741A JP2000605741A JP2003524397A JP 2003524397 A JP2003524397 A JP 2003524397A JP 2000605741 A JP2000605741 A JP 2000605741A JP 2000605741 A JP2000605741 A JP 2000605741A JP 2003524397 A JP2003524397 A JP 2003524397A
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コリナ ハーンスタッド,
スコット ダブリュー. ミラー,
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Abstract

(57)【要約】 示差的状態(例えば、代謝、呼吸、疾患またはアポトーシス状態)において細胞を比較した場合に、示差的に発現される因子(オルガネラ因子を含む)を同定するための組成物および方法が提供される。好ましい実施形態では、本発明は、ミトコンドリアDNA枯渇(ρ0)細胞および細胞質ハイブリッド(サイブリッド)細胞(例えば、ミトコンドリアサイブリッド細胞)に関する。オルガネラ関連高分子のようなオルガネラ因子の種特異的発現を同定するための本発明の使用が意図される。アルツハイマー病において示差的に発現される種々のヒト遺伝子を含む、オルガネラ関連疾患において示差的に発現されるオルガネラ因子の例もまた開示される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、コントロール細胞と比較して、細胞中のオルガネラに関連した特定
の疾患状態の細胞モデルにおいて示差的に発現される遺伝子、またはオルガネラ
機能に影響すると考えられる種々の化合物または状態に応答した細胞において示
差的に発現される遺伝子によってコードされる因子に関する。オルガネラ関連疾
患において示差的に発現される遺伝子および因子としては、オルガネラ因子、す
なわち、オルガネラにおいて見出される高分子またはオルガネラと会合した高分
子、および直接的または間接的のいずれかで、このような高分子の量および/ま
たは活性に正または負に影響する細胞因子が挙げられる。オルガネラ因子として
は、細胞または生物体の核ゲノムに由来する遺伝子から発現される核酸およびタ
ンパク質、ならびにミトコンドリアまたは葉緑体のようなオルガネラのゲノムか
ら発現される核酸およびタンパク質が挙げられる。本発明において有用な細胞お
よび細胞モデルとしては、サイブリッドおよびロー0(ρ0)細胞が挙げられる
。サイブリッドは、第1細胞株由来の核および第2細胞株由来か、あるいは疾患
もしくは障害に罹患している生物体由来または疾患もしくは障害を発症し易いこ
とが疑われる生物体由来の細胞質成分(これが、オルガネラを含み得る)を有す
る細胞質ハイブリッドである。ρ0細胞は、ミトコンドリアおよび/または葉緑
体のゲノムを排除するように処理された生物体または細胞株由来の細胞である。
示差的発現は、ρ0細胞とコントロール細胞との間;サイブリッドとコントロー
ル細胞との間;1つ以上のストレッサーに曝露された細胞(サイブリッドおよび
ρ0細胞を含む)の間の比較を反映し得る。
【0002】 (発明の背景) 細胞は生命の基本単位であり、そして種々の亜細胞区画(例えば、オルガネラ
)を含む。オルガネラは、代表的に1以上の膜によって他の細胞成分から物理的
に分離され、そして特殊化された細胞機能を実施する、細胞の構造的構成要素で
ある。
【0003】 ミトコンドリアおよび葉緑体は、その自己のDNAゲノムを各々含むので、本
発明に関して特に目的の2つのオルガネラである。これらのオルガネラゲノムは
、オルガネラ機能に必要とされる遺伝子産物の画分、核ゲノムによってコードさ
れるこのような遺伝子産物の残余物(remainder)をコードする。核配
列または個々のオルガネラゲノムにおいて見出された配列によってコードされ得
るミトコンドリアおよび葉緑体の遺伝子産物が、協調的に調節される機構に関し
ては、比較的あまり知られていない(SurpinおよびChory、Essa
ys Biochem.32:113−125、1997)。
【0004】 種々の疾患および障害におけるミトコンドリアの役割が理由で、核またはミト
コンドリアゲノムのいずれか(または両方)に存在する、ミトコンドリア遺伝子
産物をコードしかつこのような疾患および障害において示差的に発現される遺伝
子配列を同定する必要性が存在する。このような疾患および障害の治療的管理に
おいて有用な診断的、予後的および薬理ゲノミクス的(pharmacogen
omic)アッセイにおいてプローブとして使用され得る、このような遺伝子配
列を含む核酸についてもまた必要性が存在する。このような核酸はまた、このよ
うな疾患および障害を処置するために有用な治療的化合物の同定方法(高スルー
プットスクリーニングを含む)において、新規な標的として使用され得る遺伝子
産物を生成するために使用され得る。
【0005】 さらに、作物生産の増大の経済的所望性、およびバイオマスの産生に必須のプ
ロセス(例えば、光合成)における葉緑体の役割の観点から、核または葉緑体ゲ
ノム(または両方)に存在し、異なる環境条件下または外来性の添加された因子
に応答して示差的に発現される葉緑体遺伝子産物をコードする遺伝子配列を同定
する必要性が存在する。このような核酸は、光合成および他のバイオマス産生プ
ロセスを促進または最適化する化合物および条件を同定するための方法において
、新規な標的として使用され得る遺伝子産物を同定および生成するために使用さ
れ得る。
【0006】 多くの困難はまた、真核生物宿主に危害を加えることなく真核生物病原体およ
び寄生生物を殺傷することに関係し、その結果、オルガネラ機能における種に応
じた変化が、新規の抗生物質を開発するために使用され得る。従って、化合物(
特に、真核生物宿主に危害を加えることなく真核生物病原体および寄生生物の成
長を殺傷または緩徐化する、既知または候補の抗生物質である化合物)に応答し
て種−種の様式で示差的に発現される、オルガネラ機能をコードする遺伝子配列
を同定する必要性が存在する。このような核酸は、このような真核生物病原体お
よび寄生生物から生じる疾患および障害を処置するために有用な抗生物質の同定
方法(高スループットスクリーニングを含む)において、新規な標的として使用
され得る遺伝子産物を同定および生成するために使用され得る。
【0007】 本発明は、これらおよび他の必要性を満たす。本発明のこれらおよび他の利点
は、本明細書中に提供される本発明の詳細な説明によって、より明らかとなる。
【0008】 (ミトコンドリア) ミトコンドリア(mitochondrion)(複数形は、mitocho
ndria)として公知のオルガネラは、高等生物の細胞における主要なエネル
ギー供給源である。ミトコンドリアは、広範な多くの細胞性呼吸、酸化プロセス
および代謝プロセスの直接的および間接的な生化学的調節を提供する。これらと
しては、電子伝達系(ETC)活性(これは、アデノシン三リン酸(ATP)の
形態において代謝エネルギーを生成するために酸化的リン酸化を駆動し、そしま
た、細胞内カルシウムホメオスタシスにおける中心的なミトコンドリアの役割の
根底をなす)が挙げられる。増殖している細胞におけるエネルギー生産における
その役割に加えて、ミトコンドリア(または、少なくともミトコンドリア成分)
は、プログラム細胞死(PCD)(アポトーシスとしても公知)に関与する(N
ewmeyerら、Cell 79:353−364、1994;Liuら、C
ell 86:147−157、1996;アポトーシスおよびアポトーシスに
おけるミトコンドリアの役割に関する一般的概説としては、GreenおよびR
eed(Science 281:1309−1312、1998)、Gree
n(Cell 94:695−698、1998)およびKromer(Nat
ure Medicine 3:614−620、1997)を参照のこと)。
【0009】 ミトコンドリアの超微細構造の特徴付けによって、オルガネラと細胞質ゾルと
の間の界面として供されるミトコンドリア外膜、複数の部位でこの外膜への付着
を形成するように見える高度に折り畳まれたミトコンドリア内膜、およびこの2
つのミトコンドリア膜の間の膜間腔の存在が明らかとなった。ミトコンドリア内
膜内の亜区画(subcompartment)は、一般にミトコンドリアマト
リクスと呼ばれる(概説として、例えば、ErnsterおよびSchatz、
J.Cell Biol.91:227s−255s、1981を参照のこと)
。ミトコンドリア内膜の包囲として生じるともともと推定されたクリスタは近年
、三次元電子断層撮影法(three−dimensional electr
on tomography)を使用して、ネットワークを形成し得かつ開口し
た環状の連結によって内膜に接続され得るコンジット様の管を含むものとしても
また特徴付けられた(Perkinsら、Jounal of Structu
ral Biology 119:260−272、1997)。外膜は約10
キロダルトン未満の分子量を有するイオン性溶質および非イオン性溶質に対して
自由に透過性であるが、ミトコンドリア内膜は、多くの低分子(特定のカチオン
を含む)に対して選択的かつ調節された透過性を示し、そして大きな(約10k
Daよりも大きい)分子に対しては不透過性である。
【0010】 (葉緑体) 葉緑体は、植物細胞内で見出されるオルガネラであり、ここにおいて光合成が
行われる。植物細胞の代謝の必須の部分であることに加えて、光合成はその上、
多くの他の生物に影響を与える重要なプロセスである。この理由は、2つの面を
有する:光合成は、大気CO2を生物学的に利用可能な炭水化物(CHO)n分子
に「固定」し、そしてまた、すべての好気性生物によって必要とされるO2を生
成する。
【0011】 ミトコンドリアと同様に、葉緑体は、二重膜(外膜および内膜)を有し、その
自己のDNAを含み、そして細胞質において見出されるのとは異なる翻訳因子(
リボソーム、tRNAなど)を有する(Sugiura、Essays Bio
chem.30:49−57、1995)。電子顕微鏡検査によって、葉緑体は
、ミトコンドリアと同様に、ラメラまたはチラコイド板(thykaloid
disc)として公知の扁平の膜状体を含む、高度に組織化された内部超微細構
造を有することが実証された。しかし、葉緑体は代表的に、ミトコンドリアより
もはるかに大きく;高等植物において、葉緑体は一般に、円柱状の形状であり、
そして長さが約5〜10マイクロメートルおよび直径が0.5〜2マイクロメー
トルの範囲である。特定の組織(例えば、肝臓)において他の組織よりも多数で
存在するミトコンドリアと同様に、葉緑体は、いくつかの組織において他の組織
よりも多くのコピー数を有する。例えば、成熟葉は多くの葉緑体を含み、そして
このような葉における葉緑体DNAの総量は、核DNAの総量の約2倍である(
Jopeら、J.Cell Biol.79:631−636、1978)。
【0012】 (ミトコンドリア電子伝達系、ΔΨ、および孔移行(pore transi
tion)) 電子伝達系(ETC)は、アデノシン三リン酸(ATP)の形態で代謝エネル
ギーを生産するために酸化的リン酸化を駆動するミトコンドリア活性である。E
TC活性を媒介する5つの多サブユニットタンパク質複合体のうちの4つ(複合
体I、III、IVおよびV)はミトコンドリア内膜に位置付けられ;残りのE
TC複合体(複合体II)は、ミトコンドリアマトリクス内に配置される、ET
C内で起こることが公知の少なくとも3つの異なる化学的反応において、陽子は
、ミトコンドリアマトリクスから、内膜を横切って膜間腔まで移動する。この荷
電種の不均衡が約220mVの電気化学的ポテンシャル(陽子原動力(prot
onmotive force)(PMF)といわれる)を生成する。PMF(
これは、しばしば、表記Δpによって表される)は、以下の式: Δp=ΔΨm−ZΔpH(ここでZは、−2.303RT/Fを表す) に従って、ミトコンドリア内膜を横切っての示差的電位(ΔΨm)と示差的pH
(ΔpH)の合計に対応する。Zの値は、ΔpおよびΔΨmがmV単位で表され
、そしてΔpHがpH単位で表される場合、25℃で−59である(例えば、E
rnsterら、1981、J.Cell Biol.91:227s−255
sおよびその中で引用された参考文献を参照のこと)。
【0013】 多くのミトコンドリア機能が、一部または完全にΔΨmに依存する。例えば、
ΔΨmは、ETC複合体VによってATPを産生するために、アデノシン二リン
酸(ADP)のリン酸化のためのエネルギーを提供する(マトリクス内への陽子
の輸送と化学量論的に結び付けられたプロセス)。さらに、ΔΨmはまた、ミト
コンドリア内への細胞質ゾルCa2+の流入の原動力である、ポリペプチドを生成
するためのmRNA分子の翻訳のような基本的な生物学的プロセスでさえ、ΔΨ
mに依存するように思われる(Coteら、J.Biol.Chem.265:
7532−7538、1990)。
【0014】 正常な代謝状態のもとで、内膜は、膜間腔からマトリクスへの陽子の移動に対
して不透過性であり、陽子をマトリクスに戻し得る唯一の手段として、ETC複
合体Vを残している。しかし、変化したミトコンドリア機能に関連した特定の疾
患に付随するミトコンドリア透過性移行(mitochondrial per
eability transition)(MPT)の間に生じるような、ミ
トコンドリア内膜の統合性が損なわれる場合には、陽子は、ATPを生成するこ
となく複合体Vのコンジットをバイパスし得、それによって呼吸とは関連付けら
れない。MPTの間、ΔΨmは崩壊し、そしてミトコンドリア膜は、小さな溶質
(例えば、イオン性のCa2+、Na+、K+、H+)および大きな溶質(例えば、
タンパク質)の両方に対する透過性を選択的に調節する能力を失う。
【0015】 (ミトコンドリア欠損、疾患および障害) ミトコンドリア(または少なくともミトコンドリア成分)は、アポトーシス(
Newmeyerら,Cell 79:353−364,1994;Liuら,
Cell 86:147−157,1996)としても公知のプログラム細胞死
(PCD)に関与する。プログラム細胞死は、神経系の正常な発達および免疫系
の機能に明らかに必要とされる。さらに、いくつかの疾患状態は、不十分なレベ
ルまたは過剰なレベルのアポトーシスに関連すると考えられる(例えば、最初の
例においては癌および自己免疫疾患、ならびに後者の場合においては発作損傷お
よびアルツハイマー病における神経変性)。従って、アポトーシス事象に影響を
与える薬剤(ミトコンドリア成分に関連する事象を含む)は、種々の待機的、予
防的および治療的用途を有し得る。
【0016】 変化または欠損したミトコンドリア活性(ETCの任意の段階での不全を含む
がこれらに限定されない)は、非常に反応性のフリーラジカルの生成をもたらし
得、フリーラジカルは、細胞および組織に損傷を与える可能性を有する。これら
のフリーラジカルとしては、活性酸素種(ROS)(例えば、スーパーオキシド
、ペルオキシニトリルおよびヒドロキシルラジカル)および細胞に対して毒性で
あり得る潜在的に他の反応性種が挙げられ得る。例えば、酸素フリーラジカル誘
導性の脂質過酸化(lipid peroxidation)は、多数の変性疾
患および虚血(すなわち、発作)において見出される中枢神経系(CNS)損傷
における充分に確立された病原性機構である。
【0017】 フリーラジカル媒介性組織損傷に加えて、ミトコンドリア自体に有害な影響を
与えるミトコンドリア機能不全から生じる反応性フリーラジカルへの曝露の少な
くとも2つの有害な結果が存在する。第1に、フリーラジカル媒介性損傷は、E
TCの無数のタンパク質のうちの1つ以上を不活化し得る。第2に、フリーラジ
カル媒介性損傷は、「透過性移行」(PT)または「ミトコンドリア透過性移行
」(MPT)と呼ばれている、破局的ミトコンドリア崩壊をもたらし得る。ミト
コンドリア機能の、一般に受け入れられている理論によれば、適切なETC呼吸
活性は、本明細書中に記載されるように、共役した化学浸透機構によるミトコン
ドリア内膜における電気化学的電位(ΔΨm)の維持を必要とする。フリーラジ
カルの酸化活性は、この膜電位を消失させ得、それによってATP生合成を妨げ
、そして生体の生化学的エネルギー源の産生を停止させる。さらに、ミトコンド
リアタンパク質(例えば、シトクロムcおよび「アポトーシス誘導因子」)は、
透過性移行後にミトコンドリアから漏出し得、そしてアポトーシスまたはプログ
ラム細胞死(PCD)として公知の、遺伝的にプログラムされた細胞自殺という
結果を誘導し得る。それゆえ、フリーラジカル誘導性損傷(例えば、脂質過酸化
)の単なる決定は、ミトコンドリア機能不全の正確なまたは早期の指標ではない
【0018】 ミトコンドリア関連疾患に特有の変化したミトコンドリア機能はまた、フリー
ラジカル酸化以外の機構によるミトコンドリア膜電気化学的電位の喪失に関連し
得、そして透過性移行は、ミトコンドリア遺伝子、遺伝子産物もしくは関連の下
流のメディエーター分子および/またはミトコンドリア外の遺伝子、遺伝子産物
もしくは関連の下流のメディエーターの直接的または間接的な効果から、あるい
は他の公知または未知の原因から生じ得る。それゆえ、ミトコンドリア電位の喪
失は、変性疾患を含む、変化したミトコンドリア機能に関連した疾患の進行にお
いて重大な事象であり得る。
【0019】 ミトコンドリアDNAに存在する別個のミトコンドリアゲノムに関連する欠損
および/またはミトコンドリア外ゲノム(これは、核染色体DNAおよび他のミ
トコンドリア外DNAを含む)に関連する欠損を含み得る、ミトコンドリア欠損
は、変化したミトコンドリア機能に関連した疾患の病因に大いに寄与し得る。例
えば、ミトコンドリアDNAおよび/またはミトコンドリア外DNAによって直
接的または間接的にコードされるサブユニットを含む、ミトコンドリア成分の構
造的および/または機能的特性における変化(遺伝的および/もしくは環境的因
子に由来する変化または細胞代償機構に由来する変化を含む)は、変化したミト
コンドリア機能に関連した任意の疾患の病因において役割を果たし得る。多数の
変性疾患、過剰増殖性疾患および他の型の疾患は、ミトコンドリア機能における
変化によって引き起こされるかまたはその変化に関連すると考えられる。これら
としては、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンティングトン病、
糖尿病および過剰増殖性障害(例えば、癌、腫瘍および乾癬)が挙げられる。ミ
トコンドリア関連疾患、すなわち、変化したミトコンドリア機能および/または
ミトコンドリア変異に関連した疾患の大規模なリストは、異常なミトコンドリア
またはミト核(mitonuclear)活性が特定の疾患プロセスに関連して
いるので、膨張し続けている。
【0020】 (発明の要旨) 本発明は、コントロール細胞と比較して細胞中のオルガネラに関連する特定の
疾患状態の細胞モデルにおいて、またはオルガネラの機能に影響を与えると考え
られる種々の化合物もしくは状態に応答して細胞において、または種特異的様式
で、示差的に発現される遺伝子によってコードされる因子に関する。手短に述べ
ると、本発明は、オルガネラの機能に直接的もしくは間接的に影響を与える因子
、またはオルガネラ関連疾患およびオルガネラ関連障害(ミトコンドリア関連疾
患および障害を含むがこれらに限定されない)において過剰発現もしくは過少発
現する因子を同定するための方法を提供する。オルガネラ関連疾患において示差
的に発現される遺伝子および因子としては、オルガネラ因子(すなわち、オルガ
ネラ内に見出されるかまたはオルガネラに会合した高分子、ならびにこのような
高分子の量および/または活性に直接的または間接的のいずれかで負または正に
影響を与える細胞因子)が挙げられる。オルガネラ因子は、オルガネラ内に見出
されるかまたはオルガネラに会合した高分子であり得、またはこのような高分子
の量および/もしくは活性に直接的もしくは間接的のいずれかで負または正に影
響を与える細胞因子であり得る。このような因子(例えば、遺伝子産物)として
は、細胞または生物体の核ゲノムに由来する遺伝子から発現される核酸およびタ
ンパク質、ならびにオルガネラ(例えば、ミトコンドリアまたは葉緑体)のゲノ
ム(例えば、核外ゲノム)から発現される核酸およびタンパク質が挙げられる。
特に興味深いのは、特定の疾患状態において、種々の化合物もしくは状態に応答
して、または種特異的様式で、示差的に発現される核酸である。
【0021】 従って、1つの局面では、本発明は、示差的に発現される遺伝子によってコー
ドされるオルガネラ因子を同定するための方法を提供し、この方法は、第1状態
の少なくとも1つの細胞を提供する工程、第2状態の少なくとも1つの細胞を提
供する工程、このような細胞における遺伝子の発現を決定する工程、および第2
状態の細胞と比較して第1状態の細胞において示差的に発現される遺伝子を同定
する工程を包含する。いずれかの状態の細胞は、オルガネラの機能に影響を与え
ることが公知であるかまたはそのように考えられている1以上のストレッサーで
処理され得、そして他方の状態の細胞は、コントロールの(例えば、未処理の)
細胞であり得る。
【0022】 別の局面では、本発明は、操作された細胞において示差的に発現されるオルガ
ネラ遺伝子を同定するための方法を提供し、この方法は、操作された細胞ではな
い少なくとも1つの第1細胞を提供する工程、操作された細胞である少なくとも
1つの第2細胞を提供する工程、第1細胞および第2細胞における遺伝子の発現
を決定する工程、ならびに第2細胞と比較して第1細胞において示差的に発現さ
れる遺伝子を同定する工程を包含する。操作された細胞としては、(a)ρ0
胞およびサイブリッド細胞、(b)オルガネラの機能に直接的または間接的に影
響を与えることが公知であるかまたはそのように考えられている因子を過剰発現
または過少発現するように遺伝子操作されている細胞、ならびに(c)オルガネ
ラの機能ならびに/またはオルガネラの機能および疾患もしくは障害に関連する
因子の発現に影響を与える薬剤(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)で
処理されている細胞が挙げられるがこれらに限定されない。操作された細胞とし
てはまた、(a)、(b)および(c)のうちの2以上のカテゴリーに入る細胞
が挙げられる;これらのカテゴリーは、互いに排他的というわけではない。サイ
ブリッド細胞株における遺伝子発現を、サイブリッドを調製したρ0細胞に対し
て比較することもまた可能である。
【0023】 上記の段落のカテゴリー(c)(すなわち、オルガネラの機能ならびに/また
はオルガネラの機能および疾患もしくは障害に関連する因子の発現に影響を与え
る薬剤(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)で処理されている細胞)に
関連する本発明の1つの局面では、アポトーシスの間に示差的に発現される核酸
を同定するための方法が提供され、この方法は、アポトーシス状態にはない少な
くとも1つの第1細胞を提供する工程、アポトーシス状態にある少なくとも1つ
の第2細胞を提供する工程、第1細胞および第2細胞における遺伝子の発現を決
定する工程、ならびに上記の第2細胞と比較して第1細胞において示差的に発現
される遺伝子を同定する工程を包含する。アポトーシスは、以下で詳述するよう
に、種々の処理によって誘導され得る。本発明の関連する局面では、他の薬剤(
アポトーゲン(apoptogen)を含む)は、アポトーシスが誘導されない
濃度で、オルガネラの機能をもたらし得るか、変更(例えば、増加もしくは減少
)し得るか、影響を与え得るかさもなければ調節し得る。このような化合物の例
としては、ルテニウムレッド(Ruthenium Red)(これは、ミトコ
ンドリアカルシウムユニポータの作用をブロックする);イオン(例えば、Ca ++ )の細胞内濃度を増加させるイオノフォア(例えば、イオノマイシン);なら
びに電子伝達系の脱共役剤および/またはブロッカーが挙げられるがこれらに限
定されない。
【0024】 種特異的様式で示差的に発現される核酸を同定するための方法を提供すること
は本発明の別の局面であり、この方法は、第1の種由来の少なくとも1つの細胞
を提供する工程、第2の種由来の少なくとも1つの細胞を提供する工程、第1の
種由来の細胞および第2の種由来の細胞における遺伝子の発現を決定する工程、
ならびに第2の種由来の細胞と比較して第1の種由来の細胞において示差的に発
現される遺伝子を同定する工程を包含する。本発明のこの局面は、候補の種特異
的薬剤が、1つの種においては関連する(相同な)遺伝子の発現に影響を与える
が、他方の種においては影響を与えない能力について試験される方法を包含する
。この細胞は、オルガネラの機能ならびに/またはオルガネラの機能および疾患
もしくは障害に関連した因子の発現に影響を与える薬剤でさらにまたは代替的に
処理され得、そして操作された細胞(ρ0細胞およびサイブリッド細胞を含むが
これらに限定されない)であり得る。
【0025】 従って、そして本明細書中に提供されるように、特定の局面では、本発明は、
示差的に発現される遺伝子によってコードされる因子を同定するための方法を提
供し、この方法は、(i)第1状態の少なくとも1つの第1細胞における複数の
遺伝子の発現を、(ii)第2状態の少なくとも1つの第2細胞における複数の
遺伝子の発現に対して比較し、それによって、上記の第2状態と比較して上記の
第1状態で示差的に発現される遺伝子を同定する工程、およびそこから、示差的
に発現される遺伝子によってコードされる因子を同定する工程を包含する。1つ
の実施形態では、第1細胞は、操作された細胞であり、そして特定のさらなる実
施形態では、第2細胞は操作された細胞である。特定のさらなる実施形態では、
操作された細胞は、サイブリッド細胞であり、一方、特定の他の実施形態では、
操作された細胞はρ0細胞である。1つの実施形態では、第1細胞は、操作され
た細胞であり、そして第2細胞は操作された細胞であり、そして特定のさらなる
実施形態では、上記の第1および第2細胞のうちの少なくとも一方は、サイブリ
ッド細胞である。特定の他のさらなる実施形態では、上記の第1および第2細胞
の両方はサイブリッド細胞である。別の実施形態では、上記の第1および第2細
胞のうちの少なくとも一方は、ρ0細胞であり、そして別の実施形態では、上記
の第1および第2細胞の両方はρ0細胞である。
【0026】 特定の実施形態では、この因子は、オルガネラ因子であり、この因子は、特定
の実施形態ではタンパク質であり、そして特定の他の実施形態では、核酸である
。特定の他の実施形態では、この因子は、オルガネラ関連疾患において示差的に
発現される。特定の他の実施形態では、この因子は、少なくとも1つのオルガネ
ラの機能(これは、特定のさらなる実施形態では、ミトコンドリア機能であり、
そして特定のなおさらなる実施形態では、電子伝達系活性、酸化的リン酸化、A
TP産生、細胞内カルシウム恒常性、アポトーシス、ミトコンドリア透過性移行
またはフリーラジカル産生である)を変更する薬剤での処理に応答して示差的に
発現される。特定の他の実施形態では、この因子は、ストレッサーまたはアポト
ーゲンである薬剤での処理に応答して示差的に発現される。特定の他の実施形態
では、この因子は、種特異的様式において示差的に発現される。
【0027】 なお別の実施形態では、第1状態および第2状態は異なっており、そして第1
状態および第2状態のうちの少なくとも一方は、疾患状態である。1つのこのよ
うな実施形態では、この疾患は、オルガネラ関連疾患である。別の実施形態では
、第1状態および第2状態は異なっており、そして第1状態および第2状態のう
ちの少なくとも一方は、ストレッサーに対する応答であり、ストレッサーは、特
定のさらなる実施形態では、分子であり、そして特定の他のさらなる実施形態で
は、環境因子である。本発明の特定の実施形態では、比較する工程は、第1およ
び第2細胞の各々におけるmRNAを決定する工程を含むが、特定の他の実施形
態では、比較する工程は、第1および第2細胞の各々におけるタンパク質を決定
する工程を含む。特定の実施形態によれば、第1および第2細胞は、同じクロー
ンに由来し、一方、特定の他の実施形態では、第1および第2細胞は、異なる種
に由来する。別の実施形態では、第1状態および第2状態は異なっており、そし
て第1および第2状態のうちの少なくとも一方は、代謝状態、呼吸状態、細胞周
期状態、病原性状態、分化状態、成熟状態、遺伝状態、アポトーシス状態、興奮
毒性状態または薬理学的状態である。
【0028】 別の実施形態では、本発明は、疾患を診断する方法を提供し、この方法は、こ
の疾患を有することが疑われる個体由来の生物学的サンプルを、示差的に発現さ
れる遺伝子によってコードされる因子を同定するための上記の方法に従って同定
された少なくとも1つの因子と接触させる工程を包含し、この同定するための方
法は、(i)第1状態にある少なくとも1つの第1細胞における複数の遺伝子の
発現を、(ii)第2状態にある少なくとも1つの第2細胞における複数の遺伝
子の発現に対して比較し、それにより、上記の第2状態と比較して、上記の第1
状態において示差的に発現される遺伝子を同定する工程、およびそれによって、
示差的に発現される遺伝子によってコードされる因子を同定する工程を包含する
。1つの実施形態では、この因子は核酸であり、これは、特定のさらなる実施形
態では、配列番号8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、
18、19、20、21もしくは22の配列;配列番号8、9、10、11、1
2、13、14、15、16、17、18、19、20、21もしくは22の逆
相補体;またはそれらの等価物を有し得る。
【0029】 疾患を診断する方法を提供することは本発明の別の局面であり、この方法は、
この疾患を有することが疑われる個体由来の生物学的サンプルを、示差的に発現
される遺伝子によってコードされる因子を同定するための上記の方法に従って同
定された因子と特異的に結合する抗体と接触させる工程を包含し、この同定する
ための方法は、(i)第1状態にある少なくとも1つの第1細胞における複数の
遺伝子の発現を、(ii)第2状態にある少なくとも1つの第2細胞における複
数の遺伝子の発現に対して比較し、それにより、上記の第2状態と比較して、第
1状態において示差的に発現される遺伝子を同定する工程、およびそれによって
、示差的に発現される遺伝子によってコードされる因子を同定する工程を包含す
る。さらなる実施形態では、この因子はタンパク質である。
【0030】 別の局面では、本発明は、サイブリッド細胞株1685、ATCC 2071
49およびATCC 207150を提供する。
【0031】 本発明のこれらおよび他の局面は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照
して明らかになる。
【0032】 (頻繁に使用される記号および略語) ΔΨ、ΔΨm ミトコンドリア膜電位 ΔpH ミトコンドリア内膜を横切ってのpH差 AD アルツハイマー病 ETC 電子伝達系 MixCon 混合されたコントロール MPT ミトコンドリア透過性移行 mtDNA ミトコンドリアDNA NAO ノニルアクリジンオレンジ PD パーキンソン病 PMF、Δp プロトン駆動力 ロー0、ρ0 mtDNAを欠く (発明の詳細な説明) 特定の実施形態では、本発明は、オルガネラの機能を直接的もしくは間接的に
変更するかもしくは影響を与える;および/または特定の疾患状態(本明細書中
に記載されるオルガネラ関連疾患および障害を含む、オルガネラ関連疾患および
障害を含む)において示差的に発現される;および/または1以上のオルガネラ
の機能に直接的もしくは間接的に影響を与えると考えられるかもしくは影響を与
えることが公知である1以上の因子での処置に応答して示差的に発現される;お
よび/または第2の種に由来する細胞と比較して、1つの種に由来する細胞(操
作された細胞を含む)において示差的に発現される;および/または種々のスト
レッサーに応答してもしくは種特異的様式で示差的に発現される遺伝子によって
コードされるオルガネラ因子を同定する方法に関する。「示差的に発現される」
によって、遺伝子が、1つの細胞型においてまたはあるセットの条件において、
別の細胞または条件と比較して、過剰発現または過少発現されることを意味する
;従って、特定の実施形態では、対応する遺伝子産物は、1つの細胞型において
、またはあるセットの条件下で、別の細胞型または条件よりも多量に存在する。
【0033】 従って、本発明は、因子を同定するための方法を提供し、この因子は、直接的
にかまたは間接的にオルガネラ機能に影響を与える、本明細書中に提供されるよ
うなオルガネラ因子を含むか、あるいはオルガネラ関連疾患および障害(ミトコ
ンドリア関連疾患およびミトコンドリア関連障害が挙げられるがこれらに限定さ
れない)において、過剰発現または過少発現される。上で注目したように、オル
ガネラ因子は、オルガネラ内で見出されるかまたはオルガネラと関連する高分子
、あるいはこのような高分子の量および/または活性に、直接的かまたは間接的
かのいずれかで、ネガティブにかまたはポジティブに影響を与える、細胞因子で
あり得る。このような因子(例えば、遺伝子産物)としては、細胞または生物の
核ゲノム由来の遺伝子から発現される核酸およびタンパク質、ならびにミトコン
ドリアまたは葉緑体のようなオルガネラのゲノムから発現される核酸およびタン
パク質が挙げられる。特に興味深いものは、種々の化合物または条件に応答して
、あるいは種特異性の様式で、特定の疾患状態において、示差的に発現される核
酸である。従って、本明細書中に提供されるようなオルガネラ関連疾患において
、示差的に発現される遺伝子および因子は、オルガネラ因子を含む。
【0034】 本発明の1つの局面において、因子を同定するための方法が提供され、この因
子は、特定の実施形態においては、示差的に発現される遺伝子によりコードされ
るオルガネラ因子であり、この方法は、第一段階における少なくとも1つの細胞
を提供する工程、第二段階における少なくとも1つの細胞を提供する工程、この
ような細胞において遺伝子の発現を決定する工程、および第二段階の細胞に対し
て第一段階の細胞において、示差的に発現される遺伝子を同定する工程を包含す
る。いずれかの段階における細胞は、オルガネラ機能に影響を与えることが公知
であるかまたはそう考えられる、1つ以上のストレッサーで処理され得、そして
他の段階における細胞は、コントロール(処置なし)細胞であり得る。本明細書
中に提供されるような細胞の段階は、細胞の生物学的または生理学的な状態また
は条件を含み、例えば、代謝状態、呼吸状態、細胞周期(例えば、有糸分裂状態
)、病理状態、分化状態、成熟状態、遺伝状態(例えば、倍数性、ホモプラスミ
ー状態、ヘテロプラスミー状態、核遺伝状態、細胞外遺伝状態など)、アポトー
シス状態、電気化学的状態、接着状態、活性化状態、興奮毒性状態または病理学
的状態などである。好ましくは、第一段階および第二段階は、特定の疾患状態に
関して異なり、これは、特定の実施形態において、オルガネラ関連疾患状態であ
り得る。他の特定の実施形態において、第一段階および第二段階は、ストレッサ
ーの存在および/または効果に関して、異なり得る。ストレッサーは任意のスト
レッサーであり得るが、好ましくは、分子または環境因子である。決定する工程
は、好ましくは、第一段階の細胞内、あるいは第二段階の細胞内、好ましくは両
方の段階の細胞内の、mRNAまたはタンパク質を決定する工程を包含する。好
ましくは、第一段階における細胞および第二段階における細胞は、クローンによ
り誘導され、そして/または同じ生物体由来である。同定する工程は、好ましく
は、第一段階における細胞内および第二段階における細胞内の、mRNAまたは
タンパク質を比較する工程を包含する。従って、本発明の特定の好ましい実施形
態において、本明細書中に提供されるようなオルガネラ因子である、示差的に発
現される因子を同定する方法が提供される。
【0035】 別の局面において、本発明は、操作された細胞内で示差的に発現される遺伝子
(例えば、オルガネラ遺伝子)を同定する方法を提供し、この方法は、操作され
た細胞ではない少なくとも1つの第1細胞を提供する工程、操作された細胞であ
る少なくとも1つの第2細胞を提供する工程、第1細胞および第2細胞における
、遺伝子の発現を決定する工程、ならびに第2細胞に対して第1細胞において示
差的に発現される遺伝子を同定する工程を包含する。操作された細胞としては、
以下が挙げられるが、これらに限定されない:(a)ρ0およびサイブリッド細
胞、(b)オルガネラ機能に直接的にかまたは間接的に影響を与えることが公知
であるか、またはそう考えられる因子を、過剰発現または過少発現するよう遺伝
的に操作された、細胞、ならびに(c)オルガネラ機能および/またはオルガネ
ラ機能に関連する因子の発現ならびに疾患または障害に影響を与える薬剤(例え
ば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)で処理された、細胞。操作された細胞は
また、これらのカテゴリー(a)、(b)および(c)の2つ以上に含まれる細
胞を含む;これらのカテゴリーは、互いに排他的ではない。
【0036】 上記段落のカテゴリー(c)(オルガネラ機能および/またはオルガネラ機能
に関連する因子の発現ならびに疾患または障害に影響を与える薬剤(例えば、ア
ンチセンスオリゴヌクレオチド)で処理された、細胞)に関連する、本発明の局
面において、アポトーシスの間に示差的に発現される核酸を同定するための方法
が提供され、この方法は、アポトーシス状態にない少なくとも1つの第1細胞を
提供する工程、アポトーシス状態にある少なくとも1つの第2細胞を提供する工
程、第1細胞および第2細胞における遺伝子の発現を決定する工程、ならびに第
2細胞に対して第1細胞において示差的に発現される遺伝子を同定する工程を包
含する。アポトーシスは、以下に詳述するように、種々の処置により誘導され得
る。本発明の関連する局面においては、オルガネラ機能に衝撃を与える他の薬剤
(アポトーゲン(apoptogen)をアポトーシスが誘導されない濃度で含
む)である。このような化合物の例としては、以下が挙げられるが、これらに限
定されない:ルテニウムレッド(これは、ミトコンドリアカルシウムユニポータ
ーの作用をブロックする);イオノマイシンのようなイオノフォア(これは、C
++のようなイオンの細胞内濃度を増加させる);ならびに電子伝達系のための
脱共役剤およびブロッカー。
【0037】 本発明はまた、別の局面において、種特異的様式で示差的に発現される核酸を
同定するための方法を提供し、この方法は、第1種由来の少なくとも1つの細胞
を提供する工程、第2種由来の少なくとも1つの細胞を提供する工程、第1種由
来の細胞および第2種由来の細胞において遺伝子の発現を決定する工程、ならび
に第2種由来の細胞と比較した場合に、第1種由来の細胞において示差的に発現
される遺伝子を同定する工程を包含する。本発明のこの局面は、候補種特異性薬
剤が、1つの種においては関連する(相同性の)遺伝子の発現に衝撃を与え、他
の種については衝撃を与えない能力に関して、試験される、方法を含む。これら
の細胞は、さらにまたは代替的に、オルガネラ機能および/またはオルガネラ機
能に関連する因子の発現、ならびに障害または疾患に影響を与える薬剤で処理さ
れ得、そして操作された細胞(ρ0およびサイブリッド細胞が挙げられるがこれ
らに限定されない)であり得る。
【0038】 (定義および一般的方法) 以下の定義および一般的方法は、本発明に適用可能である。他に定義されない
限り、本明細書中で使用される全ての技術および科学的用語は、本発明が属する
技術の当業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。一般に、本明細書
中において使用される命名法、ならびに以下に記載される、細胞培養、化学、微
生物学、分子生物学、細胞科学および細胞培養における実験室手順は周知であり
、当該分野において通常使用される。従来の方法(例えば、当該分野および種々
の一般的参考文献(Sambrookら、Molecular Cloning
:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring
Harbor Press、Cold Spring Harbor、N.Y
.(1989))において提供されるような方法)が、これらの手順のために使
用される。用語が単数形で提供される場合には、本発明者らはまた、この用語の
複数をも意図する。本明細書中において使用される命名法および以下に記載され
る実験室手順は、周知であり、当該分野において通常使用されるものである。
【0039】 (示差的に発現される核酸の検出) 示差的に発現される核酸を検出するための種々の方法および手段が、本発明の
方法において使用され得る。ディファレンシャルディスプレイ(DD)および定
量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(Q−RTPCR)が、本開示の実施例
に詳細に記載される;いくつかの他の方法および手段としては、限定されないが
、以下の方法論が挙げられる。示差的に発現される候補遺伝子を最初に同定する
ために使用される方法にかかわらず、第二の独立した方法が好ましくは使用され
て、第一の方法から得た結果を確証することが、注目されるべきである。
【0040】 (サブトラクティブハイブリダイゼーション):参照細胞(例えば、対応する
正常組織由来の細胞)のサンプルの活性遺伝子と比較した場合の、試験細胞また
は標的細胞(例えば、腫瘍組織由来)の特定のサンプルの活性遺伝子における差
異を調査するための、サブトラクティブハイブリダイゼーションの技術(Hed
rickら、Nature 308:149−153、1984)を適用するた
めの代表的な手順において、全細胞mRNAが、両方の細胞のサンプルから(任
意の好ましい方法を使用して)抽出される。次いで、試験細胞または標的細胞か
らの抽出物中のmRNAを、従来の様式で使用して、対応する一本鎖cDNAを
、適切なプライマーおよび逆トランスクリプターゼを使用して、必要なデオキシ
ヌクレオシドトリホスフェートの存在下で合成し、引き続いてテンプレートmR
NAを、アルカリ加水分解またはRNase Hにより分解して、この一本鎖c
DNAのみを残す。次いで、試験細胞または標的細胞により発現されるmRNA
からこのように誘導される一本鎖cDNAを、ハイブリダイズ条件下で、参照(
正常)細胞からの過剰量のmRNA抽出物と混合する;このmRNAは、一般に
、サブトラクティブハイブリダイゼーション「ドライバー」と呼ばれる。なぜな
ら、サブトラクティブプロセスを「駆動」するのは、過剰に存在するこのmRN
Aかまたは他の一本鎖核酸であるからである。その結果として、共通の相補配列
を有するcDNA鎖は、mRNA鎖とアニーリングして、mRNA/cDNA二
重鎖を形成し、従って存在する一本鎖種から差し引かれる。これにより、唯一の
残存する一本鎖DNAは、試験細胞または標的細胞により単独で発現される遺伝
子により産生されるmRNAに特異的に由来する、独自のcDNAである。
【0041】 この時点以降、サブトラクティブプロセスを完了するため、および独自の一本
鎖cDNAを使用するため、例えば、次いで恐らくcDNAクローンコロニーに
おいて対応するクローン化コピーを検出または同定するために使用され得る標識
プローブ(このようなプローブの標識は頻繁に、cDNAの合成において標識デ
オキシヌクレオシドトリホスファターゼを使用することにより、導入される)を
生成するために、共通のmRNA/cDNA二重鎖を、例えばヒドロキシアパタ
イト(HAP)または(ストレプト)アビジン−ビオチンを使用して、クロマト
グラフィー分離法において物理的に分離することが、一般に必要である。最後に
、サブトラクティブハイブリダイゼーションの1つ以上の繰り返し区切りが実施
されて、所望の産物の回収の程度を改善し得るが、他の手段が使用され得る(例
えば、米国特許第5,589,339号を参照のこと)。
【0042】 (高密度アレイ):複数サンプルの核酸ハイブリダイゼーション分析を、マイ
クロ形式の多重デバイスまたはマトリックスデバイス(例えば、DNAチップま
たはRNAチップ、フィルタおよびマイクロアレイ)において実施し得る(例え
ば、Bains、Bio/Technology 10:757−758、19
92を参照のこと)。これらのハイブリダイゼーション形式は、従来の「ドット
ブロット」および「サンドイッチ」ハイブリダイゼーション系の、マイクロスケ
ール版である。これらの方法において、特定のDNA配列が、代表的に、固体支
持体の非常に小さな特定の領域に取り付けられるか、またはそこで合成されて、
多数の異なるDNA配列が、小さな領域に配置されることを可能にする。この高
密度アレイは、標的エレメント(すなわち、固体支持体に結合した標的核酸分子
)を含む。標的エレメントおよびプローブの両方のための核酸は、例えば、RN
A、DNA、またはcDNAであり得る。1つの型のアレイにおいては、mRN
A、cDNAまたはEST配列由来の短鎖の合成オリゴヌクレオチドである核酸
エレメントを含む標的エレメントが使用されて、遺伝子発現の系列分析が実施さ
れる(SAGE:米国特許第5,866,330号)。
【0043】 2つの核酸コレクションを比較するための方法において、試験コレクションお
よびコントロールコレクション(これは、例えば、疾患したヒトおよび疾患して
いないヒト由来のmRNA調製物であり得る)中の核酸分子が検出可能に標識さ
れる。このように形成した第1および第2の標識プローブは、各々が、複数の標
的エレメントを含む同一の高密度アレイに、標的エレメントへの核酸のハイブリ
ダイゼーションが起こり得るような条件下で、接触される。
【0044】 プローブを標的エレメントに接触させた後に、2つのアレイの各々における各
標的エレメントへの結合の量が測定され、そして結合比(すなわち、疾患サンプ
ルにおいて結合した量/コントロールサンプルにおいて結合した量)を、各標的
エレメントに対して決定する。1より大きい結合比は、特定の標的エレメントに
ハイブリダイズする核酸が、コントロール個体から調製した核酸に対して、疾患
した患者から調製した核酸コレクションにおいて「アップレギュレート」される
ことを示し、一方で1より小の結合比は、特定の標的エレメントにハイブリダイ
ズする核酸が、疾患した患者において「ダウンレギュレート」されることを示す
【0045】 本発明において使用され得る高密度cDNAアレイとしては、以下が挙げられ
るが、これらに限定されない:合成オリゴヌクレオチドを含むGeneChip TM アレイ(Affymetrix,Inc.、Santa Clara、CA)
;GeneFiltersTM酵母またはヒトcDNAアレイ(Research
Genetics、Huntsville、AL);ATLASTM cDNA
アレイ(Clontech);ならびにGEMTMおよびGene Displa
y Array(GDA)cDNAアレイ(Genome Systems,I
nc.、St.Louis、MO)。さらに、マイクロアレイアー(マイクロア
レイを製造する機械)を構築するための1つの方法が、http://cmgm
.stanford.edu/pbrown/mguide/index.ht
mlにおいてオンラインで利用可能である。
【0046】 1つの型の高密度アレイは、電子ハイブリダイゼーションを使用する。すなわ
ち、サンプルDNA分子を、正電荷により電子的に活性化され得るマイクロチッ
プ上の試験部位に指向し、そしてこれらの分子をそこで濃縮する方法である。溶
液中のDNA分子は強い負電荷を有するので、これらは活性化部位に引き付けら
れる。各試験部位におけるサンプルDNA分子の電子ハイブリダイゼーションは
、サンプルDNAの、標的エレメントの核酸との迅速なハイブリダイゼーション
を促進する。電子ハイブリダイゼーションの材料は、Nanogen(San
Diego、CA)から入手可能であり、そして方法は、米国特許第5,849
,486号に記載される。
【0047】 (操作された細胞) 本開示において、用語「操作された細胞」とは、ヒトの操作により変更された
細胞をいい、このような操作は、しばしばインビトロで生じる(が必ずしも必要
ではない)。操作された細胞としては、サイブリッド、ρ0細胞、および1つの
様式または別の様式で遺伝的に操作された細胞が挙げられるが、これらに限定さ
れない。
【0048】 細胞質成分(これは代表的に、ミトコンドリアまたは葉緑体のようなオルガネ
ラを含む)を有する細胞ハイブリッド(サイブリッド)を、1つの細胞株および
別の細胞株由来の核成分から調製することは、当該分野において公知である。こ
のようなサイブリッドを用いる実験は、疾患細胞に関連する細胞欠損症が、細胞
質エレメント(ミトコンドリア)とともに、疾患細胞からサイブリッドへと移入
されることを実証した。この様式で細胞質成分を有することが実証されたヒト疾
患としては、アルツハイマー病およびパーキンソン病が挙げられる(Swerd
lowら、Neurology 49:918−925、1997;Davis
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)94:4526−45
31、1997;Swerdlowら、Annals of Neurolog
y 40:663−671、1996)。
【0049】 本発明のいくつかの実施形態において、示差的に発現される因子は、「コント
ロールサイブリッド」(すなわち、目的の疾患を有さない1つ以上の個体由来の
細胞質成分を有するサイブリッド)において観察される発現のパターンとは異な
る、「疾患サイブリッド」(すなわち、目的の疾患を有することが既知であるか
または目的の疾患を有することが疑われる1つ以上の個体由来の細胞質成分を有
するサイブリッド)における発現のパターンを有する、因子であると定義される
。サイブリッド細胞を、オルガネラ機能に関与する因子の示差的な発現を同定す
るよう設計された実験のために使用することの1つの利点は、疾患サイブリッド
およびコントロールサイブリッドが、共通して誘導される核成分を共有すること
である。従って、種々のサイブリッド間の発現パターンの差異は、細胞質成分の
差異のみに起因し、核ゲノムの差異には起因しないようである。
【0050】 動物細胞に関して、1つの細胞型の核および別の細胞型由来のオルガネラ(ミ
トコンドリア)を含む細胞ハイブリッド(サイブリッド)を調製するための方法
は、記載されている(公開されたPCT出願番号PCT/US95/04063
、米国特許出願番号09/069,489、および米国特許第5,840,49
3号(これらは全て、本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。本
発明の特定の実施形態において、区別可能なサイブリッド細胞株を使用して、示
差的な発現実験を実施する(米国特許出願番号08/397,808、現在は米
国特許第5,888,498号(本明細書中に参考として援用される)を参照の
こと)。
【0051】 サイブリッド植物細胞もまた記載されている(例えば、米国特許第4,751
,347号および同第5,360,725号(本明細書中に参考として援用され
る)を参照のこと)。本発明の1つの実施形態において、植物サイブリッドを示
差的発現実験において使用して、植物におけるオルガネラ(ミトコンドリアおよ
び/または葉緑体)の機能に関連する因子を同定する。本発明の別の実施形態に
おいて、野生型の葉緑体を有する植物細胞に対して、遺伝的に操作された葉緑体
(米国特許第5,693,507号(本明細書中に参考として援用される))を
含む植物細胞において示差的に発現される因子が、同定される。本発明のこれら
の実施形態により同定される因子は、農業用適用(例えば、寿命、生産能力の増
加、および/または作物の殺虫剤もしくは除草剤など)のために有用である。
【0052】 一般に、サイブリッドは、ミトコンドリアを欠く細胞を最初に調製することに
より、調製される;このような細胞は、ρ0細胞として公知である。本発明のさ
らなる実施形態において、示差的に発現される因子は、親ρ+(ミトコンドリア
含有)細胞において観察される発現のパターンとは異なる、ρ0細胞における発
現のパターンを有する、因子であると定義される。種々の細胞型(動物、真菌類
など)について、ρ0細胞を調製するための方法は、当該分野において公知であ
る。例により、そして限定ではなく、酵母ρ0細胞は、エタノール処理により調
製され得(IbeasおよびJimenez、Appl.Environ.Mi
crobiol.63:7−12、1997)、そして種々の哺乳動物ρ0細胞
は、ジテルカリニウム(Ionueら、Biochem.Biophys.Re
s.Commun.239:257−260、1997)、エチジウムブロミド
(KingおよびAttardi、Science 246:500−503、
1989;Cavalliら、Cell Growth Differ.8:1
189−1198、1997;Millerら、J.Neurochem.67
:1897−1907、1996)、および種々の抗ウイルス薬剤(米国特許出
願番号09/069,489)での処理により調製され得る。
【0053】 酵母種Saccharomyces cerevisiaeのミトコンドリア
ゲノムの遺伝操作のための方法および組成物は、当該分野において記載されてい
る(Steeleら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.9
3:5253−5257、1996)。本発明の別の実施形態は、野生型ミトコ
ンドリアゲノムを有する酵母細胞に対して、遺伝的に操作されたミトコンドリア
ゲノムを有する酵母細胞において、示差的に発現される因子の同定および単離を
記載する。
【0054】 操作された細胞は、オルガネラゲノムがヒトの操作により変更された上記細胞
型を含む;さらにまたは代替的に、このような細胞は、それらの核ゲノム(例え
ば、染色体核酸配列における点変異または「ノックアウト」など)あるいは非オ
ルガネラの染色体外エレメント(例えば、プラスミド、ウイルスなど)において
、変更を含み得る。後者の例において、宿主細胞が属する種とは異なる種由来の
遺伝エレメントは、染色体外エレメント上の操作された細胞に導入され得、この
場合には、示差的に発現される因子は、外因性エレメントに応答して変更された
発現のパターンを有する因子である。
【0055】 (核酸およびヌクレオチド配列) 「目的の核酸」とは、本明細書中において、特定の疾患状態において、特定の
条件下で、操作された細胞内でもしくは種特異的様式で、上記のように示差的に
発現される、核酸として定義される。一旦、目的の核酸が同定されると、この核
酸を使用して、関連する配列を有する他の有用な核酸(限定されないがデオキシ
リボ核酸(DNA)が挙げられる)を生成し得る。好ましい実施形態において、
目的のRNAを使用して、目的の配列を有する核酸を検出するために使用され得
るcDNA分子を産生するか、または目的のRNAの配列によりコードされるポ
リペプチドを産生する。
【0056】 例えば、目的のmRNAを単離し、そしてこれらを逆転写することは、当該分
野において公知である。逆転写とは、逆相補DNA(cDNA)が、テンプレー
トとして作用するRNA分子から産生される、プロセスである。次いで、得られ
る(RNA:DNA)ハイブリッドのRNA部分は、置換されるかまたは酵素的
に分解され得、その後、一本鎖DNA(ssDNA)を1区切り以上のDNA重
合のためのテンプレートとして使用し、その産物は、二本鎖DNA(dsDNA
)分子である。このdsDNA分子は、目的のRNAの配列を含む(RNAにお
けるウリジン残基がDNAにおけるチミン残基により置換されることを除く)。
次いで、dsDNAのヌクレオチド配列が、決定および分析される;さらにまた
は代替的に、dsDNAがクローニングされる。すなわち、適切な宿主細胞中で
複製し得るベクターDNAに取り込まれる。dsDNA分子がポリペプチドをコ
ードする配列を含む場合には、好ましいベクターは、発現ベクターである。
【0057】 本発明の方法に従って調製されるDNA分子は、全長cDNA(すなわち、タ
ンパク質全体をコードするヌクレオチド配列を含む分子)であり得る。少なくと
も、全長cDNAは、「開始」(翻訳開始)コドン、「終止」(翻訳終止)コド
ン、および間に存在するポリペプチドコード配列の全てを含む。エレメントのこ
のような構築物は、当該分野において、オープンリーディングフレーム(ORF
)として公知である。
【0058】 あるいは、本発明の方法に従って調製されたDNA分子は、発現配列タグ(E
ST)であり得る。すなわち、そのDNA分子は完全なORFを含まないが、O
RFもしくはORFを含むmRNAの一部であるヌクレオチド配列を含む。ES
Tはそれ自体、例えば目的のmRNAを検出するための方法におけるプローブと
して有用である。全長cDNAが、例えば目的のmRNAによってコードされる
タンパク質の組換えDNA発現のために必要とされるという理由で、ESTを、
種々の方法に従って全長cDNAを単離するための道具として使用することもま
た所望され得る。例えば、目的のEST配列を含む核酸は標識され得、そして配
列とハイブリダイズさせるための細胞のDNAまたはRNAの調製物を調査する
ために使用され得、そしてそのようなハイブリダイズした配列は公知の方法に従
って単離され得、増幅され得、そしてクローン化され得る。別の例として、ES
Tの配列は、逆PCR(このプロセスによって、目的のESTに隣接する配列が
決定され得る)のためのプライマーを調製するために使用され得る(例えば、B
enkelおよびFong,Genet.Anal.13:123−127、1
996;Silverman,Methods Mol.Biol.54:14
5−155,1996;PangおよびKencht,BioTechniqu
es 22:1046−1048,1997;Huang,Methods M
ol.Biol.69:89−96,1997;Huang,Methods
Mol.Biol.67:287−294,1997;ならびにOffring
aおよびvan der Lee,Methods Mol.Biol.49:
181−195,1996を参照のこと;これらの全ては本明細書中に参考とし
て援用される)。
【0059】 ESTから全長cDNAをクローニングする方法において、そしてそれ自体有
用な方法として、目的の核酸の比較的高レベルを発現する細胞および組織を同定
するために、種々の細胞および組織から調製されたmRNAまたはcDNAライ
ブラリーをスクリーニングすることが所望される。例えば、第1疾患状態(例え
ば、アルツハイマー病)において初めに同定された目的の核酸を使用して、その
目的の核酸が第2疾患状態において示差的に発現されているかどうかを決定する
ために、第2疾患状態(例えば、パーキンソン病、MELAS、MERFF、糖
尿病、癌、関節炎など)を罹患する患者に由来する細胞を調査し得る。目的の核
酸が一つ以上の第2疾患状態と一致した様式で示差的に発現されている場合、次
いで、第1疾患状態から発展した適用(例えば、診断、予後、薬理ゲノミクス、
化合物スクリーニング方法、ならびに治療化合物および治療組成物)が、そのよ
うな第2疾患状態に適用され得る。
【0060】 別の例として、目的の核酸を使用して、当該分野において公知の種々の方法に
おいて目的の核酸の組織特異的発現パターンまたは時期特異的発現パターンを試
験し得る。目的の核酸は、検出可能に標識され得、そして(i)mRNA分子の
固定された集合(例えば、ClontechからのRNA Master Bl
otTMもしくはMultiple Tissue Northern,MTNTM ,Blots)または(ii)cDNAライブラリー(当該分野において公知の
方法に従って調製されたcDNAライブラリーまたは例えばClonetech
もしくは例えばAmerican Type Culture Collect
ion,ATCC,Manassas,VAのような受託所から入手可能なcD
NAライブラリー)を調査するために使用され得る。あるいは、またはさらに、
目的の配列を使用して、96ウェルプレートにおける増幅反応において使用され
得る特定のPCRプライマーを設計し得る(ここで各ウェルは特定の組織に由来
する第1鎖cDNAを含む(例えば、OriGene Technologie
s,Inc.,Rockville,MDからのRapid−ScanTM遺伝子
発現パネル));この実施形態において、自動化された手段、半自動化された手
段、またはロボット化された手段を使用して、そのようなアッセイを実行し得る
【0061】 使用される方法とは関係なく、試験されるRNAまたはcDNAは、種々の種
から由来し得、それらの種としては、哺乳動物(例えば、ブタ種、ウサギ、ウシ
種、齧歯種(ラットおよびマウス)ならびにヒトを含む霊長類)に限らず;鳥類
種(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ);魚(例えば、Fugu種);および
単純(simple)植物または複雑(complex)植物(例えば、Ara
bidopsis種、トウモロコシ(Zea mays)、ジャガイモ、ダイズ
、イネ、コムギなど)が挙げられる。試験され得る哺乳動物組織としては、脳(
脳全体およびその小区分(例えば、扁桃、尾状核、小脳、大脳皮質、前頭葉、海
馬、延髄、後頭葉、被殻、黒質、側頭葉、視床、眼識(acumens)、視床
下部)を含むが、これらは例としてであって、限定するものではない)、心臓、
腎臓、脾臓、肝臓、結腸、肺、小腸、胃、骨格筋、平滑筋、精巣、子宮、膀胱、
リンパ節、脊髄、気管、骨髄、胎盤、唾液腺、甲状腺、胸腺、副腎、膵臓、卵巣
、子宮、前立腺、皮膚、骨髄、胎児脳および胎児肝臓が挙げられるが、これらに
限定されない。
【0062】 この様式において、調査され得る細胞型としては、植物および動物サイブリッ
ドならびにρ0細胞;例えば、任意の単細胞生物、多細胞生物、酵母、真菌、原
生動物亜界、寄生生物、蠕虫、無脊椎動物もしくは脊椎動物または当該分野にお
いて公知か、あるいはその後、ミトコンドリア、葉緑体もしくは他の細胞器官を
有することが同定された、例えば以下の他の生物体;
【0063】
【化1】 のような生物体に由来する細胞(Davisら、Microbiology、H
arperおよびRow、Philadelphia(1980);O’Lea
rly、Practical Handbook of Microbiolo
gy、CRC Press、Boca Raton、(1989);Baron
ら、Diagonostic Microbiology、The C.V.M
osby Company、St.Louis(1990)およびRobbin
s、Pathologic Basis of Disease、W.B.Sa
unders Co、Philadelphia(1994);培養可能な昆虫
細胞系(例えば、Sf9およびSf21;哺乳動物から単離された細胞(例えば
、末梢血白血球(PBL)、軟骨細胞など);培養可能な哺乳動物細胞系(例え
ば、区別可能(differentiable)な細胞系および区別された細胞
系、培養されたニューロン細胞系(例えば、SH−SY5YまたはNT2細胞)
、培養された腫瘍または癌細胞系(例えば、Hela細胞)、ミトコンドリア成
分(本明細書中で定義されるような)を有することが既知か、または疑われる疾
患および障害を罹患するヒト患者に由来する初代細胞培養物および前述のいずれ
かに由来する操作された細胞(本明細書中で定義されるような)が挙げられるが
、これらに限定されない。そのような細胞は、そのような疾患または障害を罹患
する患者のインフォームドコンセントと共に得られるか、あるいは、培養可能な
細胞系の場合において、種々の商業的供給源もしくは受託所(例えばATCC)
から入手可能である。
【0064】 目的のESTに対応するcDNAが最適に調製され得る組織または細胞を同定
するために、目的のESTが単離された生物体に由来するmRNAもしくはcD
NAライブラリーまたはアレイが調査される。目的の核酸の高レベルの発現を有
する組織または細胞が、全長核酸すなわち目的の完全な遺伝子産物を発現するた
めに必要な全ての遺伝子情報を含む核酸のための供給源として好ましくは使用さ
れる。この全長核酸は、例えば、目的の遺伝子産物(すなわち、RNAまたはタ
ンパク質)を発現させるためか、あるいは目的の遺伝子産物の発現もしくは活性
レベル、または組織もしくは時期特異的発現パターンが野生型条件に関して変更
される操作された細胞もしくはトランスジェニック動物を調製するために使用さ
れる。
【0065】 ESTおよび全長cDNAの別の有用性は、それによりコードされる目的のタ
ンパク質を同定するため、そしてそれに対する抗体を調製するために、対応する
タンパク質配列についてインシリコ(in silico)で調査することであ
る。例えば、目的のESTまたはcDNAの核酸配列は、6つの全ての潜在的な
リーディングフレーム(dsDNAの各々の鎖に対して3つのリーディングフレ
ーム)においてインシリコで翻訳されて、そして生じたアミノ酸配列をプローブ
として使用して、公知のアミノ酸配列を有する一部のタンパク質との一致につい
てタンパク質データベースを検索する。ミトコンドリアタンパク質の場合におい
て、異なるアミノ酸配列が各々の場合において生じるので、「ユニバーサル」の
遺伝子コードおよびミトコンドリアにて利用されるいくらか異なる遺伝子コード
(表1)の両方を使用して、そのようなインシリコ翻訳を実行することが所望さ
れる。
【0066】
【表1】 目的の配列を有するか、または含む核酸が、当該分野において公知の種々の方
法によって調製され得る。例えば、そのような核酸は、分子生物学または合成技
術を使用して作製され得る(Sambrookら、Molecular Clo
ning、A Laboratory Manual、Cold Spring
Harbor Press(1989))。ヌクレオチド配列における多くの
等価な塩基が、当該分野において公知である。例えば、DNAのチミン残基(T
)は、RNA分子においてウラシル(U)残基に転写されるが、TおよびUの両
方はアデニン(A)残基と特異的に対を形成するので、これらの変化は、ハイブ
リダイゼーションの特異性に影響を与えない。そのような等価な置換体を含む核
酸は、本開示の範囲内である。
【0067】 別の例として、そのような核酸は、オリゴヌクレオチド(例えば、ホスホトリ
エステル、ホスホラミダイトまたはH−ホスファナート(phosphanat
e)方法論によってインビトロで合成されるオリゴデオキシリボヌクレオチドお
よびオリゴデオキシヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドであり得る(それぞ
れ、Cristodoulou、「Oligonucleotide Synt
hesis:Phosphotriester Approach」第二章:P
rotocols for Oligonucleotides and An
alogs:Systhesis and Properties、Agraw
al、編、Method in Molecular Biology 第20
巻、Humana Press、Totowa,NJ(1993);Beauc
age、「Oligodeoxyribonucleotide Synthe
sis:Phosphoramidite Approach」第3章、Id.
;Froehler、「Oligodeoxynucleotde Synth
esis:H−phosphonate Approach」第4章、Idを参
照のこと、これらの全ては本明細書中に参考として援用される)。
【0068】 本発明に従う核酸の長さは、核酸が意図される特定の目的に依存して当業者に
よって選択され得る。PCRプライマーおよびアンチセンスオリゴヌクレオチド
について、その核酸の長さは約10〜約50塩基ヌクレオチド(nt)が好まし
く、約12〜約30ntがさらに好ましく、そして約15〜約25ntが最も好
ましい。プローブについて、その核酸の長さは、約10〜約5,000ntが好
ましく、約15〜約500ntがさらに好ましく、そして約20〜約100nt
が最も好ましい。
【0069】 本発明の核酸に対する適切な化学的改変はまた、当業者によって容易に選択さ
れる。そのような改変としては、例えば、核酸がプローブとして使用するために
検出可能に標識される手段が挙げられる。代表的な検出可能な標識としては、放
射活性部分およびレポーター基(例えば、酵素および蛍光部分またはルミネッセ
ンス部分)が挙げられる。特定の使用(例えばアンチセンス用途)のための適切
な他の化学的改変は、本明細書中に説明される通りである。
【0070】 検出可能に標識された核酸は、本発明の診断方法、予後方法および薬理ゲノミ
クス方法のために好ましい。本発明の標識された核酸または標識されていない核
酸のいずれかが、キット形態、例えば、単一容器または分離容器において、他の
試薬(本発明の少なくとも一つの方法を実施する際に使用されるべき緩衝液、酵
素もしくは材料)と共に提供され得る。このキットは、本発明の方法を実施する
ための取り扱い説明書またはソフトウェアを必要に応じて備え得る容器において
提供され得る。そのような取り扱い説明書またはソフトウェアは、任意の言語形
式、あるいはヒトにより読み取り可能な形式または機械により読み取り可能な形
式において提供され得る。
【0071】 (機械により読み取り可能な形式およびデータ処理システム) 本発明は、目的のヌクレオチド配列を有するか、もしくは含む核酸、または目
的のアミノ酸配列を有するか、もしくは含むタンパク質もしくはポリペプチドに
対してだけでなく、ある形式(例えば、データ(特許可能な形式におけるデータ
のような))において提供される場合に、そのような配列それ自体にももたらさ
れる。従って、例えば、本発明は、本発明に従って決定されるか、または単離さ
れた一つ以上の目的のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列のようなデータを含
む、機械により読み取り可能な形式のような形式を含む。この形式はまた、他の
供給源(例えば、そのような配列のデータベース)から得られた一つ以上のヌク
レオチド配列またはアミノ酸配列を含み得る。
【0072】 例えば、本発明は、任意の形式のデータを含み、好ましくは、例えば印刷媒体
、貫通媒体、磁気媒体、自筆、プラスチック、ポリマーまたはコポリマー(例え
ば、シコオリフィン(cycoolifin)ポリマー)のような表示の媒体に
おいて提供される。そのようなデータは、製品(例えば、ディスク、テープ、ま
たは記憶チップ)の独自の記事として、表現の媒体上またはその中に提供され得
るか、またはそのデータ(例えば、記憶の部分またはプログラムの部分)を処理
するか、または処理しない機械(例えば、コンピュータ)の部分として提供され
得る。そのデータはまた、少なくともデータベースの一部として提供され得る。
そのようなデータベースは任意の形式において提供され得、特定の形式、言語、
コード、データの選択、データの形態または当業者へのデータの整理の選択(c
hoice)または選別(selection)を残す。そのようなデータは、
例えば、本発明によって得られた配列と既知の配列とを比較して新規な配列を同
定するために、有用である。
【0073】 本発明の一つの局面は、本発明によって提供されたデータの少なくとも一部を
保存および比較するためのデータ処理システムである。このデータ処理システム
は、種々の目的、例えば、そのようなデータを例えばデータベース形式において
保存、分類分け、または整理するため、およびそのようなデータを他のデータ(
本発明のデータもしくは他の供給源(例えば、GENBANKまたはSWISP
ROT)に由来するデータを含む)と比較するために有用である。そのようなデ
ータ処理システムは、2つ以上の以下のエレメントを任意の組合せにおいて備え
得る: I.コンピュータ処理システム、例えば中央演算処理装置(CPU)。データ
を保存するための貯蔵媒体または手段(少なくとも本発明のデータの一部または
比較データの少なくとも一部(例えば、表示の媒体、例えば、磁気媒体もしくは
ポリマー媒体)を備える; II.データの分類分けまたは整理のための処理プログラムまたは手段は、本
発明のデータの少なくとも一部を、好ましくはデータベース形式(例えば、当該
分野で公知であるようなデータベースプログラムまたはその適切な部分(例えば
、EXCELまたはQUATROPRO))において含む; III.データを比較するための処理プログラムまたは手段は、少なくとも本
発明のデータの一部を含み、これは比較されたデータ(例えば、当該分野におい
て公知であるような、核酸またはアミノ酸比較プログラムあるいはその適切な部
分)において生じ得る[例えば、BLAST(http://ncbi.nlm
.nih.gov/BLAST(1999年3月7日)およびAlschulら
、Nucleic Acids Res.25:3389−3402(1997
))、ALLIGN、GAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA
(Wisconsin Genetics Software Page Re
lease 7.0、Genetics Computer Group、Ma
dison、WI)]; IV.少なくとも本発明のデータの一部、比較されたデータ、またはそれらの
一部を分析(特に統計学的分析)するための処理プログラムまたは手段、例えば
、当該分野において公知である、核酸もしくはアミノ酸配列を分析するためのプ
ログラムまたは統計学的分析プログラムまたはそれらの適切な部分[例えば、S
AS、BLAST(http://ncbi.nlm.nih.gov/BLA
ST(1999年3月7日)およびAlschulら、Nucleic Aci
ds Res.25:3389−3402(1997))、ALLIGN、GA
P、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA(Wisconsin G
enetics Software Page Release 7.0、Ge
netics Computer Group、Madison、WI)]; V.データ処理システムからの出力の書式を設定し得る書式設定処理プログラ
ムまたは手段、例えば、本発明のデータもしくはその一部または比較されたデー
タもしくはその一部、例えば、データベース管理プログラムもしくは文書処理プ
ログラム、あるいは当該分野において公知であるそれらの適切な部分;または VI.データを出力するための出力プログラムもしくは手段、例えば、末端ユ
ーザー(例えば、ヒトもしくは別のデータ処理システム)に対して有用な形式に
おける本発明のデータもしくはその一部または比較されたデータもしくはその一
部、例えば、データベース管理プログラムまたは文書処理プログラムまたは当該
分野において公知であるそれらの適切な部分。末端ユーザーに対して有用である
そのような形式は、任意の適切な形態(例えば、適切な表現の媒体における適切
な言語もしくはコード)において任意の適切な形式であり得る。
【0074】 一般的に、1992年8月11日に公表されたMeansらに対する米国特許
第5,138,695号;1994年6月28日に公表されたGallantに
対する米国特許第5,325,298号;1995年3月14日に公表されたL
eveyに対する米国特許第5,398,300号;1995年11月28日に
公表されたMeansらに対する米国特許第5,471,627号;1997年
4月8日に公表されたCaidらに対する米国特許第5,619,709号;1
998年4月28日に公表されたTitanに対する米国特許第5,745,6
54号;1997年11月11日に公表されたBlankに対する米国特許第5
,687,306号;1996年11月19日に公表されたBlankに対する
米国特許第5,577,179号;1995年11月21日に公表されたBla
nkに対する米国特許第5,469,536号および1994年9月6日に公表
されたBlankに対する米国特許第5,345,313号を参照のこと。
【0075】 目的のヌクレオチド配列がタンパク質をコードする場合、本発明はさらに、そ
のような形式で提供される対応するポリペプチド配列にもたらされる。そのよう
な形式は、例えば、本発明の方法において有用である診断アッセイ、予後アッセ
イまたは薬理ゲノミクスアッセイにおいて有用であるか、あるいは目的の配列の
ホモログについてインシリコで検索するための方法において有用である。
【0076】 (発現系) 本発明のさらなる実施形態のために目的の遺伝子産物を十分な量で産生するた
めに、目的のヌクレオチド配列またはその機能的等価物が、適切な「発現ベクタ
ー」(すなわち、転写および遺伝子産物がタンパク質である場合においては挿入
されたヌクレオチド配列の翻訳のために必要な要素を含む遺伝子要素(しばしば
、自己複製し得る)内に挿入される。目的の遺伝子産物の発現のための適切な配
列で発現ベクターおよび目的の核酸を含む遺伝子要素は、本明細書中において「
発現構築物」と呼ばれる。
【0077】 当業者に周知である方法を使用して、目的のヌクレオチド配列ならびに適切な
転写制御および翻訳制御を含む、発現構築物を調製し得る。これらの方法として
は、インビトロ組換えDNA技術、合成技術およびインビボ組換えもしくは遺伝
子組換えが挙げられる。そのような技術は、当該分野において公知である(例え
ば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Labo
ratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor
Press、Plainview N.Y.,1989;Ausubelら、
編、Short Protocols in Molecular Biolo
gy、第2版、John Wiley&Sons、New York N.Y.
,1992を参照のこと)。
【0078】 種々の発現ベクター/宿主系が、目的のヌクレオチド配列を含みかつ発現させ
るために利用され得る。これらとしては、微生物(例えば、組換えバクテリオフ
ァージ、プラスミドまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌)
;酵母発現ベクターで形質転換された酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、バ
キュロウイルス)で感染させた昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えば、カ
リフラワーモザイクウイルスCaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)でト
ランスフェクトされた植物細胞系または細菌発現ベクター(例えば、Tiまたは
pBR322プラスミド)で形質転換した植物細胞系;あるいは動物細胞系が挙
げられるが、これらに限定されない。
【0079】 強度および特異性において変動し得る、これらの系の「制御要素」または「調
節配列」は、ベクター、エンハンサー、プロモーターならびに5’および3’非
翻訳(untranslated)領域のそれらの非翻訳(non−trans
lated)領域であり、この領域は宿主細胞タンパク質と相互作用して転写を
実行し、そして目的の遺伝子産物がタンパク質である場合、翻訳を実行する。利
用されるベクター系および宿主に依存して、多数の適切な転写要素および翻訳要
素(構造性プロモーターおよび誘導性プロモーターを含む)が使用され得る。例
えば、細菌系におけるクローニングの場合、誘導性プロモーター(例えば、Bl
uescriptTMファージミドのハイブリッドlacZプロモーター(Str
atogene,La Jolla,CA.)またはpSport1(Life
Technologies,Inc.,Rockville,MD)およびp
trp−lacハイブリッドなどが使用され得る。昆虫細胞において、バキュロ
ウイルスポリヘドリンプロモーターが、昆虫細胞において使用され得る。植物細
胞のゲノム(例えば、熱ショック、RUBISCO;および貯蔵タンパク質遺伝
子)または植物ウイルス(例えば、ウイルスプロモーターまたはリーダー配列)
に由来するプロモーターおよび/またはエンハンサーをベクター内にクローン化
し得る。哺乳動物細胞系において、哺乳動物遺伝子由来のプロモーターまたは哺
乳動物ウイルス由来のプロモーターが適切である。複数のコピーの目的のヌクレ
オチド配列を含む細胞系を生成する必要がある場合、SV40またはEBVに基
づくベクターが、適切な選択マーカーと共に使用され得る。
【0080】 細菌系において、多数の発現ベクターが、目的の発現される遺伝子産物につい
て意図される使用に依存して選択され得る。例えば、大量の目的のタンパク質が
抗体の誘導に必要とされる場合、目的のタンパク質またはアッセイおよび/また
は精製がより容易な、それらから誘導される融合タンパク質の高レベル発現を指
向するベクターが望ましくあり得る。
【0081】 このようなベクターには、Escherichia coliクローニングベ
クターおよび発現ベクター(例えば、pET(Stratagene,La J
olla,CA)、pGRSET(Invitrogen,Carlsbad,
CA)またはpGMEXTM(Promega,Madison,WI)ベクター
(ここで、目的のタンパク質をコードする配列が、バクテリオファージT7プロ
モーターおよびリボソーム結合部位から下流にライゲートされ、その結果、発現
構築物がT7 RNAポリメラーゼを発現するE.coliに形質転換される場
合、大量レベルの目的のポリペプチドが産生される);pGEMTMベクター(P
romega)(ここで、lacZ α−ペプチドをコードする配列への挿入物
は、比色スクリーニングを使用して検出され得る)など)が挙げられるが、これ
らには限定されない。比較的不溶性のポリペプチドについて、例えば、pBAD
/Thio−TOPOベクター(Invitrogen)を使用して、チオレド
キシン融合タンパク質を産生することが望ましくあり得る。
【0082】 pGEXベクター(Amersham Pharmacia Biotech
,Piscataway,NJ)のようなプラスミドは、融合タンパク質として
目的のポリペプチドを発現するために使用され得る。このようなベクターは、S
chistosoma japonicum由来のグルタチオンS−トランスフ
ェラーゼ(GST)遺伝子(Smithら、1988、Gene 67:31−
40)に作動可能に連結されるプロモーターを含み、このコード配列は、マルチ
プルクローニング部位からすぐ5’側のトロンビン切断部位をコードするヌクレ
オチド配列を含むように改変されている。GST融合タンパク質は、抗GSTを
用いるウエスタンブロットによって、または比色アッセイを使用することによっ
て検出され得;後者のアッセイは、GSTに対する基質としてグルタチオンおよ
び1−クロロ−2−4−ジニトロベンゼン(CDNB)を利用し、340nmに
て検出可能な黄色の産物を産生する(Habigら、1974、J.Biol.
Chem.249:7130〜7139)。この発現ベクターから誘導される発
現構築物から産生されるGST融合タンパク質は、例えば、グルタチオン−アガ
ロースビーズへの吸着、続く遊離グルタチオンの存在下での溶出によって精製さ
れ得る。このタイプの発現ベクターの別の系列は、pBAD/Hisベクター(
Guzmanら、J.Bact.177:4121〜4130,1997;In
vitrogen,Carlsbad,CA)であり、これは、5’〜3’の方
向に作動可能に連結される以下のエレメントを含む:誘導性であるが、密接に制
御可能なaraBADプロモーター;最適E.coli翻訳開始シグナル;アミ
ノ末端ポリヒスチジン(6xHis)コード配列(「His−tag」とも呼ば
れる);XPRESSTMエピトープコード配列;エンテロキナーゼ切断部位(所
望される場合、前述のN末端アミノ酸を除去し、続いてタンパク質を精製するた
めに使用され得る);マルチプルクローニング部位;およびインフレーム終止コ
ドン。pBAD/His発現構築物から作製される融合タンパク質は、His−
tagに特異的に結合する基質または抗体を使用して精製され得、そしてAnt
i−XpressTM抗体を使用してウェスタン分析によってアッセイされ得る。
このような系において作製されるタンパク質は、ヘパリン、トロンビン、エンテ
ロキナーゼ、第XA因子または他のプロテアーゼ切断部位を含むように設計され
、その結果、目的のクローン化されたポリペプチドが、適切なプロテアーゼを用
いる処理によってGST部分から放出され得る。
【0083】 バクテリオファージから誘導される発現ベクター(コスミドおよびファージミ
ドを含む)はまた、目的の核酸を細菌細胞内で発現するために使用され得る。こ
のようなベクターには、Lambda FIXTM、Lambda DASHTM
Lambda ZAPTM、Lambda EMBL3およびEMBL4のバクテ
リオファージベクター、pBluescriptTMファージミド、SuperC
osおよびpWE15ベクター(全てStratageneから入手可能)なら
びにpSL1180 Superlinker Phagemid(Amers
ham Pharmacia Biotech)が挙げられるが、これらには限
定されない。
【0084】 Saccharomyces cerevisiaeまたはPichia p
astorisのような酵母において、接合因子α、GAL1、TEF1、AO
X1またはGAPに対するような、構成性プロモーターまたは誘導性プロモータ
ーを含む多くのベクターが使用され得る。適切な発現ベクターには、種々のpY
ES、pYDおよびpTEF誘導体(Invitrogen)が挙げられる(例
えば、Grantら、Methods in Enzymology 153:
516〜544、1987;Lundbladら、Chapter13のUni
ts 13.4〜13.7:Short Protocols in Mole
cular Biology、第二版、Ausubelら編、John Wil
ey & Sons、New York、New York、1992、13−
19頁〜13−33頁を参照のこと)。
【0085】 植物発現ベクターが使用される場合、目的のヌクレオチド配列の発現は、任意
の多数のプロモーターによって駆動され得る。例えば、CaMYの35Sおよび
19Sプロモーターのようなウイルスプロモーター(Brissonら、Nat
ure 310:511〜514、1984)は、単独で、またはTMV由来の
ωリーダー配列と組み合わせて使用され得る(Takamatsuら、EMBO
J.6:307〜311,1987)。あるいは、RUBISCOの小サブユ
ニットのような植物プロモーター(Coruzziら、EMBO J.3:16
71〜1680、1984;Broglieら、Science 224:83
8〜843、1984);または熱ショックプロモーター(Winterおよび
Sinibaldi、Results Probl.Cell.Differ.
17:85〜105,1991)が使用され得る。これらの構築物は、直接DN
A形質転換によってまたは病原体媒介トランスフェクションによって植物に導入
され得る。このような技術の総説について、Gossenら、(Curr.Op
in.Biotechnol.5:516〜520,1994)、Portaお
よびLomonossoff(Mol.Biotechnol.3:209〜2
21,1996)ならびにTurnerおよびFoster(Mol.Biot
echnol.3:225〜36,1995)を参照のこと。
【0086】 目的の遺伝子産物を発現するために使用され得る別の発現系は、昆虫系である
。1つのこのような系において、Autrographa californi
ca核多角体病ウイルス(AcNPV)は、Spondoptera frug
iperda細胞またはTrichoplusia幼生の外来遺伝子を発現する
ためのベクターとして使用される。目的のヌクレオチド配列は、ポリヘドリン遺
伝子のようなウイルスの非必須領域にクローンされ得、ポリヘドリンプロモータ
ーの制御下で配置され得る。目的の配列の挿入の成功は、ポリヘドリン遺伝子を
不活性にし、コートタンパク質を欠く組換えウイルスを産生する。次いで、組換
えウイルスは、目的の遺伝子産物が発現されるS.frugiperda細胞ま
たはTrichoplusia幼生に感染するために使用される(「Piwnc
ica−Worms,Expression of Proteins in
Insect Cells Using Baculovirus Vecto
rs」、Chapter 16のSection II:Short Prot
ocols in Molecular Biology、第二版、Ausub
elら編、John Wiley & Sons、New York、New
York、1992、16−32頁〜16−48頁;Lopez−Ferber
ら、Chapter 2:Baculovirus Expression P
rotocols,Methods in Molecular Biolog
y、第39巻、C.R.Richardson編、Human Press、T
otawa、NJ、1995、25〜63頁)を参照のこと)。S.frugi
perda細胞(Sf9、Sf21またはHigh FiveTM細胞)および適
切なバキュロウイルストランスファーベクターは、例えば、Invitroge
nから市販されている。Drosophila S2細胞(これもまたInvi
trogenから入手可能である)を利用する発現系もまた、利用され得る。
【0087】 哺乳動物細胞において、目的の核酸を発現するための発現構築物は、逐次的な
プロセスで調製される。第1に、目的の核酸に作動可能に連結されるプロモータ
ー(および関連する調節配列)を含む発現カセットは、細菌プラスミドに基づく
系において構築され;これらの発現カセットを含む構築物は、それらを用いて一
過性でトランスフェクトされる哺乳動物細胞中の目的の遺伝子産物を産生する能
力について評価され、そして最適化される。第2に、これらの発現カセットは、
ウイルス(例えば、SV40、BPV、EBV、アデノウイルス;以下を参照の
こと)の溶菌性増殖の間に組換えタンパク質を産生するウイルス系、または哺乳
動物細胞ゲノムに安定的に組み込み、そしてこれらを形質導入し得るウイルス(
例えば、レトロウイルス発現構築物)由来のウイルス系に移入される。
【0088】 第1工程に関して、市販の「シャトル」(すなわち、E.coliと哺乳動物
細胞の両方において複製可能である)ベクター(哺乳動物細胞において機能する
プロモーターを含み、目的の核酸に作動可能に連結され得る)は、SV40後期
プロモーター発現ベクター(例えば、pSVL、Amersham Pharm
acia Biotech)、糖質コルチコイド誘導性プロモーター発現ベクタ
ー(例えば、pMSG、Amersham Pharmacia Biotec
h)、ラウス肉腫エンハンサー−プロモーター発現ベクター(例えば、pRc/
RSV、Invitrogen)およびCMV初期プロモーター発現ベクター(
Neomycin、HygromycinまたはZEOCINTMのような薬剤に
対する選択マーカーを有するそれらの誘導体を含む)(例えば、pRc/CMV
2、pCDM8、pcDNA1.1、pcDNA1.1/Amp、pcDNA3
.1、pcDNA3.1/ZeoおよびpcDNA3.1/Hygro、Inv
itrogen)が挙げられるが、これらには限定されない。一般的に、目的の
核酸のための好ましいシャトルベクターは、選択マーカー(形質転換された細胞
の単離および維持を容易にするため)ならびに誘導性(従って調節可能性)プロ
モーター(目的の遺伝子産物の過剰発現が毒性の効果を有し得る場合)を有する
シャトルベクターである。
【0089】 哺乳動物細胞をトランスフェクトするための方法は、当該分野で公知である(
Kingstonら、「Transfection of DNA into
Eukaryotic Cells」、Chapter9のSection I
:Short Protocols in Molecular Biolog
y、第二版、Ausubelら編、John Wiley & Sons、Ne
w York、New York、1992、9−3〜9−16頁を参照のこと
)。制御プラスミド(例えば、pCH110(Pharmacia))は、試験
される発現構築物を用いて同時トランスフェクトされ得、その結果、目的の遺伝
子産物のレベルが、制御プラスミドから発現される遺伝子産物に対して規格化さ
れ得る。好ましい発現カセット(目的の核酸に作動可能に連結されるプロモータ
ーおよび関連調節配列から本質的になる)は、目的の遺伝子産物またはそれから
誘導される融合タンパク質(そうするために誘導される場合)を高レベルで発現
するための所与の発現カセットを含むベクターを用いて一過性で形質転換される
細胞の能力によって同定される。発現は、ノーザン分析またはウェスタン分析に
よって、あるいは融合タンパク質の場合は酵素またはエピトープのようなレポー
ター部分によってモニターされ得る。次いで、有効な発現カセットをウイルス発
現ベクターに組み込む。
【0090】 好ましい発現カセットを含む核酸(好ましくは、DNA)は、それらが調製さ
れ、特徴付けされ、そして最適化された一過性発現構築物から単離される。この
ような発現カセットを単離する好ましい方法は、PCRによる増幅によるが、他
の方法(例えば、適切な制限酵素を用いる消化)が使用され得る。好ましい発現
カセットは、ウイルス発現ベクター、好ましくは、レトロウイルス発現ベクター
に、以下の方法で導入される。
【0091】 好ましい発現カセットを含むDNA分子は、ライゲーションによってレトロウ
イルス移入ベクターに導入される。2つのタイプのレトロウイルス移入ベクター
(複製インコンピテントベクターおよび複製コンピテントベクター)が公知であ
る。複製インコンピテントベクターは、感染性粒子を産生するために必要なウイ
ルス遺伝子を欠くが、ウイルス伝染に必要なシス作用ウイルス配列を保持する。
このようなシス作用配列は、Ψパッケージング配列、逆転写および組込みのため
のシグナル、およびウイルスプロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化配列
および他の調節配列を含む。複製コンピテントベクターは、全てのこれらのエレ
メントおよびビリオン構造タンパク質をコードする遺伝子(典型的には、gag
、polおよびenvを示す遺伝子によってコードされるもの)を保持し、従っ
て、種々の細胞株において感染性粒子を形成し得る。対照的に、これらの機能は
、パッケージング細胞株(すなわち、gag、polおよびenv遺伝子をコー
ドするmRNAを産生するが、Ψパッケージング配列を欠くmRNAを産生する
細胞株)において複製インコンピテントなベクターに対してトランスに供給され
る。一般的には、Cepko、Chapter9のUnit 9.10:Sho
rt Protocols in Molecular Biology、第二
版、Ausubelら編、John Wiley & Sons、New Yo
rk、New York、1992、9−30〜9−35頁を参照のこと。
【0092】 目的の核酸を含む発現カセットを含むレトロウイルス構築物は、カセット配列
およびΨパッケージング配列を含むRNA分子を産生する。これらのRNA分子
は、適切な細胞株のウイルス構造タンパク質によってカプシド形成されるウイル
スゲノムに対応する(「適切」によって、例えば、パッケージング細胞株が、複
製インコンピテントレトロウイルスベクターに基づく構築物に使用されなければ
ならないことを意味する)。次いで、感染性ウイルス粒子が産生され、細胞膜か
らの発芽によって、培養上清に放出される。感染性粒子(目的の遺伝子産物に対
する発現カセットを含むウイルスRNAゲノムを含む)は、公知の方法に従って
調製され、濃縮される。所望されないヘルパーウイルス(すなわち、目的の遺伝
子産物に対する発現カセットを含まないウイルス粒子)をモニターすることが望
ましくあり得る。一般的には、Cepko,Chapter9のUnit 9.
11、9.12および9.13:Short Protocols in Mo
lecular Biology、第二版、Ausbelら編、John Wi
ley & Sons、New York、New York、1992、9−
36頁〜9−45を参照のこと。
【0093】 目的の遺伝子産物に対する発現カセットを含むウイルス粒子は、インビトロ(
例えば、培養された細胞)またはインビボ(例えば、げっ歯動物または鳥類の細
胞(これらは、全動物の一部である))で感染させるために使用される。組織外
植片または培養胚もまた、当該分野において公知な方法に従って感染され得る。
一般的には、Cepko,Chapter9のUnit 9.14:Short
Protocols in Molecular Biology、第二版、
Ausbelら編、John Wiley & Sons、New York、
New York、1992、9−45頁〜9−48を参照のこと。使用される
細胞のタイプに関わらず、目的の遺伝子産物の産生は、組換えウイルスゲノムに
よって指向される。
【0094】 真核生物発現系において、宿主細胞は、挿入される配列の発現を調節するその
能力について、または目的の遺伝子産物がタンパク質である場合、所望される様
式で目的のタンパク質をプロセスするその能力について選択され得る。タンパク
質のこのような改変には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸
化、脂質化、およびアシル化が挙げられるが、これらには限定されない。目的の
タンパク質の「プレプロ」形態を切断する翻訳後プロセシングもまた、その正確
な細胞内局在化、折り畳みおよび/または機能において重要であり得る。CHO
、HeLa、MDCK、HEK293、WI38などのような異なる宿主細胞は
、特異的な細胞機構およびこのような翻訳後活性に対する特徴的な機構を有し、
正確な改変および目的のタンパク質のプロセシングを確実にするように選択され
得る。
【0095】 特に哺乳動物細胞において、密接に調節され得る発現系を使用することは望ま
しくあり得る。「密接に調節される」によって、発現系が通常は抑制される(す
なわち、目的の遺伝子の発現が抑制される)が、発現構築物を含む(habor
ing)細胞への誘導剤の添加時に高レベルの発現に誘導され得ることを意味す
る。このような密接に調節された発現系には、エクジソン誘導哺乳動物発現系、
テトラサイクリン調節発現系(T−RExTM系、Invitrogen)および
GeneSwitchTM系(Invitrogen)が挙げられるが、これらに
は限定されない。
【0096】 本発明の発現系はまた、目的の核酸がオルガネラゲノムから発現される少数の
系を含む。Saccharomyces cerevisiaeのミトコンドリ
アゲノムの遺伝子操作のための手段(Steeleら、Proc.Natl.A
cad.Sci.U.S.A 93:5253〜5257、1996)および植
物葉緑体(chlorplast)の遺伝子操作のための系(米国特許第5,6
93,507号;Daniellら、Nature Biotechnolog
y 16:345〜348、1998)が記載されている。当然、ポリペプチド
配列をコードする核酸は、オルガネラの遺伝子コードにおける差を反映するため
に、オルガネラ発現系において変化されなければならない(表1を参照のこと)
【0097】 (核酸および遺伝子産物の遺伝的調節) 種々のアンチセンスに基づく方法論が、オルガネラ、細胞、組織、器官および
生物体において、目的の核酸の発現、および対応する遺伝子産物の発現を調節(
減少または除外)するために使用され得る。このようなアンチセンス調節は、疾
患または障害における目的の遺伝子の役割を確認するために、あるいは、疾患ま
たは障害の原因または症状が目的の核酸の過剰発現から生じる場合、治療薬剤と
して使用され得る。
【0098】 用語「アンチセンス」は、遺伝子の「センス」鎖(すなわち、転写される鎖、
タンパク質コード配列の場合、翻訳される鎖)の逆相補体である1つ以上の配列
を含む核酸を示す。アンチセンス核酸はそれらの標的核酸に対して高い特異性で
結合するので、選択性が高く、化合物の間違った方向に由来する毒性の副作用が
最小であり得る。
【0099】 一般的に、アンチセンス組成物は2つのタイプがある:(i)例えばリボザイ
ムのような酵素的なものを含む合成アンチセンスオリゴヌクレオチド;および(
ii)アンチセンス発現構築物。当業者は、所与の状況において適切な場合、い
ずれの様式も利用し得る。
【0100】 合成アンチセンスオリゴヌクレオチドは、目的の核酸の逆相補体から調製され
る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、示差的に発現されるRNAの逆相補体
に対応する核酸配列からなる。目的のRNAを発現する細胞に導入される場合、
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、RNA分子に特異的に結合し、そして二次
構造が調節因子またはRNA安定化因子の結合を形成することまたはブロックす
ることを妨げることによってそれらの機能を妨害する。さらに、タンパク質コー
ドRNA種の場合、オリゴヌクレオチドは、RNAスプライシング、ポリアデニ
ル化またはタンパク質翻訳を阻害し得、従って、このようなmRNAから作製さ
れるタンパク質の量を制限または防止し得る。さらに、または、代替として、こ
のようなオリゴヌクレオチドは、二本鎖DNA分子に結合し、それらとともに三
重鎖を形成し得、従って、このような配列の転写を妨害し得る。
【0101】 アンチセンスオリゴヌクレオチドをオルガネラゲノムから産生されるRNAに
標的することが所望される場合、ペプチド核酸(PNA)は、好ましい合成オリ
ゴヌクレオチドである。PNAにおいて、生物学的核酸の糖リン酸骨格は、ポリ
ペプチド様鎖によって置換されている。タンパク質をオルガネラに指向させる標
的配列は、アンチセンスPNAの骨格に結合され得、結果として、このような結
合体が、標的オルガネラに優先的に送達される(例えば、公開PCT出願WO9
7/41150およびWO99/05302、ならびにTaylorら、Nat
ure Genetics 15:212〜215、1997)。
【0102】 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、天然において固有に酵素的であり得、す
なわち、標的されるRNA分子を分解し得る;このような分子は、一般的に「リ
ボザイム」と呼ばれる。目的の核酸配列を含むように改変され得る種々の増加性
的に短い合成リボザイムフレームワークが記載(CoutureおよびStin
chcomb、Trends Genet.12:510〜515,1996)
され、ヘアピンリボザイム(Hampel、Prog.Nucleic Aci
d Res.Mol.Biol.58:1〜39、1998)、ハンマーヘッド
リボザイム(Birikihら、Eur.J.Biochem.245:1〜1
6、1997)およびミニザイム(minizyme)(Kuwabaraら、
Nature Biotechnology 16:961〜965、1998
)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】 一般的に非触媒的なアンチセンス核酸、および特にリボザイムの場合、細胞中
のアンチセンス調節はまた、インビボの目的のヌクレオチド配列の逆相補体の転
写に指向する発現構築物によって達成され得る。例えば、哺乳動物細胞または植
物細胞においてアンチセンス転写を非触媒的に発現するために、それぞれ哺乳動
物発現ベクターまたは植物発現ベクターにクローンされている目的の核酸の「フ
リッピング」(すなわち、方向の逆転)のみが必要とされ得る。翻訳シグナルな
どのようなエレメントの適切な関係を維持することは必要ではない。なぜなら、
このタイプのアンチセンス発現構築物にための最小限の要件は、目的の核酸の逆
相補体に作動可能に連結されるプロモーターであるからである。細胞中において
リボザイムを発現する発現構築物を設計することも可能である。アンチセンスお
よびリボザイム発現構築物はまた、目的の遺伝子の発現レベルが時間特異的な方
法でまたは組織特異的な方法で調節され得るトランスジェニック動物を産生する
ために使用される(総説について、SokolおよびMurray、Trans
genic Res.、5:363〜371、1996を参照のこと)。
【0104】 本発明に従って誘導される核酸配列は、「RNAデコイ(decoy)」すな
わち、トランス作用調節因子を結合するシス作用調節配列に対応する短いRNA
分子を設計するために使用され得る。細胞において過剰に発現される場合または
過剰に細胞に投与される場合、このようなRNAデコイは、トランス作用性調節
因子の結合従って作用を競合的に阻害し、従ってこのような因子が目的のRNA
を安定化する(もしくは不安定化する)プロセス、あるいはポリアデニル化、核
輸送のスプライシング、またはRNAの翻訳を増強(もしくは減少する)プロセ
スを実行するための能力を制限または防止する(Sullengerら、J.V
itrol.65:6811〜6816,1991)。従って目的のRNAの発
現は、治療目的のために増強されるかまたは減少されるかのいずれかであり得る
【0105】 (トランスジェニック動物およびトランスミトコンドリア動物) 目的の核酸に関して修飾されたトランスジェニック動物は、調製され得る。こ
のような動物は、ヒト疾患の動物モデルの開発のため、および本発明の治療剤の
安全性および有効性を評価するために有用である。一般に、このようなトランス
ジェニック動物には3つの型がある:(i)「トランスジェニックノックアウト
」(動物の、目的の遺伝子のホモログが破壊または除去され、対応する遺伝子産
物の機能のほぼ全損を伴う);(ii)「調節トランスジェニック」(目的の遺
伝子が、誘導プロモーターに動作可能に連結される);および(iii)「置換
トランスジェニック」(動物の、目的の遺伝子のホモログが目的のヒト遺伝子(
内在性プロモーターかまたは誘導プロモーターから発現され得る)で置換されて
いる)。
【0106】 本発明の非ヒトトランスジェニック動物としては、1つ以上の上記のクラスの
トランスジェニック動物を生成するように遺伝子操作され得る任意の動物が挙げ
られる。このような非ヒト動物としては、脊椎動物(例えば、げっ歯類、非ヒト
霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、両性類、爬虫類など)が挙げられる。好ましい非
ヒト動物は、動物の非ヒト哺乳動物種(ラットおよびマウス、最も好ましくはマ
ウス(例えば、米国特許第5,675,060号および同第5,850,001
号を参照のこと)が挙げられるがこれらに限定されないげっ歯類ファミリーに属
する非限定的な動物を含む)から選択される。調製され得る他の非ヒトトランス
ジェニック動物は、非限定的にウサギ(米国特許第5,792,902号)、ブ
タ(米国特許第5,573,933号)、ウシ種(米国特許第5,633,07
6号および同第5,741,957号)およびヒツジ(ovine)種(例えば
、ヤギおよびヒツジ(sheep))(米国特許第5,827690号;同第5
,831,141号および同第5,849,922号)が挙げられる。
【0107】 本発明のトランスジェニック動物は、非自然的な手段により(すなわち、人間
の操作により)、動物において天然に存在しない1つ以上の遺伝子(例えば、外
来遺伝子、遺伝子操作された内在性遺伝子など)を導入された動物である。導入
遺伝子として公知である非自然的に導入された遺伝子は、動物として同じかまた
は異なる種由来であり得るが、その導入遺伝子により与えられる配置および/ま
たは染色体の座位では動物において天然に見出されない。導入遺伝子は、外来D
NA配列を含み得る(すなわち、配列は、通常宿主動物のゲノム中に見出されな
い)。あるいは、またはさらに、導入遺伝子は、遺伝子の発現のインビボパター
ンを変化するかまたは遺伝子によりコードされる内在性遺伝子産物の生物学的活
性を変化するかもしくは排除するために、内因性DNA配列がインビトロで再配
列されるかもしくは変異された、異常である内因性DNA配列を含み得る。(W
atsonら、Recombinant DNA、第2版、W.H.Freem
an&Co.,New York,1992)、255−272頁;Gordo
n,Intl.Rev.Cytol.115:171−229,1989;Ja
enisch,Science 240:1468−1474,1989;Ro
ssant,Neuron 2:323−334,1990)。
【0108】 本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、非ヒト動物の生殖系列中へ、目的
の配列を含むトランスジェニック構築物またはそれらの宿主動物のホモログを導
入することにより作製される。種々の発達段階の胎仔の標的細胞は、本発明の導
入遺伝子を導入するために使用される。異なる方法が、胎仔の標的細胞の発達の
段階に依存して使用される。
【0109】 接合体のマイクロインジェクションは、本発明の実施の過程において、動物の
ゲノム中に導入遺伝子を組み込むための好ましい方法である。接合体(前核融合
または引き続く細胞分裂を経てない受精卵)は、トランスジェニックDNA配列
のマイクロインジェクションのための好ましい標的細胞である。マウス雄性前核
は、直径約20マイクロメートルのサイズに達し、この特色は、1〜2ピコリッ
トルのトランスジェニックDNA配列を含む溶液の再現性のある注射を可能にす
る。導入遺伝子の導入のための接合体の使用は、多くの場合、注射したトランス
ジェニックDNA配列が、最初の細胞分裂の前に宿主動物のゲノム中へ組み込ま
れる(Brinsterら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.
A.82:4438−4442,1985)という利点を有する。結果として、
得られるトランスジェニック動物(創始動物)の全細胞は、トランスジェニック
対立遺伝子といわれる特定の遺伝子座の組み込まれた導入遺伝子を安定に保有す
る。このトランスジェニック対立遺伝子は、メンデル遺伝を示す:非トランスジ
ェニック動物とトランスジェニック動物との交配から生じる子孫の半分は、ラン
ダムな組み合わせのメンデルの結果に従って、トランスジェニック対立遺伝子を
遺伝する。
【0110】 ウイルス性の組込みはまた、動物への本発明の導入遺伝子を導入するために使
用され得る。発生中の胚は、胞胚として知られる発達段階へ、インビトロで培養
される。同時に、割球が、適切なレトロウイルスで感染され得る(Jaenis
ch,Proc.Natl.Sci.U.S.A.73:1260−1264,
1976;SorianoおよびJaenisch,Cell 46:19−2
9,1986)。割球の感染は、透明帯の酵素的除去により増強される(Hog
anら、Manipulating the Mouse Embryo,Co
ld Spring Harbor Press,Cokd Spring H
arbor,N.Y.,1986)。導入遺伝子は、宿主動物のゲノム中へ、ウ
イルスベクター(典型的には複製欠損であるが、このようなウイルス配列に連結
されているトランスジェニックDNA配列を含むウイルス関連DNA配列の組み
込みに対してはコンピテントなままである)を介して導入される(Jahner
etら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82:6927
−6931,1985;Van der Puttentら,Proc.Nat
l.Acad.Sci.U.S.A.82:6148−6152,1985)。
トランスフェクション体は、導入遺伝子を含むウイルスベクターを産生する細胞
の単層上の割球の培養により簡便かつ効果的に得られる(Van der Pu
ttentら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82:6
148−6152,1985;Stewartら、EMBO J.6:383−
388,1987)。あるいは、感染は、より遅い段階(例えば、胞胚腔)で行
われ得る(Jahnertら、Nature 298:623−628,198
2)。任意の事象において、ウイルス性の組込みにより作製される、ほとんどの
トランスジェニック創始動物は、トランスジェニック対立遺伝子に関してモザイ
クである;すなわち、導入遺伝子は、ドランスジェニック創始動物を形成する全
ての細胞のサブセットのみへ組み込まれる。さらに、複数のウイルス性の組み込
み事象が、単一の創始動物において生じ得、子孫の後世においてを差別化する複
数のトランスジェニック遺伝子を作成する。この方法による生殖系列細胞への導
入遺伝子の導入は可能であるが、おそらく低頻度で起こる(Jahnertら、
Nature 298:623−628,1982)。しかし、一旦導入遺伝子
がこの方法により生殖系列細胞へ導入されると、子孫は、トランスジェニック遺
伝子が全ての動物の細胞(すなわち、体細胞および生殖系列細胞の両方)に存在
する、動物において産生され得る。
【0111】 胚幹(ES)細胞はまた、動物への、本発明の導入遺伝子の導入についての標
的細胞として機能し得る。ES細胞は、インビトロで培養される移植前の胚から
得られる(Evansら、Nature 292:154−156,1981;
Bradleyら、Nature 309:255−258,1984;Gos
slerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.83:90
65−9069,1986;Robertsonら、Nature 322:4
45−448,1986;Robertson,E.J.Teratocarc
inomas and Embryonic Stem Cells:A Pr
actical Approach,Robertsaon,E.J.編,IR
L Press,Oxford,1987,71−112頁)。市販のES細胞
(例えば、Genome Systems,Inc.,St.Louis,MO
製)は、確立された方法により1つ以上の導入遺伝子で形質転換され得る(Lo
vell−Badge,R.H.,Teratocarcinomas and
Embryonic Stem Cells:A Practical Ap
proach,Robertsaon,E.J.編,IRL Press,Ox
ford,1987,153−182頁)。形質転換されたES細胞は、ES細
胞が、胚を転移増殖し、そして得られた動物(キメラ(2以上の動物に由来する
細胞からなる)である)の生殖系列に対して寄与した後、動物の未分化胚芽細胞
と組み合わされ得る(Jaenisch,Science 240:1468−
1474,1988;Bradley:Teratocarcinomas a
nd Embryonic Stem Cells:A Practical
Approach,Robertsaon,E.J.編,IRL Press,
Oxford 1987,113−151頁)。同様に、この方法により、一旦
導入遺伝子が生殖系列細胞中へ導入されると、子孫は、トランスジェニック遺伝
子が全ての動物細胞(すなわち、体細胞および生殖系列細胞の両方)に存在する
動物において産生され得る。
【0112】 これ(子孫)は生じるが、始めの導入遺伝子の導入は、ラマルク(メンデルで
はない)事象である。しかし、本発明の導入遺伝子は、生殖細胞系細胞中へ安定
に取り込まれ得、そしてメンデル遺伝子座としてトランスジェニック動物の子孫
に伝達され得る。他のトランスジェニック技術は、モザイクトランスジェニック
動物(いくつかの細胞が導入遺伝子を保有し、そして他の細胞は保有しない)を
生じる。生殖細胞系細胞が導入遺伝子を保有しないモザイクトランスジェニック
動物において、子孫への導入遺伝子の伝達は、起こらない。それにも関わらず、
モザイクドランスジェニック動物は、導入遺伝子と関連する表現型を示し得る。
【0113】 本発明の導入遺伝子を遺伝した子孫は、本発明の導入遺伝子の配列に一致する
かまたはこれによりコードされる固有の配列を含む生体分子に関する子孫由来の
遺伝形質の分析により、導入遺伝子を遺伝しない同腹仔から区別される。例えば
、本発明の導入遺伝子により固有にコードされるポリペプチドを含む生物学的流
体は、そのポリペプチドの存在について免疫アッセイされ得る。トランスジェニ
ック子孫を同定する、より単純かつ信頼のおける手段は、動物の端(例えば、尾
)から組織サンプルを得る工程、および本発明の導入遺伝子の固有の部分のDN
A配列に対応する核酸配列の存在についてそのサンプルを分析する工程を包含す
る。そのような核酸配列の存在は、例えば、導入遺伝子の固有の部分に対応する
DNA配列を用いるハイブリイダイゼーション(「サザン(Southern)
」)分析、導入遺伝子のDNA配列由来の基質およびオリゴヌクレオチドとして
のサンプル中のDNA配列を使用するPCR反応の産物の分析などにより決定さ
れ得る。
【0114】 本発明のクローン動物、トランスジェニックおよび他もまた、調製され得る(
哺乳動物クローン化技術の概説については、Wolfら、J.Assist.P
eprod.Genet.15:235−239,1998を参照のこと)。こ
のようなクローン動物としては、限定なしで、ヒツジ(ovine)種(例えば
、ヒツジ(sheep))(Campbellら、Nature 380:64
−66,1996;Wellsら、Biol.Reprod.57:385−3
93,1997)、げっ歯類(例えば、マウス)(Wakayamaら、Nat
ure 394:369−374、1998)および非ヒト霊長類(例えば、ア
カゲザル)(Mengら、Biol.Reporod.57:454−459,
1997)が挙げられる。
【0115】 本発明のトランスジェニック動物およびクローン動物は、ヒト疾患状態の動物
モデルとして、およびそのような疾患状態のための潜在的な治療を評価するため
に使用され得る。例えば、そのようなモデルにおいて、疾患状態(または1つ以
上のそれらの症候的成分)を有する第1トランスジェニック動物は、既知の量の
候補治療組成物を与えられるか、または候補治療処置に曝され、そして第2の(
コントロール)トランスジェニック動物は、プラセボを与えられるか、または候
補治療処置に曝されない。疾患状態に関連する症状および/または臨床的終点は
、適切な時間の間隔にわたって両方の動物において測定され、そして結果が比較
される。治療的(所望される)組成物および治療は、コントロール動物と比較し
て処置された動物において、そのような症状の発症を改善(ameriolat
e)するか、遅らせるかまたは症状を取り除く組成物および治療、ならびに終点
として認識される。同様の様式で、疾患状態を悪化するかまたは拍車をかける所
望でない組成物および処置は、そのような症状の度合いおよび終点を増強し、そ
して/またはそれらの発症を早める組成物および処置として認識される。それら
の高度な遺伝的同一性から、クローントランスジェニック動物は、そのような方
法において好ましい。
【0116】 トランスミトコンドリア動物に関して、そのような動物の2つの型が現在存在
する。第1に、それらが生成された(「核移入された」)方法から、「Doll
yのような(Dolly−like)」クローン動物は、サイブリッド様トラン
スミトコンドリア動物である。核移入において、ドナー体細胞は、レシピエント
な除核卵母細胞と電気融合され;この方法は、Dolly(クローン化されたと
報告された始めての動物)を生成するために使用された(Wilmutら、Na
ture 385:810−813,1997)。胎仔細胞から生成された、D
ollyおよび9匹のほかの核移入誘導ヒツジ中のミトコンドリアDNA(mt
DNA)は試験されると、10匹の核移入ヒツジの各々のmtDNAがレシピエ
ントな除核卵母細胞から排他的に誘導されたことが見出された。各々のドナー体
細胞由来のmtDNAの検出可能な組み合わせは、存在しなかった。従って、こ
れらの10匹のヒツジは、真正の核クローンであるが、実際これらは、(見かけ
上)卵母細胞由来のmtDNAおよびクローニングプロセスにおいて使用される
体細胞由来の核DNAを含む「サイブリッド動物」である(Evansら、Na
ture Genetics 23:90−93,1999)。
【0117】 トランスミトコンドリア動物の第2の型は、異種形質(heteroplas
mic)動物(すなわち、2つ以上の動物由来のミトコンドリアゲノムを含むよ
うに操作された動物)である。このような動物は、2つの異なるミトコンドリア
ゲノムが含まれる異種形質細胞を含んでもよいし(含まなくてもよく)、そして
/または、それらの異種形質(heteroplasmy)に関してキメラであ
り得る(すなわち、いくつかの細胞は、第1ミトコンドリアゲノムのみを含み、
一方他の細胞は、第2ミトコンドリアゲノムを含むのみである)。
【0118】 任意の事象において、異種形質トランスミトコンドリア動物は、少なくとも2
つの方法で生成され得る。異種形質トランスミトコンドリア動物を生成する1つ
の方法において、1つのミトコンドリアゲノムを有する第1動物から精製された
ミトコンドリアは、異なるミトコンドリアゲノムを有する第2動物由来の卵子へ
マイクロインジェクトされ、次いで、この操作された卵子は、偽妊娠マウス中へ
移植される(Prinkertら、Transgenic Research
6:379−383,1997;Irwinら、Transgenic Res
earch 8:119−123,1999;およびWO 99/05259を
参照のこと)。異種形質トランスミトコンドリア動物を生成する第2の方法では
、1つの系統の動物の一細胞胚は、他の系統の動物の接合体から回収された細胞
質体へ電気融合される(Jenuthら、Nature Genetics 1
4:146−151,1996)。
【0119】 (ポリペプチドおよびタンパク質) 本発明の方法に従って同定された目的の核酸は、アミノ酸配列をコードし得る
。このようなアミノ酸配列は、全長タンパク質またはそれらのポリペプチド部分
に対応し得る。
【0120】 目的の核酸により全長タンパク質がコードされる場合、このタンパク質は、市
販される公知のタンパク質またはそれに対する抗体が公知であるタンパク質であ
り得、そして適切な生物学的サンプルからそのタンパク質を単離するために使用
され得る。本発明の全長タンパク質が以前に記載されてない場合、そのタンパク
質は、組換えDNA方法を介して産生されるか、公知の生化学的技術を使用して
生物学的サンプルから調製され得る。本発明の短い(すなわち、約100ヌクレ
オチド未満を有する)核酸によりコードされるか、またはより長い核酸によりコ
ードされるアミノ酸配列由来かもしくは全長タンパク質由来の短い(すなわち、
約30アミノ酸未満を有する)ポリペプチドは、当該分野で公知の技術によりイ
ンビトロで合成され得る。目的のアミノ酸配列を含む融合タンパク質はまた調製
され得、そして本発明のポリペプチドおよびタンパク質の範囲内に含まれる。
【0121】 本発明のポリペプチドおよびタンパク質が調製される手段に関係なく、ポリペ
プチドおよびタンパク質は、種々の適用を有する。これらは、抗体を産生するか
もしくは治療剤として機能し得るリガンドをスクリーニングするために使用され
得るか、またはそれら自体が治療剤として使用され得る。本発明の全長タンパク
質は、野生型タンパク質の活性を有し得、そして従って、そのような活性の欠損
から生じる状態を処置するために使用され得る。本発明のポリペプチドはまた、
このような活性を有し得るか、またはタンパク質のリガンドを結合することによ
り、インビボで目的のタンパク質を競合的に阻害し得る。このリガンドがこのタ
ンパク質の活性化剤である場合、このようなポリペプチドは、インビボでのこの
タンパク質の過剰発現または過剰活性化から生じる状態を処置するために使用さ
れ得る。このリガンドが毒物または細胞死(アポトーシスまたは壊死)の活性化
剤である場合、それらの投与を必要としている患者へのこのようなリガンドを結
合するタンパク質またはポリペプチドの投与は、毒物または細胞死活性化剤を競
合的に阻害する有利な効果を有する。
【0122】 (抗体) 目的のタンパク質またはポリペプチドに対する抗体は、当該分野で公知の種々
の方法に従って調製される。一般に、このような抗体は、ポリクローナル、モノ
クローナルまたは単一特異的抗体であり得る。本発明の一次抗体は、目的の特定
のタンパク質またはポリペプチドに特異的に結合し、そして従って、このような
タンパク質およびポリペプチドを検出しそして定量するためのアッセイに使用さ
れる。このようなアッセイでは、一般に、当該分野で免疫アッセイといわれ、本
発明の一次抗体は、検出可能に標識されるか、または検出可能に標識された二次
抗体、または二次抗体および検出可能に標識された三次分子(これもまた抗体で
あり得る)との組み合わせにより特異的に認識されそしてモニターされる。特定
の形式に関係なく、本発明の一次抗体は、目的のタンパク質またはポリペプチド
が特異的に結合され、そして引き続いて検出される手段を提供する。1つの好ま
しいアッセイ形式は、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)形式であ
る。
【0123】 目的の核酸は、公知のタンパク質もしくはそれらの部分、または公知のタンパ
ク質に対して相同であるポリペプチド配列をコードし得る。このような場合、公
知のタンパク質またはそれらの公知の部分に対する抗血清は、市販され得る。後
者の場合、または組換えDNA発現技術を介して目的の核酸が目的のタンパク質
(または長さが約30アミノ酸を超えるポリペプチド部分)を生成するために使
用され得る場合、公知であるかまたは組換え的に産生されたタンパク質は、ポリ
クローナル抗体が調製され得る抗血清を生成するために選択の動物(例えは、ウ
サギ、マウスまたはラット)を免疫化するために使用され得る(例えば、Coo
perおよびPaterson、第11章の11.12ならびに11.13節:
Short Protocols in Molecular Biology
、第2版、Ausubelら編、John Wiley&Sons,New Y
ork,New York,1992,11−37〜11−41頁を参照のこと
)。
【0124】 目的の核酸配列が完全タンパク質(またはそれらのホモログ)が公知でないポ
リペプチド配列をコードするか、目的の核酸配列が約30を超えるアミノ酸をコ
ードするには短すぎるか(すなわち、目的の核酸が約100を超えるヌクレオチ
ド長である)、または見込み目的の1つ以上のポリペプチド配列をコードする場
合、このような候補アミノ酸配列は、各々が規定のアミノ酸配列を有する1つ以
上のポリペプチド分子を合成するために使用され得る。次いで、このような合成
ポリペプチドは、当該分野で公知の方法(CollawnおよびPaterso
n,第11章の11.14および11.15節:Short Protocol
s in Molecular Biology、第2版、Ausubelら編
、John Wiley&Sons,New York,New York,1
992,11−42〜11−46頁;CooperおよびPaterson、第
11章のUnits 11.12ならびに11.13節:Short Prot
ocols in Molecular Biology、第2版、Ausub
elら編、John Wiley&Sons,New York,New Yo
rk,1992,11−37〜11−41頁)に従って動物(例えば、ウサギ)
を免疫化する。次いで、得られた抗血清(特定の患者に特異的であり、そして時
々「単一特異的」といわれる)は、目的の核酸が単離されるプローブ細胞に使用
され得る。所定の抗血清に対する陽性応答は、抗血清を誘起するために使用され
る合成ポリペプチドが誘導される候補リーディングフレームがそのように試験さ
れる細胞における少なくとも1つのタンパク質をコードするために使用されるレ
ーディングフレームであることを示す。さらに、このような抗血清は、目的の核
酸が単離される細胞中の目的のタンパク質を同定するために使用され得る。
【0125】 これらの高度な特異性および相同性から、モノクローナル抗体は、しばしば種
々の適用に対する好ましい型の抗体である。モノクローナル抗体を産生し、そし
て調製する方法は、当該分野で公知である(例えば、Fullerら、第11章
の11.4ならびに11.11節:Short Protocols in M
olecular Biology、第2版、Ausubelら編、John
Wiley&Sons,New York,New York,1992,11
−22〜11−36頁を参照のこと)。マウスモノクローナル抗体は、「ヒト化
」され、そして治療剤として使用され得る(例えば、GussowおよびSee
mann、Methods in Enzymology 203:99−12
1,1991;Vaughanら、Nature Biotechnology
16:535−539、1998)。
【0126】 目的のタンパク質およびポリペプチドに対する抗体は、種々のアッセイ形式に
おけるそのようなタンパク質およびポリペプチドを検出するために使用される。
このような免疫アッセイは、本発明の診断的方法、予後的方法もしくは薬理ゲノ
ミクス的方法において、または種々の細胞型、組織もしくは器官が目的のタンパ
ク質の存在に関して調査される方法において有用であり得る。モノクローナル抗
体は、一般に、それらの高度な特異性または相同性に起因して、そのような方法
にとって好ましい。
【0127】 (診断的方法、予後的方法および薬理ゲノミクス的方法) 本発明の1つ以上の抗体、ポリペプチドおよびタンパク質、それらのリガンド
ならびに核酸プローブおよびプライマーをアッセイするか、または使用すること
は、本発明の診断的方法、予後的方法および薬理ゲノミクス的方法において使用
される。用語「診断(的)」とは、個体が目的の疾患もしくは障害を患っている
か否かを決定するために、典型的には他のアッセイからの結果と組み合わせて、
当業者により使用され得る結果を提供するアッセイをいい、一方用語「予後(的
)」とは、治療的もしくは予防的処置に対するこのような疾患または障害を有す
る抗体の応答を評価するためのこのようなアッセイの使用をいう。用語「薬理ゲ
ノミクス(的)」とは、1つの群においてどの個々の患者が、特定の治療的もし
くは予後的組成物または処置に対して最も良く応答するのかを予想するためのア
ッセイの使用をいう。
【0128】 「疾患」および「障害」という用語は、制限無しに、1つ以上の病原体または
寄生生物による感染、毒性化合物または有害な物理的条件への曝露、先天性の代
謝障害のような遺伝的欠損、腫瘍および癌のような過剰増殖性疾患、自己免疫障
害、心理学的および精神的な障害、加齢過程の所望されない結果、性的活動を行
えないこと、物理的外傷または環境的条件によって起こる損傷等によって起こる
、疾病および異常な状態を指す。疾患または障害はいずれも、妊娠それ自体は含
まないが、ある疾患および障害は妊娠している個体または胎児および胚に特に影
響を与え得る。
【0129】 本発明の診断的適用において、個体由来のサンプルを、「マーカー」、すなわ
ち目的の核酸またはタンパク質、あるいは目的の核酸またはタンパク質の内因性
リガンドまたは抗体の、相対的または絶対的な量に関してアッセイする。コント
ロールレベルに比較して増加したまたは減少したマーカーのレベルは、サンプル
を取ったその個体が、目的の疾患または障害を有しているか、有していたか、ま
たはそれに発展する可能性があることを示す。「コントロールレベル」という用
語は、目的の疾患または障害を有さないことが既知である一以上の個体から取っ
たサンプル中に存在するマーカーのレベル、あるいは診断的サンプルの前または
後に、問題の個体から取ったサンプル中に存在するマーカーのレベルを指す。そ
れに加えて、または代替的に、目的の疾患または障害を有さないことが知られて
いる多くの個体を、マーカーのレベルに関して試験して、そしてマーカーの正常
レベルに対応する絶対的な量または濃度を確立する;この実施形態において、影
響された個体を、正常値より有意に低いまたは高いマーカーのレベルを有するも
のとして同定する。
【0130】 本発明の予後の適用において、個体由来のサンプルを前述の段落におけるよう
にアッセイするが、(i)問題の個体は目的の疾患または障害に罹患しているこ
とが既知である、および(ii)アッセイの結果を、関連するが異なるように利
用する。具体的には、そのようなアッセイを、疾患または障害を有する個体の治
療的または予防的処置に対する応答を評価するために、およびそれからの回復の
過程を予想するために、またはさらなるまたは代替の処置の必要性を決定するた
めに使用する。
【0131】 本発明の薬理ゲノミクス的適用において、目的の疾患または障害に罹患してい
る患者を、本発明の1つ以上のアッセイを用いて、所望されるまたは所望されな
い応答に関して分類する。他に比べてある患者においてより有効であることが公
知であるか、またはより大きな副作用を引き起こす治療的組成物および/または
処置を、目的の疾患または障害に罹患している患者の群に投与する。疾患を有す
るどの患者が、治療的組成物および/または処置に応答する可能性がより高いか
同定する方法は、疾患を有する患者の群からサンプルを提供すること;サンプル
中に存在する目的のタンパク質もしくはポリペプチド、または目的の核酸、また
はそのリガンドもしくはそれに対する抗体の量を測定すること;治療的組成物お
よび/または処置を患者に提供すること;治療的組成物および/または処置に対
する患者の応答の程度、頻度、率、または範囲を測定すること;およびサンプル
中に存在する目的のタンパク質もしくはポリペプチド、または目的の核酸、また
はそのリガンドもしくはそれに対する抗体の量と、そのような応答の程度、頻度
、率、または範囲との間に関連が存在するかどうかを決定することを含む。
【0132】 得られる関連を、以下のような方法で患者を分類するのに使用する。そのよう
な関連がポジティブな関連である場合、そのような関連の存在は、増加した量の
目的のタンパク質もしくはポリペプチド、またはそのリガンド、または目的の核
酸を有するサンプルを産生する患者は、処置に応答する可能性がより高いことを
示す。対照的に、関連がネガティブな関連である場合、関連の存在は、増加した
量の目的のタンパク質もしくはポリペプチド、またはそのリガンド、または目的
の核酸を有するサンプルを産生する患者は、処置に応答する可能性がより低いこ
とを示す。
【0133】 これらの方法において測定される応答は、所望される応答であり得、その場合
には治療的組成物および/または処置を、比較的高レベルの目的のタンパク質も
しくはポリペプチド、またはそのリガンド、または目的の核酸を有する患者に提
供することが好ましい。あるいは、これらの方法で測定される応答は所望されな
い応答であり得、その場合には治療的組成物および/または処置を、比較的高レ
ベルの目的のタンパク質もしくはポリペプチド、またはそのリガンド、または目
的の核酸を有する患者に提供するのを避けることが好ましい。
【0134】 前述の方法のアッセイは、患者から得たサンプルが配達される実験室で、また
は患者処置の場所で行い得る。後者の場合、1つ以上の本発明のアッセイを行う
キットが好ましい。本発明の抗体、ポリペプチドおよびタンパク質、そのリガン
ドおよび核酸プローブおよびプライマーを、例えば単一のまたは別々の容器で、
本発明の少なくとも1つの方法を実施するのに使用する他の試薬、緩衝液、酵素
または材料と共に、キット形式で提供し得る。そのようなキットを、必要に応じ
て本発明の方法を実施するための説明書またはソフトウェアを含み得る容器で提
供し得る。そのような説明書またはソフトウェアは、あらゆる言語で、または人
もしくは機械により読み取り可能な形態で提供し得る。
【0135】 (高スループットアッセイを含む化合物のスクリーニング) 本発明の核酸、タンパク質、ポリペプチド、抗体およびトランスジェニック動
物を、特定の疾患、障害、または所望されない応答における目的の遺伝子産物の
役割を検証するために、および好ましくは当該分野で公知の、または後で開発さ
れたもののような高スループットスクリーニング方法を用いて、そのような疾患
、障害、および所望されない応答を処置するために使用し得る条件または化合物
をスクリーニングするために使用し得る。そのような処置は、本質において治効
の(remedial)、治療の、緩和する、回復する、予防的な(preve
ntative)、妨げとなる、または予防的(prophylactic)で
あり得る。本明細書中で提供されるようなオルガネラ関連疾患を含む、本発明を
適用し得る疾患および障害は、制限無しに、アルツハイマー病(AD)およびパ
ーキンソン病(PD)のような神経変性疾患;自己免疫疾患;I型およびII型
を含む真性糖尿病;MELAS、MERFF、関節炎、NARP(ニューロパシ
ー;運動失調;色素性網膜炎);MNGIE(ミオパシーおよび外眼筋麻痺症;
ニューロパシー;胃腸の;脳障害)、LHON(レーバー;遺伝性;視神経;ニ
ューロパシー)、キーンズ−セイアー病;ピアーソン症候群;PEO(進行性外
眼筋麻痺症);ミトコンドリア構造異常を有する先天性筋ジストロフィー;ウォ
ルフラム症候群(DIDMOAD;尿崩症、真性糖尿病、視神経萎縮、難聴)、
リー症候群、重度のmtDNA欠損を有する致死性乳児ミオパシー、mtDNA
の中程度の減少を有する良性「後期発症」ミオパシー;ジストニー;精神分裂病
;ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス、および卒中(MELAS);ミトコ
ンドリア糖尿病および難聴(MIDD);不整赤色線維を伴うミオクローヌスて
んかん症候群(MERFF);ならびに癌、腫瘍、および乾癬のような過剰増殖
性障害を含むがこれに限らない、ミトコンドリア関連疾患を含む。
【0136】 「所望されない応答」という用語は、生物体の1つ以上の細胞による、1つ以
上の物理的条件、化学的薬剤、またはその組み合せに対する、所望されない結果
に至る生物学的または生化学的応答を指す。所望されない応答は、オルガネラレ
ベルで(例えばミトコンドリアにおけるΔψの喪失、葉緑体における光合成の阻
害)、細胞レベルで(例えばアポトーシスまたはネクローシスのような細胞死)
、組織において(例えば虚血)、臓器において(例えば虚血性心疾患)または生
物体全体に対して(例えば死;生殖能力または認識過程の喪失)起こり得る。
【0137】 所望されない応答を引き起こし得る物理的条件は、制限無しに、低体温、高体
温、脱水、紫外線および他の型の照射に対する曝露、微小重力状態、物理的外傷
、引っ張り応力、および電場または磁場への曝露を含む。所望されない応答を引
き起こし得る化学的薬剤は、制限無しに、活性酸素種(ROS)、アポトーゲン
(apoptogen)等を含む。
【0138】 本発明の核酸を、以下の方法で、疾患状態および所望されない応答を処置する
ために使用し得る条件または化合物をスクリーニングするために使用する。リボ
リボサイムを含むアンチセンス分子を用いた細胞の処理、または目的の所定の遺
伝子産物に特異的なアンチセンス構築物のそこへの導入は、その遺伝子が検証さ
れる疾患または障害に関連する、少なくとも1つの生化学的または生物学的欠損
を示すような細胞を産生する。同様の様式で、目的の遺伝子の過剰発現を指示す
る構築物、またはアンチセンスもしくはリボザイム発現構築物を含むトランスジ
ェニック動物、あるいはアンチセンス、リボザイムまたは分子デコイオリゴヌク
レオチドを投与する動物は、もしその核酸がその疾患または障害の効果的な標的
である遺伝子産物をコードするなら、目的の疾患または障害に関連する、少なく
とも1つの生化学的または生物学的欠損を示す。
【0139】 同様に、治療的介入の標的となり得る目的のタンパク質に関して、細胞をタン
パク質に特異的な1つ以上の抗体と接触させ得、そして疾患または障害に関連す
る応答の提示が効果的な標的によって見られる。本発明のポリペプチドおよびタ
ンパク質をまた、以下の方法で、疾患状態および所望されない応答を処置するた
めに使用し得る条件または化合物をスクリーニングするために使用する。目的の
タンパク質、または目的のタンパク質の少なくとも1つの活性を有するそれから
得られたポリペプチドを、組換えDNA方法またはインビトロ合成技術によって
産生する。固体支持体に結合し得るタンパク質またはポリペプチドを、検出可能
に標識したリガンド(例えば抗体を含む)と接触させる。次いで化合物を反応容
器に導入し、そして検出可能に標識したリガンドの放出を引き起こすものとして
活性化合物を同定する。
【0140】 (治療的適用) 上記の実施形態によってそれから得られた治療薬を、伝統的な賦形剤、すなわ
ち活性化合物と有害に反応しない、非経口適用に適切な薬剤学的に受容可能な有
機または無機キャリア物質と組み合せて採用し得る。適切な薬剤学的に受容可能
なキャリアは、水、塩溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼ
ラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、珪酸、
粘着性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、石油エー
テル脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等を
含むがこれに限らない。薬剤学的調製物を、滅菌およびもし所望されるなら補助
剤、例えば活性化合物と有害に反応しない潤滑剤、防腐剤、安定化剤、湿潤剤、
乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝液、色素、矯味矯臭剤および/または芳
香物質等と混合し得る。非経口適用に関しては、特に適切なビヒクルは、好まし
くは油性の溶液または水溶液、および懸濁液、エマルジョン、またはインプラン
トからなる。水性懸濁液は、懸濁液の粘性を増加させる物質を含み得、そして例
えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデ
キストランを含む。必要に応じて、懸濁液はまた安定化剤を含み得る(一般的に
はWhitneyに対する第WO98/13353号、1998年4月2日公開
を参照のこと)。
【0141】 本発明の目的のために、「治療的有効量」という用語は、その意図した目的を
達成するのに有効な治療的薬剤の量を指す。個体の要求は異なるが、治療的薬剤
の有効な量の最適な範囲を決定することは、当該分野の技術の範囲内である。ヒ
ト投与量を動物研究から外挿し得る(FingleおよびWoodbury、G
oodman and Gilman’s The Pharmacologi
cal Basis of Therapeuticsの第1章、第5版、Ma
cMillan Publishing Co.、New York(1975
)、1−46頁)。一般的に、有効な量の組成物を提供するのに必要な、そして
当業者によって調節し得る投与量は、レシピエントの年齢、保健物理学的状態、
体重、疾患の程度、治療の頻度、ならびに所望される効果の性質および範囲によ
って異なる。
【0142】 本発明の治療的薬剤は、1つ以上のこれら組成物または、1つ以上のこれら組
成物を含むリポソーム(RahmanおよびSchein、Liposomes
as Drug Carriers、Gregoriadis編、John
Wiley、New York(1988)、381−400頁;Gabizo
n,A.、Drug Carrier Systems、第9巻、Roerdi
nkら編、John Wiley、New York、1989、185−21
2頁)、もしくは微粒子(Ticeら、米国特許第4,542,025号)処方
の間欠的なまたは連続的な静脈内注射によって;薬剤−ポリマー結合体の皮下イ
ンプラントによって(Duncan、Anti−Cancer Drugs 3
:175−210、1992)によって;パーティクルボンバードメント(bo
mbardment)によって(Sanfordら、米国特許第4,945,0
50号);注入ポンプによって(BlackshearおよびRohde、Dr
ug Carrier Systems、第9巻、Roerdinkら編、Jo
hn Wiley、New York、1989、293−310頁)、または
当該分野で公知の他の適切な方法によって(一般的にはRemington’s
Pharmaceutical Sciences、第18版、Gennar
o編、Mack Publishing Co.、Easton、PA、199
0を参照のこと)、哺乳動物に送達し得る。本発明の抗癌治療的組成物を、当該
分野で公知の他の抗癌組成物と組み合せて使用し得る。
【0143】 (本発明の局面) (I.示差的に発現されるオルガネラ因子の同定) 特定の疾患状態、アポトーシス、様々なストレッサーに反応して、または種特
異的様式で示差的に発現される遺伝子によってコードされるオルガネラ因子を同
定することが、本発明の目的である。「示差的に発現される」によって、その遺
伝子産物が、他に比べて1つの細胞型で、または1セットの条件下で、より多く
の量が存在することを意味する。
【0144】 オルガネラ因子は、オルガネラ内に、またはそれと関連して見出される高分子
、あるいはそのような高分子の量および/または活性に、直接または間接的に、
ネガティブなまたはポジティブな影響を与える細胞因子であり得る。そのような
因子は、細胞または生物体の核ゲノムから得られる遺伝子から発現する、および
ミトコンドリアまたは葉緑体のようなオルガネラのゲノムから発現する遺伝子産
物を含む。核ゲノムおよび遺伝子は、オルガネラ「偽遺伝子」配列、すなわちも
ともとオルガネラゲノムに存在し、オルガネラゲノムから核ゲノムへ転移した配
列を含み得る。偽遺伝子配列は、一般的には正常に発現しないが、ある疾患状態
においてか、または例えば細胞ストレスのようなある条件に反応して活性になり
得る。
【0145】 遺伝子産物は、RNA分子またはタンパク質であり得る。疾患状態で(すなわ
ち同じ種の罹患していない、コントロール生物体からの細胞に比べて、罹患した
生物体からの細胞で示差的に発現される)、野生型細胞に対して操作した細胞で
、または種特異的な方法で(すなわち第2の種由来の細胞に比べて、1つの種由
来の細胞で示差的に発現される)示差的に発現される、遺伝子および遺伝子産物
に特に関心がある。従って、例えば「目的のRNA」、「目的の遺伝子」および
「目的のタンパク質」はそれぞれ、疾患状態に関して、操作した細胞で、または
種特異的様式で、示差的に発現されるRNA、遺伝子、およびタンパク質を指す
。ミトコンドリア遺伝子産物を直接コードしない目的の遺伝子の1つの例として
、目的の核酸は、ミトコンドリア遺伝子産物のアンチセンスレギュレーターであ
り得る(Shayiq、J.Biol.Chem.272:4050−4057
(1997))。「目的のRNA」は、例えばリボソームRNA(rRNA)分
子、転移RNA(tRNA)分子、リボザイム、核タンパク質複合体の一部を形
成するRNA分子、およびアンチセンス転写物のような、mRNA分子ではない
がそれ自身が遺伝子産物であるRNA分子を含む。
【0146】 疾患または障害において示差的に発現される遺伝子および遺伝子産物に関して
、「ミトコンドリア関連疾患」、すなわち変化したミトコンドリアの機能および
/またはミトコンドリアの変異に関連する、または関連すると考えられる疾患に
特に関心がある。ミトコンドリア関連疾患は、制限無しに、AD、PD、自己免
疫疾患、真性糖尿病、MELAS、MERFF、関節炎、NARP(ニューロパ
シー;運動失調;色素性網膜炎);MNGIE(ミオパシーおよび外眼筋麻痺症
;ニューロパシー;胃腸の;脳障害)、LHON(レーバー;遺伝性;視神経;
ニューロパシー)、キーンズ−セイアー病;ピアーソン症候群;PEO(進行性
外眼筋麻痺症);ミトコンドリア構造異常を有する先天性筋ジストロフィー;ウ
ォルフラム症候群(DIDMOAD;尿崩症、真性糖尿病、視神経萎縮、難聴)
、リー症候群、重度のmtDNA欠損を有する致死性乳児ミオパシー、mtDN
Aの中程度の減少を有する良性「後期発症」ミオパシー;ジストニー;精神分裂
病;ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス、および卒中(MELAS);ミト
コンドリア糖尿病および難聴(MIDD);不整赤色線維を伴うミオクローヌス
てんかん症候群(MERFF);ならびに癌、腫瘍、および乾癬のような過剰増
殖性疾患を含み得る。
【0147】 本発明の1つの局面は、以下を含む、示差的に発現される遺伝子によってコー
ドされるオルガネラ因子を同定する方法である:第1の状態における1つ以上の
細胞を提供すること、第2の状態における1つ以上の細胞を提供すること、第1
の状態および第2の状態における遺伝子の発現を決定すること、ならびに第1の
状態および第2の状態において示差的に発現される遺伝子またはタンパク質を同
定すること。
【0148】 第1の状態における細胞および第2の状態における細胞は、同じまたは異なり
得、そして一次細胞系統、連続細胞系統、クローンの集団、細胞の集団、操作し
た細胞系統、操作した細胞の集団、あるいは同じかまたは異なる生物体または生
物体の種由来の細胞または細胞集団のような、あらゆる細胞または細胞集団であ
り得、サンプル、液、組織または臓器、または前述のあらゆる組み合せのような
ものであり得る。この文脈で使用する場合、「由来の」は、分類学上の界、門、
綱、または目;好ましくは科または属;およびより好ましくは種、および最も好
ましくは同定された生物体までその系統をたどることができる細胞を指す。生物
体は、トランスミトコンドリア(transmitochondrial)生物
体、トランスジェニック生物体、または非トランスジェニック生物体であり得る
。生物体への言及は、特定の生物体または生物体のグループを指す。本発明の方
法で生物体のグループを使用する場合、生物体は同じ種由来であり得るが、そう
である必要はない。
【0149】 第1の状態および第2の状態は、特定の疾患状態に関して異なり得る。例えば
、第1の状態における細胞は、疾患状態を有する第1の生物体由来であり得、そ
して第2の状態における細胞は、疾患状態を有さない第2の生物体または正常生
物体由来であり得る。例えば、第1の状態における細胞は、アルツハイマー病を
有すると診断された患者由来であり得、そして第2の状態における細胞は、アル
ツハイマー病を有すると診断されない患者由来であり得る。
【0150】 それに加えて、第1および第2の状態は、サンプル、液、組織または臓器の異
なる供給源に基づいて異なり得る。本発明のこの局面では、第1の状態における
細胞は、第2の状態における細胞とは異なるサンプル、液、組織または臓器由来
であり得る。例えば、第1の状態における細胞は、1つ以上の筋細胞であり得、
そして第2の状態における細胞は、1つ以上の中枢神経系細胞であり得る。
【0151】 さらに、第1状態および第2状態は、少なくとも1つの生物体の異なる処理ま
たは一連の処理に基づいて異なり得る。本発明のこの局面において、第1状態の
細胞は、一連の処理の処理、例えば、環境、食餌、あるいはタンパク質、ペプチ
ド、核酸(例えばウイルスベクターなどのベクター)、薬物、化学物質または毒
素などの化合物の投与を提供された、第2状態の細胞が由来するのと同じまたは
異なる生物体由来であり得る。試料、体液、組織または器官は、このような一連
の処理の間の異なる時点で、処理を受けた、処理を受けない、または異なる処理
を受けた1つ以上の生物体から採取され得る。これらのサンプル、体液、組織ま
たは器官は、第1状態の細胞または第2状態の細胞の供給源であり得る。例えば
、第1状態の細胞は処理を提供される前の生物体由来であり得、そして第2状態
の細胞はこのような処理の間の異なる時点の、同じまたは異なる生物体由来であ
り得る。更なる例として、第1状態の細胞は第1処理を受けた生物体由来であり
得、そして第2状態の細胞は第2の処理を受けた異なる生物体由来であり得る。
【0152】 さらに、第1状態および第2状態は、少なくとも1つの化合物による少なくと
も1つの第1状態の細胞または第2状態の細胞の処理に基づいて異なり得る。例
えば、第1状態の細胞は、タンパク質、ペプチド、核酸(例えばウイルスベクタ
ーなどのベクター)、薬物、化学物質または毒素のような化合物で処理され得、
そして第2状態の細胞は少なくとも1つの第1細胞の処理に用いた化合物で処理
されないか、第1細胞の処理に用いた化合物とは異なる化合物で処理されるか、
あるいは第1状態の細胞を処理するのに用いた化合物であるが異なる濃度で処理
される。
【0153】 さらに、第1状態および第2状態は、1つ以上の細胞ストレッサーの存在に基
づいて異なり得る。細胞ストレッサーは任意の細胞ストレッサーであり得るが、
好ましくは環境因子、例えば、温度、イオン強度、あるいは、例えば酸素、二酸
化炭素または一酸化炭素のような気体の分圧である。例えば、第1状態の細胞は
細胞ストレッサーで処理され得、そして第2状態の細胞は細胞ストレッサーで処
理されないか、第1状態の細胞の処理に用いたのとは異なる細胞ストレッサーで
処理されるか、あるいは第1状態の細胞を処理するのに用いた細胞ストレッサー
であるが異なる濃度で処理される。
【0154】 決定工程は、好ましくは、第1状態の細胞または第2状態の細胞中のmRNA
またはタンパク質、好ましくは両方を、当該分野で公知の方法あるいは後に開発
される方法、例えば、核酸ハイブリダイゼーション法、核酸アレイ、イムノアッ
セイまたはペプチドメトリクス(peptidometrics)を用いて決定
する工程を包含する。同定工程は、好ましくは、第1状態の細胞および第2状態
の細胞中のmRNAまたはタンパク質を比較する工程を包含する。このような比
較は自動化を利用し、そして例えばパターン認識またはデータマイニングを用い
て、コンピュータで補助される(Meansらの米国特許第5,138,695
号(1992年8月11日発行);Gallantらの米国特許第5,325,
298号(1994年6月28日発行);Leveyらの米国特許第5,398
,300号(1995年3月14日発行);Meansらの米国特許第5,47
1,627号(1995年11月28日発行);Caidらの米国特許第5,6
19,709号(1997年4月8日発行);Titanらの米国特許第5,7
45,654号(1998年4月28日発行);Blankらの米国特許第5,
687,306号(1997年11月11日発行);Blankらの米国特許第
5,577,179号(1996年11月19日発行);Blankらの米国特
許第5,469,536号(1995年11月21日発行);およびBlank
らの米国特許第5,345,313号(1994年9月6日発行))。
【0155】 (II.操作された細胞中の示差的に発現される遺伝子の同定) 本発明の他の実施形態において、示差的発現されるオルガネラ遺伝子が操作さ
れた細胞中で同定される。このような細胞は、限定されないが、(i)サイブリ
ッド細胞、すなわち共通由来の核成分を有し、特定のサイブリッドの場合、異な
る細胞質(ミトコンドリアおよび/または葉緑体含有)成分と組み合わされてい
る細胞系;(ii)ρ0細胞、すなわちオルガネラゲノム中のDNAの量が低減
または除去されている細胞;および(iii)野生型ゲノムDNA(核および/
またはオルガネラ)が変異、付加または他の方法で変化している細胞を包含する
【0156】 本発明のこの局面は、操作された細胞中の示差的に発現されるオルガネラ遺伝
子の同定のための方法を包含し、この方法は:操作されていない1つの細胞を提
供する工程と、操作された細胞である少なくとも1つの第2細胞を提供する工程
と、第1細胞および第2細胞中の遺伝子の発現を決定する工程と、第1細胞およ
び第2細胞中で示差的に発現される遺伝子を同定する工程とを包含する。好まし
くは、操作された細胞はサイブリッド細胞であり、そして操作されていない細胞
は操作された細胞の親細胞であるが、必ずしもこの限りではない。第1細胞およ
び第2細胞は同じまたは異なる状態で提供され得る。
【0157】 好ましくは、本発明の方法は、正常細胞と糖尿病またはアルツハイマー病のよ
うな特定の疾患状態についてのサイブリッド細胞(例えば、1685)とを用い
て、この特定の疾患状態において示差的に発現される遺伝子またはタンパク質を
同定する。任意に、本発明の方法で同定される核酸分子およびタンパク質は、正
常および疾患状態由来の細胞、サンプルまたは組織を研究するために用いられ得
る。本発明のこの局面において、本発明によって同定される核酸分子は、例えば
核酸ハイブリダイゼーション法を用いて、特定の疾患状態に適した細胞、サンプ
ルまたは組織から作成されたcDNAライブラリーに質問(interroga
te)するために用いられる。例えば、糖尿病については、骨格筋由来の組織サ
ンプルが好ましく、そしてアルツハイマー病については、脳、脊柱または髄液の
ような中枢神経系由来のサンプルが好ましい(好ましくは、死後できる限り早く
、サンプルを採取する)。疾患状態の細胞、サンプルまたは組織から作製される
cDNAライブラリー中の本発明によって同定される核酸分子を、非疾患状態の
同様の細胞、サンプルまたは組織を用いて作製されるcDNAライブラリーと比
較した存在、非存在、増加量または減少量は、この核酸分子、またはこの核酸分
子によってコードされるタンパク質と研究されている疾患状態との関連を示す。
任意に、本発明の方法によって同定されるタンパク質は、このようなサンプル中
で、イムノアッセイまたは二次元ゲル電気泳動のような確立された方法を用いて
測定され得る。疾患状態の細胞、サンプルまたは組織中で本発明によって同定さ
れるタンパク質を、非疾患状態の細胞、サンプルまたは組織と比較した存在、非
存在、増加量または減少量は、このタンパク質と研究されている疾患状態との関
連を示す。
【0158】 (III.細胞死の間に示差的に発現される遺伝子の同定) 本発明の他の局面は、アポトーシス(PCD、プログラム細胞死としても知ら
れる)および壊死の間に示差的に発現される核酸の同定を伴う。アポトーシスに
対する細胞の応答を制限する変異および他の変化は、発癌の間に起こる事象であ
り得る。すなわち、いくつかのガン細胞は、アポトーシスを免れた細胞の子孫を
代表し得る(EvanおよびLittlewood、Science 281:
1317−1322,1998)。アポトーシスの間に示差的に発現される核酸
、あるいはアポトーシスに関連する生化学的事象は、このような疾患および障害
の治療技術において有用な診断的、予後的および薬理ゲノミクス的アッセイにお
いてプローブとして用いられ得る。このような核酸はまた、過剰増殖性疾患およ
び障害を処置するために有用なプロ−アポトーシス剤(pro−apoptot
ic agent)、ならびに、アポトーシス成分を有するまたは有すると推定
されることが知られている、例えば、変性疾患および障害(限定されない例とし
て、アルツハイマー病および発作のような神経変性疾患および障害)を処置する
ために用いられ得る抗アポトーシス剤を同定するための方法における新規な標的
として用いられ得る遺伝子産物を産生するために用いられ得る(Barinag
a,Science281:1302−1304,1998)。
【0159】 本発明のこの局面は、好ましくは、アポトーシスの間に示差的に発現される核
酸の同定のための方法を包含し、この方法は:アポトーシスではない少なくとも
1つの第1細胞を提供する工程と、アポトーシス状態の少なくとも1つの第2細
胞を提供する工程と、第1細胞および第2細胞における遺伝子の発現を決定する
工程と、第1細胞および第2細胞中に示差的に発現される遺伝子を同定する工程
を包含する。アポトーシス細胞は、アポトーシスを導き得る少なくとも1つの遺
伝子、遺伝子産物またはタンパク質を発現する細胞、あるいはサイトゾル中ある
いはオルガネラ内またはオルガネラ上のイオンまたはタンパク質の酸化還元電位
または濃度のようなアポトーシスを導き得る細胞状態を有する細胞である。少な
くとも1つの第1細胞および少なくとも1つの第2細胞はまた、同じまたは異な
る状態で提供され得る。
【0160】 本発明のこの実施形態において、示差的に発現される核酸は、アポトーシス、
またはアポトーシス関連プロセスを受けるように誘導されている細胞中で、その
ような処理をされていない細胞と比べて、同定される。アポトーゲン(apop
togen)として一般に知られている化合物はアポトーシスを誘導し得る。い
くつかのアポトーゲンは特異的レセプターを有する細胞上でのみ作用する。これ
らは、非限定的な例として、腫瘍壊死因子(TNF)、FasL、NMDA、コ
ルチコステロンなどを含む。しかし、多くのアポトーゲンは特異的レセプターを
必要とせず、例として、限定しないが、ハービマイシンA、パラコート、エチレ
ングリコール、プロテインキナーゼ阻害剤(例えば、スタウロスポリン、カルホ
スチンCおよびコーヒー酸フェネチル)、塩化ケレリトリン、ゲニステイン、1
−(5−イソキノリンスルホニル)−2−メチルピペラジン、ケルセチン、N−
[2−((p−ブロモシンナミル)アミノ)エチル]−5−5−イソキノリンス
ルホンアミド、KN−93、d−エリスロ−スフィンゴシン誘導体、MAPキナ
ーゼ誘導物質(例えば、アニソマイシンおよびアナンダミン(anandami
ne)、細胞サイクルブロッカー(例えば、アフィディコリン、コルセミド、5
−フルオロウラシルおよびホモハリントニン)、アセチルコリンエステラーゼ阻
害剤(例えば、ベルベリン)、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン)、プ
ロ−オキシダント(例えば、tert−ブチルペルオキシドおよび過酸化水素)
、フリーラジカル(例えば、亜酸化窒素)、無機金属イオン(例えばカドミウム
)、DNA合成阻害剤(例えば、アクチノマイシンD、硫酸ブレオマイシン、マ
イトマイシンC、カンプトセシン、ダウノルビシン、ヒドロキシ尿素、メトトレ
キサート、およびドキソルビシンのようなインターカレーター)、タンパク質合
成阻害剤(例えば、シクロヘキサミド、ピューロマイシンおよびラパマイシン)
、微小管の形成または安定性に影響を与える薬剤(例えば、ビンブラスチン、ビ
ンクリスチン、コルヒチン、4−ヒドロキシフェニルレチナミドおよびパクリタ
キセル)、およびイオノフォア(例えば、イオノマイシンおよびバリノマイシン
)を包含する。アポトーシスはまた、いくつかの細胞型において、インターロイ
キン−3(IL−3)のような増殖因子が離脱することによって誘導され得る。
さらに、紫外線照射のような物理的処理はアポトーシスを誘導し得、Staph
ylococcus aureusのような細胞内細菌も同様に誘導し得る(B
aylesら、Infection and Immunity 66:336
−342,1998)。
【0161】 (IV.種特異的様式で示差的に発現される遺伝子の同定) 本発明の別の局面は、種特異的様式で示差的に発現される核酸の同定を伴う。
「種特異的様式」とは、種由来の細胞を特定の化合物または物理的条件のセット
に曝露したときに、相同の遺伝子産物をコードする核酸が、1つの種に属する第
1生物体中ではアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションし、別の
種に属する第2生物体中ではそうならないことを意味する。本発明のこの実施形
態は種々の方法において用いられる。
【0162】 本発明のこの局面は、種特異的様式で示差的に発現される核酸を同定するため
の方法を包含し、この方法は:第1の種由来の1つ以上の細胞を提供する工程と
、第2の種由来の1つ以上の細胞を提供する工程と、第1の種由来の細胞および
第2の種由来の細胞中の遺伝子の発現を決定する工程と、第1の種由来の細胞お
よび第2の種由来の細胞中で示差的に発現される遺伝子を同定する工程とを包含
する。好ましくは、第1の種由来の細胞および第2の種由来の細胞は同じまたは
同様の条件下で培養されるが、必ずしもその限りではない。第1の種由来の細胞
および第2の種由来の細胞は同じまたは異なる状態で提供され得る。
【0163】 例えば、本発明のこの実施形態は、アポトーシスの間に種特異的様式で示差的
に発現される相同な核酸を同定するために用いられ得、そして新規な抗生物質を
開発するために用いられ得る。例えば、目的の種特異的核酸は、制限されないが
、アポトーシスのヒト細胞中で、真核生物病原体または寄生生物、例えばトリパ
ノソーマ(AshkenaziおよびDixit、1998 Science
281:1305−1308)または昆虫由来のアポトーシス細胞と比べて示差
的に発現されるホモログを包含する。このような核酸は、このような病原体およ
び寄生生物におけるアポトーシスを誘導するが、その哺乳動物宿主の細胞中では
アポトーシスを誘導しない抗生物質の同定のための方法において、新規な標的と
して用いられ得る遺伝子産物を同定および産生するために用いられ得る。あるい
は、このような核酸は、哺乳動物細胞をプロ−アポトーシス剤から保護するが、
真核生物病原体または寄生生物の細胞中のアポトーシスを妨げたり制限しない化
合物を同定するための方法において、新規な標的として用いられ得る遺伝子産物
を同定および産生するために用いられ得る。このような薬剤は、このような病原
体および寄生生物の予防的または治療的技術のために有用であると期待される。
【0164】 本発明の関連の実施形態において、種特異的様式で示差的に発現される核酸は
、所望されない植物(例えば、雑草)由来の細胞中でアポトーシスの間にアップ
レギュレーションまたはダウンレギュレーションされるが、所望の植物(例えば
、作物)由来の細胞中ではされない核酸;あるいは所望されない昆虫(特に、鱗
翅目および他の作物に損害を与える昆虫)由来の細胞中でアポトーシスの間にア
ップレギュレーションまたはダウンレギュレーションされるが、所望の昆虫(例
えば、蜂)または所望の植物由来の細胞中ではされない核酸を包含する。このよ
うな核酸は、各々、このような所望されない植物および昆虫におけるアポトーシ
スを誘導するが、所望の植物および昆虫の細胞におけるアポトーシスを誘導しな
い除草剤および殺虫剤を同定するための方法において、新規な標的として用いら
れ得る遺伝子産物を同定および産生するために用いられ得る。あるいは、このよ
うな核酸は、所望の植物および昆虫種由来の細胞をプロ−アポトーシス剤から保
護するが、このようなプロ−アポトーシス剤に曝露された所望されない植物およ
び昆虫種由来の細胞におけるアポトーシスを妨げたり制限しない化合物を同定す
るための方法において、新規な標的として用いられ得る遺伝子産物を同定および
産生するために用いられ得る。このような薬剤は、このような病原体および寄生
生物の予防的または治療的技術のために有用であることが期待される。
【0165】 本発明のこの実施形態の関連の局面において、所望の植物種のオルガネラのゲ
ノムは、アポトーシスを誘導することによって、あるいはオルガネラの機能を妨
害することによって作用する除草剤(例えば、パラコート)および殺虫剤(例え
ば、Daniellら、Nature Biotechnology 16:3
45−348,1998を参照のこと)から所望の植物を保護する遺伝子産物の
産生に向けられる目的の核酸を発現するように操作される。オルガネラゲノム中
に導入される核酸は、起源が内因性のもの(すなわち、所望の植物由来)または
外因性のもの(他の植物由来)であり得る。
【0166】 (実施例) 以下の実施例は本発明を例示し、本発明を制限することを意図しない。当業者
は、ルーチンの実験を通じて、本明細書に記載の特定の物質および手順に対する
多くの等価物を認識し、あるいは確かめることができる。このような等価物は本
発明の範囲内であると見なされる。
【0167】 (実施例1) (アルツハイマー病の示差的遺伝子発現実験のためのサイブリッド細胞系の調
製) アルツハイマー疾患を有する患者由来のサイブリッド細胞における遺伝子発現
を適切なコントロールのサイブリッド細胞と比較した。特に、「1685AD」
と名付けられたサイブリッド細胞系由来のRNA種(またはこれに由来するcD
NA分子)を分析し、そして「MixCon」コントロール細胞と比較した。「
MixCon」は、n人の正常患者(n=2〜3、個々の実験に依存する)由来
の血小板を用いて調製されたサイブリッドで構成される混合コントロール(Mi
xed Control)を示す。
【0168】 アルツハイマー病を有する患者由来のミトコンドリアを含むサイブリッド細胞
を調製するための手順は以前に記載されている(Millerら、J.Neur
ochem.67:1897−1907、1996;Swerdlowら、Ne
urology 49:918−925、1997;および米国特許出願番号0
8/397,808号、本明細書中に参考として援用される)。1685サイブ
リッド細胞系はこのタイプのサイブリッド細胞の一例である。1685サイブリ
ッド細胞系は、ADドナー由来の血小板と、臭化エチジウムによる広範囲な処理
によってρ0とされたSH−SY5Y神経芽腫細胞との融合によって作製された
【0169】 サイブリッド形成の間のドナー核DNAの偶然のトランスフェクション(例え
ば、血小板調製物中の白血球の存在による)の可能性を除外するために、Apo
EジェノタイピングをADドナー、親SH−SY5Y細胞およびADサイブリッ
ドから単離されたDNAで、配列5’−GGCACGGCTGTCCAAGG(
センス鎖、配列番号1)および5’−CCCGGCCTGGTACACTG(ア
ンチセンス鎖、配列番号2)を有するプライマーを用いるプライマー伸長アッセ
イによって行った。ApoE遺伝子のこれらの2つのプライマーとの間に存在す
るヌクレオチド配列中の種々の変異は、ApoE1、ApoE2、ApoE3お
よびApoE4対立遺伝子に対応する(Mahley、Science 240
:622−630,1988)。それゆえ、このプライマー対を用いるプライマ
ー伸長は、特定のDNAサンプルに対して、これらの対立遺伝子の存在または非
存在について質問する(LivakおよびHaimer、Hum.Mutat.
3:379−385、1994)。ADドナー由来のリンパ球は、ヘテロ接合の
(ApoE3/ApoE4)の対立遺伝子パターンを示す。対照的に、SH−S
Y5Y細胞および1685サイブリッド細胞はホモ接合(ApoE3/ApoE
3)対立遺伝子パターンを示し、従って、1685サイブリッド細胞が親SH−
SY5Y細胞系と同じ核の相補性を有する。
【0170】 細胞系由来のミトコンドリアDNAもまた、アルツハイマー患者由来のミトコ
ンドリアゲノムの転移を確認するために検査した。総細胞DNAを、AD患者、
ρ0SH−SY5Y細胞、親SH−SY5Y細胞、1685ADサイブリッドお
よびMixConサイブリッド由来の血液サンプルから調製した。複合プライマ
ー伸長アッセイを用いて、両方の遺伝子座を包含するPCRで生成されたフラグ
メント中のmtDNA位置6366および6483を同時に質問した(米国特許
出願番号08/810,599参照、本明細書中に参考として援用される)。親
SH−SY5YおよびMixConサイブリッドと対照的に、1685サイブリ
ッドおよびAD患者由来の血液サンプルから調製された総細胞DNAは、mtD
NA位置6366にホモプラズミック(homoplasmic)変異を、そし
てmDNA位置6483に野生型塩基を示した。
【0171】 サイブリッド細胞を用いた典型的な示差的遺伝子発現実験において、以下のプ
ロトコルに従った。MixConおよび1685サイブリッドを融解し、約2、
4または6週間培養した。培養期間の最後に、サイブリッド中のETCの2つの
異なる成分(複合体Iおよび複合体IV)の活性をMillerらの方法(J.
Neurochem.67:1897−1907,1996)を用いて測定した
。これらのミトコンドリア酵素は、AD血小板中および死後のAD脳中と、細胞
質成分がAD細胞に由来するサイブリッド中とで、以下の様式で、示差的に活性
であることが以前に示されている。コントロールサイブリッド(すなわち、細胞
質成分が正常の非疾患細胞由来であるもの)に比較して、複合体IV(チトクロ
ームc酸化酵素、COX)活性はADサイブリッド中で有意に低下し、他方、複
合体I(NADH:ユビキノン酸化還元酵素)活性はこれら2つの間で有意に異
ならなかった(Davisら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
94:4526−4531,1997;Ghoshら、「ミトコンドリアの機
能不全とアルツハイマー病」第10章、Progress in Alzhei
mer’s and Parkinson’s Diseases,Fishe
rら編、Plenum Press、New York,1998,59−66
頁;また、PCT出願番号PCT/US95/04063(WO 95/269
73として公開)も参照のこと、この全体の内容は本明細書中に参考として援用
される)。
【0172】 複合体IおよびIVの活性をモニターして、ADサイブリッドがアルツハイマ
ー病に関連する表現型を保持することを確認する。典型的な実験の例を表2に示
す。同時に、サイブリッドからこれらのサンプルを複合体IおよびIVのアッセ
イのために採取し、総細胞RNAの調製のためにもサンプルを採取した。
【0173】
【表2】 (実施例2) (RNAの調製) 本実施例において、RNAをMixConサイブリッドおよび1685(AD
)サイブリッドから、培養の2、4および6週間後に調製した。RNAは、サイ
ブリッドからTRIZOL(登録商標)試薬(Life Technologi
es,Gaithersburg、MD;本明細書中に参考として援用される米
国特許第5,346,994号を参照のこと、)を用いて、製造者の指示に本質
的に従って調製した。RNA調製物からDNAを除去するために、サンプルをR
Naseを含まないDNaseI(PromegaまたはAmbion)で濃度
1から5μ/μLで、37℃で20から30分間処理した。
【0174】 (実施例3) (示差的ディスプレイのための逆転写) (A.逆転写のためのプライマーの設計) 増幅および分析のためのDNAテンプレートの生成のためには、サンプル中の
RNA分子の逆転写が必要である。特に注目されるのは、メッセンジャーRNA
(mRNA)分子として知られる、ポリペプチドをコードするRNA分子である
。真核生物系において、核mRNA分子は約200から600のアデニル(A)
残基からなる5’ポリ(A+)「テール」を有し、これは転写の後にRNA分子
に付加されるのに対し、ミトコンドリアmRNAの場合、5’ポリ(A+)「テ
ール」はしばしば、幾分短く、すなわち約50から60アデニル残基である。い
ずれのタイプの転写も以下に記載する手順に従う。
【0175】 HIEROGLYPHTM mRNA Profileシステム(Genomy
x Corp., Foster City, CA)を用いて、サンプル中に
存在するRNA分子のサブセットの逆転写およびPCR増幅を実施した。このシ
ステムは、5つのmRNA Profileキットからなり、その各々が12個
のアンカーオリゴヌクレオチドプライマー(AP−1,AP−2など)を、20
個の任意5’オリゴヌクレオチドプライマー(ARP−1,ARP−2など)の
うち4つと組み合わせて含む。
【0176】 各々のアンカープライマー(AP)オリゴヌクレオチドは、5’−(dT)10 -12 NM配列を有する。ここで「NM」は、12APオリゴヌクレオチドのそれ
ぞれにおいて、GA,GC,GG,GT,CA,CC,CG,AA,AC,AG
,ATまたはCTである。このように、各々の12APオリゴヌクレオチドはい
くつかのmRNA分子の3’末端に相補的である。このmRNAはpoly(A + )「テイル」を有する。しかし、「NM」ヌクレオチドの同一性は、サンプル
中のサブセットのポリ(A)RNA分子への所定のAPオリゴヌクレオチドの正
確な相補性を制限する。例えば、5’−TTTTTTTTTTTTCG(配列番
号:3)配列を有するAPオリゴヌクレオチドは、そのpポリ(A+)「テイル
」の開始部位の5’−CGAAAAAAAAAAAA(配列番号:4)配列を有
するmRNA分子のみに正確に相補性を有する。ポリ(A+)「テイル」の第1
番目の塩基のすぐ5’側のその2つのヌクレオチドの同一性がランダムであると
仮定すると、各々のAPオリゴヌクレオチドは、サンプル中に存在するmRNA
種の12すべてうちの1つ(約8%)に、正確な相補性を有し、そしてこのよう
に特異的にハイブリダイズする。
【0177】 (B 逆転写) どのセットのアンカープライマー(AP)オリゴヌクレオチドを用いるに関わ
らず、RNAサンプルを個々のAPプライマーと混ぜ、加熱し(5分間70℃で
のインキュベーションにより)、次いで、氷上ですばやく冷却した。適切な緩衝
液およびDNA合成に必要な4つのdNTPの組(すなわち、dATP、dCT
P、dGTP、およびdTTP)の存在下で、当該分野で公知のプロトコール(
例えば、Dorit、「cDNA Amplification Using
One−Sided(Anchored) PCR」、Unit 15.6,S
hort Protocols in Molecular Biology,
第2版,Ausubelら編、John Wiley & Sons,New
York, New York,1992,15−21頁から15−27頁)に
従い、mRNA分子の逆転写を行うために、モロニーマウス白血病ウイルス(M
o−MLVまたはM−MLV)逆転写酵素を用いる。より詳細には、第1鎖のc
DNA合成反応について製造者(Genomyx Corp.)の指示に本質的
に従い、反応を行った。各反応混合物は、20μL(7.8μLの滅菌したヌク
レアーゼを含まないH2O;4.0μLの5×SuperScript II
RT緩衝液;dNTP混合物、dATP:dTTP:dCTP:dGTPが1:
1:1:1で、各250μM;2.0μLの100mMのDTT;および0.2
μLの200Unit/μL SuperScript II RT酵素)から
構成されていた。コントロール−RT(逆転写酵素なし)では、8.0μLの滅
菌したヌクレアーゼを含まないH2Oを添加した。反応は、以下のサイクルを使
用して、加熱された蓋を備えたサーマルサイクラー中で実施した;(I)42℃
で5分間;(II)50℃で50分間;(III)70℃で15分間;そして(
IV)4℃で保存。
【0178】 逆転写反応産物は、DNA:RNAハイブリッド分子の集合体であり、その各
々のDNA鎖は、特定の例に用いられた特異的なAPオリゴヌクレオチドに特異
的にハイブリダイズし得るmRNA分子の逆相補体である配列を有する。「RT
混合物」と呼ばれる、これらの反応混合物は、霜のつかないフリーザーで、−2
0℃にて保存した。
【0179】 (実施例4) (ADサイブリッドにおけるディファレンシャルディスプレイ(DD)) RNA:DNAハイブリッド分子のコレクションを生成するアンカープライマ
ーを用いた逆転写後に、(a)対応する2本鎖cDNA分子のセットを調製し、
増幅し、そして標識化すること、および(b)標識化された2本鎖cDNA分子
を分離し、そして評価することが所望された。本実施例では、アンカープライマ
ーおよび任意(arbitrary)プライマーを蛍光標識化したものを、標識
したcDNA分子を調製するために用いたが、これはまた、他の手段(例えば、
放射性同位体で標識すること)により標識されたcDNA分子に対して可能であ
る。再現性を確認するために、これらの反応を二連で行った。
【0180】 第2鎖のcDNA合成は、別々の反応で、20種の任意プライマー(例えば、
M13r−ARP1,M13r−ARP2などからM13r−ARP20まで;
Genomyx Corp.)の内の1つを用いてプライムした。各々の場合に
おいて、特異的なmRNA分子のポリAテイルから5’側に位置するセンス鎖配
列に対応する任意プライマー(ARP)が、熱変性した1本鎖(ss)DNA分
子にハイブリダイズした。この反応混合物もまた、先の実施例の逆転写反応で用
いたのと同じアンカープライマー(AP)の標識化したものおよび標識化してい
ないものを含んだ。この実施例で用いた蛍光標識はテトラメチルローダミン(T
MR)であった。
【0181】 より詳細には、各反応混合物は、1.95μLの滅菌したヌクレアーゼを含ま
ないH2O;1.0μLのPCR緩衝液II(MgCl2なし);1.5μLの2
5mM MgCl2;2.0μLのdNTP混合物、dATP:dTTP:dC
TP:dGTPが1:1:1:1で、各250μM;1.75μLの2μMの適
切なARPプライマー(非蛍光性のもの);0.7μLの5μMの適切な3’A
Pプライマーの蛍光(TMR標識)したもの(先の試薬はGenomyx Co
rpから);1.0μLの特異的な「RT混合物」(先の実施例を参照のこと)
;および0.1μLのAmpliTaq(登録商標)熱安定性DNA ポリメラ
ーゼ(Perkin Elmer)を含んだ。この反応混合物を以下のセットの
サイクルに従い、加熱された蓋を備えたサーマルサイクラー中でインキュベート
した;(I)95℃で2分間;(II)92℃で15秒間、50℃で30秒間、
そして72℃で2分間を4サイクル;(III)92℃で15秒間、60℃で3
0秒間、そして72℃で2分間を30サイクル(IV)72℃で7分間;そして
(IV)4℃で保存。一般的に、試薬および反応を調製し、そして実施する領域
では、ヌクレアーゼの導入を回避するよう注意をし、エアロゾル−バリアー、滅
菌した、ヌクレアーゼを含まないピペットチップを用いた。それぞれの生じた「
cDNA反応物」は、特定のサブセットのRNAに対応する1セットの蛍光標識
化PCR産物を含む。
【0182】 4μLの各cDNA反応物を、キャップしていないチューブにおいて1.5μ
LのfluoroDDローディング色素と混ぜた。蓋を開けたサーマルサイクラ
ー中でキャップをしていないチューブを95℃で2分間加熱することにより、D
NAを変性し、濃縮した。濃縮したサンプルの全容量(約2.5〜3μL)を、
5.6%のポリアクリルアミドHR−1000TMクリアー変性ゲル(Genom
yx)にロードし、電気泳動した。電気泳動した標識化PCR産物を含むゲルを
、genomyxSC スキャナーを用いて画像化した。いくつかの代表的な結
果を図1に示す。
【0183】 コントロールおよびADサイブリッド実験の組み合わせからの標識化PCR産
物を、目的のバンドについて比較した。そのようなバンドは、(i)「アップレ
ギュレートされた」遺伝子(すなわち、対応するコントロール(MixConサ
イブリッド)レーンと比較して実験(ADサイブリッド)レーンにおいて増加し
たシグナルを示すバンド)および(ii)「ダウンレギュレートされた」遺伝子
(すなわち、対応するコントロールレーンと比較してADサイブリッドレーンに
おいて減少したシグナルを示すバンド)の両方を含む。
【0184】 目的のバンドを、そのヌクレオチド配列を決定するためにクローン化した(以
下の実施例を参照のこと)。配列には、さらなる特徴付けがなされるまで、「U
NK」の名称が与えられた(すなわち、UNK1、UNK2など;図5から32
まで参照のこと)。いくつかの例では、特徴付けられていない機能のタンパク質
をコードすることが見出されているUNK配列は、「MG−UC」の名称が与え
られており、明らかに新規なUNK配列は、「MG−NOV」の名称が与えられ
ている。
【0185】 図1にみられ得るように、アップレギュレートされている核酸種およびダウン
レギュレートされている核酸種の両方が、本実施例のADサイブリッドにおいて
同定された。特に、1685 DD−配列#3(UNK4,a.k.a. MG
−UC2;配列番号:9),#5(MG−NOV3;配列番号:11)、および
#6(配列番号: )と名付けられたヌクレオチド配列を有する核酸は、UNK
5、UNK10、UNK18およびUNK19(それぞれ、配列番号:27、3
2、33、44、および45)と同様に、1685 ADサイブリッドにおいて
発現が減少していることを示した。
【0186】 対照的に、1685 DD−配列#1(3−HICAH;配列番号:7),#
2(UNK3,a.k.a. MG−UC1;配列番号:8),および#4(U
NK2,a.k.a. MG−NOV2;配列番号:10)と名称が与えられた
ヌクレオチド配列を有する核酸は、SOD−1をコードする核酸(CuZnDO
D;以下を参照)と同様に、1685 ADサイブリッドにおいて発現の増加を
示した。
【0187】 (実施例5) (ADサイブリッド由来のディファレンシャルディスプレイされた核酸のヌク
レオチド配列の決定) 前述の実施例で示差的に発現された配列を、そのヌクレオチド配列を決定する
ことにより、さらに特徴付けた。これらの配列は以下のように決定した; 走査したゲルからデジタル画像を生成することによって、目的の標識化された
バンド(すなわち、アップレギュレートまたはダウンレギュレートされているも
の)をゲルから切り出し、そして目的のバンドの位置を決定するためのオーバー
レイとして、仮想のグリッドを使用した。次いで、この位置を、実際のゲルに移
した物理的なグリッドに移した。目的のバンドの位置に由来するゲルフラグメン
トを、スケールペル(scalepel)または類似の器具を用いてゲルから物
理的に取り出した。切り出したゲルフラグメントに10mM Trisを50μ
Lを加えて30〜60分間37℃でインキュベートすることにより、DNAをゲ
ルマトリックスから溶出した。1〜4μLのゲルバンド溶出液を供して、それぞ
れ、19.4〜16.4μLの滅菌したヌクレアーゼを含まないH2Oをさらに
含む反応混合液においてさらに増幅させた(すなわち、ゲルバンド溶出液とH2
Oの全容量が20.4μLであった;8μLのGenomyx 5×Re−Am
p緩衝液;3.2μLのdNTP混合物、dATP:dTTP:dCTP:dG
TPが1:1:1:1で、各250μM;4.0μLの各プライマー(DD反応
で用いたアンカープライマーおよび任意プライマーの対の非標識化のものを使用
した);および、0.4μLの5 Unit/μL AmpliTaq(登録商
標)熱安定性DNA ポリメラーゼ(Perkin Elmer)。反応混合物
を以下のセットのサイクルに従い、加熱された蓋を有するサーマルサイクラー中
でインキュベートした;(I)95℃で2分間;(II)92℃で15秒間、6
0℃で30秒間、そして72℃で2分間を4サイクル;(III)92℃で15
秒間、60℃で30秒間、そして72℃で2分間を25サイクル(IV)72℃
で7分間;そして(IV)4℃で保存。
【0188】 生じたPCR産物を、線状化したpCR2.1ベクターDNAに、製造業者(
Invitrogen,Carlsbad,CA)の説明書に本質的に従って、
「Original TA Cloning(登録商標)Kit」(詳細は、h
ttp://www.invitrogen.com/manuals.htm
l および米国特許第5,487,993号を参照のこと)を用いて直接クロー
ン化した。この線状化したベクターDNAは各鎖において単一の3’デオキシチ
ミジン(dT)の突出(overhang)を有している。Taqポリメラーゼ
によって生成された増幅DNA分子は、単一の3’デオキシアデニン(dA)残
基を有しており、このため線状化pCR2.1DNAに相補的であり、そしてさ
らなる操作をせずとも連結され得る。(当業者が理解するように、広範な3’か
ら5’へのエキソヌクレアーゼ活性を含むポリメラーゼ、例えばVentおよび
Pfuポリメラーゼから生じる増幅産物はそのようなdA突出を欠き、従って連
結の前にさらに処理されなければならない)。
【0189】 Taq増幅されたDNAを線状化したpCR2.1 DNAと混合し、T4
DNAリガーゼおよび製造者(Invitrogen)が供給した連結緩衝液を
用いて連結した。連結したDNAを用いて、Escherichia coli
細胞を形質転換した。用いたE.coli株は、XL1−BlueTM細胞(St
aratagene)で、表現型recA1 endA1 gyrA96 th
i−1 hsdR17 supE44 relA1 lac[F’proAB
lacIqZΔM15 Tn10(Tet(登録商標))]を有する。形質転換
体はアンピシリン耐性のコロニーとして単離された。
【0190】 pMKN2(1685 DD−配列#4、配列番号:10を含む)を含むMK
N2株、およびpMKN3(1685 DD−配列#5、配列番号:11)を含
むMKN3株を、1999年3月4日にアメリカタイプカルチャーコレクション
(Manasaas,VA)に寄託した。MKN2株は、受託番号207149
を与えられ、そしてMKN3株は、受託番号207150を与えられた。
【0191】 プラスミドDNAをWizard(登録商標)Plus シリーズ 9600
Miniprep Reagent System (Promega)を用
いて形質転換体から単離した。単離したプラスミドDNA中の挿入物のヌクレオ
チド配列を、挿入したDNAに隣接したベクターに存在する領域にハイブリダイ
ズするプライマー「すなわち、ユニバーサルM13逆方向プライマー(5’−C
AGGAAACAGCTATGAC,配列番号:5)およびT7プロモータープ
ライマー(5’−TAATACGACTCACTATAGGG,配列番号:6)
、両方ともInvitrogenから」およびPrism(登録商標)配列決定
試薬(Perkin Elmer)を用いて配列決定反応において決定した。配
列決定反応産物をエタノール沈殿により精製し、続いて電気泳動し、ABI P
rism 373A DNA シーケンサー(Perkin Elmer)を用
いて、製造者の手引きに本質的に従って分析した。いくつかの場合では、目的の
5’末端と3’末端の両方の配列を決定し、例えばUNK10−5’およびUN
K10−3’と名付けた配列を得た。
【0192】 Sequence NavigatorTMソフトウェアー(Perkin E
lmer)を、シーケンスデータの解析に用いた。ヌクレオチド配列、および対
応するインシリコ翻訳から生じるポリペプチド配列を、それぞれGenBank
およびSwissprotデータベースを検索するために用いた。
【0193】 (実施例6) (ADサイブリッド由来のディファレンシャルディスプレイされた核酸のヌク
レオチド配列の分析) (A.DD配列のオーバーラッピング) 最初に、任意の転写物が、1回より多くサイブリッドにおいて示差的に発現さ
れているとして同定されているかどうかを決定するために、UNK配列を互いに
比較した。ディファレンシャルディスプレイに用いた異なる対のプライマーは、
同じ転写物に由来するとしても異なる長さを有するPCR産物を生じ得るので、
このようなことがあり得る。
【0194】 いくつかのディファレンシャルディスプレイされた配列が、実際に互いを重複
していることが見出された。特に、UNK5はUNK10−5’およびUNK1
0−3’と重複していた(図33を参照のこと)。加えて、UNK18およびU
NK19はお互いを重複している(図34を参照のこと)。これらの配列は特に
興味深い。なぜならこれらは、2つの独立した実験において各々で、異なるセッ
トのPCRプライマーを用いて、同じ転写物がADサイブリッドにおいて示差的
に発現しているとして同定されたことを示しているからである。
【0195】 (B.配列の型および相同性) 一般的に、ADサイブリッドにおいて示差的に発現されているとして同定され
たヌクレオチド配列は、(1)試験されたデータベースに存在するヒトのヌクレ
オチド配列と同一(あるいはデータベース中の配列の誤りを反映して、ほぼ同一
)である、(2)ヒトおよび/あるいは他の種で既知のタンパク質のアミノ酸配
列と幾分かの相同性を有する推定ポリペプチド配列をコードする、および(3)
以前に記載されているヌクレオチドあるいはポリペプチド配列とは明らかな相同
性がない(新規な配列)、であるヌクレオチド配列を有することが見出された。
クラス(1)および(2)の配列は、(a)特徴付けられた機能を有する遺伝子
産物をコードする配列、あるいは(b)機能が未知な遺伝子産物をコードするこ
とが以前に記載されている配列、のどちらかとして、さらに特徴付けられ得る。
この実施例では、各タイプの配列を、前述のディファレンシャルディスプレイ(
DD)方法論により同定した(表3)。
【0196】 表3.ディファレンシャルディスプレイ(DD)により決定された、ADサイ
ブリッドにおいて示差的に発現される遺伝子
【0197】
【表3】 (C.以前に記載されている遺伝子配列) ADサイブリッドにおける目的の配列は、既知の遺伝子産物をコードする核酸
を含んでいた。そのような遺伝子産物の例は、以下の配列を含んでいたが、これ
らに限定されない。
【0198】 1.UNK1(1685 DD−配列#1;配列番号:7)は、DNAデータ
ベースを探索するのに用い、そして3−ヒドロキシイソブチリル補酵素Aヒドロ
ラーゼのcDNAと有意に重複することを示した(a.k.a.3−HICAH
;配列番号:7;図2およびGenBank登録番号U66669も参照のこと
)。
【0199】 2.SOD−1(スーパーオキシドジスムターゼ)は、cDNA(登録番号X
01662)にコードされる酵素であり、UNK配列(配列番号: ;図36)
に重複する配列を有する。DDの結果は、SOD−1の発現がADサイブリッド
において減少していることを示す。
【0200】 3.UNK18およびUNK19(それぞれ、配列番号:44および45;図
22、23、および34も参照のこと)は、重複し、かつADサイブリッドにお
いて発現が増加しており、全ての6つの読み取り枠でインシリコで翻訳された。
そして、その結果のアミノ酸配列を、ポリペプチドおよび推定タンパク質の配列
を探索するために用いた。検索結果は、ロングインタースパースト核エレメント
(LINEs)に見られる逆転写酵素ホモログ(「ORF2」あるいは「p15
0」と命名されている)に大量に整合した。LINEsの多くのコピーは、哺乳
動物のゲノムに存在する;それはヒトゲノムでは約100,000のLINEs
が存在し、そのうち約3,000〜約4,000が完全な長さであると推定され
ている。多くのLINEsはレトロトランスポゾンであり得ると報告されており
(Sassamanら、Nature Genetics 16:37−43,
1997)、それ故これらの結果は、いかなる理由であろうと、LINEsがp
150を発現している可能性が高く、そしてこのようにADサイブリッドにおい
て逆転移(retrotranspose)することを意味し得る。しかし、ほ
ぼ同じ配列の多くのLINEsはゲノム中に存在するので、この結果は、多くの
LINEsに反して、1つのものと関連させた発現増加で区別することを可能と
しない。それゆえ、非制限的な理論によれば、1つの可能性は、UNK18およ
びUNK19の増加した発現は単一のLINEのアップレギュレーションを反映
し得、これは次いで、その特定のLINE近くに局在する遺伝子の過剰発現(例
えば、トランス活性化を通して)、あるいは不適切な発現を生じ得るということ
である。
【0201】 (D.特徴付けられていない遺伝子配列) 特徴付けられていない機能を有する、いくつかの以前に記載されている配列を
、DD方法論により同定した。
【0202】 1.ADサイブリッドにおいて発現の増加を示したMG−UC1(a.k.a
.UNK5、1685 DD−配列#2、配列番号:8)を、ホモログおよび/
あるいは重複するヌクレオチド配列についてデータベースを探索するために用い
た。「KIAA0711」と命名された特徴付けられていないタンパク質をコー
ドするcDNA(Nagaseら、DNA Res. 5:277−286,1
988,およびGenBank登録番号AB018254を参照のこと)に存在
する配列によく一致する(E値=e−148)。ESTデータベースを探索する
ために用いる場合、配列番号:8はいくつかのESTと高い同一性の整合を生じ
た(図38);この結果は、MG−UC1が、以下に限ったものではないが、多
くの場合、成人の脳、精巣、松果体、腎臓、膵臓、肝臓、肺など、ならびに胎児
および幼児の組織を含む種々の組織において発現していることを示している。
【0203】 KIIA0711推定タンパク質は、卵子形成およびその他の段階の間に細胞
間細胞質の流れを制御する環状管の成分であるDrosophila mela
nogasterのKelchタンパク質に関連するタンパク質ファミリーのメ
ンバーに相同性を有する(E値=e−11〜e−10)。しかし、別の注目すべ
き一致が、KIIA0711とマウスKeap1タンパク質の間に見られた(E
値=2e−10)。Keap1は、Nrf2による抗酸化応答エレメントの核活
性化を抑制する(Itohら、Genes.Dev. 13:76−86,19
99)。従って、非制限的な理論によれば、Keap1の発現がADで増加する
場合には、予期される結果は、抗酸化応答エレメントの活性化は減少するという
ことである。この効果は、活性酸素種(ROS)により起こった損傷を増加させ
るように作用する。増加したROSの生産が、ADサイブリッドにおいて報告さ
れており、ADにおけるニューロン死に寄与する可能性がある因子として提唱さ
れている(Swerdlowら Neurology,49:918−925,
1997)。
【0204】 2.ADサイブリッドにおいて発現が減少していたMG−UC2(a.k.a
.UNK 、1685 DD−配列#3、配列番号:9)は、ヒト第16染色体
のp12領域に由来する配列を含むBAC CIT987−SKA−237H1
として知られている細菌人工染色体(BAC)クローンに対応する配列を含む(
図4およびGenBank登録番号AB002287を参照のこと)。UNK1
8およびUNK19のように(上記を参照のこと)、配列番号:9の配列は、A
luエレメントとして知られている反復エレメントのセットの一部であり、結果
として、さらなる配列の情報が得られるまで、特定のAluエレメント、あるい
は特定のAlu配列に関連する遺伝子の発現が、2つ以上のAluエレメントお
よび/あるいは遺伝子の過剰発現に対してADサイブリッドにおいて増加してい
るかどうかは確認し得ない。
【0205】 3.UNK5、UNK10−5’およびUNK10−3’(それぞれ、配列番
号:27、32および33)配列は、互いに重複しており(図33)、ADサイ
ブリッドにおいて発現の減少を示した。UNK5およびUNK10についての候
補ホモログは、別の検索ストラテジー(下記を参照のこと)を用いて同定した。
以下の検索ストラテジーからも結果を得た。ヌクレオチド配列「UNK5」(配
列番号:27)をBLASTxプログラム(Gishら,Nature Gen
etics,3:266−272,1993)を用いて解析した。このプラグラ
ムはインシリコでUNK5配列を全ての6つの可能な読み取り枠へと翻訳し、そ
して結果として生じたアミノ酸配列を相同性のあるアミノ酸配列の検索に用いた
。UNK5がコードするペプチドに最も相同性のある(E値=4e−89)タン
パク質は、登録番号dbj|BAA91401.1にコードされている「AK0
00867」と命名された推定ポリペプチドである。
【0206】 次いで、AK000867のアミノ酸配列を使用し、ヌクレオチドデータベー
スのインシリコ(in silico)翻訳より生じるポリペプチドおよび推定
アミノ酸配列をプローブした。最も適合する結果は、特徴付けられていない推定
タンパク質「KIIA0318」(目録番号gb|AAC14666.1)およ
び骨格付着因子B(「因子B」目録番号ref|NP002958.1およびg
b|ACC18697.1)であった。3つのポリペプチド配列の保存された部
分由来のアミノ酸配列を、コンセンサス配列を産生するために整列させた(図3
5に示されるように)。
【0207】
【化2】 ここで上の場合、アミノ酸残基は、3つのアミノ酸配列の全てにおいて絶対的
に保存されており、そして下の場合、アミノ酸は、ほとんどの場合において3つ
のうちの2つの配列におけるアミノ酸を表し、ならびにに3つの配列の各々が互
いについて異なる場合、これらのわずかな位置における最も中性なアミノ酸を表
す。
【0208】 アミノ酸コンセンサス配列を、種々のデータベースのペプチド配列のプローブ
として順番に使用した。検索結果(図39)は、過剰なRNA結合タンパク質を
含み、それらのいくつかはオルガネラ(ミトコンドリアまたは葉緑体)に見出さ
れ、それらの1はリボソームタンパク質である。従って、非限定的な理論として
、それら由来の転写物、UNK5(ADサイブリッドにおいて下方制御される)
は、RNA結合タンパク質でありそうなタンパク質をコードする遺伝子に究極的
に由来する。このRNA結合タンパク質は、オルガネラに局在化し得、そしてさ
らに1以上のリボ核蛋白複合体の部分であり得る。ここでこのような複合体とし
ては、リボソームサブユニットおよびリボソームが挙げられるが、これらに限定
されない。
【0209】 (E.新規の遺伝子配列) いくつかの明白に新規な配列を、この実施例に記載されるDDスクリーニング
において同定した。これらは、MG−NOV2(a.k.a.UNK2;配列番
号10)およびMG−NOV3(配列番号11)と称される。DDの結果による
と、ACサイブリッドにおいてMG−NOV2の発現は増加し、一方でMG−N
OV3の発現は、減少する。MG−NOV2(配列番号10)における配列のい
くつかは、Alu配列由来であり、反復性エレメントがヒト核ゲノム内の多数の
コピーに存在する。配列番号12は、MG−NOV2の非反復性部分を規定し、
MG−NOV2に対応する核酸またはヌクレオチド配列について特異的にプロー
ブするために使用され得る。他の明白な新規の配列としては、
【0210】
【化3】 が挙げられる。
【0211】 (F.さらなる分析) 本明細書中に開示される示差的に発現された配列(例えば、種々のUNK配列
)の他のヌクレオチド配列への相同性についてデータベースの検索に加えて、異
なる検索ストラテジーを使用するさらなる相同性の検索を行い、示差的に示され
た配列の機能を同定することに役立てた。これらの検索の結果を図37に示す。
この図は、以下の検索ストラテジーによる結果を示す。
【0212】 「Genbank nt」は、各UNKヌクレオチド配列をGenbank
DNAデータベースのプローブとして使用する検索の結果を示す。
【0213】 「Genbank nr」は、検索の結果を示し、ここで全ての6の潜在的な
リーディングフレーム内の各UNKヌクレオチド配列をシンシリコで翻訳し、種
々のデータベースにおけるペプチド配列に比較したペプチド配列を得た。
【0214】 「ヒトEST」は、各UNKヌクレオチド配列を発現配列タグ(EST)DN
Aデータベースのプローブとして使用した検索の結果を示す。
【0215】 一般的にESTデータベースは、比較的低い品質の配列を有すると考慮される
ので、Unigeneデータベースもまた検索した。このデータベースは、種々
のEST配列をウイルス転写物中に構築し、そのプロセスは、EST配列内の多
くの配列決定誤差を除去すると考えられる。これらの検索の結果を、見出し「U
nigene」の下で得る。
【0216】 図37において、相同性の程度を、E値に従って算出し、図37に表した。「
E値(期待値)」は、FASTA分析の結果であり、2つの配列の間の一致がラ
ンダムな機会に起因する可能性を示す(Pearsonら、Proc.Natl
.Acad.Sci.U.S.A.85:2444〜2448、1998)。代
表的に、E値は指数関数的な形態で示される(すなわち、「E−43」は、1-4 3 の省略である)。E値がゼロに近づくにつれて、比較される配列間の相同性は
ランダムな機会に起因しない可能性が大きくなる。例えば、「E−50」は、「
E−10」より小さな数であり、従って配列間のより高い「一致」の可能性を表
す。
【0217】 注意すべきいくつかの候補相同性としては、UNK9およびUNK11のニュ
ーロン糸(thread)タンパク質(NTP)(ADに関連しているタンパク
質)への相同性;UNK15(3’および5’の両方)の関連するチロシンキナ
ーゼに対する相同性;UNK16(3’および5’)のDNA修復酵素への相同
性;UNK22−3’のミトコンドリア非結合タンパク質2への相同性;UNK
11およびUNK12のリボソームタンパク質への相同性およびが挙げられるが
、これらに限定されない。
【0218】 (実施例7) (Q−RTPCRによるADハイブリッドにおける示差的な発現の確認) 特定の遺伝子産物の示差的な発現を確認するために、第2の独立した方法を介
した第1の示差的な発現のモニタリングの方法(この例において、上記の示差的
な提示)の結果を確証することは必要である。本実施例において、定量的リアル
タイムポリメラーゼ連鎖反応(Q−RTPCR)を使用し、上記の実施例におい
て同定された目的の6つの配列を確証した。
【0219】 (A.Q−RTPCRの逆転写) 実施例2に従って正常およびADサイブリッドより調製されたRNAを逆転写
反応において使用した。オリゴ(dT)プライマーを使用するSuperScr
iptTMpre−amblification system(Life Te
chnologies)を用いて第1鎖cDNAを合成した。
【0220】 (B.Q−RTPCRのためのプライマーの設計) 実施例の残りにおいて、これらの反応によって産生されたRNA:DNAハイ
ブリッド分子を、上記の実施例において決定されたヌクレオチド配列由来のプラ
イマーを使用するPCR増幅反応における鋳型して使用した。これらのオリゴヌ
クレオチドプライマーの配列(目的のヌクレオチド配列の3’領域において、セ
ンス鎖配列にの対応する(逆方向プライマー)、または相補的である(順方向プ
ライマー)ように設計された)を、表4に記載する。
【0221】
【表4】 (C.プライマー特異性の確認) 本実施例において記載されるQ−RTPCR分析は、介在する色素、SYBR
(登録商標)Green(Perkin Elmer Applied Bio
systems、Foster City、CA;http://www2.p
erkinelmer.com/ab/techsupp/doclib pc
r/protocols/pdf/SYBR_Green.pdfおよび米国特
許第4,304,886号(参考として、本明細書中に援用される)を参照のこ
と)の蛍光に基づいた増幅されたDNAの定量化を含む。任意の2本鎖(ds)
DNAに結合した場合、SYBR(登録商標)Green色素はより大きな程度
に蛍光を発するので、PCRプライマーの選択が1本鎖DNA種を増幅すること
を確認するためにPCR反応の最初のセットを行うことは必要である。
【0222】 表4に記載されるプライマー、およびこの実施例のA節に記載されるる逆転写
反応によって産生されるDNA鋳型を使用して、PCR反応を行った。逆転写に
よって産生されたRNA:DNA分子を鋳型として使用し、そして適切なプライ
マーを反応混合物に添加した。Taq DNAポリメラーゼ(Perkin E
lmer)および以下のサイクル:(I)95℃、10分;(II)95℃、1
分、60℃、1分、72℃、1分の30サイクル;(II)72℃で4分;次い
で(III)4℃で保持、を使用して増幅を行った。
【0223】 PCR産物、および適切な分子量マーカーを電気泳動し、エチジウムブロマイ
ドで染色し、そして蛍光によって可視化した。各場合において、予測された分子
量の単一のバンドを検出し、プライマー対が目的の特異的な核酸に対応する配列
を増幅することを確認した。
【0224】 (D.Q−RTPCRによる目的の核酸の定量化) 特定の核酸のレベルを定量するためのリアルタイムPCRの使用は、当該分野
で記載されている(Heidら、Genome Research 6:986
−994、1996;Gibsonら、Genome Research 6:
995−1001、1996;最近の総説については、Freemanら、Bi
oTechniques 26:112−125、1999を参照のこと;全て
の参考が、本明細書中に参考として援用される)。容易な理解のために、定量的
リアルタイムPCR(Q−RTPCR)の簡単な説明が続く。
【0225】 最近まで、特定のPCR反応の産物を測定する伝統的な手段は、「エンドポイ
ント(end−point)」手段の分析であった。この分析において、増幅反
応が完了した後に、反応産物は測定され、そして定量される。対照的に、「リア
ルタイム」PCRは、サーマルサイクラー内の増幅反応を、進行しながらモニタ
ーする。Q−RTPCRは、改良された定量化を提供する。なぜなら、定量化は
直線の範囲の増幅の間に、最も正確に達成され、そして増幅反応についてのさら
なる情報は、各サイクルより得られるからである。例えば、基準化された(すな
わち、DNAに結合しない受動的な参照色素)蛍光強度(「ΔRn」)(与えら
れたセットのPCRの状態によって産生されるシグナルの大きさを示す)は、各
サイクルの間に測定され得る。
【0226】 これらのデータより、ΔRnにおいて統計的に有意な増加が最初に検出される
サイクルが、決定され得る。「閾値サイクル」または「CT値」は、最初に検出
されたシグナルの1ログ上に決定され、そして本来のサンプルに存在する目的の
インプット(input)した核酸鋳型の量の定量的な測定を提供する。
【0227】 サンプルに応じた(sample−to−sample)変異を補正するため
に、内部RNAノーマライザー(normalizer)をQ−RTPCRに使
用する。RNAノーマライザーは、内因性RNA種(例えば、構成的に発現され
たタンパク質様アクチンあるいはグリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒド
ロゲナーゼ(GAPDH)をコードするmRNA、または18Sあるいは28S
rRNAのようなリボソームRNAであり得る;RNA分子はまた、インビト
ロでノーマライザーとして使用され得る。従って、Q−RTPCR分析の結果は
、しばしば相対量として表される。
【0228】 例えば、ノーマライザーがアクチンであり、そして定量される核酸が3−ヒド
ロキシイソブチリル補酵素Aヒドラーゼ(3−HICAH;配列番号7)である
場合、サンプルにおける3−HICAH RNAの相対量は、ノーマライザーア
クチンと比較して決定される(各RNAサンプル(すわなち、ADおよびコント
ロール)についての両方の遺伝子配列について作製された標準曲線に従って)。
代表的に標準曲線は、3連の反応において4〜5の異なる量のインプットRNA
を使用して調製された。例えば、以下の量のインプットRNAは、3連で評価さ
れ得る:(I)0.1ng、0.5ng、1ngおよび5ngまたは(II)0
.3ng、1ng、3ngおよび10ng)。標準曲線を、ログインプットng
(x軸)対Ct(y軸、またログスケール)としてプロットした。各標準曲線に
ついて、勾配(m)およびy切片(b)を標準分析ソフトウェアを使用して算出
した。
【0229】 ノーマライザーのログインプット量(nN)を所定のCt(Ct0)について
算出する。例えば、Ct0=20である場合、
【0230】
【数1】 目的の特異的標的(T)配列について、CtT(nNに等しいログインプット
量に達するために必要とされるCt)は、以下の式によって決定される:
【0231】
【数2】 基準化された標的Ct(基準化CtT)は、以下の式に従って算出される:
【0232】
【数3】 発現における変化(すなわち、AD(1685)対コントロール(MixCo
n)サイブリッドにおける目的の標的配列の比較割合)は、以下の式に従って算
出される:
【0233】
【数4】 本実施例において、Taq DNAポリメラーゼおよび表6に記載されるプラ
イマーを使用して、以下のサイクル:(I)50℃で2分、95℃で10分;(
II)95℃で15分、60℃で1分の40サイクル;次いで(III)室温ま
で冷却、でPCR反応を行った。PCR産物をSYBR(登録商標)Green
detection reagents(Perkin Elmer)を用い
て、ABI Prism 7700 Sequence Detectio S
ystem(Perkin Elmer)を使用して検出した。
【0234】 ノーマライザー遺伝子(アクチン)と比較された相対(基準化)量の目的の各
候補遺伝子(a.k.a.DD−配列#1〜#5)を、前述の式に従って算出し
た。[1695 ADサイブリッド内の基準化量のDD−配列]対[MixCo
nコントロールサイブリッドにおける基準化量のDD−配列]の相対比を各DD
−配列について算出した。この結果を表5に示す。
【0235】
【表5】 これらの結果は、RNA(3−HICAH(配列番号7)、MG−UCI(配
列番号8)、MGUC2(配列番号9)およびMG−NOV2(配列番号10)
に対応する配列を有する)の示差的な発現を確認し、従ってこれらの配列は、A
Dサイブリッドにおいて示差的に発現された遺伝子、bona fide由来で
ある。故に、これらの配列に対応する遺伝子産物は、アルツハイマー病に関係し
、そして診断、予想および治療の組成物および方法を発達するために使用され得
る。
【0236】 SEQUENCE LISTINGの添付について、示された配列番号につい
ての示された要約コメントを提供する:
【0237】
【表6】 前述より、本発明の特定の実施形態は、例示の目的のために本明細書中に記載
されているが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、種々の変更がなさ
れ得ることが理解される。本出願において参照された全ての刊行物(特許文書お
よび科学論文を含む)は、それらの全体が、全ての目的のために同程度まで参考
として援用される(各個々の刊行物が個別に参考として援用されるように)。全
ての表題は、読者の便宜のためであり、そして特定されない限り、表題に従って
文書の意味を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、コントロール(MixCon)およびアルツハイマーの(1685)
サイブリッドを用いた代表的なディファレンシャルディスプレイ(DD)実験か
らの結果(蛍光標識されたPCR産物)を示す電気泳動ゲルである。分子量マー
カーの位置(b、塩基数)を左に示す。プライマー対(AP、係留されたプライ
マー;ARP、任意のプライマー)を、下部に示す(一例として、「10/1」
は、プライマーAP10およびM13r−ARP1を用いたことを示す)。上部
の数字は、サンプルを採取した時間を示す(「2w」=2週間;「4w」=4週
間;「6w」=6週間)。2連の反応物を調製し、そして隣接したレーンに並行
して泳動した。この図では、MG−NOV2(1685 DD−Sequenc
e #4としても公知、配列番号10)、MG−NOV3(1685 DD−S
equence #5としても公知、配列番号11)およびYAC 377A1
(1685 DD−Sequence #2としても公知、配列番号8)を含む
、目的の特定の核酸を四角で囲み、そしてラベルをつける。
【図2】 図2は、1685 DD−Sequence #1(配列番号7)と、3−ヒ
ドロキシイソブチリル−補酵素Aヒドロラーゼをコードする遺伝子に由来するヒ
トヌクレオチド配列(GenBank登録番号U66669;配列番号64)と
の間でのアラインメントを示す。
【図3】 図3は、1685 DD−Sequence #2(配列番号8)と、YAC
クローン377A1に由来するヒトヌクレオチド配列(GenBank登録番号
AF009203;配列番号65)およびKIAA0711と称される特徴付け
られていないタンパク質をコードするcDNAに由来するヒトヌクレオチド配列
(GenBank登録番号AB018254;配列番号66)との間でのアライ
ンメントを示す。
【図4】 図4は、1685 DD Sequence #3(配列番号9)と、BAC
クローンCIT987−SKA−237H1に由来するヒトヌクレオチド配列(
GenBank登録番号AC002287;配列番号67)との間でのアライン
メントを示す。
【図5】 図5は、配列UNK1(配列番号23)を示す。
【図6】 図6は、配列UNK2(配列番号24)を示す。
【図7】 図7は、配列UNK3(配列番号25)を示す。
【図8】 図8は、配列UNK4(配列番号26)を示す。
【図9】 図9は、配列UNK5(配列番号27)を示す。
【図10】 図10は、配列UNK6(配列番号28)を示す。
【図11】 図11は、配列UNK7(配列番号29)を示す。
【図12】 図12は、配列UNK8(配列番号30)を示す。
【図13】 図13は、配列UNK9(配列番号31)を示す。
【図14】 図14は、配列UNK10−5’およびUNK10−3’(配列番号32およ
び33)を示す。
【図15】 図15は、配列UNK11(配列番号34)を示す。
【図16】 図16は、配列UNK12(配列番号35)を示す。
【図17】 図17は、配列UNK13(配列番号36)を示す。
【図18】 図18は、配列UNK14(配列番号37)を示す。
【図19】 図19は、配列UNK15−5’およびUNK15−3’(配列番号38およ
び39)を示す。
【図20】 図20は、配列UNK16−5’およびUNK16−3’(配列番号40およ
び41)を示す。
【図21】 図21は、配列UNK17−5’およびUNK17−3’(配列番号42およ
び43)を示す。
【図22】 図22は、配列UNK18(配列番号44)を示す。
【図23】 図23は、配列UNK19(配列番号45)を示す。
【図24】 図24は、配列UNK20(配列番号46)を示す。
【図25】 図25は、配列UNK21−5’およびUNK21−3’(配列番号47およ
び48)を示す。
【図26】 図26は、配列UNK22−5’およびUNK22−3’(配列番号49およ
び50)を示す。
【図27】 図27は、配列UNK23(配列番号51)を示す。
【図28】 図28は、配列UNK24(配列番号52)を示す。
【図29】 図29は、配列UNK25−5’およびUNK25−3’(配列番号53およ
び54)を示す。
【図30】 図30は、配列UNK26−5’およびUNK26−3’(配列番号55およ
び56)を示す。
【図31】 図31は、配列UNK27(配列番号57)を示す。
【図32】 図32は、配列UNK28(配列番号58)を示す。
【図33】 図33は、UNK5(配列番号27)、UNK10−5’(配列番号32)お
よびUNK10−3’(配列番号33)のヌクレオチド配列のアラインメントを
示す。
【図34】 図34は、UNK19(配列番号45)およびUNK18(配列番号44)の
ヌクレオチド配列のアラインメントを示す。
【図35】 図35は、KIAA0138(配列番号8に重複するcDNAによってコード
される)と、関連するアミノ酸配列を有する2つのヒトタンパク質とのアライン
メント、およびそれらに由来するコンセンサス配列(配列番号63)を示す。K
IAA0138、特徴付けられていないタンパク質KIAA0138(登録番号
;配列番号62);AK000867、特徴付けられていないタンパク質AK
000867(登録番号 ;配列番号61);B因子(配列番号60)、スカフ
ォールド付着因子。コンセンサス配列中の大文字の残基は、3つ全てのタンパク
質において保存されている;小文字の残基は、可変の位置を示す。
【図36】 図36は、SOD−1(スーパーオキシドジスムターゼ)をコードするcDN
A(登録番号X01662)と整列しそして重複する配列(配列番号59)を示
す。
【図37A】 図37Aは、実施例において説明したとおりの種々の相同性検索の結果を示す
【図37B】 図37Bは、実施例において説明したとおりの種々の相同性検索の結果を示す
【図37C】 図37Cは、実施例において説明したとおりの種々の相同性検索の結果を示す
【図37D】 図37Dは、実施例において説明したとおりの種々の相同性検索の結果を示す
【図37E】 図37Eは、実施例において説明したとおりの種々の相同性検索の結果を示す
【図37F】 図37Fは、実施例において説明したとおりの種々の相同性検索の結果を示す
【図37G】 図37Gは、実施例において説明したとおりの種々の相同性検索の結果を示す
【図37H】 図37Hは、実施例において説明したとおりの種々の相同性検索の結果を示す
【図37I】 図37Iは、実施例において説明したとおりの種々の相同性検索の結果を示す
【図37J】 図37Jは、実施例において説明したとおりの種々の相同性検索の結果を示す
【図37K】 図37Kは、実施例において説明したとおりの種々の相同性検索の結果を示す
【図37L】 図37Lは、実施例において説明したとおりの種々の相同性検索の結果を示す
【図37M】 図37Mは、実施例において説明したとおりの種々の相同性検索の結果を示す
【図37N】 図37Nは、実施例において説明したとおりの種々の相同性検索の結果を示す
【図37O】 図37Oは、実施例において説明したとおりの種々の相同性検索の結果を示す
【図37P】 図37Pは、実施例において説明したとおりの種々の相同性検索の結果を示す
【図38】 図38は、配列番号8を用いたESTデータベース配列アラインメント検索の
結果を示す。
【図39A】 図39は、UNK5由来コンセンサス配列(配列番号8)を用いた相同性検索
の結果を示す。
【図39B】 図39は、UNK5由来コンセンサス配列(配列番号8)を用いた相同性検索
の結果を示す。
【図39C】 図39は、UNK5由来コンセンサス配列(配列番号8)を用いた相同性検索
の結果を示す。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 25/28 C12Q 1/02 C12N 15/09 G01N 33/15 Z ZNA 33/50 P C12Q 1/02 Z G01N 33/15 C12N 15/00 ZNAA 33/50 A A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EE,ES ,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU, ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,K R,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV ,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO, NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,S I,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA ,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 デイビス, ロバート イー. アメリカ合衆国 カリフォルニア 92130, サン ディエゴ, グレンクリフ ウェ イ 13272 Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 BB46 BB50 BB51 DA13 DA36 FB02 FB08 FB12 4B024 AA01 AA11 CA04 CA12 DA03 GA11 HA12 HA20 4B063 QA01 QA18 QA19 QQ08 QQ13 QQ43 QQ53 QR31 QR56 QR62 QR80 QS25 QS34 QS38 4C084 AA02 AA13 BA01 CA53 NA14 ZA162 4C086 AA02 EA16 MA01 MA04 NA14 ZA16

Claims (48)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 示差的に発現される遺伝子産物を同定する方法であって、以
    下: 第1生物学的サンプル中の少なくとも1つの遺伝子産物の発現レベルを、第2
    生物学的サンプル中の該遺伝子産物の発現レベルに対して比較する工程であって
    、ここで該第1生物学的サンプルおよび該第2生物学的サンプルのうちの少なく
    とも1つが、ミトコンドリアサイブリッド細胞、ミトコンドリアDNA枯渇細胞
    およびρ0細胞からなる群から選択される操作された細胞を含む、工程;ならび
    に 該第1生物学的サンプルおよび該第2生物学的サンプルにおいて変化した発現
    を有する遺伝子産物を同定する工程、 を包含する、方法。
  2. 【請求項2】 前記第1生物学的サンプルが少なくとも1つのサイブリッド
    細胞を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記第2生物学的サンプルが少なくとも1つのサイブリッド
    細胞を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記第1生物学的サンプルが少なくとも1つのρ0細胞を含
    む、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記第2生物学的サンプルが、少なくとも1つのρ0細胞を
    含む、請求項2または4のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記第1生物学的サンプルが、ミトコンドリア関連疾患もし
    くはミトコンドリア関連障害を有することが既知である被験体か、またはミトコ
    ンドリア関連疾患もしくはミトコンドリア関連障害を有する危険性があることが
    疑われる被験体由来の少なくとも1つの細胞を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記第2生物学的サンプルが、ミトコンドリア関連疾患もし
    くはミトコンドリア関連障害を有することが既知である被験体か、またはミトコ
    ンドリア関連疾患もしくはミトコンドリア関連障害を有する危険性があることが
    疑われる被験体由来の少なくとも1つの細胞を含む、請求項1または6のいずれ
    かに記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記第2生物学的サンプルが、ミトコンドリア関連疾患もミ
    トコンドリア関連障害も存在せず、しかもそれらの危険性もない被験体由来の少
    なくとも1つの細胞を含む、請求項1または6のいずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記ミトコンドリア関連疾患または前記ミトコンドリア関連
    障害が、神経変性疾患である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記神経変性疾患がアルツハイマー病である、請求項9に
    記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記第1生物学的サンプルが、ミトコンドリア関連疾患も
    しくはミトコンドリア関連障害を有することが既知である被験体か、またはミト
    コンドリア関連疾患もしくはミトコンドリア関連障害を有する危険性があること
    が疑われる被験体由来のミトコンドリアを有する少なくとも1つの細胞を含む、
    請求項1に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記第2生物学的サンプルが、ミトコンドリア関連疾患も
    しくはミトコンドリア関連障害を有することが既知である被験体か、またはミト
    コンドリア関連疾患もしくはミトコンドリア関連障害を有する危険性があること
    が疑われる被験体由来のミトコンドリアを有する少なくとも1つの細胞を含む、
    請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記第2生物学的サンプルが、ミトコンドリア関連疾患も
    ミトコンドリア関連障害も存在せず、しかもそれらの危険性もない被験体由来の
    ミトコンドリアを有する少なくとも1つの細胞を含む、請求項11に記載の方法
  14. 【請求項14】 請求項1に記載の方法であって、前記第1生物学的サンプ
    ルおよび前記第2生物学的サンプルが、核成分および細胞質成分を有する細胞を
    含み、ここで該第1生物学的サンプルおよび該第2生物学的サンプルの該細胞の
    該核成分が、共通の被験体に由来し、そしてここで、該第1生物学的サンプルお
    よび該第2生物学的サンプルの該細胞の該細胞質成分が、異なる被験体に由来す
    る、方法。
  15. 【請求項15】 請求項1に記載の方法であって、前記第1生物学的サンプ
    ルおよび前記第2生物学的サンプルが、核成分および細胞質成分を有する細胞を
    含み、ここで該第1生物学的サンプルおよび該第2生物学的サンプルの該細胞の
    該核成分が、異なる被験体に由来し、そしてここで、該第1生物学的サンプルお
    よび該第2生物学的サンプルの該細胞の該細胞質成分が、共通の被験体に由来す
    る、方法。
  16. 【請求項16】 前記第1生物学的サンプルおよび前記第2生物学的サンプ
    ルのうちの少なくとも1つにおいて、アポトーシスが誘導されている、請求項1
    に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記第1生物学的サンプルおよび前記第2生物学的サンプ
    ルのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのミトコンドリア機能を変更する
    ために十分な条件下および時間にわたって薬剤で処理されている、請求項1に記
    載の方法。
  18. 【請求項18】 前記遺伝子産物が核外遺伝子の産物である、請求項1〜1
    7のいずれか1項に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記遺伝子産物がミトコンドリア遺伝子の産物である、請
    求項18に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記遺伝子産物が核ゲノムの産物である、請求項1〜17
    のいずれか1項に記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記遺伝子産物が核酸を含む、請求項18、19および2
    0のいずれか1項に記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記遺伝子産物がポリペプチドを含む、請求項18、19
    および20のいずれか1項に記載の方法。
  23. 【請求項23】 治療的介入のための分子標的を同定する方法であって、以
    下: 第1生物学的サンプル中の少なくとも1つの遺伝子産物の発現レベルを、第2
    生物学的サンプル中の該遺伝子産物の発現レベルに対して比較する工程であって
    、ここで該第1生物学的サンプルおよび該第2生物学的サンプルのうちの少なく
    とも1つが、ρ0細胞、ミトコンドリアDNA枯渇細胞およびミトコンドリアサ
    イブリッド細胞からなる群から選択される少なくとも1つの操作された細胞を含
    む、工程;ならびに 該第2生物学的サンプル中の少なくとも1つの遺伝子産物の発現レベルと比較
    して変化した発現レベルの該第1生物学的サンプル中の該遺伝子産物を検出する
    工程であって、それから治療的介入のための分子標的を同定する、工程 を包含する、方法。
  24. 【請求項24】 アルツハイマー病を処置するための治療的介入のための分
    子標的を同定する方法であって、以下: (a)以下: (i)アルツハイマー病を有することが既知である被験体か、またはアルツ
    ハイマー病を有する危険性があることが疑われる被験体由来の第1サンプル中の
    少なくとも1つの遺伝子産物の少なくとも1つの発現レベルを、 (ii)アルツハイマー病の危険性も存在もない被験体由来の第2サンプル
    中の該遺伝子産物の少なくとも1つの発現レベルに対して、 比較する工程;ならびに (b)該第2サンプル中の少なくとも1つの遺伝子産物の発現レベルと比較し
    て変化した発現レベルの該第1サンプル中の該遺伝子産物を検出する工程であっ
    て、ここで、該遺伝子産物は、以下: (i)配列番号9、11、25、27、32、33、44、45、59、お
    よび67からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド
    にハイブリダイズし得る核酸分子、 (ii)配列番号7、8、10、12、24、64、65、および66から
    なる群から選択されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにハイブリダ
    イズし得る核酸分子、 (iii)配列番号23、26、28、29、30、31、34、35、3
    6、37、38、39、40、41、42、43、46、47、48、49、5
    0、51、52、53、54、55、56、57、および58からなる群から選
    択されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにハイブリダイズし得る核
    酸分子、 (iv)(i)、(ii)または(iii)の核酸分子の逆相補体であるヌ
    クレオチド配列を有する核酸分子、ならびに (v)(i)、(ii)、(iii)または(iv)の核酸分子によってコ
    ードされるポリペプチド からなる群から選択され、 ここで、検出可能に変化した発現レベルを示す該遺伝子産物が、アルツハイマ
    ー病を処置するための治療的介入のための分子標的であるか、またはアルツハイ
    マー病を処置するための治療的介入のための分子標的をコードする、工程、 を包含する、方法。
  25. 【請求項25】 アルツハイマー病を処置するための治療的介入のための分
    子標的を同定する方法であって、以下: (a)以下: (i)アルツハイマー病を有することが既知である被験体か、またはアルツ
    ハイマー病を有する危険性があることが疑われる被験体由来の第1サンプル中の
    少なくとも1つの遺伝子産物の少なくとも1つの発現レベルを、 (ii)アルツハイマー病の危険性も存在もない被験体由来の第2サンプル
    中の該遺伝子産物の少なくとも1つの発現レベルに対して、 比較する工程;ならびに (b)該第2サンプル中の少なくとも1つの遺伝子産物の発現レベルと比較し
    て変化した発現レベルの該第1サンプル中の該遺伝子産物を検出する工程であっ
    て、ここで該変化した発現レベルが、減少した発現レベルであり、そして該遺伝
    子産物は、以下: (i)配列番号9、11、25、27、32、33、44、45、59、お
    よび67からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド
    にハイブリダイズし得る核酸分子、 (ii)(i)の核酸分子の逆相補体であるヌクレオチド配列を有する核酸
    分子、ならびに (iii)(i)または(ii)の核酸分子によってコードされるポリペプ
    チド、 からなる群から選択され、 ここで、検出可能に変化した発現レベルを示す該遺伝子産物が、アルツハイマ
    ー病を処置するための治療的介入のための分子標的であるか、またはアルツハイ
    マー病を処置するための治療的介入のための分子標的をコードする、工程、 を包含する、方法。
  26. 【請求項26】 アルツハイマー病を処置するための治療的介入のための分
    子標的を同定する方法であって、以下: (a)以下: (i)アルツハイマー病を有することが既知である被験体か、またはアルツ
    ハイマー病を有する危険性があることが疑われる被験体由来の第1サンプル中の
    少なくとも1つの遺伝子産物の少なくとも1つの発現レベルを、 (ii)アルツハイマー病の危険性も存在もない被験体由来の第2サンプル
    中の該遺伝子産物の少なくとも1つの発現レベルに対して、 比較する工程;ならびに (b)該第2サンプル中の少なくとも1つの遺伝子産物の発現レベルと比較し
    て変化した発現レベルの該第1サンプル中の該遺伝子産物を検出する工程であっ
    て、ここで該変化した発現レベルが、増加した発現レベルであり、そして該遺伝
    子産物は、以下: (i)配列番号7、8、10、12、24、64、65、および66からな
    る群から選択されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにハイブリダイ
    ズし得る核酸分子、 (ii)(i)の核酸分子の逆相補体であるヌクレオチド配列を有する核酸
    分子、ならびに (iii)(i)または(ii)の核酸分子によってコードされるポリペプ
    チド、 からなる群から選択され、 ここで、検出可能に変化した発現レベルを示す該遺伝子産物が、アルツハイマ
    ー病を処置するための治療的介入のための分子標的であるか、またはアルツハイ
    マー病を処置するための治療的介入のための分子標的をコードする、工程、 を包含する、方法。
  27. 【請求項27】 前記第1サンプルが、アルツハイマー病を有することが既
    知である被験体か、またはアルツハイマー病を有する危険性があることが疑われ
    る被験体由来のミトコンドリアを含むサイブリッド細胞を含む、請求項23〜2
    6のいずれか1項に記載の方法。
  28. 【請求項28】 前記第1サンプルが、変化したミトコンドリア機能に関連
    した疾患を有することが既知である被験体か、または変化したミトコンドリア機
    能に関連した疾患を有する危険性があることが疑われる被験体由来のミトコンド
    リアを含む細胞を含む、請求項23〜26のいずれか1項に記載の方法。
  29. 【請求項29】 前記第2サンプルが、変化したミトコンドリア機能に関連
    した疾患の危険性も存在もない被験体由来のミトコンドリアを含む細胞を含む、
    請求項23〜26のいずれか1項に記載の方法。
  30. 【請求項30】 請求項23〜26のいずれか1項に記載の方法であって、
    前記第1サンプルが、アルツハイマー病を有することが既知である被験体か、ま
    たはアルツハイマー病を有する危険性があることが疑われる被験体由来のミトコ
    ンドリアを含むサイブリッド細胞を含み、そしてここで、前記第2サンプルが、
    アルツハイマー病の危険性も存在もない被験体由来のミトコンドリアを含むサイ
    ブリッド細胞を含む、方法。
  31. 【請求項31】 前記第1サンプル中の変化した発現レベルを有する少なく
    とも1つの遺伝子産物が、前記第2サンプル中の該遺伝子産物の発現レベルと比
    較して増加した発現レベルを有する、請求項24に記載の方法。
  32. 【請求項32】 前記第1サンプル中の変化した発現レベルを有する少なく
    とも1つの遺伝子産物が、前記第2サンプル中の該遺伝子産物の発現レベルと比
    較して減少した発現レベルを有する、請求項24に記載の方法。
  33. 【請求項33】 アルツハイマー病を処置するための薬剤を同定する方法で
    あって、以下: (a)アルツハイマー病を有することが既知である被験体か、またはアルツハ
    イマー病を有する危険性があることが疑われる被験体由来の第1サンプルを、少
    なくとも1つの遺伝子産物を発現させるために十分な条件下および時間にわたっ
    て候補薬剤と接触させる工程であって、ここで該遺伝子産物が、以下: (i)配列番号9、11、25、27、32、33、44、45、59、お
    よび67からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド
    にハイブリダイズし得る核酸分子、 (ii)配列番号7、8、10、12、24、64、65、および66から
    なる群から選択されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにハイブリダ
    イズし得る核酸分子、 (iii)配列番号23、26、28、29、30、31、34、35、3
    6、37、38、39、40、41、42、43、46、47、48、49、5
    0、51、52、53、54、55、56、57、および58からなる群から選
    択されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにハイブリダイズし得る核
    酸分子、 (iv)(i)、(ii)または(iii)の核酸分子の逆相補体であるヌ
    クレオチド配列を有する核酸分子、ならびに (v)(i)、(ii)、(iii)または(iv)の核酸分子によってコ
    ードされるポリペプチド からなる群から選択され、ここで、検出可能に変化した発現レベルを示す該遺伝
    子産物が、アルツハイマー病を処置するための治療的介入のための分子標的であ
    るか、またはアルツハイマー病を処置するための治療的介入のための分子標的を
    コードする、工程; (b)該候補薬剤の存在下における該第1サンプル中の該少なくとも1つの遺
    伝子産物の少なくとも1つの発現レベルを、該候補薬剤の非存在下における該第
    1サンプル中の該遺伝子産物の発現レベルに対して比較する工程;ならびに (c)アルツハイマー病の危険性も存在もない被験体由来の第2サンプル中の
    該遺伝子産物の少なくとも1つの発現レベルを決定する工程であって、ここで該
    遺伝子産物は、該候補薬剤の非存在下において、該第2サンプル中の該遺伝子産
    物の発現レベルと比較して該第1サンプル中で変化した発現レベルを示し、そし
    てここで: (i)該候補薬剤の非存在下において、該遺伝子産物が、該第2サンプルと比
    較して該第1サンプルにおいて増加した発現レベルを示す場合、該第1サンプル
    と該薬剤とを接触させる工程は、該第1サンプル中の該遺伝子産物の発現レベル
    を減少させ、そして (ii)該候補薬剤の非存在下において、該遺伝子産物が、該第2サンプルと
    比較して該第1サンプルにおいて減少した発現レベルを示す場合、該第1サンプ
    ルと該薬剤とを接触させる工程は、該第1サンプル中の該遺伝子産物の発現レベ
    ルを増加させ、 そして、それからアルツハイマー病を処置するための薬剤を同定する、工程 を包含する、方法。
  34. 【請求項34】 前記第1サンプルが、アルツハイマー病を有することが既
    知である被験体か、またはアルツハイマー病を有する危険性があることが疑われ
    る被験体由来のミトコンドリアを含むサイブリッド細胞を含む、請求項33に記
    載の方法。
  35. 【請求項35】 前記第1サンプルが、変化したミトコンドリア機能に関連
    した疾患を有することが既知である被験体か、または変化したミトコンドリア機
    能に関連した疾患を有する危険性があることが疑われる被験体由来のミトコンド
    リアを含む細胞を含む、請求項33に記載の方法。
  36. 【請求項36】 前記第2サンプルが、変化したミトコンドリア機能に関連
    した疾患の危険性も存在もない被験体由来のミトコンドリアを含む細胞を含む、
    請求項33〜35のいずれかに記載の方法。
  37. 【請求項37】 請求項33に記載の方法であって、前記第1サンプルが、
    アルツハイマー病を有することが既知である被験体か、またはアルツハイマー病
    を有する危険性があることが疑われる被験体由来のミトコンドリアを含むサイブ
    リッド細胞を含み、そしてここで、前記第2サンプルが、アルツハイマー病の危
    険性も存在もない被験体由来のミトコンドリアを含むサイブリッド細胞を含む、
    方法。
  38. 【請求項38】 前記第1サンプル中の変化した発現レベルを有する少なく
    とも1つの遺伝子産物が、前記第2サンプル中の該遺伝子産物の発現レベルと比
    較して増加した発現レベルを有する、請求項33〜37のいずれか1項に記載の
    方法。
  39. 【請求項39】 前記第1サンプル中の変化した発現レベルを有する少なく
    とも1つの遺伝子産物が、前記第2サンプル中の該遺伝子産物の発現レベルと比
    較して減少した発現レベルを有する、請求項33〜37のいずれか1項に記載の
    方法。
  40. 【請求項40】 アルツハイマー病を処置する方法であって、その必要のあ
    る被験体に、請求項33〜39のいずれか1項に記載の方法に従って同定された
    薬剤を含む治療的有効量の組成物を投与する工程を包含する、方法。
  41. 【請求項41】 アルツハイマー病を有することが既知である患者またはア
    ルツハイマー病を有する危険性があることが疑われる患者を処置する方法であっ
    て、以下: (a)以下: (i)アルツハイマー病を有することが既知である被験体か、またはアルツ
    ハイマー病を有する危険性があることが疑われる被験体由来の第1サンプル中の
    少なくとも1つの遺伝子産物の少なくとも1つの発現レベルを、 (ii)アルツハイマー病の危険性も存在もない被験体由来の第2サンプル
    中の該遺伝子産物の少なくとも1つの発現レベルに対して、 比較する工程;ならびに (b)該第2サンプル中の少なくとも1つの遺伝子産物の発現レベルと比較し
    て変化した発現レベルの該第1サンプル中の該遺伝子産物を検出する工程であっ
    て、ここで該変化した発現レベルは、増加した発現レベルおよび減少した発現レ
    ベルからなる群から選択され、そしてここで、該遺伝子産物は、以下: (i)配列番号9、11、25、27、32、33、44、45、59、お
    よび67からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド
    にハイブリダイズし得る核酸分子、 (ii)配列番号7、8、10、12、24、64、65、および66から
    なる群から選択されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにハイブリダ
    イズし得る核酸分子、 (iii)配列番号23、26、28、29、30、31、34、35、3
    6、37、38、39、40、41、42、43、46、47、48、49、5
    0、51、52、53、54、55、56、57、および58からなる群から選
    択されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにハイブリダイズし得る核
    酸分子、 (iv)(i)、(ii)または(iii)の核酸分子の逆相補体であるヌ
    クレオチド配列を有する核酸分子、ならびに (v)(i)、(ii)、(iii)または(iv)の核酸分子によってコ
    ードされるポリペプチド からなる群から選択される、工程; (c)アルツハイマー病を有することが既知である患者またはアルツハイマー
    病を有する危険性があることが疑われる患者に対して、以下: (i)該第1サンプル中で増加した発現レベルを示す遺伝子産物の発現レベ
    ルを減少させる薬剤を含む組成物、 (ii)該第1サンプル中で減少した発現レベルを示す遺伝子産物の発現レ
    ベルを増加させる薬剤を含む組成物、 (iii)目的の遺伝子またはその遺伝子産物と関連した目的の生物学的活
    性を阻害し得る薬剤を含む組成物であって、ここで該目的の遺伝子が該第1サン
    プル中で増加した発現レベルを示す、組成物、ならびに (iv)目的の遺伝子またはその遺伝子産物と関連した目的の生物学的活性
    を増強または活性化し得る活性化剤である薬剤を含む組成物であって、ここで該
    目的の遺伝子が、該第1サンプル中で減少した発現レベルを示す遺伝子、および
    該第1サンプル中で増加した発現レベルを示す遺伝子からなる群から選択される
    、組成物、 からなる群から選択される治療的有効量の組成物を投与する工程、 を包含する、方法。
  42. 【請求項42】 請求項41に記載の方法であって、ここで工程(b)にお
    いて検出される変化した発現レベルが、少なくとも1つの遺伝子産物の増加した
    発現レベルであり、そして工程(c)において投与される組成物が、該遺伝子産
    物の発現レベルを減少させる薬剤を含み、ここで該薬剤が、アンチセンス核酸、
    RNAデコイ核酸およびリボザイムからなる群から選択される、方法。
  43. 【請求項43】 請求項41に記載の方法であって、ここで工程(b)にお
    いて検出される変化した発現レベルが、少なくとも1つの遺伝子産物の減少した
    発現レベルであり、そして工程(c)において投与される組成物が、該遺伝子産
    物の発現レベルを増加させる薬剤を含み、ここで該薬剤が、該遺伝子産物をコー
    ドする核酸分子、該遺伝子産物をコードする核酸分子を含む核酸発現ベクター、
    RNAデコイ核酸、および該遺伝子産物をコードする核酸分子によってコードさ
    れるタンパク質からなる群から選択される、方法。
  44. 【請求項44】 請求項41に記載の方法であって、ここで工程(b)にお
    いて検出される変化した発現レベルが、少なくとも1つの遺伝子産物の減少した
    発現レベルであり、そして工程(c)において投与される組成物が、目的の遺伝
    子またはその遺伝子産物と関連した目的の生物学的活性を増強または活性化し得
    る活性化剤である薬剤を含み、ここで該目的の遺伝子は、前記第1サンプル中で
    減少した発現レベルを示し、そしてここで該活性化剤が該遺伝子産物に結合し得
    る、方法。
  45. 【請求項45】 請求項41に記載の方法であって、ここで工程(b)にお
    いて検出される変化した発現レベルが、少なくとも1つの遺伝子産物の増加した
    発現レベルであり、そして工程(c)において投与される組成物が、目的の遺伝
    子またはその遺伝子産物と関連した目的の生物学的活性を阻害し得る薬剤を含み
    、ここで該目的の遺伝子は、前記第1サンプル中で増加した発現レベルを示し、
    そしてここで該薬剤が該遺伝子産物に結合し得る、方法。
  46. 【請求項46】 請求項41に記載の方法であって、ここで工程(b)にお
    いて検出される変化した発現レベルが、目的の遺伝子によってコードされる少な
    くとも1つの遺伝子産物の減少した発現レベルであり、そして工程(c)におい
    て投与される組成物が、該目的の遺伝子によってコードされるタンパク質を含む
    、方法。
  47. 【請求項47】 請求項41に記載の方法であって、ここで工程(b)にお
    いて検出される変化した発現レベルが、目的の遺伝子によってコードされる少な
    くとも1つの遺伝子産物の増加した発現レベルであり、そして工程(c)におい
    て投与される組成物が、該目的の遺伝子によってコードされるタンパク質に結合
    するリガンドを含む、方法。
  48. 【請求項48】 前記目的の遺伝子によってコードされるタンパク質に結合
    する前記リガンドが、前記目的の遺伝子によってコードされるタンパク質に結合
    し得る抗体を含む、請求項47に記載の方法。
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