JP2003513932A - 血管形成の誘導方法 - Google Patents

血管形成の誘導方法

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JP2003513932A JP2001536176A JP2001536176A JP2003513932A JP 2003513932 A JP2003513932 A JP 2003513932A JP 2001536176 A JP2001536176 A JP 2001536176A JP 2001536176 A JP2001536176 A JP 2001536176A JP 2003513932 A JP2003513932 A JP 2003513932A
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ジー. クリスタル、ロナルド
ケイ. ローゼンガート、トッド
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、血管形成的に機能ある源個所から、血管形成的に機能不全の可能性のある、又は血管形成的に実際に機能不全の標的個所へ増加する濃度の血管形成媒介物質の勾配が確立されるように、宿主に血管形成媒介物質を投与することを含み、それによって源個所から標的個所へ血管成長を導く、血管成長を導く方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の技術分野) 本発明は、血管成長を導く方法に関する。
【0002】 (発明の背景) 血管形成は、血管基底膜の崩壊、内皮細胞の遊走と増殖、及び次なる血管形成
と成熟を含む複雑なプロセスである。幾つかの媒介物質は、虚血組織の血管再生
の促進などの、血管形成応答を誘発することが知られている。過剰投与と関連す
る有害な副作用(例えば、組織損傷、失明、乾癬、関節炎、及び/又は腫瘍転移
の促進)の発生無く、また血管形成媒介物質の使用においていずれの非効率性(
例えば、血管成長の誤った導き)もなく、治療上の血管形成が起きるように、そ
のような血管形成媒介物質は望ましくは、投与される。
【0003】 血管形成媒介物質は、標的組織に血管形成媒介物質の多数適用を用いて投与で
きる。例えば、標的組織への血液の灌流レベルが増大するように、医薬として許
容できる担体と血管新生ペプチドをコードする組換えアデノウイルスベクターと
を含む医薬組成物の多数適用を投与することによって血管形成を誘導する方法が
、国際特許出願WO98/32859には開示されている。同様に、米国特許6
,121,246には、血管形成タンパク質や分泌シグナル配列をコードするD
NA構築物を、宿主の組織に直接的に多数投与することが開示されている。
【0004】 このような技術は、源個所から標的個所への血管の制御された成長を達成する
ように、血管形成媒介物質を投与する方法を提供しない。従って、このような投
与方法の必要性が残っている。本明細書で記載する発明は、このような方法を提
供する。本発明のこれらの及び他の利点並びに更なる発明の特徴は、本明細書で
提供される発明の説明から明らかであろう。
【0005】 (発明の簡単な要旨) 本発明は、血管形成的に機能ある源個所から、血管形成的に機能不全の可能性
のある又は血管形成的に実際に機能不全の標的個所へ増加する濃度の血管形成媒
介物質の勾配が確立されるように、宿主に、望ましくは宿主の少なくとも2つの
異なる個所へ血管形成媒介物質を投与することを含み、それによって源個所から
標的個所へ血管成長を導く、血管成長を導く方法を提供する。
【0006】 (発明の詳細な説明) 本発明は、血管形成的に機能ある源個所から、血管形成的に機能不全の可能性
のある又は血管形成的に実際に機能不全の標的個所へ増加する濃度の血管形成媒
介物質の勾配が確立されるように、宿主に、望ましくは宿主の少なくとも2つの
異なる個所へ血管形成媒介物質を投与することを含み、それによって源個所から
標的個所へ血管成長を導く、血管成長を導く方法を提供する。
【0007】 血管形成媒介物質は、とりわけ血管形成の開始又は亢進によって、少なくとも
一つの源個所から少なくとも一つの標的個所に血管の成長を導き、それによって
、血液の灌流レベルを増大させる任意の物質でありうる。本発明の状況における
血管形成は、新しい血管の形成(血管新生)と、側副血管の成長を含む血管形成
の促進の両方を含む。このように、血管形成媒介物質は、そうしないと血管形成
をしない個所で血管形成の開始を誘導するか、既に血管形成をしている個所へ側
副血管の成長を増大もしくは増加させるか、又は両方である任意の物質でありう
る。
【0008】 血管形成媒介物質は、任意の適切な血管形成媒介物質でありうる。血管形成媒
介物質は典型的には、血管新生ペプチド、又は血管新生ペプチドをコードする核
酸であろう。血管新生ペプチドは望ましくは、血管形成増殖因子又は血管形成的
に機能あるそのフラグメントである。多数の血管形成増殖因子が当該分野で公知
である。血管形成増殖因子の例は、線維芽細胞増殖因子(FGFs)(例えば、
aFGF、bFGF、及びFGF−4)、アンジオゲニン(例えば、アンジオゲ
ニン及びアンジオゲニン−2)、プレイオトロフィン(PTN;HBNFとして
も知られる)、ミッドカイン、トランスフォーミング成長因子(例えば、PDG
F−BB(Regranex))、(TGFs、例えばTGF−β)、胎盤増殖
因子、血小板由来増殖因子(例えば、血小板由来内皮細胞増殖因子)、及び血管
内皮増殖因子(VEGFs)、Del−1、アンジオポエチン(例えば、アンジ
オポエチン−1及びアンジオポエチン−2)、フォリスタチン、顆粒球コロニー
刺激因子(G−CSF)、分散因子/肝細胞増殖因子(HGF)、レプチン、イ
ンスリン様増殖因子、COUP−TFIT、eNOS、iNOS、MCP−1、
プロリフェリン(proliferin)、及びエフリンを含む。他の血管形成媒介物質は、
腫瘍壊死因子−アルファ(TNF−α)やインターロイキン−8(IL−8)な
どのサイトカインや、PR39およびHIF−1dなどの転写因子を含む。この
ような因子やそれらの投与は、公知であり、例えば、米国特許5,338,84
0、5,401,832、5,532,343及び5,851,797、国際特
許出願WO95/24473、欧州特許明細書441763、476983、5
06477、550296、及び535337並びに日本特許明細書10381
00、2117698、2279698、及び3178996に記載されている
。血管形成媒介物質は、前記のサイトカインや増殖因子などの血管新生ペプチド
に限定されず、血管形成を誘導する任意の適切な化合物を含み得る。
【0009】 血管新生ペプチドは好ましくは、内皮細胞増殖に特異的な増殖因子(例えば、
アンジオポエチン、胎盤増殖因子、又はVEGF)である。望ましくは、血管新
生ペプチドは、標的組織において血管形成を強く促進するが、新規血管の産生に
関与しない組織増殖を誘導しない。VEGFsは、これらの特徴を有することが
知られているので、それらは好適な血管新生ペプチドである。
【0010】 VEGFは任意の適切なVEGFでありうる。好ましくは、VEGFは、哺乳
動物VEGF(例えば、VEGF、VEGF II、VEGF−B、VEGF−
C、VEGF−D、VEGF−E、又は胎盤増殖因子(PlGF))、血管形成
的に機能あるそのフラグメント、又はVEGFの疑似物もしくは血管形成的に機
能あるフラグメントである。あるいは、VEGFは、ORFV2−VEGFなど
の、非哺乳動物VEGF、フラグメント、又は疑似物でありうる。好ましくは、
VEGFはVEGF−A(一般にVEGFとも言われる)である。好適なVEG
F−Aアイソフォームは、VEGF121、VEGF145、VEGF165、及びVE
GF189(これらは、例えば、米国特許5,332,671、5,240,84
8及び5,219,739に記載されている)である。
【0011】 記載したように、血管新生ペプチドは、血管新生ペプチドの疑似物でありうる
。ペプチド疑似物の幾つかのタイプは公知であり、例えば、米国特許5,668
,110とそれに引用されている参考文献に記載されている。血管新生ペプチド
の血管形成的に機能あるフラグメント、即ち、対応する完全な血管形成ペプチド
と実質的に同様な(例えば、少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90
%)効力を有する、血管形成を誘導又は促進する血管新生ペプチドから得られる
か又は該血管新生ペプチドの一部に対応するフラグメントも使用できる。好まし
くは、血管新生ペプチドは、完全な(即ち、非フラグメント化)血管新生ペプチ
ドである。
【0012】 より高い生物活性の故に、VEGF121とVEGF165は、特に好ましいVEG
Fsである。VEGF121とVEGF165の顕著な違いは、VEGF121は、VE
GF165とは違って、高程度の親和性でヘパリンに結合しないことである。VE
GF121は、VEGF165よりも血管新生ペプチドとしてより好ましい。
【0013】 血管新生ペプチドは、天然の血管新生ペプチド又は一つ以上の修飾(例えば、
アミノ酸置換、欠失、付加、及び/又は炭水化物部分の付加)を含む修飾ペプチ
ドでありうる。血管新生ペプチドは、天然のVEGFヘテロダイマー又はホモダ
イマーなどの、多量体ペプチドでありうる。
【0014】 血管形成媒介物質は、異なる(即ち、複数の)血管形成媒介物質の組合わせ(
例えば、2つ以上の血管新生ペプチド、及び/又は血管新生ペプチド(複数)を
コードする核酸(単数又は複数))でありうる。この点に関し、異なる血管形成
媒介物質は望ましくは、異なる生物学的側面に影響する。例えば、内皮細胞マイ
トジェン(例えば、VEGF121、aFGF、又はHGF)、又はこのような内
皮細胞マイトジェンをコードする核酸は、内皮細胞遊走に影響する媒介物質(例
えば、Del−1)、血管壁成熟に影響する媒介物質(例えば、ミッドカイン)
、血管壁拡張(dialation)に影響する媒介物質(例えば、iNOS)、細胞外マ
トリックス分解因子(例えば、TNF−α)、及び/又は転写因子(例えば、P
R39)、又はこのような因子をコードする核酸と共に投与できる。このような
血管形成媒介物質の他の適切な組合わせも考えられる。このように、本発明の方
法は、血管成長を異なる方法で導く第1の血管形成媒介物質と第2の血管形成媒
介物質の投与を含むことができる。
【0015】 異なる血管形成媒介物質(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なく
とも5つ、又はそれより多くの共投与される血管形成媒介物質)は望ましくは、
互いの存在下に相乗効果を有する。血管形成媒介物質の好適な組合わせの例は、
アンジオポエチン−1、aFGF(FGF−1としても知られる)、HBNF、
それらの組合わせ、又はこのような組合わせをコードする1つ以上の核酸と組合
わせたVEGF−A(特に、VEGF121又はVEGF165)を含む。特に好適な
血管形成媒介物質の組合わせは、新たな血管の発展を開始させる血管形成媒介物
質(例えば、VEGF)、及び血管成熟に関与する血管形成媒介物質(例えば、
アンジオポエチン)、又はこのような組合わせをコードする1つ以上の核酸を含
む。血管形成可能性が典型的に減少する血管形成媒介物質の組合わせは望ましく
ない(互いの血管形成可能性の潜在的相互抑制のため、アンジオポエチン−1は
、アンジオポエチン−2とは望ましくは共投与されない)。
【0016】 血管形成媒介物質は、血管新生ペプチドをコードする核酸でありうるか、又は
含み得る。核酸は、任意の適切な核酸分子でありうる。大部分の場合に、そのよ
り大きな安定性と操作可能性の故に、DNAヌクレオチド血管形成媒介物質が好
ましい。あるいは、裸のポリヌクレオチドベクターを用いて一過性発現が求めら
れたり、ヌクレオチドの送達が核酸をレトロウイルスベクター中に配置すること
によって達成されるといった場合には、裸のRNAヌクレオチド血管形成媒介物
質が有利であり得る。
【0017】 核酸は、任意の適切な血管新生ペプチドをコードできる。例えば、核酸は、上
記の血管新生ペプチド、又は血管形成的に機能あるそのフラグメント(例えば、
そのようなペプチドの1つ以上の血管形成的に機能あるドメイン)の任意のもの
をコードできる。核酸は、1つ以上の血管形成遺伝子の複数のコピー(例えば、
VEGF遺伝子の2コピー)を含むことができる。核酸はまた、本明細書記載の
血管新生ペプチドの任意の組合わせをコードできる。好ましくは、核酸は、内皮
特異的血管形成媒介物質、より好ましくはVEGFをコードする。核酸が、複数
の血管新生ペプチドをコードする場合、好ましくは、本明細書の他のところで記
載した共投与血管新生ペプチドの好適な組合わせ(例えば、VEGFとアンジオ
ポエチン)の1つをコードする。
【0018】 核酸は、更に、又はあるいは、血管新生ペプチドレセプターをコードすること
ができる。適切な血管新生ペプチドレセプターは、例えば、FLT−1、KDR
(及びそのホモローグFLK−1)、FLT−4などのVEGFレセプター(代
替的又は別名のVEGFレセプターは、VEGFR−1、VEGFR−2、及び
VEGFR−3を含む)、並びにFGFR−1、RYK、tieレセプター、t
ie2レセプター及びEphレセプターなどの他の血管形成因子のレセプターを
含む。血管形成レセプターをコードする核酸が発現されるとき、レセプターは、
それが発現する細胞に取り込まれ、それによって、レセプターと相互作用する血
管形成媒介物質に関し、細胞の取り込み可能性を増大させる。従って、1つ以上
のネイティブでないレセプターを、特定の細胞で発現させることができるか、細
胞で発現されるネイティブレセプターの数を増加させることができるか、又は両
方でありうる。このようなレセプターの実質的に機能あるフラグメントをコード
する核酸も使用できる(例えば、完全なレセプターによって示される血管形成媒
介物質との相互作用の少なくとも約80%、又は好ましくは少なくとも約90%
を示すレセプターフラグメント)。望ましい核酸の発現により、血管新生ペプチ
ドによる刺激の増大と、血管新生ペプチドレセプターによる取り込みの増大が生
じるように、核酸は、血管新生ペプチドと血管新生ペプチドレセプターの両方を
コードできる。核酸はまた、血管新生ペプチドに加えてよりもむしろその代わり
に、血管新生ペプチドレセプターをコードできる。
【0019】 核酸は好ましくは、血管新生ペプチドをコードする配列(即ち、“血管形成配
列”)に加えて、血管形成配列をコードする配列に機能的に連結した、1つ以上
の適切な発現制御配列を含む。発現制御配列は、血管形成配列をコードする核酸
の発現(例えば、転写、翻訳、又は両方)を助ける任意のヌクレオチド配列であ
る。発現制御配列は、血管形成配列(例えば、血管形成配列をコードする核酸の
天然プロモーター)と天然で連結しうるか、又は血管形成配列に関し異種エレメ
ントを含みうる。例えば、血管形成配列は、構成的プロモーター(例えば、ラウ
ス肉腫ウイルス長末端反復配列(RSV LTR)プロモーター/エンハンサー
、又はサイトメガロウイルス主要前初期遺伝子(CMV IE)プロモーター、
これは特に好ましい)、誘導型プロモーター(例えば、成長ホルモンプロモータ
ー、メタロチオネインプロモーター、熱ショックタンパク質プロモーター、E1
Bプロモーター、又はMLPプロモーター)、誘導−抑制型プロモーター、又は
組織特異的プロモーター(例えば、平滑筋細胞α−アクチンプロモーター、VE
GFレセプタープロモーター、血管内皮カドヘリンプロモーター)に機能的に連
結できる。場合によっては、宿主ネイティブのプロモーターが、ネイティブでな
いプロモーターよりも好ましいかもしれない(例えば、血管形成配列の発現を駆
動するヒトベータアクチンプロモーターは、ヒト宿主で好ましいかもしれない)
(特に、宿主免疫反応による遺伝子発現サイレンシングを厳密に避けるのが望ま
しい場合に)。核酸は、あるいは、又は更に、米国特許5,830,462及び
6,015,709に記載のヌクレオチド配列のような、制御可能転写結合タン
パク質によって標的となるプロモーターを含んでもよい。
【0020】 核酸は、エンハンサー、転写終結配列、ポリアデニル化配列、スプライシング
制御配列、安定性促進配列(例えば、5’mRNAキャップ配列又はUTR)、
及び/又は他の転写促進配列(例えば、Kozakコンセンサス配列)などの1
つ以上の付加的なエレメントを含むことができる。核酸はまた、トランスメンブ
レンリーダー配列、分泌シグナル、オルガネラ特異的トラフィッキング又は局在
化シグナル配列、及びインテイン様発現をコードする配列などの翻訳後プロセス
を生じさせる配列を含むことができる。
【0021】 核酸は、1つ以上の他のペプチドをコードする配列、例えば、レポーター遺伝
子(例えば、緑色蛍光タンパク質遺伝子、ホタルルシフェラーゼ遺伝子、又はβ
−ガラクトシダーゼ遺伝子)を含むことができる。それらは好ましくは、血管形
成配列と同じプロモーターに機能的に連結されている。更に、又はあるいは、核
酸は、血管の発達又は血管形成の調節を助けるペプチド及び/又は核酸をコード
する1つ以上の配列を含むことができる。例えば、核酸は、新規な血管の遊走を
助けるインテグリン(例えば、αvβ3インテグリン及び/又はαvβ5インテ
グリン)、発達/遊走する血管の進路の組織を溶解する酵素(例えば、マトリッ
クスメタロプロテイナーゼ(MMP))、又は標的個所及び源個所、並びにそれ
らの間にある区域に血管周囲細胞又は他の血管支持細胞を引きつける1つ以上の
遺伝子をコードできる。
【0022】 核酸は、宿主の源個所と標的個所の間の勾配を確立するために適した任意の形
態でありうる。望ましくは、核酸は、ベクター中に配置されるか、又はベクター
の形態で投与される。ベクターは、任意の適切なベクターでありうる。例えば、
核酸は、裸のDNAもしくはRNAベクター(例えば、線状発現エレメントを含
む)、又は沈殿核酸ベクター構築物(例えば、CaPO4沈殿構築物)として投
与できる。このような核酸ベクターは、塩、担体、又はトランスフェクションを
助ける処方物(例えば、リン酸ナトリウム塩、デキストラン担体、酸化鉄担体、
又は金ビーズ担体)、及び本明細書記載の他の医薬として許容できる担体と連結
させることができる。あるいは、又は更に、核酸は、リポソーム(好ましくはカ
チオン性リポソーム)、トランスフェクションを容易にするペプチドもしくはタ
ンパク質−複合体(例えば、ポリ(エチレンイミン)、ポリリシン、又はウイル
スタンパク質−核酸複合体)、ビロゾーム(virosome)、修飾細胞もしくは細胞様
構造(例えば、融合細胞又はミセル)、又はウイルスベクターなどの1つ以上の
トランスフェクションを容易にする分子と連結させることができる。
【0023】 核酸は望ましくは、ウイルスベクター内に配置する。ウイルスベクターは任意
の適切なウイルスベクターでありうる。本発明の状況でのウイルスベクターは、
野生型ウイルスに存在するタンパク質及び/又は核酸由来の、又はそれから得ら
れる、又はそれに基づくヌクレオチド及びタンパク質の任意の組合わせを含む。
ウイルスベクターは好ましくは、インタクトなウイルス粒子からなる。典型的に
は、このようなウイルスベクターは、野生型ウイルス粒子、又は核酸のトランス
フェクションと発現を助けるために、そのタンパク質及び/又は核酸内容物にお
いて修飾したウイルス粒子から本質的になる。このようなベクターは典型的には
、適用できる場合には、それらが得られる、又はそれらが由来する、又はそれら
が基づくウイルスのタイプをとって名づけられる。好適なウイルスベクターの例
は、ヘルペスウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、及びアデノウイ
ルスベクターを含む。
【0024】 望ましくは、ウイルスベクターは、持続した期間(例えば、少なくとも約1日
、好ましくは、約1週間の期間)、核酸、特に血管形成配列を発現できる[乱雑
な血管形成が起こる限りは核酸を発現しないで(例えば、約2週間未満、好まし
くは、約1週間以下の期間)]。従って、ウイルスベクターは好ましくは、核酸
の治療的、及び一過性で、セルフ−ターミネーティングな発現ができる(例えば
、約1週間以下の期間の発現)。好ましくは、ウイルスベクターは、心筋、血管
内皮、及び骨格筋などの心臓血管関連部位中での高レベルの発現を伴い、分裂中
と非分裂中の細胞の両方、並びに最終的に分化した細胞において遺伝子導入を達
成する。ウイルスベクターは望ましくは、宿主への投与のために安全である。有
利には、ウイルスベクターは、遺伝物質を宿主に挿入せずにエピクロモソーム様
式で働く。これらの上記性質の全てを有するアデノウイルスベクターは、核酸血
管形成媒介物質のための特に好適なデリバリーベクターである。
【0025】 核酸は、任意の適切なアデノウイルスベクター中に配置することができる。好
ましくは、アデノウイルスベクターは、血清型2又は血清型5アデノウイルスに
基づくか、由来するか、又はそれらからなる。アデノウイルスベクターは望まし
くは、ウイルス複製に必要な少なくとも1つの遺伝子機能、即ち必須遺伝子機能
に欠損がある。好ましくは、アデノウイルスベクターは、アデノウイルスゲノム
のE1、E2、及び/又はE4領域の少なくとも1つの必須遺伝子機能に欠損が
あるであろう。このようなアデノウイルスベクターは更に、アデノウイルスゲノ
ムの他の部分の欠失、例えば、E3領域(ウイルス複製に必須ではない)の全部
又は一部の欠失、を含んでもよい。
【0026】 アデノウイルスベクターが補完性細胞株の無い状態で複製できないように、ア
デノウイルスベクターは好ましくは、アデノウイルスゲノムのいくらかの必須遺
伝子領域に欠損がある。例えば、血管新生ペプチドをコードするDNAは、アデ
ノウイルス複製に必要なアデノウイルスゲノムのE1領域の少なくとも一部に挿
入されることができる。このように、アデノウイルスベクターは、単独で、又は
他のアデノウイルスゲノム領域の必須遺伝子機能の欠損と組合わせて、E1領域
(例えば、E1a領域及び/又はE1b領域)の少なくともいくらかの部分に欠
損があることが好ましい。E1欠失及び他の複製欠損アデノウイルスベクターの
例は、例えば、米国特許5,851,806及び国際特許出願WO95/346
71に開示されている。複製欠損アデノウイルスベクターの例は、アデノウイル
スゲノムの、E1a領域の部分欠失、E1b領域の少なくとも部分欠失、及びE
3領域の少なくとも部分欠失を有するアデノウイルスベクターを含む。複製欠損
アデノウイルスベクターの他の例は、完全なE1領域の欠失、E3領域の少なく
とも部分欠失、及びE4領域の少なくとも部分欠失を有するアデノウイルスベク
ターを含む。アデノウイルスベクターは望ましくは、少なくとも1つのアデノウ
イルス逆末端反復配列(ITR)(好ましくは5’及び3’ITR)を有する。
アデノウイルスベクターはまた望ましくは、アデノウイルスパッケージング配列
を有する。
【0027】 本発明の方法で使用する特に好適なアデノウイルスベクターは、アデノウイル
スゲノムの、全E1a領域、E1b領域の少なくとも一部分、及びE3領域の少
なくとも一部分に欠損があり、アデノウイルスゲノムのE1領域中のCMV I
Eプロモーターの制御下に、ヒトVEGF121又はヒトVEGF165をコードする
DNAを含む。このようなベクターは、投与後1日で最大化し、投与後1週間程
度ではベースラインレベルを超えて検出できない、VEGFのインビボ発現を支
持する。新規血管系の実質的な成長を提供しつつ、離れた部位での有害な血管新
生を最小化することが十分であるからこれは理想的である。その点に関し、この
ベクターが標的組織に局所的に投与されるとき、標準ELISAモニタリングア
ッセイを用いて、検出可能なVEGF発現は、血清中では全く検出できない。有
利には、アデノウイルスゲノムのE1領域に位置するヒトVEGF121又はVE
GF165をコードする核酸を含むこのようなアデノウイルスベクターの標的組織
への局所投与は、腸骨及び大腿の動脈を結紮した哺乳動物の四肢(例えば、Sp
rague−Dawleyラットの後肢)において少なくとも3倍血流を増加さ
せることができる。
【0028】 アデノウイルスベクターは、任意の数の更なる又は別の修飾を受けることがで
きる。例えば、アデノウイルスベクターのコートタンパク質は、米国特許5,4
32,075に記載のように、特異的タンパク質結合配列を含むように修飾でき
る。又は該ウイルスベクターのコートタンパク質は、例えば、国際特許出願WO
98/40509に記載のように、宿主による免疫認識の可能性及び結果として
のコートタンパク質に向けられた中和抗体産生を減少させるように修飾できる。
【0029】 核酸は、アデノウイルスベクターのゲノム中の任意の適切な位置内に配置する
ことができる。典型的には、核酸は、アデノウイルスゲノムの上記欠失領域の1
つ以上を置換するだろう(例えば、E1、E2、E3、及び/又はE4領域、最
も好ましくは、E1領域の少なくとも一部の置換)。あるいは、血管新生ペプチ
ドをコードする幾つかの核酸を、複数の欠失領域中に発現カセットとして挿入す
ることができる(例えば、第1の血管形成配列を、E1領域の一部に挿入でき、
第2の血管形成配列を、欠失E3領域に挿入できる)。
【0030】 血管新生ペプチドをコードする核酸は、任意の適切な様式と任意の適切な配向
でベクターに挿入される。核酸は任意の適切な配向で挿入されることができるが
、好ましくは、核酸の配向は右から左である。右から左への配向を有する核酸に
よって、核酸の転写の方向は、核酸が挿入されているベクターの領域の方向と反
対であることが意味される。
【0031】 本発明は、血管成長が、少なくとも1つの源個所から少なくとも1つの標的個
所に向き、宿主中の標的個所への血液の灌流レベルが増大するように、宿主の源
個所から宿主の標的個所へ増加する濃度の血管形成媒介物質の勾配を確立するこ
とを含む。源個所から標的個所へ増加する濃度の勾配を産生する、宿主への血管
形成媒介物質の投与の任意の適切な手段が、本発明の状況内で使用できる。好ま
しくは、血管形成媒介物質は、源個所及び/又は標的個所内へ又はその近くへの
、血管形成媒介物質の直接投与(例えば、注入又は局所投与)によって投与され
る。エレクトロポレーションなどの他の送達技術も利用できる。
【0032】 “注入”という用語は、血管形成媒介物質が標的組織内に強制的に導入される
ことを意味する。例えば、血管形成媒介物質は、微量注入されてもよいし、針で
直接的に注入されてもよいし、又は微粒子銃注入により注入されてもよい。注入
される血管形成媒介物質は、本明細書記載のアデノウイルスベクターなどの核酸
血管形成媒介物質を含むベクターを含む、そのような投与を促す任意の適切な血
管形成媒介物質でありうる。任意の適切な注入デバイスが、本発明の状況内で使
用できる。例えば、血管形成物質をコードするDNAを含むアデノウイルスベク
ターを含む血管形成媒介物質の直接注入の場合に、同時多数注入を供給できる適
切な注入デバイスが、米国特許5,846,225に記載されている。
【0033】 本発明の状況内で使用できる他の適切な注入デバイスは、低侵襲注入デバイス
を含む。このようなデバイスは、約15cm未満の小さな切開を通り組織(例え
ば、心臓)にアクセスでき、上記の多数注入デバイスとは対照的に、唯一の腔を
通して注入を提供するように設計されている。特異的な形状をもった多数注入の
必要性を考慮して、以前の注入部位がよく描写されているように、マーキングシ
ステムを使用できる。低侵襲注入デバイスは、例えば、低侵襲手術に必要な限定
された開口窓に関して、種々の角度で存在する、心臓の曲線的な外表面への小さ
な切開を通しアクセスが可能な、可撓性で、操縦可能なインジェクターチップを
含むことができる。適切な低侵襲注入デバイスはまた、国際特許出願WO99/
44656に記載されている。
【0034】 血管形成媒介物質の源及び/又は標的個所への投与は、インビボ又はエキソビ
ボのどちらでも達成できる。それ故、例えば、問題の組織が、本発明の方法のレ
シピエントから取り出され、血管形成物質で処理され、次いで、レシピエントに
再移植できる。問題の組織への血管形成媒介物質のエキソビボ投与はまた、非標
的組織での望ましくない血管形成の誘導を最小化する助けとなる。このような技
術の具体例は、組織フラップの置換及び/又は移転を含む手術手順において(例
えば、胸部再建術において)組織フラップに勾配形成様式で血管形成媒介物質の
投与をすることである。このような手順における勾配は、任意の適切な技術によ
って形成されることができる。例えば、血管形成媒介物質の異なる量が、取り出
された組織の異なる部分へ投与できる(例えば、異なる期間、血管形成媒介物質
の溶液に組織を浸すことによって)。あるいは、勾配産生様式で宿主に再移植さ
れる、血管形成媒介物質、又は血管新生ペプチドを発現するベクターを含む、2
つ以上の組織又は細胞/組織関連構造物を、宿主に投与できる(例えば勾配形成
投与パターンで血管新生ペプチドを発現するトランスフェクトされた細胞を、例
えばトランスフェクトした細胞でコートしたステントによって、投与することに
よって)。
【0035】 本発明は望ましくは、宿主の複数(即ち、少なくとも2つ)の個所への血管形
成媒介物質の多数投与(即ち、少なくとも2回の投与)によって行う。その方法
では、各投与は、組成物中に血管形成媒介物質の比較的均一の濃度を有する組成
物の比較的均一の容量のものであるが、投与は、標的個所から異なる距離で回数
が異なる。多数投与は、2、3、4、5回、又はそれ以上の投与(即ち、適用)
、好ましくは5回以上の投与、より好ましくは8回以上の投与、最も好ましくは
少なくとも10回(例えば、10、15、20、25、又は30回、又はそれ以
上)の投与を含みうる。このような投与の回数と間隔を変えることによって、源
個所から標的個所への適切な勾配を確立できる。
【0036】 少なくとも2つの投与の具体的パターンは、任意の適切な数の投与を組み込む
、任意の適切なパターンでありうる。例えば、源個所で、又は近くで、比較的低
濃度での血管形成媒介物質の注入、及び標的個所で、又は近くで、比較的高濃度
の別の注入を用いて、勾配を作成できる。同様に、源個所で、又は近くで、均一
濃度の血管形成媒介物質を含む組成物の比較的大容量の適用、及び標的個所で、
又は近くで、組成物のより小容量の同様の適用も、適切な勾配を産生できる。こ
のように、血管新生ペプチドをコードするDNAを含むアデノウイルスベクター
の使用に関し、例えば、本方法は、宿主へのアデノウイルスベクターの適用数を
修飾することによって、均一濃度のアデノウイルスベクターの異なる量を投与す
ることを含むことができる。より詳細には、本発明のこのような実施態様は、勾
配を形成するために、標的個所で又は近くでよりも、源個所で又は近くで、アデ
ノウイルスベクターのより少ない適用(又は投与量)を投与することを含む。
【0037】 血管形成媒介物質は、あるいは、又は更に、源及び/又は標的個所で、又は近
くで、内部的又は外部的のいずれでも、任意の適切な表面へ投与できる。例えば
、心臓組織中に血管形成媒介物質を直接注入することに関し、このような注入は
、心臓の任意の適切な表面から投与できると考えられる(即ち、血管形成媒介物
質は、心内膜に及び/又は心外膜に投与できる)。典型的には、及び好ましくは
、心臓投与は、低侵襲開胸術によって容易にアクセスできる心臓の左自由心室壁
(left free ventricular wall)に行われるだろう。あるいは、心臓の他の区域(
例えば、中隔及び/又は右心室)への投与を、キャピラリーチューブ又は他の適
切なデバイスの使用によって達成できる。標的個所が心臓に位置するが、左自由
心室壁から離れている場合(例えば、標的個所が、右冠状動脈での血管閉塞であ
る場合)、このような代替の技術が望ましいかもしれない。
【0038】 各々の適用が投与される場合、合計投与は、源及び/又は標的個所、及びその
間の区域に規定される特定のジオメトリーなどの変数によって操作することがで
きるという点で、血管形成媒介物質の多数投与は、単一投与よりも利点を提供す
る。多数適用の特定のジオメトリーと時間差異の両方を操作することによって、
非標的組織での血管形成の誘導は最小化でき、望ましく標的個所に血管形成を引
き起こす。例えば、血管形成は、それを必要とする組織(即ち、標的個所又は標
的組織)でのみ誘導され、他の個所では最小化されるように、特定のジオメトリ
ーは好ましくは操作される。
【0039】 多数適用の特定のジオメトリーは、血管形成媒介物質の各適用が投与される個
所によって規定される。多数適用は、任意の適切なパターン又は特定のジオメト
リーを規定することができる。例えば、2次元空間で、多数適用は方形を規定で
き、3次元空間では、多数適用は立方体を規定できる。
【0040】 適用の点は、約4cm未満(例えば、約0.5−4cm)、より好ましくは約
3cm未満(例えば、約1−3cm)、最も好ましくは約2cm未満(例えば、
約1−2cm)離れているように、多数適用は好ましくは間隔を空ける。間隔を
空けることは、適切な勾配を産生するのに必要な範囲内で変わりうる。
【0041】 2次元空間での多数適用の特定のジオメトリーに関し、特定のジオメトリーは
、多数適用が存在する平面(即ち、標的組織の断面)によって規定される。多数
適用によって規定される平面は、源及び/又は標的個所の表面から一定の距離(
即ち、源及び/又は標的個所の表面に実質的に平行)、平面の深さで存在できる
。あるいは、平面は、標的及び/又は源個所の表面に関し、ある角度で存在でき
る。好ましくは、単一投与は、平面の約0.5−15cm2毎、より好ましくは
平面の約1−12cm2毎、最も好ましくは平面の約1.5−7cm2毎に投与さ
れるだろう。
【0042】 平面の深さは好ましくは、約1−10mm、より好ましくは約2−7mm、最
も好ましくは約3−5mmである。平面深さは典型的には、血管形成媒介物質が
投与される組織の表面からの距離、組織内の投与平面に対応する(例えば、血管
形成媒介物質が針注入によって投与される心臓における深さ)。
【0043】 3次元空間では、多数投与は、好ましくは約50cm3(例えば、約0.5−
50cm3)の区域内、より好ましくは約35cm3(例えば、約1−35cm3
)の区域内、最も好ましくは約15cm3(例えば、約0.5−15cm3、また
は約3−15cm3でさえも)の区域内に投与される。好ましくは、多数投与、
及び源個所は、標的個所の約50cm3内、より好ましくは約35cm3内、最も
好ましくは約15cm3内である。
【0044】 操作することができる多数適用の別のパラメーターは、各適用間の時間差異で
ある。好ましくは、多数適用の各々は、互いの約10分以内(例えば、約0.5
−10分)、より好ましくは互いの約8分以内(例えば、約0.5−8分)、な
おより好ましくは互いの約6分以内(例えば、約1−6分)に投与される。最も
好ましくは、単一投与量の多数適用の全ては、上記時間枠内に投与される。最適
には、多数適用の各々は、実質的に同時に投与される。
【0045】 血管形成媒介物質を投与するとき、投与は、血管形成媒介物質が、源及び/又
は標的個所、並びにその間の区域に合理的に隣接した領域と接触できるようなも
のであるのが望ましい。血管形成媒介物質を側副血管形成のための源及び末端の
正確な位置に実際に接触させることは必要ではないと考えられている。好ましく
は、血管形成媒介物質が、側副血管形成の源、側副血管形成の末端、及びその間
の区域を含む領域と接触するか、又は到達できるように、多数適用の特定のジオ
メトリーは規定される。
【0046】 好ましくは、血管形成媒介物質の全部ではないにしろ、大部分は、標的個所の
近隣に投与される。血管形成媒介物質は、好ましくは標的個所から約5cm未満
、より好ましくは標的個所から約4cm未満、より好ましくは標的個所から約3
cm未満、最適には標的個所から約1−2cmで投与することができる。このよ
うな投与の1つ以上は、標的個所に対するか、又はその中であることができる。
例えば、標的個所が虚血組織内である場合、方法は、虚血組織内のみの投与に限
定することができる。標的個所が血管又はその部分である場合、血管形成媒介物
質は好ましくは、血管の直径又はその一部(例えば、源個所に最も近い側)を取
り囲む分布で投与される。
【0047】 血管形成媒介物質は望ましくは、医薬として許容できる担体中、宿主に投与さ
れる。任意の適切な医薬として許容できる担体が、本発明の状況内で使用できる
。担体の選択は、組成物が投与される特定の部位及び組成物を投与するために使
用される特定の方法によって、部分的には決定されよう。適切な医薬担体の種々
の例は、例えば、Urquhartら,Lancet,16,367(1980
);Liebermanら,Pharmaceutical Dosage F
orms − Disperse Systems(2nd ed.,vol.
3,1998);Anselら,Pharmaceutical Dosage
Forms & Drug Delivery Systems(7th e
d.,2000);及び米国特許5,994,106に記載されている。血管新
生ペプチドをコードする核酸を含むアデノウイルスベクターと関連した医薬とし
て許容できる担体は、例えば国際特許出願WO98/32859に記載されてい
る。
【0048】 勾配は、源個所から標的個所への血管の成長を促進する、源個所から標的個所
への増加濃度の任意の勾配でありうる。標的への血管成長量を増加させるのに必
要な特定の勾配は、宿主、特定の標的及び使用される源個所、並びに投与される
血管形成媒介物質に依存するだろう。
【0049】 特定の血管形成媒介物質、特定の宿主、並びに特定の源及び標的個所のための
有効な勾配は、任意の適切な技術によって同定できる。有効な勾配を同定する簡
単な技術は、源個所から標的個所へ増加していく濃度の勾配で血管形成媒介物質
を投与し、源個所と標的個所の間の新規の、又は増大した血管成長の発展を試験
するか、又は標的個所の近く、又はそこで虚血状態に罹患している宿主における
治療的血管形成効果を試験することを含む。導かれた血管成長を測定する幾つか
の試験、及び虚血組織又は別の損傷を受けた組織における血管形成と関連した特
徴を同定する試験は公知である。このような試験の例は、運動耐性試験、局所灌
流のための磁気共鳴画像法(MRI)試験、レスト・アンド・ストレス(アデノ
シン)99mTc−sestamibi SPECT試験、レスト・アンド・スト
レス(ドブタミン)心エコー図、及び血管造影試験を含む。
【0050】 勾配は、投与の単一平面で、又はその周りでの勾配、投与の多数平面での勾配
、又は3次元での勾配を含みうる。例えば、血管形成媒介物質は、注入の特定の
平面内の勾配が確立されるように、組織内の等しい深さであるがその深さでの水
平面で2つ以上の個所で、組織内に注入することによって投与することができる
。好ましくは、血管成長が、源個所から合理的に導かれることができるすべての
次元に、勾配が確立される。血管成長が、多数の個所から達成できるとき、勾配
が、幾つかの源個所から標的個所へ全ての方向に確立されるように、血管形成媒
介物質を投与することによって、標的個所の方への増加濃度の3次元勾配を使用
してもよい。
【0051】 勾配は、少なくとも1つの源個所と少なくとも1つの標的個所との間で確立さ
れる。標的及び源個所は、血管形成媒介物質の勾配が源個所と標的個所の間で確
立されるとき、標的個所の方に血管成長を可能とする又は促進する宿主内の任意
の適切な個所でありうる。典型的には、及び好ましくは、標的個所及び源個所は
、組織を含み、単一組織の部分であり、又は別々の、しかし相互連結した組織の
部分(例えば、異なる血管などの単一器官系の異なる位置又は部分)である。好
ましくは、標的及び源個所は、血管形成媒介物質を結合できるレセプターを含む
(例えば、上記増殖因子レセプターのいずれか)。例えば、血管形成媒介物質が
VEGFをコードする核酸であるとき、組織は好ましくは、VEGFレセプター
を含む内皮細胞を含む。望ましくは、源組織及び標的組織の両方が内皮細胞を含
む。内皮細胞は、本明細書記載の、特定の血管形成媒介物質又は血管形成遺伝子
産物に感受性である。
【0052】 一般的に、源及び/又は標的個所は、個別の器官の一部であるかそれを形成す
る組織(例えば心臓などの筋肉)を含もう。源個所は好ましくは、血管形成的に
機能ある個所、即ち、存在する血管の近く、又は血管が存在する区域などの、十
分なレベルの血液灌流を有する宿主における個所である(例えば、非虚血組織、
好ましくは存在する血管の著しい量を有するもの、より好ましくは宿主において
特定の組織のために生理的に正常な(健康)量の血管を有する区域)。標的個所
は好ましくは、実際に血管形成的に機能不全の個所、又は血管形成的に機能不全
の可能性のある個所、例えば、虚血しているか又は虚血の危険があるかのいずれ
かであるか、又は新規の血管の成長、又は存在する血管の伸長が望ましい任意の
他の状態である、宿主における個所である。
【0053】 典型的には、標的個所(特に血管形成的に機能不全の個所)は、虚血損傷に罹
患しているか、又は罹患する危険があろう。虚血損傷は、組織が酸素化血液の十
分な供給を断たれたとき起こる。酸素化血液の供給の妨害はしばしば、血管閉塞
によって起こる。このような血管閉塞は、動脈硬化、外傷、外科的処置、病気、
及び/又は他の徴候によって引き起こされうる。組織が、望ましくない血管閉塞
から虚血損傷を受ける危険があるかどうかを決定する多くの方法がある。このよ
うな方法は、このような状態を治療する医師には周知である。例えば、心筋疾患
において、これらの方法は、種々のイメージング技術(例えば、99mTc−se
stamibiスキャニングなどのラジオトレーサー法、X線、及びMRIスキ
ャニング)及び他の生理検査を含む。それ故、血管閉塞のある組織又はその危険
のある組織における血管形成の誘導は、このような組織における虚血の予防及び
/又は減衰の有効な手段である。結果として、任意の適切な組織が、血管形成の
誘導の標的になりうるが、標的組織は好ましくは、血管閉塞のあるもの、又はそ
の危険のあるものである。
【0054】 標的個所はまた、血流が、外傷、手術、又は他の出来事によって減衰した組織
を含んでもよい。このような減衰した血液供給の軽減は、その起源に係わらず、
本発明によって考えられる。このように、心筋虚血(特に、インスリン依存性糖
尿病に罹患した患者において)、創傷治癒遅延、バージャー病及び脳卒中などの
適用症からの損傷の予防又は軽減が考えられる。更に、手術方法のプラン作成は
、患者の血管系の特定の部分を通る血液供給の妨害を予測する。本方法による前
処置は、これらの手術の所望の結果を実質的に改善できる。その場合に、処置は
好ましくは、手術の約1日前から約6週間前、より好ましくは、手術の約2日前
から約14日前に行われる。
【0055】 標的及び源個所は、血管形成媒介物質の投与に感受性の任意の適切な組織であ
りうる。例えば、標的及び源個所は、脳、心臓、膵臓、肢などの個別の器官、又
は脚又は足などの身体の一般化した区域に位置することができる。好ましくは、
標的個所及び源個所は、少なくとも2つの動脈を含む器官系の部分を含む(例え
ば、少なくとも3つの主要な動脈を含む心臓)。このような面で、標的個所は典
型的には、系において血管形成的に機能不全の動脈の少なくとも一部分(例えば
、血管閉塞に罹患した動脈)を含み、系における血管形成的に機能ある動脈のい
くつか(全部ではないにしろ)は、源個所の役目をする。このような面で、血管
形成媒介物質は好ましくは、標的動脈と源動脈の間の分布で投与される。標的個
所が、血管閉塞に罹患した動脈である場合、本方法は、望まれるとき、動脈の閉
塞領域(即ち、正常の血流に関し)の上流、下流、又はそこへ、又はそれらの任
意の組合わせへ、好ましくは誘導された側副血管の発展が閉塞領域をバイパスす
るように、血管形成媒介物質を投与することを含むことができる。
【0056】 本発明の方法は、種々の状況において実施でき、有用であり、任意の適切な宿
主に適用できる。好ましくは、宿主は哺乳動物宿主であり、より好ましくは、宿
主はヒト宿主であり、最適には、宿主は、標的個所で虚血状態及び/又は血管閉
塞に罹っているか又は罹る危険があるかのいずれかのヒト宿主である。
【0057】 血管形成媒介物質の望ましい投与量(即ち、宿主への合計投与量)は、血管成
長が、源個所から標的個所へ促進され、血管形成が標的個所で誘導されるような
、例えば、標的個所に治療及び/又は予防効果があるようなものである。望まし
くは、血管形成媒介物質の投与量は、非標的組織における血管形成の誘導が最小
化され、秩序の乱れた血管系病床の産生、病気の組織での機能の喪失、及び無差
別な血管形成が避けられるようなものである。
【0058】 投与量はまた、投与される血管形成媒介物質、宿主、源及び標的個所、及びこ
とによると所望の効果(例えば、血管閉塞をバイパスするために導かれる血管成
長、血管成長の誘導、又は血管の成熟)により変わろう。このような投与量決定
は、慣用の実験法と計算を用いて、及び投与される血管形成媒介物質の公知の効
果を検討することによって、行うことができる。このような決定をするのに一般
化されたガイダンスは、例えば、Platt,Clin.Lab Med.,7
,289−99(1987);及び“Drug Dosage,”J.Kans
.Med.Soc.,70(1),30−32(1969)に見ることができる
。適切な投与量の例示として、血管新生ペプチドをコードする核酸を含むアデノ
ウイルスベクターに関し、投与量は本明細書に記載されている。このような投与
量の記載は、本発明のこの面を説明することが意図され、本発明の範囲を制限す
るものではないことを理解すべきである。
【0059】 血管形成遺伝子を含むアデノウイルスベクターの投与量は、特定のベクター、
及びベクター内に位置する核酸によってコードされた血管新生ペプチドにより、
変わろう。血管形成遺伝子をコードする核酸を含むアデノウイルスベクターの投
与量は典型的には、標的組織、例えば、ヒト心臓などの個別の器官へ、少なくと
も約1×106pfu(例えば、1×106−1×1013pfu)であろう。投与
量は好ましくは、少なくとも約1×107pfu(例えば、約1×107−1×1
13pfu)、より好ましくは少なくとも約1×108pfu(例えば、約1×
108−1×1011pfu)、最も好ましくは少なくとも約1×109pfu(例
えば、約1×109−1×1010pfu)である。投与量は典型的には、約0.
5−15cm3の標的組織の体積のためであるが、100cm3まで、又は約15
0cm3さえ、のより大きな組織体積のためでもありうる。投与量は望ましくは
、多数適用によって投与され、それ自体、多数適用の間に分けられる。従って、
投与量が10回の投与で投与されるならば、各投与は、約1×105−1×101 2 pfuを含む。好ましくは、各適用は、約1×106−1×1012pfu、より
好ましくは約1×107−1×1010pfu、最も好ましくは、約1×108−1
×109pfuを含む。粒子ユニット(pu)(ウイルス粒子とも言われる)の
点で投与量を考えるために、100粒子/pfu(例えば、1×1012pfuは
、1×1014puと等価である)であると仮定することができる。例えば、アデ
ノウイルスゲノムの、全E1a領域、E1b領域の一部、及びE3領域の一部を
欠失したアデノウイルスベクター(ベクターは、標準CMV前初期プロモーター
の制御下に、ヒトVEGF121又はVEGF165をコードする核酸を含む)を用い
るベクター投与の単一ラウンドにおいて、約107−1013pfu、好ましくは
約109−1011pfuが、推定容積約150cm3で宿主に投与される(例えば
、源及び/又は標的個所を含む個別の器官に対し)。これらの条件下で、VEG
F産生の実質的なレベルは、離れた組織で検出可能なレベルのVEGF産生を産
生せずに、目的の組織で達成される。
【0060】 (実施例) 本実施例は、血管形成媒介物質の投与の他の形式よりも、本発明の方法を実施
することによって得られた増大した治療的血管形成効果を示す。本実施例は本発
明を更に説明するが、その範囲をいかなる方法でも限定するものとして理解され
るべきではない。
【0061】 重度の冠状動脈性心疾患の16人の個体(年齢60±11歳;男性11人、女
性5人)を、標準化トレッドミル運動耐性試験を用いて、運動耐性に関し試験し
た。患者に、低侵襲手術により、血管形成媒介物質VEGF121をコードする核
酸を含む組換えアデノウイルスベクターであるAdCUVEGF121.10を投
与した。
【0062】 第1群(n=6)の個体には、AdCUVEGF121.10を合計4×109
粒子ユニットを含む医薬として許容できる溶液の10個の0.1mlアリコート
を投与した。ベクターの発現時、VEGF121が、他の心臓動脈と標的箇所の冠
状動脈との間で増加濃度の勾配を形成するように、乏しい血液灌流に罹患した単
一標的冠状動脈(適用できるのは、左前下行性(LAD)、回旋(Circ.)
又は(R)動脈のいずれにも)の長さに沿って(即ち、約4cm)、該冠状動脈
から約5cm未満で、異なった点に10個のアリコートを投与した。
【0063】 減少した濃度の勾配が、源組織から標的冠状動脈へ確立されるように、第2群
の個体(n=5)は、拡散様式で、2つの冠状動脈を囲む多数個所に、AdCU
EGF121.10を合計投与量4×1010粒子ユニット含む同一の医薬として
許容できる溶液の20個の0.1mlアリコートを投与した。健康な源動脈と損
傷を受けた標的動脈の間で、濃度勾配が確立されないように、第3群の個体(n
=5)は、拡散様式で、3つ全ての冠状動脈の周りで、AdCUVEGF121.
10を合計投与量4×1010粒子ユニット含む同一の医薬として許容できる溶液
の30個の0.1mlアリコートを受けた。
【0064】 同一のトレッドミル活性への耐性を用いて、運動耐性試験によって、個体を、
治療後30日と180日で評価した。治療後30日と180日で行われた運動耐
性試験の結果を、治療前に記録された運動耐性レベルと比較した。勾配形成単一
冠状動脈分布でAdCUVEGF121.10を受けた個体についての運動耐性は
、治療後360日で更に検査した。治療前と比較した治療後30日、180日、
360日での運動耐性の変化を測定し、各時での各群の平均を計算した。運動耐
性で改善を示す各群の個体数を、表1に示す。各群の場合の上記試験時間の各々
での運動耐性における平均変化を表2に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】 表1と表2に示したように、これらの実験の結果は、単一標的動脈の周りに勾
配形成分布でAdCUVEGF121.10ベクターを投与したとき、重度の冠状
動脈疾患の多数の個体は、改善された運動耐性を示したことを示す。対照的に、
より拡散的な、及び非勾配形成の2重、又は3重の冠動脈分布でのAdCUVEG
F121.10ベクターを受けた個体は、個体程は治療後運動耐性における有意
な改善を示さなかった。
【0068】 更に、結果は、勾配形成様式でAdCUVEGF121.10ベクターを受けた
個体は、より拡散的な投与パターンで該ベクターを受けた個体よりも、治療後の
運動耐性においてより大きな増大を示したことを示す。
【0069】 上記実験の結果は、本発明の方法は、源個所から標的個所に増加していく濃度
の血管形成媒介物質の勾配を確立することによって、1つ以上の個所から標的個
所へ血管成長を導くことができることを示す。
【0070】 本明細書に引用された全ての参考文献(出版物、特許出願及び特許を含む)は
、各参考文献が、引用により含まれると、個別に、かつ具体的に示されており、
本明細書にその内容の全部が記載されていると同じ程度まで、引用により本明細
書に含まれるものとする。本発明を記載する文脈において(特に、特許請求の範
囲の文脈において)、語“a”及び“an”及び“the”及び同様の指示物の
使用は、異なるように本明細書に記載されるか、文脈において明瞭に否定されな
ければ、単数と複数の両方を包含するように理解されるべきである。語“含む(i
ncluding)”、“有する”、“含む(comprising)”、“含む(containing)”及び
同様の語の使用は、異なるように記載されていなければ、範囲を限定しない用語
として(即ち、“含むが、それに限定されない”を意味する)及び語“からなる
”及び“から本質的になる”を包含するものとして理解されるべきである。本明
細書で異なるように記載されていなければ、本明細書の値の範囲の記載は単に、
範囲内の各個別の値に個々言及することの略記法として役立つものと意図され、
各々の個別の値は、それが本明細書で個々に記載されているように、本明細書に
含まれるものとする。本明細書でのいかなる例又は例示的な用語(例えば“など
の”)の使用も単に、本発明をよりよく説明することのみを意図し、本発明の範
囲を制限することを意図しない。本明細書における言葉は、本発明の実施に必須
のいずれの非請求要素を示すものとしても理解されるべきではない。
【0071】 上記は、全体として本発明の統合的な記載であり、単なる任意の特定の要素又
はその面の記載ではない。記載は、本発明を実施するために本発明者らに知られ
ている最良の態様を含む、本発明の“好適な実施態様”を記載する。上記の記載
を読むと、それらの好適な実施態様の改変が、当業者に明白となるかもしれない
。本発明者らは、当業者が適宜このような改変を用いることを予期する。本発明
者らは、本明細書に具体的に記載されたのとは異なって本発明が実施されること
を意図する。それ故、本発明は、適用可能な法律によって許されるように、添付
の特許請求の範囲に記載した主題の全ての改変物及び均等物を含む。更に、違う
ように本明細書に記載されていなければ、又は違うように文脈によって明瞭に否
定されていなければ、その全ての可能な改変中の上記の要素の任意の組合わせが
可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ローゼンガート、トッド ケイ. アメリカ合衆国、イリノイ州 60035、ハ イランド パーク、アコーン レイン 35 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA21 BA63 CA02 DA03 EA02 GA11 HA17 4C084 AA02 AA13 AA17 BA44 DC50 NA14 ZA362

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血管形成的に機能ある源個所から、血管形成的に機能不全の
    可能性のある、又は血管形成的に実際に機能不全の標的個所へ増加する濃度の血
    管形成媒介物質の勾配が確立されるように、宿主の少なくとも2つの異なる個所
    へ血管形成媒介物質を投与することを含み、それによって源個所から標的個所へ
    血管成長を導く、血管成長を導く方法。
  2. 【請求項2】 標的個所は虚血組織である、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 血管形成媒介物質は、血管新生ペプチドをコードする核酸を
    含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 血管新生ペプチドをコードする核酸は、アデノウイルスベク
    ター内に位置する、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 アデノウイルスベクターは、アデノウイルスゲノムのE1領
    域の少なくとも一つの必須の遺伝子機能、アデノウイルスゲノムのE3領域の少
    なくとも一つの部分、又は両方に欠損のある、請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 アデノウイルスベクターは、アデノウイルスゲノムのE4領
    域の少なくとも一つの必須の遺伝子機能に更に欠損のある、請求項5に記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 血管新生ペプチドをコードする核酸は、アデノウイルスベク
    ターのゲノムの右から左に方向付けられている、請求項4乃至6のいずれかに記
    載の方法。
  8. 【請求項8】 核酸は、血管新生ペプチドレセプターを更にコードする、請
    求項3乃至7のいずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】 核酸は、少なくとも2つの血管新生ペプチドをコードする、
    請求項3乃至8のいずれかに記載の方法。
  10. 【請求項10】 少なくとも2つの血管新生ペプチドは、宿主中で発現され
    たとき、相乗効果を有する、請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 少なくとも2つの血管新生ペプチドの一つは、VEGFで
    ある、請求項9又は10のいずれかに記載の方法。
  12. 【請求項12】 宿主はヒトである、請求項1乃至11のいずれかに記載の
    方法。
  13. 【請求項13】 血管形成媒介物質を、少なくとも2つの異なる個所に異な
    る量で投与する、請求項1乃至12のいずれかに記載の方法。
  14. 【請求項14】 当該少なくとも2つの個所は、標的個所から約5cm未満
    である、請求項1乃至13のいずれかに記載の方法。
  15. 【請求項15】 当該少なくとも2つの個所は、約5cm未満の距離によっ
    て分離されている、請求項1乃至14のいずれかに記載の方法。
  16. 【請求項16】 血管形成媒介物質を、約10分未満離して当該少なくとも
    2つの個所に投与する、請求項1乃至15のいずれかに記載の方法。
  17. 【請求項17】 血管形成媒介物質を、当該少なくとも2つの個所に同時に
    投与する、請求項1乃至16のいずれかに記載の方法。
  18. 【請求項18】 血管形成媒介物質を器官系に投与し、標的個所は、器官系
    における血管形成的に機能不全の動脈であり、源個所は、器官系における血管形
    成的に機能ある動脈である、請求項1乃至17のいずれかに記載の方法。
  19. 【請求項19】 標的個所は、宿主の心臓の一部である、請求項1乃至18
    のいずれかに記載の方法。
  20. 【請求項20】 標的個所は、血管閉塞を罹患した動脈であり、当該少なく
    とも2つの個所は、血管閉塞の少なくとも一つの上流の個所と血管閉塞の少なく
    とも一つの下流の個所を含む、請求項1乃至19のいずれかに記載の方法。
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