JP2003512057A - Mage−a12抗原ペプチド及びその利用 - Google Patents

Mage−a12抗原ペプチド及びその利用

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Abstract

(57)【要約】 本発明はMAGE−A12ポリペプチドに由来し、HLA分子に提示される抗原性ペプチドを提供する。このペプチドを用いた診断および治療方法も提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、メラノーマ、膀胱癌、腎癌、肺癌、食道癌などを含む腫瘍に優先的
に発現しているポリペプチド及びコードされた核酸分子に関する。核酸分子およ
びコードされたポリペプチドは、とりわけ、診断及び治療的状況において有用で
ある。
【0002】 (発明の背景) 腫瘍細胞を正常カウンターパート細胞と区別する表現型の変化は、しばしば細
胞のゲノムの1つまたは2つ以上の変化の結果である。腫瘍細胞で発現されてい
るが、正常カウンターパート細胞では発現されてない遺伝子は、「腫瘍関連」遺
伝子と呼ぶことができる。これらの腫瘍関連遺伝子は腫瘍表現型のマーカーであ
る。また、腫瘍関連遺伝子の発現は腫瘍発生過程の必須の出来事となることもあ
る。
【0003】 一般的に、宿主は、正常な非腫瘍形成細胞に発現されていない腫瘍関連遺伝子
を異物と認識する。したがって、腫瘍関連遺伝子の発現は宿主による腫瘍細胞に
対する免疫応答を引き起こすことができる。腫瘍関連遺伝子の発現は、ある種の
組織において、免疫応答を引き起こすことなしに正常細胞に起こることもできる
。このような組織では、遺伝子の発現および/またはタンパク質産生物の、通常
免疫学的に認識可能なフラグメントの細胞表面上への提示は、免疫システムがこ
れらの免疫学的に寛容な組織内の細胞を「見」(see)ないために、免疫応答を生
じない。免疫学的に寛容な組織は、脳および精巣を含む。
【0004】 腫瘍に関連した遺伝子の発現の発見は、細胞を腫瘍細胞と同定する手段を提供
する。診断化合物は腫瘍関連遺伝子に基づくことができ、腫瘍細胞の存在と場所
の決定に用いることができる。さらに、腫瘍関連遺伝子が腫瘍の表現型(例えば
、不規則な成長または転移)の側面に関与している場合、腫瘍関連遺伝子は、こ
の遺伝子の発現を軽減または実質的に阻止し、従って、特定の腫瘍関連遺伝子の
発現に依存する表現型特徴を軽減または実質的に阻止するアンチセンス核酸など
の治療法を提供することに用いることができる。
【0005】 哺乳類の免疫システムが異物または異質物を認識し、それらに反応する方法は
複雑である。このシステムの重要な相は、T細胞の応答である。この応答には、
T細胞が、ヒト白血球抗原(「HLA」)または主要組織適合複合体(「MHC
」)と呼ばれる細胞表面分子複合体、および、ペプチドを認識し、それらと相互
作用する必要がある。ペプチドは、HLA/MHC分子も提示している細胞によ
って処理されたより大きな分子に由来する。これに関しては、Male et al.、Adv anced Immunology (J.P. Lipincott Company、1987)の、とくに第6〜10章
を参照されたい。T細胞とHLA/ペプチド複合体の相互作用は制限されており
、特定のHLA分子とペプチドの組み合わせに特異的なT細胞を必要とする。特
異的T細胞が存在しないと、パートナー複合体が存在していてもT細胞の応答は
起きない。同様に、T細胞が存在しているが、特異的複合体が存在しない場合に
も応答はない。この機構は、異物に対する免疫システムの応答、自己免疫病態お
よび細胞異常への応答に関連している。タンパク質がHLA結合ペプチドに処理
される機構に焦点を当てた研究が多くなされた。この点に関しては、Barinaga、
Science 257: 880、1992; Fremont et al.、Science 257: 919、1992; Matsumur
a et al.、Science 257: 927、1992; Latron et al.、Science 257: 964、1992
を参照のこと。
【0006】 T細胞が細胞の異常を認識する機構は、癌にも関係している。例えば、199
2年5月22日に提出され、1992年11月26日に公開され引例として組み
込まれるPCT出願PCT/US92/04354には、ペプチドに処理された
後、細胞表面に発現し、腫瘍細胞を特異的細胞溶解性T細胞(CTL)により溶
解に導くことが出来る遺伝子ファミリーが開示されている。この遺伝子は「腫瘍
拒絶抗原前駆体」または「TRAP」分子をコードしているといわれ、これに由
来するペプチドは「腫瘍拒絶抗原」または「TRA」と言われる。この遺伝子フ
ァミリーに関する更なる情報は、Traversari et al.、J. Exp. Med. 176:1453-14
57、1992; van der Bruggen et al.、Science 254: 1643,1991; De Plaen et al.、
Immunogenetics 40:360-369、1994 and U.S. Patent No. 5,342,774を参照。
【0007】 米国特許第5,405,940号には、引例として開示されているが、HLA
‐A1分子により発現されるペプチドについて述べられている。この引例は、特
定のペプチドの特定のHLA分子に対する既知の特異性が与えられた場合、ある
1つのHLA分子に結合するが、他のものには結合しない特定のペプチドを予想
できることを教示している。異なる個体は異なるHLA表現型を所有するために
、このことは重要である。結果として、特異的HLA分子のパートナーとしての
特定のペプチドの同定は、診断的および治療的効果があるが、その特定のHLA
表現型を有する個体に関係するだけである。細胞の異常がある一つの特定のHL
A表現型に制限されておらず、標的とした治療が問題の異常細胞の表現型に関す
る知識を要求するので、この分野でのさらなる研究が必要とされている。
【0008】 米国特許第5,629,166号には、引例として組込むが、MAGE‐1発
現産物が2次的なTRAに処理されることが開示されている。この2次的TRA
はHLA‐C*1601としても知られるHLA−-Cw16分子として提示され
る。本開示では、与えられたTRAPが多数のTRAを産生することが示されて
いる。 米国特許第5,487,974号には、本明細書に引例として組込むが、チロ
シナーゼが腫瘍拒絶抗原前駆体として記載されている。この引例は、いくつかの
正常細胞(例えばメラノサイト)により産生された分子が、腫瘍細胞内で処理さ
れ、腫瘍拒絶抗原となり、HLA−A2分子として提示されることを開示してい
る。
【0009】 全体が引例として本明細書に組み込まれる米国特許第5,620,886号に
は、チロシナーゼに由来しない2次的TRAが、HLA−A2分子に提示されて
いることが述べられている。このTRAはTRAPに由来するが、公知のMAG
E遺伝子でコードされている。この開示は、特定のHLA分子が、異なったソー
スに由来するTRAを提示することがあることを示している。 さらなるTRAPが米国特許第5,571,711号、 5,610,013
、 5,587,289号および 5,589,334号、ならびに、PCT公
開WO96/10577に開示されている。TRAPは腫瘍拒絶抗原に処理され
、さまざまなHLA分子に提示される。
【0010】 患者の腫瘍が既知の抗原ペプチドを発現していないか、または、患者が適切な
HLA分子を発現していないために、さらなる抗原ペプチドを含む治療で恩恵を
受ける患者は多く存在する。従って、MHCクラスI分子により提示され、CD
リンパ球に認識されるエピトープを含む追加の腫瘍関連抗原の同定が要求さ
れている。
【0011】 (発明の要約) 現在、ヒトMAGE‐A12遺伝子(配列番号1)が、HLA−Cw*07に
提示される腫瘍拒絶抗原をコードしていることが発見された。MAGE‐A12
ポリペプチド(配列番号2)に由来するペプチドは、HLAクラスI分子を有す
る抗原提示細胞に提示された場合、細胞傷害性CD8T細胞の活性化および増
殖を有効に誘導する。 本発明の一つの側面においては、単離されたMAGE‐A12 HLAクラス
I結合ペプチドが提供される。本ペプチドは、配列番号6のアミノ酸配列または
HLAクラスI分子を結合するその機能的変異体を含む。機能的変異体は、ひと
つまたは2つ以上のアミノ酸の追加、置換または欠失を含む。ある態様では、単
離したMAGE‐A12 HLAクラスI結合ペプチドは、配列番号4、配列番
号5、それらのフラグメント、およびそれらの機能的変異体からなる群から選択
されるアミノ酸配列を含む。
【0012】 本発明の他の側面においては、単離されたMAGE‐A12 HLAクラスI
結合ペプチドは、HLA Cw*07に結合する配列番号2のアミノ酸配列のフラ
グメントまたはその機能的変異体を含む。機能的変異体は1個または2個以上の
アミノ酸の追加、置換または欠失を含む。機能的変異体はHLA Cw*07に結
合する。好ましい態様は配列番号3、配列番号4、配列番号5および配列番号6
を含む。
【0013】 いくつかの態様では、前述の単離したMAGE‐A12 HLAクラスI結合
ペプチドは加水分解できない。好ましい非水解生ペプチドは、D‐アミノ酸を含
むペプチド、−psi[CHNH]−還元アミドペプチド結合を含むペプチド
、−psi[COCH]−ケトメチレンペプチド結合を含むペプチド、−ps
i[CH(CN)NH]−(シアノメチレン)アミノペプチド結合を含むペプチ
ド、−psi[CHCH(OH)]−ヒドロキシエチレンペプチド結合を含む
ペプチド、−psi[CHO]−ペプチド結合を含むペプチド、−psi[C
S]−チオメチレンペプチド結合を含むペプチドからなる群から選択される
【0014】 また、本発明の1つの側面においては、前述の単離されたMAGE‐A12
HLAクラスI結合ペプチドおよび非MAGE‐A12腫瘍抗原の1個または2
個以上の単離したHLAクラスIまたはクラスII結合ペプチドを含む組成物も
提供される。好ましくは、MAGE‐A12 HLAクラスI結合ペプチドおよ
び非MAGE‐A12 HLA結合ペプチドがポリトープポリペプチドとして組
合わされる。
【0015】 本発明の他の側面においては、前述のペプチドをコードする単離された核酸が
提供される。この核酸はMAGE‐A12の全長をコードしていない。ある態様
では、核酸は、配列番号1のヌクレオチド配列のフラグメントを含む。本発明で
は、発現ベクターも提供される。発現ベクターは、プロモータに実施可能にリン
クしている前述の単離された核酸を含む。ある態様では、発現ベクターはHLA
Cw*07分子をコードする核酸も含む。本発明の他の側面では、前述の核酸を
トランスフェクトまたはトランスフォームした宿主細胞、または、発現ベクター
が提供される。ある態様では、宿主細胞もHLA-Cw*07分子を発現している
【0016】 本発明のさらなる他の側面においては、MAGE‐A12 HLA結合ペプチ
ドの特異的Tリンパ球を含むTリンパ球集合体を選択的に濃縮する方法が提供さ
れている。この方法は、Tリンパ球集合体を含むTリンパ球源を、MAGE‐A
12 HLA結合ペプチドとHLA分子の複合体を提示する剤(agent)を
、Tリンパ球集合体にMAGE‐A12結合ペプチド特異Tリンパ球を選択的に
濃縮するのに充分量接触させることを含む。ある態様では、この剤は、MAGE
‐A12蛋白またはそのHLA結合フラグメントに接触した抗原提示細胞である
。他の態様では、MAGE‐A12 HLA結合ペプチドは、(i)配列番号2
のアミノ酸配列のフラグメントからなるペプチド、(ii)配列番号6のアミノ
酸配列を含むペプチド、および、(iii)(i)および(ii)のペプチドの
機能的変異体からなる群から選択される。
【0017】 本発明のさらに他の側面においては、MAGE‐A12の発現を特徴とする疾
患の診断方法も提供される。この方法は、患者から分離された生物学的サンプル
をMAGE‐A12 HLA結合ペプチドに特異的な剤と接触させ、剤とMAG
E‐A12 HLA結合ペプチドとの相互作用を疾患の判定として測定すること
を含む。MAGE‐A12 HLA結合ペプチドは、(i)配列番号2のアミノ
酸配列のフラグメントからなるペプチド、(ii)配列番号6のアミノ酸配列を
含むペプチド、および(iii)(i)および(ii)のペプチドの機能的変異
体からなる群から選択するのが好ましい。
【0018】 本発明の他の側面においては、MAGE‐A12 HLA結合ペプチドの発現
を特徴とする疾患の診断方法が提供される。この方法は、患者から分離された生
物学的サンプルを複合体に結合する剤と接触させ、複合体と剤との結合を、疾患
の決定因子として定量することを含む。ある態様では、MAGE‐A12 HL
A結合ペプチドは、(i)配列番号2のアミノ酸配列のフラグメントからなるペ
プチド、(ii)配列番号6のアミノ酸配列を含むペプチド、および(iii)
(i)および(ii)のペプチドの機能的変異体からなる群から選択される。
【0019】 本発明のさらに他の側面においては、MAGE‐A12の発現を特徴とする疾
患を有する患者の治療方法が提供される。この方法は、疾患を改善するのに充分
な量のMAGE‐A12結合ペプチドを患者に投与することを含む。ある態様で
は、MAGE‐A12 HLA結合ペプチドは、(i)配列番号2のアミノ酸配
列のフラグメントからなるペプチド、(ii)配列番号6のアミノ酸配列を含む
ペプチド、および(iii)(i)および(ii)のペプチドの機能的変異体か
らなる群から選択する。 本発明の他の側面によると、MAGE‐A12の発現を特徴とする疾患を有す
る患者の治療方法が提供される。この方法は、単離したMAGE‐A12 HL
AクラスI結合ペプチドおよび非MAGE‐A12腫瘍抗原の単離されたHLA
クラスIまたはクラスII結合ペプチドを含む組成物を、疾患の改善に充分な量
投与することを含む。
【0020】 本発明のさらなる他の側面においては、MAGE‐A12の発現を特徴とする
疾患を有する患者の治療方法が提供される。この方法は、患者の体内でHLA分
子とMAGE‐A12 HLA結合ペプチドの複合体の存在を選択的に増加させ
る剤を疾患の改善に充分な量、患者に投与することを含む。ある態様では、剤は
MAGE‐A12 HLA結合ペプチドを含む。好ましい態様においては、MA
GE‐A12 HLA結合ペプチドは、(i)配列番号2のアミノ酸配列のフラ
グメントからなるペプチド、(ii)配列番号6のアミノ酸配列を含むペプチド
、および(iii)(i)および(ii)のペプチドの機能的変異体からなる群
から選択する。
【0021】 本発明のさらなる他の側面においては、MAGE‐A12の発現を特徴とする
疾患を有する患者の治療方法が提供される。この方法は、HLA分子とMAGE
‐A12 HLA結合ペプチドの複合体に特異的なTリンパ球である、自己由来
Tリンパ球を疾患の改善に充分な量、患者に投与することを含む。いくつかの態
様においては、MAGE‐A12 HLA結合ペプチドは、(i)配列番号2の
アミノ酸配列のフラグメントからなるペプチド、(ii)配列番号6のアミノ酸
配列を含むペプチド、および(iii)(i)および(ii)のペプチドの機能
的変異体からなる群から選択する。
【0022】 また、本発明の他の側面においては、MAGE‐A12 HLA結合ペプチド
の機能的変異体を同定する方法が提供される。この方法は、MAGE‐A12
HLA結合ペプチド、MAGE‐A12 HLAクラスI結合ペプチドに結合す
るHLA結合分子、およびHLA結合分子に提示されたMAGE‐A12 HL
A結合ペプチドにより刺激されるT細胞を選択すること;MAGE‐A12 H
LA結合ペプチドの第一のアミノ酸残基を変異させペプチド変異体を調整するこ
と;および、ペプチド変異体とHLA結合分子との結合およびT細胞の刺激を測
定することを含み、ペプチド変異体とHLA結合分子との結合およびHLA結合
分子により提示されたペプチド変異体によるT細胞の刺激は、このペプチド変異
体が機能的変異体であることを示す。ある態様では、MAGE‐A12 HLA
結合ペプチドは、(i)配列番号2のアミノ酸配列のフラグメントからなるペプ
チド、(ii)配列番号6のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群から選択す
る。他の態様では、この方法は、機能的変異体によるT細胞の刺激作用の有効性
を判定するために、MAGE‐A12 HLA結合ペプチドによるT細胞の刺激
と、機能的変異体によるT細胞の刺激とを比較する工程を含む。また、この方法
で同定されたMAGE‐A12 HLA結合ペプチドの単離された機能的変異体
も提供する。
【0023】 本発明の他の側面においては、前述のMAGE‐A12 HLA結合ペプチド
と選択的に結合する単離されたポリペプチドで、この単離されたポリペプチドが
HLA分子でないものが提供される。いくつかの態様では、単離されたポリペプ
チドは抗体、好ましくはモノクローナル抗体である。他の態様では、単離された
ポリペプチドは、Fabフラグメント、F(ab)フラグメントまたはMAG
E‐A12 HLA結合ペプチドに選択的なCDR3領域を含むフラグメントを
含む群から選択される抗体フラグメントである。
【0024】 本発明のさらに他の側面においては、HLA分子とMAGE‐A12 HLA
結合ペプチドの複合体に選択的に結合する単離されたTリンパ球が提供される。
いくつかの態様では、MAGE‐A12 HLA結合ペプチドは、(i)配列番
号2のアミノ酸配列のフラグメントからなるペプチド、(ii)配列番号6のア
ミノ酸配列を含むペプチド、および(iii)(i)および(ii)のペプチド
の機能的変異体からなる群から選択する。
【0025】 本発明のさらなる他の側面においては、HLA分子とMAGE‐A12 HL
A結合ペプチドを含む単離された抗原提示細胞が提供される。ある態様では、M
AGE‐A12 HLA結合ペプチドは、(i)配列番号2のアミノ酸配列のフ
ラグメントからなるペプチド、(ii)配列番号6のアミノ酸配列を含むペプチ
ド、および(iii)(i)および(ii)のペプチドの機能的変異体からなる
群から選択する。
【0026】 本発明のさらに他の側面においては、MAGE‐A12 HLA結合ペプチド
ミメティックの候補(candidate)の同定方法が提供される。この方法は、MAG
E‐A12 HLA結合ペプチドを結合するHLA分子を提供すること、HLA
分子を試験分子に接触させること、および、試験分子のHLA分子への結合を定
量することを含み、ここで、HLA分子に結合した試験分子がMAGE‐A12
HLA結合ペプチドミメティックの候補である。いくつかの態様では、この方
法は、HLA分子とミメティック候補の複合体を形成すること、HLA分子とM
AGE‐A12 HLA結合ペプチドの複合体に結合するT細胞に複合体を接触
させること、および、T細胞の活性化を定量することを含む。これらの方法のあ
るものでは、T細胞の活性化は、T細胞の増殖、T細胞によるインターフェロン
γの産生、T細胞による腫瘍壊死因子の産生、および標的細胞のT細胞による細
胞溶解からなる群から選択される特性で示される。
【0027】 本発明のさらなる側面においては、ワクチン組成物が提供される。このワクチ
ン組成物は、前述のMAGE‐A12 HLA結合ペプチド、前述のTリンパ球
、前述の抗原提示細胞、および/または前述の単離された核酸分子を含むことが
できる。ある態様では、前述のワクチン組成物は、アジュバントおよび/または
薬学的に許容される担体を含む。
【0028】 本発明の他の側面においては、1個または2個以上の単離されたMAGE‐A
12 HLA結合ペプチド、または、HLAクラスI分子に結合するその機能的
変異体を含むタンパク質マイクロアレイが提供される。機能的変異体は、1個ま
たは2個以上のアミノ酸の付加、置換または欠失を含む。いくつかの態様では、
単離したMAGE‐A12 HLAクラスI結合ペプチドは配列番号6のアミノ
酸配列を含む。他の態様では、単離したMAGE‐A12 HLAクラスI結合
ペプチドは配列番号4、配列番号5、およびこれらの機能的変異体からなる群か
ら選択したアミノ酸配列を含む。この様なマイクロアレイの診断的適用、とくに
癌の診断への利用も提供される。診断方法は、疾患を有する疑いのある患者から
分離した生物学的サンプルをタンパク質マイクロアレイと接触させること、およ
び、生物学的サンプルの構成要素と分離したMAGE‐A12 HLAクラスI
結合ペプチドの結合を測定することを含む。ある態様では、生物学的サンプルの
構成要素は、抗体、Tリンパ球、およびHLA分子からなる群から選択する。好
ましい疾患は癌である。
【0029】 また、本発明は、ここに記載された組成物のいずれか1つまたは2つ以上を含
む医薬製剤を提供する。このような医薬製剤は、薬学的に許容される溶媒担体、
または、賦形剤を含むことができる。また、この様な組成物を医薬品の調整、と
くに癌治療用医薬品の調整に利用することも提供される。 前述の方法および組成物において、HLA分子は、好ましくはHLA Cw*
7、そしてより好ましくはHLA Cw*0701である。ここで疾患とは、膀胱
癌、メラノーマ、食道癌、肺癌、頭部および頚部の癌、乳癌、結腸直腸癌、骨髄
腫、脳腫瘍、肉腫、前立腺癌および腎癌などの癌を含む。 これらおよび本発明の他の目的は、本発明の詳細な説明によって、さらに詳細
に説明される。
【0030】 (図面の簡単な説明) 図1は、CTL 501D/19による自己由来および異種遺伝子型のHLA
Cw*07陽性腫瘍株の認識を図解している:(A)溶解、(B)TNFの放出
。 図2は、CTL 501D/19がMAGE‐12によりコードされHLA-C
w7により提示された抗原を認識することを示している。 図3は、CTL 501D/19により認識された抗原ペプチドをコードする
MAGE‐A12の領域の同定を示している。 図4は、MAGE‐A12ペプチドVRIGHLYIL (配列番号4)およ
びRIGHLYIL (配列番号6)を適用した自己由来細胞株LB‐831‐
EBVのCTL 501D/19による溶解を表示している。
【0031】 (発明の詳細な説明) 本発明は、いくつかがHLAクラスI分子により提示され、CD8Tリンパ
球の増殖および活性化を刺激する、単離したMAGE‐A12ペプチドを提供す
る。このようなペプチドを、ここでは、「MAGE‐A12免疫原性ポリペプチ
ド」および「MAGE‐A12 HLAクラスI結合ペプチド」および「MAG
E‐A12 HLAペプチド」と呼ぶ。従って、本発明の1つの側面は、配列番
号6のアミノ酸配列を含む単離されたペプチドである。
【0032】 以下の例はMAGE‐A12 HLA結合ペプチドであるペプチドの単離を示
す。これらのペプチド例は、配列番号1の核酸の転写産物を処理したものである
。従って、MAGE‐A12免疫原性ポリペプチドが最終的な提示形態に処理さ
れる転写産物は、HLA結合ペプチドを抱合する限り、いかなる長さであっても
、いかなる配列であってもよいと当業者に理解される。ある例では、HLA結合
ペプチドは、配列番号4、5または6に記載されたアミノ酸配列を有するMAG
E‐A12 HLA結合ペプチドを含む。以下の例に例証されているように、ア
ミノ酸8個程度の小さなペプチドまたはタンパク質は、適切に処理され、HLA
クラスI分子に提示され、CD8Tリンパ球を効果的に刺激する。配列番号4
、5または6のペプチドは、いずれか一方の末端または両方の末端に付加された
、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個または11
個以上のアミノ酸を有してもよい。付加したアミノ酸はMAGE‐A12ポリペ
プチド(配列番号2)に相当することもでき、または、無関係であることもでき
る。当該技術で良く知られているとおり、このようなペプチドの抗原部分は、H
LAクラスI分子による提示のための生理学的条件下で開裂する。
【0033】 MAGE‐A12ポリペプチドから由来する追加のHLA結合ペプチドは、H
LA−Cw*07分子により提示された場合免疫応答を起こすかもしれない。本
発明は、このようなMAGE‐A12ポリペプチドの免疫原性フラグメントを全
て抱合する。
【0034】 上記したとおり、本発明はMAGE‐A12 HLA結合ペプチドの機能的変
異体を抱合する。本明細書では、MAGE‐A12 HLA結合ペプチドの「機
能的変異体」または「変異体」は、MAGE‐A12 HLA結合ペプチドの最
初のアミノ酸配列の1個または2個以上の修飾を含み、ここに開示したHLAク
ラスIへの結合特性、ならびにCD8Tリンパ球の増殖および/または活性化
を刺激する能力を保っている分子である。MAGE‐A12免疫原性ポリペプチ
ドの機能的変異体を創出する修飾は、例えば、1)MAGE‐A12 HLA結
合ペプチドの、発現システムでのペプチド安定性またはHLAペプチド結合など
のタンパク質‐タンパク質結合の安定性などの特性の増強;2)MAGE‐A1
2免疫原性ポリプチドに、抗原性エピトープの付加または検出可能部分の付加な
どの新たな活性または特性の提供;または3)同様または類似のT細胞刺激特性
を産出する異なるアミノ酸配列の提供のために行なうことができる。MAGE‐
A12 HLA結合ペプチドの修飾は、ペプチドをコードする核酸で行うことが
でき、欠失、ポイントミューテーション、切断、アミノ酸置換およびアミノ酸の
付加を含むことができる。あるいは、修飾は、開裂、リンカー分子(linker mol
ecule)の付加、ビオチンなどの検出部分の付加、脂肪酸の付加、1つのアミノ
酸の他のアミノ酸への置換、および、それに類似のものなど、ポリペプチドに直
接行うことができる。また、修飾は、MAGE‐A12免疫原性ポリペプチドの
アミノ酸配列の全体または一部を含む融合タンパク質を含む。
【0035】 MAGE‐A12免疫原性ポリペプチドのアミノ酸配列は、天然由来であって
もなくてもよく、つまり、これらが天然のMAGE‐A12免疫原性ポリペプチ
ド分子を含んでもよく、または、アミノ酸配列が提示されたときに細胞溶解性T
細胞を刺激する能力を保ち、および、HLA− Cw*07分子などのHLAクラ
スI分子への結合特性を保つ限りにおいて修飾された配列を含んでも良い。例え
ば、この状況においては、MAGE‐A12免疫原性ポリペプチドは、MAGE
‐A12 HLA結合ペプチドおよび無関係なアミノ酸配列との融合タンパク、
配列番号4、5および6に示されたアミノ酸配列の合成ペプチド、標識ペプチド
、MAGE‐A12発現癌の患者から単離したペプチド、MAGE‐A12を発
現している培養細胞から単離したペプチド、非ペプチド分子に結びついたペプチ
ド(例えばある薬物輸送システムにおいて)、および、配列番号6のアミノ酸配
列を含む他の分子であってもよい。
【0036】 MAGE‐A12 HLA結合ペプチドは非水解性であるのが好ましい。この
ようなペプチドを提供するために、1個または2個以上のD‐アミノ酸を含むペ
プチドまたは1個または2個の非水解性ペプチド結合がリンクするアミノ酸を含
むペプチドなどの非水解性ペプチドのライブラリーからMAGE‐A12 HL
A結合ペプチドを選択してもよい。あるいは、CD8Tリンパ球の誘導に最適
なペプチドを選択してから、そのようなペプチドをプロテアーゼによる水解性を
低減するのに必要な修飾をおこなってもよい。例えば、タンパク分解性開裂の感
受性を決定するために、ペプチドを標識し、細胞抽出物または精製プロテアーゼ
と培養してから、どのペプチド結合がタンパク分解に対して感受性であるかを、
例えば、ペプチドおよびタンパク分解性フラグメントのシーケンシングにより決
定するために単離してもよい。あるいは、MAGE‐A12免疫原性ポリペプチ
ドのアミノ酸配列をプロテアーゼパネルの既知の特異開裂部位と比較して感受性
である可能性のあるペプチド結合を同定することができる。このようなアッセイ
の結果に基づき、タンパク分解に感受性のある個々のペプチド結合をペプチドの
in vitroでの合成により非水解性のペプチド結合と置換することができ
る。
【0037】 当該技術分野においては、多数の非水解性ペプチド結合が、そのような結合を
含むペプチドの合成手順とともに知られている。非水解性結合は、−psi[C
NH]−還元アミドペプチド結合、−psi[COCH]−ケトメチレン
ペプチド結合、−psi[CH(CN)NH]−(シアノメチレン)アミノペプ
チド結合、−psi[CHCH(OH)]−ヒドロキシエチレンペプチド結合
、−psi[CHO]−ペプチド結合、および−psi[CHS]−チオメ
チレンペプチド結合を含む。
【0038】 ペプチドの非ペプチド類似物、例えば、安定した構造または低い生分解性を提
供するものも考慮される。ペプチドミメティック類似物は、選択したMAGE‐
A12 HLA結合ペプチドを基に1個または2個以上の残基を非ペプチド部分
と交換することで調整することができる。好ましくは、非ペプチド部分は、ペプ
チドがその天然のコンファメーション(confirmation)を保ち、または、好まし
い、例えば生物活性コンファメーションを固定することを可能にする。ペプチド
から非ペプチドミメティック類似物を調整する方法の1つの例がNachman et al.
、Regul. Pept. 57:359-370 (1995)に記載されている。ペプチドミメティックは
、また、合成化合物のライブラリー(例えば有機低分子のコンビナトリアルライ
ブラリー)または天然分子から、そのような分子のHLA結合特性および/また
はT細胞刺激特性に従って選択することもできる。ライブラリーからMAGE‐
A12免疫原性ポリペプチドの類似物を同定するための、結合測定法などのアッ
セイは、当技術分野でよく知られている。ここで用いているペプチドは、前述の
全てのものを抱合する。
【0039】 変異体がMAGE‐A12免疫原性ポリペプチドのアミノ酸(例えば配列番号
4、5または6)の変化を伴う場合、アミノ酸の同類置換、つまり、荷電、疎水
性、コンフォメーションなどの本来のアミノ酸特性を保った置換を有するMAG
E‐A12免疫原性ポリペプチドの機能性変異体が通常好ましい。アミノ酸の同
類置換の例は、次の群の中のアミノ酸になされた置換を含む:(a)M、I、L
、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(
f)Q、N;および(g)E、D。
【0040】 MAGE‐A12免疫原性ポリペプチドの機能的変異体を同定する他の方法が
StromingerおよびWucherpfennigの公開されたPCT出願(US/96/031
82)で提供されている。これらの方法は、潜在的エピトープを比較することが
できるアミノ酸配列モチーフの成長を基にしている。各モチーフは、限定された
セットのアミノ酸配列を記述しており、その各(相対)位置での残基は、(a)
1個の残基に限定されるか、(b)限定されたセットの残基の中で変化できるか
、または(c)すべての可能な残基の中で変化できる。例えば、モチーフは、第
一位の残基がバリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニンまたはフェニルアラ
ニンの各残基のいずれかであってもよく;第2位の残基がヒスチジンでなければ
ならず;第3位の残基がいずれのアミノ酸でもよく;第4位の残基がバリン、ロ
イシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプ
トファンの各残基のいずれかであってもよく;第5位の残基がリジンでなければ
ならないことを特定してもよい。
【0041】 MAGE‐A12 HLA結合ペプチドの機能的変異体のための配列モチーフ
は、主要組織適合複合体HLA-Cwタンパク質の結合ドメインまたは結合ポケ
ット、および/またはここに開示されたMAGE‐A12免疫原性ポリペプチド
のT細胞受容体(「TCR」)の接触点の分析により開発することができる。H
LAクラスI結合ポケットの形成に関与する残基の詳細な構造分析を提供するこ
とにより、当業者は、HLAクラスIタンパク質のいずれかに結合する配列モチ
ーフを予測することができる。
【0042】 これらの配列モチーフを検索、評価または設計の基準として用いることにより
、当業者は特定のHLA分子に結合し、T細胞受容体と相互作用し、T細胞の応
答を誘導することに対する合理的な見込みを有するペプチドのクラス(ここで開
示したMAGE‐A12 HLA結合ペプチドの機能的変異体)を同定すること
ができる。これらのペプチドはここで記載したとおりに合成し、活性を試験する
ことができる。純粋な配列相同性(抗原的には類似しているが、配列が明らかに
異なる多くのペプチドが除外される)または無制限な「同類(conservative)」置
換を有する配列相同性(臨界高次保存部位で異なる多くのペプチドが許容される
)に対し、これらのモチーフの使用は、当業者が疾病の治療への潜在的な適用の
ためのペプチドを評価できる方法である。
【0043】 StromingerおよびWucherpfennigのPCT出願およびそこに引用されている引
例には、全て引例として組込むが、HLAクラスIIおよびHLAクラスIIペ
プチドの残基と接触するTCR結合ポケットが記載されている。同様に、HLA
クラスIおよび/またはTCR結合ポケット内に結合する可能性が高い、不変ま
たは特定の置換しか許容しない残基を保存することで、HLAクラスIおよびT
細胞受容体への結合を保つMAGE‐A12 HLA結合ペプチドの機能的変異
体を調整できる。 タンパク質配列中での1個または2個以上の抗原性ペプチドの位置の特定は、
結合ポテンシャルについての確立された法則により行われるHLAペプチド結合
予測により支援することができる(例えばParker et al、J. Immunol. 152:163、1
994; Rammensee et al.、Immunogenetics 41:178‐228、1995)。HLA結合予測
は、http://bimas.dcrt.nih.govのNational Institutes of Health World Wide
Web siteからインターネットで入手できるアルゴリズムを用いて都合よく行うこ
とができる。
【0044】 このように、MAGE‐A12免疫原性ポリペプチドの機能的変異体の同定方
法が提供される。一般的に、この方法は、MAGE‐A12 HLA結合ペプチ
ド、MAGE‐A12 HLA結合ペプチドに結合するHLAクラスI結合分子
、およびHLAクラスI結合分子により提示されたMAGE‐A12 HLA結
合ペプチドにより刺激されたT細胞の選択を含む。好ましい態様では、MAGE
‐A12免疫原性ポリペプチドは配列番号6のアミノ酸配列を含む。さらに好ま
しくは、このペプチドは、配列番号4、配列番号5または配列番号6のアミノ酸
配列からなる。MAGE‐A12 HLA結合ペプチドの第一のアミノ酸残基は
、ペプチド変異体を調整するために変異される。アミノ酸残基は、上述したHL
AおよびT細胞受容体の接触点の原則に従って変異することができる。ペプチド
変異体の合成、変異核酸分子を用いたペプチド変異体の組換えによる産生、およ
び、それに類したものなど、ペプチド変異体を調整するあらゆる方法を使うこと
ができる。
【0045】 次に、ペプチド変異体のHLAクラスI結合分子への結合および/またはT細
胞の刺激を標準的な手順により測定する。例えば、以下に例示してあるように、
MAGE‐A12 HLA結合ペプチドに結合するHLAクラスI分子を含む抗
原提示細胞とペプチド変異体を接触させ、ペプチド変異体と抗原提示細胞の複合
体を形成することができる。この複合体は、次に、HLAクラスI結合分子に提
示されたMAGE‐A12 HLA結合ペプチドを認識するT細胞に接触させる
ことができる。T細胞は、MAGE‐A12の発現を特徴とする条件を有する患
者から得ることができる。T細胞によるペプチド変異体の認識は、TNFまたは
IFNγの産生などのT細胞刺激の指標を測定することで決定できる。
【0046】 ペプチド変異体のHLAクラスI結合分子への結合および/またはHLAクラ
スI結合分子により提示されたペプチド変異体によるT細胞の刺激は、そのペプ
チド変異体が機能的変異体であることを示している。この方法は、また、MAG
E‐A12 HLA結合ペプチドによるT細胞の刺激と、機能的変異体によるT
細胞の刺激を、機能的変異体によるT細胞の刺激の有効性の判定として比較する
ステップを含むことができる。機能的変異体をMAGE‐A12 HLA結合ペ
プチドに比較することで、T細胞刺激特性の高いペプチドを調整することができ
る。 前述のいずれかの方法で調整されたMAGE‐A12 HLA結合ペプチドの
変異体は、必要に応じて、アミノ酸配列を決定し、それにより、このような変異
体をコードするヌクレオチド配列を推定するためにシーケンスすることができる
【0047】 従って、MAGE‐A12免疫原性ポリペプチド、または、対立変異体を含む
その変異体をコードするこれらの核酸配列もまた、本発明の一部である。MAG
E‐A12免疫原性ポリペプチドをコードする核酸のスクリーニングにおいて、
サザンブロットまたはノザンブロットなどの核酸ハイブリダイゼーションを、ス
トリンジェントな条件で、32Pプローブと共に行なってもよい。ここで「スト
リンジェントな条件」とは、当該技術でよく知られているパラメーターのことを
言う。核酸ハイブリダイゼーションのパラメーターは、このような方法をまとめ
た参考書、例えばMolecular Cloning: A Laboratory Manual、J. Sambrook、et al
.、eds.、Second Edition、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Ha
rbor、New York、1989、またはCurrent Protocols in Molecular Biology、F.M. Aus
ubel、et al.、eds.、 John Wiley & Sons、Inc.、New Yorkで見出してもよい。典型
的なストリンジェントな条件は、ハイブリダイゼーションバッファー(3.5x
SSC、0.02%Ficoll、0.02%ポリビニルピロリドン、0.02
%ウシ血清アルブミン、25mM NaHPO(pH7)、0.5% SD
S、 2mM EDTA)中における65℃でのハイブリダイゼーションを含む
。SSCは0.15M塩化ナトリウム/0.015Mクエン酸ナトリウム、pH
7であり;SDSはドデシル硫酸ナトリウムであり;EDTAはエチレンジアミ
ン四酢酸である。ハイブリダイゼーション後、DNAがその上にトランスファー
された膜は例えば室温で2xSSCにより、次に、68℃までの室温で0.1‐
0.5xSSC/0.1xSDSにより洗浄することができる。MAGE‐A1
2免疫原性ポリペプチドをコードするDNAが最終的にトランスファーされる膜
を洗浄した後、この膜は、放射線信号を検出するためにX線フィルムに接して設
置することができる。
【0048】 使用可能で、同様の厳密さの程度を呈する他の条件、試薬などがある。当業者
はそのような条件に精通しており、従って、ここでは述べない。しかし、当業者
は、本発明のMAGE‐A12免疫原性ポリペプチドをコードする核酸の相同体
および対立体(allele)を明瞭に同定することを可能にするように条件を操作す
ることができると理解される。当業者は、このような分子の発現について細胞お
よびライブラリーをスクリーニングし、このような分子を定法どおり単離した後
、適切な核酸分子を単離し、シーケンスするための方法をよく知っている。
【0049】 本発明は、また、MAGE‐A12免疫原性ポリペプチドの同じアミノ酸残基
をコードする代替コドンを含む核酸配列を用いることも含む。例えば、ここで開
示されているように、ペプチドVRIGHLYIL(配列番号4)は、MAGE
‐A12 HLA結合ペプチドである。ロイシン残基は、コドンCUA、CUC
、CUG、CUU、UUAおよびUUGでコードできる。6個のコドンのそれぞ
れは、ロイシン残基をコードすることに関しては同等である。従って、当業者か
ら見れば、ロイシンをコードするヌクレオチドトリプレットのいずれかを用いて
、タンパク質合成装置を、in vitroまたはin vivoで、ロイシン
残基の組込みへ誘導してもよいことは明らかである。同様に、配列番号4のMA
GE‐A12 HLA結合ペプチドを含む他のアミノ酸残基をコードするヌクレ
オチド配列トリプレットは:GUA、GUC、GUGおよびGUU(バリンコド
ン);GGU、GGA、GGG、GGC(グリシンコドン);UACおよびUA
U(チロシンコドン)を含む。他のアミノ酸残基も同様に複数のヌクレオチド配
列でコードされてもよい。従って、本発明は、遺伝子コードの縮重により、コド
ン配列において天然のMAGE‐A12免疫原性ポリペプチドをコードする核酸
とは異なる、縮重した核酸を包含する。
【0050】 MAGE‐A12をコードする好ましい核酸は、ここで記載したHLA結合ペ
プチドなどのMAGE‐A12免疫原性ポリペプチドを好んで発現するものであ
る。本発明のMAGE‐A12核酸は、MAGE‐A12ポリペプチド全体をコ
ードするのではなく、MAGE‐A12 HLA結合ペプチドをコードするヌク
レオチド配列を含む。
【0051】 本発明はまた、1個または2個以上のヌクレオチドの付加、置換および欠失を
含む核酸分子の修飾も提供する。好ましい態様では、これらの修飾した核酸分子
および/またはそれがコードするポリペプチドは、抗原性、酵素活性、受容体結
合、MHCクラスIおよびクラスII分子によるペプチドの結合による複合体形
成などの、修飾しなかった核酸分子および/またはポリペプチドの少なくとも1
つの活性または機能を保っている。ある態様では、修飾した核酸分子は修飾した
ポリペプチド、好ましくは本発明においてここに別記されたアミノ酸の同類置換
を有するポリペプチドをコードする。修飾した核酸分子は、修飾していない核酸
分子と構造的に関連しており、好ましい態様では、修飾した核酸分子および修飾
していない核酸分子が当業者に知られるストリンジェントな条件下でハイブリダ
イズするように、修飾していない核酸分子と充分に構造的に関連している。
【0052】 例えば、1つのアミノ酸の変化を有するポリペプチドをコードする修飾した核
酸分子を調整することができる(例えば、HLA結合のための接触点であるアミ
ノ酸は好ましくない)。これらの核酸分子はそれぞれ、ここに記載されたような
遺伝子コードの縮重に対応するヌクレオチドの変化を除く、1つ、2つまたは3
つのヌクレオチドの置換を有することができる。同様に、2つのアミノ酸の変化
を有するポリペプチドをコードする、たとえば2〜6個のヌクレオチドの変化を
有する修飾核酸分子を調整することができる。例えば、2および3、2および4
、2および5、2および6などのアミノ酸をコードするコドンにおけるヌクレオ
チドの置換を含む非常に多くのこのような修飾核酸分子は、当業者が容易に構想
できる。前述の例において、2つのアミノ酸のそれぞれの組み合わせは、修飾核
酸分子のセット、ならびにアミノ酸置換をコードするヌクレオチド置換に含まれ
る。追加の置換(つまり3個または4個以上)、付加または欠失(例えばストッ
プコドンまたは1個または2個以上のスプライスサイトの導入による)を有する
ポリペプチドをコードする追加の核酸分子もまた調製でき、当業者に容易に構想
できるものとして本発明に包含される。前述のいずれの核酸またはポリペプチド
も、定法どおりの実験により、ここに開示された核酸および/またはポリペプチ
ドとの構造的関係または活性を保持しているか否かを試験することができる。
【0053】 また、本発明は、この配列を発現ベクターにおいて用いること、ならびに、原
核性(例えば、E.coli)または真核性(例えば樹状細胞、CHO細胞、C
OS細胞、酵母発現システム、および昆虫細胞における組換えバキュロウイルス
の発現)発現ベクターである、宿主細胞および宿主細胞株へのトランスフェクシ
ョンを抱合すると考えられる。発現ベクターは、適切な配列、つまりsupra
と記載されている配列がプロモーターに作動可能にリンクしていることを要求す
る。さらに、ヒトHLA− Cw*07分子がMAGE‐A12 HLAクラスI
結合ペプチドを発現することが見出されたため、発現ベクターはHLA− Cw* 07分子をコードする核酸配列もまた含んでもよい。(他のクラスIまたはクラ
スII結合ペプチドについては、異なるHLA分子を用いることができる。)ベ
クターが両方のコーディング配列を含む状況では、いずれの配列も正常に発現し
ない細胞へのトランスフェクションに用いることができる。MAGE‐A12
HLAクラスI結合ペプチドをコードする配列は、例えば、宿主細胞がすでにH
LA− Cw*07分子を発現している場合に単独で用いてもよい。勿論、2つの
コーディング配列を含むベクターは要すればHLA− Cw*07分子を発現しな
い宿主細胞中で使用することができるので、使用し得る宿主細胞に特に制限はな
く、MAGE‐A12 HLAクラスI結合ペプチドをコードする核酸はHLA
− Cw*07分子を発現する抗原提示細胞中で使用することができる。ここで用
いられているように、「HLA− Cw*07分子」は、サブタイプであるHLA
Cw*07(07011,07012)、0702、0703、0704、07
05、0706、0707、0708、0709、0710、0711、071
2、0713および0714を含む。HLA− Cw*07分子は、また、Bodmer
et al.、Tissue Antigens 49:297、1996で見出すことができるサブタイプも含む
。現在同定されているHLA− Cw*07サブタイプの一覧表は、インターネッ
トのURL http://www.ebi.ac.uk/imgt/hlaにあるIMGT/HLAデータベース
で見出すことができる。
【0054】 また、本発明は、この配列を組換えプラスミド、ファージミド、ウイルスなど
を含む発現ベクターにおいて用いること、ならびに、原核性(例えば、E.co
li)または真核性(例えば樹状細胞、CHO細胞、COS細胞、酵母発現シス
テム、および昆虫細胞における組換えバキュロウイルスの発現)発現ベクターで
ある、宿主細胞および宿主細胞株へのトランスフェクションを抱合すると考えら
れる。発現ベクターは、適切な配列、つまりsupraと記載されている配列が
プロモーターに作動可能にリンクしていることを要求する。MAGE−A12配
列を含む発現ベクターのin vivoおよび/またはin vitroでの輸
送は、当分野において知られている核酸輸送システムを介して行なうことができ
る(例えば、Eur. J. Immunol. 26(8):1951-1959、1996を参照)。アデノウイル
ス、アデノ関連ウイルス、ワクシニアウイスルおよび、NYVACなどの弱毒ポ
ックスウイルスを含むポックスウイルス、セムリキ森林熱ウイスル、ベネズエラ
馬脳炎ウイルス、レトロウイルス、シンドビスウイルスおよびTy-ウイルス様
粒子からなる群から選択されるウイルス、プラスミド(たとえば「裸の」DNA
)、バクテリア(例えばBacille Calmette Guerinバク
テリア、BCG)などを含む組換えベクターが、このような輸送、例えば、ワク
チンとしての利用などで用いることができる。他のウイルス、発現ベクターなど
ワクチンの調整に有用なものは、当業者に知られている。MAGE−A12の輸
送システムは、マウスなどの標準的なシステムモデルで輸送システムの有効性を
試験できる。このシステムは、ヒトにおける治験でも試験することができる。
【0055】 さらに、非MAGE−A12腫瘍関連ペプチドも、HLAクラスIおよびまた
はクラスIIを介した免疫応答の増強のために投与することができる。癌細胞が
1つの主要関連遺伝子以上のものを発現できることはよく知られている。当業者
には、特定の対象が追加の腫瘍関連遺伝子を発現しているかどうか決定し、次に
、このような遺伝子の発現産物に由来するHLAクラスIおよび/またはHLA
クラスII結合ペプチドをMAGE−A12組成物およびワクチンに含めること
は、定法どおりの実験の範囲内である。 とりわけ好ましいのは、「ポリトープ」として知られるエピトープのシリーズ
をコードした核酸である。エピトープは、天然の近傍配列を有しまたは有さずに
、連続的にまたはオーバーラップする形で配列していることができ(例えば、Th
omson et al.、Proc. Natl. Acad.Sci. USA 92:5845-5849、1995) を参照)、所望により、無関係なリンカー配列によって分離されていることがで
きる。ポリトープは処理されると個々のエピトープを産出し、これらのエピトー
プが免疫システムに認識され、免疫応答が惹起される。
【0056】 したがって、例えば、配列番号4、5および6などのMAGE‐A12 HL
A結合ペプチドで、MHC分子により提示され、CTL(またはヘルパーTリン
パ球)により認識されたものは、他の腫瘍拒絶抗原由来のペプチドと組合せ(例
えばハイブリッド核酸またはポリペプチドの調整により)、「ポリトープ」を形
成することができる。免疫応答を誘導または増強するために投与できる典型的な
腫瘍関連ペプチド抗原は、MAGE−A1、MAGE−A2、MAGE−A3、
MAGE−A4、MAGE−A5、MAGE−A6、MAGE−A7、MAGE
−A8、MAGE−A9、MAGE−A10、MAGE−A11、MAGE−A
12、GAGE−1、GAGE−2、GAGE−3、GAGE−4、GAGE−
5、GAGE−6、GAGE−7、GAGE−8、GAGE−9、BAGE−1
、RAGE−1、LB33/MUM−1、PRAME、NAG、MAGE−Xp
2(MAGE−B2)、MAGE−Xp3(MAGE−B3)、MAGE−Xp
4(MAGE−B4)、チロシナーゼ、脳グリコーゲンホスホリラーゼ、メラン
、MAGE−C1、MAGE−C2、MAGE−C3、MAGE−C4、MAG
E−C5、NY−ESO−1、LAGE−1、SSX−1、SSX−2(HOM
−MEL−40)、SSX−4、SSX−5、SCP−1およびCT−7を含む
腫瘍関連遺伝子およびコードされたタンパク質に由来する。例えば、腫瘍に特徴
的な抗原ペプチドは下表Iに列挙したものを含む。
【0057】 表1:代表的抗原
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】 他のHLAクラスIおよびHLAクラスII結合ペプチドの例は、当業者に知
られているはずであり(例えば、Coulie、Stem Cells 13:393-403、1995を参照)
、ここに開示したものと同様のやり方で本発明に用いることができる。当業者は
、1個または2個以上のMAGE−A12ペプチドおよび1個または2個以上の
前述の腫瘍拒絶ペプチドを含むポリペプチド、またはこのようなポリペプチドを
コードする核酸を、分子生物学の標準的な手順に従って調整することができる。 このように、ポリトープは、2つまたは3つ以上の潜在的に抗原性であるまた
は免疫応答を刺激できるペプチドであって、互いに様々な配置で(例えば連鎖、
オーバーラップ)つながっていることができるものである。ポリトープ(または
ポリトープをコードしている核酸)は、ポリトープが免疫応答を刺激、増強およ
び/または惹起する上での有効性を試験するために、標準的な免疫プロトコルで
、たとえば動物に投与することができる。
【0061】 ペプチドは、ポリトープを形成するために互いに直接または近傍配列を介して
つながることができ、ポリトープをワクチンとして用いることは当分野でよく知
られている(例えばThomson et al.、Proc. Natl. Acad. Sci USA 92(13):5845-5
849、1995; Gilbert et al.、Nature Biotechnol. 15(12):1280-1284、1997; Thoms
on et al.、J. Immunol. 157(2):822-826、1996; Tam et al.、J. Exp. Med. 171(1
):299-306、1990を参照)。例えばTamは、MHCクラスIおよびクラスII結合
エピトープの両方からなるポリトープが、マウスモデルにおいて、首尾よく抗体
を産生させ、保護免疫を引き起こすことを示している。Tamはまた、エピトープ
の「列」を含むポリトープが処理され、個々のエピトープが生じ、MHC分子に
より提示されCTLにより認識されることを証明している。したがって、様々な
数および組合せのエピトープを含むポリトープを調整し、CTLによる認識およ
び免疫応答増加効率について試験することができる。
【0062】 腫瘍が腫瘍抗原のセットを発現し、それらのうちのあるサブセットのみがいず
れの患者の腫瘍にも発現され得ることはよく知られている。ポリトープは、特定
の患者に発現している腫瘍拒絶抗原のサブセットを代表するエピトープの異なる
組合せに対応して調整することができる。ポリトープはまた、腫瘍のタイプによ
り発現することが知られている広範なスペクトルの腫瘍拒絶抗原を反映して調整
することもできる。ポリトープは、このような治療を必要とする患者に、ポリペ
プチド構造として、または、当分野で知られている核酸輸送システムを用いて導
入することができる(例えばAllsopp et al.、Eur. J. Immunol. 26(8):1951-195
9、1996を参照)。アデノウイルス、ポックスウイルス、Ty-ウイルス様粒子、
アデノ関連ウイルス、プラスミド、バクテリアなどをこのような輸送に用いるこ
とができる。ポリトープ輸送システムを、輸送システムの効率を測定するために
マウスモデルで試験することができる。このシステムはまた、ヒトの治験でも試
験することができる。
【0063】 ヒトHLA− Cw*07分子がMAGE−A12抗原性ポリペプチドを発現す
ることが見出されたので、発現ベクターはまた、HLA− Cw*07分子をコー
ドする核酸配列を含んでもよい。HLA− Cw*07分子に融合させたMAGE
−A12免疫原性ポリペプチドを含むHLA/ペプチド可溶複合体の単鎖をコー
ドする核酸は、Lone et al.により記述されているように調整することができる
(J. Immunother. 21:283-294、1998)。 ベクターが両方のコーディング配列を含む状況では、それをいずれの配列も正
常に発現していない細胞のトランスフェクションに用いることができる。MAG
E‐A12免疫原性ポリペプチドをコードする配列は、例えば宿主細胞が既にH
LA− Cw*07分子を発現しているときなどに単独で用いてもよい。勿論、2
つのコーディング配列を含むベクターは要すればHLA− Cw*07分子を発現
しない宿主細胞中で使用することができるので、使用し得る宿主細胞に特に制限
はなく、MAGE‐A12 HLAクラスI結合ペプチドをコードする核酸はH
LA− Cw*07分子を発現する抗原提示細胞中で使用することができる。
【0064】 ここで、「ベクター」は、異なる遺伝子環境間の輸送または宿主細胞での発現
のために所望する配列を制限と連結により挿入し得る多数の核酸のいずれであっ
てもよい。ベクターは典型的にはDNAで構成されているが、RNAベクターも
利用可能である。ベクターは、アデノウイルス、ポックスウイルスおよびBCG
などのここで開示したプラスミド、ファージミド、バクテリアおよび、ウイルス
ゲノムを含むが、これに限定されるわけではない。クローニングベクターは、宿
主細胞内で複製し、または、宿主細胞のゲノムに統合された後に複製されること
ができ、さらに、ベクターが最終的な形で切断してもよい1つまたは2つ以上の
制限酵素認識部位で特徴付けられ、所望のDNA配列を新たな組換えベクターが
宿主細胞内での複製能力を維持するように連結してもよい。プラスミドのケース
では、所望配列の複製は宿主細菌内でのプラスミドのコピー数が増加するに連れ
て何度も起こるか、あるいは宿主が有糸分裂により再生するまでには1宿主当た
り一度のみ起こる。ファージのケースでは、複製は、溶菌期には積極的に、また
は、溶原期には消極的に起こるかもしれない。発現ベクターは、所望するDNA
配列が調節配列に作動可能につながるように制限と連結により挿入してもよく、
RNA転写物として発現されてもよい。ベクターはさらにベクターによってトラ
ンスフォームまたはトランスフェクトされたまたはされない細胞の同定に用いる
のに好適な1個または2個以上のマーカー配列を含んでもよい。マーカーは、例
えば、抗生物質または他の化合物に対する抵抗性かまたは感受性の一方を増加ま
たは減少させるタンパク質をコードした遺伝子、活性が当分野で知られた標準的
なアッセイで検出できる酵素をコードする遺伝子(例えば、β−ガラクトシダー
ゼ、ルシフェラーゼまたはアルカリフォスファターゼ)、および、トランスフォ
ームまたはトランスフェクトされた細胞、宿主、コロニーまたはプラークの表現
型に明白な影響を及ぼす遺伝子(例えば緑色蛍光タンパク)を含む。好ましいベ
クターは、それらが作動可能につながっているDNAフラグメント中に存在する
構造遺伝子産物の自己複製および発現が可能なものである。
【0065】 ここで、コーディング配列および調節配列が「作動可能」という場合は、それ
らは、コーディング配列の発現または転写を調節配列の影響または制御下におく
ような方法で共有結合している。コーディング配列が機能的タンパク質に翻訳さ
れることを所望する場合、2つのDNA配列は、調節配列の5’のプロモーター
の誘導がコーディング配列の転写をもたらし、この2つのDNA配列の結合の性
質が(1)フレームシフト変異の導入をもたらさず、(2)コーディング配列の
転写を導くためのプロモーター領域の能力に干渉せず、または(3)対応するR
NA転写物のタンパク質へ翻訳される能力に干渉しない場合に、作動可能につな
がっているという。従って、プロモーター領域が得られた転写産物が所望するタ
ンパク質またはポリペプチドへ翻訳されるようにこのDNA配列の転写を行うこ
とが可能な場合、プロモーター領域はコーディング配列に作動可能につながって
いる。上述したように、ある好ましい核酸は、ここに記載されたHLA結合ペプ
チドを含むMAGE‐A12ポリペプチドのフラグメントしか発現しない。
【0066】 遺伝子発現に必要な調節配列の正確な特性は、種または細胞タイプにより異な
ってもよいが、一般的に、必ず、TATAボックス、キャップ配列、CAAT配
列などの転写および翻訳の開始にそれぞれ関連した5’非転写および5’非翻訳
配列を含まなければならない。とりわけ、このような5’非転写調節配列は作動
可能につながった遺伝子の転写制御のためのプロモーター配列を含むプロモータ
ー領域を含むことができる。また、調節配列は所望により、エンハンサー配列ま
たは上流活性化配列を含んでもよい。本発明のベクターは、任意に5’リーダー
配列またはシグナル配列を含んでもよい。適切なベクターの選択および設計は、
当業者の能力および裁量の範囲で行なう。
【0067】 発現に必要な要素を全て含んだ発現ベクターは商業的に入手可能であり、当業
者に知られている。例えばSambrook et al.、Molecular Cloning: A Laboratory
Manual、Second Edition、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989を参照。細
胞は、MAGE‐A12免疫原性ポリペプチドをコードする異種DNA(RNA
)を細胞内に導入することにより遺伝子工学的に操作されている。この異種DN
A(RNA)は、宿主細胞に異種DNAを発現させるための転写要素の作動可能
な制御下に置かれる。
【0068】 哺乳類細胞におけるmRNA発現のための好ましいシステムは、G418耐性
を与える遺伝子(安定的にトランスフェクトされた細胞株の選択を容易にする)
などの選択的マーカーおよびヒトサイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー
‐プロモーター配列を含むpcDNA3.1(Invitrogen、Carlsbad、CAより入手
可能)などである。さらに、霊長類またはイヌ細胞株での発現に好適なのは、プ
ラスミドを多コピー染色体外要素として維持することが容易なエプシュタインバ
ーウイルス(EBV)複製起点を含むpCEP4ベクター(Invitrogen)である
。他の発現ベクターは、in vitroの転写を有効に刺激するポリペプチド
延長因子1αのプロモーターを含むpEF−BOSプラスミドである。このプラ
スミドはMishizumaおよびNagata (Nuc. Acids Res. 18:5322、1990)により記述
され、トランスフェクション実験におけるその利用は、例えばDemoulin (Mol.
Cell. Biol. 16:4710-4716、1996)により開示されている。さらに他の好ましい
発現ベクターは、E1およびE3タンパクが欠損している、Stratford-Perricau
detにより記載されたアデノウイルスである(J. Clin. Invest. 90:626-630、199
2)。免疫のためのタンパク発現にアデノウイルスを用いることは、P1Aに対
する免疫のためのマウスへの皮内接種において、Warnier et alにより開示され
ている(Int. J. Cancer、67:303-310、1996)。
【0069】 本発明は、また、当業者が所望する1個または2個以上のベクターの発現の調
整を可能にする、いわゆる発現キットも抱合する。このような発現キットは、前
記の少なくとも2つの材料の、少なくとも個々に分割した部分を含む。他の構成
要素は所望により加えてもよい。 ここに記載された発明は、多数の用途を有しており、そのうちのいくつかはこ
こに記載されている。第一に、本発明は当業者がMAGE‐A12免疫原性ポリ
ペプチドの発現を特徴とする疾患を診断することを可能にする。これらの方法は
、生物学的サンプルにおけるMAGE‐A12 HLA結合ペプチド、または、
MAGE‐A12 HLA結合ペプチドとHLAクラスI分子との複合体の発現
の測定を伴う。ペプチドまたはペプチドとHLAクラスI分子との複合体の発現
は、抗体などの、ペプチドまたは複合体の結合パートナーによりアッセイするこ
とで測定できる。腫瘍生検などの生物学的サンプルにおけるMAGE‐A12の
発現は、また、MAGE‐A12プライマーを用いた標準的なPCR増幅プロト
コルにより試験することができる。腫瘍での発現の例はここに表示されており、
MAGE‐A12の増幅のための典型的条件およびプライマーは、US serial no
. 09/018,422で見出すことができる。
【0070】 好ましくは、診断方法は、生物学的サンプルにおけるMAGE‐A12 HL
A結合ペプチドの存在を検出するために、対象から分離した生物学的サンプルを
、MAGE‐A12 HLA結合ペプチドの特異的剤と接触させることを伴う。
ここで「接触させる」とは、生物学的サンプルを剤に十分に近接させて、剤と生
物学的サンプル中に存在するMAGE‐A12 HLA結合ペプチドとの間に特
異的相互作用が可能なような適切な条件、例えば濃度、温度、時間、イオン強度
の下におくことを意味する。一般的に、剤を生物学的サンプルに接触させる条件
は、当業者に知られた、分子と生物学的サンプル中のその対応物(cognat
e)(例えば、タンパクとその対応するレセプター、抗体とその対応する抗原タ
ンパク、核酸とその対応する相補配列)の間の特異的相互作用を容易にするため
の条件である。分子とその対応物間の特異的相互作用を容易にするための典型的
条件は、Low et alによる米国特許第5,108,921号に記載されている。
【0071】 生物学的サンプルはin vivoまたはin vitroに位置しているこ
とができる。例えば、生物学的サンプルは、in vivoの組織であることが
でき、MAGE‐A12免疫原生ポリペプチドの特異的剤は、このような分子の
組織における存在を検出するために用いることができる。あるいは、生物学的サ
ンプルはin vitroに位置していることができる(例えば、血液サンプル
、腫瘍生検、組織抽出物)。特に好ましい態様においては、生物学的サンプルは
細胞を含むサンプル、より好ましくは、腫瘍細胞を含むサンプルであることがで
きる。
【0072】 本発明はさらにMAGE‐A12 HLA結合ペプチドまたはこのようなペプ
チドをコードする核酸を含む、核酸またはタンパクマイクロアレイを含む。本発
明のこの側面において、MAGE‐A12 HLA結合ペプチドの発現の測定、
および/または、このようなペプチドに結合する生物学的成分の同定のために、
マイクロアレイ技術の標準的技術が用いられる。生物学的サンプルの成分は、抗
体、HLA分子、リンパ球(特にTリンパ球)などを含む。プロテインにチップ
技術および固相タンパクアレイ(solid-phase protein array)技術を含む他の
名称でも知られているマイクロアレイ技術は、当業者によく知られており、固定
された基板上に同定されたペプチドまたはタンパク質のアレイを得ること、標的
分子または生物学的成分をペプチドの結合させること、および、こうした結合を
評価することに基づいているが、それに限定されるものではない。例えば、G. M
acBeath and S.L. Schreiber、“Printing Proteins as Microarrays for High-T
hroughput Function Determination,” Science 289(5485):1760-1763、2000を参
照。また、核酸アレイ、特にMAGE‐A12 HLA結合ペプチドに結合する
アプタマーのアレイを、MAGE‐A12 HLA結合ペプチドの発現を特徴と
する条件を有する対象の同定などの診断的適用に用いることができる。
【0073】 マイクロアレイの基板は、ガラス、シリカ、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩
、アルミナおよび酸化ニッケルなどの金属酸化物、さまざまな粘土、ニトロセル
ロース、またはナイロンを含むが、それらに限定されるものではない。マイクロ
アレイ基板は、基板上のプローブ(ペプチドまたは核酸)の合成を促進する化合
物でコーティングされてもよい。基板上のカップリング剤またはカップリング基
(coupling agents or groups)は、基板の最初のヌクレオチドまたはアミノ酸
を共有結合するために用いることができる。様々なカップリング剤またはカップ
リング基が当業者に知られている。ペプチドまたは核酸プローブは、このように
、基板上の事前に設定したグリッドに直接合成することができる。あるいは、ペ
プチドまたは核酸プローブは基板上にスポットすることができ、このようなケー
スにおいては、プローブの基板への結合を促進する化合物で基板をコーティング
してもよい。これらの態様においては、事前に合成されたプローブは、好ましく
は接触プリント方法、またはインクジェットまたはピエゾ電気分配などの非接触
法によりプローブを基板上に塗布するためのコンピューター制御ロボットを利用
して、事前に設定された正確な容量およびグリッドパターンで基板に塗布される
。プローブは基板に共有結合してもよい。
【0074】 いくつかの態様においては、1個または2個以上の制御ペプチドまたは核酸分
子が基板に付着している。好ましくは、制御核酸分子は、結合特徴、試薬の品質
および効率、ハイブリダイゼーションの成否、および分析スレッシュホールドお
よび分析の成否などの因子の決定を可能にする。 本発明はまた、当業者がMAGE‐A12免疫原生ポリペプチドの発現を特徴
とする疾患を有する対象を治療することも可能にする。治療は、対象の中でMA
GE‐A12 HLA結合ペプチドとHLAクラスI分子との複合体を増加させ
る剤の投与、および、このような複合体に特異的なCD8Tリンパ球の投与を
含む。上記の治療に有用な剤は、MAGE‐A12免疫原性ポリペプチドおよび
それらの機能的変異体、このようなペプチドとHLAクラスI結合分子(例えば
HLA Cw*07)との複合体、MAGE‐A12免疫原性ポリペプチドとHL
AクラスI結合分子との複合体を有する抗原提示細胞、HLAおよびMAGE‐
A12ポリペプチドの可溶シングルチェーンの融合体などを含む。本発明はまた
、当業者が、Tリンパ球集合体においてMAGE‐A12 HLA結合ペプチド
に特異的なCD8Tリンパ球を選択的に富化させることを可能にする。
【0075】 また、MAGE‐A12 HLA結合ペプチドの単離は、MAGE‐A12 H
LA結合ペプチドをコードする核酸の単離または設計を可能にする。核酸は、i
n vitro、または、原核性または真核性の宿主細胞におけるMAGE‐A
12 HLA結合ペプチドまたはこのようなペプチドを含むタンパクの産生に用
いることができる。単離MAGE‐A12 HLA結合ペプチドを得るために当
業者によく知られた様々な方法を用いることができる。例えば、ペプチドの産生
を引き起こすために発現ベクターを細胞に導入してもよい。他の方法では、コー
ドされたペプチドの産生を引き起こすために、mRNA転写物を細胞内に微量注
入しても、または、他の方法で導入してもよい。網状赤血球溶解システムなどの
細胞を含まない抽出物におけるmRNAの転写も、ペプチドを産生するために用
いてもよい。本発明のMAGE‐A12 HLA結合ペプチドを含むペプチドは
、また、in vitroで合成してもよい。当業者は、単離MAGE‐A12
HLA結合ペプチドを得るためにペプチドを分離する公知の方法を容易に使用
することができる。これらは、免疫クロマトグラフィー、HPLC、サイズ排除
クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよび免疫アフィニティー
クロマトグラフィーを含むが、これらに限定されるものではない。
【0076】 これらの単離されたMAGE‐A12 HLA結合ペプチドまたはペプチドと
HLA− Cw*0701分子などのHLAクラスI分子との複合体は、MAGE
‐A12免疫原性ポリペプチドの発現を特徴とする疾患の治療に有用なワクチン
の産生のためにアジュバントなどの材料と組合わせてもよい。さらに、ワクチン
は、トランスフェクトされた樹状細胞、トランスフェクトされたB細胞、非増殖
性のトランスフェクタントなどのMAGE‐A12 HLA結合ペプチド/HL
A複合体を表面に発現している細胞から調整することができる。細胞がワクチン
として用いられる場合はすべて、これらの細胞は、CD8リンパ球の刺激に必
要な構成要素の1つまたは両方のコーディング配列をトランスフェクトされた細
胞か、または、トランスフェクションなしで両方の分子をすでに発現している細
胞であることができる。ワクチンは、発現ベクターおよび、MAGE‐A12
HLA結合ペプチド、その前駆体またはその融合タンパクをコードする裸のDN
AまたはRNAで、in vitroで産生し、注射、粒子衝撃、経鼻吸入およ
びその他の方法で投与してもよいものを包含する。「裸の核酸」型のワクチンは
、裸の核酸によりコードされたペプチドに特異的なCTLの産生を含む免疫応答
を引き起こすことが証明されている(Science 259:1745‐1748、1993)。
【0077】 MAGE‐A12 HLA結合ペプチド、ならびに、MAGE‐A12 HLA
結合ペプチドとHLA分子の複合体は、また、当分野でよく知られた標準的な技
術を用いた、抗体の産生に用いてもよい。抗体産生の一般的な原則を記述した標
準的な参考文献は、Catty、D.、Antibodies、A Practical Approach、Vol. 1、IRL Pr
ess、Washington DC (1988); Klein、J.、Immunology: The Science of Cell-Non-C ell Discrimination、 John Wiley and Sons、New York (1982); Kennett、R.、et al
.、Monoclonal Antibodies、Hybridoma、A New Dimension In Biological Analyses、 Plenum Press、New York (1980); Campbell、A.、Monoclonal Antibody Technolog y、 in Laboratory Techniques and Biochemistry and Molecular Biology、Vol. 1
3 (Burdon、R. et al. EDS.)、Elsevier Amsterdam (1984); おおび Eisen、H.N.、M icrobiology、 third edition、Davis、B.D. et al. EDS. (Harper & Rowe、Philadel
phia (1980)を含む。
【0078】 本発明の抗体は、したがって、タンパク質、タンパク質のフラグメント、タン
パク質またはそのフラグメントおよび適切なHLAクラスI分子を発現している
細胞などをポリクローナル抗体を誘導するために動物に投与することを含む様々
な方法のいずれかにより調整される。
【0079】 当分野でよく知られているように、意義深いことに、抗体分子のわずかな小部
分であるパラトープしか、抗体のそのエピトープへの結合に関与していない(一
般に、Clark、W.R. (1986) The Experimental Foundations of Modern Immunolog y Wiley & Sons、Inc.、New York; Roitt、I. (1991) Essential Immunology、7th E
d.、Blackwell Scientific Publications、Oxfordを参照)。例えば、pFc’お
よびFc領域は、補体カスケードのエフェクターであるが、抗原の結合には関与
していない。F(ab’)フラグメントと呼ばれる、pFc’領域を酵素的に
切断した抗体、または、pFc’領域がない状態で産生された抗体は、完全な抗
体の両方の抗原結合部位を保持している。同様に、Fabフラグメントと呼ばれ
る、Fc領域を酵素的に切断した抗体、または、Fc領域がない状態で産生され
た抗体は、完全な抗体分子の抗原結合部位の1つを保持している。さらに続ける
と、Fabフラングメントは、共有結合した抗体ライトチェーン、および、Fd
で示される抗体のヘビーチェーン部分からなる。Fdフラングメントは、抗体の
特異性の主要な決定要素であり(1つのFdフラグメントは、抗体の特異性を損
なうことなく、10個までの異なるライトチェーンと結合してもよい)、Fdフ
ラグメントは、単離した場合、エピトープ結合能力を保持する。
【0080】 当分野でよく知られているように、抗体の抗原結合部分の中に、抗原のエピト
ープと直接相互作用する相補性決定領域(CDR)および、パラトープの三次構
造を維持するフレームワーク領域(FR)がある(一般に、Clark、1986; Roitt、
1991を参照)。IgG免疫グロブリンのヘビーチェーンFdフラグメントおよび
ライトチェーンの両方には、4つのフレームワーク領域(FR1〜FR4)があ
り、それぞれ3つの相補性決定領域(CDR1〜CDR3)で分けられている。
CDR、そして特にCDR3領域、そしてより特別にはCDR3ヘビーチェーン
は、抗体の特異性に大いに関与している。
【0081】 現在では当分野でよく確立されているが、哺乳類の非CDR領域は、本来の抗
体のエピトープ特異性を保持したまま、同種または異種の抗体の類似の領域と交
換してもよい。これは、ヒト以外のCDRがヒトFRおよび/またはFc/pF
c’領域と共有結合し、機能的な抗体を形成する「ヒト化」抗体の開発および使
用に最も明白に表われている。例えば、米国特許第4,816,567号、第5
,225,539号、第5,585,089号、第5,693,762号および
第5,859,205号を参照。 このように、例えば、PCT国際公開番号WO 92/04381は、少なく
ともマウスFR領域の一部分がヒト由来のFR領域と置き換わったヒト化マウス
RSV抗体の生産および利用について教示している。このような、抗原結合能力
を伴う完全な抗体のフラグメントを含むこのような抗体は、しばしば「キメラ」
抗体と呼ばれる。
【0082】 したがって、当業者に明らかなように、本発明はまたF(ab’)、Fab
、FvおよびFdフラグメント;Fcおよび/またはFRおよび/またはCDR
1および/またはCDR2および/またはライトチェーンCDR3領域がヒトま
たはヒト以外の同等物の配列で置き換えられたキメラ抗体;FRおよび/または
CDR1および/またはCDR2および/またはライトチェーンCDR3領域が
ヒトまたはヒト以外の同等物の配列で置き換えられたキメラF(ab’)フラ
グメント抗体;FRおよび/またはCDR1および/またはCDR2および/ま
たはライトチェーンCDR3領域がヒトまたはヒト以外の同等物の配列で置き換
えられたキメラFabフラグメント抗体;FRおよび/またはCDR1および/
またはCDR2領域がヒトまたはヒト以外の同等物の配列で置き換えられたキメ
ラFdフラングメント抗体を提供する。本発明はまた、いわゆるシングルチェー
ン抗体、および、機能的ヒト免疫グロブリン遺伝子座を有するマウスにより産生
されたものなどの、ヒトモノクローナル抗体も含む。
【0083】 このような抗体は、例えば組織に発現したタンパク質の同定またはタンパク質
の精製に用いてもよい。抗体はイメージング(imaging)のために特殊な標識剤
と結合していてもよく、または、治療目的のために、メトトレキサート、放射性
ヨウ素化した化合物、リシンなどのトキシン、その他の細胞増殖抑制剤または細
胞溶解剤などを含むがそれに限定されない抗腫瘍剤と結合していてもよい。本発
明に従って調整した抗体は、また、好ましくは個々に記載されたペプチド/HL
A複合体に特異的である。 ここで「疾患」または「条件」が用いられている場合、MAGE−A12免疫
原性ポリペプチドが発現されているいかなる病理学的条件にも関連している。こ
のような疾患は、膀胱癌、メラノーマ、食道癌、肺癌、頭部および頚部の癌、乳
癌、結腸直腸癌、骨髄腫、脳腫瘍、肉腫、前立腺癌および腎癌を含む癌を含む。
【0084】 本開示に基づくいくつかの治療的アプローチは、対象の免疫システムによるM
AGE−A12免疫原性ポリペプチド提示細胞への応答を誘導することが前提と
なっている。このようなアプローチの1つは、MAGE‐A12 HLA結合ペ
プチドとHLAクラスI分子の複合体に特異的な自己由来CD8T細胞を問題
となっている表現型の異常細胞を持つ対象に投与することである。このようなC
D8T細胞をin vitroで産生するのは、当業者の能力の範囲内である
。一般的には、血液細胞などの、対象から採取した細胞サンプルを、複合体を提
示し、CD8Tリンパ球の増殖を引き起こすことができる細胞と接触させる。
標的細胞は、トランスフェクトされたCOS細胞などのトランスフェクタント、
または、樹状細胞またはB細胞などのHLAクラスI分子を有するトランスフェ
クトされた抗原提示細胞であることができる。これらのトラスフェクタントは、
その表面に所望する複合体を提示し、対象となるCD8Tリンパ球と一緒にし
た場合、その増殖を刺激する。COS細胞は、他の好適な宿主細胞と同様に広く
入手可能である。クローナルに増加した自己由来CD8Tリンパ球は、次に、
対象に投与される。CD8T細胞は、次に、対象の免疫応答を刺激し、それに
より所望する治療目的が達成される。
【0085】 特異的CTLクローンを検出するために、MHCクラスI分子/ペプチド複合
体の蛍光発生テトラマーを用いた、抗原特異CTLクローンを選択するための別
の方法が最近報告された(Altman et al.、Science 274:94-96、1996; Dunbar et
al.、Curr. Biol. 8:413-416、1998)。簡潔に述べると、可溶性MHCクラスI分
子が、β−ミクログロブリンおよびクラスI分子に結合するペプチド抗原の存
在下、in vitroでたたまれる。精製後、MHC/ペプチド複合体は精製
され、ビオチンで標識される。テトラマーは、ビオチン化ペプチド−MHC複合
体を標識されたアビジン(例えばフィコエリスリン)と共に、4:1のモル比で
混和し、形成する。次に、テトラマーを末梢血またはリンパ節などのCTL源に
接触させる。テトラマーは、ペプチド抗原/MHCクラスI複合体を認識するC
TLに結合する。テトラマーが結合した細胞は、反応CTLを単離するために蛍
光活性化細胞ソーティングによりソートすることができる。単離したCTLは、
次に、ここに記載されたように用いるため、in vitroで増やすことがで
きる。
【0086】 細胞移入(adoptive transfer)(Greenberg、J. Immunol. 136(5): 1917、1986;
Riddel et al.、Science 257: 238、1992; Lynch et al、Eur. J. Immunol. 21: 14
03‑1410、1991; Kast et al.、Cell 59: 603‑614、1989)と呼ばれる
治療方法を詳述すると、所望する複合体を提示する細胞をCTLと混合し、その
複合体に特異的なCTLの増殖を導く。増殖したCTLは、次に、特定の複合体
を提示する異常細胞のある種のものによって特徴づけられる細胞異常の対象に投
与される。CTLは、次に、異常細胞を溶解し、それにより所望する治療目的を
達成する。
【0087】 上述の治療法は、少なくとも対象のいくつかの異常細胞が、関連するHLA/
TRA複合体を提示していることを想定している。これは、当分野において、特
定のHLA分子を提示している細胞を同定する方法、ならびに、適切な配列、こ
の場合は腫瘍関連遺伝子配列、のDNAを発現している細胞の同定の仕方が極め
てよく知られているために、きわめて簡単に決定できる。関連する複合体を発現
している細胞が上述のスクリーニング方法で一度同定されたならば、それらを患
者からのサンプルに、そのサンプルがCTLを含む場合に混合する。複合体提示
細胞が混合されたCTLサンプルにより溶解した場合は、TRA由来の腫瘍関連
遺伝子が存在していると想定することができ、対象はsupraと呼ばれる治療
的アプローチの適切な候補者である。
【0088】 細胞移入は、本発明により可能なただ1つの治療形態ではない。また、CD8 Tリンパ球も多数のアプローチを用いてin vivoで誘導できる。1つの
アプローチは、複合体を発現している非増殖性細胞の利用である。このアプロー
チで用いられる細胞は、複合体を通常発現している細胞であってよく、樹状細胞
または複合体の発現に必要な一方または両方の遺伝子をトランスフェクトされた
細胞であることができる。Chen et al. (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 110
-114、1991)は、治療法において、HPV‐E7ペプチドを発現しているトラン
スフェクトされた細胞の利用を示して、このアプローチを例証している。様々な
細胞種を用いてもよい。同様に、対象となる遺伝子を一方または両方保有するベ
クターを用いてもよい。発現ベクターは、修飾されていない染色体外核酸、プラ
スミド、または、MAGE‐A12 HLA結合ペプチドをコードするものなど
の外因性核酸の挿入を可能にするために構築または修飾されたウイルスゲノムで
あってもよい。また、MAGE‐A12 HLA結合ペプチドはレトロウイルス
ゲノムに挿入されてもよく、それにより標的組織または細胞種のゲノムへの核酸
の組込みが容易になる。これらのシステムにおいては、対象となる遺伝子は、微
生物、例えばワクシニアウイルス、レトロウイルスまたはBCGバクテリア、お
よび、事実上宿主細胞を「感染」する材料により運ばれる。得られた細胞は対象
となる複合体を発現し、自己由来CD8T細胞により認識され、次にこの自己
由来CD8T細胞が増殖する。
【0089】 類似の効果は、in vivoでHLAクラスI提示細胞への取込みを容易に
するために、MAGE‐A12 HLA結合ペプチドをアジュバントと混合する
ことで達成することができる。HLAクラスI結合部分より大きい場合、MAG
E‐A12 HLA結合ペプチドは、必要に応じて、HLA分子のパートナーペ
プチドを産生するために処理することができるが、TRAはさらなる処理の必要
なしに提示される。一般的には、対象は、有効な量のMAGE‐A12免疫原性
ポリペプチドの皮内接種を受けることができる。当分野の標準的免疫プロトコル
に従い、初期容量投与後にブースター容量を投与することができる。
【0090】 ある免疫組成物の一環として、1個または2個以上の癌関連抗原またはその刺
激性フラグメントが、免疫応答を誘導するかまたは免疫応答を増強するために1
つまたは2つ以上のアジュバントと共に投与される。アジュバントは、抗原に組
込まれた、または、抗原と共に投与される物質であり、免疫応答を増強する。ア
ジュバントは、抗原の貯蔵体(細胞外またはマクロファージ内)を提供し、マク
ロファージを活性化し、特定のリンパ球のセットを刺激することにより免疫応答
を増強することができる。多くの種類のアジュバントが当分野でよく知られてい
る。アジュバントの具体例は、Salmonella minnesota R
e 595リポ多糖体を精製し、酸加水分解した後に得たコンジナーであるモノ
ホスホリル脂質A(MPL、SmithKline Beecham)、Quillaja sapon
aria抽出物から精製した純粋なQA‐21サポニンであるQS21 (Smit
hKline Beecham)を含むサポニン;PCT出願WO96/33739 (SmithK
line Beecham)に記載されているDQS21; QS‐7、QS‐17、QS‐
18,およびQS‐L1 (So et al.、Mol. Cells 7:17‐186、1997);フロイ
ント不完全アジュバント;フロイント完全アジュバント;モンタニド(montanid
e);免疫刺激性オリゴ核酸(例えばKreig et al.、Nature 374:546-9、1995によ
り記載されたCpGオリゴ核酸を参照);およびスクワレンおよび/またはトコ
フェロールなどの生分解性オイルから調整した様々な油中水型エマルジョンを含
む。好ましくは、ペプチドはDQS21/MPLの組合せに混合して投与する。
DQS21のMPLに対する比率は、典型的には、約1:10〜10:1、好ま
しくは約1:5〜5:1、より好ましくは約1:1であることができる。通常、
ヒトへの投与では、DQS21およびMPLは、ワクチン製剤中に約1μgから
約100μgの範囲で存在することができる。当分野で知られている他のアジュ
バントも本発明に用いることができる(例えばGoding、Monoclonal Antibodies:
Principles and Practice、2nd Ed.、1986を参照)。ペプチドおよびアジュバント
の混合物またはエマルジョンの調整方法は、ワクチネーションの当業者によく知
られている。
【0091】 ワクチネーションプロトコルに用いることができるさらなる免疫応答増強化合
物が多数存在する。これらは、タンパクまたは核酸のいずれかの形態で提供され
る共刺激分子を含む。このような共刺激分子は、樹状細胞(DC)上に発現され
、T細胞上に発現されているCD28と相互作用するB7‐1およびB7‐2(
それぞれCD80およびCD86)分子を含む。この相互作用は抗原/MHC/
TCRに刺激された(シグナル1)T細胞の共刺激(シグナル2)を提供し、T
細胞の増殖およびエフェクター機能を増加させる。B7もT細胞上のCTLA4
(CD152)と相互作用し、CTLA4およびB7リガンドに関する研究は、
B7‐CTLA4相互作用が抗腫瘍免疫およびCTLの増殖を増強することを示
している(Zheng et al.、Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 95:6284-6289、1998)。
【0092】 B7は、通常は腫瘍細胞上に発現されておらず、従って、T細胞にとって有効
な抗原提示細胞(APC)ではない。B7の発現の誘導により、腫瘍細胞が、よ
り有効にCTLの増殖およびエフェクター機能を刺激することが可能になる。B
7/IL‐6/IL‐12共刺激の組合せは、T細胞集団にIFN‐γおよびT
h1サイトカインプロファイルを誘導し、T細胞活性のさらなる増強を導くこと
が示された(Gajewski et al.、J. Immunol. 154:5637-5648、1995)。腫瘍細胞へ
のB7分子のトランスフェクションが、細胞移入免疫治療のためのin vit
roでのCTLの増殖に関してWang et al.により検討されている(J. Immunoth
er. 19:1-8、1996)。B7分子のためのその他の輸送機構は、核酸(裸のDNA
)による免疫(Kim et al.、Nature Biotechnol. 15:7:641-646、1997)およびア
デノおよびポックスなどの組換えウイルス(Wendtner et al.、Gene Ther. 4:726
-735、1997)が含まれる。これらのシステムは、全て、B7と、ここで検討した
抗原または抗原の1個または2個以上のフラグメント(ポリトープを含む)また
はサイトカインなどの選択した他の分子との共発現のための発現カセットの作製
および利用に従う。これらの輸送システムは、in vitroおよびin v
ivoでのワクチネーション状況における適切な分子の輸送に用いることができ
る。T細胞をin vitroおよびin vivoで直接刺激するための抗C
D28抗体の利用もまた考慮することができる。同様に、外因性抗原に対するT
細胞の応答を誘導する、誘導可能な共刺激分子ICOSは、たとえば抗ICOS
抗体の利用により修飾することができる(Hutloff et al.、Nature 397:263&#820
9;266、1999)。
【0093】 リンパ球機能関連抗原3(LFA‐3)は、APCおよびいくつかの腫瘍細胞
上に発現されており、T細胞上に発現されたCD2と相互作用する。この相互作
用は、T細胞によるIL‐2およびIFN‐γの産生を誘導し、従って、B7/
CD28強刺激相互作用を補完することができるが、置換することは出来ない)
。 リンパ球機能関連抗原1(LFA‐1)は白血球上に発現されており、APC
sおよびいくつかの腫瘍細胞上に発現されたICAM‐1と相互作用する。この
相互作用は、T細胞によるIL‐2およびIFN‐γの産生を誘導し、従って、
B7/CD28強刺激相互作用を補完することができるが、置換することは出来
ない(Fenton et al.、1998)。LFA−1はしたがって、ワクチネーションプロ
トコルにおいて、上記でB7について検討した様々な方法で提供することができ
る共刺激分子のさらなる例である。
【0094】 完全なCTLの活性化およびエフェクター機能には、Th細胞のCD40L(
CD40リガンド)分子とDCにより発現されているCD40分子との間の相互
作用を通したTh細胞の補助が必要である(Ridge et al.、Nature 393:474、1998
; Bennett et al.、Nature 393:478、1998; Schoenberger et al.、Nature 393:480
、1998)。この共刺激シグナルのこの機構は、B7のアップレギュレーションお
よびそれに伴うDC(APC)によるIL‐6/IL‐12の産生を伴うと思わ
れる。CD40‐CD40L相互作用は、従って、シグナル1(抗原/MHC‐
TCR)およびシグナル2(B7‐CD28)の相互作用を補完する。
【0095】 DC細胞を直接刺激するために抗CD40抗体を用いることにより、炎症状況
を除いて通常遭遇し、潜在的な(non-professional)APC(腫瘍細胞)により
発現されている腫瘍関連抗原に対する応答を増強すると予想される。これらの状
況では、Thの補助およびB7強刺激シグナルは提供されない。この機構は、抗
原にパルスされたDCに基づく治療の状況、または、Thエピトープが公知の腫
瘍関連抗原前駆体の中に決定されなかった状況で用いてもよい。
【0096】 投与する場合、本発明の治療組成物は、薬学的に許容される製剤で投与する。
このような製剤は、通常とおり、薬学的に許容される濃度の塩、緩衝剤、保存剤
、適合する担体、アジュバントおよびサイトカインなどの補助的な免疫増強剤お
よびその他の任意の治療剤を含んでもよい。「薬学的に許容される」なる語は、
活性成分の生物学的活性の有効性に干渉しない毒性のない材料を意味する。担体
の特徴は、投与経路に依存することができる。 本発明の治療薬は、注射または長時間にわたる緩徐な点滴を含む、従来のいず
れの経路でも投与することができる。投与は、例えば、経口、静脈内、腹腔内、
筋肉内、鼻腔内、空洞内(intracavity)、皮下、皮内または経皮であってもよ
い。
【0097】 非経口的投与用製剤は、滅菌された水性または非水性溶液、懸濁液およびエマ
ルジョンを含む。非水性溶剤の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、オリーブ油などの植物油、および、エチルオレエート(ethyl ol
eate)などの注射可能な有機エステルがある。水性担体は、水、食塩水および緩
衝媒体を含む、アルコール/水の溶液、エマルジョンまたは懸濁液を含む。非経
口媒体は、塩化ナトリウム溶液、ブドウ糖リンゲル、ブドウ糖および塩化ナトリ
ウム、乳酸加リンゲルまたは不揮発性油を含む。静脈内媒体は、液体および栄養
素の補充剤、電解質補充剤(ブドウ糖リンゲルに基づくものなど)などを含む。
保存剤およびその他の添加剤、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤および不
活性ガスなども存在してよい。
【0098】 本発明はまた遺伝子治療も考慮している。Ex vivoの遺伝子治療を行な
う方法は、米国特許第5,399,346号およびその特許のファイルヒストリ
ー(file history)に提示された資料に概説されており、それらは全て公的に入
手可能な資料である。一般的に、不良な遺伝子のコピーを含む対象の1個または
2個以上の細胞内に遺伝子の機能的コピーをin vitroで導入し、遺伝子
的に操作した1個または2個以上の細胞を対象に戻すことを伴う。遺伝子の機能
的コピーは、調節要素の作動可能な制御下にあり、その遺伝子を遺伝子操作した
1個または2個以上の細胞に発現させることを可能にする。多数のトランスフェ
クションおよびトランスダクション技術、ならびに、適切な発現ベクターが当業
者によく知られており、そのうちのいくつかはPCT出願WO95/00654
に記載されている。アデノウイルスなどのベクターを用いたIn vivoでの
遺伝子治療もまた、本発明で考慮されている。
【0099】 本発明の製剤は有効な量投与される。有効な量とは、医薬製剤が単独、または
、さらなる用量と共に、所望する応答を刺激する量である。癌の治療において、
所望する応答とは、癌の進行を阻害することである。これは、疾患の進行を一時
的に遅延させることだけを伴ってもよいが、より好ましくは、疾患の進行を恒常
的に停止させることを伴う。免疫応答を誘導するケースにおいて、所望する反応
とは、用いた1個または2個以上のMAGE‐A12イムノゲンに特異的な抗体
またはTリンパ球の増加である。所望した応答は、通常の方法でモニターするこ
とができ、または、ここで検討されている本発明の診断方法に従ってモニターす
ることができる。
【0100】 本発明の治療組成物を用いて免疫応答を刺激することを所望する場合、これは
、血清中の抗体力価の増加、細胞傷害性リンパ球のクローナルな増殖、またはそ
の他のいくつかの望ましい免疫応答を伴う、液性抗体応答の刺激を伴うかも知れ
ない。投与方法にもよるが、1ナノグラム/キログラム〜100ミリグラム/キ
ログラムの範囲のイムノゲンの用量は有効であると考えられる。好ましい範囲は
、キログラム当たり500ナノグラム〜500マイクログラムであると考えられ
る。けくじつな量は、投与のために選択した材料、投与が1回か多数回か、およ
び、年齢、物理学的条件、体格、体重および疾患のステージを含むここの患者の
パラメーターを含む様々な因子に依存している。これらの因子は、当業者によく
知られており、通常の実験を超えない範囲で対応できる。
【0101】 (例) 材料および方法 細胞株 膀胱癌細胞株LB831‐BLCは、65歳のコーカサスの患者LB831(
HLA−A*2403、−A3、−B*4403、−B*4901、−Cw*040
1、−Cw*07)の原発性浸潤性膀胱腫瘍(pT3、G3)から誘導した。7
回目の継代で行なった細胞株の核型は、染色体数が56〜144の間で変化して
いることを示し、LB831細胞株が腫瘍株であることが確認された。MI13
443−MELはメラノーマ細胞株であり、LE9211−RCCは腎癌細胞株
である。両方ともHLA− Cw7陰性患者から誘導した。LB373‐MEL
はHLA− Cw7陰性患者に由来するメラノーマ株である。腫瘍細胞は、10
%のヒト血清または10%のFCS(Life Technologies)を含むイスコブ培地
(Life Technologies、Gaithersburg、MD)中で、8%COインキュベーターで
培養した。リンパが球細胞株LB‐831‐EBVは、患者LB831のPBL
、1μg/mlのシクロスポリンA(Sandoz、Basel、Switzerland)、および、2
0%(v/v)のEBVによりトランスフォームしたB95‐8細胞の上清から
、標準的な技術を用いて誘導した。この細胞株は10%のFCSを含むRPMI
‐1640倍地(Life Technologies)中、5%COインキュベーター内で生
育した。PBL‐PHA細胞は、PBLを0.1%(v/v)のPHA(Difco
)および100U/mlのIL‐2(Eurocetus、Amsterdam、Netherlands)で刺
激して調整し、10%のヒト血清を含むイスコブ培地中、8%COインキュベ
ーター内で培養した。全ての培地は、L‐アルギニン(116μg/ml)、L
‐アスパラギン(36μg/ml)、L‐グルタミン(216μg/ml)、ス
トレプトマイシン(0.1μg/ml)およびペニシリン(200μg/ml)
が添加されている。
【0102】 抗腫瘍CTLクローン 患者LB831の血液単核細胞をLymphoprep(Nycomed、Oslo、Norway)密度勾
配遠心分離法により分離し、−80℃で保存した。照射したB7−1トランスフ
ェクトLB831−BLC細胞を刺激体として、CD8Tリンパ球を応答体と
して混合し、前述(Gueguen et al.、J. Immunology 160:6188-6194、1998)のよ
うに混合自己由来リンパ球−腫瘍細胞培養を行なった。CD8Tリンパ球を抗
CD8抗体と共有結合した磁気ビーズ(MACS、Miltenyi Biotec GmbH)によりソ
ートした。照射した非CD8細胞を、最初の刺激の期間、混合培養に加えた。
3日目に、IL−2(25U/ml)を加えた。1週間後、5x10のリンパ
球を、照射B7−1トランスフェクト腫瘍細胞および25U/mlのIL−2で
再刺激した。28日目に、培養したリンパ球を、IL−2(50U/ml)添加
イスコブ倍地中で限界希釈法によりクローニングした。CTLクローンの長期培
養を記載とおりに行なった(Herin et al.、Int. J. Cancer 39:390-396、1987)
【0103】 細胞傷害アッセイ CTLの溶解活性を既述のとおり(Boon et al.、J. Exp. Med. 152:1184-1193
、1980)クロム放出アッセイで試験した。簡潔に述べると、クロム標識した10
00個の細胞を含む100μlを、同量のCTLと、異なるエフェクター対ター
ゲット比で96穴マイクロプレート内で培養した。クロムの放出を4時間培養し
た後測定した。ペプチドアッセイでは、標識したLB831−EBV細胞を様々
な濃度のペプチドと30分間37℃で培養した。その後CTLを加え、クロムの
放出を上記のように測定した。
【0104】 CTL刺激アッセイ 合計3,000個のCTLを、10%のヒト血清および25U/mlのIL−
2を添加したイスコブ培地100μl中に10,000個の刺激細胞を含むマイ
クロウェルに加えた。24時間後、上清を回収し、そのTNF含量をWEHI−
64クローン13細胞(Espevik and Nissen-Meyer、J. Immunol. Methods 95:99
-105、1986)における細胞傷害効果をMTT比色アッセイ(Hansen et al.、J. Im
munol. Meth. 119:203-210、1989)で試験することにより測定した。モノクロー
ナル抗体W6/32(抗HLAクラスI)、B1.23.2(抗HLA−Bおよ
びC)、B9.4.1(抗CD8)、1B8.2(D. Olive、INSERM U119、Marse
ille、Franceの恵与による抗CD4)、GAPA−3(抗HLA−A3)、C7
709A2.6(抗HLA−A24)による阻害を、1/20〜1/30希釈の
腹水を試験に添加することにより行なった。
【0105】 一過性トランスフェクション LipofectAMINE(登録商標)試薬(Life Technologies)により
一過性トランスフェクションを行なった。簡潔に述べると、5x10個の29
3−EBNA細胞(EBV核抗原EBNA−1を発現している293細胞)を平
底96穴プレート中で、MAGE−A12cDNAまたはpcDNA3(Invitr
ogen、Carlsbad、CA)内にクローニングしたサブジェニックフラグメント(subgen
ic fragments)、HLA Cw*0701を含む50ngのプラスミドpcDNA
3、および1.5μlのLipofectAMINE(登録商標)によりトラン
スフェクトした。LB373−MEL細胞(10,000個)を、150ngの
HLA Cw7構築物および1μlのLipofectAMINEでトランスフ
ェクトした。トランスフェクトした細胞を24時間後にCTL刺激アッセイで試
験した。
【0106】 LB831−BLCkらのHLA− Cw7cDNAのクローニングは、既述
(Gueguen et al.、1998)のとおりに行なった。その配列は、コーディング配列
の1087位がAであるところがGであったことが見出されたことを除けば、対
立サブタイプであるCw*07011と同一であった。この核酸の変化は、当該
分子の細胞内ドメインのスレオニンがアラニンに置換わっていることを伴う。同
様の差異はCw*0704とCw*0711対立遺伝子との間についても記載され
ている(Baurain and Coulie、Tissue Antigens 53:510-512、1999)。
【0107】 腫瘍細胞株の永続的なトランスフェクション 膀胱細胞癌LB831−BLCを既述(Traversari et al.、Immunogenetics 3
5:145-152、1992)のリン酸カルシウム沈殿法によりトランスフェクトした。1x
10個の細胞を、cDNAB7−1を含む20μgのプラスミドpEF−BO
S puro−PL3によりトランスフェクトした。簡潔に説明すると、B7−
1をセンスプライマー5’ −GGGTCCAAATTGTTGGCTTTCA
CT (配列番号7)およびアンチセンスプライマー5’−GAAGAATGC
CTCATGATCCCCA (配列番号8)を用い、LB23−EBV細胞株
のcDNAをテンプレートとしたPCR反応により増幅した。PCRの条件は、
Gueguen et al.、1998により記載されたとおりであった。B7−1インサ
ートを次に、pEF−BOS (Mishizuma and Nagata、Nucleic Acids Res. 18
:5322、1990)からプロマイシン耐性遺伝子およびポリリンカーの挿入により得た
プラスミドpEF−BOS puro−PL3中にクローニングした。プロマイ
シン耐性LB831−BLC細胞は0.8μg/mlのプロマイシン(Sigma、St
. Louis、MO)中で選択してから、限界希釈によりクローニングした。
【0108】 MAGE−A12遺伝子のサブジェニックフラグメントのクローニング 945bpの完全なオープンリーディングフレーム(ORF)を含むMAGE
−A12cDNAをPCR増幅のテンプレートとして用いた(DePlaen et al.、I
mmunogenetics 40:360-369、1994)。MAGE−A12ORFの最初の195、
342、525、540、591、651、683および816のヌクレオチド
を含む8個のフラグメントを、フォワードプライマー 5’−CCTACCTGCTGCCCTGACCA−3’(LHE7;配列番号
46)およびリバースプライマー 5’−CCTAAGGACTGTGGGGAGGA−3’(LHE2;配列番号
47)、 5’−CCAACTAAGCCATCTTCCTA−3’(LHE3;配列番号
48)、 5’−GTGACAAGGATCTACAAGTG−3’(LHE4;配列番号
49)、 5’−CCAGTCAGGTGACAAGGATG−3’(LHE10;配列番
号50)、 5’−CCTGTCTAGGGCACGATCTG−3’(LHE8;配列番号
51)、 5’−CTCCTAAGGGGCACAGTCGC−3’(LHE9;配列番号
52)、 5’−TCAGATGCCTACAACACACT−3’(LHE5;配列番号
53)、 および5’−GGACCCTACAGGAACTCGTA−3’(LHE6;配
列番号54)をそれぞれ用いて増幅した。TaqDNAポリメラーゼをPCRに
よる増幅に用いた。最初の変性工程は94℃で5分間行い、次に、25サイクル
の増幅を以下のように行なった:すべてのプライマーについて94℃で1分、プ
ライマーLHE3、LHE4およびLHE5については62℃で2分、または、
LHE2、LHE6、LHE8、LHE9およびLHE10については64℃で
2分;およびすべてのプライマーについて72℃で3分。サイクルは、72℃で
10分の最後の伸長工程で終了した。PCR産物は、双方向真核性TOPOTA
クローニングキット(Invitrogen)を用いて、pcDNA3ベクター中にクロー
ニングした。
【0109】 MAGE−A12発現のPCRアッセイ 腫瘍組織におけるMAGE−A12の発現を検出するためにRT−PCRを行
った。総RNAの精製およびcDNAの合成は、既述(Weynants et al.、Int. J
. Cancer 56:826-829、1994)のとおりに行なった。2μgの総RNAから産生し
たcDNAの1/40を、センスプライマー5’−CGTTGGAGGTCAG
AGAACAG−3’(配列番号55)およびアンチセンスプライマー5’−G
CCCTCCACTGATCTTTAGCAA−3’(配列番号56)を用いて
増幅した。PCRは、最初の変性工程を94℃で4分で行い、次の32サイクル
の増幅を以下のように行なった:94℃で1分、62℃で2分および72℃で3
分。サイクルは、72℃で15分の最終延長工程で終了した。
【0110】 例1:MAGE−A12から誘導され、膀胱がん患者のHLA− Cw*0701
拘束CTlにより認識される新規な抗原性ペプチド LB831−BLCは、自己由来CTLにより認識される少なくとも3つの抗
原を発現している細胞株であり;そのうちの1つはすでに記載されている(Gueg
uen et al.、J. Immunology 160:6188-6194、1998)。混合自己由来リンパ球腫瘍
細胞培養(MLTC)を、ヒト血清中で培養した照射B7−1トランスフェクト
LB831−BLC細胞を刺激体として、CD8Tリンパ球を応答体として混
合することにより行なった。CD8Tリンパ球は、抗CD8抗体を共有結合し
た磁気ビーズによりソートした(magnetic-activated cell sorter、Milteny Bio
tec、Bergisch-Gladbach、Germany)。最初の刺激期間の間、照射した非CD8
細胞を混合培養に加えた。3日目にIL−2(50U/ml)を加えた。1週間
後、5x10個のリンパ球を、照射B7−1トランスフェクト腫瘍細胞および
25U/mlのIL−2で再刺激した。28日目に、培養したリンパ球を、IL
−2(50U/ml)添加イスコブ倍地中で限界希釈によりクローニングした。
LB831特異CTLクローンが得られ、それらのうちCTL 501D/19
は自己由来腫瘍株を認識するが、自己由来EBVトランスフォームB細胞を認識
しない(つまり、最初の3つの抗原とは異なる、LB831−Dと呼ばれる抗原
を認識する)。
【0111】 これらのCTLクローンのMHC拘束性を決定するために、クローン刺激にお
ける抗HLAモノクローナル抗体の阻害効果を研究した。CTLクローン501
D/19は、LB831−BLC細胞で刺激したときにTNFを産生したが、こ
の産生は、抗HLAクラスIモノクローナル抗体W6/32の存在、または、H
LA−BおよびHLA−C分子の共通のデターミナントに対するモノクローナル
抗体の存在により完全に阻止された。LB831のHLAタイピングはHLA
−A*2403、−A*3、−B*4403、−B*4901、−Cw*0401お
よび−Cw*07なので、この結果は、標的抗原がHLA−B*44、B*49、
Cw*04またはCw*07のいずれかにより提示されていることを示している。
【0112】 標準的な4時間のクロム放出アッセイにおいて、さらなる標的細胞が、CTL
501D/19により認識された。図1Aに示すとおり、CTL 501D/1
9はまた、メラノーマ株MI13443−MELおよび腎癌株LE9211−R
CCの2つの同種腫瘍株も溶解した。標的は:LB831−BLC(自己由来膀
胱癌株);LB831−EBV(自己由来EBVトランスフォームB細胞);L
E9211−RCC(同種のHLA Cw4およびHLA− Cw7陽性腎癌株)
;MI13443−MEL(同種のHLA Cw4およびHLA Cw7陽性メラ
ノーマ株);およびK562(ナチュラルキラー標的)である。同種および自己
由来腫瘍株は、標的として用いる前に、それぞれ1または5日間IFNγで前処
理した。4時間後にクロムの放出を測定した。
【0113】 前述のすべての所要細胞はB*44およびB*49について陰性だったが、Cw * 04およびCw*07については陽性だった。どのHLAが腫瘍抗原を発現して
いるのか確認するため、メラノーマ細胞株をCw*04またはCw*07で一過性
にトランスフェクトし、CTL 501D/19による認識について試験した。
Cw*07をトランスフェクトしたものだけが、CTLにより認識された。図1
Bに示すとおり、LB373−MEL(HLA− Cw7陰性患者から誘導した
メラノーマ細胞株)をHLA Cw7プラスミド組成物で一過性にトランスフェ
クトした。3千個のCTLを10,000の刺激細胞に加え、CTLによるTN
Fの産生を24時間後に測定した。CTL 501D/19がまた、HLA− C
*07陽性メラノーマ株NaMe16も認識することから、LB831−D抗
原はHLA− Cw*07分子により提示されていると結論付けられた。LB83
1−BCLのCw*07遺伝子の対立サブタイプが決定され、HLA− Cw*
7011であることが見出された。
【0114】 CTL501D/9に認識されたLB831−D抗原がすでに知られている遺
伝子によってコードされているか決定するため、293−EBNA細胞を、HL
A− Cw*0701cDNA、および、中でも、患者LB831の膀胱腫瘍サン
プルに高レベルで発現していることが見出されているMAGE、BAGE、GA
GE、RAGE、LAGENY−ESO1 cDNAを含む一連の遺伝子を含む
発現ベクターでコトランスフェクトした。トランスフェクタントを、CTL 5
01D/19によるTNFの産生を刺激する能力について試験した。トランスフ
ェクションの24時間後、この細胞を3000個のCTL 501D/19と培
養した。24時間後、上清中のTNF量を、WEHI−164−13細胞に対す
る細胞傷害性を調べることで測定した。LB831−BLC細胞を陽性対照とし
て用いた。TNFは、CTLをHLA Cw*07および遺伝子MAGE−A12
をトランスフェクトした293−EBNA細胞により刺激したときだけ、CTl
により産生された(図2)。HLA Cw7のみ、または、HLA Cw7とその
他の遺伝子の組合せをトランスフェクトした293−EBNA細胞では、刺激は
観察されなかった。
【0115】 RT‐PCRにより、CTL 501D/19に認識された全ての腫瘍株がM
AGE‐A12を発現していることが確実になり、この抗原がこの遺伝子でコー
ドされていることが確かめられた。MLTCで創出したその他のHLA Cw7
拘束CTLクローンも検討した。6つのさらなるCTLクローンが、MAGE‐
A12およびHLA Cw7をトランスフェクトした293‐EBNA細胞を認
識することが見出された。 抗原性ペプチドをコードするMAGE‐A12配列を同定するために、異なる
長さのMAGE‐A12フラグメントをPCRで創出した。これらのサブジェニ
ックフラグメントを、pcDNA3内にクローニングし、HLA− Cw*070
1構築物と共に293‐EBNA細胞にトランスフェクトした。CTL刺激アッ
セイをトランスフェクタントと共に行なった(図3)。トランスフェクトした細
胞をCTL 501D/19と共に24時間培養し、上清中のTNF産生量をそ
のWEHI‐164.13細胞に対する毒性で測定した。PCRフラグメントの
番号は、コードする領域のヌクレオチドに対応している。
【0116】 540bpまたはそれ以上のフラグメントをトランスフェクトした細胞は、C
TL 501D/19を刺激することが可能だったが、より短いフラグメントを
トランスフェクトしたものはそれが不可能だった。これは、抗原性ペプチドをコ
ードする配列の終端がMAGE‐A12ORFのヌクレオチド525と540の
間に位置していたことを示している。ヌクレオチド525‐540に対応するア
ミノ酸配列において、EVVRIGHLY (MAGE−A12のコドン168
−176; 配列番号3)および VRIGHLYIL (MAGE−A12の
コドン170−178; 配列番号4)の2つのオーバーラップするノナペプチ
ドが見出され、これはHLA Cw7ペプチド結合モチーフ、つまりC末端のチ
ロシンまたはロイシンに一致していた(Rammensee et al.、Immunogenetics. 41:
178、1995)。デカペプチドVVRIGHLYIL (配列番号5)、 ノナペプ
チドVRIGHLYIL (配列番号4)およびオクタペプチド RIGHLY
IL (配列番号6)は、自己由来リンパ芽球細胞株LB‐831‐EBVをC
TL 501D/19による溶解に対して感作した(図4)。自己由来細胞株L
B‐831‐EBVにMAGE‐A12ペプチドであるVRIGHLYIL (
配列番号4)、 VVRIGHLYIL (配列番号5)または RIGHLY
IL (配列番号6)をロードし、CTL 501D/19と接触させた。クロ
ム標識細胞を30分間、指定した濃度のペプチド(VRIGHLYIL (配列
番号4)または RIGHLYIL (配列番号6))でパルスした。CTL
501D/19を、10のエフェクター対ターゲット比で加えた。クロムの放出
を4時間後に測定した。また、C末端のロイシンを欠いたペプチド(例えばEV
VRIGHLY、 配列番号3)も試験したが、認識されなかった。最大溶解の
半量が、顕著に低い濃度である100pMのノナペプチドVRIGHLYIL
(配列番号4)で得られ、このペプチドが極めて有効にCTL 501D/19
により認識されることが示された。
【0117】 例2:腫瘍サンプル中のMAGE‐A12の発現 腫瘍サンプルおよび/または様々な腫瘍の細胞株におけるMAGE‐A12の
発現をRT‐PCRで測定した。PCRによる増幅は、上述のMAGE‐A12
特異プライマーおよび条件で行なった。MAGE‐A12のRT‐PCRによる
増幅の結果を表Iに示した。
【0118】 RT‐PCRにより検出したMAGE‐A12の発現
【表4】
【0119】 均等物 当業者は、ここに記載した本発明の特殊な態様の多くの均等物を認識すること
ができ、また、通常の実験を超えない範囲で確認することができる。このような
均等物は、以下の請求項に包含されると思われる。 本明細書に開示した文献はそれぞれの全文を引用により組込む。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 CTL 501D/19による自己由来および異種遺伝子型のHLA− Cw*
07陽性腫瘍株の認識を示したグラフであり、(A)は溶解、(B)はTNFの
放出を表す。
【図2】 CTL 501D/19がMAGE‐12によりコードされHLA-Cw7によ
り提示された抗原を認識することを示したグラフである。
【図3】 CTL 501D/19により認識された抗原ペプチドをコードするMAGE
‐A12の領域の同定を示したグラフである。
【図4】 MAGE‐A12ペプチドVRIGHLYIL (配列番号4)およびRIG
HLYIL (配列番号6)を適用した自己由来細胞株LB‐831‐EBVの
CTL 501D/19による溶解を表示したグラフである。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成13年11月13日(2001.11.13)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】 本発明は、また、当業者が所望する1個または2個以上のベクターの発現の調
整を可能にする、いわゆる発現キットも抱合する。このような発現キットは、前
記の少なくとも2つの材料の、少なくとも個々に分割した部分を含む。他の構成
要素は所望により加えてもよい。 ここに記載された発明は、多数の用途を有しており、そのうちのいくつかはこ
こに記載されている。第一に、本発明は当業者がMAGE‐A12免疫原性ポリ
ペプチドの発現を特徴とする疾患を診断することを可能にする。これらの方法は
、生物学的サンプルにおけるMAGE‐A12 HLA結合ペプチド、または、
MAGE‐A12 HLA結合ペプチドとHLAクラスI分子との複合体の発現
の測定を伴う。ペプチドまたはペプチドとHLAクラスI分子との複合体の発現
は、抗体などの、ペプチドまたは複合体の結合パートナーによりアッセイするこ
とで測定できる。腫瘍生検などの生物学的サンプルにおけるMAGE‐A12の
発現は、また、MAGE‐A12プライマーを用いた標準的なPCR増幅プロト
コルにより試験することができる。腫瘍での発現の例はここに表示されており、
MAGE‐A12の増幅のための典型的条件およびプライマーは、US serial no
. 5,985,571で見出すことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/39 A61P 35/00 4C084 48/00 C07K 14/47 4C085 A61P 35/00 C12N 1/15 4C087 C07K 14/47 1/19 4H045 C12N 1/15 1/21 1/19 C12Q 1/02 1/21 G01N 33/15 Z 5/06 33/50 Z 5/10 33/53 D C12Q 1/02 M G01N 33/15 33/566 33/50 37/00 102 33/53 C12P 21/08 C12N 15/00 ZNAA 33/566 5/00 A 37/00 102 E // C12P 21/08 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),AU,CA,C N,JP,KR,NZ (72)発明者 ブーン−ファルール,ティエリ ベルギー王国 ビー−1200 ブリュッセ ル、ヒポクラット アベニュー 7459 (72)発明者 ブラスール,フランシス ベルギー王国 ビー−1200 ブリュッセ ル、ヒポクラット アベニュー 7459 Fターム(参考) 2G045 AA26 AA40 BA11 BB50 DA12 DA13 DA14 DA36 DA78 FB02 4B024 AA01 AA11 BA36 CA01 DA01 DA02 DA05 DA11 EA01 EA02 EA03 EA04 FA02 GA01 GA11 HA01 HA03 HA11 4B063 QA01 QA18 QQ08 QQ79 QR08 QR33 QR48 QR59 QR62 QR74 QR80 QS05 QS36 QX02 4B064 AG27 CA10 CA20 CC24 DA01 DA14 4B065 AA01X AA57X AA87X AA93Y AB01 AB02 BA01 BA08 CA24 CA25 CA44 CA46 4C084 AA02 AA07 AA13 AA14 BA01 BA08 BA23 BA35 CA18 CA53 CA56 CA59 NA13 NA14 ZA592 ZA662 ZA812 ZB262 4C085 AA03 BB01 BB11 CC01 CC40 EE01 EE06 GG01 4C087 AA01 AA02 BB43 CA47 DA20 MA66 NA13 NA14 ZA59 ZA66 ZA81 ZB26 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 BA15 BA17 CA41 DA76 DA86 EA28 EA50 FA72 FA74

Claims (57)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号6のアミノ酸配列、またはHLAクラスI分子に結
    合する、1個または2個以上のアミノ酸の付加、置換または欠失を含むその機能
    的変異体を含む、単離されたMAGE‐A12 HLAクラスI結合ペプチド。
  2. 【請求項2】 単離したペプチドが、配列番号4、配列番号5、そのフラグ
    メントおよびその機能的変異体からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、
    請求項1に記載の単離されたMAGE‐A12 HLAクラスI結合ペプチド。
  3. 【請求項3】 単離したペプチドが、配列番号4、配列番号5、配列番号6
    、そのフラグメントおよびその機能的変異体からなる群から選択されるアミノ酸
    配列を含む、請求項1に記載の単離されたMAGE‐A12 HLAクラスI結
    合ペプチド。
  4. 【請求項4】 HLA−Cw*07に結合する配列番号2のアミノ酸配列の
    フラグメント、または1個または2個以上のアミノ酸の付加、置換または欠失を
    含むその機能的変異体であって、HLA−Cw*07に結合する前記機能的変異
    体を含む、請求項1に記載の単離されたMAGE‐A12 HLAクラスI結合
    ペプチド。
  5. 【請求項5】 単離されたペプチドが、非水解性である、請求項1または請
    求項4に記載の単離されたMAGE‐A12 HLAクラスI結合ペプチド。
  6. 【請求項6】 単離されたペプチドが、D‐アミノ酸を含むペプチド、−p
    si[CHNH]−還元アミドペプチド結合を含むペプチド、−psi[CO
    CH]−ケトメチレンペプチド結合を含むペプチド、−psi[CH(CN)
    NH]−(シアノメチレン)アミノペプチド結合を含むペプチド、−psi[C
    CH(OH)]−ヒドロキシエチレンペプチド結合を含むペプチド、−ps
    i[CHO]−ペプチド結合を含むペプチド、−psi[CHS]−チオメ
    チレンペプチド結合を含むペプチドからなる群から選択される、請求項5に記載
    の単離されたMAGE‐A12 HLAクラスI結合ペプチド。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の単離されたMAGE‐A12 HLAクラ
    スI結合ペプチドおよび非MAGE‐A12腫瘍抗原の単離されたHLAクラス
    IまたはクラスII結合ペプチドを含む組成物。
  8. 【請求項8】 請求項4に記載の単離されたMAGE‐A12 HLAクラ
    スI結合ペプチドおよび非MAGE‐A12腫瘍抗原の単離されたHLAクラス
    IまたはクラスII結合ペプチドを含む組成物。
  9. 【請求項9】 MAGE‐A12 HLAクラスI結合ペプチドおよび非M
    AGE‐A12腫瘍抗原のHLAクラスIまたはクラスII結合ペプチドがポリ
    トープポリペプチドとして複合している、請求項7または請求項8に記載の組成
    物。
  10. 【請求項10】 請求項1〜4のいずれかに記載のペプチドからなる群から
    選択されたペプチドをコードする単離された核酸であって、MAGE‐A12の
    全長をコードしない、前記単離された核酸。
  11. 【請求項11】 核酸が配列番号1のヌクレオチド配列のフラグメントを含
    む、請求項10に記載の単離された核酸。
  12. 【請求項12】 プロモーターに作動可能に結合された請求項11に記載の
    単離された核酸を含む、発現ベクター。
  13. 【請求項13】 HLA− Cw*07分子をコードする核酸をさらに含む、
    請求項12に記載の発現ベクター。
  14. 【請求項14】 請求項12に記載の発現ベクターおよび請求項13に記載
    の発現ベクターからなる群から選択される発現ベクターでトランスフェクトまた
    はトランスフォームされた、宿主細胞。
  15. 【請求項15】 請求項12に記載の発現ベクターでトランスフェクトまた
    はトランスフォームされた宿主細胞であって、HLA− Cw*07分子を発現す
    る、前記宿主細胞
  16. 【請求項16】 MAGE‐A12 HLA結合ペプチドに特異的なTリン
    パ球でTリンパ球集合体を選択的に富化する方法であって、Tリンパ球集合体を
    含むT細胞源を、MAGE‐A12 HLA結合ペプチドに特異的なTリンパ球
    でTリンパ球集合体を選択的に富化するのに十分な量のMAGE‐A12 HL
    A結合ペプチドとHLA分子との複合体を提示する剤と接触させることを含む、
    前記方法。
  17. 【請求項17】 剤がMAGE‐A12タンパク質またはそのHLA結合フ
    ラグメントと接触させた抗原提示細胞である、請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 MAGE‐A12 HLA結合ペプチドが、(i)配列番
    号2のアミノ酸配列のフラグメントからなるペプチド、(ii)配列番号6のア
    ミノ酸配列を含むペプチド、および(iii)(i)および(ii)のペプチド
    の機能的変異体からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
  19. 【請求項19】 MAGE‐A12の発現を特徴とする疾患の診断方法であ
    って、対象から単離した生物学的サンプルをMAGE‐A12 HLA結合ペプ
    チドに特異的な剤と接触させること、および剤とMAGE‐A12 HLA結合
    ペプチドとの間の相互作用を、該疾患の決定因子として定量することを含む、前
    記診断方法。
  20. 【請求項20】 MAGE‐A12 HLA結合ペプチドが、(i)配列番
    号2のアミノ酸配列のフラグメントからなるペプチド、(ii)配列番号6のア
    ミノ酸配列を含むペプチド、および(iii)(i)および(ii)のペプチド
    の機能的変異体からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
  21. 【請求項21】 MAGE‐A12 HLA結合ペプチドの発現を特徴とす
    る疾患の診断方法であって、対象から単離した生物学的サンプルを複合体を結合
    する剤と接触させること、および複合体と剤との間の相互作用を、該疾患の決定
    因子として定量することを含む、前記診断方法。
  22. 【請求項22】 MAGE‐A12 HLA結合ペプチドが、(i)配列番
    号2のアミノ酸配列のフラグメントからなるペプチド、(ii)配列番号6のア
    ミノ酸配列を含むペプチド、および(iii)(i)および(ii)のペプチド
    の機能的変異体からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
  23. 【請求項23】 MAGE‐A12の発現を特徴とする疾患を有する対象を
    治療する方法であって、該疾患を改善するのに十分な量のMAGE‐A12 H
    LA結合ペプチドを対象に投与することを含む、前記方法。
  24. 【請求項24】 MAGE‐A12 HLA結合ペプチドが、(i)配列番
    号2のアミノ酸配列のフラグメントからなるペプチド、(ii)配列番号6のア
    ミノ酸配列を含むペプチド、および(iii)(i)および(ii)のペプチド
    の機能的変異体からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
  25. 【請求項25】 MAGE‐A12の発現を特徴とする疾患を有する対象を
    治療する方法であって、該疾患を改善するのに十分な量の請求項7または請求項
    8に記載の組成物を対象に投与することを含む、前記方法。
  26. 【請求項26】 MAGE‐A12の発現を特徴とする疾患を有する対象を
    治療する方法であって、該疾患を改善するのに十分な量のHLA分子とMAGE
    ‐A12 HLA結合ペプチドとの複合体の対象における存在を選択的に富化す
    る剤を対象に投与することを含む、前記方法。
  27. 【請求項27】 剤が、MAGE‐A12 HLA結合ペプチドを含む、請
    求項26に記載の方法。
  28. 【請求項28】 MAGE‐A12 HLA結合ペプチドが、(i)配列番
    号2のアミノ酸配列のフラグメントからなるペプチド、(ii)配列番号6のア
    ミノ酸配列を含むペプチド、および(iii)(i)および(ii)のペプチド
    の機能的変異体からなる群から選択される、請求項26または請求項27に記載
    の方法。
  29. 【請求項29】 MAGE‐A12の発現を特徴とする疾患を有する対象を
    治療する方法であって、該疾患を改善するのに十分な量の自己由来Tリンパ球を
    対象に投与することを含み、ここで該Tリンパ球はHLA分子およびMAGE‐
    A12 HLA結合ペプチドの複合体に特異的である、前記方法。
  30. 【請求項30】 MAGE‐A12 HLA結合ペプチドが、(i)配列番
    号2のアミノ酸配列のフラグメントからなるペプチド、(ii)配列番号6のア
    ミノ酸配列を含むペプチド、および(iii)(i)および(ii)のペプチド
    の機能的変異体からなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
  31. 【請求項31】 MAGE‐A12 HLA結合ペプチドの機能的変異体を
    同定する方法であって、 MAGE‐A12 HLA結合ペプチド、MAGE‐A12 HLAクラスI結合
    ペプチドに結合するHLA結合分子およびHLA結合分子により提示されたMA
    GE‐A12 HLAに刺激されたT細胞を選択すること、 変異体ペプチドを調整するために、MAGE‐A12 HLA結合ペプチドの第
    一のアミノ酸残基を変異させること、 HLA結合分子への変異体ペプチドの結合、およびT細胞の刺激作用を提供する
    ことを含み、ここでHLA結合分子への変異体ペプチド結合およびHLA結合分
    子に提示された変異体ペプチドによるT細胞の刺激作用が、変異体ペプチドが機
    能的変異体であることを示すものである、前記方法。
  32. 【請求項32】 MAGE‐A12 HLA結合ペプチドが、(i)配列番
    号2のアミノ酸配列のフラグメントからなるペプチド、および(ii)配列番号
    6のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群から選択される、請求項29に記載
    の方法。
  33. 【請求項33】 MAGE‐A12 HLA結合ペプチドによるT細胞の刺
    激作用と機能的変異体によるT細胞の刺激作用とを、機能的変異体によるT細胞
    の刺激作用の有効性決定因子として比較する工程をさらに含む、請求項31に記
    載の方法。
  34. 【請求項34】 請求項1〜4のいずれかに記載のポリペプチドに選択的に
    結合する単離されたポリペプチドであって、HLA分子ではない、前記単離され
    たポリペプチド。
  35. 【請求項35】 単離されたポリペプチドが抗体である、請求項34に記載
    の単離されたポリペプチド。
  36. 【請求項36】 抗体がモノクローナル抗体である、請求項35に記載の抗
    体。
  37. 【請求項37】 単離されたポリペプチドが、Fabフラグメント、F(a
    b)フラグメントまたはMAGE‐A12 HLA結合ペプチドに特異的なC
    DR3領域を含むフラグメントからなる群から選択される、請求項34に記載の
    単離されたポリペプチド。
  38. 【請求項38】 HLA分子とMAGE‐A12 HLA結合ペプチドの複
    合体に選択的に結合する、単離されたTリンパ球。
  39. 【請求項39】 MAGE‐A12 HLA結合ペプチドが、(i)配列番
    号2のアミノ酸配列のフラグメントからなるペプチド、(ii)配列番号6のア
    ミノ酸配列を含むペプチド、および(iii)(i)および(ii)のペプチド
    の機能的変異体からなる群から選択される、請求項38に記載の単離されたTリ
    ンパ球。
  40. 【請求項40】 HLA分子とMAGE‐A12 HLA結合ペプチドとの
    複合体を含む、単離された抗原提示細胞。
  41. 【請求項41】 MAGE‐A12 HLA結合ペプチドが、(i)配列番
    号2のアミノ酸配列のフラグメントからなるペプチド、(ii)配列番号6のア
    ミノ酸配列を含むペプチド、および(iii)(i)および(ii)のペプチド
    の機能的変異体からなる群から選択される、請求項40に記載の単離された抗原
    提示細胞。
  42. 【請求項42】 請求項1〜4のいずれかに記載のポリペプチドおよび薬学
    的に許容される担体を含む、ワクチン組成物。
  43. 【請求項43】 アジュバントをさらに含む、請求項42に記載のワクチン
    組成物。
  44. 【請求項44】 請求項38および39に記載のTリンパ球および請求項4
    0および41に記載の抗原提示細胞からなる群から選択される細胞、ならびに薬
    学的に許容される担体を含む、ワクチン組成物。
  45. 【請求項45】 アジュバントをさらに含む、請求項44に記載のワクチン
    組成物。
  46. 【請求項46】 請求項10に記載の単離した核酸分子および薬学的に許容
    される担体を含む、ワクチン。
  47. 【請求項47】 アジュバントをさらに含む、請求項46に記載のワクチン
  48. 【請求項48】 請求項31に記載の方法で同定された、MAGE‐A12 HLA結合ペプチドの、単離された機能的変異体。
  49. 【請求項49】 MAGE‐A12 HLA結合ペプチドミメティックの候
    補を同定する方法であって、 MAGE‐A12 HLA結合ペプチドに結合するHLA分子を提供すること、
    HLA分子を試験分子と接触させること、および試験分子のHLA分子への結合
    を定量することを含み、ここでHLA分子に結合する試験分子が、MAGE‐A
    12 HLA結合ペプチドミメティックの候補である、前記方法。
  50. 【請求項50】 さらにHLA分子と候補ミメティックとの複合体を形成し
    、該複合体をHLA分子とMAGE‐A12 HLA結合ペプチドの複合体に結
    合するT細胞に接触させ、T細胞に対する活性化をアッセイすることを含む、請
    求項49に記載の方法。
  51. 【請求項51】 T細胞の活性化が、T細胞の増殖、T細胞によるインター
    フェロンγの産生、T細胞による腫瘍壊死因子の産生、およびT細胞による標的
    細胞の細胞溶解からなる群から選択される特性で示される、請求項50に記載の
    方法。
  52. 【請求項52】 単離されたMAGE‐A12 HLAクラスI結合ペプチ
    ド、またはHLAクラスI分子に結合する、1個または2個以上のアミノ酸の付
    加、置換または欠失を含むその機能的変異体を含む、タンパク質マイクロアレイ
  53. 【請求項53】 単離されたMAGE‐A12 HLAクラスI結合ペプチ
    ドが、配列番号6のアミノ酸配列を含む、請求項52に記載のタンパク質マイク
    ロアレイ。
  54. 【請求項54】 単離されたMAGE‐A12 HLAクラスI結合ペプチ
    ドが、配列番号4、配列番号5、およびその機能的変異体からなる群から選択さ
    れるアミノ酸配列を含む、請求項53に記載のタンパク質マイクロアレイ。
  55. 【請求項55】 MAGE‐A12の発現を特徴とする疾患の診断方法であ
    って、請求項52に記載されたタンパク質マイクロアレイを、該疾患を有する疑
    いのある主体から単離した生物学的サンプルに接触させること、および該生物学
    的サンプルの組成物の単離されたMAGE‐A12 HLAクラスI結合ペプチ
    ドへの結合を定量することを含む、前記方法。
  56. 【請求項56】 生物学的サンプルの構成が、抗体、Tリンパ球、およびH
    LA分子からなる群から選択される、請求項55に記載の方法。
  57. 【請求項57】 疾患が癌である、請求項55に記載の方法。
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