JP2003512049A - 22045、ヒトサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼを使用するための方法 - Google Patents

22045、ヒトサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼを使用するための方法

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JP2003512049A
JP2003512049A JP2001532184A JP2001532184A JP2003512049A JP 2003512049 A JP2003512049 A JP 2003512049A JP 2001532184 A JP2001532184 A JP 2001532184A JP 2001532184 A JP2001532184 A JP 2001532184A JP 2003512049 A JP2003512049 A JP 2003512049A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、哺乳動物ホスホジエステラーゼのスーパーファミリーに属するヒトサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼを使用するための方法に関する。本発明はまた、ホスホジエステラーゼをコードするポリヌクレオチドを使用するための方法に関する。本発明は、ホスホジエステラーゼ媒介またはホスホジエステラーゼ関連障害における診断または処置のための標的としてホスホジエステラーゼポリペプチドおよびポリヌクレオチドを使用する方法に関する。本発明はさらに、診断および処置のためのアゴニストおよびアンタゴニストを同定するためのホスホジエステラーゼポリペプチドおよびポリヌクレオチドを使用する薬物スクリーニング方法に関する。本発明はさらに、ホスホジエステラーゼポリペプチドおよびポリヌクレオチドに基づくアゴニストおよびアンタゴニストを包含する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、ヒトサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼを使用するた
めの方法に関する。本発明はまた、ホスホジエステラーゼをコードするポリヌク
レオチドを使用するための方法に関する。本発明はさらに、ホスホジエステラー
ゼポリペプチドおよびポリヌクレオチドを、ホスホジエステラーゼ媒介障害また
はホスホジエステラーゼ関連障害における診断および処置のための標的として使
用する方法に関する。本発明はさらに、ホスホジエステラーゼポリペプチドおよ
びポリヌクレオチドを使用して、診断および処置のためのアゴニストまたはアン
タゴニストを同定する、薬物スクリーニング法に関する。本発明はさらに、ホス
ホジエステラーゼポリペプチドおよびポリヌクレオチドに基づくアゴニストおよ
びアンタゴニストを包含する。本発明ささらに、ホスホジエステラーゼポリペプ
チドおよびポリヌクレオチドを標的として用いる薬物スクリーニング法によって
同定される、アゴニストおよびアンタゴニストに関する。
【0002】 (発明の背景) サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼは、プリンサイクリックヌク
レオチド基質に対して特異性を示し、そしてサイクリックAMP(cAMP)お
よびサイクリックGMP(cGMP)の加水分解を触媒する(Thompson
W.J.(1991)Pharma.Ther.51:13−33)。サイク
リックヌクレオチドホスホジエステラーゼは、cAMPの定常状態レベルおよび
cGMPを調節し、そしてサイクリックヌクレオチドシグナルの増幅と持続時間
との両方を調節する。少なくとも8の異なるが相同である遺伝子ファミリーが哺
乳動物組織中に存在することが、現在公知である。大部分のファミリーは、異な
る遺伝子を含み、これらの遺伝子の多くは、機能的に独自の選択的スプライス改
変体として、異なる組織において発現される(Beavo(1995)Phys
iological Reviews 75:725−748および米国特許第
5,798,246号)。
【0003】 全てのサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼは、約270の保存ア
ミノ酸のコアを、この酵素の触媒性ドメインであると考えられるタンパク質のC
OOH末端の半分に含む。この配列の保存モチーフHDXXHXXは、現在まで
に単離された全てのサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼの触媒性ド
メインにおいて、同定された。各ファミリー内のサイクリックヌクレオチドホス
ホジエステラーゼは、約65%のアミノ酸相同性を示し、そしてその類似性は、
触媒性ドメインに起こる類似性の大部分を有する異なるファミリー間で比較した
場合に、40%未満に低下する。
【0004】 大部分のサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ遺伝子は、それらか
ら転写された1より多い選択的スプライスされたmRNAを有し、そして多くの
場合において、この選択的スプライシングは、高度に組織特異的であり、異なる
サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼの選択的発現のための機構を提
供するようである(Beavo、前出)。細胞型特異的な発現は、異なるアイソ
ザイムが、異なる細胞型特異的特性を有するようであることを示唆する。
【0005】 1型サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼは、Ca2+/カルモジ
ュリン依存性であり、そして3つの異なる遺伝子を含み、これらの遺伝子の各々
は、少なくとも2つの異なるスプライス改変体を有するようであることが報告さ
れており、そして肺、心臓および脳において見出された。カルモジュリン依存性
のホスホジエステラーゼのいくつかは、リン酸化/脱リン酸化事象によって、イ
ンビトロで調節される。リン酸化の効果は、カルモジュリンに対する酵素の親和
性を低下させることであり、これは、ホスホジエステラーゼの活性を低下させ、
これによってcAMPの定常状態レベルを増加させる。2型サイクリックヌクレ
オチドホスホジエステラーゼは、cGMPによって刺激され、脳に局在化し、そ
してカテコールアミン分泌に対するcAMPの効果を媒介すると考えられる。3
型サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼは、cGMPにより阻害され
、基質としてのcAMPに対して高い特異性を有し、血管平滑筋に存在する主要
なホスホジエステラーゼアイソザイムの1つであり、そして心機能において役割
を果たす。3型の1つのアイソザイムは、1つ以上のインスリン依存性キナーゼ
によって調節される。4型サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼは、
大部分の炎症性細胞において優勢なアイソエンザイムであり、このメンバーのう
ちのいくらかは、cAMP依存性リン酸化によって活性化される。5型サイクリ
ックヌクレオチドホスホジエステラーゼは、伝統的に、cGMP機能の調節因子
であると考えられてきたが、cAMP機能にもまた影響を与え得る。高レベルの
5型サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼは、大部分の平滑筋調製物
、血小板および腎臓において見出される。6型サイクリックヌクレオチドホスホ
ジエステラーゼファミリーメンバーは、視覚において役割を果たし、そして光お
よびcGMPによって調節される。7型サイクリックヌクレオチドホスホジエス
テラーゼファミリーメンバーは、骨格筋において高濃度で見出される。サイクリ
ックヌクレオチドホスホジエステラーゼファミリー1〜7、これらの位置および
生理学的役割の列挙は、Beavo、前出(その教示に関して本明細書中に援用
される)に与えられている。8型ファミリーは、米国特許第5,798,246
号に報告されている。さらなるホスホジエステラーゼが開示されている、WO9
9/19495およびEP 967284もまた参照のこと。
【0006】 免疫系および炎症応答系の多くの機能は、cAMPの細胞内レベルを増加させ
る薬剤によって阻害される(Verghese(1995)Mol.Pharm
acol.47:1164−1171)。cGMPの代謝は、平滑筋、肺および
脳の細胞機能に関与する(Thompson W.(1991)Pharma.
Ther.51:13−33)。種々の疾患が、サイクリックヌクレオチドホス
ホジエステラーゼ活性の増加に寄与し、これは、サイクリックヌクレオチドのレ
ベルの低下を生じる。例えば、マウスにおける尿崩症の1つの形態は、増加した
ホスホジエステラーゼファミリー4の活性に関連付けられ、そして低K cA
MPホスホジエステラーゼ活性の増加は、アトピーの患者の白血球において報告
された。サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼにおける欠損はまた、
網膜の疾患と関連付けられた。rdマウスにおける網膜の退化、ヒト常染色体劣
性色素性網膜炎、およびアイリッシュセッター犬における杵/錐体形成異常1は
、ファミリー6ホスホジエステラーゼ、遺伝子Bにおける変異に寄与する。ファ
ミリー3ホスホジエステラーゼは、心臓疾患に関連付けられた。
【0007】 種々のサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼの多くのインヒビター
が同定されており、そしていくつかは、臨床評価された。例えば、ファミリー3
ホスホジエステラーゼインヒビターは、抗トロンビン剤として、抗高血圧症剤と
して、そしてうっ血性心不全の処置において有用な強心剤として開発されている
。ロリプラム(ファミリー4ホスホジエステラーゼインヒビター)は、うつ病の
処置において使用され、そしてファミリー4ホスホジエステラーゼの他のインヒ
ビターは、抗炎症剤として評価されている。ロリプラムはまた、リポ多糖類(L
PS)誘導TNFαを阻害することが示されており、これは、インビトロでのH
IV−1複製を増強することが示されている。従って、ロリプラムは、HIV−
1複製を阻害し得る(Angelら、(1995)AIDS 9:1137−4
4)。さらに、TNFαおよびβならびにインターフェロンγの産生に対するそ
の抑制能力に基づいて、ロリプラムは、脳脊髄炎(多発性硬化症の実験的動物モ
デル)の処置において効果的であること(Sommerら、(1995)Nat
.Med.1:244−248)、および遅発性ジスキネジーの処置において効
果的であり得ること(Sasakiら、(1995)Eur.J.Pharma
col.282:72−76)が示された。
【0008】 非特異的ホスホジエステラーゼインヒビター(例えば、気管支喘息および他の
呼吸疾患の処置において使用されるテオフィリン、ならびに間欠性跛行および糖
尿病により誘導される末梢血管疾患の処置において使用されるペントキシフィリ
ン)もまた存在する。テオフィリンは、気道の平滑筋機能に作用し、そして呼吸
疾患の処置における抗炎症能力または免疫調節能力において作用すると考えられ
(Bannerら、(1995)Eur.Respir.J 8:996−10
00)、ここで、テオフィリンは、サイクリックヌクレオチドホスホジエステラ
ーゼcAMPとcGMPの両方の加水分解を阻害することによって作用すると考
えられる(Bannerら、(1995)Monaldi Arch.Ches
t Dis.50:286−292)。ペントキシフィリンは、TNFαをブロ
ックすることもまた公知であり、HIV−1複製を阻害し得る(Angelら、
前出)。サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼインヒビターの列挙は
、Beavo、前出(その教示に関して本明細書中に援用される)に与えられて
いる。
【0009】 サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼはまた、種々の細胞型におけ
る細胞増殖に影響を与えることが報告されており、そして種々の癌の処置に関連
する。(Bangら、(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA 91:5330−5334)は、前立腺癌腫細胞株DU145およびLN
CaPの増殖が、cAMP誘導体およびホスホジエステラーゼインヒビターの送
達によって阻害され、そして上皮形態からニューロン形態への表現型の永続的な
転換が観察されることを報告した;Matousovicら、((1995)J
.Clin.Invest.96:401−410)は、サイクリックヌクレオ
チドホスホジエステラーゼアイソザイムインヒビターが、血管間膜細胞の増殖を
調節する可能性を有することを示唆する;Joulainら、((1995)J
.Mediat.Cell Signal 11:63−79)は、サイクリッ
クヌクレオチドホスホジエステラーゼが、リンパ球増殖の制御に関与する重要な
標的であることが示されたことを報告する;そしてDeonarainら、((
1994)Brit.J.Cancer 70:786−94)は、特定の細胞
区画へのホスホジエステラーゼの細胞内送達を含んで細胞死を生じさせる、癌の
処置のための腫瘍標的化アプローチを示唆する。
【0010】 従って、サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼは、薬物の作用およ
び開発のための主要な標的である。従って、薬学的開発の分野に対して、サイク
リックホスホジエステラーゼが差示的に発現される組織および障害を同定および
特徴付けすることは、価値あることである。本発明は、ヒトサイクリックヌクレ
オチドホスホジエステラーゼの発現が関与する組織および障害を提供することに
よって、従来技術を進歩させる。従って、本発明は、ホスホジエステラーゼの発
現に関する方法を提供する。
【0011】 (発明の要旨) 本発明の課題は、サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼの発現が関
与する組織および障害を同定することである。
【0012】 本発明のさらなる課題は、サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼポ
リペプチドが、サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼによって媒介さ
れるかまたはサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼに関連する障害の
処置および診断に適用可能なホスホジエステラーゼアッセイにおいて、試薬また
は標的として有用である方法を提供することである。
【0013】 本発明のさらなる課題は、ホスホジエステラーゼポリペプチドに対応するポリ
ヌクレオチドが、ホスホジエステラーゼによって媒介されるかまたはホスホジエ
ステラーゼに関連する障害の処置および診断に適用可能なホスホジエステラーゼ
アッセイにおいて、標的または試薬として有用である方法を提供することである
【0014】 本発明の特定の課題は、アゴニストおよびアンタゴニストとして作用し、そし
て特定の組織および障害におけるホスホジエステラーゼの発現を調節する化合物
を同定することである 本発明のさらなる特定の課題は、ホスホジエステラーゼにより媒介されるかま
たはホスホジエステラーゼに関連する障害の処置および診断のために、ホスホジ
エステラーゼの発現を調節する化合物を提供することである。
【0015】 従って、本発明は、特定の組織および障害における、ヒトサイクリックヌクレ
オチドホスホジエステラーゼの発現に基づく。
【0016】 本発明は、特定の組織または障害において、ホスホジエステラーゼポリペプチ
ドまたは核酸(RNAもしくはDNA)の発現または活性を調節する化合物につ
いてスクリーニングする方法を提供する。
【0017】 本発明はまた、特にスクリーニングされた化合物を使用して、ホスホジエステ
ラーゼポリペプチドまたは核酸の発現または活性を調節するためのプロセスを提
供する。
【0018】 調節は、ホスホジエステラーゼポリペプチドまたは核酸の異常な活性または発
現に関連する状態を処置するために、使用され得る。
【0019】 本発明はまた、疾患の診断のためを含めて、特定の生物学的サンプルにおける
ホスホジエステラーゼポリペプチドまたは核酸分子の活性または存在もしくは非
存在を決定するためのアッセイを提供する。
【0020】 本発明はまた、疾患の診断のためを含めて、ポリペプチドまたは核酸分子にお
ける変異の存在を決定するためのアッセイを提供する。
【0021】 本発明は、配列番号1に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、単離
されたホスホジエステラーゼポリペプチドを利用する。
【0022】 本発明はまた、配列番号2に示す配列を有する、単離されたホスホジエステラ
ーゼ核酸分子を利用する。
【0023】 本発明はまた、配列番号1に示されるアミノ酸配列に実質的に相同なアミノ酸
配列を有する改変ポリペプチドを利用する。
【0024】 本発明はまた、配列番号2に示されるヌクレオチド配列に実質的に相同な改変
核酸配列を利用する。
【0025】 本発明はまた、配列番号1に示されるポリペプチドおよび配列番号2に示され
るヌクレオチド配列のフラグメント、ならびにこのポリペプチドまたは核酸のフ
ラグメントに実質的に相同なフラグメントを利用する。
【0026】 本発明はさらに、本明細書中に開示される核酸分子を含む核酸構築物を利用す
る。好ましい実施形態において、本発明の核酸分子は、調節配列に作動的に連結
される。
【0027】 本発明はまた、ホスホジエステラーゼを発現するベクターおよび宿主細胞を利
用し、そして特定の細胞型および障害において、特に組換えベクターおよび宿主
細胞において、ホスホジエステラーゼ核酸分子およびホスホジエステラーゼポリ
ペプチドを発現するための方法を提供する。
【0028】 本発明はまた、ベクターおよび宿主細胞を作製する方法を利用し、そして特定
の細胞型および障害において、ホスホジエステラーゼ核酸分子およびホスホジエ
ステラーゼポリペプチドの発現および発現の細胞効果をアッセイするためにそれ
らベクターおよび宿主細胞を使用するための方法を提供する。
【0029】 本発明はまた、ホスホジエステラーゼポリペプチドおよびフラグメントに選択
的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを利用する。
【0030】 (発明の詳細な説明) 本明細書中で使用される場合、「シグナル伝達経路」は、リガンドがレセプタ
ーに結合する際の細胞の機能/活性の調節(例えば、刺激または阻害)をいう。
このような機能の例としては、シグナル伝達経路に関与する細胞内分子(例えば
、ホスファチジルイノシトール4,5−ビスホスフェート(PIP)、イノシ
トール、1,4,5−トリホスフェート(IP)、およびアデニル化シクラー
ゼ)の動員;原形質膜の分極;分子の産生または分泌;細胞構成要素の構造の変
化;細胞増殖(例えば、DNAの合成);細胞移動;細胞分化;および細胞生存
が挙げられる。
【0031】 応答は、細胞型に依存する。いくつかの細胞において、リガンドのレセプター
への結合は、ホスファチジルイノシトールまたはサイクリックAMP代謝および
ターンオーバー(turnover)を介して、化合物の放出、チャネルのゲー
ティング、細胞接着、移動、分化などの活性を刺激し得るが、他の細胞では、結
合は異なる結果を生み出す。
【0032】 cAMPターンオーバー経路は、シグナル伝達経路である。本明細書中で使用
される場合、「サイクリックAMPターンオーバーおよびサイクリックAMP代
謝」は、cAMPのターンオーバーおよび代謝に関与する分子、ならびにこれら
の分子の活性をいう。サイクリックAMPは、特定のレセプターのリガンド誘導
刺激に応答して産生される第二メッセンジャーである。cAMPシグナル伝達経
路において、リガンドの結合は、酵素アデニルシクラーゼ(これは、cAMPの
合成を触媒する)の活性化を導き得る。次いで、新規に合成されたcAMPは、
cAMP依存性プロテインキナーゼを活性化し得る。この活性化されたキナーゼ
は、電位型カリウムチャネルタンパク質、または会合するタンパク質をリン酸化
し得、そしてカリウムチャネルが活動電位の間に開き得ないように導く。カリウ
ムチャネルが開き得ないことは、カリウムの外向きの流れ(これは、ニューロン
の膜を正常に再分極する)を減少し、延期された膜の脱分極を導く。
【0033】 cGMPターンオーバー経路はまた、シグナル伝達経路である。本明細書中で
使用される場合、「サイクリックGMPターンオーバーおよびサイクリックGM
P代謝」は、cGMPのターンオーバーおよび代謝に関与する分子、ならびにこ
れらの分子の活性をいう。サイクリックGMPは、特定のレセプターのリガンド
誘導刺激に応答して産生される第二メッセンジャーである。cGMPシグナル伝
達経路において、リガンドの結合は、酵素グアニルシクラーゼ(これは、cGM
Pの合成を触媒する)の活性化を導き得る。次いで、合成されるcGMPは、c
GMP依存性プロテインキナーゼを活性化し得る。
【0034】 本発明は、ホスホジエステラーゼの発現が関連する細胞、組織およびこれらの
細胞および組織の障害に適用される方法および使用に適用可能である方法、使用
および試薬に関する。ホスホジエステラーゼは、図5および6に示される種々の
組織において発現される。従って、以下にさらに詳細に開示される本発明の方法
および使用は、これらの組織、これらの組織に関与する障害、および特にこれら
の図に示され、そして本明細書中に開示されるような、遺伝子発現が関連する障
害に適用する。従って、以下にさらに詳細に開示される方法、使用および試薬は
、特に、乳癌、肺癌、結腸癌、および肝臓に対する結腸転移に適用し、特に、甲
状腺、心臓、腎臓、胎児腎臓、胎児心臓および精巣における発現に適用し、特に
、疾患のある心臓および関連する脈管(詳細には、内皮細胞および脈管平滑筋細
胞)に適用し、特にうっ血性心不全および虚血に適用する。インサイチュハイブ
リダイゼーションは、22045の発現が正常および腫瘍性の肺サンプル(特に
、大きな脈管、マクロファージ、および腫瘍細胞)において中程度から低いこと
を示す。正常な心臓および疾患のある心臓(特に、内皮細胞および脈管平滑筋細
胞)においてポジティブな低い発現も示す。従って、以下に本明細書中に詳細に
開示される使用、試薬および方法は、特に、これらの組織、細胞型および障害に
適用する。
【0035】 (ポリペプチドを使用する方法) 本発明は、サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ、改変体またはフ
ラグメントを使用する方法(限定しないが、細胞、組織、および本明細書中に開
示される障害における使用を含む)を提供する。
【0036】 本発明は、サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼに関連する生物学
的アッセイを提供する。このようなアッセイは、サイクリックホスホジエステラ
ーゼに関連する状態の診断および処置に有用な任意の公知の機能または活性また
は性質を含む。これらには、限定しないが、cAMPおよびcGMPの加水分解
、特定の抗体によって結合される能力、cGMPまたはcAMP結合、およびプ
ロテインキナーゼA相互作用、ならびに本明細書中に開示され、本明細書中に引
用される参考文献において開示される種々の他の性質および機能が挙げられる。
【0037】 本発明は、薬物スクリーニングアッセイを、細胞に基づく系または無細胞系で
提供する。細胞に基づく系は、ネイティブ(すなわち、生検としてホスホジエス
テラーゼを正常に発現するかまたは細胞培養物において増殖される細胞)であり
得る。1つの実施形態において、細胞に基づくアッセイは、ホスホジエステラー
ゼを発現する組換え宿主細胞を含む。従って、これに関して有用である細胞は、
限定はしないが、図5〜7に示されるような、ホスホジエステラーゼを発現する
かまたは示差的に発現する、本明細書中に開示される細胞が挙げられる。これら
には、限定はしないが、心臓、腎臓、精巣から誘導される細胞または組織、動脈
内皮細胞、動脈平滑筋細胞、内胸動脈、肺小細胞癌、乳癌、結腸癌、および肝臓
における結腸転移から誘導される細胞が挙げられる。このような細胞は、天然に
この遺伝子を発現し得るか、あるいは一つ以上のコピーの外来的に誘導されるホ
スホジエステラーゼ配列を含むか、または内因性ホスホジエステラーゼ配列の発
現を調節するように遺伝的に改変された組換え体であり得る。
【0038】 本発明のこの局面は、ホスホジエステラーゼが発現される組織に関係する障害
を有する被験体から誘導される細胞、あるいは本明細書中に開示される障害を含
むがこれらに限定されない障害の被験体の組織から誘導される細胞に関する。こ
れらの障害は、例えば、ヒト被験体の集団において天然に生じ得るか、または例
えば、非ヒトトランスジェニック生物(特に非ヒトトランスジェニック動物)に
おいてインビトロな系またはインビボのようなモデル系で生じ得る。
【0039】 このようなアッセイは、ホスホジエステラーゼタンパク質と相互作用する薬剤
の同定を含み得る。この相互作用は、機能的アッセイ、例えば、エフェクター分
子によって影響される能力(例えば、エフェクターによるリン酸化、または基質
のリン酸化)によって検出され得る。このような相互作用はまた、最終的な生物
学的な効果、例えば、cAMPまたはcGMPのレベルの増加または減少、免疫
/炎症または細胞増殖に対して生物学的効果を有すること、すなわち、第二メッ
センジャーのcAMPおよびcGMPの細胞内レベルを調節する任意の効果によ
って測定され得る。
【0040】 ホスホジエステラーゼと相互作用する試験化合物の能力を決定することはまた
、公知の結合分子(例えば、GMPまたはcAMP)がポリペプチドに結合する
能力と比較して、試験化合物がこのポリペプチドに優先的に結合する能力を決定
する工程を包含し得る。
【0041】 本発明のなお別の局面において、本発明は、開示される組織および障害におい
てホスホジエステラーゼと相互作用するタンパク質を同定するための方法を提供
する。本発明のタンパク質は、ツーハイブリッドアッセイまたはスリーハイブリ
ッドアッセイにおける「ベイト(bait)タンパク質」として使用されて(例
えば、米国特許第5,283,317号;Zervosら、(1993)Cel
l 72:223−232;Maduraら、(1993)J.Biol.Ch
em.268:12046−12054;Bartelら、(1993)Bio
techniques 14:920−924;Iwabuchiら、(199
3)Oncogene 8:1693−1696;およびBrent WO94
/10300を参照のこと)、本発明のタンパク質と結合するかまたは相互作用
し、それらの活性を調節する他のタンパク質(捕捉(captured)タンパ
ク質)を同定し得る。
【0042】 本発明は、ホスホジエステラーゼ活性を調節する化合物を同定するための方法
を提供する。例えば、このような化合物は、cGMPもしくはcAMPへの結合
の親和性もしくは率を増大または減少させるか、ホスホジエステラーゼに対する
結合についてcGMPもしくはcAMPと競合するか、またはホスホジエステラ
ーゼに対するcGMP結合もしくはcAMP結合を置換し得る。ホスホジエステ
ラーゼならびに適切な改変体およびフラグメントの両方を、ハイスループットス
クリーニングにおいて用い、ホスホジエステラーゼに対して結合する能力につい
て候補化合物をアッセイし得る。これらの化合物を、さらに機能的なホスホジエ
ステラーゼに対してスクリーニングして、ホスホジエステラーゼ活性に対するこ
の化合物の影響を決定し得る。所望の程度までホスホジエステラーゼを活性化す
る化合物(アゴニスト)か、または不活性化する化合物(アンタゴニスト)が同
定され得る。調節的方法を、インビトロ(例えば、細胞を因子とともに培養する
ことによって)か、またはインビボ(例えば、因子を被験体に投与することによ
って)で、実行し得る。この被験体は、ヒト被験体、例えば、臨床試験における
被験体、または処置もしくは診断を受けている被験体、あるいは非ヒトトランス
ジェニック被験体(例えば、疾患に関するトランスジェニック動物)であり得る
【0043】 本発明は、ホスホジエステラーゼタンパク質と標的分子(通常、ホスホジエス
テラーゼタンパク質と相互作用する)との間の相互作用を刺激または阻害する能
力について化合物をスクリーニングする方法を提供する。この標的は、サイクリ
ックヌクレオチド、または通常、ホスホジエステラーゼタンパク質と相互作用す
るシグナル伝達経路の別の成分(例えば、プロテインキナーゼAまたはcAMP
もしくはcGMPターンオーバーに関与する他の相互作用因子)であり得る。こ
のアッセイは、ホスホジエステラーゼタンパク質またはフラグメントが標的分子
と相互作用することを可能にする条件下で、ホスホジエステラーゼタンパク質と
候補化合物を合わせ、そしてホスホジエステラーゼタンパク質とこの標的との間
の複合体の形成を検出するか、またはホスホジエステラーゼとこの標的との相互
作用の生物学的な結果(例えば、プロテインキナーゼAリン酸化反応、cAMP
またはcGMPのターンオーバー、およびこの経路の生物学的終点のようなシグ
ナル伝達の任意の関連効果など)を検出する工程を包含する。
【0044】 ホスホジエステラーゼが標的分子に結合する能力を決定することはまた、リア
ルタイムのBiomolecular Interaction Analys
is(BIA)のような技術を用いて達成され得る。Sjolanderら(1
991)Anal.Chem.63:2338〜2345およびSzaboら(
1995)Curr.Opin.Struct.Biol.5:699〜705
.本明細書において用いる場合、「BIA」は、いずれの反応物(例えば、BI
AcoreTM)も標識することなく、リアルタイムで生体特異的相互作用を研
究するための技術である。光学的現象(optical phenomenon
)表面プラズモン共鳴(surface plasmon resornanc
e)(SPR)における変化は、生物学的分子の間のリアルタイム反応の指標と
して用いられ得る。
【0045】 本発明の試験化合物は、当該分野で公知のコンビナトリアルライブラリー法に
おいて任意の多くのアプローチを用いて獲得され得る。このライブラリーとして
は、以下が挙げられる:生物学的ライブラリー、空間的にアドレス可能な平行固
相または液相ライブラリー;デコンボルーションを要する合成ライブラリー方法
;’1ビーズ1化合物’ライブラリー法;およびアフィニティークロマトグラフ
ィー選択を用いる合成ライブラリー法。生物学的ライブラリーアプローチは、ポ
リペプチドライブラリーに限定されるが、他の4つのアプローチは、ポリペプチ
ド、非ペプチドオリゴマー、または化合物の低分子ライブラリーに適用可能であ
る(Lam,K.S.(1997)Anticancer Drug Des.
12:145)。
【0046】 分子ライブラリーの合成のための方法の例は、例えば、DeWittら(19
93)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6909;Er
bら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11
422;Zuckermannら(1994).J.Med.Chem.37:
2678;Choら(1993)Science 261:1303;Care
llら(1994)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2
059;Carellら(1994)Angew.Chem.Int.Ed.E
ngl.33:2061;およびGallopら(1994)J.Med.Ch
e,37:1233において見出され得る。化合物のライブラリーは、溶液中(
例えば、Houghten(1992)Biotechniques 13:4
12〜421)、またはビーズ上(Lam(1991)Nature 354:
82〜84)、チップ(Fodor(1993)Nature 364:555
〜556)、細菌(Ladner USP 5,223,409)、胞子(La
dner USP ’409)、プラスミド(Cullら(1992)Proc
.Natl.Acad.Sci.USA 89:1865〜1869)、または
ファージ上(ScottおよびSmith(1990)Science 249
:386〜390;(Devlin(1990)Science 249:40
4〜406);(Cwirlaら(1990)Proc.Natl.Acad.
Sci.97:6378〜6382);(Felici(1991)J.Mol
.Biol.222:301〜310);(Ladner、前出)において提示
され得る。
【0047】 候補化合物としては、例えば、以下が挙げられる:1)Igテール化融合ペプ
チド、そして無作為ペプチドライブラリー(例えば、Lamら(1991)Na
ture 354:82〜84;Houghtenら(1991)Nature
354:84〜86を参照のこと)、ならびにD−配位アミノ酸および/また
はL配位アミノ酸から作製されたコンビナトリアル化学由来分子ライブラリーの
メンバーを含む、可溶性ペプチドなどのペプチド;2)リンペプチド(例えば、
ランダムおよび部分的に変性した、指向性ホスホペプチドライブラリーのメンバ
ー、例えば、Songyangら(1993)Cell 72:767〜778
、を参照のこと);3)抗体(例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗
体、ヒト化抗体、抗イディオタイプ抗体、キメラ抗体、および単鎖抗体、ならび
にFab、F(ab’)、Fab発現ライブラリーフラグメント、および抗体
のエピトープ結合フラグメント);ならびに4)有機低分子および無機低分子(
例えば、コンビナトリアルライブラリーおよび天然産物ライブラリーから得た分
子)。
【0048】 候補化合物の1つは、cGMPまたはcAMPの結合について競合する可溶性
の全長ホスホジエステラーゼまたはフラグメントである。他の候補化合物として
は、変異体ホスホジエステラーゼまたは適切なフラグメントを含有する変異体(
ホスホジエステラーゼ機能に作用し、それによりcGMPまたはcAMPと競合
する)が挙げられる。従って、cAMPもしくはcGMPと、例えば、より高い
親和性で競合するフラグメント、またはcAMPもしくはcGMPに結合するが
それを加水分解しないフラグメントが、本発明によって包含される。
【0049】 本発明は、ホスホジエステラーゼ活性を調節(刺激または阻害)する化合物を
同定するための他の終点(エンドポイント)を提供する。このアッセイは代表的
に、ホスホジエステラーゼ活性を示す、シグナル伝達経路における事象のアッセ
イを包含する。従って、ホスホジエステラーゼ依存性シグナルカスケードに応答
して上方制御または下方制御される遺伝子の発現がアッセイされ得る。1つの実
施形態において、このような遺伝子の調節領域は、容易に検出可能なマーカー(
例えば、ルシフェラーゼ)に、作動可能に連結され得る。あるいは、ホスホジエ
ステラーゼのリン酸化またはホスホジエステラーゼ標的がまた、測定され得る。
【0050】 ホスホジエステラーゼによって媒介される生物学的または生化学的な機能のい
ずれもが、終点アッセイとして用いられ得る。これらの機能としては、これらの
終点アッセイ標的について参考として援用された、本明細書において引用される
参考文献中の、本明細書において記載される、生化学的、または生化学的/生物
学的事象、および当業者に公知の他の機能の全てが挙げられる。
【0051】 ホスホジエステラーゼの場合、特定の終点としては、cAMPおよびcGMP
の加水分解、ならびにプロテインキナーゼA活性の低下が挙げられ得る。
【0052】 ホスホジエステラーゼ機能についてのアッセイとしては、当該分野で周知であ
り、そして当業者に利用可能なアッセイ、例えば、Soderlingら(Pr
oc.Nat’lAcad Sci.U.S.A.96:7071〜7076(
1999)、例えば第7072頁(cGMP結合アッセイも開示している))に
おいて見出されたアッセイが挙げられるがこれらに限定されない。ホスホジエス
テラーゼ機能についてのアッセイはまた、米国特許第号5,798,246号;
同第5,581,784号;同第5,702,936号(その全てがこれらのア
ッセイについての参考として援用されている)に開示されている。アッセイはま
た、Houslayら(1997)、TIBS 22:217〜224,Blo
omら(1996)、Proc.Natl.Acad.Sci,USA 93:
14188〜14192、Zhuら(1997)J.Biol.Chem.27
2:16152〜16157、およびBeavo(1995)、Physiol
ogical Reviews 75:725〜748(全て、これらのアッセ
イについての参考として援用される)に開示されている。
【0053】 結合する化合物および/または活性化する化合物はまた、キメラホスホジエス
テラーゼタンパク質を用いてスクリーニングされ得る。ここでは、本明細書にお
いて開示されるような、1つ以上のドメイン、部位など、またはその部分が、同
じファミリーの他のホスホジエステラーゼアイソフォーム由来、または任意の他
のホスホジエステラーゼファミリーのホスホジエステラーゼアイソフォーム由来
の、その相同な対応物で置換され得る。例えば、ネイティブなホスホジエステラ
ーゼとは異なるサイクリックヌクレオチド特異性および/または親和性で相互作
用する触媒生領域が用いられ得る。従って、異なるセットのシグナル伝達成分が
、活性についての終点アッセイとして利用可能である。あるいは、異種標的化配
列が、ネイティブの標的化配列を置換し得る。これにより、異なる細胞内配置お
よび細胞局在化合物が生じ、従って結果として、異なるシグナル伝達経路に対し
て影響を有し得る。従って、異なるセットのシグナル伝達成分は、活性化につい
ての終点アッセイとして利用可能である。さらなる代替として、エフェクタータ
ンパク質による改変(例えば、プロテインキナーゼAによるリン酸化)の部位は
、異なるエフェクタータンパク質由来の部位で置換され得る。これはまた、終点
決定について異なるシグナル伝達経路の使用を提供する。活性化はまた、ネイテ
ィブなシグナル伝達経路の一部である、転写調節配列に作動可能に連結された容
易に検出可能なコード領域を含むレポーター遺伝子により検出され得る。
【0054】 本発明は、ホスホジエステラーゼと相互作用する化合物を発見するために設計
された競合結合アッセイを提供する。従って、化合物がポリペプチドに結合する
かさもなければポリペプチドと相互作用することを可能にする条件下で、この化
合物を、ホスホジエステラーゼポリペプチドに曝露する。可溶性ホスホジエステ
ラーゼポリペプチドがまた、この混合物に添加される。この試験化合物が可溶性
ホスホジエステラーゼポリペプチドと相互作用する場合、この試験化合物は、ホ
スホジエステラーゼ標的から形成される複合体の量または活性を減じる。このタ
イプのアッセイは、ホスホジエステラーゼの特定の領域と相互作用する化合物を
見出す場合に特に有用である。従って、標的ホスホジエステラーゼ領域と競合す
る可溶性ポリペプチドは、目的の領域に対応するペプチド配列を含むように設計
される。
【0055】 別のタイプの競合結合アッセイを用いて、特定の機能部位と相互作用する化合
物を発見し得る。例えば、プロテインキナーゼAおよび候補化合物は、ホスホジ
エステラーゼのサンプルに添加され得る。プロテインキナーゼAと同じ部位でホ
スホジエステラーゼと相互作用する化合物は、ホスホジエステラーゼとプロテイ
ンキナーゼAとの間で形成された複合体の量を減じる。従って、ホスホジエステ
ラーゼとプロテインキナーゼAとの間の相互作用を特に妨げる化合物を発見する
ことは可能である。別の例としては、ホスホジエステラーゼのサンプルおよびc
AMPまたはcGMPに対して候補化合物を添加する工程が挙げられる。cAM
PまたはcGMPと競合する化合物は、ホスホジエステラーゼに対するcAMP
またはcGMPの加水分解または結合の量を減じる。従って、ホスホジエステラ
ーゼと直接相互作用し、そしてcAMPまたはcGMPと競合する化合物が、発
見され得る。このようなアッセイは、ホスホジエステラーゼと相互作用する任意
の他の成分を含み得る。
【0056】 無細胞薬物スクリーニングアッセイを実施するために、ホスホジエステラーゼ
、またはフラグメント、またはその標的分子のいずれかを固定して、このタンパ
ク質の1つまたは両方の非複合形態からの複合体の分離を容易にすること、およ
びこのアッセイの自動化を提供することが所望される。
【0057】 マトリクス上にタンパク質を固定するための技術が、薬物スクリーニングアッ
セイにおいて用いられ得る。1つの実施形態において、融合タンパク質がマトリ
クスに結合することを可能にするドメインを付加する融合タンパク質が提供され
得る。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/ホスホジエステラーゼ
の融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chem
ical,St.Louis,MO)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイ
タープレート上に吸着され得、次いでこれは細胞溶解物(例えば、35S−標識
された)および候補化合物と合わせられ、そしてこの混合物は、複合体形成を導
く条件下で(例えば、塩およびpHについて生理学的な条件で)インキュベート
される。インキュベーション後、このビーズを洗浄して、未結合標識を除き、そ
してこのマトリクスを固定し、そしてこの複合体が解離した後、放射性標識を直
接、または上清中で、決定する。あるいは、この複合体を、マトリクスから解離
し、SDS−PAGEによって分離し、そしてビーズフラクション中に見出され
るホスホジエステラーゼ結合タンパク質のレベルを、標準的電気泳動技術を用い
てゲルから定量し得る。例えば、このポリペプチドまたはその標的分子のいずれ
かが、当該分野で周知の技術を用いて、ビオチンおよびストレプトアビジンの結
合体化を利用して固定され得る。あるいは、タンパク質と反応性であるが、この
タンパク質のその標的分子に対する結合を干渉しない抗体は、このプレートのウ
ェルに誘導体化され得、そしてこのタンパク質は、抗体結合体化によってこのウ
ェルにトラッピング(捕獲)され得る。ホスホジエステラーゼ結合標的成分(例
えば、cAMPまたはプロテインキナーゼA)、および候補化合物の調製物を、
ホスホジエステラーゼ提示ウェル中でインキュベートし、そしてこのウェルにト
ラップされた複合体の量を定量し得る。GST固定化複合体について上記された
方法に加えて、このような複合体を検出するための方法としては、ホスホジエス
テラーゼ標的分子と反応性の抗体、またはホスホジエステラーゼと反応性であり
、標的分子と競合する抗体を用いる複合体の免疫検出;およびこの標的分子と関
連する酵素活性を検出する工程に依る酵素結合アッセイが挙げられる。
【0058】 これらのアッセイに従って同定されたホスホジエステラーゼのレベルまたは活
性の活性調節因子を使用して、臨床的に関連する障害の結果における酵素の発現
の調節の効果を試験し得る。これは、インビトロ、インビボ(例えば、ヒトの臨
床試験)、および他の器官から誘導された試験モデル(例えば、非ヒトのトラン
スジェニック被験体)において達成され得る。このような被験体での調節として
は、本明細書中で特に開示される、細胞、組織、および障害の調節が挙げられる
が、これらに限定されない。これらの薬物スクリーニングアッセイに従って同定
されたホスホジエステラーゼ活性の活性調節因子を使用して、本明細書で記載さ
れるようなホスホジエステラーゼを発現する細胞(特に、図5〜7)、および本
明細書において上で引用した文献において開示される障害を処置することによっ
て、ホスホジエステラーゼ経路により媒介された障害を有する被験体を処置し得
る。1実施形態において、処置される細胞は、心臓、腎臓、精巣、および甲状腺
から誘導され、そして調節因子は、これらの組織を含む障害に特に関連する。別
の実施形態において、調節因子は、大動脈内皮細胞、大動脈平滑筋細胞および内
乳動脈の細胞に存在する。従って、この調節因子が特に関連する障害は、これら
の組織を含み得る。この遺伝子はまた、乳癌、肺癌、および結腸癌において過剰
発現され、調節因子はまた、特にこれらの組織に関連する。これらの処置方法は
、このような処置を必要とする被験体に、本明細書で記載されるような薬学的組
成物中のホスホジエステラーゼ活性の調節因子を投与する工程を包含する。
【0059】 脾臓に関連する障害としては、非特異的な、急性膵炎、うっ血性巨脾症、およ
び化膿性梗塞;新生物、先天的奇形、および破裂が挙げられるが、これらに限定
されない。巨脾腫症に関連する障害としては、以下が挙げられる:感染(例えば
、非特異的な膵炎、感染性モノヌクレオシド、結核、腸チフス、ブルセラ症、サ
イトメガロウイルス、梅毒、マラリア、ヒストプラスマ症、トキソプラスマ症、
カラアザール、トリパノソーマ症、住血吸虫症、リーシュマニア症、およびエキ
ノコックス症);部分的な高血圧に関連するうっ血性状態(例えば、肝硬変、門
脈または脾静脈の血栓症、および心不全);リンパ造血障害(例えば、ホジキン
病、非ホジキンリンパ/白血病、多発性骨髄腫、骨髄増殖性障害、溶血性貧血、
および特発性血小板減少性紫斑病);免疫学的炎症状態(例えば、慢性関節リウ
マチ、および全身性エリテマトーデス);蓄積症(例えば、ゴーシェ病、ニーマ
ン‐ピック病、およびムコ多糖体症);ならびに他の状態(例えば、アミロイド
症、一次性新生物および嚢腫、ならびに二次性新生物)。
【0060】 肺に関連する障害としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:先
天性奇形;無気肺;血管性起点の疾患(例えば、肺動脈うっ血および肺水腫(血
流力学肺水腫および微小血管損傷により生じる水腫)、成人呼吸促進症候群(拡
散性肺胞損傷)、肺動脈塞栓症、出血、および梗塞形成、ならびに肺性高血圧お
よび肺性血管硬化症);慢性閉塞性肺疾患(例えば、気腫、慢性気管支炎、気管
支ぜん息、および気管支拡張症);拡散性間質(湿潤性、拘束性)疾患(例えば
、じん肺症、サルコイドーシス、特発性肺線維症、剥離性肺炎、過敏性肺炎、肺
好酸球増加症(好酸球増加症を伴う肺性浸潤)、Bronchiolitis
obliterans器質化肺炎、拡散性肺出血症候群(グッドパスチャー症候
群、特発性肺血鉄症、および他の出血症候群を含む)、コラーゲン血管性障害に
おける肺の関与、および肺胞蛋白症);治療の合併症(例えば、薬物誘導肺疾患
、放射線誘導肺疾患、および肺移植);腫瘍(例えば、気管支原生癌(新生物随
伴症候群を含む)、気管支肺胞腺癌、神経内分泌腫瘍(例えば、気管支カルチノ
イド)、ミスセラネウス(miscellaneous)腫瘍、および転移性腫
瘍);胸膜の病理(炎症性胸水、非炎症性胸水、気胸、および胸膜腫瘍(単発性
線維性腫瘍(胸膜線維腫)および悪性黒色腫))。
【0061】 結腸に関する障害としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:先
天性奇形(閉鎖症および狭窄症、Meckel憩室、先天性神経節細胞欠損巨大
結腸ヒルシュスプルング病);腸炎(例えば、下痢および赤痢)、感染性腸炎(
ウイルス性胃腸炎、細菌性脳炎、壊死性小腸大腸炎、抗生物質関連性大腸炎(偽
膜性腸炎)、ならびにコラーゲン蓄積大腸炎およびリンパ性大腸炎を含む)、ミ
スセラネウス腸管炎症性障害(寄生生物および原生動物亜界を含む)、後天性免
疫不全症候群、移植、薬物誘導腸管障害、放射性腸炎、好中球減少性腸炎(盲腸
炎)、ならびに転換腸炎(diversion colitis);特発性炎症
性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性皮膚病);結腸の腫瘍(例えば、非
潰瘍性ポリープ、腺腫、家族性症候群、結腸直腸発癌、結腸直腸癌、およびカル
チノイド)。
【0062】 肝臓に関連する障害としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
肝性損傷;黄疸および胆汁うっ滞(例えば、ビリルビンおよび胆汁形成);肝不
全および肝硬変(例えば、肝硬変症、門脈圧亢進症(腹水、門脈体静脈吻合、お
よび巨脾腫));感染障害(例えば、ウイルス性肝炎(A〜E型肝炎および他の
肝炎ウイルスによる感染)、臨床病理症候群(例えば、キャリア状態、無症候性
感染、急性肝炎ウイルス、慢性肝炎ウイルス、および劇症肝炎)を含む);薬物
誘導肝臓疾患および毒素誘導肝臓疾患(例えば、アルコール性肝臓疾患);代謝
および小児肝臓疾患(例えば、ヘモクロマトーシス、Wilson疾患、α
抗トリプシン欠乏症、および新生児肝炎);肝臓内胆管疾患(例えば、二次性胆
汁性肝硬変、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、および胆管の奇形);
循環疾患(例えば、肝臓への障害性血流(肝動脈欠損ならびに門脈閉塞および血
栓症を含む)、肝臓を介した障害性血流(受動性うっ血および小葉中心壊死およ
び肝臓紫斑病を含む)、肝静脈流出閉塞(肝静脈血栓症(Budd−Chiar
i症候群)および静脈閉塞疾患を含む));妊娠と関連する肝臓疾患(例えば、
子かん前症および小かん、妊娠の急性脂肪肝、および妊娠の肝臓内胆汁うっ滞)
;器官または骨髄移植の肝臓合併症(例えば、骨髄移植後の薬物毒性、対宿主性
移植片病および肝臓拒絶、および肝臓同種移植片に対する非免疫疾患損傷);腫
瘍および腫瘍状態(例えば、結節過形成、腺腫、および悪性腫瘍(肝臓の原発癌
および転移性癌を含む))。
【0063】 子宮および子宮内膜を含む障害は、以下が挙げられるが、これらに限定されな
い:月経周期の子宮内膜組織学;機能的子宮内膜障害(例えば、無排卵性周期、
不適切な黄体期、経口避妊薬および誘導子宮内膜変化、ならびに閉経期の変化お
よび閉経後の変化);炎症(例えば、慢性子宮内膜症);腺筋症;子宮内膜ポリ
ープ;子宮内膜過形成;悪性腫瘍(例えば、子宮内膜の癌);Mulleria
n混合腫瘍および間葉腫瘍(例えば、Mullerian悪性混合腫瘍);子宮
筋層の腫瘍(平滑筋腫、平滑筋肉腫、および子宮内膜間質部肉腫)。
【0064】 脳に関連する障害は、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ニューロ
ンに関連する障害、およびグリアに関連する障害(例えば、星状細胞、稀突起膠
細胞、上衣細胞、および小グリア細胞);頭蓋内圧およびヘルニア形成から生じ
る脳水腫、ならびに水頭症;奇形および発育疾患(例えば、神経管欠損、前脳奇
形、後窩奇形、および脊髄空洞症および水脊髄症);周期性脳損傷(例えば、低
酸素症、虚血、および梗塞形成に関連する障害(低血圧症、低灌流、および低流
状態(全大脳虚血および局所大脳虚血)、局所血液供給の閉塞からの閉塞症を含
む)、頭蓋内出血(大脳内(実質内)出血、クモ膜下出血および破裂性漿果状動
脈瘤、および大動脈奇形を含む)、高血圧脳血管疾患(窩梗塞、細隙出血、およ
び高血圧性動脈硬化症を含む));感染(例えば、急性髄膜炎(急性化膿(菌)
髄膜炎および急性無菌性(ウイルス)髄膜炎を含む)、急性化膿性感染(脳腫瘍
、硬膜下蓄膿症、および硬膜外蓄膿症を含む)、慢性細菌性髄膜脳炎(結核症お
よびミコバクテリア症を含む)、神経梅毒、および神経ボレリア症(Lyme疾
患)、ウイルス髄膜脳炎(節足動物骨(Arbo)ウイルス脳炎、Herpes
simplexウイルス1型、Herpes simplexウイルス2型、
Varicalla−zosterウイルス(Herpes zoster)、
サイトメガロウイルス、灰白髄炎、狂犬病、およびヒト免疫不全ウイルス1(H
IV−1髄膜脳炎(亜急性脳炎)を含む)、空胞脊髄症、AIDs関連脊髄症、
末梢神経障害、および小児のAIDS、進行性多病巣性白質脳症、亜急性硬化性
汎脳炎、神経系の他の感染疾患);伝達可能海綿状脳障害(プリオン疾患);脱
髄疾患(多発性硬化症、多発性硬化症変異体、急性播種性脳脊髄炎および急性壊
死性出血性脳脊髄炎、および他の脱髄に伴う疾患を含む);変性疾患(例えば、
大脳皮質に影響を与える変性疾患(アルツハイマー病およびPick病を含む)
、脳幹神経節および脳幹の変性疾患(振せん麻痺、特発性パーキンソン病(振せ
ん麻痺))、進行性核上性麻痺、皮質基底変性、多発系萎縮症(線条体黒質、シ
ャイ−ドレーガー症候群、およびオリーブ橋小脳萎縮症、およびハンチントン病
を含む));脊髄小脳変性(脊髄小脳性運動失調(フリートライヒ運動失調、お
よび毛細管拡張性運動失調を含む)、運動神経に影響を与える変性疾患(筋萎縮
側索硬化症(運動ニューロン疾患)、延髄脊髄萎縮症(ケネディ症候群)、およ
び脊髄筋萎縮症を含む));先天性代謝異常(例えば、白質萎縮症(クラッベ病
、異染性白質萎縮症、副腎脳白質ジストロフィー、ペリツェーウス−メルツバッ
ヒャー病、およびキャナヴァン病を含む)、脳心筋炎(リー病および他の脳心筋
炎を含む));中毒性および後天性代謝疾患(ビタミン欠乏(例えば、チアミン
(ビタミンB1)欠乏およびビタミンB12欠乏)を含む)、代謝妨害の神経続
発症(低血糖症、高血糖症、および肝性脳障害を含む)、毒性障害(一酸化炭素
、メタノール、エタノールおよび放射線(メトトレキサートと放射線誘導障害の
組み合わせを含む));腫瘍(例えば、神経膠腫(星状細胞腫(原線維(拡散)
星状細胞腫およびグリア芽細胞腫多形)を含む)、ピロサイト(pilocyt
ic)星状細胞腫、多形性黄色星状膠細胞腫、および脳幹神経膠腫、乏突起膠腫
、および脳室上衣細胞腫および関連室傍質量損傷、神経腫瘍、未分化型新生物(
髄芽腫を含む)、他の実質性腫瘍(原始脳リンパ腫)、グリム細胞腫瘍、および
松果体実質性腫瘍、髄膜腫、転移性腫瘍、新生物随伴症候群、末梢神経鞘腫瘍(
神経鞘腫、神経線維腫、および悪性末梢神経鞘腫瘍(悪性神経鞘腫)を含む)、
および神経皮膚症候群(母斑症)(神経線維腫症(1型神経線維腫症(NF1)
およびTYPE2神経線維腫症(NF2)を含む)を含む)、結節硬化症、およ
びVon Hippel−Lindau病)。
【0065】 T細胞に関与する障害としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない
:細胞媒介性過敏症(例えば、遅延型過敏症)およびT細胞媒介性細胞傷害、お
よび移植片拒絶;自己免疫疾患(例えば、全身性エリテマトーデス、シェーグレ
ン病、全身性硬化、炎症性ミオパシー、混合結合組織病、ならびに結節性多発性
動脈炎ならびに他の脈管炎(vasculitides));免疫不全症候群(
原発性免疫不全(例えば、胸腺発育不全、重症複合型免疫不全、およびAIDS
)を含むが、これらに限定されない);白血球減少症;白血球の反応性(炎症性
)増殖(白血球増加症、急性非特異的リンパ節炎、および慢性非特異的リンパ節
炎を含むが、これらに限定されない);白血球の新形成性増殖(リンパ球性新生
物(例えば、前駆体T細胞新生物(例えば、急性リンパ芽球性白血病/リンパ腫
)、末梢T細胞およびナチュラルキラー細胞の新生物(末梢T細胞リンパ腫、不
特定の(unspecified)成人T細胞白血病/成人T細胞リンパ腫、菌
状息肉腫およびセザリー症候群を含む)ならびにホジキン病)を含むが、これら
に限定されない)。
【0066】 皮膚の疾患としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:色素沈着
およびメラノサイトの障害(白斑、そばかす、黒皮症、ほくろ、母斑細胞性(n
evocellular)母斑、形成異常母斑、および悪性黒色腫を含むが、こ
れらに限定されない);良性上皮腫瘍(脂漏性角化症、黒色表皮症、線維上皮(
fibroepithelial)ポリープ、上皮嚢胞、角化棘細胞腫、および
付属器(付属物)腫瘍を含むがこれらに限定されない);前悪性および悪性の上
皮腫瘍(光線性角化症、扁平上皮癌、基底細胞癌、およびメルケル細胞癌を含む
がこれらに限定されない);真皮の腫瘍(良性線維性組織球腫、隆起性皮膚線維
肉腫、黄色腫、および真皮脈管腫瘍を含むが、これらに限定されない);皮膚へ
の細胞移住物(immigrant)の腫瘍(原因不明性組織球増殖症、菌状息
肉腫(皮膚T細胞リンパ腫)、および肥満細胞症を含むがこれらに限定さらない
);表皮成熟の障害(魚鱗癬を含むがこれに限定されない);急性炎症性皮膚病
(じんま疹、急性湿疹様皮膚炎、および多形性紅斑を含むがこれらに限定されな
い);慢性炎症性皮膚病(乾癬、扁平苔癬およびエリテマトーデスを含むがこれ
らに限定されない);水泡形成(水疱性)疾患(天疱瘡、水疱性類天疱瘡、疱疹
状皮膚炎、および非炎症性水疱形成疾患(表皮水疱症およびポルフィリン症)を
含むがこれらに限定されない);表皮付属器の障害(尋常性挫瘡を含むがこれに
限定されない);皮下脂肪組織炎(結節性紅斑および硬結性紅斑を含むがこれら
に限定されない);ならびに感染およびインフェステーション(例えば、ゆうぜ
い、伝染性軟属腫、膿痂疹、表面(superficial)真菌感染、ならび
に節足動物の刺傷、刺創およびインフェステーション。
【0067】 正常な骨髄において、骨髄球系(多形核細胞)は、細胞要素の約60%を構成
し、そして赤血球系は、20〜30%を構成する。リンパ球、単球、細網細胞、
プラスマ細胞および巨核球はともに、10〜20%を構成する。リンパ球は、正
常な成体骨髄の5〜15%を構成する。骨髄において、細胞型は、赤血球の前駆
体(赤芽球)、マクロファージの前駆体(単芽球)、血小板の前駆体(巨核球)
、多形核白血球の前駆体(骨髄芽球)およびリンパ球の前駆体(リンパ芽球)が
、1つの顕微鏡視野において可視であり得るように、添加混合される。さらに、
異なる細胞系列について幹細胞が存在し、ならびに異なる系列の方向付けられた
前駆細胞についての前駆幹細胞が存在する。各々の種々の型の細胞および段階は
、当業者に公知であり、そして例えば、Immunology、Immunop
athology and Immunity、第5版、Sellら、Simo
nおよびSchuster(1996)(骨髄において見出される細胞型の教示
について参考として援用される)の42頁(図2〜8)に見出される。従って、
本発明は、これらの細胞から生じる障害に関する。これらの障害としては、以下
が挙げられるが、これらに限定されない;造血幹細胞に関する障害;方向付けら
れたリンパ系前駆細胞に関する疾患;リンパ系細胞(B細胞およびT細胞を含む
)に関する疾患;方向付けられた骨髄性前駆細胞(単球、顆粒球、および巨核球
を含む)に関する疾患;ならびに方向付けられた赤血球系前駆細胞に関する疾患
。これらとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:以下を含む白
血病:Bリンパ性白血病、Tリンパ性白血病、未分化白血病;赤白血病、巨核球
性白血病、単球性白血病;[分化を伴う白血病および分化を伴わない白血病が包
含される];慢性および急性のリンパ芽球性白血病、慢性および急性のリンパ性
白血病、慢性および急性の骨髄性白血病、リンパ腫、脊髄形成異常(myelo
dysplastic)症候群、慢性および急性の骨髄性白血病、骨髄単球性
白血病;慢性および急性の骨髄芽球性白血病、慢性および急性の骨髄性白血病、
慢性および急性の前骨髄球性白血病、慢性および急性の骨髄性白血病、単球−マ
クロファージ系統の血液学的悪性疾患(例えば、若年性慢性骨髄性白血病);続
発性AML、前駆体の血液学的障害;不応性貧血;再生不良性貧血;反応性皮膚
血管内皮細胞腫症;樹状細胞における変化した発現に関する線維化障害、全身性
硬化症を含む障害、E‐M症候群、流行性有毒油(epidemic toxi
c oil)症候群、好酸球性筋膜炎、限局性形態の強皮症、ケロイド、および
線維化結腸疾患;血管腫様悪性線維性組織球腫;癌腫(原発性の頭部および頸部
の扁平上皮癌を含む);肉腫(カポージ肉腫を含む);線維腺腫(fibroa
danoma)および葉状腫瘍(乳腺線維腺腫を含む);間質性腫瘍;葉状腫瘍
(組織球腫を含む);赤芽球症;神経線維腫症;脈管内皮の疾患;(特に、古い
損傷における)脱髄疾患;神経膠症、血管原性水腫、脈管疾患、アルツハイマー
病およびパーキンソン病;T細胞リンパ腫;B細胞リンパ腫。
【0068】 心臓に関与する疾患としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:心
不全、(心肥大、左心不全および右心不全が挙げられるがこれらに限定されない
);虚血性心臓病(狭心症、心筋梗塞、慢性虚血性心臓病および心臓突然死を含
むがこれらに限定されない);高血圧性心臓病(全身性(左)高血圧性心臓病お
よび肺(右)高血圧性心臓病を含むがこれらに限定されない);弁心臓病(石灰
化により生じる弁変性(例えば、石灰化大動脈狭窄症、先天的二尖大動弁の石灰
化、および僧帽弁輪状石灰化、および僧帽弁のミクソイド変性(僧帽弁逸脱症)
、リウマチ熱およびリウマチ性心疾患、感染性心内膜炎、および非感染疣贅形成
(例えば、非細菌性血栓性心内膜炎および全身性エリテマトーデスの心内膜炎(
リブマン・ザックス病)、カルチノイド心臓病、および心臓弁の合併症)を含む
がこれらに限定されない);心筋疾患(拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心
筋症、および心筋炎を含むがこれらに限定されない);心膜疾患(心内膜液浸出
および心膜血腫ならびに心膜炎(急性心膜炎および治癒型心膜炎を含む)、なら
びにリウマチ様心臓病を含むがこれらに限定されない);新生物性心臓病(原発
性心臓腫瘍(例えば、粘液腫、脂肪腫、乳頭状弾力線維腫、横紋筋腫、および肉
腫)、ならびに非心臓新生物の心臓効果を含むがこれらに限定されない);先天
性心臓病(左右短絡−−遅発性チアノーゼ(例えば、心房中隔欠損症、心室中隔
欠損症、動脈管および房室中隔欠損症)、右左シャント−−早発性チアノーゼ(
例えば、ファロー四徴症、大動脈転位症、総動脈幹、三尖弁閉鎖症、および総肺
静脈還流異常症)、閉塞性先天性異常(例えば、大動脈の縮窄症、肺動脈弁狭窄
症および肺動脈弁閉鎖症、ならびに大動脈弁狭窄症および大動脈弁閉鎖症)、な
らびに心臓移植に関する障害を含むがこれらに限定されない)。
【0069】 血管に関する障害としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:損傷
に対する脈管細胞壁の応答(例えば、内皮機能不全および内皮活性化および内膜
肥大);脈管疾患(先天性異常(例えば、動静脈瘻)、アテローム性動脈硬化症
、および高血圧性脈管疾患(例えば、高血圧)を含むがこれらに限定されない)
;炎症性疾患−−脈管炎(vasculitides)(例えば、巨細胞性(側
頭)動脈炎、高安動脈炎、結節性多発性動脈炎(古典的)、川崎病(皮膚粘膜リ
ンパ節症候群)、顕微的多発性血管炎(顕微的多発性動脈炎、過敏症もしくは白
血球破砕性血管炎)、ヴェーゲナー肉芽腫症、閉塞性血栓性血管炎(バーガービ
ュルガー病)、他の障害に関連する脈管炎、および感染性動脈炎);レーノー病
;動脈瘤および解離(例えば、腹大動脈瘤、梅毒性(syphilitic(l
uetic))動脈瘤、および大動脈解離(解離性血腫));静脈およびリンパ
管の障害(例えば、拡張蛇行静脈、血栓性静脈炎および静脈血栓症、上大静脈の
閉塞(上大静脈症候群)、下大静脈の閉塞(下大静脈症候群)、ならびにリンパ
管炎およびリンパ水腫;腫瘍(良性腫瘍および腫瘍性状態を含む(例えば、血管
腫、リンパ管腫、グロムス腫瘍(グロムス血管腫)、脈管拡張症、および細菌性
血管腫症状、および中間悪性度(境界低悪性度悪性)腫瘍(例えば、カポージ肉
腫および血管内皮腫)ならびに悪性腫瘍(例えば、血管肉腫および血管周囲細胞
腫);ならびに脈管疾患における治療介入の病理(例えば、バルーン血管形成お
よび関連技術、ならびに脈管置換(例えば、冠状動脈バイパス移植手術))。
【0070】 赤血球に関する障害としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:貧
血(例えば、溶血性貧血(遺伝性球状赤血球症、赤血球酵素欠損に起因する溶血
性疾患:グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ欠損、鎌状赤血球症、サラセ
ミア症候群、発作性夜間血色素尿症、免疫溶血性貧血、および赤血球に対する損
傷から生じる溶血性貧血を含む);ならびに減少した赤血球生成の貧血(巨赤芽
球性貧血(例えば、ビタミンB12欠乏性の貧血)を含む);悪性貧血、および
葉酸欠乏性貧血、鉄欠乏性貧血、慢性疾患の貧血、再生不良性貧血、赤芽球ろう
、ならびに他の形態の骨髄不全。
【0071】 胸腺に関する障害としては、以下が挙げられる:発生障害(例えば、胸腺発育
不全(hypoplasiaまたはaplasia)を伴うディ・ジョージ症候
群;胸腺嚢胞;胸腺発育不全(胸腺内のリンパ小胞の出現を含み、胸腺小胞発育
不全を生じる);ならびに胸腺腫(生殖細胞腫瘍、リンパ腫、ホジキン病および
カルチノイドを含む)。胸腺腫は、良性胸腺腫または被包性胸腺腫、悪性胸腺腫
I型(侵襲性胸腺腫)もしくはII型(胸腺癌と呼ばれる)を含み得る。
【0072】 B細胞に関する障害としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:前
駆体B細胞新生物(例えば、リンパ芽球性白血病/リンパ芽球性リンパ腫)。末
梢B細胞新生物としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:慢性リン
パ性白血病/小リンパ球性リンパ種、濾胞性リンパ腫、びまん性大B細胞リンパ
腫、バーキットリンパ腫、プラスマ細胞新生物、多発性骨髄腫、および関連する
実体、リンパプラスマ細胞リンパ腫(ヴァルデンストレームマクログロブリン血
症)、外套細胞リンパ腫、辺縁層リンパ腫(MALToma)、およびヘアリー
セル白血病。
【0073】 腎臓に関する障害としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:先天
性異常(以下を含むがこれらに限定されない:腎臓の嚢胞病(襄胞性腎形成異常
、常染色体ドミナント(成人)多発性嚢胞腎疾患、常染色体劣性(小児)多発性
襄胞腎疾患を含むがこれらに限定されない)、および腎髄質の襄胞病(髄質海綿
腎を含むがこれらに限定されない)、ならびにネフロン癆−尿毒症腎髄質襄胞症
複合体(nephronophthisis−uremic medullar
y cystic disease complex)、後天性(透析関連)襄
胞病(例えば、単純襄胞);糸球体疾患(糸球体損傷の病理(インサイチュ免疫
複合体沈着を含むがこれらに限定されない)抗GBM腎炎、エイマン腎炎、およ
び移植(planted)抗原に対する抗体、循環免疫複合体腎炎、糸球体細胞
に対する抗体、糸球体腎炎における細胞媒介性免疫、代替的補体経路の活性化、
上皮細胞損傷、および糸球体損傷の媒介物質に関する病理(細胞性媒介物質およ
び可溶性媒介物質を含む)、急性糸球体腎炎(例えば、急性増殖性(溶連菌感染
後性、感染後)糸球体腎炎(溶連菌感染後性糸球体腎炎および非溶連菌性急性糸
球体腎炎、急速進行性(半月体形成性)糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、膜性糸
球体腎炎(膜性ネフロパシー)、微小変化疾患(リポイドネフローゼ)、巣状分
節状糸球体硬化症、膜性増殖性糸球体腎炎、IgA腎症(バージャー病)、巣状
増殖性壊死性糸球体腎炎(巣状糸球体腎炎)、遺伝性腎炎(アルポート症候群お
よび薄膜疾患(良性家族性血尿)を含むがこれらに限定されない)、慢性糸球体
腎炎、全身性疾患に随伴する糸球体損傷(全身性エリテマトーデス、ヘーノホ−
シェーンライン紫斑病、細菌性心内膜炎、糖尿病性糸球体硬化症、アミロイドー
シス、線維性およびimmunotactoid糸球体腎炎、ならびに他の全身
性障害を含むがこれらに限定されない);尿細管および間質に影響する疾患(急
性尿細管壊死および尿細管間質性腎炎(腎盂腎炎および尿路感染、急性腎盂腎炎
、慢性腎盂腎炎および逆流性腎症を含むがこれらに限定されない)、ならびに薬
物および毒素により誘導される尿細管間質性腎炎(鎮痛薬性腎症、非ステロイド
性抗炎症薬に随伴する腎症、ならびに他の尿細管間質性疾患(尿酸腎症、高カル
シウム血症および腎石灰症、および多発性骨髄腫を含むがこれらに限定されない
)を含むがこれらに限定されない);血管の疾患(良性腎硬化症、悪性高血圧お
よび加速性腎硬化症、腎動脈狭窄症、および血栓性細小血管症(古典的(小児)
溶血性尿毒症症候群、成人溶血性尿毒症症候群/血栓性血小板減少性紫斑病、特
発性HUS/TTP、および他の脈管疾患(アテローム性動脈硬化症虚血性腎疾
患、アテローム塞栓症腎疾患、鎌状赤血球疾患腎症、びまん性皮質壊死、および
腎梗塞を含むがこれらに限定されない);尿路閉塞(閉塞性尿路疾患);尿石症
(腎結石(calculi、stone);ならびに腎臓の腫瘍(良性腫瘍(例
えば、腎乳頭腺腫、腎線維腫または過誤腫(腎髄質(renomedullar
y)間質性細胞腫瘍)、血管筋脂肪腫、および膨大細胞腫)、ならびに悪性腫瘍
(腎細胞癌(副腎腫、腎臓の腺癌を含む)(腎盤の尿路上皮癌を含む)を含むが
これらに限定されない)。
【0074】 乳房の障害としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:発生の障
害;炎症(急性乳腺炎、管周辺炎(再発性乳輪下膿瘍、乳管の扁平上皮化生)、
乳管拡張症、脂肪組織壊死、肉芽腫性乳腺炎、およびシリコン乳房移植に関連す
る病理が挙げられるが、これらに限定されない);線維性嚢胞変化;増殖性乳房
疾患(上皮過形成、硬化性腺疾患、および小管乳頭腫が挙げられるが、これらに
限定されない);腫瘍(基質腫瘍(例えば、線維腺腫、葉状腫瘍、および肉腫)
、および上皮腫瘍(例えば、大管乳頭腫)が挙げられるが、これらに限定されな
い);乳房の癌(例えば、インサイチュ(非侵襲性)癌(これはインサイチュで
腺管癌(パジェット病を含む)および上皮内小葉癌を引き起こす)が挙げられる
が、これらに限定されない)、および侵襲性(浸潤性)癌(侵襲性腺管癌、特殊
なタイプではない侵襲性小葉癌、髄様癌、コロイド(粘液性)癌、管状腺癌、お
よび侵襲性乳頭状癌が挙げられるが、これらに限定されない)、および他の悪性
新生物。
【0075】 男性乳房における障害としては、女性化乳房および癌が挙げられるが、これら
に限定されない。
【0076】 精巣および精巣上体に関する障害としては、以下が挙げられるが、これらに限
定されない:先天性異常(例えば、潜伏精巣睾丸症)、後退変化(例えば、萎縮
)、炎症(例えば、非特異的精巣上体炎、および精巣炎)、肉芽腫性(自己免疫
)精巣炎、および特異的炎症(淋病、おたふくかぜ、結核、および梅毒が挙げら
れるが、これらに限定されない)、血管障害(ねじれを含む)、精巣管状腺腫(
生殖細胞腫瘍を含む)(これには、セミノーマ、精母細胞セミノーマ、胎生期癌
、卵黄嚢腫瘍嚢胞癌、奇形腫、および混合腫瘍が挙げられるが、これらに限定さ
れない)、性索痕跡卵巣の腫瘍(ライディヒ(介在性)細胞腫瘍およびセルトー
リ細胞腫(男性ホルモン産生細胞腫)が挙げられるが、これらに限定されない)
、および精巣リンパ腫、ならびに精巣鞘膜のその他の病変。
【0077】 前立腺に関する障害としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
炎症、良性腫脹、例えば、結節性前立腺過形成(良性前立腺肥大または肥厚)、
および癌のような腫瘍。
【0078】 甲状腺に関する障害としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
甲状腺機能亢進症;甲状腺機能低下症(クレチン病および粘液水腫が挙げられる
が、これらに限定されない);甲状腺炎(橋本甲状腺炎、亜急性(肉芽腫性)甲
状腺炎、および亜急性リンパ球(無痛性)甲状腺炎が挙げられるが、これらに限
定されない);グレーヴズ病;びまん性および多結節性甲状腺腫(びまん性非中
毒性(単純性)甲状腺腫および多結節性甲状腺腫が挙げられるが、これらに限定
されない);甲状腺の新形成(アデノーマ、他の良性腫瘍、および癌(これには
、乳頭状癌、濾胞状癌、髄様癌、および未分化癌が挙げられるが、これらに限定
されない)が挙げられるが、これらに限定されない);ならびに先天性異常。
【0079】 骨格筋に関する障害としては、横紋筋肉腫のような腫瘍が挙げられる。
【0080】 膵臓に関する障害としては、以下が挙げられる:外分泌膵臓の障害(例えば、
先天性異常(異所性が挙げられるが、これに限定されない);膵臓炎(急性膵臓
炎が挙げられるが、これに限定されない);嚢腫(偽嚢胞が挙げられるが、これ
に限定されない);腫瘍(嚢腫瘍および膵臓の癌が挙げられるが、これらに限定
されない);ならびに内分泌膵臓の障害(例えば、糖尿病);島細胞腫瘍(イン
スリノーマ、ガストリノーマ、および他の希な島細胞腫瘍)。
【0081】 小腸に関する障害としては以下が挙げられる:吸収不良症候群(例えば、セリ
アックスプルー、熱帯性スプルー(感染後スプルー)、ホウィップル病、ダイサ
ッカリダーゼ(ラクターゼ)欠損症、無β−リポ蛋白血症、および小腸の腫瘍(
アデノーマおよび腺癌が挙げられるが、これらに限定されない))。
【0082】 減少した血小板数に関連する障害である、血小板減少症としては、以下が挙げ
られる:特発性血小板減少性紫斑病(急性特発性血小板減少性紫斑病、薬剤誘発
性血小板減少症、HIV関連血小板減少症、および血栓性細小血管症を含む):
血栓性血小板減少性紫斑病、および溶血性尿毒症症候群。
【0083】 前駆T細胞新形成に関する障害としては、前駆Tリンパ芽球性白血病/リンパ
腫が挙げられる。末梢T細胞に関する障害およびナチュラルキラー新形成として
は、以下が挙げられる:T細胞慢性リンパ球性白血病、大顆粒状リンパ性白血病
、菌状息肉腫およびセザリー症候群、末梢T細胞リンパ腫、特定されていない、
血管免疫芽細胞性T細胞リンパ腫、血管中心(angiocentric)リン
パ腫(NK/T細胞リンパ腫4a)、腸管T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/
リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫。
【0084】 卵巣に関する障害としては、例えば、以下が挙げられる:多嚢胞性卵巣疾患、
スタイン−リーヴェンサール症候群、腹膜偽性粘液腫および間質性卵胞莢膜増殖
症;卵巣腫瘍(例えば、体腔上皮の腫瘍、漿液性腫瘍、ムチン様腫瘍、類内膜腫
瘍、透明細胞腺癌、嚢胞線維腫、ブレンナー腫、胚上皮腫瘍);生殖細胞腫瘍(
例えば、成熟(良性)奇形腫、単胚葉性奇形腫、未熟悪性奇形腫、未分化胚細胞
腫、内胚葉洞腫瘍、絨毛癌);性索吻合部腫瘍(例えば、顆粒卵胞膜細胞腫、莢
膜線維腫、エナメル上皮腫、ヒル(hill)細胞腫瘍、および性腺腫);なら
びに転移性腫瘍(例えば、クルーケンベルク腫)。
【0085】 骨形成細胞としては、前骨芽細胞、骨芽細胞および骨細胞が挙げられる。骨の
障害は複雑である。なぜならこれらの障害は、発生のその任意の段階の間に骨格
に影響を与え得るからである。従って、これらの障害は、変わりやすい症状を有
し、そして身体の骨の1つ、複数または全てを含み得る。このような障害として
は、以下が挙げられる:先天性奇形、軟骨無形成症および小肢症、異常マティッ
クス(matix)に関連する疾患、例えば、1型膠原病、骨粗しょう症、パジ
ェット病、くる病、骨軟化症、高代謝骨形成異常症、形成不全疾患の低代謝、骨
壊死、化膿性骨髄炎、結核性骨髄炎、骨腫、類骨骨腫、骨芽細胞腫、骨肉腫、骨
軟骨腫、軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、軟骨肉腫、線維性皮質欠損症
、線維性形成障害、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、ユーイング肉腫、未分化神
経外胚葉性腫瘍、巨細胞腫、および転移性腫瘍。
【0086】 従って、本発明は、ホスホジエステラーゼの異常な発現または活性によって特
徴付けられる障害を処置するための方法を提供する。一実施形態において、この
方法は、薬剤(例えば、本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイによっ
て同定される薬剤)、またはタンパク質の発現または活性を調節(上方制御また
は下方制御)する薬剤の組み合わせを投与する工程を包含する。別の実施形態に
おいて、この方法は、タンパク質の減少したかまたは異常な発現または活性を補
償する治療として、ホスホジエステラーゼを投与する工程を包含する。
【0087】 処置のための方法としては、可溶性ホスホジエステラーゼ、あるいはcAMP
もしくはcGMP、またはタンパク質キナーゼAと競合するホスホジエステラー
ゼタンパク質のフラグメントの使用が挙げられるが、これらに限定されない。こ
れらのホスホジエステラーゼまたはフラグメントは、有効な競合を提供するよう
に、標的に対するより高い親和性を有し得る。
【0088】 活性の刺激は、タンパク質が異常に下方制御されている状況および/または増
加した活性が有利な効果を有するようである状況において望ましい。同様に、活
性の阻害は、タンパク質が異常に上方制御されている状況および/または減少し
た活性が有利な効果を有するようである状況において望ましい。このような状況
の一例において、被験体は、異常な発生または細胞分化によって特徴付けられる
障害を有する。別の例において、被験体は、増殖性疾患(例えば、癌)または異
常な造血性応答によって特徴付けられる障害を有する。別の実施形態において、
被験体における組織再生を達成することが所望される(例えば、被験体が脳また
は脊髄の損傷を有する場合、調節された様式でニューロン組織を再生することが
望ましい)。
【0089】 本発明はまた、以下を含むがこれらに限定されない疾患またはホスホジエステ
ラーゼによって媒介される疾患に対する素因を診断するための方法を提供する:
ホスホジエステラーゼが本明細書中に開示されるように発現される組織(特に、
心臓、甲状腺、腎臓、精巣、大動脈内皮細胞、大動脈平滑筋細胞、内乳動脈、乳
房、肺および結腸癌、特に肺への結腸転移)に関する疾患。さらに、図6に示さ
れるように、低いポジティブな発現は、うっ血性心不全および虚血と共に、患者
由来の患部心臓組織において起こる。これらの結果を考慮すると、本発明の一実
施形態において、これらの障害は、罹患した心臓におけるホスホジエステラーゼ
遺伝子のレベルまたは活性を調節することによって処置される。発現は特に内皮
細胞および血管平滑筋細胞において見られたため(インサイチュハイブリダイゼ
ーションによって)、処置はこれらの細胞に特に向けられた。同様に、一実施形
態において、診断は、これらの障害に関する細胞および組織に向けられた。上記
のように、処置および診断は、疾患が通常生じるヒト被験体において、およびモ
デル系において、インビトロおよびインビボの両方(例えば、トランスジェニッ
ク動物において)であり得る。
【0090】 従って、方法は、細胞、組織または器官中のホスホジエステラーゼの存在、ま
たはレベルに関する。これらの方法は、生物学的サンプルを、ホスホジエステル
と相互作用し得る化合物と、この相互作用が検出され得るように接触させる工程
を包含する。
【0091】 ホスホジエステルを検出するための1つの薬剤は、ホスホジエステルに選択的
に結合し得る抗体である。生物学的サンプルとしては、被験体から単離された組
織、細胞、および生物学的流体、ならびに被験体内に存在する組織、細胞および
流体が挙げられる。
【0092】 本発明はまた、改変体ホスホジエステラーゼを有する患者において、活性な疾
患、または疾患に対する素因を診断するための方法を提供する。従って、ホスホ
ジエステラーゼは、生物学的サンプルから単離され得、そして異常なタンパク質
を生じる遺伝変異の存在についてアッセイされ得る。これは、アミノ酸置換、欠
失、挿入、再配列(異常なスプライジング現象の結果として)、および不適切な
翻訳後改変を含む。分析方法としては、細胞ベースのアッセイまたは無細胞アッ
セイにおける、変化した電気泳動易動度、変化したトリプシンペプチド消化、変
化したホスホジエステラーゼ活性、cAMPまたはcGMP結合または分解にお
ける変化、タンパク質キナーゼA結合またはリン酸化、または抗体結合パターン
、変化した等電点、直接アミノ酸配列決定、およびタンパク質の変異を一般的に
検出するか、またはホスホジエステラーゼの変異を特異的に検出するために有用
な任意の他の公知のアッセイ技術が挙げられる。
【0093】 ホスホジエステラーゼの検出のためのインビトロ技術としては、酵素連結免疫
吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット、免疫沈降および免疫蛍光が
挙げられる。あるいは、タンパク質は、標識された抗ホスホジエステラーゼ抗体
を被験体に導入することによって、被験体においてインビボで検出され得る。例
えば、抗体は、放射線マーカー(被験体中のその存在および位置が、標準的な画
像化技術によって検出され得る)で標識され得る。被験体において発現されるホ
スホジエステラーゼの対立遺伝子改変体を検出する方法、およびサンプル中のホ
スホジエステラーゼのフラグメントを検出する方法は、特に有用である。
【0094】 本発明はまた限定しないが、ホスホジエステラーゼの発現が示差的な発現を生
じるかまたは示すかのいずれかである、本明細書中で開示された細胞、組織およ
び障害における分析を含む薬理ゲノム分析の方法を提供する。薬理ゲノムは、冒
された人における変化した薬物の性質および異常な作用に起因する薬物応答の臨
床的に顕著な遺伝的バリエーションを取り扱う。例えば、Eichelbaum
,M.(1996)Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.
23(10〜11):983〜985、およびLinder,M.W.(199
7)Clin.Chem.43(2):254〜266を参照のこと。これらの
バリエーションの臨床的結果は、個体の代謝のバリエーションの結果として特定
の個体における治療的薬物の重篤な毒性または特定の個体における薬物の治療的
な失敗を引き起こす。従って、個体の遺伝子型は、治療的な化合物が身体に作用
する様式または身体が化合物を代謝する様式を決定し得る。さらに、薬物代謝酵
素の活性は、薬物作用の強度と持続時間との両方に影響する。従って、個体の薬
理ゲノムは、個体の遺伝子型に基く予防的処置または治療的処置に対する有効な
化合物の選択およびこのような化合物の有効投与量の選択を可能にする。いくつ
かの薬物代謝酵素の遺伝的な多形性の発見は、何人かの患者が、何故、予期され
る薬物効果を得られないか、過剰な薬物効果を示すか、または標準的な薬物投与
量から重篤な毒性を経験するのかを説明してきた。多型性は、広範な代謝体の表
現型および乏しい代謝体の表現型において発現され得る。従って、遺伝的多形性
は、ホスホジエステラーゼの対立遺伝子のタンパク質改変体をもたらし得、ここ
で1つの集団中の1以上のホスホジエステラーゼ機能は、別の集団のものとは異
なる。ポリペプチドは、処置様式に影響し得る遺伝子の素因を確かめるための標
的として使用され得る。従って、cGMPまたはcAMPに基く処置において、
多形性は、より活性であるかまたはより少ない活性である触媒領域を生じ得る。
従って、投薬量は、多形性を含む所定の集団中で治療的な効果を最大にするため
に必然的に改変される。遺伝子型決定の代替として、特定の多形性ポリペプチド
が同定され得る。
【0095】 本発明はまた、臨床試験およびその他の処置の間の治療効果のモニタリングを
提供する。従って、遺伝子発現、タンパク質レベルまたはホスホジエステラーゼ
活性を増加または減少するように設計された薬剤の治療効果は、ホスホジエステ
ラーゼポリペプチドを終点標的として使用する処置の経過にわたってモニターさ
れ得る。例えば、このモニタリングは以下のようであり得る:(i)薬剤の投与
に先立って被験体から投与前サンプルを得る工程;(ii)投与前サンプル中の
タンパク質の発現または活性のレベルを検出する工程;(iii)被験体から1
以上の投与後サンプルを得る工程;(iv)投与後サンプル中のタンパク質の発
現または活性のレベルを検出する工程;(v)投与前サンプル中のタンパク質と
投与後サンプル中のタンパク質の発現または活性のレベルを比較する工程;およ
び(vi)従って、被験体に対する薬剤の投与を増加または減少する工程。
【0096】 (ポリペプチド) 本明細書中で開示される方法および使用は、ポリペプチド試薬およびポリペプ
チド標的に基く。従って、本発明は、ヒトサイクリックヌクレオチドホスホジエ
ステラーゼの使用に基き得る。詳細には、発現配列タグ(EST)はホスホジエ
ステラーゼ配列に対する相同性に基いて選択された。このESTを使用して胎児
精巣cDNAライブラリー由来のcDNAを含み、そして胎児精巣cDNAライ
ブラリー由来のcDNAを同定するために使用される配列に基くプライマーを設
計した。ポジティブクローンは配列決定され、そしてオーバーラップするフラグ
メントが構築された。構築された配列の分析は、クローン化したcDNA分子が
GenBankヒト胎児肺配列AB020593と相同なサイクリックヌクレオ
チドホスホジエステラーゼをコードすることを明らかにした。
【0097】 従って、本発明は図1に示される推定されたアミノ酸配列(配列番号1)を有
するホスホジエステラーゼの発現に関する。
【0098】 「ホスホジエステラーゼポリペプチド」または「ホスホジエステラーゼタンパ
ク質」は配列番号1のポリペプチドを言う。しかし、用語「ホスホジエステラー
ゼタンパク質」または「ホスホジエステラーゼポリペプチド」は、さらに本明細
書中に記載される多数の改変体およびホスホジエステラーゼの全長および改変体
由来のフラグメントを含む。
【0099】 ホスホジエステラーゼが見出される組織および/または細胞には、限定しない
が、図5〜7に示されるものおよび、特に甲状腺、心臓、腎臓、精巣、大動脈の
内皮細胞、大動脈の平滑筋細胞、および内胸動脈が挙げられる。さらに、ホスホ
ジエステラーゼは疾患のある組織で発現される。疾患のある組織として、うっ血
性の心臓不全および虚血を有する患者由来の心臓組織、ならびに乳癌、結腸癌、
および肺癌の組織が挙げられるが、これらに限定されない。発現はノザンブロッ
ト分析により確かめられてきた。インサイチュハイブリダイゼーションの結果は
、正常な肺および肺腫瘍サンプル、特に大きな管、マクロファージ、および腫瘍
細胞において中程度から低い発現を示す。さらに、正常な心臓および疾患のある
心臓における低いポジティブな発現は、内皮細胞および血管の平滑筋細胞におい
て特に示されている。
【0100】 従って、本発明は単離されたホスホジエステラーゼポリペプチドまたは精製さ
れたホスホジエステラーゼポリペプチドならびにこれらの改変体およびフラグメ
ントを利用する。
【0101】 本明細書中で使用される場合、実質的に細胞物質がない場合、組換え細胞およ
び非組換え細胞から単離されるか、または化学的に合成された場合に化学的前駆
体またはその他の化学物質がない場合には、ポリペプチドが「単離された」また
は「精製された」と言われる。しかし、ポリペプチドは、通常細胞中で会合され
ない別のポリペプチドに加わえられ得るが、なお「単離された」または「精製さ
れた」と考えられ得る。
【0102】 ホスホジエステラーゼポリペプチドは、均質に精製され得る。ポリペプチドが
均質に精製されていない調製物が有用であることが理解されるが、ポリペプチド
の単離された形態を含むと考えられる。重要な特徴は、かなりの量の他の成分の
存在下においてさえ、調製物がポリペプチドの所望される機能を可能にさせると
いうことである。従って、本発明は種々の純度を包む。
【0103】 1つの実施形態において、句「実質的に細胞物質のない」は、他のタンパク質
(すなわち、汚染タンパク質)を約30%(乾燥重量による)より少なく、他の
タンパク質を約20%より少なく、他のタンパク質を約10%より少なく、また
は他のタンパク質を約5%より少なく有するホスホジエステラーゼの調製物を含
む。ポリペプチドが組換えで産生される場合、それはまた実質的に培養培地のな
いものであり得る。すなわちタンパク質の調製物の容量の約20%より少ない、
約10%より少ない、または約5%より少ない培養培地を示す。
【0104】 ホスホジエステラーゼポリペプチドはまた、膜調製物の一部である場合、また
は精製され、次いで膜小胞またはリポソームで再構築される場合に単離されたと
考えられる。
【0105】 句「実質的に化学的前駆体または他の化学物質のない」は、その合成に含まれ
る化学的前駆体または他の化学物質から分離されるホスホジエステラーゼポリペ
プチドの調製物を含む。1つの実施形態において、句「実質的に化学的前駆体ま
たは他の化合物のない」は、約30%(乾燥重量で)より少ない化学的前駆体ま
たは他の化学物質、約20%より少ない化学的前駆体または他の化学物質、約1
0%より少ない化学的前駆体または他の化学物質、約5%より少ない化学的前駆
体または他の化学物質を有するポリペプチドの調製物を含む。
【0106】 1つの実施形態において、ホスホジエステラーゼポリペプチドは、配列番号1
に示されるアミノ酸配列を含む。しかし、本発明はまた、配列改変体を含む。改
変体は、生物における同一遺伝子座によりコードされる実質的に相同なタンパク
質を含む。すなわち、対立遺伝子改変体である。
【0107】 改変体はまた、生物体の他の遺伝子座由来であるが配列番号1のホスホジエス
テラーゼに対して実質的に相同性を有するタンパク質も含む。改変体はまた、ホ
スホジエステラーゼと実質的に相同であるが別の生物体由来であるタンパク質を
含む。すなわちオルソログである。改変体はまた、化学合成により生成されるホ
スホジエステラーゼと実質的に相同であるタンパク質を含む。改変体はまた、組
換え方法によって産生されたホスホジエステラーゼと実質的に相同なタンパク質
を含む。しかし、改変体は本発明先立って開示された任意のアミノ酸配列を除外
することが理解される。
【0108】 本明細書中で使用される場合、2つのタンパク質(または、タンパク質の領域
)は、アミノ酸配列が少なくとも約70〜75%、代表的には少なくとも約80
〜85%、および最も代表的には少なくとも約90〜95%以上相同である場合
に実質的に相同である。本発明に従って、実質的に相同なアミノ酸配列は、配列
番号2に示される配列の核酸配列またはその部分に(以下により詳細に記載され
るストリンジェントな条件下で)ハイブリダイズする核酸配列によりコードされ
る。
【0109】 2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性のパーセントを決定するた
め、この配列を最適な比較目的のために整列させる(例えば、最適な整列のため
に第1のアミノ酸および第2のアミノ酸の1つもしくは両方、または核酸配列に
ギャップが導入され得、そして非相同性の配列は、比較目的のためには無視され
得る)。好ましい実施形態において、比較目的のために整列された参照配列の長
さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より
好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、および
さらにより好ましくは少なくとも70%、80%、または90%以上である。次
いで、対応するアミノ酸位置または対応するヌクレオチド位置でアミノ酸残基ま
たはヌクレオチドが比較される。第1の配列位置が、第2の配列において対応す
る位置と同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占領される場合、分子
はその位置で同一である(本明細書中で使用される場合、アミノ酸または核酸の
「同一性」は、アミノ酸または核酸の「相同性」と等価である)。2つの配列間
の同一性のパーセントは、配列によって共有される同一位置の数の関数であり、
2つの配列の最適な整列のために導入されることが必要であるギャップの数およ
び各ギャップの長さを考慮する。
【0110】 本発明はまた、より低い程度の同一性を有するが、ホスホジエステラーゼによ
って行われる1以上の同一の機能を行うには、十分な類似性を有するポリペプチ
ドを含む。類似性は保存的アミノ酸置換によって決定される。このような置換は
、同様な特徴の別のアミノ酸によってポリペプチドの所定のアミノ酸を置換する
ものである。保存的置換は、表現型的にサイレントのようである。代表的には、
保存的置換として見られるのは、脂肪族アミノ酸Ala、Val、Leu、およ
びIleの間のお互いの交換;ヒドロキシ残基のSerおよびThr間の交換、
酸残基のAspおよびGlu間の交換、アミド残基のAsnおよびGln間の置
換、塩基残基のLysおよびArg間の交換および芳香族残基のPhe、Tyr
間の交換である。アミノ酸の交換が表現型的にサイレンとであるような変換に関
するガイダンスは、Bowieら、Science 247:1306〜131
0(1990)に見出される。
【0111】 (表1.保存的アミノ酸置換)
【0112】
【表1】 配列の比較ならびに2つの配列間のパーセント同一性および類似性の決定は、
数学的アルゴリズムを使用して達成され得る(Computational M
olecular Biology,Lesk,A.M.編,Oxford U
niversity Press,New York,1988;Biocom
puting:Informatics and Genome Projec
ts,Smith,D.W.編,Academic Press,New Yo
rk,1993;Computer Analysis of Sequenc
e Data,Part 1,Griffin,A.M.およびGriffin
,H.G.編,Humana Press,New Jersey,1994;
Sequence Analysis in Molecular Biolo
gy,von Heinje,G.,Academic Press,1987
;ならびにSequence Analysis Primer,Gribsk
ov,M.およびDevereux,J.編,M Stockton Pres
s,New York,1991)。
【0113】 このような数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例は、Karlinら(
1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−
5877に記載される。このようなアルゴリズムは、Altschulら(19
97)Nucleic Acids Res.25:3389−3402に記載
のような、NBLASTプログラムおよびXBLASTプログラム(バージョン
2.0)に組み込まれる。BLASTプログラムおよびGapped BLAS
Tプログラムを使用する場合、それぞれのプログラム(例えば、NBLAST)
のデフォルトパラメーターが使用され得る。http://www.ncbi.
nlm.nih.govを参照のこと。1つの実施形態において、配列比較のた
めのパラメーターは、スコア=100、ワード長=12で設定され得るか、また
は変更され得る(例えば、W=5またはW=20)。
【0114】 好ましい実施形態において、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性を、N
eddlemanら(1970)(J.Mol/Biol.48:444−45
3)のアルゴリズムを使用して決定する。このアルゴリズムは、BLOSUM
62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、ならびに16、
14、12、10、8、6または4のギャップ重および1、2、3、4、5また
は6の長さ重を使用して、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラム(
http://www.gcg.comから入手可能)に組み込んだ。なお別の
好ましい実施形態において、2つのヌクレオチド配列間のパーセント同一性を、
NWSgapdna.CMPマトリックス、ならびに40、50、60、70ま
たは80のギャップ重および1、2、3、4、5または6の長さ重を用いて、G
CGソフトウェアパッケージのGAPプログラム(Devereuxら(198
4)Nucleic Acids Res.12(1):387)(http:
//www.gcg.comから入手可能)を使用して決定する。
【0115】 配列比較に使用される数学的アルゴリズムの、別の好ましい、非限定的な例は
、MyersおよびMillerのアルゴリズム、CABIOS(1989)で
ある。このようなアルゴリズムは、CGC配列アライメントソフトウェアパッケ
ージの一部である、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれる
。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを使用する場合、PAM
120の重み残基表(weight residue table)、12のギ
ャップ長ペナルティー、および4のギャップペナルティーを使用し得る。配列分
析のためのさらなるアルゴリズムは、当該分野で公知であり、これらには、To
rellisら(1994)Comput.Appl.Biosci.10:3
−5に記載されるようなADVANCEおよびADAM;ならびにPearso
nら(1988)PNAS 85:2444−8に記載されるFASTAが挙げ
られる。
【0116】 改変体ポリペプチドは、1以上の置換、欠失、挿入、反転、融合および短縮、
またはこれらのいずれかの組み合わせによって、アミノ酸配列において異なり得
る。
【0117】 改変体ポリペプチドは、完全に機能的であり得るか、または1以上の活性にお
いて機能を欠失し得る。従って、この場合、改変は、例えば、保存された触媒領
域、カルボキシ末端調節領域、アミノ末端調節領域、アミノ末端標的化領域、膜
結合に関与する領域、酵素活性化(例えば、リン酸化による)に関与する領域、
および環状ヌクレオチド(例えば、AMP、GMP)依存性シグナル伝達経路の
成分との相互作用に関与する領域、に対応する1以上の領域の機能に影響し得る
【0118】 完全に機能的な改変体は、代表的に、保存的改変あるいは重要でない残基また
は重要でない領域における改変のみを含む。機能的改変体はまた、類似のアミノ
酸の置換を含み得、これは、機能における変化を生じないか、または有意ではな
い変化を生じる。あるいは、このような置換は、ある程度まで、機能にポジティ
ブまたはネガティブに影響し得る。
【0119】 非機能的改変体は、代表的に、1以上の非保存的アミノ酸の置換、欠失、挿入
、反転または短縮、あるいは重要な残基または重要な領域の置換、挿入、反転ま
たは欠失を含む。
【0120】 示されるように、改変体は、天然に存在し得るか、あるいはホスジエステラー
ゼポリペプチドの有用かつ新規な特性を提供するように、組換え手段または化学
合成によって作製され得る。これは、タンパク質凝集を妨げることによる、薬学
的処方物からの免疫原性を妨げることを含む。
【0121】 有用な改変はさらに、触媒活性の変更を含み得る。例えば、1つの実施形態は
、cAMPまたはcGMPを結合するがcAMPまたはcGMPの加水分解を生
じない(または、緩やかな加水分解を生じる)、その結合部位での変更を含む。
結合部位でのさらに有用な改変は、cAMPまたはcGMPに対する親和性の変
更を生じ得る。有用な改変としては、プロテインキナーゼAによる活性化を妨げ
る改変が挙げられる。別の有用な改変は、1以上のドメインまたは小領域が、別
のホスホジエステラーゼのアイソフォームまたはファミリー由来の1以上のドメ
インまたは小領域に、操作的に融合されている、融合タンパク質を提供する。
【0122】 機能に必須のアミノ酸は、当該分野で公知の方法(例えば、部位特異的変異誘
発またはアラニンスキャニング変異(Cunninghamら(1985)Sc
ience 244:1081−1085)によって同定され得る。後者の手順
は、分子中の残基毎に1個のアラニン変異を導入する。次いで、得られた変異体
分子を、生物学的活性(例えば、インビトロでのcAMPまたはcGMP加水分
解、あるいはcGMPまたはcAMP依存性インビトロ活性(例えば、増殖活性
))について試験する。cGMPまたはcAMPあるいはプロテインキナーゼA
結合に重要な部位はまた、結晶化、核磁気共鳴または光親和性標識(Smith
ら(1992)J.Mol.Biol.224:899−904;de Vos
ら(1992)Science 255:306−312)のような構造分析に
よって決定され得る。
【0123】 実質的相同性は、核酸配列またはアミノ酸配列全体に対し得るか、またはこれ
らの配列のフラグメントに対し得る。
【0124】 従って、本発明はまた、ホスホジエステラーゼのポリペプチドフラグメントを
含む。フラグメントは、配列番号1に示されるアミノ酸配列に由来し得る。しか
し、本発明はまた、本明細書中に記載のような、ホスホジエステラーゼの改変体
のフラグメントを包含する。
【0125】 従って、フラグメントは、少なくとも約10、15、20、25、30、35
、40、45、50またはそれ以上連続するアミノ酸を含み得る。フラグメント
は、このタンパク質の1以上の生物学的活性(例えば、cGMPまたはcAMP
に結合するかまたはcGMPまたはcAMPを加水分解する能力)ならびにホス
ホジエステラーゼ抗体を生じる免疫原として使用され得るフラグメントを保持し
得る。
【0126】 生物学的に活性なフラグメント(例えば、5、7、10、12、15、20、
30、35、36、37、38、39、40、50、100またはそれ以上のア
ミノ酸長であるペプチド)は、ドメインまたはモチーフ(例えば、触媒部位、ホ
スホジエステラーゼサイン、ならびにグリコシル化、プロテインキナーゼCリン
酸化、カゼインキナーゼIIリン酸化、チロシンキナーゼリン酸化およびN−ミ
リストイル化に対する部位)を含み得る。さらなる可能なフラグメントは、HD
XXHXXを含む触媒部位またはドメイン、アロステリック結合部位、細胞標的
化または細胞内標的化に重要な部位、他のcGMPまたはcAMP依存性シグナ
ル伝達経路の成分との相互作用に機能的な部位、ならびにアミノ末端またはカル
ボキシ末端調節部位を含む。
【0127】 このようなドメインまたはモチーフは、慣用的なコンピューター相同性検索手
段によって同定され得る。
【0128】 例えば、フラグメントは、5、10、15、20、30、40、50、または
100アミノ酸までを含むように、その機能的部位から一方向または両方向に伸
び得る。さらに、フラグメントは、上記の特異的ドメインのサブフラグメントを
含み得、このサブフラグメントは、それらが由来するドメインの機能を保持する
【0129】 これらの領域は、コンピューター相同性分析を含む周知の方法によって同定さ
れ得る。
【0130】 本発明はまた、免疫原性特性を有するフラグメントを提供する。これらは、ホ
スホジエステラーゼおよび改変体のエピトープ保有部分を含む。これらのエピト
ープ保有ペプチドは、ホスホジエステラーゼのポリペプチドあるいは領域または
フラグメントに特異的に結合する抗体を惹起するために有用である。これらのペ
プチドは、少なくとも10、12、少なくとも14、または少なくとも約15〜
約30の間のアミノ酸を含み得る。
【0131】 抗体を生成するために使用され得る抗原性ポリペプチドの非限定的な例として
は、細胞外部位由来のペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。高い抗
原性指数を有する領域を、図3に示す。しかし、細胞内ポリペプチド領域を認識
する、細胞内で作製された抗体(「イントラボディ(intrabodies)
」)もまた含まれる。
【0132】 エピトープ保有ホスホジエステラーゼポリペプチドは、任意の従来の手段(H
oughten,R.A(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.
USA 82:5131−5135)によって産生され得る。同時の複数のペプ
チド合成は、米国特許第4,631,211号に記載される。
【0133】 フラグメントは、別個(他のアミノ酸またはポリペプチドに融合されていない
)であり得るか、または大きいポリペプチド内にあり得る。さらに、いくつかの
フラグメントは、単一の大きいポリペプチド内に含まれ得る。1つの実施形態に
おいて、宿主における発現のために設計されたフラグメントは、ホスホジエステ
ラーゼフラグメントのアミノ末端に融合された異種プレポリペプチド領域または
プロポリペプチド領域、およびそのフラグメントに融合されたカルボキシル末端
に融合されたさらなる領域を有し得る。
【0134】 従って、本発明は、キメラタンパク質または融合タンパク質を提供する。これ
らは、ホスホジエステラーゼに実質的に相同でないアミノ酸配列を有する異種ペ
プチドに操作的に連結されたホスホジエステラーゼペプチド配列を含む。「操作
的に連結された」とは、このホスホジエステラーゼペプチドおよび異種ペプチド
が、インフレームで融合されていることを示す。異種ペプチドは、ホスホジエス
テラーゼのN末端またはC末端に融合され得るか、または内部に位置付けされ得
る。
【0135】 1つの実施形態において、融合タンパク質は、それ自体で、ホスホジエステラ
ーゼ機能に影響しない。例えば、融合タンパク質は、GST融合タンパク質であ
り得、ここで、このホスホジエステラーゼ配列は、GST配列のN末端またはC
末端に融合されている。他の型の融合タンパク質としては、酵素融合タンパク質
(例えば、β−ガラクトシダーゼ融合体)、酵母ツーハイブリッドGAL−4融
合体、ポリHis融合体およびIg融合体が挙げられるが、これらに限定されな
い。このような融合タンパク質(特に、ポリHis融合体)は、組換えホスホジ
エステラーゼの精製を容易にし得る。特定の宿主細胞(例えば、哺乳動物細胞)
において、タンパク質の発現および/または分泌は、異種シグナル配列を使用し
て増加され得る。従って、別の実施形態において、これらの融合タンパク質は、
そのN末端に異種シグナル配列を含む。
【0136】 EP−A−O 464 533は、免疫グロブリン定常領域の種々の部分を含
む融合タンパク質を開示する。Fcは、治療および診断において有用であり、従
って、例えば、薬物動態学的特性の改良を生じる(EP−A 0232 262
)。例えば、薬物発見において、ヒトタンパク質は、アンタゴニストを同定する
ための高処理能力スクリーニングアッセイの目的でFc部分と融合された(Be
nnettら(1995)J.Mol.Recog.8:52〜58(1995
)およびJohansonら,J.Biol.Chem.270:9459〜9
471)。従って、本発明はまた、ホスホジエステラーゼポリペプチドおよび種
々のサブクラスの免疫グロブリン(IgG、IgM、IgA、IgE)の重鎖ま
たは軽鎖の定常領域の種々の部分を含有する可溶性融合タンパク質を利用する。
融合がヒンジ領域で生じる場合の、ヒトIgG(特にIgG1)の重鎖の定常部
分が、免疫グロブリンとして好ましい。いくつかの使用について、融合タンパク
質がその意図された目的のために使用された後に(例えば、融合タンパク質が免
疫化のための抗原として使用される場合に)、取り除かれることが望ましい。特
定の実施形態では、Fc部分は、切断配列による単純な方法で取り除かれ得、こ
れも、組み込まれそして因子Xaで切断され得る。
【0137】 キメラタンパク質または融合タンパク質は、標準的な組換えDNA技術により
生成され得る。例えば、異なるタンパク質配列についてコードするDNAフラグ
メントは、従来技術に従ってインフレームで一緒に連結される。別の実施形態で
は、融合遺伝子は、自動DNA合成機を含む従来技術により合成され得る。ある
いは、遺伝子フラグメントのPCR増幅が、アンカープライマーを使用して行わ
れ得、アンカープライマーは、2つの連続した遺伝子フラグメント間に相補突出
を生じさせ、この遺伝子は、引き続きアニーリングおよび再増幅されてキメラ遺
伝子配列を生成し得る(Ausubelら(1992)Current Pro
tocols in Molecular Biologyを参照のこと)。さ
らに、既に融合部分(例えば、GST部分)をコードする多くの発現ベクターが
市販されている。ホスホジエステラーゼをコードしている核酸は、融合部分がホ
スホジエステラーゼにインフレームで連結されるように、このような発現ベクタ
ーへクローン化され得る。
【0138】 融合タンパク質の別の形態は、ホスホジエステラーゼ機能に直接的に影響する
形態である。従って、ホスホジエステラーゼポリペプチドは、本発明により包含
され、ここでは、1以上のホスホジエステラーゼドメイン(またはそれらの部分
)は、別のホスホジエステラーゼファミリー由来の相同ドメイン(またはそれら
の部分)により置換されている。従って、種々の順列が可能である。例えば、ア
ミノ末端調節ドメインまたはその部分領域は、別のアイソフォームまたはホスホ
ジエステラーゼファミリー由来のドメインまたは部分領域で置換され得る。さら
なる例として、触媒ドメインまたはその部分が置換され得;カルボキシ末端ドメ
インまたは部分領域が置換され得る。従って、キメラホスホジエステラーゼが形
成され得、ここでは、1以上のネイティブなドメインまたは部分ドメインが別の
ドメインまたは部分ドメインによって置換されている。
【0139】 さらに、キメラホスホジエステラーゼタンパク質が生成され得、ここでは、1
以上の融合部分が異なるアイソフォームに由来するか、または別のホスホジエス
テラーゼファミリーに由来する。しかし、部位は哺乳動物ゲノム中に存在するホ
スホジエステラーゼファミリーに由来し得るが、これが未だに発見されてもまた
は特徴付けられてもいないことが理解される。このような部位としては、触媒部
位、アミノ末端調節部位、カルボキシ末端調節部位、細胞の部分および細胞の位
置に対して標的化するために重要な部位、環状AMP依存性シグナル伝達経路お
よび環状GMP依存性シグナル伝達経路の成分との相互作用のために機能的な部
位、プロテインキナーゼAリン酸化部位、グリコシル化部位および本明細書中に
開示される他の機能的部位が挙げられるが、これらに限定されない。
【0140】 単離されたホスホジエステラーゼは、ホスホジエステラーゼを天然に発現する
細胞から(例えば、図5〜7および/または具体的には本明細書中上記に開示さ
れる細胞から)精製され得るか(とりわけ、特にホスホジエステラーゼ(組換え
)を発現するように変更された細胞から精製され得る)、または公知のタンパク
質合成法を使用して合成され得る。
【0141】 1つの実施形態では、このタンパク質は、組換えDNA技術により生成される
。例えば、ホスホジエステラーゼポリペプチドをコードする核酸分子は、発現ベ
クターへクローン化され、この発現ベクターが、宿主細胞へ導入され、そしてタ
ンパク質がその宿主細胞中で発現される。次いで、このタンパク質は、標準的な
タンパク質精製技術を使用する適切な精製スキームにより細胞から単離され得る
【0142】 ポリペプチドは、しばしば、20個の天然に存在するアミノ酸と通常いわれる
20個のアミノ酸以外のアミノ酸を含む。さらに、多くのアミノ酸(末端のアミ
ノ酸を含む)は、天然のプロセス(例えば、プロセシングおよび他の翻訳後修飾
)によるか、または当該分野で周知の化学的改変技術により改変され得る。ポリ
ペプチドにおいて天然に生じる通常の改変は、基本書、詳細な論文および研究文
献に記載され、そしてこれらは、当業者に周知である。
【0143】 従って、このポリペプチドはまた、置換されたアミノ酸残基が遺伝コードによ
りコードされるアミノ酸ではないか、置換基が含まれるか、成熟ポリペプチドが
別の化合物(例えば、ポリペプチドの半減期を増加させる化合物(例えば、ポリ
エチレングリコール))と融合されるか、またはさらなるアミノ酸(例えば、リ
ーダー配列もしくは分泌配列または成熟ポリペプチドもしくはプロプロテイン配
列の精製のための配列)が成熟ポリペプチドに融合される、誘導体またはアナロ
グを包含する。
【0144】 公知の改変としては、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化
、フラビンの共有結合的付加、ヘム部分の共有結合的付加、ヌクレオチドまたは
ヌクレオチド誘導体の共有結合的付加、脂質または脂質誘導体の共有結合的付加
、ホスファチジルイノシトールの共有結合的付加、架橋、環化、ジスルフィド結
合形成、ジメチル化、共有結合架橋の形成、システインの形成、ピログルタメー
トの形成、ホルミル化、γカルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成
、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分
解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノン化(seleno
ylation)、硫酸化、タンパク質へのアミノ酸の転移RNA媒介性付加(
例えば、アルギン化(arginylation))およびユビキチン化が挙げ
られるが、これらに限定されない。
【0145】 このような改変は、当業者に周知であり、そして特定の文献に非常に詳細に記
載されている。例えば、いくつかの特定の通常の改変(グリコシル化、脂質付加
、硫酸化、グルタミン酸残基のγ−カルボキシル化、ヒドロキシル化およびAD
P−リボシル化)は、ほとんどの基本書(例えば、Proteins−Stru
cture and Molecular Properties,第2版,T
.E.Creighton,W.H.Freeman and Company
,New York(1993))に記載される。この目的についての多くの詳
細な概説が、例えば、Wold,F.,Posttranslational
Covalent Modification of Proteins,B.
C.Johnson編,Academic Press,New York 1
〜12(1983);Seifterら(1990)Meth.Enzymol
.182:626〜646、およびRattanら(1992)Ann.N.Y
.Acad.Sci.663:48〜62により利用可能である。
【0146】 また周知であるように、ポリペプチドは常に全体的に直線状ではない。例えば
、ポリペプチドは、ユビキチン化の結果として分枝され得、そしてポリペプチド
は、概して翻訳後の事象(天然のプロセシング事象および天然には存在しないヒ
トの操作により行われる事象を含む)の結果として分枝を有するかまたは有さな
い環状であり得る。環状ポリペプチド、分枝ポリペプチド、および環状分枝ポリ
ペプチドは、非翻訳の天然プロセスにより、および合成法により合成され得る。
【0147】 改変は、ポリペプチドのどこにおいても生じ得、これらとしては、ペプチド骨
格、アミノ酸側鎖およびアミノ末端もしくはカルボキシ末端が挙げられる。共有
結合改変による、ポリペプチド中のアミノ末端もしくはカルボキシ末端またはそ
の両方の妨害は、天然に存在するポリペプチドおよび合成ポリペプチドにおいて
共通である。例えば、タンパク質分解プロセシングの前にE.coli中で作製
されるポリペプチドのアミノ末端残基は、ほとんどいつもN−ホルミルメチオニ
ンである。
【0148】 改変は、タンパク質が作製される方法の機能であり得る。例えば、組換えポリ
ペプチドについて、改変は、宿主細胞の翻訳後修飾能力およびポリペプチドのア
ミノ酸配列の改変シグナルにより決定される。従って、グリコシル化が所望され
る場合、ポリペプチドは、グリコシル化宿主(一般に、真核生物細胞)中で発現
されるべきである。昆虫細胞はしばしば、哺乳動物細胞と同じ翻訳後グリコシル
化を行い、この理由から、昆虫細胞発現系は、グリコシル化のネイティブなパタ
ーンを有する哺乳動物タンパク質を効果的に発現するように開発されてきた。同
様の考察が、他の改変に当てはまる。
【0149】 同じ型の改変が、所定のポリペプチド中のいくつかの部位において、同じ程度
または種々の程度で存在し得る。また、所定のポリペプチドは、1を超える型の
改変を含み得る。
【0150】 (抗体を使用する方法) 本明細書中で開示される抗体を使用する方法は、図5〜7に示され、そしてさ
もなければ本明細書中上記に議論されるように、細胞、組織および障害に適用可
能である。
【0151】 本発明は、ホスホジエステラーゼならびにその改変体およびフラグメントに選
択的に結合する抗体を使用する方法を提供する。抗体は、その抗体がまた、ホス
ホジエステルと実質的に相同ではない他のタンパク質とも結合する場合でさえも
、選択的に結合すると考えられる。これらの他のタンパク質は、ホスホジエステ
ラーゼのフラグメントまたはドメインと相同性を共有する。特定の領域における
この保存は、相同性配列により両方のタンパク質に結合する抗体を生じる。この
場合、ホスホジエステラーゼに結合する抗体がなお選択的であることが理解され
る。
【0152】 本発明は、標準的な技術(例えば、アフィニティークロマトグラフィーまたは
免疫沈降)によりホスホジエステラーゼを単離するために抗体を使用する方法を
提供する。この抗体は、ホスホジエステラーゼを天然に発現する細胞およびホス
ホジエステラーゼを組換え的に産生する細胞からのホスホジエステラーゼの精製
を容易にし得る。
【0153】 抗体は、細胞または組織におけるホスホジエステラーゼの存在を検出して、生
物における種々の組織の間および正常な発生的な過程にわたるホスホジエステラ
ーゼの発現のパターンを決定するために使用され得る。
【0154】 この抗体は、発現の存在度およびパターンを評価するために、インサイチュ、
インビトロ、または細胞溶解産物もしくは上清中のホスホジエステラーゼを検出
するために使用され得る。
【0155】 この抗体は、発生の間の異常な組織分布または異常な発現を評価するために使
用され得る。
【0156】 全長ホスホジエステラーゼの環化フラグメントの抗体検出は、ホスホジエステ
ラーゼのターンオーバーを同定するために使用され得る。
【0157】 さらに、抗体は、疾患状態における(例えば、疾患の活性段階におけるか、ま
たはホスホジエステラーゼ機能に関連する疾患に関する素因を有する固体におけ
る)ホスホジエステラーゼ発現を評価するために使用され得る。疾患が不適切な
組織分布、不適切な発生的な発現またはホスホジエステラーゼタンパク質の発現
の不適切なレベルにより引き起こされる場合、抗体は、正常なホスホジエステラ
ーゼタンパク質に対して調製され得る。疾患が、ホスホエステラーゼにおける特
定の変異により特徴づけられる場合、変異体タンパク質に特異的な抗体が、特定
の変異体ホスホジエステラーゼの存在についてアッセイするために使用され得る
。しかし、細胞内で作製される抗体(「イントラボディー(intrabodi
y)」)も包含され、これは、細胞内ホスホジエステラーゼペプチド領域を認識
する。
【0158】 抗体はまた、生物における種々の組織中の細胞における正常および異常な細胞
の部分の極在化を評価するために使用され得る。抗体は、ホスホジエステラーゼ
全体またはホスホジエステラーゼの部分に対して生じ得る。
【0159】 診断的使用が、遺伝子検査だけではなく、処置の様式をモニターする際にも適
用され得る。従って、処置が、ホスホジエステラーゼ発現レベルまたは異常なホ
スホジエステラーゼの存在および異常な組織分布もしくは発生的な発現を修正す
ることを究極的に目的とする場合、ホスホジエステラーゼまたは関連するフラグ
メントに対する抗体が、治療効率をモニターするために使用され得る。
【0160】 従って、抗体は、例えば、所定の処置レジメンの効率を決定するために、臨床
的試験手順の一部として組織におけるタンパク質レベルをモニターするために診
断上使用され得る。
【0161】 さらに、抗体は、薬物ゲノム(pharmacogenomic)分析に、お
いて有用である。従って、多型ホスホエステラーゼに対して調製された抗体を使
用して、改変された処置モダリティーを必要とする個体を同定し得る。
【0162】 抗体はまた、電気泳動易動度、等電点、トリプシンペプチド消化、および当業
者に公知の他の物理的アッセイによって分析される異常なホスホジエステラーゼ
についての免疫原性マーカーとして、診断手順において使用され得る。
【0163】 これらの抗体はまた、組織型決定のために有用である。従って、ホスホジエス
テラーゼが特定の組織で発現される場合、このホスホジエステラーゼに特異的な
抗体が組織型を決定するために使用され得る。
【0164】 これらの抗体はまた、ホスホジエステラーゼ機能を阻害する(例えば、cGM
PまたはcAMP、プロテインキナーゼA、あるいは触媒部位の結合のブロッキ
ング)ために有用である。
【0165】 これらの使用はまた、処置がホスホジエステラーゼ機能を阻害することに関連
する治療内容において適用され得る。抗体が、機能のために必要とされる部位を
含む特定のフラグメントに対して、またはインタクトなホスホジエステラーゼに
対して、調製され得る。
【0166】 完全なヒト抗体は、ヒト患者の治療的処置のために特に所望され得る。ヒト抗
体を生成するためのこの技術の総説については、Lonbergら(1995)
Int Rev.Immunol.13:65−93を参照のこと。ヒト抗体お
よびヒトモノクローナル抗体を産生するためのこの技術の詳細な議論およびこの
ような抗体を生成するためのプロトコルについては、例えば、米国特許第5,6
25,126号;同第5,633,425号;同第5,569,825号;同第
5,661,016号;および同第5,545,806号。
【0167】 本発明はまた、生物学的サンプルにおいて、ホスホジエステラーゼタンパク質
の存在を検出するために抗体を使用するキットを包含する。このキットはまた、
以下を含み得る:標識された抗体または標識可能な抗体のような抗体、および生
物学的サンプル中のホスホジエステラーゼを検出するために化合物または薬剤;
サンプル中のホスホジエステラーゼの量を決定するための手段;ならびにサンプ
ル中のホスホジエステラーゼの量を標準と比較するための手段。この化合物また
は薬剤は、適切な容器内にパッケージングされる得。このキットはさらに、ホス
ホジエステラーゼを検出するめに、このキットを使用するための説明書を含み得
る。
【0168】 (抗体) 上記の抗体の使用方法は、ホスホジエステラーゼあるいはその改変体またはフ
ラグメントに特異的に結合する抗体の生成に基づく。
【0169】 抗体を生成するために、単離されたホスホジエステラーゼポリペプチドを免疫
原として使用して、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体調製のための標準
的技術を使用して抗体を生成する。全長タンパク質または抗原性ペプチドフラグ
メントのいずれかが、使用され得る。高い抗原性指標を有する領域が、図3に示
される。
【0170】 抗体が、好ましくは、これらの領域またはこれらの領域の別個のフラグメント
から調製される。しかし、抗体は、本明細書に記載されるようにペプチドの任意
の領域から調製され得る。好ましいフラグメントは、cAMPまたはcGMPの
加水分解または結合を減少または完全に防止する抗体を生成する。抗体は、本明
細書に記載される、ホスホジエステラーゼ全体またはホスホジエステラーゼのド
メインに対して開発され得る。抗体はまた、本明細書に記載される、特定の機能
部位に対して開発され得る。
【0171】 抗原性ペプチドは、少なくとも12、14、15または30のアミノ酸残基の
連続する配列を含み得る。1つの実施形態において、フラグメントは、タンパク
質の表面に位置する領域(例えば、親水性領域)に対応する。しかし、これらの
フラグメントは、任意のフラグメント(これらは、本発明の前に、開示され得る
)を包含するとは解釈されない。
【0172】 抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであり得る。インタクトな抗体
、またはそのフラグメント(例えば、FabまたはF(ab’))が使用され
得る。
【0173】 検出は、抗体を、検出可能な物質に結合する(物理的に連結する)ことによっ
て容易にされ得る。検出可能な物質の例としては、種々の酵素、補欠分子団、蛍
光物質、発光物質、生体発光物質および放射性物質が挙げられる。適切な酵素の
例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラ
クトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが挙げられる;適切な補欠分
子団複合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオ
チンが挙げられる;適切な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン(umbe
lliferon)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ロ
ーダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフ
ィコエリトリンが挙げられる;発光物質の例としては、ルミノールが挙げられる
;生物発光物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリ
ンが挙げられ、そして適切な放射性物質の例としては、125I、131I、 SまたはHが挙げられる。
【0174】 適切な免疫原性調製物は、ネイティブのペプチド、組換え的に発現されたペプ
チド、または化学合成されたペプチド由来であり得る。
【0175】 (このポリヌクレオチドを使用するための方法) ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドについての、本明細書中以下に記載さ
れる方法および使用は、図5〜7に示されそして本明細書中の上に具合的に記載
された、細胞、組織および障害に特に適用可能である。
【0176】 本発明を実施するために有用な核酸フラグメントは、アッセイ(本明細書中に
記載されるもの)におけるプローブまたはプライマーを提供する。「プローブ」
は、塩基特異的な様式で、核酸の相補鎖にハイブリダイズするオリゴヌクレオチ
ドである。このようなプローブは、ポリペプチド核酸(Neilsenら(19
91)Science 254:1497−1500に記載されるようなもの)
を含む。代表的に、プローブは、高度にストリンジェントな条件下で、配列番号
2に示される核酸配列の少なくとも約15、代表的には約20〜25、より代表
的には約40、50または75の連続するヌクレオチド、およびその相補鎖にハ
イブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。より代表的に、このプローブ
は、標識(例えば、放射性同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子)をさ
らに含む。
【0177】 本明細書中で使用される場合、用語「プライマー」は、周知の方法(例えば、
PCR、LCR)(本明細書に記載されるものを含むが、これらに限定されない
)を使用するテンプレート指向的DNA合成の開始の点として作用する一本鎖オ
リゴヌクレオチドをいう。プライマーの適切な長さは、特定の使用に依存するが
、典型的に、約15〜30ヌクレオチドの範囲にある。用語「プライマー部位」
は、プライマーがハイブリダイズする標的DNAの範囲をいう。用語「プライマ
ー対」は、増幅される核酸配列の5’末端とハイブリダイズする5’(上流)プ
ライマーおよび増幅される配列の相補体とハイブリダイズする3’(下流)プラ
イマーを含むプライマーの組をいう。
【0178】 ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドは、生物学的アッセイにおいてプロー
ブまたはプライマーとして、利用され得る。
【0179】 ポリヌクレオチドが、ホスホジエステラーゼ特性または機能(本明細書中の記
載されるアッセイにおけるようなもの)を評価するために使用される場合、全c
DNAの全てまたは大部分が有用であり得る。ホスホジエステラーゼ機能に特異
的に指向するアッセイ(例えば、アゴニストまたはアンタゴニスト活性を評価す
ること)は、既知のフラグメントの使用を包含する。さらに、ホスホジエステラ
ーゼ機能を評価するための診断方法がまた、任意のフラグメント(本発明の前に
公知であったであろうフラグメントを含む)を用いて実施され得る。同様に、ホ
スホジエステラーゼ機能不全の処置に関する方法において、当該分野で公知であ
ろうフラグメントを含む全てのフラグメントが、包含される。
【0180】 本発明は、cDNAおよびゲノムDNAについてのハイブリダイゼーションプ
ローブとしてホスホジエステラーゼポリヌクレオチドを使用して、改変体ポリペ
プチドをコードする全長cDNAおよびゲノムクローンを単離し、そして配列番
号1に示されるのと同じポリペプチドを産生する改変体または本明細書中に記載
される他の改変体に対応するcDNAおよびゲノムクローンを単離する。この方
法は、本明細書中に開示される細胞、組織、および障害において発現される異変
体遺伝子およびcDNAを単離ために有用である。
【0181】 プローブは、ホスホジエステラーゼをコードする遺伝子の全長に沿う任意の配
列に対応し得る。従って、それは、5’非コード領域、コード領域、および3’
非コード領域由来であり得る。
【0182】 核酸プローブは、例えば、配列番号2の全長cDNAまたはそのフラグメント
(例えば、少なくとも12、15、30、50、100、250または500ヌ
クレオチド長であり、そしてストリンジェントな条件下で、mRNAまたはDN
Aに特定にハイブリダイズするに十分なオリゴヌクレオチドなど)であり得る。
【0183】 これらのポリヌクレオチドのフラグメントはまた、本明細書中に記載される、
より大きなフラグメントまたは全長ポリヌクレオチドを合成するために使用され
得る。例えば、フラグメントは、mRNAの任意の部分にハイブリダイズされ得
、そしてより大きなcDNAまたは全長cDNAが産生され得る。
【0184】 フラグメントはまた、所望の長さおよび配列のアンチセンス分子を合成するた
めに使用され得る。
【0185】 処置および診断において有用であるアンチセンス核酸が、配列番号2のヌクレ
オチド配列を使用して設計され得、そして当該分野で公知の手順を使用する化学
合成および酵素的連結反応を使用して構築され得る。例えば、アンチセンス核酸
(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)が、天然に存在するヌクレオチド
または種々に改変されたヌクレオチドを使用して化学的に合成され得、この種々
に改変されたヌクレオチドは、分子の生物学的安定性を増加させるように、また
はアンチセンス核酸とセンス核酸との間に形成される二重鎖の物理的安定性を増
加させるように設計される(例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジ
ン置換ヌクレオチドが使用され得る)。アンチセンス核酸を生成するために使用
され得る改変ヌクレオチドの例としては、以下が挙げられる:5−フルオロウラ
シル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキ
サンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシル
メチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5
−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラク
トシルクエオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグア
ニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、
2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニ
ン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミ
ノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルクエオシン、5’−メトキシ
カルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イ
ソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ウイブトキソシン(
wybutoxosine)、プソイドウラシル、クエオシン、2−チオシトシ
ン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5
−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−
オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N
−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)wおよび2,6−ジアミノ
プリン。あるいは、アンチセンス核酸が、核酸がアンチセンス方向でサブクロー
ニングされた発現ベクターを使用して、生物学的に生成され得る(すなわち、挿
入された核酸から転写されたRNAは、目的の標的核酸に対してアンチセンス方
向である)。
【0186】 さらに、本発明を実施するに有用な核酸分子は、塩基部分、糖部分またはホス
フェート骨格において改変されて、例えば、安定性、ハイブリダイゼーションま
たは分子の溶解性を改善し得る。例えば、核酸のデオキシリボースホスフェート
骨格が、ペプチド核酸を生成するために改変され得る(Hyrupら(1996
)Bioorganic & Medicinal Chemistry 4:
5を参照のこと)。本明細書中で使用される場合、用語「ペプチド核酸」または
「PNA」は、核酸模倣物(例えば、DNA模倣物)をいい、ここで、デオキシ
リボースホスフェート骨格は、プソイドペプチド骨格によって置換され、そして
4つの天然の核酸塩基のみが保持される。PNAの中性の骨格は、低いイオン強
度の条件下でDNAおよびRNAへの特異的なハイブリダイゼーションを可能に
することが見出されている。PNAオリゴマーの合成は、以下に記載されるよう
な標準的な固相ペプチド合成プロトコルを使用して実施され得る:Hyrupら
(1996),前出;Perry−O’Keefeら(1996)Proc.N
atl.Acad.Sci.USA 93:14670。PNAは、例えば、親
油性または他のヘルパー基をPNAに付着することによって、PNA−DNAキ
メラの形成によって、またはリポソームまたは当該分野で公知の薬物送達の他の
技術の使用によって、それらの安定性、特異性または細胞取り込みを増強するた
めに、さらに改変され得る。PNA−DNAキメラの合成は、以下に記載される
ように実施され得る:Hyrup(1996),前出,Finnら(1996)
Nucleic Acids Res.24(17):3357−63,Mag
ら(1989)Nucleic Acids Res.17:5973,および
Peterserら(1975)Bioorganic Med.Chem.L
ett.5:1119。
【0187】 本発明を実施するために有用な核酸分子およびフラグメントはまた、以下のよ
うな他の付属の基を含み得る:ペプチド(例えば、インビボで宿主細胞ホスホジ
エステラーゼを標的化するため)、または細胞膜(例えば、Letsinger
ら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.86:6
553〜6556;Lemaitreら、1987、Proc.Natl.Ac
ad.Sci.84:648〜652;PCT公開番号WO88/0910を参
照のこと)、または血液脳関門(例えば、PCT公開番号WO89/10134
を参照のこと)を横切る輸送を容易にする因子。さらに、オリゴヌクレオチドは
、ハイブリダイゼーション誘発切断剤(例えば、Krolら、1988、Bio
Techniques 6:958〜976を参照のこと)、またはインターカ
レーター剤(例えば、Zon,1988、Pharm.Res.5:539〜5
49を参照のこと)で改変され得る。
【0188】 このホスホジエステラーゼポリヌクレオチドはまた、PCRのプライマーとし
て使用されて、ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドの任意の所定の領域を増
幅し得る。
【0189】 このホスホジエステラーゼポリヌクレオチドはまた、組換えベクターを構築す
るために用いられ得る。このようなベクターとしては、ホスホジエステラーゼポ
リペプチドの一部または全てを発現する発現ベクターが挙げられる。ベクターと
してはまた、別のポリヌクレオチド配列に(例えば、細胞内ゲノムに)組み込ん
で、ホスホジエステラーゼ遺伝子および遺伝子産物のインサイチュ発現を改変す
るために用いられる挿入ベクターが挙げられる。例えば、内因性のホスホジエス
テラーゼコード配列は、相同組換えにより、1以上の特異的に導入された変異を
含むコード領域の全てまたは一部と置換され得る。
【0190】 ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドはまた、ホスホジエステラーゼタンパ
ク質の抗原性部分を発現するために用いられ得る。
【0191】 ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドはまた、インサイチュハイブリダイゼ
ーション法(例えば、FISH)により、ホスホジエステラーゼポリヌクレオチ
ドの染色体位置を決定するためのプローブとして使用され得る。(この技術の総
説については、Vermaら(1988)Human Chromosomes
:A Manual of Basic Techniques(Pergam
on Press,New York)および体細胞ハイブリッドのPCRマッ
ピングを参照のこと)。染色体へのこの配列のマッピングは、特に、転座および
/または増幅が生じた場合、これらの配列と疾患に関連する遺伝子とを相関させ
ることにおいて重要である。
【0192】 染色体マッピングのための試薬は、単一の染色体またはその染色体上の単一の
部位に個々に印をつけるために用いられ得るか、あるいは試薬のパネルは、複数
部位および/または複数染色体に印を付けるために用いられ得る。この遺伝子の
非コード領域に対応する試薬は、実際に、マッピング目的に好ましい。コード配
列は、遺伝子ファミリー内に保存され、従って、染色体マッピングの間に交差ハ
イブリダイゼーションの機会が増加される可能性がより高い。
【0193】 一旦配列が正確な染色体位置にマッピングされると、この配列の染色体上の物
理的位置は、遺伝子マップデータと相関され得る。(このようなデータは、例え
ば、Johns Hopkins University Welch Med
ical Libraryを通してオンラインで入手可能なV.McKusic
k,Mendelian Inheritance in Manに見出される
)。次いで、遺伝子と、同じ染色体領域にマッピングされた疾患との間の関係は
、例えば、Egelandら((1987)Nature 325:783−7
87)に記載される連鎖分析(物理的に隣接した遺伝子の同時遺伝)によって同
定され得る。
【0194】 さらに、特定の遺伝子と関連した疾患に罹患した個体と、この疾患に罹患して
いない個体との間のDNA配列の差異が決定され得る。罹患した個体のいくらか
または全てにおいて変異が認められるが、非罹患個体のいずれにおいても変異が
認められない場合、この変異は特定の疾患の候補薬剤である可能性が高い。罹患
個体と非罹患個体の比較は、一般に、染色体における構造的変化(例えば、染色
体スプレッドから可視であるか、またはそのDNA配列に基づいたPCRを用い
て検出可能な欠失または転座)を最初に探すことを包含する。最終的に、いくら
かの個体に由来する遺伝子の完全な配列決定を行って、変異の存在を確認し、か
つ多型と変異を区別し得る。
【0195】 ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドプローブはまた、組織分布に関するホ
スホジエステラーゼをコードする遺伝子の存在のパターン、例えば、遺伝子が2
つ存在すること(duplication)が生じるか否かおよび2つの遺伝子
の存在が組織中の全ての細胞または細胞のサブセットのみで生じるか否かを決定
するために用いられ得る。この遺伝子は、天然に存在し得るか、または細胞、組
織、または生物に外因的に導入されたものであり得る。
【0196】 このホスホジエステラーゼポリヌクレオチドはまた、本明細書中に記載のポリ
ヌクレオチドをコードする遺伝子から生成されたmRNAの全てまたは一部に対
応するリボザイムを設計するために用いられ得、このリボザイムは、障害を処置
または診断するために有用であるか、他には、この核酸の発現を調節するために
有用である。
【0197】 ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドはまた、ホスホジエステラーゼポリペ
プチドの一部または全てを発現するベクターを作製するために使用され得る。
【0198】 このホスホジエステラーゼポリヌクレオチドはまた、ホスホジエステラーゼの
ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの一部または全てを発現する宿主細胞を構
築するために用いられ得る。
【0199】 このホスホジエステラーゼポリヌクレオチドはまた、ホスホジエステラーゼの
ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの一部または全てを発現するトランスジェ
ニック動物を構築するために用いられ得る。
【0200】 このホスホジエステラーゼポリヌクレオチドはまた、ホスホジエステラーゼ核
酸発現のレベルを決定するためのハイブリダイゼーションプローブとして使用さ
れ得る。従って、このプローブは、細胞、組織および生物においてホスホジエス
テラーゼ核酸の存在を検出するか、またはこの核酸のレベルを決定するために用
いられ得る。DNAまたはRNAレベルが決定され得る。プローブは、所定の細
胞、組織、または生物における遺伝子コピー数を評価するために用いられ得る。
これは、ホスホジエステラーゼ遺伝子の増幅が存在した細胞に特に関連する。
【0201】 あるいは、このプローブは、染色体外エレメント上にある場合、またはホスホ
ジエステラーゼ遺伝子が通常は見出されない染色体へ組み込まれた場合(例えば
、均質に染色された領域の場合)に、ホスホエステラーゼ遺伝子の余分のコピー
の位置を評価するために、インサイチュハイブリダイゼーションの状況において
使用され得る。
【0202】 これらの用途は、正常な発現に対してホスホジエステラーゼ発現における増加
または減少を伴う障害、例えば、増殖性障害、分化障害または発生障害、あるい
は造血性障害(図5〜7に示される細胞および組織におけるもの、そうでなけれ
ば、本明細書中で特に議論されるもの)の診断に関連する。従って、1つの実施
形態において、障害としては、心臓の疾患(例えば、うっ血性心不全および虚血
)ならびに肺、胸部および結腸の癌腫が挙げられる。
【0203】 従って、本発明は、ホスホジエステラーゼ核酸の異常な発現または活性に関連
する疾患または障害を同定するための方法を提供する。ここで、試験サンプルは
、被験体から得られ、そして核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)が検出さ
れる。ここでこの核酸の存在は、この核酸の異常な発現または活性と関連する疾
患または障害を有する被験体または発症する危険性のある被験体を診断する。
【0204】 本発明の1つの局面は、個体が異常な核酸発現または活性と関連した疾患また
は障害を有しているか否か、あるいは個体がこれらの疾患または障害を発症する
危険性があるか否かを決定するために、生物学的サンプル(例えば、血液、血清
、細胞、組織)の状況における核酸発現および活性を決定するための診断アッセ
イに関する。このようなアッセイは、予後目的または予測目的で使用されて、そ
れによりこの核酸分子の発現または活性により特徴付けられる障害、あるいはこ
れらの発現または活性と関連する障害の発生の前に、個体が予防的に処置され得
る。
【0205】 mRNAの検出のためのインビトロ技術としては、ノザンハイブリダイゼーシ
ョンおよびインサイチュハイブリダイゼーションが挙げられる。DNAを検出す
るためのインビトロ技術としては、サザンハイブリダイゼーションおよびインサ
イチュハイブリダイゼーションが挙げられる。
【0206】 プローブは、例えば、被験体由来の細胞サンプル中のホスホジエステラーゼコ
ード核酸(例えば、mRNAまたはゲノムDNA)のレベルを測定することによ
り、あるいはホスホジエステラーゼ遺伝子が変異したか否かを決定することによ
り、ホスホジエステラーゼを発現する細胞または組織を同定するための診断試験
キットの一部として用いられ得る。
【0207】 核酸発現アッセイは、ホスホジエステラーゼ核酸発現を調節する化合物(例え
ば、アンチセンス、ポリペプチド、ペプチド模倣物、低分子もしくは他の薬物)
を同定するための薬物スクリーニングに有用である。細胞を、候補化合物と接触
させ、そしてmRNAの発現を決定する。候補化合物の存在下でのmRNAの発
現のレベルを、候補化合物の非存在下でのmRNAの発現のレベルと比較する。
次いで、この候補化合物を、この比較に基づいた核酸発現のモジュレーターとし
て同定し得、そして例えば、異常な核酸発現によって特徴付けられる障害を処置
するために使用し得る。このモジュレーターは、例えば、核酸発現に影響を与え
る他の細胞成分と相互作用することにより、核酸に結合し得るか、または発現を
間接的に調節し得る。
【0208】 調節方法は、インビトロで(例えば、細胞を薬剤とともに培養することにより
)行われ得るか、あるいは患者またはトランスジェニック動物においてインビボ
で(例えば、この遺伝子を被験体に投与することにより)行われ得る。
【0209】 従って、本発明は、ホスホジエステラーゼ遺伝子の発現と関連する障害を処置
するために使用され得る化合物を同定するための方法を提供する。この方法は、
代表的には、この化合物がホスホジエステラーゼ核酸の発現を調節する能力をア
ッセイし、このようにして過剰なまたは欠損したホスホジエステラーゼ核酸発現
により特徴付けられる障害を処置するために用いられ得る化合物を同定する工程
を包含する。
【0210】 このアッセイは、細胞ベースの系および無細胞系(例えば、本明細書中に記載
の組織を使用する系)において行われ得、ここでこの遺伝子が発現されるか、あ
るいはこの遺伝子は、本発明が関連する障害についてのモデル系である。細胞ベ
ースのアッセイは、ホスホジエステラーゼ核酸を天然に発現する細胞または特定
の核酸配列を発現するように遺伝子操作した組換え細胞を含む。
【0211】 あるいは、候補化合物は、患者またはトランスジェニック動物においてインビ
ボでアッセイされ得る。
【0212】 ホスホジエステラーゼ核酸発現のアッセイは、核酸レベル(例えば、mRNA
レベル)の直接アッセイを含み得、またはシグナル経路(例えば、cAMPまた
はcGMPターンオーバー)に関与する副化合物(collateral co
mpound)に対して行われる。さらに、ホスホジエステラーゼシグナル経路
に応答してアップレギュレートされるか、またはダウンレギュレートされる遺伝
子の発現もまた、アッセイされ得る。この実施形態において、これらの遺伝子の
調節領域は、ルシフェラーゼのようなレポーター遺伝子に作動可能に連結され得
る。
【0213】 従って、ホスホジエステラーゼ遺伝子発現のモジュレーターは、細胞が候補化
合物と接触され、そしてmRNAの発現が決定される方法において同定され得る
。候補化合物の存在下でのホスホジエステラーゼmRNAの発現のレベルを、候
補化合物の非存在下でのホスホジエステラーゼmRNAの発現のレベルと比較す
る。次いで、この候補化合物を、この比較に基づいた核酸発現のモジュレーター
として同定し得、そして例えば、異常な核酸発現によって特徴付けられる障害を
処置するために使用し得る。mRNAの発現が、候補化合物の非存在下よりその
存在下において統計的に有意に多い場合、この候補化合物は、核酸発現の刺激剤
として同定される。核酸発現が、候補化合物の非存在下よりその存在下において
統計的に有意に少ない場合、この候補化合物は、核酸発現のインヒビターとして
同定される。
【0214】 従って、本発明は、標的としての核酸とともに、ホスホジエステラーゼ核酸発
現を調節するための遺伝子モジュレーターとして薬物スクリーニングにより同定
された化合物を使用する、処置方法を提供する。調節は、アップレギュレーショ
ン(すなわち、活性化または作動化(agonization))もしくはダウ
ンレギュレーション(抑制もしくは拮抗化(antagonization))
の両方を含むか、あるいは核酸活性に対する効果(例えば、核酸が変異したか、
または不適切に改変された場合)を含む。処置は、この核酸の異常な発現または
活性により特徴付けられる障害の処置である。
【0215】 この遺伝子は、図5〜7に示される組織、特に甲状腺、心臓、腎臓、精巣、大
動脈内脾細胞、大動脈平滑筋細胞、内胸動脈ならびにうっ血性心不全および虚血
に関与する組織および細胞、ならびに肺、結腸および胸部癌腫に関与する組織お
よび細胞に伴う障害の処置に特に関連する。
【0216】 あるいは、ホスホジエステラーゼ核酸の発現のためのモジュレーターは、薬物
または小分子がホスホジエステラーゼ核酸の発現を阻害する限り本明細書中に記
載されるスクリーニングアッセイを使用して同定される小分子または薬物であり
得る。
【0217】 ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドはまた、臨床試験または処置レジメン
におけるホスホジエステラーゼ遺伝子の発現または活性に対する調節化合物の効
果をモニタリングするために有用である。従って、遺伝子の発現パターンは、こ
の化合物(特に患者が耐性を生じ得る化合物)を用いる処置の継続する効果に対
するバロメーターとして役に立ち得る。遺伝子の発現パターンはまた、化合物に
対する冒された細胞の生理学的応答を示すマーカーとしても役に立ち得る。従っ
て、このようなモニタリングは、この化合物の投与の増加または患者が耐性にな
っていない代替の化合物の投与のいずれかを可能にする。同様に、核酸の発現の
レベルが所望のレベル以下に低下する場合、化合物の投与は、同様に減少し得る
【0218】 例えば、モニタリングは以下のようであり得る:(i)この薬剤の投与に先だ
って、被験体から投与前サンプルを得る工程;(ii)投与前サンプル中の本発
明の詳述されたmRNAまたはゲノムDNAの発現のレベルを検出する工程;(
iii)被験体から1以上の投与後サンプルを得る工程;(iv)投与後サンプ
ルのmRNAまたはゲノムDNAの発現または活性のレベルを検出する工程;(
v)投与後サンプル中のmRNAまたはゲノムDNAと投与前サンプル中のmR
NAまたはゲノムDNAの発現または活性のレベルを比較する工程;および(v
i)従って、被験体に対する薬剤の投与を増加または減少する工程。
【0219】 ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドは、ホスホジエステラーゼ核酸の質的
変化、特に病理学的症状をもたらす質的変化に対する診断アッセイにおいて使用
され得る。ポリヌクレオチドを使用してホスホジエステラーゼ遺伝子および遺伝
子発現産物(例えば、mRNA)における変異を検出し得る。ポリヌクレオチド
は、ホスホジエステラーゼ遺伝子の天然に生じる遺伝的変異を検出するためのハ
イブリダイゼーションプローブとして使用され得、そしてそれによって、変異を
有する被験体が変異に起因する障害に対して危険があるかないかを決定し得る。
変異として、遺伝子における1以上のヌクレオチドの欠失、付加、または置換、
染色体の再配列(逆位または転位など)、ゲノムDNAの改変(例えば、異常な
メチル化のパターンまたは遺伝子コピー数の変化(例えば、増幅))が挙げられ
る。機能障害に関するホスホジエステラーゼ遺伝子の変異形態の検出は、疾患が
ホスホジエステラーゼの過剰発現、過少発現、または変化した発現に起因する場
合、活性な疾患または疾患に対する感受性についての診断手段を提供する。
【0220】 ホスホジエステラーゼ遺伝子の変異は、種々の技術により核酸レベルで検出さ
れ得る。ゲノムDNAは、直接分析され得るか、または分析に先だってPCRを
使用することにより増幅され得る。RNAまたはcDNAが同じ方法で使用され
得る。
【0221】 特定の実施形態において、変異の検出として、アンカーPCRもしくはRAC
E PCRのようなポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、米国特許第4,
683,195号および同第4,683,202号を参照のこと)におけるプロ
ーブ/プライマーの使用、またあるいは、ライゲーション連鎖反応(LCR)(
例えば、Landegranら(1988)Science 241:1077
〜1080;およびNakazawaら(1994)PNAS 91:360〜
364を参照のこと)におけるプローブ/プライマーの使用が挙げられる。後者
は、遺伝子の点変異を検出するために特に有用であり得る(Abravayaら
(1995)Nucleic Acids Res.23:675〜682を参
照のこと)。この方法は、患者から細胞のサンプルを収集する工程、サンプルの
細胞から核酸(例えば、ゲノム、mRNAまたはその両方)を単離する工程、核
酸サンプルと、遺伝子と特異的にハイブリダイズする1以上のプライマーとを遺
伝子(存在する場合)のハイブリダイゼーションおよび増幅が生じるような条件
下で接触させる工程、および増幅産物の存在もしくは非存在を検出する工程、ま
たは増幅産物の大きさを検出し、そしてコントロールサンプルとその長さを比較
する工程を包含する。欠失および挿入は、正常な遺伝子型と比較した増幅産物の
大きさの変化によって検出され得る。点変異は、増幅したDNAと正常なRNA
またはアンチセンスDNA配列をハイブリダイズすることによって同定され得る
【0222】 PCRおよび/またはLCRが、本明細書中に記載された変異の検出に対して
使用される任意の技術と共に予備的な増幅工程として使用することが望まれ得る
【0223】 代替の増幅方法として以下が挙げられる:自己維持配列複製(Guatell
iら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:18
74〜1878)、転写増幅系(Kwohら(1989)Proc.Natl.
Acad.Sci.USA 86:1173〜1177)、Qベータレプリカー
ゼ(Lizardiら(1988)Bio/Thechnology 6:11
97)、またはその他の任意の核酸増幅方法、次いで当業者に周知の技術を使用
する増幅分子の検出。これらの検出スキームは、このような分子が非常に少ない
数で存在する場合に核酸分子の検出に対して特に有用である。
【0224】 あるいは、例えば、ゲル電気泳動により検出される制限酵素の消化パターンに
おける変化により、ホスホジエステラーゼ遺伝子における変異が直接同定され得
る。
【0225】 さらに、配列特異的リボザイム(米国特許第5,498,531号)は、リボ
ザイム切断部位の発生または損失による特定の変異の存在を記録するために使用
され得る。
【0226】 完全にマッチした配列は、ヌクレアーゼ切断消化アッセイまたは融解する温度
における差異によりミスマッチ配列と区別され得る。
【0227】 特定の位置における配列の変化はまた、ヌクレアーゼ保護アッセイ(例えば、
RNアーゼ保護およびS1保護)または化学的切断方法により評価され得る。
【0228】 さらに、変異ホスホジエステラーゼ遺伝子と野生型遺伝子との間の配列の違い
は、直接的なDNA配列決定により決定され得る。種々の自動化された配列決定
手順は、診断アッセイが行われる場合に利用され得((1995)Biotec
hniques 19:448)、質量分析による配列決定を含む(例えば、P
CT国際公開番号WO94/16101;Cohenら(1996)Adv.C
hromatogr.36:127〜162;およびGriffinら(199
3)Appl.Biochem.Biotechnol.38:147〜159
)を参照のこと)。
【0229】 遺伝子の変異を検出するためのその他の方法として、切断剤からの保護を使用
してRNA/RNA二重鎖またはRNA/DNA二重鎖におけるミスマッチ塩基
を検出する方法(Myersら(1985)Science 230:1242
);Cottonら(1988)PNAS 85:4397;Saleebaら
(1992)Meth.Enzymol.217:286〜295)、変異型核
酸および野生型核酸の電気泳動移動度を比較する方法(Oritaら(1989
)PNAS 86:2766;Cottonら(1993)Mutat.Res
.285:125〜144;およびHayashiら(1992)Genet.
Anal.Tech.Appl.9:73〜79)、および勾配のある変性剤を
含むポリアクリルアミドゲル中の変異型フラグメントまたは野生型フラグメント
の移動が変性勾配ゲル電気泳動を使用してアッセイされる方法(Myerら(1
985)Nature 313:495)が挙げられる。アッセイの感度は、R
NA(むしろDNAよりも)を使用することにより増強され得、ここで二次構造
は、配列における変化に対してより感受性である。1つの実施形態において、本
方法は、電気泳動移動度における変化に基く二本鎖化したヘテロ二重鎖分子を分
離するヘテロ二重鎖分析を使用する(Keenら(1991)Trends G
enet.7:5)。点変異を検出するためのその他の技術の例として、選択的
オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅、および選択的プライ
マー伸長が挙げられる。
【0230】 他の実施形態において、遺伝子の変異は、サンプルおよびコントロール核酸(
例えば、DNAまたはRNA)を何百または何千のオリゴヌクレオチドプローブ
を含む高密度アレイにハイブリダイズすることにより同定され得る(Croni
nら(1996)Human Mutation 7:244〜255;Koz
alら(1996)Nature Medicine 2:753〜759)。
例えば、遺伝子変異は、前出のCroninらに記載される光生成DNAプロー
ブを含む二次元アレイ中で同定され得る。簡単には、プローブの第1のハイブリ
ダイゼーションアレイは、連続したオーバーラッププローブの直線アレイを作製
することによって配列間の塩基の変化を同定するためにサンプルとコントロール
におけるDNAの長いストレッチを介するスキャンに使用され得る。この工程は
、点変異の同定を可能にする。この工程に続いて第2のハイブリダイゼーション
アレイが使用され、これは検出される変異体または変異の全てに相補的なより小
さくて専門化したプローブアレイを使用することによる特定の変異の特徴付けを
可能にする。各々の変異アレイは、類似のプローブのセット(野生型遺伝子に相
補的なものおよび変異遺伝子に相補的な他のもの)から構成される。
【0231】 ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドはまた、必ずしも疾患を引き起こさな
いが、にもかかわらず処置様式に影響する遺伝子型について個体を試験するため
に使用され得る。従って、ポリヌクレオチドは、個体の遺伝子型と処置のために
使用される化合物に対する個体の応答との間の関係(遺伝子薬理学的関係(ph
armacogenomic relationship))を研究するために
使用され得る。この場合、例えば、cAMPまたはcGMPに対する親和性を変
化させるホスホジエステラーゼ遺伝子における変異は、cAMPまたはcGMP
を標準的な濃度で含有する薬物の効果を過剰にするか、または減少させ得る。従
って、本明細書で記載されるホスホジエステラーゼポリヌクレオチドは、処置の
ための適切な化合物または投薬レジメンを選択するために個体中の遺伝子変異の
含有量を評価するために使用され得る。
【0232】 従って、処置に影響する遺伝子バリエーションを提示するポリヌクレオチドは
、個体の処置に合わせるために使用され得る診断の標的を提供する。従って、こ
れらの多型を含む組換え細胞および動物の産生は、処置化合物および投薬レジメ
ンの有効な臨床設計を可能にする。
【0233】 この方法は、コントロール被験体からコントロールの生物学的サンプルを得る
工程、コントロールサンプルとmRNAまたはゲノムDNAの検出を可能にする
化合物または薬剤を接触させる(その結果、mRNAまたはゲノムDNAの存在
は、生物学的サンプル中で検出される)工程、そしてコントロールサンプル中の
mRNAまたはゲノムDNAの存在と試験サンプル中のmRNAまたはゲノムD
NAの存在を比較する工程、を包含し得る。
【0234】 ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドはさらに、ポリヌクレオチド試薬(例
えば、特定の組織を同定するためのインサイチュハイブリダイゼーション技術に
使用され得る、例えば標識プローブまたは標識可能プローブ)を提供するために
使用され得る。これは、法医学的病理学者が未知の起源の組織を用いて提示され
る場合に有用である。ホスホジエステラーゼプローブのパネルは種および/また
は器官型によって組織を同定するために使用され得る。
【0235】 同様な様式において、これらのプライマーおよびプローブはコンタミネーショ
ンに対する組織培養物をスクリーニングするために使用され得る(すなわち、培
養物における異なる型の細胞の混合物の存在についてのスクリーニング)。
【0236】 あるいは、ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドは、アンチセンスまたはリ
ボザイム構築物によってホスホジエステラーゼ遺伝子配列の転写または翻訳を直
接ブロックするために使用され得る。従って、異常に高いかまたは所望でないホ
スホジエステラーゼ遺伝子の発現により特徴付けられる障害において、核酸は処
置のために直接使用され得る。
【0237】 従って、ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドは、細胞、組織、および生物
におけるホスホジエステラーゼ遺伝子の発現を制御するためのアンチセンス構築
物として有用である。DNAアンチセンスポリヌクレオチドは、転写に含まれる
遺伝子の領域に相補的であるように設計され、転写を阻止し、そしてそれ故にホ
スホジエステラーゼタンパク質の産生を阻害する。アンチセンスRNAまたはD
NAポリヌクレオチドはmRNAとハイブリダイズし、従ってmRNAのホスホ
ジエステラーゼタンパク質への転写をブロックする。
【0238】 核酸の発現を阻害するのに有用なアンチセンス分子の例として、配列番号2の
5’非翻訳領域のフラグメントと相補的なアンチセンス分子(これはまた開始コ
ドンを含む)および配列番号2の3’非翻訳領域のフラグメントと相補的なアン
チセンス分子が挙げられる。
【0239】 あるいは、アンチセンス分子のクラスは、ホスホジエステラーゼ核酸の発現を
減少するためにmRNAの不活化のために使用され得る。従って、これらの分子
は異常なまたは所望でないホスホジエステラーゼ核酸の発現によって特徴付けら
れる障害を処置し得る。この技術として、翻訳されるmRNAの能力を弱めるm
RNAにおける1以上の領域と相補的なヌクレオチド配列を含むリボザイムによ
る切断が挙げられる。可能性のある領域として、コード領域およびホスホジエス
テラーゼタンパク質の触媒活性およびその他の機能的活性に対応する特定のコー
ド領域が挙げられる。
【0240】 ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドはまた、ホスホジエステラーゼ遺伝子
発現が異常である細胞を含む患者における遺伝子治療のためのベクターを提供す
る。したがって、エキソビボで操作されて患者に戻される患者の細胞を含む組換
え細胞は、個体に導入され、そしてここで、この細胞は、この個体を処置するた
めに所望されるホスホジエステラーゼタンパク質を産生する。
【0241】 本発明はまた、生物学的サンプル中のホスホジエステラーゼ核酸の存在を検出
するためのキットを含む。例えば、このキットは、試薬(例えば、標識核酸もし
くは標識可能な核酸または生物学的サンプル中のホスホジエステラーゼ核酸を検
出し得る薬剤);サンプル中のホスホジエステラーゼ核酸量を決定するための手
段;およびサンプル中のホスホジエステラーゼ核酸量を標準物質と比較するため
の手段を備える。この化合物または薬剤は、適切な容器中にパッケージされ得る
。このキットはさらに、ホスホジエステラーゼmRNAまたはホスホジエステラ
ーゼDNAを検出するためのキットを使用するための指示書を備え得る。
【0242】 (ポリヌクレオチド) 本明細書中に記載される方法および使用は、試薬または標的としてのホスホジ
エステラーゼポリヌクレオチドに基づき得る。
【0243】 従って、本発明は、配列番号2のヌクレオチド配列に関する方法および使用を
提供する。
【0244】 具体的に開示されるcDNAは、配列番号2のコード領域ならびに5’非翻訳
配列および3’非翻訳配列を含む。
【0245】 本発明は、ホスホジエステラーゼをコードする単離されたポリヌクレオチドを
提供する。用語「ホスホジエステラーゼポリヌクレオチド」または「ホスホジエ
ステラーゼ核酸」は、配列番号2または配列番号4に示される配列をいう。用語
「ホスホジエステラーゼポリヌクレオチド」または「ホスホジエステラーゼ核酸
」は、さらに、ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドの改変体およびフラグメ
ントを含む。
【0246】 「単離された」ホスホジエステラーゼ核酸は、ホスホジエステラーゼ核酸の天
然の供給源に存在する他の核酸から分離されている核酸である。好ましくは、「
単離された」核酸は、この核酸が誘導される生物のゲノムDNAにおいて、この
ホスホジエステラーゼ核酸に天然に隣接する配列(すなわち、この核酸の5’末
端および3’末端に位置する配列)がない。しかし、いくらかの隣接ヌクレオチ
ド配列(例えば、約5KBまで)が存在し得る。重要な点は、このホスホジエス
テラーゼ核酸が、隣接配列から単離され、その結果、本明細書中に記載される特
定の操作(例えば、組換え発現、プローブおよびプライマーの調製、ならびにホ
スホジエステラーゼ核酸配列に特異的な他の使用)に供され得るという点である
【0247】 さらに、「単離された」核酸分子(例えば、cDNAまたはRNA分子)は、
他の細胞物質、または細胞培地(組換え技術によって産生される場合)、または
化学前駆体もしくは他の化学物質(化学合成される場合)を有し得ない。しかし
、この核酸分子は、他のコード配列または調節配列に融合され得、そしてなお単
離されているとみなされ得る。
【0248】 いくつかの例において、この単離された物質は、組成物(例えば、他の物質を
含む粗抽出物)、緩衝液系、または試薬混合物の一部を形成する。他の状況にお
いて、この物質は、例えば、PAGEまたはHPLCのようなカラムクロマトグ
ラフィーによって決定されるように、本質的な均質性に精製され得る。好ましく
は、この単離された核酸は、存在する全ての巨大分子種の少なくとも約50、8
0または90%(モル濃度を基礎として)を含む。
【0249】 例えば、ベクター中に含まれる組換えDNA分子は、単離されているとみなさ
れる。単離されたDNA分子のさならる例としては、異種宿主細胞中に維持され
る組換えDNA分子または溶液中の(部分的または実質的に)精製されたDNA
分子が挙げられる。単離されたRNA分子としては、本発明の単離されたDNA
分子のインビボまたはインビトロのRNA転写物が挙げられる。本発明に従う単
離された核酸分子はさらに、合成的に生成されるような分子を含む。
【0250】 いくつかの例において、この単離された物質は、組成物(例えば、他の物質を
含む粗抽出物)、緩衝液系、または試薬混合物の一部を形成する。他の状況にお
いて、この物質は、例えば、PAGEまたはHPLCのようなカラムクロマトグ
ラフィーによって決定されるように、本質的な均質性に精製され得る。好ましく
は、この単離された核酸は、存在する全ての巨大分子種の少なくとも約50、8
0または90%(モル濃度を基礎として)を含む。
【0251】 ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドは、成熟タンパク質およびさらなるア
ミノ末端アミノ酸もしくはカルボキシ末端アミノ酸、または成熟ポリペプチド内
のアミノ酸(例えば、成熟形態が1より多くのポリペプチド鎖を有する場合)を
コードし得る。このような配列は、とりわけ、前駆体から成熟形態へのタンパク
質のプロセシング、タンパク質輸送(trafficking)を促進する際、
タンパク質の半減期を延長もしくは短縮する際、またはアッセイもしくは産生の
ためのタンパク質の操作を促進する際に役割を果たし得る。インサイチュでは一
般的に、さらなるアミノ酸が、細胞酵素によって成熟タンパク質から離れてプロ
セスされ得る。
【0252】 ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドとしては、成熟ポリペプチド単独をコ
ードする配列、成熟ポリペプチドをコードする配列およびさらなるコード配列(
例えば、リーダー配列または分泌配列(例えば、プレプロタンパク質配列または
プロタンパク質配列))、さらなるコード配列およびさらなる非コード配列(例
えば、イントロンならびに転写されるが翻訳されない非コード5’配列および非
コード3’配列(これは、転写、mRNAプロセシング(スプライシングシグナ
ルおよびポリアデニル化シグナルを含む)、リボソーム結合およびmRNAの安
定性に役割を果たす))を有するかまたは有さない成熟ポリペプチドをコードす
る配列が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、ポリヌクレオチドは、
例えば、精製を容易にするペプチドをコードするマーカー配列に融合され得る。
【0253】 ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドは、RNAの形態(例えば、mRNA
)またはDNAの形態(クローニングによって得られるかもしくは化学合成技術
によってまたはこれらの組み合わせによって産生される、cDNAおよびゲノム
DNAを含む)であり得る。核酸(特に、DNA)は、二本鎖または一本鎖であ
り得る。一本鎖核酸は、コード鎖(センス鎖)または非コード鎖(アンチセンス
鎖)であり得る。
【0254】 1つの実施形態において、ホスホジエステラーゼ核酸は、コード領域のみを含
む。
【0255】 本発明はさらに、改変体ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドおよびそのフ
ラグメントを提供し、これは、遺伝暗号の縮重に起因して配列番号2に示される
ヌクレオチド配列と異なり、従って配列番号2に示されるヌクレオチド配列によ
ってコードされるものと同じタンパク質をコードする。
【0256】 本発明はまた、本明細書中に記載される改変体ポリペプチドをコードするホス
ホジエステラーゼ核酸分子を提供する。このようなポリヌクレオチドは、天然に
存在しても(例えば、対立遺伝子改変体(同じ座)、ホモログ(異なる座)、お
よびオルソログ(ortholog)(異なる生物))、組換えDNA方法もし
くは化学合成によって構築されてもよい。このような天然に存在しない改変体は
、ポリヌクレオチド、細胞または生物に適用される変異誘発技術によって作製さ
れ得る。従って、上記のように、この改変体は、ヌクレオチド置換、欠失、逆位
、および挿入を含み得る。
【0257】 代表的に、改変体は、配列番号2の核酸分子およびその相補体と実質的な同一
性を有する。バリエーションは、コード領域および非コード領域のいずれかまた
は両方で生じ得る。バリエーションは、保存的アミノ酸置換および非保存的アミ
ノ酸置換の両方を産生し得る。
【0258】 オルソログ、ホモログ、および対立遺伝子改変体は、当該分野で周知の方法を
用いて同定され得る。これらの改変体は、配列番号2に示されるヌクレオチド配
列またはこの配列のフラグメントに、少なくとも約60〜65%、65〜70%
、代表的には少なくとも約70〜75%、より代表的には少なくとも約80〜8
5%、そして最も代表的には少なくとも90〜95%またはこれより大きく相同
性であるホスホジエステラーゼをコードするヌクレオチド配列を含む。このよう
な核酸分子は、ストリンジェントな条件下で、配列番号2に示されるヌクレオチ
ド配列またはこの配列のフラグメントにハイブリダイズし得るとして、容易に同
定され得る。ストリンジェントなハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼー
ションが一般的な相同性(例えば、ポリA配列、あるいは全てもしくはほとんど
のタンパク質または全てのサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼに共
通する配列)に起因する場合、実質的な相同性を示さないことが理解される。
【0259】 本明細書中に使用される場合、用語「ストリンジェントな条件下でハイブリダ
イズする」は、互いに少なくとも約60〜65%の相同性のポリペプチドをコー
ドするヌクレオチド配列が代表的に互いにハイブリダイズしたままである下での
、ハイブリダイズおよび洗浄のための条件を記載することを意図する。この条件
は、互いに少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少
なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%またはこれより多
く同一である配列が、互いにハイブリダイズされたままであるような条件であり
得る。このような、ストリンジェントな条件は、当業者に公知であり、そして参
考として援用されるCurrent Protocols in Molecu
lar Biology、John Wiley & Sons,N.Y.(1
989)6.3.1−6.3.6に見出され得る。ストリンジェントなハイブリ
ダイゼーション条件の1つの例は、約45℃で6×塩化ナトリウム/クエン酸ナ
トリウム(SSC)中でのハイブリダイゼーション、続いて、50〜65℃での
0.2×SSC、0.1%SDS中での1回以上の洗浄、である。別の非限定的
な例において、核酸分子は、約45℃で6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウ
ム(SSC)中でのハイブリダイズ、続いて、室温での0.2×SSC/0.1
%SDS中での1回以上の低いストリンジェンシーの洗浄、または42℃での0
.2×SSC/0.1%SDS中での1回以上の中程度のストリンジェンシーの
洗浄、または高いストリンジェンシーのための65℃での0.2×SSC/0.
1%SDS中での洗浄、でハイブリダイズすることが可能である。1つの実施形
態において、ストリンジェントな条件下で、配列番号1もしくは配列番号3の配
列にハイブリダイズする単離された核酸分子は、天然に存在する核酸分子に対応
する。本明細書中に使用される場合、「天然に存在する」核酸分子は、自然に生
じる(例えば、天然のタンパク質をコードする)ヌクレオチド配列を有する、R
NA分子またはDNA分子をいう。
【0260】 当業者に理解されるように、正確な条件は、経験的に決定され、そしてイオン
強度、温度および不安定化剤(例えば、ホルムアミド)もしくは変性剤(例えば
、SDS)濃度に依存し得る。所望のハイブリダイゼーション条件を決定する際
に考慮される他の因子としては、核酸配列の長さ、塩基組成、ハイブリダイズす
る配列間のパーセントミスマッチ、および他の非同一配列内の配列サブセットの
出現頻度が挙げられる。従って、等価な条件は、類似した程度の同一性または2
つの核酸分子間の類似性を維持しながら、これらのパラメーターの1つ以上を変
動されることによって決定され得る。
【0261】 本発明はまた、ストリンジェントな条件下で配列番号2のヌクレオチド配列ま
たは配列番号2の相補体にハイブリダイズする、一本鎖または二本鎖のフラグメ
ントまたは一部を含む単離された核酸を提供する。1つの実施形態において、核
酸は、配列番号2のヌクレオチド配列および配列番号2の相補体の一部からなる
。本発明の核酸フラグメントは、長さが少なくとも約15ヌクレオチド、好まし
くは少なくとも約18、20、23、もしくは25ヌクレオチドであり、そして
これらは、30、40、50、100、200、500またはこれより多くのヌ
クレオチドであり得る。本明細書中に記載される抗原性タンパク質または抗原性
ポリペプチドをコードするより長いフラグメント(例えば、長さが30以上のヌ
クレオチド)が、有用である。
【0262】 さらに、本発明は、全長ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドのフラグメン
トを含むポリヌクレオチドを提供する。このフラグメントは、一本鎖または二本
鎖であり得、そしてDNAまたはRNAを含み得る。このフラグメントは、コー
ド領域または非コード領域のいずれかから誘導され得る。
【0263】 別の実施形態において、単離されたホスホジエステラーゼ核酸は、全長コード
領域をコードする。別の実施形態において、単離されたホスホジエステラーゼ核
酸は、アミノ酸約6から最後のアミノ酸までであり得る成熟タンパク質に対応す
る配列をコードする。他のフラグメントとしては、本明細書中に記載されるアミ
ノ酸フラグメントをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0264】 従って、ホスホジエステラーゼ核酸フラグメントはさらに、本明細書中に記載
されるドメインに対応する配列、さらに記載されるサブ領域および特定の機能部
位を含む。ホスホジエステラーゼ核酸フラグメントはまた、上記のドメイン、セ
グメントおよび他の機能部位の組合わせを含む。当業者は、可能である多くの並
べ替えを認識する。
【0265】 コンピュータ分析により予測されるこのドメインまたは部位の場所において、
当業者の一人は、これらのドメインを構成するアミノ酸残基が、これらのドメイ
ンを規定するのに用いられる基準に依存して変化し得ることを理解する。
【0266】 しかしながら、ホスホジエステラーゼ核酸フラグメントは、遺伝子全体に含ま
れない任意の核酸配列を含むことが理解される。
【0267】 本発明はまた、本明細書中に記載されるホスホジエステラーゼタンパク質の領
域を有するエピトープをコードするホスホジエステラーゼ核酸フラグメントを提
供する。
【0268】 (ベクターおよび宿主細胞を用いる方法) ベクターおよび宿主細胞を用いる方法は特に、ベクターが図5〜7に示される
(そうでなければ本明細書中で議論される)細胞、組織、および障害において発
現される場合、または宿主細胞(これはネイティブの細胞またはこの遺伝子を発
現する組換え細胞であり得る)が、これらの図に示されるような遺伝子を天然で
発現する細胞である場合に関連する。
【0269】 「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」は、特定の被験体細胞のことをいうの
みならず、このような細胞の子孫または潜在的な子孫のこともいうことが理解さ
れる。特定の改変が生じ得るので、このような子孫は、実際は親細胞と同一でな
いかもしれないが、変異または環境的影響のいずれかに起因して引き続く世代に
おいて、本明細書中で用いられる用語の範囲内になお含まれる。
【0270】 本明細書中に記載されるポリペプチドを発現する宿主細胞、そして特に組換え
宿主細胞は、様々な用途を有する。第1に、この細胞は、所望の量のホスホジエ
ステラーゼタンパク質またはホスホジエステラーゼフラグメントを産生するため
に、さらに精製され得るホスホジエステラーゼタンパク質またはホスホジエステ
ラーゼポリペプチドを産生するために有用である。従って、発現ベクターを含有
する宿主細胞は、ポリペプチド産生ならびに有意な量のポリペプチドを産生する
細胞(例えば、図6で示される高発現体、言い換えれば、胎児心臓細胞および精
巣)のために有用である。
【0271】 宿主細胞はまた、ホスホジエステラーゼまたはホスホジエステラーゼフラグメ
ントに関する細胞ベースのアッセイを実施するために有用である。従って、ネイ
ティブのホスホジエステラーゼを発現する組換え宿主細胞は、ホスホジエステラ
ーゼ機能を刺激または阻害する化合物についてのアッセイのために有用である。
これは、cAMP結合またはcGMP結合、転写または翻訳レベルでの遺伝子発
現、プロテインキナーゼA相互作用、およびシグナル伝達経路の構成成分を含む
【0272】 宿主細胞はまた、これらの機能が影響されるホスホジエステラーゼ変異体を同
定するために有用である。この変異体が天然に存在し、かつ病理を生じる場合、
変異を含む宿主細胞は、ネイティブのホスホジエステラーゼに対する効果によっ
ては示され得ない変異体ホスホジエステラーゼに対する所望の効果(例えば、刺
激または阻害機能)を有する化合物をアッセイするために有用である。
【0273】 組換え宿主細胞はまた、本明細書中に記載される非相同的なドメイン、セグメ
ント、部位などにより活性を活性化または抑制する化合物を評価するために、本
明細書中に記載されるキメラポリペプチドを発現するのに有用である。
【0274】 さらに、変異体ホスホジエステラーゼが設計され、ここで種々の機能の1つ以
上が(例えば、cAMP結合またはキナーゼA結合を)増大または減少されるに
操作され、そして個体におけるホスホジエステラーゼタンパク質を増強または置
換するために用いられ得る。従って、宿主細胞は、異常なホスホジエステラーゼ
を置換することによるか、または治療的な効果を提供する異常なホスホジエステ
ラーゼを提供することにより、治療的な利益を提供し得る。1つの実施形態にお
いて、この細胞は、異常に活性であるホスホジエステラーゼを提供する。
【0275】 別の実施形態において、この細胞は、異常に不活であるホスホジエステラーゼ
を提供する。このホスホジエステラーゼは、個体における内因性のホスホジエス
テラーゼと競合し得る。
【0276】 別の実施形態において、活性化され得ないホスホジエステラーゼを発現する細
胞は、個体に導入され、cAMPについて内因性のホスホジエステラーゼと競合
する。例えば、過剰なcAMPが処置の様式の一部である場合、処置における特
定の時点でこの分子を不活化する必要があり得る。この分子について競合するが
、ホスホジエステラーゼ活性化により影響され得ない細胞を提供することが、有
益である。
【0277】 相同組換え宿主細胞はまた、宿主ゲノム中で内因性ホスホジエステラーゼポリ
ヌクレオチド配列のインサイチュ変異を可能にするように産生され得る。宿主細
胞は、安定な細胞株、インビボの細胞株、またはクローン化した微生物を含むが
、これらに限定されない。この技術は、WO93/09222、WO91/12
650、WO91/06667、米国特許第5,272,071号、および米国
特許第5,641,670号により詳細に記載される。簡単には、ホスホジエス
テラーゼポリヌクレオチドに対応する特定のポリヌクレオチド配列、またはホス
ホジエステラーゼ遺伝子の近位もしくは遠位の配列は、相同組換え(遺伝子の発
現が影響され得る)により宿主細胞ゲノムへの統合を可能にする。1つの実施形
態では、制御配列は、内因性配列の発現を、増加または低下のいずれかをするよ
うに導入される、従って、ホスホジエステラーゼタンパク質は、通常このタンパ
ク質を産生しない細胞において産生され得る。あるいは、ホスホジエステラーゼ
タンパク質の増加した発現は、通常、特定のレベルでタンパク質を産生する細胞
において達成され得る。さらに、発現は、特定の調節配列を導入することにより
、減少または取り消され得る。この調節配列は、ホスホジエステラーゼタンパク
質配列に対して異種であり得るか、または発現をもたらす所望の変異を有する配
列に相同であり得る。あるいは、遺伝子全体が消去され得る。調節配列は、宿主
細胞に特異的であり得るか、または1つより多くの細胞型において機能し得る。
なおさらに、特定の変異は、遺伝子の任意の所望の領域に導入されて、変異体ホ
スホジエステラーゼタンパク質を産生し得る。このような変異は、例えば、環状
ヌクレオチド結合部位のような特定の機能的領域へと導入され得る。
【0278】 1つの実施形態では、宿主細胞は、変化したホスホジエステラーゼ遺伝子を含
むトランスジェニック動物を産生するために用いられ得る受精卵母細胞または胚
幹細胞であり得る。あるいは、宿主細胞は、幹細胞または細胞の特定のサブセッ
トを生じる他の初期の組織前駆体であり得、そして動物におけるトランスジェニ
ック組織を産生するために用いられ得る。相同組換えベクターの記載については
、Thomasら、Cell51:503(1987)もまた参照のこと。この
ベクターは、胚幹細胞株(例えば、エレクトロポレーションによって)および導
入される遺伝子が選択される内因性ホスホジエステラーゼ遺伝子と相同組換えさ
れた細胞に導入される(例えば、Liら(1992)Cell69:915を参
照のこと)。次いで、選択された細胞を、動物(例えば、マウス)の未分化胚芽
細胞へと注入して、凝集キメラを形成させる(例えば、Bradley,A.T
eratocarcinomas and Embryonic Stem C
ells:A Practical Approach,E.J.Robert
sonら編(IRL,Oxford,1987)113−152頁を参照のこと
)。次いで、キメラ胚は、適切な偽妊娠雌性創始動物(foster anim
al)および出産期で止めた胚へと移植され得る。それらの生殖細胞中に相同組
換えDNAを有する子孫を、動物を交配させるのに用い得る。この動物において
、動物の全ての細胞は、導入遺伝子の生殖系列伝達により、相同組換えDNAを
含む。相同組換えベクターおよび相同組換え動物を構築する方法は、Bradl
ey,A.(1991)Current Opinion in Biotec
hnology 2:823−829およびPCT国際公開公報第WO90/1
1354号;同第WO91/01140号;および同第WO93/04169号
にさらに記載される。
【0279】 遺伝子操作された宿主細胞を、非ヒトトランスジェニック動物を産生するため
に用い得る。トランスジェニック動物は、好ましくは、哺乳動物(例えば、げっ
歯類(例えば、ラットまたはマウス))であり、この動物において、動物の1つ
以上の細胞は、導入遺伝子を含む。導入遺伝子は、異種DNAであり、この異種
DNAは、トランスジェニック動物が発生する細胞のゲノムへと統合され、そし
てトランスジェニック動物の1つ以上の細胞型または組織中の成熟動物のゲノム
中に保持される。これらの動物は、ホスホジエステラーゼタンパク質の機能を研
究するため、ならびにホスホジエステラーゼタンパク質活性のモジュレーターを
同定および評価するために有用である。
【0280】 トランスジェニック動物の他の例としては、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウ
シ、ヤギ、ニワトリ、および両生類などが挙げられる。
【0281】 1つの実施形態では、宿主細胞は、受精した卵母細胞または胚幹細胞であり、
これらの細胞に、ホスホジエステラーゼポリヌクレオチド配列が導入される。
【0282】 トランスジェニック動物は、核酸を受精した卵母細胞の雄性前核に導入するこ
とによって(例えば、マイクロインジェクション、レトロウイルス感染によって
)、およびこの卵母細胞を偽妊娠雌性フォスター動物(foster anim
al)内で発生させることによって作製され得る。ホスホジエステラーゼヌクレ
オチド配列のいずれかは、導入遺伝子として、非ヒト動物(例えば、マウス)の
ゲノムへと導入され得る。
【0283】 発現ベクターに有用な調節配列または他の配列のいずれかは、トランスジェニ
ック配列の一部を形成し得る。これは、すでに含まれていない場合、イントロン
配列およびポリアデニル化シグナルを含む。組織特異的調節配列は、特定の細胞
に対するホスホジエステラーゼタンパク質の発現を指向する導入遺伝子に作動可
能に連結され得る。
【0284】 胚の操作およびマイクロインジェクションを介するトランスジェニック動物(
特に、マウスのような動物)を生成するための方法は、当該分野で慣習的であり
、そして、例えば、米国特許第4,736,866号および同第4,870,0
09号(共にLederら)、同第4,873,191号(Wagnerら);
ならびにHogan,B.、Manipulating the Mouse
Embryo(Cold Spring Harbor Laboratory
Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1986)
に記載されている。同様の方法は、他のトランスジェニック動物の作製のために
使用される。トランスジェニック創始動物は、そのゲノムにおける導入遺伝子の
存在および/またはその動物の組織または細胞中のトランスジェニックmRNA
の発現に基づいて同定され得る。次いで、トランスジェニック創始動物は、導入
遺伝子を有するさらなる動物を交配させるために使用され得る。さらに、導入遺
伝子を有するトランスジェニック動物は、さらに、他の導入遺伝子を有する他の
トランスジェニック動物と交配され得る。トランスジェニック動物はまた、動物
または動物の組織の全体が、本明細書中に記載される相同組換え宿主細胞を用い
て産生された動物を含む。
【0285】 別の実施形態において、導入遺伝子の調節された発現を可能にする、選択され
た系を含む、非ヒトトランスジェニック動物が産生され得る。このような系の1
つの例は、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼ系である
。cre/loxPリコンビナーゼ系の記載については、例えば、Laksoら
、1992、PNAS 89:6232−6236を参照のこと。リコンビナー
ゼ系の別の例は、S.cerevisiaeのFLPリコンビナーゼ系である(
O’Gormanら(1991)Science 251:1351−1355
を参照のこと)。cre/loxPリコンビナーゼ系が導入遺伝子の発現を調節
するために使用される場合、Creリコンビナーゼおよび選択されたタンパク質
の両方をコードする導入遺伝子を含む動物が必要とされる。このような動物は、
例えば、2種のトランスジェニック動物(一方は選択されたタンパク質をコード
する導入遺伝子を含み、他方はリコンビナーゼをコードする導入遺伝子を含む)
を交配することによる、「二重の」トランスジェニック動物の構築によって提供
され得る。
【0286】 本明細書中に記載されるトランスジェニック非ヒト動物のクローンがまた、W
ilmutら(1997)Nature 385:810−813、およびPC
T国際公報第WO97/07668号および同第WO97/07669号に記載
される方法に従って産生され得る。簡単には、トランスジェニック動物由来の細
胞(例えば、体細胞)を、単離および誘導し、増殖サイクルを終了させ、そして
期に入らせ得る。次いで、この静止細胞を、例えば、電気パルスの使用によ
り、静止細胞が単離される同種動物由来の、摘出された卵母細胞へ融合し得る。
次いで、この再構築された卵母細胞を培養し、その結果、これは、桑実胚または
未分化胚芽細胞に発達し、次いで、偽妊娠雌性フォスター動物に移される。この
雌性フォスター動物の子孫は、この細胞(例えば、体細胞)が単離される動物の
クローンである。
【0287】 本明細書中に記載されるポリペプチドを発現する組換え細胞を含むトランスジ
ェニック動物は、インビボでの状況における本明細書中に記載されるアッセイを
行うのに有用である。従って、インビボで存在する、ならびにcAMP結合、ホ
スホジエステラーゼ活性化、およびシグナル伝達に影響し得る、種々の生理学的
因子は、インビトロでの無細胞アッセイまたは細胞ベースのアッセイから明かで
なくてもよい。従って、これは、非ヒトトランスジェニック動物を提供して、イ
ンビボのホスホジエステラーゼ機能(cAMP相互作用、を含む)、ホスホジエ
ステラーゼ機能およびcAMP相互作用に対する特定の変異体ホスホジエステラ
ーゼの効果、ならびにキメラホスホジエステラーゼの効果をアッセイするために
有用である。無発現変異(すなわち、1つ以上のホスホジエステラーゼ機能を実
質的にまたは完全に排除する変異)の効果を評価することもまた可能である。
【0288】 一般的に、トランスジェニック動物を産生する方法は、本発明に従う核酸配列
(トランスジェニック動物においてタンパク質を発現し得る核酸配列)を、培養
中にまたはインビボで細胞に導入することを含む。インビボで導入される場合、
核酸は、インタクトな生物に導入され、その結果1つ以上の細胞型、従って1つ
以上の組織型が、そのタンパク質をコードする核酸を発現する。あるいは、トラ
ンスジェニック動物の作成について本明細書中に記載されるように、核酸は、培
養中の細胞(例えば、胚性幹細胞)をトランスフェクトすることにより、生物に
おいて実質的に全ての細胞に導入され得、そしてこの細胞は、完全なトランスジ
ェニック生物を産生するために使用され得る。記載されるように、さらなる実施
形態において、宿主細胞は、受精卵母細胞であり得る。次いで、このような細胞
は、雌性里親(foster)動物に発達して、トランスジェニック動物を産生
することが可能になる。
【0289】 (ベクター/宿主細胞) 上記に議論されるベクターおよび宿主細胞を使用する方法は、以下に記載され
るベクターおよび宿主細胞を含むがこれらに限定されないベクターおよび宿主細
胞に基づく。
【0290】 本発明はまた、ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドを含有するベクターを
使用する方法を提供する。用語「ベクター」とは、このホスホジエステラーゼポ
リヌクレオチドを輸送し得るビヒクル、好ましくは核酸分子をいう。このベクタ
ーが核酸分子である場合、このホスホジエステラーゼポリヌクレオチドは、ベク
ター核酸に共有結合される。本発明のこの局面では、ベクターとして、プラスミ
ド、単鎖もしくは二重鎖のファージ、単鎖もしくは二重鎖のRNAウイルスベク
ターもしくはDNAウイルスベクター、または人工染色体(例えば、BAC、P
AC、YAC、またはMAC)が挙げられる。
【0291】 ベクターは、宿主細胞において染色体外因子として維持され得、ここでこのベ
クターは、複製しそしてホスホジエステラーゼポリヌクレオチドのさらなるコピ
ーを産生する。あるいは、ベクターは、宿主細胞ゲノムに組み込み得、そして宿
主細胞が複製する場合に、ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドのさらなるコ
ピーを産生し得る。
【0292】 本発明は、ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドの維持のためのベクター(
クローニングベクター)またはホスホジエステラーゼポリヌクレオチドの発現の
ための発現ベクターを提供する。これらのベクターは、原核生物細胞もしくは真
核生物細胞またはその両方で機能し得る(シャトルベクター)。
【0293】 発現ベクターは、cis−作用調節領域を含み、この領域は、ホスホジエステ
ラーゼポリヌクレオチドにベクター中で作動可能に連結され、その結果このポリ
ヌクレオチドの転写が宿主細胞において可能になる。これらのポリヌクレオチド
は、転写に影響し得る別のポリヌクレオチドと共に宿主細胞に導入され得る。従
って、第2のポリヌクレオチドは、cis−調節制御領域と相互作用するtra
ns−作用因子を提供して、ベクターからのホスホジエステラーゼポリヌクレオ
チドの転写を可能にし得る。あるいは、trans−作用因子は、宿主細胞によ
り供給され得る。最後に、trans−作用因子は、ベクター自体から産生され
得る。
【0294】 しかし、いくつかの実施形態において、ホスホジエステラーゼポリヌクレオチ
ドの転写および/または翻訳は、無細胞系で起こり得る。
【0295】 本明細書中に記載されるポリヌクレオチドが作動可能に連結され得る調節配列
は、mRNA転写を指向するためのプロモーターを含む。これらとしては、バク
テリオファージλ由来のleftプロモーター;E.coli由来のlacプロ
モーター、TRPプロモーター、およびTACプロモーター;SV40由来の初
期および後期プロモーター;CMV隣接(immediate)初期プロモータ
ー;アデノウイルス初期および後期プロモーター;ならびにレトロウイルスの長
い末端反復が挙げられるが、これらに限定されない。
【0296】 転写を促進する制御領域に加えて、発現ベクターはまた、転写を調節する領域
(例えば、レプレッサ結合部位およびエンハンサー)を含み得る。例としては、
SV40エンハンサー、サイトメガロウイルス隣接初期エンハンサー、ポリオー
マエンハンサー、アデノウイルスエンハンサーおよびレトロウイルスLTRエン
ハンサーが挙げられる。
【0297】 転写開始および制御のための部位を含むことに加えて、発現ベクターはまた、
転写終止のために必要な配列を含み得、そして転写された領域において翻訳のた
めのリボソーム結合部位を含み得る。発現のための他の調節制御要素は、開始コ
ドンおよび終止コドンならびにポリアデニル化シグナルを含む。当業者は、発現
ベクターにおいて有用である多数の調節配列に気付く。このような調節配列は、
例えば、Sambrookら(1989) Molecular Clonin
g. A Laboratory Manual第2版,Cold Sprin
g Harbor Laboratory Press,Cold Sprin
g Harbor,NY)に記載される。
【0298】 種々の発現ベクターは、ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドを発現するた
めに使用され得る。このようなベクターとしては、染色体ベクター、エピソーム
ベクター、およびウイルス由来のベクターが挙げられる(例えば、細菌プラスミ
ド由来、バクテリオファージ由来、酵母エピソーム由来、酵母染色体要素(酵母
人工染色体を含む)由来、ウイルス(例えば、バキュロウイルス、SV40のよ
うなパポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、ポックスウイルス
、仮性狂犬病ウイルスおよびレトロウイルス)由来のベクター)。ベクターはま
た、プラスミド遺伝的要素およびバクテリオファージ遺伝的要素(例えば、コス
ミドおよびファージミド)由来のような、これらの供給源の組合せに由来し得る
。原核生物宿主および真核生物宿主についての適切なクローニングベクターおよ
び発現ベクターは、Sambrookら(1989) Molecular C
loning. A Laboratory Manual第2版,Cold
Spring Harbor Laboratory Press,Cold
Spring Harbor,NYに記載される。
【0299】 調節配列は、温度、栄養素添加、または外因性因子(例えば、ホルモンまたは
他のリガンド)によって、1つ以上の宿主細胞で構成性発現をもたらし得る(す
なわち、組織特異的)か、または1つ以上の細胞型において誘導性発現をもたら
し得る。原核生物宿主および真核生物宿主において構成性発現および誘導性発現
をもたらす種々のベクターは、当業者に周知である。
【0300】 ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドは、周知の方法論によりベクター核酸
に挿入され得る。一般的に、最終的に発現されるDNA配列は、DNA配列およ
び発現ベクターを1つ以上の制限酵素で切断し、次いでこれらのフラグメントを
連結することによりこの発現ベクターに接合される。制限酵素消化およびライゲ
ーションの手順は、当業者に周知である。
【0301】 適切なポリヌクレオチドを含むベクターは、周知の技術を使用して、増殖また
は発現のために適切な宿主細胞中に導入され得る。細菌細胞としては、E.co
li、Streptomyces、およびSalmonella typhim
uriumが挙げられるがこれらに限定されない。真核生物細胞としては、酵母
、昆虫細胞(例えば、Drosophila)、動物細胞(例えば、COS細胞
およびCHO細胞)、および植物細胞が挙げられるがこれらに限定されない。
【0302】 本明細書中に記載されるように、融合タンパク質としてポリペプチドを発現す
ることが望ましくあり得る。従って、本発明は、ホスホジエステラーゼポリヌク
レオチドの産生を可能にする融合ベクターを提供する。融合ベクターは、組換え
タンパク質の発現を増加し、組換えタンパク質の溶解度を増加させ、そして例え
ばアフィニティ精製のためのリガンドとして作用することによりタンパク質の精
製を補助する。タンパク質分解切断部位は、融合部分の接合部に導入され得、そ
の結果所望のポリペプチドが最終的に融合部分から分離され得る。タンパク質分
解酵素としては、Xa因子、トロンビン、およびエンテロキナーゼが挙げられる
が、これらに限定されない。代表的な融合発現ベクターとしては、pGEX(S
mithら(1988) Gene 67:31−40)、pMAL(New
England Biolabs,Beverly,MA)およびpRIT5(
Pharmacia,Piscataway,NJ)が挙げられ、これらは、そ
れぞれグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タン
パク質、またはプロテインAを、標的組換えタンパク質に融合する。適切な誘導
性非融合E.coli発現ベクターとしては、pTrc(Amannら (1988)Gene 69 :301−315)およびpET lld(St
udierら(1990)Gene Expression Technolo
gy:Methods in Enzymology 185:60−89)が
挙げられる。
【0303】 組換えタンパク質発現は、遺伝的バックグラウンドを与えることにより宿主細
菌において最大化され得、ここで宿主細胞は、組換えタンパク質をタンパク質分
解で切断する能力が減少している(Gottesman,S.(1990)Ge
ne Expression Technology:Methods in
Enzymology 185,Academic Press,San Di
ego,California 119−128)。あるいは、目的のポリヌク
レオチドの配列は、特定の宿主細胞(例えば、E.coli)のための優先的な
コドンの使用を提供するように変更され得る(Wadaら(1992)Nucl
eic Acids Res. 20: 2111−2118)。
【0304】 ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドはまた、酵母において作動可能な発現
ベクターにより発現され得る。酵母(例えば、S.cerevisiae)にお
ける発現のためのベクターの例としては、pYepSecl(Baldariら
(1987) EMBO J.6:229−234)、pMFa(Kurjan
ら(1982)Cell 30:933−943)、pJRY88(Schul
tzら(1987) Gene 54:113−123)、およびpYES2(
Invitrogen Corporation,San Diego,CA)
が挙げられる。
【0305】 ホスホジエステラーゼポリヌクレオチドはまた、例えば、バキュロウイルス発
現ベクターを使用して、昆虫細胞で発現され得る。培養昆虫細胞(例えば、Sf
9細胞)でのタンパク質の発現に利用可能なバキュロウイルスベクターとしては
、pAc系列(Smithら(1983)Mol. Cell Biol.3:
2156−2165)およびpVL系列(Lucklowら (1989)Vrology l70:31−39)が挙げられる。
【0306】 本発明の特定の実施形態では、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドは、
哺乳動物発現ベクターを使用して哺乳動物細胞で発現される。哺乳動物発現ベク
ターの例としては、pCDM8(Seed,B.(1987)Nature 3
29:840)およびpMT2PC(Kaufmanら(1987)EMBO
J 6:187−195)が挙げられる。
【0307】 本明細書中に列挙される発現ベクターは、ホスホジエステラーゼポリヌクレオ
チドの発現に有用である当業者に利用可能な周知のベクターの例のみとして提供
される。当業者は、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドの増殖または発現
を維持するのに適切な他のベクターが分かる。これらは、例えば、Sambro
okら(1989)Molecular Cloning:A Laborat
ory Manual第2版,Cold Spring Harbor Lab
oratory,Cold Spring Harbor Laborator
y Press, Cold Spring Harbor, NYに見出され
る。
【0308】 本発明はまた、本明細書中に記載される核酸配列が逆方向でベクターにクロー
ニングされるが、アンチセンスRNAの転写を可能にする調節配列に作動可能に
連結されるベクターを包含する。従って、アンチセンス転写は、本明細書中に記
載されるポリヌクレオチド配列の全てまたは一部(コード領域および非コード領
域の両方を含む)にまで生成され得る。このアンチセンスRNAの発現は、セン
スRNSの発現(調節配列、構成性発現または誘導性発現、組織特異的発現)に
関して上記のパラメータの各々に供される。
【0309】 本発明はまた、本明細書中に記載されるベクターを含む組換え宿主細胞に関す
る。従って、宿主細胞は、原核生物細胞、下等真核生物細胞(例えば、酵母)、
他の真核生物細胞(例えば、昆虫細胞)、および高等真核生物細胞(例えば、哺
乳動物細胞)を含む。
【0310】 組換え宿主細胞は、本明細書中に記載されるベクター構築物を、当業者に容易
に利用可能な技術により細胞に導入することにより調製される。これらとしては
、リン酸カルシウム沈降、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、
カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入
、感染、リポフェクション、および他の技術(例えば、Sambrookら(M
olecular Cloning:A Laboratory Manual
第2版,Cold Spring Harbor Laboratory, C
old Spring Harbor Laboratory Press,
Cold Spring Harbor,NY)に記載される技術)が挙げられ
るがこれらに限定されない。
【0311】 宿主細胞は、1つより多くのベクターを含み得る。従って、異なるヌクレオチ
ド配列は、同じ細胞の異なるベクターに導入され得る。同様に、ホスホジエステ
ラーゼポリヌクレオチドは、単独でか、またはホスホジエステラーゼポリヌクレ
オチドに関連しない他のポリヌクレオチド(例えば、発現ベクターにtrans
作用因子を提供するポリヌクレオチド)と共にのいずれかで導入され得る。1つ
より多くのベクターが細胞に導入される場合、これらのベクターは、独立して導
入され得るか、同時導入され得るか、またはホスホジエステラーゼポリヌクレオ
チドベクターに結合され得る。
【0312】 バクテリオファージベクターおよびウイルスベクターの場合、これらは、パッ
ケージングされたウイルスまたはカプセル化されたウイルスとして、感染および
形質導入のための標準的手順により細胞に導入され得る。ウイルスベクターは、
複製適性または複製欠損であり得る。ウイルス複製が欠損である場合に、複製は
、この欠損を補う機能を与える宿主細胞で起きる。
【0313】 ベクターは、一般的に、組換えベクター構築物を含む細胞の亜集団の選択を可
能にする選択マーカーを含む。このマーカーは、本明細書中に記載されるポリヌ
クレオチドを含む同一のベクターに含まれ得るか、または別々のベクターに含ま
れ得る。マーカーとしては、原核生物宿主細胞についてはテトラサイクリン耐性
遺伝子またはアンピシリン耐性遺伝子が挙げられ、そして真核生物宿主細胞につ
いてはジヒドロ葉酸還元酵素またはネオマイシン耐性が挙げられる。しかし、表
現型形質の選択をもたらす任意のマーカーが有効である。
【0314】 成熟タンパク質は、細菌、酵母、哺乳動物細胞、および他の細胞において、適
切な調節配列の制御下で産生され得るが、細胞を含まない転写および翻訳系はま
た、本明細書中に記載のDNA構築物由来のRNAを使用して、これらのタンパ
ク質を産生するために使用され得る。
【0315】 ポリペプチドの分泌が所望される場合、適切な分泌シグナルは、このベクター
中に組み込まれる。このシグナル配列は、ホスホジエステラーゼポリペプチドに
対して内因的であり得るか、またはこれらのポリペプチドに対して異種であり得
る。
【0316】 このポリペプチドが培地に分泌されない場合、このタンパク質は、標準的な破
壊手順(凍結融解、超音波処理、機械的破壊、溶解剤の使用などを含む)によっ
て、宿主細胞から単離され得る。次いで、このポリペプチドは回収され、そして
周知の精製方法(硫酸アンモニウム沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換
クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用ク
ロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイ
トクロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィー、または高速液体クロマト
グラフィーを含む)によって精製され得る。
【0317】 本明細書中に記載されるポリペプチドの組換え手順における宿主細胞に依存し
て、このポリペプチドは、この細胞に依存する種々のグリコシル化パターンを有
し得るか、または細菌中で産生される場合のようにグリコシル化されなくてもよ
いこともまた理解される。さらに、このポリペプチドは、いくつかの場合、宿主
媒介プロセスの結果として、初期改変メチオニンを含み得る。
【0318】 (薬学的組成物) 本発明は、ホスホジエステラーゼの発現が関連する細胞および本明細書中で開
示される障害における細胞に投与するための薬学的組成物における、ポリペプチ
ド、核酸、および他の薬剤の使用を含む。使用は、診断的および治療的の両方で
ある。ホスホジエステラーゼ核酸分子、タンパク質、このタンパク質のモジュレ
ーター、および抗体(本明細書中ではまた「活性化合物」ともいわれる)は、被
験体(例えば、ヒト)への投与に適切な薬学的組成物へと組み込まれ得る。この
ような組成物は、代表的には、核酸分子、タンパク質、モジュレーター、または
抗体、および薬学的に受容可能なキャリアを含む。しかし、投与はまた、インビ
トロでの細胞、ならびにインビボモデル系(例えば、非ヒトトランスジェニック
動物)に対してであり得ることが理解される。
【0319】 用語「投与(する)」は、その最も広い意味で使用され、そして本発明の組成
物を被験体に導入する任意の方法を含む。これは、被験体に外因的に導入される
ポリヌクレオチドのインビボ転写または翻訳によるような、インビボのポリペプ
チドまたはポリヌクレオチドの産生を含む。したがって、外因的組成物から被験
体中で産生されるポリペプチドまたは核酸は、用語「投与(する)」に含まれる
【0320】 本明細書中で使用される場合、言語「薬学的に受容可能なキャリア」は、薬学
的投与に適合性の、任意および全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌性お
よび抗真菌性の薬剤、等張剤および吸収遅延剤などを含むことが意図される。こ
のような媒体および薬剤の、薬学的に活性な物質のための使用は、当該分野で周
知である。活性な化合物と非適合性の任意の従来の媒体または薬剤の範囲を除い
て、このような媒体は、本発明の組成物において使用され得る。補助的な活性化
合物もまた、この組成物に組み込まれ得る。本発明の薬学的組成物は、その意図
される投与経路と適合性となるように処方される。投与経路の例としては、非経
口的(例えば、静脈内)、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(局所的)
、経粘膜、および直腸投与が挙げられる。非経口、皮内、または皮下適用のため
に使用される溶液または懸濁液は、以下の成分を含み得る:滅菌希釈剤(例えば
、注射のための水、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グ
リセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒);抗菌剤(例えば、ベン
ジルアルコールまたはメチルパラベン);抗酸化剤(例えば、アルコルビン酸ま
たは亜硫酸水素ナトリウム);キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸)
;緩衝液(例えば、酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩)、および張性を調整
するための薬剤(例えば、塩化ナトリウムまたはブドウ糖)。pHは、酸または
塩基(例えば、塩酸または水酸化ナトリウム)を用いて調整され得る。非経口的
調製物は、ガラスまたはプラスチックから作製されるアンプル、使い捨てシリン
ジ、または複数用量のバイアルに封入され得る。
【0321】 注入用途のために適切な薬学的組成物としては、滅菌水溶液(水溶性)または
分散体、および滅菌注射可能な溶液または分散体の即席調製のための滅菌粉末が
挙げられる。静脈内投与のために適切なキャリアとしては、生理食塩水、静菌水
、Cremophor EXTM(BASF,Parsippany,NJ)ま
たはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。全ての場合において、この
組成物は、無菌でなければならず、そして容易な注入性(syringabil
ity)が存在する程度に流動性であるべきである。この組成物は、製造および
貯蔵の条件下で安定でなければならず、そして細菌および真菌のような微生物の
混入作用に対して貯蔵されなければならない。このキャリアは、例えば、水、エ
タノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および
液体ポリエチレングリコールなど)、ならびにこれらの適切な混合物を含む溶媒
または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーテ
ィングの使用によって、分散体の場合において要求される粒子サイズを維持する
ことによって、および界面活性剤の使用によって、維持され得る。微生物の作用
の予防は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール
、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなど)によって達成され得る。多
くの場合、組成物に等張剤(例えば、糖類、マンニトールのようなポリアルコー
ル、ソルビトール、塩化ナトリウム)を含むことが好ましい。注入可能組成物の
長期の吸収は、この組成物中に吸収を遅延する薬剤(例えば、モノステアリン酸
アルミニウムおよびゼラチン)を含むことによってもたらされ得る。
【0322】 無菌の注入可能な溶液は、上記に列挙された成分のうちの1つまたは組み合わ
せと共に、必要とされる量の活性化合物(例えば、ホスホジエステラーゼタンパ
ク質または抗ホスホジエステラーゼ抗体)を適切な溶媒に取り込み、続いて、必
要に応じて滅菌濾過することによって調製され得る。一般に、分散体は、基本分
散媒体および上記に列挙される成分のうちの必要とされる他の成分を含む滅菌ビ
ヒクルに、この活性化合物を取り込むことによって調製される。無菌の注入可能
な溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分の粉末お
よび以前に滅菌濾過されたその溶液からの任意のさらなる所望の成分を得る、真
空乾燥および凍結乾燥である。
【0323】 経口組成物は、一般に、不活性希釈剤または食用キャリアを含む。これらは、
ゼラチンカプセルに封入され得るか、または錠剤に加圧され得る。経口投与のた
めに、この薬剤は、胃で残存するために腸溶性形態で含まれ得るか、あるいは公
知の方法によってさらにコーティングされるか、またはGI管の特定の領域で放
出されるように混合され得る。経口治療投与の目的で、この活性化合物は、賦形
剤と共に組み込まれ、そして錠剤、トローチ、またはカプセルの形態で使用され
る。経口組成物はまた、うがい薬としての使用のための流体キャリアを使用して
調製され得、ここで、流体キャリア中の化合物は、経口的に適用され、そしてス
ウィッシュ(swish)され、そして吐き出されるかまたは飲み込まれる。薬
学的に適合性の結合剤、および/またはアジュバント材料が、この組成物の一部
として含まれ得る。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などが、以下の成分の
いずれかまたは同様の性質を有する化合物を含み得る:結合剤(例えば、微結晶
セルロース、ガムトラガントまたはゼラチン);賦形剤(例えば、デンプンまた
はラクトース)、崩壊剤(例えば、アルギン酸)、Primogel、またはコ
ーンスターチ;滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはSterot
es);グライダント(glidant)(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)
;甘味剤(例えば、スクロースまたはサッカリン);あるいは矯味矯臭剤(例え
ば、ペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジフレーバー)。
【0324】 吸入による投与について、この化合物は、適切な噴霧剤(例えば、二酸化炭素
のような気体)を含む圧縮容器またはディスペンサー、あるいは噴霧器から、エ
アロゾルスプレーの形態で送達される。
【0325】 全身的投与はまた、経粘膜手段または経皮手段により得る。経粘膜投与または
経皮投与について、浸透されるバリアに対して適切な浸透剤が、処方において使
用される。このような浸透剤は、一般的に、当該分野で公知であり、そして、例
えば、経粘膜投与については、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体
が挙げられる。経粘膜投与は、鼻スプレーまたは坐剤によって達成され得る。経
皮投与については、この活性化合物は、当該分野で一般的に公知である軟膏剤、
軟膏、ゲル、またはクリーム剤へ処方される。
【0326】 この化合物はまた、直腸送達のための坐剤(例えば、ココアバターおよび他の
グリセリドのような従来の坐剤ベースと共に)または保持浣腸の形態で調製され
得る。
【0327】 1つの実施形態において、この活性化合物は、身体からの迅速な排出に対して
この化合物を保護するキャリアを用いて調製され(例えば、制御放出処方物)、
これには、移植片およびマイクロカプセル化された送達系が挙げられる。酢酸エ
チレンビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステ
ル、およびポリ乳酸のような、生分解性、生体適合性ポリマーが使用され得る。
このような処方物の調製のための方法は、当該業者には明らかである。これらの
材料はまた、Alza Corporation and Nova Phar
maceuticals,Inc.から商業的に入手可能である。リポソーム懸
濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を含む、感染させた細胞へ標的
化されるリポソームを含む)がまた、薬学的に受容可能なキャリアとして使用さ
れ得る。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されるよう
な、当業者に公知の方法に従って調製され得る。
【0328】 投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、投薬単位形態で、経口組成物ま
たは非経口組成物を処方することが、特に有益である。本明細書で使用される場
合、「投薬単位形態」は、処置される被験体のための単位投薬量として適切な、
物理的に個々の単位をいい;各単位は、必要とされる薬学的キャリアと関連して
、所望の治療的効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を含む。本発
明の投薬単位形態についての詳細は、この活性化合物の固有の特性、および達成
される特定の治療効果、ならびに個体の処置のためのこのような活性化合物を調
合する当該分野に固有の制限によって決定されるか、あるいはこれらに直接依存
する。
【0329】 本発明の核酸分子は、ベクターに挿入され得、そして遺伝子治療ベクターとし
て使用され得る。遺伝子治療ベクターは、例えば、静脈内注射、局所投与(米国
特許第5,328,470号)または定位注射(例えば、Chenら(1994
)PNAS 91:3054−3057を参照のこと)によって被験体へ送達さ
れ得る。遺伝子治療ベクターの薬学的調製物は、受容可能な希釈剤中の遺伝子治
療ベクターを含み得るか、または遺伝子送達ビヒクルが組み込まれる徐放性マト
リックスを含み得る。あるいは、完全な遺伝子送達ベクターが、組換え細胞から
インタクトで産生され得(例えば、レトロウイルスベクター)、この薬学的調製
物は、遺伝子送達系を生成する1以上の細胞を含み得る。
【0330】 この薬学的組成物は、投与のための使用説明書をと共に、容器、包装、または
ディスペンサーに含まれ得る。
【0331】 本明細書中で規定されるように、タンパク質またはポリペプチドの治療有効量
(すなわち、有効な用量)は、約0.001〜30mg/kg体重、好ましくは
約0.01〜25mg/kg体重、より好ましくは約0.1〜20mg/kg体
重、そしてなおより好ましくは約1〜10mg/kg、2〜9mg/kg、3〜
8mg/kg、4〜7mg/kg、または5〜6mg/kg体重の範囲である。
【0332】 当業者は、特定の因子(これらは、疾患または障害の重篤度、以前の処置、被
験体の通常の健康および/または年齢、および存在する他の疾患を含むが、これ
らに限定されない)が、被験体を有効に処置するために必要な投与量に影響を及
ぼし得ることを理解する。さらに、治療有効量のタンパク質、ポリペプチド、ま
たは抗体での被験体の処置は、単一の処置を含み得、あるいは好ましくは、一連
の処置を含む得る。好ましい例において、被験体は、約0.1〜20mg/kg
体重の間の範囲で、約1〜10週の間、好ましくは、2〜8週の間、より好まし
くは、約3〜7週の間、そしてなおより好ましくは約4、5または6週の間、週
に一度、抗体、タンパク質、またはポリペプチドで処置される。処置のために使
用される抗体、タンパク質、またはポリペプチドの有効投与量は、特定の処置の
過程にわたって、増加または減少され得ることも理解される。投与量の変化が引
き起こされ得、そして本明細書中に記載されるような診療アッセイの結果から明
らかとなり得る。
【0333】 本発明は、発現または活性を調節する薬剤を含む。薬剤は、例えば、低分子で
あり得る。例えば、子のような低分子は、以下を含むが、これらに限定されない
:ペプチド、ペプチド模倣体、アミノ酸、アミノ酸アナログ、ポリヌクレオチド
、ポリヌクレオチドアナログ、ヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、1モルあ
たり約10,000グラム未満の分子量を有する有機化合物または無機化合物(
すなわち、へテロ有機化合物および有機金属化合物を含む)、1モルあたり約5
,000グラム未満の分子量を有する有機化合物または無機化合物、1モルあた
り約1,000グラム未満の分子量を有する有機化合物または無機化合物、1モ
ルあたり約500グラム未満の分子量を有する有機化合物または無機化合物、お
よび塩、エステル、ならびにこのような化合物の薬学的に受容可能な形態。
【0334】 適切な用量の低分子薬剤は、通常の熟練した医師、獣医師、または研究者の知
識の範囲内の多くの因子に依存することが理解される。低分子の用量は、例えば
、正体、サイズおよび処置されている被験体またはサンプルの状態に依存して、
さらに、もし受容可能ならば、投与される予定の組成物の投与経路、ならびに当
業者が本発明の核酸またはポリペプチドに対して、この低分子が有することを所
望する効果に依存して変化する。例示的な用量としては、被験体またはサンプル
重量1キログラム当たりミリグラムまたはマイクログラムの量(例えば、1キロ
グラム当たり約1マイクログラム〜1キログラム当たり約500ミリグラム、1
キログラム当たり約100マイクログラム〜1キログラム当たり約5ミリグラム
、または1キログラム当たり約1マイクログラム〜1キログラム当たり約50マ
イクログラム)の低分子が挙げられる。さらに、低分子の適切な用量は、調節さ
れるべき発現または活性に関する低分子の効力に依存することが理解される。こ
のような適切な用量は、本明細書中に記載されるアッセイを用いて決定され得る
。1以上のこれらの低分子が、本発明のペプチドまたは核酸の発現あるいは活性
を調節するために、動物(例えば、ヒト)に投与される場合、医師、獣医師、ま
たは研究者は、例えば、最初に比較的低用量を処方し、引き続いて、適切な応答
が得られるまで用量を増加させ得る。さらに、任意の特定の動物被験体に対する
特定の用量レベルは、種々の因子(利用される特定の化合物の活性、年齢、体重
、通常の健康、性、および被験体の食事、投与時間、投与経路、排泄速度、任意
の薬物の組合せ、ならびに調節されるべき発現または活性の程度を含む)に依存
することが理解される。
【0335】 本発明は、以下の実施形態を参考としてよりよく理解され得る。これらの実施
例は、本発明の特定の実施形態を代表することを意図し、そして本発明の範囲を
限定することを意図しない。
【0336】 (実施例) (実施例1:リン酸ジエステラーゼアッセイ) 化合物を、シンチレーションプロキシミティアッセイ(SPA)技術(リン酸
ジエステラーゼ[3H]cAMP SPA酵素アッセイ、カタログ番号.TRK
Q7090、Amersham Pharmacia Biotech、Pis
cataway、NJ)を用いてPDE10a活性を直接測定する生物化学的ア
ッセイにおいて試験した。このアッセイにおいて、組換えバキュロウイルス感染
[Bac−toBac Baculovirus Expression Sy
stem、カタログ番号10359−016、Life Technologi
es、Gaithersburg、MD]Sf9細胞[カタログ番号B825−
01、Invitrogen、Carlsbad、CA]由来の天然の溶解産物
内に存在する組換えPDE10aは、3’,5’−[H]cAMPの5’−[ H]AMPへの加水分解を触媒し、これは、SPAビーズに特異的に結合し、
そしてシンチログラフィーによって測定される。PDE10aインヒビターを同
定する機会を最大限にするために、アッセイ条件を最適化し、Kmの少なくとも
約1/10のcAMP濃度を利用した。ハイスループットスクリーニングによっ
て、化合物TRA10が同定され(図8)、これは、1,25μMで85%のP
DE10a触媒活性の阻害を示した(表1)。
【0337】
【表2】 (実施例2:細胞のメカニズムに基づくアッセイおよび機能アッセイ) 化合物TRA10を、細胞増殖のcAMPに媒介される阻害を評価するために
設計されたホールセルアッセイで試験した。MDA−MB−231ヒト乳癌細胞
株(カタログ番号HTB−26、American Type Culture
Collection、Manassas、VA)を、以下に基づいて、メカ
ニズムアッセイと機能アッセイとの両方における使用のために選択した:(1)
薬剤を増大させるcAMPに応じて増殖阻害を示す出版された報告(例えば、F
ontanaら、(1987)J.Natl.Cancer Inst.78(
6):1107−1112)、および(2)試験された他のヒト腫瘍細胞株と比
べて比較的高いPDE10a mRNAの内因性発現。
【0338】 感応性の競合ラジオイムノアッセイ([125I]cAMP SPA Scr
eening Assay、カタログ番号RPA556、Amersham P
harmacia Biotech、Piscataway、NJ)を使用して
、化合物TRA10と共に1時間インキュベーションした後に調製された細胞溶
解産物におけるcAMPを測定した。化合物TRA10によるMDA−MB−2
31細胞の処置は、用量依存性および細胞内cAMP含量における飽和性の増加
を引き起こした(図9)。
【0339】 化合物TRA10を、インビトロでMDA−MB−231細胞の増殖を阻害す
るその能力について試験した。細胞を1ウェル当たり3000細胞の密度でプレ
ートし(96ウェルプレート)、そして翌日72時間化合物TRA10で処置し
た。化合物TRA10の抗増殖性の活性を、生存する細胞数に比例する細胞の乳
酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性を測定することによって評価した(Cyto
tox 96 Non−Radioactive Cytotoxicity
Assey、Promega、Madison、WI)。化合物TRA10は、
0.94μMのIC50で、インビトロでMDA−MB−231細胞の増殖を阻
害した(図10)。
【0340】 (実施例3:短期間のメカニズムに基づくインビボモデル) MDA−MB−231細胞を、中空PVDF繊維(カタログ番号S93201
01、Spectrum Laboratories、Laguna Hill
s、CA)へ、1繊維当たり1×10細胞で充填した(これは、熱融合され、
そして雌性のNCrヌードマウス(Charles River Labs、M
A)へと皮下に移植された)。翌日、化合物TRA10を腹腔内投与し(12.
5% EtOH、12.5% Cremaphor−EL(カタログ番号C51
35、Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)75% H
)、そして繊維を投薬1時間後に回収した。繊維内の細胞を溶解し、そして細胞
のcAMP濃度を細胞溶解産物において測定した。図11は、このモデル(腹腔
内投与)における化合物TRA10試験の結果を示す。示されるデータは、3つ
の独立した実験からの結果で、これは、10mg/kgと30mg/kgとの両
方の用量のTRA10が、の中空繊維内のMDA−MB−231細胞において有
意に上昇したcAMPを引き起こした(p<0.002)。30mg/lg 対
10mg/kgの投与についての結果の比較は、用量に依存しないcAMPの
上昇もまた、実質的に有意である(p<0.02)ことを示す。
【0341】 本発明は、多くの異なる形態で具体化され得、そして本明細書中に記載される
実施形態に限定されると解釈すべきではない;むしろ、これらの実施形態が提供
され、その結果、この開示が当業者に本発明を完全に伝えられる。前述の記載に
示された教示の利益を有して本発明が関連する本発明の多くの改変および他の実
施形態が当業者の心に浮かぶ。特定の用語が利用されるが、それらは、他の方法
で示されない場合当該分野におけるように使用される。
【0342】 本明細書中に記述される全ての出版物および特許出願は、本発明が関する当業
者のレベルを示す。全ての出版物および特許出願は、個々の出版物また特許出願
それぞれが参考として援用されるために具体的および個々に示された場合と同じ
程度に、本明細書中で参考として援用される。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ホスホジエステラーゼヌクレオチド配列(配列番号2)および推定ア
ミノ酸配列(配列番号1)を示す。BLAST分析は、トップ(top)BLA
STが、AB020593、AF127479、AF127480ヒト二重(d
ual)特異性cAMP/cGMP、およびマウスPDE10A、AF1105
07に対してスコアをつけることを示す。AF110507、AF127480
、AF127479、AB020593=GenBank受託。例えば、Sod
erlingら、Proc.Nati’l.Acad.Sci.U.S.A.9
6:7071−7076(1999)を参照のこと。
【図2】 図2は、ホスホジエステラーゼの疎水性プロットを示す。
【図3】 図3は、ホスホジエステラーゼアミノ酸配列の分析:αβターンおよびコイル
領域;親水性;両親媒性領域;可撓性領域;抗原性指標;および表面確率プロッ
トを示す。
【図4】 図4は、配列番号1の特定の機能部位に対応するアミノ酸についてのホスホジ
エステラーゼオープンリーディングフレームの分析を示す。グリコシル化部位は
、実際に改変された残基が、第1のアミノ酸である図で示される。プロテインキ
ナーゼCリン酸化部位は、実際に改変された残基が、第1のアミノ酸である図で
示される。カゼインキナーゼIIリン酸化部位は、実際に改変された残基が、第
1のアミノ酸である図で示される。チロシンキナーゼリン酸化部位は、実際に改
変された残基が、最後のアミノ酸である図で示される。N−ミリストイル化部位
が、図に示される。さらに、ホスホジエステラーゼのサインHDXXHXXに対
応するアミノ酸は、アミノ酸553〜559において配列HDLDHRGで見出
される。
【図5】 図5は、種々の正常な組織における22045ホスホジエステラーゼの発現を
示す。
【図6】 図6は、種々の心臓血管組織における22045ホスホジエステラーゼの発現
を示す。Int.Mamm:内胸動脈;CHF:うっ血性心不全;ISCH虚血
性心臓;myop:ミオパシー性心臓。
【図7】 図7は、乳癌、肺癌、および結腸癌、ならびに肝臓への結腸転移におけるホス
ホジエステラーゼの発現を示す。
【図8】 図8は、化合物TRA10の構造を示す。
【図9】 図9は、化合物TRA10によるMDA−MB−231細胞における細胞内c
AMPの上昇を示す。
【図10】 図10は、インビトロのMDA−MB−231ヒト乳癌細胞に対する化合物T
RA10の抗増殖性活性を示す。
【図11】 図11は、インビボ中空繊維cAMPアッセイにおける化合物TRA10の活
性を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 45/00 A61K 48/00 4C085 48/00 A61P 5/00 4C087 A61P 5/00 9/04 9/04 9/10 9/10 35/00 35/00 C12Q 1/02 C12N 5/06 1/68 A 5/10 G01N 33/15 Z 15/09 33/50 Z ZNA 33/53 D C12Q 1/02 L 1/68 33/566 G01N 33/15 A61K 35/76 33/50 C12N 15/00 ZNAA 33/53 A 5/00 B 33/566 E // A61K 35/76 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 ウィリアムソン, マーク アメリカ合衆国 マサチューセッツ 01906, サウガス, ストーンクレスト ドライブ 15 Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 CB01 DA13 DA14 FB02 4B024 AA01 AA11 CA02 CA09 CA12 CA20 DA03 GA11 HA11 HA13 HA14 HA17 4B063 QA01 QA05 QQ21 QQ33 QQ41 QQ43 QQ53 QQ61 QQ89 QR08 QR13 QR32 QR35 QR40 QR42 QR56 QR57 QR62 QR77 QS16 QS25 QS34 QS36 QX02 QX07 4B065 AA93X AB01 AB10 AC20 BA01 BA30 CA44 4C084 AA02 AA03 AA13 AA17 BA03 NA14 ZA312 ZA362 ZA402 ZB262 ZC412 4C085 AA13 AA14 4C087 AA01 AA02 BC83 CA12 NA14 ZA31 ZA36 ZA40 ZB26 ZC41

Claims (47)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞中のポリペプチドのレベルまたは活性を調節する薬剤を
    同定するための方法であって、該ポリペプチドが、以下: (a)配列番号1に示されるアミノ酸配列; (b)配列番号1に示されるアミノ酸配列の対立遺伝子改変体のアミノ酸配列
    ; (c)配列番号1に示されるアミノ酸配列の対立遺伝子改変体のアミノ酸配列
    ; (d)配列番号1に示されるアミノ酸配列の配列改変体のアミノ酸配列であっ
    て、該配列改変体が、ストリンジェントな条件下で配列番号2に示される核酸分
    子にハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、アミノ酸配列; (e)配列番号1に示されるアミノ酸配列のフラグメントであって、該フラグ
    メントが、少なくとも10個連続したアミノ酸を含む、フラグメント; (f)配列番号1に示される、およそアミノ酸6からおよそアミノ酸779の
    成熟レセプターポリペプチドのアミノ酸配列; (g)およそアミノ酸1からおよそアミノ酸779の、配列番号1に示される
    ポリペプチドのアミノ酸配列; (h)(a)〜(g)のポリペプチドのいずれか1つのエピトープ保有領域の
    アミノ酸配列、 からなる群より選択され、該方法が、該ポリペプチドのレベルまたは活性が該薬
    剤により該細胞中で調節され得るように、該薬剤を該ポリペプチドを発現し得る
    細胞と接触させる工程、および該ポリペプチドのレベルまたは活性を測定する工
    程を包含し、ここで、該細胞が、甲状腺、虚血性心臓、乳癌細胞、結腸癌細胞お
    よび肺癌細胞、ならびにうっ血性心不全に関与する細胞からなる群に由来する、
    方法。
  2. 【請求項2】 細胞中のポリペプチドのレベルまたは活性を調節する薬剤を
    同定するために該細胞をスクリーニングする方法であって、該ポリペプチドが、
    以下: (a)配列番号1に示されるアミノ酸配列; (b)配列番号1に示されるアミノ酸配列の対立遺伝子改変体のアミノ酸配列
    ; (c)配列番号1に示されるアミノ酸配列の配列改変体のアミノ酸配列であっ
    て、該配列改変体が、ストリンジェントな条件下で配列番号2に示される核酸分
    子にハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、アミノ酸配列; (d)配列番号1に示されるアミノ酸配列のフラグメントであって、該フラグ
    メントが、少なくとも10個連続したアミノ酸を含む、フラグメント; (e)配列番号1に示される、およそアミノ酸6からおよそアミノ酸779の
    成熟レセプターポリペプチドのアミノ酸配列; (f)およそアミノ酸1からおよそアミノ酸779の、配列番号1に示される
    ポリペプチドのアミノ酸配列; (g)(a)〜(f)のポリペプチドのいずれか1つのエピトープ保有領域の
    アミノ酸配列、 からなる群より選択され、該方法が、該ポリペプチドのレベルまたは活性が該薬
    剤により該細胞中で調節され得るように、該薬剤を該ポリペプチドを発現し得る
    細胞と接触させる工程、および該ポリペプチドのレベルまたは活性を測定する工
    程を包含し、ここで、該細胞が、甲状腺、虚血性心臓、乳癌細胞、結腸癌細胞お
    よび肺癌細胞、ならびにうっ血性心不全に関与する細胞からなる群に由来する、
    方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の方法であって、前記うっ血性心不全を有す
    る被験体に由来の細胞が、心筋細胞である、方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の方法であって、前記薬剤が、前記ポリペプ
    チドのレベルまたは活性を増加する、方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の方法であって、前記薬剤が、前記ポリペプ
    チドのレベルまたは活性を減少する、方法。
  6. 【請求項6】 細胞中のポリペプチドと相互作用する薬剤を同定するための
    方法であって、該ポリペプチドが、以下: (a)配列番号1に示されるアミノ酸配列; (b)配列番号1に示されるアミノ酸配列の対立遺伝子改変体のアミノ酸配列
    ; (c)配列番号1に示されるアミノ酸配列の配列改変体のアミノ酸配列であっ
    て、該配列改変体が、ストリンジェントな条件下で配列番号2に示される核酸分
    子にハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、アミノ酸配列; (d)配列番号1に示されるアミノ酸配列のフラグメントであって、該フラグ
    メントが、少なくとも10個連続したアミノ酸を含む、フラグメント; (e)配列番号1に示される、およそアミノ酸6からおよそアミノ酸779の
    成熟レセプターポリペプチドのアミノ酸配列; (f)およそアミノ酸1からおよそアミノ酸779の、配列番号1に示される
    ポリペプチドのアミノ酸配列; (g)(a)〜(f)のポリペプチドのいずれか1つのエピトープ保有領域の
    アミノ酸配列、 からなる群より選択され、該方法が、該ポリペプチドが該薬剤と相互作用し得る
    ように、該薬剤を該ポリペプチドと該薬剤との間の相互作用を可能にし得る細胞
    と接触させる工程、および該相互作用を測定する工程を包含し、ここで、該細胞
    が、甲状腺、虚血性心臓、乳癌細胞、結腸癌細胞および肺癌細胞、ならびにうっ
    血性心不全に関与する細胞からなる群に由来する、方法。
  7. 【請求項7】 細胞中のポリペプチドと相互作用する薬剤を同定するために
    細胞をスクリーニングする方法であって、該ポリペプチドが、以下: (a)配列番号1に示されるアミノ酸配列; (b)配列番号1に示されるアミノ酸配列の対立遺伝子改変体のアミノ酸配列
    ; (c)配列番号1に示されるアミノ酸配列の配列改変体のアミノ酸配列であっ
    て、該配列改変体が、それぞれ、ストリンジェントな条件下で配列番号2に示さ
    れる核酸分子にハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、アミノ酸配
    列; (d)配列番号1に示されるアミノ酸配列のフラグメントであって、該フラグ
    メントが、少なくとも10個連続したアミノ酸を含む、フラグメント; (e)配列番号1に示される、およそアミノ酸6からおよそアミノ酸779の
    成熟レセプターポリペプチドのアミノ酸配列; (f)およそアミノ酸1からおよそアミノ酸779の、配列番号1に示される
    ポリペプチドのアミノ酸配列; (g)(a)〜(f)のポリペプチドのいずれか1つのエピトープ保有領域の
    アミノ酸配列、 からなる群より選択され、該方法が、該ポリペプチドが該薬剤と相互作用し得る
    ように、該薬剤を該ポリペプチドと該薬剤との間の相互作用を可能にし得る細胞
    と接触させる工程、および該相互作用を測定する工程を包含し、ここで、該細胞
    が、甲状腺、虚血性心臓、乳癌細胞、結腸癌細胞および肺癌細胞、ならびにうっ
    血性心不全に関与する細胞からなる群に由来する、方法。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載の方法であって、以下:(1)前記薬剤が前
    記ポリペプチドと相互作用し得る条件下で、該薬剤を該ポリペプチドに曝露する
    工程;(2)該薬剤と相互作用し得る競合ペプチドを加える工程;および(3)
    該薬剤と該ポリペプチドとの間の相互作用の量を、該競合ポリペプチドの非存在
    下で相互作用の量と比較する工程、を包含する、方法。
  9. 【請求項9】 前記相互作用が結合である、請求項6に記載の方法。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載の方法であって、前記薬剤が、前記ポリペ
    プチドと該ポリペプチドに対する標的分子との間の相互作用を増加し、該方法が
    、該ポリペプチドが該標的分子と相互作用し得る条件下で、該ポリペプチドを該
    薬剤と組み合わせる工程;および該ポリペプチドの該標的分子との相互作用の結
    果としての、該ポリペプチドと該標的分子との間の複合体の形成または該ポリペ
    プチドの活性を検出する工程、を包含する、方法。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載の方法であって、前記薬剤が、前記ポリペ
    プチドと該ポリペプチドに対する標的分子との間の相互作用を減少し、該方法が
    、該ポリペプチドが該標的分子と相互作用し得る条件下で、該ポリペプチドを該
    薬剤と組み合わせる工程;および該ポリペプチドの該標的分子との相互作用の結
    果としての、該ポリペプチドと該標的分子との間の複合体の形成または該ポリペ
    プチドの活性を検出する工程、を包含する、方法。
  12. 【請求項12】 前記細胞がインビボである、請求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記細胞がトランスジェニック動物内にある、請求項12
    に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記細胞が非トランスジェニック被験体内にある、請求項
    12に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記細胞がインビトロである、請求項1に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記細胞が破壊されている、請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記細胞が生検内にある、請求項15に記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記細胞が細胞培養物内にある、請求項16に記載の方法
  19. 【請求項19】 前記細胞が天然に存在するかまたは組換えである、請求項
    18に記載の方法。
  20. 【請求項20】 請求項1に記載の方法であって、前記薬剤が、ペプチド;
    リンペプチド;抗体;有機分子;および無機分子からなる群より選択される、方
    法。
  21. 【請求項21】 サンプル中のポリペプチドの存在を検出するための方法で
    あって、該方法が、該サンプルを、該サンプル中の該ポリペプチドの存在の検出
    を特異的に可能にする薬剤と接触させ、次いで、該ポリペプチドの存在を検出す
    る工程を包含し、ここで、該ポリペプチドが、以下: (a)配列番号1に示されるアミノ酸配列; (b)配列番号1に示されるアミノ酸配列の対立遺伝子改変体のアミノ酸配列
    ; (c)配列番号1に示されるアミノ酸配列の配列改変体のアミノ酸配列であっ
    て、該配列改変体が、ストリンジェントな条件下で配列番号2に示される核酸分
    子にハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、アミノ酸配列; (d)配列番号1に示されるアミノ酸配列のフラグメントであって、該フラグ
    メントが、少なくとも10個連続したアミノ酸を含む、フラグメント; (e)配列番号1に示される、およそアミノ酸6からおよそアミノ酸779の
    成熟レセプターポリペプチドのアミノ酸配列; (f)およそアミノ酸1からおよそアミノ酸779の、配列番号1に示される
    ポリペプチドのアミノ酸配列; (g)(a)〜(f)のポリペプチドのいずれか1つのエピトープ保有領域の
    アミノ酸配列、 からなる群より選択され、 ここで、該サンプルが、甲状腺、虚血性心臓、乳癌細胞、結腸癌細胞および肺癌
    細胞、ならびにうっ血性心不全に関与する細胞からなる群より選択される細胞に
    由来する、方法。
  22. 【請求項22】 請求項21に記載の方法であって、前記薬剤が、前記ポリ
    ペプチドとの選択的物理的会合が可能である、方法。
  23. 【請求項23】 請求項22に記載の方法であって、前記薬剤が、前記ポリ
    ペプチドに結合する、方法。
  24. 【請求項24】 請求項23に記載の方法であって、前記薬剤が、抗体であ
    る、方法。
  25. 【請求項25】 請求項23に記載の方法であって、前記薬剤が、cAMP
    またはcGMPである、方法。
  26. 【請求項26】 請求項21の方法に使用される試薬を備えるキットであっ
    て、該試薬が、前記ポリペプチドに特異的に結合する薬剤を備える、キット。
  27. 【請求項27】 ポリペプチドのレベルまたは活性を調節するための方法で
    あって、該方法が、該ポリペプチドを薬剤と、該薬剤が該ポリペプチドのレベル
    または活性を調節し得る条件下で接触させる工程を包含し、ここで、該ポリペプ
    チドが、以下: (a)配列番号1に示されるアミノ酸配列; (b)配列番号1に示されるアミノ酸配列の対立遺伝子改変体のアミノ酸配列
    ; (c)配列番号1に示されるアミノ酸配列の配列改変体のアミノ酸配列であっ
    て、該配列改変体が、ストリンジェントな条件下で配列番号2に示される核酸分
    子にハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、アミノ酸配列; (d)配列番号1に示されるアミノ酸配列のフラグメントであって、該フラグ
    メントが、少なくとも10個連続したアミノ酸を含む、フラグメント; (e)配列番号1に示される、およそアミノ酸6からおよそアミノ酸779の
    成熟レセプターポリペプチドのアミノ酸配列; (f)およそアミノ酸1からおよそアミノ酸779の、配列番号1に示される
    ポリペプチドのアミノ酸配列; (g)(a)〜(f)のポリペプチドのいずれか1つのエピトープ保有領域の
    アミノ酸配列、 からなる群より選択され、 ここで、該調節が、甲状腺、虚血性心臓、乳癌細胞、結腸癌細胞および肺癌細胞
    、ならびにうっ血性心不全に関与する細胞からなる群より選択される細胞におい
    て生じる、方法。
  28. 【請求項28】 細胞中の核酸分子のレベルまたは活性を調節する薬剤を同
    定するための方法であって、該核酸分子が、以下: (a)配列番号2に示されるヌクレオチド配列; (b)配列番号1に示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列; (c)(a)または(b)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオ
    チド配列; (d)ストリンジェントな条件下で配列番号2に示されるヌクレオチド配列に
    ハイブリダイズする、配列番号1に示されるアミノ酸の配列改変体のアミノ酸配
    列をコードする、ヌクレオチド配列; (e)(d)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオチド配列; (f)配列番号1に示されるアミノ酸配列のフラグメントをコードするヌクレ
    オチド配列であって、該フラグメントが、少なくとも10個連続したアミノ酸を
    含む、ヌクレオチド配列; (g)(f)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオチド配列、 からなる群より選択される核酸配列を有し、 該方法が、該核酸分子のレベルまたは活性が、該薬剤によって細胞中で調節され
    得るように、該薬剤を該核酸分子を発現し得る該細胞と接触させる工程、および
    該核酸分子のレベルまたは活性を測定する工程を包含し、ここで、該細胞が、甲
    状腺、虚血性心臓、乳癌細胞、結腸癌細胞および肺癌細胞、ならびにうっ血性心
    不全に関与する細胞からなる群に由来する、方法。
  29. 【請求項29】 細胞中の核酸分子のレベルまたは活性を調節する薬剤を同
    定するために該細胞をスクリーニングする方法であって、ここで、該核酸分子が
    、以下: (a)配列番号2に示されるヌクレオチド配列; (b)配列番号1に示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列; (c)(a)または(b)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオ
    チド配列; (d)ストリンジェントな条件下で配列番号2に示されるヌクレオチド配列に
    ハイブリダイズする、配列番号1に示されるアミノ酸の配列改変体のアミノ酸配
    列をコードする、ヌクレオチド配列; (e)(d)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオチド配列; (f)配列番号1に示されるアミノ酸配列のフラグメントをコードするヌクレ
    オチド配列であって、該フラグメントが、少なくとも10個連続したアミノ酸を
    含む、ヌクレオチド配列; (g)(f)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオチド配列、 からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有し; 該方法が、該核酸分子のレベルまたは活性が、該薬剤によって該細胞中で調節さ
    れ得るように、該薬剤を該核酸分子を発現し得る該細胞と接触させる工程、およ
    び該核酸分子のレベルまたは活性を測定する工程を包含し、ここで、該細胞が、
    甲状腺、虚血性心臓、乳癌細胞、結腸癌細胞および肺癌細胞、ならびにうっ血性
    心不全に関与する細胞からなる群に由来する、方法。
  30. 【請求項30】 細胞中の核酸分子と相互作用する薬剤を同定するための方
    法であって、ここで、該核酸分子が、以下: (a)配列番号2に示されるヌクレオチド配列; (b)配列番号1に示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列; (c)(a)または(b)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオ
    チド配列; (d)ストリンジェントな条件下で配列番号2に示されるヌクレオチド配列に
    ハイブリダイズする、配列番号1に示されるアミノ酸の配列改変体のアミノ酸配
    列をコードする、ヌクレオチド配列; (e)(d)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオチド配列; (f)配列番号1に示されるアミノ酸配列のフラグメントをコードするヌクレ
    オチド配列であって、該フラグメントが、少なくとも10個連続したアミノ酸を
    含む、ヌクレオチド配列; (g)(f)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオチド配列、 からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有し、 該方法が、該核酸分子が、該薬剤と相互作用し得るように、該薬剤を、該核酸分
    子と該薬剤との間の相互作用を可能にし得る細胞と接触させる工程、および該相
    互作用を測定する工程を包含し、ここで、該細胞が、甲状腺、虚血性心臓、乳癌
    細胞、結腸癌細胞および肺癌細胞、ならびにうっ血性心不全に関与する細胞から
    なる群に由来する、方法。
  31. 【請求項31】 細胞中の核酸分子と相互作用する薬剤を同定するために細
    胞をスクリーニングする方法であって、ここで、該核酸分子が、以下: (a)配列番号2に示されるヌクレオチド配列; (b)配列番号1に示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列; (c)(a)または(b)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオ
    チド配列; (d)ストリンジェントな条件下で配列番号2に示されるヌクレオチド配列に
    ハイブリダイズする、配列番号1に示されるアミノ酸の配列改変体のアミノ酸配
    列をコードする、ヌクレオチド配列; (e)(d)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオチド配列; (f)配列番号1に示されるアミノ酸配列のフラグメントをコードするヌクレ
    オチド配列であって、該フラグメントが、少なくとも10個連続したアミノ酸を
    含む、ヌクレオチド配列; (g)(f)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオチド配列、 からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有し、 該方法が、該核酸分子が、該薬剤と相互作用し得るように、該薬剤を、該核酸分
    子と該薬剤との間の相互作用を可能にし得る細胞と接触させる工程、および該相
    互作用を測定する工程を包含し、ここで、該細胞が、甲状腺、虚血性心臓、乳癌
    細胞、結腸癌細胞および肺癌細胞、ならびにうっ血性心不全に関与する細胞から
    なる群に由来する、方法。
  32. 【請求項32】 サンプル中の核酸分子の存在を検出するための方法であっ
    て、該方法が、該サンプルを、該サンプル中で該核酸分子の存在の検出を特異的
    に可能にする薬剤と接触させ、次いで該核酸分子の存在を検出する工程をを包含
    し、該核酸分子が、以下: (a)配列番号2に示されるヌクレオチド配列; (b)配列番号1に示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列; (c)(a)または(b)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオ
    チド配列; (d)ストリンジェントな条件下で配列番号2に示されるヌクレオチド配列に
    ハイブリダイズする、配列番号1に示されるアミノ酸の配列改変体のアミノ酸配
    列をコードする、ヌクレオチド配列; (e)(d)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオチド配列; (f)配列番号1に示されるアミノ酸配列のフラグメントをコードするヌクレ
    オチド配列であって、該フラグメントが、少なくとも10個連続したアミノ酸を
    含む、ヌクレオチド配列; (g)(f)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオチド配列、 からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有し; ここで、該サンプルが、甲状腺、虚血性心臓、乳癌細胞、結腸癌細胞および肺癌
    細胞、ならびにうっ血性心不全に関与する細胞からなる群より選択される細胞に
    由来する、方法。
  33. 【請求項33】 請求項32に記載の方法であって、前記薬剤が、ストリン
    ジェントな条件下で(a)〜(g)の核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌク
    レオチドであり、そして該方法が、さらに、該薬剤が、前記サンプル中の該核酸
    配列に結合するか否かを決定する工程を包含する、方法。
  34. 【請求項34】 請求項33に記載の方法であって、前記存在が検出される
    核酸が、mRNAである、方法。
  35. 【請求項35】 請求項33の方法に使用するための試薬を備えるキットで
    あって、該試薬が、前記核酸分子のいずれかにストリンジェントな条件下でハイ
    ブリダイズする化合物を含む、キット。
  36. 【請求項36】 前記核酸分子のフラグメントが、接触される、請求項35
    に記載の方法。
  37. 【請求項37】 核酸分子のレベルまたは活性を調節するための方法であっ
    て、該方法が、該核酸分子を薬剤と、該薬剤が該核酸分子のレベルまたは活性を
    調節し得る条件下で接触させる工程を包含し、該核酸分子が、以下: (a)配列番号2に示されるヌクレオチド配列; (b)配列番号1に示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列; (c)(a)または(b)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオ
    チド配列; (d)ストリンジェントな条件下で配列番号2に示されるヌクレオチド配列に
    ハイブリダイズする、配列番号1に示されるアミノ酸の配列改変体のアミノ酸配
    列をコードする、ヌクレオチド配列; (e)(d)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオチド配列; (f)配列番号1に示されるアミノ酸配列のフラグメントをコードするヌクレ
    オチド配列であって、該フラグメントが、少なくとも10の連続したアミノ酸を
    含む、ヌクレオチド配列; (g)(f)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌクレオチド配列、 からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有し、 ここで、該調節が、甲状腺、虚血性心臓、乳癌細胞、結腸癌細胞および肺癌細胞
    、ならびにうっ血性心不全に関与する細胞からなる群より選択される細胞内にお
    いてである、方法。
  38. 【請求項38】 請求項21に記載の方法であって、前記検出が、前記細胞
    を含む障害を有するか、または該細胞を含む障害にかかりやすい被験体に由来す
    る細胞内においてである、方法。
  39. 【請求項39】 請求項27に記載の方法であって、前記調節が、前記細胞
    を含む障害を有するか、または前記細胞を含む障害にかかりやすい被験体から誘
    導される細胞内においてである、方法。
  40. 【請求項40】 請求項38に記載の方法であって、前記障害が、乳癌、肺
    癌、または結腸癌、うっ血性心不全、および虚血である、方法。
  41. 【請求項41】 請求項39に記載の方法であって、前記障害が、乳癌、肺
    癌、または結腸癌、うっ血性心不全、および虚血である、方法。
  42. 【請求項42】 請求項39に記載の方法であって、前記細胞が、非ヒトト
    ランスジェニック動物内にある、方法。
  43. 【請求項43】 請求項1、2、6、または7に記載の方法のいずれかによ
    って同定される、薬剤。
  44. 【請求項44】 被験体における異常な細胞増殖と関連する疾患または障害
    を処置または予防するための医薬を作製するための方法であって、該方法が、薬
    学的に有効量の22045のアゴニストを、該医薬を得るために薬学的組成物に
    組み込む工程を包含する、方法。
  45. 【請求項45】 請求項44に記載の方法であって、前記疾患が、結腸癌、
    乳癌、および肺癌からなる群より選択される、方法。
  46. 【請求項46】 請求項43に記載の方法であって、前記アゴニストが、小
    分子、抗体、リボザイム、ヌクレオチド、リボヌクレオチド、およびペプチドか
    らなる群より選択される、方法。
  47. 【請求項47】 被験体における異常な細胞増殖と関連する疾患または障害
    を処置または予防する際に使用するための医薬を作製するための方法であって、
    該方法が、請求項1、2、6または7に記載の方法にいずれか1つによって同定
    される薬学的に有効量の薬剤を、該医薬を得るために薬学的組成物に組み込む工
    程を包含する、方法。
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