JP2003503411A - グアニジニウムアルカロイドの改良された化学合成法 - Google Patents

グアニジニウムアルカロイドの改良された化学合成法

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JP2003503411A JP2001507034A JP2001507034A JP2003503411A JP 2003503411 A JP2003503411 A JP 2003503411A JP 2001507034 A JP2001507034 A JP 2001507034A JP 2001507034 A JP2001507034 A JP 2001507034A JP 2003503411 A JP2003503411 A JP 2003503411A
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    • C07D491/22Heterocyclic compounds containing in the condensed ring system both one or more rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms and one or more rings having nitrogen atoms as the only ring hetero atoms, not provided for by groups C07D451/00 - C07D459/00, C07D463/00, C07D477/00 or C07D489/00 in which the condensed system contains four or more hetero rings
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Abstract

(57)【要約】 シス−または−トランス−1−オキソ−および1−イミノヘキサヒドロピロロ[1,2−c]ピリミジンユニットを有する化合物,例えば,抗真菌および/または抗ウイルスおよび/または抗腫瘍活性を有する治療剤として用いるための13,14,15−イソクラムベシジン800,クラムベシジン800およびプチロミカリンAを含むグアニジニウムアルカロイド化合物の集中的なエナンチオ選択的全合成のための改良された方法が提供される。また,グアニジニウムアルカロイドおよび同族体のクラムベシジン/プチロミカリンファミリーを製造するための新規五環中間体を製造する方法も開示される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本明細書の全体を通して,種々の刊行物が参照される。これらの刊行物の開示
は,本発明の属する技術分野の水準をより完全に記載するために,その全体を本
明細書の一部としてここに引用する。
【0002】発明の分野 本発明は,グアニジニウムアルカロイドの改良された合成方法に関し,より詳
細には,グアニジニウムアルカロイドのクラムベシジン/プチロミカリンファミ
リーの総合的,集中的合成に関する。
【0003】 本発明は,政府の支援によりなされたものであり,the National
Institutes of Healthから助成金番号NIH NHLB
IS(HL−25854)が付与されている。政府は本発明に対して一定の権利
を有する。
【0004】発明の背景 地中海の岩場に沿った浅場で一般に見いだされる,鮮紅色の外殻を有する海綿
であるCrambe crambeは,構造的に新規な,生物学的に活性のアル
カロイド(1)を豊富に含む起源である。コノウチ最モ顕著ナ海洋性グアニジン天然生成 物は,図1に示される,ω−ヒドロキシカルボン酸,エステルまたはポリアミン
アミドに連結した堅い五環グアニジンカルボン酸コアを有するアルカロイドのフ
ァミリーである。このファミリー,例えばプチロミカリンA(化合物1),クラ
ムベシジン(化合物2−6),セレロミカリンおよびフロミアミカリン(化合物
10)は,長鎖ω−ヒドロキシカルボン酸スペーサーのテザーが付いたスペルミ
ジンまたはヒドロキシスペルミジン残基を有する,構造的に独特の五環グアニジ
ニウムコアにより特徴づけられる。
【0005】 アルカロイドであるプチロミカリンAは,Kashman,Kakisawa
および共同研究者により,カリブ海および紅海で回収された海綿から報告されて
いる(Kashman et al.,J.Am.Chem.Soc.,198
9,111:8925)。プチロミカリンAは,P388(IC50 0.1μg
/mL),L1210(IC50 0.4μg/mL)およびKB(IC50 1.
3μg/mL)に対して細胞毒性を,Candida albicans(MI
C 0.8μg/mL)に対して抗真菌活性を,ならびに単純ヘルペスウイルス
1型(HSV−1)に対して0.2μg/mLの濃度で顕著な抗ウイルス活性を
示す(Overman,L.E.;et al.(上掲))。最近,プチロミカ
リンAは,骨格筋小胞体からの脳Na+,K+−ATPaseおよびCa2+−AT
Paseを,それぞれ2μMおよび10μMのIC50値で阻害することが示され
ている(Ohtani,I.;et al..Euro.J.Pharm.19
96,310,95)。
【0006】 プチロミカリンAの他に,ヒドロピロロ[1,2−c]ピリミジン−4−カル
ボキシレート部分構造を有する多数の他の複雑な海洋性アルカロイドが単離され
ており,これには,Crambe crambeからの13,14,15−イソ
クラムベシジン800,クラムベシジン800およびクラムベシジン816が含
まれる(Jares−Erijman et al.,J.Org.Chem.
1991,56:5712−5715;Jares−Erigman et a
l.,J.Org.Chem.1993,58:4805−4808;Tava
res et al.,Biochem.Syst.Ecol.,1994,2
2:645−646;Berlinck et al.,J.Nat.Prod
.1993,56,1007−10015)。
【0007】 プチロミカリンAおよびいくつかのクラムベシジンは,実質的な抗腫瘍,抗ウ
イルスおよび抗真菌活性を示す。クラムベシジンアルカロイドは,カルシウムチ
ャネルの阻害(Jares−Erijman, et al.,J.Org.C
hem.1993,58:4805);Na+,K+およびCa2+−ATPase
sの阻害(Ohizumi et al.,Eur.J.Pharmacol.
,1996,310:95)における使用が記載されている。バテラジンアルカ
ロイド,例えばバテラジンBおよびD(図1,Patil et al.,J.
Org.Chem.,1995,60:1182;Patil et al.,
J.Org.Chem.,1997,62:1814;およびPatil et
al.,J.Nat.Prod.,1997,60:704)は,免疫応答に
重要な蛋白質−蛋白質相互作用を調節することが報告されている(Patil
et al.,1995およびJ.Org.Chem.,1997,(上掲))
【0008】 量が少ないため,13,14,15−イソクラムベシジン800は広くスクリ
ーニングされていないが,L−1210細胞に対して他のクラムベシジンより細
胞毒性が低いと報告されている(Jares−Erijman et al.,
J.Org.Chem.,1993,58:4805−4808,(上掲))。
【0009】 クラムベシジンアルカロイドの明確な構造的特徴は,スペルミジンまたはヒド
ロキシスペルミジンユニットに直鎖ω−ヒドロキシカルボン酸が結合している五
環グアニジンユニットである。詳細なNMR研究は,クラムベシジン800,ク
ラムベシジン816およびプチロミカリンAの五環コアの相対的立体化学が同一
であるが(Jares−Erijman et al.,(上掲)およびTav
ares et al.,(上掲)),13,14,15−イソクラムベシジン
800はクラムベシジンファミリーの他のメンバーとはC13,C14およびC
15においてエピマー性であることを示した(Jares−Erijman e
t al.,J.Org.Chem.,1993,(上掲),およびBerli
nck et al.,J.Nat.Prod.,(上掲))。13,14,1
5−イソクラムベシジン800およびクラムベシジン816のグアニジン成分の
絶対的コンフィギュレーションは,これらのアルカロイドのオキセペン環を酸化
的に分解して(S)−2−ヒドロキシブタン酸を生成することにより確立された
(Jares−Erijman et al.,J.Org.Chem.,19
93,(上掲))。一方,クラムベシジン816のヒドロキシスペルミジンユニ
ットの絶対的コンフィギュレーションはモシャ(Mosher)法を用いて帰属
された(Berlinck et al.,(上掲),およびDale et
al.,J.Am.Chem.Soc.,1973,95:512−519)。
13,14,15−イソクラムベシジン800のヒドロキシスペルミジンフラグ
メントにおける1H NMRおよび13C NMRの化学シフトは2および3のも
のとほぼ同一であるため,C43における立体化学はすべてのクラムベシジンに
ついて同じであると仮定されている(Berlinck et al.,(上掲
))。
【0010】 記載される(図1)アルカロイド化合物において明らかなことは,ピロリジン
窒素を挟む水素がsynまたはantiの関係のいずれかであるヒドロピロロ[
1,2c]ピリミジンユニットが存在することである。
【0011】 1893年,Biginelliは,エチルアセトアセテート,芳香族アルデ
ヒドおよび尿素の縮合からのジヒドロピリミジンの合成を報告した(Bigin
elli,P.,Gazz.Chem.Ital.,1893,23:360(
1893)。Biginelliの開示以来,3つの成分すべてにおける変形に
より一連の官能化ジヒドロピリミジンおよび類似体が合成された(Kappe,
C.O.,Tetrahedron,49:6937(1993)。1993年
,我々は“テザー付きビジネリ”縮合の実行可能性を報告し,ノベナゲル(Kn
oevenagel)条件下で脱水素縮合を進めると,メチン水素のシス配向が
優先的に生じて,シス−1−オキソヘキサヒドロピロロ[1,2−c]ピリミジ
ン生成物が生成することを確認した(Overman et al.,J.Or
g.Chem.,1993,58:3235−3237)。これらの反応は,立
体制御的有機合成におけるビジネリ反応の最初の利用である。テザー付きビジネ
リ縮合は,クラムベシジン(Overman et al.,J.Am.Che
m.Soc.,1995,117:265)およびバテラジンアルカロイド(F
ranklin et al.,J.Org.Chem.,1999,62:6
379)の構築において有力な反応であることがすでに証明されている。最近,
アルケンの代わりにアセタールを用いてビジネリ環化のアルデヒド成分を生成す
ることが報告された(Cohen et al.,Organic Lette
rs,1999,V1N13:2169−2172)。
【0012】 1995年,(−)−プチロミカリンAのエナンチオ選択的全合成が報告され
(Overman et al.,J.Am.Chem.Soc.,117:2
657(1995)),これはクラムベシジンアルカロイドファミリーのメンバ
ーの最初の全合成であった。
【0013】 生物学的活性,例えば抗真菌,抗ウイルスおよび/または抗腫瘍活性を有する
アルカロイド化合物の総合的,集中的合成の改良された方法が求められている。
【0014】発明の概要 したがって,本発明は,抗真菌,抗ウイルスおよび/または抗腫瘍活性を有す
る治療用薬剤として用いるための,グアニジニウムアルカロイド化合物,例えば
,13,14,15−イソクラムベシジン800,クラムベシジン800および
プチロミカリンA等の,シス−またはトランス−1−オキソ−および1−イミノ
ヘキサヒドロピロロ[1,2−c]ピリミジンユニットを有する化合物の集中的
,総合的エナンチオ選択的合成の改良された方法を提供する。
【0015】 本発明の化合物は,以下の式により表すことができる: 化合物I−V
【化47】 [式中,Rは,H,カルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−ア
ルコキシカルボン酸エステルであり,Xは任意の薬学的に許容しうるカウンター
イオンである]。
【0016】 化合物IA−VA
【化48】 化合物VI−X
【化49】 [式中, R1は,任意のアルキル,アリールまたは置換アルキル基であり,R2は,O-
OH,OG1,スペルミジン成分または置換スペルミジン成分であり,ここで,
1は,カルボン酸保護基であり,Xは任意の薬学的に許容しうるカウンターイ
オンである]。
【0017】 本発明の方法は,本発明の化合物を得るために集中的戦略を用いる。
【0018】発明の詳細な説明 本発明は,テザー付きビジネリ反応を用いて,グアニジニウムアルカロイドお
よび同族体を集中的様式でエナンチオ選択的に全合成する方法を提供する。本発
明は,クラムベシジン/プチロミカリンAおよびイソクラムベシジンの五環コア
のすべての重い原子を鍵となる1工程において組み立てることを可能とする。製
造される化合物は,既知の方法を用いて薬理学的スクリーニングを行い,所望の
生物学的治療活性,例えば抗ウイルス剤,抗真菌剤および/または抗腫瘍剤とし
ての活性を有する化合物を同定するために用いることができる。
【0019】 本発明の化合物を合成するために,テザー付きビジネリ縮合における立体選択
性を制御して,1−オキソおよび1−イミノヘキサヒドロピロロ[1,2−c]
ピリミジンのシスまたはトランス立体異性体のいずれかを合成する方法が開発さ
れた。
【0020】 本発明はまた,五環の酸(例えば図1の化合物7),および海綿抽出物の分解
によっては入手できない類似体を製造することを可能とする前駆体アリルエステ
ル中間体(例えば図1の化合物8)を製造する方法を提供する(Kashman
,Y.;et al.J.Am.Chem.Soc.1989,111,892
5;Ohtani,I.;et al.J.Am.Chem.Soc.1992
,114,8472;Jares−Erijman,E.A.;et al.J
.Org.Chem.1991,56,5712)。類似体は,改良された薬理
学的特性を示すことが予測される。
【0021】 本発明は,一般式:
【化50】 [式中,Rは,H,カルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−ア
ルコキシカルボン酸エステルであり,Xは任意の薬学的に許容しうるカウンター
イオンである] の化合物に関する。
【0022】 1つの態様においては,RはHであり,XはCl-である。 別の態様においては,Rはアリルであり,XはCl-である。 別の態様においては,Rは(CH215CO2Hであり,XはCl-である。
【0023】 本発明は,該化合物を製造する方法を包含する。式:
【化51】 [式中,Rは,H,カルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−ア
ルコキシカルボン酸エステルであり,Xは任意の薬学的に許容しうるカウンター
イオンである] を有する化合物Iを製造する方法においては,式:
【化52】 [式中,Gは,カルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−アルコ
キシカルボン酸エステルであり,Yはアルコール保護基である] を有する化合物を,式:
【化53】 [式中,X2は,Oまたはケトン保護基であり,Zは,アルケンまたはカルボニ
ル保護基であり,Pはアルコール保護基であり,そしてQはアミノカルボニル基
である] の化合物と反応させて,式:
【化54】 [式中,X2は,Oまたはケトン保護基であり,Pはアルコール保護基であり,
Rはカルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−アルコキシカルボ
ン酸エステルである] の化合物を製造し,次にこれを,脱保護,アンモニアの導入および環化により五
環化合物に変換する。
【0024】 別の態様は,化合物Iの炭素−14において立体中心をエピマー化することに
より,化合物II:
【化55】 [式中,Rは,H,カルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−ア
ルコキシカルボン酸エステルであり,Xは任意の薬学的に許容しうるカウンター
イオンである] を製造する方法である。
【0025】 別の態様においては,化合物IVおよびV:
【化56】 [式中,Rは,H,カルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−ア
ルコキシカルボン酸エステルであり,Xは任意の薬学的に許容しうるカウンター
イオンである] を製造する方法が提供され,該方法は,化合物:
【化57】 [式中,Gは,カルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−アルコ
キシカルボン酸エステルであり,Yはアルコール保護基である] を,化合物:
【化58】 [式中,X2は,Oまたはケトン保護基であり,Zは,アルケンまたはカルボニ
ル保護基であり,Pはアルコール保護基であり,そしてQはアミジニル基である
] と反応させて,式:
【化59】 [式中,X2は,Oまたはケトン保護基であり,Pはアルコール保護基であり,
Rはカルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−アルコキシカルボ
ン酸エステルである] の化合物を製造し,次にこれを脱保護および環化によりIVおよびVに変換する
工程を含む。
【0026】 別の態様は,化合物IVの炭素−14および炭素−15において立体中心をエ
ピマー化することにより,化合物III:
【化60】 [式中,Rは,H,カルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−ア
ルコキシカルボン酸エステルであり,Xは任意の薬学的に許容しうるカウンター
イオンである] を製造する方法である。
【0027】 有機化合物の合成のための保護基および方法は,当該技術分野においてよく知
られている(Protective Groups in Organic S
ynthesis,2nd Ed.T.W.Greene,P.G.M.Wut
s,J.Wiley and Sons,Inc.New York,1991
)。
【0028】 カルボン酸保護基は,以下の基,例えば,限定されないが,エステルおよびア
ミドから選択することができる。
【0029】 アルコール保護基は,以下の基,例えば,限定されないが,エーテル基,シリ
ル保護基,例えばTIPS,TBDMS,SEM,THP,TES,TMS,ま
たはエステル基,例えばアセテート,ベンゾエートおよびメシレートから選択す
ることができる。
【0030】 カルボニル保護基は,以下の基,例えば,限定されないが,エーテル,環状ま
たは非環状アセタール,ケタール,チオケタールまたはチオアセタールから選択
することができる。
【0031】 アミン保護基は,以下の基,例えば,限定されないが,N−アルキル,例えば
ベンジル,メチル,N−シリル基,N−アシル基,N−カルバメートから選択す
ることができる。
【0032】 本発明はまた,一般式:
【化61】 の化合物を提供する。
【0033】 別の態様は,化合物I−AからV−Aを製造する方法であり,これらはそれぞ
れ化合物IからVを製造する方法にしたがい,カルボン酸保護基(R)を除去す
るかまたはカルボン酸を脱保護する追加の工程を行うことにより製造することが
できる。
【0034】 さらに,本発明は,式:
【化62】 [式中, R1は,任意のアルキル,アリールまたは置換アルキル基であり,R2は,O-
OH,OG1,スペルミジン成分または置換スペルミジン成分であり,ここでG1 はカルボン酸保護基であり,Xは任意の薬学的に許容しうるカウンターイオンで
ある] を有する化合物を提供する。
【0035】 化合物VI−Xを製造する方法 化合物VIは,以下の図:
【化63】 [式中,R1は,任意のアルキル,アリールまたは置換アルキル基である] に示されるように,Rがω−アルコキシカルボン酸である化合物Iについて記載
される工程,および上述の式の五環化合物を保護スペルミジンまたは保護置換ス
ペルミジンと反応させ,次に脱保護してVIを製造する追加の工程により製造す
る。
【0036】 化合物VIIは,以下の図:
【化64】 [式中,R1は,任意のアルキル,アリールまたは置換アルキル基である] に示されるように,Rがω−アルコキシカルボン酸である化合物IIについて記
載される工程,および上述の式の五環化合物を保護スペルミジンまたは保護置換
スペルミジンと反応させ,次に脱保護してVIIを製造する追加の工程により製
造する。
【0037】 化合物VIIIは,以下の図:
【化65】 [式中,R1は,任意のアルキル,アリールまたは置換アルキル基である] に示されるように,Rがω−アルコキシカルボン酸である化合物IIIについて
記載される工程,および上述の式の五環化合物を保護スペルミジンまたは保護置
換スペルミジンと反応させ,次に脱保護してVIIIを製造する追加の工程によ
り製造する。
【0038】 化合物IXは,以下の図:
【化66】 [式中,R1は,任意のアルキル,アリールまたは置換アルキル基である] に示されるように,Rがω−アルコキシカルボン酸である化合物IVについて記
載される工程,および上述の式の五環化合物を保護スペルミジンまたは保護置換
スペルミジンと反応させ,次に脱保護してIXを製造する追加の工程により製造
する。
【0039】 化合物Xは,以下の図:
【化67】 [式中,R1は,任意のアルキル,アリールまたは置換アルキル基である] に示されるように,Rがω−アルコキシカルボン酸である化合物Vについて記載
される工程,および上述の式の五環化合物を保護スペルミジンまたは保護置換ス
ペルミジンと反応させ,次に脱保護してXを製造する追加の工程により製造する
。本発明の化合物は,適用可能な場合には,化合物の幾何学的または光学的異性
体またはこれらのラセミ混合物を含む。
【0040】 薬学的に許容しうるカウンターイオンは,以下から選択することができる:ア
セテート,アジペート,アルギネート,アルパルテート,ベンソエート,ベンゼ
ンスルホネート,ビサルフェート,ブチレート,シトレート,カンフォレート,
カンファースルホネート,シクロペンタンプロピオネート,ジグルコネート,ド
デシルサルフェート,エタンスルホネート,フマレート,グルコヘプタノエート
,グリセロホスフェート,ヘミサルフェート,ヘプタノエート,ヘキサノエート
,ヒドロクロリド,ヒドロブロミド,ヒドロヨード,2−ヒドロキシエタンスル
ホネート,ラクテート,マレエート,メタンスルホネート,2−ナフタレンスル
ホネート,ニコチネート,オキサレート,パモエート,ペクチネート,ペルサル
フェート,3−フェニルプロピネート,ピクレート,ピバレート,プロピオネー
ト,スクシネート,タートレート,チオシアネート,トシレート,およびウンデ
カノエート。
【0041】 本発明の化合物は,抗ウイルス剤,抗真菌剤および/または抗腫瘍剤として治
療において用いることができる。そのような用途のためには,化合物を,静脈内
に,筋肉内に,局所に,皮膚パッチにより経皮的に,頬に,坐剤としてまたは経
口的に,ヒトまたは他の動物に投与する。組成物はヒトおよび動物に投与するた
めに種々の投与形態で提供することができ,これには,限定されないが,液体溶
液または懸濁液,錠剤,丸薬,粉剤,坐剤,ポリマー性マイクロカプセルまたは
マイクロベヒクル,リポソーム,および注射可能なまたは注入可能な溶液,顆粒
,無菌非経口溶液または懸濁液,経口溶液または懸濁液,適当な量の化合物を含
む水中油および油中水エマルジョン,坐剤および液体懸濁液または溶液が含まれ
る。好ましい形態は,投与のモードおよび治療用途に依存する。
【0042】 経口投与のためには,固体または液体の単位用量形を製造することができる。
固体組成物,例えば錠剤を製造するためには,化合物を慣用的な成分,例えば,
タルク,ステアリン酸マグネシウム,リン酸二カルシウム,ケイ酸マグネシウム
アルミニウム,硫酸カルシウム,澱粉,ラクトース,アカシア,メチルセルロー
ス,および薬学的希釈剤または担体として機能的に類似の物質と混合することが
できる。カプセルは,化合物を不活性な薬学的希釈剤と混合し,混合物を適当な
サイズの硬ゼラチンカプセルに充填することにより製造する。軟ゼラチンカプセ
ルは,化合物のスラリーを植物油,軽流動パラフィンまたは他の不活性油ととも
に機械的にカプセル化することにより製造する。
【0043】 経口投与用の投与形には,シロップ,エリキシル剤および懸濁液が含まれる。
この投与形を糖,芳香風味剤および保存剤とともに水性ベヒクルに溶解して,シ
ロップを形成することができる。懸濁液は,水性ベヒクルを用いて,懸濁剤,例
えばアカシア,トラガガント,メチルセルロース等の助力により,製造すること
ができる。
【0044】 非経口投与のためには,化合物および無菌のベヒクルを用いて液体の単位用量
形を製造することができる。溶液の製造においては,化合物を注射用ベヒクルに
溶解し,濾過滅菌した後,適当なバイアルまたはアンプルに充填し,密封するこ
とができる。アジュバント,例えば局所麻酔薬,保存剤および緩衝剤をベヒクル
中に溶解することができる。組成物は,バイアルに充填し,真空下で水を除去し
た後,凍結することができる。次に,凍結乾燥粉体をバイアル中に封入し,使用
前に再構築することができる。
【0045】 本発明の分子の最も有効な投与モードおよび投与計画は,疾病の重篤度および
経過,患者の健康状態および治療に対する応答,および治療を行う医師の判断に
依存する。したがって,分子の投与量は,個々の患者について調節すべきである
【0046】 用量投与計画および/または投与のモードを調節して,本発明の化合物の抗ウ
イルス剤,抗真菌剤または抗腫瘍剤としての有効性を最適化することができる。
【0047】 本発明の化合物の治療における有効性は,既知の方法を用いて評価することが
できる。例えば,抗腫瘍剤としての化合物の有効性は,腫瘍生検または非侵襲的
な方法により腫瘍成長阻害を測定することにより評価することができる。同様に
,化合物の抗ウイルス剤または抗真菌剤としての有効性は,標準的な方法,例え
ばウイルス粒子または真菌の数,またはウイルスまたは真菌に感染した細胞の数
の減少を検出するアッセイを用いて決定することができる。
【0048】 以下の実施例は,本発明を例示し,当業者が本発明を製造し使用することを助
けるために示される。これらの実施例は,いかなる意味においても,本発明の範
囲を限定することを意図するものではない。
【0049】実施例I シス−またはトランス−1−オキソ−および1−イミノヘキサヒドロピロロ[1 ,2−c]ピリミジンの合成 この実施例は,テザー付きビジネリ縮合の立体選択性を制御する方法を記載す
る。親電子反応成分の改変により,シスまたはトランスのいずれかの立体化学を
有するヘキサヒドロピロロピリミジン(図3の化合物10)の入手が可能となる
【0050】材料および方法 化合物12−18の合成の戦略は図4に,化合物21−24は図5に,および
化合物25−28は図6に示される。先に開示され当該技術分野において知られ
ている合成の方法(例えばMinor and Overman,J.Org.
Chem.,1997,62:6379(本明細書の一部としてここに引用する
)を用いた。
【0051】(R)−ベンジルオキシ−7−メチルオクト−6−エン−3−オ−ル(化合物1 2)の合成 (R)−メチル−3−ヒドロキシ−7−メチル−6−オクテノエート(Kit
amuram et al.,Org.Synth.,199271:1)(2
1.5g,0.115mol)およびEt2O(100mL)の溶液を,LiA
lH4(6.8g,0.18mol)およびEt2O(0.5L)の0℃の懸濁液
に滴加した。1時間後,H2O(6.8mL),3M NaOH(6.8mL)
,およびH2O(20.4mL)を順に加えた。得られた混合物をセライトのパ
ッドを通して濾過し,濾液を濃縮し,得られた油状物をシリカゲル(1:1ヘキ
サン−EtOAc)で精製して,13.8g(76%)の(R)−7−メチルオ
クト−6−エン−1,3−ジオールを無色油状物として得た:
【化68】 68.31; H, 11.47, Found: C, 68.09; H, 11.54
【0052】 (R)−7−メチルオクト−6−エン−1,3−ジオール(7.00g,44.
3mmol)およびDMF(80mL)の溶液を,NaH(3.20g,133
mmol,ヘキサン3x50mLであらかじめ洗浄)およびDMF(130mL
)の−40℃の懸濁液に滴加した。15分後,臭化ベンジル(5.30mL,4
4.3mmol)を加え,反応液を1時間かけて−10℃に暖めた。反応液を飽
和水性NH4Cl(300mL)に注加することにより急冷し,得られた混合物
をEt2O(4x150mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50m
L)で洗浄し,乾燥し(MgSO4),濾過し,濾液を濃縮した。粗油状物をシ
リカゲル(9:1ヘキサン−EtOAcから4:1ヘキサン−EtOAc)で精
製して,7.74g(71%)の12を無色油状物として得た:
【化69】
【0053】(S)−3−アミノ−l−ベンジルオキシ−7−メチル−6−オクテン(化合物 13)の合成 ジエチルアゾジカルボキシレート(4.12g,23.7mmol)を,13
(5.05g,20.3mmol),Ph3P(6.22g,23.7mmol
),HN3(12mL,2.0M,トルエン中),およびトルエン(75mL)
の溶液に0℃で滴加した。15分後,ヘキサン(0.2L)を加え,得られた混
合物をシリカゲルのプラグを通して濾過し(プラグは30mLのヘキサンで洗浄
),溶出物を濃縮して,粗アジドをわずかに黄色の油状物として得,これをさら
に精製することなく用いた。
【0054】 この粗アジドおよびEt2O(20mL)の溶液を,LiAlH4(0.91g
,24.0mmol)およびEt2O(100mL)の0℃の撹拌懸濁液に滴加
し,15分後,反応液を室温まで暖めた。1時間後,反応液を0℃に冷却し,H 2 O(1mL),3M NaOH(1mL),およびH2O(3mL)を順に加え
た。得られた混合物をセライトのパッドを通して濾過し,濾液を濃縮して,4.
53g(90%)のアミン13を無色油状物として得,これをさらに精製するこ
となく用いた:
【化70】
【0055】(S)−l−ベンジルオキシ−7−メチル−3−ウレイド−6−オクテン(化合 物14b)の合成 トリメチルシリルイソシアネート(0.90mL,6.7mmol)を,粗1
3(1.15g,4.65mmol)およびi−PrOH(7mL)の溶液に室
温で加えた。4時間後,反応液を濃縮し,得られた油状物をシリカゲル(3:1
ヘキサン−EtOAcからEtOAc)で精製して,873mg(65%)の1
4bを無色固体として得た:mp79−81℃;
【化71】
【0056】オゾンを用いる化合物14aの中間体laへの変換 尿素14a(120mg,0.60mmol),CH2Cl2(5mL),およ
びMeOH(1mL)の溶液に−78℃で,溶液が飽和するまでオゾンをバブリ
ングした(青色が現れ,10分間持続する)。次に,窒素を溶液にバブリングし
て過剰のオゾンを除去し,Ph3P−ポリスチレン(550mg,3mmol
P/g樹脂)を加え,反応液を室温まで暖めた。2時間後,反応混合物を濾過
し,酢酸モルホリン(140mg,0.90mmol)を濾液に加え,得られた
溶液を濃縮して,無色油状物を得,これをさらに精製することなく用いた。
【0057】ノベナゲル条件下でのビジネリ縮合の代表的方法 化合物laの17および18aへの変換 粗アミナール1a(0.60mmol),ベンジルアセトアセテート(0.1
6mL,0.90mmol),酢酸モルホリン(140mg,0.90mmol
),および2,2,2−トリフルオロエタノール(0.6mL)の溶液を60℃
で2日間保持した。室温に冷却した後,反応液をEt2O(20mL)と50%
水性NH4Cl(5mL)との間に分配した。層を分離し,有機層を乾燥し(M
gSO4),濾過し,濾液を濃縮した。得られた油状物をシリカゲル(2:1ヘ
キサン−EtOAcから1:1ヘキサン−EtOAc)で精製して,126mg
(64%)の17aおよび32mg(16%)の18aを得た。
【0058】(4aR,7S)−7−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチル−l−オキソ− 1,2,4a,5,6,7−ヘキサヒドロピロロ[1,2−c]ピリミジン−4 −カルボン酸ベンジルエステル(17a):
【化72】
【0059】(4aS,7S)−7−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチル−1−オキソ− 1,2,4a,5,6,7−ヘキサヒドロピロロ[1,2−c]ピリミジン−4 −カルボン酸ベンジルエステル(18a):
【化73】
【0060】ジヒドロキシル化および1,2−ジオール切断によりテザー付きビジネリ前駆体 を生成する代表的な方法 14bの15への変換 四酸化オスミウム(0.4mL,0.1M,t−BuOH中)を,14b(1
20mg,0.41mmol),N−メチルモルホリンN−オキシド(230m
g,1.96mmol),ピリジン(30mL,0.4mmol),および10
:1THF−H2O(8mL)の溶液に加えた。30分後,フロリシル(1g)
,NaHSO3(1g),およびEtOAc(20mL)を加え,得られた混合
物を撹拌した。30分後,反応混合物を濾過し,濾液を濃縮して,対応する1,
2−ジオールを無色油状物として得,これをさらに精製することなく用いた。
【0061】 この粗ジオール,Pb(OAc)4(0.21g,0.48mmol),およ
びCH2Cl2(8mL)の溶液を室温で30分間保持した。次に反応混合物をセ
ライトのプラグを通して濾過し,酢酸モルホリン(92mg,0.62mmol
)を濾液に加え,この溶液を濃縮して,粗アミナール15をわずかに黄色の油状
物として得た(Garigipati et al.,J.Am.Chem.S
oc.,1985,107:7790)。
【0062】ノベナゲルビジネリ条件下における化合物15の17bおよび18bへの変換 ノベナゲル条件下におけるビジネリ縮合の代表的な方法にしたがい,粗アミナ
ール15(0.41mmol)を16と縮合させ,粗生成物をシリカゲル(2:
1ヘキサン−EtOAcから1:1ヘキサン−EtOAc)で精製して,140
mg(81%)の17bおよび18bの4:1混合物を得た。異性体は,中圧液
体クロマトグラフィー(MPLC)によりシリカゲル(2:1ヘキサン−EtO
Acから1:1ヘキサン−EtOAc)で分離した。
【0063】(4aR,7S)−7−(2−ベンジルオキシエチル)−3−メチル−l−オキ ソ−1,2,4a,5,6,7−ヘキサヒドロピロロ[l,2−c]ピリミジン −4−カルボン酸ベンジルエステル(17b):
【化74】 6.71; N, 6.66. Found: C, 71.31; H, 6.80; N, 6.69
【0064】(4aS,7S)−7−(2−ベンジルオキシエチル)−3−メチル−l−オキ ソ−1,2,4a,5,6,7−ヘキサヒドロピロロ[1,2−c]ピリミジン −4−カルボン酸ベンジルエステル(18b):
【化75】
【0065】PPEの存在下におけるビジネリ縮合の代表的な方法 化合物14bの17bおよび18bへの変換 一般的なオレフィンジヒドロキシル化および1,2−ジオール切断方法にした
がい,尿素14b(115mg,0.400mmol)を15に変換した。得ら
れた粗アミナール15,ベンジルアセトアセテート(110mg,0.59mm
ol),ポリリン酸エステル(0.2mL),およびCH2Cl2(0.2mL)
の溶液を室温で2日間保持した。次にEt2O(20mL)および50%水性N
aHCO3(5mL)を加えることにより反応を急冷した。層を分離し,有機層
を乾燥し(MgSO4),濾過し,濾液を濃縮した。得られた油状物をシリカゲ
ル(2:1ヘキサン−EtOAcから1:1ヘキサン−EtOAc)で精製して
,101mg(60%)の18bおよび17bの4:1混合物を得た。
【0066】(4aS,7S)−7−(2−ヒドロキシエチル)−l−イミノ−3−メチル− 1,2,4a,5,6,7−ヘキサヒドロピロロ[l,2−c]ピリミジン−4 −カルボン酸ベンジルエステルヒドロホルメート(化合物23) Bernatowicz(Bernatowicz et al.,J.Or
g.Chem.1992,57:2497)の一般的方法にしたがい,(S)−
3−アミノ−7−メチル−6−オクテノール(Overman et al.,
J.Am.Chem.1995,117:2657)(0.95g,6.0mm
ol),1H−ピラゾール−l−カルボキシアミジン塩酸(0.95g,6.1
mmol),i−Pr2EtN(1.1mL,6.3mmol),およびDMF
(2.7mL)の溶液を60℃に加熱した。4時間後,反応混合物を濃縮し,得
られた粗21(無色油状物)をさらに精製することなく用いた。
【0067】 オゾンを,粗21のこの試料およびMeOH(25mL)の溶液に−78℃で
溶液が飽和するまでバブリングした。次に窒素を溶液にバブリングして過剰のオ
ゾンを除去し,Me2S(1mL)を加え,反応液を室温まで暖めた。1時間後
,反応混合物を乾燥し(MgSO4),濾過し,濾液を濃縮して,22を黄色油
状物として得,これをさらに精製することなく用いた。
【0068】 ノベナゲル条件下におけるビジネリ縮合の代表的な方法にしたがって,アミナ
ール22を化合物16と縮合させ,粗生成物をシリカゲル(100%CHCl3
から10:1CHCl3−i−PrOHから10:1:0.1CHCl3−i−P
rOH−HCO2H)で精製して,0.95g(42%)のトランス−ビジネリ
生成物23を無色油状物として得た:
【化76】
【0069】(4aS,7S)−l−(4−ブロモベンゾイルイミノ)−7−[2−(4−ブ ロモベンゾイルオキシ)エチル]−3−メチル−1,2,4a,5,6,7−ヘ キサヒドロピロロ[1,2−c]ピリミジン−4−カルボン酸ベンジルエステル (24) 塩化4−ブロモベンゾイル(400mg,1.81mmol)を,0℃で23
(220mg,0.60mmol),Et3N(0.50mL,3.6mmol
),CH2Cl2(10mL),および結晶4−(ジメチルアミノ)ピリジンの溶
液に加えた。1時間後,反応をEt2O(50mL)と飽和水性NH4Cl(10
mL)との間に分配した。層を分離し,有機層をブライン(10mL)で洗浄し
,乾燥し(MgSO4),濾過し,濾液を濃縮した。残渣をシリカゲル(4:1
ヘキサン−EtOAc)で精製して,150mg(36%)の24を無色固体と
して得た:mp175−176℃:
【化77】
【化78】
【0070】(S)−N−[(アミノメチレン)−4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベ ンゼンスルホンアミド]−3−アミノ−7−メチル−6−オクテノール(25a (S)−3−アミノ−7−メチル−6−オクテノール(Overman et
al.,J.M.Chem.Soc.1995.117:2657)(19,
1.00g,6.36mmol),S,S,−ジメチルN−(4−メトキシ−2
,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル)−カーボンイミドジチオエート(1
.78g,5.34mmol),およびベンゼン(6mL)の溶液を2時間還流
させた。Et2O(50mL)および0.1MHCl(5mL)を加えることに
より反応を急冷した。層を分離し,有機層を乾燥し(MgSO4),濾過し,濾
液を濃縮した。得られた粗油状物をMPLC(1:1ヘキサン−EtOAc)に
より精製して,1.81g(77%)の対応するシュードチオウレアを無色油状
物として得た:
【化79】
【0071】 硝化銀(26mL,0.2M,MeCN中)を,このシュードチオウレアの1
.59g(3.60mmol)の部分およびNH3で飽和したMeCN(75m
L)の0℃の溶液に滴加した(Burgess et al.,J.Org C
hem.1994,59:2179)。反応混合物を室温まで暖め,18時間後
,EtOAc(100mL)を加え,得られた混合物をセライトのプラグを通し
て濾過した。溶出物を濃縮して,1.46g(99%)の25aを無色固体とし
て得た:mp107−109℃:1 H NMR (500MHz, CDCl3) δ 6.51 (s, 2H)
【化80】
【0072】(S)−N−[(アミノメチレン)−4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベ ンゼンスルホンアミド]−3−アミノ−l−ベンジルオキシ−7−メチル−6− オクテン(25b) 25aの製造について記載した方法にしたがって,13(0.807g,3.
262mmol)を80%の総収率で25bの無色油状物に変換した;
【化81】
【0073】ノベナゲルビジネリ条件下における25aの27cおよび28cへの変換 代表的なオレフィンジヒドロキシル化および1,2−ジオール切断方法にした
がい,25a(100mg,0.24mmol)を26aに変換した。次に,ノ
ベナゲル条件下におけるビジネリ縮合の代表的な方法にしたがい,アミナール2
6aを16と縮合させた。ただし,2,2,2−トリフルオロエタノール中の2
6aの濃度は0.5Mであった。粗生成物をシリカゲル(1:1ヘキサン−Et
OAc)で精製して,80mg(61%)の27aおよび28aの6:1混合物
を得た。
【0074】 24の製造について記載した方法にしたがい,匹敵する生成物の120mg(
0.22mmol)の試料を,塩化4−ブロモベンゾイル(160mg,0.7
2mmol)を用いてエステル化して粗残渣を得,これをシリカゲル(3:1ヘ
キサン−EtOAc)で精製して,160mg(100%)の27cおよび28
cの6:1混合物を得た。これらの異性体を,HPLC(6:1ヘキサン−Et
OAc;20mL/分,300x22mm10μmシリカAlltechカラム
)により分離して,27c(tR=62分間)および28c(tR=53分間)の
純粋な試料を得た。
【0075】(4aR,7S)−7−[2−(4−ブロモベンゾイルオキシ)エチル]−1− (4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニルイミノ)−3−メ チル−1,2,4a,5,6,7−ヘキサヒドロピロロ[1,2−c]ピリミジ ン−4−カルボン酸ベンジルエステル(27c):
【化82】
【0076】(4aS,7S)−7−[2−(4−ブロモベンゾイルオキシ)エチル]−l− (4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニルイミノ)−3−メ チル−1,2,4a,5,6,7−ヘキサヒドロピロロ[l,2−c]ピリミジ ン−4−カルボン酸ベンジルエステル(28c):
【化83】
【0077】ノベナゲルビジネリ条件下における化合物25bの27bおよび28bへの変換 代表的なオレフィンジヒドロキシル化および1,2−ジオール切断方法にした
がい,25b(100mg,0.20mmol)を26bに変換し,ノベナゲル
条件下におけるビジネリ縮合の代表的な方法にしたがい,この粗物質を16と縮
合させた。ただし,2,2,2−トリフルオロエタノール中の26bの濃度は0
.5Mであった。粗生成物をシリカゲル(4:1ヘキサン−EtOAcから2:
1ヘキサン−EtOAc)で精製して,106mg(84%)の27bおよび2
8bの7:1混合物を得た。主要生成物(4aR,7S)−7−(2−ベンジル
オキシエチル)−1−(4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホ
ニルイミノ3−メチル−1,2,4a,5,6,7−ヘキサヒドロピロロ[1,
2−c]ピリミジン−4−カルボン酸ベンジルエステル(27b)の,この混合
物から決定された特性データは以下のとおりである:
【化84】
【0078】PPEの存在下におけるビジネリ縮合による,化合物25bの(4aS,7S) −7−(2−ベンジルオキシエチル)−1−(4−メトキシ−2,3,6−トリ メチルベンゼンスルホニルイミノ)−3−メチル−1,2,4a,5,6,7− ヘキサヒドロピロロ[1,2−c]ピリミジン−4−カルボン酸ベンジルエステ ル(28b)への変換 オレフィンジヒドロキシル化および1,2−ジオール切断の代表的な方法にし
たがい,25b(100mg,0.20mmol)を26bに変換した。次に,
PPEの存在下におけるビジネリ縮合の代表的な方法にしたがい,粗アミナール
26bを16と縮合させて,シリカゲル(2:1ヘキサン−EtOAcから1:
1ヘキサン−EtOAc)で精製した後に,77mg(61%)の28bを得た
。これは,痕跡量の27b(3%)が夾雑していた。28b:
【化85】
【化86】
【0079】化合物28cの化合物24への変換 28c(15mg,20mmol)およびTFA(2mL)の溶液を室温で1
時間保持した。反応液を濃縮し,得られた粗油状物をさらに精製することなく用
いた。塩化4−ブロモベンゾイル(22mg,0.10mmol)を,この粗グ
アニジン,Et3N(0.15mL,1.08mmol),CH2Cl2(2mL
)および結晶4−(ジメチルアミノ)−ピリジンの0℃の溶液に加えた。1時間
後,反応をEt2O(10mL)および飽和水性NH4Cl(2mL)で急冷した
。層を分離し,有機層を乾燥し(MgSO4),濾過し,濾液を濃縮した。残渣
をシリカゲル(4:1ヘキサン−EtOAc)で精製して,4mg(29%)の
24を無色固体として得た。
【0080】S,S−ジメチルN−(4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホ ニル)カーボンイミドジチオエートグアニル化剤(図6) アンモニアを,塩化4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニ
ル(Fujino et al.,Chem.Pharm.Bull.,198
1,29:2825)(10.3g,43.6mmol)およびCH2Cl2(1
00mL)の溶液に0℃でバブリングした。30分後,アセトン(0.5L)を
加え,反応混合物をシリカゲルのプラグを通して濾過し,濃縮した。得られた固
体をEt2O中で砕いて,9.18g(92%)の4−メトキシ−2,3,6−
トリメチルベンゼンスルホンアミドを無色固体として得た:mp175−176
℃;
【化87】
【0081】 4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホンアミド(9.15g
,39.9mmol)およびDMF(50mL)の溶液を,NaH(4.11g
,98.6mmol,ヘキサンで3回洗浄)およびDMF(20mL)の混合物
に0℃で加えた。反応を室温まで暖め,10分間激しく撹拌した後,CS2(6
.9mL,11mmol)を加えた。さらに10分後,MeI(7.85mL,
126mmol)を加えた。さらに15分後,反応液を飽和水性NH4Cl(2
00mL)に注加し,CHCl3(3x0.5L)で抽出した。合わせた有機層
を乾燥し(MgSO4),シリカゲルのプラグを通して濾過し,濃縮した。粗固
体をMeOH中で砕いて,11.1g(84%)のS,S−ジメチルN−(4−
メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル)カーボンイミドジチオ
エートを無色固体として得た:mp175−176℃;
【化88】
【0082】結果 テザー付きウレイドアルデヒドのビジネリ縮合 中間体化合物1の遊離のヒドロキシル基が立体選択性に影響を与えるか否かを
明らかにするために,この中間体とベンジルエーテル誘導体15とのビジネリ縮
合を調べた(図4)。化合物1と同様に,ベンジルエーテル同族体は,(R)−
メチル−3−ヒドロキシ−7−メチル−6−オクテノエート(11)から入手し
た(Kitamuram et al.,Org.Synth.,1992,7
1:1)。化合物11をLiAlH4で還元し,得られたジオールをDMF中で
−40から−10℃で過剰のNaHおよび臭化ベンジルと反応させることにより
選択的にモノベンジル化して,化合物12を得た。アルコール12をHN3でミ
ツノブ反転させ(Loibner et al.,Helv.Chim.Act
a,1976,59:2100),得られたアジドを還元し,次に得られた一級
アミンをトリメチルシリルイソシアネートと反応させることにより,尿素化合物
14bを化合物11から32%の総収率で得た。
【0083】 先の研究においては,化合物14aの二重結合をオゾンで切断し,ジメチルス
ルフィド後処理を用いて,化合物1を生成した(Overman et al.
,(上掲))。より再現性の高い方法は,オゾニドの還元的後処理の後,濃縮の
前に,1.5当量の酢酸モルホリンを粗反応混合物に加えることであった。ジメ
チルスルフィドをポリマー結合トリフェニルホスフィンで置き換えることにより
,DMSOの夾雑を排除した。このようにして生成した化合物1aの質量スペク
トルデータは,モルホリンの導入(H2Oを失う)を示し,高分子量オリゴマー
が事実上存在しないことを示した。
【0084】 あるいは,化合物15は,対応するアルケン前駆体をジヒドロキシル化し,誘
導された1,2−ジオールをPb−(Oac)4で切断することにより生成した
(Zelle et al.,J.Org.Chem.,1986,51:50
32)。アミナール1aおよび15は水性の後処理または精製を行わず,酢酸モ
ルホリンを加えた後に濾過することによりホスフィンポリマーまたは鉛塩のいず
れかを除去し,濾液を濃縮した後,直接用いた。これらの中間体は,1Hおよび1 3 C NMRデータで判定して,立体異性体の単純な混合物ではなく,少なくと
も3種類の成分であった。13C NMRスペクトルにおいては多くの炭素原子に
ついて多重シグナルが観察され,1H NMRスペクトルにおいては幅広いピー
クが見られ,アルデヒドシグナルは明らかではなかった。
【0085】 粗化合物15または1a(1当量の化合物14aまたは14bから生成)のビ
ジネリ縮合は,60oCで2,2,2−トリフルオロエタノール中で1.5当量
のβ−ケトエステル16および1.5当量の酢酸モルホリンと反応させることに
より,同一の条件下で行った。これらの条件により,シス−およびトランス−1
−オキソヘキサヒドロピロロ[1,2−c]ピリミジン17aおよび18aが4
:1の比率で得られ(80%収率),および対応するベンジルエーテル類似体1
7bおよび18bが同一の4:1の比率で得られた(81%収率)。側鎖のβ−
酸素置換基は明らかに有意な役割を果たしていない。トリフルオロエタノールを
反応溶媒として用いた。これは,関連する中間体を用いた先の研究により,この
非常に極性の高い溶媒中ではノベナゲル条件下でシス立体選択が最適となること
が示されているためである。例えば,エタノールを用いた場合には,1と16と
の縮合における立体選択性は2:1であった。生成物17aおよび18aは,再
度反応条件下に供したとき,互いに変換可能ではなかった。核間メチン水素H4
aおよびH7の特徴的な1H NMRシグナルにしたがってヘキサヒドロピロロ
[1,2−c]ピリミジン生成物を立体化学的に帰属させた:17a(4.25
および4.11ppm)および17b(4.29および4.00ppm)(Ov
erman and Rabinowitz.,J.Org.Chem.,19
93,58:3235)。
【0086】 最近の研究において,Kappeは,穏和な脱水素剤であるポリリン酸エステ
ル(PPE)(Cava et al.,J.Org.Chem.,1969,
34:2665)が伝統的三成分ビジネリ縮合の優れた推進剤であることを報告
した(J.Org.Chem.,1997,62:7201)。室温で,PPE
とCH2Cl2との1:1混合物中で15をβ−ケトエステル16と縮合させると
,ビジネリ生成物17bおよび18bが60%の収率で得られ,このときトラン
ス異性体18bは4:1で優位であった。ノベナゲル条件下において観察された
ものと同じく,化合物17bおよび18bは,再びPPE反応条件に48時間供
したとき,変化せずに回収された。
【0087】テザー付きグアニルアルデヒドのビジネリ縮合 グアニジン,アルデヒド,およびβ−ケトエステルの三成分縮合は知られてい
るが,ビジネリ縮合のこの改変は広く探究されていない(Kappe,Tetr
ahedron,1993,49:6937)。テザー付き変法を調べるため,
1H−ピラゾール−1−カルボキシアミジン塩酸(20)との縮合により,(S
)−アミノアルコール19から不飽和グアニジニウムアルコール21を生成した
(Overman et al.,J.Am.Chem.Soc.,1995,
117:2657)(図5,Bernatowicz et al.,J.Or
g.Chem.,1992,57:2497)。21をオゾン分解し,次にジメ
チルスルフィドで後処理し,濃縮すると22が得られ,これはその尿素対応物と
同様に,数成分の混合物であった。22を1.5当量の酢酸モルホリンとともに
濃縮したとき,FAB質量スペクトルデータは,H2Oが失われてモルホリンが
導入されていることを示した。22(X=OH)またはそのモルホリン付加物の
いずれについてもより高い分子量のオリゴマーは認められなかった。いずれの中
間体もビジネリ縮合においては同一に振る舞った。22は精製せずに,一連の尿
素において用いた条件と同一のノベナゲル条件を用いてβ−ケトエステル16と
縮合させて,単一のビジネリ付加物23を19から42%の総収率で得た。ジベ
ンゾイル誘導体24の単結晶X線分析により厳密に確立されているように,(化
合物24の座標はCambridge Crystallographic D
ata Centre,12 Union Road,Cambridge C
B21EZ,U.K.に寄託されている),この生成物はトランス立体化学を有
していた。
【0088】 一連の尿素およびグアニジンにおける立体化学的反転の原因を明らかにするた
めに,テザー付きN−スルホニルグアニジンアルデヒド26のビジネリ縮合を図
6に示されるように調べた。N−スルホニルグアニジニウム塩のpKaは典型的
には約1であるため,スルホニルグアニジン置換基は電子的にはグアニジンより
尿素に似ている(Tatlor et al.,J.Chem.Soc.Per
kin Trans.2,1986,1765;Yamamoto et al
.,Synthesis and Chemistry of Guanidi
ne Derivatives,Yamamoto and Kojima,E
d.,Wiley,New York,1991(Vol.2,pp485−5
26)。SO2NH2置換基を有する一置換グアニジニウム塩の統計学的に補正し
たpKaは水中で1.83であると測定されている。Tatlor et al
.,(上掲)により開発された直線的自由エネルギー相関を用いると,対応する
SO2Me−置換グアニジニウム塩についての値は0.2である。アミノアルコ
ール19または対応するアミノエーテル13をS,S−ジメチルN−(4−メト
キシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル)−カーボンイミドジチオエ
ートで処理し,次にNH3およびAgNO3によりアミノ分解すると,Mtr−保
護グアニジン25が良好な収率で得られた(Burgess et al.,J
.Org.Chem.,1994,59:2179)。これらの中間体のジヒド
ロキシル化,続いてジオール切断により,26aおよび26bを得た。これらの
中間体もまた,立体異性体の単純な混合物ではなかった。13Cスペクトルにおい
ては多くの炭素原子について多重シグナルが観察されたが,1Hスペクトルは幅
広いピークを示し,明らかなアルデヒドシグナルを示さなかった。
【0089】 粗26bとβ−ケトエステル16とのビジネリ縮合は,他の物質において用い
たものと同一のノベナゲル条件下で進行して,84%の収率でシス−およびトラ
ンス−1−イミノヘキサヒドロピロロピリミジン27bおよび28bが7:1の
比率で得られた。一連のヒドロキシエチルにおいては,ほぼ同一の立体選択性が
認められた。これとは非常に対称的に,PPEを用いて26bと16とを縮合さ
せたとき,トランス−1−イミノヘキサヒドロピロロピリミジン27bが20:
1の程度で優位であった。スルホニルグアニジン生成物27bおよび28bは,
ノベナゲルまたはPPE反応条件のいずれかに再び48時間供したとき,変化せ
ずに回収された。
【0090】 立体化学的帰属は,28aと24との化学的相関により行った。26aと16
とのノベナゲル条件でのビジネリ縮合から得た粗生成物の混合物を塩化4−ブロ
モベンゾイルでアシル化し,次にHPLCで異性体を分離することにより,27
cおよび28cの純粋な試料を得た。副生成物28cを室温でTFAに暴露して
Mtr基を除去し,得られた遊離グアニジンを塩化4−ブロモベンゾイルでアシ
ル化して,24を得た。
【0091】 これらの結果は,1−オキソ−および1−イミノヘキサヒドロピロロ[1,2
−c]ピリミジンを形成するテザー付きビジネリ縮合における立体選択性は,反
応条件および基Xの性質により実質的に様々であることを示す(図3)。尿素お
よびN−スルホニルグアニジン官能基を有する基質を用いたとき,ノベナゲル条
件下で縮合を行うとシス立体選択性(4−7:1)が観察されるが,ポリリン酸
エステル(PPE)の存在下で縮合を行うとトランス立体選択性(4−20:1
)が観察される。いずれの条件下においても,立体選択性は一連のN−スルホニ
ルグアニジンを用いたときに最も高かった。塩基性グアニジンユニットを有する
基質を用いた場合には,ノベナゲル条件下でトランス生成物のみが形成された。
ノベナゲル条件は非常に穏和であるため(CF3CH2OH中酢酸モルホリン,6
oC),トランス−1−イミノヘキサヒドロピロロ[1,2−c]ピリミジン
へのこの後者のグアニルアルデヒド経路は,ピロリジン窒素を挟む水素がant
iの関係を有するクラムベシジンおよびバテラジンアルカロイドの合成において
特に有用であろう。以下の実施例においては,この方法を用いるイソクラムベシ
ジン800の最初の全合成が記載される。
【0092】 立体選択性の原因は不明である。いかなる理論にも拘束されることを望むもの
ではないが,以下の仮説が提唱される(図7)。ノベナゲル条件下においては,
ウレイドまたはN−スルホニルイミノアルデヒド中間体29の縮合における立体
化学決定工程は,ノベナゲル付加物31を環化して33を生成する工程でありう
る。この反応が遅い遷移状態を有する場合,シス−2,5−二置換ピロリジンが
優先的に形成されるはずである(モデルであるN−アシルアミノ−2,5−二置
換ピロリジン36の分子力学的計算は,シス異性体がトランス異性体より1.9
kcal/mol安定であることを示す。計算は,MM2分子力場およびMac
roModel V3.5Xのモンテカルロ検索ルーティンを用いて行った。こ
れに対し,一連のグアニルアルデヒドにおいては,イミニウムイオン30中の窒
素置換基は電子を弱く脱離させるアミジン基であるため,29からHYが失われ
て対応するイミニウムイオン30が形成されることが特に優位であるはずである
。16のエノール(またはエナミン)誘導体の付加が主として側鎖との相互作用
を不安定化させることにより制御されているのであれば,立体化学決定工程であ
りうる工程においてトランス付加物32が優先的に生成するはずである。あるい
は,立体化学決定工程は,側鎖と反対側の面からのエノール(またはエナミン)
または30の[4+2]−シクロ付加,および続く水(またはモルホリン)の喪
失でありうる。三成分ビジネリ反応のメカニズムについてのKappeによる最
近の研究にしたがえば,伝統的な酸性条件(Kappe et al.,(上掲
))下において,ポリリン酸エステル(PPE)の存在下でのウレイドまたはN
−スルホニルイミノアルデヒド中間体29の縮合もまた,イミニウムイオン経路
で進行し,主としてトランス−1−オキソ−および1−イミノヘキサヒドロピロ
ロ[1,2−c]ピリミジンが得られるであろう。
【0093】 これらの結果は,図3に示されるテザー付きビジネリ縮合における立体選択性
を調節して,シスまたはトランス生成物のいずれかを得ることができることを示
す。最適条件下では,トランス異性体は高い立体選択性(>20:1)で得られ
,シス異性体は中程度の選択性(4−7:1)で得られる。テザー付きビジネリ
縮合は,ビジネリ生成物を生成するグアニルアルデヒド基質を含むように拡張す
ることができ,これは複雑なグアニジン類を製造するために特に有用であること
がわかる。
【0094】実施例II プチロミカリンA,クラムベシジン800および選択された同族体のエナンチオ 選択的全合成 合成計画 プチロミカリンA/クラムベシジンコアのメチルエステルの分子構造モデルは
,図2に示される。これらのアルカロイドのトリアザアセナフタレン環系はほぼ
平面状であり,7員環および6員環エーテルが一方の面に向いている。2つのC
−O結合は軸結合(C10およびC13核間水素に対してシス)であるため,中
心トリアザアセナフタレンユニットのシス立体化学が正しく配置されれば,C8
およびC15のスピロ中心は必要な立体化学で組み立てられることが推測された
。C10およびC13の核間水素をシスの立体関係に配置すること,およびこの
ユニットのキラリティーをオキセペンおよびヒドロピラン環のC3およびC19
立体中心に関連づけることは,この種類のグアニジンアルカロイドを製造するた
めの立体制御的戦略を展開する上での重要な要素であることが判明した。
【0095】 図8に図示されるように,C8アミナールを切断し,36のC15−O結合を
逆合成により切断して,1−オキソヘキサヒドロピロロ[1,2−c]ピリミジ
ン(X=O)および1−イミノヘキサヒドロピロロ[1,2−c]ピリミジン中
間体(X=NH2)37を得た。37の4−アルコキシカルボニル−3,4−ジ
ヒドロピリミジン−2(1H)−オンの部分構造は,尿素およびアルデヒド成分
を38に示されるように結合させる三成分ビジネリ縮合の新規な改変により,こ
の必須の二環中間体を製造しうることを示唆した。
【0096】 36の左側の3つの環は非環状フラグメント38から誘導し,右側の2つの環
およびエステル側鎖は,単純なβ−ケトエステルユニット39として導入するた
め,この分析は高い集中度という魅力を有する。
【0097】プチロミカリンAのエナンチオ選択的全合成 1のエステル側鎖を除去する分解実験の間に経験した困難性に鑑みて,最初か
ら16−ヒドロキシヘキサデカン酸フラグメントを導入した(図9)。メチルア
セトアセテート(44)のジアニオンをエナンチオ純粋な(R)−シロキシヨウ
化物45を用いてアルキル化して(Huckin and Weiler,J.
Am.Chem.Soc.,1974,96:1082),46を73%の収率
で得た。ヨウ化物45はメチル(R)−2−ヒドロキシブタノエートから高収率
で容易に入手可能である(Kitamura et al.,Org.Synt
h.,1992,71:1)。β−ケトエステル官能基を,触媒としてDMAP
(4−ジメチルアミノピリジン)を用いてアリル16−ヒドロキシヘキサデカノ
エートで選択的にトランスエステル化して(Taber et al.,J.O
rg.Chem.,1985 50:3618),47を44から64%の総収
率で得た。
【0098】 テザー付きビジネリ縮合が確認されたばかりであったため,この第一世代の方
法においては,合成の工程のできるだけ早い時期にこの重要な反応を選択した。
この理由のため,C1−C7フラグメントを欠失させることによりビジネリ縮合
の親電子成分を単純化した,あまり集中的でない戦略を用いた。この中間体の前
駆体である尿素50は,エナンチオ純粋なメチル(R)−3−ヒドロキシ−7−
メチルオクト−6−エノエート(48)から3工程で製造し(Kitamura
et al.,(上掲)),その概要は図10に示される。48をヒドラゾン
酸でミツノブ置換し,次に粗β−アジドエステルをLiAlH4で還元して,S
アミノアルコール49を72%の収率,>98%eeで得た。エナンチオマーの
過剰は,対応する(R)−および(S)−モシャアミドの19F NMRスペクト
ルを評価することにより決定した。他の窒素求核基,例えばフタルイミドをミツ
ノブ反応において用いると,対応するα,β−不飽和エステルが大量に生成した
【0099】 49をシアン酸カリウムおよびHClで標準的な条件下で縮合させ,再結晶し
た後に,不飽和尿素50を82%の収率で得た。50をMeOH中で−78℃で
オゾン分解し,中間体のヒドロペルオキシドをMe2Sで還元し,濃縮して,粘
稠な黄色油状物を得た。この生成物を0.1Torrで50℃で5日間さらに濃
縮して残留Me2SOを除去して,ほぼ無色のアモルファス粉体を得た。この中
間体は,式51が暗示するよりも複雑である。13C NMRスペクトルにおいて
は多くの炭素原子について多重シグナルが認められ,1H NMRスペクトルは
幅広く,アルデヒドシグナルは明らかではなかった。質量分析データは,オリゴ
マーと一致することを示した。クロマトグラフィーにより51の純度を高めるた
めのすべての試みは成功しなかった。
【0100】 我々の先のモデル研究において開発された条件(Overman et al
.,J.Org.Chem.,1993,58:3235−3237)下におけ
る粗51と47とのビジネリ縮合は,低収率で進行した。多くの反応パラメータ
を調べ,極性溶媒中で反応効率が改良された。最良の結果は,粗51,1.5当
量のβ−ケトエステル47,1当量の酢酸モルホリン,触媒量の酢酸および過剰
のNa2SO4の混合物をEtOH中で70oCで加熱することにより得られた。
得られた生成物をシリカゲルで精製して,シス付加物52を61%の収率で,ト
ランス付加物53を8%の収率で得た。ヘキサヒドロピロロ[1,2−c]ピリ
ミジン生成物の立体化学的帰属は,これらの核間メチン水素シグナルと41およ
びそのトランスエピマーとの類似性にしたがった(52:4.25および4.1
1ppm,53:4.44および4.09ppm)。この後者は単結晶X線分析
により先に分析されている(Overman et al.,J.Org.Ch
em.,1993,58:3235−3237)。関連するビジネリ縮合におけ
る最近の立体選択性の詳細な研究(McDonald and Overman
,J.Org.Chem.,1999,64:1520−1528)においては
,親電子反応成分を生成し,ビジネリ縮合を行う再現性のある方法が開発された
。これらの条件においては,シス付加物が60−65%の収率で確実に得られる
【0101】 52は,わずかに過剰のp−トルエンスルホン酸(p−TsOH)に暴露する
ことにより1工程でスピロ三環中間体54に変換することができたが,この反応
は,TBDMS基を最初にMeOH中でp−トルエンスルホン酸ピリジニウム(
PPTS)で切断し,得られたアルコールをCHCl3中で室温で触媒量のp−
TsOHを用いて環化(図11)すると,大スケールで反応の再現性がより高か
った。この工程順は,1つの三環生成物54をほぼ定量的な収率で与えた。この
化合物がC14においてプチロミカリンAに対してエピマー性であることは,C
14メチン水素のジアクシャルカップリング定数が11.5Hzであることによ
り示された(ここではクラムベシジンの番号付けシステムを用いる)。
【0102】 スピロヒドロピランの形成において高いジアステレオマー選択性を実現するこ
とは,我々の以前のモデル実験により確立され,図12に概略が示されるように
合理的に解釈することができる。ビニル性カルバメート57をプロトン化して5
8を生成し,次に凸面のβ面からスピロ環化することにより,軸結合で配置され
た酸素を有するスピロアミナールが得られる。スピロ環化の前または後に環外ケ
テンヘミアセタールを軸結合プロトン化して,54が得られる。
【0103】 この時点で,55の軸結合エステルに対するエピマー化が可能であったが,こ
の基について推定される熱力学的優先性が天然の生成物において軸結合であるこ
との利点を利用するために,この調整は合成の最終段階に繰り延べた。グアニジ
ンコアの残りの炭素の付加の準備をするために,54をスウォーン(Swern
)試薬(Mancuso et al.,J.Org.Chem.,1978,
43:2480)で酸化して55を得た。この尿素成分を保護し,続くグアニジ
ン形成のためにO−メチル化により活性化した。このメチル化を注意深く最適化
された穏和な条件下で行い,シュードウレア56をEt3N処理シリカゲルで迅
速に精製することが重要であった。さもなくば,C10における有意のエピマー
化が生ずる。
【0104】 この時点において,五環グアニジンユニットの残りのC1−C7炭素を結合さ
せる必要があった。この合成は非常に困難であることが判明した。以前の研究に
おいて,臭化物61から誘導したリチウム,セリウム,チタン,またはジルコニ
ウム試薬を56のベンジルエステル同族体に効率よくカップリングさせることに
は成功しなかった(図13)。複雑な問題点は,ルイス酸試薬の存在下で56が
C10で迅速にエピマー化することであった。61から誘導したグリニヤール試
薬を−78oCで56に付加して,許容しうる収率が得られた。この反応を低温
で酢酸モルホリンで急冷し,ただちに濾過してマグネシウム塩を除去して,対応
する付加物をアルコールエピマーの混合物として得た。この中間体をスウォーン
条件下で(Mancuso et al.,J.Org.Chem.,1978
,43:2480)直接酸化して,62を56から58%の収率で得た。61の
少量のエナンチオマーに起因する約5%のジアステレオマーはこの時点で除去し
た。臭化物61は,元々,イノン前駆体の非対称的還元により86%eeで製造
された(Overman et al.,J.Am.Chem.Soc.,19
95,117:2657−2658)。この工程順は,非常に感受性であり,グ
リニヤール工程から生ずるマグネシウム塩を速やかにかつ完全に除去しなければ
,収率は非常に低下した。
【0105】 62のシリル保護基をTBAF含有アルコール63で切断し,次にこれを,S
nider(Snider and Shi,J.Am.Chem.Soc.,
1994,116:549−557)により報告された条件と類似する条件下で
アンモニアおよび酢酸アンモニウムで処理した。シリカゲルでギ酸を含有する溶
出液を用いて粗生成物を精製した後,64を60%の収率でそのギ酸塩として単
離した(1H NMRδ8.23,13C NMRδ165.8)。1つの五環グ
アニジンのみが検出され,ここでも軸結合C−O結合形成によるスピロアミナー
ルの形成が優先的に生じた。五環グアニジンのほぼ直接の前駆体である四環カチ
オン69のモデルが図14に示される。この分子構造モデルの作成においては,
C1−C7側鎖をメチル基で置き換えた。この図においては,電子不足炭素への
軸結合付加についてのねじれた優先性が明らかであり,高い選択性が得られたこ
との原因であろう。
【0106】 プチロミカリンAの全合成は,64から容易に完成した。この中間体のアリル
エステルをパラジウム(0)触媒を用いて完全に切断し(Deziel,Tet
rahedron Lett.,1987,28:4371),得られた酸をビ
ス−BOC−保護スペルミジン65とカップリングさせて(Cohen, et
al.,Chem.Soc.,Chem.Commun.,1992,298
),アミド66を得た(図13)。次に,過剰のEt3Nの存在下でMeOH中
で加熱することによりエステルをエピマー化したが,このエピマー化の平衡は2
−3:1の程度でβエピマーに優位であった。その結果,α−エステル67を5
0%の収率で得るのに3回の再利用が必要であた。67の赤道結合C14メチン
水素は,δ2.93で特徴的な二重項(J=4.8Hz)を示した。最後に,B
OC保護基をHCO2Hで切断し,濃縮し,水性NaOH−NaClで洗浄して
,(−)−プチロミカリンA三塩酸(1)を高収率で得た。合成化合物1は,(
−)−プチロミカリンAについて報告されているものと一致する1Hおよび13
NMRスペクトルを示し(Kashman et al.,J.Am.Che
m.Soc.,1989,111:8925−8926;Ohtani et
al.,J.Am.Chem.Soc.,1992,114:8472−847
9),三種類の吸着剤でのTLC比較により,真性サンプルと区別できなかった
。合成の1を誘導体化合物68に変換し,これもまた報告されているものと区別
できない1Hおよび13C NMRスペクトルを示した(Ohtani et a
l.,(上掲))。合成化合物68は,[α]23 D−15.9(c0.8,CH
Cl3)を示し,これは,天然の産物のこのよく特徴決定された誘導体について
報告されている旋光度[α]23 D−15.8(c0.7,CHCl3)とほぼ同一
であった(Ohtani et al.,(上掲))。
【0107】第二世代合成計画 プチロミカリンA/クラムベシジンアルカロイドの第二世代の合成は,2つの
特定の目標を考えて行った;(1)元々図8に示される高レベルの集中性を達成
する,ここで,五環化合物36のすべての炭素骨格は,完全に作り上げた親電子
成分(38)とβ−ケトエステルユニット39との間のビジネリ縮合から誘導す
る;および(2)共通の前駆体からシスまたはトランスのいずれかの37を入手
し,このことにより,共通の中間体からクラムベシジンおよびイソクラムベシジ
ンコアの両方への便利な経路を提供する。13,14,15−イソクラムベシジ
ン800(6)の全合成の詳細は,以下の実施例に記載される。これらの合成の
いずれにも重要なことは,共通のC1−C13フラグメント(尿素38のアミン
前駆体)の迅速かつ立体選択的な構築である。この目標は,ビジネリ縮合の前に
C1−C7フラグメント56をC8−C13フラグメント48と組み合わせるこ
とにより達成することができた。
【0108】実施例III クラムベシジン800(化合物2) の合成 C1−C13フラグメントの合成は,3−ブチノール(化合物70)をp−メ
トキシベンジル(PMB)エーテル71に変換することにより開始した(図15
)。71のアルキンをn−ブチルリチウムで−40oCで脱プロトン化し,得ら
れたアセチリドを無水DMFで処理し,中間体α−アミノアルコキシドを水性リ
ン酸緩衝液中で急冷した後に,イナール72を90%の収率で得た(Journ
et et al.,Tetrahedron Lett.,1988,39:
6427)。C3立体中心は,WeberおよびSeebachの方法(Sin
gh et al.,J.Am.Chem.Soc.,987,109:618
7)にしたがい,イナール72を(−)−TADDOL(20mol%)および
Ti(Oi−Pr)4の存在下でEt2Znと縮合させることにより導入して,(
S)−73を94%の収率,>98%eeで得た。この非対称的変換は,45g
のスケールで信頼性をもって行った。プロパルギルアルコール73はトリイソプ
ロピルシリル(TIPS)エーテルとして保護し,アルキンをリンドラー触媒で
部分水素化してシスアルケン74を得た。PMB保護基をDDQで酸化的に除去
し,得られたアルコールをヨウ化物75に変換した。73からの総収率は89%
であった。
【0109】 エナンチオ純粋なメチル(R)−3−ヒドロキシ−7−メチルオクト−6−エ
ノエート(化合物48)(Kitamura et al.,Org.Synt
h.,1992,71:1)を,Weinreb(Garigipati et
al,J.Am.Chem.Soc.,1985,107:7790)の方法
にしたがい,N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸との反応により,88%
の収率でアミドに変換し,次に二級アルコールをトリエチルシリル(TES)エ
ーテルとして保護した(図16)。ヨウ化物75を対応するリチウム試薬に変換
し,76とカップリングさせてジエノン77を60−70%の収率で得た。β−
アミノ官能基を導入するために用いたミツノブ条件下で生じる脱水を防止するた
め,77のC8カルボニルをケタールとしてマスクする必要があった。しかし,
β−ヒドロキシ基を保護したときケタール化はあまり進まず,したがって,TE
S基を切断し,中間体β−ヒドロキシケトンのβ−ヒドロキシ脱離を促進せず,
ケタール化を促進する最適反応条件を見いだした。開発された新規なケタール化
条件は,Amberlyst−15の存在下で77をオルトエステル78(Ro
ush and Gillis,J.Org.Chem.,1980,45:4
283−4287;Baganz and Domaschke,Chem.B
er.,1958,91:650−653),および1,3−プロパンジオール
で処理することを含み,ケタール79を80%の収率で得た。二級アルコールを
アジドでミツノブ置換し,次にアミンに還元して,化合物80を化合物79から
77%の収率で得た。市販の3−ブチノールから11工程で約30%の総収率で
合成したアミン80を,クラムベシジンおよびイソクラムベシジンの両方の合成
のための共通のC1−C13フラグメントとして用いた(図16を参照)。
【0110】 アミン80をTMSNCOと縮合させて尿素81を89%の収率で得た(図1
7)。81の三置換二重結合を選択的にジヒドロキシル化し(Sharples
s and Williams,Tetrahedron Lett.,197
5,3045−3046),ビシナルジオールをトルエン中でPb(OAc)4
で切断し,酢酸モルホリンを付加して,中間体82を得,これをさらに精製する
ことなく用いた。粗82を最適ノベナゲル条件(McDonald and O
verman,J.Org.Chem.,1999,64:1520−1528
)下でβ−ケトエステル47とビジネリ縮合させて,所望のシス付加物83と望
ましくないトランス付加物84との分離できない6−7:1混合物を,尿素81
から61%の総収率で得た。これらのH13核間メチン水素シグナル(83:4
.22ppmおよび84:4.44ppm)と41およびそのトランスエピマー
および52および53(図17)のシグナルとの類似性にしたがって,ヘキサヒ
ドロピロロ[1,2−c]ピリミジン生成物の立体化学的帰属を決定した。
【0111】 次に,83のシリル保護基をTBAFで除去して,対応する尿素ジオールを得
た(図18)。この粗ジオールをp−TsOHに短時間暴露するとスピロヒドロ
ピランの形成およびケタールの脱保護が誘導され,85を71%の2工程収率で
得た。85の二級アルコールをクロル酢酸として保護した後,少量のトランス異
性体(約12%)を所望のシス異性体86から容易に分離し,これを86%の収
率で単離した。尿素官能基のメチル化の間にメチルエーテルが形成されることを
防止するために,85のC3アルコールを保護する必要があった。尿素86を立
体障害ピリジン塩基の存在下で過剰のMeOTfに暴露すると,対応するメチル
シュードウレアがきれいに得られ,これを中間のシリカゲル精製なしに直接グア
ニジンに変換した。典型的な精製条件下ではC10における分解およびエピマー
化が生ずるため,メチルシュードウレアをシリカゲルクロマトグラフィーに供し
ないことが重要であった。中間体シュードウレアの操作なしに尿素官能基をグア
ニジンに変換することが可能であることは,第二世代合成の第一世代と比較した
主要な利点である。我々は,多くの実験の後,最適なグアニル化/環化条件,す
なわちNH4Clで緩衝化したアリルアルコール中の飽和NH3,60oC,1日
を見いだし,五環化合物87および88をC14における1.5:1のジアステ
レオマー混合物として,86から81%の収率できれいに得た。純粋な化合物8
8を反応条件に供すると,熱力学的平衡としてこの比率が確立された(図18)
【0112】 これらの反応条件は,収率が劇的に改良され,C3保護基が脱保護され,かつ
C14の熱力学的比率での所望のエピマー化が生じたため,第一世代合成におい
て用いられた条件からの著しい改良である。塩素カウンターイオンもまた不利益
な水性洗浄を行わずに直接得られた。単純なアセチル保護基を用いるとC3アル
コールの不完全な脱保護が生じるが,クロルアセチル保護基はグアニル化/五環
化反応条件下で定量的に除去されることに注目すべきである。溶媒としてアリル
アルコールを用いることにより,エタノールまたはメタノールを用いたときに生
ずるアリルエステルのトランスエステル化を回避した。さらに,C14エステル
側鎖の熱力学的平衡を達成するために,反応溶液を加熱する前に0oCでNH3
飽和させることが必要であることが見いだされた。残念なことに,1.5:1の
熱力学的比率は望ましくないβ−エピマー(H14:J=11.5Hz)に優位
であった。五環化合物87および88を中圧シリカゲル液体クロマトグラフィー
により分離し,グアニル化/環化条件でβ−エピマーを2回再利用して,主要な
α−エステル五環化合物88を三環尿素86から52%の総収率で得た。
【0113】 クラムベシジン800(化合物2)の合成は以下のように完了した(図19)
。88のアリル保護基をPd(PPh34およびモルホリンにより除去した後(
Deziel,(上掲)),ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメ
チルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)(Castr
o et al.Tetrahedron Lett.19751219−12
22)を用いて,酸89を(S)−7−ヒドロキシスペルミジン90とカップリ
ングさせて,対応するアミド91を82%の収率で得た。BOC基を酢酸エチル
中の3MHClで除去し(Stahl et al.,J.Org.Chem.
,1978,43:2285−2286),粗生成物を逆相HPLCを用いて精
製して,クラムベシジン800(2)の三塩酸塩を75%の収率で得た。合成の
2の三塩酸塩のデータは,天然の化合物2について報告されている1Hおよび13
C NMRデータと一致した(Jares−Erijman et al.,J
.Org.Chem.,1991,56:5712−5715;Berlinc
k et al.,J.Nat.Prod.,1993,56:1007−10
15)。また,合成の2を三酢酸誘導体92に変換した。合成の92のデータも
また,天然の2から製造した92について報告されている1Hおよび13C NM
Rデータと一致した(Id.)。(43S)−および(43R)−クラムベシジ
ン800(93)のモシャ誘導体を作成し,約150μgの天然の化合物2から
製造した対応するモシャ誘導体と比較した。天然の2および合成の2から製造し
たモシャ誘導体について19F NMRデータは同一であった。このことにより,
クラムベシジン800のC43立体化学がSであることが始めて明白に確立され
た(図19)。
【0114】結論 市販の出発物質から最も長い線状の工程順による集中的様式で,25工程で3
.0%の総収率で,クラムベシジン800(2)の最初の全合成が達成された。
この合成は,アルデヒド−尿素フラグメントが左の3つの環のすべての原子(C
1−C13)を含むことができる適切な穏和な条件下でテザー付きビジネリ縮合
を達成することができ,このことにより,クラムベシジン/プチロミカリンAア
ルカロイドの合成において,高い集中性および効率が可能となることを最初に示
したものである。これらの研究により,2の立体化学的帰属が確認され,そのヒ
ドロキシスペルミジン側鎖の絶対的コンフィギュレーションがSであることが厳
密に確立された。
【0115】実験の部 一般 Aldrich社から購入した乾燥THF,Et2O,およびCH2Cl2は,
Al23を充填したカラム(溶媒精製システム)を通して濾過した。トリエチル
アミン(Et3N),ピリジン,ジイソプロピルエチルアミン(i−Pr2NEt
),ジイソプロピルアミン,およびアセトニトリルは,CaH2から大気圧で蒸
留した。Merck社のシリカゲル(0.040−0.063)をフラッシュク
ロマトグラフィーに用いた。NMRスペクトルは,Bruker装置(500M
Hzおよび400MHz)で記録した。IRスペクトルは,Perkin−El
mer Series1600 FTIRで測定し,旋光度はJasco DI
P−360旋光計で測定した。質量スペクトルは,Micro Mass An
alytical 7070E(CI−イソブタン)またはMicro Mas
s Auto SpecE(FAB)分光光度計で測定した。赤外線スペクトル
は,Perkin Elmer 1600FTIR分光光度計を用いて記録した
。微量分析は,Atlantic Microlabs,Atlanta,GA
により行った。他の一般的実験の詳細は記載されている(Metais et
al.,J.Org.Chem.1997,62:9210(本明細書の一部と
してここに引用する))。
【0116】1−(4−メトキシベンジルオキシ)−3−ブチン(71)の合成 確立された方法(Takaku et al.,Tetrahedron Le
tt.,1983,24:5363;Nakajima et al.,Tet
rahedron Lett.,1988,29:4139,(いずれも本明細
書の一部としてここに引用する)にしたがい,TfOH(1.6mL,18mm
ol)を,PMBOC(=NH)CCl3(169.3g,0.6mol),3
−ブチン−1−オ−ル(70)(67g,0.66mol)および乾燥Et2
(600mL)の0oCの溶液に滴加した。30分後,飽和水性NaHCO3(1
00mL)を加えることにより反応混合物を急冷した。相を分離し,水性相をE
2O(50mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(50mL)で洗浄
し,乾燥し(MgSO4),濾過し,濃縮した。得られた残渣をヘキサン(30
0mL)で希釈し,シリカゲルのプラグを通して濾過し,濃縮し,真空下で(0
.1mmHg)50oCで12時間撹拌して,114g(約100%)の71を
得,これをさらに精製することなく用いた:
【化89】
【0117】5−(4−メトキシベンジルオキシ)−2−ペンチナール(72)の合成 確立された方法(Journet et al.,(上掲))にしたがい,n−
BuLi(2.5M,32mL)のヘキサン溶液を,乾燥THF(0.2L)中
の71(14.45g,76.22mmol)の−40oCの溶液に滴加した。
反応温度は−35℃を越えないようにした。10分後,無水DMF(11.8m
L,153mmol)を一度に加え,冷浴を除いた。30分後,反応混合物を,
激しく撹拌した10%水性KH2PO4(0.4L)およびメチルtert−ブチ
ルエーテル(MTBE)(0.38L)の冷(約5oC)溶液に注加することに
より急冷した。20分後,層を分離し,有機層をH2O(50mL)で洗浄した
。合わせた水性層をMTBE(100mL)で逆抽出し,合わせた有機抽出物を
ブライン(50mL)で洗浄し,乾燥し(MgSO4),濾過し,濾液を濃縮し
た。残渣をシリカゲル(10:1ヘキサン−EtOAc;6:1ヘキサン−Et
OAc)で精製して,14.97g(90%)の72をわずかに黄色の油状物と
して得た:
【化90】
【0118】(5S)−ヒドロキシ−1−(4−メトキシベンジルオキシ)−3−ヘプチン( 73)の合成 Seebach(Webber and Seebach,Tetrahedr
on 1994,50:7473−7484)(本明細書の一部としてここに引
用する)の一般的方法にしたがい,Ti(Oi−Pr)4(12.2mL,41
.0mmol)を,(4R,5R)−2,2−ジメチル−α,α,α’α’−テ
トラ(ナフト−2−イル)−1,3−ジオキソラン−4,5−ジメタノール(2
7.3g,41.0mmol)および乾燥トルエン(340mL)の23oCの
溶液に加えた。3時間後,溶媒を減圧下で(0.1mm)除去した。得られた残
渣を乾燥Et2O(560mL)に溶解し,反応容器を−50oCに冷却し,ここ
にTi(Oi−Pr)4(70mL,0.24mmol)および72(44.7
g,0.20mmol)を加えた。次にジエチル亜鉛(243mL,267mm
ol,1.1M溶液,トルエン中)を1時間かけてゆっくり加えた。次に反応容
器を−27oCに暖めた。18時間後,反応混合物を飽和水性NH4Cl(100
mL)で急冷した。有機相を乾燥し(MgSO4),セライト(登録商標)を通
して濾過し,濃縮した。得られた残渣をシリカゲル(20:1ヘキサン−EtO
Ac;5.6:1ヘキサン−EtOAc;1:1ヘキサン−EtOAc)により
精製して,47.6g(94%)の73を無色油状物として得た:
【化91】
【0119】 Ward(Ward et al.,Tetrahedron Lett.,1
991,32:7165−7166)(本明細書の一部としてここに引用する)
の一般的方法にしたがって,73(23mg)を塩化(R)−α−メトキシ−α
−(トリフルオロメチル)フェニル酢酸[(R)−MTPACl]で処理して,
対応する(R)−MTPAエステルを得た。キャピラリーGC分析[150℃−
200oC/2.0oCmin-1,tR73−(R)−MTPA=3D21.13
分,tRent−50−(R)−MTPA=20.69分]は,99.7:0.
3の比率の73−(R)−MTPAおよびent−73−(R)−MTPAを示
した。
【0120】(S)−(Z)−1−(4−メチルオキシベンジルオキシ)−5−トリイソプロ ピルシロキシ−3−ヘプテン(74)の合成 トリイソプロピルシリルトリフルオロメタンスルホン酸(19.1mL,71.
1mmol)を,2,6−ルチジン(10.3mL,88.4mmol),73
(14.6g,58.6mmol)および乾燥CH2Cl2(150mL)の0o
Cの溶液に15分間かけて滴加した。1時間後,溶液をEt2O(400mL)
に注加し,1NHCl(3x50mL)およびブライン(20mL)で洗浄した
。有機相を乾燥し(MgSO4),濾過し,濾液を濃縮した。粗油状物を真空下
(0.1mm)に一夜放置して,24.0g(約100%)の(S)−1−(4
−メトキシベンジルオキシ)−5−トリイソプロピルシロキシ−3−ヘプチンを
わずかに黄色の油状物として得,これをさらに精製することなく用いた:
【化92】
【0121】 粗(S)−1−(4−メトキシベンジルオキシ)−5−トリイソプロピルシロ
キシ−3−ヘプチン(24.0g,58.6mmol),新たに蒸留したキノリ
ン(0.14mL,1.18mmol),リンドラー触媒(Pd/CaCO3
PbOで減弱化,1.51g)および乾燥3:1ヘキサン−EtOAc(360
mL)の混合物を,23oCで1気圧のH2下に17時間保持した。次にこの混合
物をセライトのプラグを通して濾過し,溶出物を濃縮して,24.0g(約10
0%)の74を得,これをさらに精製することなく用いた:
【化93】
【化94】
【0122】(S)−(Z)−1−ヨード−5−トリイソプロピルシロキシ−3−ヘプテン( 75)の合成 粗74(24.0g,58.6mmol),DDQ(17.3g,76.2mm
ol)および20:1CH2Cl2−H2O(210mL)の溶液を23oCで1時
間保持した。反応混合物をEt2O(600mL)に注加することにより急冷し
,1N NaOH(2x200mL)およびブライン(200mL)で洗浄した
。有機相を乾燥し(MgSO4),濾過し,濃縮した。p−メトキシベンズアル
デヒドをp−メトキシベンジルアルコールに還元することによりクロマトグラフ
ィー分離を容易にした。このために,得られた残渣,MeOH(200mL)お
よびNaBH4(2.9g,77mmol)の溶液を23oCで1時間保持した。
反応混合物をEt2O(300mL)に注加することにより急冷し,1NHCl
(50mL)およびブライン(50mL)で洗浄した。有機相を乾燥し(MgS
4),濾過し,濾液を濃縮した。得られた油状物をシリカゲル(20:1ヘキ
サン−EtOAc;15:1ヘキサン−EtOAc;10:1ヘキサン:EtO
Ac)で精製して,16.0g(95%)の(S)−(Z)−5−トリイソプロ
ピルシロキシ−3−ヘプタノールを無色油状物として得た:
【化95】
【0123】 Corey(Singh et al.,(上掲),(本明細書の一部としてこ
こに引用する))の一般的方法にしたがって,ヨウ素(5.03g,19.8m
mol)を,15分間かけて少しずつ,(S)−(Z)−5−トリイソプロピル
シロキシ−3−ヘプタノール(5.17g,18.0mmol),PPh3(5
.19g,19.8mmol),イミダゾール(1.35g,19.8mmol
)およびEt2O−MeCN(3:1,135mL)の0oCの溶液に加え,次に
23oCまで暖めた。1時間後,溶液をH2O(150mL)とEt2O(150
mL)との間に分配した。水性相をEt2O(2x150mL)で抽出した。次
に合わせた有機抽出物をNa2SO3(150mL)およびH2O(150mL)
で洗浄し,乾燥し(MgSO4),濾過した。粗生成物をフラッシュクロマトグ
ラフィー(95:5ヘキサン−Et2O)により精製して,6.67g(94%
)のヨウ化物75を無色油状物として得た:
【化96】
【0124】(R)−トリエチルシロキシ−N−メトキシ−N−メチル−7−メチル−6−オ クテンアミド(化合物76)の合成 乾燥THF(200mL)中の既知の(Noyori,R.et.al.J.A
m.Chem.Soc.1987,109,5868)β−ヒドロキシエステル
(10.0g,53.5mmol)の0°Cの溶液に,N,O−ジメチルヒドロ
キシルアミン塩酸(14g,64.2mmol,1.2eq)を,続いてトルエ
ン(60mL,2.3eq)中のトリメチルアルミニウムの2M溶液を加えた(
カニューレを通して滴加)。混合物を室温まで暖め,この温度で3時間保持した
。次に,混合物を酒石酸(500mL)の冷(0°C)2M溶液に(注意深く)
注加した。得られた混合物を5時間撹拌し,その後,層を分離し,水性層をEt
OAc(3x100mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO4
,濃縮した。残渣をシリカゲルにより精製して,10.2g(88%)のウェイ
ンレブ(Weinreb)アミドを得た。ウェインレブアミド(10.2g,4
7.5mmol)をCH2Cl2(150mL)に溶解し,ヒューニック(Hun
ig’s)塩基(25mL,3eq)で処理した。次に,TESCl(8.6g
,9.7mL,1.2eq)を混合物に滴加した。反応の進行はTLC(ヘキサ
ン,EtOAc,3:1)によりモニターし,完了したとき,混合物を水で希釈
し,層を分離し,水性層をEt2O(3x100mL)で抽出した。合わせた有
機層を0.5NHCl(2x100mL)および水(2x100mL)で洗浄し
,乾燥し(MgSO4),濃縮した。残渣をシリカゲル(ヘキサン−EtOAc
,3:1)により精製して,12.9g(82%)の76を青白い黄色油状物と
して得た。
【化97】
【化98】
【0125】(6R,11Z,13S)−2−メチル−6−トリエチルシリルオキシ−13− トリソプロピルシロキシペンタデカ−2,11−ジエン−8−オン(77)の合 t−Buli(23.5mL,40.0mmol,1.7M)を,ヨウ化物75
(6.67g,16.8mmol)およびEt2O−ヘキサン(1:1,100
mL)の−78oCの溶液に加えた。溶液を−78oCで30分間保持し,次にア
ミド76(6.10g,18.5mmol)およびEt2O−ヘキサン(1:1
,40mL)の溶液を加えた。得られた溶液を−78°Cで30分間保持し,次
に0°Cまで暖め,2時間保持した。次に溶液を飽和水性NH4Cl(150m
L)に加えた。相を分離し,水性相をEt2O(2x150mL)で抽出した。
合わせた有機抽出物を乾燥し(MgSO4),濾過し,濃縮した。粗生成物をフ
ラッシュクロマトグラフィー(98:2ヘキサン−Et2O)により精製して,
5.93g(65%)の77を無色油状物として得た。生成物は約95%純粋で
あり,さらに精製することなく用いた。少量の試料をフラッシュクロマトグラフ
ィー(98:2ヘキサン−Et2O)によりさらに精製して,以下のデータを得
た:
【化99】
【0126】(6R,11Z,13S)−8−(1’,3’−ジオキサン−2’−イル)−6 −ヒドロキシ−2−メチル−13−トリイソプロピルシロキシペンタデカ−2, 11−ジエン(79)の合成 ケトン77(3.74g,6.94mmol),オルトエステル78(4.10
g,34.7mmol),1,3−プロパンジオール(12.6mL,174m
mol),Amberlyst−15樹脂(278mg)およびCH3CN(7
0mL)の溶液を室温で7時間保持した。次に混合物をセライトを通して濾過し
,濾液をEt2O(150mL)とH2O(50mL)との間に分配した。相を分
離し,有機相をH2O(250mL)で洗浄し,乾燥し(MgSO4),濾過し,
濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(85:15ヘキサン−E
2O)により精製して,2.68g(80%)のケタール79を透明油状物と
して得た:
【化100】
【0127】(6S,11Z,13S)−6−アミノ−8−(1’,3’−ジオキサン−2’ −イル)−2−メチル−13−トリイソプロピルシロキシペンタデカ−2,11 −ジエン(80)の合成 トリフェニルホスフィン(2.89g,11.0mmol)およびアジ化水素酸
(5.82mL,12.1mmol,2.08M,トルエン中)を,アルコール
79(2.65g,5.49mmol)およびTHF(55mL)の0℃の溶液
に加え,次にジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)(2.60mL,1
6.5mmol)を15分間かけて滴加した。溶液を0℃で1.5時間保持し,
次に溶媒の約半分を真空下で除去した。得られた溶液をヘキサン(30mL)で
希釈し,97:3ヘキサン−Et2Oを溶出液として用いてシリカゲルのプラグ
を通して濾過した。濾液を濃縮し,粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(
97:3ヘキサン−Et2O)により精製して,2.45g(88%)のアジド
を透明油状物として得た:
【化101】
【化102】
【0128】 上述のアジド(2.45g,4.82mmol)およびEt2O(18mL)の
溶液を,LiAlH4(12.1mL,12.1mmol,Et2O中1.0M)
およびEt2O(18mL)の0oCの溶液に加えた。氷浴を除き,溶液を室温ま
で暖めた。1時間後,H2O(600μL),NaOH(600μL,3N)お
よびH2O(1.8mL)を順に加えることにより反応を急冷した。得られた混
合物を1時間撹拌し,次にMgSO4を加えた。混合物をセライトを通して濾過
し,濃縮して,茶色油状物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(
10:1:0.1CHCl3−MeOH−conc.NH4OH)により精製して
,2.05g(88%)のアミン80を淡黄色油状物として得た:
【化103】
【0129】(6S,11Z,13S)−8−(1’,3’−ジオキサン−2’−イル)−2 −メチル−13−トリイソプロピルシロキシ−6−ウレイドペンタデカ−2,1 1−ジエン(81)の合成 トリメチルシリルイソシアネート(0.55mL,4.1mmol)を,80(
1.61g,3.35mmol),CH2Cl2(6.8mL)およびi−PrO
H(0.31mL)の室温の溶液に加えた。15時間後,i−PrOH(3mL
)を加え,溶液を1時間保持し,次に濃縮した。得られた油状物をシリカゲル(
100%EtOAc)により精製して,1.57g(89%)の81を無色油状
物として得た:
【化104】
【化105】
【0130】(4aR,7S)−4−[15−(アリルオキシカルボニル)ペンタデシルオキ シカルボニル]−1,2,4a,5,6,7−ヘキサヒドロ−3−[(4S)− tert−ブチルジメチルシロキシペンチル)]−7−[(7S,Z)−2−( 1’,3’−ジオキサン−2’−イル)−7−トリイソプロピルシロキシノン− 5−エニル)]−1−オキソ−ピロロ[1,2−c]ピリミジン(83)の合成 四酸化オスミウム(0.75mL,0.1M,t−BuOH中)を,81(52
4mg,1.00mmol),NMO(406mg,3.46mmol),およ
び10:1THF−H2O(25mL)の溶液に加えた。1.5時間後,フロリ
シル(3g),NaHSO3(3g),およびEtOAc(50mL)を加え,
反応混合物を激しく撹拌した。30分後,反応混合物を濾過し,濾液を濃縮して
,無色油状物を得,これをさらに精製することなく用いた。
【0131】 この粗ジオール,Pb(OAc)4(532mg,1.20mmol),およ
びトルエン(60mL)の溶液を室温に維持した。反応混合物をセライト(登録
商標)のプラグを通して濾過し,酢酸モルホリン(300mg,2.0mmol
)を加え,溶液を濃縮して,粗アミナール82をわずかに黄色の油状物として得
た。
【0132】 この粗アミナール47(1.95g,3.36mmol)および2,2,2−
トリフルオロエタノール(1.0mL)の溶液を60oCで2日間保持した。E
2O(20mL)および50%水性NH4Cl(5mL)を加えることにより反
応を急冷した。層を分離し,有機層を乾燥し(MgSO4),濃縮し,得られた
油状物をシリカゲル(10:1ヘキサン−EtOAc;7:1ヘキサン−EtO
Ac;3:1ヘキサン−EtOAc)により精製して,1.5gの24および6
38mg(61%)の83と84との約6.5:1混合物を得,これを分離する
ことなく用いた。特性決定のためには,この混合物の50mgの試料をHPLC
(7:1ヘキサン−EtOAc;Altima5−シリカ)により精製した。6
0:
【化106】
【化107】
【0133】(3R,4R,4aR,6’R,7S)−4−[15−(アリルオキシカルボニ ル)ペンタデシルオキシカルボニル]−1,2,4a,5,6,7−ヘキサヒド ロ−1−オキソ−7−[(7S,5Z)−7−ヒドロキシ−2−オキソ−5−ノ ネニル]−ピロロ[1,2−c]ピリミジン−3−スピロ−6’−(2’−メチ ル)−3’,4’,5’,6’−テトラヒドロ−2H−ピラン(85) 83(1.30g,1.24mmol),TBAF(6.22mL,1.0M溶
液,Et2O中),およびDMF(31mL)の溶液を室温で5時間保持した。
溶液をEt2O(150mL)で希釈し,H2O(50mL)およびブライン(2
50mL)で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO4),濾過し,濾液を濃縮し
た。得られた残渣をさらに精製することなく用いた。
【0134】 この粗ジオール,TsOH・H2O(236mg,1.24mmol),およ
びCHCl3(180mL)の溶液を60°Cで15分間保持した。飽和水性N
aHCO3(20mL)を加えることにより反応を急冷した。層を分離し,有機
層をブライン(20mL)で洗浄し,次に有機層を乾燥し(MgSO4),濃縮
し,得られた油状物をシリカゲル(1:3ヘキサン−EtOAc;100%Et
OAc)により精製して,630mg(71%)の約6.5:1混合物の異性体
を得た。62:
【化108】
【化109】
【0135】(3R,4R,4aR,6’R,7S)−4−[15−(アリルオキシカルボニ ル)ペンタデシルオキシカルボニル]−1,2,4a,5,6,7−ヘキサヒド ロ−1−オキソ−7−[(7S,5Z)−7−クロロアセトキシ−2−オキソ− 5−ノネニル]−ピロロ[1,2−c]ピリミジン−3−スピロ−6’−(2’ −メチル)−3’,4’,5’,6’−テトラヒドロ−2H−ピラン(86)の 合成 塩化クロロアセチル(0.34mL,0.46mmol)を,85(0.63g
,0.88mmol),ピリジン(1.42mL,17.6mmol),および
CH2Cl2(50mL)の0oCの溶液に滴加した。溶液を直ちに室温まで暖め
た。1時間後,Et2O(200mL)を加えることにより溶液を急冷し,1N
NaOH(25mL),CuSO4(225mL),およびブライン(25mL
)で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO4),濾過し,濾液を濃縮した。得ら
れた残渣をシリカゲル(2:1ヘキサン−EtOAc;1:1ヘキサン−EtO
Ac;1:2ヘキサン−EtOAc)により精製して,600mg(86%)の
所望のシス異性体86を無色油状物として,および約85mg(約12%)の8
4に由来する望ましくないトランス異性体を得た。86:
【化110】
【0136】五環化合物87および88の合成 86(327mg,0.412mmol),MeOTf(1.29mL,8.2
1mmol),2,6−ジ−t−ブチルピリジン(0.46mL,2.1mmo
l),およびCH2Cl2(20mL)の溶液を室温で8時間保持した。次に溶液
をEt2O(100mL)に注加し,1NNaOH(2x10mL)およびブラ
イン(10mL)で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO4),濾過し,濾液を
濃縮した。得られた残渣をさらに精製することなく用いた。
【0137】 上述の粗シュードウレア,NH4Cl(50mg,0.93mmol),およ
びアリルアルコール(5mL)の室温の溶液にアンモニアを20分間バブリング
した(飽和溶液)。反応容器を密封し,60oCに28時間加熱した。次に,反
応混合物を室温に冷却し,濃縮し,得られた油状物をシリカゲルMPLC(10
0:0.6CHCl3−i−PrOH)により精製して,147mgの87およ
び98mgの88を得た。87は,2回回収して上述のグアニル化反応条件を繰
り返し,追加の60mgの88(合計収率52%)を得た。87:
【化111】
【化112】
【0138】カルボン酸89の合成 88(27mg,37μmol),Pd(PPh34(21mg,18μmol
),モルホリン(13μL,0.15mmol),およびMeCN(1.0mL
)の溶液を室温で5時間保持した。溶液をEt2O(30mL)で希釈し,0.
1NHCl(25mL)およびブライン(5mL)で洗浄した。有機層を乾燥し
(MgSO4),濾過し,濾液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲル(100
:1CHCl3−MeOH;33:1CHCl3−MeOH)により精製して,2
4mg(94%)の所望の生成物89を無色油状物として得た:
【化113】
【0139】41,45−ビス−t−ブトキシカルボニルクラムベシジン800(91)の合 ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘ
キサフルオロホスフェート(22mg,50μmol)を,カルボン酸89(2
3mg,33μmol),アミン90(18mg,50μmol),Et2N(
0.15mL,1.1mmol),およびCH2Cl2(5mL)の室温の溶液に
加えた。4時間後,反応液をEt2O(20mL)で希釈し,飽和水性NH4Cl
(5mL)およびブライン(5mL)で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO4
),濾過し,濾液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲル(50:1CHCl3
−MeOH)により精製して,28mg(82%)の所望の生成物91を無色油
状物として得た:
【化114】
【0140】クラムベシジン800三塩酸(2)の合成 91(13mg,13μmol)およびHClのEtOAc中3.0M溶液1.
3mLの溶液を室温で20分間保持し,次に濃縮した。残渣を逆相HPLC(4
:1MeOH−0.1MNaCl,Altima C18,5カラム)により精
製して,約11.8mg(75%)のクラムベシジン800をその三塩酸塩(淡
黄色油状物)として得た。この試料のデータは,天然の2について公表されてい
るデータと一致した。合成2のデータ:
【化115】
【化116】
【0141】ペルアセチルクラムベシジン800(92)の合成 クラムベシジン800(2)(5.0mg,5.5(g),Ac2O(0.5mL
),およびピリジン(1mL)の溶液を室温で23時間保持し,次に真空下で(
0.9mmHg,23oC)濃縮し,CHCl3(20mL)で希釈し,0.1M
HCl(5mL)およびブライン(5mL)で洗浄した。有機層を乾燥し(Mg
SO4),濾過し,濾液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲル(20:1CH
Cl3−MeOH;10:1CHCl3−MeOH)により精製して,2mg(3
5%)のペルアセチルクラムベシジン800(92)を白色ワックスとして得た
。この試料のデータは,天然に由来するペルアセチルクラムベシジン800につ
いて公表されているデータと一致した。合成92のデータ:
【化117】
【化118】
【0142】 これらの結果は,市販の出発物質から最も長い線状の工程順による集中的様式
で,25工程で3.0%の総収率で,クラムベシジン800(2)が最初に全合
成されたことを示す。これらの実験により,クラムベシジン800(化合物2)
の立体化学的帰属が確認され,そのヒドロキシスペルミジン側鎖の絶対的コンフ
ィギュレーションがSであることが厳密に確立された。
【0143】実施例IV 13,14,15−イソクラムベシジン800のエナンチオ選択的全合成の最初 の方法 合成計画 13,14,15−イソクラムベシジン800およびプチロミカリンA/クラ
ムベシジンのメチルエステルの分子構造モデルを図20に示す。これらのモデル
は,2つの構造の間の構造的相違および類似性を明確に表す。例えば,C10お
よびC13の核間水素は,イソクラムベシジンコアにおいてはトランスであり,
プチロミカリンA/クラムベシジンコアにおいてはシスであるが,C13,C1
4およびC15の置換基間の関係はいずれの構造においても同じである。また,
C−O結合はいずれの構造においても軸結合である。すなわち,我々は,プチロ
ミカリンA合成における場合と同様に,中心のトリアザアセナフタレン環系の必
要なトランス立体化学が適切であれば,所望の立体化学を有するC8およびC1
5スピロ中心を構築することができると推測した。この戦略には,C10および
C13の核間水素をトランスの関係に配置し,このキラリティーをオキソペンお
よびヒドロピラン環のC3およびC19立体中心と関連づけることが必要である
【0144】 合成の最初の難題は,所望のトランス立体化学を有するトリアザアセナフタレ
ン環系の構築であった。(−)−プチロミカリンA合成においては,必要なシス
立体化学は,ウレイドアルデヒドおよびβ−ケトエステルの“テザー付きビジネ
リ”縮合を介して確立した(Overman,L.E.;Rabinowitz
,M.H.J.Org.Chem.1993,58,3235−3237;Ov
erman,L.E.;Rabinowitz,M.H.;Renhowe P
.A.J.Am.Chem.Soc.1995,117,2657−2658お
よびKappe,C.O.Tetrahedron1993,49,6937−
6963を参照)。
【0145】 我々の研究室でさらに研究したところ,テザー付きグアニルアルデヒドとβ−
ケトエステルとのビジネリ縮合により,ピロリジン環に関してトランスの関係の
1−イミノヘキサヒドロピロロ[1,2−c]ピリミジン中間体が得られること
が明らかになり(図30)(McDonald,A.I.;Overman,L
.E.J.Org.Chem.1999,64,1520−1528),したが
ってイソクラムベシジンコアを構築する戦略が提供される。
【0146】 イソクラムベシジンコアの逆合成分析は図21に示される。94のC8および
C15アミナールの切断により,1−イミノヘキサヒドロピロロ[1,2−c]
ピリミジン中間体,例えば95が得られる。我々は,代わりにグアニジンユニッ
トを用いることにより,中間体,例えば95から直接五環コアの最終的な3つの
環を形成することを構想した。我々はまた,グアニルアルデヒド96とβ−ケト
エステル,例えば97とのビジネリ縮合により95を形成することを構想した。
(−)−プチロミカリンA合成におけるように,この戦略は高度に集中的である
ため,魅力的である。しかし,この集中的様式でこの合成を完成するためには,
グアニジンユニットを合成の非常に初期の段階で導入しなければならない。グア
ニジンを初期に導入することは,後の段階でグアニジンを導入するための追加の
操作を回避することができる点において魅力的である。しかし,我々はグアニジ
ンを保護することを望まなかったため,数段階の合成においてこの非常に極性の
高い官能基を取り扱わざるをえなかった(図21)。
【0147】結果および考察 13,14,15−イソクラムベシジン800の合成 合成は(−)−プチロミカリンAの合成およびのクラムベシジン800合成の
第二世代においても用いたアミン98から開始した(図22を参照)。98を1
−H−ピラゾール−1−カルボキシアミジン塩酸(Bernatowicz e
t al.,J.Org.Chem.1992,57:2497−2502)お
よびヒューニック塩基で60℃で処理してグアニジン99(約99%の収率)を
得,これを精製することなく用いた(図22)。鍵となるビジネリ縮合を調べる
前に,三置換オレフィンを選択的に酸化しなければならなかった。結局,99を
触媒の四酸化オスミウム(OsO4)で処理して,三置換二重結合を選択的にジ
ヒドロキシル化した(Sharpless and Williams,Tet
rahedron Lett.)。対応するジオールを酢酸モルホリンの存在下
でPb(OAc)4で切断して,アミナール100を得た。ジオールの切断後,
我々は,100を濾過し,直ちにビジネリ縮合において用いて,水性の後処理に
暴露しないことが最適であることを見いだした。さらに,1Hおよび13C NM
Rにより判定して,100は実際にはいくつかの成分の混合物である。13C N
MRスペクトルにおいては多くの炭素原子について多重シグナルが観察されたが
1H NMRスペクトルでは幅広いピークが見られ,アルデヒドシグナルは明
確ではない(図22)。
【0148】 EtOH中での100とβ−ケトエステル101とのビジネリ縮合(Over
man et al.,J.Am.Chem.Soc.,1995,117:2
657−2658)は,中程度の選択性で進行する(3:1トランス:シス)。
幸いにも,我々は,100(1当量)および101(1.5当量)を2,2,2
−トリフルオロエタノール中で60℃で20時間加熱し,pH7.0緩衝液で不
活性化したシリカゲルで精製すると,ジアステレオマー選択性が7:1トランス
:シスに改良されることを見いだした。不活性化シリカは,Merckシリカゲ
ル(0.040−0.063)に10%(重量)のpH7.0緩衝液を加え,均
一となるまで混合することにより調製した。所望のトランス付加物102は49
%の収率で単離され,シス付加物103は約5%の収率で単離された。シス付加
物103はシリカゲル上でトランス付加物102よりゆっくり移動した。したが
って,トランス付加物102の一部がカラムで跡を引くため,純粋な103を単
離することはやや困難であった。トランス付加物102の立体化学は,最初は先
のモデル研究の結果に基づいて帰属させた(McDonald et al.J
.Org.Chem1999,64,1520−1528)。この帰属は,合成
において後に製造される五環中間体(105aおよび105bを参照)を用いて
より厳密に確立された。102をDMF中でTBAFで36時間脱保護して,ジ
オール104を80%の収率で得た(図23)。しばしば,この反応は完全には
進行せず,部分的に脱保護された中間体(R2=TBS,R3=H)が10−15
%の収率で単離された。反応混合物を60℃で加熱すると,完全に脱保護された
104が確実に得られるが,他の生成物が形成され,104の単離収率はより低
かった。
【0149】A.五環化合物105aの最初の立体化学的帰属 この時点で,ジオール104は,イソクラムベシジン五環コアに変換するため
に適当なように官能化されていた。結局,104をCHCl3中でp−トルエン
スルホン酸(p−TsOH)(3当量)に24時間暴露した。次に,反応混合物
を水性HCO2Naで洗浄して,所望の五環化合物105aおよび異性体化され
た五環化合物106の約1:1混合物(五環化合物20はジアステレオマーの約
1:1混合物であり,構造は1H NMR COSY実験に基づいて帰属させた
)を約50%の収率で得た(図23)。トシレートカウンターイオンはゆっくり
と相互変換するために,ギ酸塩のみを得るためには数回の洗浄が必要であり,多
数の洗浄のためにこの変換の収率が低くなることを懸念した。ギ酸塩を製造して
,五環化合物107(図24)((−)−プチロミカリンAの第一世代合成にお
ける中間体(Overman et al.J.Am.Chem.Soc.19
95,117,2657−2658))と直接比較した。1H NMR NOE
実験により,105aがC13,C14およびC15において107とエピマー
性であることが確認された。すなわち,104から105aへの変換の間に,側
鎖アルコールを二重結合にトランスジアキシャル付加して,イソクラムベシジン
コア中のヒドロピランをプチロミカリンA/クラムベシジンコアにおけるように
配向させた。さらに,105aがC14において13,14,15−イソクラム
ベシジン800とエピマー性であることは,C14メチン水素のカップリング定
数が11.8Hzであることにより示された(McDonald et al.
J.Org.Chem1999,64,1520−1528)(図23および2
4[スキーム3,図3]を参照)。
【0150】 さらに研究すると,化合物105aと106との比率は反応時間およびp−T
sOHの当量を変化させることにより制御しうることが明らかになった。より多
くの量のp−TsOHおよびより長い反応時間により,106の形成が優位とな
った。我々はまた,純粋な105aをp−TsOHで処理しても106が得られ
ることを見いだした。105aと106との5:1混合物を得る条件が見いださ
れた(2当量p−TsOH,CHCl3,7時間)。残念なことに,我々はp−
TsOHを用いて105aのみを与える条件を見いだすことができず,105a
および106は分離がやや困難であったため,105aの単離収率は45−50
%を越えることはなかった。したがって,105aを製造するより優れた方法が
必要であった。
【0151】 104をp−トルエンスルホン酸ピリジニウム(PPTS)(2当量)で60
℃でCHCl3中で5時間処理し,次にHCO2Naで洗浄して,所望の105a
と四環化合物108aの1:5混合物を得た(図25)。しかし,反応条件をわ
ずかに変更して(2当量PPTS,CHCl3,90℃,密封管中,24時間)
,105aと108aとの2:1混合物を得た(図25)。残念なことに,我々
は,PPTSを用いて104を105aに完全に変換する条件を見いだすことが
できなかったが,105aと108aとはカラムクロマトグラフィーにより分離
することができた。分離後,108aを再び反応条件に供して,105aと10
8aとの2:1混合物を得た。所望の105aは,1回の再利用の後,75%の
合計収率で単離することができた。最初は,比較の目的のために,クロマトグラ
フィーの前に,105aおよび108aをギ酸塩に変換し,95:5:0.1E
tOAc−イソプロパノール−ギ酸を用いて分離した。しかし,我々は後に,塩
酸塩105bおよび108bは,対応するギ酸塩(105aおよび108a)よ
り分離が容易であることを見いだした。塩酸塩は,反応混合物を0.1NHCl
または飽和水性塩化ナトリウムで洗浄し,シリカゲルで99:1CHCl3−M
eOH(95:5CHCl3−MeOHを用いて分離することにより製造した。前
の場合と同様に,トシレート塩を塩酸塩に完全に変換するためには,数回の洗浄
が必要であった。ギ酸塩および塩酸塩は事実上同一の収率で得ることができたた
め,分離が容易であることから,塩酸塩を用いることが最適である(図25)。
用いた試薬は,PPTS,HCl3,90℃24時間;HCO2Na洗浄または0
.1NHCl洗浄(“a”)であった。
【0152】 五環化合物105aおよび105bは,合成的に有用な収率で製造することが
できたが,工程順がやや面倒であった。理想的には,異性体化生成物,例えば1
06の形成を促進しないが105aまたは105bへの完全な変換を与える条件
を見いだす必要があった。この目的のために,我々は,104をEtOAc中の
HCl(3当量)で処理することにより105bのみが78%の収率で得られる
ことを見いだした。反応の間に塩酸塩が形成するため,やや面倒なカウンターイ
オン交換が回避された(図26)。
【0153】 C14における軸結合エステルへのエピマー化は,末端エステルのアリル基を
除去した後,最もよく達成することができた。この目的のため,105bのアリ
ル基を(Ph3P)4Pdおよびモルホリンにより除去した(図26)。次に,M
eOH中のEt3Nで60℃でC14エステルをエピマー化して,所望のβ−エ
ピマー109と,出発α−エピマーおよびC15における酸素の脱離により生ず
る108aに類似する生成物の混合物との2−3:1混合物を得た。フラッシュ
クロマトグラフィーにより精製した後,109を50−60%の2工程収率で単
離した。109のC14メチン水素については特徴的な3.0Hzカップリング
定数が認められた。(−)−プチロミカリンAおよびクラムベシジン800の前
駆体とは対称的に,一連のイソクラムベシジンにおける平衡においては,軸結合
エステルが優位である。
【0154】 13,14,15−イソクラムベシジン800は,109から容易に合成した
(図26)。(R)−エピクロロヒドリンから(S)−7−ヒドロキシスペルミ
ジンフラグメント110を製造し,ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス
(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)を用い
て五環化合物109とカップリングさせて(Castro et al.Tet
rahedron Lett.1975,1219−22),111を71%の
収率で得た。酢酸エチル中の2MHClでBOCを除去し(Stahl et
al.J.Org.Chem.1978,43,2285−2286),粗生成
物を逆相HPLCにより精製して,13,14,15−イソクラムベシジン80
0(10)の三塩酸塩([α]D 23−67.7(c0.7MeOH))を70%
の収率で得た。合成の10の三塩酸塩のデータは,天然の10について報告され
ている1Hおよび13C NMRデータと一致した。合成のdl三塩酸の1H NM
Rスペクトル(500MHz,CD3OD)は,参考文献3bのthe Sup
plementary Materials(スペクトルS−3)において公表
されている天然の10のスペクトルと同一であった。スペクトルS−3もまた三
カチオン塩のもののようである。表のデータとスペクトルS−3との間に不一致
があるため,参考文献3bの表1のデータには間違いがある。合成の10三塩酸
13C NMRスペクトルもまた,参考文献3bのthe Supplemen
tary Material(スペクトルS−8a)において公表されている天
然の10のスペクトルと同一である。ここでもまた,表のデータとスペクトルS
−8aとの間に不一致があるため,参考文献3bの表1のデータには間違いがあ
る。また,合成の10を三酢酸誘導体112に変換した。合成112のデータも
また,天然の10からの112について報告されている1Hおよび13C NMR
データと一致した(Jares−Erijman,et al.,J.Org.
Chem.199358:4805)。
【0155】 BOC基の除去後に塩基性の後処理を行わなかったため,10の三塩酸塩が得
られたと考えられた(111(10)。しかし,天然の10は,遊離塩基として
アミンを有すると報告されているが,合成の10と天然の10との1Hおよび13
C NMRスペクトルは区別できなかった。合成の10をNaClで飽和した0
.1NNaOHで処理すると,C41およびC45プロトンが下にシフトした。
これをさらに調べるために,酸113から114を製造して,13,14,15
−イソクラムベシジン800のヒドロキシスペルミジン領域のモデルとした(図
27)。114をEtOAc中の2.0MHClで脱保護して,115を95%
の収率で得た。C37−C45プロトンの化学シフトは,115と10とで同一
であった[C41,2.99−2.84ppm(m),C45,3.14−3.
08ppm(m)](表1)。しかし,グアニジンユニットが存在しないため,
115のスペクトル分析はやや容易であった。115を0.1NNaOHで処理
して,116を遊離塩基として得た。116においてはC41およびC45プロ
トンが有意に上にシフトした[C41,2.66−2.58ppm(m),C4
5,2.86−2.78ppm(m)]。この上へのシフトは,塩酸塩の遊離塩
基への変換と一致する。したがって,このことは,天然の13,14,15−イ
ソクラムベシジン800が実際に三塩酸塩として単離されたという結論を支持す
る(図27)。
【0156】
【表1】 化合物115および116のC41およびC45プロトンの化学シフトの比較 1H NMR(CD3OD,500MHz),(δppm),mult 位置 115 116 41 2.99−2.84,m 2.6−2.58,m 45 3.14−3.08,m 2.86−2.78,m
【0157】13,14,15−イソクラムベシジン800のC43立体中心の帰属 クラムベシジン816(化合物3)との類似性に基づき,13,14,15−
イソクラムベシジン800のC43立体中心はSであると帰属された。化合物1
0の我々の完全な全合成は,この帰属を確認するように見えたが,C43立体中
心は他の立体中心と遠く離れているため,(43S)−13,14,15−イソ
クラムベシジン800が分光的に(43R)−13,14,15−イソクラムベ
シジン800と区別できるか否かは確かではなかった。このため,109および
ent−110から(43R)−13,14,15−イソクラムベシジン800
(117)を製造した。Ent110は,(S)−エピクロロヒドリンから製造
した(図28)。予測されたように,117は,1Hおよび13C NMRおよび
HPLCにより,合成の10および天然の10と区別できなかった。
【0158】 我々は,この立体化学的帰属を明白にするために,天然の10の誘導体を合成
の10の誘導体および117と比較しなければならないと予測した。合成の10
,117および天然の10のモシャ誘導体を製造し,次に19F NMRにより分
析することは興味ある選択であった。モシャ誘導体118(43S)および11
8(43R)を,Wardにより開発された方法にしたがって製造した(図29
)。次に,天然の10の対応するモシャ誘導体を製造し,118および119と
比較した。19F NMRデータは,天然の10および合成の10から製造された
モシャ誘導体について同一である。C38アミドのまわりの回転異性体のため, 19 F NMRスペクトルには6つのピークが存在する(図27を参照)。このこ
とは,13,14,15−イソクラムベシジン800のC43における立体化学
がSであることを明白に確立する。
【0159】 市販の出発物質から最も長い線状の工程順により集中的様式で,21工程で,
13,14,15−イソクラムベシジン800(10)の最初の全合成が達成さ
れた。これらの研究により,10の立体化学的帰属が確認され,そのヒドロキシ
スペルミジン側鎖の絶対的コンフィギュレーションがSであることが厳密に確立
された。この合成は,現在の形で,薬理学的評価のために実質的な量の10およ
び同族体を与えることができる。このエナンチオ選択的全合成は,(a)テザー
付きビジネリ戦略をグアニジン中間体に拡張しうること,(b)鍵となるビジネ
リ縮合を,クラムベシジンコアの完全な官能基を含有するフラグメントを用いる
ことができる十分に穏和な条件下で達成することができること,および(c)一
連のイソクラムベシジン中のスピロアミナールユニットを,高度な立体化学的忠
実度をもって組み立てることができることを最初に示した。
【0160】実験の部 一般 Aldrichからの乾燥THF,Et2O,およびCH2Cl2は,Al23
を充填したカラム(溶媒精製システム)を通して濾過した。トリエチルアミン(
Et3N),ピリジン,ジイソプロピルエチルアミン,ジイソプロピルアミン,
およびアセトニトリルはCaH2から大気圧で蒸留した。Merckからのシリ
カゲル(0.040−0.063)をフラッシュクロマトグラフィーに用いた。
逆相HPLC分離は,Waters 590ポンプおよびWaters 486
UV検出器から構成されるHPLCシステムを用いて行った。NMRスペクトル
は,Bruker装置を用いて記録した(500MHzおよび400MHz)。
IRスペクトルはPerkin−Elmer Series 1600FTIR
で測定し,旋光度はJasco DIP−360旋光計で測定した。質量スペク
トルは,Micro Mass Analytical 7070E(CI−イ
ソブタン)またはMicro Mass Auto SpecE(FAB)分光
光度計で測定した。微量分析は,Atlantic Microlabs,At
lanta,GAにより行った。他の一般的実験の詳細は先に記載されている(
Metais,E. et al.J.Org.Chem.1997,62,9
210−9216)。
【0161】(6S,11Z,13S)−6−アミノ−N−カルボキシアミジン−8−(1’ ,3’−ジオキサン−2’−イル)−2−メチル−13−トリソプロピルシロキ シペンタデカ−2,11−ジエン(99) アミン98(2.95g,6.12mmol),1−H−ピラゾール−1−カル
ボキシアミジン塩酸(2.70g,18.4mmol),ヒューニック塩基(4
.37mL,24.5mmol)およびDMF(6.0mL)の溶液を室温で1
6時間保持し,次に600Cまで暖め,4時間保持した。溶液を冷却し,CHC
3(300mL)と0.1NHCl(75mL)との間に分配した。有機相を
0.1NHCl(75mL)およびH2O(75mL)で洗浄し,乾燥し(Na2 SO4),濾過し,濃縮して,グアニジン99とアミン98との2:1混合物を
得た。この混合物をDMF(6.0mL)に溶解し,1−H−ピラゾール−1−
カルボキシアミジン塩酸(1.35g,9.2mmol)およびヒューニック塩
基(2.19mL,12.3mmol)で処理した。溶液を室温で16時間保持
し,次に600Cまで暖め,4時間保持した。反応液を上述のように後処理して
,真空ポンプ(0.1mmHg)下に置いて残留DMFを除去した。これにより
,3.20g(99%)のグアニジン99を淡黄色油状物として得,これをさら
に精製することなく用いた:
【化119】
【0162】(4aS,7S)−4−[15−(アリルオキシカルボニル)ペンタデシルオキ シカルボニル]−3−[(4S)−4−t−ブチルジメチルシロキシペンチル] −7−[(5Z,7S)−2−(1’,3’−ジオキサン−2’−イル)−7− トリイソプロピル−シロキシ−5−ノネニル]−1,2,4a,5,6,7−ヘ キサヒドロ−1−イミノ−ピロロ[1,2,c]−ピリミジン塩酸(102) 4−メチルモルホリン−N−オキシド(2.16g,18.4mmol)および
OsO4(3.1mL,0.24mmol,t−ブタノール中2%)を,グアニ
ジン99(3.2g,〜6.1mmol),THF(105mL)およびH2
(15mL)の溶液に加えた。混合物を8時間撹拌し,フロリシル(1.5g)
およびNaHSO3(1.5g)を加え,得られた混合物をさらに10時間撹拌
した。セライトおよびMgSO4を加え,混合物を濾過し,溶出物を濃縮して,
茶色油状物を得た。この油状物をトルエン(120mL)に溶解し,酢酸モルホ
リン(3.6g,24.5mmol)およびPb(OAc)4(3.3g,7.
3mmol)を加えた。溶液を45分間保持し,次にセライトを加えた。混合物
をセライトのプラグを通して濾過し,溶出物をトルエン(200mL)で希釈し
,この溶液を濃縮して,茶色油状物を得た。油状物をトルエン(200mL)と
共沸乾固させ,残渣をβ−ケトエステル15(5.3g,9.2mmol)およ
び2,2,2−トリフルオロエタノール(9.0mL)と合わせた。この溶液を
600Cで20時間保持し,次にCHCl3(250mL)と0.1NHCl(5
0mL)との間に分配した。有機相を0.1NHCl(50mL)およびブライ
ン(50mL)で洗浄し,乾燥し(Na2SO4),濾過し,濃縮した。1H N
MR分析は,トランス:シスビジネリ付加物が7:1の比率であることを明らか
にした。粗混合物をpH7.0緩衝液で不活性化したシリカゲルを用いてフラッ
シュクロマトグラフィー(CHCl3→99:1CHCl3−MeOH→98:2
CHCl3−MeOH)により精製して,3.22g(49%)の所望のトラン
ス付加物102を淡茶色油状物として,および331mg(5%)のシス付加物
103を得た。102のデータ:
【化120】
【0163】(4aS,7S)−4−[15−(アリルオキシカルボニル)ペンタデシルオキ シカルボニル]−7−[(5Z,7S)−2−(1’,3’−ジオキサン−2’ −イル)−7−ヒドロキシ−5−ノネニル]−1,2,4a,5,6,7−ヘキ サヒドロ−3−[(4S)−4−ヒドロキシペンチル]−1−イミノ−ピロロ[ 1,2,c]−ピリミジン塩酸(104) 102(2.80g,2.59mmol),TBAF(13.0mL,13.0
mmol,1.0M)およびDMF(26mL)の溶液を室温で24時間保持し
,次にさらにTBAF(6.0mL,6.0mmol,1.0M)を加えた。溶
液を6時間保持し,次にCHCl3(200mL)と0.1NHCl(75mL
)との間に分配した。有機相を飽和水性NaHCO2(2x50mL)で洗浄し
,乾燥し(Na2SO4),濾過し,濃縮した。粗生成物をpH7.0緩衝液で不
活性化したシリカゲルを用いてフラッシュクロマトグラフィー(95:5:0.
1EtOAc−イソプロパノール:ギ酸→90:10:0.1EtOAc−イソ
プロパノール:ギ酸→85:15:0.1EtOAc−イソプロパノール:ギ酸
)により精製して,ジオールのギ酸塩1.68g(80%)を淡茶色油状物とし
て得た。ギ酸塩はより容易に精製しうるが,塩化塩はより安定であった。したが
って,精製後,ギ酸塩をCHCl3(150mL)と0.1NHCl(25mL
)との間に分配し,0.1NHCl(25mL)およびブライン(25mL)で
洗浄することにより,ギ酸塩を定量的に塩素塩104に変換した。有機相を乾燥
し(Na2SO4),濾過し,濃縮して,ジオール104を得た:1 H NMR (500MHz, CDCl3) δ 8.63 (s, 1
【化121】
【0164】五環化合物105b 塩化アセチル(320μL,4.5mmol)を,MeOH(200μL,5.
0mmol)およびEtOAc(30mL)の00Cの溶液に加えて,EtOA
c中HClの0.15M溶液を得た。次に,ジオール104(1.10g,1.
36mmol)を27mLのこの溶液(4.1mmolのHCl)に溶解した。
溶液を室温で6時間保持し,次にCHCl3(250mL)とブライン(50m
L)との間に分配した。有機相を乾燥し(Na2SO4),濾過し,濃縮した。残
渣をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl3→99:1CHCl3−MeOH
→98:2CHCl3−MeOH)により精製して,780mg(78%)の五
環化合物105bを淡黄色油状物として得た。場合によっては,五環化合物10
5bには約5%の未同定不純物が夾雑していた。この不純物は,逆相HPLCに
よりさらに精製することにより除去することができたが,所望の五環化合物10
5bの回収率は低かった。したがって,五環化合物105bはさらに精製せず,
未知の不純物は次の変換後に除去した。 純粋な105bのデータ:
【化122】
【化123】
【0165】カルボン酸109 五環化合物105b(50mg,0.068mmol),モルホリン(24(L
,0.27mmol),(Ph3P)4Pd(16mg,0.014mmol)お
よびCH3CN(5mL)の溶液を2時間保持した。さらにモルホリン(12μ
L,0.13mmol)および(Ph3P)4Pd(8mg,0.007mmol
)を加え,溶液を2時間保持した。次に溶液をCHCl3(50mL)と0.1
NHCl(10mL)との間に分配した。有機相を0.1NHCl(10mL)
で洗浄し,乾燥し(Na2SO4),濾過し,濃縮して,茶色油状物を得た。茶色
油状物をシリカゲルのプラグを通して濾過し(99:1CHCl3:MeOH→
98:2CHCl3−MeOH),濃縮し,Et3N(95μL,0.68mmo
l)およびMeOH(7mL)に溶解した。得られた溶液を600Cで36時間
保持し,次にCHCl3(50mL)と0.1NHCl(8mL)との間に分配
した。有機相を0.1NHCl(8mL)で洗浄し,乾燥し(Na2SO4),濾
過し,濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(99:1CHCl 3 :MeOH→98:2CHCl3−MeOH→95:5CHCl3:MeOH)
により精製して,28mg(60%)の109を淡黄色油状物として得た:
【化124】
【化125】
【0166】41,45−ビス−t−ブトキシカルボニル−13,14,15−イソクラムベ シジン800(111) ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘ
キサフルオロホスフェート(28mg,0.064mmol)を,カルボン酸1
09(30mg,0.043mmol),アミン110(23mg,0.064
mmol),Et3N(29μL,0.22mmol)およびCH2Cl2(2.
0mL)の溶液に加えた。溶液を1時間保持し,次にEt2O(40mL)と0
.1NHCl(10mL)との間に分配した。有機相をブライン(2x10mL
)で洗浄し,乾燥し(MgSO4),濾過し,濃縮して,粗油状物を得た。この
残渣をフラッシュクロマトグラフィー(99:1CHCl3−MeOH→97:
3CHCl3−MeOH)により精製して,32mg(71%)の111を無色
泡状物として得た:
【化126】 (C38アミドは回転異性体の約1:1の混合物として存在)。C38に非常に
近い炭素,例えばヒドロキシペルミジンユニットの炭素のシグナルのいくつかは
二重項である。これらのシグナルはかっこ内に示される:
【化127】
【0167】13,14,15−イソクラムベシジン800三塩酸(10) 111(30mg,0.029mmol)およびEtOAc中のHClの2.0
M溶液2.9mLの溶液を室温で30分間保持し,次に濃縮した。残渣を逆相H
PLC(3.5:1MeOH−0.1MNaCl,AltimaC18,5,μ
カラム)により精製して,18mg(70%)の13,14,15−イソクラム
ベシジン800をその三塩酸塩として得た(淡黄色油状物)。この試料のデータ
は,天然の10について公表されているデータと一致した。
【0168】 合成の10のデータ:
【化128】 (C38アミドは回転異性体の約3:1の混合物として存在)。C38に非常に
近い炭素,例えばヒドロキシスペルミジンユニットのいくつかの炭素のみが,少
量の回転異性体に起因するシグナルを示す。回転異性体の炭素シグナルはかっこ
内に示され,最初が主要な回転異性体のシグナルである。
【化129】
【0169】ペルアセチル−13,14,15−イソクラムベシジン800塩酸(112) 13,14,15−イソクラムベシジン800(1),無水酢酸(1.2mL)
およびピリジン(2.4mL)の溶液を室温で20時間保持し,次に真空ポンプ
を用いて濃縮した。得られた残渣をCHCl3(40mL)に溶解し,ブライン
(10mL),0.1NHCl(10mL)およびブライン(10mL)で順に
洗浄した。溶液を乾燥し(Na2SO4),濾過し,濃縮した。残渣をフラッシュ
クロマトグラフィー(95:5CHCl3−MeOH)により精製して,8mg
(70%)のペルアセチルイソクラムベシジン800(112)を得た。合成1
12の1H NMRおよび13C NMRデータは,天然の13,14,15−イ
ソクラムベシジン800から製造したペルアセチルイソクラムベシジン800に
ついて報告されているデータと一致した。合成112のデータ:
【化130】
【化131】
【0170】実施例V 合成計画 2つのクラムベシジンファミリーの構造的相違および類似性は,13,14,1
5−イソクラムベシジンおよびクラムベシジン/プチロミカリンA五環グアニジ
ン成分のメチルエステルの分子構造モデルにおいて明らかである(図20)。M
acromodel version5.5およびOPLS分子力場を用いるモ
ンテカルロ検索から見いだされた最低エネルギーコンフォメーションが示されて
いる(Chang,G.;Guida,W.C.,Still,W.C.J.A
m.Chem.Soc.1989,111,4379−4386)。1万種類の
出発コンフォメーションを調べた。すべての場合において,メチルエステルフラ
グメントの空間的配向においてのみ異なるいくつかのコンフォメーションは,数
kcalの大域最小の範囲内であった。例えば,C10およびC13の核間水素
は,イソクラムベシジンコアにおいてはトランスであり,対応するクラムベシジ
ン/プチロミカリンAユニットにおいてはシスであるが,C13,C14および
C15における置換基間の立体化学的関係はいずれの構造においても同一である
。いずれのアルカロイドファミリーについても,ヒドロピランおよびオキセペン
ユニットのC−O結合は軸結合である。すなわち,一連のクラムベシジン/プチ
ロミカリンAにおけるものと同様に(Snider,B.B.;Shi,Z.T
etrahedron Lett.1993,34,2099−2102;Sn
ider,B.B.;Shi,Z.J.Am.Chem.Soc.1994,1
16,549−557;Overman,L.E.;Rabinowitz,M
.H.;RenhoweP.A.J.Am.Chem.Soc.1995,11
7,2657−2658;),中心のトリアザアセナフタレン環系が正しいトラ
ンス立体化学で構築されれば,イソクラムベシジンのC8およびC15スピロ中
心は所望の立体化学で展開するであろうことが予測された。
【0171】 数年前に導入された由緒あるビジネリ縮合の分子内変形(Overman,L
.E.;Rabinowitz,M.H.J.Org.Chem.1993,5
8,3235−3237)は,複雑なグアニジンアルカロイドの合成のための簡
潔な戦略の設計において非常に有用であることが証明された。実施例Iに詳細に
示されるように,ウレイドアルデヒドとβ−ケトエステルとのテザー付きビジネ
リ縮合を用いて,クラムベシジン/プチロミカリンA五環コアのすべての炭素を
組み合わせ,H10とH13水素とを枢要のシス関係に配置させることができる
(Kappe,C.O.Tetrahedron 1993,49,6937−
6963)。テザー付きビジネリ縮合における立体選択性の最近の予備的研究は
,イソクラムベシジンアルカロイドをいかにして合成するかの計画に重要であっ
た(McDonald,A.I.;Overman,L.E.J.Org.Ch
em.1999,64,1520−1528)。これらの研究は,尿素成分を塩
基性グアニジンで置き換えれば,テザー付きビジネリ縮合の立体化学的な結果を
逆転させることができることを明らかにした。すなわち,グアニジンアルデヒド
(またはアミナール)122をベンジルアセトアセテートとビジネリ縮合させる
と,トランス−1−イミノヘキサヒドロピロロ[1,2−c]ピリミジン123
が高い選択性で得られた(図32)(McDonald,A.I.;Overm
an,L.E.J.Org.Chem.1999,64,1520−1528)
【0172】 これらの予備的研究および一連のクラムベシジン/プチロミカリンAにおける
経験に基づいて,13,14,15−イソクラムベシジン800(10)を製造
するための集中的計画が容易に明らかになった(図33)。グアニジンアルデヒ
ド126とβ−ケトエステル127とのテザー付きビジネリ縮合を用いて,重要
なトランスC10−C13立体的関係を配置し,五環グアニジン成分のすべての
重い原子を化合させることができるであろう。酸により125の脱水が進行し,
次に124の残りの3つの複素環が1工程で生成することが期待された。この戦
略により提起された1つの難題,すなわち,合成の初期にグアニジン官能基を導
入することの結果に注目すべきである。保護および脱保護工程を加えない限り,
この非常に極性の官能基のため,合成の数段階を成し遂げなければならないであ
ろう。
【0173】結果および考察 トランス−1−イミノヘキサヒドロピロロ[1,2−c]ピリミジン134の合 10および10aの全合成はジエンアミン128から出発し,これは(−)−
クラムベシジン800の合成においても用いられた(図34)。128を1−H
−ピラゾール−1−カルボキシアミジン塩酸(Bernatowicz,M.S
.;Wu,Y.;Matsueda,G.R.J.Org.Chem.1992
,57,2497−2502)およびジイソプロピルエチルアミンで60°Cで
処理して,グアニジン129を得,これを精製せずに直接用いた。次に,この中
間体の三置換二重結合を切断して,ビジネリ縮合の親電子成分を遊離させなけれ
ばならなかった。幸いにも,関連する一連の尿素においてこの分解を行うために
用いた酸化戦略は,グアニジン官能基と適合性であった。すなわち,129の三
置換二重結合を触媒である四酸化オスミウム(OsO4)およびN−メチルモル
ホリン−N−オキシド(NMO)(Sharpless,K.B.;Willi
ams,D.R.Tetrahedron Lett.1975,3045−3
046)で選択的にジヒドロキシル化し,得られたジオールを酢酸モルホリンの
存在下でPb(OAc)4で切断して,130を得た。この中間体を濾過によっ
てのみ精製してPbO2を除去した。1Hおよび13C NMR分析により判定して
,これはいくつかの成分の混合物であった。130の13C NMRスペクトルに
おいては多くの炭素原子について多重シグナルが観察され,1H NMRスペク
トルは,いくつかの幅広いピークを示した。アルデヒドシグナルは明らかではな
かった。
【0174】 粗130とβ−ケトエステル131とのビジネリ縮合は,EtOH中で60°
Cで中程度のトランス選択性(3:1)で進行した。幸いにも,130を1.5
当量の131とともに2,2,2−トリフルオロエタノール中で60°Cで20
時間加熱すると,ジアステレオマー選択性が7:1に改良されることが見いださ
れた。粗生成物をpH7.0緩衝液で不活性化したシリカゲル(不活性化シリカ
は,10%(重量)のpH7.0リン酸緩衝液をMerckシリカゲル0.04
0−0.063μに加え,均一となるまで混合することにより調製した)で精製
した後,所望のトランス付加物132を48%の収率で,シス付加物133を約
5%の収率で得た(シス付加物133はシリカゲル上で132よりゆっくり移動
するため,純粋な133を単離することは困難であった)。132の立体化学は
,以前の予備的な研究に基づいて先に帰属されている(McDonald,A.
I.;Overman,L.E.J.Org.Chem.1999,64,15
20−1528)。すぐに示されるように,この帰属は,後の段階で厳密に確認
することができた。132をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中のフッ
化テトラ−n−ブチルアンモニウム(TBAF)で室温で36時間脱保護して,
ジオール134を80%の収率で得た。場合によっては,この反応は完了まで進
行せず,TIPS基のみが除去されている中間体が10−15%の収率で単離さ
れた。反応混合物を60°Cで加熱することによりこの複雑化を回避することが
できるが,他の未同定生成物が形成され,134の単離収率は改良されなかった
【0175】環化による五環化合物135の形成 最初に,グアニジンジオール134を,CHCl3中で3当量のp−トルエン
スルホン酸一水和物(p−TsOH・H2O)に室温で24時間暴露した(図3
5)。反応混合物を水性HCO2Naで洗浄した後,五環生成物(後に135a
であることが示された)およびテトラヒドロフリル異性体136aの1:1混合
物を約50%の収率で単離した(トシレートカウンターイオンのギ酸への交換は
,水性ギ酸ナトリウムによる数回の洗浄を必要とし,これが収率にやや影響した
)。
【0176】 これらの五環生成物の構成は以下のように確認した。五環化合物136a(1
−ブテニル側鎖を有する中心における立体異性体の約1:1混合物)の概略的構
造は,1H NMR COSYおよび13C NMR実験により得た。136aの
C15(合成中間体の議論においてはクラムベシジンの番号付けを用いる。正し
いIUPAC名および番号付けは実験の部において見いだすことができる)にお
ける立体化学は,C14メチン水素(δ2.88)の化学シフトにしたがった。
(135のC14メチン水素は,δ2.91に認められ,一方139のこの水素
はδ2.30に生じた。)これらの生成物のC15立体化学を厳密に決定したが
(下記を参照),C8の立体化学は決定せず,類似性にのみ基づいて帰属させた
。五環グアニジン135aおよび136aは,そのギ酸塩として単離したため,
五環化合物137((−)−プチロミカリンAの元の合成における中間体(実施
例IIおよびOverman,L.E.;Rabinowitz,M.H.;R
enhoweP.A.J.Am.Chem.Soc.1995,117,265
7−2658))との直接的比較が可能であった。この135aがC13におい
て137のエピマーであることは,135aのH10とH13との間に1H N
MR NOEが存在しないことにより示されたが,1353aのC14メチン水
素の11.7Hzのカップリング定数は,エステル側鎖が赤道結合であることを
示した。
【0177】 この研究の間に製造した五環グアニジン中間体または生成物のいずれも結晶で
はなかったため,立体化学の帰属においては1H NMR NOE実験が不可欠
であることが判明した。135aのグアニジン成分の分子構造モデル(13−エ
ピクラムベシジンコアを有する中間体)は,重要なNOE強化の分析の助けとな
ったものであり,図31に示されている(Macromodel versio
n5.5およびOPLS分子力場を用いるモンテカルロ検索から見いだされた最
低エネルギーコンフォメーションが示されている。一万種類の出発コンフォメー
ションを調べた。すべての場合について,メチルエステルフラグメントの空間的
配向のみにおいて異なるいくつかのコンフォメーションは,数kcalの大域最
小の範囲内であった。以下で議論するように,図31に示される13,15−イ
ソクラムベシジンコアのコンフォメーションは,確実に,最低エネルギーのコン
フォメーションではない。)図31にはまた,参考のために,クラムベシジン/
プチロミカリンA五環グアニジン成分のモデルである,2つの追加のグアニジン
五環(13,14,15−イソクラムベシジンおよび13,15−エピクラムベ
シジン環系)のモデルが示されている。
【0178】 さらに研究することにより,134からのテトラヒドロフラン異性体136a
の形成は,反応時間およびp−TsOH・H2Oの当量を変化させることにより
制御しうることが明らかとなった。より多くの量の酸およびより長い反応時間に
より,136aの形成が優位となった。135aを室温で長時間p−TsOH・
2Oに暴露することによっても136aが得られた。135aを生成するのに
最良であることが見いだされた条件は,134をCHCl3中で2当量のp−T
sOH・H2Oに室温で7時間暴露することを含み,135aと136aとの5
:1混合物が生成した。これらの異性体は分離することが困難であったため,こ
のようにして製造した135aの単離収率は50%を越えることがなかった。
【0179】 p−トルエンスルホン酸ピリジニウム(PPTS)を,134の1,3−ジオ
キサン保護基の切断および得られたケトグアニジンジオールの環化について調べ
た。このより弱い酸を用いると,より高い反応温度が必要であり,135a,四
環ビニル性カルバメート138aおよびいくつかの未同定少量副生成物の混合物
が生成した(図36)。134をCHCl3中で2当量のPPTSとともに60
°Cで5時間加熱し,粗生成物を水性HCO2Naで洗浄すると,135aおよ
び138aが1:5の比率で生成した。反応温度を90°C(密封管)に上昇さ
せて24時間反応させると,135aおよび138aが2:1の比率で得られた
(138aに対して約10%の少量の139のギ酸類似体もまた生成した。13
8aをPPTSとともに90°Cで加熱すると,135aおよび138aが約2
:1の比率で形成された)。これらの生成物をシリカゲルで分離し,次に138
aを90°CでPPTSに再び供することにより,135aを75%の合計収率
で得た。
【0180】 最初に,135aおよび138aをクロマトグラフィーの前にそのギ酸塩に変
換し,不活性化シリカゲルから95:5:0.1EtOAc−イソプロパノール
−ギ酸を用いて溶出した。塩酸塩(135bおよび138b)は,シリカゲルで
より容易に分離しうることが後に明らかになった。これらの塩は,反応混合物を
0.1MHClまたは飽和水性塩化ナトリウムで洗浄することにより製造した。
トシレートカウンターイオンを完全に交換するには,数回の洗浄が必要であった
【0181】 135bの1H NMRスペクトルでは両方のNH水素が容易に明らかであっ
たため,広範なNMR実験(1H COSY,HMQC,HMBCおよびNOE
SY)を行い,最終的に135bが13−エピクラムベシジン立体化学を有する
ことが明らかになった(すなわち,スピロヒドロピランおよびエステル側鎖は両
方とも10および10aに対してエピマー性である)。鍵となる知見は,N2H
とH19,N2HとH17(軸結合),およびH13とH16(軸結合)の間で
観察された特徴的1H NMR NOEである(図31の13−エピクラムベシ
ジンコアのモデルを参照)。以下の議論において示されるように,スピロヒドロ
ピランおよびエステル側鎖の両方の立体化学を容易に反転させることができるた
め,135bは,イソクラムベシジン10および10aを入手するための実行可
能な中間体である。
【0182】 上述した方法は五環グアニジン塩135を合成的に有用な収率で与えるが,こ
れらの工程順は面倒である。理想的には,C3アルコールのアリルの再配置を促
進しないが四環ビニル性カルバメート中間体138を五環グアニジン異性体に不
可逆的に変換する,134を環化する酸性条件を見いだすことが必要である。1
34をEtOAc中の3当量のHClで室温で処理すると,135bが78%の
収率で得られることが最終的に発見された(図37)。粗環化生成物を逆相HP
LC(9:1MeOH−0.1MNaCl)により注意深く精製して,135b
の他に,5−7%の五環グアニジン139を得た。
【0183】 139がイソクラムベシジンに対してC14(エステル側鎖)においてのみエ
ピマー性であることは,1H NMR COSY,HMQC,HMBCおよびN
OESY実験から明らかであった。C15における立体化学は,N2HとH17
(軸結合)およびN2HとH20との間で観察される特徴的な1H NMR N
OE,およびN2HとH19との間にNOEがないことから直接得られた。この
NOEデータは,139のヒドロピラン環が優先的にメチル置換基が軸結合であ
るイス型コンフォメーション(図38,コンフォメーションA)をとることと一
致する。このコンフォメーションの優位性は,明らかに2つの因子に起因する:
(1)代わりのヒドロピランのイス型コンフォーマーにおいては,ヒドロピラン
環のC17およびC19とエステル基のカルボニル炭素との間にsynペンタン
相互作用の不安定化が存在する(このコンフォメーションの2つの視点の図につ
いては図38を参照,コンフォメーションBおよび13,15−エピクラムベシ
ジンコアのモデルについては図31を参照);(2)コンフォーマーAは,ヒド
ロピラン酸素とC15−N2結合との間のアノマー性相互作用により安定化され
るであろう(Kirby,A.J.Stereoelectronic Eff
ects;Oxford University Press:Oxford,
1995;pp3−24;Kirby,A.J.The Anomeric E
ffect and Related Stereoelectronic E
ffects at Oxygen;Springer:Berlin,198
3;Deslongchamps,P.Stereoelectronic E
ffects in Organic Chemistry;Pergamon
:Oxford,1983)。
【0184】 ヒドロピラン形成のメカニズムをさらに洞察するために,純粋な135bを環
化条件(EtOAc中3当量のHCl,室温)に再び供して,135bと139
との約8−9:1の混合物を得た(図37)。これがこれらの条件下におけるC
15エピマーの平衡比を表すことは,(a)135bと139との8−9:1混
合物を再び反応条件にさらに24時間供したときに変化がないことを示すことに
より,および(b)純粋な139をEtOAc中の3当量のHClに24時間暴
露したとき,同一の比率のエピマーが得られることを示すことにより,確立する
ことができる。134のHCl促進性環化またはスピロヒドロピランエピマーの
HCl促進性平衡においては,β面にエステル側鎖を有する中間体または副生成
物は検出されなかった。135bと139との平衡には四環中間体,例えば13
8が関与しなかったことが推測された。この仮説と一致して,139をEtOA
c中でDClに暴露すると,135bおよび139の約8−9:1の混合物が得
られ,重水素は135b中には取り込まれなかった(図39)。イミニウムカチ
オン140は,スピロヒドロピランエピマーの平衡状態にある中間体でありそう
である(厳密に除外したわけではないが,N2−C15結合の切断によりC15
におけるエピマー化が生じて,6員のオキソカルベニウムイオン中間体が形成さ
れる別の可能性はあまりない)。これらの実験から,134のHCl促進性環化
から135bが主要な生成物として形成されることは,134のビニル性カルバ
メートユニットが速度論的に制御された軸結合プロトン化されて,プロトン当量
の140が生成し,熱力学的に制御されたスピロ環化が進行して,135bが優
先的に生成したためであることが結論づけられた(我々のプチロミカリンAおよ
びクラムベシジン800の合成においては,関連するビニル性カルバメートの酸
促進性環化から形成されたスピロヒドロフラン生成物のみが,軸結合酸素を有す
る。これらの場合,図39に示される経路に関連する経路によるヒドロピランエ
ピマーの平衡は,より安定性の低いN−アシルイミニウムカチオンが関与するた
め,より遅い速度で生ずるであろう)。
【0185】135bのC14およびC15におけるエピマー化による五環グアニジン酸14 1の生成,および13,14,15−イソクラムベシジン657(10a)の全 合成 135aが最初に製造されてからまもまく,この中間体を熱メタノール中でE
3Nに暴露すると,13,14,15−イソクラムベシジン800(10)と
同一の立体化学の五環グアニジンが得られることが確立された。この事実は最初
は評価されなかったが,C14およびC15におけるエピマー化は対になった事
象である。この再構成は,ヘキサデカノエートエステルのアリル基を除去した後
に最もよく達成された。この目的のため,134のHCl促進環化から得られた
135bおよび139の8−9:1混合物を(Ph3P)4Pdおよびモルホリン
で脱保護した(図40)。次に得られた酸の混合物を,10当量のEt3Nの存
在下でMeOH中で60°Cで加熱することによりエピマー化した。この生成物
を0.1MHClで酸性化して,五環グアニジン酸141および142および四
環グアニジン143の混合物を約10−14:1:1の比率で得た(141対(
142および143)の比率は粗生成物混合物から500MHzでの1H NM
R分析により決定した)。このスペクトルの複雑性および少量の不純物の存在の
ため,この比率は±20%の正確さしかないと見積もられた。142:143の
比率を確かめることはより困難であったが,これらの生成物は同様の量で形成さ
れるようであった。この混合物をHPLCにより分離する試みは成功しなかった
)。139の脱アリル化により得られる五環グアニジン酸は検出されなかった。
シリカゲルでフラッシュクロマトグラフィーにより精製した後,赤道結合C14
メチン水素について特徴的な3.3Hzのカップリング定数を示す141を,5
0−60%の2工程収率で単離した。135bまたは139の純粋な試料を別々
に脱アリル化し,MeOH中でEt3Nとともに加熱した場合にも,同様の生成
物の混合物を得た。(−)−プチロミカリンA(1)およびクラムベシジン80
0(2)の前駆体(Overman,L.E.;Rabinowitz,M.H
.;Renhowe P.A.J.Am.Chem.Soc.1995,117
,2657−2658)とは異なり,一連のイソクラムベシジンにおいては,軸
結合エステルが非常に優位である。
【0186】 141の構造は,広範な1H NMR COSY,HMQC,HMBCおよび
NOESY実験により確認した。141のC15における立体化学は,H19と
H14との間,およびH19とH13との間(より弱い)に特徴的な1H NM
R NOEが観察され,N2HとH19の間にはNOEが存在しないことにより
求めた(図2の13,14,15−イソクラムベシジンコアの三次元モデルを参
照)。カルボン酸141は,希NaOHで洗浄することにより,対応する内部塩
に定量的に変換した。この生成物は,13,14,15−イソクラムベシジン6
57(10a)について報告されているデータと完全に一致する1Hおよび13
NMRデータを示した(Kashman,Y.;Hirsh,S.;McCo
nnell,O.J.;Ohtani,I.;Kusumi,T;Kakisa
wa,H.J.Am.Chem.Soc.1989,111,8925−892
6)。合成の10aの比旋光度は,[α]23 D−35.4(c0.8MeOH)
であり,これは天然の13,14,15−イソクラムベシジン657(10a)
について報告されている比旋光度[α]23 D−32.7(c0.3MeOH)と
よく一致する(Kashman,Y.;Hirsh,S.;McConnell
,O.J.;Ohtani,I.;Kusumi,T;Kakisawa,H.
J.Am.Chem.Soc.1989,111,8925−8926)。10
aおよび141の1Hおよび13C化学シフトの完全な帰属が提供される。
【0187】 134のPPTSによる環化についての我々の先の研究から138bの純粋な
試料が入手可能であったため,この四環グアニジンを脱アリル化して143を形
成した(図41)。143をEt3NおよびMeOHに60°Cで暴露して,1
41,142および143を約12:1:1の比率で含む生成物の混合物を得た
。135bおよび139の関連する変換と同様に,139の酸同族体は検出され
なかった。図41にまとめられている実験は,143を経由して135bがC1
4およびC15においてエピマー化されて141が得られることを説明する証拠
を提供する。
【0188】13,14,15−イソクラムベシジン800(10)の全合成 (R)−エピクロロヒドリン(Coffey,D.S.;McDonald,
A.I.;Overman,L.E.J.Org.Chem.1999,64,
8741−8742)として入手可能な(S)−7−ヒドロキシスペルミジンフ
ラグメント144を,ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルア
ミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)(Castro,B
.;Dormoy,J.R.;Evin,G.;Selve,C.Tetrah
edron Lett.1975,1219−1222)を用いて五環の酸14
1にカップリングさせて,145を収率71%で得た。酢酸エチル中2MHCl
でBOC保護基を除去し(Stahl,G.L.;Walter,R.;Smi
th,C.W.J.Org.Chem.1978,43,2285−2286)
,粗生成物を逆相HPLCにより精製して,13,14,15−イソクラムベシ
ジン800(10)の三塩酸塩を収率70%で得た。[α]D 23−67.7(c
0.7MeOH)。天然の13,14,15−イソクラムベシジン800(10
)については,[α]23 D−48(c0.5MeOH)の比旋光度が報告されて
いる(Jares−Erijman,E.A.;Ingrum,A.L.;Ca
rney,J.R.;Rinehart,K.L.;Sakai,R.J.Or
g.Chem.1993,58,4805−4808)。天然の10のカウンタ
ーイオンは記載されていないため,回転の程度におけるこの不一致の意義は,も
しあるとしても不明である。合成10の三塩酸塩のNMRデータは,天然の10
について報告されているデータとよく一致した(Jares−Erijman,
E.A.;Ingrum,A.L.;Carney,J.R.;Rinehar
t,K.L.;Sakai,R.J.Org.Chem.1993,58,48
05−4808)。BOC基を除去した後に塩基性の後処理を行わなかったため
,10の三塩酸塩が得られた。しかし,天然の10は遊離塩基形のスペルミジン
窒素で表されているが(Berlinck,R.G.S.;Braekman,
J.C.;Daloze,D.;Bruno,I.;Riccio,R.;Fe
rri,S.;Spampinato,S.;Speroni,E.J.Nat
.Prod.1993,56,1007−1015;Jares−Erijma
n,E.A.;Ingrum,A.L.;Carney,J.R.;Rineh
art,K.L.;Sakai,R.J.Org.Chem.1993,58,
4805−4808),合成の10および天然の10の1Hおよび13C NMR
スペクトルは区別できなかった。合成の10をNaClで飽和した0.1MNa
OHで処理すると,C41およびC45水素が下にシフトした。この問題をさら
に調べるために,iを製造して13,14,15−イソクラムベシジン800の
ヒドロキシスペルミジンユニットのモデルとした。iおよび合成の10のヒドロ
キシスペルミジンユニットの水素の化学シフトはほぼ同一であった。グアニジン
ユニットが存在しないため,iは簡単に帰属させることができた。iを0.1M
NaOHで処理して,iiを遊離塩基として得た。以下の表にまとめられている
ように,iiを脱プロトン化すると,C41およびC45水素が有意に上にシフ
トした。この研究および合成の10を用いる関連する実験により,天然の13,
14,15−イソクラムベシジン800(10)が三塩酸塩として単離されたこ
とが確認された。3種類の溶出物を用いるHPLC比較によって,合成の10は
天然の10の試料と区別できなかった。
【化132】
【0189】 もう1つの比較点を提供するために,合成の10をトリアセチル化誘導体14
6に変換した。この生成物のデータは,天然の10のこの誘導体について報告さ
れている1Hおよび13C NMRデータと完全に一致した(Berlinck,
R.G.S.;Braekman,J.C.;Daloze,D.;Bruno
,I.;Riccio,R.;Ferri,S.;Spampinato,S.
;Speroni,E.J.Nat.Prod.1993,56,1007−1
015)。
【0190】13,14,15−イソクラムベシジン800(10)のC43立体中心がSで あることの証明 上述したように,13,14,15−イソクラムベシジン800(10)のC
43立体中心のSコンフィギュレーションは,もっぱらクラムベシジン816と
の類似性により提唱された(Berlinck,R.G.S.;Braekma
n,J.C.;Daloze,D.;Bruno,I.;Riccio,R.;
Ferri,S.;Spampinato,S.;Speroni,E.J.N
at.Prod.1993,56,1007−1015;Jares−Erij
man,E.A.;Ingrum,A.L.;Carney,J.R.;Rin
ehart,K.L.;Sakai,R.J.Org.Chem.1993,5
8,4805−4808)。外観上は,我々の10の全合成は,この帰属を確認
するように見えた。しかし,C43立体中心は五環グアニジン成分の立体中心か
ら遠く離れているため,この立体中心におけるエピマーが容易に区別しうるか否
かは確実ではなかった。この問題をさらに追求するために,(43R)−13,
14,15−イソクラムベシジン800(147)を141およびent−14
4から製造した(図43)(ヒドロキシスペルミジン誘導体ent−144は(
S)−エピクロロヒドリンから製造した(Coffey,D.S.;McDon
ald,A.I.;Overman,L.E.J.Org.Chem.1999
,64,8741−8742))。147は,1Hおよび13C NMR比較,な
らびにHPLC分析によっては,合成の10および天然の10から区別すること
ができなかった。
【0191】 13,14,15−イソクラムベシジン800のC43エピマーを明白に区別
するために,天然の10,合成の10および147の共通の誘導体を製造した。
200μgの天然の10しか入手可能ではなかったため,モシャ誘導体を用い, 19 F NMR分光分析により分析することを選択した(Dale,J.A.;M
osher,H.S.J.Am.Chem.Soc.1973,95,512−
519)。トリスモシャ誘導体148(43S)および149(43R)を,(
S)−(−)−α−メトキシ−α−トリフルオロメチル)フェニル酢酸(MTP
A),合成の10および147から,Wardにより開発された方法にしたがっ
て製造し(Ward,D.E.;Rhee,C.K.Tetrahedron
Lett.1991,32,7165−7166),その19F NMRスペクト
ルを測定した。これらの生成物は2つの回転異性体の混合物であったため,NM
Rの時間スケールでは6種類の19Fシグナルが観察された。シグナルのいくつか
は,ジアステレオマー148および149とは実質的に異なっていた(図44)
。天然および合成の10の(S)−MPTA誘導体は同一であり,したがって,
C43における13,14,15−イソクラムベシジン800(10)の立体化
学がSであることが明白に確立された。
【0192】五環グアニジン立体異性体の相対的エネルギー プチロミカリンA/クラムベシジン化合物を用いる研究とは異なり,イソクラ
ムベシジン化合物を用いる研究は,いくつかの五環グアニジン立体異性体の入手
可能性を提供した。139と135とは室温でHClの存在下で平衡するため,
13,15−エピクラムベシジンと13−エピクラムベシジンの五環グアニジン
成分の相対的エネルギーは容易に識別される(図37)。同様に明らかな平衡が
ないため,13,14,15−イソクラムベシジン環系の相対エネルギーを精密
に特定することはできない。それにもかかわらず,13,14,15−イソクラ
ムベシジン環系が13−エピクラムベシジングアニジン成分よりかなり安定であ
ることは,この研究の初期において,13−エピクラムベシジンエステル135
aを熱メタノール中でEt3Nで処理すると,良好な収率で13,14,15−
イソクラムベシジン酸141のアリルエステル類似体に変換されることが認めら
れたときに,明らかになった。さらに,142,143,または139からの酸
誘導体をメタノール性Et3Nに60°Cで暴露すると,13,14,15−イ
ソクラムベシジン酸141および13−エピクラムベシジン酸142が約12:
1の比率で得られた(図40)。この反応混合物の複雑性,142を純粋な形で
単離することができなかったこと,および分析の困難性のため,この141と1
42との比率が60°Cにおける熱力学的平衡を正確に表すか否かは明確ではな
かったが,この比率は合理的な見積である。この見積を用いて,図45に示され
る,13−エピクラムベシジン,13,15−エピクラムベシジンおよび13,
14,15−イソクラムベシジン五環グアニジン環系のエネルギーの順序を得た
【0193】 13,15−エピクラムベシジングアニジン成分のC14におけるエピマー化
が非常に優位であることは,図31および38に示される分子モデルにおいて明
らかである。13,15−エピクラムベシジン環系の一方のヒドロピランイス型
コンフォーマーにおいては,エステル置換基はヒドロピラン環の前方にあり(図
38のコンフォーマーBおよび図31に示される別の視点の図),他方のイス型
コンフォーマー(この相互作用が軽減されている)においては,メチル基は軸結
合である(図38のコンフォーマーA)。13,14,15−イソクラムベシジ
ン環系においては,このような不安定化相互作用は存在しない。
【0194】結論 13,14,15−イソクラムベシジン800(10)および13,14,1
5−イソクラムベシジン657(10a)の最初の全合成が,集中的様式で達成
された。10の合成は,5つの単離された中間体を含む工程順により,アミン1
28から11%の総収率で達成された。先に詳細に説明したように,128は,
市販の3−ブチン−1−オールから,9つの単離され精製された中間体を経て,
30%の総収率で得られた。すなわち,本明細書に記載されるイソクラムベシジ
ンの合成方法は,これらのグアニジンアルカロイドを意味のあるスケールで与え
ることができる。
【0195】 本明細書に詳細に説明される全合成により,10および10aの立体化学的帰
属が確認され,10のヒドロキシスペルミジン側鎖の絶対的コンフィギュレーシ
ョンがSであることが厳密に確立された。さらに,この実施例は,クラムベシジ
ンアルカロイドを製造するためのテザー付きビジネリ戦略をグアニジン中間体に
拡張し,クラムベシジンコアの完全な官能性を含むフラグメントを用いることが
できる十分に穏和な条件下で,鍵となるビジネリ縮合を行うことができることを
最初に示したものである。
【0196】実験の部(実験の詳細は,上述の実施例において記載されたものと同じである) (6S,11Z,13S)−6−アミノ−N−カルボキシアミジン−8−(1’ ,3’−ジオキサン−2’−イル)−2−メチル−13−トリイソプロピルシロ キシペンタデカ−2,11−ジエン(129) アミン128(2.95g,6.12mmol),1−H−ピラゾール−1−カ
ルボキシアミジン塩酸(2.70g,18.4mmol),i−Pr2EtN(
4.4mL,24mmol)およびDMF(6mL)の溶液を室温で16時間,
次に60°Cで4時間保持した。溶液を室温に冷却し,CHCl3(300mL
)と0.1MHCl(75mL)との間に分配した。有機相を0.1MHCl(
75mL)およびH2O(75mL)で洗浄し,乾燥し(Na2SO4),濾過し
,濃縮して,グアニジン129とアミン128の2:1混合物を得た。この混合
物をDMF(6mL)に溶解し,再び1−H−ピラゾール−1−カルボキシアミ
ジン塩酸(1.35g,9.2mmol)およびi−Pr2EtN塩基(2.2
mL,12mmol)と反応させた(室温で16時間,60°Cで4時間)。反
応液を上述したように後処理し,残留DMFを0.1mmで数時間蒸発させて除
去して,3.20g(〜99%)の粗グアニジン129を淡黄色油状物として得
た。この中間体をさらに精製することなく用いた:
【化133】
【0197】(4aS,7S)−4−[15−(アリルオキシカルボニル)ペンタデシルオキ シカルボニル]−3−[(4S)−4−t−ブチルジメチルシロキシペンチル] −7−[(5Z,7S)−2−(1’,3’−ジオキサン−2’−イル)−7− トリイソプロピルシロキシ−5−ノネニル]−1,2,4a,5,6,7−ヘキ サヒドロ−1−イミノ−ピロロ[1,2−c]−ピリミジン塩酸(132) N−メチルモルホリン−N−オキシド(2.16g,18.4mmol)および
OsO4(3.1mL,0.24mmol,tert−ブタノール中2%)を,
グアニジン129(3.2g,〜6.1mmol),THF(105mL)およ
びH2O(15mL)の溶液に加えた。混合物を室温で8時間撹拌し,フロリシ
ル(1.5g)およびNaHSO3(1.5g)を加え,得られた混合物をさら
に10時間撹拌した。次にセライトおよびMgSO4を加え,混合物を濾過し,
溶出物を濃縮して,対応する粗ジオールを茶色油状物として得た。この油状物を
トルエン(120mL)に溶解し,酢酸モルホリン(3.6g,24mmol)
およびPb(OAc)4(3.3g,7.3mmol)を加えた。得られた混合
物を室温で45分間保持し,セライトを加えた。この混合物をセライトのプラグ
を通して濾過し,溶出物をトルエン(200mL)で希釈し,溶液を濃縮して,
茶色油状物を得た。この油状物をトルエン(200mL)と共沸乾固させ,残渣
をβ−ケトエステル131(5.3g,9.2mmol)および2,2,2−ト
リフルオロエタノール(9mL)と合わせた。得られた溶液を60°Cで20時
間保持し,次にCHCl3(250mL)と0.1MHCl(50mL)との間
に分配した。有機相を0.1MHCl(50mL)およびブライン(50mL)
で洗浄し,乾燥し(Na2SO4),濾過し,濃縮した。1H NMRによる分析
は,7:1の比率のトランス:シスビジネリ付加物を明らかにした。粗混合物を
pH7.0緩衝液で不活性化したシリカゲル(McDonald,A.I.;O
verman,L.E.J.Org.Chem.1999,64,1520−1
528)でフラッシュクロマトグラフィー(CHCl3→99:1CHCl3−M
eOH→98:2CHCl3−MeOH)により精製して,3.22g(128
から48%)の所望のanti付加物132を淡茶色油状物として,および33
1mg(128から5%)のsyn付加物133を得た。132のデータ:
【化134】
【0198】(4aS,7S)−4−[15−(アリルオキシカルボニル)ペンタデシルオキ シカルボニル]−7−[(5Z,7S)−2−(1’,3’−ジオキサン−2’ −イル)−7−ヒドロキシ−5−ノネニル]−1,2,4a,5,6,7−ヘキ サヒドロ−3−[(4S)−4−ヒドロキシペンチル]−1−イミノピロロ[1 ,2−c]ピリミジン塩酸(134) 132(2.80g,2.59mmol),フッ化テトラブチルアンモニウム(
TBAF,13mL,13mmol,1.0M)およびDMF(26mL)の溶
液を室温で24時間保持し,次にさらにTBAF(6mL,6mmol,1.0
M)を加えた。溶液を6時間保持し,次にCHCl3(200mL)と0.1M
HCl(75mL)との間に分配した。有機相を飽和水性HCO2Na(2x5
0mL)で洗浄し,乾燥し(Na2SO4),濾過し,濾液を濃縮した。粗生成物
をpH7.0緩衝液で不活性化したシリカゲルでフラッシュクロマトグラフィー
(95:5:0.1EtOAc−イソプロパノール−ギ酸→90:10:0.1
EtOAc−イソプロパノール−ギ酸→85:15:0.1EtOAc−イソプ
ロパノール−ギ酸)により精製して,ジオールのギ酸塩1.68g(80%)を
淡茶色油状物として得た。
【0199】 ギ酸塩はより容易に精製することができるが,塩素塩はより安定であった。し
たがって,精製後,ギ酸塩を定量的に塩素塩134に変換した。ギ酸塩をCHC
3(150mL)と0.1MHCl(25mL)との間に分配し,有機層を0
.1MHCl(25mL)およびブライン(25mL)で洗浄し,有機相を乾燥
し(Na2SO4),濾過し,濃縮して,ジオール134を得た:
【化135】
【化136】
【0200】メタノール性HClとの反応による18から五環化合物19bの形成 塩化アセチル(320μL,4.5mmol)を,MeOH(200μL,5.
0mmol)およびEtOAc(30mL)の0°Cの溶液に加えて,EtOA
c中HClの0.15M溶液を得た。次に,ジオール134(1.10g,1.
36mmol)を27mLのこの溶液に溶解した。この溶液(4.1mmolの
HClを含有)を室温で6時間保持し,次にCHCl3(250mL)とブライ
ン(50mL)との間に分配した。有機相を乾燥し(Na2SO4),濾過し,濃
縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl3→99:1CHCl3 −MeOH→98:2CHCl3−MeOH)により精製して,780mg(7
8%)の五環化合物135bと139との約8−9:1混合物を黄色油状物とし
て得た(1H NMRスペクトルの多くのピークが重複していたため,135b
と139との比率を正確に測定することは困難であった)。この混合物をさらに
精製することなく次の工程において用いた。
【0201】 特性決定の目的のために,この混合物の試料を逆相HPLC(9:1MeOH
−0.1MNaCl)により精製した。135bおよび139のカウンターイオ
ンが塩素のみであることを確実にするために,135bおよび139の純粋な試
料をCHCl3(50mL)に溶解し,0.1MHCl(10mL)で洗浄し,
有機相を乾燥し(Na2SO4),濾過し,濃縮した(0.1MHClによる洗浄
の前後で135b,139および10aの1H NMRおよび13C NMRスペ
クトルにはほとんど差異がない)。実施例IVにおいては,135bおよび10
aは精製後0.1MHClで洗浄しなかった。 135bのデータ:
【化137】
【化138】 少量の五環化合物139のデータ:
【化139】
【0202】カルボン酸25および13,14,15−イソクラムベシジン657(10a) 135bおよび139の8−9:1混合物(50mg,0.068mmol),
モルホリン(24μL,0.27mmol),(Ph3P)4Pd(16mg,0
.014mmol)およびMeCN(5mL)の溶液を室温で2時間保持した。
追加のモルホリン(12μL,0.13mmol)および(Ph3P)4Pd(8
mg,0.007mmol)を加え,溶液を室温でさらに2時間保持した。次に
溶液をCHCl3(50mL)と0.1MHCl(10mL)との間に分配した
。有機相を0.1MHCl(10mL)で洗浄し,乾燥し(Na2SO4),濾過
し,濃縮して,茶色油状物を得た。茶色油状物をシリカゲルのプラグ(99:1
CHCl3−MeOH→98:2CHCl3−MeOH)を通して濾過し,濃縮し
,残渣をEt3N(95μL,0.68mmol)およびMeOH(7mL)に
溶解した。得られた溶液を60°Cで36時間保持し,次にCHCl3(50m
L)と0.1MHCl(8mL)との間に分配した。有機相を0.1MHCl(
8mL)で洗浄し,乾燥し(Na2SO4),濾過し,濃縮した。残渣をフラッシ
ュクロマトグラフィー(99:1CHCl3−MeOH→98:2CHCl3−M
eOH→95:5CHCl3−MeOH)により精製して,28mg(60%)
の141を淡黄色油状物として得た。カウンターイオンが塩素のみであることを
確実にするために,141をCHCl3(50mL)に溶解し,0.1MHCl
(10mL)で洗浄した。有機相を乾燥し(Na2SO4),濾過し,濃縮した。
141のデータ:
【化140】
【0203】 酸(5mg)のCHCl3(5mL)溶液を1MNaOH(1mL)およびブ
ライン(1mL)で洗浄することにより,カルボン酸141を定量的にカルボン
酸分子内塩に変換した。有機層を乾燥し(Na2SO4),次に濃縮して10aを
無色油状物として得た:[α]25 D−35.4(c0.8,MeOH)。この試
料の分光光度および質量分析データは,天然の10aについて公表されているデ
ータと一致した。
【0204】41,45−ジ−tert−ブトキシカルボニル−13,14,15−イソクラ ムベシジン800(145) カルボン酸141(30mg,0.043mmol),ベンゾトリアゾール−1
−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェー
ト(28mg,0.064mmol),(S)−ヒドロキシスペルミジン誘導体
144(23mg,0.064mmol),Et3N(29μL,0.22mm
ol)およびCH2Cl2(2.0mL)の溶液を室温で1時間保持し,次にEt 2 O(40mL)と0.1MHCl(10mL)との間に分配した。有機相をブ
ライン(2x10mL)で洗浄し,乾燥し(MgSO4),濾過し,濃縮した。
この残渣をフラッシュクロマトグラフィー(99:1CHCl3−MeOH→9
7:3CHCl3−MeOH)により精製して,32mg(71%)の145を
無色泡状物として得た:
【化141】 (C38アミドは,NMRの時間スケールでは回転異性体の約1:1混合物とし
て存在する。C38の近傍の炭素,例えばヒドロキシスペルミジンユニットの炭
素のシグナルのいくつかは,二重項である。回転異性体を区別することができる
場合には,これらのシグナルはかっこ内に示されている)
【化142】
【0205】13,14,15−イソクラムベシジン800三塩酸(10) 145(30mg,0.029mmol)およびEtOAc中2.0MHClの
溶液2.9mLの溶液を室温で30分間保持し,次に濃縮した。残渣を逆相HP
LC(3.5:1MeOH−0.1M NaCl,5μ Altima C18
カラム)により精製して,18mg(70%)の13,14,15−イソクラム
ベシジン800(10)(淡黄色油状物)をその三塩酸塩として得た:[α]22 D −67.7,[α]22 577−70.9,[α]22 546−80.6(c0.73,
MeOH)。この試料のNMRデータは,天然の10について公表されているデ
ータと一致し,3種類の溶出物を用いるHPLC比較によって,合成の10は天
然の10の試料と区別できなかった。
【0206】ペルアセチル−13,14,15−イソクラムベシジン800塩酸(146)の 製造 13,14,15−イソクラムベシジン800(10),無水酢酸(1.2mL
)およびピリジン(2.4mL)の溶液を室温で20時間保持し,次に真空ポン
プを用いて濃縮した。残渣をCHCl3(40mL)に溶解し,ブライン(10
mL),0.1MHCl(10mL)およびブライン(10mL)で順に洗浄し
た。溶液を乾燥し(Na2SO4),濾過し,濃縮した。残渣をフラッシュクロマ
トグラフィー(95:5CHCl3−MeOH)により精製して,8mg(70
%)のペルアセチルイソクラムベシジン800(146)を得た。合成146の 1 H NMRおよび13C NMRデータは,天然の13,14,15−イソクラ
ムベシジン800のこの誘導体について報告されているデータ(Berlinc
k,R.G.S.;Braekman,J.C.;Daloze,D.;Bru
no,I.;Riccio,R.;Ferri,S.;Spampinato,
S.;Speroni,E.J.Nat.Prod.1993,56,1007
−1015)と完全に一致した。
【0207】(4aR,7S)−4−[15−(アリルオキシカルボニル)ペンタデシルオキ シカルボニル]−3−[(4S)−4−t−ブチルジメチルシロキシペンチル] −7−[(5Z,7S)−2−(1’,3’−ジオキサン−2’−イル)−7− トリイソプロピル−シロキシ−5−ノネニル]−1,2,4a,5,6,7−ヘ キサヒドロ−1−イミノピロロ[1,2,c]−ピリミジン塩酸(133)
【化143】
【0208】四環グアニジン138b
【化144】
【化145】
【0209】N−アシル化ヒドロキシスペルミジン塩酸塩i
【化146】 (NMRの時間スケールではアミドは回転異性体の約3:1混合物として存在す
る。アミドに非常に近い炭素,例えばヒドロキシスペルミジンユニットのいくつ
かの炭素は2つのシグナルを示す。2つの回転異性体が観察された場合には,回
転異性体の炭素シグナルはかっこ内に示され,主要な回転異性体が最初に示され
ている)。 δ(177.5, 176.4), 173.0, (68.6, 69.4), 65.7, (54.8, 53.2), (4
3.9, 47.8), 38.5, (38.2, 38.3), 34.2, 34.0, (32.9, 33.0), 30.75, 30.72,
30.67, 30.61, 30.5, 30.3, 29.7, 27.0, (26.61, 27.8), (26.54, 26.59), 20.
8 ppm.
【0210】N−アシル化ヒドロキシスペルミジン遊離塩基ii
【化147】
【0211】実施例VI この実施例は,クラムベシジン/プチロミカリンファミリーのグアニジニウム
アルカロイドおよび同族体を製造するための新規五環中間体を製造する方法を記
載する。この実施例はさらに,クラムベシジン/プチロミカリンファミリーのグ
アニジニウムアルカロイドおよび同族体を製造するための五環中間体の改良され
た化学合成に関する。
【0212】合成 テザー付きビジネリ縮合 C(22)カルボン酸を保護するためにアリルエステルを選択した。これは,
この保護基がグアニジニウム塩の存在下で除去することができるためである(O
verman,L.E.;et al.J.Am.Chem.Soc.1995
,117,2657)。先に記載された条件(Overman,L.E.;et
al.1995,(上掲))を用いて,化合物151(Overman,L.
E.;et al.J.Am.Chem.Soc.1995,117,2657
)と152(Overman,L.E.;et al.1995,(上掲))を
ビジネリ縮合させると,わずか30−40%の化合物153が生成し,ジアステ
レオマー選択性は低かった(2:1)。
【0213】 次に,化合物152(図48)の完全性に着目した。尿素155(図48)は
,前駆体アミン154(Overman,L.E.;et al.1995,(
上掲))をトリメチルシリルイソチオシアネートと反応させることにより,改良
された収率で合成された(Vishnyakova,T.P.;et al.R
uss.Chem.Rev.1985,54,249)(図48)。化合物15
5のオゾン分解をH2および10%Pd/Cで急冷し,次に濾過および濃縮し,
減圧下で(0.1mm)23℃で1時間放置した後に,固体生成物が得られた。
この物質は,ビジネリ縮合において優れた収率を与えた(60%)。しかし,ジ
アステレオマー選択性は,依然として低かった(ds=2:1)。反応条件を広
範囲に最適化することにより,非典型的な溶媒であるトリフルオロエタノール中
において,ビジネリ縮合が良好なジアステレオマー選択性で進行することが示さ
れた(ds=6.5:1(〜50%)0.5M,ds=4:1(80%)1.7
M)。ビジネリ縮合における効率および立体選択性を改良するためにこの溶媒を
使用することは最近報告されている(McDonald and Overma
n,J.Org.Chemistry,1999,64:1520−1528)
【0214】 酢酸モルホリンをビジネリ反応の触媒として選択した(Renhowe,P.
A.Ph.D.Thesis,University of Californ
ia,Irvine.1995)。ビジネリ反応の最適化の間に,酢酸モルホリ
ンの使用に関する重要な発見がなされた。化合物152のオゾン分解生成物の還
元的水素化の後,濾過および濃縮の前に,化合物152のメタノール性溶液に酢
酸モルホリンを加えた。次に溶液を濃縮して粘稠な油状化合物156を得,これ
をHRMS分析により特性決定した。この油状物をビジネリ縮合させると,化合
物153がはるかに改良された収率80%で得られた。さらに,この改変により
,反応時間が半分の1.5日間になった。
【0215】エナンチオ純粋なヨウ化化合物166の合成 これまでの合成は,イノン前駆体のエナンチオ選択的還元によりヨウ化物16
6(C(1)−C(7)フラグメント)を中程度のエナンチオマー純度(86%
ee)で生成している(Overman,L.E.;et al.J.Am.C
hem.Soc.1995,117,2657;Renhowe,P.A.Ph
.D.Thesis,University of California,I
rvine.1995)。この中間体をエナンチオマー的に純粋に与えるより短
い合成はスキームVIII(図34)にまとめられている。TADDOLate
触媒の存在下でアルデヒド159または160(それぞれ化合物157および1
58から合成)にジエチル亜鉛を付加すると(Weber,B.;Seebac
h,D.Tetrahedron,1994,50,7473−7484),キ
ラルアルコール161および162が良好な収率で得られ,誘導したモシャエス
テルのGLC分析により決定して>99%eeであった(Seebach,D.
;et al.Helv.Chim.Acta 1987,70,954;Se
ebach,D.;et al.Chimia 1991,238;Seeba
ch,D.;et al.Helv.Chim.Acta 1992,75,4
38;Seebach,D.;et al.Helv.Chim.Acta 1
992,75,2171;Seebach,D.;et al.Tetrahe
dron 1994,50,4363;Weber,B.;Seebach,D
.Tetrahedron 1994,50,7473)。アルコール161は
,旋光度を除き,我々の元の合成において用いた中間体と同一であった(Ove
rman,L.E.;et al.J.Am.Chem.Soc.1995,1
17,2657)。エナンチオ純粋な163を(S)−(Z)−1−ヨード−5
−トリイソプロピルシロキシ−3−ヘプテン(Overman,L.E.;et
al.J.Am.Chem.Soc.1995,117,2657)に変換し
た。この時点において,TIPS保護基は必要以上に強壮であると考えられたた
め,これをTBDMSに置き換えた。一級アルコールのPMB保護により二級ア
ルコールのTBDMS保護が得られ,したがって,一級ヨウ化物166が誘導さ
れる。これは図49にまとめられている。有機リチウム167は,−78°Cに
おけるリチウム−ヨウ化物交換(Dale,J.A.;et al.J.Org
.Chem.1969,34,2543;Dale,J.A.;Mosher,
H.S.J.Am.Chem.Soc.1973,95,512;Ward,D
.E.;Rhee,C.K.Tettrahedron Lett.1991,
32,7165)により166から生成した。
【0216】C(1)−C(7)フラグメントと三環中間体とのカップリング 合成のこの段階は,169に関連するアルデヒドの不安定性のため,これまで
の合成においては最も不十分なものであった(Overman,L.E.;et
al.J.Am.Chem.Soc.1995,117,2657;Renh
owe,P.A.Ph.D.Thesis,University of Ca
lifornia,Irvine.1995)。現在の一連のアリルにおいては
,化合物168をスウォーン試薬で酸化すると,C(8)において実質的なエピ
マー化が生じた。デスマーチン(Dess−Martin)ペルイオジナン酸化
(図50)ではエピマー化は生じなかった。得られたアルデヒド169を,確立
されたプロトコルにしたがってO−メチル化した(Overman,L.E.;
et al.J.Am.Chem.Soc.1995,117,2657;Re
nhowe,P.A.Ph.D.Thesis,University of
California,Irvine.1995)。しかし,化合物167をア
ルデヒド170に付加し,次に粗エピマー性アルコールを酸化すると,ケトン1
71が低収率で得られた(20−30%)。純粋な化合物170または171を
,市販のまたは不活性化シリカゲルのいずれかに約1時間暴露すると,有意な量
の喪失(約30%)が認められた。この知見は,これらの2工程の低収率を部分
的に説明する。この困難性を克服するために,別の一連の工程順を開発した(図
51)。
【0217】 2.2当量の化合物167をアルデヒド169に付加し,続いて酸化して,ケ
トン172を,最適化していない収率30−40%で得た(消費された化合物1
69に基づいて46−51%)。ケトン172をO−メチル化し,グアニル化し
,脱保護し,環化して,五環アリルエステル8(中間体は精製せず)を,最適化
していない総収率25−30%で得た。この工程順を最適化し,シリカゲルクロ
マトグラフィーの際の物質の喪失を最小化すべきである。
【0218】五環の酸7の合成 Pd(0)/ジメドンを用いる標準的な条件下でアリルエステルを除去するこ
とに成功し,五環の酸7を得た(図51)。
【0219】 以下の実施例は本発明を例示し,当業者が本発明を製造し使用することを助け
るために提供される。実施例は,いかなる意味においても,本発明の範囲を制限
することを意図するものではない。
【0220】実験の一般的詳細: すべての反応は,大気圧のArまたはN2下で実施し,濃縮はBUchiロー
タリーエバポレータを用いて減圧下で行った。テトラヒドロフラン(THF),
Et2OおよびCH2Cl2はArで脱気し,次に無水中性A−2アルミナの4x
36インチのカラム(8x14メッシュ;LaRoche Chemicals
;Ar流下で350℃で3時間活性化)に2回通して,水を除去した。トルエン
は,Arで脱気し,次にQ−5反応物の4x36インチのカラム(Engleh
ard;5%H2/N2流下で250℃で3時間活性化)に1回通してO2を除去
し,次に無水中性A−2アルミナの4x36インチのカラム(8x14メッシュ
;LaRoche Chemicals;Ar流下で350℃で3時間活性化)
に1回通して水を除去した。トリエチルアミン(Et3N),ピリジン,ジイソ
プロピルエチルアミン(i−Pr2NEt),ジイソプロピルアミン,およびア
セトニトリルは,CaH2から大気圧下で蒸留した。有機リチウム試薬の示され
るモル濃度は,メントール/フルオレンで滴定することにより確立した(Pos
ner,G.H.;Lentz,C.M.J.Am.Chem.Soc.197
9,101,934)。装置およびクロマトグラフィー:300MHz 1Hお
よび75MHz 13Cスペクトルは,BrUker QE300FT NMRに
より得た;500MHz 1Hおよび125MHz 13C NMRスペクトルは
,BrUker GN500FT NMRまたはBrUker Ω500FT
NMRにより得た。1H NMR化学シフトは,δ値としてppmで示される。
カップリング定数はHzで示され,見かけの多重度を表す。
【0221】 多重度は以下のように示される:s(一重項);d(二重項);t(三重項)
;m(多重項);appt(見かけのt);dd(二重項の二重項)等。質量ス
ペクトルは,MicroMass Analytical 7070E(CI−
イソブタン)またはMicroMass AutoSpec E(FAB)分光
光度計で測定した。赤外線スペクトルは,Perkin Elmer 1600
FTIR分光光度計を用いて測定した。微量分析は,Atlantic Mic
rolabs,Atlanta,GAにより行った。旋光度は,JASCO D
IP−360デジタル旋光計を用いて測定した。TLCおよびカラムクロマトグ
ラフィーは,約30:1 SiO2:基質を充填したE.Merckシリカゲル
(43−60μm)を用いて行った。
【0222】
【化148】 (R)−アリル−7−(t−ブチルジメチルシロキシ)−3−オキソオクタノエ ート(化合物151) 新たに蒸留したアリルアセトアセテート(5.0mL,37mmol)を,ヘキ
サン洗浄NaH(1.73g,43mmol)および乾燥THF(50mL)の
0°Cの混合物に滴加した。10分後,n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.7
M溶液を14.9mL)を滴加し,得られた赤色溶液を0°Cでさらに10分間
保持した。次に,化合物150(4.53g,14.4mmol)および乾燥T
HF(20mL)を滴加した。0°Cで20分後,反応混合物を飽和水性NH4
Cl(20mL)で急冷した。層を分離し,H2O層をEt2O(2x15mL)
で抽出し,合わせた有機層をブライン(15mL)で洗浄し,乾燥し(MgSO 4 ),濃縮した。残渣をシリカゲル(20:1ヘキサン−EtOAc)で精製し
て,2.84g(60%)の化合物151を無色油状物として得た(1H NM
R分析により,ケト体およびエノール体の9:1混合物):
【化149】
【0223】
【化150】 (4aR,7S)−4−(アリルオキシカルボニル)−1,2,4a,5,6, 7−ヘキサヒドロ−7−(2−ヒドロキシエチル)−3−[(4S)−4−(t −ブチルジメチルシロキシペンチル)]−1−オキソピロロ[1,2−c]ピリ ミジン(153a)および(4aS,7S)−4−(アリルオキシカルボニル) −1,2,4a,5,6,7−ヘキサヒドロ−7−(2−ヒドロキシエチル)− 3−[(4S)−4−(t−ブチルジメチルシロキシペンチル)]−1−オキソ ピロロ[1,2−c]ピリミジン(化合物153b) 粗(S)−156(2.3g,9mmol),151(2.2g,6.7mmo
l)およびトリフルオロエタノール(4mL)の溶液を60°Cで2日間加熱し
た。反応混合物をEt2O(50mL)に注加することにより急冷し,飽和水性
NH4Cl(2x10mL),およびブライン(10mL)で洗浄した。有機層
を乾燥し(MgSO4),濃縮し,シリカゲル(1:1ヘキサン−EtOAc)
で精製して,2.01g(64%)の所望のシス−ビジネリ生成物153aおよ
び0.51g(16%)のトランス−ビジネリ生成物153bを得た。
【0224】化合物153a:
【化151】
【化152】 化合物153b:
【化153】
【0225】
【化154】 化合物(156) 化合物155(1.74g,9mmol)およびMeOH(50mL)の溶液に
,オゾンを−78°Cで,溶液が飽和するまで(青色が現れ,約10分間持続す
る)バブリングした。次に,窒素を溶液にバブリングして,過剰のオゾンを除去
した。10%Pd/C(0.6g)を無色溶液に加え,反応混合物を−78°C
で1気圧のH2中で保持した。30分後,冷浴を除き,酢酸モルホリン(2.0
g,13mmol)を加え,反応混合物を23°Cまで暖めた。4時間後,反応
混合物を乾燥し(MgSO4),濾過し,濾液を濃縮した。得られた残渣をトリ
フルオロエタノール(30mL)で希釈し,濃縮して,黄色油状物を得,これを
さらに精製することなく用いた:MS(CI)m/e計算値C11213324
3.1583,実測値243.1588(M).
【0226】
【化155】 1−(4−メトキシベンジルオキシ)−3−ブチン(化合物158) 確立された方法(Takaku,H. et al.;Tetrahedron
Lett.1983,24,5363;Nakajima,N.;et al
.Tetrahedron Lett.1988,29,4139)にしたがい
,TfOH(1.6mL,18mmol)を,PMBOC(=NH)CCl3
169.3g,0.6mol),3−ブチン−1−オール(67g,0.66m
ol),乾燥Et2O(600mL)の0°Cの溶液に滴加した。30分後,飽
和水性NaHCO3(100mL)を加えることにより反応混合物を急冷し,層
を分離し,水性層をEt2O(50mL)で抽出し,合わせた有機層をブライン
(50mL)で洗浄し,乾燥し(MgSO4),濃縮した。得られた残渣をヘキ
サン(300mL)で希釈し,シリカゲルのプラグを通して濾過し,濃縮し,真
空下で(0.1mmHg)50°Cで12時間撹拌して,158(〜100%)
を得,これをさらに精製することなく用いた
【化156】
【化157】
【0227】
【化158】
【0228】5−(t−ブチルジメチルシロキシ)−2−ペンチナル(化合物159) n−BuLi(2.5M,4.8mL)のヘキサン溶液を,乾燥THF(20m
L)中の化合物157(2.0g,10.9mmol)の−78°Cの溶液に加
えた。10分後,反応混合物を氷浴中に置き,THF(20mL)中の乾燥DM
F(5mL)を加えた。0°Cで30分後,反応混合物を激しく撹拌している5
%H2SO4(20mL)溶液に注加することにより急冷した。1時間後,層を分
離し,H2O層をEt2O(3x15mL)で抽出し,合わせた有機層を飽和水性
NaHCO3(1x15mL)およびブライン(1x15mL)で洗浄し,乾燥
し(MgSO4),濃縮した。残渣をシリカゲル(4:1ヘキサン−EtOAc
)で精製して,0.921g(55%)の化合物159をわずかに黄色の油状物
として得た:
【化159】
【0229】
【化160】
【0230】5−(4−メトキシベンジルオキシ)−2−ペンチナル(化合物160) n−BuLi(2.5M,9.34mLmL)のヘキサン溶液を,乾燥THF(
100mL)中の化合物158(4.04g,21.2mmol)の−78°C
の溶液に加えた。10分後,反応混合物を氷浴中に置き,THF(100mL)
中の乾燥DMF(10mL)を加えた。0°Cで30分後,反応混合物を激しく
撹拌している5%水性H2SO4(100mL)溶液に注加することにより急冷し
た。1時間後,層を分離し,H2O層をEt2O(3x30mL)で抽出し,合わ
せた有機層を飽和水性NaHCO3(1x30mL)およびブライン(1x30
mL)で洗浄し,乾燥し(MgSO4),濃縮した。残渣をシリカゲル(4:1
ヘキサン−EtOAc)で精製して,2.55g(55%)の化合物160をわ
ずかに黄色の油状物として得た:
【化161】
【0231】
【化162】
【0232】(5S)−ヒドロキシ−1−(4−メトキシベンジルオキシ)−3−ヘプチン( 化合物162) Seebachの一般的方法にしたがって,Ti(Oi−Pr)4(0.50m
L,1.68mmol)を,(4R,5R)−2,2−ジメチル−α,α,α’
,α’−テトラ(ナフト−2−イル)−1,3−ジオキソラン−4,5−ジメタ
ノール(1.12g,1.67mmol)および乾燥トルエン(15mL)の2
3°Cの溶液に加えた。3時間後,溶媒を減圧下で(0.1mm)除去した。得
られた残渣を乾燥Et2O(33mL)に溶解し,反応容器を−26°Cに冷却
し,ここにTi(Oi−Pr)4(3.0mL,10mmol),化合物160
(1.83g,8.37mmol),およびEt2Zn(トルエン中1.1M溶
液を9.1mL)を加えた。−26°Cで18時間後,反応混合物を飽和水性N
4Cl(1mL)で急冷し,乾燥し(MgSO4),セライト(登録商標)を通
して濾過し,濃縮した。得られた残渣をシリカゲル(4:1ヘキサン−EtOA
c)で精製して,1.833g(88%)の化合物162を無色油状物として得
た:
【化163】
【0233】 Wardの一般的方法にしたがい(Ward,D.E.;Rhee,C.K.
Tetrahedron Lett.1991,32,7165),化合物16
2(23mg)を塩化(R−α−メトキシ−α−トリフルオロメチル)フェニル
酢酸[(R)−MTPACl]で処理して,対応する(R)−MTPAエステル
を得た。キャピラリーGC分析[150°C−200°C/2.0°Cmin-1 ,tR162−(R)−MTPA=21.13分,tRent−162−(R)−
MTPA=20.69分]は,99.7:0.3の比率の162−(R)−MT
PAおよびent−162−(R)−MTPAを示した。
【0234】
【化164】 (5S)−(t−ブチルジメチルシロキシル)−1−(4−メトキシベンジルオ キシ)−3−ヘプチン TBSCl(1.08g,7.2mmol)を,イミダゾール(0.53g,7
.8mmol),化合物162(1.48g,6mmol)および乾燥DMF(
5mL)の23°Cの溶液に15分間かけて少しずつ加えた。23°Cで2時間
放置した後,溶液を20mLのH2Oに注加し,Et2O(4x20mL)で抽出
した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し,乾燥し(MgSO4
,濃縮した。粗油状物を真空下に(0.1mm)一夜放置して,2.16g(1
00%)の所望の生成物を無色油状物として得,これをさらに精製することなく
用いた:
【化165】
【0235】
【化166】
【0236】(S)−(5)−(t−ブチルジメチルシロキシ)−3−へプチノール (5S)−(t−ブチルジメチルシロキシル)−1−(4−メトキシベンジルオ
キシ)−3−ヘプチン(0.17g,0.46mmol),DDQ(0.16g
,0.68mmol),および20:1CH2Cl2−H2O(3mL)の溶液を
23°Cで2時間保持した。反応混合物をEt2O(25mL)に注加すること
により急冷し,飽和水性NaHCO3(2x5mL)で,次にブライン(5mL
)で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO4),濃縮し,得られた残渣をシリカ
ゲル(4:1ヘキサン−EtOAc)で精製して,88mg(80%)の所望の
生成物を無色油状物として得た:
【化167】
【化168】
【0237】
【化169】
【0238】(3Z,5S)−1−(4−メチルオキシベンジルオキシ)−3−ヘプテン−5 −オール(化合物163) 化合物162(13.8g,55.6mmol),新たに蒸留したキノリン(1
38mL,1.20mmol),リンドラー触媒(Pd/CaCO3,PbOで
減弱化,1.29g)および乾燥3:1ヘキサン−EtOAc(138mL)の
混合物を23°Cで1気圧のH2下で3日間保持した。次に,この混合物をセラ
イトのプラグを通して濾過し,プラグを3:1ヘキサン−EtOAc(400m
L)で洗浄し,溶出液を濃縮して,13.9g(100%)の化合物163を得
,これをさらに精製することなく用いた:
【化170】
【0239】
【化171】
【0240】(3Z,5S)−4−(t−ブチルジメチルシロキシ)−1−(4−メトキシベ ンジルオキシ)−3−ヘプテン(化合物164) TBSCl(0.51g,3.4mmol)を,イミダゾール(0.48g,7
.0mmol),化合物163(0.7g,2.8mmol)および乾燥DMF
(1.4mL)の溶液に,23°Cで15分間かけて少しずつ加えた。23°C
で2時間撹拌した後,溶液を20mLのH2Oに注加し,Et2O(4x20mL
)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し,乾燥し(Mg
SO4),濃縮した。粗油状物を真空下に(0.1mmHg)一夜放置して,1
.02g(100%)の164を無色油状物として得た:
【化172】
【0241】
【化173】
【0242】(S)−(Z)−5−(t−ブチルジメチルシロキシ)−3−ヘプタノール(化 合物165) 化合物164(0.17g,0.47mmol),DDQ(0.16g,0.6
8mmol),および20:1CH2Cl2−H2O(3mL)の溶液を23°C
で2時間保持した。反応混合物をEt2O(25mL)に注加することにより急
冷し,飽和水性NaHCO3(2x5mL)で,次にブライン(5mL)で洗浄
した。有機層を乾燥し(MgSO4),濃縮した。得られた残渣をシリカゲル(
4:1ヘキサン−EtOAc)で精製して,92mg(80%)の所望の生成物
を無色油状物として得た:
【化174】
【化175】
【0243】
【化176】
【0244】(S)−(Z)−1−ヨード−5−(tert−ブチルジメチルシロキシ)−3 −ヘプテン(化合物166) Corey(Singh,S.N.;et al.J.Am.Chem.Soc
.1987,109,6187;Garegg,P.J.;Samuelsso
n,B.J.Chem.Soc.,Perkin Trans.11980,2
866)の一般的方法にしたがって,ヨウ素(2.09g,8.24mmol)
を,化合物165(1.83g,7.49mmol),PPh3(2.03g,
9.0mmol),イミダゾール(0.61g,8.99mmol)およびEt 2 O−MeCN(3:1,40mL)の0°Cの溶液に15分間かけて少しずつ
加え,次に23°Cまで暖めた。1.5時間後,溶液を1:1ヘキサン−EtO
Ac(200mL)で希釈し,次に塩基性アルミナ(活性−IV)を通して濾過
し,濃縮した。得られた混合物をシリカゲルのプラグ(9:1ヘキサン−Et2
O)を通してフラッシュして,2.5g(94%)の所望の生成物を無色油状物
として得,これをさらに精製することなく用いた:
【化177】
【0245】
【化178】
【0246】(S)−(Z)−1−ヨード−5−(トリイソプロピルシロキシ)−3−ヘプテ Corey(Singh,S.N.;et al.J.Am.Chem.Soc
.1987,109,6187;Garegg,P.J.;Samuelsso
n,B.J.Chem.Soc.,Perkin Trans.11980,2
866)の一般的方法にしたがって,ヨウ素(0.80g,3.5mmol)を
,(S)−(Z)−5−(トリイソプロピルシロキシ)−3−ヘプタノール(0
.900g,3.14mmol),PPh3(0.78g,3.5mmol),
イミダゾール(0.24g,3.5mmol)およびEt2O−MeCN(3:
1,5mL)の0°Cの溶液に15分間かけて少しずつ加え,次に23°Cまで
暖めた。1.5時間後,溶液を1:1ヘキサン−EtOAc(50mL)で希釈
し,次に塩基性アルミナ(活性−IV)を通して濾過し,濃縮した。得られた混
合物をシリカゲルのプラグ(9:1ヘキサン−Et2O)でフラッシュして,1
.29g(97%)の所望の生成物を無色油状物として得,これをさらに精製す
ることなく用いた:
【化179】
【0247】
【化180】
【0248】(4aR,7S)−4−(アリルオキシカルボニル)−1,2,4a,5,6, 7−ヘキサヒドロ−3−[(4S)−4−(t−ブチルジメチルシロキシペンチ ル)]−1−オキソ−7−(2−オキシエチル)ピロロ[1,2−c]ピリミジ デスマーチン(Dess−Martin)ペルイオジナン(Dess,D.B.
;Martin,J.C.J.Org.Chem.,1983,484155)
(0.50g,1.2mmol)を,化合物153a(0.46g,1mmol
)およびCH2Cl2(10mL)の23°Cの溶液に加えた。1時間後,反応混
合物をEt2O(50mL)に注加し,飽和水性Na223(2x10mL),
1NNaOH(2x10mL),およびブライン(10mL)で洗浄した。有機
層を乾燥し(MgSO4),濃縮し,シリカゲル(1:1ヘキサン−EtOAc
)で精製して,0.404g(81%)の所望の生成物を無色油状物として得た
【化181】
【0249】
【化182】
【0250】(3R,4R,4aR,6’R,7S)−4−(アリルオキシカルボニル)−1 ,2,4a,5,6,7−ヘキサヒドロ−7−(2−ヒドロキシエチル)−1− オキソピロロ[1,2−c]ピリミジン−3−スピロ−6’−(2’−メチル) −3’,4’,5’,6’−テトラヒドロ−2H−ピラン(化合物168) 化合物153a(0.486g,1.04mmol),PPTS(0.262g
,1.04mmol),およびMeOH(20mL)の溶液を,50°Cで5時
間加熱した。得られた溶液を濃縮し,シリカゲルのプラグ(20:1EtOAc
−MeOH)を通してフラッシュし,濃縮した。得られた残渣をCHCl3およ
びp−TsOH(45mg,0.24mmol)の溶液に溶解し,23°Cで1
時間保持し,次にEt2O(60mL)に注加した。溶液を飽和水性NaHCO3 (2x10mL),ブライン(10mL)で洗浄し,乾燥し(MgSO4),濃
縮して,0.345gの168(94%)をわずかに黄色の油状物として得,こ
れをさらに精製することなく用いた:
【化183】
【0251】
【化184】
【0252】(3R,4R,4aR,6’R,7S)−4−(アリルオキシカルボニル)−1 ,2,4a,5,6,7−ヘキサヒドロ−1−オキソ−7−(2−オキシエチル )−ピロロ[1,2−c]ピリミジン−3−スピロ−6’−(2’−メチル)− 3’,4’,5’,6’−テトラヒドロ−2H−ピラン(化合物169) デスマーチンペリオジナン(Dess,D.b.;Martin,J.C.J.
Org.Chem.1983,48,4155)(0.72g,1.7mmol
)を,化合物168(0.500g,1.42mmol)およびCH2Cl2(3
5mL)の23°Cの溶液に加えた。1時間後,反応混合物をEt2O(100
mL)に注加し,飽和水性Na223(2x10mL),1NNaOH(2x
20mL),ブライン(20mL)で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO4
,濃縮し,シリカゲル(EtOAc;20:1EtOAc−MeOH)で精製し
て,0.404g(81%)の化合物169を無色油状物として得た:
【化185】
【0253】
【化186】
【0254】(3R,4R,4aR,6’R,7S)−4−(アリルオキシカルボニル)−3 ,4,4a,5,6,7−ヘキサヒドロ−1−メトキシ−7−(2−オキシエチ ル)−ピロロ[1,2−c]ピリミジン−3−スピロ−6’−(2’−メチル) −3’,4’,5’,6’−テトラヒドロ−2H−ピラン(化合物170) 化合物169(0.285g,0.813mmol),MeOTf(0.368
mL,3.26mmol),2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルピリジン(0
.25g,1.22mmol),および乾燥CH2Cl2(5mL)の溶液を23
°Cで5時間保持した。次に溶液をEt2O(40mL)に注加し,1NNaO
H(2x10mL)およびブライン(10mL)で洗浄し,乾燥し(Na2SO4 ),濾過し,濃縮した。得られた残渣を10%,pH7,リン酸緩衝化シリカゲ
ル(4:1ヘキサン−EtOAc;3:1ヘキサン−EtOAc)で精製して,
200mg(68%)の化合物170を無色油状物として得た:1 H
【化187】
【0255】
【化188】
【0256】(3R,4R,4aR,6’R,7S)−4−(アリルオキシカルボニル)−1 ,2,4a,5,6,7−ヘキサヒドロ−1−オキソ−7−[(7S)−(Z) −2−オキソ−7−(t−ブチルジメチルシロキシ)−5−ノネニル]−ピロロ [1,2−c]ピリミジン−3−スピロ−6’−(2’−メチル)−3’,4’ ,5’,6’−テトラヒドロ−2H−ピラン(化合物172) t−BuLi(1.83mL,ヘキサン中1.44M)を,化合物166(43
9mg,1.24mmol),Et2O(5mL),およびヘキサン(7.5m
L)の−78°Cの溶液に加えた。20分後,溶液を,化合物169(0.20
g,0.57mmol)およびTHF(10mL)の−78°Cの溶液にカニュ
ーレにより加えた。5分後,反応混合物を飽和水性NH4Cl(10ml)で急
冷した。層を分離し,水性層をEt2O(10mL)で抽出した。合わせた有機
層をブライン(5mL)で洗浄し,乾燥し(MgSO4),濃縮して,わずかに
黄色の油状物を得,これをさらに精製することなく用いた。
【0257】 粗油状物,デスマーチンペルイオジナン(48mg,0.11mmol),お
よびCH2Cl2(10mL)を23°Cで45分間保持した。反応混合物を飽和
水性Na223(10mL),飽和水性NaHCO3(10mL)およびEt2
O(30mL)で急冷した。層を分離し,有機層をブライン(5mL)で洗浄し
,乾燥し(MgSO4),濃縮してわずかに黄色の油状物を得,これをシリカゲ
ル(1:1ヘキサン−EtOAc)で精製して,99mg(30%)の所望の生
成物を無色油状物として得た:
【化189】
【0258】
【化190】
【0259】アリルエステル化合物8 化合物172(110mg,0.19mmol),MeOTf(0.37μL,
3.3mmol),2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルピリジン(10mg,
0.05mmol),および乾燥CH2Cl2(8mL)の溶液を23°Cで12
時間維持した。次に,溶液をEt2O(30mL)に注加し,1NNaOH(2
x5mL)およびブライン(5mL)で洗浄し,乾燥し(Na2SO4),濾過し
,濃縮した。得られた残渣はさらに精製することなく用いた。
【0260】 無水NH3を,再密封可能な管の中で,粗残渣およびMeOH(25mL)の
0°Cの溶液にバブリングした。15分後,管を密封し,50°Cに加熱した。
2日後,溶液を濃縮し,粗残渣をさらに精製することなく用いた。
【0261】 粗残渣,TsOH(95mg,0.50mmol),およびCHCl3(10
mL)を23°Cに維持した。8時間後,反応混合物を飽和水性NaHCO3
2mL)で急冷した。層を分離し,水性層をEt2O(2x5mL)で抽出した
。合わせた有機層を乾燥し(MgSO4),濃縮して,わずかに黄色の油状物を
得,これをシリカゲル(10:1:0.1CHCl3:i−PrOH:HCO2
)で精製して,23mg(25%)の所望の生成物をわずかに黄色の油状物とし
て得た。
【0262】
【化191】 五環の酸化合物7 化合物8(23mg,0.05mmol),Pd(PPh3)(4mg,3μm
ol),ジメドン(35mg,0.25mmol),およびTHF(1mL)の
溶液を23°Cに保持した。10分後,反応混合物を濃縮し,シリカゲル(10
:1:0.1CHCl3:i−PrOH:HCO2H−4:1CHCl3:HCO2 H)で精製して,3mg(13%)の所望の生成物をわずかに黄色の油状物とし
て得た:HRMS(FAB)m/z404.2549,計算値C223443
実測値404.2541。
【0263】実施例VII 五環の酸の改良された合成 この実施例は,五環の酸化合物を合成する改良された方法を提供する。化学合
成方法は,実施例VIについて上述したとおりである。グアニジニウムアルカロ
イドの集中的合成戦略は図46に示される。
【0264】 図52は,五環の酸化合物を製造する新規な方法の合成戦略および製造される
化合物,例えば化合物173を出発物質として用いたときの化合物176および
177を示す。化合物61は,図53,54および55に示される尿素化合物で
あり,以下のようにして得られる。3−ブチノール(化合物178)をp−メト
キシベンジル(PMB)エーテル179に変換する(図53)。化合物179の
アルキンをn−ブチルリチウムで−40°Cで脱保護し,得られたアセチリドを
無水DMFを処理し,中間体−アミノアルコキシドを水性リン酸緩衝液中に加え
て急冷した後,イナール180を90%の収率で得た(Journet et
al.,Tetrahedron Lett.,1988,39:6427)。
WeberおよびSeebachの方法(Singh et al.,J.Am
.Chem.Soc.,1987,109:6187)により,イナール180
を(−)−TADDOL(20mol%)およびTi(Oi−Pr)4の存在下
でEt2Znと縮合させることにより,C3立体中心を導入して,(S)−18
1を94%の収率および>98%eeで得た。この非対称的トランスフォーメー
ションは,45gのスケールで確実に行われた。プロパルギル酸アルコール18
1をトリイソプロピルシリル(TIPS)エーテルとして保護し,アルキンをリ
ンドラー触媒で部分的に水素化して,シスアルケン182を得た。PMB保護基
をDDZで酸化的に除去し,得られたアルコールをヨウ化物183に変換した(
Kitamura et al.,Org.Synth.,1992,71:1
)。181からの総収率は89%であった。
【0265】 エナンチオ純粋なメチルR−3−ヒドロキシ−7−メチルオクト−6−エノエ
ート(Kitamura et al.,Org.Synth.,1992,7
1:1)を,Weinreb(Garigipati et al.,J.Am
.Chem.Soc.,1985,107:7790)の方法にしたがってN,
O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸と反応させ,次に二級アルコールをトリエ
チルシリル(TES)エーテルとして保護することにより,88%の収率でアミ
ド185に変換した(図54)。ヨウ化物183を,対応するリチウム試薬に変
換し,185とカップリングさせて,ジエノン186を60−70%の収率で生
成した。β−アミノ官能基を導入するために用いたミツノブ条件下で生ずるβ−
ヒドロキシ脱離を防止するために,186のC8カルボニルをケタールとしてマ
スクすることが必要であった。しかし,β−ヒドロキシ基を保護したときケター
ル化は進行しなかったため,TES基を切断し,中間体β−ヒドロキシケトンの
β−ヒドロキシ脱離を促進せず,ケタール化を促進する最適化した反応条件を見
いだした。最適化したケタール化条件は,186をAmberlyst−15の
存在下でオルトエステル187(Roush and Gillis,J.Or
g.Chem.,1980,45:4283−4287;Baganz and
Domascke,Chem.Ber.,1958,91:650−653)
および1,3−プロパンジオールで処理して,ケタール188を80%の収率で
得ることを含む。二級アルコールのアジドによるミツノブ置換,続くアミンへの
還元により,化合物189を化合物188から77%の収率で得た。
【0266】 アミン189をTMSNCOと縮合させて,尿素190を89%の収率で得た
(図55)。アミン189を用いて,図52に示されるように五環化合物177
を製造した。
【0267】 これらの結果は,五環化合物7および177の両方の製造を可能とする方法を
示す。両方のタイプの化合物を入手することができるため,五環化合物のエステ
ルのエピマー化の前および後のいずれにおいても,側鎖を結合させることが可能
である。
【0268】実施例VIII この実施例は,本発明の化合物:プチロミカリンA,イソクラムベシジン80
0三塩酸,塩化トリアセチルクラムベシジン800,クラムベシジン657塩酸
,クラムベシジン800三塩酸,塩化トリアセチルイソクラムベシジン800,
および13−エピプチロミカリンAについて,60種類の腫瘍細胞のインビトロ
スクリーニングを行い,抗腫瘍活性を測定することを記載する。
【0269】 スクリーニング方法は,Monks et al.,J.Nat’l.Can
cer Inst.83:757−766(1991);およびBoyd,"C
ancer Drug Discovery and Development
,Vol.2;Drug Development;Preclinical
Screening,Clinical Trial and Approva
l,Humana Press,1997,pp23−43に記載されるNat
ional Cancer Institute(NCI)のDTPヒト腫瘍細
胞株スクリーニングプロトコルを用いた。用いた細胞株の起源および処理は,A
lley et al.,Cancer Res.,1988,48:589−
601;Shoemaker et al.,Prog.Clin.Biol.
Res.,1988,276:265−286;およびStinson et
al.,Proc.Am.Assoc.Cancer Res.,1989,3
0:613に記載されるとおりである。
【0270】 簡単には,スクリーニングプロトコルにおいては,細胞懸濁液を細胞の種類お
よび予測される標的細胞密度に応じて希釈し,96ウエルマイクロタイタープレ
ート中に入れた(ウエルあたり約5000−40,000個の細胞)。接種物を
37℃で24時間プレインキュベートして安定化させた。目的とする試験濃度の
2倍希釈を時間0において100μlのアリコートでマイクロタイタープレート
のウエルに加えた。試験化合物は,5種類の10倍希釈で評価した。通常の試験
濃度は10E−4Mの最高ウエル濃度であったが,標準試薬については用いた最
高ウエル濃度は用いた試薬により異なった。5%CO2雰囲気下および100%
湿度で48時間インキュベートした。細胞はRubenstein et al
.,JNCI,1990,82:1113−1118およびSkehan et
al.,JNCI,1990,82:1107−1112に記載されるスルホ
ローダミンBアッセイによりアッセイした。プレートリーダーを用いて光学密度
を読み,マイクロコンピュータでデータ処理して,特定の濃度パラメータを求め
た。
【0271】 NCIは,IC50値(50%の成長阻害を引き起こす濃度)を“GI50”
値と改名して,時間0における細胞計数についての補正を強調した。すなわち,
GI50は,100X(T−T0)/(C−TO)=50となる試験薬剤の濃度
である(Boyd et al.,Cytotoxic Anticancer
Drugs:Models and Concepts for Drug
Discovery and Development,Vleriote e
t al.,Eds.,Kluwer Academic,Hingham,M
A,1992,pp11−34;およびMonks et al.,JNCI,
1991,83,757−766)。試験化合物に48時間暴露した後の試験ウ
エルの光学密度が“T”であり,時間0における光学密度がTOであり,対照光
学密度が“C”である。“50”は,GI50PRCNTと称される,T/Cと
同様のパラメーターであり,+100から−100の値をとりうる。GI50は
また,試験化合物の成長阻害力の尺度である。TGIは100X(T−T0)/
(C−T0)=0となる試験薬剤の濃度である。すなわち,TGIは細胞成長抑
制効果を表す。細胞毒性効果を表すLC50は,100X(T−T0)/T0=
−50となる試験化合物の濃度である。LC50の計算には対照光学密度を用い
ない。
【0272】 これらの濃度パラメータは内挿値である。参照値(例えばG150について5
0)より高いまたは低いG150PRCNT値を与える濃度を用いて,濃度軸上
の内挿を作成する。現在,データベース中の約45%のG150値の記録値は“
近似値”である。記録値の42%においては,所定の細胞株についてのG150
PRCNTは50以下にはならない。平均グラフの目的のためには,そのような
場合においてG150について仮定される値は,試験した最高濃度である(HI
CONC)。G150PRCNTが50またはそれより高くならないためにG1
50を計算することができない場合(全体の3%)には,同様の近似を行う。こ
の場合,試験した最低濃度をG150用に用いる。TGIおよびLC50につい
ても対応する近似を用いる。
【0273】 腫瘍細胞スクリーニングの結果は図56−62の平均グラフに示される。
【0274】 平均グラフは,種々のヒト腫瘍細胞株に対する試験化合物の影響の差異を強調
するためにNCIにより開発されたインビトロ腫瘍細胞スクリーニングの結果を
示す(Boyd et al.,Cancer:Principles and
Practice of Oncology,DeVita et al.,
Eds.,Lippincott,Philadelphia,PA,1989
,Vol.3,pp.1−12;Paull et al.,JNCI,198
9,81:1088−1092;およびPaull et al.,Proc.
Am.Assoc.Cancer Res.,1988,29:488)。平均
グラフの棒グラフは,1組のG150,TGIまたはLC50値から得られるポ
ジティブおよびネガティブの値をプロットすることにより作成されるパターンを
示す。ポジティブおよびネガティブの値を,パネル中のすべての細胞株の試験化
合物に対する平均応答を示す縦線に対してプロットする。ポジティブの値は,縦
線の右に突き出し,これは試験薬剤に対する平均を越える細胞の感受性を表す。
ネガティブの値は左に突き出し,これは試験化合物に対する平均値より低い細胞
の感受性を表す。ポジティブおよびネガティブの値(“デルタ”と称される)は
,G150データ(またはTGIまたはLC40データ)から3段階の計算によ
り得られる。試験化合物に対して試験した各細胞株についてのG150値を,そ
のlog10G150値に変換する。log10G150値を平均する。各log 10 G150値を平均から差し引いて,デルタを求める。すなわち,右に3ユニッ
ト突き出ている棒は,その細胞株についてのG150(またはTGIまたはLC
50)が,実験に用いられたすべての細胞株について要求される平均濃度より1
000倍低い濃度で生ずることを表す。すなわち,その細胞株は通常はその化合
物に対して感受性である。特定の化合物および細胞株について,内挿により所望
の応答パラメータを決定することができない場合には,棒の長さは試験した最高
濃度(応答パラメータの表示されるlog10の前に">"が付けられる)または試
験した最低濃度(表示されるlog10の前に"<"が付けられる)のいずれかによ
り示される。いずれかの限界(>または<)における値はまた,平均グラフに用
いられた平均において計算される。したがって,平均グラフにおいて用いられる
平均は,例えばG150の実際の平均ではないかもしれない。この理由のため,
この値はMgMID(平均グラフ中点)と称される。
【0275】 これらの結果は,ある種の癌細胞株がプチロミカリンA,塩化トリアセチルク
ラムベシジン800,クラムベシジン657塩酸,クラムベシジン800三塩酸
,および13−エピプチロミカリンAに感受性であることを示す。イソクラムベ
シジン800三塩酸および塩化トリアセチルイソクラムベシジン800は,試験
した細胞株に対してより低い効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は,海洋性生物から得られる五環海洋性グアニジンアルカロ
イドを示す。
【図2】 図2は,プチロミカリンA/クラムベシジンコアの分子構造モデ
ルを示す。
【図3】 図3は,本発明の方法により製造される,トランス立体化学を有
するヘキサヒドロピロロピリミジン(化合物B)を示す。
【図4】 図4は,実施例Iに記載される,本発明の方法を用いるテザー付
きウレイドアルデヒドのビジネリ縮合を示す。
【図5】 図5は,実施例Iに記載される,化合物23−24を製造する合
成スキームである。
【図6】 図6は,実施例Iに記載される,化合物25−28を製造する合
成スキームである。
【図7】 図7は,ノベナゲル条件下(Y=OHまたはNR2)でのテザー
付きビジネリ縮合の2つの仮説を示す。
【図8】 図8は,実施例IIに記載される,化合物37−43の合成を示
す。
【図9】 図9は,実施例IIに記載される,プチロミカリンA(化合物4
6および47)の合成の反応を示す。
【図10】 図10は,実施例IIに記載される,化合物49−53の合成
を示す。
【図11】 図11は,実施例IIに記載される,化合物54−56の合成
を示す。
【図12】 図12は,実施例IIに記載される,化合物57および59か
らの化合物58および54の合成を示す。
【図13】 図13は,実施例IIに記載される,化合物61−68および
プチロミカリンAの合成を示す。
【図14】 図14は,実施例IIに記載される,オキセペン環の形成にお
ける,軸結合付加について予測される優先性を示すモデルである。
【図15】 図15は,実施例IIIに記載される,クラムベシジン800
(化合物2)および化合物71−75の合成を示す。
【図16】 図16は,実施例IIIに記載される,化合物76−80の合
成を示す。
【図17】 図17は,実施例IIIに記載される,化合物81−84の合
成を示す。
【図18】 図18は,実施例IIIに記載される,化合物85−88の合
成を示す。
【図19】 図19は,実施例IIIに記載される,化合物89−93,お
よび化合物2(クラムベシジン800)の合成を示す。
【図20】 図20は,実施例IVに記載される,13,14,15−イソ
クラムベシジン800コアおよびプチロミカリンA/クラムベシジンコアの分子
構造モデルである。
【図21】 図21は,実施例IVに記載される,イソクラムベシジンコア
の逆合成分析である。
【図22】 図22は,実施例IVに記載される,化合物99−103の合
成を示す。
【図23】 図23は,実施例IVに記載される,化合物105a−106
の合成を示す。
【図24】 図24は,実施例IVに記載される,(−)−プチロミカリン
A合成における五環中間体を示す。
【図25】 図25は,実施例IVに記載される,化合物105aおよび1
05b−108aおよび108bの合成を示す。
【図26】 図26は,実施例IVに記載される,イソクラムベシジン80
0(化合物2)の合成を示す。
【図27】 図27は,実施例IVに記載される,化合物114−116の
製造を示す。
【図28】 図28は,実施例IVに記載される,化合物117の合成を示
す。
【図29】 図29は,実施例IVに記載される,化合物10および117
のモシャ誘導体のデータを示す。
【図30】 図30は,テザー付きグアニルアルデヒドとβ−ケトエステル
とのビジネリ縮合により,ピロリジン環に関してトランスの関係にある1−イミ
ノヘキサヒドロピロロ[1,2−c]ピリミジン中間体を得ることを示すスキー
ムであり,イソクラムベシジンコアの構築の戦略を提供する。
【図31】 図31は,実施例Vに記載される,4つの五環グアニジンユニ
ットのメチルエステル類似体の3次元モデルである。重い原子のみを示すモデル
は,線画と同一の方向である。水素原子をも示すモデルは,グアニジンユニット
が後ろに突き出た方向である。
【図32】 図32は,グアニルアルデヒド(またはアミナール)とβ−ケ
トエステルとのビジネリ縮合により,ピロリジン環に関してトランスの関係にあ
る1−イミノヘキサヒドロピロロ[1,2−c]ピリミジン中間体を得ることを
示すスキームであり,イソクラムベシジンコアを構築する戦略を提供する。
【図33】 図33は,実施例Vに記載される,イソクラムベシジン800
(化合物10)の五環コアの逆合成を示す。
【図34】 図34は,実施例Vに記載される,化合物134の合成を示す
【図35】 図35は,実施例Vに記載される,五環化合物135の形成を
示す。
【図36】 図36は,実施例Vに記載される,p−トルエンスルホン酸
ピリジニウムを用いる五環化合物135の形成を示す。
【図37】 図37は,実施例Vに記載される,HClを用いる五環化合物
135の形成を示す。
【図38】 図38は,ヒドロピラン環の2つのイス型コンフォメーション
を示す,139のメチルエステル類似体のモデルを示す。コンフォメーションA
においては,メチル基は軸結合であり,コンフォメーションBにおいては,赤道
結合である。
【図39】 図39は,実施例Vに記載される,DClを用いる五環化合物
135bの形成を示す。
【図40】 図40は,実施例Vに記載される,化合物141−143の形
成を示す。
【図41】 図41は,実施例Vに記載される,化合物138からの化合物
141−143の形成を示す。
【図42】 図42は,実施例Vに記載される,化合物145−146の形
成を示す。
【図43】 図43は,実施例Vに記載される,化合物141−147の形
成を示す。
【図44】 図44は,実施例Vに記載される,化合物10および147の
モシャ誘導体についてのF−19NMRデータを示す。
【図45】 図45は,実施例Vに記載される,五環グアニジン異性体の相
対的エネルギーを示す。
【図46】 図46は,改変されたエナンチオ選択的全合成法の概略図であ
る。
【図47】 図47は,テザー付きビジネリ縮合の概略図である。
【図48】 図48は,化合物152の改良された合成法である。
【図49】 図49は,実施例VIに記載される,エナンチオ純粋なヨウ素
化合物166の製造の概略図である。
【図50】 図50は,実施例VIに記載される,C(1)−C(7)フラ
グメントと三環中間体とのカップリングの概略図である。
【図51】 図51は,実施例VIに記載される,五環の酸の製造の概略図
である。
【図52】 図52は,実施例VIIに記載される,五環の酸を製造する改
良法の概略図である。
【図53】 図53は,実施例VIIに記載される,化合物180−183
の合成を示す図である。
【図54】 図54は,実施例VIIに記載される,化合物185−189
の合成を示す。
【図55】 図55は,実施例VIIに記載される,化合物194の合成を
示す。
【図56】 図56は,実施例VIIIに記載される,プチロミカリンAの
平均グラフ応答である。
【図57】 図57は,実施例VIIIに記載される,イソクラムベシジン
800三塩酸の平均グラフ応答である。
【図58】 図58は,実施例VIIIに記載される,塩化トリアセチルク
ラムベシジン800の平均グラフ応答である。
【図59】 図59は,実施例VIIIに記載される,クラムベシジン65
7塩酸の平均グラフ応答である。
【図60】 図60は,実施例VIIIに記載される,クラムベシジン80
0三塩酸の平均グラフ応答である。
【図61】 図61は,実施例VIIIに記載される,塩化トリアセチルイ
ソクラムベシジン800の平均グラフ応答である。
【図62】 図62は,実施例VIIIに記載される,13−エピプチロミ
カリンAの平均グラフ応答である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07M 7:00 C07M 7:00 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES ,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU, ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,K R,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV ,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO, NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,S I,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA ,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 スタッペンベック,フランク アメリカ合衆国カリフォルニア州94122 サンフランシスコ,カークハム ストリー ト 4350 (72)発明者 マクドナルド,アンドリュー・アイ アメリカ合衆国カリフォルニア州92612 アーバイン,ビソン アベニュー 4100 Fターム(参考) 4C050 AA04 BB04 CC08 DD02 EE03 FF03 GG01 HH01 4C086 AA01 AA02 AA03 AA04 CB22 GA16 GA17 MA01 MA04 NA01 NA14 ZB26 ZB33 ZB35

Claims (46)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式: 【化1】 [式中, Rは,H,カルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−アルコキシ
    カルボン酸エステルであり,および Xは,薬学的に許容しうるカウンターイオンである] の化合物。
  2. 【請求項2】 式: 【化2】 [式中, Rは,H,カルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−アルコキシ
    カルボン酸エステルであり,および Xは薬学的に許容しうるカウンターイオンである] の化合物。
  3. 【請求項3】 式: 【化3】 [式中, Rは,H,カルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−アルコキシ
    カルボン酸エステルであり,および Xは,薬学的に許容しうるカウンターイオンである] の化合物。
  4. 【請求項4】 式: 【化4】 [式中, Rは,H,カルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−アルコキシ
    カルボン酸エステルであり,および Xは,薬学的に許容しうるカウンターイオンである] の化合物。
  5. 【請求項5】 式: 【化5】 [式中, Rは,H,カルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−アルコキシ
    カルボン酸エステルであり,および Xは,薬学的に許容しうるカウンターイオンである] の化合物。
  6. 【請求項6】 式: 【化6】 の化合物。
  7. 【請求項7】 式: 【化7】 の化合物。
  8. 【請求項8】 式: 【化8】 の化合物。
  9. 【請求項9】 式: 【化9】 の化合物。
  10. 【請求項10】 式: 【化10】 の化合物。
  11. 【請求項11】 式: 【化11】 [式中, Rは,H,カルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−アルコキシ
    カルボン酸エステルであり,および Xは,薬学的に許容しうるカウンターイオンである] の五環化合物を合成する方法であって, 式: 【化12】 [式中, Gは,カルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−アルコキシカル
    ボン酸エステルであり,および Yは,アルコール保護基である] の化合物を,式: 【化13】 [式中, X2は,Oまたはケトン保護基であり, Zは,アルケンまたはカルボニル保護基であり, Pは,アルコール保護基であり,および Qは,アミノカルボニル基である] の化合物と反応させて,式: 【化14】 [式中, X2は,Oまたはケトン保護基であり, Pは,アルコール保護基であり,および Rは,カルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−アルコキシカル
    ボン酸エステルである] の化合物を製造し,次にこの化合物を,脱保護,アンモニアの導入,および環化
    により五環化合物に変換することを含む方法。
  12. 【請求項12】 Rがカルボン酸保護基であるとき,該方法が,請求項11
    記載の五環化合物を脱保護する工程をさらに含む,請求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 式: 【化15】 [式中, Rは,H,カルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−アルコキシ
    カルボン酸エステルであり,および Xは,薬学的に許容しうるカウンターイオンである] の五環化合物を合成する方法であって,式: 【化16】 の化合物の炭素−14において立体中心をエピマー化することを含む方法。
  14. 【請求項14】 Rがカルボン酸保護基であるとき,該方法が,請求項13
    記載の五環化合物を脱保護する工程をさらに含む,請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 式: 【化17】 [式中, Rは,H,カルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−アルコキシ
    カルボン酸エステルであり,および Xは,薬学的に許容しうるカウンターイオンである] の五環化合物BおよびCを合成する方法であって,式: 【化18】 [式中, Gは,カルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−アルコキシカル
    ボン酸エステルであり,および Yは,アルコール保護基である] の化合物を,式: 【化19】 [式中, X2は,Oまたはケトン保護基であり, Zは,アルケンまたはカルボニル保護基であり, Pは,アルコール保護基であり,および Qは,アミジニル基である] の化合物と反応させて,式: 【化20】 [式中, X2は,Oまたはケトン保護基であり, Pは,アルコール保護基であり,および Rは,カルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−アルコキシカル
    ボン酸エステルである] の化合物を製造し,次にこれを脱保護および環化により五環化合物に変換するこ
    とを含む方法。
  16. 【請求項16】 Rがカルボン酸保護基であるとき,該方法が,請求項15
    記載の五環化合物Bを脱保護する工程をさらに含む,請求項15記載の方法。
  17. 【請求項17】 Rがカルボン酸保護基であるとき,該方法が,請求項15
    記載の五環化合物Cを脱保護する工程を含む,請求項15記載の方法。
  18. 【請求項18】 式: 【化21】 [式中, Rは,H,カルボン酸保護基,ω−アルコキシカルボン酸またはω−アルコキシ
    カルボン酸エステルであり,および Xは,薬学的に許容しうるカウンターイオンである] の五環化合物を合成する方法であって,式: 【化22】 の化合物の炭素−14および炭素−15において立体中心をエピマー化すること
    を含む方法。
  19. 【請求項19】 Rがカルボン酸保護基であるとき,該方法が,請求項18
    記載の五環化合物を脱保護する工程をさらに含む,請求項18記載の方法。
  20. 【請求項20】 Rがアリルであり,およびXがCl-である,請求項1,
    2,3,4,または5記載の化合物。
  21. 【請求項21】 RがHであり,XがCl-である,請求項1,2,3,4
    ,または5記載の化合物。
  22. 【請求項22】 Rが(CH215CO2Gであり,ここで,Gは,H,カル
    ボン酸塩のカウンターイオン,またはカルボン酸保護基であり,およびXは,C
    -である,請求項1,2,3,4,または5記載の化合物。
  23. 【請求項23】 Rが(CH215CO2Hであり,XがCl-である,請求
    項1記載の化合物。
  24. 【請求項24】 Rが(CH215CO2HでありXがCl-である,請求項
    2記載の化合物。
  25. 【請求項25】 Rが(CH215CO2Hであり,XがCl-である,請求
    項3記載の化合物。
  26. 【請求項26】 Rが(CH215CO2Hであり,XがCl-である,請求
    項4記載の化合物。
  27. 【請求項27】 Rが(CH215CO2Hであり,XがCl-である,請求
    項5記載の化合物。
  28. 【請求項28】 式: 【化23】 [式中, R1は,アルキル,アリールまたは置換アルキル基であり, R2は,O-,OH,OG1,スペルミジン成分または置換スペルミジン成分であ
    り,ここで,G1は,カルボン酸保護基であり,および Xは,薬学的に許容しうるカウンターイオンである] の化合物。
  29. 【請求項29】 式: 【化24】 [式中, R1は,アルキル,アリールまたは置換アルキル基であり, R2は,O-,OH,OG1,スペルミジン成分または置換スペルミジン成分であ
    り,ここで,G1はカルボン酸保護基であり,および Xは,薬学的に許容しうるカウンターイオンである] の化合物。
  30. 【請求項30】 式: 【化25】 [式中, R1は,アルキル,アリールまたは置換アルキル基であり, R2は,O-,OH,OG1,スペルミジン成分または置換スペルミジン成分であ
    り,ここで,G1は,カルボン酸保護基であり,および Xは,薬学的に許容しうるカウンターイオンである] の化合物。
  31. 【請求項31】 式: 【化26】 [式中, R1は,アルキル,アリールまたは置換アルキル基であり, R2は,O-,OH,OG1,スペルミジン成分または置換スペルミジン成分であ
    り,ここで,G1は,カルボン酸保護基であり,および Xは,薬学的に許容しうるカウンターイオンである] の化合物。
  32. 【請求項32】 式: 【化27】 [式中, R1は,アルキル,アリールまたは置換アルキル基であり, R2は,O-,OH,OG1,スペルミジン成分または置換スペルミジン成分であ
    り,ここで,G1は,カルボン酸保護基であり,および Xは,薬学的に許容しうるカウンターイオンである] の化合物。
  33. 【請求項33】 Rがω−アルコキシカルボン酸であるとき,該方法が,式
    : 【化28】 [式中,R1は,アルキル,アリールまたは置換アルキル基である] の五環化合物を,保護スペルミジンまたは保護置換スペルミジンと反応させ,そ
    して次に脱保護して,式: 【化29】 [式中, R1は,アルキル,アリールまたは置換アルキル基であり, R2は,スペルミジン成分または置換スペルミジン成分であり,および Xは,薬学的に許容しうるカウンターイオンである] の化合物を製造する工程をさらに含む,請求項11記載の方法。
  34. 【請求項34】 Rがω−アルコキシカルボン酸であるとき,該方法が,式
    : 【化30】 の五環化合物を,保護スペルミジンまたは保護置換スペルミジンと反応させ,そ
    して次に脱保護して,式: 【化31】 [式中, R1は,アルキル,アリールまたは置換アルキル基であり, R2は,スペルミジン成分または置換スペルミジン成分であり,および Xは,薬学的に許容しうるカウンターイオンである] の化合物を製造する工程をさらに含む,請求項13記載の方法。
  35. 【請求項35】 Rがω−アルコキシカルボン酸であるとき,該方法が,式
    : 【化32】 [式中,R1は,アルキル,アリールまたは置換アルキル基である] の五環化合物を,保護スペルミジンまたは保護置換スペルミジンと反応させ,そ
    して次に脱保護して,式: 【化33】 [式中, R1は,アルキル,アリールまたは置換アルキル基であり, R2は,スペルミジン成分または置換スペルミジン成分であり,および Xは薬学的に許容しうるカウンターイオンである] の化合物を製造する工程をさらに含む,請求項15記載の方法。
  36. 【請求項36】 Rがω−アルコキシカルボン酸であるとき,該方法が,式
    : 【化34】 [式中,R1は,アルキル,アリールまたは置換アルキル基である] の五環化合物を,保護スペルミジンまたは保護置換スペルミジンと反応させ,そ
    して次に脱保護して,式: 【化35】 [式中, R1は,アルキル,アリールまたは置換アルキル基であり, R2は,スペルミジン成分または置換スペルミジン成分であり,および Xは,薬学的に許容しうるカウンターイオンである] の化合物を製造する工程をさらに含む,請求項15記載の方法。
  37. 【請求項37】 Rがω−アルコキシカルボン酸であるとき,該方法が,式
    : 【化36】 [式中,R1は,アルキル,アリールまたは置換アルキル基である] の五環化合物を,保護されたスペルミジンまたは保護された置換スペルミジンと
    反応させ,そして次に脱保護して 式: 【化37】 [式中, R1は,アルキル,アリールまたは置換アルキル基であり, R2は,スペルミジン成分または置換スペルミジン成分であり,および Xは,薬学的に許容しうるカウンターイオンである] の化合物を製造する工程をさらに含む,請求項18記載の方法。
  38. 【請求項38】 式: 【化38】 のプチロミカリンを合成する方法であって,請求項22記載の五環化合物を式: 【化39】 [式中,R2はアミン保護基である] の化合物と反応させて,式: 【化40】 の化合物を製造し,次にこれを脱保護して,プチロミカリンAを製造することを
    含む方法。
  39. 【請求項39】 式: 【化41】 のクラムベシジン800を合成する方法であって,請求項22記載の五環化合物
    を式: 【化42】 [式中,R2はアミン保護基である] の化合物と反応させて,式: 【化43】 の化合物を製造し,次にこれを脱保護して,クラムベシジン800を製造するこ
    とを含む方法。
  40. 【請求項40】 式: 【化44】 の13,14,15−イソクラムベシジン800を合成する方法であって, 請求項24記載の五環化合物を式: 【化45】 [式中,R2はアミン保護基である] の化合物と反応させて,式: 【化46】 の化合物を製造し,次にこれを脱保護して,13,14,15−イソクラムベシ
    ジン800を製造することを含む方法。
  41. 【請求項41】 請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9または10記
    載の化合物を薬学的に許容しうる担体との混合物中に含む抗腫瘍組成物。
  42. 【請求項42】 請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,または10
    記載の化合物を薬学的に許容しうる担体との混合物中に含む抗ウイルス組成物。
  43. 【請求項43】 請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9または10記
    載の化合物を薬学的に許容しうる担体との混合物中に含む抗真菌剤組成物。
  44. 【請求項44】 腫瘍を治療する方法であって,前記治療を必要とする患者
    に,有効量の請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9または10記載の化合
    物を投与することを含む方法。
  45. 【請求項45】 ウイルス感染を治療する方法であって,前記治療を必要と
    する患者に,有効量の請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9または10記
    載の化合物を投与することを含む方法。
  46. 【請求項46】 真菌感染を治療する方法であって,前記治療を必要とする
    患者に,有効量の請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9または10記載の
    化合物を投与することを含む方法。
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