JP2003501102A - 脂質代謝の分析、及び脂質代謝を調節する医薬品、殺虫剤のスクリーニングの為の動物モデル及び方法 - Google Patents

脂質代謝の分析、及び脂質代謝を調節する医薬品、殺虫剤のスクリーニングの為の動物モデル及び方法

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JP2003501102A JP2001502665A JP2001502665A JP2003501102A JP 2003501102 A JP2003501102 A JP 2003501102A JP 2001502665 A JP2001502665 A JP 2001502665A JP 2001502665 A JP2001502665 A JP 2001502665A JP 2003501102 A JP2003501102 A JP 2003501102A
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Abstract

(57)【要約】 ステロール制御エレメント結合タンパク質(SREBP)経路に関与するタンパク質の発現又は異常発現を行うために、遺伝学的に修飾をしたキイロショウジョウバエ及びシー・エレガンスが記載されている。これらの遺伝学的に修飾された動物モデルは、脂質代謝、脂質代謝に関係する他の遺伝子、脂質代謝経路を修飾することができる化合物を研究するためのアッセイにおいて有用ならしめる、同定可能な表現型を有している。また、BODIPY(登録商標)脂肪酸結合体のような、蛍光標識された脂肪酸結合体を使用して、生きている線虫における脂質代謝を研究するための方法が、記載されている。また、新規SREBP経路核酸及びタンパク質配列も記載されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の背景) 医薬品業界では、コレステロール生合成及び代謝に関わる機構を、特に分子レ
ベルで理解する事について、多大なる興味が示されており、その結果、血中コレ
ステロールを低下させる薬剤が、アテローム性動脈硬化の治療又は予防のために
開発されている。脂質の欠損とインシュリン耐性を関係付ける分子機構を理解す
る事は、さらに興味深いところである。高脂血症及び遊離脂肪酸レベルの上昇は
、「代謝症候群」と関連性があり、これは、しばしば同一の患者に発症し、II
型の糖尿病及び心血管性疾患の進行に対する主たる危険要因である肥満症及びイ
ンシュリン耐性を含む幾つかの疾患間の連関として定義される。現在の研究によ
り、グルコースレベルに加え、脂質レベルを制御することは、II型糖尿病、心
臓疾患、及び代謝症候群の他の徴候を治療するために必要とされるであろうこと
が、示唆されている(Santomauro AT等、Diabetes(1999) 48:1836-1841)。 最近、哺乳類の脂質代謝に関わる機構の幾つかを理解する点において、進歩が
みられる。重要な構成要素は、ステロール制御成分結合タンパク質(SREBP
)経路である。SREBPsは、コレステロール及び脂肪酸の生合成及び輸送に
関わる遺伝子を活性化する転写因子である。SREBPは、肝臓におけるインシ
ュリンの作用における主たるメディエータであり、SREBPの発現と機能の変
化が肥満症及びインシュリン耐性の患者又は動物モデルにおいて論じられてきた
(Shimomura I等, PNAS (1999)96:13656-61; Shimomura I等, Journal of Biolo
gical Chemistry (1999)274:30028-32)。また、SREBPsは、脂肪細胞の分
化及び脂肪細胞の遺伝子発現の過程において、特に、独占的な形で脂肪生成を促
進する転写因子として関係付けられている(Spiegelman等, Cell (1996)87:377-
389に総説されている)。SREBPの機能はステロール又はポリ不飽和脂肪酸
(PUFAs)の細胞内レベルにより制御されている(Xu J等, J Biol. Chem.
(1999)274:23577-23583)。
【0002】 高ステロール又はPUFA状態では、SREBPは、核膜及び小胞体(ER)
に接着され、その結果、核から排除されることにより不活性状態に保たれる、膜
結合タンパク質前駆体として保持されている。膜結合型のSREBPは、細胞質
側に向かう広範に及ぶN末端及びC末端領域と、オルガネラの内腔へ突出する短
いループ構造を持つ。N末端ドメインは、塩基性-へリックス-ループ-へリック
ス-ロイシンジッパー(bHLH-Zip)ファミリーの転写因子であり、多くの
転写活性化因子に典型的な「アシッドブロッブ(acid blob)」を含んでいる(B
rown及びGoldstein, Cell(1997)89:331-340)。他の多くのDNA結合転写制御
因子に見いだされるものと同様に、N末端アシッドブロッブに塩基性-へリック
ス-ループ-へリックス-ロイシンジッパー(bHLH-Zip)が続く。 低ステロール状態では、SREBPのアシッドブロッブ/bHLH-Zipドメ
インが膜から離れ、その後速やかに核へ移行し、転写を活性化する為に特異的な
DNA配列に結合する。2つの一連のタンパク質分解が関与している。最初のプ
ロテアーゼは、部位1プロテアーゼ(S1P)と称されるもので、内腔ループの
ほぼ中央でSREBPを切断する。S1Pはチャイニーズハムスター卵巣細胞(
CHO)(GI(GenBank Identifier No)(以降「GI」)3892203)及びヒト
細胞株(GI4506774)(Sakai等, J. Biol. Chem (1998)273:5785-5793)から
クローン化された。
【0003】 部位1で切断された後、第二のプロテアーゼ(部位2プロテアーゼ、S2P)
がN末端断片を切断し、成熟N末端ドメインを細胞質へ放出して、そこから核へ
と迅速に移行するが、明らかに膜貫通部分はC末端に結合したままである。成熟
した、転写活性のあるSREBPはプロテオソーム依存的な過程により早急に分
解される。このようなタンパク質分解と迅速なターンオーバーの連携により、S
REBP系は細胞膜構成成分の変化に素早く応答することが可能となる。S2P
ホモログは、脊椎動物、無脊椎動物の両者において同定されており、ヒト細胞及
びハムスター細胞からクローン化されている(Rawson等, Molec Cell (1997)1:4
7-57)。 SREBPに対する第三のプロセッシング成分は、SREBP切断活性化タン
パク質(SCAP)と呼ばれる。SCAPは、低ステロール状態にてS1Pを活
性化する高分子量の膜タンパク質である(Hua等, Cell (1996)87:415-426)。こ
れまでに、SREBP経路は主として哺乳類培養細胞を用い、コレステロール代
謝又は細胞内コレステロール輸送の制御において欠損を持つ突然変異細胞を単離
することにより研究されてきた。その結果、この突然変異は、機能的相補性によ
る遺伝子クローニングに対する宿主として役立ち得る。これにより、S1P、S
2P及びSCAP遺伝子の分子クローニングが可能となる(Rawson等, 上掲;Hu
a等, 上掲;Goldstein等, 米国特許第5,527,690及び5,891,63
1及びPCT出願、国際公開番号00/0967)。
【0004】 幾つかのSREBP経路の遺伝子が無脊椎動物において同定された。「HLH
106」(GI079656)と称されるショウジョウバエのSREBPが、報告された
(Theopold等, Proc.Natl.Acad.Sci., USA, (1996)93:(3)1195-1199)。S2P
と相同性を有する線虫(C.elegans)の発現配列タグ(EST)に関し
てRawson等、上掲により記されており、GenBank(GI1559384)において列挙され
ている。さらに、GenBankには、HMG-CoA還元酵素相同性を有するとして、
シーエレガンスゲノムから予測されるタンパク質が列挙されている(GI3875380
)。 本発明は、無脊椎動物SREBP経路の核酸、タンパク質及び使用方法を開示
するものである。
【0005】 (発明の概要) 無脊椎動物のモデル生物の遺伝学を用いることにより、生化学的経路の解明、
及びそのような経路を調節し得る分子の同定を著しく促進することが可能である
。従って、SREBP経路に関与する無脊椎動物の核酸及びポリペプチドを提供
することが、本発明の目的である。また、一般的には、脂質代謝の研究のために
、より特定的にはSREBP経路の解明のために、新規突然変異体表現型を含む
無脊椎モデル生物を提供することも本発明の目的である。さらに、脂質代謝、及
び/又はSREBP経路に関与する遺伝子及びタンパク質の機能を調節する分子
をスクリーニングするための方法を提供することが本発明の目的である。 これらの及び他の目的は、例えば、トランスポゾン突然変異誘発法、RNA干
渉、化学的突然変異誘発法、又は他の遺伝学的技術を使用して、SREBP経路
遺伝子を発現又は異常発現をさせるために遺伝学的に修飾したハエ及び線虫によ
り提供される。ある実施態様においては、SREBP経路タンパク質の発現は、
発現又は異常発現の効果が、特異的な組織、所定の発生段階又は特定の時期で観
察されるように、それぞれの場合に応じて、組織特異的であり、発生段階特異的
であり、誘発可能な異種性プロモーターを用いて行われる。また、SREBP経
路タンパク質は、発現の検出を可能にする一又は複数の選択可能なマーカーと連
結させてもよい。典型的には、SREBP経路タンパク質の発現により、同定可
能な発現型が生じる。線虫の場合、本発明は、BODIPY-脂肪酸結合体を利
用した脂質含量のインヴィボにおける測定の新規な方法を提供する。動物モデル
は、脂質代謝に関与する他の遺伝子を同定するための遺伝学的なスクリーニング
においても用いることができる。また、それらの方法は、可能な治療上又は殺虫
剤の用途のための小分子ライブラリーのスクリーニングのために、生物個体に対
して直接利用することが可能である。
【0006】 また、本発明は新規の単離核酸(配列番号:1,3,5及び7)、及びそれら
にコードされるSREBP経路タンパク質(それぞれ、配列番号:2,4,6及
び8)、並びにそれらの誘導体及び断片を提供するものである。単離された核酸
を含むベクターを構築するための方法が提供される。そのような、ベクターは本
発明の動物モデルを作出するために使用することができる。また、それらは、2
ハイブリッドアッセイ、SREBP経路タンパク質の生産、脂質生合成又は脂質
代謝に影響を与える小分子のスクリーニング等を含む様々な目的に対して使用さ
れる宿主細胞に導入することもできる。
【0007】 (発明の詳細な記述) 無脊椎動物のモデル生物遺伝学及び関連技術の使用により、生物学的経路の解
明を著しく促進することが可能である(Scangos, Nat.Biotechnol. (1997)15:12
20-1221; Margolis及びDuyk, 上掲)。特に使用されるのが、昆虫及び線虫のモ
デル生物である、キイロショウジョウバエ(ここでは、一般に「ショウジョウバ
エ」と称する)及びシー・エレガンスである。ショウジョウバエ及びシー・エレ
ガンスの新規SREBP経路核酸及びそのコードされるタンパク質が、ここにお
いて同定される。本記述においてに用いられる「SREBP経路核酸」といる用
語はSREBP、SCAP、S1P及びS2Pのいずれか一つをコードする核酸
のことを指す。新規同定SREBP経路核酸により、脂質及び脂肪酸代謝に関与
する経路を研究するために使用され得る幾つかの突然変異体表現型の発見に至っ
た。SREBP経路タンパク質の発現及び異常な発現を解析するにあたり、ショ
ウジョウバエ及びシー・エレガンスのような無脊椎動物モデル生物の使用は、大
規模で体系的な遺伝学的スクリーニングを迅速に行えるため、哺乳類動物細胞培
養を使用する伝統的なアプローチに比べて非常に有益な点を有する。これらの使
用により、SREBP経路タンパク質の合成、活性化、制御及びターンオーバー
に関与するその他の構成成分を同定することができる。さらに、SREBP経路
遺伝子を異常に発現するように遺伝学的に操作されたモデル生物又は培養細胞は
、SREBP経路タンパク質の発現又は活性を調節する能力について候補化合物
又は小分子ライブラリーをスクリーニングするために使用し得る。従って、それ
らは脂質代謝に関連する疾患の治療のための新規の薬剤標的と医薬品の同定、診
断及び予後診断に有用である。また、これら無脊椎モデル生物の使用は、SRE
BP経路の構成要素に対する殺虫剤の標的の同定及び確証を導くことが可能であ
ろう。
【0008】SREBP経路の核酸 本発明は、シー・エレガンスから単離され、ここでは「ceSREBP」と称
するSREBPホモログをコードする核酸配列(配列番号:1)を提供する。ま
た、本発明はショウジョウバエから単離され、S2P(dS2P;配列番号:3
)、SCAP(dSCAP;配列番号:5)及びS1P(dS1P;配列番号:
7)のホモログをコードする核酸配列を提供する。後で詳細に記述するように、
配列番号1,3、5及び7の断片及び誘導体に加え、本発明はその逆相補鎖を含
む。また、対象の核酸配列、誘導体及びその断片は、配列番号1,3,5及び7
(又はそれらの誘導体又は断片)のいずれか一つのヌクレオチド配列を含むRN
A分子であり得、その場合、塩基U(ウラシル)は塩基T(チミン)に代わりに
置換される。本発明のDNA及びRNA配列は、一本鎖又は二本鎖配列であり得
る。従って、ここで用いられる「核酸配列」という用語には、特に明確に又は文
脈上示されない限り、逆相補鎖、RNA等価物、DNA又はRNA二本鎖配列及
び配列のDNA/RNAハイブリッドが含まれる。
【0009】 これらの配列の断片は、種々の目的に対して使用することができる。RNA干
渉(RNAi)断片、特に二本鎖(ds)RNAiは、機能喪失表現型を作出す
るのに使用することができる。また、SREBP経路核酸断片は核酸ハイブリダ
イゼーションプローブ及び複製/増幅プライマーとして有用である。ある種の「
アンチセンス」断片、即ち、配列番号:1,3,5,及び7の配列をコードする
部分の逆相補鎖は、SREBP経路タンパク質の機能を阻害するのに有用である
。断片は、対応する配列番号:1,3,5,及び7に特異的にハイブリダイズ化
するのに十分な長さである。断片は、少なくとも12,好ましくは少なくとも2
4、さらに好ましくは少なくとも36、さらに好ましくは少なくとも96の配列
番号1,3,5,及び7の連続するヌクレオチドにより構成されるか、それらを
含む。その断片が他の核酸配列に隣接する場合、組み合わせた核酸配列の全長は
、15キロベース(kb)未満、好ましくは10kb未満又は5kb未満、さら
に好ましくは2kb未満である。
【0010】 ceSREBP(配列番号:1)の好ましい断片は、およそ1090から12
90残基を含み、それらはbHLH-Zip領域をコードする。 dS2P(配列番号:3)の好ましい断片は、配列番号:3の少なくとも12
26の連続するヌクレオチド、更に好ましくは少なくとも1231ヌクレオチド
を有するものを含む。 dSCAP(配列番号:5)の好ましい断片は、およそヌクレオチド2509
-2617、3080-3196、3208-3325及び3337-3445に位
置するWDリピートをコードする。 dS1P(配列番号:7)の好ましい断片は、細胞外又は細胞内ドメインをコ
ードし、それらは、およそヌクレオチド131-1149、1214-1434、
1499-1560、及び1625-3040に位置する。他の好ましい断片は、
配列番号:7のヌクレオチド2015-2546の少なくとも12の連続するヌ
クレオチド、好ましくは少なくとも37の連続するヌクレオチド、さらに好まし
くは少なくとも62の連続するヌクレオチドより構成されるか、それらを含む。 また、二本鎖RNA(dsRNA)分子である前記配列のいずれかの断片は、
下記に詳細に記する如く、RNA干渉(RNAi)研究において有用性があり、
その場合、機能欠損を示すモデル生物が作出される。典型的には、RNAiのた
めのdsRNA分子は、サイズが約200から2000bpであり、好ましくは
600-900bpである。
【0011】 対象となる核酸配列は、専ら、配列番号1,3,5及び7又はその断片から構
成されるものでもよい。あるいは、対象となる核酸配列及びその断片は、標識、
ペプチド、細胞膜通過を促進させるような薬剤、ハイブリダイゼーションを誘起
する切断薬又はインターカレーティング薬剤のような他の構成要素に連結されて
もよい。対象核酸配列及びその断片は、他の核酸配列に連結されてもよく(即ち
、それらは長い配列の一部を含んでもよく)、合成/非天然配列である。それら
は単離され、及び/又は精製され、従って、少なくとも天然の状態では付随して
いる幾つかの物質を伴っていない。好ましくは単離された核酸は、与えられた画
分中に存在する全核酸のうち少なくとも重量で、約0.5%及びさらに好ましく
は少なくとも約5%を構成し、好ましくは組換体であり、天然の染色体に結合さ
れているもの以外の核酸と結合されている非天然配列又は天然配列を含むことを
意味する。
【0012】 SREBP経路核酸配列の誘導体は、ハイブリダイズする誘導体核酸がある程
度の配列同一性により対象となる核酸と関連づけられるような緊縮性の条件下で
配列番号1,3,5又は7の核酸配列とハイブリダイズ化する核酸配列を含む。
核酸分子の一本鎖が他の核酸分子にアニールできる場合、その核酸分子は、cD
NA、ゲノムDNA、又はRNAのような他の核酸分子と「ハイブリ可能」であ
る。ハイブリダイゼーションの緊縮性は、核酸分子がハイブリ可能であるような
条件のことを意味する。緊縮性の程度は、温度、イオン強度、pH、及びハイブ
リダイゼーションや洗浄の間におけるホルムアミドのような変性剤の存在により
調節し得る。ここで使用される「緊縮性のハイブリダイゼーション条件」という
用語は、通常、相補なDNA断片同士又はDNAとRNAの間において少なくと
も90%の配列同一性を確立するために当該技術分野における当業者により用い
られるものである。「中程度の緊縮性のハイブリダイゼーション条件」とは、少
なくとも70%の配列同一性を有する誘導体を見いだす為に使用される。最後に
、「低い緊縮性のハイブリダイゼーション条件」とは、対象となる核酸と少なく
とも約50%の配列同一性を共有するような核酸分子の誘導体を単離するために
使用される。
【0013】 基本的には、ハイブリダイゼーションの緊縮性には、実際のハイブリダイズ化
条件とハイブリダイゼーションに続く洗浄の条件に両方が反映され、所望の結果
を得るために条件を変える方法は当業者には周知である。通常使用される条件は
、容易に利用可能な実験書に詳しく記されている(例えば、Current Protocol i
n Molecular Biology, Vol. 1, Chap. 2.10, John Wiley & Sons, Publishers(
1994);Sambrook等, Molecular Cloning, Cold Spring Harbor (1989))。好ま
しい誘導体核酸は、以下の工程を包含する緊縮性のハイブリダイゼーション条件
にて配列番号1,3,5及び7とハイブリダイズ化することができる:8時間か
ら一晩の間、65℃にて、6X単一強度クエン酸(SSC)(1X SSCは、0.15M NaC
l, 0.015M クエン酸ナトリウム;pH 7.0)、5X デンハード溶液、0.05%ピロリ
ン酸ナトリウム及び100μg/mlのニシン精子DNA中で核酸を含むフィルターの
プレハイブリダイゼーション;18から20時間、65℃にて、6X SSC、1X デ
ンハード溶液、100 μg/mlの酵母tRNA及び0.05 %ピロリン酸ナトリウム中で
ハイブリダイゼーション;及び65℃にて1時間、0.2X SSC及び0.1% SDS(ドデ
シル硫酸ナトリウム)を含む溶液中で洗浄。
【0014】 配列番号1,3,5,及び7と少なくとも約70%の配列同一性を有する誘導
体核酸配列は、配列番号1,3,5及び7と、それぞれ中程度の緊縮性の条件下
にてハイブリダイズ化することができ、その条件には以下の工程が含まれる:35
% ホルムアミド, 5X SSC, 50 mM Tris-HCl (pH 7.5), 5mM EDTA, 0.1% PVP, 0.1
% Ficoll, 1 % BSA, 及び500 μg/ml 変性サケ精子DNAを含む溶液中で、6
時間、40℃にて、核酸を含むフィルターの前処理;35% ホルムアミド, 5X SSC
, 50 mM Tris-HCl (pH 7.5), 5mM EDTA, 0.02 % PVP, 0.02 % Ficoll, 0.2 % BS
A, 及び100 μg/ml サケ精子DNA及び10 %(重量/容積)硫酸デキストランを含
む溶液中で、18−20時間、40℃にて、ハイブリダイズ;その後、1時間、
55℃にて、2X SSC及び0.1 % SDSを含む溶液中で2回洗浄を行う。 他の好ましい誘導体核酸配列は、以下の工程を包含する低い緊縮性条件下にて
配列番号1,3,5及び7にハイブリダイズ化することができる:8時間から一
晩の間、37℃にて、20 % ホルムアミド, 5X SSC, 50 mM リン酸ナトリウム(p
H 7.6), 5X デンハード溶液、10 % 硫酸デキストラン及び20 μg/mlの変性剪断
サケ精子DNA中でインキュベーション;18から20時間、同じ緩衝液中でハ
イブリダイゼーション;及び約37℃にて1時間、1X SSC中でフィルターを洗浄
【0015】 ここで用いられる、対象となる配列又は対象となる配列の特定の部分との「パ
ーセント(%)核酸同一性」とは、配列を整列させ、最大の配列同一性の割合を
達成するために必要ならば、全てのサーチ変数のセットを初期値にしたプログラ
ムWU-BLAST-2.0a19(Altschul等, J.Mol.Biol. (1997)215:403-410;http://bla
st.wustl.edu./blast/README.html;ここでは、一般に「BLAST」と称する)によ
って産み出されるギャップを導入した後に、対象となる配列(又はその特定の部
分)中において核酸と同一である候補誘導体核酸配列における核酸のパーセンテ
ージとして定義される。核酸配列同一性のパーセント値(%)は、パーセント同
一性が報告されている配列長により、同一なヌクレオチドの数を除することによ
り決定される。 誘導体SREBP経路核酸配列は、通常、配列番号1,3,5,又は7、又は
そのドメインをコードしている領域と、少なくとも70%の配列同一性、好まし
くは少なくとも80%の配列同一性、さらに好ましくは少なくとも85%の配列
同一性、さらにより好ましくは少なくとも90%の配列同一性、及び最も好まし
くは95%の配列同一性を有する。 配列番号:7の好ましい誘導体は、配列番号:7のヌクレオチド2015から
2546の連続した125又は275ベースのいずれかと、少なくとも53%の
配列同一性、及び好ましくは少なくとも60%の配列同一性を持つヌクレオチド
配列を含む。
【0016】 ある好ましい実施態様において、誘導体核酸は、以下に「SREBP経路アミ
ノ酸配列」との副題で記載されるように、配列願号2,4,6及び8のSREB
P経路アミノ酸配列又はその断片若しくは誘導体を含むポリペプチドをコードす
る。誘導体SREBP経路核酸配列、又はその断片は、配列番号:1,3,5又
は7と100%の配列同一性を含んでもよいが、それは塩基又は糖部分又はリン
酸バックボーンにおいて、一又は複数の修飾を有するという意味ではその誘導体
である。修飾の例は、当該技術分野において周知である(Bailey, Ullmann's En
cyclopedia of Industrial Chemistry (1998), 6th ed. Wiley and Sons)。そ
のような誘導体は、修飾された安定性又は任意の他の所望の特徴を提供する為に
使用されてもよい。 対象となる核酸配列の誘導体の他のタイプは、対応するヒト化配列を含む。ヒ
ト化核酸配列は、一又は複数のコドンがヒト遺伝子においてより普通に使用され
るコドンに置換されているものである。好ましくは、哺乳類細胞において置換を
行わない場合に到達するレベルより高いレベルの発現が達成されるように、十分
な数のコドンが置換された。ヒト遺伝子において、より普通に使用されるコドン
は周知である(Wada等, Nucleic Acids Research (1990) 18(増刊):2367-2411
)。また、核酸配列のヒト化に関する詳細な議論は、米国特許第5,874,3
04号においてZolotukhin等により示されている。同様に、酵母、大腸菌、及び
植物のような他の生物においての発現に対して至適化されたコドンの使用に基づ
き、他の核酸誘導体を産生することができ、その場合、それぞれの生物において
高度に発現される遺伝子において使用される好ましいコドンに従って選択された
特異的なコドンを使用することにより、SREBP経路タンパク質の発現を設計
することが望まれる。好ましいSREBP経路タンパク質断片及びその誘導体の
さらなる特定の実施態様は、以下でさらに論じる。
【0017】 配列番号:2,4,6又は8のいずれか一つのアミノ酸配列をコードする核酸
、又はその断片若しくは誘導体は、SREBP経路タンパク質をコードする、脊
椎動物、好ましくは哺乳類(例えば、霊長類、ブタ、ウシ、ネコ、ウマ、及びイ
ヌ種など)、及び節足動物、特に昆虫種(好ましくはショウジョウバエ)、ダニ
類、甲殻類、軟体動物類、線虫(好ましくはシー・エレガンス)、及び他の寄生
虫のような無脊椎動物などの任意の真核生物種より調製される適切なcDNAラ
イブラリーより得ることができる。発現ライブラリーは周知の方法により構築す
ることができる。例えば、mRNAは、発現の為に導入される宿主細胞において
適切な発現ベクターに連結されるcDNAを作製するために単離され得る。つい
で、様々なスクリーニングアッセイが、遺伝子又は遺伝子産物を選択するために
使用され得る(例えば、対象の遺伝子を同定するために設計された少なくとも約
20から80ベースのオリゴヌクレオチド、又はその遺伝子産物に特異的に結合
する標識抗体)。その後、遺伝子及び/又は遺伝子産物は、公知の技術を用いる
ことにより宿主細胞から回収することができる。 また、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)を、SREBP経路の核酸を単離するた
めに使用することができ、その場合、対象の断片的配列を示すオリゴヌクレオチ
ドプライマーは、ジェノミック又はcDNAライブラリーのような原料からRN
A又はDNA配列を増幅する(上掲のSambrook等により記述されているように)
。さらに、対象となるいずれかの種からホモログを増幅する為に、縮退プライマ
ーを利用してもよい。適切なサイズ及び配列のPCR産物が得られれば、標準的
な方法によりクローン化し、配列決定を行い、完全長cDNA又はゲノムクロー
ンを単離する為のプローブとして利用してもよい。
【0018】 配列番号1,3,5及び7の核酸及び誘導体の断片的配列は、公知の方法によ
り合成され得る。例えば、オリゴヌクレオチドは、商業的に供給され入手可能な
自動DNA合成装置を使用して合成され得る(例えば、Biosearch, Novato, CA;
Perkin-Elmer Applied Biosystems, Forster City, CA)。アンチセンスRNA
配列は、外来性の配列、例えば、SREBP経路の核酸のアンチセンスを含むベ
クターから、細胞内において産生させることが可能である。新規に産生された配
列は、標準的な方法を使用することで同定され、単離され得る。 単離されたSREBP経路の核酸配列は、任意の適切なクローニングベクター
、例えば、ラムダ誘導体のようなバクテリオファージ、又はプラスミド、例えば
PBR322、pUCプラスミド及びBluescriptベクター(Stratage
ne, San Diego, CA)に導入させることが可能である。組換体分子は、形質転換
、形質移入、感染、エレクトロポレーション等により宿主細胞へ、又はハエのよ
うなトランスジェニック動物へ導入することができる。形質転換した細胞は、大
量のSREBP経路の核酸を産生するために培養され得る。対象の核酸配列を単
離し、産生する適切な方法は当該技術分野において周知である(Sambrook等, 上
掲;DNA cloning: A Practical Approach, Vol.1, 2, 3, 4, (1995) Glover, ed ., MRL Press, Ltd., Oxford, U.K.)。
【0019】 SREBP経路タンパク質をコードするヌクレオチド配列、又はその断片若し
くは誘導体は、導入されたタンパク質コード化配列を転写し、翻訳するために適
切な発現ベクターのいずれかに挿入することができる。あるいは、天然SREB
P経路遺伝子及び/又はその隣接領域は、必要な転写及び翻訳シグナルを供給し
得る。種々の宿主-ベクター系を、タンパク質をコードしている配列を発現させ
るために利用してもよい。これらには、ウィルス(例えば、ワクシニアウィルス
、アデノウィルス等)により感染される哺乳類細胞系、ウィルス(例えば、バキ
ュロウィルス等)により感染される昆虫細胞系、酵母ベクターを保持する酵母や
、バクテリオファージ、DNA、プラスミドDNA、又はコスミドDNAで形質
転換されたバクテリアなどのような微生物が含まれる。SREBP経路タンパク
質の発現は、適切なプロモーター/エンハンサーのエレメントにより制御されて
もよい。さらに、挿入された配列の発現を調節し、又は所望される特定の形で遺
伝子産物を修飾し、加工する宿主細胞株が、選択されてもよい。 SREBP経路遺伝子産物の発現を検出するために、発現ベクターは、SRE
BP経路核酸と作用可能に連結されたプロモーター、一又は複数の複製起点、及
び一又は複数の選択マーカー(例えば、チミジンキナーゼ活性、抗生物質耐性等
)を含み得る。あるいは、組換体発現ベクターは、インヴィトロのアッセイ系(
例えば、イムノアッセイ)においてSREBP経路タンパク質の物理的又は機能
的特徴に基づいてSREBP遺伝子産物の発現をアッセイすることにより、同定
し得る。
【0020】 場合によっては、SREBP経路タンパク質、断片又は誘導体は、融合又はキ
メラタンパク質産物(即ち、ペプチド結合を介して、異なるタンパク質の異種性
タンパク質配列に結合されること)として発現されてもよい。キメラ産物は、標
準的な方法を用い、適切な読み枠にて所望のアミノ酸配列をコードする適当な核
酸配列を互いに連結し、キメラ産物を発現させることにより作製することができ
る。また、キメラ産物は、ペプチド合成装置の使用などにより、タンパク質合成
技術にて作製されてもよい。 SREBP経路遺伝子配列を発現する組換体が同定されれば、遺伝子産物は、
標準的な方法(例えば、イオン交換、親和性、ゲルろ過クロマトグラフィー;遠
心法;異なる溶解度の利用;電気泳動法)を用いることで単離され、精製するこ
とができる。タンパク質のアミノ酸配列は、組換体に含まれるキメラ遺伝子の核
酸配列から推定することが可能で、よって標準的なキメラ法により合成可能であ
る(Hunkapiller等, Nature (1984)310:105-111)。あるいは、天然SREBP
経路タンパク質は、天然の材料から標準的な方法(例えば、イムノアフィニティ
ー精製)により精製されてもよい。
【0021】SREBP経路タンパク質 本発明のSREBP経路タンパク質は、配列番号2,4,6若しくは8、又は
それらの断片又は誘導体のいずれか一つのアミノ酸配列を含むか、又は構成され
る。これらのタンパク質を含む組成物は、本質的にSREBP経路タンパク質、
断片又は誘導体から構成され、あるいはさらなる成分(例えば、医薬品として受
容可能な坦体又は賦形剤、培地など)を含んでもよい。 SREBP経路タンパク質誘導体は、典型的には、配列番号2,4,6及び8
、又はそれらの断片のいずれか一つと配列同一性又は配列相同性をある程度共有
する。ここで用いられる、対象となる配列又は対象となる配列の特定の部分との
「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」とは、配列を整列させ、最大の配列同
一性の割合を達成するために必要ならば、誘導体の核酸配列について上述したの
と同一の変数を用い、BLAST(Altschul等, 上掲)により産み出されるギャ
ップを導入し、対象となる配列(又はその特定の部分)中におけるアミノ酸と同
一である候補誘導体アミノ酸におけるアミノ酸のパーセンテージとして定義され
る。アミノ酸配列同一性のパーセント値(%)は、パーセント同一性が報告され
ている配列長により、同一なアミノ酸の数を除することにより決定される。「パ
ーセント(%)アミノ酸配列相同性」は、パーセント(%)アミノ酸同一性の場
合と同様な計算を行うことにより決定されるが、コンピューター解析の結果得ら
れる同一アミノ酸に加えて、保存的なアミノ酸置換を含むものである。保存的ア
ミノ酸置換とは、タンパク質の折り畳み又は活性がそれほど重大な影響を受けな
いように、一のアミノ酸を類似の性質を有する他のアミノ酸と置換えることであ
る。互いに置換可能な芳香族アミノ酸は、フェニルアラニン、トリプトファン及
びチロシンである。互いに置換可能な疎水性アミノ酸は、ロイシン、イソロイシ
ン、メチオニン及びバリンである。互いに置換可能な極性アミノ酸は、グルタミ
ン及びアスパラギンである。互いに置換可能な塩基性アミノ酸は、アルギニン、
リジン及びヒスチジンである。互いに置換可能な酸性アミノ酸は、アスパラギン
酸及びグルタミン酸であり、互いに置換可能は小分子のアミノ酸は、アラニン、
セリン、システイン、スレオニン、及びグリシンである。
【0022】 ある実施態様では、SREBP経路タンパク質誘導体は、配列番号2,4,6
,又は8のいずれかと、少なくとも25のアミノ酸、好ましくは少なくとも50
のアミノ酸、さらに好ましくは少なくとも100のアミノ酸の連続して伸展する
部分と、そしてある場合にはその全長と、少なくとも75%の配列同一性又は相
同性、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、さら
により好ましくは少なくとも90%、そして最も好ましくは95%の配列同一性
又は相同性を共有する。ceSREBPの他の好ましい誘導体は、配列番号2の
アミノ酸残基335から428と少なくとも75%の相同性、好ましくは少なく
とも80%の相同性、さらに好ましくは少なくとも85%の相同性を共有するア
ミノ酸配列により構成されるか、又は包含する。好ましくは、そのような誘導体
は、配列番号2のアミノ酸残基335から428と抗原性を共有する。 dSCAPの他の好ましい誘導体は、WDリピートを構成する、配列番号6の
アミノ酸残基812から848、1005から1041、1045から1084
、及び1088から1124と、少なくとも75%の相同性、好ましくは少なく
とも80%の相同性、さらに好ましくは少なくとも85%の相同性を共有するア
ミノ酸配列により構成されるか、又は包含する。好ましくは、そのような誘導体
は、配列番号6のアミノ酸残基812から848、1005から1041、10
45から1084、及び1088から1124と抗原性を共有する。
【0023】 他の実施態様では、dS1Pタンパク質の誘導体は、配列番号8の少なくとも
33のアミノ酸、好ましくは少なくとも35のアミノ酸、さらに好ましくは少な
くとも38のアミノ酸、最も好ましくは少なくとも43のアミノ酸の連続して伸
展する部分のいずれかと、100%の相同性を共有する配列から構成されるか、
又は包含する。好ましいdS1Pの誘導体は、dS1Pの細胞外又は細胞内ドメ
インである、アミノ酸残基22から362、384から457、及び521から
993のいずれかと、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、さらに
好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、及び最
も好ましくは95%の配列同一性又は相同性を有するアミノ酸配列から構成され
るか、又は包含する。他の好ましいdS1Pタンパク質の誘導体は、配列番号:
8の連続するアミノ酸残基653から828番に相当する部分と100%の相同
性を共有する少なくとも10のアミノ酸の配列から構成されるか、又は包含する
。 dS1Pタンパク質の好ましい断片は、配列番号:2の少なくとも16、好ま
しくは少なくとも18、さらに好ましくは少なくとも21、そして最も好ましく
少なくとも26の連続するアミノ酸から構成されるか、又は包含する。他の好ま
しい断片には、配列番号:2のアミノ酸残基653から828のいずれか10の
連続するアミノ酸、好ましくはいずれか20の連続するアミノ酸、及びさらに好
ましくはいずれかの60の連続するアミノ酸が含まれる。
【0024】 SREBP経路タンパク質の断片又は誘導体は、好ましくは「機能的に活性を
有する」もので、これは、SREBP経路タンパク質誘導体又は断片は、配列番
号2,4,6又は8のいずれか1つのアミノ酸配列を含む全長の野生型SREB
P経路タンパク質に付随する一又は複数の機能的な活性を示すことを意味する。
一例として、断片又は誘導体は、SREBP経路タンパク質に対して抗体を作製
することに関して後述する中で議論されているように、免疫化、SREBP経路
活性の阻害などについて、イムノアッセイにて使用可能な抗原性を有してもよい
。他の例として、SREBPの断片又は誘導体は、SRE-1配列のような適当
な標的遺伝子の制御DNAエレメントに結合する場合、機能的に活性を有すると
考えられるであろう。S1Pは、それが部位1にてSREBPを切断する場合に
は機能的に活性であると考えられうる(Fig.1Bに示す)。S2Pは、それ
が部位2にてSREBPを切断する場合には機能的に活性であると考えられうる
。SCAPの断片又は誘導体は、それがSREBPのC末端制御ドメインに結合
する場合には機能的に活性であると考えられうる。SREBP経路タンパク質、
誘導体、断片の機能的な活性は、当該技術の当業者に公知の種々の方法によりア
ッセイされ得る(Current Protocols in Protein Science (1998)Coligan等, 編
集、John Wiley & Sons, Inc., Somerset, New Jersey)。好ましい方法につい
て、下記に詳述するが、昆虫(例えば、ショウジョウバエ)又は寄生虫(例えば
、シー・エレガンス)、又は他のモデル系のようなモデル生物は、断片又は誘導
体の表現型の影響(即ち、突然変異)を評価するための遺伝学的研究において用
いられる。
【0025】 SREBP経路誘導体は、当該技術分野において公知の種々の方法により生産
され得る。結果としてそれらを生産する操作は、遺伝子又はタンパク質レベルで
行うことができる。例えば、クローン化されたSREBP経路遺伝子配列は、適
当な部位にて制限酵素により切断され(Wells等, Philos. Trans. R. Soc. Lond
on SerA (1986) 317:415)、その後、更なる酵素的修飾を受け、必要とあれば、
単離され、そしてインヴィトロにおいて連結され、所望の誘導体を生産するため
に発現され得る。あるいは、SREBP経路遺伝子は、翻訳、開始、及び/又は
終結配列を作成し及び/又は破壊し、又は、コード領域に変異を創出し、及び/又
は新たな制限酵素部位を作成し、又は元々存在しているものを破壊し、インヴィ
ボにおける更なる修飾を促進するためにインヴィトロ又はインヴィボにおいて変
異を導入することが可能である。化学的突然変異、インヴィトロ部位特異的突然
変異法(Carter等, Nucl.Acids Res. (1986)13:4331)、TAB(登録商標)リ
ンカー(Pharmacia and Upjohn, Kalamazoo, MI から入手可能)の使用など、種
々の変異導入技術が、当該技術分野において公知である。 タンパク質レベルにおいて、操作には、例えば、グリコシル化、アセチル化、
リン酸化、アミド化、保護/阻害基による誘導体化、タンパク質分解的切断、抗
体分子又は他の細胞性リガンドとの連結などのような翻訳後修飾が含まれる。多
くの化学的突然変異のいずれも、公知の技術により実施されうる(例えば、特異
的化学的切断で、臭化シアン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プ
ロテアーゼ、NaBHによるもの、アセチル化、ホルミル化、酸化、還元、ツ
ニカマイシン存在下における代謝的生合成など)。また、誘導体タンパク質は、
例えば、非古典的アミノ酸又は化学的アミノ酸類似体をSREBP経路タンパク
質配列中に置換残基又は付加残基として導入するために、ペプチド合成装置を利
用することにより化学的に合成され得る。
【0026】 キメラ又は融合タンパク質は、アミノ-又はカルボキシ-末端にペプチド結合を
介して異なるタンパク質のアミノ酸配列と連結されるSREBP経路タンパク質
又はその断片(好ましくは、一又は複数のSREBP経路タンパク質の構造又は
機能ドメインを含む)を含むように作成することができる。キメラタンパク質は
、公知の方法により生産され得る。これらには、以下のものが含まれる:タンパ
ク質をコードする核酸の組換体発現(異なるタンパク質のコード化配列と読み枠
が合うように連結されたSREBP経路コード配列を含む)、所望のアミノ酸配
列をコードする適当な核酸配列を適切な読み枠にてそれぞれを連結すること、キ
メラ産物を発現すること、及びタンパク質合成技術(例えば、ペプチド合成装置
の使用による)。
【0027】SREBP経路遺伝子制御エレメント エンハンサー又はプロモーターのようなSREBP経路遺伝子制御DNAエレ
メントは、SREBP経路タンパク質生産を特異的に制御する組織、細胞、遺伝
子及び因子の同定に用いることが可能である。例えば、dS1Pの場合、そのよ
うな制御エレメントは配列番号:7のヌクレオチド1から61の範囲に存在して
いる。配列番号:7のヌクレオチド1から61の範囲内の、好ましくは少なくと
も20、さらに好ましくは少なくとも25、最も好ましくは少なくとも50の連
続するヌクレオチドが用いられる。SREBP経路タンパク質の機能に特異的な
構成要素を解析することにより、これらの制御過程の操作方法、特に治療への応
用の理解、並びにこれらの過程における機能障害を診断する方法の理解に至りう
る。 SREBP経路制御エレメントとの遺伝子融合は作成可能である。ショウジョ
ウバエについてここに記載したもののような相対的に希で小さな介在性配列を有
する小型の遺伝子に関し、空間的、時期的な発現パターンを支配する制御エレメ
ントは、典型的には、コード領域の直近上流のDNA部に見いだされ、近傍遺伝
子に伸展している。制御領域は、遺伝子融合を構築するのに使用可能であり、そ
の場合、制御DNAは、発現が簡単に検出できるレポータータンパク質のコード
領域と作用可能に融合され、これらの作成物が選択動物へ導入遺伝子として導入
される。制御DNA領域の全体を使用することが可能であり、あるいは、制御領
域は、与えられた細胞型又は発生段階に対して発現を制御するのに特異的である
かもしれないサブーエレメントを同定するために、より小さなセグメントに分配
され得る。これらの遺伝子の構築のために使用され得るレポータータンパク質に
は、大腸菌β-ガラクトシダーゼ及び緑色フルオレッセントタンパク質(GFP
)が含まれる。これらは、インサイツにおいて容易に検出可能であり、従って、
組織学的研究に有用であり、SREBP経路タンパク質を発現している細胞を分
類するのに使用可能である(O'Kane及びGehring PNAS (1987)84(24):9123-9127
;Chalfie 等, Science (1994)263:802-805;及びCumberledge 及びKrasnow (19
94) Methods in Cell Biology 44:143-159)。FLP又はcreのようなリコン
ビナーゼタンパク質は、部位特異的な組換えを通じて遺伝子発現をコントロール
することに使用され得る(Golic 及びLindquist (1989) Cell 59(3):499-509;W
hite等, Science (1996)271:805-807)。reaper及びhid細胞死タンパ
ク質のような、毒性のあるタンパク質は、細胞の生理学的機能を評価するために
、SREBP経路タンパク質を正常に発現する細胞を特異的に除去するために有
用である(Kingston, In Current Protocols in Molecular Biology (1998) Aus
ubel等, John Wiley & Sons, Inc. sections 12.0.3-12.10)。
【0028】 あるいは、以下に更に記述する系に類似した、二成分レポーター系が使用可能
で、その場合、SREBP経路遺伝子の制御エレメントは、SREBP経路「ド
ライバー遺伝子」を作成するために、後述するGAL4又はtTA活性化因子の
ような外来性の転写活性化タンパク質のコード領域に動作可能に融合される。二
成分系の他方については、外来性の活性化因子は、UAS又はtTA-レスポ
ンスエレメントのような外来性の活性化タンパク質それぞれに対応した隣接する
制御エレメントと動作可能に融合された、レポータータンパク質のコード領域を
含む別個の「標的遺伝子」を支配する。二成分系の利点は、一のドライバー遺伝
子作成物が、異なるレポータータンパク質をコードする、前もって構築された標
的遺伝子からの転写を、前述のように各々自身の利用により活性化するのに用い
られることである。 また、SREBP経路遺伝子の制御エレメントと融合されたレポーター遺伝子
は、SREBP経路遺伝子の発現を支配する遺伝子を同定するために、又は、S
REBP経路タンパク質を発現する組織の成長及び分化を促進するために、遺伝
学的相互作用をテストするのに有用である。また、SREBP経路遺伝子制御D
NAエレメントは、SREBP経路遺伝子の発現を支配する遺伝子制御タンパク
質を同定するためのタンパク質-DNA結合アッセイにおいて有用である。遺伝
子制御タンパク質は、当該技術分野の当業者にとって周知(Kingston, 上掲)の
特異的なタンパク質-DNA相互作用を探査する種々の方法を用いることで検出
される。これらの方法には、生細胞又は膜透過細胞内での化学的、酵素的修飾か
らDNA配列を保護し、又はタンパク質抽出物を使用した化学的、酵素的修飾か
らDNA配列を保護することに基づくインヴィボにおけるフットプリントアッセ
イ、ニトロセルロースフィルターアッセイ、及びタンパク質抽出液と混合された
放射活性標識された制御DNAエレメントを使用する、ゲル電気泳動移動度シフ
トアッセイが含まれる。候補SREBP経路遺伝子制御タンパク質は、通常の方
法及びDNA親和性精製技術を組み合わせて使用することで、精製可能である。
また、分子クローニング法は、SREBP経路遺伝子制御DNAエレメントに特
異的に結合するタンパク質を同定するのに使用することができる。例えば、発現
ベクターによるショウジョウバエのcDNAライブラリーは、SREBP経路遺
伝子制御エレメントDNAに結合する活性をコードするcDNAについて、スク
リーニングすることができる。同様に、酵母の「1−ハイブリッド」系を利用可
能である(Li 及び Herskowitz, Science (1993)262:1870-1874;Luo等, Biotec
hniques (1996)20(4):564-568;Vidal等, PNAS (1996)93(19):10315-10320)。
【0029】SREBP経路タンパク質と相互作用する分子の同定 種々の方法が、SREBP経路タンパク質又はその誘導体又はその断片と相互
作用するタンパク質又は小分子のような分子を同定し、スクリーニングするのに
用いることができる。そのアッセイでは、精製したSREBP経路タンパク質、
又は細胞株、又は遺伝学的にSREBPタンパク発現するように設計されたショ
ウジョウバエやシー・エレガンスのようなモデル生物が使用できる。適当なスク
リーニング方法は、SREBP経路遺伝子及びタンパク質と相互作用するタンパ
ク質又は他の分子をテストするために当該技術分野において周知である(PCT
国際公開番号第96/34099を参照のこと)。新規に同定された相互作用分
子は、医薬品に関して新たな標的を提供し得る。天然由来及び/又は合成された
(例えば、小分子又はペプチドのライブラリー、又はファージディスプレイライ
ブラリー)、種々の外来分子は、結合能に関しスクリーニングすることができる
。典型的な結合実験では、SREBP経路タンパク質又は断片は、結合を誘起す
るような条件下にて、候補分子と混合され、十分な時間により、何らかの結合が
生じることを可能ならしめ、結合した複合体を試験するためにアッセイが実施さ
れる。相互作用をするタンパク質を発見するためのアッセイは、当該技術分野に
おいて公知の任意の方法により実施される。実施例には、複合体中のタンパク質
に結合する抗体による免疫沈降が含まれ、続いて免疫沈降されたタンパク質のサ
イズ分画(例えば、変性、非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動)、ウェスタ
ン分析、非変性ゲル電気泳動などによる分析が続く。
【0030】相互作用タンパク質の同定 2-ハイブリッドアッセイ系 相互作用しているタンパク質を同定するために好ましい方法は、2-ハイブリ
ッドアッセイ系又はその変法である(Field及びSong, Nature (1989)340:245-24
6;米国特許番号第5,283,173号;総説として、Brent及びFinley, Annu
.Rev.Genet. (1997)31:663-704)。最も一般的に使用されている2-ハイブリッ
ドスクリーニング系は、酵母を利用して行われる。全ての系は、以下の3要素を
共通に含む:1)DNA結合ドメインと融合された「餌(ベイト)」タンパク質
の合成を行う遺伝子;2)上流にベイトとの結合サイトを持つ一又は複数の「レ
ポーター」遺伝子、及び3)レポーター遺伝子の転写を活性化する活性化ドメイ
ンと融合された「捕獲(プレイ)」タンパク質の合成を行う遺伝子。SREBP
経路タンパク質と相互作用するタンパク質をスクリーニングするために、好まし
くは「餌」がSREBP経路タンパク質で、DNA結合ドメインとの融合タンパ
ク質として発現される。 「捕獲」タンパク質は、餌と相互作用する能力が試されるタンパク質で、転写
活性化ドメインとの融合タンパク質として発現される。捕獲タンパク質は、ラン
ダムなペプチドを発現する組換え生物ライブラリーから得ることができる。 餌融合タンパク質は、大腸菌のLexAリプレッサータンパク質、又は酵母G
AL4タンパク質のような、任意の好適なDNA結合ドメインを使用して構築す
ることができる(Bartel等, BioTechniques (1993)14:920-924;Chasman等, Mol
.Cell.Biol.(1989)9:4746-4749;Ma等, Cell (1987)48:847-853;Ptashne等, Na
ture (1990)346:329-331)。 捕獲融合タンパク質は、GAL4,VP-16などのような任意の好適な活性
化ドメインを使用して構築することができる。捕獲タンパク質は、コードするタ
ンパク質の単離を促進するために、核局在化シグナル(Yulikomi等, EMBO J. (1
992)11:3681-3694;Dingwall及びLaskey, Trends Biochem. Sci. Trends Bioche
m. Sci. (1991)16:479-481)、又はエピトープタグ(Allen等, Trends Biochem.
Sci. Trends Biochem. Sci. (1995)20:511-516)のような有用部分を含んでも
よい。
【0031】 2-ハイブリッド系の限界は、餌又は捕獲融合体中に、タンパク質の膜貫通部
分が使用される場合に生じる。これは、多くの2-ハイブリッド系が、核内にお
いて機能的な転写活性化複合体の形成を行うことにより作用するように設計され
ているために生じる。タンパク質の膜貫通部分を使用すると、餌又は捕獲セグメ
ントの適切な結合、折り畳み、及び核移行を妨害する可能性がある(Ausubel等,
上掲;Allen等, Trends Biochem. Sci. (1995)20:511-516)。SREBP、S
CAP、S1P、及びS2Pは全て、膜通過ドメインを含んでいるため、「餌」
として好ましくは、膜貫通ドメインを欠失したSREBP経路タンパク質の誘導
体又は断片である。 レポーター遺伝子としては、適当な培地における成長により選択されるように
、細胞に対し発現を可能にするレポーター遺伝子のような検出可能な表現型を持
つ任意のものが使用できる(例えば、Chein等, PNAS(1991)88:9572-9582;及びG
yris等, Cell (1993)75:791-803により記載されたHIS3, LEU2など)。LacZやGFP
のような他のレポーター遺伝子は、視覚的にスクリーンニングされるように、細
胞に発現可能ならしめる(Chien等, 上掲)。 相互作用タンパク質が同定された後、そのタンパク質をコードするDNA配列
を単離することができる。
【0032】 抗体及びイムノアッセイ 配列番号2,4,6及び8によってコードされるSREBP経路タンパク質、
及び上述したようなもののようなその誘導体及び断片は、モノクローナル及びポ
リクローナル抗体及び抗体断片又は誘導体(例えば、キメラ、一本鎖、Fab断
片)を作製するための免疫原として使用されてもよい。SRE結合ドメインのよ
うなSREBP経路タンパク質の特定のドメインに対する抗体が望まれる。特定
の実施態様では、親水性として同定されたSREBP経路タンパク質の断片が当
該分野で既知の方法を使用する抗体生産のための免疫原として使用される。抗体
作製のための種々の公知の方法には、無菌動物(PCT国際公開番号第90/0
2545)でのモノクローナル抗体の作製、ヒト又は他のハイブリドーマ(Cole
等, PNAS (1983)80:2026-2030;Cole等, Monoclonal Antibodies and Cancer Th
erapy (1985) Alan R. Liss, pp.77-96)、及びヒト化抗体の作製(Jones等, Na
ture (1986) 321:522-525;米国特許第5,530,101号)が含まれる。特
定の実施態様では、SREBP経路ポリペプチド断片は、特に、キャリアータン
パク質と結合される場合に、特異的抗原及び/又は免疫原を提供する。例えば、
ペプチドはキーホールリンペット抗原(KLH)と共有結合され、結合物はフロ
イト完全アジュバント中でエマルジョン化される。研究用ウサギに、常法に従っ
て免疫し、飼育する。特異的な抗体の存在は、固定化した抗原ポリペプチドを用
いて、固相免疫吸着法によりアッセイされる。作製された抗体の特異的活性又は
機能は、簡便なインヴィトロのアッセイ、細胞を利用したアッセイ、又はインヴ
ィボのアッセイ:例えば、インヴィトロ結合アッセイなど、により決定してもよ
い。結合親和性は、抗原-抗体相互作用の平衡定数を決定することによりアッセ
イしてもよい(通常は、少なくとも約107-1、好ましくは少なくとも約108-1 、さらに好ましくは少なくとも約109-1)。
【0033】 イムノアッセイは、SREBP経路タンパク質と相互作用又は結合するタンパ
ク質の同定のために使用できる。様々なアッセイが、野生型SREBP経路タン
パク質と結合するタンパク質、又は結合と競合するタンパク質の能力を試すのに
、又は抗SREBP経路タンパク質抗体との結合能を試すのに利用できる。好ま
しいアッセイには、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素連結免疫吸着アッ
セイ)、免疫放射測定アッセイ、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、インサ
イツ免疫アッセイ(例えば、金コロイド、酵素又は放射性同位体標識の利用)、
ウェスタンブロット、沈降反応、アグルチニン化アッセイ(例えば、ゲルアグル
チニン化アッセイ、ヘマグルチニン化アッセイ)、完全固定アッセイ、免疫蛍光
アッセイ、プロテインAアッセイ、免疫電気泳動アッセイなどが含まれる。
【0034】相互作用化合物の同定 新たなSREBP経路遺伝子又はSREBP経路相互作用遺伝子が同定されれ
ば、それらは、潜在的な薬剤又は殺虫剤の標的として評価され得る。仮想的薬剤
及び分子は、昆虫、線虫、及び他の無脊椎後生小動物の個体に適用することが可
能で、SREBP経路活性を調節する(例えば、阻害又は促進する)化合物の能
力を観察し得る。あるいは、SREBP経路に対する種々の化合物の効果は、一
又は複数のSREBP経路タンパク質及び関連タンパク質を発現するように設計
された細胞を利用してアッセイできる。 線虫を用いた化合物のアッセイ 典型的な線虫アッセイでは、試験される化合物は、DMSO又は他の有機溶媒
中に溶解し、種々のテスト濃度のバクテリア懸濁液、好ましくはOP50菌株(
Brenner, Genetics(1974)110:421-440)と混合し、線虫の餌として与える。処理
される線虫集団は、同調された幼虫(Sulston及びHodgkin, The Nematode C. el
egans (1988) Wood編集、Cold Spring Habor Laboratory Press, Cold Spring H
abor, New York)、又は成虫又は動物の発生段階が入り交じった集団であり得る
。 成虫及び幼虫の線虫は、種々の濃度の化合物、典型的には、1 mg/mlから0.001
mg/mlの範囲で処理される。動き及び成長の減退のような行動異常、及び形態異
常、生殖不能、及び致死が、急性及び慢性的に処理した成虫及び幼虫の線虫にお
いて検査される。急性のアッセイにおいては、幼虫及び成体線虫は、化合物の添
加後速やかに検査され、5から6時間の間、周期的(30分毎)に再検査される
。慢性的又は長期的なアッセイが線虫において実施され、処理された線虫の行動
が4から5日間、8から12時間毎に検査される。ある環境では、最大の効果を
得るには、24時間毎に処理された線虫に化合物を再適用する必要がある。 昆虫を用いた化合物のアッセイ 経口的(合成食餌への添加、試験生物により消費される植物又は捕獲物への添
加を含む)、局所的(噴霧、動物に直接化合物を適用する方法、動物を化合物処
理した表面と接触可能ならしめる方法を含む)な方法、又は注射による方法を含
む種々の方法により、化合物を昆虫に対して投与することができる。疎水性分子
は、通常有機溶媒中に溶解しなくてはならず、これは、メタノールやアセトンの
場合は揮発させることができ、又は摂取を促進するために低濃度で含有する(エ
タノール、ジメチルスルホキシド)。
【0035】 通常、昆虫アッセイにおける第1工程は、化合物に対する慢性的暴露後の昆虫
の最小致死投与量(MLD)の決定である。化合物は、通常DMSOで希釈され
、生後0から48時間の胚及び幼虫を育む食餌の表面に添加される。MLD以外
に、この工程では、無処理の幼虫と比較した、ふ化する卵の割合、それらがどの
ように移動/食餌をするかといったような幼虫の行動、蛹になる割合、及び羽化
(蛹殻から成虫への変態)する割合、を決定することができる。これらの結果に
基づいて、さらに短い暴露時間による、より詳細なアッセイを計画でき、幼虫は
明確な形態的欠損を見つけるために解剖することも可能であろう。MLDが決定
されると、さらに特異的な急性又は慢性のアッセイが計画できる。 典型的な急性のアッセイでは、化合物は、胚、幼虫、又は成虫のための食餌の
表面に塗布され、2時間後及び一晩インキュベーション後に観察される。胚へ適
用される場合、発生中における欠損、及び成虫まで生存する割合が決定される。
幼虫において、行動、移動運動、及び脱皮における欠陥が観察される。成虫への
適用において、行動的及び神経的欠陥が観察され、受精率への影響が注目される
。 慢性的暴露アッセイでは、成虫は、化合物を含むバイアル中に48時間置かれ
、その後、きれいな容器に移され、受精率、神経欠損、及び致死が観察される。
【0036】 細胞培養を利用した化合物のアッセイ また、SREBP経路活性を調節(例えば、阻害又は増強)する化合物は、細
胞培養を使用してアッセイされうる。ある実施態様では、S1Pのプロテアーゼ
活性を変化させる化合物がテストされる。dS1P及び/又は他のSREBP経
路遺伝子を発現している細胞に添加された種々の化合物は、プロテアーゼ活性の
測定に基づいたSREBP経路遺伝子の活性を調節するその能力についてスクリ
ーニングされる。プロテアーゼ活性の変化のアッセイは、内在性の正常又は突然
変異体SREBP経路遺伝子を発現している培養細胞において実施され得る。ま
た、そのような研究は、これらの遺伝子又はそれらの機能的ドメインを発現する
ことが可能なベクターを形質移入した細胞においても実施可能である。さらに、
そのようなアッセイにおいて測定されるシグナルを増強するために、細胞にdS
1Pタンパク質をコードする遺伝子が同時形質移入されてもよい。 例えば、細胞は可溶性又は膜結合性のdS1Pで形質移入され、溶解されても
よい。溶解物は、本質的には記載されているような(Cheng D.等, J.Biol.Chem.
(1999)274:22805-22812)蛍光性ペプチドを用いて、ハエSREBPの部位1に
おける切断に対応するペプチドを処理する能力が測定され得る。選択的にdS1
P活性を調節する化合物が、dS1P特異性を有する潜在的な薬剤の候補として
同定される。
【0037】 潜在的な医薬的化合物としての小さな分子及び化合物の大規模な化学ライブラ
リーからの同定は、ハイスループットスクリーニング(HTS)法(Bolger, Dr
ug Discovery Today (1999)4:251-253)を必要とする。ここで言及される幾つか
のアッセイが、そのようなスクリーニング方法に対して役立ち得る。例えば、野
生型又は突然変異体dS1Pタンパク質又は誘導体及びレポーター遺伝子を発現
させている細胞又は細胞株は、対象の化合物で処理され得る。相互作用は、カラ
ー検出、蛍光検出(例えばGFP)、オートラジオグラフィー、シンチレーショ
ン分析のようなレポーター遺伝子に依存した種々の方法を用いて測定され得る。
【0038】インヴィボ及びインヴィトロにおけるSREBP経路遺伝子の機能及び機能障害 モデル シー・エレガンス及びショウジョウバエのようなモデル動物を遺伝学的に修飾
したインヴィボのモデル、及びSREBP経路遺伝子を発現し又は異常な発現を
する遺伝学的に設計された細胞株のようなインヴィトロのモデルの双方が、脂質
代謝及び異常脂質代謝に関連した疾患を研究するのに有用である。以下により詳
細に記載され、また実施例中に記載されているように、そのような検出可能な表
現型を示すモデルは、SREBP経路遺伝子又は他の対象遺伝子、及び/又はS
REBP経路タンパク質の突然変異体又は異常な発現に関連した表現型の同定及
び性質決定に利用することができる。ここで使用される「異常な発現」という用
語は、遺伝子変異による異常な発現にまで包含するものである。従って、異常発
現されたSREBP経路タンパク質は、野生型とは異なるアミノ酸配列を有する
もの(即ち、それは正常タンパク質の誘導体である)であってよい。また、異常
に発現されたSREBP経路タンパク質は、一又は複数のアミノ酸が欠失したも
のであり、従って、正常タンパク質の「断片」となる。ここで用いられる「異常
な発現」は、また、過発現(例えば、複数の遺伝子コピーをもつ場合)、少ない
発現、及び発現しない(例えば、ノックアウト又は正常に発現するにも拘わらず
発現を阻害する場合)場合を含む。インヴィボ及インヴィトロのモデルに関する
以下の考察の中で使用されているように、「対象の遺伝子」という用語は、SR
EBP経路遺伝子(即ち、SREBP、SCAP、S1P、及びS2P)又はS
REBP経路の制御又は調節に関与するいずれかの遺伝子のことを意味する。そ
のような遺伝子には、HMG-CoA合成酵素、HMG-CoA還元酵素、ファル
ネシン脱リン酸合成酵素、スクアレン合成酵素、脂肪酸合成酵素、アセチル-C
oAカルボキシラーゼ、グリセロール-3-リン酸アセチルトランスフェラーゼ、
アシル-CoA結合タンパク質、ステロイルCoAデサチュラーゼ-1、リポプロ
テインリパーゼ、及びLDLレセプター、のようなコレステロール又は脂肪酸の
生合成又は代謝に関わる遺伝子が含まれる。
【0039】 インヴィボ及びインヴィトロのモデルは、それらが、1)一又は複数のSREB
P経路遺伝子の欠落及び/又は挿入を持ち、2)SREBP経路遺伝子に由来す
る干渉RNA配列を保有し、3)変異した一又は複数の内在性SREBP経路遺
伝子(例えば、SREBP経路遺伝子又はその経路における他の遺伝子の欠失、
挿入、再編成、又は点突然変異)を有し、及び/又は4)そのような遺伝子の野
生型又は変異体の異常な発現のための挿入遺伝子を包含するように、遺伝学的に
設計され修飾されたものであってよい。このような、インヴィボ及びインヴィト
ロにおいて遺伝学的に修飾されたモデルは、SREBP経路遺伝子及び/又は遺
伝子産物の合成、活性化、コントロールなどに関与する新たな遺伝子を同定する
のに有用である。さらに、コレステロール及び/又は脂肪酸の合成又は代謝に関
与する他の対象遺伝子が同定され得る。その新規同定遺伝子は、可能性として殺
虫剤の標的(非生存性、正常発生の阻害、摂食欠損、行動欠損、又は繁殖欠損の
ような動物モデルの表現型により判断される)を構成することができ得る。ある
いは、又は付加的に、それらは、可能な治療上の、特に、代謝の疾病及び疾患、
例えば、コレステロールの合成、代謝、及び他の脂肪酸疾患の領域において、標
的となる可能性がある。また、そのモデル系は、SREBP経路と相互作用する
潜在的殺虫剤又は治療上の化合物をテストするのに使用することができる。例え
ば、その化合物は、いずれか適当な方法(例えば、直接接触、摂食、注射など)
を使用してモデル系に投与し、脂質含量または致死性における変化のような表現
型における何らかの変化が観察され得る。使用可能な様々な遺伝学的な技術及び
発現修飾法は、当該技術分野において周知であり、化学的変異導入、トランズポ
ゾン変異導入、アンチセンスiRNA、dsRNAi,及び挿入遺伝子媒介異常
発現などが含まれる。
【0040】 変異導入による機能欠損(loss of fuction)変異の産生 無脊椎動物の後生動物のSREBP経路遺伝子における機能欠損変異は、幾つ
かの当該技術分野において公知の変異導入方法により産生される(Ashbuner, Do
rosophila melanogaster: A Laboratory Manual (1989), Cold Spring Harbor,
NY, Cold Spring Harbor Press:pp.299-418;Greenspan RJ, Fly pushing:The Th
eory and Practice of Drosophila melanogaster Genetics (1997) Cold Spring
Harbor Press, Plainview, NY; Wood 上掲)。遺伝子又はゲノムに変異を導入
するための技術には、放射線照射(例えば、X線、UV、又はγ線);薬品(例
えば、EMS、MMS、ENU、ホルムアルデヒドなど);及び転移エレメント
による挿入的突然変異で、それには、下記で論ずるような、トランスポゾン挿入
又はトランスポゾン媒介欠失により誘導される発育不全、例えば、オスの組換え
などが含まれる。遺伝子の発現を減少させる他の方法には、アンチセンス;二重
鎖RNA干渉;ペプチド及びRNAアプタマー;部位特異的欠失;相同組換え;
ドミナントネガティブ対立遺伝子;及びイントラボディーなどが含まれる。
【0041】 トランスポゾンの挿入又は切除による機能欠損表現型の産生 転移可能なエレメントは、コードされるタンパク質が適切に発現されないよう
に対象の遺伝子に配列を挿入するのに特に有用で、機能欠損表現型を持つ「ノッ
クアウト」動物を作製するのに有用である。幾つかの使用可能な適切な転移可能
エレメントが存在する。ショウジョウバエのPエレメント(Rubin及びSpradling
, Science (1982)218:348-53;米国特許第4,670,388号)、シー・エレ
ガンスのTc1(Zwaal等, Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. (1993)90:7431-7435;
及びCaenorhabditis elegans: Modern Biology Analysis of an Organism (1995
) Epstein及びShakes, 編集)を用いるにあたり、技術は十分に確立している。
他のTcl-様転移可能エレメントとして、ピギーバック、ホボ、及びヘルメス
(Thibault等, Insect Mol Biol (1999)8:119-23)のような種々の昆虫種におい
て機能する転移可能エレメントと同様に、ミノス、マリナー、スリーピングビュ
ーティー、などが使用可能である。
【0042】 Pエレメントは、Pエレメントを包含する動物の検出を可能ならしめる一又は
複数のエレメントを含み、ショウジョウバエのSREBP経路遺伝子の機能欠損
突然変異の単離に適している。Drosophila white 又はrosy 遺伝子(Rubin及びS
pradling, Science (1982)218:348-353;及びKlemenz等, Nucleic Acids Res. (
1987)15(10):3947-3959)の誘導体のような、ショウジョウバエの眼色に影響を
及ぼすようなマーカー遺伝子が非常にしばしば用いられる。しかしながら、原則
的には、トランスジェニック動物における表現型の変化を信頼性よく、且つ簡便
にスコアし得るいずれかの遺伝子がマーカーとして使用される。種々の他のマー
カーには、アンピシリン耐性(Steller 及びPirrotta, EMBO.J.(1985)4:167-171
);及び対象の発生に伴う発現パターンによりエンハンサーの存在を検出するた
めの弱い一般的なプロモーターに融合されたlacZ配列(Bellen等, Genes Dev.(19
89)3(9):1288-1300)のような選択マーカーを持つバクテリア性のプラスミド配列
が含まれる。突然変異導入にとって有用な顕著なPエレメントの他の実施例が報
告されている(Nucelic Acids Research (1998)26:85-88;及びhttp://flybase.
bio.indiana.edu)。
【0043】 最近、様々な昆虫及び他の種の変異した眼を持つ動物において、以下の遺伝子
導入に適した導入遺伝子システムについて、記述された(Berghammer等, Nature
(1999)402:370-371)。眼の組織で普遍的かつ限定的に発現される人工的なプロ
モーターが、GFPのような普遍的マーカーの発現を動かす。好ましいプロモー
ターには、TATAボックスの前に存在するPax-6ホモダイマーに対する3
つの結合サイト(Sheng等, Genes Devel. (1997)11:1122-1131)が含まれる。こ
の系は、ヘルメス、ピギーバック、又はマリナー又は汎親和性レトロウィルス由
来のトランスポゾンを基礎としたベクターのような(Jordan等, Insect Mol Bio
l(1998)7:215-222;米国特許番号5,670,345号)、広範囲の動物種に対
して導入遺伝子を移入することができるベクターを介して導入される。 様々な研究グループが、ゲノムにランダムに挿入することによる新規の機能欠
損突然変異を産生している(Sparadling等, Genetics(1999)153:135-77)P-挿
入の多数のコレクションを構築している。P-エレメント配列は公知なので、各
トランスポゾン挿入に隣接するゲノム配列は、Pエレメントが対象の遺伝子中に
存在するか否かを決定するために、プラスミドレスキュー(Hamilton等, PNAS(1
991)88:2731-2735)か、又は逆ポリメラーゼ鎖反応(Rehm, http://www.fruitfl
y.org/methods/)の何れかにより決定され得る。
【0044】 ショウジョウバエにおける好ましいトランスポゾン突然変異導入法は、Tower
等(Genetics(1993)133:347-359)により記載される「ローカルホッピング」法
を用いている。それぞれの新規P挿入系列は、PCRに基づくアッセイにより、
Pエレメントの対象の遺伝子(例えば、dS1P)への遺伝子転移に関し、分子
的にテストすることができる。各反応において、Pエレメント内に含まれる配列
と相同性を有す一のPCRプライマーが使用され、第二のプライマーは、対象遺
伝子のコード領域又は隣接領域と相同性を有する。PCR反応産物は、アガロー
スゲル電気泳動により検出される。得られたDNA断片のサイズから、対象遺伝
子に対するPエレメント挿入部位が分かる。あるいは、対象遺伝子のゲノムDN
A又はcDNAに由来するDNAプローブを用いたサザンブロッティング及び制
限酵素地図が、遺伝子のゲノムDNAを再編成する遺伝子転移現象を検出するの
に用いることができる。対象遺伝子をマップするP遺伝転移現象により、同型接
合性又は異型結合性突然変異ショウジョウバエにおける表現型に対する影響を評
価することができる。
【0045】 他の実施態様において、対象遺伝子におけるPエレメントを保持しているショ
ウジョウバエの系列は、「不正確な切除」法(Kaiser, Bioessays(1990)12(6):2
97-301;Harnessing the power of Drosophila genetics, In Drosophila melan
ogaster: Practical Uses In Cell and Molecular Biology, Goldstein and Fyr
berg, 編集, Academic Press Inc. San Diego, California)を用いた局在化欠
失を産生するのに使用され得る。特に、この方法は、対象遺伝子を破壊するPエ
レメントの遺伝子転移が見いだされない場合、有用である。簡単には、対象遺伝
子の近傍に挿入されたPエレメントを保持するハエは、更に、エレメントの切除
を誘導するトランスポゼースに暴露される。トランスポゾンの切除を行った子孫
は、典型的には、遺伝子移入エレメントと関連する眼色マーカーの欠損により同
定される。その結果得られた子孫には、Pエレメントの切除又は不正確な切除が
施されたハエが含まれ、その場合、不正確な切除により、しばしばPエレメント
部位の近傍のゲノムDNAが欠失する結果となる。そのような子孫は、対象遺伝
子からゲノム配列を取り除く欠失を同定する分子技術によりスクリーニングされ
、同型接合性又は異型結合性突然変異ショウジョウバエ表現型に関する影響を評
価することができる。我々は、ショウジョウバエSREBP領域のエンハンサー
/5’UTR領域における小さな欠失を産生するために本方法を用いた。この領
域における本来のPエレメント挿入は動物に対して致死性を示さないが、これに
対応した切除、つまりPエレメントのほとんどの部分を無傷で残し、ゲノムDN
Aの〜450bpを除去する切除は、同型接合性致死で、ショウジョウバエSR
EBPを除去する広範な欠損に及ぶような致死であった。欠失対立遺伝子は、更
なる遺伝子の突然変異を単離するのに使用され、ショウジョウバエSREBPの
機能を更に調べるのに使用され得る。 Pエレメント転移は、「オス組換え(Preston等, Genetics(1996)144:1623-38
)」の方法により、さらに染色体欠失及び重複を引き起こし得る。P媒介生殖系
列の組換え(即ち、生殖系列における対合染色体間での交差)が、オス及びメス
の両方において生じるが、組換えは、通常組換えの起こらないオスにおいてより
顕著である。オス組換えは、欠失及び隣接する染色体DNAの相互重複を頻繁に
誘導する。
【0046】 シー・エレガンスにおいて、Tc1転移可能エレメントは、対象遺伝子の特異
的突然変異に対して利用可能である。典型的には、Tc1ライブラリーは、Tc
1転移可能エレメントが高度に転移し、ハイコピー数で存在する系列を使用し、
Zwaal等、上掲及びPlasterk, 上掲の方法により調製される。ライブラリーは、
Tc1に特異的な一組のプライマー及び遺伝子に特異的な一組のプライマーを使
用して、PCRによって対象領域におけるTc1挿入についてスクリーニングさ
れ、対象遺伝子内のTc1トランスポゾン挿入を含むシー・エレガンス系列が単
離される。Tc1挿入は、非コード配列への挿入又は挿入の影響をバイパスする
宿主転写装置の能力に起因して、しばしば遺伝子の機能を十分に破壊しないこと
がある。この場合、Tc1エレメントの不正確な切除は、対象遺伝子の欠失を同
定するのに利用することができる。実施例において詳細に記載するように我々は
、Tc1挿入による本方法を用い、その後ceSREBP対立遺伝子の部分欠失
を産生するため、不正確な切除を行った。
【0047】 RNAに基づく方法を利用した機能欠損表現型の産生 SREBP経路遺伝子は、アンチセンスRNA(Schubiger及びEdgar, Method
s in Cell Biology(1994)44:697-713)のような、RNAに基づく方法により対
象の動物における機能欠損表現型を作製することにより、同定され、及び/又は
性質決定され得る。アンチセンスRNA法の一形態は、対象遺伝子(この場合、
配列番号:1,3,5又は7のSREBP経路遺伝子のいずれか)に部分的に相
同なアンチセンスRNAを胚に注射することによる。アンチセンスRNA法の他
の形態には、一般に動物個体全体又特異的な組織においてアンチセンスRNAを
高発現させ得る強力なプロモーターに対して、アンチセンスの方向で対象遺伝子
の一部と動作可能に連結することによる、対象遺伝子と部分的に相同なアンチセ
ンスRNAの発現が含まれる。アンチセンスRNAにより誘起される機能欠損表
現型は、これまでに、cactus, pecanex及びkruppel(LaBonne等, Dev.Biol.(198
9)136(1):1-16;Schuh及びJackle, Genome (1989)31(1):422-425;Geisler等, C
ell(1992)71(4):613-621)を含む幾つかのショウジョウバエ遺伝子について報告
されてきた。 また、機能欠損表現型は共サプレッション法(Bingham, Cell(1997)90(3):385
-387;Smyth, Curr.Biol. (1997)7(12):793-795;Que及びJorgensen, Dev.Genet
.(1998)22(1):100-109)によっても作製することができる。共サプレッションは
、対象遺伝子の部分的セグメントに相当するセンス鎖RNAの発現又はインジェ
クションにより引き起こされる遺伝子発現の減少の事である。共サプレッション
効果は、機能欠損表現型を産生するために植物及びシー・エレガンスにおいて広
く用いられてきており、ショウジョウバエにおいて、共サプレッションについて
一つの報告があるが、その中で、Adh遺伝子の減ぜられた発現は、共サプレッシ
ョン法を用いてwhite-Adh遺伝子転移から誘導されるものであった(Pal-Bhadra
等, Cell(1997)90(3):479-490)。
【0048】 機能欠損表現型を産出するための他の方法は、二重鎖RNA干渉によるもので
ある。この方法は、遺伝子のコード領域に由来する二重鎖RNAの干渉特性に基
づくもので、シー・エレガンスの遺伝学的研究において優れた有用性を持つこと
が証明されており(Fire等, Nature (1998)391:806-811)、ショウジョウバエに
おいても機能欠損表現型を産出するために利用することができる(Kennerdell及
びCarthew, Cell(1998)95:1017-1026;Misquitta及びPatterson PNAS (1999)96:
1451-1456)。本方法の一実施例において、SREBP経路遺伝子のような対象
遺伝子の本質的な部分に由来する相補的なセンス及びアンチセンスRNAがイン
ヴィトロにおいて合成される。得られたセンス及びアンチセンスRNAはインジ
ェクション用緩衝液中でアニールされ、二重鎖RNAは、動物にインジェクトさ
れるか又は他の方法により導入される。その後、インジェクトされた動物の子孫
は、注目する表現型に関し検査される(PCT出願、国際公開第99/3261
9号)。他の方法の実施態様において、十分な濃度のdsRNAを含む溶液中に
浸すことによりdsRNAを動物へ導入することができる。他の方法の実施態様
では、SREBP経路遺伝子に由来するdsRNAは、インヴィボにおいて、セ
ンス及びアンチセンスの方向のSREBP経路遺伝子配列と動作可能に連結され
適切に配置されたプロモーターからセンス及びアンチセンスRNAの双方を同時
に発現させることができる。さらに他の方法の実施態様では、dsRNAが、該
動物の餌として供される第二の生物の細胞内でdsRNAが発現するように設計
することにより、該動物へ送達されることが可能である。実施例には、シー・エ
レガンスに食べさせる大腸菌中でdsRNAの発現を設計すること、ショウジョ
ウバエに食べさせるパン酵母中でdsRNAの発現を設計すること、又は、コロ
ラドハムシ(Leptinotarsa)又はタバコガ(Heliothis)などの植物を摂取する
昆虫に食べさせる遺伝子導入植物でdsRNAの発現を設計することを含む。
【0049】 実施例5にて詳細に述べてあるように、我々は、シー・エレガンスを用いて特
異的に腸管表現型を作製するために、dsRNAiのインジェクション、浸漬、
及び食餌方法を使用した。また、ショウジョウバエの胚へdsRNAをインジェ
クションする方法も使用した。この実験のために、ショウジョウバエSREBP
配列のアミノ末端に伸展するコード配列の〜2kbのdsRNA断片が作製され
た。初期胚としてインジェクトされた動物は、通常、幼虫発生期の間に死に至る
ことから、ショウジョウバエSREBPは生存に対して必須であることが示され
る。 最近、RNAiが、標的タンパク質の発現を阻害するために、ショウジョウバ
エの培養細胞中においてうまく使用されている(Dion Lab, University of Mich
igan, http://dixonlab.biochem.med.umich.edu/protocols/RNAiExperiments.ht
ml)。従って、SREBP経路構成因子の機能を乱し、研究するため、及び当該
経路の操作を含む治療的手段を確実にするために、培養細胞株を、RNAiを用
いて操作することができる。
【0050】 RNAiは、ショウジョウバエの組織培養細胞中で一又は複数の遺伝子を選択
的に同時に不活性化することが可能であるとの知見は、SREBPの活性化を制
御する遺伝子をスクリーニングする更なる方法を提供する。このスクリーニング
において、RNAiは、制御遺伝子の発現を抑制し、従って、その遺伝子機能を
特異的に標的とする薬剤の機能を模倣する。ショウジョウバエの組織培養細胞中
でRNAiを行う方法は、ショウジョウバエゲノムの遺伝子の一部又は全てがR
NAiにより不活性化され、制御遺伝子として試験されるような大規模な場合で
も実施可能である。EST及びショウジョウバエの全ゲノム配列に基づき、これ
らの遺伝子に対する二重鎖RNAi分子のライブラリーが、発現の方向に配向さ
れたT7プロモーターからインヴィトロ転写により構築される。センス及びアン
チセンスRNA鎖は、アニールされ、各々のウェルがゲノム上の異なる遺伝子に
対して作製された異なるRNAi分子を含むように96ウェルプレートにアレイ
化される。
【0051】 野生型S2又はSREBP機能をアッセイするために特別に操作されたS2細
胞のような、ショウジョウバエ組織培養細胞の一定量が、96ウェルプレートに
注入される。RNAiライブラリー由来の96の異なるdsRNAの各々の一定
量が、ショウジョウバエ細胞を含む異なるウェルに添加される。従って、96ウ
ェルプレートの各々のウェルは、ゲノム中の異なる遺伝子に対応する異なるRN
Ai分子を含む。RNAiライブラリーの導入に引き続き、細胞はSREBP活
性化についてアッセイされる。このようなアッセイにより、膜結合型SREBP
の減少、核へのSREBPの移行、SREBPのリン酸化、又はSREBPによ
り転写されるか若しくは間接的な標的遺伝子の転写(「遺伝子発現における変化
についてのアッセイ」の項で記述さるように、脂肪酸合成又はATPクエン酸脱
離酵素など)の増加が測定される。RNAi処理細胞及び無処理のコントロール
細胞中でのSREBPの活性化における変化から、制御遺伝子に対して行われた
RNAi分子がこのような変化を引き起こすことが示される。SREBPの活性
化を上方制御又は下方制御する遺伝子を明らかにするようにアッセイを計画する
ことができる。
【0052】 ペプチド及びRNAアプタマーを使用する機能欠損表現型の作製 機能欠損表現型を作製するための他の方法は、タンパク質機能のドミナントな
阻害因子として作用するペプチド又は小分子ペプチドであるペプチドアプタマー
を使用することによる。ペプチドアプタマーは、標的タンパク質に特異的に結合
し、それらの機能的な能力を阻害する(Kolonin及びFinley, PNAS (1998)95:142
66-14271)。ペプチドアプタマーの高い選択性の性質により、特異的タンパク質
を標的するだけでなく、タンパク質(例えば、タンパク質分解機能)の特異的機
能をも標的する。さらに、ペプチドアプタマーは、時期的、空間的又は誘導可能
な方法で発現を制御するプロモーターの使用による制御様式で発現させてもよい
。ペプチドアプタマーは、優位的に作用する;従って、機能欠損突然変異が利用
できないタンパク質を解析するために使用可能である。 高い親和性及び特異性で標的タンパク質と結合するペプチドアプタマーは、当
該技術分野において公知の様々な技術により単離される。ある方法において、そ
れらは、酵母の2-ハイブリッドスクリーニング(Xu等, PNAS (1997)94:12473-1
2478)によりランダムペプチドライブラリーから単離される。また、それらは、
ファージライブラリー(Hoogenboom等, Immunotechnology (1998)4:1-20)又は
、化学的に作製されたペプチド/ライブラリーから単離してもよい。
【0053】 RNAアプタマーは、遺伝子のタンパク質機能を特異的に阻害することができ
る、特異的な対タンパク質RNAリガンドである(Good等, Gene Therapy (1997
)4:45-54;Ellington等, Biotechnol.Annu.Rev.(1995)1:185-214)。インヴィト
ロにおける選択方法は、選択的特異性を持つRNAアプタマーを同定するために
使用することができる(Bell等, J.Biol.Chem. (1998)273:14309-14314)。RN
Aアプタマーはショウジョウバエにおいてタンパク質の機能を阻害し得ることが
示されている(Shi等, Proc.Natl.Acad.Sci USA (1999)96:10033-10038)。従っ
て、RNAアプタマーはSREBP経路タンパク質若しくはその誘導体、又はS
REBP経路タンパク質と相互作用するタンパク質の発現を減少させるために使
用することが可能である。 遺伝子導入動物が、ペプチド又はRNAアプタマーをインヴィボで試験するた
めに生産される。(Kolonin, MG, 及びFinley, RL, Genetics, (1998)95:4266-4
271)。例えば、所望のアプタマーを発現させる遺伝子導入ショウジョウバエの
系統は、Pエレメントを介することにより作製されてもよい(下記に記載)。そ
の後、アプタマーを発現する子孫の表現型を性質決定することができる。
【0054】 イントラボディーを用いた機能欠損表現型の作製 細胞内で発現させた抗体若しくはイントラボディーとは、細胞内の標的分子と
特異的に結合して不活性化するように設計された一本鎖抗体分子である。イント
ラボディーは、細胞アッセイ及びショウジョウバエのような生物個体中にて用い
られてきた(Chen等, Hum.Gen.Ther. (1994)5:595-601;Hassanzadeh等, Febs L
ett.(1998)16(1,2):75-80及び81-86)。発現誘導可能なベクターは、SREBP
経路タンパク質と特異的に反応するイントラボディーについて構築され得る。こ
れらのベクターは、モデル生物に導入され、アプタマーに対して上述したような
方法で研究される。
【0055】 遺伝子導入 典型的には、SREBP経路遺伝子(ゲノムDNA又はcDNAから)、又は
アンチセンスRNA、共抑制RNA、干渉dsRNA、RNAアプタマー、ペプ
チドアプタマー、又はその制御がよく特徴づけられていて、通常は異種性のプロ
モーター/エンハンサー(即ち、発現されるREBP経路遺伝子に対して本来の
ものではないプロモーター/エンハンサー)であるような特異的なプロモーター
及び転写ヘンハンサーと動作可能に連結されたイントラボディーをコードするよ
うに設計された遺伝子のコード領域の融合遺伝子を包含するような、遺伝子導入
動物が作製される。遺伝子導入動物又は組換体細胞を作製するための、動物ゲノ
ム又は培養細胞へ外来性の核酸配列を導入する方法は、周知である。無脊椎動物
に対して、最も一般的な方法には、転移可能なエレメントを使用することが含ま
れる。 機能欠損表現型を作製することに加え、転移可能なエレメントは、結果として
遺伝子の異常発現を引き起こす動物ゲノムのいずれかの領域へ付加的な遺伝子と
して、対象の遺伝子、又は突然変異又はその誘導体を取り込むのに使用できる。
遺伝子導入ショウジョウバエの遺伝子の異常発現のために、特に設計された好ま
しいベクターは、pGMR(Hay等, Development (1994)120:2121-2129)に由来
する。それは、9Kbの長さで、以下のものを含む:大腸菌の複製起点;アンピ
シリン耐性遺伝子;挿入配列を転移させるためのPエレメントトランスポゾン端
;White選択遺伝子;hsp70エンハンサーのTATA領域を含む発現ユニット及び
αチューブリンの3’非翻訳領域である。発現ユニットには、エンハンサー挿入
用に設計された第一のマルチクローニング部位(MCS)、及びその500ベー
ス下流に位置する対象遺伝子を挿入するために設計された第二のMCSが含まれ
る。相同組換又は遺伝子標的技術は、動物の相同遺伝子の一つ及びそのコピーの
両方を対象の遺伝子と置換するのに使用し得る。遺伝子導入は、外来性又は内在
性のプロモーターエレメントの制御下におくことが可能で、小さな遺伝子又は大
きなゲノム断片として挿入可能である。一適用例において、遺伝子機能は、例え
ばショウジョウバエ(Brand等, Methods in Cell Biology(1994)44:635-654)又
はシー・エレガンスを用いて異所的発現により解析される(Mello及びFire, Met
hods in Cell Biology (1995)48:451-482)。
【0056】 典型的には、遺伝子は、若い成虫の雌雄同体の卵巣へのインジェクションによ
りシー・エレガンスへ導入される。線虫へ高濃度で導入された環状DNAは、通
常、「外来性染色体アレイ」を形成するためにコンカテマーを形成し、典型的に
は、インジェクトされた数百もの配列を含み、10%から90%の割合で安定に
移入される。アレイを保持する動物へX線を照射することにより、導入遺伝子を
染色体上へ組み込むことが可能である(Epstein及びShakes, 上掲)。好ましい
実施態様において、SREBP経路遺伝子の異常発現を目的とした融合遺伝子は
、rol-6のような優性選択マーカーを含むプラスミドと共に線虫へインジェクト
されるベクターへ組み込まれる。遺伝子導入動物は、ローラー表現型を示すもの
として同定され、また、SREBP経路遺伝子の異常発現により創り出される興
味深い更なる表現型について検査される。
【0057】 遺伝子導入動物を創り出すのに用いられる性質が詳細に決定された異種性プロ
モーターの例には、熱ショックプロモーター/エンハンサーが含まれ、温度によ
り誘導する異常発現に対し有用である。ショウジョウバエでは、これらにhsp70
、及びhsp83遺伝子が含まれ、シー・エレガンスでは、hsp16-2及びhsp16-41が含
まれる。また、組織特異的なプロモーター/エンハンサーも有用であり、ショウ
ジョウバエでは眼における発現に有用なアイレス(Mozer及びBenzer, Developme
nt(1994)120:1049-1058)、セブンレス(Bowtell等, PNAS(1991)88(15):6853-68
57)、及びグラス応答プロモーター/エンハンサー(Quiring等, Science(1994)2
65:785-789)など;及び羽における発現に有用なdpp又はベスチガル遺伝子に由
来するエンハンサー/プロモーターなどである(Staehaling-Hampton等, Cell Gr
owth Differ. (1994)5(6):585-593;Kim等, Nature (1996)382:133-138)。シー
・エレガンスでは、有用な組織特異的なプロモーター/エンハンサーには、myo-2
遺伝子プロモーターが含まれ、咽頭の筋肉特異的発現に役立つ;hlh-1遺伝子プ
ロモーターは、骨格筋特異的な発現に有用で;遺伝子プロモーターは、タッチニ
ューロン特異的な遺伝子発現に有用である。最後に、通常、経路が活性化されて
いるような領域へドミナントアクティブ又はドミナントネガティブな導入遺伝子
を限定することが必要な場合、SREBP経路遺伝子のような経路における内在
性の遺伝子プロモーターを使用することは有用であろう。ショウジョウバエにお
いて、発生段階特異的で組織特異的なパターンの様々な遺伝子の異常発現を試験
する場合、外来性のDNAを用いる二成分コントロール系が有用である。二成分
による外来性制御システムの2つの例には、酵母に由来するUAS/GAL4系
(Hay等, PNAS(1997)94(10):5195-5200;Ellis等, Development(1993)119(3):85
5-865)、及び大腸菌由来の「Tet系」(Bello等, Development(1998)125:2193-2
202)が含まれる。UAS/GAL4系は、ショウジョウバエにおいて十分確立さ
れた強力な異常発現法で、酵母GAL4転写活性化タンパク質によるプロモータ
ー制御のためのUSA上流制御配列を用いている(Brand及びPerrimon, Devel
opment(1993)118(2):401-15)。このアプローチでは、異常発現が行われる対象
の遺伝子が、USAによりコントロールされる適切なプロモーターに動作可能
に融合されているような、「ターゲット」系と称される、遺伝子導入ショウジョ
ウバエが創り出される。眼、羽、神経系、腸、又は筋肉のような特異的な組織に
おいてGAL4活性化タンパク質の発現を指向するプロモーター/エンハンサー
とGAL4コード領域が動作可能に融合されているような、「ドライバー」系と
称される、他の遺伝子導入ショウジョウバエ系統が創り出される。対象遺伝子に
連結されるプロモーターから転写を誘導する転写活性化因子が欠如しているため
、ターゲット系において対象遺伝子は発現されない。しかしながら、UAS-タ
ーゲット系がGAL4ドライバー系と交配される場合、対象遺伝子の異常発現は
、生まれてくる子孫において、GAL4系に特徴付けられる特徴的なパターンで
誘導される。本方法は、技術的に簡便であるため、対象の遺伝子を保持する一の
遺伝子導入標的を作製し、ターゲット系を既存のドライバー系のパネルと交配す
ることにより、広範な様々な組織における対象の遺伝子に対する異常発現の影響
を、サンプリングすることを可能にする。
【0058】 「Tet」二成分コントロール系において、遺伝子導入ショウジョウバエのドラ
イバー系が創り出されるが、その場合、テトラサイクリンによりコントロールさ
れる転写活性化因子(tTA)が、組織特異的及び/又は発生段階特異的な様式でtT
Aの発現を指向するプロモーター/エンハンサーと動作可能に連結される。ドライ
バー系は、遺伝子導入ショウジョウバエのターゲット系と交配され、その場合、
異常発現されるべき対象遺伝子のコード領域はtTA応答性制御エレメントを保持
するプロモーターと動作可能に融合される。生まれてくる子孫に、十分量のテト
ラサイクリンが補充された食餌が与えられ場合、対象遺伝子の発現は阻害される
。対象の遺伝子の発現が、食餌からテトラサイクリンを除くことにより、随意に
、簡単に誘導され得る。従って、異常発現のための二成分系コントロール機構と
してTet系を使用することは、空間的コントロールに加え、対象遺伝子の異常発
現の増幅及びタイミングをコントロールする方法を提供する利点を有する。結果
的に、胚発生期若しくは幼虫期のような発生の初期段階で異常発現されると、対
象の遺伝子(例えば、SREBP経路遺伝子)が致死もしくは有害な影響を持つ
場合、成虫における対象の遺伝子の機能であっても、発生の初期段階において食
餌にテトラサイクリンを加え、成虫期においてのみ異常発現を誘導するために、
後にテトラサイクリンを除くことで評価することができる。 ドミナントネガティブな突然変異、つまり、タンパク質の野生型コピーの機能
を妨害する突然変異を引き起こし、且つ正常な遺伝子コピーの存在下において機
能欠損若しくは機能が低下した表現型が結果として生じるような突然変異は、公
知の方法(Hershkowitz, Nature(1987)329:219-222)を使用することで作製され
る。活性のある単体のタンパク質の場合、例えば、高活性プロモーターに突然変
異遺伝子を連結することにより達成される、不活性形態の過発現は、正常タンパ
ク質の総活性を著しく減少させるのに十分な天然の基質又はリガンドとの競合を
引き越す。あるいは、標的との事実上不可逆的な相互作用を形成するために、活
性中心のアミノ酸残基を変化させることができる。
【0059】遺伝子発現変化のアッセイ 種々の発現技術が、変異体SREBP経路遺伝子を発現する細胞株又は動物と
比較して、野生型のSREBP経路遺伝子を発現する細胞株又は動物間で差動的
に発現される遺伝子を同定するために使用される。そのような発現プロファイル
技術には、ディファレンシャルディスプレイ、遺伝子発現の連続的な解析(SAGE
)、遺伝子データーベースとカップルした転写プロファイル、核酸アレイ技術、
サブトラクティブ及びプロテオーム分析(例えば、マススペクトロメーター、及
び二次元タンパク質ゲル泳動)が含まれる。核酸アレイ技術は、一又は複数のS
REBP遺伝子における突然変異を持つ動物と比較して正常な動物における網羅
的(即ち、全ゲノムレベルでの)な遺伝子発現パターンを決定するのに使用され
る。また、遺伝子発現プロファイリングは、SREBP経路遺伝子(例えば、こ
れらの遺伝子のシグナル経路に関与するような)と機能的な関連性を有するよう
な他の遺伝子(又はタンパク質)を同定するのに使用することができる。そのよ
うな遺伝子は、SREBP経路遺伝子の突然変異(即ち、挿入、欠失又は置換又
は過発現、抑制発現、異常発現、ノックアウトなど)導入の後、それらの発現レ
ベルの変化を検出することにより同定される。 我々は、ショウジョウバエSREBP(dSREBP.CA)の活性型を異常
発現するハエにおいて上方制御し、従って、野生型動物におけるSREBP活性
化の転写ターゲット若しくは間接的なターゲットであると思われる遺伝子を同定
するために、転写プロファイリングを使用した。後述する実施例7にあるように
、我々は、幼虫の脂肪体においてdSREBP.CAを異常発現し、代謝表現型
を有するようなハエを作製した。我々は、突然変異体及び野生型の幼虫からmR
NAを単離し、放射活性ラベルしたcDNAを作製し、〜80の哺乳類代謝遺伝
子のショウジョウバエホモログを示すPCR産物がスポットされた同一のナイロ
ンフィルターを、別々にプロービングした。フィルター上の全てのスポットから
のシグナルは、ホスホイメージャーで定量され、野生型若しくは変異体mRNA
でプローブ化されたフィルター上の対応するスポットからの標準化されたシグナ
ルと比較される。我々の方法は、アトラスアレイシステム(Conetech, Palo Alt
o, CA)から適正化されたものである。この分析は、突然変異動物において上方
制御されたと思われる幾つかの遺伝子を同定した。野生型及び突然変異体幼虫か
らのmRNA、候補標的遺伝子から作製されたDNAプローブを用いたノザンブ
ロット分析は、プロファイリング実験を実証した。脂肪酸合成酵素及びATPク
エン酸脱酵素のショウジョウバエホモログは、最も強く上方制御され、各々10
及び4倍であった。両遺伝子は、脂肪酸の生合成に関与し、哺乳動物のSREB
P転写標的である。 これらの標的に関する知見は、インヴィボ及びインヴィトロにおけるショウジ
ョウバエSREBP活性をアッセイする方法を提供する。このためには、GFP
又はlacZのようなレポーター遺伝子にこれらの遺伝子の制御エレメントを融
合させたレポーターコンストラクトを作製することができる。このようなコンス
トラクトは、動物若しくは細胞に導入し、SREBP経路タンパク質の活性を変
化させるような遺伝学的、化学的な修飾を察せ異するために用いることが可能で
ある。
【0060】SREBP経路遺伝子突然変異と相互作用する表現型 変異が導入され、又は異常発現されるSREBP経路遺伝子又は阻害作用のあ
るRNAを保持するモデル動物を単離した後、動物は詳細に興味ある表現型に関
し調べられる。変異(即ち、欠失、挿入、及び/又は点突然変異)が導入された
SREBP経路遺伝子の解析のために、変更されたSREBP経路遺伝子に関し
同型接合性又は異型接合性である動物モデルを解析した。調べられる特異的な表
現型の実施例には、致死;生殖不能;動き、体型、体長及び体重、代謝、脂質蓄
積、食餌、発生、器官の形態形成、抱卵サイズ、走熱性などのような様々な動物
の特徴における変化が含まれる。ショウジョウバエに特に特徴的な幾つかの表現
型には:末梢感覚器官の形態形成、成虫原基、眼の発生、羽の発生、足の発生、
剛毛の発達、アンテナの発生、腸管の発生、脂肪体及び筋肉における変化が含ま
れる。線虫に特に特徴的な幾つかの表現型には:走化性、dauer構成的表現型、d
auer欠損表現型、及び、蒼白腸管表現型における変化が含まれる。シー・エレガ
ンスにおいて特に興味深い表現型は、蒼白腸管表現型で、脂質代謝における欠損
が示唆されており、下記及び実施例にてより詳細に議論してある。上述したよう
に、ceSREBP対立遺伝子の部分欠失及びceSRBP遺伝子断片を使用し
たdsRNAiは、この蒼白腸管表現型を産生する。
【0061】 SREBP経路遺伝子を含むゲノム配列は、突然変異体表現型をレスキューす
ることにより、昆虫又は線虫に現存する突然変異体が一又は複数のSREBP経
路遺伝子の突然変異に相当するのかどうか確証するのに使用され得る。簡単に言
うと、対象のSREBP経路遺伝子及び隣接する潜在的制御領域を含むゲノム断
片が、適切な昆虫(ショウジョウバエのような)又は線虫(シー・エレガンスの
ような)の形質転換ベクターへサブクローニング及びされ、動物へインジェクシ
ョンされ得る。ショウジョウバエにとって、適切なヘルパープラスミドは、トラ
ンスポゾンに基づくベクターへトランスポゼースを提供するためにインジェクト
される。生じる生殖系列の形質転換体は、突然変異が対象遺伝子(Greenspan,
上掲;及びシー・エレガンス:Modern Biological Analysis of an Organism(19
95), Epstein及びShakes,編集)の近傍にマップされたショウジョウバエ又はシ
ー・エレガンス系の既存の又は新規に作製されたパネルに対して相補性試験のた
めに交配される。突然変異体表現型の相補生による判断により、ゲノム断片が突
然変異体系列をレスキューする場合、突然変異体系列は、SREBP経路遺伝子
における突然変異を包含するようである。この予想は、SREBP経路遺伝子に
おける傷害を同定するために変異体系列に由来するSREBP経路遺伝子の配列
確認をすることで、更に実証することができる。
【0062】 上述したEMS突然変異導入、表現型分析、及び突然変異検出法を使用して、
我々は、蒼白腸管の機能欠損表現型を弱く示すceSREBP遺伝子における点
突然変異を同定した。要するに、我々は、実施例4に詳細に議論されているよう
に、ceSREBPの部分欠失を保持した異型接合性の線虫、及びトランスに短
躯を示す劣性の「dumpy(dp)」遺伝子に突然変異を導入した。その子孫から、我
々は、蒼白腸管表現型を示すが、dumpy表現型は示さない稀少個体をスクリーニ
ングしたが、この事はこの時点でdp染色体にも、欠失対立遺伝子と組み合わさ
れて、腸管の欠損を産み出すようなceSREBP遺伝子における変異が含まれ
ることを示唆する。突然変異系列由来のゲノムDNAの配列分析により,ceS
REBPタンパク質のカルボキシル末端36アミノ酸を欠損するような点突然変
異の存在を確認した。
【0063】SREBP経路遺伝子を修飾する遺伝子の同定 SREBP経路遺伝子における突然変異又は異常発現により作製された新規表
現型の性質決定により、SREBP経路遺伝子と同一、関連又は相互作用する遺
伝学的若しくは化学的経路に関与するような他の遺伝子との遺伝的な相互作用に
関するテストが可能となる。個々の遺伝子は、詳細に後述するように、大規模な
遺伝学的修飾因子のスクリーニングにおけるスタート点として使用し得る。場合
によっては、RNAi法は解析される遺伝子における機能欠損突然変異を増強す
るために使用可能である。SREBP経路遺伝子と十分性質決定された他の遺伝
子、特に脂質代謝に関与する遺伝子との何らかの相互作用が存在するかどうかを
調べることは特に興味深い。例えば、SREBP経路との相互作用が試される候
補遺伝子は、インシュリン受容体遺伝子(ショウジョウバエではinr、シー・エ
レガンスではdaf-2と称される)である。
【0064】遺伝学的修飾因子のスクリーニング 無脊椎モデル生物を使用した遺伝学的修飾因子のスクリーニングは、SREB
P経路遺伝子と相互作用する遺伝子を同定するのに特に好ましい方法である、何
故ならば、相互作用する遺伝子が同定されることをより可能ならしめるように、
多数の動物を体系的にスクリーニングすることができるからである。ショウジョ
ウバエ及びシー・エレガンスにおいては、各々、約10,000の動物数に及ぶ
スクリーニングは、試験的なスケールのスクリーニングであると考えられる。通
常、中程度のスケールにおけるスクリーニングは、約10,000から約50,
000のハエ又は約100,000の線虫を使用する。遺伝学的は修飾因子のス
クリーニングにおいて、一又は複数のSREBP経路遺伝子における変異による
突然変異を有する動物は、さらに突然変異が導入なされる、例えば、化学的な変
異導入又はトランスポゾンによる変異の導入によってされる。シー・エレガンス
の遺伝学的修飾因子のスクリーニングにおいて、典型的に使用される突然変異導
入の方法は、当該技術の分野において周知である。一つの方法には、一又は複数
のSREBP経路遺伝子に突然変異を持つ雌雄同体へ、紫外線の照射と共に、E
MS又はトリメチルソラレンのような変異源を暴露することが含まれる(huang
及びSternberg, Methods in Cell Biology(1995)48:97-122)。場合によっては
、転移可能エレメントが使用され、しばしば、トランスポゾンの転移を促進する
mut-2のような突然変異誘発遺伝子部位へ導入されることにより行われる(Ander
son, Methods in Cell Biology(1995)4:31-58)。
【0065】 ショウジョウバエにおいて、遺伝学的な修飾因子のスクリーニングにおいて使
用される突然変異法及び他の方法は、修飾される突然変異対立遺伝子の正確な性
質に依存する;これらの手法は、ショウジョウバエの遺伝学的修飾因子のスクリ
ーニングとの副題の項において、されに詳細に議論されている。 変異が導入された動物の子孫が産み出され、本来の突然変異SREBP経路遺
伝子表現型を抑制若しくは増強するような稀少な個体がスクリーニングされる。
そのような動物は、「修飾因子」遺伝子と呼ばれ、同様な表現型を産生する経路
に関わる、他の遺伝子にも突然変異を持つことが推測される。新規に同定された
修飾因子は、遺伝学的交配によりSREBP経路遺伝子における突然変異体から
単離することが可能であり、その結果修飾因子の突然変異により引き起こされる
内在性の表現型が、単離することで評価される。 我々は、シー・エレガンスにおいて、SREBP経路遺伝子とそうご作用する
遺伝子を同定するために、エンハンサー及びサプレッサーのスクリーニングを実
施した。双方の場合における戦略は、SREBP経路遺伝子活性の欠損に起因す
る蒼白腸管表現型を持つ動物に突然変異を導入し、表現型が変更されるような稀
少な個体をスクリーニングすることであった。エンハンサーのスクリーニングに
おいて、我々は、SREBPタンパク質を切断する、弱い対立形質を示すような
同種接合的な点突然変異が導入された動物に突然変異を導入し、腸管欠損、幼虫
期成長停止、及び短躯サイズなどを含むより重篤な機能欠損を示す子孫をスクリ
ーニングした。サプレッサーを同定するために、我々は、一部のシー・エレガン
スSREBP遺伝子に対する二重鎖RNAを発現する大腸菌を餌にして育った野
生型動物に突然変異を導入した。これらの線虫は、繁殖性を有する成虫へと発達
するが、蒼白腸管、体長の減少、及び繁殖力の減少を示した。次の世代において
、我々は、正常なサイズであって、腸管色素沈着を起こした稀少な個体をスクリ
ーニングした。幾つかの修飾因子遺伝子が同定された。
【0066】 修飾因子遺伝子は、当該技術の分野において公知の遺伝学的及び分子生物学的
手法を組み合わせて用いることで、マップすることが可能である。シー・エレガ
ンスの遺伝学的スクリーニングにより得られる修飾因子は、好ましくは、可視的
な遺伝学的マーカー及び/又はSTSマーカー(Woods, 上掲;Epstein及びShake
s, 上掲)のような分子マーカーによりマップされる。修飾因子の遺伝子は、上
述したような突然変異表現型をレスキューするゲノムクローンの同定により明ら
かにされる。場合によっては、Tc1に基づくスクリーニングによって同定された
修飾因子遺伝子は、トランスポゾン表示技術を使用することにより明らかにされ
得る(Korswagen等, Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1996)93(25):14680-5)。 ショウジョウバエにおける遺伝学的スクリーニングから得られる修飾因子のマ
ッピングのために使用される標準的技術には、可視的な又は分子遺伝学的マーカ
ーによる、Pエレメント挿入に対するオス組換え、欠損に伴う相補性解析、重複
、及び致死的なPエレメント挿入、及び染色体異常の細胞学的な解析(Greenspan
, 上掲;Drosophila:A Laboratory Handbook, 上掲)などの減数分裂期マッピン
グが含まれる。致死的なPエレメントを相補できない修飾因子の突然変異に相当
する遺伝子は、そのPエレメントを取り巻くゲノム配列のプラスミドレスキュー
によりクローン化される。または、修飾因子遺伝子は、表現型レスキュー及び位
置クローニングによりマップされる(Sambrook等, 上掲)。 新規に同定された修飾因子突然変異は、上述の方法を用いることで、SREB
Pに関与するか又は関連付けられる対象の他の遺伝子との相互作用について、直
接テストされ得る。また、新規修飾因子突然変異は、脂質代謝に関係していると
は考えられていないような他の経路における遺伝子との相互作用についてもテス
トされ得る(例えば、ショウジョウバエのNotch、及びシー・エレガンスのlin)
。脂質代謝に関与している他の遺伝子と特異的な遺伝学的相互作用を示し、無関
係の経路の遺伝子とは相互作用しない新規修飾因子突然変異は、特に興味深い。
【0067】 また、修飾因子突然変異は、「相補性グループ」を同定するためにも使用され
る。2つの修飾因子突然変異は、両方の変異をトランスに保持している動物が、
本質的に各変異が個々に同型接合性であり、互いにトランスのとき、通常、致死
性を示す場合、同じ相補性グループの範囲内に決定されると考えられる。一般に
、このように定義される個々の相補性グループは、個々の遺伝子に対応する。 SREBP経路修飾遺伝子が同定される場合、修飾因子遺伝子DNAプローブ
、修飾因子遺伝子由来のプライマー配列によるPCRに基づく戦略、及び/又は
配列データベースのコンピューターによるサーチによるクロスハイブリダイゼー
ションに基づく方法を使用することにより、他の種におけるホモログ遺伝子を単
離することができる。SREBP経路の機能に関連する治療上の適用において、
修飾因子遺伝子のヒト及び齧歯類のホモログは、特に興味深い。殺虫剤及びその
他、農業上の適用において、昆虫及びクモ類の修飾因子遺伝子ホモログは興味深
い。昆虫、コナダニ、クモ、線虫、及びその他対象となる生物には、等脚類;倍
脚類;唇脚類;コムカデ;総尾目;トビムシ類;Scistocerca 属のような直翅目
;チャバネゴキブリのようなゴキブリ;ハサミムシ類;シロアリ類;シラミ目;
ハジラミ目;総翅目;異翅類;Bemishia tabbci及びアブラムシ類を含む同翅類
;ノシメマダラメイガ、ワタアカミムシ、コナガ、タバコガ、及びハンスモンヨ
トウ属を含む鱗翅類;コロラドハムシ、ハムシ属、ハナゾウムシ属、及びゴミム
シダマシ属のような鞘翅類;膜翅目、ハマダラカ属を含む双翅目;ネコノミを含
むノミ目;クモ類;及びAmblyoma americanumを含むダニ類;及びネコブセンチ
ュウ、及びダイズシストセンチュウを含む線虫、等が含まれる。
【0068】 ショウジョウバエにおける遺伝学的な修飾因子のスクリーニング 典型的なショウジョウバエの遺伝学的な修飾因子のスクリーニングに関連する
方法は、当該技術の分野において周知である(Wolfner及びGoldberg, Methods i
n Cell Biology(1994)44:33-80;及びKarim等, Genetics(1996)143:315-329)。
用いられる方法は、修飾される突然変異の対立遺伝子の厳密な性質により異なる
。突然変異の対立形質が、遺伝学的に劣性の場合、機能欠損対立形質においてよ
くあることではあるが、もっとも典型的には、オスが、ある場合にはメスが、突
然変異対立遺伝子を1コピー保持しており、それらは、EMS、MMS、ENU
、トリエチルアミン、ジエポキシアルカン、ICR-170、ホルムアルデヒド
、エックス線、γ-線、若しくは紫外線などの効果的な変異源に曝される。突然
変異を導入された動物は、修飾されるべき変異体対立遺伝子を同様に保持してい
る相対する性の動物と掛け合わせられる。修飾されるべき変異体対立遺伝子が遺
伝学的に優性の場合、野生型のオスは、突然変異を導入され、S修飾されるべき
変異体対立遺伝子を保持するメスと掛け合わされる。 本来の表現型の増強または抑制を示すような変異が導入され、掛け合わされた
ハエの子孫は、すぐに、バランサー染色体を含む成虫と掛け合わされ、安定な遺
伝的系統の創始者として使用される。さらに、創始成虫の子孫は表現型の安定性
及び再現性を証明するために、元々のスクリーニング条件下で再テストされる。
さらに、各新規修飾因子変異体系統が更なる解析に適していることを確証するた
めに二次スクリーニングが、適宜用いられる。
【0069】 上述されたショウジョウバエの遺伝学的修飾因子のスクリーニングは、非常に
強力で感度は高いが、SREBP経路に関わる幾つかの遺伝子は、このアプロー
チでは発見されない、特に、これらの遺伝子に機能的な重複がある時はそうであ
る。このため、標準的な突然変異法において施された突然変異の大多数は、機能
欠損突然変異であり、機能的重複性を有する遺伝子を明らかにするような機能獲
得突然変異は比較的希である。ショウジョウバエにおいて、体系的な機能獲得形
質ののスクリーニング方法が、改良されてきた(Rorth 等, Development(1998)1
25:1049-1057)。この方法は、GAL4/UAS系の構成因子(上述)を使用する異常発
現型のモジュラー系に基づいており、「増強されたP」(EP)エレメントと称
される、修飾されたPエレメントが、遺伝学的にGAL-4応答UASエレメント及びプ
ロモーターを含むように設計されている。その結果得られるトランスポゾンは、
挿入突然変異(上述のPエレメント突然変異導入方法に類似した方法)により遺
伝子にランダムにタグを導入するのに使われる。EP系統と称される、何千もの
遺伝子導入ショウジョウバエの系を創り出すことができ、各々は特異的なUASタ
グ遺伝子を含んでいる。このアプローチは、遺伝子の5’末端へへ挿入されるP
エレメントの選択制を利用するものである。その結果、EPエレメントの挿入に
よりタグ化される遺伝子の多くは、GAL-4制御プロモーターに動作可能に連結さ
れ、ランダムにタグ化され増強された正常発現又は異常発現が、GAL-4ドライバ
ー遺伝子の交雑により誘導される。
【0070】 突然変異又はSREBP経路遺伝子の異常発現により誘導される表現型修飾因
子に対する体系的な機能獲得遺伝学的スクリーニングは、数千ものショウジョウ
バエEP系統を、突然変異又は異常発現SREBP経路遺伝子を含み、更に適切
なGAL4ドライバー導入遺伝子を包含する遺伝的バックグラウンドに対して交配す
ることにより行われる。この交配の結果得られる子孫は、上述の元々の突然変異
表現型の増強又は抑制に関し解析される。SREBP経路に影響する突然変異を
有するものとして同定された子孫は、遺伝学的相互作用の再現性及び特異性を検
証するために、更に、交配される。突然変異又は異常発現SREBP経路遺伝子
と特異的な遺伝学的相互作用を示すEP挿入は、PCR又はハイブリダイゼーシ
ョンスクリーニング法を用いて、同定及び配列決定され得る物理的にタグ化され
た新規遺伝子を有し、EPエレメント挿入の位置に隣接するゲノムDNAの単離
を可能ならしめる。
【0071】 線虫の脂質含量を測定するためのBODIPY結合脂肪酸 SREBP経路における欠損により異常な脂質代謝が生じるため、脂質代謝に
おいて異常性を示す変異体モデル生物を容易に同定するための方法が、有益であ
る。線虫における脂質含量を評価するための既存の方法には、スーダンブラック
(Kimura等, Science(1997)277:942-6)のような非生体染色の使用が含まれる。 しかしながら、これらの技術の欠陥は、線虫が染色に先立ち固定されなければ
ならないことである。固定は、人為的な結果(アーティファクト)を生みだす可
能性があり、正確な評価を困難にし、さらには、動物を殺傷し、更なる遺伝学的
解析を固定動物において行うことを不可能にさせる。線虫を固定することに関係
するこれらの問題を避けるために、通常、ナイルレッド(Greenspan等, J Cell
Biol, (1985)100:965-973)のような培養細胞の脂質を染色するために使用され
る、ある種の生体染色が試された。しかしながら、これらの色素は、リソソーム
と考えられる腸管上皮細胞の自己発光蛍光小器官である腸顆粒による、バックグ
ランド下での蛍光を結果的に生じさせてしまう傾向にあることが見いだされてい
た。多くの場合、これらの蛍光性生体染色は、腸顆粒に濃縮されるようであり、
その蛍光を増強させ、腸管における脂質滴に由来する蛍光を正確に測定すること
を困難にしている。従って、本発明は、生きた線虫における脂質の蓄積量を測定
するための改良された方法を提供する。脂肪酸に結合されたBODIPY(登録商標)
色素(例えば、BODIPY(登録商標)FL 12(4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ
-3a.4a-ジアゾ-s-インダシン-3ドデカノイル酸)、及びC1-BODIPY(登録商標)50
0/510 C12(4,4-ジフルオロ-5-メチル-4-ボラ-3a,4a-ジアゾ-s-インダンシン-3-
ドデカノイル酸)Molecular Probes, Eugene, OR)は、生体線虫の腸管における
脂質滴中に濃縮されることが見いだされてきた。これらの色素は、腸管における
脂質滴中での明確な染色及び蛍光発色に加え、腸顆粒に起因するバックグラウン
ド下での蛍光を消光するため、他の生体色素に伴う欠陥を有しない。従って、本
発明は、a)代謝過程をコントロールするのに必須な遺伝子の突然変異を含む遺
伝的バックグラウンドにおける変化、b)食物源、温度、及び存在密度条件のよ
うな環境条件における変化、c)dauer幼虫を含む異なる発生段階により、もたら
される代謝状態の変化に応答した、相対的及び絶対的脂質含量を決定するために
線虫生体を染色するためのBODIPY(登録商標)結合脂肪酸を使用する方法を提供
する。この方法は、SREBP処理経路又は他の経路のような代謝過程における
変化に基づく遺伝学的スクリーニング及び化合物のスクリーニングの利用におい
て特に役に立つ。本方法は、他の蛍光性の親油性の染色よりも、インヴィボにお
ける脂質定量の正確さを著しく増強せしめ、利用可能な蛍光発光に基づいて、線
虫の自動選別を行う。
【0072】 BODIPY(登録商標)結合物は、以前は、(1)住血吸虫(Redman及びkusel, Pa
rasitology(1996)113(2):137-143)の膜表面における脂質含量、(2)哺乳類線
維芽細胞の培養細胞における脂質エンドサイトーシス(Pagano及びChen, Ann N
Y Acad Sci(1998)845:152-160)、(3)哺乳類線維芽細胞の培養細胞における
ゴルジ装置及び細胞膜間における脂質輸送(Pagano等, J.Cell.Biol (1991)113(
6):1267-1279)、(4)サッカロマイセスによる脂肪酸輸送(Faergeman等, J.B
iol.Chem(1997)272(13):8531-8538)及び(5)回虫の筋肉小胞膜中でのインベ
ルメクチン拡散(Marin及びkuse, Parasitology (1992)104(3):549-555)を研究
するために使用されてきた。しかしながら、BODIPY(登録商標)結合体のこれま
での使用では、線虫における脂質貯蔵の定量に対し、BODIPY(登録商標)結合体
の適用性、特に、BODIPY(登録商標)脂肪酸結合体の適用性が示されていない。
さらに、BODIPY(登録商標)結合体がリソソームからのバックグラウンドの蛍光
を消光し、より正確な定量を提供するという事実は、予期せぬことであり、蛍光
に基づいた大規模且つ、自動的な動物の選別を許容する本発明により提供される
重要な利点である。
【0073】 BODIPY(登録商標)結合脂肪酸は、遺伝学的スクリーニング、即ち、線虫の全
個体の脂質含量に影響を与える突然変異の新規スクリーニング及び変異体線虫に
おける脂質蓄積量を変化させる突然変異の修飾因子のスクリーニング(例えば、
インシュリン受容体(daf-2)又はSREBPの線虫ホモログ(ceSREBP))の両方
において、異なる遺伝学的バックグラウンドの線虫を染色するのに使用され得る
。線虫の腸管は、蛍光顕微鏡下にて脂質含量を可視的に調べられ、引続き、変異
体動物はクローニングの目的のために繁殖させることができる。この方法は、脂
質含量により迅速に多数の線虫生体を選別する自動フローソーター技術を組み合
わせて使用することができる。この方法は、自動化されたハイスループットな遺
伝学的スクリーニング又はdauer幼虫を他の発生段階のものからの大規模自動選
別にとって役立つであろう。さらに、本方法は、糖尿病、肥満症、脂質貯蔵疾患
、又は他のヒト若しくは動物の疾患に対する治療薬として役立ち得る阻害化合物
に曝された線虫において、脂質の蓄積量の変化を決定するのに使用することが可
能である。試験化合物は、直接接触、経口摂取、インジェクション、又はいずれ
か適当な方法により、線虫へ投与するすることができ、線虫又はその子孫の脂質
含量変化が観察される。さらに本方法は、阻害RNAを使用した逆遺伝学的スク
リーニングへ適用可能である。例えば、線虫は、384ウェルプレートに分注さ
れた多数のRNAの組み合わせに曝され、フルオロメトリー又は直接的な視覚的
観察によるRNAiにより仲介される脂質含量の変化についてスクリーニングさ
れ得る。
【0074】 実施例 以下の実施例には、配列番号1,3及び5,及び7の核酸配列がどのように単
離され、また、これらの配列及び誘導体及びその断片、さらに他のSREBP経
路核酸及び遺伝子産物が、SREBP経路のメカニズムを解明する遺伝学的研究
のためにどのように使用され得たか、さらにこの経路と相互作用する潜在的な治
療薬若しくは殺虫剤の発見を示すものである。ここで使用されるように、全ての
シー・エレガンス由来の遺伝子配列は、遺伝子配列の前に「ce」の文字により
示される。同様に、全てのショウジョウバエ由来の遺伝子配列は、遺伝子配列の
前に「d」の文字により示される。
【0075】 実施例1:シー・エレガンスSREBPのクローニング シー・エレガンスゲノムデータベースが、ヒトSREBP-1、SREBP-2
及びショウジョウバエSREBPホモログ、HLH106のタンパク質配列に対し、TB
LASTNサーチツール(Altschul等, 上掲)を使用して検索された。シー・エレガ
ンスの読み枠の一つが、上記SREBPタンパク質の3つすべてに対し著しい相
同性を示した。この相同性は、遺伝子のC末端部を除いて、SREBPタンパク
質配列の多くの部分にわたっている。シー・エレガンスの読み枠は、染色体III
番の右腕(Y47D3及びH10N23)における2つの重複部分を持つクローン上に
位置していた。検索時に、それ以前の注釈、遺伝子の予測、SREBP関連遺伝
子として、以前この読み枠が同定をされた事を示唆するような候補と突然変異は
この領域には存在しなかった。 BLAST解析(Altschul等, 上掲)及びGENSCAN Genefinderプログラム(Burge及
びKarlin、J. Mol. Biol.(1997)268(1):78-94)を使用して、シー・エレガンス
SREBP関連遺伝子(ceSREBP)のエクソン/イントロン構造が構築さ
れた。このSREBPcDNAのシー・エレガンスホモログは、発現され得るR
NAとして存在していることを実証し、ceSREBPの機能解明ためcDNA
及びタンパク質の配列を決定するためにクローン化された。さらに、ceSRE
BPのクローニングは、RNAi実験、異常発現コンストラクトの作製、Tc1挿
入又は化学的欠失変異などのような配列に関する知見を必要とする更なる遺伝学
的操作のために、必要なことであった。 ceSREBPは、様々な発達段階で、NotIプライマー/アダプターを使用し
て(Life Technologies, Gaithersburg,MI)、ポリA+RNAから合成された最
初のcDNA鎖のプールからPCRによりクローン化された。ceSREBPの
N末端及びC末端は、遺伝子特異的な内在性プライマー及び3’及び5’末端の
非特異的プライマーを使用し、クローン化された。5’及び3’非特異的プライ
マーは、それぞれスプライスリーダー1(「SL1」)配列(Shakes及びEpstein,
上掲)及び修飾されたNotIプライマー/アダプター(Life Technologies)であっ
た。内在性のプライマーは、ceSREBPに関するGENSCANによる予測、及び
ACEDBGenefinder(Richard Durbin及びJean Thierry Mieg(1991から現在)
、シー・エレガンスデータベース;文書、コード、データはlirmm.lirmm.fr, ce le.mrc-lmb.cam.ac.uk 及びncbi.nlm,nih.gov におけるanonymous FTPサーバー
から入手可能である)、に従い高度に相同な領域に対して作製された。それは、
cDNAの末端の増幅のために設計されたものであって、全長のためのものでは
ない。末端配列が明らかにされた後は、全長のcDNA配列は、オーバーラップ
するC末端又はN末端部分の配列において、遺伝子特異的なプライマー対を使用
して増幅させた。増幅は、Expand(登録商標) High Fidelityの緩衝液と酵素の
混合物標品(Roche, Summerville, NJ)を用い、基本的には使用説明書に従って
行われた。PCR増幅産物は、PCR2.1中間ベクター(Invitrogen, San Di
ego, CA)にサブクローン化され、Big Dye(登録商標) dye-terminator sequen
cing kitを用いABI377シークエンサー(ABI, Foster City CA)により配列決定
された。配列解析は、Sequencher program(Gene Codes Corporation, Ann Arbo
r, MI)を用いて行われた。配列決定用のプライマーは、Olig 4.0 program(Mol
ecular Biology Insights, Inc.; Cascade, Co)を用いて設計され、予想される
遺伝子配列、さらに、新規に得られた断片の配列から選択された。
【0076】 最初に増幅された断片から得られた配列情報により、全長cDNAを示すオー
バーラップした断片を、引続き増幅することが可能となった。入手可能なゲノム
配列又は異なるサブクローン間におけるいかなる配列上の矛盾も、複数個、独立
に単離された所定の断片を配列決定することにより解決された。 遺伝子予測が行われたYAC配列Y47D3(GI3646936)と配列同一性を有する
、単一の連続する配列単位(「コンティグ」)が構築された。それは、この領域
の予測遺伝子とほとんどが同一であったが、予測遺伝子中には含まれていない1
つのエクソンが包含されていた。このコンティグは、単一の読み枠(ORF)、
開始、停止コドン、ポリアデニル化様シグナルを含んでいた。GenBankの配列に
対してこのコンティグのBLAST解析を行ったところ、他のSREBP群と最も高
い相同性が示された。 ceSREBP遺伝子のcDNA配列、配列番号:1は、Fig2に示してあ
る。このcDNAは3419ヌクレオチド長である。この全長クローンは、ヌク
レオチド位置24に見かけの翻訳開始点を、ヌクレオチド位置3365に停止シ
グナルを持つ、単一の読み枠を含んでいた。予想されるポリペプチド前駆体は、
1113アミノ酸である。補足的な性質として、ヌクレオチド約24から233
(アミノ酸残基1から69)に酸性ドメイン;ヌクレオチド約987から104
0(アミノ酸残基321から338)に予想される第二の酸性ドメイン;ヌクレ
オチド約1089から1286(アミノ酸残基355から421)に塩基性のへ
リックス-ループ-へリックスドメイン;ヌクレオチド約1455から1514(
アミノ酸残基477から497)に第一の膜貫通ドメイン;及びヌクレオチド約
1653から1706(アミノ酸残基543から561)に第二の膜貫通ドメイ
ンを含む。 表1に示されるように、全ヌクレオチド351,956を持つY47D3クロ
ーンに対するBLAST解析により、配列番号:1と同一性を有するY47D3の1
2の領域が明らかとなった。
【0077】
【0078】 ヒト及びショウジョウバエSREBPタンパク質に対する予想されるタンパク
質配列(配列番号:2)の配列比較が行われた。配列番号:2のアミノ酸残基3
53から423は、ショウジョウバエSREBP(Theopold等, 上掲;GI079656
)のアミノ酸残基281から351と45%の配列同一性、及び77%の配列相
同性を有している。配列番号:2のアミノ酸残基466から826は、ヒトSR
EBP2(GI1082805)と28%の配列同一性、及び47%の配列相同性を有し
ている。 全長ceSREBPと著しい相同性を示す他の遺伝子及びタンパク質配列の存
在について、更に、公共のデーターベースに対してコンピュータープログラムの
BLASTファミリーを使用して調査された。以下に示すアミノ酸配列が最も相同性
があった:SREBP-1、チャイニーズハムスター(GI1083186);SREBP
-1、クリセチュラス グリセウス(Cricetulus griseus)(GI516003);米国
特許第5527690号(GI1610915)の配列54;SREBP2前駆体、ヒト
(GI1082805);SREBP-2、ホモサピエンス(GI451330);SREBP2前
駆体、チャイニーズハムスター(GI1083185);米国特許第5527690号(G
I1610908)の配列38;SREBP-1,ホモサピエンス(GI409405);SRE
BP-2、クリセチュラス グリセウス(Cricetulus griseus)(GI551506);
転写因子ADD1、ラット(GI540006);及びHLH106、キイロショウジョ
ウバエ(GI107965)。 上記解析の後、ceSREBPタンパク質のGenefinderによる予測配列が、Ge
nbankのデーターベースに登録され、それは配列番号:2と100%の同一性を
有し、GI3881008と命名されている。
【0079】 実施例2:ceSREBP発現解析 ceSREBPの発現は、予想されるceSREBPのプロモーター/エンハ
ンサー領域がGFPに融合された転写レポーター系を用いて解析された。レポー
ターコンストラクト中に幾つのゲノム配列を含んでいるか決定するために、ce
SREBPcDNAのN末端領域を含むY47D3コンティグ及びceSREB
P開始コドンの上流25kbまでが、ACEDB Genefinder及びGENSCANプロ
グラム(Burge及びKarlin、上掲)を使用して解析された。この領域には、公知
の遺伝子は存在せず、どのプログラムによっても予側された遺伝子は報告されな
かった。ceSREBPの〜8kb以内の予想された遺伝子の二つのうち、ce
SREBPの〜5kb上流に存在するものは、シー・エレガンスの発現配列タグ
(EST)に対するBLAST解析により限定的な配列相同性を示した。〜4.5kbの
ゲノム断片が、予想されるプロモーター/エンハンサー領域として選択された。 プロモーター/エンハンサー断片は、PCRにより増幅された。PCRプライ
マーは、4.5kbまでのゲノム断片を増幅するように設計され、ceSREB
Pの最初の数アミノ酸を含む。読み枠が合うGFP融合で、GFPレポーターベ
クターpPD117.01(Andrew Z 博士、Fire 研究所(Fire Lab)、Carneg
ie Institution of Washington Baltimore,MDから入手)への、サブクローニン
グを迅速にするために、プライマーには制限酵素サイトが含まれていた。センス
プライマーは、Y47D3(GI3646936)のヌクレオチド71,242から71
,265に相当し、AscIサイトを含んでおり;アンチセンスプライマーは、
Y47D3のヌクレオチド66,719から66,747に相当し、KpnI/
Asp718サイトを含んでいた:
【0080】 PCRは、発現パターンを独立に実証し、PCRにより導入される配列エラー
に対するコントロールのために、2つの独立に増幅されたプロモーター断片を提
供するために、二組実施された。Klentaq酵素及び緩衝液は、基本的には使用説
明書法に従って用いた。各々の元のPCR反応物から、予想される挿入物を含む
単一のクローンが同定された。予想されるプロモーター/エンハンサー断片は、
「ceSREBP::GFP」を作製するために、pPD117.01中のAs
cI及びAsp718制限酵素サイトに連結された。 ceSREBP::GFPは、N2線虫に、シー・エレガンスの形質転換に関
する標準的な方法(Epstein及びShakes, 上掲)に用いて、10μg/mlの濃度に
て、100μg/mlのpRF4rol-6(d)形質転換マーカーを加えてインジ
ェクトされ、ローラー表現型を示す安定な系統が樹立された。 発現解析は、蛍光顕微鏡(Axioplan(登録商標)、Zeiss, Thornwood, NY)を
用いて行われた。GFP発現解析により、ceSREBPは、最初、分化開始マ
ーカーとなる腸細胞分極期に胚性腸細胞にて弱く発現される。胚発生期、及び全
ての幼虫、成虫期の全ての腸管細胞に持続する「ビーンステージ(bean stage)
」による強い蛍光が存在する。また、咽頭において弱い蛍光が存在する。腸管細
胞におけるceSREBPの発現には高い特異性が存在するため、Y47D3(
GI3646936)のヌクレオチド66,719から71,265に含まれるceSR
EBPプロモーターは、マーカー遺伝子及び/又は対象となる遺伝子のような異
種性配列と動作可能に連結される、組織特異的なプロモーターとしての有用性を
持つ。従って、ceSREBPプロモーターは、シー・エレガンスの腸管内にお
ける生化学的経路の研究のために使用され得る。
【0081】 実施例3:シー・エレガンスのSREBP、S2P及びSCAPのRNA干渉(
RNAI) RNAiの実験は、シー・エレガンスにおけるSREBP経路の機能を解明す
る手助けとなるような機能欠損表現型を作製するために、シー・エレガンスのS
REBP経路遺伝子に対して行われた。 方法: シー・エレガンスのSREBP配列(配列番号:1)及び、S2P(Rawson等
, 上掲;GI1559384)、及びHMG-CoAリダクターゼとの相同性を有すると注
釈が付され、更に、ヒトSCAPタンパク質と相同性を有すると決定されたGenb
ank配列(GI3875380)に対して実施された。従って、ここではGI3875380はce
SCAPと称される。0.3kbから1.2kbまでの断片が、対象の領域から
作製された。通常の場合、遺伝子の異なる領域に個々対応し、寄せ集めると各遺
伝子の中心領域の殆どをカバーする断片の混合物がインジェクトされた。ceS
REBPの場合、これらの断片は、アミノ末端〜0.6kb及びカルボキシル末
端〜1.4kbは排除されており、〜1.4kbの中央領域にわたって存在する
ものであった。同様に、ceS2PのdsRNA断片は、アミノ末端〜0.7k
b及びカルボキシル末端〜0.3kbを排除し、中央の部分をカバーした。ce
SCAP断片は、ほとんどのコード配列をカバーし、アミノ末端〜0.4kb及
びカルボキシル末端〜1kbを排除する。PCRは、0.5Mの各プライマーと
、0.4μgのゲノムDNAを用い、Expand(登録商標)PCRキット(Roche)
により、94℃1分15秒、:及び94℃15秒、57℃45秒、72℃1分を
35サイクル行った。
【0082】 PCRが行われたことを確認するために、各反応液の少量をゲルに泳動した。
残りの各反応液は、沈殿させ、センス及びアンチセンスRNA産生のための鋳型
として役立つように、RNase非存在の水に再懸濁させた。センス及びアンチ
センスRNAは、製造者の使用方法により、T7RNAポリメラーゼ(Promera,
Madison, WI;RNA production kit, カタログ番号1300)を用い、DNA鋳
型から同時に転写された。結果として得られるRNAサンプルは、エタノール沈
殿され、20μlのRNAse不含のTE(10 mM tris, 1 mM EDTA)に再懸濁
され、10μlのRNase不含の3XIMアニーリング緩衝液(20 mM KPO4 pH
7.5, 3 mM クエン酸カリウム pH7.5, 2 % PEG 6000)が添加された。反応は、6
8℃で10分間、その後37℃30分間センス鎖とアンチ鎖をアニールさせるた
めにインキュベートされた。 インジェクションの容量は、0.5X106から1X106分子のRNAを注入できるよう
に選択された。インジェクションはシー・エレガンスの生殖腺又は腸管腔へ供給
される、Fire等の方法(Development(1991)113:503-514)を用いて行われた。 生殖系列RNAiに関し、成体には、生殖腺又は腸管へ、メディカルシステム
社(Holliston, MA)のPLI-90インジェクターに取り付けられたガラスニー
ドルを使用してRNAがマイクロインジェクトされた。幼虫のRNAiのために
は、、野生型L1幼虫は、1.25 % sodium hypochlorite, 0.25 M potassium hy
droxide中で切断することにより、妊娠中の動物から最初に胚を回収し、M9緩
衝液中で一晩胚を孵化させることにより単離された。等量のM9緩衝液中の幼虫
とRNAは、マイクロタイタープレート中で混合され、15℃で24時間インキ
ュベートされ、標準的な線虫の成長プレートへ移された。 脂質の可視化のために、ある量の線虫がM9緩衝液(lリットルあたり:30g N
a2HPO4, 15g KH2PO4, 2.5g NaCl, 5g NH4Cl)を使用してプレートから洗い出さ
れ、遠心により回収され、M9緩衝液中で調製された2 ng/mlのBODIPY(登録商
標).FL.C12溶液(ストック溶液はエタノール中1 mg/ml)に再懸濁された。線虫
は、卓上振盪機で一晩、室温にて、色素を吸着させた。画像は、蛍光顕微鏡(Ax
ioplan(登録商標), Zeiss, Thornwood, NY)を使用して翌日取り込んだ。
【0083】 結果 ceSREBP RNAi 生殖細胞ceSREBP RNAiは、マイクロインジェクトされた線虫の子
孫に幾つかの明らかな表現型創り出した。多くの表現型は、完全に貫通刺胞(pe
netrant)幼虫の成長停止であった。成長停止した幼虫は、体長はL1ステージ
の幼虫のものとより類似していたが、生殖腺と角質の形態に基づくとL2ステー
ジのようであった。成長停止した幼虫は、致死前、20℃にて数日間、運動性及
び摂食を依然として有していた。それらの腸管は、野生型に比べて蒼白(paler
)のようで、それほど暗色色素性を呈しておらず、「蒼白腸管」又は「Pin」表
現型と称される。 ceSREBP RNAi幼虫(L1及びL2ステージ)の形態的欠損は、腸
管に限定され、この部位にてceSREBPが一義的に発現され、腸管細胞の3
つの細胞質の構造に特異的に影響を及ぼすように見えた。第一に、腸管の色素性
小滴の数及び平均長が劇的に減少した。この色素性小滴の減少は、低倍率で観察
されるPin表現型の原因のようであった。これらの小滴は、色素標識された脂肪
酸(BODIPY(登録商標)-ドデカノイル酸)で染色され、種々の発生段階および
突然変異におけるそれらの数は、固定化された線虫におけるスーダンブラックに
よる染色の度合いと関連性を有していたため、脂質を含んでいるようである。 これらの観察は、ceSREBPが、シー・エレガンスの主たる脂質貯蔵器官
である腸管の脂質滴の形成及び/又は維持に必要であることを示した。第二に、
腸管顆粒は、野生型のものより大きく、より複屈折を引き起こすようであった。
第三に、腸管には、多くの多様なサイズの小胞が存在しているようであった。こ
れらの小胞は、球状で透明であった;これと類似の小胞は、野生型の幼虫におい
ては、希に観察されるのみである。通常、ceSREBP RNAi幼虫の小胞
は、各々、腸管顆粒と相互作用しており、腸管顆粒と色及び強度において類似し
た自己蛍光を発した。腸管顆粒は、リソソーム構造であると考えられるので、c
eSREBP RNAi幼虫のこの異常な小胞も、起源はリソソームかもしれな
い。幼虫成長停止、及び上述の腸管における形態的欠損は、また、ceSREB
P部分欠失対立遺伝子「ep79(実施例4を参照のこと)」に対する同型接合
性の突然変異体幼虫において観察され、この事は、生殖系RNAiが接合体欠失
(null)表現型を創り出すことを示している。
【0084】 L1ステージの幼虫のceSREBP RNAiは、ほぼ正常な腸管色素性小
滴の蓄積を伴い、見かけ上はL2を通じて正常な発生を示す結果となった。しか
し、とんどの幼虫は、L3又はL4ステージで成長停止を呈し、小滴を維持する
ことができなかった。成長停止した幼虫は、多くの完全に発生した成虫と同様に
、Pin表現型を示し、正常体に比べて細い体躯を有していた。色素性小滴の数及
びサイズは、生殖系RNAiの初期段階で観察されたように、著しく減少した。
Pin表現型が、腸管の最終分化後のRNAi処理により誘導されるという知見は
、その表現型が腸管細胞の発生欠損により引き起こされるものではない事を示す
。むしろ、ceSREBPは、腸管の適切な機能に対して持続的に必要とされる
のかもしれない。ceSREBP RNAi幼虫と成虫の蒼白で、細い形状は、
飢餓状態の動物のものと類似していた;しかし、RNAi動物は、摂食行動を示
し、腸管内へ咽頭を通じてバクテリアを注入する。これらの観察により、ceS
REBP RNAi幼虫は、食物を消化し、及び/又は、食物を代謝する点に欠
損を持つことが示された、ceSREBP RNAi幼虫は、餌源から顕著に分
散する傾向を示したが、おそらく、それらは、バクテリアから栄養素を引き出す
ことができないからであろう。成長停止した幼虫及び成虫の腸管顆粒は、しばし
ば、正常なものよりも大きく、より複屈折性を示した。Pin表現型をを示した成
虫は、正常なものに比べ、子宮内にわずかな胚しか持っておらず、この事は、繁
殖力の低下を示し、また、胚の幾つかは、不定な発生障害を示した。最後に、Pi
n成虫は、しばしば、腸管の前側半分に、大きく、透明な液胞を含んでいた。こ
れらの液胞は、不規則な形を呈し、自己蛍光を発してないかったため、由来は同
定されていないものの、幼虫において観察される異常な小胞とは区別された。L
2ステージ幼虫のceSREBP RNAiは、L1での処理のものと同様な欠
損を産み出したが、多くは発生の進んだステージのものだった。多くの動物は、
L4ステージで成長停止され、成虫欠損を示した。 我々は、RNAi摂食実験を行った。ceSREBPcDNAの一部が二つの
T7プロモーターの間に挿入されDNAベクターが構築され、T7ポリメラーゼ
を発現する大腸菌に導入された。その断片は、アミノ末端〜600ヌクレオチド
を除いたコード配列の殆どを含んでいた。このバクテリアは、センス及びアンチ
センスの転写産物の両方を生産し、従って、ceSREBPのdsRNAを産生
した。野生型の線虫に摂食させた場合、これらの大腸菌は、L2幼虫のRNAi
処理により得られるものと同様な表現型、即ち、蒼白腸管、減少した体躯サイズ
、減少した繁殖性の表現型を産み出した。
【0085】 ceS2P RNAi ceS2Pの生殖系列RNAiは、結果的には、成虫ステージまで見かけ上正
常な発生を遂げた。しかし、成虫は、完全な貫通刺胞(penetrant)表現型を示
し、つまり、幼虫成長停止以外のceSREBP幼虫RNAiにおいて観察され
た全ての欠損を呈した。特に、成虫表現型は、短躯、細い体躯、わずかな脂質滴
を伴う蒼白腸管、腸管前側における巨大液胞、子宮におけるわずかな胚の存在、
及びその胚における不定な発生異常を含んでいた。腸管顆粒欠損は、ceSRE
BP RNAiで観察されるのよりも明らかであった。ceS2P及びceSR
EBPに関するRNAi表現型の顕著な相同性は、これら2つの遺伝子が共通な
遺伝学的経路において機能することを強く示唆した。幼虫発生期においてceS
2P RNAiの効果が欠損していることは、未同定の遺伝子による機能的重複
性、又はceSREBPに比してceS2Pに対するRNAiの効果は劣ってい
ることを示すのかもしれない。
【0086】 ceSCAP RNAi SCAPホモログの生殖系列RNAiは、成虫の10%以下において、ceS
2P RNAiと類似の表現型を示した。欠損を示す成虫は、蒼白腸管、短躯、
細い体躯、子宮内におけるわずかな胚の存在、腸顆粒の多少増加した複屈折性を
呈した。ceS2P及びceSCAPの生殖系列RNAiは、共に、ceSRE
BP生殖系列RNAiと区別不能な完全な貫通刺胞(penetrant)表現型を示し
た。この表現型は、L2からL3幼虫成長停止、僅かな腸管脂質滴を伴うか又は
全く伴わない蒼白腸管、及び異常に巨大な液胞、及び複屈折性の腸顆粒を含んで
いた。これらの結果は、ceS2P及びceSCAPホモログの双方が、全ての
幼虫及び成虫ステージのceSREBP遺伝的経路において、機能することを示
した。ceS2P又はceSCAPのRNAiが、これらの遺伝子に関してヌル
(null)表現型を生じさせる場合、おそらくceSREBPの部位2及び1それ
ぞれにおけるタンパク質切断におけるそれらの機能を部分的に置換できる他の遺
伝子活性が存在するに違いない。
【0087】 実施例4:TC1トランスポゾン突然変異導入 ここに示す一連の実験の目的は、野生型の対応遺伝子の機能を理解するために
、対象の遺伝子における機能欠損突然変異をを生じさせることであった。 ライブラリー調製 3組の960培養を含むTc1トランスポゾン挿入ライブラリーは、公表され
た方法(Zwaal等, 上掲、及びPlasterk, 上掲)に従って構築された。 ライブラリースクリーニング ライブラリーは、個々の列(tier)においてスクリーニングされたが、各々の
ライブラリーは3つの列を持ち、各列は1,000の抽出物又は〜200,00
0の一倍体ゲノムにより構成される。抽出物は、発表された方法に従ってプール
された。一次元目のスクリーニングには、10の96ウェルプレートからプール
されたDNAの8サンプルにおけるPCRが含まれる。二次元目のスクリーニン
グは、10の96ウェルプレートのどれに所望の突然変異が含まれるが決定する
ために用いられた(10のDNAプールのスクリーニングが含まれた)。三次元
目のスクリーニングは、特定の突然変異の「所在」(即ち、一つの横列からの別
々の12の抽出物のスクリーニングにより、特定の突然変異がどの横列及び縦列
に存在するか)を決定するために用いられた。一次元目の反応は、4組行われ;
二次元、三次元目の反応は、3組行われた。 1の遺伝子特異的なプライマーと1のTc1特異的なプライマーにより、2ラ
ウンドのPCRが行わた。第2のPCR反応は、入れ子(nested)反応が行われ
るように設計された。従って、2組のTc1プライマー入れ子対が使用された:
1組はトランスポゾンの左から外側を向いており、他の組は右から外側を向いて
いる(これらのプライマーは、上掲の参考文献中に記載されている)。遺伝子特
異的なプライマーは、全て配列番号1に含まれているか、又はY47D3の範囲
に含まれる介在するイントロン配列に含まれる(実施例1の表1を参照のこと)
。各次元に関する1ラウンド目又は2ラウンド目のPCRが、以下の各反応を使
用して15μl全量で実施された:製造メーカ(Perkin-Elmer)から共された1
XPCR緩衝液、1.5 mM MgCl2, 0.2 mM dNTPs, 0.5μM各Tc1及び遺伝子特異的
なプライマー、Taqポリメラーゼ、0.5 units(Perkin-Elmer):及び最初のサイ
クルの反応には13μlになるように水を加え、2ラウンド目の反応には15μlにな
るように加える。 1次元及び2次元目:2μlの1:20に希釈されたDNAが添加され;3次元目
の反応においては、1:10に希釈されたDNAが添加された。最初のサイクルの
反応液の少量が、ピンリプリケーターを用いて2ラウンド目の為に移された。P
CRのサイクル条件は、:94℃3分;その後94℃40秒、58℃1分、72
℃2分、を35サイクル行い;その後72℃2分間。
【0088】 挿入動物の同定 4つの確証されたTc1挿入が、ceSREBP遺伝子中に見いだされ、それ
ぞれ、実施例1中の表1におけるゲノム配列におけるエクソン2,5,7,8に
続く、イントロン2,5,7,8中に見いだされた。全ての所在は、上述のTc
1ライブラリーの列(Tier 1)からのものであった。 2つの予想される膜貫通ドメインコード領域の下流に位置する「6D2」は、
SREBP遺伝子の比較的中心の位置に基づく更なる解析のために選択された。 6D2を示す凍結ストックから、線虫が回復された。挿入を保持している線虫
を同定するために、生存する線虫の個々を、別個のプレートへ移した。これらの
線虫の子孫をプレート上に添加させた後、親の線虫が、5μlの線虫溶解緩衝液(
100 mM KCl, 20 mM Tris-HCl pH8.3, 5 mM MgCl2, 0.9% Nonidet P-40, 0.9% Tw
een-20, 0.02 % gelatin, 及び400μg/ml proteinase K)を含む96ウェルプレ
ートの個々のウェルへ移された。線虫は、PCR装置中で、60℃1時間、続い
て95℃15分間溶解される。その後、18μlのPCRマスター混合物が粗抽出
物に添加された(全量が〜20μl反応量となるように、抽出物の一部が蒸発する
ことを想定する);この混合物は、1Xの反応緩衝液(Perkin-Elmer)を含み、
1.5 mM MgCl2, 0.2 mM 各dNTPs, 0.5μM各遺伝子特異的なプライマー, 0.5 unit
sのTaqポリメラーゼ、及び水を18μlとなるように加える。 PCR反応は、上述の挿入物に対するライブラリーのスクリーニングに使用し
たのと同じプログラムが用いられた。続いて、2ラウンド目のPCR反応は、最
初のサイクルの反応液の少量が、ピンリプリケーターを用いて2ラウンド目のマ
スター混合物へ添加された後、上述したように、挿入物のスクリーニングの時と
同じ条件、及びプライマーを用いて行われた。反応は、挿入物に対する元のスク
リーニングにおいて観察されたものと同じサイズの挿入産物について、アガロー
スゲルにより解析された。 このPCRに基づくスクリーニングを用いると、挿入に関して同型接合性であ
る一群の線虫が得られた。しかしながら、このTc1挿入はイントロンであり、
しばしば、mRNA前駆体のスプライシングの過程でイントロンと共に完全に除
去されてしまうため、このような挿入は、遺伝子の機能に影響を与えそうになか
った。従って、この一群の挿入は、ceSREBP遺伝子における、Tc1エレ
メントの不正確な切除による欠失(上述したように)を同定するために用いられ
た。
【0089】 Tc1が仲介する欠失の同定 ceSREBP遺伝子おけるTc1を介した欠失を得るために、6D2挿入
線虫の244培養を含む小規模なライブラリーが作製された。ライブラリーを作
製するために、〜5から10の線虫の同型接合体が別々のプレートに播かれた。
これらの線虫が成長し、繁殖し、プレート中の全てのバクテリアを消費した後、
これらの培養物による3組の抽出物が調製された。各々のプレートからの線虫サ
ンプルは、蒸留水でプレートを洗浄し、96ウェルプレートの一のウェルに各プ
レートから洗浄された線虫を添加することにより回収された。3組の抽出物を調
製するために、この過程をさらに二回繰り返した。線虫は、等量の溶解緩衝液を
添加することにより溶解され、続いて-80℃にて15分間、60℃にて3時間
、95℃にて15から30分間インキュベーションされた。 欠失スクリーニングは、挿入スクリーニングのために使用された方法と同様な
PCRに基づくアプローチを用いて行われたが、両方法は既に公表されている(
Zwaal等, 上掲;及びPlasterk, 上掲)。遺伝子特異的なプライマー対の2組が
、入れ子型PCR法、つまり、外側の組は第1ラウンドのPCRに対して用いら
れ、内側の組は第2ラウンドのPCRに対して用いられるようなPCRを実施す
るのに選択された。第2ラウンドのPCRは、反応においてより優れた特異性を
達成するために実施された。当該プライマー組は、6D2におけるTc1挿入の
両側の各隣接するceSREBPゲノム配列中において〜3.2kb(Tc1欠
失スクリーニングにおいて典型的な範囲である)離れていた。
【0090】 PCR反応の第1ラウンドは、3組の溶解物の2組から2μlを用い、96ウ
ェルプレート中で行うは反応により、実施された。PCRは、挿入の同定の関し
、上述したように行われた。 反応は、以下のサイクル変数により、2回づつ行われた:94℃3分の後、以
下の35サイクル:94℃40秒、55℃1分、72℃1分。PCRの第2ラウ
ンドは、基本的に同様であった。少量の第1ラウンドのの反応物が、96ピンリ
プリケーターにより第2ラウンド反応混合物に添加された。 第2ラウンドのPCR反応物は、1%のアガロースゲル電気泳動により解析さ
れた。欠失の可能性のある産物が両反応において観察され、陽性が予測される溶
解物は、上述の2ラウンドのPCRにおける、ライブラリー3組全て(合計で6
反応)から関連する溶解物を用いて2回の反応を行うことにより再試験された。
反応産物は、ゲル精製され、所望の欠失の存在を確証するために直接配列決定さ
れた。さらに、得られた欠失産物がSREBP領域特異的であることを確証する
ために(即ち、PCRの人為的所産(アーティファクト)ではない)、更なるプ
ライマー組が2ラウンドのPCRにおいて用いられた。別個の反応が、3つ全て
の溶解物を用い、2つのオリジナルなプライマー組の一つにより行われた。この
プライマー組は、生成PCR産物が元の欠失産物とそのサイズにおいて〜100
から300bp異なる結果、1%アガローゲルで解析した場合、元々の産物から
見分けのつく程度にサイズのシフトを生じさせるように、選択された。スクリー
ニング方法における当該部分は、「特異性試験」と称される。6D2挿入ライブ
ラリーから244溶解物をスクリーニングするために本方法を用いて、ceSR
EBPゲノム領域内の〜2.2kbの一の欠失が同定され、特異性試験及び配列
解析により確証された。この欠失は、ceSREBP遺伝子のイントロンの範囲
から開始し、エクソン9の範囲内で終止する。この部分的な欠失対立遺伝子は、
ceSREBP(ep79)と名付けられた。
【0091】 欠失動物の同定 欠失の同定が引き続き行われるが、関係するプレートから192の個別の線虫
が別々のプレートに移動された。子孫がプレート上に存在する場合、親の線虫は
、96ウェルプレートの緩衝液中に添加され、上述のように溶解された。PCR
は、欠失を同定したプライマーを用いて実施された。 突然変異表現型 SREBP欠失動物の解析を行う前に、SREBP欠失を持つ動物は、挿入及
び欠失動物が単離された突然変異誘発遺伝子系統におけるTc1エレメントによ
り誘導された無関係の突然変異を除去するために、野生型系統(N2/Bristol)
との10回のアウトクロス(out-cross)が行われた。交配による除去の過程を
通して、ceSREBP欠失が、上記の欠失スクリーニングのために使用したも
のと同じプライマー及び条件を使用して、アウトクロスされた子孫をPCRによ
り解析することにより、確認され、維持された。 欠失突然変異は、バランス染色体に対してトランスの位置に導入され、異型接
合体系統として維持された。機能突然変異の減少又は排除が、しばしばRNAi
、及び結果的に幼虫の成長停止を生じさせるceSREBP RNAiによって
観察される表現型を集約する。従って、同型接合性欠失突然変異が幼虫成長停止
表現型を産み出す場合、その突然変異は、それ自身は、伝搬され得ない。 アウトクロスされ、バランス化された系統は、SREBP欠失に由来する突然
変異表現型のいずれかに関して解析された。異型接合体SREBP欠失動物(推
定による欠失同型接合体と関連性のある)に由来するおよそ25%の子孫が、上
記実施例3に記述されたように、ceSREBP RNAiにより産み出される
ものと同じ表現型を示した。これらの表現型は、初期幼虫成長停止を含んでおり
、腸管におけるわずかな脂質滴の結果としての色素沈着、及び液胞の蓄積を減少
させた。
【0092】 実施例5:ショウジョウバエS2Pのクローニング BLASTを用いて、バークリーショウジョウバエゲノムプロジェクト(BDGP)か
らの2つのESTクローン、LD11632(GI2044683)及びLD14421(GI2151648)は、ハ
ムスターS2P(GI2745731)と相同性を有することが見いだされている。この
配列は、2つのP1クローンD379及びD380(GI3893020)に含まれてい
た。これらの配列に基づくプライマーウォーキングは、全長DNA配列を得るた
めに使用された。完全な、はっきりとした遺伝子(ここでは、ショウジョウバエ
S2P(dS2P)と称される)の範囲を産み出すために、さらに幾度かの反応
が実施された。見かけの翻訳開始点を219に、停止シグナルをヌクレオチド1
745の位置に含む、単一の読み枠を含む全長クローン(配列番号3)が同定さ
れた。予想されるポリペプチド前駆体は508アミノ酸長である(配列番号4)
。PFam及びPROSITEのデータベース(Sonnhammer等, Genomics(1997)46:200-206;
Bairoch等, NAR(1991)19 Suppl:2241-2245;及びHofmann等, NAR(1999)27:215-2
19)の検索により、7つの膜貫通ドメイン及びPDZドメインを明らかにした。
膜貫通ドメインは、およそアミノ酸残基4から20(TM1)、82から98(
TM2)、143から159(TM3)、163から179(TM4)、208
から224(TM5)、428から444(TM6)、及び478から494(
TM7)に位置する。予想されるPDZドメインは、およそアミノ酸215から
285に位置する。
【0093】 ショウジョウバエS2P(Fig.2、配列番号4)と顕著な相同性を示す他
の遺伝子及びタンパク質の存否について、他の遺伝子コンピュータープログラム
(Altschul等, 上掲)のBLASTファミリーを使用して調べられた。以下のアミノ
酸配列が最も類似していた:S2P ホモサピエンス(GI2745733);S2P
クリセチュラス グリセウス(GI2745731)、SP2メタロプロテアーゼ ホモ
サピエンス(GI4164134及びGI4164135);仮想上のタンパク質 シロイヌナズナ
(GI2982448);保存されたタンパク質 メタノバクテリウム サーモオウトト
ロフィカン(GI2622476);及びOrfc04034 サルフォロバスソルファタリカス(
GI1707806)。最も相同性の高い配列は、配列番号:4の位置201から207
の9の連続するアミノ酸を共有するヒトS2P(GI2745733)であった。配列番
号4の127から501のアミノ酸は、GI2745733の148から515のアミノ
酸と32%配列同一性を共有する。
【0094】 実施例6:ショウジョウバエSCAPのクローニング ここで同定されたショウジョウバエSCAPホモログ(dSCAP)は、遺伝子予
測及び5’RACEによる配列に基づいたPCRによってクローン化された。ハ
ムスターSCAP(GI1675220)のBLAST解析により、高い相同性の領域を有する
ゲノムP1クローン、DS06954が明らかにされた。このP1のGENSCAN遺伝子発見
解析により、これらの相同性領域を含み、ESTによって部分的に網羅されるc
DNAが予測された。dSCAPは、N末端及びC末端を重複するようにクロー
ン化された。 遺伝子予測中には示されなかったN末端配列が、Marathon system(Clontech
)を用いて調製された胚性cDNAから、RACEにより得られた。短いN末端
断片は、Marathonアダプターに対して非特異的なプライマーであるAP1、及び
5’ESTに含まれるアンチセンスプライマーを用いて増幅された。増幅は、Kl
entaq(登録商標)酵素及び緩衝液により、基本的には、製造メーカーの指示に
従って行った。 メジャーな0.7kbのPCR産物をpCRIIシャトルベクター(Invitrog
en)へクローン化し、M13の正方向及び逆方向のプライマーを用いて完全に配
列決定し、開始コドンを同定した。同定されたN末端配列に基づいて、より長い
N末端及び重複するC末端断片が増幅された。 全長のコンティグは、ヌクレオチド位置73の見かけの翻訳開始点、及びヌク
レオチド位置3786における停止シグナル(配列番号:5)を持つ単一の読み
枠を持つ配列として同定された。予想されるポリペプチド前駆体は、1237ア
ミノ酸長(配列番号:6)である。 更なる性質として: 1)4つのGベータ(GB)リピートWDドメイン:アミノ酸残基812から8
48に相当する、ヌクレオチド2509から2617に位置するGB1;アミノ
酸残基1005から1041に相当する、ヌクレオチド3080から3196に
位置するGB2;アミノ酸残基1045から1084に相当する、ヌクレオチド
3208から3325に位置するGB3;アミノ酸残基1088から1124に
相当する、ヌクレオチド3337から3445に位置するGB4; 2)6つの予想される膜貫通ドメイン(TM)。アミノ酸残基306から322
に相当する、ヌクレオチド991から1039に位置するTM1;アミノ酸残基
348から364に相当する、ヌクレオチド1117から1165に位置するT
M2;アミノ酸残基369から385に相当する、ヌクレオチド1180から1
228に位置するTM3;アミノ酸残基431から447に相当する、ヌクレオ
チド1366から1414に位置するTM4;アミノ酸残基560から576に
相当する、ヌクレオチド1753から1801に位置するTM5;及びアミノ酸
残基760から776に相当する、ヌクレオチド2353から2401に位置す
るTM6。
【0095】 dSCAP(配列番号:5)と顕著な相同性を示す遺伝子、及びタンパク質配
列の存否について、核酸データベースに対してBLAST(Altschul等, 上掲)を用
いて調べられた。これにより、dSCAPは、BDGP:DS06954(P1 D338, GI44545
81)、及びDS05325(P1 D340, GI4454581)からの2つのゲノムクローンによってカ
バーされることが明らかにされた。2つのクローンのアクセッション番号はAC00
7121である。dSCAPとのヌクレオチド相同性を示す他の配列は、KIAA0199遺
伝子(GI1228046)に対するmRNA、及びクリセチュラス グリセウスSCAP
mRNA(GI1228046)である。 タンパク質レベルで、dSCAPは以下に示す配列と相同性を有する:シー・エ
レガンスの予測されるSCAP D2013.8(GI642180)、ホモサピエンス
KIAA0199遺伝子(GI1228047)、クリセチュラス グリセウスSCAP(GI167
5220)、及びHMG-CoAリダクターゼ(GI3875380)の膜貫通ドメインと相同
性を有する。
【0096】 実施例7:遺伝子組換えショウジョウバエの異常発現SREBP 構成的に活性化型であるショウジョウバエSREBP(dSREBP.CA)
は、スクリーニング又はカウンタースクリーニング用化合物、及びショウジョウ
バエにおけるSREBPの機能をさらに明らかにする道具として使用されるため
に、ショウジョウバエにおいて異常発現するように、設計された。dSREBP
.CAは、酸性の塊及びbHLH-Zipドメインを含む、dSREBP(配列
番号:8)の1から448のアミノ酸を含んでおり、終止コドンが付加された最
初の膜貫通ドメインのちょうど前で終止していた。従って、転写の標的の活性化
に関してタンパク質分解によるプロセッシングを必要としなかった。 この構築物は、pExPress-UASにクローン化された。pExPre
ssは、pGMR(Hay等, 上掲)に由来する遺伝子組換えショウジョウバエに
おける遺伝子の異常発現のために特異的に設計されたベクターである。ベクター
は9kbの長さで、以下の構成物を含む:大腸菌での複製オリジン、アンピシリ
ン耐性遺伝子、Pエレメントトランスポゾン末端、Whiteマーカー遺伝子、及びh
sp70のエンハンサーのTATA領域を含む発現ユニット、αーチューブリン遺伝
子の3’非翻訳領域。発現ユニットは、エンハンサーを挿入するように設計され
た最初のマルチクローニング部位(MCS)、対象の遺伝子を挿入するために設
計された、500ベース下流に位置する第二のMCSを含んでいる。dSREB
P.CAは、第二のMCSのEcoRIサイトにクローニングされた。
【0097】 発現コンストラクトは、ショウジョウバエの形質転換に関する標準的は方法(
Rubin及びSpradling, 上掲)を用いて、キイロショウジョウバエの胚にインジェ
クトされた。種々のGAL4ドライバー系統が、導入遺伝子の異常発現を誘起す
るために使用された。ドライバー系統、kurppel, Rhomboid及び1878は、インデ
ィアナ大学より入手可能であり(http://flybase.bio.indiana.edu)、腸、脂肪
体及び神経系を含む、3齢の幼虫における多くの組織中での発現を誘導する。系
T93及ぶT113は、Tian Xu氏(Yale University School of Medicine, New
Haven, CT)より快く供与頂いたものであるが、主に、幼虫の脂肪体において発
現が誘導される。 dSREBP.CAは、1878, 又はkurppel, Rhomboidによるドライバーで発
現された場合、致死の表現型を示した。T93ドライバーによる発現は、減少し
たオスの生存率、減少したメスの繁殖性、しなびた腹部、及び飢餓的な形態、成
虫における幼虫脂肪体の残存、及び短い寿命を含んだ、ある範囲にわたる表現型
を産み出した。T113ドライバーによる発現は、主に蛹期での致死性を示した
。成虫まで生存したほとんどはメスで、しなびた腹部を持つ表現型を示した。主
に幼虫の脂肪体において発現させることにより産み出されたこれらの表現型は、
dSREBP.CAの遺伝子導入が代謝に影響を及ぼすことの証拠を提供した。
【0098】 実施例8:dS1P核酸配列のクローニング 哺乳類S1Pのショウジョウバエホモログは、混合された週齢の胚の組織、成
虫原基、及び成虫の頭部から調製されたESTライブラリー由来の配列に基づい
てクローン化された。これらの組織からのmRNAは、Bonaldo等(Genome Rese
rch(1996 6:791-806))によって発表された方法の修飾を加えて使用することで
規格化されたランダムプライマーライブラリーを構築するために使用された。規
格化されたライブラリーからの配列決定のために選ばれたコロニーの総数は、2
40,000であった。反応は、主として、cDNA挿入物の5’端から開始さ
れるプライマーをにより実施された。生物学的に興味があり、連続する配列(「
コンティグ」)の構築範囲を広げるようなクローンは、3’端からも配列決定さ
れた。DNA配列決定は、ABI377自動シークエンサーを用いて行われ、A
BIFS、ダイローダミン又はビックダイが用いられた(Applied Biosystems,
Inc., Foster City, CA)。 配列解析は、「Phred」プログラムを用いて行われた(Gordon, Genome Res. (
1998)8:195-202)。各々の配列は、BLASTプログラム及び100%近い同一性を
持つ領域を同定するフィルターを用いて、他の全てのハエEST配列と比較され
た。潜在的に重複する可能性のある配列は、「Pharp」、「Phred」「Consed」な
どのプログラム(Phil Green, University of Washington Seattle, Washington
;http://bozenman.mbt.washington.edu/phrap.docs/phrap.html)を用いてコン
ティグへ構築された。その後、結果として得られた構築物は、既存の公共のデー
タベースに対して比較され、公知のタンパク質との相同性は、コンセンサス配列
の翻訳を行うために使用された。コンティグ配列は、Oracle-based関連データベ
ース(FlyTag(登録商標), Exelixis Pharmaceuticals, Inc., South San Fran
cisco, CA)に記録された。
【0099】 予測される全長dS1P核酸は、PCRにより増幅され、配列決定された。配
列は、Phred/Phrapを用いて構築され、Consedを用いて解析された。このような
努力により、結果的には、993アミノ酸の予想されるタンパク質をコードする
2979の核酸の読み枠を網羅する、連続した長さ3160ベースの核酸配列が
得られた。このORFは、配列番号:1の62から3040ベースにわたるもの
である。 クローニング終了後、配列はPfam(Bateman等, Nucleic Acids Res. (1999)27
:260-262)及びProsite(Hofmann等, Nucleic Acids Res. (1999)27(1)215-219
)などのプログラムを用いて、結果的に得られ翻訳産物におけるモチーフを同定
するために解析が行われた。4つの膜貫通ドメインは、アミノ酸1から21、3
63から383、458から478、及び500から520(それぞれヌクレオ
チド62から130、1150から1213、1435から1498、1561
から1624に対応する)の位置に予測された。Prositeにより、アミノ酸15
4から435(ヌクレオチド523から1339)に位置にペプチダーゼS8サ
ブチラーゼファミリー(PS00138)との相同性が予想された。 dS1P核酸配列及びそれにコードされるタンパク質の核酸及びアミノ酸配列
は、BLAST(Altschul等, 上掲)を用いて公共のデータベースにおいて全ての利
用可能な核酸及びアミノ酸配列に対して検索された。タンパク質レベルで、BLAS
T解析によって予測される最も近似のホモログは、ヒト及びハムスターのS1P
配列(GI4506775及びGI7522635)、及びマウス、ラットのサッチリシン(subtilis
in)(GI4679093及びGI4679095)関連タンパク質であった。
【0100】 実施例9:シーエレガンスSREBP、インシュリン受容体、及びTGF-B経
路遺伝子の遺伝学的相互作用 遺伝学的、表現型的解析 dauer-構成的表現型を付与するdaf-2/InR(GI2338417)又はdaf-7/TGF-β(GI168
4866)情報伝達経路における機能欠損及び機能低下突然変異は、腸管における脂
質滴の蓄積増加に関連する暗色腸管表現型(Kimura KD等, Science(1997)277:94
2-946)をも産み出す。暗色腸管表現型は、後期幼虫及び成虫においてdauer形成
とは独立に生じ、SREBP機能の低下によって引き起こされ、腸管脂質滴の蓄
積の減少と関連性を持つ蒼白腸管表現型とは相反するように見える。
【0101】 我々は、daf-2/InR、daf-7/TGF-β、又はどちらかの経路の下流の構成物にお
ける突然変異は、SREBP機能の低下を部分的に抑制することができることを
示した。特に、シー・エレガンスSREBP遺伝子の一部に対する二重鎖RNA
を発現する大腸菌で生育されたdaf-2(e1370)(キナーゼドメインにおけるP1465S
突然変異;Kimura等、上掲)成虫は、同様に処理された野生型の動物よりも著し
く多くの腸管色素沈着及び脂質滴を示した幼虫及び成虫を産み出した。脂質滴の
蓄積は、RNAi処理と無処理の野生型動物との中間の量を示した。本実験は、
野生型大腸菌でほとんどの突然変異動物が成虫にまで発生し、暗色腸管表現型を
示す温度である20℃において、温度感受性突然変異であるdaf-2(e1370)を用い
て行った。また、我々は、部分欠失突然変異ceSREBP(ep79)とdaf-2(e1
370)との組合わせた二重突然変異を構築した。daf-2(e1370)突然変異は、ce
SREBP(ep79)の蒼白腸管表現型、さらに短躯、細躯表現型、少数胚(smal
l brood size)表現型を及びを部分的に抑制する。ep79突然変異は、サイト1プ
ロテアーゼ及びサイト2プロテアーゼのプロセッシング部位を含むが、N末端転
写因子ドメインを含まないSREBPタンパク質のC末端を欠失し、遺伝学的に
は、機能低下突然変異として作用する。これらの結果は、daf-2/InR情報伝達が
、ceSREBP機能をceSREBPタンパク質分解性のプロセッシングとは
非依存的にアンタゴナイズすることを示す。
【0102】 daf-2/InR(Paradis SM等, Genes & Dev. (1999)13:1438-1452)の下流で作用
するpdk-1/PDK1(GI5353962及びGI5353964)遺伝子における2つの突然変異、sa68
0及びsa709は、RNAiを摂食するceSREBPの蒼白腸管表現型をも、daf-
2(e1370)の突然変異と同程度に、部分的に抑制した。また、pdk-1(sa680)及びpd
k-1(sa709)は、温度感受性dauer-構成的突然変異であり、非dauer動物において
ceSREBP機能低下抑制に関して許容温度である20℃においてテストされ
た。 daf-7/TGF-β経路は、dauer形成を阻害するような非重複性の様式でdaf-2/InR
経路と並行して作用する(Riddle DL及びAlbert PS, 1997,.in C elegansII(DL
Riddle, T Blumenthal, BJ Meyer, 及びJR Priess編集), Cold Spring Harboro
Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, pp. 739-768)。daf-2/InR及びpdk-1/PD
K1突然変異と同様に、20℃及び15℃の許容温度において、daf-7(e1372)温度
感受性突然変異(GI1684866;Ren PC等, Science(1996)274:1389-1391)は、c
eSREBPのRNAiにより産生される蒼白腸管表現型の弱いサプレッサーと
して振る舞った。daf-14/Sma遺伝子は(GI6110600)は、daf-7/TGF-βの下流で
作用し、daf-14の予想上のヌル突然変異、m77(Inoue T, 及びThomas JH. Dev. B
iol.(2000)217:192-204)は、SREBPの機能低下を部分的に抑制した。興味深
いことに、この抑制は、15℃でほぼ完全であった。 我々は、シー・エレガンスにおいてInR及びTGF-βのシグナル伝達経路は、c
eSREBP経路が普段上方制御している脂質生合成及び/又は取込み活性を、
通常、下方制御すると結論できる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【Fig1a及び1b】 Fig1A及び1Bは、SREBPの不活性な膜結
合形態(Fig.1A)及び低ステロール状態におけるSREBPを活性化する
二段階タンパク質分解(Fig.1B)を示す。
【Fig2】 SREBPプロセッシング複合体においてSREBP、SCA
P、S1P及びS2P間に推定される相互作用を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 15/09 ZNA G01N 33/15 C C12P 21/02 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/53 D 33/50 M 33/53 33/566 33/92 Z 33/566 C12N 15/00 ZNAA 33/92 5/00 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES ,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU, ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,K R,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV ,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO, NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,S I,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA ,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 エルソン,サラ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94110, サンフランシスコ,フロリダ ストリート 1601 (72)発明者 ファーガソン,キンバリー,カー アメリカ合衆国 カリフォルニア 94044, パシフィカ,エブケン ストリート 479 (72)発明者 ホンバーガー,シェイラ,アキコ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94611, オークランド,304,グレン アヴェニュ ー 69,304号 (72)発明者 エベンス,アレン,ジェイムス,ジェーア ール. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94122, サンフランシスコ,27番 アヴェニュー 1786 (72)発明者 キーガン,ケビン,パトリック アメリカ合衆国 カリフォルニア 94579, サンリアンドロ,セイヤー ストリート 1408 (72)発明者 スタウト,トーマス,ジェー. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94131, サンフランシスコ,ゲールウッド サーク ル 128 Fターム(参考) 2G045 AA25 AA29 AA35 BA14 BB20 BB24 CB17 DA12 DA13 DA14 DA36 DA60 FA16 FB02 FB03 FB12 4B024 AA11 BA80 CA04 CA20 DA02 GA11 GA25 HA11 4B064 AG01 CA01 CA10 CA19 CC01 CC24 DA13 4B065 AA01X AA58X AA72X AA87X AA90X AA90Y AB01 AC14 AC20 BA01 BA16 CA46 4H045 AA10 AA20 AA30 BA10 CA50 CA51 DA89 EA50 FA74

Claims (31)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SREBP経路タンパク質を発現させ又は異常な発現をさせ
    るために遺伝学的に修飾されたハエ又は線虫である動物、又は前記SREBP経
    路タンパク質の発現又は異常な発現が遺伝した前記動物の子孫。
  2. 【請求項2】 トランスポゾン挿入突然変異導入法、二重鎖RNA干渉、及
    び化学的突然変異導入法から成るグループより選択される方法により、遺伝学的
    に修飾された、請求項1に記載の動物。
  3. 【請求項3】 異種性プロモーターが、前記SREBP経路タンパク質の発
    現又は異常な発現を誘起する、請求項1に記載の動物。
  4. 【請求項4】 前記プロモーターが、組織特異的なプロモーター、発生段階
    特異的なプロモーター、及び誘導可能なプロモーターから成るグループより選択
    される、請求項3に記載の動物。
  5. 【請求項5】 前記動物がハエであり、前記プロモーターがセブンレス、ア
    イレス、グラス、dpp、熱ショック、tTA-応答性、GAL4-応答性及びベ
    スチガルから成るグループより選択される、請求項4に記載の動物。
  6. 【請求項6】 前記SREBP経路タンパク質が、該SREBP経路タンパ
    ク質の発現の検出を可能ならしめる一又は複数の選択可能なマーカーをコードす
    る核酸配列と連結されたSREBP経路核酸配列によりコードされる、請求項1
    に記載の動物。
  7. 【請求項7】 前記SREBP経路タンパク質の前記発現又は異常な発現が
    、結果として同定可能な表現型となる、請求項1に記載の動物。
  8. 【請求項8】 前記SREBP経路タンパク質が、配列番号2,4,6,及
    び8から成るグループ、又は機能的に活性なそれらの断片より選択されたアミノ
    酸配列を含む、請求項1に記載の動物。
  9. 【請求項9】 前記SREBP経路タンパク質が、配列番号1,3,5,及
    び7から成るグループより選択された核酸配列の一部又は全てによりコードされ
    る、請求項8に記載の動物。
  10. 【請求項10】 前記線虫が、SREBPの欠失に関してヘテロ接合性であ
    る、請求項7に記載の動物。
  11. 【請求項11】 前記動物が線虫であり、前記検出可能な表現型が蒼白腸管
    表現型又はその他の腸管欠損である、請求項7に記載の動物。
  12. 【請求項12】 請求項1の動物において、前記SREBP経路タンパク質
    の発現又は異常な発現により誘導される表現型を検出することを含む、脂質代謝
    を研究する方法。
  13. 【請求項13】 前記SREBP経路タンパク質の前記発現又は異常な発現
    を誘導する請求項1の動物と同一の遺伝学的修飾を持つ第二の動物を観察するこ
    とを更に含み、前記第二の動物が対象の遺伝子に突然変異を更に含み、請求項1
    の動物の表現型と第二の動物の表現型との間に差違が存在するならば、その差違
    が前記SREBP経路タンパク質をコードする遺伝子の機能を修飾することがで
    きるものとして、対象の遺伝子を同定する、請求項12の方法。
  14. 【請求項14】 前記対象の遺伝子が、コレステロール若しくは脂肪酸の生
    合成又は代謝、インスリン情報伝達、及びTGF-β情報伝達から成るグループ
    より選択される経路に関わる、請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記動物が線虫であり、前記表現型が蒼白腸管表現型又は
    脂質の生合成若しくは代謝における異常性を示す他の腸管欠損である、請求項1
    3に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記動物が線虫であり、前記方法が、該線虫内の脂質含量
    を測定するために蛍光標識された脂肪酸結合体によりインヴィボにて前記線虫を
    染色することを含む、請求項13に記載の方法。
  17. 【請求項17】 蛍光標識された脂肪酸結合体が、BODIPY(登録商標
    )-脂肪酸結合体である、請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記動物、又はその子孫に一又は複数の化合物を投与し、
    前記動物又はその子孫の脂質含量の何らかの変化を観察することを更に含む、請
    求項13に記載の方法。
  19. 【請求項19】 脂質を染色するためにBODIPY(登録商標)-脂肪酸
    結合体を前記線虫と接触させ、脂質含量の指標として蛍光を測定することを含む
    、生きた線虫の脂質含量を決定する方法。
  20. 【請求項20】 脂質含量に影響を与える突然変異を検出するための遺伝学
    的スクリーニングを組み合わせて用いる、請求項19に記載の方法。
  21. 【請求項21】 一又は複数の化合物を前記線虫又はその子孫に投与し、前
    記化合物が脂質含量にもたらす何らかの影響を観察することを更に含む、請求項
    19に記載の方法。
  22. 【請求項22】 A)配列番号2,4,及び6のいずれか一つの配列の、少
    なくとも10の連続するアミノ酸を含むポリペプチドをコードする核酸配列; B)配列番号8の少なくとも16の連続するアミノ酸を含むポリペプチドをコー
    ドする核酸配列;及び C)配列番号2の残基335から428の、少なくとも8の連続するアミノ酸を
    含むポリペプチドをコードする核酸配列:から成るグループより選択される核酸
    配列を含む15kb未満の単離された核酸分子。
  23. 【請求項23】 適切な条件下において、配列番号1,3,5,及び7から
    成るグループより選択される核酸配列とハイブリダイズ化する、請求項22に記
    載の単離された核酸分子。
  24. 【請求項24】 前記適切な条件が、34℃にて、6XSSC/0%ホルム
    アミドを含む緩衝液中でのハイブリダイゼーション、及び45℃にて、2XSS
    Cを含む緩衝液中での洗浄を含む、請求項23に記載の単離された核酸分子。
  25. 【請求項25】 請求項22に記載の核酸分子を含むベクター。
  26. 【請求項26】 請求項25に記載のベクターを含む宿主細胞。
  27. 【請求項27】 前記細胞が酵母である請求項26に記載の宿主細胞。
  28. 【請求項28】 前記SREBP経路タンパク質の発現に適した条件下にて
    、請求項26に記載の宿主細胞を培養し、前記タンパク質を回収することを含む
    、SREBP経路タンパク質を生産する方法。
  29. 【請求項29】 請求項28の方法により生産された、単離されたSREB
    P経路タンパク質。
  30. 【請求項30】 異種タンパク質のアミノ酸配列とペプチド結合を介し、ア
    ミノー又はカルボキシ-末端が連結されている、請求項29に記載の単離されたS
    REBPタンパク質。
  31. 【請求項31】 a)結合を導く条件下にて、一又は複数の候補分子を、前
    記ポリペプチドに接触させ; b)候補分子と前記ポリペプチドとの間に生じる結合を検出することを含む、配
    列番号2,4,6,又は8を包含するポリペプチドに結合する候補分子を検出す
    る方法。
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