JP2003334587A - 微生物製剤の施用方法 - Google Patents
微生物製剤の施用方法Info
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Abstract
を、それが施用される地点において必要とされる機能の
程度に応じて最適な量を決定することができる微生物製
剤の施用方法を提供することである。 【解決手段】 機能性微生物の培養物からなる微生物製
剤を施用して、施用される地点における機能性微生物に
よる処理可能量を負荷量以上とする方法であり、予
め、前記地点における機能性微生物の施用量と、機能性
微生物による処理可能量が負荷量以上となるのに要する
施用後の経過時間との関係を求めておき、前記地点に
おける負荷量と、微生物製剤の施用後に前記地点におけ
る処理可能量が前記負荷量以上になるまでの許容時間と
から、前記関係に基づいて、微生物製剤の施用量を求
め、求められた施用量の微生物製剤を前記地点に施用
する施用方法であり、微生物製剤の施用量を最少量にす
ることができる。
Description
る微生物製剤の施用方法に関する。 【0002】 【従来の技術】活性汚泥法などによる排水等の生物学的
処理装置においてしばしば発生する様々なトラブルを解
消するために、特定の機能を有する微生物である機能性
微生物の培養物からなる資材である、いわゆる微生物製
剤が種々開発され利用されている。たとえば、有機物処
理能力の強化、油分など難処理性の成分の処理促進、窒
素除去に関する硝化機能の促進などの目的で使用される
微生物製剤がこれに該当する。 【0003】また、発酵処理装置を用いて有機性廃棄物を分
解処理しコンポストや堆肥化を行って農地還元する技術
においても、有機性廃棄物の発酵促進のため微生物製剤
が使用されることがある。さらには、近年、重油や化学
物質、重金属等に汚染された土壌や地下水等の浄化を促
進するために、それらに対する分解機能を有する微生物
を優占種とする微生物製剤の開発が進められ、実用化さ
れつつある。 【0004】このように、微生物製剤は環境浄化に関連する
分野を主体に近い将来幅広くかつ急速に普及することが
予想される。然るに、これまでに実用化された微生物製
剤については、それを施用する際の明確な基準が確立さ
れておらず、微生物製剤を施用しようとする地点の大き
さ、たとえば生物学的処理装置や発酵処理装置などの容
積や内容物の重量といった尺度をよりどころとして施用
量の基準値が定められるに過ぎなかった。 【0005】しかしながら、同じ微生物製剤であっても、そ
れを施用しようとする地点毎に求められる処理可能量の
程度やそのために許容される時間の長さが異なるのが通
常であり、便宜的に定めた微生物製剤の施用基準を普遍
的に流用するには無理があった。このため、微生物製剤
の施用量が最少となるような、適正な微生物製剤の施用
方法の開発が強く求められていた。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、機能
性微生物の培養物からなる微生物製剤を、それが施用さ
れる地点において必要とされる機能の程度に応じて最適
な量を決定することができる微生物製剤の施用方法を提
供することである。より具体的には、本発明は、微生物
製剤の施用後に施用地点における処理可能量が負荷量以
上になるまでに許容される時間または期間の範囲内で微
生物製剤の施用量が最少となるような、適正な微生物製
剤の施用方法を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明にかかる微生物製剤の施用方法は、機能性微生
物の培養物からなる微生物製剤を施用して、施用される
地点における処理対象物の機能性微生物による処理可能
量を負荷量以上とする方法であり、あらかじめ、前記
地点における機能性微生物の施用量と、機能性微生物に
よる処理可能量が負荷量以上となるのに要する施用後の
経過時間との関係を求めておき、前記地点における負
荷量と、微生物製剤の施用後に前記地点における処理可
能量が前記負荷量以上になるまでの許容時間とから、前
記関係に基づいて、微生物製剤の施用量を求め、求め
られた施用量の微生物製剤を前記地点に施用することを
特徴とする。 【0008】すなわち、微生物は、施用地点で施用後、該微
生物が生育するのに適した環境が提供され続ける限りそ
の地点において増殖するので、微生物製剤の施用後に施
用地点における処理可能量が負荷量以上になるまでの許
容時間内での機能性微生物の増殖分に相当する量だけ微
生物製剤の施用量を削減することが可能となる。これに
よって、生物処理施設などにおいて必要とされる微生物
製剤の機能を必要最小限の微生物製剤で得ることができ
る。本発明において、微生物製剤が施用される地点と
は、排水などの生物的処理施設を指すほか、食品工業、
発酵工業のように微生物による生物学的処理を行う施設
等をも含む広い概念である。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる微生物製剤
の施用方法を、排水の生物学的処理装置に適用する場合
を例に挙げて説明する。生物学的処理装置では、何らか
の原因で処理機能が損なわれることがある。例えば機能
性微生物の失活や死滅、微生物に対する負荷量の増大等
である。このような場合、施用される地点における処理
対象物の機能性微生物による処理可能量を負荷量以上と
するためには、生物学的処理装置が正常に稼動していた
ときの処理機能の程度、たとえば有機物処理機能であれ
ばBOD容積負荷(生物学的処理装置単位容積、単位時
間あたりに負荷される生物学的酸素要求量(BOD)質
量)に対する処理実績値や、硝化機能であればアンモニ
ア態窒素の容積負荷(生物学的処理装置単位容積、単位
時間あたりに負荷されるアンモニア態窒素の質量)に対
する処理実績値をあらかじめ測定しておき、そのような
正常時の処理機能の程度に相当する量の微生物製剤を生
物学的処理装置に一度に施用すれば、ただちに該生物学
的処理装置の機能は復旧する。 【0010】あるいは、生物学的処理装置に負荷される有機
物やアンモニアなどの汚濁物質の量が急激に増加する場
合には、加増される負荷の程度に相当する量またはそれ
以上の微生物製剤を施用すれば、該生物学的処理装置の
これら汚濁物質の処理機能が増強され、処理水質の安定
を達成することができる。同様の施用方法によれば、新
たに建設された、あるいは長期間休止していた生物学的
処理装置の立ち上げを迅速に行うことも可能になる。 【0011】本発明施用方法によれば、施用地点における負
荷量と、微生物製剤の施用後に前記地点における処理可
能量が前記負荷量以上になるまでの許容時間とに応じ
て、あらかじめ実験によって求めておいた施用地点にお
ける機能性微生物の施用量と、機能性微生物による処理
可能量が負荷量以上となるのに要する施用後の経過時間
との関係式を用いて、必要最少限の施用量が決定され
る。微生物製剤の特徴として、それらが目的の地点(例
えば特定の生物学的処理装置)に施用された後、該微生
物が生育するのに適した環境が提供され続ける限りその
地点において増殖することにより、微生物の増殖分に相
当する量だけ微生物製剤の施用量を削減することが可能
となるのがその理由である。 【0012】すなわち、施用された微生物が直ちに対数増殖
を行う場合、式(1)に従って増殖することが知られてい
る(生化学辞典 第1版 p.723「増殖速度」の項,東京
化学同人刊,1984年)。 【数1】 ただし、Nは時間tにおける微生物の個体(細胞)数、N0
はt=0における細胞数、Tは細胞の平均世代時間であ
る。 【0013】式(1)によれば、図1に示すように、t=0の時
点で施用された微生物は時間t経過後にはN0・2t/Tに増
殖しているから、時間t経過後に求められる処理可能量
に相当する微生物の量(個体数)をNとすると、t=0の
時点における微生物製剤の施用量を(N−N0)だけ削減
することが可能である。 【0014】このように、微生物製剤のTの値を求めるだけ
で、施用量と、機能性微生物による処理可能量が負荷量
以上となるのに要する施用後の経過時間との関係式を算
出することができる。一方、微生物製剤が純粋培養され
た微生物のみからなるものではなく、例えば活性汚泥を
材料として調製したもののように複数乃至未純化の微生
物からなるためTの値を算出することが困難な場合に
は、後述の実施例に示すように、実験によって施用量と
施用後の経過時間との関係を表す式を導出してもよい。 【0015】さらに本発明によれば、より詳細な微生物製剤
の施用方法を設計することができる。たとえば、微生物
製剤の施用を一度にまとめて実施し、以後は施用を行わ
ない方式(以下「一括施用」という)を採用できない場
合には、微生物製剤を少量ずつに分けて反復施用する方
式(以下「分割施用」という)を採用することができ
る。分割施用のしかたには、1回あたりの施用量と施用
回数との間に無限の組合せが考えられ、かつ、1回あた
りの施用量も一定であるとは限らない。したがって、普
遍的、汎用的な理論式を提示することは不可能といえる
が、典型的な例としてつぎのような理論式を算出するこ
とができる。 【0016】微生物製剤を微生物の個体数としてN0に相当す
る量を一括施用する場合と、総量がN0になるようにm回
に均等に分割施用する場合とを想定し、いずれの場合も
t=0のときに第1回目の施用を行うものとすると、一括
施用の場合の時間t経過後の個体数N1 は、式(1)のと
おり、N1=N0・2t/Tとなる。一方、分割施用の場合は、
次の式(2)及び(3)のように時間t経過後の個体数N2 を
求めることができる。 t<m(任意の時間tにおいて製剤の施用が完了していな
い期間)のとき 【数2】 t≧m(任意の時間tにおいて製剤の施用が完了して以
後)のとき 【数3】 ただし、式(2)及び(3)において、たとえばtの単位は
[日]のように、ゼロまたは正の整数、mは1日に1回施
用することを示す2以上の正の整数とする。また、活性
汚泥法による生物学的処理装置の場合、余剰の活性汚泥
の引き抜きはしないものとする。 【0017】式(2)及び(3)のいずれの場合も、時間tにおけ
る微生物の個体数については、N1>N2 となると算出で
きるが、tが大きくなるほど両者の差は小さくなるか
ら、一度に大量の微生物製剤を調製乃至は施用できない
場合には、微生物製剤による処理可能量が前記負荷量以
上になるまでの許容時間や期間の範囲内で微生物製剤を
少量ずつ分割施用することができ、かつ任意の時間にお
ける処理可能量の程度をあらかじめ予想することができ
る。 【0018】本発明方法において施用される特定の機能を有
する機能性微生物としては、1種類または複数種類を純
粋培養したものや、土壌、自然水及びその底質、活性汚
泥などを原材料として特定の機能を有する微生物乃至微
生物群が優占種となるように培養したものなどが挙げら
れる。また、本発明方法における微生物製剤の形態とし
ては、これらの培養液や培養物そのもののほか、担体に
よって凝集・造粒・結合・包括などの固定化を行ったも
の、あるいはそれらを冷蔵・凍結または乾燥したものな
ど、幅広く用いることができる。例えば特開平9-131178
号公報に記載の石炭焼却灰を使用して凝集・造粒化した
ものなどがあげられる。 【0019】本発明方法において施用される機能性微生物と
しては、特定の機能を有する限り、特に限定されるもの
ではなく、種々の細菌、酵母、糸状菌は勿論のこと、動
植物細胞をも含む。特に、本発明方法は、増殖の遅い細
菌、例えば亜硝酸菌、硝酸菌などの硝化菌の施用に好適
である。なお、本発明の施用方法は、排水の生物学的処
理装置に適用する場合だけでなく、例えば食品工業、発
酵工業のように微生物による生物学的処理を必要とする
いかなる分野においても適用可能であることはいうまで
もない。 【0020】 【実施例】次に、実施例を挙げて本発明の施用方法を詳
細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定され
るものではない。 【0021】実施例1 活性汚泥を原材料とし、これを石炭焼却灰を使用して凝
集・造粒化し、特開平9-187272号公報に記載の硝化菌の
連続培養法に従って硝化菌を優占種とした微生物製剤を
活性汚泥法による生物学的処理装置に施用して、硝化菌
が失活した状態から機能回復を行った例を示す。 【0022】<微生物製剤の調製>石炭焼却灰[化学成分:
Si 22.8%, Al 5.42%, Fe 1.4%, Cu 0.061%, Ni 0.014%,
Cr 0.006%, Pb 0.0055%, Sb 0.003%, Mo 0.0016%, As
0.00061%;粒径分布(個数分布として)4.22μm〜75.45
μm(ピーク9.12μm)]110gを、0.3%カチオン性高分
子凝集剤溶液(住友化学工業(株)製「スミフロック」FC
-300 0.528gを水176mLに溶解したもの)に3回乃至4回
程度に分けて加え、よく撹拌した後、0.1%アニオン性
高分子凝集剤溶液(住友化学工業(株)製「スミフロッ
ク」FA-300.132gを水132mLに溶解したもの)を追加して
さらに30分以上撹拌した。これに化学工場の活性汚泥を
MLSS(浮遊懸濁物質)として11g混和し、硫酸アンモニ
ウム0.71g/L(終濃度、以下同じ)、リン酸二ナトリウ
ム0.57g/L、塩化カリウム0.11g/L、硫酸マグネシウム七
水和物0.085g/L、硫酸鉄(II)七水和物0.0085g/L、塩
化カルシウム二水和物0.005g/L、硫酸マンガン四水和物
0.002g/L、モリブデン酸ナトリウム二水和物0.05mg/L、
硫酸亜鉛七水和物0.1mg/L、硫酸銅五水和物0.1mg/L、塩
化コバルト六水和物0.001mg/Lからなる培地及び水を加
えて3.4Lとしたものを同容量のアクリル製円筒形反応器
に入れた。この微生物懸濁液のpHをpHコントローラ
により約7.5に自動調節しながら反応器底部より一晩空
気を供給して回分培養を行った。培養温度は常温(約25
℃)とした。翌日、反応器に隔壁用円筒(反応器最外縁
部を固形物の沈殿ゾーンとするための間仕切り)および
ドラフトチューブを挿入し、反応部有効容積2.2Lの三相
流動床型の気泡塔反応器とした。これに上記の培地を、
時間の経過とともにアンモニア濃度を対数的に増加させ
ながら、pH約7.5、常温条件で連続培養を行った。培
養液の単位時間での単位容積あたりのアンモニア態窒素
の酸化速度、すなわちアンモニア態窒素の容積負荷に対
する処理実績(以下「硝化活性」という)が約600mg-N/
L・Hrに到達したものを冷蔵庫内(温度約5℃)に静置保
存した。これを以下「硝化菌製剤」という。本硝化菌製
剤は、特開2000-354484及び特開2002-27976に記載され
るように培養液中に高分圧酸素ガスを供給して培養液中
の亜硝酸態窒素イオン濃度を1mg/L以下とすることによ
り、少なくとも30日間硝化活性が損なわれることなく保
存することができるものである。硝化菌製剤は施用直前
に上澄み液を一部を排除することにより、硝化活性を約
1000mg-N/L・Hrに濃縮してから用いた。 【0023】<活性汚泥の硝化機能の回復>図2に示す曝気
槽及び沈殿槽一体型の活性汚泥法連続式生物学的処理装
置(以下「装置」という)を用いて、微生物製剤の施用
による硝化機能の回復操作を行った。装置はアクリル製
で、曝気槽1部分の実効容積は4.7L、沈殿槽2部分の実
効容積は2.1Lである。曝気槽1の底部には棒状のエアス
トーン3(気泡微細化器具)を取付け、これにコンプレ
ッサから空気を供給することにより曝気槽1内の攪拌と
酸素移動を行った。曝気槽1には化学工場の活性汚泥を
MLSS(浮遊懸濁物質)濃度が約6000mg-MLSS/Lとなるよう
に入れた。本実施例においては、実施期間中に汚泥の引
き抜きは行わなかった。曝気槽1に供給する原水として
は、試薬特級酢酸1.25mL/L(BODとして1300mg/Lに相
当)、硫酸アンモニウム1.43g/L(アンモニア態窒素と
して300mg/Lに相当)、リン酸0.056mL/L(リン酸態リン
として100mg/Lに相当)、13.5重量%炭酸ナトリウム溶
液0.89g/L(無機態炭素として140mg/Lに相当)及び塩化
カルシウム二水和物0.7g/L(カルシウムとして190mg/L
に相当)を蒸留水に溶解・混和したものを用いた。原水
の流量は3.9mL/minとし、曝気槽1部分への水理学的滞
留時間を約20時間とした。曝気槽1内の水温は25℃±5
℃、pHは6.7〜6.9とした。本条件において装置のアン
モニア態窒素の除去率が90%以上の良好な処理性能を安
定して示している状態で、曝気槽1に硝化阻害性物質で
あるホルムアルデヒドを1500mg/Lとなるように1回だけ
注入した。この操作により、装置のアンモニア態窒素除
去率は急激に低下し、ホルムアルデヒド注入後3日目に
は10%程度以下となった。硝化阻害を受けた活性汚泥の
硝化機能が自然に元の状態にまで回復するには、少なく
とも3週間が必要であった。なお、ホルムアルデヒドに
よって有機物の処理性能である総有機態炭素(TOC)
処理性能も一時的に低下するが、3乃至4日間経過後に
はほぼ元の状態(TOC除去率90%以上)に自然回復し
た。ホルムアルデヒド注入後3日を経過し、曝気槽内の
ホルムアルデヒド濃度が2mg/L以下まで十分低下したこ
とを確認した後、硝化菌製剤を1回だけ施用した。施用
量は、装置の正常時のアンモニア態窒素処理性能を基準
として決定した。装置においてアンモニア態窒素の除去
率が100%達成されている場合、アンモニア態窒素処理
性能、すなわち硝化活性はおよそ15mg-N/L・Hrとなる。
硝化活性1000mg-N/L・Hrの硝化菌製剤を施用して装置の
正常時の硝化活性にまで回復するためには、硝化菌製剤
の硝化活性の倍率が1000÷15=66.7倍であるから、曝気
槽の容積4.7Lの66.7分の1量、すなわち約70mLの硝化菌
製剤が必要である。このような施用量を「装置の硝化活
性の1倍当量」と定めた。施用量を当量比1倍から0.004
倍まで様々に設定して曝気槽に施用し、経過時間に応じ
て装置のアンモニア態窒素除去率の回復の程度を測定し
た。 【0024】<微生物製剤の施用量の決定>のべ16点の実験
結果について、明らかに装置の硝化機能の回復が確認さ
れたとみなされるアンモニア態窒素除去率が60%を超え
るに要した経過時間を横軸に、当量比で表した硝化菌製
剤の施用量を縦軸(対数目盛)に、それぞれプロットし
たものを図3に示す。すべての実験結果を直線回帰する
と高い相関が得られ、硝化菌製剤の施用量の当量比Sと
硝化機能の回復に要する経過時間tとの間に、 【数4】 なる関係式が得られた。ただし、eは自然対数の底であ
る。相関の高さを示すr自乗値は0.96であった。式(4)
によれば、たとえば硝化菌製剤施用後7日後までに生物
学的処理装置の硝化機能を60%以上回復させたい場合
は、当該生物学的処理装置の正常時の硝化活性の当量比
0.075倍に相当する硝化菌製剤を一回だけまとめて施用
してやればよい。より具体的にたとえれば、当該生物学
的処理装置の正常時の硝化活性が15mg-N/L・Hrで、硝化
菌製剤の硝化活性が1000mg-N/L・Hrであれば、15×0.07
5=1.125 [mg-N/L・Hr] になるように硝化菌製剤を施用
すればよいので、硝化菌製剤の濃縮倍率は、1000÷1.12
5=889倍、すなわち生物学的処理装置の容積に対して88
9分の1に相当する量の製剤を施用してやればよいことに
なる。生物学的処理装置の容積が500m3であるとする
と、硝化菌製剤の施用量は、500÷889=0.56 [m3]と見
積もることができる。 【0025】 【発明の効果】本発明によれば、機能性微生物の培養物
からなる微生物製剤を、それが施用される地点において
必要とされる機能の程度に応じて最適な量を決定するこ
とができ、微生物製剤の施用後に施用地点における処理
可能量が前記負荷量以上になるまでに許容される時間ま
たは期間の範囲内で微生物製剤の施用量を最少にするこ
とができるので、高価な微生物製剤を無駄なく使用する
ことができ、コストダウンや省資源を達成することが可
能となった。
伴って対数的に増殖する様子を概念的に示したグラフで
ある。 【図2】活性汚泥法による生物学的処理装置の機能を微
生物製剤の施用によって回復させる実験装置の概略を表
した説明図である。 【図3】生物学的処理装置の硝化機能が回復するに要す
る時間(単位:日)と、そのために施用される硝化菌製
剤の量を該生物学的処理装置の正常時の硝化活性に対す
る当量比との関係を示すグラフである。 【符号の説明】 1 曝気槽 2 沈殿槽 3 エアストーン
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】機能性微生物の培養物からなる微生物製剤
を施用して、施用される地点における処理対象物の機能
性微生物による処理可能量を負荷量以上とする方法であ
り、 あらかじめ、前記地点における機能性微生物の施用量
と、機能性微生物による処理可能量が負荷量以上となる
のに要する施用後の経過時間との関係を求めておき、 前記地点における負荷量と、微生物製剤の施用後に前記
地点における処理可能量が前記負荷量以上になるまでの
許容時間とから、前記関係に基づいて、微生物製剤の施
用量を求め、 求められた施用量の微生物製剤を前記地点に施用するこ
とを特徴とする微生物製剤の施用方法。
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