JP2003315159A - 放射温度計測装置 - Google Patents

放射温度計測装置

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JP2003315159A
JP2003315159A JP2002117234A JP2002117234A JP2003315159A JP 2003315159 A JP2003315159 A JP 2003315159A JP 2002117234 A JP2002117234 A JP 2002117234A JP 2002117234 A JP2002117234 A JP 2002117234A JP 2003315159 A JP2003315159 A JP 2003315159A
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radiation
light
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Tomoji Sakiyama
智司 崎山
Osamu Fukumasa
修 福政
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Yamaguchi Technology Licensing Organization Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 測定対象物の温度の空間分布を精度よく且つ
瞬時に計測できる、簡素で安価な放射温度計測装置を提
供することを目的とする。 【解決手段】 放射光から複数の波長を選択して、選択
された複数の波長が混在する選択放射光を生成する波長
選択手段と、この選択放射光を、複数の波長毎に分離可
能に撮像し、複数の波長毎に放射光強度に応じた出力を
生成する撮像手段と、撮像手段で生成した複数の波長毎
の出力を演算処理してプラズマの温度の空間分布を算出
する演算手段とを具備した放射温度計測装置であり、例
えば、2波長光学フィルタと、3CCDカメラと、パソコ
ンで構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、測定対象物から放
射された放射光を少なくとも2次元分布で撮像し、これ
により得られた放射光強度に基づいて測定対象物の温度
の空間分布を計測する放射温度計測装置に係わり、特
に、プラズマの生成、計測、制御などに好適な放射温度
計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】アーク放電をガス流と器壁で収束しノズ
ルから噴射することにより得られるプラズマジェット
は、高温・活性の熱プラズマ流であり、種々の材料処理
プロセスに利用されている(福政:応用物理 67(199
8)181、等)。このプラズマジェットを用いたプロセス
で、高品質な材料処理を行うためには、プロセス中のプ
ラズマパラメータ(温度、粒子密度など)を反応領域全
体に亘って3次元的に、精密かつリアルタイムで測定す
ることが重要である。
【0003】従来、実用化されているプラズマ計測装置
には、プローブ法(探針法)、マイクロ波法、光計測法
などを適用したものが知られているが、これらは何れも
局所的な計測法であり、温度分布計測には、計測装置を
移動するような面倒な操作が必要になると共に、計測に
時間が掛かり、精密かつリアルタイムでの測定ができな
い等の問題がある。
【0004】この問題を解決する技術として、プラズマ
から放射された放射光を用い、プラズマの温度分布を瞬
時に計測する方法が開示されている。即ち、特開平06-2
43991号公報には、透過光学フィルタを用いてプラズマ
の放射光から任意の波長を選択し、この選択された任意
波長の放射光をCCDカメラ等で撮像して、これにより得
られた放射光強度に基づいてプラズマの温度の空間分布
を計測するプラズマ計測装置が開示され、特開平07-263
178号公報には、透過光学フィルタ等の波長選択手段とC
CDカメラ等の撮像手段とを一組として、プラズマの周囲
に複数組配置し、空間的に不均一な温度分布を有するプ
ラズマでも計測可能としたプラズマ計測装置が開示され
ている。
【0005】測定対象物から放射された放射光を用いて
測定対象物の温度を計測する方法として、放射光に含ま
れる異なった波長の強度を測定し、それらの比を求め、
その値と温度との対応関係により測定対象物の温度を求
める技術が知られている。この異なった波長を選択する
技術として、上記の特開平06-243991号公報には、波長
透過性の異なる部分を有する光学フィルタを用いる技術
と、ハーフミラーにより分光し、分光した放射光に波長
透過性の異なる光学フィルタをそれぞれ設ける技術とが
開示されているが、前者は、特殊・高価な光学フィルタ
を必要とし、また、それぞれの選択放射光断面の幾何学
的な複雑さによりプラズマ温度の空間分布の算出が難し
く、更には、光学フィルタが受光した放射光の光量と比
較し、選択放射光の光量は半減するという問題がある。
後者の技術は、複数の光学フィルタを要し装置が複雑・
高価になると共に、分光により選択放射光の光量は半減
するという問題がある。
【0006】波長透過性の異なる二つの光学フィルタを
用いる技術は、特開平06-347330号公報、特開平07-3015
69号公報などにも開示されているが、同様に、装置が複
雑・高価になると共に、分光により選択放射光の光量は
半減するという問題がある。また、特開平09-280956号
公報には、3種類の光学フィルタを順次、入れ替えて撮
像する技術が開示されているが、同様の問題を有すると
共に、光学フィルタ入れ替えに伴う時間差により、高精
度の計測が難しくなるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、放射温度計
測装置に係わる前述の状況に鑑み、測定対象物の温度の
空間分布を精度よく且つ瞬時に計測できる、簡素で安価
な放射温度計測装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項1の発明は、測定対象物から放射された放射
光を少なくとも2次元分布で撮像し、これにより得られ
た放射光強度に基づいて測定対象物の温度の空間分布を
計測する放射温度計測装置であって、放射光から複数の
波長を選択して、選択された複数の波長が混在する選択
放射光を生成する波長選択手段と、選択放射光を、複数
の波長毎に分離可能に撮像し、複数の波長毎に放射光強
度に応じた出力を生成する撮像手段と、撮像手段で生成
した複数の波長毎の出力を演算処理して測定対象物の温
度の空間分布を算出する演算手段と、を具備した放射温
度計測装置である。
【0009】請求項2の発明は、前記波長選択手段の好
ましい形態に係わり、波長選択手段を、2波長を選択的
に透過させる光学フィルタ(以下、「2波長光学フィル
タ」と略称することがある)とした放射温度計測装置で
ある。
【0010】請求項3から請求項5の発明は、前記撮像
手段の好ましい形態に係わり、請求項3の発明は、撮像
手段を、選択放射光を集光する光学レンズと、光学レン
ズで集光した放射光を3原色に分光するプリズムと、分
光した放射光の強度をそれぞれ検出し、それぞれの放射
光強度に応じた出力を生成するCCD検知部と、を具備し
た3CCDカメラとした放射温度計測装置であり、請求項
4の発明は、撮像手段を、選択放射光を集光する光学レ
ンズと、光学レンズで集光した放射光の強度を3原色に
分離してそれぞれ検出し、それぞれの放射光強度に応じ
た出力を生成するCCD検知部と、を具備したCCDカメラと
した放射温度計測装置である。請求項5の発明は、請求
項3又は請求項4の発明のカメラを、連続撮影可能なビ
デオカメラとした放射温度計測装置である。
【0011】請求項6の発明は、前記演算手段の好まし
い形態に係わり、演算手段を、撮像手段で生成した複数
の波長毎の出力の比を求める手段と、この比と温度との
予め求めた対応関係を記憶する手段と、測定により求め
た比を対応関係に当てはめて前記測定対象物の温度を導
出する手段と、を含み構成され、選択した2波長の強度
比に基づき温度を算出するコンピュータとした放射温度
計測装置である。
【0012】請求項7と請求項8の発明は、空間的に不
均一な温度分布を有するプラズマの計測に好適な形態に
係わり、請求項7の発明は、前記波長選択手段と前記撮
像手段とを一体に形成し、回転支軸を設け、一体に形成
した波長選択手段と撮像手段とを回転支軸の周りに回転
可能に構成した放射温度計測装置であり、請求項8の発
明は、前記波長選択手段と前記撮像手段とを一組とし、
波長選択手段と撮像手段との組を、測定対象物の周囲
に、測定対象物を異なる方向から撮像可能に複数組設け
て構成した放射温度計測装置である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、測定対象物をプラズマとして説明するが、本発明は
プラズマ計測に限定されることなく、放射光を放出する
発光体を測定対象物として実施することができる。
【0014】先ず、上述のように従来技術でも用いられ
ている方法であるが、本発明で使用する選択した2波長
の強度比に基づき温度を算出する方法(以下、「2線強
度比法」と略称することがある)の原理について、輝線
スペクトルを用いたプラズマ温度の計測を例として、簡
単に説明する。一般的に、プラズマから放射される放射
光のスペクトル線強度は、(1)式で表される。式中のN
およびQは温度の関数となるため、異なる波長の2本の
スペクトル線強度の比をとってこれらを消去すると、
(1)式は温度について解くことができ、(2)式とな
る。この関係式を用いてプラズマ温度を計測する方法が
2線強度比法である。即ち、放射光に混在する多数のス
ペクトル線から比較的強い2波長を予め選択し、そのス
ペクトル線強度を測定してその比をとることにより、
(2)式を用いてプラズマ温度を計測することができ
る。なお、計測を精度よく行う上で、(2)式から明ら
かなように、可能な限りエネルギー準位差の大きい2波
長を選択するのが好ましい。 「数1」 Imn=[(Amn(Em-En)gmN)/Q]exp(-Em/kTe) (1) ここで、Amnは、準位mから準位nへの遷移確率、EmとE
nは、それぞれ遷移の高準位、低準位のエネルギーであ
り、EmとEnは、(Em-En)=hνの関係を有する。Hはプラン
ク定数、νは周波数である。gmは高準位の統計的重みで
あり、Nは粒子の数密度、Qは内部分配関数、Teは電子温
度、k はボルツマン定数である。 「数2」 Te=[(E1-E2)/k]/[ln(g1A1ν1/ g2A2ν2)-ln(I1/I2)] (2) ここで、E1とE2は各スペクトル線のエネルギー準位であ
り、A1とA2は各スペクトル線の遷移確率、ν1とν2は各
スペクトル線の周波数、g1とg2は各スペクトル線の統計
的重み、I1とI2は各スペクトル線の強度である。
【0015】なお、(2)式に示すように、プラズマ温
度を高精度に計測するためには、所定の2波長のみの強
度を測定する必要があるが、通常、プラズマの放射光に
は多くの輝線スペクトルが混在するため、所定の2波長
を選択する波長選択手段としては、狭帯域特性を有し、
所定の2波長のみを選択可能なものが好ましい。
【0016】以上、2線強度比法の原理について、輝線
スペクトルを用いたプラズマ温度の計測を例として説明
したが、本発明はこれに限定されることなく、複数波長
を選択しその波長毎の強度を用いて測定対象物の温度の
空間分布を算出できるものであればよく、例えば、プラ
ンクの法則に準じた温度放射を行う測定対象物などで
は、その任意の2波長を選択しその波長毎の強度を用い
て測定対象物の温度の空間分布を算出できる。
【0017】次に、上述の特開平06-243991号公報など
に開示されている技術と同様であるが、プラズマから放
射された放射光を少なくとも2次元分布で撮像し、これ
により得られた放射光強度に基づいてプラズマの温度の
空間分布を計測する実施の形態について、簡単に説明す
る。即ち、プラズマ温度の空間分布は、例えば、CCD(C
harge Coupled Device)素子を二次元配置したCCDカメ
ラを用いて放射光を撮像し、CCDカメラからの出力信号
をプラズマ側面から見た映像信号としてコンピュータに
取り込み、コンピュータに予め用意された画像処理プロ
グラマに従って、観察したい断面位置のスペクトル線強
度分布を求め、同心円状のプラズマの場合、これを用い
て3次元の温度分布を求めることができる。不均一な温
度分布を有するプラズマの場合には、例えば、2つのCC
Dカメラを用いてプラズマを異なる方向から同時に撮像
し、この2つのCCDカメラからの出力信号を周知のCT(C
omputer Tomography)技術を用いて処理することによ
り、3次元の温度分布を求めることができる。
【0018】かかる実施の形態により、プラズマの温度
の空間分布を精度よく且つ瞬時に計測することができ
る。
【0019】本発明は、放射光から複数の波長を選択し
て、選択された複数の波長が混在する選択放射光を生成
する波長選択手段と、この選択放射光を、複数の波長毎
に分離可能に撮像し、複数の波長毎に放射光強度に応じ
た出力を生成する撮像手段と、撮像手段で生成した複数
の波長毎の出力を演算処理してプラズマの温度の空間分
布を算出する演算手段とを具備した放射温度計測装置で
あり、好ましくは、2波長光学フィルタを波長選択手段
とし、光学レンズと分光プリズムとCCD検知部とを有す
る3CCDカメラを撮像手段とし、コンピュータを演算手
段として実施することができ、軸対称のプラズマの場合
などには、これを用いて3次元の温度分布を計測するこ
とができる。
【0020】コンピュータは、例えば、3CCDカメラで
生成した複数の波長毎の出力の比を求め、この比と温度
との予め求めた対応関係によりプラズマの温度を導出す
る、2線強度比法による温度算出プログラマや、画像処
理により空間分布を求めるプログラマ、更には、動画像
処理により空間分布・時間変化を求めるプログラマ、な
どを内蔵したパソコンを用いることができる。
【0021】即ち、本発明は、2波長光学フィルタと、
市販の3CCDカメラと、パソコンとを用いて実施するこ
とができ、極めて簡素で安価な放射温度計測装置を提供
することができる。なお、若干、分解能が低下するが、
本発明は、3CCDカメラの代わりに、分光プリズムを有
さない市販のCCDカメラを用いて実施することもでき、
この実施の形態によれば、更に簡素で安価な放射温度計
測装置を提供することができる。更にまた、連続撮影可
能なビデオカメラを用いて実施することができ、この実
施の形態によれば、プラズマ温度の空間分布の時間変化
を計測することができ、更に、温度分布の時間的推移か
らプラズマの流速分布を求めることもできる。なお、市
販の3CCDカメラやCCDカメラは、3原色に分離可能に撮
像するものであり、殆どのプラズマはこれを用いて計測
することができるが、例えば、核融合の超高温プラズマ
などの放射光は、特殊なスペクトル分布を有するため、
これに適合した2波長光学フィルタやCCD素子などを用
いる必要がある。
【0022】次に、不均一な温度分布を有するプラズマ
を計測する実施の形態について説明する。不均一な温度
分布を有するプラズマの計測に際しては、少なくとも2
方向からの撮像が必要であり、時間的な変動が少ない場
合には、例えば、2波長光学フィルタと3CCDカメラと
を一体に形成し、回転支軸を設け、一体形成した3CCD
カメラ等を回転支軸の周りに回転可能に構成し、3CCD
カメラ等の向きを変えて複数回撮像することにより、3
次元の空間分布を計測することができる。一方、時間的
な変化が大きい場合、若しくは、高精度の計測が必要な
場合には、例えば、2波長光学フィルタと3CCDカメラ
とを一組とし、プラズマの周囲に、プラズマを異なる方
向から撮像可能に複数組設けて構成し、プラズマを異な
る方向から同時に撮像することにより、不均一な温度分
布を有するプラズマでも、高精度に3次元の空間分布を
計測することができる。
【0023】以上のような実施の形態により、本発明
は、測定対象物の温度の空間分布を精度よく且つ瞬時に
計測できる、簡素で安価な放射温度計測装置を提供する
ことができる。また、本発明によれば、選択する所定波
長の放射光の光量を、減量させることなく取得すること
ができる。更にまた、本発明の放射温度計測装置は、計
測領域全体を瞬時にカバーできると共に、プラズマ中に
注入された粉末材料粒子の温度、速度、粒径の同時測定
や時間変化の測定が可能である。即ち、本発明の放射温
度計測装置を用いることにより、処理材料がどのような
プラズマ領域を通過し、どのように加熱され、どのよう
な反応を起こすかをリアルタイムでモニタリングし、生
成物の特性を精密制御できる。例えば、理論硬度に近い
コーティングを行うことが可能となり、傾斜構造膜の組
成を精密にコントロールしその性能を飛躍的に高めるこ
とが可能となる。
【0024】なお、上述の実施の形態では、好ましい波
長選択手段として2波長光学フィルタを例として説明し
たが、これに代えて、回折格子、プリズム、エタロンな
どを波長選択手段として用いることもできる。また、撮
像手段として、CCD素子を用いた3CCDカメラ、CCDカメ
ラを例として説明したが、MOS(Metal Oxide Semicondu
ctor)型素子、CPD(Charge Priming Device)型素子な
どを用いて実施することもできる。更にまた、2波長光
学フィルタを、光学レンズの後に設けて実施することも
できる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に従って説明す
る。
【0026】図1は、本実施例の計測システムの構成を
示す概略図であり、本計測システムは、測定対象物であ
るプラズマを生成する、真空ポンプを備えた強制伸張型
プラズマジェット発生装置(S. Sakiyama et al:Rev.
Sci. Instrum63 (1992)2408)と、プラズマを計測する
放射温度計測装置から構成されている。強制伸張型プラ
ズマジェット発生装置は、軸対称のプラズマジェットを
発生する装置であり、側面にプラズマからの放射光を取
り出すための窓(直径100mm)が設けられている。本実
施例の放射温度計測装置は、図1に示すように、2波長
(404.6nm、696.5nm)のみ透過する光学フィルタ(湘南
光膜研究所製、位相分散フィルタ)と、市販の3CCDカ
メラ(ソニー製、カラービデオカメラDXC900)、ビデオ
キャプチャーボード(AD変換器)、パソコン(イーヤマ
製、パーソナルコンピュータV500JS4)とから構成され
ている。なお、選択透過させる2波長(404.6nm、696.5
nm)は、市販の3CCDカメラで分光する3原色(RGB)の
内、それぞれB成分とR成分に含まれる波長である。
【0027】強制伸張型プラズマジェット発生装置の窓
を通して出力されたプラズマからの放射光を、光学フィ
ルタを通して、2波長(404.6nm、696.5nm)のみ3CCD
カメラに取り込み、円筒状プラズマを側面から見た映像
として撮像した。3CCDカメラは、周知の如く、受光し
た光を集光する光学レンズと、光学レンズで集光した光
を3原色に分光するプリズムと、分光した光の強度をそ
れぞれ検出し、それぞれの強度に応じた出力を生成する
CCD検知部を有し、2波長(404.6nm、696.5nm)を選択
透過させる光学フィルタを通して撮像することにより、
404.6nm、696.5nmの2波長のスペクトル強度を、それぞ
れ2次元画像として取得することができる。
【0028】図2は、プラズマの放射光に対する光学フ
ィルタによる波長選択の一例(ジェット発生条件:容器
圧力26Torr、ジェット熱出力2.5kW)であって、(a)は光
学フィルタを通す前のスペクトル分布、(b)は光学フィ
ルタのフィルタ感度特性、(c)は光学フィルタを通した
後のスペクトル分布である。図2に示すように、プラズ
マの放射光には多くの輝線スペクトルが混在するが、狭
帯域特性を有し、所定の2波長のみを選択可能な波長選
択手段を用いることにより、プラズマ温度を高精度に計
測することができる。
【0029】図3は、プラズマ画像の一例(ジェット発
生条件:容器圧力30Torr、ジェット熱出力2.4kW)であ
って、(a)は原画像、(b)はB成分(404.6nm)の画像、
(c)はR成分(696.5nm)の画像である。
【0030】3CCDカメラで取得した映像データは、ビ
デオキャプチャーボードを介して、パソコンに取り込ま
れ、パソコンでは、この画像データのB成分(404.6nm)
とR成分(696.5nm)を用いて、2線強度比法による温度
算出プログラマや、画像処理プログラマにより、プラズ
マ断面の二次元温度分布を求める。これにより、軸対称
のプラズマの空間温度分布を計測することができる。
【0031】図4は、測定したプラズマ温度の二次元分
布の一例(ジェット発生条件:容器圧力30Torr、ジェッ
ト熱出力2.4kW)であって、分光器を用いた従来法(b)と
対比して示した二次元温度分布図であり、図5は、測定
したプラズマ温度の径方向分布の一例(ジェット発生条
件:容器圧力30Torr、ジェット熱出力2.4kW、軸方向距
離85mm)であって、分光器を用いた従来法(図中、□で
表示)と対比して示した径方向温度分布図である。
【0032】図4及び図5に示すように、本実施例で求
めた測定温度は、中心軸上で最大値をとり、外周部に向
かうに従って低下しており、分光器を用いた従来法で得
られた温度分布と同様であるが、従来法と比べて、約15
00K高くなっている。この差は、図5に示すように、ほ
ぼ同一のドリフトとして現れている。これは、選定した
404.6nmの輝線スペクトルの強度がバックグランドに対
して小さいこと、及び、図2の(c)で明らかなように、
光学フィルタの半値幅(長波長側)が広いため、本来カ
ットされるべき696.5nmの近傍の輝線スペクトルが計測
されているためである。バックグランドに対して十分大
きい輝線スペクトルを選び、十分半値幅の小さい光学フ
ィルタを用いれば測定精度は著しく改善される。
【0033】本実施例によれば、2波長のみ透過させる
光学フィルタと、市販の3CCDカメラと、パソコンとい
う極めて簡素で安価な放射温度計測装置により、軸対称
のプラズマの空間温度分布を精度よく且つ瞬時に計測す
ることができる。
【0034】次に、第二の実施例として、本発明の放射
温度計測装置を用いて行うことができる、プラズマ中に
注入された粉末材料粒子の温度、速度、粒径の同時測定
について説明する。即ち、プラズマ中に注入された粉末
材料粒子の温度は、通常の場合、その周囲の温度と異な
ることを利用して、計測領域全体を瞬時にカバーできる
本発明の放射温度計測装置で計測することにより、粉末
材料粒子の温度、速度、粒径を同時に測定することがで
きる。
【0035】図6は、実施例1の放射温度計測装置を用
いて撮像した、TiC溶射画像の一例であって、(a)は原画
像、(b)はR成分(696.5nm)の画像、(c)はB成分(404.6
nm)の画像である。特に、(b)R成分の画像に明らかなよ
うに、プラズマ中の粉末粒子は、周囲と温度が異なるた
め、カメラのシャッター時間中の軌跡として明確に現
れ、これを解析することにより、プラズマ中の粉末粒子
の温度、速度、粒径を同時に測定することができる。更
に、ビデオカメラなどを用いて連続計測することによ
り、時間変化の測定や、より高精度な測定が可能とな
る。
【0036】なお、実施例2は、プランクの法則に準じ
た温度放射を行う測定対象物を撮像したものであって、
本発明が、輝線スペクトルを用いたプラズマ温度等の計
測に限定されることなく、複数波長を選択しその波長毎
の強度を用いて測定対象物の温度の空間分布を算出でき
ることを実証するものである。以上、本発明の実施例を
説明したが、特許請求の範囲で規定された本発明の精神
と範囲から逸脱することなく、その形態や細部に種々の
変更がなされても良いことは明らかである。
【0037】例えば、実施例では、波長差を大きくする
ため、3原色(RGB)の内、R成分とB成分を用いる例に
ついて説明したが、R成分とG成分、若しくは、G成分とB
成分の組み合わせを用いてもよい。また、3CCDカメラ
の代わりに、分光プリズムを有さないCCDカメラを用い
て実施することもできる。
【0038】
【発明の効果】本発明は、測定対象物の温度の空間分布
を精度よく且つ瞬時に計測できる、簡素で安価な放射温
度計測装置を提供できる効果がある。また、選択する所
定波長の放射光の光量を、減量させることなく取得でき
る効果がある。更にまた、本発明の放射温度計測装置を
プラズマ計測に用いることにより、処理材料がどのよう
なプラズマ領域を通過し、どのように加熱され、どのよ
うな反応を起こすかをリアルタイムでモニタリングし、
生成物の特性を精密制御できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、実施例1の計測システムの概略構成
図である。
【図2】プラズマの放射光に対する光学フィルタによる
波長選択の一例であって、(a)は光学フィルタを通す前
のスペクトル分布、(b)は光学フィルタのフィルタ感度
特性、(c)は光学フィルタを通した後のスペクトル分布
である。
【図3】プラズマ画像の一例であって、(a)は原画像、
(b)はB成分(404.6nm)の画像、(c)はR成分(696.5nm)
の画像である。
【図4】測定したプラズマ温度の二次元分布の一例であ
って、分光器を用いた従来法(b)と対比して示した二次
元温度分布図である。
【図5】測定したプラズマ温度の径方向分布の一例であ
って、分光器を用いた従来法(図中、□で表示)と対比
して示した径方向温度分布図である。
【図6】実施例1の放射温度計測装置を用いて撮像し
た、TiC溶射画像の一例であって、(a)は原画像、(b)はR
成分(696.5nm)の画像、(c)はB成分(404.6nm)の画像
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G066 AC20 BA14 BA22 BA23 BA24 BC21

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定対象物から放射された放射光を少な
    くとも2次元分布で撮像し、これにより得られた放射光
    強度に基づいて該測定対象物の温度の空間分布を計測す
    る放射温度計測装置であって、該放射光から複数の波長
    を選択して、該選択された複数の波長が混在する選択放
    射光を生成する波長選択手段と、該選択放射光を、該複
    数の波長毎に分離可能に撮像し、該複数の波長毎に放射
    光強度に応じた出力を生成する撮像手段と、該撮像手段
    で生成した該複数の波長毎の出力を演算処理して該測定
    対象物の温度の空間分布を算出する演算手段と、を具備
    したことを特徴とする放射温度計測装置。
  2. 【請求項2】 前記波長選択手段は、2波長を選択的に
    透過させる光学フィルタであることを特徴とする請求項
    1記載の放射温度計測装置。
  3. 【請求項3】 前記撮像手段は、前記選択放射光を集光
    する光学レンズと、該光学レンズで集光した放射光を3
    原色に分光するプリズムと、該分光した放射光の強度を
    それぞれ検出し、それぞれの放射光強度に応じた出力を
    生成するCCD検知部と、を具備した3CCDカメラであるこ
    とを特徴とする請求項1又は請求項2記載の放射温度計
    測装置。
  4. 【請求項4】 前記撮像手段は、前記選択放射光を集光
    する光学レンズと、該光学レンズで集光した放射光の強
    度を3原色に分離してそれぞれ検出し、それぞれの放射
    光強度に応じた出力を生成するCCD検知部と、を具備し
    たCCDカメラであることを特徴とする請求項1又は請求
    項2記載の放射温度計測装置。
  5. 【請求項5】 前記カメラは、ビデオカメラであること
    を特徴とする請求項3又は請求項4記載の放射温度計測
    装置。
  6. 【請求項6】 前記演算手段は、前記撮像手段で生成し
    た複数の波長毎の出力の比を求める手段と、この比と温
    度との予め求めた対応関係を記憶する手段と、該測定に
    より求めた比を該対応関係に当てはめて前記測定対象物
    の温度を導出する手段と、を含み構成され、選択した2
    波長の強度比に基づいて温度を算出するコンピュータで
    あることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに
    記載の放射温度計測装置。
  7. 【請求項7】 前記波長選択手段と前記撮像手段とを一
    体に形成し、回転支軸を設け、該一体に形成した波長選
    択手段と撮像手段とを該回転支軸の周りに回転可能に構
    成したことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか
    に記載の放射温度計測装置。
  8. 【請求項8】 前記波長選択手段と前記撮像手段とを一
    組とし、該波長選択手段と撮像手段との組を、前記測定
    対象物の周囲に、該測定対象物を異なる方向から撮像可
    能に複数組設けて構成したことを特徴とする請求項1乃
    至請求項6の何れかに記載の放射温度計測装置。
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