JP2003311545A - 電解加工方法及び電解加工装置 - Google Patents

電解加工方法及び電解加工装置

Info

Publication number
JP2003311545A
JP2003311545A JP2002125277A JP2002125277A JP2003311545A JP 2003311545 A JP2003311545 A JP 2003311545A JP 2002125277 A JP2002125277 A JP 2002125277A JP 2002125277 A JP2002125277 A JP 2002125277A JP 2003311545 A JP2003311545 A JP 2003311545A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrolytic
workpiece
magnetic field
tool electrode
dynamic pressure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002125277A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinya Kato
慎哉 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nidec Corp
Original Assignee
Nidec Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nidec Corp filed Critical Nidec Corp
Priority to JP2002125277A priority Critical patent/JP2003311545A/ja
Publication of JP2003311545A publication Critical patent/JP2003311545A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)
  • Sliding-Contact Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 電解加工により被加工物に凹部を形成する場
合に、電解電流の向きを制御することにより被加工物に
形成する凹部の形状、特に凹部の周縁部の断面形状を必
要に応じて変化させることができる電解加工方法及び電
解加工装置を提供する。 【解決手段】 円筒状をなす電解工具10の外周側に制
御用磁場形成用ソレノイド14を配装する。電解工具1
0の下端面に露出する工具電極の下方に微小間隙を隔て
て金属材料製の被加工物20を配する。ソレノイド14
に通電して電解工具10の下端面と被加工物20の間隙
に下向きに制御用磁場を形成し、その間隙に電解液24
を流しながら、被加工物20と工具電極の間に通電して
電解加工を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被加工物に形成す
る凹部の形状を必要に応じて変化させることができる電
解加工方法及び電解加工装置、特に、動圧軸受における
潤滑流体の動圧を高めるための動圧用溝部を形成する上
で有用な電解加工方法及び電解加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】動圧軸
受における潤滑流体の動圧を高めるための動圧用溝部を
形成する電解加工について、特開2001−17954
3号公報には、電解加工時の電気量をモニターして積算
することにより加工量をリアルタイムで把握し、加工量
の過剰及び過小をなくすという内容の発明が開示されて
いる。
【0003】この発明によれば、電解加工による動圧用
溝部形成の生産性及び加工精度を何れも向上させること
ができる。しかしながらこの発明には、過剰な加工に伴
う削り過ぎを回避する効果はあるものの、加工される溝
の断面形状を積極的に改善する効果は認められない。電
解加工により動圧用溝部を形成すると、電解電流が被加
工物側において側方に拡がった状態となるため、加工さ
れる溝の両側壁部が被加工物の表面側に向かって拡がる
ように(溝底部に向かって狭まるように)傾斜し、溝底
部から被加工物の表面に近づくほど、溝の側方部、すな
わち加工を要しない部分まで加工される。この発明で
は、このように加工部位が広がってしまう現象を回避す
ることはできない。
【0004】また特開平10−217035号公報に
は、電極露出部の幅がある程度以下に狭くなると、電流
密度が電極幅に応じて増減する、という現象を利用し、
深い動圧用溝部を要する部分では電極幅を比較的広めに
作り、浅い動圧用溝部を要する部分では電極幅を狭めに
作ることで、電解加工により形成する動圧用溝部の深さ
制御するという内容の発明が開示されている。
【0005】この発明によれば、動圧用溝部深さを必要
に応じ制御することができる。しかしながらこの発明で
は、動圧用溝部の断面形状をコントロールすることはで
きず、動圧用溝部の幅と深さを独立に選ぶことができな
い。そのため、動圧用溝部の両側壁部が急峻に立ち上が
ったものを形成することはできず、実用面でのメリット
が高いとは認められない。
【0006】本発明は、従来技術に存した上記のような
課題に鑑み行われたものであって、その目的とするとこ
ろは、電解加工により被加工物に凹部を形成する場合
に、電解電流の向きを制御することにより被加工物に形
成する凹部の形状、特に凹部の周縁部の断面形状を、加
工精度改善等の必要に応じて変化させることができる電
解加工方法及び電解加工装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の電解加工方法は、被加工物と工具電極が相対する間
隙に電解液を介在させて前記被加工物から前記工具電極
に電解電流を流すことにより被加工物に対し電解加工を
行う方法であって、少なくとも前記工具電極と前記被加
工物との間隙部に前記電解電流の向きを制御するための
制御用磁場を形成することにより、その電解電流の向き
を制御しつつ電解加工を行うことを特徴とする。
【0008】また本発明の電解加工装置は、被加工物と
工具電極が相対する間隙に電解液を介在させて前記被加
工物から前記工具電極に電解電流を流すことにより被加
工物に対し電解加工を行う装置であって、少なくとも前
記工具電極と前記被加工物との間隙部に前記電解電流の
向きを制御するための制御用磁場を形成することにより
前記電解電流の向きを制御するための磁場形成装置を備
えることを特徴とする。
【0009】電解加工により被加工物に凹部を形成する
場合に、工具電極と被加工物との間隙部に制御用磁場を
形成することにより、磁場とイオン電流である電解電流
との相互作用により電解電流の向きを制御することがで
きる。これにより、被加工物に形成する凹部の形状、特
に凹部の周縁部の断面形状を、加工精度改善等の必要に
応じて変化させることができる。
【0010】本発明の電解加工方法における上記制御用
磁場は、上記被加工物と工具電極が相対する方向に対し
平行に形成するものとすることができる。また本発明の
電解加工装置における上記磁場形成装置は、上記被加工
物と工具電極が相対する方向に対し平行に上記制御用磁
場を形成するものとすることができる。。
【0011】通常の電解加工においては、電解電流が被
加工物側において側方に拡がった状態(すなわち、被加
工物側における側方に拡がった領域内から工具電極に向
かって電解電流が流れるような状態)となるので、電解
加工により被加工物に凹部を形成する場合、凹部の周縁
部の壁状部が被加工物の表面側に向かって比較的大きく
傾斜した(凹部の底部が比較的狭く形成される)状態と
なる。すなわち被加工物と工具電極が相対する方向に対
する角度が比較的大きくなる。
【0012】制御用磁場を被加工物と工具電極が相対す
る方向に対し平行に形成すると、被加工物側において側
方に拡がった状態となる電解電流は、被加工物と工具電
極が相対する方向に対し平行な制御用磁場によって、そ
の磁場に直交する横方向に曲がるので、電流の経路が長
くなり、電気抵抗が増大する。そのため、被加工物側に
おいて側方に拡がった状態となる電解電流の電流密度が
相対的に低下し、被加工物側において側方に拡がらない
電解電流の電流密度は相対的に高まる。
【0013】これにより、被加工物に形成する凹部にお
ける周縁部の壁状部が急峻に立ち上がった状態となり
(被加工物と工具電極が相対する方向に対し平行に近く
なる)、加工精度を高めることができる。
【0014】従って例えば、被加工物に溝状部(例えば
動圧軸受における潤滑流体の動圧を高めるための動圧用
溝部)を形成する場合、その溝状部の横断面における両
側壁の傾斜を、制御用磁場が存在しない場合に比し急峻
なものとすることができ、且つ加工精度を高めることが
できる。
【0015】この電解加工方法により、軸方向に相対す
るスラスト面部の一方が、両者の間の軸方向間隙に介在
する潤滑流体を介して他方を相対回転自在に軸方向支持
するスラスト動圧軸受部を構成する前記両スラスト面部
の一方に、両者の相対回転時における前記潤滑流体の動
圧を高めるための動圧用溝部を形成する場合、工具電極
と被加工物である前記両スラスト面部の一方を軸方向に
相対させ、少なくともその両者の間隙部に軸方向の制御
用磁場を加えつつ、前記工具電極と軸方向に相対する前
記スラスト面部に前記動圧用溝部を電解加工により形成
するものとすることができる。
【0016】工具電極と、被加工物である両スラスト面
部の一方を軸方向(スラスト動圧軸受部を構成する場合
の軸方向)に相対させてスラスト面部に動圧用溝部を電
解加工により形成する場合に、少なくとも工具電極と何
れかのスラスト面部の間隙部に軸方向の制御用磁場を加
えると、その制御用磁場は被加工物と工具電極が相対す
る方向に対し平行に形成される。
【0017】この場合、電解加工によりスラスト面部に
形成する動圧用溝部の横断面における両側壁の傾斜を、
制御用磁場が存在しない場合に比し急峻なものとするこ
とができ、且つ加工精度を高めることができる。また、
このように形成した動圧用溝部により、潤滑流体の動圧
を効率的に高めることが可能である。
【0018】また、本発明の電解加工方法における上記
制御用磁場は、上記被加工物と工具電極が相対する方向
に対し垂直に形成するものとすることができる。更にま
た本発明の電解加工装置における上記磁場形成装置は、
上記被加工物と工具電極が相対する方向に対し垂直に上
記制御用磁場を形成するものとすることができる。
【0019】通常の電解加工においては、電解電流が被
加工物側において側方に拡がった状態(すなわち、被加
工物側における側方に拡がった領域内から工具電極に向
かって電解電流が流れるような状態)となるので、電解
加工により被加工物に凹部を形成する場合、凹部の周縁
部の壁状部が被加工物の表面側に向かって比較的大きく
傾斜した(凹部の底部が比較的狭く形成される)状態と
なる。すなわち被加工物と工具電極が相対する方向に対
する角度が比較的大きくなる。被加工物側における電解
電流の側方拡開は原則的に何れの向きにも同様であるか
ら、凹部の周縁部の壁状部の傾斜も何れの向きにおいて
も同様となる。
【0020】制御用磁場を被加工物と工具電極が相対す
る方向に対し垂直に形成すると、電解電流は、被加工物
と工具電極が相対する方向に対し垂直な制御用磁場によ
って、その磁場に直交する方向に曲がる。そのため、制
御用磁場に直交する方向において、形成しようとする凹
部の一方の側では電解電流の拡がりが縮小し、他方の側
では電解電流の拡がりが拡大しようとする。
【0021】これにより、制御用磁場に直交する方向に
おいて、被加工物に形成する凹部における周縁部の壁状
部が、工具電極の形状等の条件が対称状であって制御用
磁場が存在しなければ対称となるときでも、一方の側と
他方の側で非対称となる。
【0022】従って例えば、被加工物に溝状部(例えば
動圧軸受における潤滑流体の動圧を高めるための動圧用
溝部)を形成する場合、その溝状部の横断面における両
側壁の傾斜を、制御用磁場が存在しなければ対称となる
ときに、互いに非対称であるものとすることができる。
また、このように形成した動圧用溝部により、潤滑流体
の動圧を効率的に高めることが可能である。
【0023】この電解加工方法により、スリーブ部と、
そのスリーブ部に嵌挿された軸部の一方が、両者の間の
径方向間隙に介在する潤滑流体を介して他方を相対回転
自在に径方向支持するラジアル動圧軸受部を構成する前
記スリーブ部の内周面部と前記軸部の外周面部の何れか
に、前記スリーブ部と軸部の相対回転時における前記潤
滑流体の動圧を高めるための動圧用溝部を形成する場
合、工具電極と被加工物である前記内周面部又は外周面
部を径方向に相対させ、少なくともその両者の間隙部に
軸方向の制御用磁場を加えつつ、前記工具電極と径方向
に相対する前記内周面部又は外周面部に前記動圧用溝部
を電解加工により形成するものとすることができる。
【0024】工具電極と、被加工物であるスリーブ部の
内周面部及び軸部の外周面部の何れか一方とを径方向
(スリーブ部又は軸部の径方向)に相対させてその内周
面部又は外周面部に動圧用溝部を電解加工により形成す
る場合に、少なくともその相対する両者の間隙部に軸方
向の制御用磁場を加えると、その制御用磁場は被加工物
と工具電極が相対する方向に対し垂直に形成される。
【0025】この場合、電解加工によりスリーブ部の内
周面部又は軸部の外周面部に形成する動圧用溝部の横断
面における両側壁の傾斜を、制御用磁場が存在しなけれ
ば対称となる場合に、互いに非対称であるものとするこ
とができる。
【0026】本発明における陽極としての被加工物に
は、電解加工の対象となり得る金属材料を用いる。一例
として、ステンレス鋼(C5191、SUS420J2)、リン青銅
(C5191)、ブロンズ(BC6C)、アルミニウム等を挙げ
ることができる。
【0027】また陰極としての工具電極には、例えば純
銅やグラファイト等を用いることができる。工具電極の
形状及び寸法は、電解加工により被加工物に形成しよう
とする凹部の形状及び寸法等に応じて設定することがで
きる。例えば、被加工物に形成しようとする凹部が、動
圧軸受における潤滑流体の動圧を高めるための動圧用溝
部、例えばヘリングボーン状溝部又はスパイラル状溝部
等であるならば、工具電極の形状は、その動圧用溝部の
形状(動圧用溝部の開口部の形状)に応じた帯状又は線
状、例えばヘリングボーン状又はスパイラル状とするこ
とができる。また工具電極は、例えば絶縁部から露出し
た状態で用いることができる。また例えば被加工物にお
ける円筒状外周面部、円筒状内周面部、凸曲面部、又は
凹曲面部に電解加工により凹部を形成しようとする場
合、工具電極をそれぞれに相対する円筒状内周面、円筒
状外周面、凹曲面、又は凸曲面に沿った形状とするのが
一般的である。
【0028】本発明において被加工物と工具電極が相対
する間隙は、例えば10乃至100μm程度の範囲、好
ましくは20乃至40μm程度の範囲から選択すること
ができる。
【0029】本発明において用いる電解液の例として
は、硝酸ナトリウム水溶液、過塩素酸ナトリウム水溶
液、塩化ナトリウム水溶液等を挙げることができる。電
解液の濃度は、例えば3乃至50%w/w程度の範囲から
選択することができる。電解電圧は、例えば5乃至20
Vの範囲で選択することができ、電解電流の電流密度
は、例えば30乃至200A/cm程度の範囲に設定
することができる。電解電流は、適宜周波数のパルス電
流とすることができるが、必ずしもこれに限らない。5
乃至100μmの深さの動圧用溝部等の凹部を形成する
場合、通電時間は、例えば0.1乃至10秒間程度とす
ることができる。
【0030】本発明における制御用磁場は、少なくとも
工具電極と被加工物との間隙部に形成するものであり、
磁場形成装置、例えば、ソレノイド等のコイル、鉄心を
有する電磁石、永久磁石、それらと強磁性材料からなる
磁路との組み合わせ等により形成することができる。な
お、工具電極と被加工物との間隙部の全部に制御用磁場
を形成することを要するものでは必ずしもなく、必要部
分のみ、例えば軸方向、周方向、又は径方向において部
分を画定できる場合、軸方向、周方向、又は径方向の一
部とすることもできる。
【0031】また、工具電極と被加工物との間隙部を複
数箇所に区分し、磁場の向き及び磁束密度の双方又は一
方を区分毎に変えることにより、被加工物に形成する凹
部の形状を区分毎に変えることもできる。
【0032】
【発明の実施の形態】図1乃至図3は、それぞれ本発明
の電解加工方法及び電解加工装置の第1の実施の形態に
ついてのものであって、図1は、電解加工装置の概要を
示す模式的断面図(正面視)、図2は図1の要部拡大
図、図3は電流の向きの変化を示す模式図(平面視)で
ある。
【0033】この電解加工装置は、図1に示されるよう
に、円筒状をなす電解工具10が、その上端部におい
て、絶縁体からなる電解工具保持体12の下面側に保持
され、その電解工具10の外周側に、制御用磁場形成用
ソレノイド14が配装されてなる。
【0034】図2に示されるように、電解工具10の下
端面に工具電極16が露出しており、電解工具10の下
端面10aのうち工具電極16以外の部分は絶縁体18
により構成されている。電解工具10の下端面の下方に
は、微小間隙を隔てて金属材料製の被加工物20(例え
ばスラスト動圧軸受部を構成するスラスト面部を備えた
部材)の被加工面20a(例えば前記例におけるスラス
ト面部)が電解工具10の下端面に平行に配置されてい
る。
【0035】電解加工用電源22の正極に被加工物20
が接続され、負極に工具電極16が接続される。通電電
気量を計測するための電流計やパルス電流を流すための
スイッチング装置等の器具や回路等を必要に応じ電解加
工用電源22に内臓させ或いは別に設けることもでき
る。ソレノイド14には、磁場形成用電源23が接続さ
れ、両者が磁場形成装置を構成している。
【0036】円筒状の電解工具10の内部から電解工具
10の下端面10aと被加工物20の間隙に電解液24
を流しながら(電解工具保持体12に電解液供給孔等を
設ける等の適宜手段を講じることにより電解液24を流
すことができる。)、被加工物20と工具電極16の間
に通電を行うと、被加工物20から工具電極16に向か
って、両者の間隙にイオン電流である電解電流が流れ
る。制御用磁場が存在しない場合、この電解電流は、被
加工物20の側において側方に拡がった状態となる。す
なわち、被加工物20側における側方に拡がった領域内
から工具電極16に向かって電解電流が流れるような状
態となる。
【0037】ところが、ソレノイド14に励磁電流を通
電すると、被加工物20と工具電極16が相対する方向
に対し平行に(下向きに)制御用磁場Mが形成される。
図2及び図3に示される電流aのように被加工物20の
側において側方に拡がった電流(A−O)は、制御用磁場
Mに直交する横方向Fに曲がって電流a1のように経路
が長くなり(A-O')、電気抵抗が増大する。そのため、被
加工物20側において側方に拡がった状態の電解電流の
電流密度が相対的に低下し、被加工物20側において側
方に拡がらない電解電流の電流密度は相対的に高まる。
【0038】これにより、後記実施例1に示すように、
被加工物20に形成される凹部における周縁部の壁状部
(例えばスラスト動圧軸受部において潤滑流体の動圧を
高めるためのヘリングボーン溝又はスパイラル溝等の動
圧用溝部の両側壁)が、急峻に立ち上がった状態とな
り、加工精度を高めることができる。またこのように形
成した動圧用溝部により、潤滑流体の動圧を効率的に高
めることが可能である。
【0039】図4及び図5は、それぞれ本発明の電解加
工方法及び電解加工装置の第2の実施の形態についての
ものであって、図4は、電解加工装置の概要を示す模式
的断面図(正面視)、図5は電流の向き及び電解加工に
より形成される凹部の形状を示す模式図(平面視)であ
る。また図6は、制御用磁場が存在しない場合の電流の
向き及び電解加工により形成される凹部の形状を示す模
式図(平面視)である。
【0040】この電解加工装置は、円柱状をなす電解工
具50と、その下端部を保持する絶縁体からなる電解工
具保持体52と、磁場形成装置のS極及びN極と、電解
工具保持体52と磁場形成装置のS極との間に保持され
る被加工物60である円筒状のスリーブ部材の外側に同
軸状に配された円筒体53と、S極及びN極の外周側並
びに円筒体53の外周側にわたり配装された制御用磁場
形成用ソレノイド54からなる。
【0041】被加工物60である金属材料製の円筒状の
スリーブ部材は、電解工具50がそのスリーブ部材内に
同軸状に挿入された状態で電解工具保持体52と磁場形
成装置のS極との間に保持されている。電解工具50の
外周面には、スリーブ部の内周面部にラジアル動圧軸受
部における潤滑流体の動圧を高めるためのヘリングボー
ン溝又はスパイラル溝等の動圧用溝部を形成するための
工具電極56が露出形成されている。電解工具50の外
周面のうち工具電極56以外の部分は絶縁体58により
構成されている。電解工具50の外周面の径方向外方に
は、微小径方向間隙を隔ててスリーブ部材の内周面(被
加工面)が同軸状に位置している。
【0042】電解加工用電源62の正極に被加工物60
が接続され、負極に工具電極56が接続される。通電電
気量を計測するための電流計やパルス電流を流すための
スイッチング装置等の器具や回路等を必要に応じ電解加
工用電源62に内臓させ或いは別に設けることもでき
る。ソレノイド54には、磁場形成用電源63が接続さ
れ、両者が磁場形成装置を構成している。
【0043】電解工具50の外周面50aとスリーブ部
材の内周面60aの間の微小径方向間隙に電解液を流し
ながら(S極、N極及び電解工具保持体52に電解液供
給孔及び電解液排出孔等を設ける等の適宜手段を講じる
ことにより電解液を流すことができる。)、被加工物6
0と工具電極56の間に通電を行うと、被加工物60か
ら工具電極56に向かって、両者の間隙にイオン電流で
ある電解電流が流れる。制御用磁場が存在しない場合、
この電解電流は、図6に示されるように被加工物60の
側において側方に拡がった状態となる。すなわち、被加
工物60側における側方に拡がった領域内から工具電極
56に向かって電解電流iが流れるような状態となる。
そのため、凹部64の形状は図6のようになる。
【0044】ところが、ソレノイド54に励磁電流を通
電すると、被加工物60と工具電極56が相対する方向
である径方向に対し垂直に(上向きに)制御用磁場Mが
形成されるので、電解電流iはその磁場に直交する方向
に曲がる。そのため、制御用磁場Mに直交する方向にお
いて、形成しようとする凹部66の一方の側では電解電
流iの拡がりが縮小し、他方の側では電解電流iの拡が
りが拡大しようとする。
【0045】これにより、後記実施例2に示すように、
被加工物60に形成される凹部における周縁部の壁状部
(例えばラジアル動圧軸受部において潤滑流体の動圧を
高めるための動圧用溝部の両側壁)を、一方の側と他方
の側で非対称に形成することができ、このように形成し
た動圧用溝部により、潤滑流体の動圧を効率的に高める
ことが可能である。
【0046】なお、以上の実施の形態についての記述に
おける上下位置関係は、単に図に基づいた説明の便宜の
ためのものであって、実際の使用状態等を限定するもの
ではない。また、課題を解決するための手段の項におい
て本発明について述べた例示及び数値範囲を含む説明
は、原則として以上の実施の形態についての記述に適用
される。
【0047】
【実施例】絶縁体の間に190μmの幅で露出した工具
電極を、30μmの間隙を隔ててリン青銅(C5191)製
の被加工物の平坦面に相対させ、工具電極と被加工物の
間に下記実施例1及び実施例2に示す制御用磁場を加え
て、次の条件下で電解加工を行った。 電解電圧:10V 電解液24:硝酸ナトリウム水溶液(5%w/w) 導電率:6S/m 通電時間:6.6秒間
【0048】実施例1 被加工物20と工具電極16が相対する方向に対し平行
下向きPに制御用磁場(磁束密度:1.69E−01
T)を加えて電解加工を行った。
【0049】制御用磁場を加えないこと以外は同一条件
で電解加工を行ったところ、図7(1)に示すように、
形成された溝は、溝深さ22μm、溝底幅190μm、
溝開口部幅330μmの左右対称形状であったが、制御
用磁場を加えた場合、図7(2)に示すように、形成さ
れた溝は、溝深さ22μm、溝底幅190μm、溝開口
部幅224.6μmの左右対称形状となり、溝開口部幅
が105.4μm狭くなり、加工精度が大きく向上し
た。
【0050】実施例2 被加工物60と工具電極56が相対する方向に対し垂直
D(手前向き)に制御用磁場(磁束密度:1.26E−
02T)を加えて電解加工を行った。
【0051】制御用磁場を加えないこと以外は同一条件
で電解加工を行ったところ、図8(1)に示すように、
形成された溝は、溝深さ22μm、溝底幅190μm、
溝開口部幅330μmの左右対称形状であったが、制御
用磁場を加えた場合、図8(2)に示すように、形成さ
れた溝は、溝深さ22μmで、溝底幅は190μmであ
るが右方へ8μmシフトし、溝開口部幅は左端が18μ
m右へずれて312μmとなり、左右非対称となっ
た。。
【0052】
【発明の効果】本発明の電解加工方法及び電解加工装置
によれば、電解加工により被加工物に凹部を形成する場
合に、工具電極と被加工物との間隙部に制御用磁場を形
成することにより、電解電流の向きを制御することがで
き、これにより被加工物に形成する凹部の形状、特に凹
部の周縁部の断面形状を、加工精度改善等の必要に応じ
て変化させることができる。
【0053】請求項2記載の電解加工方法及び請求項7
記載の電解加工装置によれば、被加工物に形成する凹部
における周縁部の壁状部を急峻に立ち上がった状態、す
なわち被加工物と工具電極が相対する方向に対し平行に
近くすることができ、且つ加工精度を高めることができ
る。
【0054】請求項3記載の電解加工方法及び請求項8
記載の電解加工装置によれば、制御用磁場に直交する方
向において、被加工物に形成する凹部における周縁部の
壁状部を、制御用磁場が存在しなければ対称となるとき
でも、一方の側と他方の側で非対称とすることができ
る。
【0055】請求項4記載の電解加工方法によれば、電
解加工によりスラスト面部に形成する動圧用溝部の横断
面における両側壁の傾斜を、制御用磁場が存在しない場
合に比し急峻なものとすることができる。また、このよ
うに形成した動圧用溝部により、潤滑流体の動圧を効率
的に高めることが可能である。
【0056】請求項5記載の電解加工方法によれば、電
解加工によりスリーブ部の内周面部又は軸部の外周面部
に形成する動圧用溝部の横断面における両側壁の傾斜
を、制御用磁場が存在しなければ対称となる場合に、互
いに非対称であるものとすることができる。また、この
ように形成した動圧用溝部により、潤滑流体の動圧を効
率的に高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】電解加工装置の概要を示す模式的断面図であ
る。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】電流の向きの変化を示す模式図である。
【図4】電解加工装置の概要を示す模式的断面図であ
る。
【図5】電流の向き及び電解加工により形成される凹部
の形状を示す模式図である。
【図6】制御用磁場が存在しない場合の電流の向き及び
電解加工により形成される凹部の形状を示す模式図であ
る。
【図7】実施例1の電解加工結果を示す説明図である。
【図8】実施例2の電解加工結果を示す説明図である。
【符号の説明】
10 電解工具 10a 下端面 12 電解工具保持体 14 ソレノイド 16 工具電極 18 絶縁体 20 被加工物 20a 被加工面 22 電解加工用電源 23 磁場形成用電源 24 電解液 50 電解工具 50a 外周面 52 電解工具保持体 53 円筒体 54 ソレノイド 56 工具電極 58 絶縁体 60 被加工物 60a 内周面 62 電解加工用電源 63 磁場形成用電源 64 凹部 66 凹部 a 電流 a1 電流 i 電解電流 M 制御用磁場

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被加工物と工具電極が相対する間隙に電解
    液を介在させて前記被加工物から前記工具電極に電解電
    流を流すことにより被加工物に対し電解加工を行う方法
    であって、少なくとも前記工具電極と前記被加工物との
    間隙部に前記電解電流の向きを制御するための制御用磁
    場を形成することにより、その電解電流の向きを制御し
    つつ電解加工を行うことを特徴とする電解加工方法。
  2. 【請求項2】上記制御用磁場を、上記被加工物と工具電
    極が相対する方向に対し平行に形成する請求項1記載の
    電解加工方法。
  3. 【請求項3】上記制御用磁場を、上記被加工物と工具電
    極が相対する方向に対し垂直に形成する請求項1記載の
    電解加工方法。
  4. 【請求項4】軸方向に相対するスラスト面部の一方が、
    両者の間の軸方向間隙に介在する潤滑流体を介して他方
    を相対回転自在に軸方向支持するスラスト動圧軸受部を
    構成する前記両スラスト面部の一方に、両者の相対回転
    時における前記潤滑流体の動圧を高めるための動圧用溝
    部を形成する電解加工方法であって、工具電極と被加工
    物である前記両スラスト面部の一方を軸方向に相対さ
    せ、少なくともその両者の間隙部に軸方向の制御用磁場
    を加えつつ、前記工具電極と軸方向に相対する前記スラ
    スト面部に前記動圧用溝部を電解加工により形成する請
    求項2記載の電解加工方法。
  5. 【請求項5】スリーブ部と、そのスリーブ部に嵌挿され
    た軸部の一方が、両者の間の径方向間隙に介在する潤滑
    流体を介して他方を相対回転自在に径方向支持するラジ
    アル動圧軸受部を構成する前記スリーブ部の内周面部と
    前記軸部の外周面部の何れかに、前記スリーブ部と軸部
    の相対回転時における前記潤滑流体の動圧を高めるため
    の動圧用溝部を形成する電解加工方法であって、工具電
    極と被加工物である前記内周面部又は外周面部を径方向
    に相対させ、少なくともその両者の間隙部に軸方向の制
    御用磁場を加えつつ、前記工具電極と径方向に相対する
    前記内周面部又は外周面部に前記動圧用溝部を電解加工
    により形成する請求項3記載の電解加工方法。
  6. 【請求項6】被加工物と工具電極が相対する間隙に電解
    液を介在させて前記被加工物から前記工具電極に電解電
    流を流すことにより被加工物に対し電解加工を行う装置
    であって、少なくとも前記工具電極と前記被加工物との
    間隙部に前記電解電流の向きを制御するための制御用磁
    場を形成することにより前記電解電流の向きを制御する
    ための磁場形成装置を備えることを特徴とする電解加工
    装置。
  7. 【請求項7】上記磁場形成装置が、上記被加工物と工具
    電極が相対する方向に対し平行に上記制御用磁場を形成
    するものである請求項6記載の電解加工装置。
  8. 【請求項8】上記磁場形成装置が、上記被加工物と工具
    電極が相対する方向に対し垂直に上記制御用磁場を形成
    するものである請求項6記載の電解加工装置。
JP2002125277A 2002-04-26 2002-04-26 電解加工方法及び電解加工装置 Withdrawn JP2003311545A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002125277A JP2003311545A (ja) 2002-04-26 2002-04-26 電解加工方法及び電解加工装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002125277A JP2003311545A (ja) 2002-04-26 2002-04-26 電解加工方法及び電解加工装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003311545A true JP2003311545A (ja) 2003-11-05

Family

ID=29540049

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002125277A Withdrawn JP2003311545A (ja) 2002-04-26 2002-04-26 電解加工方法及び電解加工装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003311545A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102101205A (zh) * 2009-12-21 2011-06-22 财团法人金属工业研究发展中心 电化学加工装置及加工方法及其电极单元
CN102528185A (zh) * 2010-12-31 2012-07-04 财团法人金属工业研究发展中心 电解加工方法及电解加工件半成品
CN102554376A (zh) * 2011-10-31 2012-07-11 北京理工大学 可变磁场辅助电化学复合加工装置
CN110594288A (zh) * 2019-09-29 2019-12-20 中国矿业大学 一种基于纳米磁性液体的磁控柔性瓦块推力滑动轴承

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102101205A (zh) * 2009-12-21 2011-06-22 财团法人金属工业研究发展中心 电化学加工装置及加工方法及其电极单元
CN102101205B (zh) * 2009-12-21 2013-11-06 财团法人金属工业研究发展中心 电化学加工装置及加工方法及其电极单元
CN102528185A (zh) * 2010-12-31 2012-07-04 财团法人金属工业研究发展中心 电解加工方法及电解加工件半成品
CN102554376A (zh) * 2011-10-31 2012-07-11 北京理工大学 可变磁场辅助电化学复合加工装置
CN110594288A (zh) * 2019-09-29 2019-12-20 中国矿业大学 一种基于纳米磁性液体的磁控柔性瓦块推力滑动轴承
CN110594288B (zh) * 2019-09-29 2024-03-08 中国矿业大学 一种基于纳米磁性液体的磁控柔性瓦块推力滑动轴承

Similar Documents

Publication Publication Date Title
da Silva Neto et al. Intervening variables in electrochemical machining
Cook et al. Experimental studies in electro-machining
Arab et al. Influence of tool electrode feed rate in the electrochemical discharge drilling of a glass substrate
Moon et al. A study on electrochemical micromachining for fabrication of microgrooves in an air-lubricated hydrodynamic bearing
CA1256056A (en) Electrolytically deburring laminated cores under relative motion of workpiece
JP2003311545A (ja) 電解加工方法及び電解加工装置
AU2021101009A4 (en) Copper graphene nanocomposite electrode
Choi et al. A study of the characteristics of the electrochemical deburring of a governor-shaft cross hole
KR100312831B1 (ko) 공작물의 미세홈 형성을 위한 마이크로 전해 가공장치.
Park et al. Development of electrochemical micro machining for air-lubricated hydrodynamic bearings
KR100447693B1 (ko) 리세스를전기화학적으로가공하기위한장치
EP0313642A1 (en) An apparatus and method for electrochemically smoothing or finishing a surface of a conductive metal part
US3705843A (en) Method for electrochemical deburring
Reddy et al. Experimental investigation–magnetic assisted electro discharge machining
JP2003254332A (ja) 動圧軸受の製造方法及び製造装置
CN108971674B (zh) 一种电解加工微沟槽的装置及电解加工方法
Vinod Kumaar et al. A study on the effect of oxalic acid electrolyte on stainless steel (316L) through electrochemical micro-machining
Mouliprasanth et al. Multiresponse optimization of electrochemical micro-machining process parameters of micro-dimple using TOPSIS approach
Hamdy et al. New electrode profile for machining of internal cylindrical surfaces by electrochemical drilling
Ayyappan et al. Experimental Study on Material Removal Rate and Over-Cut in Electrochemical Machining of Monel 400 Alloys with Coated Tools
Manna et al. Micro-drilling of Al/Al2O3-MMC on developed ECMM
McGeough Electrochemical machining (ECM)
US3645877A (en) Electrochemical deburring apparatus
Janardhanan et al. Experimental investigation on the suitability of dual fluid system-assisted ECM (DF-ECM) and the influence of magnet in machining of SS304
Lin et al. Effects of surface depression and convection in GTA welding

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050705