JP2003284591A - トポイソメラーゼIIα阻害剤を有効成分として含有する、G0期細胞のG0期から細胞周期への移行または初期胚のG1期からS期への移行を阻害する薬剤、および、これら薬剤の細胞増殖阻害作用に対し耐性を示す遺伝子のスクリーニング方法 - Google Patents

トポイソメラーゼIIα阻害剤を有効成分として含有する、G0期細胞のG0期から細胞周期への移行または初期胚のG1期からS期への移行を阻害する薬剤、および、これら薬剤の細胞増殖阻害作用に対し耐性を示す遺伝子のスクリーニング方法

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JP2003284591A JP2002090521A JP2002090521A JP2003284591A JP 2003284591 A JP2003284591 A JP 2003284591A JP 2002090521 A JP2002090521 A JP 2002090521A JP 2002090521 A JP2002090521 A JP 2002090521A JP 2003284591 A JP2003284591 A JP 2003284591A
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Nobuyoshi Akimitsu
信佳 秋光
Mukudadeiiru Shahid Hosain
ムクダディール シャヒッド ホサイン
Hiroshi Hamamoto
洋 濱本
Kazuhisa Sekimizu
和久 関水
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トポイソメラーゼIIα阻害剤を有効成分とし
て含有するG0期細胞のG0期から細胞周期への移行または
初期胚のG1期からS期への移行を阻害する薬剤を提供す
ることを課題とする。さらに、制がん剤の標的因子を同
定するために、該薬剤の細胞増殖阻害作用に対し耐性を
示す遺伝子のスクリーニング方法を提供することをも課
題とする。 【解決手段】 G0期細胞のG0期から細胞周期への移行過
程または初期胚のG1期からS期への移行過程と、増殖サ
イクルにある培養細胞のG1期からS期への移行過程の、t
opo IIα阻害剤に対する依存性が異なっていることを見
出した。この知見は、topo IIαが有する細胞増殖阻害
作用に対し耐性を示す遺伝子が存在することを示唆して
いる。このような遺伝子のスクリーニング方法は、制が
ん剤の標的のスクリーニング方法になりうる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トポイソメラーゼ
IIα阻害剤を有効成分として含有するG0期細胞のG0期か
ら細胞周期への移行または初期胚のG1期からS期への移
行を阻害する薬剤、および、これら薬剤の細胞増殖阻害
作用に対し耐性を示す遺伝子のスクリーニング方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】DNAトポイソメラーゼは、リンキング数
を変化させることでDNA分子のトポロジー的な異性体
(トポアイソマー)の分子内相互変換を触媒する。DNA
トポイソメラーゼによるDNAのトポロジーの変化は、DNA
複製、染色体分離、クロマチン構築、転写、複製に極め
て重要である。DNAトポイソメラーゼは、これらの過程
で生じるねじれを緩める(Wang, J.C., DNA topoisomer
ases., Annu. Rev. Biochem., 1996, 65, 635-692.)。
【0003】DNAトポイソメラーゼは、触媒する反応の
様式の違いから、I型とII型に分類される。I型DNAトポ
イソメラーゼはDNA二重鎖のリン酸ジエステル結合の一
方を一過的に切断した後に、ニックの入った鎖を再結合
させてDNAのリンキング数を変える。II 型トポイソメラ
ーゼはDNAに一過的に二重鎖を切断して、続いて正常なD
NA鎖を切断部位を通過させて、再結合して元の2重鎖を
再生することによってDNAのリンキング数を変化させ
る。
【0004】酵母の遺伝学的研究から、DNAトポイソメ
ラーゼII(topo II)が、細胞分裂に先立って複製後の
染色体分離に必要であることが報告されている(Uemur
a, T. et al., Cell., 1987, 50, 917-925.、Dinardo,
S. et al., Proc. Natl. Acad.Sci., 1984, 81, 2616-2
620.、Uemura, T. et al., EMBO J, 1984, 3, 1737-174
4.、Holm, C. et al., Cell, 1985, 41, 553-563.)。
酵母とは異なり、哺乳類細胞にtopo IIの条件変異体は
ない。G2/M期との関連が疑われるtopo IIが哺乳類細胞
の細胞周期の進行に果たす役割を解明するためには他の
アプローチが採用されている(Downes, C.S. et al., N
ature, 1994, 372, 467-470.、Grue, P. etal., J. Bio
l. Chem., 1998, 273, 33660-33666.、Ishida, R. et a
l., J. CellBiol., 1994, 126, 1341-1351.、Wood, E.
R. et al., J. Cell. Biol., 1990,111, 2839-2850.、A
dachi, Y. et al., Cell, 1991, 64, 137-148.、Hiran
o, T.et al., J. Cell. Biol. 1993, 120, 601-61
2.)。
【0005】ビスジオキソピペラジン類の誘導体である
ICRF-193(メソ-2,3-ビス(3,5-ジオキソピペラジン-1-
イル)ブタン:meso-2,3-bis(3,5-dioxopiperazine-1-y
l)butane)は、topo II酵素をATP存在下でクローズドク
ランプ(closed-clamp)中間体として捕捉し、上記酵素
のATPase活性、鎖の通過、触媒のターンオーバーを最終
的に阻害する(Roca, J. et al., Proc. Natl. Acad. S
ci. USA., 1994, 91, 1781-1785.、Andoh, T. et al.,
Biochim. Biophys. Acta., 1998, 400, 155-171.)。ビ
スジオキソピペラジン類はtopo IIの触媒阻害剤であ
り、いわゆる「トポイソメラーゼ毒」とは異なり染色体
DNAに切り込みを入れない(Ishida, R.et al., Cancer
Res., 1991, 51, 4909-4916.)。酵母の遺伝的研究か
ら、in vivoにおけるICRF-193およびその関連化合物の
標的がtopo IIであることが明らかにされている(Ishid
a, R. et al., Cancer Res., 1995, 55, 2299-230
3.)。このためICRF-193は、哺乳類細胞を含めた真核細
胞におけるtopo IIの生物学的機能を評価するための有
用な薬剤として使用されている。
【0006】これまでに、ICRF-193は、培養細胞の細胞
周期をG2/M期で停止させることが示されている(Ishida
R. et al., J. Cell Biol. 1991, 126, 1341-135
1.)。またこの時、絡まった不完全に凝集した染色体が
観察される(Ishida R. et al.,J. Cell Biol. 1991, 1
26, 1341-1351.、Anderson H. and Roberge M., Cell G
rowth Differ. 1996, 7, 83-90.)。これらの結果は、
哺乳動物細胞において、topo IIはG2/M期における染色
体DNAの凝集と分離に必須であることを示唆している。
【0007】哺乳類細胞のtopo IIには2種の異性体(α
およびβ)が存在する(Austin, C.A. et al., Biochi
m. Biophys. Acta. 1993, 1172, 283-291.)。これらの
異性体は構造上の類似性が高く、酵素学的性質も似てい
る(Drake, F.H. et al., Biochemistry, 1989, 28, 81
54-8160.、Austin, C.A. et al., J. Biol. Chem., 199
5, 270, 15739-15746.)。両異性体とも、その触媒活性
にはATPが必要である。一方、異性体間の差は、細胞周
期中の発現パターンと細胞内局在化の両方に認められる
(Isaacs, R.J. et al., Biochim. Biophys. Acta., 19
98, 1400, 121-137.、Meyer, K.N. et al., J. Cell. B
iol., 1997, 136, 775-788.)。例えば、topo IIβは細
胞周期を通じてほぼ一定量発現しているのに対し、topo
IIαはG2/M期に明瞭に増大する(Woessner R. D. et a
l., Cell Growth Differ. 1991,2, 209-214.、Meyer K.
et al., J. Cell Biol. 1997, 136, 775-788.、Adachi
N. et al., Biocehm. Biophys. Res. Commun. 1997, 23
0, 105-159.、Isaacs R. J. et al., Biochem. Biophy
s. Acta 1998, 1400, 121-137.、Adachi N. et al., Ge
ne, 2000, 245, 49-57.)。これらの結果から、topo II
αは細胞周期のG2/M期に特に必要であると考えられてい
る。これに対し、topo IIβ-/-ノックアウトマウスは新
生児期まで分化可能であるが、神経の異常により出生後
すぐ死ぬことから、topo IIβは、細胞周期中に重要な
役割を果たさないことが示唆されている(Yang, X. et
al., Science, 2000, 287, 131-134.)。
【0008】哺乳類細胞の増殖は主として、細胞を細胞
周期内に留めるかまたは周期外に追い出す促進性因子と
抑制性因子とのバランスによりG1期で調節されている。
培養細胞の増殖は、培地から増殖因子を除くことでG1期
の途中で止めることができる。増殖を止めると細胞はG0
期(休止状態または休止期)に入る。G0期細胞のG0期か
ら細胞周期への移行を調節する因子群を同定して解析す
ることは、細胞増殖を制御する分子機構を理解する上で
重要である。
【0009】一方、特定の細胞周期に作用する薬剤が細
胞増殖阻害剤として、制がん剤の候補となる、という考
え方は従来から存在している。しかしながら、正常細胞
もがん細胞も細胞周期の進行に伴い増殖するので、特定
の細胞周期を阻害する薬剤は、両者の増殖を阻害するこ
ととなり、正常細胞の増殖阻害という、重大な副作用を
引き起こす。したがって、細胞周期特異的に作用する制
がん剤の開発にあたっては、正常細胞とがん細胞の細胞
周期制御機構の差を明らかにし、それにあずかるタンパ
ク質を制がん剤の標的として探索する必要がある。しか
しながら、そのような正常細胞とがん細胞との間の細胞
周期制御機構の間の差は分子レベルでは明らかになって
いない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、topo
IIα阻害剤を有効成分として含有する、G0期細胞のG0
期から細胞周期への移行または初期胚のG1期からS期へ
の移行を阻害する薬剤、および、これら薬剤のスクリー
ニング方法を提供することにある。さらに、制がん剤の
標的因子を同定するために、上記薬剤の細胞増殖阻害作
用に対し耐性を示す遺伝子のスクリーニング方法を提供
することをも目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、topo II
α阻害剤であるICRF-193が、G0期の培養細胞のG0期から
細胞周期への移行および初期胚のG1期からS期への移行
を阻害することを見出した。さらに、topo IIα遺伝子
ターゲティングによる解析から、topo IIα遺伝子が欠
損すると、初期胚のG1期からS期への移行が阻害される
ことを見出した。これらの結果は、topo IIαが、G0期
細胞のG0期から細胞周期への移行および初期胚のG1期か
らS期への移行において必要であることを示している。
このことは、topo IIαがG2/M期のみに必要であるとい
う一般的に受け入れられている考えとは対照的である。
また、本発明者らは、上記知見に加え、ICRF-193は、増
殖サイクルにある培養細胞のG1期からS期への移行は阻
害しないことを見出した。
【0012】一方、大部分の正常細胞はG0期にある。こ
れに対し、がん細胞の特徴は、G0期に入ることなく、常
に増殖サイクルにあることである。培養細胞は、常に増
殖サイクルにあり、がん細胞と共通した性質を有してい
る。よって、G0期細胞のG0期から細胞周期への移行過程
または初期胚のG1期からS期への移行過程と、増殖サイ
クルにある培養細胞のG1期からS期への移行過程の、top
o IIα阻害剤に対する依存性が異なっていることを意味
している上記の知見は、topo IIαが有する細胞増殖阻
害作用に対し耐性を示す遺伝子であって、がん細胞や培
養細胞などの常に増殖状態にある細胞のG1期からS期へ
の移行に特異的に関与する遺伝子が存在することを示唆
している。このような遺伝子からコードされるタンパク
質は、制がん剤の標的になりうるものと大いに期待され
る。
【0013】即ち、本発明は、topo IIα阻害剤を有効
成分として含有するG0期細胞のG0期から細胞周期への移
行または初期胚のG1期からS期への移行を阻害する薬
剤、および、これら薬剤の細胞増殖阻害作用に対し耐性
を示す遺伝子のスクリーニング方法に関し、より具体的
には、〔1〕トポイソメラーゼIIα阻害剤を有効成分と
して含有する、G0期細胞のG0期から細胞周期への移行を
阻害する薬剤、〔2〕トポイソメラーゼIIα阻害剤がビ
スジオキソピペラジン類の誘導体である、〔1〕に記載
の薬剤、〔3〕ビスジオキソピペラジン類の誘導体がメ
ソ-2,3-ビス(3,5-ジオキソピペラジン-1-イル)ブタン
である、〔2〕に記載の薬剤、〔4〕トポイソメラーゼ
IIα阻害剤を有効成分として含有する、初期胚のG1期か
らS期への移行を阻害する薬剤、〔5〕トポイソメラー
ゼIIα阻害剤がビスジオキソピペラジン類の誘導体であ
る、〔4〕に記載の薬剤、〔6〕ビスジオキソピペラジ
ン類の誘導体がメソ-2,3-ビス(3,5-ジオキソピペラジ
ン-1-イル)ブタンである、〔5〕に記載の薬剤、
〔7〕被験試料における、G0期細胞のG0期から細胞周期
への移行または初期胚のG1期からS期への移行を阻害す
る活性の有無を評価する方法であって、(a)トポイソ
メラーゼIIαに被験試料を接触させる工程、(b)該ト
ポイソメラーゼIIαの活性を測定する工程、を含み、上
記トポイソメラーゼIIαの活性が、被験試料を接触させ
ないときに比べ抑制されている場合に、被験試料が、G0
期細胞のG0期から細胞周期への移行または初期胚のG1期
からS期への移行を阻害する活性を有すると判定される
方法、〔8〕被験試料における、G0期細胞のG0期から細
胞周期への移行または初期胚のG1期からS期への移行を
阻害する活性の有無を評価する方法であって、(a)ト
ポイソメラーゼIIαをコードする遺伝子のプロモータ―
領域の下流にレポーター遺伝子が機能的に結合したDNA
を有する細胞または細胞抽出液を提供する工程、(b)
該細胞または該細胞抽出液に被験試料を接触させる工
程、(c)該細胞または該細胞抽出液における該レポー
ター遺伝子の発現レベルを測定する工程、を含み、上記
レポーター遺伝子の発現レベルが、被験試料を接触させ
ないときに比べ抑制されている場合に、被験試料が、G0
期細胞のG0期から細胞周期への移行または初期胚のG1期
からS期への移行を阻害する活性を有すると判定される
方法、
〔9〕被験試料における、G0期細胞のG0期から細
胞周期への移行を阻害する活性の有無を評価する方法で
あって、(a)G0期の細胞に対し、被験試料の接触処理
および細胞周期への移行処理を行う工程、(b)該細胞
におけるDNA合成または細胞増殖を測定する工程、を含
み、上記DNA合成または細胞増殖が、被験試料を接触さ
せないときに比べ抑制されている場合に、被験試料が、
G0期細胞のG0期から細胞周期への移行を阻害する活性を
有すると判定される方法、〔10〕被験試料における、
初期胚のG1期からS期への移行を阻害する活性の有無を
評価する方法であって、(a)G1期の初期胚に被験試料
を接触させる工程、(b)該初期胚におけるDNA合成ま
たは細胞増殖を測定する工程、を含み、上記DNA合成ま
たは細胞増殖が、被験試料を接触させないときに比べ抑
制されている場合に、被験試料が、初期胚のG1期からS
期への移行を阻害する活性を有すると判定される方法、
〔11〕以下の(a)および(b)の工程を含む、G0期
細胞のG0期から細胞周期への移行または初期胚のG1期か
らS期への移行を阻害する活性を有する試料のスクリー
ニング方法、 (a)〔7〕〜〔10〕のいずれかに記載の評価方法に
より、複数の被験試料における、G0期細胞のG0期から細
胞周期への移行または初期胚のG1期からS期への移行を
阻害する活性の有無を評価する工程 (b)複数の被験試料から、G0期細胞のG0期から細胞周
期への移行または初期胚のG1期からS期への移行を阻害
する活性を有すると評価された試料を選択する工程 〔12〕以下の(a)〜(e)の工程を含む、G0期細胞
のG0期から細胞周期への移行または初期胚のG1期からS
期への移行を阻害する活性を有する試料のスクリーニン
グ方法、 (a)トポイソメラーゼIIαに複数の被験試料を接触さ
せる工程 (b)該トポイソメラーゼIIαと被験試料との結合を検
出する工程 (c)該トポイソメラーゼIIαと結合する被験試料を選
択する工程 (d)〔7〕〜〔10〕のいずれかに記載の評価方法に
より、該トポイソメラーゼIIαと結合する被験試料につ
いて、G0期細胞のG0期から細胞周期への移行または初期
胚のG1期からS期への移行を阻害する活性の有無を評価
する工程 (e)該トポイソメラーゼIIαと結合する被験試料か
ら、G0期細胞のG0期から細胞周期への移行または初期胚
のG1期からS期への移行を阻害する活性を有すると評価
された試料を選択する工程 〔13〕以下の(a)〜(g)の工程を含む、〔1〕〜
〔3〕のいずれかに記載の薬剤が有する細胞増殖阻害作
用に対し耐性を示す遺伝子であって、常に増殖状態にあ
る細胞のG1期からS期への移行に特異的に関与する遺伝
子のスクリーニング方法、 (a)G0期から細胞周期への移行処理がなされた細胞に
おいて発現している遺伝子を検出する工程 (b)G0期から細胞周期への移行処理および〔1〕〜
〔3〕のいずれかに記載の薬剤の接触処理がなされた細
胞において発現している遺伝子を検出する工程 (c)工程(a)で検出された遺伝子と工程(b)で検
出された遺伝子を比較し、発現量が変化した遺伝子を同
定する工程 (d)G1期からS期の移行過程の常に増殖状態にある細
胞において発現している遺伝子を検出する工程(e)
〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の薬剤の接触処理がな
されたG1期からS期の移行過程の常に増殖状態にある細
胞において発現している遺伝子を検出する工程 (f)工程(d)で検出された遺伝子と工程(e)で検
出された遺伝子を比較し、発現量が変化した遺伝子を同
定する工程 (g)工程(c)で同定された遺伝子と工程(f)で同
定された遺伝子を比較し、発現量に差がある遺伝子を選
択する工程 〔14〕以下の(a)〜(g)の工程を含む、〔4〕〜
〔6〕のいずれかに記載の薬剤が有する細胞増殖阻害作
用に対し耐性を示す遺伝子であって、常に増殖状態にあ
る細胞のG1期からS期への移行に特異的に関与する遺伝
子のスクリーニング方法、 (a)G1期からS期の移行過程の初期胚において発現し
ている遺伝子を検出する工程 (b)〔4〕〜〔6〕のいずれかに記載の薬剤の接触処
理がなされたG1期からS期の移行過程の初期胚において
発現している遺伝子を検出する工程 (c)工程(a)で検出された遺伝子と工程(b)で検
出された遺伝子を比較し、発現量が変化した遺伝子を同
定する工程 (d)G1期からS期の移行過程の常に増殖状態にある細
胞において発現している遺伝子を検出する工程 (e)〔4〕〜〔6〕のいずれかに記載の薬剤の接触処
理がなされたG1期からS期の移行過程の常に増殖状態に
ある細胞において発現している遺伝子を検出する工程 (f)工程(d)で検出された遺伝子と工程(e)で検
出された遺伝子を比較し、発現量が変化した遺伝子を同
定する工程 (g)工程(c)で同定された遺伝子と工程(f)で同
定された遺伝子を比較し、発現量に差がある遺伝子を選
択する工程を、提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明は、topo IIα阻害剤を有
効成分として含有する、G0期細胞のG0期から細胞周期へ
の移行または初期胚のG1期からS期への移行を阻害する
薬剤を提供する。
【0015】本発明において、topo IIαとは、哺乳類
におけるII型トポイソメラーゼの異性体のうちα異性体
を意味する。該topo IIαは、2重鎖DNAに2本鎖切断を一
時的に導入してリンキング数を変化させる活性を有す
る。topo IIαの上記活性は、ATP依存のスーパーコイル
したプラスミドDNAの弛緩を検出することで測定可能で
ある。
【0016】本発明において、topo IIα阻害剤とは、
直接的または間接的に上記活性を抑制する薬剤を意味す
る。ここで、「活性を抑制する」には、活性を完全に阻
害する場合だけでなく、活性を減少させる場合も含まれ
る。また、間接的に該活性を抑制する場合としては、例
えば、topo IIαをコードする遺伝子の発現を抑制する
場合などが挙げられるが、これに限定されるものではな
い。このようなtopo IIα阻害剤としては、ビスジオキ
ソピペラジン類の誘導体(好ましくはメソ-2,3-ビス
(3,5-ジオキソピペラジン-1-イル)ブタン(meso-2,3-
bis(3,5-dioxopiperazine-1-yl)butane:ICRF-19
3))、メルバロン、アクラルビシンが例示できるが、
これらに限れられるものではない。また、本発明におい
て、G0期細胞のG0期から細胞周期への移行または初期胚
のG1期からS期への移行を阻害する薬剤に含有されるtop
o IIα阻害剤の含有率は特に制限はされない。
【0017】本発明において、G0期細胞とは、細胞周期
外の休止期(休止状態)にある細胞を意味する。G0期細
胞が由来する生物は、哺乳類であれば特に制限されな
い。該G0期細胞を調製する方法としては、特に制限はな
く、例えば、培地から増殖因子を除く方法(例えば血清
飢餓状態にする方法)、接触阻止状態にする方法、ま
た、脾臓細胞などの静止期にある組織細胞を得る方法が
挙げられる。調製した細胞がG0期にあるか否かは、放射
標識したチミジンのDNAへの取り込みがあるかを検出す
ることにより、判断することが可能である。
【0018】本発明において、G0期細胞のG0期から細胞
周期への移行とは、細胞周期外の休止期(休止状態)に
ある細胞において、細胞周期(G1期、S期、G2期およびM
期)が再開することを意味する。通常、G0期から細胞周
期へ移行した場合、G1期、S期、G2期、M期の順序で細胞
周期が進行する。S期では、DNA合成が開始され、染色体
複製が行われる。また、M期では、核膜が消失後、染色
体が出現し、有糸分裂が行われる。さらに、M期では、
細胞が分裂する。一方、G1期およびG2期は、それぞれ、
DNA複製および有糸分裂のための準備期である。よっ
て、上記の「細胞周期が再開する」とは、G1期、S期、G
2期およびM期における生命現象が再開することを意味
し、例えば、上記のいずれかに記載の態様(好ましく
は、DNA合成または細胞分裂)が再開することが挙げら
れる。また、細胞周期が再開するように処理する方法と
しては、例えば、血清飢餓状態にある細胞に血清を添加
する方法、また、脾臓細胞にLPSやConAなどのレクチン
などの増殖刺激因子を作用させる方法が挙げられるが、
これらの方法に限定されない。
【0019】また、本発明において、「G0期細胞のG0期
から細胞周期への移行を阻害する」とは、本発明の薬剤
が、topo IIα阻害剤を有効成分として含有しない場合
と比較して、G0期細胞のG0期から細胞周期への移行を阻
害することを意味する。よって、G0期細胞のG0期から細
胞周期への移行を完全に阻害しない場合も、topo IIα
阻害剤を有効成分として含有しない場合と比較して、G0
期細胞のG0期から細胞周期への移行を阻害していれば、
上記「G0期細胞のG0期から細胞周期への移行を阻害す
る」に該当する。
【0020】本発明において、初期胚とは、受精直後か
ら、6回以内の細胞分裂を経た胚を指す。すべての脊椎
動物の胚が含まれる。初期胚を調製するには、卵を試験
管内で精子と混合して人工授精により得る方法、及び、
哺乳動物の場合には交尾後のメスの子宮から回収する方
法がある。顕微鏡下での観察により、容易に細胞分裂を
開始していない卵や受精卵とは区別が可能である。
【0021】また、本発明において、「初期胚のG1期か
らS期への移行を阻害する」とは、本発明の薬剤が、top
o IIα阻害剤を有効成分として含有しない場合と比較し
て、初期胚のG1期からS期への移行を阻害することを意
味する。よって、初期胚のG1期からS期への移行を完全
に阻害しない場合も、topo IIα阻害剤を有効成分とし
て含有しない場合と比較して、初期胚のG1期からS期へ
の移行を阻害していれば、上記「初期胚のG1期からS期
への移行を阻害する」に該当する。
【0022】また、本発明は、被験試料における、G0期
細胞のG0期から細胞周期への移行または初期胚のG1期か
らS期への移行を阻害する活性の有無を評価する方法、
並びに、G0期細胞のG0期から細胞周期への移行または初
期胚のG1期からS期への移行を阻害する活性を有する試
料のスクリーニング方法を提供する。
【0023】本発明の方法における「被検試料」として
は、特に制限はなく、例えば、天然化合物、有機化合
物、無機化合物、タンパク質、ペプチド等の単一化合
物、並びに、化合物ライブラリー、遺伝子ライブラリー
の発現産物、細胞抽出物、細胞培養上清、発酵微生物産
生物、海洋生物抽出物、植物抽出物、原核細胞抽出物、
真核単細胞抽出物もしくは動物細胞抽出物等を挙げるこ
とができる。上記被験試料は必要に応じて適宜標識して
用いることができる。標識としては、例えば、放射標
識、蛍光標識等を挙げることができる。また、「複数の
被験試料」としては、特に制限はなく、例えば、上記被
験試料に加えて、これらの被験試料を複数種混合した混
合物も含まれる。
【0024】また、本発明の方法におけるtopo IIαと
は、topo IIα、あるいは、topo IIαと実質的に同一で
あるタンパク質を意味する。ここで、「実質的に同一」
とは、対象となるタンパク質の活性レベルが、topo II
αの活性レベルと実質的に同一であることを意味する。
よって、対象となるタンパク質の活性レベルが、topoII
αの活性レベルと完全に一致しなくとも、類似の活性レ
ベルであれば「実質的に同一」と判断される。上記topo
IIαと実質的に同一であるタンパク質としては、例え
ば、topo IIαの活性部位を含む部分ペプチド、また
は、該topo IIαの活性部位を含む部分ペプチドもしく
はtopo IIαと、他のタンパク質の融合タンパク質など
が挙げられるが、これらに限定されない。また、topo I
Iαが由来する生物種としては、哺乳類及び鳥類であれ
ば特に制限されず、例えば、マウス、ラット、イヌ、ネ
コ、ヒツジ、サル、ヒト、ニワトリ、ウズラ、ハト、な
どが挙げられる。
【0025】また、本発明の方法において、「抑制され
ている」とは、完全に阻害されている場合だけでなく、
減少している場合も含む。
【0026】本発明の評価方法の第一の態様としては、
まず、topo IIαに被験試料を接触させる。第一の態様
に用いられるtopo IIαの状態としては、特に制限はな
く、例えば、精製された状態、細胞内に発現した状態、
細胞抽出液内に発現した状態などであってもよい。
【0027】topo IIαの精製は周知の方法で行うこと
ができる(Kimura K. et al., J. Biol. Chem. 1996, 2
71, 10990-10995.)。また、topo IIαが発現している
細胞としては、内在性のtopo IIαを発現している細
胞、または外来性のtopo IIαを発現している細胞が挙
げられる。上記内在性のtopo IIαを発現している細胞
としては、培養細胞などを挙げることができるが、これ
に限定されるものではない。上記培養細胞としては、特
に制限はなく、例えば、市販のものを用いることが可能
である。内在性のtopo IIαを発現している細胞が由来
する生物種としては、哺乳類あるいは鳥類であれば特に
制限されず、例えば、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ヒ
ツジ、サル、ヒト、ニワトリ、ウズラ、ハトなどが挙げ
られる。また、上記外来性のtopo IIαを発現している
細胞は、例えば、topo IIαをコードする遺伝子を含む
ベクターを細胞に導入することで作製できる。ベクター
の細胞への導入は、一般的な方法、例えば、リン酸カル
シウム沈殿法、電気パルス穿孔法、リポフェタミン法、
マイクロインジェクション法等によって実施することが
できる。また、上記外来性のtopo IIαを有する細胞
は、例えば、topo IIαをコードする遺伝子を、相同組
み換えを利用した遺伝子導入法により、染色体へ挿入す
ることで作製することができる。このような外来性のto
po IIαが導入される細胞が由来する生物種としては、
哺乳類に限定されず、外来タンパク質を細胞内に発現さ
せる技術が確立されている生物種であればよい。
【0028】また、topo IIαが発現している細胞抽出
液は、例えば、試験管内転写翻訳系に含まれる細胞抽出
液に、topo IIαをコードする遺伝子を含むベクターを
添加したものを挙げることができる。該試験管内転写翻
訳系としては、特に制限はなく、市販の試験管内転写翻
訳キットなどを使用することが可能である。
【0029】また、本発明において「接触」は、topo I
Iαの状態に応じて行う。例えば、topo IIαが精製され
た状態であれば、精製標品に被験試料を添加することに
より行うことができる。また、細胞内に発現した状態ま
たは細胞抽出液内に発現した状態であれば、それぞれ、
細胞の培養液または該細胞抽出液に被験試料を添加する
ことにより行うことができる。被験試料がタンパク質の
場合には、例えば、該タンパク質をコードするDNAを含
むベクターを、topo IIαが発現している細胞へ導入す
る、または該ベクターをtopo IIαが発現している細胞
抽出液に添加することで行うことも可能である。また、
例えば、酵母または動物細胞等を用いた2ハイブリッド
法を利用することも可能である。
【0030】第一の態様では、次いで、上記topo IIα
の活性を測定する。topo IIαの活性測定方法について
は、上述している。第一の態様においては、上記topo I
Iαの活性が、被験試料を接触させないときの活性に比
べ抑制されている場合に、被験試料がG0期細胞のG0期か
ら細胞周期への移行または初期胚のG1期からS期への移
行を阻害する活性を有すると判定される。
【0031】本発明の評価方法の第二の態様としては、
まず、topo IIαをコードする遺伝子のプロモータ―領
域の下流にレポーター遺伝子が機能的に結合したDNAを
有する細胞または細胞抽出液を提供する。
【0032】第二の態様において、「機能的に結合し
た」とは、topo IIαをコードする遺伝子のプロモータ
―領域に転写因子が結合することにより、レポーター遺
伝子の発現が誘導されるように、topo IIαをコードす
る遺伝子のプロモータ―領域とレポーター遺伝子とが結
合していることをいう。従って、レポーター遺伝子が他
の遺伝子と結合しており、他の遺伝子産物との融合タン
パク質を形成する場合であっても、topo IIαをコード
する遺伝子のプロモータ―領域に転写因子が結合するこ
とによって、該融合タンパク質の発現が誘導されるもの
であれば、上記「機能的に結合した」の意に含まれる。
【0033】上記レポーター遺伝子としては、その発現
が検出可能なものであれば特に制限されず、例えば、当
業者において一般的に使用されるCAT遺伝子、lacZ遺伝
子、ルシフェラーゼ遺伝子、β-グルクロニダーゼ遺伝
子(GUS)およびGFP遺伝子等を挙げることができる。ま
た、上記レポーター遺伝子には、topo IIαをコードす
る遺伝子もまた含まれる。
【0034】topo IIαをコードする遺伝子のプロモー
タ―領域の下流にレポーター遺伝子が機能的に結合した
DNAを有する細胞または細胞抽出液は、第一の態様にお
いて述べた方法で調製することが可能である。
【0035】第二の態様では、次いで、上記細胞または
上記細胞抽出液に被験試料を接触させる。次いで、該細
胞または該細胞抽出液における上記レポーター遺伝子の
発現レベルを測定する。
【0036】レポーター遺伝子の発現レベルは、使用す
るレポーター遺伝子の種類に応じて、当業者に公知の方
法により測定することができる。例えば、レポーター遺
伝子がCAT遺伝子である場合には、該遺伝子産物による
クロラムフェニコールのアセチル化を検出することによ
って、レポーター遺伝子の発現レベルを測定することが
できる。レポーター遺伝子がlacZ遺伝子である場合に
は、該遺伝子発現産物の触媒作用による色素化合物の発
色を検出することにより、また、ルシフェラーゼ遺伝子
である場合には、該遺伝子発現産物の触媒作用による蛍
光化合物の蛍光を検出することにより、また、β-グル
クロニダーゼ遺伝子(GUS)である場合には、該遺伝子
発現産物の触媒作用によるGlucuron(ICN社)の発光や5
-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-グルクロニド(X-G
luc)の発色を検出することにより、さらに、GFP遺伝子
である場合には、GFPタンパク質による蛍光を検出する
ことにより、レポーター遺伝子の発現レベルを測定する
ことができる。
【0037】また、topo IIαをコードする遺伝子をレ
ポーターとする場合、該遺伝子の発現レベルの測定は、
当業者に公知の方法によって行うことができる。例え
ば、該遺伝子のmRNAを定法に従って抽出し、このmRNAを
鋳型としたノーザンハイブリダイゼーション法、または
RT-PCR法を実施することによって該遺伝子の転写レベル
の測定を行うことができる。さらに、DNAアレイ技術を
用いて、該遺伝子の発現レベルを測定することも可能で
ある。
【0038】また、該遺伝子からコードされるタンパク
質を含む画分を定法に従って回収し、該タンパク質の発
現をSDS-PAGE等の電気泳動法で検出することにより、遺
伝子の翻訳レベルの測定を行うこともできる。また、該
遺伝子からコードされるタンパク質に対する抗体を用い
て、ウェスタンブロッティング法を実施し、該タンパク
質の発現を検出することにより、遺伝子の翻訳レベルの
測定を行うことも可能である。
【0039】該遺伝子からコードされるタンパク質の検
出に用いる抗体としては、検出可能な抗体であれば、特
に制限はないが、例えばモノクローナル抗体、またはポ
リクローナル抗体の両方を利用することができる。該抗
体は、当業者に公知の方法により調製することが可能で
ある。ポリクローナル抗体であれば、例えば、次のよう
にして取得することができる。上記タンパク質、あるい
はGSTとの融合タンパク質として大腸菌等の微生物にお
いて発現させたリコンビナントタンパク質、またはその
部分ペプチドをウサギ等の小動物に免疫し血清を得る。
これを、例えば、硫安沈殿、プロテインA、プロテインG
カラム、DEAEイオン交換クロマトグラフィー、上記タン
パク質や合成ペプチドをカップリングしたアフィニティ
ーカラム等により精製することにより調製する。また、
モノクローナル抗体であれば、例えば、上記タンパク質
またはその部分ペプチドをマウス等の小動物に免疫を行
い、同マウスより脾臓を摘出し、これをすりつぶして細
胞を分離し、該細胞とマウスミエローマ細胞とをポリエ
チレングリコール等の試薬を用いて融合させ、これによ
りできた融合細胞(ハイブリドーマ)の中から、上記タ
ンパク質に結合する抗体を産生するクローンを選択す
る。次いで、得られたハイブリドーマをマウス腹腔内に
移植し、同マウスより腹水を回収し、得られたモノクロ
ーナル抗体を、例えば、硫安沈殿、プロテインA、プロ
テインGカラム、DEAEイオン交換クロマトグラフィー、
上記タンパク質や合成ペプチドをカップリングしたアフ
ィニティーカラム等により精製することで、調製するこ
とが可能である。
【0040】第二の態様においては、上記レポーター遺
伝子の発現レベルが、被験試料を接触させないときに比
べ抑制されている場合に、被験試料がG0期細胞のG0期か
ら細胞周期への移行または初期胚のG1期からS期への移
行を阻害する活性を有すると判定される。
【0041】本発明の評価方法の第三の態様としては、
まず、G0期の細胞に対し、被験試料の接触処理および細
胞周期への移行処理を行う。本発明において、被験試料
の接触処理および細胞周期への移行処理については、そ
の処理順序に制限はない。
【0042】第三の態様においては、次いで、上記細胞
におけるDNA合成または細胞増殖を測定する。本発明のD
NA合成の測定方法としては、特に制限はなく、例えば、
放射標識チミジンまたは蛍光標識したブロモデオキシウ
リジンの核への取り込みを指標に測定する方法が挙げら
れる。また、細胞増殖は、細胞数を計測したり、生存細
胞数を例えばミトコンドリアの電子伝達活性により測定
することが可能である。
【0043】第三の態様においては、上記DNA合成また
は細胞増殖が、被験試料を接触させないときに比べ抑制
されている場合に、被験試料が、G0期細胞のG0期から細
胞周期への移行を阻害する活性を有すると判定される。
【0044】本発明の評価方法の第四の態様としては、
まず、初期胚に被験試料を接触させる。本発明において
は、上記初期胚における個々の細胞のDNA量を例えば蛍
光染色により定量し、それがG1期細胞のDNA量であるこ
とを検出することにより、G1期であることを確認する。
【0045】第四の態様においては、次いで、上記初期
胚におけるDNA合成または細胞増殖を測定する。第四の
態様においては、上記DNA合成または細胞増殖が被験試
料を接触させないときに比べ抑制されている場合に、被
験試料が、初期胚のG1期からS期への移行を阻害する活
性を有すると判定される。
【0046】さらに、本発明は、G0期細胞のG0期から細
胞周期への移行または初期胚のG1期からS期への移行を
阻害する活性を有する試料のスクリーニング方法も提供
する。該スクリーニング方法を使用することにより、効
率的にG0期細胞のG0期から細胞周期への移行または初期
胚のG1期からS期への移行を阻害する活性を有する試料
をスクリーニングすることが可能となる。
【0047】本発明のG0期細胞のG0期から細胞周期への
移行または初期胚のG1期からS期への移行を阻害する活
性を有する試料のスクリーニング方法の一つの態様にお
いては、上記評価方法を利用して、複数の被験試料につ
いて、G0期細胞のG0期から細胞周期への移行または初期
胚のG1期からS期への移行を阻害する活性の有無を評価
し、G0期細胞のG0期から細胞周期への移行または初期胚
のG1期からS期への移行を阻害する活性を有すると評価
された試料を選択する。
【0048】上記スクリーニング方法の他の態様におい
ては、まず、topo IIαに複数の被験試料を接触させ
る。次いで、topo IIαと被験試料との結合を検出す
る。検出方法としては、特に制限はない。topo IIαと
被験試料との結合は、例えば、topo IIαに結合した被
験試料に付された標識(例えば、放射標識や蛍光標識な
ど定量的測定が可能な標識)によって検出することがで
きる。また、topo IIαへの被験試料の結合により生じ
るtopo IIαの活性抑制を指標に検出することもでき
る。
【0049】他の態様では、次いで、topo IIαと結合
する被験試料を選択する。選択された試料には、G0期細
胞のG0期から細胞周期への移行または初期胚のG1期から
S期への移行を阻害する活性を有する試料が含まれる。
【0050】他の態様では、次いで、topo IIαと結合
する被験試料について、上記評価方法を利用して、G0期
細胞のG0期から細胞周期への移行または初期胚のG1期か
らS期への移行を阻害する活性の有無を評価する。
【0051】他の態様では、次いで、topo IIαと結合
する被験試料から、G0期細胞のG0期から細胞周期への移
行または初期胚のG1期からS期への移行を阻害する活性
を有すると評価された試料を選択する。
【0052】本発明は、本発明の薬剤が有する細胞増殖
阻害作用に対し耐性を示す遺伝子であって、常に増殖状
態にある細胞のG1期からS期への移行に特異的に関与す
る遺伝子のスクリーニング方法を提供する。
【0053】該遺伝子のスクリーニング方法の第一の態
様においては、まず、G0期から細胞周期への移行処理が
なされた細胞において発現している遺伝子を検出する
(工程(a))。次いで、G0期から細胞周期への移行処
理およびtopo IIα阻害剤を有効成分として含有する、G
0期細胞のG0期から細胞周期への移行を阻害する薬剤の
接触処理がなされた細胞において発現している遺伝子を
検出する(工程(b))。本発明において、G0期から細
胞周期への移行処理およびtopo IIα阻害剤を有効成分
として含有する、G0期細胞のG0期から細胞周期への移行
を阻害する薬剤の接触処理については、その処理順序に
制限はない。
【0054】本発明において、遺伝子の検出は、当業者
においては一般的に公知の方法により、実施することが
できる。例えば、ノザンブロットハイブリダイゼーショ
ン法、RT-PCR法、あるいは、ジーンチップ法等が挙げら
れるが、これらに制限されない。
【0055】第一の態様においては、次いで、工程
(a)で検出された遺伝子と工程(b)で検出された遺
伝子を比較し、発現量が変化した遺伝子を同定する(工
程(c))。本発明において、遺伝子の同定は、塩基配
列レベルで行うことが好ましいが、これに制限されるも
のではない。
【0056】第一の態様においては、次いで、G1期から
S期の移行過程の常に増殖状態にある細胞において発現
している遺伝子を検出する(工程(d))。本発明にお
いて、常に増殖状態にある細胞としては、特に制限はな
く、例えば、がん細胞、培養細胞などを挙げることがで
きる。がん細胞としてはマウスのエールリッヒ腹水ガン
細胞、培養細胞としてはマウス3T3細胞、HeLa細胞等
(これらの細胞は広く流布されている細胞なので当業者
であれば容易に入手可能である)があげられるが、これ
らに制限されない。
【0057】第一の態様においては、次いで、topo II
α阻害剤を有効成分として含有する、G0期細胞のG0期か
ら細胞周期への移行を阻害する薬剤の接触処理がなされ
たG1期からS期の移行過程の常に増殖状態にある細胞に
おいて発現している遺伝子を検出する(工程(e))。
上記「G0期細胞のG0期から細胞周期への移行を阻害する
薬剤の接触処理がなされたG1期からS期の移行過程の常
に増殖状態にある細胞」とは、常に増殖状態にある細胞
をG1期同調剤(例えばロバスタチン)処理によりG1期で
同調させ、次いで上記薬剤を処理し、その後にG1期同調
剤を除去することで調製することができる細胞のことで
ある。
【0058】第一の態様においては、次いで、工程
(d)で検出された遺伝子と工程(e)で検出された遺
伝子を比較し、発現量が変化した遺伝子を同定する(工
程(f))。次いで、工程(c)で同定された遺伝子と
工程(f)で同定された遺伝子を比較し、発現量に差が
ある遺伝子を選択する(工程(g))。
【0059】該遺伝子のスクリーニング方法の第二の態
様においては、まず、G1期からS期の移行過程の初期胚
において発現している遺伝子を検出する(工程
(a))。次いで、topo IIα阻害剤を有効成分として
含有する初期胚のG1期からS期への移行を阻害する薬剤
の接触処理がなされたG1期からS期の移行過程の初期胚
において発現している遺伝子を検出する(工程
(b))。次いで、工程(a)で検出された遺伝子と工
程(b)で検出された遺伝子を比較し、発現量が変化し
た遺伝子を同定する(工程(c))。次いで、G1期から
S期の移行過程の常に増殖状態にある細胞において発現
している遺伝子を検出する(工程(d))。次いで、to
po IIα阻害剤を有効成分として含有する初期胚のG1期
からS期への移行を阻害する薬剤の接触処理がなされたG
1期からS期の移行過程の常に増殖状態にある細胞におい
て発現している遺伝子を検出する(工程(e))。次い
で、工程(d)で検出された遺伝子と工程(e)で検出
された遺伝子を比較し、発現量が変化した遺伝子を同定
する(工程(f))。次いで、工程(c)で同定された
遺伝子と工程(f)で同定された遺伝子を比較し、発現
量に差がある遺伝子を選択する(工程(g))。
【0060】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに具体的
に説明するが本発明はこれら実施例に制限されるもので
はない。 (1)材料 ICRF-193(全薬工業株式会社、東京)はDMSO(関東化学
株式会社、東京)に溶解し、小分けして-20℃で保存し
た。サルモネラ菌のLPS(List Biological laboratorie
s, Inc.)はPBS(-)に溶解し、小分けして-20℃で保存し
た。ロバスタチン(エタノールに溶解)およびTN-16(D
MSOに溶解)は和光純薬から購入した。ノコダゾール(D
MSOに溶解)はCalbiochem(ドイツ・ダルムシュタッ
ト)から入手した。RPMI-1640培地はICN Biochemicals
(米国オハイオ州オーロラ)から入手し、NaHCO3(和光
純薬)を添加した。ダルベッコ変法イーグル培地(DME
M)、MgCl2およびCaCl2非添加のリン酸緩衝食塩水(PBS
(-))、ペニシリン-ストレプトマイシンはGIBCO-BRL
(米国)から入手した。ウシ胎児血清(FBS)はCell Cu
lture Laboratories(米国オハイオ州クリーブランド)
から入手した。脂肪酸を含まないウシ血清アルブミン
(BSA)はSigma Chemical Co.(米国ミズーリ州セント
ルイス)から入手した。[メチル-3H]チミジン(1 mCi/m
l)はAmersham Pharmacia Biotech(英国)から入手し
た。使用した他のすべての試薬は、試薬グレードであ
る。
【0061】(2)細胞培養 NIH 3T3、Swiss 3T3、ヒトU-2 OSの各細胞はDMEM中で培
養した。また、CHO、CHO/159-1、NYH、NYH/187細胞はRP
MI-1640培地中で培養した。両培地に10%(v/v)熱不活
化FBS、100 U/ml ペニシリン、100 μg/ml ストレプト
マイシンを添加した。細胞はCO2インキュベーター(5
%)内で37℃で増殖させた。細胞は10%のトリパンブルー
で染色し、細胞数はNeubauer細胞カウンター(Erma、日
本)を用いて計測した。
【0062】(3)[3H]チミジンの取り込み DNA合成速度を測定するために、[3H]チミジンを24穴プ
レートの各ウェルに最終濃度10 μCi/mlで容量500 μl
になるように分注し、サンプルを30分間37℃でCO2イン
キュベーター(5%)内でインキュベートした。30分後に
培地を除き、ウェルを0.5 mlの冷PBS(-)で洗浄した。次
に2% SDSを含む0.5 mlのTris-EDTAで各ウェルの細胞を
溶解した後に、10% TCAを添加してDNAを沈澱させた。放
射標識DNAをガラスフィルター(Whatman GF/C)上に採
取し、液体シンチレーションカウンター(Beckman)で
放射活性をカウントした。脾臓細胞の分裂促進を刺激す
る場合は、[3H]チミジンのパルスラベルを96穴プレート
の1ウェルあたり1×105細胞となるように60分間かけて
行った。
【0063】(4)培養細胞株の血清飢餓化 NIH 3T3、Swiss 3T3、CHO、CHO/159-1、NYH、NYH/187の
各細胞株を、コンフルエンシーが50%になるまで24穴プ
レートで増殖させた。PBS(-)で細胞を3回洗浄した後
に、血清を添加した培地を、0.1%無脂肪酸BSAおよび10
mM Na-Hepes(pH 7.5)を添加した無血清培地と交換し
た。無血清培地中で指定時間インキュベートした後、10
μMのICRF-193を適宜含む血清含有培地を再び添加し
た。
【0064】(5)マウス脾臓細胞のLPSによる分裂促
進刺激 12週齢のC57BL/6(雌)マウスから摘出した直後の脾臓
をセルストレイナー(70 μm Nylon、Becton Dickinso
n、米国)で破砕してPBS(-)で洗浄した。PBS(-)で3回洗
浄した後に脾臓細胞を2 mlの細胞溶解緩衝液(20.6 g/l
Tris-HCl、pH 7.2中に8.3 g/l NH4Clを含む)に懸濁
し、室温で2分間静置して赤血球を破壊した。PBS(-)で
洗浄して細胞溶解緩衝液を除去し、10% FBS、50 μM 2-
メルカプトエタノール、ペニシリン(100 U/ml)、スト
レプトマイシン(100 μg/ml)を添加したRPMI-1640培
地に細胞を懸濁した。次に細胞を1ウェルあたり1×105
の密度になるように100 μlの培地を96穴プレートに分
注し、37℃で5% CO2下でインキュベートした。この実験
では、脾臓細胞を36時間プレインキュベートして、損傷
誘導性のDNA複製の可能性を除いた。細胞をLPS(5 μg/
ml)で刺激し、10 μMのICRF-193を適宜加えてインキュ
ベーションを続けた。次に10 μCi/ml[3H]チミジンで、
6時間の間隔をおいて60分間かけて細胞をパルスラベル
した。パルスラベル完了後に、100 μlのTE-2% SDSで細
胞を溶解し、10% TCAを添加してDNAを沈澱させた。次に
放射活性を液体シンチレーションカウンターでカウント
した。
【0065】(6)Swiss 3T3細胞の接触阻止 Swiss 3T3細胞の増殖を、以下の条件で100%のコンフル
エンシーで停止させた(Higgins, T. et al., Stimulat
ion of DNA synthesis in quiescent cells.,Cell Biol
ogy, Ed. I.E. Celis, Academic Press, San Diego, 19
90, Vol. 1, 294-295.)。60 mmのディッシュ由来のコ
ンフルエントなSwiss 3T3細胞を、24穴プレートに低密
度で分注した。細胞がコンフルエントになるまで増殖さ
せ、さらに6日間静置した。増殖停止から6日後にDNA合
成が98%低下していることを認めた。次に細胞をトリプ
シンで処理し、5×103の密度になるように24穴プレート
の各ウェルに10 μMのICRF-193を適宜添加して分注し
た。
【0066】(7)CHO、NIH 3T3、U-2 OS各細胞株の分
裂中期における同調化 CHO細胞およびNIH 3T3細胞を、密度が2×106になるよう
に100 mmのディッシュにプレーティングして一晩静置し
た。翌日、CHO細胞およびNIH 3T3細胞を0.3 μMのTN-16
または75 ng/mlのノコダゾールでそれぞれ処理し、4時
間後に緩やかにピペッティングして分裂期の細胞を採取
した(Iwai, M. et al., FEBS letters,1997, 407, 267
-270.)。次に分裂期のCHO細胞およびNIH 3T3細胞を、1
ウェルあたり5×103の密度になるように24穴プレートに
分注し、5%のCO2の存在下で37℃でそれぞれ1時間および
3時間インキュベートした。次に細胞を10 μMのICRF-19
3で処理した。
【0067】ヒト骨肉種U-2(U-2 OS)細胞株を対象
に、以下のプロトコルで分裂中期に同調させた細胞のFA
CS分析を行った。簡単に説明すると、U-2 OS細胞を1.4
×106の密度になるように100 mmのディッシュに分注
し、75 ng/mlのノコダゾールで21時間処理した後に、デ
ィッシュを軽く振盪してゆるく結合した分裂期細胞を除
いた。次に細胞をPBS(-)で3回洗浄してノコダゾールを
除き、新鮮な培地を入れた60mmのディッシュに分注して
37℃でインキュベートした。ノコダゾールを除いてから
1時間後に細胞を10 μMのICRF-193で処理した。フロー
サイトメトリーの実施に際しては、細胞をトリプシン処
理して70%のエタノールで固定した。次に細胞を1 mg/ml
のRNase Aを含むPBS(-)に懸濁し、37℃で30分間インキ
ュベートした後に50 μg/mlのヨウ化プロピジウムで染
色した。細胞のDNA量はBecton DickinsonのFACSIIフロ
ーサイトメーターで分析した。
【0068】(8)ロバスタチンによるCHO細胞およびN
IH 3T3細胞のG1期における同調化 24穴プレート中で指数的に増殖させた1ウェルあたり1×
104の密度のCHO細胞またはNIH 3T3細胞を、5 μMのロバ
スタチン(プロドラッグ)で32時間処理した(Wu, J.-
R. et al., FEBS letters, 2000, 484, 108-112.)。イ
ンキュベートした後にDNA合成が96%低下していることが
認められた。次に細胞をPBS(-)で3回洗浄してロバスタ
チンを除き、新鮮な培地で10 μMのICRF-193を適宜加え
てインキュベートした。
【0069】[実施例1] 血清飢餓状態にある細胞の血
清再添加によるDNA合成の回復は、ICRF-193に感受性を
示す 血清飢餓状態においたG0期の細胞が、血清再添加に伴っ
て細胞周期へ移行する際にtopo IIを必要とするか否か
を調べるために、ICRF-193がこのプロセスに及ぼす影響
を検討した。NIH 3T3細胞(マウス繊維芽細胞)を血清
飢餓状態においてG0期に停止させ、血清を添加して細胞
周期に再び入るように促した。図1に示すように、細胞
への[3H]チミジンの取り込みは、血清を再び添加した12
時間後に上昇したが、このプロセスは、10 μMのICRF-1
93存在下では著しく抑制された。ICRF-193による同様の
抑制効果は、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)、NYH
(ヒト小細胞肺癌)、Swiss 3T3(マウス繊維芽細胞)
を用いた経時変化実験で認められたが、topo IIαをコ
ードする遺伝子上の点突然変異のためにビスジオキソピ
ペラジンに耐性を示す2種の変異細胞株(CHO/159-1およ
びNYH/187)(Sehested, M. et al., Cancer Res, 199
8, 58, 1460-1468.、Wessel, I. et al., Cancer Res,
1999, 59, 3442-3450.)で顕著な抑制は認められていな
い。図2に示すICRF-193の用量反応では、ICRF-193は、
血清飢餓状態から解放された24時間後に1〜10 μMの濃
度で薬剤感受性細胞の[3H]チミジンの取り込みを著しく
抑制したが、薬剤耐性細胞におけるDNA合成はICRF-193
に対して完全に耐性を示した(図2)。ICRF-193の上記
濃度範囲は、さまざまな哺乳類細胞株でG2/M移行を遅ら
せることが報告されている濃度(3〜10 μM)にほぼ相
当する(Sugimoto, K. etal., Br. J. Haematology, 19
99, 105, 720-729.、Ishida, R. et al., J. Cell Bio
l., 1994, 126, 1341-1351.、Clarke, D. J., et al.,
J. Cell. Sci., 1993, 105, 563-569.、Iwai, M. et a
l., FEBS letters, 1997, 407, 267-270.)。血清飢餓
実験の結果から、血清飢餓状態にあるG0期の哺乳類細胞
に血清を再び添加した際に、細胞周期への移行時に、to
po IIα活性に依存した一つの段階(または複数の段
階)があることが示唆される。本実施例において、薬剤
感受性細胞株中にICRF-193が存在してもかなりの量の[3
H]チミジンが取り込まれる(図1の21〜27時間)ことが
繰り返し観察された。これは、本実施例において設定し
た血清飢餓条件ではG0期における増殖停止が不完全であ
ったためであると考えられる。
【0070】これらの結果から、G0期細胞が細胞周期へ
移行する際にtopo IIαが必要なことがわかる。本発明
は、哺乳類細胞におけるG0期が細胞周期へ移行する際に
topoIIαが必要であることを示す最初の報告である。
【0071】[実施例2] ICRF-193は、LPSで誘導され
たG0期の脾臓細胞と、Swiss 3T3細胞の両方において、
接触阻止の解放後にDNA合成を阻害する 分裂促進物質によって活性化される、G0期細胞のG0期か
ら細胞周期への移行時に、topo IIαが必要であること
が哺乳類細胞に一般的な現象であるか否かを評価するた
めに、以下の2つの系におけるICRF-193の影響を調べ
た。
【0072】最初に、ICRF-193がG0期の脾臓細胞のLPS
誘導性DNA合成に及ぼす影響について調べた。マウスか
ら回収した脾臓細胞を、ICRF-193の存在下または非存在
下においてLPSで刺激した。LPS誘導性のDNA合成は、ICR
F-193が存在する場合に大きく阻害された。一方で、ICR
F-193の溶媒として使用したDMSOを用いた場合では、こ
のプロセスに影響は認められなかった(図3)。以上の
結果から、G0期の脾臓細胞におけるLPS誘導性のDNA合成
がtopo II活性に依存することがわかる。
【0073】次に、接触阻止状態から解放された細胞に
おける[3H]チミジンの取り込みにICRF-193が及ぼす影響
を調べた。接触阻止状態にあるSwiss 3T3細胞を低密度
でプレーティングしたところ、42時間のインキュベーシ
ョン後に細胞がDNA合成を開始した(図4)。このプロ
セスは10 μMのICRF-193で阻害された(図4)。この結
果もまた、G0期細胞のG0期から細胞周期への移行にtopo
IIが必要であるという見解を支持する。
【0074】[実施例3] 培養細胞株の分裂中期からS
期への移行はICRF-193に耐性である Ishidaらは、CHO細胞の分裂中期からS期への移行がICRF
-193によって阻害されないことを報告している(Ishid
a, R. et al., J. Cell Biol., 1994, 126, 1341-135
1.)。本実施例において、微小管重合阻害剤であるTN-1
6をCHOに、またノコダゾールをNIH 3T3細胞およびU-2 O
S細胞にそれぞれ用いてこの考察を確認した。[3H]チミ
ジンのパルスラベルで測定したCHO細胞のDNA合成速度
は、TN-16を除去してから12時間後に最大となった(図
5)。10 μMのICRF-193は、CHO細胞におけるこの移行
を大きく阻害せず、過去の知見と矛盾しない(Ishida,
R. etal., J. Cell Biol., 1994, 126, 1341-1351.)。
また図5から、S期の通過がCHO細胞内におけるICRF-193
による影響をそれほど受けないと結論することもでき
る。同様の結果はNIH 3T3細胞でも得られた。
【0075】次に、ヒト骨肉腫U-2(U-2 OS)細胞株の
分裂中期からS期への移行が、10 μMのICRF-193に耐性
を示すか否かを調べた。U-2 OS細胞株を75 ng/mlのノコ
ダゾールで21時間処理すると、細胞の大半は細胞周期の
M期で停止した(図6A)。ノコダゾールを除いて、上
記薬剤を含まない新鮮な培地で細胞をさらに1時間イン
キュベートしたところ、細胞の大半がG1期に進んだこと
がフローサイトメトリー解析による2N DNAピークの出現
によって明らかとなった(図6B)。これらの細胞を、
10 μMのICRF-193の存在下または非存在下でさらに14時
間培養した。ICRF-193とともにインキュベートしたとこ
ろ、S期の細胞が次第に蓄積することが、G1期からS期へ
の移行による2Nおよび4Nの間におけるピークの出現から
明らかとなった(図6D)。ICRF-193の存在下(図6
D)では、4N細胞に対応するピークはコントロールのピ
ークと比べてかなり低い(図6C)。これはICRF-193
が、U-2OS細胞株におけるS期通過を遅らせるものの、G1
期からS期への移行を阻害しないという過去に得られた
知見と一致する(Ishida, R. et al., Cancer Res, 199
1,51, 4909-4916.、Andoh, T. et al., Biotechnol. Ap
pl. Biochem., 1993, 18,165-174.、Ishimi, Y. et a
l., J. Biol. Chem., 1991, 267, 462-466.、Ishimi,
Y. et al., Mol. Cell. Biol., 1992, 12, 4007-401
4.、Ishimi, Y. et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA.,
1995, 90, 5399-5403.)。2N細胞に対応するピーク
が、コントロール細胞とICRF-193処理細胞の両方におい
て、ノコダゾールを除去してから15時間後においても認
められたということは、ノコダゾールの細胞傷害作用の
ために、一部の細胞が分裂中期停止状態から解放された
後でG1期に留まっていることを示唆している(図6のC
およびD)。この実験条件下では、FACS分析で得られた
データから、分裂中期停止状態から解放されたU-2 OS細
胞が6時間以内にS期に進むことがわかる。分裂中期停止
状態から解放後の1〜6時間の間にICRF-193を添加して
も、FACS分析で示されるように、エンドポイントにおけ
る細胞周期上の細胞の分布に変化は認められなかった。
以上の結果から、ICRF-193はU-2 OS細胞の分裂中期から
の解放によるS期への移行を阻害しないと結論できる。
【0076】[実施例4] ICRF-193には、G1期からS期
への移行に対する阻害作用はない ロバスタチンは、S期への移行に先立つプロテオソーム
によるp27の分解を阻害することで、G1期に細胞を可逆
的に停止させることが報告されている(Rao, S.et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 1999, 96, 7797-780
2.)。本実施例において、CHO細胞を5 μMのロバスタチ
ンで32時間処理した後にICRF-193の存在下で新鮮な培地
中に遊離状態においた。ICRF-193は、ロバスタチンを除
去してから10時間後における[3H]チミジンの取り込みで
測定したDNA合成速度に大きく影響しなかった(図
7)。以上の結果から、ICRF-193が、G1期に同調させた
細胞からS期への移行を阻害しないことがわかる。NIH 3
T3細胞でも同様の結果が得られている。
【0077】G0期の細胞が細胞周期へ進む際に必要とさ
れるtopo IIαが果たす機能が何かという問題は極めて
重要である。この疑問に対する答えはいくつか考えられ
る。第一に、topo IIαで形成される高度に負のDNA超ら
せんがG0期の細胞におけるDNAの複製開始に不可欠であ
る可能性がある。この仮定は以下に挙げる観察結果を元
にしている。(i)分裂酵母Schizosaccharomyces pombe
では、窒素飢餓状態にするとG0期でクロマチン構造が変
化し、栄養細胞の半球状の核に含まれるクロマチンは窒
素を補充すると元の状態に戻り、細胞が細胞周期に移行
する(Su, S.S.Y. et al., J. Cell. Sci., 1996, 109,
1347-1357.)。(ii)大腸菌Escherichia coliでは、
静止期細胞のDNAは比較的緩んでいるのに対し、対数期
にある細胞のDNAは高度に負の超らせんをもつ(Jaworsk
i, A. et al., J. Biol. Chem., 1991, 266, 2576-258
1.)。染色体由来のDNA複製起点(ori C)をもつプラス
ミドを有する大腸菌を対象としたin vitroにおけるDNA
複製を調べた研究では、DNAの複製開始にテンプレートD
NAが超らせん状態にあることが明らかに必要であること
が報告されている(Funnel, B.E. et al., J. Biol. Ch
em., 1987, 262, 10327-10334.、Baker, T.A. et al.,
Cell, 1986, 45, 53-64.)。また、複製開始タンパク質
DnaAにより二重鎖DNAの鎖が開くことが、テンプレートD
NAの負の超らせん形成に必要であることが報告されてい
る。テンプレートDNAの負の超らせん形成はまた、出芽
酵母Saccharomyces cerevisiaeのARS1をもつプラスミド
が、in vitroで複製を開始するのに不可欠であることが
報告されている(Ishimi, Y. etal., Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA., 1993, 90, 5399-5403.)。哺乳類の細胞
周期と結びついたDNAの超らせん形成の状態変化につい
ては不明な部分が多いが、同様の状況は、G0期の細胞が
刺激を受けて細胞周期に移行する際におけるDNA複製の
開始がDNAの負の超らせん形成に依存することに適用で
きると思われる。また、ツメガエル(Xenopus)の卵抽
出物におけるDNAの部位特異的な複製開始が有糸分裂期
におけるtopo IIによる染色体凝縮に依存することを、
染色体構造から説明できることが報告されている(Lawl
is, S.J. et al., J. Cell. Biol., 1996, 135, 1207-1
218.)。負のDNA超らせん形成の程度が変化すること
は、II型トポイソメラーゼであるDNAジャイレースによ
る調節を大きく受ける熱ショックや低温ショックなどの
ストレス条件下におかれた大腸菌について報告されてい
る(Mizushima, T. et al., Mol. Gen. Genet., 1993,
238, 1-5.、Mizushima, T. et al., Mol. Microbiol.,
1997, 23, 381-386.、Ogata, Y. et al., Mol. Gen.Gen
et., 1994, 244, 451-455.、Ogata, Y. et al., J. Bio
l. Chem., 1996, 46,29407-29414.、Kataoka, K. et a
l., J. Biol. Chem., 1996, 271, 24806-24810.)。哺
乳類では、細胞周期へ再エントリーする際に、G0期の細
胞の弛緩型DNAへの負の超らせん形成の導入にtopo IIα
が必要とされる可能性がある。また、本発明では、G0期
の細胞のみが細胞周期への移行時にICRF-193に感受性を
示す一方で、G1期からS期へ移行する細胞には感受性が
ないことを示した。この結果から、細胞周期に入る細胞
は、DNAの負の超らせん状態を維持するが、G0期に入る
と哺乳類細胞のDNAは弛緩してDNAの複製開始をもはや維
持できなくなると考えられる。
【0078】topo IIαがG0期から出る際に果たす役割
の第二の可能性は、S期への移行に不可欠な産物をコー
ドする一部の遺伝子群の転写にtopo IIαが必要とされ
るというものである。この予測は以下の(i)〜(iii)
の知見に基づいている。(i)in vitroでクロマチンテ
ンプレート上でのRNAポリメラーゼIIによる転写にはtop
oIIαが必要であることが報告されている(Mondal, N.
et al., Nature, 2001,413, 435-438.)。(ii)topo I
Iαと転写因子CREB、ATF-2、c-Junとの相互作用によ
り、in vitroにおける脱連環活性(decatenation activ
ity)が促進される(Kroll, D.J. et al., Mol. Endocr
inol., 1993, 17, 305-318.)。(iii)神経分化にかか
わる遺伝子産物をコードする一部の遺伝子群の発現にto
po IIβが必要なことが報告されている(Tsutsui, K. e
t al., J. Biol. Chem., 2001, 276, 5769-5778.)。し
たがって、G0期細胞が細胞周期へ移行する際に、哺乳類
細胞の一部の遺伝子群の転写にtopo IIαが不可欠な役
割を果たす可能性がある。細胞周期に既に入った細胞
は、S期への移行に不可欠なタンパク質を十分もつ可能
性があるが、G0期細胞は、それらのタンパク質を次第に
放出して、適切な刺激に応じたタンパク質群の発現がto
po IIαにすべて依存する可能性がある。
【0079】最近の報告では、topo IIαがG0期の細胞
の中心体に存在することがわかっている(Barthelmes,
H.U. et al., J. Biol. Chem., 2000, 275, 38823-3883
0.)。本発明で得られた知見から、中心体にあるtopo I
IαがG0期細胞の細胞周期への移行に必要とされると考
えることができる。適切な刺激を受けると、G0期細胞
は、中心体にあるtopo IIα分子群を中心体から放出し
て、核移行後にこれら分子群がDNA複製開始の初期段階
か、またはG0期細胞のG0期から細胞周期への移行に不可
欠な一部遺伝子群の転写のいずれかにかかわる可能性が
ある。
【0080】[実施例5] マウス初期胚発生におけるto
po IIαの必要性 本発明者らは、topo IIα遺伝子ノックアウトマウスを
作出し、初期胚の発生における本遺伝子産物の必要性を
調べた。まず、topo IIα遺伝子ターゲティングベクタ
ー(図8A)を構築し、該ベクターを用いてtopo IIα
遺伝子のヘテロ欠損ES細胞株を作出した。次いで、topo
IIα遺伝子のヘテロ欠損ES細胞株をC57BL/6マウス胚盤
胞に導入してキメラマウスを作出し、ジャームライント
ランスミッションしたキメラマウスを得た。ヘテロノッ
クアウトマウスは、尾から抽出したDNAのサザンハイブ
リダイゼーション解析によって同定した(図8B)。ヘ
テロノックアウトマウスは、子供を作る能力があり、行
動等の外見上の異常は観察されず、1年以上経った時点
でも見かけ上健康であった。
【0081】topo IIαホモノックアウトマウスは生存
可能であるか否かについて調べるため、ヘテロノックア
ウトマウス同士を交配して得たF1仔マウスの中にホモノ
ックアウトマウスが存在するか否かについて検討した。
4週齢以上のF1仔マウス99匹の中に、ホモノックアウト
型の個体は見いだされなかった(表1)。また、ヘテロ
ノックアウトマウス同士の交配から得たブラストシスト
胚にもホモ欠損型の胚は見いだされなかった(表1)。
ヘテロノックアウト型に対する野生型の割合は、3.5日
胚で14/25であり、4週マウスで37/62であり、予想され
る1:2と似ている。これは、不活性なアリルを持つ精子
と卵子が配偶子形成段階で生成され、受精まで生存した
ことを示している。この結果は、受精までの精子と卵子
の生存にtopo IIαが必要でないことを示している。
【0082】
【表1】 +/+は野生型、+/−はヘテロ接合体、−/−はホモ接
合体を示す。
【0083】一方、ヘテロノックアウトマウス同士の交
配から得た2細胞期胚及び4細胞期胚90個を培養すると、
72個(80%)はモルラ胚まで発生した。残りの18個(20
%)は4から8細胞期に発生を停止した。topo IIαに対す
るモノクローナル抗体(CobbJ. et al., Chromosoma 19
99, 108, 412-425.)を用いて免疫染色を行った結果、
発生を停止した胚ではtopo IIαは全く検出されなかっ
た(図9)。一方、モルラ胚まで発生が進んだ初期胚で
は、すべての細胞においてtopo IIαが検出された。
【0084】以上のことから、topo IIα欠損胚は、8細
胞期までに発生を停止することが分かった。これは、to
po IIαが初期胚の発生に必要な役割を果たしていると
いう始めての遺伝学的証拠である。
【0085】DNAトポイソメラーゼI(topo I)遺伝子ノ
ックアウトマウスも、4細胞期か16細胞期の間で発生が
停止することが報告されている (Morham S. G. et al.,
Mol. Cell Biol. 1996, 16, 6804-6809.)topo I遺伝子
のヘテロノックアウトマウス同士の交配から得られた2
細胞期胚ではすべての胚にtopo Iが検出されるが、4細
胞期ではtopo Iが検出されない胚が見られる(Morham S.
G. et al., Mol. CellBiol. 1996, 16, 6804-6809.)従
って、topo I欠損胚が4ないし16細胞期まで発生したの
は、卵由来のtopo Iが残存しているためと考えられる(M
orham S. G. et al., Mol. Cell Biol. 1996, 16, 6804
-6809.) topo IIα欠損胚が8細胞期まで発生することが
できるのも、卵由来のtopo IIαが残存するためと考え
られる。
【0086】[実施例6] マウス初期胚細胞の染色体分
離におけるtopo IIαの役割 4ないし8細胞期で発生が停止したtopo IIα欠損胚の見
かけ上の核の大きさは正常ではあるが、大部分の核の形
態は油滴状であった(図9F)。また、油滴状核のとが
った部分は相互に結合している(図9F)4ないし8細胞
期で発生を停止したtopo IIα欠損胚の核は、異常な形
であった。さらに、topo II阻害剤であるICRF-193で処
理した初期胚細胞でも核の形態は油滴状となり、油滴の
先端部分が相互に結合していた(実施例8参照)。この
核の形態の異常は、制限温度で培養した酵母のtopo II
温度感受性株の核の形態に似ている(Uemura T. and Ya
nagida M., EMBO J. 1984, 3, 1737-1744.)酵母におけ
る核の形態異常は、染色体DNAの分離にtopo IIが必須な
ためと考えられている。従って、マウスのtopo IIα欠
損胚細胞において核の形態が異常となるのも、複製終了
後の染色体DNAの分離が不完全となるためと考えられ
る。
【0087】[実施例7] 発生を停止したtopo IIα欠
損胚の細胞では、G2/M期マーカーは発現しておらず、G1
/S期マーカーが発現している 培養細胞を用いた研究から、topo IIαはG2/M期に特異
的に機能し、G1期には機能を持たないと考えられてき
た。すなわち、topo IIαの発現レベルはG2/M期に高
く、G1期では低い。培養細胞の免疫染色から、培養細胞
では、G2/M期のtopoIIα陽性の細胞と、G1期もしくはS
期のtopo IIα陰性の細胞がある。
【0088】これに対し、本発明者らは、初期胚では、
全ての割球細胞がtopo IIαを持ち、G1期でのtopo IIα
の消失が見られないことを見出した(図9D、図10
D)。さらに、LSC解析によって、G1期の初期胚細胞はt
opo IIα陽性であることを示した。この結果は、初期胚
ではtopo IIαの発現制御は培養細胞と異なることを示
し、培養細胞とは異なって、topo IIαは初期胚細胞のG
1期に機能を持つことが示唆される。
【0089】ヒストンH3はG2期後期とM期にリン酸化さ
れる(Hendzel M. J. et al., Chromosoma 1997, 106,
348-360.)また、PCNAはG1後期とS期の細胞の核に局在
する(Kurki P. et al., Exp. Cell Res. 1986, 166, 2
09-219.)このように、ヒストンH3とPCNAは細胞周期マ
ーカーとして有効である。M期の凝集した核を持つ野生
型胚細胞では、ヒストンH3リン酸化の強いシグナルが検
出された(図9C)。間期の核は、ヒストンH3のリン酸
化が起きている核と起きていない核の混ざりとなってい
る。ヒストンH3のリン酸化が陽性の細胞の細胞周期はM
期もしくはG2期と判断される。一方、発生停止したtopo
IIα欠損胚細胞の核では、ヒストンH3のリン酸化はほ
とんど検出されなかった(図9G)。
【0090】野生型モルラ胚では、PCNAが核に局在して
いるものと、そうでないものが見られた(図10C)。
この結果は、野生型のマウス初期胚細胞においては、各
割球間での細胞周期が同調していないことを示す。これ
に対して、発生停止したtopoIIα欠損胚を免疫染色した
結果、ほとんどの核にPCNAの局在が観察された(図10
G)。これらの結果は、topo IIα欠損胚の細胞周期がG
2/M期ではなく、G1期もしくはS期で停止していることを
示唆している。
【0091】[実施例8] マウス初期胚発生に対するII
型DNAトポイソメラーゼ活性阻害剤ICRF-193の効果 ICRF-193は、クリーバブルコンプレックスを安定化させ
ないII型DNAトポイソメラーゼ活性の阻害剤であり、染
色体DNAに対する障害を引き起こさない(Clarke D. J.
et al., J. Cell. Sci. 1993, 105, 563-569.、Downes
C. S. et al.,Nature 1994, 372, 467-470.、 Andoh T.
and Ishida R., Biochim. Biophys. Acta 1998, 1400,
155-171.)。本発明者らは、マウス初期胚の試験管内
培養系での胚発生に対するICRF-193の効果を調べた。2
細胞期の野生型マウス胚にICRF-193を作用させると、薬
剤非処理の胚よりやや遅れて4細胞期となり(図1
1)、そこで発生を停止した。発生阻害を引き起こす最
少濃度のICRF-193は1μMであった。このマウス初期胚の
発生を阻害するICRF-193濃度は、種々の培養細胞の細胞
周期をG2/M期で停止させる濃度とよく一致している(Cl
arke D. J. et al., J. Cell. Sci. 1993, 105, 563-56
9. 、Downes C. S. et al., Nature 1994, 372, 467-47
0.、Ishida R. et al., J. Cell. Biol. 1994, 126, 13
41-1351. )。さらにまた、4細胞期の胚を10μM ICRF-1
93で処理した場合にも、卵割は進行して8細胞期となっ
た後、8細胞期で発生が停止した。ICRF-193濃度を50μM
としても核の分裂と細胞質分裂は阻害されなかった。IC
RF-193で処理して発生が停止した胚細胞の核は、topo I
Iα欠損胚と同様に、形態が油滴状となっていた(図1
2B)。また、油滴状核の先端部分は結合していた(図
12B矢印)。一方、チューブリン重合阻害剤であるコ
ルセミドをICRF-193と同時に4細胞期胚に作用させる
と、染色体DNAが凝集し、さらにヒストンH3がリン酸化
された4つの核が観察される段階で発生が停止した(図
12E、F)。これらの結果は、ICRF-193で処理した胚
では、M期を通過して、核分裂と細胞分裂が起こること
を示す。
【0092】ICRF-193処理により発生が停止した胚を免
疫染色した結果、ヒストンH3のリン酸化は検出されなか
ったが(図13C)、ほぼすべての割球細胞においてPC
NAの核局在が見られた(図14C)。一方、コルセミド
を添加してM期で停止させた胚の核では、すべての割球
細胞においてヒストンH3のリン酸化が見られた(図13
I)。また、DNA合成阻害剤であるヒドロキシウレアに
より処理した胚では、すべての割球細胞においてPCNAの
核局在が見られた(図14F)。これらの結果は、ICRF
-193で処理した胚では、topo IIα欠損胚と同様に、細
胞周期がG2/M期ではなくG1期もしくはS期で停止してい
ることを示している。
【0093】次に、初期胚細胞におけるBrdUの取り込み
で見たDNA合成に対するICRF-193の効果を検討した。そ
の結果、10μMのICRF-193はBrdUの核への取り込みを阻
害しないことが判明した(図15E)。これに対して、
DNA合成阻害剤のヒドロキシウレアは、BrdUの核への取
り込みを阻害した(図15H)。これらの結果は、ICRF
-193は、初期胚細胞の細胞周期がいったんS期に移行し
た場合、その進行を阻害しないことを示している。
【0094】[実施例9] topo IIα欠損胚細胞の核の
DNA定量 細胞周期マーカーの発現解析、並びにDNA合成実験か
ら、topo IIαの活性が失われると、初期胚細胞の細胞
周期はG1期で停止している可能性が考えられた。この点
をさらに検証するために本発明者らは、発生を停止した
topo IIα欠損細胞の核のDNA含量を測定した。
【0095】Laser scanning cytometer(LSC)によ
り、一つ一つの細胞について、染色体DNAの定量と、細
胞形態の観察を同時に行うことができる(Darzynkiewic
z Z. etal., Exp. Cell Res. 1999, 249, 1-12.)。PI
で染色した核にレーザーを照射して励起された蛍光強度
を測定し、それぞれの細胞の核DNAに相当する核の囲い
(segmenting contour)内のピクセル値の総計を求め
る。
【0096】凝集した染色体DNAでは狭い範囲に蛍光が
発せられるので、凝集したDNAの最大ピクセル値は凝集
していないものより大きい。そのため、染色体凝集の状
態に応じた核の囲い(segmenting contour)内での最大
ピクセル値を求めることによって、G2期の細胞とM期の
細胞とを区別することができる。さらに、DNA定量と同
時に、特定の蛋白質の存否を検出することも可能であ
る。
【0097】本実施例では、まず最初に本発明者らは、
LSCをマウス初期胚の割球細胞の細胞周期解析に利用で
きるかについて検討した。DNA量とDNA凝集度の2パラメ
ーターサイトグラムを図16Aに示した。サイトグラム
中の各点は、一定のDNA量と一定のDNA凝集度を有する個
々の核に対応する。ヒドロキシウレア処理して調製した
2NのDNA含量の核を有する細胞と、コルセミド処理して4
NのDNA含量の核を有する細胞を標準サンプルとして調製
し、それらを混合してLSCで解析してサイトグラムを得
た。図16Aで示すように、サイトグラム中に明確に2
つのグループがあった。ひとつはDNA含量が少なくてDNA
凝集度の低い集団(図16A−1枠)、もうひとつはDN
A含量が多くてDNA凝集度の高い集団(図16A−2枠)
であった。図16A−1枠群の細胞核の形態は、間期の
核に特徴的な形態を示した(図16B−1)また、図1
6A−2枠の細胞核は、M期の核に特徴的なDNAの凝集を
示した(図16B−2)。従って、LSCを用いてマウス
初期胚のそれぞれの割球細胞において、DNA量が2Nであ
るG1期細胞と4NであるM期細胞を判別できることが分か
った。M期の細胞の核は、特徴的な凝集形態から他の細
胞周期にある細胞の核との判別が容易であり、検体中の
細胞の核のDNA量を定量する際に4N核としての内部標準
として有用である。
【0098】次に、ヘテロノックアウトマウス同士を交
配して得た2細胞期もしくは4細胞期の胚について発生停
止胚が出現するまでin vitroで培養した。そして野生型
とtopo IIαの欠損型の混ざりの細胞をLSCで解析した。
M期細胞はコルセミド処理して得て、内部標準として添
加した。DNA含量とDNA凝集度からサイトグラムのドット
を3つの集団にわけて、核のPI染色像と抗topo IIα免疫
染色像を観察した。図16A−枠5では、内部標準とし
て添加したM期細胞があった。枠3では、DNA含量が2Nの
細胞があった。topo IIα抗体による免疫染色により、
枠3では、topoIIα陽性(図16B−3a)と陰性の細
胞(図16B−3b)があることが分かった。図16A
−枠4には、DNA含量が2Nの細胞があった。免疫染色に
より、topo IIαが検出される細胞(図16B−3a)
とtopo IIαが検出されない細胞(図16B−3b)が
見いだされた。topo IIαを含んだ66個の細胞に限って
見た場合、核あたりのDNA含量が2Nである細胞の数は16
個、DNA含量が4Nの細胞の数は21個、DNA含量が2Nと4Nの
間である細胞数は29個であった。topo IIαが欠損して
いると判定した21個の細胞に限って見た場合、核あたり
のDNA含量が2Nである細胞の数は13個、核あたりのDNA含
量が4Nの細胞の数は5個であった。他の3個は、2Nと4Nの
集団の中間に位置していた。これらの結果は、topo II
αが欠損すると初期胚の細胞周期が、DNA含量が2Nであ
る細胞周期の時期、すなわちG1期で特異的に発生が停止
するとする考えを支持する。ICRF-193処理した細胞で
は、topo IIα欠損細胞と同様に、2Nの細胞が全体の半
数以上を占めていた。培養細胞をICRF-193で長時間処理
すると、一部の細胞では、M期を経ずにG2期 からG1期へ
移行する場合のあることが提案されている(Andoh T. e
t al., Biotechnol. Appl. Biochem. 1993, 18, 165-17
4.)。この時のG1期の細胞では、DNA含量は4Nとなって
いる。このことから、核当たりのDNA含量が4Nであるtop
o IIα欠損細胞については、G2期の細胞がM期の核分裂
を経ずにG1期へと移行してしまったものと考えられる。
【0099】本発明者らはtopo IIα欠損胚、ICRF-193
処理胚のいずれでもヒストンH3のリン酸化が起きずにPC
NAの核局在が起きることを示した。さらに、野生型4細
胞期胚をICRF-193で処理すると、細胞質分裂が起きて核
の数が8に増加することを見いだした。ICRF-193と共に
コルセミドを添加すると、4細胞期胚でM期の核が蓄積し
た。このように、topo IIαが消失しても、細胞周期はM
期からG1期へ移行する。この知見は培養細胞で見られて
ものとは異なる。ゆえに、細胞周期の進行に対するtopo
IIαの必要性は初期胚と培養細胞とで異なるようだ。
【0100】初期胚のG1期細胞においてtopo IIαはDNA
複製開始やS期移行に必要な遺伝子発現に必須なDNA超ら
せん構造の形成に役立っているのかもしれない。すで
に、DnaA蛋白質による大腸菌複製開始起点oriCからのDN
A複製開始に鋳型DNAの超らせんが必須であることが確立
されている(Kornberg and Baker, DNA Replication,2
nd ed. 1992, W. H. Freeman & Company, U. S. A.)。
また、DNAの超らせん構造が様々な転写に影響すること
も知られている。なぜ、初期胚のG1期ではtopoIIαが必
須であるのに対し、培養細胞では必須では無いのかは重
要な点である。この問いに対する答えは、今後の培養細
胞の細胞増殖の制御のさらなる理解によって得られるで
あろう。
【0101】
【発明の効果】本発明者らによって、topo IIα阻害剤
は、G0期細胞のG0期から細胞周期への移行または初期胚
のG1期からS期への移行を阻害するのに対し、常に増殖
状態にある細胞のG1期からS期への移行は阻害しないこ
とが見出された。このことから、本発明の薬剤が有する
細胞増殖阻害作用に対し耐性を示す遺伝子であって、常
に増殖状態にある細胞のG1期からS期への移行に特異的
に関与する遺伝子が存在することが示唆される。このよ
うな遺伝子からコードされるタンパク質は、制がん剤の
標的になりうる。よって、本発明のtopo IIα阻害剤を
有効成分として含有する、G0期細胞のG0期から細胞周期
への移行または初期胚のG1期からS期への移行を阻害す
る薬剤、および該薬剤の細胞増殖阻害作用に対し耐性を
示す遺伝子のスクリーニング方法は、医薬品開発などに
おいて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ICRF-193が、血清再添加後に、血清飢餓状態
にあるNIH 3T3細胞におけるDNA合成の回復を阻害するこ
とを示す図である。細胞を48時間血清飢餓状態においた
後に、10 μMのICRF-193を適宜含む血清を再添加した。
10 μCi/ml[3H]チミジンのパルスラベリングを指定時期
に30分間にわたって行った。
【図2】 ICRF-193の濃度上昇が、血清飢餓状態から解
放された培養細胞株のDNA合成に影響するか否かの検討
結果を示す図である。NIH 3T3、CHO、CHO/159-1の各細
胞は血清飢餓状態に48時間おいた。NYH細胞とNYH/187細
胞は、血清飢餓状態に96時間おいた。血清飢餓状態にお
いた後に、血清を含む培地中で24時間にわたり、ICRF-1
93の濃度を上昇させながら細胞をインキュベートし、10
μCi/mlの[3H]チミジンで30分間にわたってパルスラベ
リングを行った。
【図3】 ICRF-193が、マウス脾臓細胞におけるLPS誘
導性DNA合成を阻害することを示す図である。0.1% DMSO
(培地で希釈)または10 μMのICRF-193を加えた5 μg/
ml LPSで脾臓細胞を処理した。コントロールの細胞はLP
Sで処理を行わなかった。LPS処理後に細胞を10 μCi/ml
[3H]チミジンで60分間、6時間の間隔をおいてパルスラ
ベリングを行った。
【図4】 ICRF-193が、接触阻止状態から解放されたSw
iss 3T3細胞におけるDNA合成を阻害することを示す図で
ある。Swiss 3T3細胞の増殖を6日間の接触阻止により停
止させた後に、10 μMのICRF-193を適宜添加して低密度
でプレーティングした。[3H]チミジン(10 μCi/ml)の
パルスラベリングを指定の時点で30分間かけて行った。
【図5】 ICRF-193が、分裂中期停止状態から解放され
たCHO細胞の[3H]チミジンの取り込みに影響するか否か
の検討結果を示す図である。同調させずに増殖させたCH
O細胞を、0.3 μMのTN-16で4時間処理した。分裂期のCH
O細胞を緩やかにピペッティングして回収してプレーテ
ィングした。プレーティングから1時間後に細胞を10 μ
MのICRF-193で処理した。[3H]チミジン(10 μCi/ml)
のパルスラベリングは、ICRF-193を添加後に6時間の間
隔をおいて30分間かけて行った。
【図6】 ICRF-193は、分裂中期で停止させたU-2 OS細
胞のG1期からS期への移行を阻害しないことを示す図で
ある。U-2 OS細胞は、ノコダゾールで21時間処理して分
裂中期に同調させた(A)。培地をノコダゾールを含ま
ないものと交換し、細胞を1時間にわたって培養した
(B)。次いで細胞をICRF-193の非存在下(C)、または
10 μMのICRF-193の存在下(D)でさらに15時間インキ
ュベートした。細胞のDNA量はフローサイトメトリーで
分析した。
【図7】 ICRF-193が、G1期で停止させたCHO細胞にお
ける[3H]チミジンの取り込みに影響するか否かの検討結
果を示す図である。同調させずに増殖させたCHO細胞を5
μMのロバスタチン(プロドラッグ)で32時間処理し
た。次に細胞を10 μMのICRF-193を適宜添加して解放し
た。[3H]チミジン(10 μCi/ml)のパルスラベリング
は、指定時点で30分間かけて行った。
【図8】 ノックアウトマウス作出の概略図(A)およ
び遺伝子型検定の結果を示す写真(B)である。 黒四
角の部分は、エクソンを示す。NEOは、ネオマイシン耐
性遺伝子を表す。tkはチミジンキナーゼ遺伝子を表す。
【図9】 topo IIαヘテロノックアウトマウス同士の
交配から得られた胚におけるヒストンH3のリン酸化を示
す写真である。2ないし4細胞の胚をin vitroで26時間培
養した。胚を1%ホルマリンで固定した後、DAPI(B,
F, 及びI),もしくは抗ヒストンH3抗体(C及びG)、
もしくは抗topo IIα抗体(D及びH)で染色した。
【図10】 topo IIαホモノックアウトにおけるPCNA
の核局在を示す写真である。2ないし4細胞の胚をin vit
roで26時間培養した。胚を1%ホルマリンで固定した
後、DAPI(B及びF)もしくは抗PCNA抗体(C及びG),
もしくは抗topoIIα抗体(D及びH)で染色した。
【図11】 ICRF-193添加後のマウス初期胚の発生を示
す図である。2細胞期胚を10μMのICRF-193で処理した。
白丸は10μMのICRF-193、黒丸は薬剤なしのコントロー
ルを示す。
【図12】 ICRF-193処理した野生型マウス初期胚にお
ける核の分裂を示す写真である。S期にある4細胞期胚を
10μM ICRF-193存在下(A, B, 及びC)、10μM ICRF
-193及び100ng/mlコルセミド存在下(D, E, 及び
F)、あるいは100ng/mlコルセミド存在下(G, H,及び
I)で20時間培養した。透明体を除去してホルマリンで
固定した後、DNAをDAPI(B, F,及びH)、あるいはリン
酸化ヒストンH3に対する抗体(C, F, 及びI)で蛍光染
色した。図中の矢印は、2つの核が結合した部分を示
す。
【図13】 ICRF-193処理した初期胚における、リン酸
化ヒストンH3の消失を示す写真である。4細胞期胚を10
μM ICRF-193(A, B, 及びC), 2mMヒドロキシウレア
(D, E,及びF),あるいは100ng/mlコルセミド存在下
(G, H,及びI)で21時間培養した。胚をホルマリン固
定した後、DNAをDAPI(B, F,及びH)、あるいはリン酸
化ヒストンH3に対する抗体(C, F, 及びI)で蛍光染色
した。
【図14】 ICRF-193処理した初期胚における、PCNAの
核局在を示す写真である。4細胞期胚を10μM ICRF-193
(A, B, 及びC), 2mMヒドロキシウレア(D,E,及び
F),あるいは100ng/mlコルセミド存在下(G, H,及び
I)で20時間培養した。胚をホルマリン固定した後、DNA
をDAPI(B,E,及びH)、あるいは抗PCNA抗体(C, F,
及びI)で蛍光染色した。
【図15】 初期胚細胞のDNA合成に対するICRF-193の
影響を示す写真である。4細胞期胚を10μM ICRF-193
(A, B, 及びC),薬剤なし(D, E, 及びF),あるいは
2mMヒドロキシウレア存在下(G, H,及びI)で1時間培
養した。さらに、100μMブロモデオキシウリジンを加え
て3時間培養し、胚をホルマリン固定後、抗ブロモデオ
キシウリジン抗体(B, E, 及びH)、あるいはPIで染色
した。
【図16】 レイザー・スキャンニング・サイトメトリ
ー(LSC)による、マウス初期胚細胞のDNA含量の定量結果
を示す図(A)及び、免疫染色の結果を示す写真(B)
である。具体的には、Aは、DNA含量(横軸)及び染色
体凝集(縦軸)をパラメーターとするサイトグラムを示
す。DNA含量が2Nの細胞は、2細胞期胚をヒドロキシウレ
アで処理して得た。DNA含量が4Nの細胞は、4細胞期胚を
コルセミドで処理して得た。細胞のDNAは、PIで染色し
た。左のサイトグラムは、2N,4N細胞を混合したサンプ
ルをLSCにかけたときのパターンである。右のサイトグ
ラムは、4N細胞と、トポイソメラーゼIIαヘテロ欠損マ
ウス同士を交配して得た初期胚の混合物をサンプルとし
たときのパターンである。Bは、PI及び抗DNAトポイソ
メラーゼIIα抗体で蛍光染色した核の像を示す。数字
は、Aのサイトグラム中のフレームの番号と対応してい
る。DNA含量が2NのDNAトポイソメラーゼIIα欠損細胞が
存在している(3b)。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/50 G01N 33/50 Z 33/53 33/53 D M 33/566 33/566 // C12N 15/09 C12N 15/00 A (72)発明者 関水 和久 東京都大田区南千束2−6−6 Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 AA40 BA11 BB50 DA12 DA13 DA14 DA36 FB02 4B024 AA01 AA11 FA02 GA11 HA08 HA11 4B063 QA01 QA18 QQ02 QQ08 QQ39 QQ62 QR42 QR77 QS34 QS36 QX07 (54)【発明の名称】 トポイソメラーゼIIα阻害剤を有効成分として含有する、G0期細胞のG0期から細胞周期へ の移行または初期胚のG1期からS期への移行を阻害する薬剤、および、これら薬剤の細胞増殖 阻害作用に対し耐性を示す遺伝子のスクリーニング方法

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トポイソメラーゼIIα阻害剤を有効成分
    として含有する、G0期細胞のG0期から細胞周期への移行
    を阻害する薬剤。
  2. 【請求項2】 トポイソメラーゼIIα阻害剤がビスジオ
    キソピペラジン類の誘導体である、請求項1に記載の薬
    剤。
  3. 【請求項3】 ビスジオキソピペラジン類の誘導体がメ
    ソ-2,3-ビス(3,5-ジオキソピペラジン-1-イル)ブタン
    である、請求項2に記載の薬剤。
  4. 【請求項4】 トポイソメラーゼIIα阻害剤を有効成分
    として含有する、初期胚のG1期からS期への移行を阻害
    する薬剤。
  5. 【請求項5】 トポイソメラーゼIIα阻害剤がビスジオ
    キソピペラジン類の誘導体である、請求項4に記載の薬
    剤。
  6. 【請求項6】 ビスジオキソピペラジン類の誘導体がメ
    ソ-2,3-ビス(3,5-ジオキソピペラジン-1-イル)ブタン
    である、請求項5に記載の薬剤。
  7. 【請求項7】 被験試料における、G0期細胞のG0期から
    細胞周期への移行または初期胚のG1期からS期への移行
    を阻害する活性の有無を評価する方法であって、(a)
    トポイソメラーゼIIαに被験試料を接触させる工程、
    (b)該トポイソメラーゼIIαの活性を測定する工程、
    を含み、上記トポイソメラーゼIIαの活性が、被験試料
    を接触させないときに比べ抑制されている場合に、被験
    試料が、G0期細胞のG0期から細胞周期への移行または初
    期胚のG1期からS期への移行を阻害する活性を有すると
    判定される方法。
  8. 【請求項8】 被験試料における、G0期細胞のG0期から
    細胞周期への移行または初期胚のG1期からS期への移行
    を阻害する活性の有無を評価する方法であって、(a)
    トポイソメラーゼIIαをコードする遺伝子のプロモータ
    ―領域の下流にレポーター遺伝子が機能的に結合したDN
    Aを有する細胞または細胞抽出液を提供する工程、
    (b)該細胞または該細胞抽出液に被験試料を接触させ
    る工程、(c)該細胞または該細胞抽出液における該レ
    ポーター遺伝子の発現レベルを測定する工程、を含み、
    上記レポーター遺伝子の発現レベルが、被験試料を接触
    させないときに比べ抑制されている場合に、被験試料
    が、G0期細胞のG0期から細胞周期への移行または初期胚
    のG1期からS期への移行を阻害する活性を有すると判定
    される方法。
  9. 【請求項9】 被験試料における、G0期細胞のG0期から
    細胞周期への移行を阻害する活性の有無を評価する方法
    であって、(a)G0期の細胞に対し、被験試料の接触処
    理および細胞周期への移行処理を行う工程、(b)該細
    胞におけるDNA合成または細胞増殖を測定する工程、を
    含み、上記DNA合成または細胞増殖が、被験試料を接触
    させないときに比べ抑制されている場合に、被験試料
    が、G0期細胞のG0期から細胞周期への移行を阻害する活
    性を有すると判定される方法。
  10. 【請求項10】 被験試料における、初期胚のG1期から
    S期への移行を阻害する活性の有無を評価する方法であ
    って、(a)G1期の初期胚に被験試料を接触させる工
    程、(b)該初期胚におけるDNA合成または細胞増殖を
    測定する工程、を含み、上記DNA合成または細胞増殖
    が、被験試料を接触させないときに比べ抑制されている
    場合に、被験試料が、初期胚のG1期からS期への移行を
    阻害する活性を有すると判定される方法。
  11. 【請求項11】 以下の(a)および(b)の工程を含
    む、G0期細胞のG0期から細胞周期への移行または初期胚
    のG1期からS期への移行を阻害する活性を有する試料の
    スクリーニング方法。 (a)請求項7〜10のいずれかに記載の評価方法によ
    り、複数の被験試料における、G0期細胞のG0期から細胞
    周期への移行または初期胚のG1期からS期への移行を阻
    害する活性の有無を評価する工程 (b)複数の被験試料から、G0期細胞のG0期から細胞周
    期への移行または初期胚のG1期からS期への移行を阻害
    する活性を有すると評価された試料を選択する工程
  12. 【請求項12】 以下の(a)〜(e)の工程を含む、
    G0期細胞のG0期から細胞周期への移行または初期胚のG1
    期からS期への移行を阻害する活性を有する試料のスク
    リーニング方法。 (a)トポイソメラーゼIIαに複数の被験試料を接触さ
    せる工程 (b)該トポイソメラーゼIIαと被験試料との結合を検
    出する工程 (c)該トポイソメラーゼIIαと結合する被験試料を選
    択する工程 (d)請求項7〜10のいずれかに記載の評価方法によ
    り、該トポイソメラーゼIIαと結合する被験試料につい
    て、G0期細胞のG0期から細胞周期への移行または初期胚
    のG1期からS期への移行を阻害する活性の有無を評価す
    る工程 (e)該トポイソメラーゼIIαと結合する被験試料か
    ら、G0期細胞のG0期から細胞周期への移行または初期胚
    のG1期からS期への移行を阻害する活性を有すると評価
    された試料を選択する工程
  13. 【請求項13】 以下の(a)〜(g)の工程を含む、
    請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤が有する細胞増殖
    阻害作用に対し耐性を示す遺伝子であって、常に増殖状
    態にある細胞のG1期からS期への移行に特異的に関与す
    る遺伝子のスクリーニング方法。 (a)G0期から細胞周期への移行処理がなされた細胞に
    おいて発現している遺伝子を検出する工程 (b)G0期から細胞周期への移行処理および請求項1〜
    3のいずれかに記載の薬剤の接触処理がなされた細胞に
    おいて発現している遺伝子を検出する工程 (c)工程(a)で検出された遺伝子と工程(b)で検
    出された遺伝子を比較し、発現量が変化した遺伝子を同
    定する工程 (d)G1期からS期の移行過程の常に増殖状態にある細
    胞において発現している遺伝子を検出する工程 (e)請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤の接触処理
    がなされたG1期からS期の移行過程の常に増殖状態にあ
    る細胞において発現している遺伝子を検出する工程 (f)工程(d)で検出された遺伝子と工程(e)で検
    出された遺伝子を比較し、発現量が変化した遺伝子を同
    定する工程 (g)工程(c)で同定された遺伝子と工程(f)で同
    定された遺伝子を比較し、発現量に差がある遺伝子を選
    択する工程
  14. 【請求項14】 以下の(a)〜(g)の工程を含む、
    請求項4〜6のいずれかに記載の薬剤が有する細胞増殖
    阻害作用に対し耐性を示す遺伝子であって、常に増殖状
    態にある細胞のG1期からS期への移行に特異的に関与す
    る遺伝子のスクリーニング方法。 (a)G1期からS期の移行過程の初期胚において発現し
    ている遺伝子を検出する工程 (b)請求項4〜6のいずれかに記載の薬剤の接触処理
    がなされたG1期からS期の移行過程の初期胚において発
    現している遺伝子を検出する工程 (c)工程(a)で検出された遺伝子と工程(b)で検
    出された遺伝子を比較し、発現量が変化した遺伝子を同
    定する工程 (d)G1期からS期の移行過程の常に増殖状態にある細
    胞において発現している遺伝子を検出する工程 (e)請求項4〜6のいずれかに記載の薬剤の接触処理
    がなされたG1期からS期の移行過程の常に増殖状態にあ
    る細胞において発現している遺伝子を検出する工程 (f)工程(d)で検出された遺伝子と工程(e)で検
    出された遺伝子を比較し、発現量が変化した遺伝子を同
    定する工程 (g)工程(c)で同定された遺伝子と工程(f)で同
    定された遺伝子を比較し、発現量に差がある遺伝子を選
    択する工程
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008099625A (ja) * 2006-10-20 2008-05-01 Olympus Corp 細胞周期解析方法

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