JP2003263221A - 時系列認識装置、時系列認識方法及びプログラム - Google Patents

時系列認識装置、時系列認識方法及びプログラム

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JP2003263221A
JP2003263221A JP2002062494A JP2002062494A JP2003263221A JP 2003263221 A JP2003263221 A JP 2003263221A JP 2002062494 A JP2002062494 A JP 2002062494A JP 2002062494 A JP2002062494 A JP 2002062494A JP 2003263221 A JP2003263221 A JP 2003263221A
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time
series data
skeleton
time series
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English (en)
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Hiromitsu Shimakawa
博光 島川
Rieko Kawada
里恵子 河田
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Mitsubishi Electric Corp
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所定の観測対象の状態遷移を規定する状況ス
ケルトンや状態スケルトンの条件を検索時に変化させる
ことができ、認識すべき時系列データの特徴をどの条件
が最もよく表現しているかを検討することができる時系
列認識装置を提供する。 【解決手段】 時系列データ101を生成・保持する時
系列データベース103と、時系列データ101として
表現される観測対象の時間経過に伴う状態遷移を認識す
る手段109,110と、時系列データ101と所定の
観測対象の状態遷移を規定するスケルトン106,10
7との適合の度合いを示すマッチング度を用いて、時系
列データ101が適合するか否かを判定するメイン・モ
ジュール1と、所定の状態遷移を特定するパラメータ値
を変動させて取得した当該所定の状態遷移に適合する時
系列データ101を、そのパラメータ値ごとに分類する
分類モジュール9とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はプラント設備など
の故障診断、異常監視や運転支援における観測対象の状
態遷移の認識に用いる時系列認識装置、時系列認識方法
及びプログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラント設備の監視制御などにおいて、
時間経過に伴う観測対象の状態遷移を自動的に認識した
い場合がある。例えば、ビール工場において、麦汁がタ
ンク内で時間経過に伴って糖化する際の温度遷移をある
特定のパターンに合わせると、味のよいビールができる
とされている。このため、特定の温度設定操作を行った
後にその効果が発現するまでの時間が厳しく管理されて
いる。また、このような場合、時間経過に伴う観測対象
の状態遷移を認識し、ユーザが指定する遷移に沿ったも
のであったかどうかを判定する必要がある。
【0003】図13は観測対象の時系列データとユーザ
が指定した条件とのマッチングを説明する図であり、
(a)は観測値を縦軸、時間を横軸にとった観測対象の
状態遷移のグラフ図を示し、(b)は(a)中のグラフ
図に実際の時系列データをプロットした図を示し、
(c)は時系列データとユーザが指定した条件とのずれ
を説明する図を示している。図において、Aはユーザが
指定した条件に完全に適合してユーザが理想と考える状
態遷移である。Bは各期間に指定された条件でユーザが
理想と考える状態遷移に適合するとみなされる観測値の
範囲を示している。Bu,Blは、それぞれ観測値範囲
Bの上限、下限を示している。Cは実際に観測された時
系列データである。Qは観測対象の状態遷移の始点に相
当する基準時点である。なお、説明の簡単のために、観
測対象の任意の1の状態の時間経過に伴う遷移を例に挙
げている。
【0004】(a)に示すように、ユーザが理想と考え
る状態遷移Aを、1つ以上の期間(図中、期間1,2,
3)に区切っている。つまり、観測値が理想的な遷移A
に沿っているとみなすかどうかを判定する基準である条
件が各期間ごとに指定される。このとき、(b)に示す
ように、ユーザの理想に沿って状態遷移したものと見な
される観測値の範囲Bを時間軸方向に動かしてできた軌
跡(図中、斜線を付した領域)内に実際の観測値(時系
列データC)が存在するとき、観測対象は理想に沿った
状態遷移をしたものと判定される。即ち、この軌跡は、
理想に沿った状態遷移のパターンに相当する。ここで、
観測値がn個あればn次元の超平面を考える。また、ユ
ーザが指定する条件は上記超平面内の領域となり、それ
が時間軸方向に動いた軌跡がパターンとなる。
【0005】ここで、ユーザがパターンとして指定する
条件があまりに厳しいと、本来は理想的であるとみなさ
れるべき遷移がそうでないものとして判定される。一
方、条件があまりに緩やかなものであれば、観測対象の
多くの状態遷移が理想にかなったものであると誤って判
定されてしまう。
【0006】ビール工場の例で説明すると、上述したよ
うに、味のよいビールを作るためには、麦汁を特定の温
度遷移のパターンで管理する必要がある。また、この温
度も、ユーザが指定する条件に基づく理想値に適合する
ものとみなされる温度範囲を有している。このとき、上
記条件が厳しすぎると理想値に適合するものとみなされ
る温度範囲が狭くなる。このため、本来は味のよいビー
ルを作る温度遷移として扱われるべき観測値の多くが、
上記条件で規定される温度遷移パターンに合致しなくな
る。つまり、(c)に示すように、理想の状態遷移から
のずれとして観測される。逆に、上記条件が緩すぎると
理想値に適合するものとみなされる温度範囲が不要に広
くなる。このため、本来は味の悪いビールができてしま
う温度遷移として扱われるべき観測値の多くが温度遷移
パターンに合致してしまう。
【0007】このように、状態遷移パターンとしては、
理想的な状態遷移として扱われるべき観測値の多くに合
致し、理想的な状態遷移に沿っていない観測値にはでき
る限り合致しないことが望ましい。これには、時間経過
に伴って観測対象が特定の状態遷移をしたかどうかを認
識する手段が必要である。
【0008】従来の時系列データを認識する技術は、例
えば以下のようなものがある。先ず、特開平10−22
2536号公報に開示される「データ検索エンジン」に
適用される時系列データ認識技術が挙げられる。このデ
ータ検索エンジンは、時系列的に発生する事象に関する
時系列データの中から、検索条件に含まれる事象との対
応関係、及び、それら事象が発生する時系列順との対応
関係に応じて、異なる順位が付与された検索解を得るも
のである。具体的には、例えば特定の時系列と同一事象
を同一時系列順で含んでいる時系列データを検索する。
【0009】また、特開平10−134034号公報に
開示される「時系列データの識別方法およびその識別装
置」が挙げられる。これの時系列データ識別手法を簡単
に説明すると、n次元の状態空間内に埋め込まれた時系
列データの任意のデータベクトルの接線方向を検出した
後、その近傍空間内でのデータベクトルの軌道に対する
接線方向を検出する。続いて、検出したデータベクトル
の接線方向が同一方向か否かを判断基準として、理想的
な決定論に基づく時系列データか、異常が加わりランダ
ムノイズが印加された確率過程に基づく時系列データで
あるかを判定する。
【0010】さらに、特開平10−3464号公報に開
示される「プロセス状態認識方法、プロセス状態認識装
置及びデータ蓄積装置並びに学習装置」がある。この技
術では、時系列のサンプル毎に前回値との差分をとり、
上昇、急上昇などの定性表現の並びとして時系列を表現
する。このとき、隣り合った2点で同じ定性表現であれ
ば縮退する。この操作を続けることで、定性表現と期間
の組の連続として時系列が表現される。これを時間的変
化傾向を示す定性表現と呼ぶ。類似した時間的変化傾向
を示す定性表現をまとめて、その付随情報と共にデータ
ベースに登録する。サンプル毎の差分を定性表現に変更
するための判断基準は、人間が教示すれば学習により修
正される。
【0011】上記以外のものとして、Eamonn K
eogh等著、“LocallyAdaptive D
imensionality Reduction f
or Index−ing Large Time S
eries Databases”,Proceedi
ngs of ACM SIGMOD,May,200
1,pp.151−162に開示される単一信号の時系
列データがある。ここでは、特定の時系列を標本とし、
これと類似する時系列をデータベースから検索する。具
体的には、標本となる時系列とデータベース内の実際に
観測された時系列とを複数の期間に区切り、各期間での
平均値を求める。この平均値の差の総和を2つの時系列
間の距離とし、距離が短いものを類似性が高いと判断す
る。
【0012】これらのうち、特開平10−222536
号公報に開示される「データ検索エンジン」では、事象
の発生順序しか考慮されておらず、事象から事象までの
時間経過を扱っていない。他の例においても、時系列デ
ータ内の全ての時点のデータを同等に扱っている。しか
しながら、プロセス制御などにおいて、他よりも状態遷
移が厳しく管理されるような特定の期間が存在するのが
一般的である。
【0013】例えば、食品製造プロセスとして「所定の
原料液体の温度を所定の速度で上昇させてから所定の期
間温度を一定に保ったあと、自然冷却する」という工程
を、図13(a)に示すグラフ図に当てはめて考察す
る。先ず、原料液体の温度をある速度で上昇させる期間
は、図13(a)中の期間1に相当する。この期間1で
は、期間の長さと温度の上昇率が管理される。また、温
度を一定に保つ期間は、図13(a)中の期間2に相当
する。この期間2では、期間の長さと温度が正確に管理
されなければならない。つまり、温度の振れ幅は、ほと
んどあってはならない。最後に、自然冷却する期間は、
図13(a)中の期間3に相当する。この期間3では、
全体として温度が下降傾向にあればよく、常に前回との
温度差が負である必要はない。
【0014】このように、期間ごとに管理されているデ
ータ項目(観測対象の状態量を表現する変数)が異な
り、その条件を満足させるための操作の精度も大幅に異
なる。また、期間の長さ自体に対する制約も異なってい
る。この場合、上述した従来技術では、時系列データ内
の全ての時点のデータを同等に扱うために、期間ごとに
制約を変えることができない。これに対して、例えば特
許第3114273号公報に開示される「時系列計算装
置」などでは、期間ごとに制約を変えて時系列データを
認識する。
【0015】図14は上述した「時系列計算装置」に適
用される従来の時系列認識装置の構成を示す図であり、
図15は時系列データの構成を示す図である。図におい
て、101は時系列データであって、同一の概念定義1
05によって規定される場面データ102を一定期間内
で時間の順序に従って並べたものである。102は場面
データで、ある期間で収集されたある概念定義105で
規定される変数111の集まりから構成される。103
は時系列データ101を格納する時系列データベースで
ある。104はユーザが指定した条件に合致する状態遷
移を行った期間で、当該時系列計算装置による時系列デ
ータ101の認識結果として出力される。105は概念
定義であって、1つの観測対象の状態量を表現する変数
111の型、名前や取り得る値の範囲を規定する。10
6は状況スケルトンで、期間とその期間で満たされるべ
き状態スケルトン107の組の集まりである。107は
状態スケルトンであって、変数111に対する条件の集
まりである。
【0016】108はメイン・モジュールであって、時
系列データベース103から得た時系列データ101が
特定の状態遷移に適合するか否かを判定して適合する時
系列データ101を開始時刻と終了時刻とからなる期間
104のリストとして出力する。109は状況認識モジ
ュールで、状態認識モジュール110の認識結果と状況
スケルトン106を用いて時系列データ101として表
現された観測対象の時間経過に伴う状態遷移を認識す
る。110は状態認識モジュールであって、状態スケル
トン107の集合を用いてある時点若しくは期間の観測
対象の状態が条件に合致するか否かを認識する。111
は観測対象の状態量を表現する変数である。112は時
系列データ101の時間軸である。なお、特許第311
4273号公報では、概念定義105を「概念」、状況
スケルトンを「時系列スケルトン」、状態スケルトンを
「概念スケルトン」と称しているが、同一の内容である
ものとする。
【0017】ここで、各構成要素について説明する。セ
ンサなどを介して観測対象から収集されたデータは、収
集時刻と組にされて時系列データ101として時系列デ
ータベース103に順次蓄えられる。これら時系列デー
タ101を表す変数111の集まりは、コンピュータ内
で対象の状態を表す。概念定義105は、変数111の
型や名前を宣言すると共に、時系列データベース103
内のどのデータがどの変数111に代入されるかを宣言
する。これらをまとめて観測対象への参照名を与えるも
のである。Prog.1にその例を示す。
【0018】 concept tank{ float temperature:=data_000; } concept heater{ float temperature:=data_000; float delta:=data_001; } Prog.1 概念定義
【0019】Prog.1に示した概念定義105にお
いて、観測対象tankは、温度を示す変数111であ
る「temperature」で規定される。この変数
「temperature」は、時系列データベース1
03内のデータ「data_000」に対応する。ま
た、「heater」は、温度を示す変数「tempe
rature」と前回サンプル時点からの温度の差分を
示す変数「delta」で規定され、時系列データベー
ス103内のデータ「data_000」、「data
_001」にそれぞれ関連付けられている。
【0020】観測対象は、時間の流れの中でさまざまな
状態をとる。この時間経過は、時間軸112によってコ
ンピュータ上に表現することができる。ここで、期間p
は、時間軸112上のある点を基準とした開始点oと終
了点eをもつ時間軸112上の区間とする。即ち、p=
(e−o)である。
【0021】また、観測対象が期間pにおいて1つの状
態に留まっているとき、この状態は変数111の値の集
まりI(図15に示す場面データ102内の変数111
の集まりに相当する)によって表現することができる。
この場合、場面データ102をsとすると、期間pと変
数111の集まりIを用いて、pを規定する時間軸と変
数111を規定する軸からなる座標系の座標値としてs
=(p,I)と表現することができる。これは、期間p
における観測対象の状態を表現するものである。ここ
で、期間pにおける開始点oと終了点eが等しいとき
は、pは時点を示すことになる。
【0022】通常、観測対象から収集されたデータは、
収集時点を示す時刻印と組にされて時系列データ101
として時系列データベース103に格納される。時系列
データ101は、ある期間での観測対象の状態遷移をコ
ンピュータ上に表現するものである。また、場面データ
102は、図15に示すように、センサなどによって観
測対象から収集されたデータ(つまり、観測対象の状態
量を表現する変数111の値)の集合と収集時点との組
から構成される。上述したように、時系列データ101
は、ある観測対象の場面データ102を時間順に並べた
連接であり、その中に時間軸112上の基準点を有して
いる。この基準点は、時系列データ101内の全ての場
面データ102の開始点と終了点の基準となっている。
【0023】次に特定の状態遷移を表す時系列データ1
01を認識する際に使用する状態スケルトン107及び
状況スケルトン106について説明する。状態スケルト
ン107は、概念定義105で指定された観測対象の状
態量を表現する変数111の値に対する条件を指定する
ものである。Prog.2にその例を示す。
【0024】 concept skeleton working heater{ temerature>=40.0,<=50.0; delta>=0.0; } concept skeleton hot tank{ temperature>=45.0; } Prog.2 状態スケルトン
【0025】ここで、概念定義105で指定される観測
対象を名詞と考えた場合、状態スケルトン107は、そ
れに対する形容詞の形で指定されるものと考えて良い。
つまり、状態スケルトン107の内容は、観測対象の状
態量を表現する変数111に対する条件の集まりであ
る。この条件とは、変数111の値の範囲であって不等
号を使って表現される。Prog.2において、例えば
概念定義「heater」に対して、その変数111に
対する条件を示した状態スケルトン107は、「wor
king」である。このように、状態スケルトン107
は、名詞heaterに対する形容詞であるかのように
指定される。
【0026】一方、状況スケルトン106は、時間経過
に伴う特定の状態遷移を指定するものである。つまり、
状況スケルトン106は、期間とその期間で満たされる
べき状態スケルトン107の組の並びから構成されるも
のである。Prog.3にその例を示す。
【0027】 situation skeleton ascent{ from(0)to(100) heater is working; at(100) tank is hot; } Prog.3 状況スケルトン
【0028】Prog.3において、昇温中であること
を示す状況スケルトン「ascent」は、「ヒータが
100秒間動作していて(working)、その後タ
ンクが熱く(hot)なる」ことを示している。
【0029】観測対象が状況スケルトン106に指定さ
れた時間経過に伴う状態遷移を行ったかどうかは、状況
スケルトン106と時系列データ101とのマッチング
をとることにより判定することができる。
【0030】次に動作について説明する。図16は図1
4中の時系列認識装置の動作を示すフロー図であり、こ
の図に沿って時系列データの認識動作を詳細に説明す
る。先ず、メイン・モジュール108は、時系列データ
ベース103から時系列データ101を読み出すと、当
該時系列データ101の最初の場面データ102として
現在処理すべき場面データ102を設定する。また、当
該場面データ102の時刻印にマッチング開始時点αを
設定する(ステップST100)。このあと、メイン・
モジュール108は、上記時系列データ101を引数と
して状況認識モジュール109を起動させる。
【0031】状況認識モジュール109では、ユーザが
指定した状況スケルトン106に規定される期間(時
点)ごとに対応する状態スケルトン107を抽出して状
態認識モジュール110に送出する。同時に、状態認識
モジュール110には、状況認識モジュール109を介
してメイン・モジュール108から受け取った時系列デ
ータ101内の各場面データ102が送られる。
【0032】これにより、状態認識モジュール110
は、与えられた場面データ102内の変数111の値が
状態スケルトン107を満たすか否かを判定する。ここ
で、状態スケルトン107を満たすとき、状態認識モジ
ュール110は、その旨を状況認識モジュール109に
通知する。状況認識モジュール109では、状態認識モ
ジュール110からの各時点での通知内容に基づいて、
与えられた時系列データ101が状況スケルトン106
に示される状態遷移を満たしているかどうかを判断す
る。この結果、状況スケルトン106に示される状態遷
移を満たす場合、状況認識モジュール109では、その
遷移を行った期間104をメイン・モジュール108に
送出する。
【0033】ステップST100にて所定のマッチング
開始時点αが設定されると、状況認識モジュール109
は、先ず、状況スケルトン106の時刻0の時点で指定
される状態スケルトン107を抽出し、場面データ10
2と共に状態認識モジュール110に送出する。状態認
識モジュール110では、受け取った場面データ102
に対して時刻0の時点で指定される状態スケルトン10
7を満たすか否かを判定し、判定結果を状況認識モジュ
ール109に通知する。
【0034】例えば、Prog.3の状況スケルトン
「ascent」において、時刻0の時点で指定されて
いる条件は、「heater is workin
g;」である。これにより、与えられた時系列データ1
01の最初の場面データ102から順に走査されてゆ
き、状態スケルトン「working」で指定される条
件「40.0≦temerature≦50.0」、
「delta≦0.0」を満たす場面データ102が判
定・検索されることになる。このようにして検索された
場面データ102の時刻印の値を、新たなマッチング開
始時点αとして一旦固定する(ステップST101)。
【0035】続いて、状況認識モジュール109は、前
ステップにて場面データ102が条件を満足すると判定
された状態スケルトン107が、状況スケルトン106
に指定された最後の時点の状態スケルトン107である
かどうかを判定する(ステップST102)。このと
き、上記最後の時点の状態スケルトン107であると判
定されると、当該状況スケルトン106で規定される期
間の全てにわたって指定された状態スケルトン107を
場面データ102が満足していることになる。つまり、
現在の認識対象としている時系列データ101は、当該
状況スケルトン106に指定された状態遷移をとったこ
とになり、状況スケルトン106とマッチする期間10
4が発見される(ステップST103)。例えば、最後
の状態スケルトン107を満たした場面データ102の
時刻印をεとすると、期間(ε−α)において、観測対
象は状況スケルトン106に指定された状態遷移をとっ
たことになる。
【0036】一方、最後の時点の状態スケルトン107
でなければ、状況認識モジュール109は、ステップS
T101にて一旦固定したマッチング開始時点α以降の
場面データ102が時系列データ101内に存在するか
否かを判定する(ステップST104)。このとき、場
面データ102が存在しないと、状況認識モジュール1
09は、上記マッチング開始時点α以降で処理すべき場
面データ102がないことから、マッチング期間104
を発見できないと判断する(ステップST105)。
【0037】また、上記マッチング開始時点α以降の場
面データ102が存在する場合、状況認識モジュール1
09は、当該場面データ102を現在の処理対象の場面
データ102として設定する(ステップST106)。
このとき、当該場面データ102の時刻印をβとする。
【0038】次に、状況認識モジュール109は、(β
−α)に相当する時刻の条件として状況スケルトン10
6に指定されている状態スケルトン107を抽出して状
態認識モジュール110に送出する。状態認識モジュー
ル110では、当該状態スケルトン107が規定する条
件を、現在の処理対象とされた場面データ102内の変
数111の値が満たすか否かを判定する(ステップST
107)。
【0039】このとき、上記状態スケルトン107が規
定する条件を場面データ102が満足しない場合、即
ち、マッチングに途中で失敗した場合には、ステップS
T101の処理に戻る。ここで、マッチング開始時点α
の次の場面データ102より順に、状況スケルトン10
6の時刻0で指定された状態スケルトン107の条件を
満たす場面データ102を再度検索し、新たなマッチン
グ開始時点の探し直しが行われる。これにより、新たな
マッチング開始時点を基準として、ステップST102
からステップST107までの処理が繰り返される。
【0040】一方、上記状態スケルトン107が規定す
る条件を現在の処理対象の場面データ102が満足する
場合、状況認識モジュール109は、ステップST10
2の処理に戻って、当該状態スケルトン107が、状況
スケルトン106に指定された最後の時点のものである
かどうかを判定する。以降の処理は、上記と同様であ
る。
【0041】
【発明が解決しようとする課題】従来の時系列認識装置
は以上のように構成されているので、観測対象の突発的
な状態変化などによって、ユーザが指定した状況スケル
トン106に当てはまらない場合、マッチングする期間
104は存在しないと判断されてしまうという課題があ
った。
【0042】上記課題を具体的に説明する。図17は従
来の時系列認識装置によるマッチング処理を説明する説
明図であり、縦軸を観測対象が取り得る状態とし横軸を
時間軸とするグラフ図である。図において、SAは状態
スケルトン「working heater」で規定さ
れる状態、SBは状態スケルトン「hot tank」
で規定される状態、SCはSA,SB以外の状態を示し
ている。また、Iはユーザが指定した状況スケルトン1
06において、観測対象の状態量mがSAで規定される
条件に適合すべき期間を示し、IIはユーザが指定した
状況スケルトン106において、観測対象の状態量mが
SBで規定される条件に適合すべき期間を示している。
【0043】図に示すように、観測対象の状態量mがS
Aで規定される条件に適合しなければならない期間Iに
おいて何らかの原因により1度だけでもこの条件を満た
さなかった場合、従来の時系列認識装置ではマッチング
が不成立となる。つまり、期間Iにおける場面データ1
02内の変数111の値のうち1つでもSAで規定され
る条件に適合しない場合、当該場面データ102ついて
のマッチングは不成立と判断され、これの次の場面デー
タ102がマッチング処理の対象とされてしまう。
【0044】また、状況スケルトン106に指定された
期間よりも早く、若しくは、遅くSAの次の状態である
SBに遷移してしまった場合であっても、マッチングの
判断は、期間Iにおける状態スケルトン107で規定さ
れる条件にて行われる。このため、上記と同様の理由か
らマッチングが不成立となる。
【0045】このように従来の時系列認識装置では、観
測対象の状態遷移が、状況スケルトン106で指定した
ものと少しでも異なる場合、直ちにマッチングが不成立
となってしまう。即ち、マッチング処理を寛大に継続す
ることができなかった。
【0046】さらに、従来の時系列認識装置では、その
検索の精度が期間の区切りや各期間ごとに指定された条
件の正確さ、寛大さの度合に依存する。期間の区切り
や、各期間ごとに指定された条件を示す状況スケルトン
106は、認識すべき時系列データ101の特徴を表現
したパターンと考えられる。
【0047】ここで、状況スケルトン106が正確でな
い場合の弊害を考える。多くの過去事例を蓄えた時系列
データベース103から、ユーザが指定した状況スケル
トン106に合う時系列データ101を検索する場合、
その結果は状況スケルトン106の正確さに大きく左右
される。つまり、状況スケルトン106が理想の遷移を
正しく表現していれば、この状況スケルトン106は、
理想に沿った状態遷移の多くに合致し、理想に沿ってい
ない遷移の多くに合致しないことが期待できる。しかし
ながら、条件が厳しすぎる状況スケルトン106では、
本来は理想に沿った状態遷移に適合すると判断されるべ
きものも合致しなくなる。反対に、条件が緩すぎると、
本来は理想に沿っていない状態遷移であるべきものの多
くに合致してしまう。
【0048】状況スケルトン106によって規定される
期間の区切りや、各期間ごと条件、寛大さは、ユーザが
指定する。従って、必ずしも認識すべき時系列データ1
01の特徴を過不足なく表現できているとは言えない場
合がある。そこで、ユーザが指定した状況スケルトン1
06が正しいものであるかを検証したり、過去の事例か
ら条件を洗練する必要がある。例えば、過去の多くの事
例を蓄えた時系列データベース103から状況スケルト
ン106を用いて検索を行い、その結果が理想に沿った
遷移の多くを含んでいるかを調べ、そうでない遷移を含
んでいないかを検査する。もし、状況スケルトン106
が正しく理想の遷移の特性を表現していないのであれ
ば、当該状況スケルトン106内の期間の区切りや、各
期間ごと条件、寛大さを修正して、再度、検索して確か
めるべきである。
【0049】しかしながら、従来の時系列認識装置で
は、状況スケルトン106で規定されている期間の区切
りや条件は固定的で、状況スケルトン106を使った検
索を行うのに、検索時に条件を変化させると言う柔軟な
検索はできなかった。また、各条件と検索結果を関連付
けることにより、どの条件が認識すべき時系列データ1
01の特徴を最もよく表現しているかを検討することも
できなかった。
【0050】この発明は上記のような課題を解決するた
めになされたもので、検索時に状況スケルトンや状態ス
ケルトンに指定される条件を変化させ、各条件と検索結
果を関連付けることで、所定の観測対象の状態遷移を規
定する状況スケルトンや状態スケルトンの条件を検索時
に変化させることができ、認識すべき時系列データの特
徴をどの条件が最もよく表現しているかを検討すること
ができる時系列認識装置、時系列認識方法及びプログラ
ムを得ることを目的とする。
【0051】また、この発明は、状況スケルトンや状態
スケルトンとのマッチングに、検索時に変化させること
ができ、認識すべき時系列データの特徴を最もよく表現
している条件を同定する際に検討の対象となる寛大さを
導入することで、観測対象が期待したものと多少異なる
状態遷移をした場合であっても適合判定処理を寛大に継
続することができる時系列認識装置、時系列認識方法及
びプログラムを得ることを目的とする。
【0052】
【課題を解決するための手段】この発明に係る時系列認
識装置は、観測対象の状態量を収集して、収集時刻とそ
の時刻に収集された観測対象の状態量を表現する変数値
の集まりを時間順に並べた時系列データを生成・保持す
るデータベース化手段と、時系列データとして表現され
る観測対象の時間経過に伴う状態遷移を認識する時系列
認識手段と、時系列データと所定の観測対象の状態遷移
を規定するスケルトン情報との適合の度合いを示すマッ
チング度を記憶するマッチング度記憶手段と、時系列認
識手段が観測対象の状態遷移を認識するにあたり、マッ
チング度を用いてスケルトン情報による所定の状態遷移
に時系列データが適合するか否かを判定する適合性判定
手段と、所定の状態遷移を特定するパラメータ値を変動
させて取得した当該所定の状態遷移に適合する時系列デ
ータを、そのパラメータ値ごとに分類する分類手段とを
備えるものである。
【0053】この発明に係る時系列認識装置は、適合性
判定手段が、スケルトン情報の所定の期間に規定される
条件と時系列データ内の対応する時刻のデータとが適合
しないと、当該期間に規定される条件に対応するマッチ
ング度を減点し、当該マッチング度が所定の閾値未満と
なるとスケルトン情報による所定の状態遷移に時系列デ
ータが適合しないと判定するものである。
【0054】この発明に係る時系列認識装置は、適合性
判定手段が、観測対象の状態量が取り得る数値領域をス
ケルトン情報による所定の状態との適合性に応じた重み
付け係数を付与した領域ごとに分類し、各領域に時系列
データの値が含まれると各領域ごとの重み付け係数をマ
ッチング度に反映させ、当該マッチング度が所定の閾値
未満となるとスケルトン情報による所定の状態遷移に時
系列データが適合しないと判定するものである。
【0055】この発明に係る時系列認識装置は、適合性
判定手段が、重み付け係数が1.0である領域の境界点
と時系列データ値との差を引数とする関数で重み付け係
数を算出するものである。
【0056】この発明に係る時系列認識装置は、適合性
判定手段が、観測対象の状態量が取り得る数値領域をス
ケルトン情報による所定の状態との適合性に応じた重み
付け係数を付与した領域ごとに分類し、重み付け係数が
1.0である領域を特定する状態パラメータを指定され
た実引数に置き換えて、スケルトン情報による所定の状
態遷移に時系列データが適合するか否かを判定するもの
である。
【0057】この発明に係る時系列認識装置は、適合性
判定手段が、観測対象の状態量が取り得る数値領域をス
ケルトン情報による所定の状態との適合性に応じた重み
付け係数を付与した領域ごとに分類し、重み付け係数が
0より大きく、1.0より小さい領域を特定する境界パ
ラメータを指定された実引数に置き換えて、スケルトン
情報による所定の状態遷移に時系列データが適合するか
否かを判定するものである。
【0058】この発明に係る時系列認識装置は、適合性
判定手段が、スケルトン情報内の観測対象の状態が適合
すべき期間の長さを特定する時間パラメータを指定され
た実引数に置き換えて、スケルトン情報による所定の状
態遷移に時系列データが適合するか否かを判定するもの
である。
【0059】この発明に係る時系列認識装置は、適合性
判定手段が、マッチング度と比較する閾値である寛大さ
パラメータを指定された実引数に置き換えて、スケルト
ン情報による所定の状態遷移に時系列データが適合する
か否かを判定するものである。
【0060】この発明に係る時系列認識装置は、分類手
段が所定の状態遷移との適合性に応じて時系列データを
好事例と悪事例とに別個に分類するものである。
【0061】この発明に係る時系列認識装置は、データ
ベース化手段が、観測対象から収集されたデータと当該
観測対象に施された操作を記録したデータとを保持し、
適合性判定手段が、操作が施された時点を基準時点とし
て当該操作の効果が時間経過と共に発現する状況を規定
するスケルトン情報を有し、当該スケルトン情報内の条
件及びマッチング度の閾値を特定するパラメータを指定
された実引数に置き換えて、スケルトン情報による所定
の状態遷移に時系列データが適合するか否かを判定する
ものである。
【0062】この発明に係る時系列認識装置は、観測対
象に施した複数の操作とその効果の系列的な並びを規定
するスケルトン情報群を備えるものである。
【0063】この発明に係る時系列認識方法は、観測対
象の状態量を収集して、収集時刻とその時刻に収集され
た観測対象の状態量を表現する変数値の集まりを時間順
に並べた時系列データを生成してメモリに保持するコン
ピュータ装置の時系列認識方法において、時系列データ
として表現される観測対象の時間経過に伴う状態遷移を
認識する時系列認識ステップと、時系列認識ステップに
て観測対象の状態遷移を認識するにあたり、時系列デー
タと所定の観測対象の状態遷移を規定するスケルトン情
報との適合の度合いを示すマッチング度を用いて、スケ
ルトン情報による所定の状態遷移に時系列データが適合
するか否かを判定する適合性判定ステップと、所定の状
態遷移を特定するパラメータ値を変動させて取得した当
該所定の状態遷移に適合する時系列データを、そのパラ
メータ値ごとに分類する分類ステップとを備えるもので
ある。
【0064】この発明に係るプログラムは、観測対象の
状態量を収集して、収集時刻とその時刻に収集された観
測対象の状態量を表現する変数値の集まりを時間順に並
べた時系列データを生成・保持するデータベース化手
段、時系列データとして表現される観測対象の時間経過
に伴う状態遷移を認識する時系列認識手段、時系列デー
タと所定の観測対象の状態遷移を規定するスケルトン情
報との適合の度合いを示すマッチング度を記憶するマッ
チング度記憶手段、時系列認識手段が観測対象の状態遷
移を認識するにあたり、マッチング度を用いてスケルト
ン情報による所定の状態遷移に時系列データが適合する
か否かを判定する適合性判定手段、所定の状態遷移を特
定するパラメータ値を変動させて取得した当該所定の状
態遷移に適合する時系列データを、そのパラメータ値ご
とに分類する分類手段としてコンピュータを機能させる
ものである。
【0065】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を
説明する。 実施の形態1.図1にこの発明の実施の形態1による時
系列認識装置の構成を示す図である。図において、1は
メイン・モジュール(時系列認識手段、適合性判定手
段)であって、時系列データベース(データベース化手
段)103から読み出した時系列データ101が状態ス
ケルトン(スケルトン情報)107と状況スケルトン
(スケルトン情報)106によって表現される特定の状
態遷移に適合するか否かをマッチング度を使って判定す
る。このマッチング度とは、時間経過に伴う観測対象の
状態遷移を認識している過程における時系列データ10
1と状態スケルトン107及び状況スケルトン106と
の適合の度合いを示すものである。
【0066】2は状況認識モジュール(時系列認識手
段、適合性判定手段)で、時系列データ101として表
現された観測対象の時間経過に伴う状態遷移を状態認識
モジュール3の認識結果と状況スケルトン106を使っ
て認識する。3は状態認識モジュール(時系列認識手
段、適合性判定手段)であって、状態スケルトン107
を使って、ある時点若しくはある期間の観測対象の状態
がいかなるカテゴリに属するかを認識する。4はマッチ
ング度記憶モジュール(マッチング度記憶手段)で、観
測対象の時間経過に伴う状態遷移を認識する過程での時
系列データ101と状態スケルトン107及び状況スケ
ルトン106との適合の度合いを示すマッチング度を記
憶する。
【0067】5は寛大さパラメータであって、マッチン
グ度と比較される閾値をパラメータ化したものである。
6は時間パラメータで、観測対象の状態が適合すべき期
間の長さをパラメータ化したものである。7は状態パラ
メータであって、状態スケルトン107内で指定された
適合領域を示す条件における変数111に対する不等式
の上限値若しくは下限値をパラメータ化したものであ
る。8は境界パラメータで、状態スケルトン107内で
指定された灰色領域を示す条件における灰色領域の幅を
パラメータ化したものである。9は分類モジュール(分
類手段)であって、条件内のパラメータと置き換える実
引数の値に期間104のリストを関連付けてユーザから
指定された実引数の値を変動させ、特定の状態遷移に適
合する時系列データ101を実引数の値ごとに分類す
る。
【0068】メイン・モジュール1、状況認識モジュー
ル2、状態認識モジュール3、マッチング度記憶モジュ
ール4や分類モジュール9は、例えば本発明の時系列認
識装置として機能するコンピュータ装置のCPUなどの
演算手段が実行するプログラムによって具現化される。
また、上記モジュール1〜4,9が使用するマッチング
度や各パラメータ5〜8、スケルトン106,107な
どの情報は、例えば本発明の時系列認識装置として機能
するコンピュータ装置に搭載されるハードディスク装置
や他の外部記憶装置に格納される。なお、図14と同一
構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略す
る。
【0069】図2は実施の形態1の時系列認識装置によ
って検索時に指定されるパラメータを説明する説明図で
あり、図13(a)を例としている。図において、Pa
は状態スケルトン107で規定される所定の条件に対す
るずれの許容すべき範囲を決定するパラメータである。
Pbは状態スケルトン107で規定される所定の条件の
許容すべき範囲を決定するパラメータである。Pcは状
況スケルトン106で規定される条件の期間長を決定す
るパラメータである。Aはユーザが指定した条件に完全
に適合してユーザが理想と考える状態遷移である。
【0070】この実施の形態1による時系列認識装置で
は、観測対象の状態遷移における状態スケルトン107
で規定される所定の条件に対するずれの許容すべき範囲
である寛大さや、状況スケルトン106や状態スケルト
ン107に指定される条件を、パラメータPa,Pb,
Pcなどとして検索時に指定する。例えば、メイン・モ
ジュール1がパラメータPa,Pb,Pcをユーザから
指定された実引数に置き換えた上で、これらによって修
正された条件に適合する時系列データ101を検索しそ
の期間104を出力する。
【0071】ここで、パラメータPaは、図1中の寛大
さパラメータ5などによって具現化することができる。
つまり、マッチング度と比較される閾値をパラメータ化
することで、状態スケルトン107で規定される所定の
条件に対するずれの許容すべき範囲を決定することがで
きる。
【0072】また、パラメータPbは、図1中の状態パ
ラメータ7や境界パラメータ8などで具現化することが
できる。つまり、状態スケルトン107内で指定された
適合領域を示す条件における変数111に対する不等式
の上限値若しくは下限値を状態パラメータ7として指定
することで、状態スケルトン107で規定される所定の
条件の許容すべき範囲を適宜決定することができる。ま
た、境界パラメータ8は、後述するように、状態スケル
トン107内で指定された灰色領域を示す条件における
灰色領域の幅をパラメータ化したものであり、これによ
っても状態スケルトン107で規定される条件自体の許
容すべき範囲を決定することができる。
【0073】さらに、パラメータPcは、図1中の時間
パラメータ6などで具現化することができる。つまり、
状況スケルトン106内で指定された状態スケルトン1
07に、観測対象の状態が適合すべき期間の長さをパラ
メータ化して適宜指定することで、条件の期間長を決定
することができる。
【0074】ここで、状態スケルトン107で規定され
る条件を示す数値のうちパラメータ化できるものは複数
ある可能性があり、いかなるものがパラメータ化された
かを指定する必要がある。例えば、状態パラメータ7は
状態スケルトン107内で以下のように指定される。
【0075】 concept skeleton working heater{ temerature>=highLevel−5.0,<=highLev el+5.0; delta>=gradient; } Prog.4 状態パラメータを持った状態スケルトン
【0076】Prog.4において、状態スケルトン1
07内の変数111の値の範囲を示す不等式の上限値若
しくは下限値は、「highLevel」としてパラメ
ータ化されている。これが状態パラメータ7に相当す
る。
【0077】また、境界パラメータ8は、状態スケルト
ン107内で以下のように指定される。
【0078】 concept skeleton working heater { temerature>=40.0,<=50.0 with border of width; delta>=0.0; } Prog.5 境界パラメータを持った状態スケルトン
【0079】Prog.5において、状態スケルトン1
07内の「with borderof」に続く部分
が、後述する灰色領域の幅を示している。当該部分を数
値でなくパラメータとして扱ったものが境界パラメータ
8である。この例では、「width」が境界パラメー
タ8に相当する。
【0080】さらに、時間パラメータ6は、状態スケル
トン107内で以下のように指定される。
【0081】 situation skeleton ascent{ from(0) to(tp) heater is working; at(tp) tank is hot; } Prog.6 時間パラメータを持った状況スケルトン
【0082】Prog.6において、状況スケルトン1
06内の期間の開始時点若しくは終了時間が「tp」と
してパラメータ化されている。これが時間パラメータ6
に相当する。
【0083】なお、メイン・モジュール1は1つの変数
として閾値を持っているので、他のパラメータのように
寛大さパラメータ5を指定するための特別な記法は必要
ない。
【0084】次に動作について説明する。図3は実施の
形態1による時系列認識装置のパラメータ指定に関する
動作を示すフロー図であり、この図に沿って各パラメー
タを実引数に置き換える処理について説明する。先ず、
メイン・モジュール1は、時系列データ101の認識を
始める前に、ユーザが所望する内容を設定する対象とし
て状態パラメータ7が指定されているか否かを判定する
(ステップST1)。このとき、状態パラメータ7が指
定されていれば、メイン・モジュール1は、その内容を
ユーザが指定する実引数に置き換える(ステップST
2)。
【0085】一方、状態パラメータ7が指定されていな
いか、若しくは、ステップST2の処理の後、メイン・
モジュール1は、ユーザが所望する内容を設定する対象
として境界パラメータ8が指定されているか否かを判定
する(ステップST3)。このとき、境界パラメータ8
が指定されていれば、メイン・モジュール1は、その内
容をユーザが指定する実引数に置き換える(ステップS
T4)。
【0086】また、境界パラメータ8が指定されていな
いか、若しくは、ステップST4の処理の後、メイン・
モジュール1は、ユーザが所望する内容を設定する対象
として時間パラメータ6が指定されているか否かを判定
する(ステップST5)。このとき、時間パラメータ6
が指定されていれば、メイン・モジュール1は、その内
容をユーザが指定する実引数に置き換える(ステップS
T6)。
【0087】一方、時間パラメータ6が指定されていな
いか、若しくは、ステップST6の処理の後、メイン・
モジュール1は、ユーザが所望する内容を設定する対象
として寛大さパラメータ5が指定されているか否かを判
定する(ステップST7)。このとき、寛大さパラメー
タ5が指定されていれば、メイン・モジュール1は、そ
の内容をユーザが指定する実引数に置き換える(ステッ
プST8)。
【0088】寛大さパラメータ5が指定されていない
か、若しくは、ステップST8の処理の後、メイン・モ
ジュール1は、時系列データ101の認識を行う(ステ
ップST9)。このあと、メイン・モジュール1は、認
識結果として観測対象が状況スケルトン106に適合す
る状態遷移を行った期間104が見つかったか否かを判
定する(ステップST10)。ここで、期間104が見
つかれば、メイン・モジュール1は、これを認識結果と
して出力する(ステップST11)。一方、期間104
が見つからなければ、このまま処理を終了する。
【0089】また、図3中のステップST7若しくはス
テップST8に続く処理として時系列データ101から
観測対象が条件にあう状態遷移をした期間を全て見つけ
て出力するアルゴリズムを追加してもよい。図4は実施
の形態1の時系列認識装置による時系列データからマッ
チング期間を全て取り出す処理動作を示すフロー図であ
り、この図に沿って詳細に説明する。先ず、メイン・モ
ジュール1は、認識結果として出力する結果リストを空
に設定する(ステップST1a)。つまり、認識対象の
時系列データ101が常にその先頭の場面データ102
から処理されるように初期化する。
【0090】次に、メイン・モジュール1は、時系列デ
ータベース103から時系列データ101を取り出し
(ステップST2a)、当該時系列データ101の先頭
の場面データ101を認識対象の場面データとして設定
する(ステップST3a)。
【0091】続いて、メイン・モジュール1は、上記時
系列データ101を引数として状況認識モジュール2を
起動させて、時系列データ101の認識処理を行う(ス
テップST4a)。
【0092】このあと、状況認識モジュール2は、状況
スケルトン106や状態スケルトン107で規定される
条件に適合する期間が見つかったか否かを判定する(ス
テップST5a)。このとき、条件に適合する期間が見
つかれば、当該期間は、メイン・モジュール1に通知さ
れて結果リストに追加される(ステップST6a)。ま
た、条件に適合する期間が見つからなければ、処理を終
了する。
【0093】ステップST6aにて、条件に適合する期
間を結果リストに追加すると、メイン・モジュール1
は、前回の認識対象の時系列データ101の先頭の次の
場面データ102を、今回の認識対象とすべき先頭の場
面データとして設定する(ステップST7a)。このあ
と、ステップST4aの処理に戻って改めて時系列デー
タ101の認識処理を行う。このようにすることで、時
系列データ101から観測対象が条件にあう状態遷移を
した期間を全て見つけることができる。
【0094】次に、時系列データ101の認識動作につ
いて説明する。従来方式では、上述したように、時系列
データ101が状況スケルトン107に示された条件を
1つでも満たさなくなったとき、マッチング処理を取り
止める構成であった。これに対して、この実施の形態1
による時系列認識装置では、メイン・モジュール1がマ
ッチング度が予め定められた閾値以上であればマッチン
グ処理を継続し、マッチング度が閾値を下回るとマッチ
ング処理を取り止める。
【0095】このマッチング度の計算には複数の方式が
考えられる。例えば、状況スケルトン106で規定する
各期間で指定された状態スケルトン107に、時系列デ
ータ101内の対応する時刻の場面データ102が適合
しないと、メイン・モジュール1がマッチング度を減点
する。これによって、マッチング度がある閾値を下回れ
ば、マッチングが不成立になると判定する。
【0096】図5は実施の形態1による時系列認識装置
の時系列データ認識動作を示すフロー図であり、この図
に沿って図3中のステップST9や図4中のステップS
T4aの処理を詳細に説明する。先ず、メイン・モジュ
ール1は、時系列データベース103から時系列データ
101を読み出すと、当該時系列データ101の最初の
場面データ102として現在処理すべき場面データ10
2を設定する。また、当該場面データ102の時刻印に
マッチング開始時点αを設定する(ステップST1
b)。このあと、メイン・モジュール1は、上記時系列
データ101を引数として状況認識モジュール2を起動
させる。
【0097】状況認識モジュール2では、ユーザが指定
した状況スケルトン106に規定される期間(時点)ご
とに対応する状態スケルトン107を抽出して状態認識
モジュール3に送出する。同時に、状態認識モジュール
3には、状況認識モジュール2を介してメイン・モジュ
ール1から受け取った時系列データ101内の各場面デ
ータ102が送られる。
【0098】これにより、状態認識モジュール3は、与
えられた場面データ102内の変数111の値が状態ス
ケルトン107を満たすか否かを判定する。ここで、状
態スケルトン107を満たすとき、状態認識モジュール
3は、その旨を状況認識モジュール2に通知する。状況
認識モジュール2では、状態認識モジュール3からの各
時点での通知内容に基づいて、与えられた時系列データ
101が状況スケルトン106に示される状態遷移を満
たしているかどうかを判断する。この結果、状況スケル
トン106に示される状態遷移を満たす場合、状況認識
モジュール2では、その遷移を行った期間104をメイ
ン・モジュール1に送出する。
【0099】ステップST1bにて所定のマッチング開
始時点αが設定されると、状況認識モジュール2は、先
ず、状況スケルトン106の時刻0の時点で指定される
状態スケルトン107を抽出し、場面データ102と共
に状態認識モジュール3に送出する。状態認識モジュー
ル3では、受け取った場面データ102に対して時刻0
の時点で指定される状態スケルトン107を満たすか否
かを判定し、判定結果を状況認識モジュール2に通知す
る。このようにして、状態スケルトン107で指定され
る条件を満たす場面データ102が判定・検索されるこ
とになる。状況認識モジュール2は、検索された場面デ
ータ102の時刻印の値を、新たなマッチング開始時点
αとして一旦固定する(ステップST2b)。
【0100】続いて、状況認識モジュール2は、前ステ
ップにて場面データ102が条件を満足すると判定され
た状態スケルトン107が、状況スケルトン106に指
定された最後の時点の状態スケルトン107であるかど
うかを判定する(ステップST3b)。このとき、上記
最後の時点の状態スケルトン107であると判定される
と、当該状況スケルトン106で規定される期間の全て
にわたって指定された状態スケルトン107を場面デー
タ102が満足していることになる。つまり、現在の認
識対象としている時系列データ101は、当該状況スケ
ルトン106に指定された状態遷移をとったことにな
り、状況スケルトン106とマッチする期間104が発
見される(ステップST4b)。例えば、最後の状態ス
ケルトン107を満たした場面データ102の時刻印を
εとすると、期間(ε−α)において、観測対象は状況
スケルトン106に指定された状態遷移をとったことに
なる。
【0101】一方、最後の時点の状態スケルトン107
でなければ、状況認識モジュール2は、ステップST2
bにて一旦固定したマッチング開始時点α以降の場面デ
ータ102が時系列データ101内に存在するか否かを
判定する(ステップST5b)。このとき、場面データ
102が存在しないと、状況認識モジュール2は、上記
マッチング開始時点α以降で処理すべき場面データ10
2がないことから、マッチング期間104を発見できな
いと判断する(ステップST6b)。
【0102】また、上記マッチング開始時点α以降の場
面データ102が存在する場合、状況認識モジュール2
は、当該場面データ102を現在の処理対象の場面デー
タ102として設定する(ステップST7b)。このと
き、当該場面データ102の時刻印をβとする。
【0103】次に、状況認識モジュール2は、(β−
α)に相当する時刻の条件として状況スケルトン106
に指定されている状態スケルトン107を抽出して状態
認識モジュール3に送出する。状態認識モジュール3で
は、当該状態スケルトン107が規定する条件を、現在
の処理対象とされた場面データ102内の変数111の
値が満たすか否かを判定する(ステップST8b)。
【0104】このとき、上記状態スケルトン107が規
定する条件を場面データ102が満足しない場合、メイ
ン・モジュール1は、マッチング度記憶モジュール4に
記憶されるマッチング度を1だけ減点する(ステップS
T9b)。続いて、メイン・モジュール1は、減点した
マッチング度が、寛大さパラメータ5として指定される
閾値以上であるか否かを判定する(ステップST10
b)。ここで、マッチング度が閾値以上であるならば、
メイン・モジュール1は、状況認識モジュール2に対し
てマッチング処理を続行させる。つまり、ステップST
3bの処理に戻って、当該状態スケルトン107が状況
スケルトン106に指定された最後の時点のものである
かどうかを判定する。以降の処理は、上記と同様であ
る。
【0105】一方、マッチング度が閾値未満であるなら
ば、メイン・モジュール1は、状況認識モジュール2に
対してマッチング処理を取りやめさせ、新たなマッチン
グ開始時点を探索させる。つまり、状況認識モジュール
2は、ステップST2bの処理に戻って、マッチング開
始時点αの次の場面データ102より順に、状況スケル
トン106の時刻0で指定された状態スケルトン107
の条件を満たす場面データ102を再度検索し、新たな
マッチング開始時点の探し直しを行う。
【0106】また、上記動作においてマッチング度の設
定を以下のように行っても良い。先ず、状態スケルトン
107の条件との適合性を特定するために、状態スケル
トン107の条件が取り得る数値範囲を3つの数値領域
に分類する。具体的には、時系列データベース103か
らの場面データ102内の変数111の値が適合すると
マッチング度の減点を行わない適合領域を設ける。ま
た、完全に適合するわけではないが全く適合しないわけ
でもない、つまり、条件の許容範囲の端部に位置するよ
うな数値領域を灰色領域とする。この灰色領域に場面デ
ータ102内の変数111の値が適合する場合、マッチ
ング度が減点される。さらに、全く適合しない条件の許
容範囲外にある数値領域を不適合領域として規定する。
この不適合領域に場面データ102内の変数111の値
が適合すると、メイン・モジュール1によってマッチン
グ度が0に設定される。
【0107】さらに、状態スケルトン107の条件との
適合性に応じて、各領域にマッチング比を付与してマッ
チング度を計算する。ここで、マッチング比としては、
例えば適合領域で1.0、灰色領域で1.0未満の正
数、不適合領域で0.0とする。
【0108】時系列データ101の認識するにあたり、
マッチング度記憶モジュール4に、初期値として1.0
のマッチング度を記憶しておく。メイン・モジュール1
は、図5中のステップST8bからステップST10b
までの動作をするたびに、マッチング度記憶モジュール
4が記憶するマッチング度にマッチング比をかけて新た
なマッチング度を設定する。この間、ステップST10
bにて計算後のマッチング度がある閾値を下回ったと
き、メイン・モジュール1は、マッチングが不成立にな
ると判定する。
【0109】図6は状態スケルトンの条件との適合性を
特定する数値領域を示す図であり、(a)は灰色領域が
ない場合を示し、(b)は灰色領域を含む場合を示して
いる。この図は、観測対象の温度遷移を例としている。
(a)に示すように、灰色領域がない場合、温度45.
0℃を境界として、適合領域と不適合領域に二分され
る。この場合、2つの領域の境界線に位置する温度範囲
は0である。これに対して、(b)に示すように、灰色
領域が存在する場合、適合領域と不適合領域を分かつ境
界線に境界パラメータ8にて指定される温度領域が介在
する。この温度領域は、状態スケルトンの条件に完全に
適合するわけではないが、その許容すべき範囲からは逸
脱しないことを示している。このような適合領域、灰色
領域、不適合領域は、例えばProg.7のように指定
する。
【0110】 concept skeleton hot tank{ temperature>=45.0 with border of 0. 8; } Prog.7 灰色領域を持った状態スケルトン
【0111】Prog.7で、「temperatur
e≧45.0」なる条件が適合領域を表す条件である。
つまり、温度が45.0°C以上の場合、タンクは確率
1.0で「hot」であると見なされる。また、Pro
g.7で、「with border of 0.8」
とあるのは、(b)に示す灰色領域(境界)の幅を示し
ている。具体的には「44.2≦temperatur
e<45.0」が灰色領域の条件である。このように、
灰色領域は、状態スケルトン107ごとに指定すること
ができる。
【0112】図7は期間ごとに異なる灰色領域を設定し
た場合を説明する説明図であり、図13(a)を例とし
ている。上述したように、状態スケルトン107は、状
況スケルトン106の各期間ごとに指定することができ
る。これにより、灰色領域も各期間ごとに指定すること
ができる。図7に示す例では、期間2,3のそれぞれに
灰色領域B2,B3が設定されている。ここで、灰色領
域B2,B3は、場面データ102内の変数111の値
が適合すべき条件に応じて、その幅が決定されている。
なお、Aはユーザが指定した条件に完全に適合してユー
ザが理想と考える状態遷移である。
【0113】例えば、従来の技術で示した「所定の原料
液体の温度を所定の速度で上昇させてから所定の期間温
度を一定に保ったあと、自然冷却する」という食品製造
プロセスに当てはめて考察する。先ず、原料液体の温度
をある速度で上昇させる期間は、(a)中の期間1に相
当する。この期間1では、期間の長さと温度の上昇率が
管理される。つまり、温度に関しては上限値Bu、下限
値Blが灰色領域の幅を決定する因子として設定され
る。
【0114】また、温度を一定に保つ期間は、図13
(a)中の期間2に相当する。この期間2では、期間の
長さと温度が正確に管理されなければならない。つま
り、温度の振れ幅は、ほとんどあってはならない。この
ため、灰色領域B2の幅は狭く設定される。
【0115】最後に、自然冷却する期間は、図13
(a)中の期間3に相当する。この期間3では、全体と
して温度が下降傾向にあればよく、常に前回との温度差
が負である必要はない。よって、灰色領域B3は、他の
期間と比較して広く設定される。
【0116】図8は実施の形態1による時系列認識装置
のマッチング比を用いる時系列データ認識動作を示すフ
ロー図であり、この図に沿って詳細に説明する。先ず、
ステップST1bからステップST7bまでの処理は、
図5と同様である。状況認識モジュール2は、ステップ
ST7bにて現在処理対象の場面データ102の時刻印
がβと設定すると、(β−α)に相当する時刻の条件と
して状況スケルトン106に指定されている状態スケル
トン107を抽出して状態認識モジュール3に送出す
る。状態認識モジュール3では、当該状態スケルトン1
07が規定する条件を、現在の処理対象とされた場面デ
ータ102内の変数111の値が状態スケルトン107
の適合領域、灰色領域、不適合領域のいずれの条件に適
合するかを判定する(ステップST8c)。
【0117】ステップST8cの判定結果に応じて、状
況認識モジュール2は、場面データ102内の変数11
1の値が適合領域に合致する場合、ステップST9c−
1の処理に進んで、適合領域に付与したマッチング比を
抽出し、ステップST10cの処理に進む。また、場面
データ102内の変数111の値が灰色領域に合致する
場合、ステップST9c−2の処理に進んで、灰色領域
に付与したマッチング比を抽出する。さらに、場面デー
タ102内の変数111の値が不適合領域に合致する場
合、ステップST9c−3の処理に進んで、不適合領域
に付与したマッチング比を抽出する。
【0118】ステップST10cにおいて、メイン・モ
ジュール1は、前処理にて抽出されたマッチング比を、
現在処理対象としている状態スケルトン107に対応す
るマッチング度にかける。続いて、メイン・モジュール
1は、減点したマッチング度が、寛大さパラメータ5と
して指定される閾値以上であるか否かを判定する(ステ
ップST11c)。ここで、マッチング度が閾値以上で
あるならば、メイン・モジュール1は、状況認識モジュ
ール2に対してマッチング処理を続行させる。つまり、
ステップST3bの処理に戻って、当該状態スケルトン
107が状況スケルトン106に指定された最後の時点
のものであるかどうかを判定する。以降の処理は、上記
と同様である。
【0119】一方、マッチング度が閾値未満であるなら
ば、メイン・モジュール1は、状況認識モジュール2に
対してマッチング処理を取りやめさせ、新たなマッチン
グ開始時点を探索させる。つまり、状況認識モジュール
2は、ステップST2bの処理に戻って、マッチング開
始時点αの次の場面データ102より順に、状況スケル
トン106の時刻0で指定された状態スケルトン107
の条件を満たす場面データ102を再度検索し、新たな
マッチング開始時点の探し直しを行う。
【0120】なお、上記では、灰色領域のマッチング比
を1.0未満の正数として定数にしている例を示した
が、適合領域からの距離を引数から1.0未満の正数を
返す関数を用いて灰色領域でのマッチング比を計算して
もよい。具体的に説明すると、適合領域を示す条件がx
≦8.0で、灰色領域を示す条件が8.0<x≦8.4
であると仮定する。このとき、x=8.3ならば、適合
領域への距離=8.3−8.0=0.3として、この値
を引数として予め用意した関数を用いてマッチング比を
計算する。例えば、灰色領域に相当する境界線の幅をw
とし、適合領域への距離をdとしたとき、マッチング比
rをr=1.0−(d/w)×0.1として求める。こ
の関数からは0.9以上1.0未満のマッチング比が得
られる。
【0121】次に、図1中の分類モジュール9の動作に
ついて詳細に説明する。上述したように、この実施の形
態1による時系列認識装置は、状態スケルトン107内
の状態パラメータ7や境界パラメータ8、状況スケルト
ン106内の時間パラメータ6、マッチングの寛大さを
指定する寛大さパラメータ5として置き換える実引数の
値を変動させながら、条件に合致する時系列データ10
1を検索する。このようにして得られた検索結果は、分
類モジュール9によって、各パラメータの実引数の値と
それに合致した時系列データ101との関連付けが行わ
れ、これを元にして時系列データ101が分類される。
【0122】分類モジュール9による分類動作は、例え
ば以下のようにして行われる。先ず、状況スケルトン1
06や状態スケルトン107の条件を決定する2つのパ
ラメータx,yを仮定し、これらは「a<=x<=
b」、「c<=y<=d」の範囲で変動するものとす
る。ここで、パラメータxとパラメータyの値を連続値
として考えると、分類すべき実引数の値の組は無限大だ
け存在する。そこで、パラメータxの値の範囲を、
「a,a+θ,a+2θ,a+3θ,・・・,a+(n
−1)θ,b」のようにn個に等分割して(n+1)個
の代表値を設定する。但し、θ=(b−a)/nとす
る。
【0123】また、パラメータyの値についても同様
に、「c,c+λ,c+2λ,c+3λ,・・・,c+
(m−1)λ,d」のようにm個に等分割して(m+
1)個の代表値を設定する。但し、λ=(d−c)/m
とする。これらの代表値を用いてパラメータxとパラメ
ータyの値の組を(n×m)個考える。
【0124】図9は図1中の分類モジュールによる実引
数の値の組と時系列データとの関連付けを説明する説明
図であり、(a)はパラメータx,yによる2次元座標
系に代表値を指定した図を示し、(b)はパラメータ
x,yの代表値に設定する実引数のセル行列を示してい
る。(a)の例が示すように、パラメータx,yを、そ
れぞれn,m個に分割する。これを用いて、パラメータ
xの値を行に当てはめ、パラメータyの値を列に当ては
めると、(b)に示すように、これらに置き換えるべき
実引数の値の組を(n×m)個のセルからなる行列とし
て表現することができる。
【0125】図9に示すように、上記セル行列では、セ
ルごとにパラメータxとパラメータyに置き換える実引
数の組がそれぞれ1つに決定される。また、各組の実引
数を使った場合の状況スケルトン106と状態スケルト
ン107の条件に合致する時系列データ101を検索し
て、これらを各セルに対応づける。これにより、(n×
m)個のセルに、時系列データ101が重複を許して分
類されることとなる。
【0126】ここで、状況スケルトン106と状態スケ
ルトン107の条件に合致する時系列データ101を実
引数のセルの行列に対応づけるにあたり、その条件が厳
しい実引数の値に相当するセルでは、理想の遷移と考え
られる時系列データ101も、そうでない時系列データ
101もあまり対応しない。一方、条件が緩い実引数の
値に相当するセルでは、理想の遷移と考えられる時系列
も、そうでない時系列も多く対応してしまう場合が考え
られる。
【0127】そこで、分類モジュール9は、理想の遷移
と考えられる時系列データ101とそうでない時系列デ
ータ101とを区別するために、理想的な状態遷移であ
る好事例と、そうでない状態遷移である複数の悪事例を
別個に分類する。例えば、分類モジュール9は、各セル
に対して合致する時系列データ101の好事例の数を
c、悪事例の数をeとして、これらの差分を示す値dを
求める。このcは好事例に合致する度合いを示す指標と
なり、eは悪事例に合致する度合いを示す指標となり、
dは好事例に合致し悪事例に合致しない度合いを示す指
標となる。
【0128】図10は図1中の分類モジュールによる実
引数の値の組と時系列データを多次元で整理する処理を
説明する説明図であり、(a)は図13(a)を例とし
て検索時に指定されるパラメータを説明する説明図を示
し、(b)は(a)中の3つのパラメータの代表値に設
定する実引数のセルを3次元空間に表現した図である。
図において、tは状態スケルトン107で規定される所
定の条件に対するずれの許容すべき範囲を決定するパラ
メータである。wは状態スケルトン107で規定される
所定の条件の許容すべき範囲を決定するパラメータであ
る。lは状況スケルトン106で規定される条件の期間
長を決定するパラメータである。Aはユーザが指定した
条件に完全に適合してユーザが理想と考える状態遷移で
ある。
【0129】上述したような処理を行って、この実施の
形態1による時系列認識装置は、上記各パラメータの様
々な値に適宜変更しながら、ユーザが指定した状況スケ
ルトン106に適合する時系列データ101を時系列デ
ータベース103から検索する。例えば、パラメータt
の値を適宜変更して、時系列データ101の状態スケル
トン107の条件に対するずれの許容範囲を変更する。
また、パラメータwの値を適宜変更して、状態スケルト
ン107の条件自体の許容範囲を変更する。さらに、パ
ラメータlの値を適宜変更して状況スケルトン106の
期間長を変更する。
【0130】このように各パラメータ値の組み合わせ適
宜変更することで、ユーザの理想に沿って状態遷移した
ものと見なされる観測値の範囲を時間軸方向に動かして
できた軌跡(図中、斜線を付した領域)を、理想に近い
状態遷移を多く含み、理想に合わない遷移を排除される
領域に絞り込む。この絞り込み期間中に、分類モジュー
ル9は、(b)に示すような3つのパラメータの代表値
に設定する実引数のセルに認識結果として検索された時
系列データ101を逐次関連付けて、時系列データ10
1を実引数の値ごとに分類する。つまり、(b)に示す
各セルの指標c,e,dを組み合わせて、最適なセル、
即ち、実引数の組を求める。例えば、指標cが最大のセ
ルの中で、指標dが最大のものを選ぶなどもできる。
【0131】以上のように、この実施の形態1によれ
ば、検索時に状況スケルトン106や状態スケルトン1
07に指定される条件を変化させて時系列データ101
を認識し、各条件と認識結果を関連付けて時系列データ
101を分類するので、観測対象が期待したものと多少
異なる状態遷移をした場合であっても適合判定処理を寛
大に継続することができる。また、所定の観測対象の状
態遷移を規定する状況スケルトン106や状態スケルト
ン107の条件を検索時に変化させるという柔軟な処理
を実現することができる。さらに、認識すべき時系列デ
ータ101の特徴をどの条件が最もよく表現しているか
を検討することができる。
【0132】例えば、ビール工場の例では、条件が厳し
すぎると味のよいビールの場合の温度遷移のうち多くの
ものがパターンに合致せず、反対に条件が緩すぎると味
の悪いビールの温度遷移の多くがパターンに合致してし
まう。パラメータをさまざまに変動させた検索結果を比
較することにより、理想に沿った遷移の多くに合致し、
理想に沿っていない遷移にはあまり合致しないパターン
を求めることができる。
【0133】実施の形態2.この実施の形態2による時
系列認識装置の基本構成は、上記実施の形態1と同様で
あるが、ある任意の制御操作から時間経過に伴った効果
が発現するまでの観測対象の状態遷移の特徴を示す状況
スケルトンを洗練する点が異なる。
【0134】状況スケルトン106を洗練する処理は、
各パラメータを様々に変化させた状況スケルトン106
を使って、時系列データベース103から検索した過去
の事例を用いて行う。ここで、この実施の形態2の時系
列データベース103には、観測対象から観測されたデ
ータだけでなく、制御操作の有無を操作時刻と共にデー
タとして記録しておく。これは、例えば制御操作があれ
ば1となり、操作がなければ0を示す信号値を観測対象
からのデータに追加することにより実現することができ
る。この他は、上記実施の形態1と全く同じ構成であ
る。
【0135】一般的に、制御操作の効果が発現する状況
は、例えば制御操作を事象発生とみなせば、ある事象が
発生してから、しばらくしてある状態になり、その後一
定時間その状態に留まるといった形で表現される。
【0136】図11はこの発明の実施の形態2による時
系列認識装置の動作を説明する説明図であり、(a)は
状況スケルトンの初期設定処理を示し、(b)は検索時
に対話的にパラメータを指定する処理を示し、(c)は
操作開始から効果発現までの時間を絞り込む処理を示し
ている。図示の例では、例えば食品製造プロセスとして
「所定の原料液体の温度を所定の速度で上昇させてから
所定の期間温度を一定に保ったあと、自然冷却する」と
いう工程を考察する。
【0137】(a)に示す操作点で上記工程が開始され
ると、期間1にて原料液体の温度をある速度で上昇させ
る。この期間1の長さは近似的に設定される。つまり、
ユーザが過去の経験などによって効果が発現するであろ
う挙動を近似した結果から、期間長を推測して設定す
る。また、期間1における温度の上昇率は、全体として
上昇傾向にあれば、毎回の温度変化が必ずしも正である
ことを要さない程度に管理される。また、温度を一定に
保つ期間2では、温度とその変化分、期間長が検査され
る。ここでは、温度の振れがあるかどうか厳しく管理さ
れる。
【0138】(b)に示す操作では、期間1の長さを適
宜変更して、操作開始から効果発現までの時間を絞り込
む。ここで、効果発現までの時間とは、操作開始から期
間2にて一定温度に保たれるような効果が発現するまで
の時間である。具体的な操作としては、当該工程で得ら
れる時系列データ101の認識処理時に、実施の形態2
による時系列認識装置とユーザとの間で対話的に各パラ
メータの値を指定する。例えば、下記のように期間1に
おける状況スケルトン106が初期設定されているもの
とする。
【0139】 situation skeleton heater Effect{ at(0) heater is activated; from(0)to(80) tank is wormed; from(80)to(300) tank is hot; };
【0140】ここで、期間1の長さ(つまり、効果が発
現するまでの期間)を適宜変更する場合、ユーザは、期
間1に係る状況スケルトン「heater Effec
t」の終了点「from(0)to」や「from(8
0)to」に続く部分を適宜変更する。具体的には、効
果が発現する期間の開始点を、下記のようにパラメータ
化する。
【0141】 situation skeleton heater Effect{ at(0) heater is activated; from(0)to(start) tank is wormed; from(start)to(300) tank is hot; };
【0142】このあと、(c)に示す操作において、パ
ラメータ「start」を変動させて効果が発現するま
での期間(期間1の長さ)を変更させながら、時系列デ
ータベース103内のマッチング処理によって条件に適
合する過去事例の検索を繰り返し、最適な結果を与える
効果発現までの期間を絞り込む。これによって、最適な
結果を与える効果発現までの期間を規定する状況スケル
トン106を求めることができ、結果的に状況スケルト
ン106が洗練されることになる。
【0143】以上のように、この実施の形態2によれ
ば、観測対象から観測されたデータと制御操作を記録し
たデータを時系列データベース103に保持しておき、
操作があった時点を基準時点とし、当該操作による時間
経過に伴った効果が発現する状況を規定する状況スケル
トン106を備え、状態スケルトン107や状況スケル
トン106内の条件を変更しながら、時系列データベー
ス103内のマッチング処理によって条件に適合する過
去事例の検索を繰り返し、最適な結果を与える効果発現
までの期間を絞り込むので、ある操作に対する最適な効
果を与える状態スケルトン107や状況スケルトン10
6を提供することができる
【0144】実施の形態3.この実施の形態3による時
系列認識装置の基本構成は、上記実施の形態1と同様で
あるが、1つの操作の効果が時間経過と共に発現する状
況を示した状況スケルトンを操作の発生順に並べ、ある
操作とその効果、前回効果に応じた操作とその効果とい
った具合に操作と効果の系列的な並びを表す状況スケル
トンの並びを備える点が異なる。
【0145】図12はこの発明の実施の形態3による時
系列認識装置の動作を説明する説明図であり、(a)は
温度上昇操作の状況スケルトンによる観測結果を示し、
(b)は冷却操作の状況スケルトンによる観測結果を示
し、(c)は(a)と(b)に示した状況スケルトンの
マッチングを示している。図示の例では、例えば食品製
造プロセスとして「所定の原料液体の温度を所定の速度
で上昇させてから所定の期間温度を一定に保ったあと、
自然冷却する」という工程を考察する。
【0146】先ず、(a)に示すような期間2にて一定
温度を保持する効果を発現する温度上昇操作について、
メイン・モジュール1は、上記実施の形態2に示す処理
を行って洗練された状況スケルトン106を求める。つ
まり、温度上昇操作があった時点を基準時点とし、温度
上昇させる期間1を経て期間2において所望の温度を維
持する条件に実際の観測値(時系列データC)が最も適
合する結果を与える状況スケルトン106を求める。
【0147】次に、(b)に示すような期間3にて自然
冷却する操作について、上記実施の形態2に示す処理を
行って洗練された状況スケルトン106を求める。期間
3にて規定される状況スケルトン106は、期間2の終
了時点を基準時点としてこの期間2に続く事象を規定す
るものである。ここでは、全体として温度が下降傾向に
あればよい。図示の例において、条件の許容範囲である
斜線を付した領域内にある実線部分の結果を与える洗練
された状況スケルトン106を求める。
【0148】続いて、(c)に示すように、(a),
(b)に示す各操作が時間順に発生する一連の操作を、
各操作の開始から時間経過に伴う効果発現までの観測対
象の状態遷移の特徴を示す2つの状況スケルトン106
の並びとして考える。この場合においても、メイン・モ
ジュール1は、上記実施の形態2と同様にして各状況ス
ケルトン106について洗練処理を行って、これらが最
もマッチする2つの状況スケルトン106の並びを求め
る。
【0149】このようにして得られた2つの状況スケル
トン106の並びは、各操作とその効果の時系列的な並
びを表している。このような並びは、例えばオンライン
で収集させるデータに適用して観測対象の管理に利用す
る。
【0150】以上のように、この実施の形態3によれ
ば、メイン・モジュール1が複数の操作と効果の系列的
な並びを表す状況スケルトン106の並びを有するの
で、ある操作と効果の系列的な並びを状況スケルトン1
06の並びで表現して洗練することができる。
【0151】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、観測
対象の状態量を収集して、収集時刻とその時刻に収集さ
れた観測対象の状態量を表現する変数値の集まりを時間
順に並べた時系列データを生成・保持しておき、時系列
データとして表現される観測対象の状態遷移を認識する
にあたり、時系列データと所定の観測対象の状態遷移を
規定するスケルトン情報との適合の度合いを示すマッチ
ング度を用いて、スケルトン情報による所定の状態遷移
に時系列データが適合するか否かを判定し、所定の状態
遷移を特定するパラメータ値を変動させて取得した当該
所定の状態遷移に適合する時系列データを、そのパラメ
ータ値ごとに分類するので、観測対象が期待したものと
多少異なる状態遷移をした場合であっても適合判定処理
を寛大に継続することができるという効果がある。ま
た、所定の観測対象の状態遷移を規定するスケルトン情
報の条件を検索時に変化させるという柔軟な処理を実現
することができるという効果がある。さらに、認識すべ
き時系列データの特徴を最もよく表現している条件を検
討することができるという効果がある。
【0152】この発明によれば、スケルトン情報の所定
の期間に規定される条件と時系列データ内の対応する時
刻のデータとが適合しないと、当該期間に規定される条
件に対応するマッチング度を減点し、当該マッチング度
が所定の閾値未満となるとスケルトン情報による所定の
状態遷移に時系列データが適合しないと判定するので、
観測対象が期待したものと多少異なる状態遷移をした場
合であっても適合判定処理を寛大に継続することができ
るという効果がある。
【0153】この発明によれば、観測対象の状態量が取
り得る数値領域をスケルトン情報による所定の状態との
適合性に応じた重み付け係数を付与した領域ごとに分類
し、各領域に時系列データの値が含まれると各領域ごと
の重み付け係数をマッチング度に反映させ、当該マッチ
ング度が所定の閾値未満となるとスケルトン情報による
所定の状態遷移に時系列データが適合しないと判定する
ので、観測対象が期待したものと多少異なる状態遷移を
した場合であっても適合判定処理を寛大に継続すること
ができるという効果がある。
【0154】この発明によれば、重み付け係数が1.0
である領域の境界点と時系列データ値との差を引数とす
る関数で重み付け係数を算出するので、簡易な演算で重
み付け係数を求めることができるという効果がある。
【0155】この発明によれば、観測対象の状態量が取
り得る数値領域をスケルトン情報による所定の状態との
適合性に応じた重み付け係数を付与した領域ごとに分類
し、重み付け係数が1.0である領域を特定する状態パ
ラメータを指定された実引数に置き換えて、スケルトン
情報による所定の状態遷移に時系列データが適合するか
否かを判定するので、所定の観測対象の状態遷移を規定
するスケルトン情報の条件を検索時に変化させることが
できるという効果がある。
【0156】この発明によれば、観測対象の状態量が取
り得る数値領域をスケルトン情報による所定の状態との
適合性に応じた重み付け係数を付与した領域ごとに分類
し、重み付け係数が0より大きく、1.0より小さい領
域を特定する境界パラメータを指定された実引数に置き
換えて、スケルトン情報による所定の状態遷移に時系列
データが適合するか否かを判定するので、所定の観測対
象の状態遷移を規定するスケルトン情報の条件を検索時
に変化させることができるという効果がある。
【0157】この発明によれば、スケルトン情報内の観
測対象の状態が適合すべき期間の長さを特定する時間パ
ラメータを指定された実引数に置き換えて、スケルトン
情報による所定の状態遷移に時系列データが適合するか
否かを判定するので、所定の観測対象の状態遷移を規定
するスケルトン情報の条件を検索時に変化させることが
できるという効果がある。
【0158】この発明によれば、マッチング度と比較す
る閾値である寛大さパラメータを指定された実引数に置
き換えて、スケルトン情報による所定の状態遷移に時系
列データが適合するか否かを判定するので、所定の観測
対象の状態遷移を規定するスケルトン情報の条件を検索
時に変化させることができるという効果がある。
【0159】この発明によれば、所定の状態遷移との適
合性に応じて時系列データを好事例と悪事例とに別個に
分類するので、認識すべき時系列データの特徴を最もよ
く表現している条件を検討することができるという効果
がある。
【0160】この発明によれば、観測対象から収集され
たデータと当該観測対象に施された操作を記録したデー
タとを保持し、操作が施された時点を基準時点として当
該操作の効果が時間経過と共に発現する状況を規定する
スケルトン情報内の条件及びマッチング度の閾値を特定
するパラメータを指定された実引数に置き換えて、スケ
ルトン情報による所定の状態遷移に時系列データが適合
するか否かを判定するので、ある操作に対する最適な効
果を与えるスケルトン情報を提供することができるとい
う効果がある。
【0161】この発明によれば、観測対象に施した複数
の操作とその効果の系列的な並びを規定するスケルトン
情報群を備えるので、ある操作と効果の系列的な並びを
スケルトン情報群で表現して洗練することができるとい
う効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による時系列認識装
置の構成を示す図である。
【図2】 実施の形態1の時系列認識装置によって検索
時に指定されるパラメータを説明する説明図である。
【図3】 実施の形態1による時系列認識装置のパラメ
ータ指定に関する動作を示すフロー図である。
【図4】 実施の形態1の時系列認識装置による時系列
データからマッチング期間を全て取り出す処理動作を示
すフロー図である。
【図5】 実施の形態1による時系列認識装置の時系列
データ認識動作を示すフロー図である。
【図6】 状態スケルトンの条件との適合性を特定する
数値領域を示す図である。
【図7】 期間ごとに異なる灰色領域を設定した場合を
説明する説明図である。
【図8】 実施の形態1による時系列認識装置のマッチ
ング比を用いる時系列データ認識動作を示すフロー図で
ある。
【図9】 図1中の分類モジュールによる実引数の値の
組と時系列データとの関連付けを説明する説明図であ
る。
【図10】 図1中の分類モジュールによる実引数の値
の組と時系列データを多次元で整理する処理を説明する
説明図である。
【図11】 この発明の実施の形態2による時系列認識
装置の動作を説明する説明図である。
【図12】 この発明の実施の形態3による時系列認識
装置の動作を説明する説明図である。
【図13】 観測対象の時系列データとユーザが指定し
た条件とのマッチングを説明する図である。
【図14】 従来の時系列認識装置の構成を示す図であ
る。
【図15】 時系列データの構成を示す図である。
【図16】 図14中の時系列認識装置の動作を示すフ
ロー図である。
【図17】 従来の時系列認識装置によるマッチング処
理を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 メイン・モジュール(時系列認識手段、適合性判定
手段)、2 状況認識モジュール(時系列認識手段、適
合性判定手段)、3 状態認識モジュール(時系列認識
手段、適合性判定手段)、4 マッチング度記憶モジュ
ール(マッチング度記憶手段)、5 寛大さパラメー
タ、6 時間パラメータ、7 状態パラメータ、8 境
界パラメータ、9 分類モジュール(分類手段)、10
1 時系列データ、102 場面データ、103 時系
列データベース(データベース化手段)、106 状況
スケルトン(スケルトン情報)、107 状態スケルト
ン(スケルトン情報)、111 変数。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2F070 AA20 CC03 CC06 CC11 GG07 2F076 BA14 BA17 BD07 BE08 5H223 AA01 BB01 DD03 EE06 FF01

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 観測対象の状態量を収集して、収集時刻
    とその時刻に収集された上記観測対象の状態量を表現す
    る変数値の集まりを時間順に並べた時系列データを生成
    ・保持するデータベース化手段と、 上記時系列データとして表現される観測対象の時間経過
    に伴う状態遷移を認識する時系列認識手段と、 上記時系列データと所定の観測対象の状態遷移を規定す
    るスケルトン情報との適合の度合いを示すマッチング度
    を記憶するマッチング度記憶手段と、 上記時系列認識手段が観測対象の状態遷移を認識するに
    あたり、上記マッチング度を用いて上記スケルトン情報
    による所定の状態遷移に上記時系列データが適合するか
    否かを判定する適合性判定手段と、 上記所定の状態遷移を特定するパラメータ値を変動させ
    て取得した当該所定の状態遷移に適合する時系列データ
    を、そのパラメータ値ごとに分類する分類手段とを備え
    た時系列認識装置。
  2. 【請求項2】 適合性判定手段は、スケルトン情報の所
    定の期間に規定される条件と時系列データ内の対応する
    時刻のデータとが適合しないと、当該期間に規定される
    条件に対応するマッチング度を減点し、当該マッチング
    度が所定の閾値未満となると上記スケルトン情報による
    所定の状態遷移に上記時系列データが適合しないと判定
    することを特徴とする請求項1項記載の時系列認識装
    置。
  3. 【請求項3】 適合性判定手段は、観測対象の状態量が
    取り得る数値領域をスケルトン情報による所定の状態と
    の適合性に応じた重み付け係数を付与した領域ごとに分
    類し、上記各領域に時系列データの値が含まれると各領
    域ごとの重み付け係数をマッチング度に反映させ、当該
    マッチング度が所定の閾値未満となると上記スケルトン
    情報による所定の状態遷移に上記時系列データが適合し
    ないと判定することを特徴とする請求項1記載の時系列
    認識装置。
  4. 【請求項4】 適合性判定手段は、重み付け係数が1.
    0である領域の境界点と時系列データ値との差を引数と
    する関数で重み付け係数を算出することを特徴とする請
    求項3記載の時系列認識装置。
  5. 【請求項5】 適合性判定手段は、観測対象の状態量が
    取り得る数値領域をスケルトン情報による所定の状態と
    の適合性に応じた重み付け係数を付与した領域ごとに分
    類し、上記重み付け係数が1.0である領域を特定する
    状態パラメータを指定された実引数に置き換えて、上記
    スケルトン情報による所定の状態遷移に上記時系列デー
    タが適合するか否かを判定することを特徴とする請求項
    1記載の時系列認識装置。
  6. 【請求項6】 適合性判定手段は、観測対象の状態量が
    取り得る数値領域をスケルトン情報による所定の状態と
    の適合性に応じた重み付け係数を付与した領域ごとに分
    類し、上記重み付け係数が0より大きく、1.0より小
    さい領域を特定する境界パラメータを指定された実引数
    に置き換えて、上記スケルトン情報による所定の状態遷
    移に上記時系列データが適合するか否かを判定すること
    を特徴とする請求項1記載の時系列認識装置。
  7. 【請求項7】 適合性判定手段は、スケルトン情報内の
    観測対象の状態が適合すべき期間の長さを特定する時間
    パラメータを指定された実引数に置き換えて、上記スケ
    ルトン情報による所定の状態遷移に時系列データが適合
    するか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の
    時系列認識装置。
  8. 【請求項8】 適合性判定手段は、マッチング度と比較
    する閾値である寛大さパラメータを指定された実引数に
    置き換えて、スケルトン情報による所定の状態遷移に上
    記時系列データが適合するか否かを判定することを特徴
    とする請求項1記載の時系列認識装置。
  9. 【請求項9】 分類手段は、所定の状態遷移との適合性
    に応じて時系列データを好事例と悪事例とに別個に分類
    することを特徴とする請求項1記載の時系列認識装置。
  10. 【請求項10】 データベース化手段は、観測対象から
    収集されたデータと当該観測対象に施された操作を記録
    したデータとを保持し、 適合性判定手段は、上記操作が施された時点を基準時点
    として当該操作の効果が時間経過と共に発現する状況を
    規定するスケルトン情報を有し、当該スケルトン情報内
    の条件及びマッチング度の閾値を特定するパラメータを
    指定された実引数に置き換えて、上記スケルトン情報に
    よる所定の状態遷移に時系列データが適合するか否かを
    判定することを特徴とする請求項1記載の時系列認識装
    置。
  11. 【請求項11】 観測対象に施した複数の操作とその効
    果の系列的な並びを規定するスケルトン情報群を備えた
    ことを特徴とする請求項1記載の時系列認識装置。
  12. 【請求項12】 観測対象の状態量を収集して、収集時
    刻とその時刻に収集された上記観測対象の状態量を表現
    する変数値の集まりを時間順に並べた時系列データを生
    成してメモリに保持するコンピュータ装置の時系列認識
    方法において、 上記時系列データとして表現される観測対象の時間経過
    に伴う状態遷移を認識する時系列認識ステップと、 上記時系列認識ステップにて観測対象の状態遷移を認識
    するにあたり、上記時系列データと所定の観測対象の状
    態遷移を規定するスケルトン情報との適合の度合いを示
    すマッチング度を用いて、上記スケルトン情報による所
    定の状態遷移に上記時系列データが適合するか否かを判
    定する適合性判定ステップと、 上記所定の状態遷移を特定するパラメータ値を変動させ
    て取得した当該所定の状態遷移に適合する時系列データ
    を、そのパラメータ値ごとに分類する分類ステップとを
    備えたことを特徴とする時系列認識方法。
  13. 【請求項13】 観測対象の状態量を収集して、収集時
    刻とその時刻に収集された上記観測対象の状態量を表現
    する変数値の集まりを時間順に並べた時系列データを生
    成・保持するデータベース化手段、 上記時系列データとして表現される観測対象の時間経過
    に伴う状態遷移を認識する時系列認識手段、 上記時系列データと所定の観測対象の状態遷移を規定す
    るスケルトン情報との適合の度合いを示すマッチング度
    を記憶するマッチング度記憶手段、 上記時系列認識手段が観測対象の状態遷移を認識するに
    あたり、上記マッチング度を用いて上記スケルトン情報
    による所定の状態遷移に上記時系列データが適合するか
    否かを判定する適合性判定手段、 上記所定の状態遷移を特定するパラメータ値を変動させ
    て取得した当該所定の状態遷移に適合する時系列データ
    を、そのパラメータ値ごとに分類する分類手段としてコ
    ンピュータを機能させるプログラム。
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