JP2003249669A - 有機光電変換素子 - Google Patents

有機光電変換素子

Info

Publication number
JP2003249669A
JP2003249669A JP2002048067A JP2002048067A JP2003249669A JP 2003249669 A JP2003249669 A JP 2003249669A JP 2002048067 A JP2002048067 A JP 2002048067A JP 2002048067 A JP2002048067 A JP 2002048067A JP 2003249669 A JP2003249669 A JP 2003249669A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
thin film
acid group
metal complex
carbon atoms
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002048067A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinji Kato
愼治 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kawamura Institute of Chemical Research
Original Assignee
Kawamura Institute of Chemical Research
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawamura Institute of Chemical Research filed Critical Kawamura Institute of Chemical Research
Priority to JP2002048067A priority Critical patent/JP2003249669A/ja
Publication of JP2003249669A publication Critical patent/JP2003249669A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/549Organic PV cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた光電変換率を有する有機光
電変換素子を提供する。 【解決手段】 本発明は電極上に金属錯体薄膜を
有する有機光電変換素子であって、前記金属錯体薄膜
が、ホスホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基を有する炭
素原子数1〜6のアルキル基及びリン酸基を有する炭素
原子数1〜6のアルキル基からなる群から選ばれる置換
基を有する環式化合物を配位子として1分子中に2〜6
個配位してなる金属錯体と周期律表の4A族に属する金
属の酸化物とが化学結合したものであることを特徴とす
る有機光電変換素子を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属錯体薄膜を有
する有機光電変換素子に関する。更に詳しくは、化学セ
ンサ及びバイオセンサ等のセンサ技術の分野に利用でき
る有機光電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からビピリジン、フェナントロリン
又はターピリジンの如きピリジン骨格を含む配位子を有
する金属錯体は、高い化学的安定性、多様な酸化還元挙
動、長寿命励起状態の生成及び発光機能等の興味深い性
質を有する化合物群として知られている。このためピリ
ジン骨格を含む配位子を有する金属錯体からなる薄膜に
ついて触媒、センサ技術、エレクトロオプティック技術
など多方面で活発に応用研究が展開されている。特に近
年、膜厚がナノメートルオーダーで制御された、該金属
錯体を含む薄膜を有する電極の製造が盛んに研究されて
おり、それら金属錯体薄膜を有する電極の有機光電変換
素子への応用が注目されている。
【0003】例えば、ピリジン骨格を含む配位子を有す
る金属錯体を用いた薄膜を有する有機光電変換素子とし
て、金属錯体を構成する配位子に両親媒性を付与しラン
グミュア−ブロジェット(LB)法により電極上に積層
した金属錯体薄膜を有する有機光電変換素子が知られて
いる(特開平5−102507号公報)。しかしLB法
により得られた金属錯体薄膜は、長鎖アルキル基などの
大きな疎水性部位を有するため薄膜中での金属錯体の密
度は比較的低く、そのため光電変換率に劣ること、さら
には積層させた場合に多層分子膜の各層が物理吸着に基
づくため機械的強度が低かった。
【0004】また化学吸着可能な置換基を有するピリジ
ン骨格を含む配位子を有する金属錯体を用いて、電極上
に該金属錯体を化学結合させ単分子膜を形成させた有機
光電変換素子が知られている[シン・ソリッド・フィル
ムズ 第350巻、223−227頁、1999年
(Thin Solid Films Vol.35
0,P.223−227, 1999)]。しかし、こ
の方法で作製した有機光電変換素子は構成する金属錯体
薄膜は単分子膜であるため、光電変換率が50nA・c
−2程度と低く電流発生量も低かった。また、電子受
容性単位を金属錯体分子中に導入して電流発生量を向上
させる試みもなされているが、その場合も光電変換率は
400nA・cm−2程度と低く電流発生量も低いばか
りか、そのような分子の合成も非常に困難であった。
【0005】一方、本発明者らは、ホスホン酸基又はリ
ン酸基を有するピリジン骨格を含む配位子を構成要素と
した金属錯体と周期律表の4A族に属する金属の酸化物
とが化学結合した金属錯体薄膜を基材上に形成した多層
分子膜を発光素子として用いることを見出していた(特
開2001−226146号公報)。しかし、該基材が
有機光電変換素子として効果を有するか明らかにされて
いなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は優れた光電変換率を有する有機光電変換素子
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決する為に鋭意研究した結果、ホスホン酸基、リン酸
基を分子中に有する環式化合物を配位子として有する金
属錯体において、周期律表の4A族に属する金属を介し
て電極上に多層分子膜を形成させて得られる金属錯体薄
膜を用いることによって、多孔質の半導体層を必要とせ
ず、優れた機械的強度と光電変換率を呈する有機光電変
換素子が得られることを見出し、また、該金属錯体薄膜
にさらに電子受容性薄膜を化学結合により積層させるこ
とによってさらに優れた光電変換率を有する有機光電変
換素子が得られることを見出し本発明を完成するに至っ
た。
【0008】即ち、本発明は電極上に金属錯体薄膜を有
する有機光電変換素子であって、前記金属錯体薄膜が、
ホスホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基を有する炭素原
子数1〜6のアルキル基及びリン酸基を有する炭素原子
数1〜6のアルキル基からなる群から選ばれる置換基を
有する環式化合物を配位子として1分子中に2〜6個配
位してなる金属錯体と周期律表の4A族に属する金属の
酸化物とが化学結合したものであることを特徴とする有
機光電変換素子を提供するものである。
【0009】また、本発明は電極上に金属錯体薄膜及び
電子受容性薄膜を有する有機光電変換素子であって、前
記金属錯体薄膜が、ホスホン酸基、リン酸基、ホスホン
酸基を有する炭素原子数1〜6のアルキル基、及びリン
酸基を有する炭素原子数1〜6のアルキル基からなる群
から選ばれる置換基を有する環式化合物を配位子として
1分子中に2〜6個配位してなる金属錯体からなり、前
記電子受容性薄膜が、ホスホン酸基、リン酸基、ホスホ
ン酸基を有する炭素原子数1〜6のアルキル基からなる
群から選ばれる置換基及びリン酸基を有する炭素原子数
1〜6のアルキル基からなる群から選ばれる置換基を有
し、可逆的酸化還元サイクルを示し、かつ−0.2〜−
1ボルトの酸化還元電位を示す化合物からなり、かつ前
記金属錯体薄膜と前記電子受容性薄膜とが周期律表の4
A族に属する金属の酸化物により化学結合したものであ
ることを特徴とする有機光電変換素子を提供するもので
ある。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の有機光電変換素子は公知
慣用の構成であれば特に限定されないが、金属錯体薄膜
を有する電極を作用極とし、対極である白金電極及び適
切な参照極とともに電解液に接触させた3極湿式系の光
電気化学的素子を構成するものが好ましく挙げられる。
図1に、ポテンシオスタットに接続された状態の有機光
電変換素子の構成図を示す。
【0011】図1に示した有機光電変換素子は、金属錯
体が光増感剤として作用し、光吸収により生じた励起電
子が、作用極に用いる電極材料のフェルミ準位へ移動す
ることによる電荷分離状態の生成に基づき電流が発生す
るものである。
【0012】本発明で使用する金属錯体薄膜は、ホスホ
ン酸基、リン酸基、ホスホン酸基を有する炭素原子数1
〜6のアルキル基及びリン酸基を有する炭素原子数1〜
6のアルキル基からなる群から選ばれる置換基を有する
環式化合物を配位子として1分子中に2〜6個配位して
なる金属錯体と、周期律表の4A族に属する金属の酸化
物とを化学結合させることによって形成したものであ
る。該金属錯体薄膜の膜厚は特に制限されるものではな
いが、優れた光電変換率を達成するためには膜厚5〜6
0nmであることが好ましい。
【0013】本発明に使用する金属錯体は、ホスホン酸
基、リン酸基、ホスホン酸基を有する炭素原子数1〜6
のアルキル基及びリン酸基を有する炭素原子数1〜6の
アルキル基からなる群から選ばれる置換基(以下、「P
構造を有する置換基」と称することがある)を
有する環式化合物を配位子として1分子中に2〜6個配
位してなるものであれば、特に制限なく用いることがで
きる。
【0014】当該金属錯体を構成する配位子は、PO
構造を有する置換基を有する環式化合物の1種また
は複数から構成されていてもよく、PO構造を有
する置換基を有する環式化合物とPO構造を有す
る置換基を有しない配位子との組合せで構成されていて
もよい。電極上に金属錯体薄膜を効率よく作製するため
に、金属錯体を構成する配位子は、全体として金属錯体
1分子中にPO構造を有する置換基が2〜6個、
好ましくは3〜6個存在するように選択すれば良い。
【0015】PO構造を有する置換基を有する環
式化合物としては、PO構造を有する置換基を省
略して例示するならば、ピリジン、キノリン、イソキノ
リン、アクリジン、2,2’−ビピリジン、1,10−
フェナントロリン、2,2’:6’,2”−ターピリジ
ン、2,2’−ビキノリン、8−ヒドロキシキノリン、
2−フェニルピリジン、6−フェニル−2,2’−ビピ
リジン、1,3−ジピリドベンゼンの如きピリジン骨格
を有する環式化合物等が挙げられる。
【0016】1つの環式化合物中に含まれるPO
構造を有する置換基はその数及びその置換位置に特に制
限はないが、金属錯体を形成した場合に金属に対して放
射状となる位置にPO構造を有する置換基を置換
させることが、金属錯体が多層分子膜を形成しやすいた
め好ましい。そのような環式化合物としては、例えば、
3位及び5位にPO構造を有する置換基を有する
ピリジン、4位及び4’位にPO構造を有する置
換基を有する2,2’−ビピリジン、4位及び7位にP
構造を有する置換基を有する1,10−フェナ
ントロリン、4位、4’位及び4”位にPO構造
を有する置換基を有する2,2’:6’,2”−ターピ
リジン、4位及び5位にPO構造を有する置換基
を有する8−ヒドロキシキノリンの如きピリジン骨格を
有する配位子等が挙げられる。PO構造を有する
置換基を有する配位子は、PO構造を有する置換
基以外の置換基を、同一の配位子中に有していてもよ
く、その導入位置、数及び電荷の有無に制限はない。
【0017】PO構造を有する置換基を有する環
式化合物からなる配位子を金属錯体1分子中に2個以上
含む場合、それらの配位子は同一であっても異なる配位
子であってもよい。また、金属錯体は1分子中にPO
構造を有する置換基の数が2〜6となるように配位
子を選択すれば、PO構造を有する置換基を有し
ない配位子を有していても良い。
【0018】PO構造を有する置換基を有しない
配位子は、使用する金属に錯化できるものであれば単座
配位子、多座配位子のいずれのものでもよく、また、そ
れらを含む架橋配位子であってもよい。そのような単座
配位子又は多座配位子として具体的には、ピリジン、キ
ノリン、イソキノリン、アクリジン、2,2’−ビピリ
ジン、1,10−フェナントロリン、2,2’:6’,
2”−ターピリジン、2,2’−ビキノリン、
【0019】8−ヒドロキシキノリン、2−フェニルピ
リジン、6−フェニル−2,2’−ビピリジン、1,3
−ジピリドベンゼンの如きピリジン骨格を有する配位子
や、トリフェニルホスフィンや、1,3−ジフェニルア
セチルアセトンなどが挙げられる。架橋配位子を用いる
場合は、金属錯体は2個以上の金属を含む複核の錯体と
なり、具体的にはニトリルアニオン、4,4’−ビピリ
ジン、1,4−ピラジン、4,4’−スチルバゾ−ル、
2,2’−ビピリミジン、1,2−ビス(ジフェニルホ
スフィノ)エタン又は1,3−ビス(ジフェニルホスフ
ィノ)プロパン等や、単座配位子または多座配位子を適
当な連結基で結合したものなどが挙げられる。
【0020】配位子に含まれるPO構造を有する
置換基のうち、ホスホン酸基を有するアルキル基の炭素
原子数及びリン酸基を有するアルキル基の炭素原子数は
1〜6個が適当であり、金属錯体薄膜の作製効率を高め
るため1〜4個が好ましい。また、PO構造を有
する置換基を含む配位子の中でも、形成する金属錯体薄
膜の化学結合の安定性という観点からホスホン酸基を有
する配位子が好ましい。
【0021】金属錯体を構成する中心金属は、使用する
配位子と錯体を形成できるものであれば特に制限はな
い。金属錯体を構成する中心金属としては具体的にはル
テニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、オスミウ
ム、イリジウム又は白金が好ましく、ルテニウムが特に
好ましい。また、金属錯体1分子中に含まれる中心金属
の数は、金属錯体の合成の容易さから4個以下が好まし
く、2個以下が特に好ましい。
【0022】金属錯体の電荷は金属の価数と配位子の電
荷の合計によって決定されるが、本発明で使用する金属
錯体の中心金属は、その価数に制限されることなく使用
することができる。なお、金属錯体が電荷を有する場合
は対イオンの存在が必要であるが、その種類及び価数に
特に制限はない。ただし、多くの場合、対イオンの種類
により金属錯体の溶解性が大きく変化するため、溶解性
を制御するためには対イオンの選択が必要となる。例え
ば、過塩素酸アニオン、ヘキサフルオロホスフェートア
ニオン、又はテトラフルオロボレートアニオンを選択し
た場合には金属錯体の脂溶性が増加し、一方、塩化物ア
ニオン又は臭化物アニオンを選択した場合には親水性が
増加する。
【0023】本発明で使用する周期律表の4A族に属す
る金属の酸化物の種類は、ハフニウム又はジルコニウム
の酸化物であれば特に制限はないが、金属錯体薄膜の作
製の容易さからオキシ塩化ジルコニウム、オキシ塩化ハ
フニウム又はジルコニウム2,4−ペンタンジオネート
が好ましく挙げられ、特にオキシ塩化ジルコニウムが好
ましく挙げられる。一般に、周期律表の4A族に属する
金属は、ホスホン酸基又はリン酸基と共有結合性が大き
く、且つ、安定な双極性の結合を形成することが知られ
ている[アカウンツ・オブ・ケミカル・リサ−チ 第2
5巻、420〜427頁、1992年 (Acc. C
hem. Res. Vol.25,P.420−42
7, 1992)及びケミストリー・オブ・マテリアル
ズ第6巻、2227〜2232頁、1994年 (Ch
em. Mater. Vol.6, P.2227〜
2232, 1994)]。このため、周期律表の4A
族に属する金属とホスホン酸基又はリン酸基との化学結
合を利用した薄膜は優れた機械的強度を有する。
【0024】有機光電変換素子において、電極と金属錯
体薄膜の間、又は金属錯体薄膜の表面に、電子受容性薄
膜を設けることは金属錯体薄膜からの電子移動を促進す
る効果を有し優れた光電変換率を得るために重要であ
る。
【0025】この様な有機光電変換素子として、例えば
金属錯体薄膜と電子受容性薄膜とを有する電極を作用極
とし、対極である白金電極及び適切な参照極とともに電
解液に接触させた3極湿式系の光電気化学的素子を構成
するものが挙げられる(図2)。
【0026】該電子受容性薄膜の膜厚は特に制限される
ものではないが、優れた光電変換率を得るためには2〜
20nmであることが好ましい。また、本発明の有機光
電変換素子が電子受容性薄膜を有する場合は、金属錯体
薄膜は単分子膜であってもよいがより優れた光電変換率
を達成するためには多層分子膜であることが好ましい。
【0027】該電子受容性薄膜は、PO構造を有
する置換基を有し、安定な可逆的酸化還元サイクルを示
し、かつ−0.2〜−1ボルト好ましくは−0.3〜−
0.7ボルトの酸化還元電位を示す化合物(以下、「電
子受容性化合物」と称することがある)からなる。
【0028】電子受容性化合物に置換するPO
造を有する置換基の数は2個以上であれば特に制限はな
いが、合成の容易さ及び電子受容性薄膜の作製の容易さ
から2〜6個が好ましく、2〜4個が特に好ましい。具
体的にはPO構造を有する置換基を有する4,
4’−ビピリジニウム又はキノンが挙げられる。
【0029】次に、PO構造を有する置換基を有
する環式化合物を配位子として1分子中に2〜6個配位
してなる金属錯体と、周期律表の4A族に属する金属の
酸化物とを化学結合させて形成する金属錯体薄膜の製造
方法について説明する。
【0030】表面にInO、SnO、HfO、Z
rO又はTiO等の金属酸化物を有する電極材料
〔以下、「電極材料(1)」という〕は、PO
造を有する置換基と強く相互作用するため特に前処理を
必要とせず、そのまま金属錯体薄膜を有する電極の作製
に用いることができる。
【0031】また、電極材料(1)は4A族に属する金
属の酸化物を含む溶液に接触させることにより、表面の
金属酸化物と周期律表の4A族に属する金属の酸化物と
を縮合反応させて化学結合させ、該溶液から電極材料
(1)を分離後、洗浄、乾燥させる前処理を施した上
で、金属錯体薄膜を有する電極の作製に用いることもで
きる。
【0032】また、表面にSiO、Al等の金
属酸化物を有する電極材料〔以下、「電極材料(2)」
という〕は、周期律表の4A族に属する金属の酸化物を
含む溶液に接触させることにより、表面の金属酸化物と
周期律表の4A族に属する金属の酸化物とを縮合反応さ
せ化学結合させる前処理を施した上で、金属錯体薄膜を
有する電極の作製に用いることができる。
【0033】周期律表の4A族に属する金属の酸化物の
溶液中の濃度は、通常0.001ミリモル/リットル〜
5モル/リットルが好ましく、1〜100ミリモル/リ
ットルが特に好ましい。周期律表の4A族に属する金属
の酸化物の溶液中の濃度が0.001ミリモル/リット
ルよりも薄い場合、反応の進行に長時間を要する傾向に
あるので好ましくない。周期律表の4A族に属する金属
の酸化物を溶解させる溶媒としては、水、メタノール、
エタノール、2−プロパノール等のアルコール類又はそ
れらの混合物が挙げられるが、金属錯体薄膜の作製の容
易さから水が好ましい。
【0034】電極材料(1)又は(2)を周期律表の4
A族に属する金属の酸化物の溶液に浸漬させる際の処理
温度は通常10〜80℃が好ましく、15〜50℃が特
に好ましい。また、その際の処理時間は通常10秒間〜
24時間が好ましく、1分間〜5時間が特に好ましい。
【0035】電極材料(1)又は(2)を周期律表の4
A族に属する金属の酸化物の溶液から分離した後に行な
う洗浄処理は、未反応の周期律表の4A族に属する金属
の酸化物を電極材料から除去するために重要であるが、
その方法には特に制限がなく、例えば周期律表の4A族
に属する金属の酸化物を含む溶液に用いた溶媒と同一の
溶媒に電極材料を1回以上浸漬させるだけでもよく、ま
た、該溶媒中で超音波照射にて洗浄してもよい。洗浄後
の電極材料の乾燥方法にも特に制限がなく、10〜10
0℃で減圧下に行なってもよいし、また、空気、窒素、
アルゴン等のガスブローにて行なってもよい。
【0036】また、電極材料(1)又は(2)は、カッ
プリング剤と接触させ、さらに、結合したカップリング
剤の末端基をPO構造を有する置換基に変性させ
た後、周期律表の4A族に属する金属の酸化物を含む溶
液に浸漬させることにより、表面のPO構造を有
する置換基と周期律表の4A族に属する金属の酸化物と
を縮合反応させて化学結合させ、該溶液から電極材料
(1)又は(2)を分離、洗浄した後、乾燥させる工程
で前処理を施した上で用いることもできる。
【0037】そのような目的で使用するカップリング剤
としては、例えば、置換基としてアミノ基を末端に有す
るケイ素化合物が挙げられるが、これに限定されるもの
ではない。
【0038】用いられるアミノ基含有ケイ素化合物は、
末端にアミノ基を有し、且つ、側鎖にハロゲン又はアル
コキシ基と結合したケイ素原子を有する化合物が好まし
く、そのようなアミノ基含有ケイ素化合物としては、例
えば、3−アミノプロピルトリクロロシラン、3−アミ
ノプロピルメチルジクロロシラン、3−アミノプロピル
ジメチルクロロシラン、3−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、
【0039】3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミ
ノプロピルジメチルエトキシシラン、6−アミノへキシ
ルトリクロロシラン、6−アミノへキシルトリメトキシ
シラン、6−アミノへキシルトリエトキシシラン、11
−アミノウンデシルトリクロロシラン、11−アミノウ
ンデシルトリメトキシシラン又は11−アミノウンデシ
ルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定
されるものではない。
【0040】電極材料(1)又は(2)の表面をこれら
のアミノ基含有ケイ素化合物と接触させ、アミノ基含有
ケイ素化合物を該電極材料表面に化学結合させる方法と
しては、例えば、これらのアミノ基含有ケイ素化合物の
いずれか1種以上を溶媒に溶解させ、その溶液に該電極
材料を接触させた後、該電極材料を分離し、該アミノ基
含有ケイ素化合物が溶解する溶媒で洗浄し、さらに、洗
浄後に乾燥又は加熱する方法が挙げられる。
【0041】アミノ基含有ケイ素化合物を溶解させる溶
媒としては、アミノ基含有ケイ素化合物を溶解させ、水
酸基あるいはカルボニル基を有しない溶媒、及び、アミ
ノ基と反応しない溶媒であれば特に限定されるものでは
ないが、具体的にはヘキサン、デカン、ヘキサデカンの
如き脂肪族炭化水素が挙げられ、またベンゼン、トルエ
ン、キシレンの如き芳香族炭化水素が挙げられ、また四
塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、1,1,2−
トリクロロエタンの如きハロゲン化炭化水素が挙げら
れ、またジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,
4−ジオキサン又は1,2−ジメトキシエタンの如きエ
ーテル系化合物などが挙げられる。
【0042】但し、アルコキシ基と結合したケイ素原子
を有する化合物をカップリング剤として用いる場合は、
メタノール、エタノール又は2−プロパノールの如きア
ルコール系溶媒、アセトン又は2−ブタノンの如きケト
ン系溶媒及びこれらを含む混合溶媒を用いることができ
る。
【0043】アミノ基含有ケイ素化合物の溶液中の濃度
は、通常0.001ミリモル/リットル〜5モル/リッ
トルが好ましく、0.1〜100ミリモル/リットルが
特に好ましい。反応温度は通常10〜120℃が好まし
く、15〜80℃が特に好ましい。また、反応時間は、
通常1分間〜24時間が好ましく、1時間〜3時間が特
に好ましい。
【0044】アミノ基含有ケイ素化合物を含む溶液から
電極材料(1)又は(2)を分離した後の洗浄操作は、
未反応のアミノ基含有ケイ素化合物を除去するために重
要である。該洗浄操作に用いる溶媒は、アミノ基含有ケ
イ素化合物を溶解することができる上記の溶媒を用いる
ことができる。洗浄操作後の電極材料の乾燥方法は特に
制限はなく、10〜100℃で減圧条件にて行ってもよ
く、また、空気、窒素又はアルゴン等のガスブローにて
行っても良い。また、洗浄操作後、電極材料とアミノ基
含有ケイ素化合物との反応を完全にするため加熱するこ
とが好ましい。該加熱温度は通常50〜200℃が好ま
しく、50〜120℃が特に好ましい。
【0045】電極材料(1)又は(2)の表面に化学結
合したカップリング剤の末端基をPO構造を有す
る置換基に変性する方法は公知慣用の方法であれば特に
限定されない。しかし、オキシ塩化リンを溶媒に溶解さ
せ、塩基の存在下、該電極材料表面に化学結合したカッ
プリング剤の末端アミノ基と反応させた後、洗浄、加水
分解させることにより、リン酸基を表面に露出させる方
法が最も好ましい。
【0046】オキシ塩化リンは水との接触により容易に
加水分解されるため、オキシ塩化リンを溶解させる溶媒
として水を用いることは適切ではない。オキシ塩化リン
を溶解させる水以外の溶媒としては、オキシ塩化リンを
溶解させることができる溶媒であれば特に制限はない
が、効率よい反応を実現するため含水率が低い溶媒が好
ましく、脱水操作を施した溶媒を用いることが特に好ま
しい。そのような溶媒としては、例えばアセトニトリ
ル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンの如き極性
有機溶媒が好ましい。
【0047】オキシ塩化リンの溶液中の濃度には特に制
限がないが、薄すぎると反応の進行に長時間を要する傾
向にあるため、1〜100ミリモル/リットルが好まし
い。処理温度には特に制限はないが、温度が高いとオキ
シ塩化リンの加水分解も速く進行するため、通常0〜6
0℃が好ましく、10〜40℃が特に好ましい。処理時
間は通常30秒間〜24時間が好ましく、1分間〜3時
間が特に好ましい。
【0048】共存させる塩基は、反応により副生する酸
類を中和するために使用するが、そのような目的で使用
する塩基は、該溶液に溶解するものであれば、特に制限
がなく、一般的には、ピリジン、2,6−ルチジン、
2,4,6−コリジン、トリエチルアミンの如き有機塩
基が使用される。共存させる塩基の濃度は、使用するオ
キシ塩化リンと同濃度以上であれば、特に制限はない
が、塩基による電極材料表面の汚染を防止するために、
最小限の使用、即ち、使用するオキシ塩化リンと同濃度
で用いることが好ましい。
【0049】電極材料(1)又は(2)を該溶液から分
離した後の洗浄操作は、未反応のオキシ塩化リンおよび
使用した塩基を電極材料から除去するために重要であ
る。このとき、洗浄操作に使用する溶媒には、オキシ塩
化リンおよび使用した塩基を溶解することができる溶媒
であれば特に制限がない。
【0050】処理後の電極材料(1)又は(2)は、該
電極材料を含水溶媒中に浸漬することによって加水分解
し、リン酸基を表面に露出させる。このとき用いること
ができる含水溶媒としては、水、及び水と、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ア
セトン、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、1,4−
ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ホルムアミ
ド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルム
アミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスル
ホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドの如き
極性有機溶媒との混合溶媒、などが挙げられる。水と極
性有機溶媒との混合溶媒における水と極性有機溶媒との
混合比には特に制限がないが、加水分解を有効に行なう
ために、含水率10重量%以上の混合溶媒が好ましく、
含水率20重量%以上の混合溶媒が特に好ましい。
【0051】加水分解するための処理温度は、通常10
〜100℃が好ましく、15〜60℃が特に好ましい。
加水分解処理の処理時間は、通常1秒〜6時間が好まし
く、10秒から30分が特に好ましい。電極材料(1)
又は(2)を該加水分解溶媒から分離した後の乾燥方法
には特に制限がなく、10〜100℃で減圧条件にて行
なってもよいし、また、空気、窒素、アルゴン等のガス
ブローにて行なってもよい。
【0052】電極材料(1)又は(2)の表面に化学結
合させたカップリング剤の末端基をPO構造を有
する置換基に変性し、さらにPO構造を有する置
換基に該周期律表の4A族に属する金属の酸化物と縮合
反応させて化学結合させる方法には特に制限がなく、上
記の電極材料(1)又は(2)に直接、周期律表の4A
族に属する金属の酸化物の水溶液に接触させる方法に準
じて行なうことができる。
【0053】 また、表面に金、銀、銅、白金からなる
群から選ばれる金属を有する電極材料〔以下、「電極材
料(3)」という〕は、カップリング剤を用いて前処理
した上で金属錯体薄膜を有する電極の作製に用いること
ができる。
【0054】電極材料(3)におけるカップリング剤に
よる前処理は、末端にアミノ基を有する硫黄化合物をカ
ップリング剤として用いる以外は電極材料(1)及び
(2)でアミノ基含有ケイ素化合物を用いた場合と同様
にして行うことができる。
【0055】電極材料(3)に使用できるカップリング
剤は、例えば、末端に置換基としてアミノ基を有する硫
黄化合物が挙げられ、具体的には2−アミノエチルメル
カプタン、3−アミノプロピルメルカプタン、4−アミ
ノブチルメルカプタン、6−アミノヘキシルメルカプタ
ン、12−アミノドデシルメルカプタン、シスタミン、
4−アミノチオフェノール、2,2’−ジアミノエチル
スルフィド等の末端にアミノ基を有するメルカプタン、
スルフィド又はジスルフィド化合物などが挙げられる
が、これらに限定されるものではない。
【0056】電極材料表面をこれらのアミノ基含有硫黄
化合物と接触させ、アミノ基含有硫黄化合物を電極材料
(3)の表面に化学結合させる方法としては、例えば、
当該化合物のいずれか1つを溶媒に溶解させ、その溶液
に電極材料を接触させた後、電極材料を分離し、該アミ
ノ基含有硫黄化合物が溶解する溶媒で洗浄し、さらに乾
燥する方法が挙げられる。
【0057】アミノ基含有硫黄化合物を溶解させる溶媒
としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロ
パノールの如きアルコール系溶媒が挙げられ、また、上
述のアミノ基含有ケイ素化合物を溶解させる溶媒と同様
のものが挙げられるが、これらの溶媒に限定されるもの
ではなく、アミノ基含有硫黄化合物を溶解させ、硫黄含
有基及びアミノ基と反応しない溶媒であれば使用でき
る。
【0058】電極材料(3)の表面に化学結合したカッ
プリング剤の末端基をPO構造を有する置換基に
変性する方法には特に制限がなく、上記のアミノ基含有
ケイ素化合物を用いて電極材料表面に結合したカップリ
ング剤の末端基の変性方法に準じて行うことができる。
【0059】また、表面に化学結合したカップリング剤
の末端基をPO構造を有する置換基に変性し、さ
らに該PO構造を有する置換基に周期律表の4A
族に属する金属の酸化物と縮合反応させて化学結合させ
る方法には特に制限がなく、上記の電極材料(1)およ
び(2)に直接、周期律表の4A族に属する金属の酸化
物の水溶液に接触させる方法に準じて行なうことができ
る。
【0060】次に、電極材料(1)又は上記前処理を行
った電極材料(1)〜(3)のいずれか1つの電極材料
に、金属錯体薄膜を形成する方法について説明する。す
なわち、本発明で使用する金属錯体を溶媒に溶解させ、
その溶液に電極材料(1)又は上記前処理を行った電極
材料(1)〜(3)のいずれか1つの電極材料を接触さ
せた後、該電極材料を引き上げ、該金属錯体が溶解する
溶媒で洗浄し、次いで、乾燥させる方法が挙げられる。
【0061】金属錯体を溶解させる溶媒は、該金属錯体
を溶解でき、且つ該金属錯体および電極材料表面の置換
基と反応しない、水、有機溶媒及びそれらの混合物を特
に限定なく用いることができる。該金属錯体を溶解させ
る有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、2−プロパノールの如きアルコール
系化合物、アセトン、2−ブタノンの如きケトン系化合
物、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−
ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンの如きエーテル
系化合物、
【0062】ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホ
リックトリアミドの如き非プロトン性極性化合物、ヘキ
サン、デカン、ヘキサデカンの如き脂肪族炭化水素、ベ
ンゼン、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素、四
塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、1,1,2−
トリクロロエタンの如きハロゲン化炭化水素などが挙げ
られる。
【0063】また、金属錯体を溶解させる溶媒として、
水、または、水を含む混合溶媒を使用する場合、pHは
9以下であることが好ましい。pHが低いほど該金属錯
体の電極材料表面への化学結合性が高いが、一方で、金
属酸化物を表面に有する電極材料では腐食が進行しやす
くなる傾向にあるためpHは3〜8が好ましく、4〜7
が特に好ましい。
【0064】金属錯体の溶液中の濃度は、通常0.00
1ミリモル/リットル〜5モル/リットルが好ましく、
0.1〜100ミリモル/リットルが特に好ましい。金
属錯体の溶液による処理温度は、通常0〜150℃が好
ましく、15〜100℃が特に好ましい。該金属錯体の
溶液による処理時間は、通常1分〜24時間が好まし
く、30分〜5時間が特に好ましい。
【0065】電極材料を、金属錯体を含有する溶液から
分離した後の洗浄操作は、未反応の金属錯体を電極材料
表面から除去するために重要である。洗浄に用いる溶媒
としては、該金属錯体を溶解することができる上記の溶
媒が挙げられる。また、電極材料の乾燥方法にも特に制
限がなく、10〜100℃で減圧条件にて行なってもよ
いし、また、空気、窒素、アルゴン等のガスブローにて
行なってもよい。
【0066】さらに周期律表の4A族に属する金属の酸
化物と縮合反応させて化学結合させる操作と、金属錯体
を化学結合させる操作を1回以上繰り返すことにより、
金属錯体薄膜を有する電極を製造することができる。繰
り返しの回数は特に制限なく行うことができるが、優れ
た光電変換率を達成するためには3〜15回程度繰り返
し操作し、厚さ5〜60nmの金属錯体薄膜とすること
が好ましい。
【0067】金属錯体を化学結合させた電極材料上に、
周期律表の4A族に属する金属の酸化物と縮合反応させ
て化学結合させる操作は、上記の電極材料(1)および
(2)を直接、周期律表の4A族に属する金属の酸化物
の水溶液に接触させる方法に準じて行なうことができ
る。
【0068】次に、本発明の金属錯体からなる金属錯体
薄膜と前記電子受容性化合物からなる電子受容性薄膜と
を、周期律表の4A族に属する金属の酸化物と縮合反応
させ化学結合させる方法について説明する。始めに、電
極材料上に電子受容性薄膜を化学結合し、さらに該電子
受容性薄膜の電子受容性化合物と周期律表の4A族に属
する金属の酸化物とを縮合反応させて化学結合させて金
属錯体薄膜を積層する方法について説明する。
【0069】すなわち、電子受容性化合物を溶媒に溶解
させ、その溶液に電極材料(1)または、上記の前処理
した電極材料(1)〜(3)のいずれか1つの電極材料
を接触させた後、該電極材料を引き上げ、該電子受容性
化合物が溶解する溶媒で洗浄し、次いで、乾燥させて電
極材料上に電子受容性薄膜を化学結合させることができ
る。さらに該電子受容性薄膜上の電子受容性化合物に周
期律表の4A族に属する金属の酸化物を縮合反応させて
化学結合させる操作と、電子受容性薄膜を化学結合させ
る操作とを1回以上繰り返すことにより、電子受容性薄
膜を有する電極を製造することができる。繰り返しの回
数は特に制限なく行うことができるが、優れた光電変換
率を達成するためには2〜10回程度繰り返し操作し、
膜厚2〜20nmの電子受容性薄膜とすることが好まし
い。
【0070】電子受容性化合物を溶解させる溶媒は、該
電子受容性化合物を溶解でき、且つ、該電子受容性化合
物及び電極材料表面の置換基と反応しない溶媒、例えば
水、有機溶媒及びそれらの混合物を特に限定なく用いる
ことができる。該電子受容性化合物を溶解させる有機溶
媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、2−プロパノールの如きアルコール系化合物、
アセトン、2−ブタノンの如きケトン系化合物、ジエチ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサ
ン、
【0071】1,2−ジメトキシエタンの如きエーテル
系化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホ
リックトリアミドの如き非プロトン性極性化合物、ヘキ
サン、デカン、ヘキサデカンの如き脂肪族炭化水素、ベ
ンゼン、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素、四
塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、1,1,2−
トリクロロエタンの如きハロゲン化炭化水素などが挙げ
られる。
【0072】また、電子受容性化合物を溶解させる溶媒
として、水、又は水を含む混合溶媒を使用する場合、p
Hは9以下であることが好ましい。pHが低いほど該電
子受容性化合物の電極材料表面への化学結合性が高い
が、一方で、金属酸化物を表面に有する電極材料では腐
食が進行しやすくなる傾向にあるためpHは3〜8が好
ましく、4〜7が特に好ましい。
【0073】電子受容性化合物の溶液中の濃度は、通常
0.001ミリモル/リットル〜5モル/リットルが好
ましく、0.1〜100ミリモル/リットルが特に好ま
しい。該電子受容性化合物を含む溶液による処理温度
は、通常0〜150℃が好ましく、15〜100℃が特
に好ましい。該電子受容性化合物を含む溶液による処理
時間は通常1分〜24時間が好ましく、30分〜5時間
が特に好ましい。
【0074】電極材料を、該電子受容性化合物を含有す
る溶液から分離した後の洗浄操作は、未反応の該電子受
容性化合物を電極材料表面から除去するために重要であ
る。洗浄に用いる溶媒としては、該電子受容性化合物を
溶解することができる上記の溶媒が挙げられる。また、
電極材料の乾燥方法にも、特に制限がなく、10〜10
0℃で減圧条件にて行なってもよいし、また、空気、窒
素、アルゴン等のガスブローにて行なってもよい。
【0075】さらに電子受容性薄膜を有する電極材料
に、上記の周期律表の4A族に属する金属の酸化物を縮
合反応させて化学結合させる操作と金属錯体を化学結合
させる操作を1回以上繰り返すことにより、電子受容性
薄膜と金属錯体薄膜とを有する電極を製造することがで
きる。
【0076】また、周期律表の4A族に属する金属の酸
化物を縮合反応させて化学結合させる方法には特に制限
がなく、上記の電極材料(1)および(2)を直接、周
期律表の4A族に属する金属の酸化物の水溶液に接触さ
せる方法に準じて行なうことができる。
【0077】次に、電極上に金属錯体薄膜を化学結合し
た電極材料の該金属錯体薄膜上にさらに周期律表の4A
族に属する金属又は周期律表の4A族に属する金属の酸
化物を介して電子受容性薄膜を積層する方法について説
明する。
【0078】すなわち、表面に金属錯体薄膜を化学結合
した電極材料を、周期律表の4A族に属する金属の酸化
物を含む溶液に浸漬させることにより、金属錯体薄膜中
の未反応のPO構造を有する置換基との反応によ
って周期律表の4A族に属する金属の酸化物を該電極材
料表面に縮合反応させて化学結合させ、その後、該電極
材料を電子受容性化合物を溶解させた溶液に接触させ、
さらに該電極材料を引き上げ、該電子受容性化合物が溶
解する溶媒で洗浄し、次いで、乾燥させて電極材料上に
電子受容性薄膜を化学結合させることができる。
【0079】さらに該電子受容性薄膜に周期律表の4A
族に属する金属の酸化物を縮合反応させて化学結合させ
る操作と、電子受容性薄膜を化学結合させる操作とを1
回以上繰り返すことにより、金属錯体薄膜と電子受容性
薄膜とを有する電極を製造することができる。繰り返し
の回数は特に制限なく行うことができるが、優れた光電
変換率を達成するためには2〜10回程度繰り返し操作
し、膜厚2〜20nmの電子受容性薄膜とすることが好
ましい。
【0080】ただし、金属錯体薄膜又は電子受容性薄膜
と周期律表の4A族に属する金属又は周期律表の4A族
に属する金属の酸化物とを化学結合させる方法は、上記
の電極材料(1)および(2)を直接、周期律表の4A
族に属する金属の酸化物の水溶液に接触させる方法に準
じて行なうことができる。
【0081】電極材料上における金属錯体薄膜と電子受
容性薄膜の形成順序は、有機光電変換素子における電流
発生の方向を決定する大きな因子である。例えば、電極
材料(1)に、または、上記の前処理を行った電極材料
(1)〜(3)のいずれか1つの電極材料に、電子受容
性薄膜、続いて、金属錯体薄膜の順序で形成させ製造し
た電極は、電極材料から金属錯体薄膜の方向へ電流が流
れる。一方、該電極材料に、金属錯体薄膜、続いて、電
子受容性薄膜の順序で形成させ製造した電極は、金属錯
体薄膜から電極材料の方向へ電流が流れる。
【0082】本発明の有機光電変換素子において、支持
電解質は電解液に十分な導電性を与えることができ、使
用する電位範囲で電気分解されず、且つ、電極表面に特
異的な吸着を起こさない条件を満たせば特にその種類に
制限なく用いることができる。
【0083】電解液に用いる溶媒の種類により適用でき
る支持電解質は異なる。例えば、電解液に用いる溶媒が
水系の場合は、塩化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、
チオ硫酸ナトリウムのような塩類、硫化水素酸や塩化水
素酸のような酸類、又は、各種緩衝溶液を使用すること
ができる。また、電解液に用いる溶媒がアセトニトリ
ル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラヒドロフラ
ン、メタノール、又は、無水酢酸等の有機溶媒の場合
は、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、塩化リチ
ウム等の無機塩類、テトラアルキルアンモニウムの塩化
物塩、臭化物塩、過塩素酸塩、テトラフルオロボレート
塩、又はヘキサフルオロホスフェート塩等の有機塩類を
用いることができる。
【0084】本発明の有機光電変換素子において、電極
材料上における金属錯体薄膜と電子受容性薄膜の形成順
序は電流発生の方向を決定する大きな因子である。例え
ば、電極材料(1)に、または、上記の前処理を行った
電極材料(1)〜(3)のいずれか1つの電極材料に、
電子受容性薄膜、続いて、金属錯体薄膜の順序で形成さ
せ製造した電極は、電極材料から金属錯体薄膜の方向へ
電流が流れる。一方、該電極材料に、金属錯体薄膜、続
いて、電子受容性薄膜の順序で形成させ製造した電極
は、金属錯体薄膜から電極材料の方向へ電流が流れる。
【0085】続いて、本発明の有機光電変換素子におけ
る、金属錯体薄膜を有する電極、又は金属錯体薄膜及び
電子受容性薄膜を有する電極以外の構成部分について説
明する。本発明の有機光電変換素子において、電解液中
に溶解させて用いる支持電解質は電解液に十分な導電性
を与えることができ、使用する電位範囲で電気分解され
ず、且つ、電極表面に特異的な吸着を起こさない条件を
満たせば特にその種類に制限なく用いることができる。
【0086】電解液に用いる溶媒の種類により適用でき
る支持電解質は異なる。例えば、電解液に用いる溶媒が
水系の場合は、塩化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、
チオ硫酸ナトリウムのような塩類、硫化水素酸や塩化水
素酸のような酸類、又は、各種緩衝溶液を使用すること
ができる。また、電解液に用いる溶媒がアセトニトリ
ル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラヒドロフラ
ン、メタノール、又は、無水酢酸等の有機溶媒の場合
は、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、塩化リチ
ウム等の無機塩類、テトラアルキルアンモニウムの塩化
物塩、臭化物塩、過塩素酸塩、テトラフルオロボレート
塩、又はヘキサフルオロホスフェート塩等の有機塩類を
用いることができる。
【0087】本発明の有機光電変換素子において、電極
材料から金属錯体薄膜の方向へ電流が流れる素子構成と
した場合、電解液に還元剤を溶解させ用いることによ
り、光電変換効率を向上させることができる。このとき
用いられる還元剤としては、上記、金属錯体薄膜を構成
する金属錯体より酸化還元電位が低いものを選択する。
そのような還元剤として、例えば水系の場合はトリエタ
ノールアミン又は1,1’−フェロセンジカルボン酸、
また、有機溶媒系の場合は、ヨウ化カリウムが挙げられ
るがこれらに限定されるものではない。
【0088】また、金属錯体薄膜から電極材料の方向へ
電流が流れる素子構成とした場合、電解液に酸化剤を溶
解させ用いることにより光電変換効率を向上させること
ができる。このとき用いられる酸化剤としては、上記、
電子受容性薄膜を構成する電子受容性化合物より酸化還
元電位が高いものを選択すればよい。そのような酸化剤
として水系の場合はN,N’−ジメチル−4,4’−ビ
ピリジニウムクロリドが挙げられるがこれに限定される
ものではない。
【0089】本発明の有機光電変換素子において参照電
極は一般的に電解セルで用いられている参照電極であれ
ば特に制限なく使用することができる。そのような参照
電極としては、例えば、水素電極、飽和カロメル電極、
銀・塩化銀電極、又は、銀・硝酸銀電極等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。
【0090】このようにして得られた有機光電変換素子
をポテンシオスタットに接続し、金属錯体が吸収するこ
とができる波長350〜700nm程度で強度0.1〜
10mW・cm−1程度の光を金属錯体薄膜を有する電
極に照射すると500nA〜1000nA・cm−2
光電変換効率で電流が発生する。光源の位置に特に制限
はないが、照射する光を十分に透過する電極を用いる場
合、光照射は金属錯体を含む薄膜を有する電極の電極側
から行ってもよいし、また、照射する光を十分に透過す
る電解液を選択した場合、光照射は電解液側から行って
もよい。
【0091】本発明の金属錯体薄膜、並びに金属錯体薄
膜及び電子受容性薄膜を有する有機光電変換素子は、従
来の方法に比べ簡便に電極上に金属錯体薄膜を作製で
き、且つ、LB法により製造した金属錯体薄膜を有する
有機光電変換素子に比べ保存安定性と機械的強度に優れ
る。本発明の有機光電変換素子は化学センサ及びバイオ
センサ等のセンサ技術の分野に利用できる。本発明の有
機光電変換素子は、例えば化学センサ、バイオセンサ及
びバイオチップ等の光電気化学素子の分野に有用であ
る。
【0092】
【実施例】 以下、実施例を用いて、本発明を更に詳細
に説明する。しかしながら、本発明は、これらの実施例
の範囲に限定されるものではない。
【0093】<合成例1> (Ru(II)−トリス(4,4’−ジホスホノ−2,
2’−ビピリジル)ジクロリド〔以下、「Ru−(bp
y−P」と略称する〕の合成)氷浴、撹拌機およ
び滴下ロートを備えたガラスフラスコに、2,2’−ビ
ピリジン−N,N’−ジオキシド5.0g(0.027
モル)、20重量%発煙硫酸10mlおよび濃硫酸5mlを
仕込み、内容物を攪拌しながら、滴下ロートより比重
1.52の発煙硝酸10mlを15分間かけてフラスコ内
に滴下した。滴下終了後、氷浴を油浴に代え、アルゴン
ガス雰囲気下、油浴温度120℃にて4時間撹拌しなが
ら反応を続けた。反応混合物を放冷した後、氷50gと
水50mlの混合物に反応混合物を加え、析出した固体を
濾別することにより、4,4’−ジニトロ−2,2’−
ビピリジン−N,N’−ジオキシド(融点265−27
0℃)3.4gを得た。収率は46モル%であった。
【0094】油浴、撹拌機、還流冷却器および滴下ロー
トを備えたガラスフラスコに、4,4’−ジニトロ−
2,2’−ビピリジン−N,N’−ジオキシド1.8g
(0.0065モル)および氷酢酸30mlを仕込み、油
浴温度60℃とし、内容物を攪拌しながら、滴下ロート
より臭化アセチル14.5ml(0.020モル)を15
分間かけて滴下した。滴下終了後、アルゴンガス雰囲気
下、還流温度で4時間撹拌しながら、反応を続けた。反
応混合物を放冷した後、反応混合物を氷150gに加
え、25重量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて混合物
のpHを10に調整した。析出した固体を濾別すること
により、4,4’−ジブロモ−2,2’−ビピリジン−
N,N’−ジオキシド(融点247−250℃)1.8
gを得た。収率は81モル%であった。
【0095】氷浴、撹拌機、還流冷却器および滴下ロー
トを備えたガラスフラスコに、4,4’−ジブロモ−
2,2’−ビピリジン−N,N’−ジオキシド0.80
g(0.0023モル)およびクロロホルム20mlを仕
込み、内容物を攪拌しながら、滴下ロートより三臭化リ
ン3.2mlを5分間かけてフラスコ内に滴下した。滴下
終了後、氷浴を油浴に代え、アルゴンガス雰囲気下、還
流温度で1.5時間撹拌しながら、反応を続けた。反応
混合物を放冷した後、氷50gと水50mlの混合物に反
応混合物を加えた。
【0096】クロロホルム層と水層を分離し、水層に2
5重量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを10に
調整した後、反応生成物をクロロホルム100mlで3回
抽出した。これを、先のクロロホルム層と混合し、硫酸
マグネシウムを加えて乾燥させた後、濾過した濾液から
溶媒を留去することにより、4,4’−ジブロモ−2,
2’−ビピリジン(融点136−137℃)0.66g
を得た。収率は91モル%であった。
【0097】油浴、撹拌機および還流冷却器を備えたガ
ラスフラスコに、4,4’−ジブロモ−2,2’−ビピ
リジン1.0g(0.0032モル)、トリフェニルホ
スフィン4.2g(0.016モル)、亜リン酸ジエチ
ル1.9ml(0.014モル)、トリエチルアミン2.
0ml、Pd(0)−テトラキストリフェニルホスフィン
0.73g(6.4×10-4モル)およびトルエン33
mlを仕込み、アルゴンガス雰囲気下、還流温度で14時
間撹拌しながら、反応を続けた。反応混合物を放冷した
後、反応混合物を1規定アンモニア水15ml、続いて、
水15mlで2回洗浄した。
【0098】トルエン層を分取し、硫酸マグネシウムを
加えて乾燥させた後、濾過した濾液中の生成物をシリカ
ゲルクロマトグラフィーを用いて精製することにより、
4,4’−ビス(ジエチルホスホナト)−2,2’−ビ
ピリジン(融点100−101℃)1.2gを得た。収
率は86モル%であった。
【0099】油浴、撹拌機および還流冷却器を備えたガ
ラスフラスコに、4,4’−ビス(ジエチルホスホナ
ト)−2,2’−ビピリジン0.20g(4.7×10
−4モル)、塩化ルテニウム三水和物0.038g
(1.4×10−4モル)およびN,N’−ジメチルホ
ルムアミド6.0mlを仕込み、アルゴンガス雰囲気下、
還流温度で10時間撹拌しながら、反応を続けた。反応
混合物を放冷した後、析出した固体を濾別し、減圧乾燥
させた。
【0100】この固体を、油浴、撹拌機および還流冷却
器を備えたガラスフラスコに仕込み、これに6規定塩酸
10mlを加え、その後、アルゴンガス雰囲気下、還流温
度で10時間撹拌しながら、反応を続けた。反応混合物
を放冷した後、析出した固体を濾別することにより、R
u−(bpy−Pの二水和物0.073gを得
た。このようにして得たRu−(bpy−Pの二
水和物(C303061 86Cl2Ru・2H2O)の元
素分析結果は以下の通りであった。
【0101】計算値:C=31.2%;H=3.0%;
N=7.3%実測値:C=32.0%;H=3.2%;
N=7.5%
【0102】<合成例2> [N,N’−ビス(2−ホスホノエチル)−4,4’−
ビピリジニウムジクロリド〔以下、「V−P」と略称
する。〕の合成] 油浴、及び撹拌機を備えたガラスフ
ラスコに、ジエチル(2−ブロモ)ホスホネート2.2
g(0.0090モル)、4,4’−ビピリジル0.7
0g(0.0045モル)、及び蒸留水180mlを仕
込み、アルゴンガス雰囲気下、油浴温度110℃にて4
0時間撹拌しながら反応を続けた。反応混合物を放冷し
た後、溶媒を留去し、残査を再び、6規定塩酸30ml
に溶解させ、アルゴンガス雰囲気下、油浴温度150℃
にて8時間撹拌を続けた。反応混合物を放冷した後、溶
媒を留去し、残査を蒸留水1mlに溶解させ、これに2
−プロパノール50mlをゆっくりと滴下することによ
り生じた固体を、濾過し、乾燥した。
【0103】得られた固体を、蒸留水2mlに溶解さ
せ、これにメタノール20mlを加え、さらに、2−プ
ロパノール100mlを加えることにより生じた固体
を、濾過し、メタノールで洗浄後、乾燥して、V−P
0.98gを得た。収率は49モル%であった。このよ
うにして得たV−PH−NMR分析結果及び元素
分析結果は以下の通りであった。
【0104】(A)H−NMRスペクトル(300M
Hz、重水溶液) 化学シフト(ppm):9.1(d,4H)、8.5
(d,4H)、4.9(m,4H)、2.4(m,4
H)。 (B)元素分析結果 計算値(二水和物として、C1420
・2HO):C=34.9%;H=5.0%;N
=5.8%。 実測値:C=34.7%;H=4.2%;N=5.5
%。
【0105】<実施例1>ガラス基材の表面に厚さ20
0nmの酸化錫インジウム(ITO)層を成膜した電極
を、3−アミノプロピルトリメトキシシランの5ミリモ
ル/リットルのメタノール溶液中に50℃で3時間浸漬
した後、取り出し、メタノール中で超音波洗浄し、さら
に、100℃の恒温槽で減圧下(〜0.01Pa)1時
間加熱処理した。次に、該電極を、オキシ塩化リン、
2,6−ルチジンがともに25ミリモル/リットルとな
るように調製した脱水アセトニトリル溶液中に、室温で
1時間浸漬した後、取り出し、アセトニトリル中に繰り
返し浸漬させることにより洗浄し、さらに、室温で水中
に3分浸漬させた。さらに、該電極を、ZrOCl
8HOの20ミリモル/リットルの水溶液に室温で3
0分間浸漬した後、取り出し、水中に繰り返し浸漬する
ことにより洗浄し、さらに、窒素ガスによりブロー乾燥
させて、電極1を得た。
【0106】電極1を合成例1で得たRu−(bpy−
の0.1ミリモル/リットルの水溶液に、80
℃で1時間浸漬した後、該水溶液中から取り出し、水中
に繰り返し浸漬することにより洗浄し、さらに、窒素ガ
スによりブロー乾燥させた。続いて、該電極を、ZrO
Cl・8HOの20ミリモル/リットルの水溶液に
室温で30分間浸漬した後、該水溶液中から取り出し、
水中に繰り返し浸漬することにより洗浄し、さらに、窒
素ガスによりブロー乾燥させた。これらの工程を、工程
(I)と称する。
【0107】該電極に対して、工程(I)をさらに5回
行った。このようにして得た電極は、Ru−(bpy−
に特徴的な、Ru金属からビピリジン配位子へ
の電荷移動遷移(以下、「MLCT遷移」と称する)に
基づく、波長465nm(吸光度0.038)に極大を
持つ可視光吸収スペクトルが観測された。また、該電極
におけるRu−(bpy−Pを含む薄膜の膜厚
は、24.2nmであった。
【0108】このようにして作製した、Ru−(bpy
−Pを含む薄膜を有する電極を作用極とし、白金
ワイヤ対極及び飽和カロメル参照電極(SCE)ととも
に、0.2モル/リットルのトリエタノールアミンを含
む0.5モル/リットルの過塩素酸ナトリウム電解液に
接触させ、3極系電気化学セルを構築した。光電変換特
性は、蛍光分光光度計(日立製作所製F−3000)を
光源とし、単色励起光を照射し、ポテンシオスタット
(BASモデル100B)を用い、測定した。
【0109】このようにして、本実施例において作製し
た有機光電変換素子の光電流の発生を確認することがで
きた。波長400nm〜580nmの励起光を照射して
測定した、有機光電変換素子の光電流作用スペクトルを
該素子の吸収スペクトルとともに図3に示した。
【0110】<実施例2>実施例1で示した電極1を、
合成例2で得たV−Pの0.5ミリモル/リットルの
水溶液に、80℃で1時間浸漬した後、該水溶液中から
取り出し、水中に繰り返し浸漬することにより洗浄し、
さらに、窒素ガスによりブロー乾燥させた。続いて、該
電極を、ZrOCl・8HOの20ミリモル/リッ
トルの水溶液に室温で30分間浸漬した後、該水溶液中
から取り出し、水中に繰り返し浸漬することにより洗浄
し、さらに、窒素ガスによりブロー乾燥させた。これら
の工程を、工程(II)と称する。該電極に対して、工
程(II)をさらに1回行った。
【0111】このようにして得た電極は、V−Pに特
徴的な、波長265nm(吸光度0.0092)に極大
を持つ吸収スペクトルが観測された。また、該電極にお
けるV−Pを含む薄膜の膜厚は、3.8nmであっ
た。
【0112】続いて、該電極に対して、実施例1で示し
た工程(I)を6回繰り返して行った。このようにして
得た電極は、Ru−(bpy−Pに特徴的な、M
LCT遷移に基づく、波長465nm(吸光度0.04
0)に極大を持つ可視光吸収スペクトルが観測された。
また、該電極における、V−P及びRu−(bpy−
を含む薄膜の膜厚は、27.9nmであった。
【0113】このようにして作製した、V−P及びR
u−(bpy−Pを含む薄膜を有する電極を作用
極とし、実施例1と同様にして、3極系電気化学セルを
構築した。光電変換特性も、実施例1と同様にして測定
した。
【0114】このようにして、本実施例において作製し
た有機光電変換素子の光電流の発生を確認することがで
きた。波長400nm〜580nmの励起光を照射して
測定した、有機光電変換素子の光電流作用スペクトルを
該素子の吸収スペクトルとともに図4示した。
【0115】
【発明の効果】本発明は優れた光電変換率を有する有機
光電変換素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電極上に金属錯体薄膜を有する有機
光電変換素子の構成を、ポテンシオスタットに接続され
た状態で図示したもの模式図である。
【図2】 本発明の電極上に金属錯体薄膜と電子受容性
薄膜とを有する有機光電変換素子の構成を、ポテンシオ
スタットに接続された状態で図示したもの模式図であ
る。
【図3】 実施例1で測定した有機光電変換素子の光電
流作用スペクトル、及び該素子の吸収スペクトルを示し
たもの。
【図4】 実施例2で測定した有機光電変換素子の光電
流作用スペクトル、及び該素子の吸収スペクトルを示し
たもの。
【符号の説明】
1 電極 2 金属錯体薄膜 3 白金電極 4 参照極 5 電解液 6 ポテンシオスタット 7 電子受容性薄膜

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極上に金属錯体薄膜を有する有機光電
    変換素子であって、前記金属錯体薄膜が、ホスホン酸
    基、リン酸基、ホスホン酸基を有する炭素原子数1〜6
    のアルキル基及びリン酸基を有する炭素原子数1〜6の
    アルキル基からなる群から選ばれる置換基を有する環式
    化合物を配位子として1分子中に2〜6個配位してなる
    金属錯体と周期律表の4A族に属する金属の酸化物とが
    化学結合したものであることを特徴とする有機光電変換
    素子。
  2. 【請求項2】 電極上に金属錯体薄膜及び電子受容性薄
    膜を有する有機光電変換素子であって、前記金属錯体薄
    膜が、ホスホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基を有する
    炭素原子数1〜6のアルキル基及びリン酸基を有する炭
    素原子数1〜6のアルキル基からなる群から選ばれる置
    換基を有する環式化合物を配位子として1分子中に2〜
    6個配位してなる金属錯体からなり、前記電子受容性薄
    膜が、ホスホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基を有する
    炭素原子数1〜6のアルキル基及びリン酸基を有する炭
    素原子数1〜6のアルキル基からなる群から選ばれる置
    換基を有し、可逆的酸化還元サイクルを示し、かつ−
    0.2〜−1ボルトの酸化還元電位を示す化合物からな
    り、かつ前記金属錯体薄膜と前記電子受容性薄膜とが周
    期律表の4A族に属する金属の酸化物により化学結合し
    たものであることを特徴とする有機光電変換素子。
  3. 【請求項3】 前記金属錯体薄膜が、ホスホン酸基、リ
    ン酸基、ホスホン酸基を有する炭素原子数1〜6のアル
    キル基及びリン酸基を有する炭素原子数1〜6のアルキ
    ル基からなる群から選ばれる置換基を有する環式化合物
    を配位子として1分子中に2〜6個配位してなる金属錯
    体と周期律表の4A族に属する金属の酸化物とが化学結
    合したものである請求項2に記載の有機光電変換素子。
  4. 【請求項4】 前記電子受容性薄膜が、ホスホン酸基、
    リン酸基、ホスホン酸基を有する炭素原子数1〜6のア
    ルキル基及びリン酸基を有する炭素原子数1〜6のアル
    キル基からなる群から選ばれる置換基を有し、可逆的酸
    化還元サイクルを示し、かつ−0.2〜−1ボルトの酸
    化還元電位を示す化合物と周期律表の4A族に属する金
    属の酸化物とが化学結合したものである請求項2に記載
    の有機光電変換素子。
  5. 【請求項5】 前記電子受容性薄膜が、ホスホン酸基、
    リン酸基、ホスホン酸基を有する炭素原子数1〜6のア
    ルキル基及びリン酸基を有する炭素原子数1〜6のアル
    キル基からなる群から選ばれる置換基を有するビピリジ
    ニウム、又はホスホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基を
    有する炭素原子数1〜6のアルキル基及びリン酸基を有
    する炭素原子数1〜6のアルキル基からなる群から選ば
    れる置換基を有するベンゾキノンからなる請求項2に記
    載の有機光電変換素子。
  6. 【請求項6】 電極上に金属錯体薄膜及び電子受容性薄
    膜を有する有機光電変換素子の製造方法であって、前記
    金属錯体薄膜が、ホスホン酸基、リン酸基、ホスホン酸
    基を有する炭素原子数1〜6のアルキル基及びリン酸基
    を有する炭素原子数1〜6のアルキル基からなる群から
    選ばれる置換基を有する環式化合物を配位子として1分
    子中に2〜6個配位してなる金属錯体からなり、前記電
    子受容性薄膜が、ホスホン酸基、リン酸基、ホスホン酸
    基を有する炭素原子数1〜6のアルキル基及びリン酸基
    を有する炭素原子数1〜6のアルキル基からなる群から
    選ばれる置換基を有し、可逆的酸化還元サイクルを示
    し、かつ−0.2〜−1ボルトの酸化還元電位を示す化
    合物からなり、前記金属錯体薄膜と前記電子受容性薄膜
    とを周期律表の4A族に属する金属の酸化物により化学
    結合させることを特徴とする有機光電変換素子の製造方
    法。
JP2002048067A 2002-02-25 2002-02-25 有機光電変換素子 Pending JP2003249669A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002048067A JP2003249669A (ja) 2002-02-25 2002-02-25 有機光電変換素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002048067A JP2003249669A (ja) 2002-02-25 2002-02-25 有機光電変換素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003249669A true JP2003249669A (ja) 2003-09-05

Family

ID=28660961

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002048067A Pending JP2003249669A (ja) 2002-02-25 2002-02-25 有機光電変換素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003249669A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008122411A (ja) * 2005-09-29 2008-05-29 Toto Ltd 光電流を用いた被検物質の特異的検出方法、それに用いられる電極、測定用セルおよび測定装置
US8092670B2 (en) 2005-09-29 2012-01-10 Toto Ltd. Method for specifically detecting analyte using photocurrent, and electrode, measuring cell and measuring device for use therein
WO2017150353A1 (ja) * 2016-03-03 2017-09-08 株式会社デンソー 熱交換器

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008122411A (ja) * 2005-09-29 2008-05-29 Toto Ltd 光電流を用いた被検物質の特異的検出方法、それに用いられる電極、測定用セルおよび測定装置
US8092670B2 (en) 2005-09-29 2012-01-10 Toto Ltd. Method for specifically detecting analyte using photocurrent, and electrode, measuring cell and measuring device for use therein
WO2017150353A1 (ja) * 2016-03-03 2017-09-08 株式会社デンソー 熱交換器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zakeeruddin et al. Molecular engineering of photosensitizers for nanocrystalline solar cells: synthesis and characterization of Ru dyes based on phosphonated terpyridines
Montalti et al. Luminescent ruthenium (II) bipyridyl− phosphonic acid complexes: pH dependent photophysical behavior and quenching with divalent metal ions
Norris et al. Synthesis of phosphonic acid derivatized bipyridine ligands and their ruthenium complexes
Bae et al. Effects of surface anchoring groups (carboxylate vs phosphonate) in ruthenium-complex-sensitized TiO2 on visible light reactivity in aqueous suspensions
Bruce et al. Green electrochemiluminescence from ortho-metalated tris (2-phenylpyridine) iridium (III)
Santoni et al. Discrete covalent organic–inorganic hybrids: Terpyridine functionalized polyoxometalates obtained by a modular strategy and their metal complexation
Pan et al. Fabrication, characterization, and optoelectronic properties of layer-by-layer films based on terpyridine-modified MWCNTs and ruthenium (III) ions
Wolpher et al. Synthesis and electron transfer studies of Ruthenium− Terpyridine-based Dyads Attached to Nanostructured TiO2
Will et al. Potentiostatic modulation of the lifetime of light-induced charge separation in a heterosupermolecule
Long et al. Self-assembly of a tripodal pseudorotaxane on the surface of a titanium dioxide nanoparticle
Leandri et al. Exploring the optical and electrochemical properties of homoleptic versus heteroleptic diimine copper (I) complexes
Warren et al. Ground-state properties and excited-state reactivity of 8-quinolate complexes of ruthenium (II)
Gholamkhass et al. Synthesis and characterization of ruthenium (II) molecular assemblies for photosensitization of nanocrystalline TiO2: utilization of hydroxyl grafting mode
JP5003865B2 (ja) 二核金属錯体色素溶液およびこの溶液を用いた光電変換素子、及び光化学電池
Niu et al. Rare Earth Ion Encapsulated Basket-like {Gd⊂ P6MoV2MoVI16O73} Cage as Efficient Electrochemical Sensor and Fluorescent Probe for Cr (VI)
Gosset et al. Electron storage system based on a two-way inversion of redox potentials
Wu et al. Stable molecular surface modification of nanostructured, mesoporous metal oxide photoanodes by silane and click chemistry
Liu et al. Remote and adjacent excited-state electron transfer at TiO2 interfaces sensitized to visible light with Ru (II) compounds
Jarosz et al. Platinum (II) terpyridyl-acetylide dyads and triads with nitrophenyl acceptors via a convenient synthesis of a boronated phenylterpyridine
Raber et al. Fundamental factors impacting the stability of phosphonate-derivatized ruthenium polypyridyl sensitizers adsorbed on metal oxide surfaces
Athanassov et al. Sensitized electroluminescence on mesoporous oxide semiconductor films
Swavey et al. Synthesis and study of Ru, Rh, Ru triads: Modulation of orbital energies in a supramolecular architecture
Niu et al. Two Tetra-Nuclear Ln-Substituted Prazine Dicarboxylic Acid-Functionalized Selenotungstates with Catalytic Oxidation of Thioether Properties
McCall et al. Electrochemiluminescence of copper (I) bis (2, 9-dimethyl-1, 10-phenanthroline)
Loiseau et al. A new polytopic bis-diazacrown-ether-polypyridine ligand and its complexes with Zn (II) salts and mononuclear and dendritic Ru (II) precursors. Synthesis, absorption spectra, redox behavior, and luminescence properties