JP2003200035A - pH応答性マイクロカプセル - Google Patents
pH応答性マイクロカプセルInfo
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Abstract
グラフト鎖とするグラフト共重合体をマイクロカプセル
用外壁材料とした新規pH応答性マイクロカプセルを提
供する。 【解決手段】 脂肪族ポリエステルの一方の末端に重合
反応性二重結合を有すると共に他方の末端にアミノ基を
有し且つ下記一般式(1)で示されるマクロモノマーを
主成分とする高分子化合物又は脂肪族ポリエステルを側
鎖とすると共に当該側鎖の末端にアミノ基を有し且つ下
記一般式(3)及び(4)で示される繰り返し単位を含
むグラフト共重合体を主成分とする高分子化合物から調
製される。 【化1】 【化2】 【化3】
Description
ルを側鎖とし、且つその末端にアミノ基を有するグラフ
ト共重合体を主成分とする高分子化合物のマイクロカプ
セルにおいて、このマイクロカプセル内に包埋された薬
物がpHによって放出が抑えられたり、放出が促進され
たりできる、いわゆる内包薬物の徐放がpHによって制
御でき、且つ加水分解を比較的容易に受ける構造単位を
含んでいることから内包薬物放出後に空の容器が分解す
ることで容易に除去できるマイクロカプセルに関するも
のである。
発揮させる薬剤を天然高分子あるいは合成高分子で包み
込んでいる微小な容器のことを言い、通常は数百ナノメ
ートル程度から数ミリメートル程度の大きさの容器を指
して呼称されている。
は1954年のことで、カーボン紙を用いない感圧複写
紙がアメリカのNCR社によって開発された。ここで用
いられたマイクロカプセルは発色剤をゼラチン粒子で包
み込んだ形態をしており、このマイクロカプセルを紙表
面に塗布させたものが感圧複写紙である(米国特許第2
730456号明細書)。通常は発色しないが、筆圧に
よってこのマイクロカプセルが崩壊し、内包されていた
発色剤が流出して発色するといった機能を有する。これ
と同様な用途として接着剤内包マイクロカプセルがある
(米国特許第3642937号明細書)。ボルトのネジ
部に接着剤内包マイクロカプセルを塗布したもので、外
圧がかかっていない時は通常のボルト表面と大差ない
が、ネジ穴にこのボルトを締め付けるとマイクロカプセ
ルが崩壊し、内包させている接着剤が滲み出す事によっ
てボルトを接着させ、ボルトの緩みやネジ部からの液体
漏れなどを防止できるといったもので、自動車、建設用
機械、家庭用電気機器などのネジ部品処理用として上市
されている。
合物などで種々の薬品を包埋させ、必要な時に外部から
の圧力などでカプセルを崩壊させ、種々薬品の機能を発
揮させるといった非常に有用かつユニークな特徴を有し
ている。また、マイクロカプセルの有用性はこればかり
ではなく、その構造的特長から温度、湿度、酸化、光な
どの環境変化によって引き起こされる化学変化、分解、
変質などといった外的要因から薬剤を保護できるといっ
た利点がある。さらに、包埋された薬物が高分子膜を拡
散して粒子表面から滲み出してくるような徐放性も期待
できる。
性が着目されるようになり、上記した感圧複写紙や接着
剤への応用はもちろんのこと、トナー(特開昭56−6
4349号公報、特開昭59−148066号公報、島
田仁章,槙野勝昭,須田康晴、三菱重工技報、Vol.34,
No.2, 80-83)、塗料(特開昭57−65704号公
報、特開昭54−54164号公報)、化粧品・香料
(特開昭60−224604号公報、特開昭61−15
811号公報)、土木・建築(特公昭58−34818
号公報、特公昭56−113382号公報)、農薬(特
開昭61−115006号公報)、食品(特開昭59−
21334号公報)、医薬品用材料(特公昭57−19
7214号公報、特公昭59−10512号公報)とし
て幅広く実用化されており、近年ではがん治療、人工細
胞、人工臓器用材料としての応用が検討されている(後
藤 茂、川田昌和、中村正宏、青山敏信、薬学雑誌、19
85, 105(11) 1087-1095, Indian J. Pharm. Sci., 55
(6), 1993 221-224, R. H. Li, Advanced Drug Deliver
y Reviews, 1998, 33, 87-109)。
全性・高機能・高性能化・経済性といった観点から、外
部刺激によって芯物質の放出量が制御できる機能を有す
る高性能マイクロカプセルが望まれるようになってき
た。これは、1)内包薬物を長期にわたってその効力を
発揮させる、2)内包薬物が効力を発揮する必要最小限
の濃度がフィールド内で常に一定に保たれるようにする
事で安全性をより高める、3)内包薬物を必要な時に、
必要なものを、必要な量だけ放出できるようにする、と
いった機能をマイクロカプセルに付与させることで経済
性・安全性をより向上させようという狙いである。
し終えた空のマイクロカプセルは通常フィールド内に残
渣として残ってしまうので、その役目を終えた空のマイ
クロカプセルは分解などによりフィールド中から除去さ
れるような分解性を有する高分子材料である方が好まし
い。
物としてポリ乳酸・ポリラクトンなどの脂肪族ポリエス
テルが挙げられる。脂肪族ポリエステルは生分解性材料
として良く知られているが、酸やアルカリ環境下で比較
的容易に加水分解することから、残渣を残さないマイク
ロカプセル用高分子材料として着目され、この高分子材
料を用いたマイクロカプセルに関する研究が非常に盛ん
である(K. Makino, H. Ohshima and T. Kondo, J. Mic
roencapsulation, 1987, Vol.4, No.1, 47-56,R. Bodme
ier and J. W. McGinity, International J. Pharmaceu
tics, 1988, 43, 179-186, K. Hong, S. Park, Polyme
r, 2000, 41, 4567-4572)。特に、ポリ乳酸、ポリ乳酸
−ポリグリコール酸共重合体は生体適合性、生体内分解
性、粒子成形性に優れていることから、ドラッグ・デリ
バリー・システム(DDS)製剤用材料としての応用が
期待されている(Y. Ogawa, H. Okada, T. Heya and T.
Shimamoto, J. Pharm. Pharmacol. 41, 1989 439-444,
Y. Ogawa, Drug DeliverySystem 15-5, 2000 429-436,
B. H. Woo, J. W. Kostanski, S. Gebrekidan, B. A.
Dani, B. C. Thanoo, P. P. DeLuca, J. Controlled Re
lease 75, 2001 307-315)。
プセルにおける内包薬物の放出は、内包薬物が外壁膜内
を拡散することによって起こる。したがって、薬物の放
出速度は粒子径や外壁膜厚に大きく依存することになる
(K. Suzuki and J. C. Price, J. Pharmaceutical Sci
ence, 1985, Vol.74 No.1 21-24)。また、ポリラクチ
ド・ポリラクトンなどの脂肪族ポリエステルのような分
解性高分子の場合は高分子の分解速度も薬物放出挙動に
大きく依存する。脂肪族ポリエステルの加水分解は酸や
アルカリの濃度・温度・分子量・共重合組成などに依存
するから(R. A. Miller, J. M. Brady, D. E. Cutrigh
t, J. Biomed. Mater. Res., 1997, 11,711-719, Y. Og
awa, M. Yamamoto, T. Shimamoto, Chem. Pharm. Bul
l., 1988,36, 2576-2581, T. Tice, D. R. Cowsar,Phar
maceutical Technol., 1984, Nov., 26-35)、内包薬物
の放出制御は粒子径、外壁膜厚、酸・アルカリ濃度、温
度、分子量、共重合組成等を制御しなければならず、こ
れは非常に煩雑且つ困難である。仮に内包薬物の放出が
制御できたとしても、限られた範囲内での制御しかでき
ないと考えられ、必要な時に必要な量だけ放出させると
いった高度な放出速度制御は脂肪族ポリエステル単独で
は非常に困難であると考えられる。
るためには高分子化合物やマイクロカプセルの構造に何
らかの工夫が必要になってくる。例えばひとつの試みと
して、pHによって高分子化合物の溶解性が変化するい
わゆるpH応答性高分子化合物から成るマイクロカプセ
ルを用いて、pHの変化によって内包されている薬物の
放出量あるいは放出速度を制御しようといった試みがな
されており、多くの研究報告がなされている(特開平1
0−113553号公報、 Y. Okahata, K. Ozaki, and
T. Seki, J. Chem. Soc. Commun., 1984 519-521, S.
Goto, M. Kawata, M. Nakamura, K. Maekawa and T. Ao
yama, J. Microencapsulation, 1986, Vol.3, No.4 305
-316, Y. Okahata, H. Noguchi, and T. Seki, Macromo
lecules,20, 1987 15-21, E. Kokufuta, Bioseparatio
n, 1999, 7, 241-252)。中でも脂肪族ポリエステルを
ベースとしたマイクロカプセル表面にポリエチレンイミ
ンを吸着させ、このポリエチレンイミンのpHに対する
溶解性変化によってpH応答性を発現させ、高度な放出
制御を実現させようといった報告がなされている(K. K
ono, F. Tabata and T. Takagishi, J. Membrane Scien
ce, 1993, 76 233-243, K. Makino, PHARM TECH JAPAN
Vol.10 No.8, 1994 61-68)。この方法で得られるマイ
クロカプセルは二種類の高分子化合物を用いて二層構造
をとらせる必要があり、このことからマイクロカプセル
の調製工程は、「マイクロカプセル調製」と「pH応答
性高分子の吸着」といった一つ多くの調製工程が必要と
なる。好ましくはひとつの高分子化合物でpH応答性と
分解性を併せ持つ高分子化合物でマイクロカプセルを形
成する方が良い。しかしながら、生分解性を有し、且つ
pH応答性を有するようなマイクロカプセル用高分子材
料は見出されていない。
アミノ基を有する脂肪族エステル鎖をグラフト鎖とする
グラフト共重合体をマイクロカプセル用外壁材料とした
新規pH応答性マイクロカプセルを提供することを課題
とする。
明の第1の態様は、脂肪族ポリエステルの一方の末端に
重合反応性二重結合を有すると共に他方の末端にアミノ
基を有し且つ下記一般式(1)で示されるマクロモノマ
ーを主成分とする高分子化合物から調製されることを特
徴とするpH応答性マイクロカプセルにある。
トアニオンを失活させない有機基を表し、R2は炭化水
素基を表し、R3、R4、R5、R6はそれぞれ炭化水
素基又はアルコラートアニオンを失活させない有機基を
表し、R4は存在しなくてもよい。また、mは整数を表
す。)
て、前記高分子材料が、下記一般式(2)で示されるマ
クロモノマーを主成分とすることを特徴とするpH応答
性マイクロカプセルにある。
す。)
において、前記高分子材料が、中性・アルカリ性下では
疎水性を示し且つ酸性下では親水性を示すことを特徴と
するpH応答性マイクロカプセルにある。
ルを側鎖とすると共に当該側鎖の末端にアミノ基を有し
且つ下記一般式(3)及び(4)で示される繰り返し単
位を含むグラフト共重合体を主成分とする高分子化合物
から調製されることを特徴とするpH応答性マイクロカ
プセルにある。
トアニオンを失活させない有機基を表し、R2は炭化水
素基を表し、R3、R4、R5、R6はそれぞれ炭化水
素基又はアルコラートアニオンを失活させない有機基を
表し、R4は存在しなくてもよい。また、mは整数を表
す。)
て、前記高分子化合物が、下記一般式(5)及び(6)
で示される繰り返し単位を含むグラフト共重合体を主成
分とすることを特徴とするpH応答性マイクロカプセル
にある。
す。)
において、前記高分子化合物が、中性・アルカリ性下で
は疎水性を示し且つ酸性下では親水性を示すことを特徴
とするpH応答性マイクロカプセルにある。
の態様のpH応答性マイクロカプセルには薬物が内包さ
れており、中性・アルカリ性環境下では薬物の放出を抑
え、酸性環境下では薬物を放出させることのできること
を特徴とするpH応答性マイクロカプセルにある。
意研究の結果、脂肪族ポリエステルの末端に重合反応性
二重結合を有し且つ他末端にはアミノ基を有するマクロ
モノマー、又はエステル系モノマーから形成される高分
子構造を主鎖とし且つ脂肪族ポリエステルを側鎖とする
と共にこの側鎖末端にアミノ基を有するグラフト共重合
体の何れかをマイクロカプセル外壁材として応用したも
のでありこのマクロモノマーあるいはこのマクロモノマ
ーを主成分とする重合体とグラフト共重合体は、側鎖に
脂肪族ポリエステルを有しているので生分解性が期待で
き、且つ側鎖末端にアミノ基を有していることからpH
に応じて水に対する溶解性が変化することも同時に期待
できるという知見に基づいたものである。つまり、この
マクロモノマー又はグラフト共重合体を用いた高分子化
合物マイクロカプセル用外壁材に適用すればアルカリ性
環境下では疎水性が強くなることで水が浸入しにくくな
り、結果として加水分解が抑制される。酸性環境下では
グラフト共重合体は親水性が強くなることで水が浸入し
やすくなり、結果として加水分解が促進される。上記予
想によりpHに応じてマイクロカプセル内の薬剤をコン
トロールリリースできるものと考えられる。また、これ
ら高分子化合物は、側鎖が脂肪族ポリエステルであるこ
とから、加水分解によって水溶性モノマーとなること、
主鎖も同様に加水分解によって水溶性となることから、
空のマイクロカプセルがそのまま系中に留まらず、容易
に除去することが期待できる。
ポリラクチドと側鎖にアミノ基あるいはカルボキシル基
を有するポリアミドとのブロック共重合体の合成及びこ
の共重合体を用いた、表面に正電荷あるいは負電荷を有
する微粒子の調製に関する報告がなされているが、pH
応答性に関する報告はなされていない(T. Ouchi, M.To
yohara, H. Arimura, and Y. Ohya, Biomacromolecules
Communications 2002, A, PAGE EST: 3.2)。
セルの外壁材となる「マクロモノマーを主成分とする高
分子化合物」とは、オリゴマーであるマクロモノマーそ
のもの、マクロモノマーと他のオリゴマーとがブレンド
されたもの、マクロモノマーを単独で重合したもの、又
はマクロモノマーと他のモノマーとを共重合したもの、
又はこの単独重合したもの若しくは共重合したものに他
の高分子をブレンドしたもの、さらには以上の材料を三
次元架橋したものなどをいい、重合反応や三次元架橋反
応はマイクロカプセル化した後行ったものも含まれる。
また、「グラフト共重合体を主成分とする高分子化合
物」とは、グラフト共重合体そのもの、グラフト共重合
体と他の高分子とをブレンドしたもの、さらにはこれら
を共重合したもの、さらにこれらを三次元架橋したもの
などをいい、共重合や三次元架橋はマイクロカプセル化
した後、事後的に行ったものも含まれる。
カプセル、すなわち、マクロモノマーまたはグラフト共
重合体を外壁材としたマイクロカプセルの調製方法とし
ては、これまでに良く知られている既知のマイクロカプ
セル調製方法、例えば、化学的製法、物理化学的製法、
物理的・機械的製法、以上三手法に大別される調製方法
(鷺谷昭二郎、加工技術、Vol.25, No.3, 157-165, T.
Kondo, J. Oleo Sci.,2001, Vol.50 No.1 1-11)の何れ
かを採用することができ、本発明のpH応答性マイクロ
カプセルを容易に形成させることができる。
カプセルを調製する場合、マクロモノマーには重合反応
性二重結合が存在するから化学的製法の中のin si
tu重合法による調製法が利用できるが、このとき、マ
クロモノマー単独で重合された高分子化合物からなるマ
イクロカプセルが調製されることはもちろんのこと、他
の重合反応性モノマーを添加して共重合させた高分子化
合物からなるマイクロカプセルを調製することもでき
る。添加させる重合反応性モノマーはマクロモノマーと
共重合するモノマーであれば特に限定されず、例えばジ
エン系、スチレン系、(メタ)アクリレート系、アクリ
ルアミド系モノマーなどが挙げられる。
媒を用いても用いなくても微粒子を成形させることがで
きる。ここで、有機溶媒を用いる場合には、水相に微小
な油滴を形成させる必要上有機溶媒が用いられるが、マ
クロモノマーや重合反応性モノマーを溶解し且つ水と相
溶しない有機溶媒であれば特に限定されない。有機溶媒
はマイクロカプセル調製後除去しなければならないの
で、塩化メチレンなどのような比較的低沸点の疎水性有
機溶媒がより好ましい。
て重合を開始させる重合開始剤、生成するマイクロカプ
セルの粒径調整や生成粒子の分散安定性を向上させる目
的で界面活性剤が添加される。ここで用いられる重合開
始剤はラジカルを発生させるラジカル重合開始剤であれ
ば特に限定されず、例えば、アゾ系、過酸化物系、過硫
酸塩系、レドックス系、ベンゾイン系等が挙げられる。
界面活性剤においてもカチオン系、アニオン系、ノニオ
ン系界面活性剤が利用できるが、ポリビニルアルコール
やポリエチレングリコールなどのノニオン系界面活性剤
単独かもしくはイオン系界面活性剤とノニオン系界面活
性剤との複合使用が好ましい。
化合物又はグラフト共重合体を主成分とする高分子化合
物からなるマイクロカプセルは物理化学的製法によって
も調製することができる。物理化学的手法には多数調製
法があるが、代表的な調製法としては液中乾燥法や相分
離法が挙げられる。液中乾燥法を適用した場合、マクロ
モノマーあるいはグラフト共重合体を疎水性有機溶媒に
溶解させ、適当な界面活性剤と分散安定剤が溶解された
水に分散させて微小な油滴、いわゆるO/Wエマルジョ
ンを形成せしめ、必要に応じて加熱処理あるいは減圧乾
燥処理によって疎水性有機溶媒を除去することによって
マイクロカプセルが調製される。更にこの手法を応用し
て複合エマルジョン、いわゆるW/O/Wエマルジョン
を形成させてマイクロカプセルを調製することもでき
る。ここで用いられる有機溶媒はマクロモノマー及びそ
の重合体あるいはグラフト共重合体が溶解し且つ水と相
溶しない有機溶媒であれば特に限定されない。有機溶媒
はマイクロカプセル調製後除去しなければならないの
で、塩化メチレンなどのような比較的低沸点の疎水性有
機溶媒がより好ましい。
形成させる際、エマルジョンの粒径調整や分散安定性を
向上させる目的で界面活性剤が添加される。界面活性剤
としてカチオン系、アニオン系、ノニオン系界面活性剤
が利用できるが、ポリビニルアルコールやポリエチレン
グリコールなどのノニオン系界面活性剤単独かもしくは
イオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤との複合使
用が好ましい。
はグラフト共重合体は新規化合物であり、下記に示す新
規な方法により製造されるが、これらの製造方法により
得られたものに限定されるものではないことはいうまで
もない。
ト共重合体は、好適には、これまで脂肪族ポリエステル
合成反応の際の副反応として忌み嫌われてきたエステル
交換反応を積極的に利用したアニオン重合により、官能
基を末端に有する脂肪族ポリエステル鎖をグラフト鎖と
する新規グラフト共重合体、又は一方の末端に重合反応
性二重結合を有し且つ他方の末端に官能基を有する新規
脂肪族ポリエステルマクロモノマーを、ワンポットで合
成できるという新たな知見により完成されたものであ
る。これにより、脂肪族ポリエステル化合物の更なる高
機能化・高性能化が可能となり、これまで導入すること
が困難であったアミノ基、チオアルコラート基を官能基
として有する脂肪族ポリエステルマクロモノマー及び脂
肪族ポリエステルを側鎖として有するグラフト共重合体
を容易に合成することができる。
(2)で示されるマクロモノマーを合成するには、環状
エステルと、一方の末端に重合反応性二重結合を有する
と共に他方の末端に他化合物と反応可能な官能基を有す
るエステル化合物とを、開始剤を用いてアニオン重合す
る。
1〜R7は上述した通りである。
ラクチドであり、開環してR2を含む繰り返し単位を構
成するものであればよい。
β−プロピオンラクトン、β−ブチロラクトン、ピバロ
ラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレ
ロラクトン、ε−カプロラクトンなどを挙げることがで
きる。また、ラクチドとしては、グリコリド、ラクチド
などを挙げることができる。
有すると共に他方の末端に他化合物と反応可能な官能基
を有するエステル化合物は、分子中にエステル結合を有
し、一方の末端に重合反応性二重結合を有すると共に他
方の末端に他化合物と反応可能な官能基を有するもので
あれば特に限定されない。なお、官能基としては、具体
的には、上述したアミノ基、チオアルコラート基又はア
ルコラート基を挙げることができる。
アクリル酸エステル((メタ)アクリレート化合物)を
挙げることができ、これを用いた場合には、上記一般式
(2)に示されるマクロモノマーを合成することができ
る。
物とをアニオン重合させる開始剤は、アニオン重合を開
始するものであれば特に限定されないが、具体的には、
アルコラートアニオンを発生させるアニオン重合開始剤
を挙げることができる。アルコラートアニオンを発生さ
せるアニオン重合開始剤としては、リチウムエトキシ
ド、リチウムベンジルアルコラート、カリウムメトキシ
ド、カリウムベンジルアルコラート、ナトリウムエトキ
シド、ナトリウムベンジルアルコラートなどを挙げるこ
とができる。
を示しながらさらに具体的に説明する。なお、このマク
ロモノマーの合成は、アニオン重合可能な環境下で、ワ
ンポットにて行うことができる。
ジルアルコールとn−ブチルリチウムとをTHF中で反
応させることにより、アニオン重合開始剤として、リチ
ウムベンジルアルコラートを得る。
クリレート(AMA)及びε−カプロラクトンを添加す
ると、反応式(S2)に示すように、ベンジルアルコラ
ートアニオンを開始剤として、AMAに優先してε−カ
プロラクトンが開環重合し、ポリ−(又はオリゴ−)ε
−カプロラクトンのアルコラートアニオンが生成する。
リ−(又はオリゴ−)ε−カプロラクトンのアルコラー
トアニオンとAMAとのエステル交換反応により、ポリ
−(又はオリゴ−)ε−カプロラクトンの成長末端に
(メタ)アクリロイル基が導入され、AMAの残基がア
ルコラートアニオン(以下、アミノアルコラートアニオ
ンという)となる。
剤となってε−カプロラクトンを開環重合し、末端にア
ミノ基を有するポリ−(又はオリゴ−)ε−カプロラク
トンのアルコラートアニオンが生成し(反応式(S
4))、このアルコラートアニオンとAMAとのエステ
ル交換反応により成長末端に(メタ)アクリロイル基が
導入されて目的のマクロモノマー及びアミノアルコラー
トアニオンが生成する(反応式(S5))。なお、マク
ロモノマーと共に生成したアミノアルコラートアニオン
が開始剤となって反応式(S4)及び(S5)が繰り返
される。
マーの合成方法では、エステル交換反応を利用したアニ
オン重合により、脂肪族ポリエステルの一方の末端に重
合反応性二重結合を有すると共に他方の末端に他化合物
と反応可能な官能基を有するマクロモノマーをワンポッ
トにて合成することができる。
及び(4)又は一般式(5)及び(6)で示される繰り
返し単位を含むグラフト共重合体を合成するには、環状
エステルと、アニオン重合を阻害しない主鎖及び末端に
他化合物と反応可能な官能基を含むと共にエステル結合
を含む側鎖を有する重合体とを、開始剤を用いてアニオ
ン重合する。
(5)、(6)のR1〜R7は上述した通りである。
もマクロモノマーの合成方法で用いるものと同様であ
る。
末端に他化合物と反応可能な官能基を有し且つエステル
結合を含む側鎖を有する重合体とは、末端にアミノ基、
チオアルコラート基又はアルコラート基などの官能基を
有し且つエステル結合を含む側鎖を具備するものであれ
ば特に限定されない。
官能基を有するポリ−又はオリゴ−(メタ)アクリレー
トを挙げることができ、これを用いた場合には、上記一
般式(5)及び(6)の繰り返し単位を含むグラフト共
重合体を合成することができる。
は、ラジカル重合で合成したものでも、アニオン重合に
より合成したものでもよく、合成方法は特に限定されな
いが、アニオン重合により合成する場合には、本発明の
グラフト重合を、続けてワンポットで行うことができる
という利点がある。
方法を一例を示しながらさらに具体的に説明する。な
お、この合成は、原料の重合体をアニオン重合し、続け
て本発明に係るグラフト重合を、ワンポットにて行う場
合を例として説明する。
1,1−ジフェニルエチレンとn−ブチルリチウムとを
THF中で反応させることにより、アニオン重合開始剤
として、ジフェニルヘキシルリチウムを得る。
クリレート(AMA)を添加すると、反応式(S12)
に示すように、ジフェニルヘキシルリチウムを開始剤と
して、AMAの二重結合にジフェニルヘキシル基が導入
されたAMAカルボアニオンが生成し、このアニオンが
AMAと順次重合し、反応式(S13)に示すように、
ポリ−(又はオリゴ−)AMAカルボアニオンが生成す
る。
重合停止剤としてベンジルアルコールを添加すると、ポ
リ−(又はオリゴ−)AMAが生成し、さらに、次のグ
ラフト重合の開始剤となるリチウムベンジルアルコラー
トが生成する。
反応式(S15)に示すように、ベンジルアルコラート
アニオンを開始剤として、ポリ−(又はオリゴ−)AM
A共存下でε−カプロラクトンが開環してベンジルオキ
シ基が導入されたε−カプロラクトンのアルコラートア
ニオンが生成し、反応式(S16)に示すように、順次
ε−カプロラクトンが開環付加してポリ−(又はオリゴ
−)ε−カプロラクトンのアルコラートアニオンが生成
する。
ポリ−(又はオリゴ−)ε−カプロラクトンのアルコラ
ートアニオンとポリ−(又はオリゴ−)AMAの側鎖の
エステル結合とのエステル交換反応により、ポリ−(又
はオリゴ−)AMAの側鎖に、末端にベンジルオキシ基
を有するポリ−(又はオリゴ−)ε−カプロラクトンが
導入され、同時に、リチウムジメチルアミノエチルアル
コラートが生成する。
チウムジメチルアミノエチルアルコラートが開始剤とな
って、反応式(S15)及び(S16)と同様に、ε−
カプロラクトンが開環重合し、今度は、末端にアミノ基
を有するポリ−(又はオリゴ−)ε−カプロラクトンの
アルコラートアニオンが生成し、続いて、反応式(S1
9)に示すように、反応式(S17)と同様に、末端に
アミノ基を有するポリ−(又はオリゴ−)ε−カプロラ
クトンのアルコラートアニオンとポリ−(又はオリゴ
−)AMAの側鎖のエステル結合とのエステル交換反応
により、ポリ−(又はオリゴ−)AMAの側鎖に、末端
にアミノ基を有するポリ−(又はオリゴ−)ε−カプロ
ラクトンが導入され、同時に、リチウムジメチルアミノ
エチルアルコラートが生成する。
チウムジメチルアミノエチルアルコラートが開始剤とな
って、ε−カプロラクトンが開環重合して末端にアミノ
基を有するポリ−(又はオリゴ−)ε−カプロラクトン
のアルコラートアニオンが生成し、さらに、反応式(S
20)に示すように、末端にアミノ基を有するポリ−
(又はオリゴ−)ε−カプロラクトンのアルコラートア
ニオンとポリ−(又はオリゴ−)AMAの側鎖のエステ
ル結合とのエステル交換反応により、ポリ−(又はオリ
ゴ−)AMAの側鎖に、末端にアミノ基を有するポリ−
(又はオリゴ−)ε−カプロラクトン基が導入され、同
時に、リチウムジメチルアミノエチルアルコラートが生
成し、これらが繰り返される。
グラフト重合体を得ることができる。
記一般式(3)及び(4)又は一般式(5)及び(6)
に示される繰り返し単位を含み、側鎖末端にアミノ基を
有する新規なグラフト重合体を得ることができる。な
お、かかるグラフト共重合体は、このような方法により
合成する他、上述した本発明のマクロモノマーを重合さ
せることによっても得ることができる。
めに、以下に実施例を示すが、本発明はこれら実施例に
よって制限を受けるものではない。
メタクリロイル基を有するポリ(ε−カプロラクトン)
の合成 室温下、アルゴンガスで置換した50mLのガラス製受
器に溶媒である蒸留精製したテトラヒドロフランを20
mL、蒸留精製したベンジルアルコールを0.04m
L、n−ブチルリチウムの1.46mol/Lヘキサン
溶液を0.26mL加え、10分間メタル化を行い、ア
ニオン重合開始剤であるアルコラートアニオンを調製し
た。その後、ヨウ化リチウムの0.98mol/Lテト
ラヒドロフラン溶液を2.0mL、蒸留したε−カプロ
ラクトン1.6mLと蒸留した2−(ジメチルアミノ)
エチルメタクリレート2.4mLを同時に加え、室温下
で重合させた。
ン溶液を蒸留水中に沈殿させ、吸引ろ過・減圧乾燥後、
ベンゼンによる凍結乾燥を行い、重合生成物を回収し
た。
エーション・クロマトグラフィー(GPC)測定を行っ
たところ、数平均分子量は5700、分散度(Mw/M
n)は1.89であった。
R測定を行い目的物が生成していることを確認した。な
お図1にGPC溶出曲線を、図2に1H−NMR測定結
果を示す。
ン鎖を側鎖として有するグラフト共重合体の合成 −35℃下、アルゴンガスで置換した100mLのガラ
ス製受器に溶媒である蒸留精製したテトラヒドロフラン
を40mL、1,1−ジフェニルエチレンを0.08m
L、塩化リチウムのテトラヒドロフラン0.68mol
/L溶液を0.062mL、n−ブチルリチウムのヘキ
サン溶液1.46mol/Lを0.26mL入れ、アニ
オン重合開始剤である1,1−ジフェニルヘキシルリチ
ウムを調製した。
ノ)エチルメタクリレートを2.0mL加えて60分重
合させた後、蒸留精製したベンジルアルコールを加えて
カルバニオンを失活させると同時にベンジルアルコラー
トアニオンを生成させた。これに蒸留精製したε−カプ
ロラクトン14.4mLを3回に分けて投入し、合計1
50分間反応させた後、酢酸/テトラヒドロフラン混合
溶液を加えて重合反応を停止させた。重合生成物のテト
ラヒドロフラン溶液をメタノール中に沈殿させ、吸引ろ
過・減圧乾燥後、ベンゼンによる凍結乾燥を行い、重合
生成物を回収した。
[2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート]と、
ε−カプロラクトンを添加した後に得られた重合生成物
におけるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー
(GPC)測定を行った。その結果、添加前の重合生成
物の数平均分子量は約5300、分散度(Mw/Mn)
は1.05であり、添加後の重合生成物の数平均分子量
は約22000、分散度(Mw/Mn)は2.43であ
った。なお、図3にε−カプロラクトンの添加前と添加
後の重合生成物のGPC溶出曲線を示す。
−ジメチルアミノエチルメタクリレート)−g−ポリ
(ε−カプロラクトン){Poly(AMA)−g−P
oly(ε−CL)}グラフト共重合体を0.113g
秤量し、塩化メチレン2.4mLで溶解させた。
百分率(wt/v%)のポリビニルアルコール(PV
A)水溶液30mLを量り取り、攪拌機を用いて攪拌速
度450r.p.m.で攪拌しながら、上記したPol
y(AMA)−g−Poly(ε−CL)グラフト共重
合体の塩化メチレン溶液をガラス製ピペットを用いて滴
下した。攪拌は室温下で行われ、溶媒を除去するために
滴下開始から3時間継続して行った。
留水で洗浄を行った後、24時間減圧乾燥を行った。
MA)−g−Poly(ε−CL)グラフト共重合体を
0.112g秤量し、塩化メチレン2.4mLで溶解さ
せた。
のPVA水溶液50mLを量り取り、攪拌機を用いて攪
拌速度1000r.p.m.で攪拌しながら、上記した
Poly(AMA)−g−Poly(ε−CL)グラフ
ト共重合体の塩化メチレン溶液をガラス製ピペットを用
いて滴下した。攪拌は室温下で行われ、溶媒を除去する
ために滴下開始から3時間継続して行った。
m.、20分間)にて生成物を回収し、蒸留水で洗浄を
行った後、24時間減圧乾燥を行った。
MA)−g−Poly(ε−CL)グラフト共重合体を
0.113g秤量し、塩化メチレン2.4mLで溶解さ
せた。
のPVA水溶液50mLを量り取り、攪拌機を用いて攪
拌速度3000r.p.m.で攪拌しながら、上記した
Poly(AMA)−g−Poly(ε−CL)グラフ
ト共重合体の塩化メチレン溶液をガラス製ピペットを用
いて滴下した。攪拌は室温下で行われ、溶媒を除去する
ために滴下開始から30分継続して行った。
m.、20分間)にて生成物を回収し、蒸留水で洗浄を
行った後、24時間減圧乾燥を行った。
MA)−g−Poly(ε−CL)グラフト共重合体を
0.113g秤量し、塩化メチレン2.4mLで溶解さ
せた。
のPVA水溶液50mLを量り取り、攪拌機を用いて攪
拌速度5000r.p.m.で攪拌しながら、上記した
Poly(AMA)−g−Poly(ε−CL)グラフ
ト共重合体の塩化メチレン溶液をガラス製ピペットを用
いて滴下した。攪拌は室温下で10分間行われ、溶媒を
除去するためにマグネチックスターラーを用いて一昼夜
ゆっくり攪拌させた。
m.、20分間)にて生成物を回収し、蒸留水で洗浄を
行った後、24時間減圧乾燥を行った。
MA)−g−Poly(ε−CL)グラフト共重合体を
0.115g秤量し、塩化メチレン2.4mLで溶解さ
せた。
のPVA水溶液50mLを量り取り、攪拌機を用いて攪
拌速度10000r.p.m.で攪拌しながら、上記し
たPoly(AMA)−g−Poly(ε−CL)グラ
フト共重合体の塩化メチレン溶液をガラス製ピペットを
用いて滴下した。攪拌は室温下で10分間行われ、溶媒
を除去するためにマグネチックスターラーを用いて一昼
夜ゆっくり攪拌させた。
m.、20分間)にて生成物を回収し、蒸留水で洗浄を
行った後、24時間減圧乾燥を行った。
察又は走査型電子顕微鏡観察を行い、その外観の観察と
粒子径測定を行った。平均粒径は光学顕微鏡観察又は走
査型電子顕微鏡観察より得られた写真から無作為抽出し
た粒子100個の粒径を求め、このデータから平均値を
算出することによって求めた。
学顕微鏡写真を示した。表1には実施例1〜5で行われ
た粒子調製実験における調製条件と各実験で得られた粒
子の平均粒径を示した。図5には各実験で設定した攪拌
の回転数と得られた粒子の平均粒径との関係を示した。
験で得られた生成物はほぼ球形の形状を形成しているこ
とが確認された。また、得られた粒子の粒径は調製時の
攪拌回転数が速くなるに伴って小粒径化し、その平均粒
径は調製時の攪拌回転数の逆数に対し、ほぼ比例関係に
あることが分かった。
MA)−g−Poly(ε−CL)グラフト共重合体
0.111gと蛍光物質であるピレン1.3×10−4
gをそれぞれ秤量し、塩化メチレン2.4mLで溶解さ
せた。
PVA水溶液30mLを量り取り、攪拌機を用いて攪拌
速度450r.p.m.で攪拌しながら、上記したPo
ly(AMA)−g−Poly(ε−CL)グラフト共
重合体とピレンの塩化メチレン溶液をガラス製ピペット
を用いて滴下した。溶媒を除去するために、攪拌は室温
下で3時間行った。
蒸留水で洗浄を行った後、室温下で24時間減圧乾燥を
行った。
る蛍光物質内抱率の算出 50mLビーカーに実施例6で調製されたピレン内包マ
イクロカプセルを6.16×10−3g秤量し、塩化メ
チレンを20mL加えて攪拌・溶解させた。
0nmにおける蛍光波長373nmの蛍光強度を求め、
あらかじめ作成しておいたピレン濃度と蛍光強度の検量
線から内包されていたピレンの濃度を求め、この値をピ
レン仕込量で除することによって内抱率を算出した。
マイクロカプセルにおけるピレンの内抱率は18%であ
ることを確認した。
る蛍光物質放出挙動 実施例6で調製された蛍光物質であるピレンが内包され
たマイクロカプセルを用いて酸性・中性・アルカリ性環
境下でのピレンの放出挙動について調べた。
ム/塩酸緩衝液;pH=2.16、リン酸水素ナトリウ
ム/リン酸二水素ナトリウム緩衝液;pH=6.97、
塩化カリウム/水酸化ナトリウム緩衝液;pH=12.
35)各40mLにピレン内包マイクロカプセルをそれ
ぞれ5.37×10−3g、5.07×10−3g、
4.70×10−3g加えた。各サンプルから所定時間
ごと(1日後、2日後、3日後、5日後)に4mLずつ
サンプリングし、これを3600r.p.m.で15分
間遠心分離して不溶分を除去し、得られた上澄み液を回
収した後、蛍光強度測定を行った。測定で得られた蛍光
強度から検量線よりピレンの濃度を算出した。
で求めたピレン内抱率から算出できるピレンの重量よ
り、100%放出された時のピレンの濃度を算出し、こ
の値で上記測定値より求められたピレンの濃度を除する
ことによりピレンの放出率を算出した。
における実験結果を、図6には各緩衝液下におけるピレ
ン放出率の経時変化を示した。表2及び図6より、グラ
フト共重合体から成るマイクロカプセルは中性又はアル
カリ性下では内包物質であるピレンの放出量は比較的少
量であるのに対し、酸性環境下では大量のピレンを放出
することが確認された。
ポリエステルの末端に重合反応性二重結合を有し且つ他
末端にはアミノ基を有するマクロモノマー、又はエステ
ル系モノマーから形成される高分子構造を主鎖とし且つ
脂肪族ポリエステルを側鎖とすると共にこの側鎖末端に
アミノ基を有するグラフト共重合体の何れかをマイクロ
カプセル外壁材として応用したものであり、かかるマイ
クロカプセルは、アルカリ性環境下では疎水性が強くな
ることで水が浸入しにくくなり、結果として加水分解が
抑制され、酸性環境下ではグラフト共重合体は親水性が
強くなることで水が浸入しやすくなり、結果として加水
分解が促進されるという効果を奏し、さらに、側鎖が脂
肪族ポリエステルであることから、加水分解によって水
溶性モノマーとなること、主鎖も同様に加水分解によっ
て水溶性となることから、空のマイクロカプセルがその
まま系中に留まらず、容易に除去することが期待でき
る。
る。
子)の光学顕微鏡写真である。
時の攪拌回転数と生成粒子の平均粒径との関係を示す図
である。
レン放出率の経時変化を示す図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 脂肪族ポリエステルの一方の末端に重合
反応性二重結合を有すると共に他方の末端にアミノ基を
有し且つ下記一般式(1)で示されるマクロモノマーを
主成分とする高分子化合物から調製されることを特徴と
するpH応答性マイクロカプセル。 【化1】 (但し、R1は炭化水素基又はアルコラートアニオンを
失活させない有機基を表し、R2は炭化水素基を表し、
R3、R4、R5、R6はそれぞれ炭化水素基又はアル
コラートアニオンを失活させない有機基を表し、R4は
存在しなくてもよい。また、mは整数を表す。) - 【請求項2】 請求項1において、前記高分子材料が、
下記一般式(2)で示されるマクロモノマーを主成分と
することを特徴とするpH応答性マイクロカプセル。 【化2】 (但し、R7は水素又はメチル基を表す。) - 【請求項3】 請求項1又は2において、前記高分子材
料が、中性・アルカリ性下では疎水性を示し且つ酸性下
では親水性を示すことを特徴とするpH応答性マイクロ
カプセル。 - 【請求項4】 脂肪族ポリエステルを側鎖とすると共に
当該側鎖の末端にアミノ基を有し且つ下記一般式(3)
及び(4)で示される繰り返し単位を含むグラフト共重
合体を主成分とする高分子化合物から調製されることを
特徴とするpH応答性マイクロカプセル。 【化3】 【化4】 (但し、R1は炭化水素基又はアルコラートアニオンを
失活させない有機基を表し、R2は炭化水素基を表し、
R3、R4、R5、R6はそれぞれ炭化水素基又はアル
コラートアニオンを失活させない有機基を表し、R4は
存在しなくてもよい。また、mは整数を表す。) - 【請求項5】 請求項4において、前記高分子化合物
が、下記一般式(5)及び(6)で示される繰り返し単
位を含むグラフト共重合体を主成分とすることを特徴と
するpH応答性マイクロカプセル。 【化5】 【化6】 (但し、R7は水素又はメチル基を表す。) - 【請求項6】 請求項4又は5において、前記高分子化
合物が、中性・アルカリ性下では疎水性を示し且つ酸性
下では親水性を示すことを特徴とするpH応答性マイク
ロカプセル。 - 【請求項7】 請求項1〜6の何れかのpH応答性マイ
クロカプセルには薬物が内包されており、中性・アルカ
リ性環境下では薬物の放出を抑え、酸性環境下では薬物
を放出させることができることを特徴とするpH応答性
マイクロカプセル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002242274A JP2003200035A (ja) | 2001-08-22 | 2002-08-22 | pH応答性マイクロカプセル |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001-252085 | 2001-08-22 | ||
JP2001252085 | 2001-08-22 | ||
JP2002242274A JP2003200035A (ja) | 2001-08-22 | 2002-08-22 | pH応答性マイクロカプセル |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003200035A true JP2003200035A (ja) | 2003-07-15 |
Family
ID=27666245
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002242274A Pending JP2003200035A (ja) | 2001-08-22 | 2002-08-22 | pH応答性マイクロカプセル |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003200035A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005122758A1 (en) * | 2004-06-14 | 2005-12-29 | Monsanto Technology Llc | Microcapsules having activated release of core material therein |
JP2006255536A (ja) * | 2005-03-15 | 2006-09-28 | Trans Parent:Kk | pH応答性マイクロカプセルの調製方法 |
WO2019181668A1 (ja) * | 2018-03-23 | 2019-09-26 | 富士フイルム株式会社 | マイクロカプセル含有組成物、洗濯組成物、デイケア組成物及びヘアケア用組成物 |
CN113249970A (zh) * | 2021-04-20 | 2021-08-13 | 西安理工大学 | 环境响应性超疏水-亲水可逆转化材料表面的制备方法 |
-
2002
- 2002-08-22 JP JP2002242274A patent/JP2003200035A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2005122758A1 (en) * | 2004-06-14 | 2005-12-29 | Monsanto Technology Llc | Microcapsules having activated release of core material therein |
JP2006255536A (ja) * | 2005-03-15 | 2006-09-28 | Trans Parent:Kk | pH応答性マイクロカプセルの調製方法 |
WO2019181668A1 (ja) * | 2018-03-23 | 2019-09-26 | 富士フイルム株式会社 | マイクロカプセル含有組成物、洗濯組成物、デイケア組成物及びヘアケア用組成物 |
CN113249970A (zh) * | 2021-04-20 | 2021-08-13 | 西安理工大学 | 环境响应性超疏水-亲水可逆转化材料表面的制备方法 |
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