JP2003192805A - スルホン化高分子膜の製造方法 - Google Patents

スルホン化高分子膜の製造方法

Info

Publication number
JP2003192805A
JP2003192805A JP2001396377A JP2001396377A JP2003192805A JP 2003192805 A JP2003192805 A JP 2003192805A JP 2001396377 A JP2001396377 A JP 2001396377A JP 2001396377 A JP2001396377 A JP 2001396377A JP 2003192805 A JP2003192805 A JP 2003192805A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
membrane
sulfonated polymer
film
producing
polymer membrane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Revoked
Application number
JP2001396377A
Other languages
English (en)
Inventor
Hidetoshi Kuromatsu
秀寿 黒松
Kiyoyuki Minamimura
清之 南村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2001396377A priority Critical patent/JP2003192805A/ja
Publication of JP2003192805A publication Critical patent/JP2003192805A/ja
Revoked legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Abstract

(57)【要約】 【課題】プロトン伝導性、ガス遮断性、機械的特性など
の特性を均一に発現させるとともに、膜−電極接合体の
調製時において、接合部分の欠陥が生じにくい燃料電池
用膜として有用な皺、脹れ、凹凸がないスルホン化高分
子膜の製造方法を提供する。 【解決手段】芳香族環を有する高分子化合物(A)の芳
香族環の一部分にスルホン酸基が置換された高分子化合
物(B)からなるスルホン化高分子膜の製造方法であっ
て、膜に張力をかけながら乾燥する工程、あるいは、膜
を枠体に固定して乾燥する工程などを含む製造方法によ
り達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スルホン化高分子
膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池用膜は、固体高分子形燃料電池
の主要な構成材料である。現在、固体高分子形燃料電池
は、将来の新エネルギー技術の柱の一つとして期待され
ている。高分子化合物からなるプロトン伝導性膜を用い
た固体高分子形燃料電池(PEFCまたはPEMFC)
は、低温作動、小型軽量等、他の燃料電池(リン酸型、
固体酸化物型、溶融炭酸塩型)にない特徴を有すること
から、自動車などの移動体、民生用エレクトロニクス機
器、家庭用電源への適用が検討されている。特に、固体
高分子形燃料電池を搭載した燃料電池自動車は究極のエ
コロジーカーとして社会的な関心が高まっている。
【0003】高分子化合物からなる燃料電池用膜として
は、1950年代に開発されたスチレン系の陽イオン交
換膜があるが、燃料電池動作環境下における安定性に乏
しく、本膜を用いての実用上、充分な寿命を有する燃料
電池を製造するには至っていない。実用的安定性を有す
る燃料電池用膜としては、ナフィオン(Nafion,
デュポン社の登録商標。以下同様)に代表されるパーフ
ルオロカーボンスルホン酸膜が開発され、固体高分子形
燃料電池を始めとし、他の電気化学素子への応用が提案
されている。
【0004】パーフルオロカーボンスルホン酸膜は、膜
抵抗の低減や原料の使用量を減らすため、薄膜化が検討
されている。例えば、特表平11−501964号公報
には、パーフルオロカーボンスルホン酸膜をフィブリル
補強膜で強化して薄膜化する方法、特許第286980
5号公報にはパーフルオロカーボンスルホン酸膜をモノ
フィラメント織布で強化して薄膜化する方法、などが提
案されている。しかしながら、薄膜により原料の使用量
が減らすことはできるものの、いまだに高価であるこ
と、条件を注意深く設定しなければ、膜補強のために使
用した繊維などで膜の表面に欠損が生じ、電池特性や寿
命に悪影響を及ぼす可能性が指摘されている。
【0005】より安価な燃料電池用膜を得るために、従
来のパーフルオロカーボンスルホン酸膜に代わり炭化水
素系高分子化合物の燃料電池用膜も種々検討・提案され
いる。その代表的なものとしては、スルホン化ポリエー
テルエーテルケトン(特開平6−93114号公報な
ど)、スルホン化ポリエーテルスルホン(特開平10―
45913号公報など)、スルホン化ポリスルホン(特
開平9−245818号公報など)、スルホン化ポリフ
ェニレンサルファイド(特表平11−510198号公
報など)やスルホン化ポリイミド(特表2000−51
0511号公報など)などの耐熱芳香族系高分子化合物
のスルホン化物、また、特表平10−503788号公
報などには、安価で、機械的、化学的に安定とされるS
EBS(スチレン−(エチレン−ブチレン)−スチレン
の略)のスルホン化体からなるものなどが挙げられる。
これらの燃料電池用膜は、溶媒可溶性のポリマーを調製
して、適当な粘度を有するポリマー溶液をガラスなどの
支持体上に流延塗布し、溶媒を除去して、膜を得るのが
一般的である。しかしながら、膜を得た後にプロトン伝
導性置換基を活性化処理(H+型へのイオン交換など)
を実施すると、膜が著しく膨潤し、皺、脹れ、凹凸が発
生したり、水分を乾燥除去する際に膜が著しく収縮し、
皺、脹れ、凹凸が発生する場合があった。また、これら
の炭化水素系高分子化合物からなる燃料電池用膜は、使
用原料が安価で製造が容易なため、低コスト化が可能と
されているが、高いプロトン伝導度が要求される燃料電
池用膜としては、プロトン伝導度が不充分なことが指摘
されており、実用化には至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、プロ
トン伝導性、ガス遮断性、機械的特性などの特性を均一
に発現させるとともに、膜−電極接合体の調製時におい
て、接合部分の欠陥が生じにくい燃料電池用膜として有
用な皺、脹れ、凹凸などによる歪みが生じにくいスルホ
ン化高分子膜の製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、芳香
族環を有する高分子化合物(A)の芳香族環の一部にス
ルホン酸基を有する高分子化合物(B)を用いてなるス
ルホン化高分子膜の製造方法であって、膜に張力を与え
て乾燥する工程を含むスルホン化高分子膜の製造方法で
ある。また本発明の第2は、芳香族環を有する高分子化
合物(A)の芳香族環の一部にスルホン酸基を有する高
分子化合物(B)を用いてなるスルホン化高分子膜の製
造方法であって、膜を枠体に固定して乾燥する工程を含
むスルホン化高分子膜の製造方法である。本発明の製造
方法は以下の方法とすることができる、すなわち下記
(1)〜(3)の工程を含むスルホン化高分子膜の製造
方法であって、(1)〜(3)の少なくとも1つの工程
でフィルムまたは膜に張力を与える工程を含むスルホン
化高分子膜の製造方法である。 (1)芳香族環を有する高分子化合物(A)からなるフ
ィルムと、スルホン化剤とを接触させる工程、(2)芳
香族環の少なくとも一部にスルホン酸基あるいはスルホ
ン酸基前駆体を有する高分子化合物からなるフィルム
を、加水分解及び/または洗浄する工程、(3)芳香族
環の一部にスルホン酸基を有する高分子化合物(B)か
らなるスルホン化高分子膜を乾燥する工程。
【0008】また、下記の方法もできる。すなわち下記
(1)〜(3)の工程を含むスルホン化高分子膜の製造
方法であって、(1)〜(3)の少なくとも1つの工程
でフィルムまたは膜を枠体に固定する工程を含むスルホ
ン化高分子膜の製造方法である。 (1)芳香族環を有する高分子化合物(A)からなるフ
ィルムと、スルホン化剤とを接触させる工程、(2)芳
香族環の少なくとも一部にスルホン酸基あるいはスルホ
ン酸基前駆体を有する高分子化合物からなるフィルム
を、加水分解および/または洗浄する工程、(3)芳香
族環の一部にスルホン酸基を有する高分子化合物(B)
からなるスルホン化高分子膜を乾燥する工程。
【0009】本発明での膜に与える張力としては0.1
MPa以上であるのが好ましい。次に、高分子化合物
(A)は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を
構成成分とするのが好ましい。
【0010】
【化4】
【0011】[式中、Arは2価の芳香族単位、Xは
0〜2の整数] また、高分子化合物(B)は、下記一般式(2)で表さ
れる繰り返し単位を構成成分とするポリフェニレンサル
ファイドであるのが好ましい。
【0012】
【化5】
【0013】[式中、Arは下記式(3)〜(5)で
表される2価の芳香族単位]
【0014】
【化6】
【0015】スルホン化高分子膜は、可塑剤を含有する
こともできる。前記可塑剤は、リン酸エステル系化合物
であるのが好ましい。一方、スルホン化剤を接触させる
工程は、溶媒共存下において行われるのが好ましく、ス
ルホン化剤は、クロロスルホン酸であるのが好ましい。
なお、乾燥工程は、10〜50℃の温度範囲において、
相対湿度が50〜99%の環境雰囲気下で実施されるの
が好ましい。また、乾燥工程は、高湿度雰囲気下から低
湿度雰囲気下に段階的に実施されるのがより好ましい。
本発明としては、乾燥後のスルホン化高分子膜に電子線
を照射することもできる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のスルホン化高分子膜の製
造方法は、芳香族環を有する高分子化合物(A)の芳香
族環の一部分にスルホン酸基が置換された高分子化合物
(B)からなるスルホン化高分子膜の製造方法であっ
て、膜の面方向に張力をかけながら乾燥する工程、ある
いは、膜を枠体に固定して乾燥する工程、のいずれかを
含むことが好ましい。
【0017】スルホン化高分子膜は、使用する高分子化
合物種やその詳細な製造方法にもよるが、親水性のスル
ホン酸基を有するため、一般的に高い含水率を示す。そ
のため、乾燥状態と比較して含水状態のスルホン化高分
子膜は面方向や厚み方向に膨潤している。このような、
スルホン化高分子膜を乾燥すると、膜中の水分減少に伴
って、収縮による寸法変形が生じ、皺、膨れ、凹凸など
の歪みが発生する恐れがある。このため、膜の表面状態
が不均一となって、プロトン伝導度やガス遮断性にばら
つきが生じたり、歪みが生じた部分の機械的強度が低下
して膜のハンドリング性が損なわれたり、例えば、燃料
電池用膜として使用するためにホットプレス法で電極を
接合する際には、歪みの部分に応力が集中して膜が破壊
しやすくなる。さらに、燃料電池を長時間運転した際に
は、歪みの部分を起点とした膜と電極の接合不良が生じ
る場合がある。
【0018】本発明においては、膜に張力をかけるとい
うことは、膜の面方向、即ち膜面と概ね水平となる方向
に張力をかけることを意味する。これによって、膜の寸
法方向の収縮と逆方向に応力がかかるため、皺、膨れ、
凹凸などの歪みが発生しにくくなり、好ましい。このと
きの張力は、使用する膜の種類に依存する収縮率や乾燥
段階での機械的特性に応じて、適宜設定する必要があ
る。
【0019】膜に張力をかける方法は種々の方法が選択
可能であり、特に限定されるものではない。一例を挙げ
ると、はさみ治具(クリップ状のものなど)や突き刺し
治具(ピンのようなもの)で膜の周縁部あるいは膜の対
向する辺の一部分またはすべての部分を固定して、これ
らの治具をゴムやバネなどの張力で引っ張ったり、機械
的に所定の張力をかけて引張ることで、膜に張力をかけ
ることができる。これによって膜収縮に伴う、皺、膨
れ、凹凸などの歪みの発生を抑えることができる。任意
の大きさの膜をバッチ式で乾燥させる場合には、膜の周
縁部のすべての方向から、張力をかけることが好まし
い。また、膜を連続して乾燥させる場合には、引き取り
方向に張力をかけながら、別途幅方向に張力をかけても
構わない。
【0020】本発明においては、膜を枠体に固定すると
いうことは、膜の周縁部あるいは膜の対向する辺の一部
分またはすべての部分を枠で固定することを意味する。
これによって、乾燥段階での膜の寸法方向の収縮に伴っ
て、実質的に膜の面方向、即ち膜面と概ね水平となる方
向に張力がかかり、皺、膨れ、凹凸などの歪みが発生し
にくくなり、好ましい。使用する膜の種類に依存する収
縮率や乾燥段階での機械的特性によっては、収縮が著し
く、その応力に膜の機械的特性が耐えれない恐れもあ
る。そのような場合には、張力に応じて枠体が可変する
ような構造の枠体を使用することも好ましい形態の一例
である。
【0021】本発明において膜にかける張力は、乾燥初
期において膜に張りが加えられていれば良く、必要以上
に張力をかける必要はない。実際には、膜に張りが加え
られる張力以上、膜の機械的強度未満であれば良く、概
ね0.1〜20MPaの範囲であるのが好ましい。本発
明においては、乾燥時に膜が収縮する挙動を示すため、
膜乾燥の初期段階において、必要以上の張力をかけた場
合、乾燥時に膜の機械的強度以上の張力がかかり膜が破
壊する恐れがある。従って、膜にかける張力は0.1〜
5MPaがより好ましい範囲である。
【0022】膜を枠体に固定する方法は種々の方法が選
択可能であり、特に限定されるものではない。一例を挙
げると、突き刺し治具(ピンのようなもの)で膜周縁部
あるいは膜の対向する辺の一部分またはすべての部分を
固定する方法や、膜周縁部のみを固定可能な枠体で膜を
挟み込む方法、などで膜を枠体に固定することができ
る。膜の露出している部分と露出していない部分が共存
する場合には、それらの界面に応力が集中し、膜が破壊
しやすくなるため、膜の全面が露出するような突き刺し
治具(ピンのようなもの)を備えた枠体で固定するのが
より好ましい。
【0023】また本発明においては、膜の厚み方向に荷
重をかけて乾燥させることによって、膜収縮時に厚み方
向に膜が変形するのを抑制して、皺、膨れ、凹凸などの
歪みの発生を抑えるような方法も例示できる。膜の厚み
方向に荷重をかけるため、膜の面方向に張力をかけるの
と類似した効果が期待できる。この際、膜を乾燥雰囲気
下にさらして乾燥しやすくするため、適当な材質からな
る織布や不織布、網状のシートなどを介して、膜面上の
隙間を確保して、厚み方向に荷重をかけるのが好まし
い。本発明は、下記(1)〜(3)の工程を含むスルホ
ン化高分子膜の製造方法であって、(1)芳香族環を有
する高分子化合物(A)からなるフィルムと、スルホン
化剤とを接触させる工程、(2)芳香族環の少なくとも
一部にスルホン酸基あるいはスルホン酸基前駆体を有す
る高分子化合物からなるフィルムを、加水分解および/
または洗浄する工程、(3)芳香族環の一部にスルホン
酸基を有する高分子化合物(B)からなるスルホン化高
分子膜を乾燥する工程、これらの(1)〜(3)の少な
くとも1つの工程でフィルムまたは膜に張力をかける工
程を含む、あるいは、膜を枠体に固定する工程を含む、
ことが、膜の製造過程における皺、脹れ、凹凸などの歪
みの発生を抑制でき、好ましい。
【0024】これらの工程においては、(1)あるいは
(2)の工程において、膜が膨潤し、歪みが発生する恐
れがある。これらの工程においても、本発明の膜に張力
をかける工程や膜を枠体に固定する工程を実施すること
で、膨潤による歪みの発生を抑えることができる。すな
わち、膜に張力をかけることによって、膨潤による皺、
脹れ、凹凸など歪みを引き延ばすことができ、良好な膜
形状を保持できる。このとき膜にかける張力は、乾燥時
の張力と同様の考え方で設定することができる。概ね
0.1〜20MPaの範囲であるのが好ましく、0.1
〜5MPaがより好ましい範囲である。膜を枠体に固定
することにより、膜が必要以上に膨潤したり、不均一に
変形しながら、膨潤して著しい皺、脹れ、凹凸などの歪
みが生じるのを抑制することができる。また、膜の厚み
方向に荷重をかけることなども、膜の面方向に張力をか
けるのと同様の効果が期待できる。これらの工程におい
ては、スルホン化剤や加水分解時に生じる酸、水などと
接触するため、使用する治具や枠の材質は、注意深く選
択する必要がある。また、乾燥時の効果については、す
でに述べたとおりである。
【0025】次に本発明で使用する高分子化合物(A)
について説明する。芳香族環を有する高分子化合物
(A)としては、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエ
ーテルスルホン、ポリサルホン、ポリイミド、ポリフェ
ニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィ
ド、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾー
ル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスチレ
ン、ポリフェニレン、ポリフェニレンエーテル等が例示
できるが、これに限定されるものではなく、芳香族環を
有するものであれば使用可能である。これらは単独で使
用しても良いし、必要に応じて2種以上を混合してもよ
い。
【0026】本発明において、高分子化合物(A)は下
記一般式(1)で表される繰り返し単位を構成成分とす
ることが好ましい。
【0027】
【化7】
【0028】[式中、Arは2価の芳香族単位、Xは
0〜2の整数] また、高分子化合物(A)は下記一般式(2)で表され
る繰り返し単位を構成成分とするポリフェニレンサルフ
ァイドであることがより好ましい。
【0029】
【化8】
【0030】[式中、Arは下記式(3)〜(5)で
表される2価の芳香族単位]
【0031】
【化9】
【0032】これにより、プロトン伝導度、機械的特性
(強度・伸び)、化学的安定性などが優れた燃料電池用
膜を得ることができるとともに、工業的入手の容易さの
面からも好ましい。
【0033】一般式(1)、(2)中のAr1、Ar
の一部(10%以下、さらには5%以下)を必要に応じ
て、下記(イ)〜(ハ)の構造単位に置き換えても構わ
ない。(イ):芳香族単位の水素原子の一部が炭素数1
〜6のアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、ニトロ
基、ハロゲン基から選択された1種または2種以上で置
換されたもの (ロ):3官能フェニルフルフィド単位(この場合、残
った結合手の1つはスルフィド単位を介して他の高分子
鎖と結合し、架橋・分岐分子構造をとる) (ハ):(ロ)以外の架橋あるいは分岐単位(この場
合、スルフィド単位以外の単位を介して他の高分子鎖と
結合し、架橋・分岐構造をとる)。
【0034】また、本発明のスルホン化高分子膜は、必
要に応じて可塑剤が添加されていても構わない。これに
よって、高分子膜が柔軟で伸びやすくなり、張力をかけ
たり、枠体に固定したり、面厚み方向に荷重をかけたり
した際に、膜破壊が生じにくくなる。可塑剤の添加量
は、高分子化合物の特性の維持、可塑剤の添加効果を考
慮すると、高分子化合物(A)100重量部に対し、1
〜50重量部が好ましく、更には2〜20重量部である
ことがより好ましい。この範囲よりも添加量が少ない場
合には、可塑剤の添加効果(主に燃料電池用膜の伸び向
上)が不充分となる恐れがある。一方、この範囲よりも
添加量が多い場合には、プロトン伝導度や主に引張強度
に代表される機械的特性が著しく低下する恐れがある。
また、高分子化合物(A)と可塑剤を均一に混合するの
が困難となる場合がある。
【0035】本発明で使用する可塑剤としては、トリブ
チルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリク
レジルホスフェート等のリン酸エステル系化合物、フタ
ル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、
フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタ
ル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、
フタル酸オクチルデシル、フタル酸ジイソデシル、フタ
ル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル系化合物、オ
レイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル等
の脂肪族一塩基酸エステル系化合物、アジピン酸ジ−n
−ブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ
−2−エチルヘキシル、アジピン酸アルキル610、ア
ゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチ
ル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等の脂肪族二塩
基酸エステル系化合物、ジエチレングリコールベンゾエ
ート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラー
ト等の二価アルコールエステル系化合物、アセチルリシ
ノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチル
フタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブ
チル等のオキシ酸エステル系化合物、塩素化パラフィ
ン、塩素化ビフェニル−2−ニトロビフェニル、ジノニ
ルナフタリン、o−トルエンスルホンエチルアミド、p
−トルエンスルホンエチルアミド、アビエチン酸メチル
等が例示できる。可塑剤の選択は、高分子化合物(A)
の種類や混合方法などを考慮して適宜設定する必要があ
る。高分子化合物(A)と溶融混合する際には、溶融温
度よりも高い沸点を有する可塑剤を、溶液混合する際に
は高分子化合物(A)と可塑剤が溶液中で分離せず均一
に混合するものを選択する必要がある。
【0036】上記に例示した可塑剤の中でも、高分子化
合物との相溶性や難燃性が付与させるいった点から、リ
ン酸エステル系化合物の使用が好ましく、特にトリフェ
ニルホスフェートまたはトリクレジルホスフェートであ
ることが好ましい。
【0037】本発明のスルホン化高分子膜は、芳香族環
を有する高分子化合物(A)の芳香族環の一部分にスル
ホン酸基を導入する必要がある。スルホン酸基の導入の
方法としては、芳香族系炭化水素化合物のスルホン化の
公知の方法が適用できる。スルホン化剤としては、クロ
ロスルホン酸、三酸化硫黄−トリエチルフォスフェー
ト、濃硫酸、発煙硫酸、トリメチルシリルクロロサルフ
ェートから選択される少なくとも1種であることが好ま
しい。特に、本発明においては、スルホン酸基の導入の
し易さや得られた膜の化学的・物理的特性から、クロロ
スルホン酸を使用することが好ましく、高分子化合物の
劣化を抑制しながら、スルホン酸基を可能な限り均一に
導入させるといった点から、溶媒共存下でスルホン化を
接触させることが好ましい。本発明に使用可能な溶媒と
しては、例えば、n−ヘキサンなどの炭化水素溶媒、テ
トラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、
ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのス
ルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶
媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチル
アセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−
2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピ
ロリドン系溶媒、1,1,2,2−テトラクロロエタ
ン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,1
−トリクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリク
ロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタ
ン、クロロホルムなどが挙げられる。本発明において、
特に1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,
1,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロ
エタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレ
ン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、クロロホ
ルムから選択される少なくとも1種であることが好まし
い。
【0038】スルホン酸基を導入する際には、スルホン
化剤との接触後に実施するイオン交換処理や加水分解処
理でスルホン酸基に変換可能なスルホン酸基前駆体を導
入する方法も本発明の範疇である。
【0039】本発明の乾燥工程は、10〜50℃の温度
範囲において、相対湿度が50〜99%の環境雰囲気下
で実施されることが好ましい。例えば、この範囲よりも
高い温度で乾燥させた場合、膜が急激に収縮するため、
皺、脹れ、凹凸などの抑制が困難となる場合がある。こ
の範囲よりも低い温度で乾燥させる場合は、乾燥が不充
分となる場合がある。本発明のスルホン化高分子膜は、
室温雰囲気下においても、空気中の水分を取り込み、あ
る程度の含水率を示す。従って、相対湿度を前記範囲よ
りも低く設定して乾燥したり、減圧下で乾燥しても、保
管時に吸湿する恐れが大きく、実質的に充分に乾燥させ
た意味をなさない恐れがある。従って、10〜50℃の
温度範囲において、相対湿度が50〜99%の環境雰囲
気下で実施されることが好ましい。さらに、乾燥工程が
高湿度雰囲気下から低湿度雰囲気下に段階的に実施され
ることが好ましい。特に加水分解や洗浄処理を得た膜は
含水率が高く、著しく膨潤している。そのため、いきな
り低湿度雰囲気下で乾燥した場合、膜が急激に収縮し、
皺、脹れ、凹凸などの抑制が困難となる場合がある。従
って、高湿度雰囲気下から低湿度雰囲気下に段階的に、
例えば98%−0.5時間、80%−0.5時間、60
%−0.5時間、50%−0.5時間のように、実施す
ることにより、膜の急激な収縮を抑制でき、皺、脹れ、
凹凸などがないスルホン化高分子膜を得ることができ
る。
【0040】また、本発明の燃料電池用膜の特性を更に
向上させるために、電子線を照射しても構わない。これ
によって、高分子骨格やプロトン伝導性置換基などを介
して分岐や架橋などの構造変化がプロトン伝導度の向上
や機械的強度の改善に寄与する場合がある。
【0041】本発明の製造方法で得られたスルホン化高
分子膜は、固体高分子形燃料電池に使用される燃料電池
用膜として有用である。燃料電池用膜として使用する場
合には、イオン交換容量が0.5〜2.5ミリ当量/g
であることが好ましい。この範囲よりも小さい場合は、
プロトン伝導性置換基の導入量が少なくなり、充分なプ
ロトン伝導性が発現しない恐れがある。一方、前記範囲
よりも大きい場合には、膜の機械的強度が低下したり、
膜の吸水率が著しく増加して膨潤し易くなり、ハンドリ
ング性が低下する恐れがある。また、室温におけるプロ
トン伝導度が、1.0×10-2S/cm以上であること
が好ましい。この範囲よりも小さい場合には、燃料電池
用膜として使用した場合、充分な発電特性を発現しにく
くなる傾向を生ずる。
【0042】燃料電池用膜としては、プロトン伝導度が
高いほど好ましい。実際には機械的特性やガス遮断性
等、プロトン伝導度以外の他の特性、電極、触媒、結着
剤との相性、等を考慮して、適宜設定する必要がある。
【0043】本発明の製造方法で得られるスルホン化高
分子膜の厚みは、例えば、燃料電池用膜として使用する
場合には、実用的な機械的強度や燃料・酸化剤の遮断性
を有する範囲で、薄い程良い。イオン交換容量やプロト
ン伝導度が同等であれば、厚みが薄くなるほど、膜とし
ての抵抗値が低くなるため、5〜200μm、さらには
20〜150μmの厚さであることが好ましい。
【0044】本発明の製造方法で得られるスルホン化高
分子膜は、プロトン伝導性、化学的・熱的安定性、機械
的特性を備えており、固体高分子形燃料電池用膜として
好適に使用される。実際に、固体高分子形燃料電池に使
用する場合、ナフィオンに代表されるパーフルオロカー
ボンスルホン酸膜で適用されている公知の方法で、本発
明の燃料電池用膜と触媒担持ガス拡散電極を接合した膜
−電極接合体を製造し、燃料および酸化剤の供給路を備
えた1対のセパレータ間に狭持して、固体高分子形燃料
電池セルを構成することで、燃料電池用膜として使用す
ることができる。燃料としては、純水素、メタノール・
天然ガス・ガソリンなどの改質ガス、メタノール、エタ
ノール、ジメチルエーテル等の有機液体燃料等が使用可
能である。また、必要な出力を得るため、セルを複数枚
積層して、スタックを構成し、使用することもできる。
【0045】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定さ
れるものではなく、その要旨を変更しない範囲において
適宜変更実施可能である。
【0046】(イオン交換容量の測定方法)試験体を塩
化ナトリウム飽和水溶液に浸漬し、ウォーターバス中で
60℃、3時間反応させる。室温まで冷却した後、サン
プルをイオン交換水で充分に洗浄し、フェノールフタレ
イン溶液を指示薬として、0.01Nの水酸化ナトリウ
ム水溶液で滴定し、イオン交換容量を算出した。
【0047】(プロトン伝導度)イオン交換水中に保管
した試験体(10mm×40mm)を取り出し、試験体
表面の水をろ紙で拭き取る。電極間距離30mmで白金
電極間に試験体を装着し、2極非密閉系のテフロン(登
録商標)製のセルに設置した後、室温下で電圧0.2V
の条件で、交流インピーダンス法(周波数:42Hz〜
5MHz)により、試験体の膜抵抗を測定し、プロトン
伝導度を算出した。
【0048】(引張強度および破断伸びの測定)JIS
K 7127の方法に準じて、試験体の引張強度およ
び破断伸びを測定した。
【0049】(外観目視観察)50mm×50mmの試
験体の外観を目視で観察し、皺、脹れ、凹凸などによる
歪みの有無を判断した。
【0050】(厚みむらの測定)50mm×50mmの
試験体をサンプリングし、10mm幅格子の交点(合計
16点)の膜厚をダイヤルゲージで測定した。16点の
測定値から膜の平均厚みを算出し、厚みむらの最大値が
平均膜厚に対して何%であるかを算出した。
【0051】(膜−電極接合体の調製方法)Elect
roChem社の触媒担持ガス拡散電極(電極面積:5
cm2、Pt担持量:1mg/m2)に5重量%のナフィ
オン溶液をナフィオン量が0.6mg/cm2になるよ
うにガス拡散電極の触媒層側に塗布した。これを70℃
で1時間、減圧乾燥した。このガス拡散電極を所定の燃
料電池用膜の両面に配置し、プレス温度:140℃、プ
レス圧力:5.9MPa、プレス時間:90秒の条件で
ホットプレスし、膜−電極接合体を調製した。
【0052】(発電特性評価)ElectroChem
社の固体高分子形燃料電池セルに、所定の膜電極接合体
を調製し、100mA/cm2時のセル電圧を測定し
た。燃料電池の作動条件は、セル温度:80℃、燃料:
水素、酸化剤:酸素、ガス加湿温度:80℃、背圧:0
MPaとした。
【0053】(高分子フィルムの製造例)ポリフェニレ
ンサルファイド樹脂(大日本インキ化学工業製、商品
名:DICPPS FZ−2200−A5)と、ポリフ
ェニレンサルファイド樹脂100重量部に対し、可塑剤
としてトリクレジルホスフェート(大八化学工業製、商
品名:TCP)を2重量部添加した樹脂混合物を得た。
この樹脂混合物から溶融押出法で厚さ50μmの可塑剤
添加ポリフェニレンサルファイドフィルム(以下、高分
子フィルム)を得た。
【0054】(比較例1)高分子フィルム2.5gを、
クロロスルホン酸5.3gと塩化メチレン溶液1056
gの混合溶液にマヨネーズ瓶中で、20時間浸漬させ
た。浸漬後、イオン交換水で満たした水槽で加水分解を
行って、洗浄液が中性になるまでイオン交換水を交換し
ながら、洗浄した。これで得られたスルホン化高分子膜
を、23℃に調温した恒温恒湿器内に、有姿の状態のま
ま、水平に設置し、60℃に調温した乾燥機内で、6時
間放置して、スルホン化高分子膜を得た。その特性評価
結果を表1〜4に示した。
【0055】(実施例1)恒温恒湿器内に設置する際
に、スルホン化高分子膜の4辺をピンで固定した以外
は、比較例1と同様にした。その特性評価結果を表1〜
4に示した。
【0056】(実施例2)恒温恒湿器内に設置する際
に、スルホン化高分子膜の4辺をクリップで挟み、ゴム
で面方向に張力をかけて固定した以外は、比較例1と同
様にした。この際、膜にかかる張力が0.2MPaにな
るように、バネ秤で計測してゴムの張力を調節した。そ
の特性評価結果を表1〜4に示した。
【0057】(実施例3)高分子フィルム2.5gを、
クロロスルホン酸5.3gと塩化メチレン溶液1056
gの混合溶液にマヨネーズ瓶中で、20時間浸漬させ
た。浸漬後、フィルムの4辺をクリップで挟み、ゴムで
面方向に張力をかけて固定したまま、イオン交換水で満
たした水槽で加水分解を行って、洗浄液が中性になるま
でイオン交換水を交換しながら、洗浄した。さらに、ス
ルホン化高分子膜の面方向に0.3MPaの張力になる
ように、バネ秤で計測してゴムの張力を調節してかけ
た。その状態で固定したまま、23℃に調温した恒温恒
湿器内に設置し、98%RH、80%RH、60%R
H、50%RHの調湿下で、それぞれ30分間放置し
て、スルホン化高分子膜を得た。その特性評価結果を表
1〜4に示した。
【0058】(実施例4)恒温恒湿器内に設置する際
に、面方向の張力を開放して、スルホン化高分子膜の4
辺をピンで固定した以外は、実施例3と同様にした。そ
の特性評価結果を表1〜4に示した。
【0059】(実施例5)高分子フィルム2.5gの4
隅をテフロン(登録商標)製の支持体に固定して、クロロ
スルホン酸5.3gと塩化メチレン溶液1056gの混
合溶液に、ガラス製の蓋付水槽内で、20時間浸漬させ
た。浸漬後、フィルムを固定したまま、イオン交換水で
満たした水槽で加水分解を行って、洗浄液が中性になる
までイオン交換水を交換しながら、洗浄した。これで得
られたスルホン化高分子膜の4辺をピンで固定し、23
℃に調温した恒温恒湿器内に設置し、98%RH、80
%RH、60%RH、50%RHの調湿下で、それぞれ
30分間放置して、スルホン化高分子膜を得た。その特
性評価結果を表1〜4に示した。
【0060】(実施例6)実施例1で得られたスルホン
化高分子膜に、加速電圧4.6MeV、照射線量500
kGyの電子線を照射した。その特性評価結果を表1〜
4に示した。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】表1の比較例1と実施例1〜6の比較か
ら、本発明の製造方法で得られたスルホン化高分子膜
は、外観目視観察において、皺、脹れ、凹凸などの歪み
が見られず、本発明の有効性が示された。
【0066】表2の比較例1と実施例1〜6の比較か
ら、本発明の製造方法で得られたスルホン化高分子膜
は、10-2S/cm以上のプロトン伝導度を発現する
し、燃料電池用膜として有用であることが明らかとなっ
た。一方、比較例1のスルホン化高分子膜は、プロトン
伝導度測定後に歪み部分に起因する膜破壊が観察された
のに対し、実施例1〜6のスルホン化高分子膜には膜破
壊が観察されず、本発明の有効性が示された。
【0067】表3の比較例1と実施例6の比較から、比
較例1のスルホン化高分子膜は運転開始30分経過でセ
ル電圧の低下が見られた。セルを解体後に膜−電極接合
体の外観を観察したところ、皺の部分で電極の剥がれが
観察された。それに対し、実施例1〜6のスルホン化高
分子膜は運転開始30分経過でもセル電圧の低下が見ら
れず、セル解体後の外観観察でも電極の剥がれなどは見
られなかった。
【0068】表4の比較例1と実施例1〜6の比較か
ら、比較例1のスルホン化高分子膜の引張伸びは5%未
満と非常に低く、皺の部分に起因する膜破壊が生じた。
それに対し、実施例1〜6のスルホン化高分子膜の引張
伸びは5%以上であり、皺の部分に起因するような膜破
壊は生じなかった。
【0069】以上のことから、本発明の製造方法で得ら
れたスルホン化高分子膜は、皺、脹れ、凹凸のなく、そ
れらに起因する特性の低下がなく、本発明の有効性が示
された。
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、皺、脹れ、凹凸がない
スルホン化高分子膜を製造することができ、高いプロト
ン伝導度、良好な機械的特性を発現し、燃料電池作動環
境下でも膜破壊が生じることがない。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族環を有する高分子化合物(A)の芳
    香族環の一部にスルホン酸基を有する高分子化合物
    (B)を用いてなるスルホン化高分子膜の製造方法であ
    って、膜に張力を与えて乾燥する工程を含むスルホン化
    高分子膜の製造方法。
  2. 【請求項2】芳香族環を有する高分子化合物(A)の芳
    香族環の一部にスルホン酸基を有する高分子化合物
    (B)を用いてなるスルホン化高分子膜の製造方法であ
    って、膜を枠体に固定して乾燥する工程を含むスルホン
    化高分子膜の製造方法。
  3. 【請求項3】下記(1)〜(3)の工程を含むスルホン
    化高分子膜の製造方法であって、(1)〜(3)の少な
    くとも1つの工程でフィルムまたは膜に張力を与える工
    程を含むスルホン化高分子膜の製造方法。 (1)芳香族環を有する高分子化合物(A)からなるフ
    ィルムと、スルホン化剤とを接触させる工程、(2)芳
    香族環の少なくとも一部にスルホン酸基あるいはスルホ
    ン酸基前駆体を有する高分子化合物からなるフィルム
    を、加水分解および/または洗浄する工程、(3)芳香
    族環の一部にスルホン酸基を有する高分子化合物(B)
    からなるスルホン化高分子膜を乾燥する工程、
  4. 【請求項4】下記(1)〜(3)の工程を含むスルホン
    化高分子膜の製造方法であって、(1)〜(3)の少な
    くとも1つの工程でフィルムまたは膜を枠体に固定する
    工程を含むスルホン化高分子膜の製造方法。 (1)芳香族環を有する高分子化合物(A)からなるフ
    ィルムと、スルホン化剤とを接触させる工程、(2)芳
    香族環の少なくとも一部にスルホン酸基あるいはスルホ
    ン酸基前駆体を有する高分子化合物からなるフィルム
    を、加水分解および/または洗浄する工程、(3)芳香
    族環の一部にスルホン酸基を有する高分子化合物(B)
    からなるスルホン化高分子膜を乾燥する工程
  5. 【請求項5】請求項1又は3に記載の張力が0.1MP
    a以上であるスルホン化高分子膜の製造方法。
  6. 【請求項6】高分子化合物(A)が、下記一般式(1)
    で表される繰り返し単位を構成成分とする請求項1〜5
    のいずれかに記載のスルホン化高分子膜の製造方法。 【化1】 [式中、Arは2価の芳香族単位、Xは0〜2の整
    数]
  7. 【請求項7】高分子化合物(B)が、下記一般式(2)
    で表される繰り返し単位を構成成分とするポリフェニレ
    ンサルファイドである請求項1〜6のいずれかに記載の
    スルホン化高分子膜の製造方法。 【化2】 [式中、Arは下記式(3)〜(5)で表される2価
    の芳香族単位] 【化3】
  8. 【請求項8】スルホン化高分子膜が、可塑剤を含有する
    請求項1〜7のいずれかに記載のスルホン化高分子膜の
    製造方法。
  9. 【請求項9】可塑剤が、リン酸エステル系化合物である
    請求項8記載のスルホン化高分子膜の製造方法。
  10. 【請求項10】スルホン化剤を接触させる工程が、溶媒
    共存下において行われる請求項3〜9のいずれかに記載
    のスルホン化高分子膜の製造方法。
  11. 【請求項11】スルホン化剤が、クロロスルホン酸であ
    る請求項3〜10のいずれかに記載のスルホン化高分子
    膜の製造方法。
  12. 【請求項12】乾燥工程が、10〜50℃の温度範囲に
    おいて、相対湿度が50〜99%の環境雰囲気下で実施
    される請求項1〜11のいずれかに記載のスルホン化高
    分子膜の製造方法。
  13. 【請求項13】乾燥工程が、高湿度雰囲気下から低湿度
    雰囲気下に段階的に実施される請求項1〜12のいずれ
    かに記載のスルホン化高分子膜の製造方法。
  14. 【請求項14】乾燥後のスルホン化高分子膜に電子線を
    照射する請求項1〜13のいずれかに記載のスルホン化
    高分子膜の製造方法。
  15. 【請求項15】請求項1〜14のいずれに記載の方法で
    得られたスルホン化高分子膜を使用した燃料電池用膜。
  16. 【請求項16】請求項1〜15のいずれかに記載の方法
    で得られたスルホン化高分子膜を使用した固体高分子形
    燃料電池。
JP2001396377A 2001-12-27 2001-12-27 スルホン化高分子膜の製造方法 Revoked JP2003192805A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001396377A JP2003192805A (ja) 2001-12-27 2001-12-27 スルホン化高分子膜の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001396377A JP2003192805A (ja) 2001-12-27 2001-12-27 スルホン化高分子膜の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003192805A true JP2003192805A (ja) 2003-07-09

Family

ID=27602489

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001396377A Revoked JP2003192805A (ja) 2001-12-27 2001-12-27 スルホン化高分子膜の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003192805A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007007819A1 (en) * 2005-07-07 2007-01-18 Fuji Film Corporation Solid electrolyte membrane, method and apparatus for producing the same, membrane electrode assembly and fuel cell
JP2007018972A (ja) * 2005-07-11 2007-01-25 Toyota Motor Corp 燃料電池用イオン交換膜の製造方法
WO2008081802A1 (ja) 2006-12-26 2008-07-10 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha 高分子電解質膜の製造方法
WO2009113708A1 (ja) * 2008-03-11 2009-09-17 住友化学株式会社 高分子電解質膜
WO2009113707A1 (ja) * 2008-03-11 2009-09-17 住友化学株式会社 高分子電解質膜
JP2011054357A (ja) * 2009-08-31 2011-03-17 Toyobo Co Ltd 高分子電解質膜の製造方法
JP2011119244A (ja) * 2009-10-30 2011-06-16 Sumitomo Chemical Co Ltd 固体電解質フィルムの製造方法
JP2012082410A (ja) * 2010-09-17 2012-04-26 Nitto Denko Corp プロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法
JP2013028710A (ja) * 2011-07-28 2013-02-07 Nitto Denko Corp イオン伝導性電解質膜およびその製造方法
JP2013109941A (ja) * 2011-11-21 2013-06-06 Toyota Motor Corp 燃料電池用電解質膜の製造方法、燃料電池

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007007819A1 (en) * 2005-07-07 2007-01-18 Fuji Film Corporation Solid electrolyte membrane, method and apparatus for producing the same, membrane electrode assembly and fuel cell
JP2007018972A (ja) * 2005-07-11 2007-01-25 Toyota Motor Corp 燃料電池用イオン交換膜の製造方法
WO2008081802A1 (ja) 2006-12-26 2008-07-10 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha 高分子電解質膜の製造方法
US8304133B2 (en) 2006-12-26 2012-11-06 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha Method for producing a polymer electrolyte membrane
WO2009113708A1 (ja) * 2008-03-11 2009-09-17 住友化学株式会社 高分子電解質膜
WO2009113707A1 (ja) * 2008-03-11 2009-09-17 住友化学株式会社 高分子電解質膜
JP2011054357A (ja) * 2009-08-31 2011-03-17 Toyobo Co Ltd 高分子電解質膜の製造方法
JP2011119244A (ja) * 2009-10-30 2011-06-16 Sumitomo Chemical Co Ltd 固体電解質フィルムの製造方法
JP2012082410A (ja) * 2010-09-17 2012-04-26 Nitto Denko Corp プロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法
JP2013028710A (ja) * 2011-07-28 2013-02-07 Nitto Denko Corp イオン伝導性電解質膜およびその製造方法
JP2013109941A (ja) * 2011-11-21 2013-06-06 Toyota Motor Corp 燃料電池用電解質膜の製造方法、燃料電池

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Gadim et al. Protonic conductivity and fuel cell tests of nanocomposite membranes based on bacterial cellulose
Zarrin et al. High performance porous polybenzimidazole membrane for alkaline fuel cells
Song et al. Novel alkaline anion-exchange membranes based on chitosan/ethenylmethylimidazoliumchloride polymer with ethenylpyrrolidone composites for low temperature polymer electrolyte fuel cells
He et al. Alkali-free quaternized polybenzimidazole membranes with high phosphoric acid retention ability for high temperature proton exchange membrane fuel cells
Han et al. Effect of “bridge” on the performance of organic-inorganic crosslinked hybrid proton exchange membranes via KH550
Martina et al. Nanosulfonated silica incorporated SPEEK/SPVdF-HFP polymer blend membrane for PEM fuel cell application
Zhou et al. Poly (vinyl alcohol)/Poly (diallyldimethylammonium chloride) anion-exchange membrane modified with multiwalled carbon nanotubes for alkaline fuel cells
KR20130060358A (ko) 불소계 고분자 전해질 막
Zhao et al. Preparation and characterization of PTFE based composite anion exchange membranes for alkaline fuel cells
Xu et al. Novel ether-free sulfonated poly (biphenyl) tethered with tertiary amine groups as highly stable amphoteric ionic exchange membranes for vanadium redox flow battery
JP4194843B2 (ja) プロトン伝導性高分子膜およびその製造方法
Liu et al. Enhanced mechanical durability of perfluorosulfonic acid proton-exchange membrane based on a double-layer ePTFE reinforcement strategy
Wang et al. Synthesis and properties of chitosan membranes modified by reactive cationic dyes as a novel alkaline exchange membrane for low temperature fuel cells
Li et al. Self-humidifying Cs2. 5H0. 5PW12O40∕ Nafion∕ PTFE composite membrane for proton exchange membrane fuel cells
Guo et al. Crosslinked polybenzimidazole high temperature-proton exchange membranes with a polymers of intrinsic microporosity (PIM) macromolecular crosslinker
JP2003288916A (ja) 直接アルコール形燃料電池膜およびその製法
Li et al. Anion exchange membranes based on sulfonated poly (ether ether ketone) crosslinked methylpyrrolidinium functionalized poly (vinyl benzyl chloride) with high chemical stability
JP2003192805A (ja) スルホン化高分子膜の製造方法
Ban et al. High-performance aromatic proton exchange membranes bearing multiple flexible pendant sulfonate groups: Exploring side chain length and main chain polarity
Güler et al. Characterization and fuel cell performance of divinylbenzene crosslinked phosphoric acid doped membranes based on 4-vinylpyridine grafting onto poly (ethylene-co-tetrafluoroethylene) films
Wang et al. Low water swelling polyaromatic proton exchange membranes
Hu et al. Facile preparation of triazole-functionalized poly (arylene perfluorophenyl) high temperature proton exchange membranes via para-fluoro-thiol click reaction with high radical resistance
Yazili et al. Sulfonated Poly (Phenylene sulfone) blend membranes finding their way into proton exchange membrane fuel cells
JP2007146111A (ja) スルホン酸基含有ポリマー、イオン交換膜、膜/電極接合体、燃料電池、ポリマー組成物
Bai et al. Ionically crosslinked composite membranes from polybenzimidazole and sulfonated poly (fluorenyl ether ketone) for high-temperature PEM fuel cells

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041027

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060914

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060919

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061108

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20070309

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070509

AA91 Notification of revocation by ex officio

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971091

Effective date: 20070522

A072 Dismissal of procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A072

Effective date: 20070911