JP2003192341A - 塩化アルミニウム水溶液の処理方法及び高純度アルミナの製造方法 - Google Patents

塩化アルミニウム水溶液の処理方法及び高純度アルミナの製造方法

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JP2003192341A
JP2003192341A JP2001387386A JP2001387386A JP2003192341A JP 2003192341 A JP2003192341 A JP 2003192341A JP 2001387386 A JP2001387386 A JP 2001387386A JP 2001387386 A JP2001387386 A JP 2001387386A JP 2003192341 A JP2003192341 A JP 2003192341A
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aqueous solution
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Mikio Nagano
幹夫 永野
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Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高純度酸化アルミナを低コストで製造する。
使用済塩化アルミニウム触媒を水で抽出した廃塩化アル
ミニウム水溶液処理にも適用可能とする。 【解決手段】 塩化アルミニウムと重炭酸アンモニウム
のモル比(X)が1:1〜5となり、pHが6〜10の範
囲で、pHとモル比(X)が次式 pH≧−1.4X+10 を満足するようにpHを保持する条件で、塩化アルミニウ
ム水溶液を重炭酸アンモニウム水溶液に添加してアルミ
ニウム・カーボネイト・ハイドロオキサイド・アンモニ
ウム結晶を生成させ、生成した結晶を水溶液から分離し
たのち、熱分解して高純度アルミナを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化アルミニウム
水溶液から産業上価値の高い高純度アルミナを製造する
方法に関するものである。また、本発明は、塩化アルミ
ニウム水溶液の処理方法、特に塩化アルミニウム触媒を
使用して得られた反応混合物から分離された使用済みの
塩化アルミニウム水溶液の処理方法に係る。
【0002】
【従来の技術】塩化アルミニウムを触媒として用いる有
機反応において、触媒反応により生成された有機物層は
引き続き精製工程等を通り製品となる。一方の使用済み
の塩化アルミニウムは水で抽出がされて水溶液として有
機物から分離される。かかる塩化アルミニウム水溶液
は、一部パルプ工業のアルカリ排水の中和剤兼凝集沈澱
剤として利用されているがその評価価値は殆ど無償同然
である。需給バランスや塩化アルミニウム水溶液中に溶
解してくる有機物の種類、量及び品質安定性次第では水
処理用凝集沈澱剤としても利用できない場合もあり、そ
の場合は、中和処理、活性汚泥処理等のコストのかかる
処理が必要である。
【0003】塩化アルミニウム水溶液を中和して水酸化
アルミニウムを生じさせ、水酸化アルミニウムを単離し
て焼成すればセラミックス産業やアルミニウム精錬原料
等として大量に使用されるアルミナに転化することも考
え得るが、中和によって生じる水酸化アルミニウムゾル
は濾過分離において濾布表面で糊状になるため、濾過分
離が非常に困難でコストがかかるだけでなく、その糊状
のゲル構造の中に有機物やその他の無機不純物を含みリ
ンスによる不純物除去も濾過分離と同様に容易でない。
更に、乾燥後は硬いシリカゲル状の塊になるため粉砕が
容易ではないという問題があり、水酸化アルミニウムや
アルミナに転化して再利用することは困難である。
【0004】以上述べたように、廃塩化アルミニウム水
溶液の再利用や処理には多くの問題があるため、近年塩
化アルミニウムの触媒としての利用そのものが疎んじら
れる傾向さえ見うけられる。そこで、有機合成反応で大
量に発生する廃塩化アルミニウム水溶液の環境上安全な
処理方法で、しかも有用なアルミニウムを高付加価値品
に転換する処理方法が強く望まれている。
【0005】一方、アルミナ粉末及びアルミナ粉末を焼
結したアルミナセラミックスは、各種セラミックス材料
の中でも、機械的強度、電気絶縁性、耐熱性、耐酸・耐
アルカリ・耐溶融金属性といった化学的耐食性、化学的
吸着性、生体組織との親和性、熱的低熱膨張性、等多く
の特徴を兼ね備えたセラミックスの代表格的材料であ
り、今日の産業で多くの用途で用いられており、欠くこ
とのできない有用な材料である。
【0006】例えば、その電気絶縁特性を利用して、碍
子、スパークプラグ、サーディップ、LSI、ハイブリ
ッドIC等各種基板用等で使用されている。また、光学
的透光性を利用して、高速道路やトンネルなどにオレン
ジ色の灯火として使用される高圧ナトリウムランプ用発
光管として、あるいは光消去型メモリーの窓、レーザー
関連部品、光ファイバー用コネクター、サファイヤ・ル
ビーなどの人工宝石・装飾品の原料成分として使用され
ている。更に、機械的硬質性と強度を利用して、研摩
材、砥石、切削工具、切断工具の他、耐磨耗部材として
使用されている。中でも、高密度、高強度焼結体用原料
として用いられる微細で、且つ高純度であるアルミナ粉
末は半導体部材、各種透光性アルミナ、半導体用切削切
断工具等の高付加価値アルミナ焼結体原料として使用す
ることができ、産業的価値が非常に高い。
【0007】このような優れたアルミナ原料紛を提供す
る方法としては、アルミニウム・カーボネート・ハイド
ロオキサイド・アンモニウム(NH4AlCO3(OH)
2)を熱分解することによる焼結性に優れたアルミナの
製造方法が、特公昭56−9447号、特開昭63−1
111号、特公平6−17224号等の公報で提案され
ており、原料としてアンモニウム明礬が用いられてい
る。アンモニウム明礬は再結晶法により、水への溶解と
水溶液からの晶析を繰り返すことにより精製することが
できるが、アンモニウム明礬中にアルミニウムは1/9
しかないので、4N(99.99%)以上の純度のアル
ミナを得ようとすると、5Nの純度のアンモニウム明礬
を製造しなければならない。また、高純度のアンモニウ
ム明礬は、たとえば特開昭57−51118号公報など
で高純度アルミナの製造方法が提案されているように、
そのまま熱分解しても高純度アルミナが得られるという
もので、それ自身高価なものである。従って、特公昭5
6−9447号、特開昭63−1111号、特公平6−
17224号等の公報で提案されているアルミニウム・
カーボネート・ハイドロオキサイド・アンモニウムの熱
分解による高純度アルミナ製造方法はコストが非常に高
くなるという問題があり、より安価に高純度アルミナを
提供できる製造方法の出現が望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、塩化アルミ
ニウム水溶液、特に触媒反応として使用され、その処理
が問題となっている廃塩化アルミニウム水溶液の有利な
処理方法を提供するものである。また、他の目的は塩化
アルミニウム水溶液から高純度のアルミナを製造する方
法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは有機反応工
業において多量に発生する塩化アルミニウム水溶液に着
目し、これを産業上有用な高純度アルミナに転化するこ
とができないか鋭意研究を行い、これに成功したもので
ある。すなわち、有機物の合成等の触媒として用いられ
たのち、有機物層から分離された使用済みの塩化アルミ
ニウム水溶液を、産業上価値の高い高純度アルミナに転
化すること又はこの塩化アルミニウム水溶液を安全に処
理することに成功し、本発明に到ったものである。
【0010】本発明は、塩化アルミニウム水溶液と重炭
酸水素アンモニウムの反応により、微粒アルミナの原料
となるアルミニウム・カーボネイト・ハイドロオキサイ
ド・アンモニウムが得られることを見出したこと、更に
は驚くべきことに有機反応の触媒として使用済みで、そ
の処理に問題を抱えている有機反応の触媒として使用済
の塩化アルミニウムを原料として高純度アルミナを製造
できることを見出したことに基づく。
【0011】本発明は、塩化アルミニウムと重炭酸アン
モニウムのモル比(X)が1:1以上となり、pHを6〜
10の範囲に保持する条件で、塩化アルミニウム水溶液
を重炭酸アンモニウム水溶液に添加してアルミニウム・
カーボネイト・ハイドロオキサイド・アンモニウム結晶
を生成させ、生成した結晶を水溶液から分離したのち、
熱分解することを特徴とする高純度アルミナの製造方法
である。また、本発明は、塩化アルミニウムと重炭酸ア
ンモニウムのモル比(X)が1:1〜5となり、pHが6
〜10の範囲で、pHとモル比(X)が次式pH≧−1.4
X+10を満足するようにpHを保持する条件で、塩化ア
ルミニウム水溶液を重炭酸アンモニウム水溶液に添加し
てアルミニウム・カーボネイト・ハイドロオキサイド・
アンモニウム結晶を生成させ、生成した結晶を水溶液か
ら分離したのち、熱分解することを特徴とする高純度ア
ルミナの製造方法である。
【0012】ここで、塩化アルミニウムと重炭酸アンモ
ニウムのモル比を1:1〜3とし、pH7.5以上に保持
すること、塩化アルミニウムと重炭酸アンモニウムのモ
ル比を1:3〜4とし、pHを6.5以上に保持するこ
と、pHを一定範囲に保持するためアルカリを添加するこ
と、このアルカリがアンモニア水溶液であること、又は
塩化アルミニウム水溶液が塩化アルミニウムを触媒とし
て使用する有機触媒反応終了後の反応混合物から塩化ア
ルミニウムを水で抽出したものであることは本発明の好
ましい態様の一つである。
【0013】更に、本発明は、塩化アルミニウムを触媒
として使用する有機触媒反応終了後の反応混合物から塩
化アルミニウムを水で抽出し、得られた塩化アルミニウ
ム水溶液を、塩化アルミニウムと重炭酸アンモニウムの
モル比(X)が1:1以上となり、pHを6〜10の範囲
に保持するように、重炭酸アンモニウム水溶液に添加し
てアルミニウム・カーボネイト・ハイドロオキサイド・
アンモニウム結晶を生成させ、生成した結晶を水溶液か
ら分離することを特徴とする使用済み塩化アルミニウム
触媒の処理方法である。ここで、分離した結晶は熱分解
して高純度アルミナとすることが有利である。
【0014】塩化アルミニウム水溶液としては塩化アル
ミニウムを含むものであれば特に制限はないが、最終生
成物として高純度アルミナを得るためには、ある程度以
上の純度の塩化アルミニウムを使用することが望まし
い。しかし、本発明の方法によれば、特別に高純度であ
る必要はないので、各種の廃塩化アルミニウム水溶液が
使用可能である。例えば、有機合成反応に用いられるグ
レードの塩化アルミニウムであれば充分である。しか
し、可及的に高純度なアルミナを目的とする場合は、ア
ルミニウム以外の金属分の含有量が金属として1wt%以
下であるものが好ましい。
【0015】4N(99.99%)以上程度の高純度ア
ルミナを目的とする場合は、塩化アルミニウム触媒を使
用する有機触媒反応から排出される廃塩化アルミニウム
水溶液を使用することも可能であり、この場合は廃水処
理の問題も軽減されるという利点がある。塩化アルミニ
ウム触媒を使用する有機触媒反応としては、フリーデル
クラフツ反応が代表的であるが、これに限られない。ア
ルキル化やアシル化等の反応の場合、塩化アルミニウム
は有機相に溶解しており、反応終了後に水を加えて塩化
アルミニウムは水溶液として排出される。この塩化アル
ミニウム水溶液は、微量の有機物や無機物等の不純物を
含むことが多いので、必要により吸着処理等がなされ得
る。しかし、必要以上に不純物を除去することはコスト
的に不利であるので、微量の不純物、特に水溶性の金属
化合物は残存する。かかる、金属化合物は反応装置や配
管の材質と腐食性の塩化アルミニウムとの反応によって
生じやすいものである。したがって、高純度アルミナを
回収しようとする場合は、不純物として微量の金属化合
物が可及的に混入しないように工夫が望まれる。
【0016】例えば、フリーデルクラフト反応に用いる
容器はグラスライニング等の処理が施して、容器からの
金属の溶出を抑制し不純物含有量が少ないことが好まし
い。また、アルミナ中に炭素が残存しないようにするた
めには、油中の塩化アルミニウムを水で抽出後の油水分
離を十分に行い排水中の有機物含有量が少ないものが望
ましい。更には、最終生成物として99.99%以上の
純度のアルミナを得るためには、塩化アルミニウム水溶
液中に含まれるその他の金属不純物量の総重量をアルミ
ニウム重量に対して0.5wt%以下、好ましくは0.1wt
%以下とすることがよい。
【0017】しかしながら、不純物を含む塩化アルミニ
ウム水溶液であっても、重炭酸アンモニウム水溶液に、
ほぼ中性ないし弱アルカリ性を保持しながら塩化アルミ
ニウム水溶液を、添加して行くと微量の金属化合物の混
入が抑えられたアルミニウム・カーボネート・ハイドロ
オキサイド・アンモニウムが生成することが見出され
た。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。塩化アルミニウム水溶液を重炭酸アンモニウム水
溶液中に加えるが、攪拌下、徐々に添加することが好ま
しい。このときの塩化アルミニウム水溶液の濃度は0.
1〜2mol/l、好ましくは0.2〜1mol/lであることが
よい。塩化アルミニウム水溶液の濃度が0.1mol/lよ
り低くなる場合、水溶液の量が増すだけで、得られるア
ルミニウム・カーボネイト・ハイドロオキサイド・アン
モニウムの性状上は特に問題ないが、容器容量あたりの
生産性が低下する。また、濃度が2mol/lより高くなる
場合、アグリーゲート状の生成物が得られる。これは通
常の攪拌下では高濃度の原料が充分に攪拌及び拡散混合
される前に、局部的な高濃度の部分で反応が起こるた
め、生成するアルミニウム・カーボネイト・ハイドロオ
キサイド・アンモニウム粒子の均一性や粒子径がコント
ロ−ルできにくくなるものと考えられる。
【0019】重炭酸アンモニウム水溶液の濃度として
は、0.1〜2mol/l、好ましくは0.3〜1.5mol/l
程度とすることがよい。重炭酸アンモニウム水溶液の濃
度が0.1mol/lより低くなる場合は、塩化アルミニウ
ム水溶液濃度と同じく得られるアルミニウム・カーボネ
イト・ハイドロオキサイド・アンモニウムの性状上は特
に問題ないが、容器容量あたりの生産性が低下する。ま
た、濃度が2mol/lより高くなる場合は、塩化アルミニ
ウム濃度が高すぎる場合と同ように生成するアルミニウ
ム・カーボネイト・ハイドロオキサイド・アンモニウム
粒子の均一性や粒子径がコントロ−ルできにくくなる。
【0020】重炭酸アンモニウム水溶液へ塩化アルミニ
ウム水溶液を添加して、アルミニウム・カーボネイト・
ハイドロオキサイド・アンモニウム結晶生成反応を起こ
させる。この添加は、pHを一定範囲に制御するため、攪
拌しながら徐々に添加する方法が好ましく採用される。
この際の混合溶液のpHは6〜10の範囲に制御する必要
があり、好ましくは7〜9.5の範囲に制御する。弱ア
ルカリ性の重炭酸アンモニウム水溶液に塩化アルミニウ
ム水溶液を加えてゆくと、酸性側へとpHが低下すること
になるが、溶液が酸性領域なるとアルミニウム・カーボ
ネイト・ハイドロオキサイド・アンモニウムの溶解度が
増し、その結果アルミニウム・カーボネイト・ハイドロ
オキサイド・アンモニウム結晶の収率が低くなるので好
ましくない。溶液が酸性領域になるのを防ぐためには、
アルカリを添加すればよいが、目的生成物を汚染しない
ためにはアンモニア水の添加が好ましい。一方、pHが高
過ぎる場合、目的最終生成物であるアルミナの純度が低
下する。これは、原料として用いる塩化アルミニウム水
溶液中に存在する不純物(代表的にはFe)が水酸化物と
して析出し、アルミニウム・カーボネイト・ハイドロオ
キサイド・アンモニウム結晶を汚染するためとと考えら
れる。従って、アルカリを使用しない場合を含めて全て
の場合で、pH10以下とする。なお、4N以上の高純
度の塩化アルミニウムを原料とすれば、pHが高くても
高純度のドーソナイト結晶が得られるが、高価である。
【0021】塩化アルミニウムと重炭酸アンモニウムの
モル比は、1:1以上であればよいが、1:1〜2程
度、1:2〜3程度及び1:3〜4程度に最適点がある
ので、1:1〜5程度とすることがよい。アルカリを使
用しない場合は、1:1〜3程度に最適点があるが、ア
ルカリを使用してpHを制御する場合は、1:4程度に
最適点がある。なお、程度というときは、±10%の範囲
で幅があるという意味に解される。モル比が小さい場
合、pHが6.5以下に低下するだけでなく、水酸化ア
ルミニウムが生成しやすくなる。そのためアンモニア水
等のアルカリを添加してpHを一定範囲に保つ必要があ
る。
【0022】塩化アルミニウム:重炭酸アンモニウムの
モル比と、pHの間には関係があるので、モル比(X)
とpHが次式の関係を満足するようにすることが好まし
い。pH≧−1.4X+10また、別の観点からは、モル
比1:4でアルカリを添加しない場合は、pHは成り行
き(6.5以上)〜9.5の範囲とすることが有利であ
る。また、アルカリを添加する場合で、モル比1:1〜
1:2では、pHは8.5〜9.5の範囲であること
が、モル比1:2〜3では、pHは7.5〜9.5の範
囲であることが、モル比1:3〜4では、pHは6.5
〜9.5の範囲であることが有利である。好ましくは、
モル比1:1〜3では、pHは7.5以上、モル比1:
3〜4では、pHは6.5以上とする。なお、廃塩化ア
ルミニウム水溶液中に酸が含まれる場合は、事前に中和
するか、重炭酸アンモニウム水溶液に添加する際にアル
カリを添加することがよい。
【0023】pHが低すぎると生成したHClと重炭酸アン
モニウムが反応して、重炭酸アンモニウムが不足して、
水酸化アルミニウムが析出する。高すぎると不純物が水
酸化物として析出してアルミナを汚染する。モル比が
1:1未満であると水酸化アルミニウムが析出する。こ
の水酸化アルミニウムを焼成すればアルミナとなるが、
ろ過がし難い、乾燥により凝集するので粉砕が必要、易
焼結性のものは得られない等の問題がある。なお、モル
比を1:4より高くして重炭酸アンモニウムを過剰に使
用しても所望のドーソナイトを得ることができるので
1:4以上であっても差支えないが、多く入れる効果は
特にない。本発明の反応は、HClを生成する反応で本質
的にpHを一定に保つのが難しく、一方で、pHが高すぎる
とFeの水酸化物が析出して純度が落ちるという問題があ
り、pHが低すぎるとアルミニウム・カーボネイト・ハイ
ドロオキサイド・アンモニウムが溶解するという問題が
あり、安定的な反応が困難と思われるのであるが、これ
を解決するため過剰の重炭酸アンモニウムを使用する
か、アルカリを併用する。
【0024】反応温度は、0〜60℃の範囲が適当であ
り、5〜40℃の範囲が好ましい。温度が0℃より低く
なると水溶液が凝固し、60℃より高くなるとアンモニ
アの揮発ロスが多くなり、組成が安定しない。反応温度
は生成するアルミニウム・カーボネイト・ハイドロオキ
サイド・アンモニウム結晶粒子のサイズに影響し、反応
温度等を調節することにより、生成する粒子径がコント
ロ−ルできることから目的に応じた条件設定が可能であ
る。例えば、低温領域では粒子径が概略0.03μmの
微細な楕円形で、高温域では0.2〜0.5μmと大き
くなる。反応温度が40℃より高くなると、粒子径が大
きくなり、最終的に焼結性のよい微粒子のアルミナを得
難いという問題がある。
【0025】塩化アルミニウム水溶液の添加が終了した
ら、必要な熟成を行った後、生成した結晶を水溶液から
分離し、水洗等により精製し、乾燥することによりアル
ミニウム・カーボネイト・ハイドロオキサイド・アンモ
ニウム結晶を得ることができる。これは、X線回折で同
定することによりアルミニウム・カーボネイト・ハイド
ロオキサイド・アンモニウム結晶の単一成分であること
が確認された。また、この結晶を1250℃で2時間焼
成して得られた焼成物を、X線回折で同定したところ、
α‐アルミナの単一ピークが得られた。このα‐アルミ
ナは乳鉢で軽くほぐすと解砕され、微粉末となる。
【0026】生成したアルミニウム・カーボネイト・ハ
イドロオキサイド・アンモニウムは、ろ過等で水溶液か
ら分離し回収される。例えば、生成したアルミニウム・
カーボネイト・ハイドロオキサイド・アンモニウムを水
溶液からろ別し、水洗等を行い、一般的な手法で乾燥、
焼成をすることにより、高純度な酸化アルミニウムを得
ることができる。更に、ろ別された残水溶液中にはアル
ミニウム等のアルミニウムの化合物はほとんど含まれな
いが、塩化アンモニウムと少量の有機物が存在する。塩
化アンモニウムの濃度にもよるが、苛性ソ−ダを加え、
アンモニアと塩化ナトリウムに転換させ、アンモニアは
スチ−ムストリッピング等の手法にて回収し、残水中の
微量有機物は活性汚泥処理後に排出することなどを行う
ことができる。
【0027】
【実施例】塩化アルミニウム水溶液、重炭酸アンモニウ
ム水溶液及びアンモニア水は、次ぎのようにして調製し
た。塩化アルミニウム(触媒グレードの試薬)を純水に
溶解して濃度が0.5mol/lの塩化アルミニウム水溶液A
を得た。pHは2.4であった。塩化アルミニウムを触
媒に用い、芳香族化合物と酢酸を原料としてフリーデル
クラフト反応により芳香族族アセチル化合物を生成する
反応を、グラスライニング容器を用いて行った後に、反
応混合物中の塩化アルミニウムを純水で抽出し、これに
純水で濃度調整して濃度が0.5mol/lの塩化アルミニ
ウム水溶液Bを得た。なお、pHは2.4であった。重炭
酸アンモニウムは市販の試薬一級を用い、純水に溶か
し、濃度が0.5mol/lの重炭酸アンモニウム水溶液を
得た。pHは8.5であった。試薬一級の濃度25%の
アンモニア水をpH調整用のアンモニア水とした。塩化
アルミニウム水溶液A及びBの組成を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】実施例1 重炭酸アンモニウム水溶液1000mlを3Lの攪拌器付容器
に入れ、塩化アルミニウム水溶液A1000mlを約1時間か
けて滴下し、白色の沈澱を生成させた。この際、アンモ
ニア水を滴下して反応混合液のpHを9.0に調整しなが
ら行った。また、反応温度は25℃とした。これを、1
時間熟成したのち、生成した白色結晶を5Cのろ紙でろ
別し、純水で洗浄した後、50℃で24時間乾燥させて
白色粉末を得た。これをX線回折で同定したところ、ア
ルミニウム・カーボネイト・ハイドロオキサイド・アン
モニウムの単一結晶ピークが得られた。また、走査型電
子顕微鏡で観察したところ、0.1〜0.2μmの結晶
粒子が観察された。なお、ろ液を分析したところ、アル
ミニウム濃度は1ppm以下であったことから、塩化ア
ルミニウム水溶液中のアルミニウムはほぼ100%アル
ミニウム・カーボネイト・ハイドロオキサイド・アンモ
ニウム結晶として回収されていることになる。
【0030】このアルミニウム・カーボネイト・ハイド
ロオキサイド・アンモニウム結晶粉末を坩堝にいれ、電
気炉で1,250℃で2時間焼成したところ25.5g
の白色粉末を得た。これをX線回折で同定したところα
‐アルミナの単一結晶ピークが得られた。得られたα‐
アルミナを乳鉢で軽く解して走査型電子顕微鏡で観察し
たところ、サブミクロンの凝集の少ない粒子が観察され
た。また、得られたα‐アルミナを、炭酸ナトリウムと
四ほう酸ナトリウムで加熱溶融、その後塩酸水溶液に溶
かし、ICPにて測定したところ、99.99%以上の
高純度品であることを確認した。α‐アルミナ中の不純
物濃度を表2に示す。
【0031】実施例2〜7及び比較例1〜4 塩化アルミニウム水溶液の種類、重炭酸アンモニウム水
溶液の量及びpHを表2に示すように変えた他は、実施例
1と同様にして反応を行い、結晶を分離し、焼成してα
‐アルミナを製造した。沈澱生成反応条件及びα‐アル
ミナ中の不純物濃度を表2に示す。表2中の沈澱生成物
におけるDはアンモニウムドーソナイト(アルミニウム
・カーボネイト・ハイドロオキサイド・アンモニウム)
を示し、Hは水酸化アルミニウムを示す。なお、実施例
2では沈澱生成物中に水酸化アルミニウムが少量析出
し、比較例1及び2では水酸化アルミニウムが多量に生
成した。
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】本発明で得られる高純度酸化アルミナ
は、従来法に比べて低コストで製造可能である。使用済
塩化アルミニウム触媒を原料とする場合は、製造が低コ
ストだけでなく、廃水処理も同時にできるという利点が
ある。本発明の高純度酸化アルミナの製造方法によれ
ば、アルミニウムをアンモニウムアルミニウム炭酸塩に
固定化することにより残水中にアルミニウム等は流出す
ることなくアルミニウムの99%以上回収が可能とな
る。また、塩として回収したアンモニウムアルミニウム
炭酸塩は微細な粒子であり、焼成することにより容易に
高純度酸化アルミナとなりアルミニウムはほぼ完全にリ
サイクルできる。アルミニウム・カーボネイト・ハイド
ロオキサイド・アンモニウムは熱分解によりアルミナを
生成することは知られているが、アルミニウム原料とし
て晶析により高度に精製された高純度明礬を用いてい
る。本発明の方法によれば、有機合成触媒グレードの塩
化アルミウムや有機触媒反応に使用済みの塩化アルミニ
ウムを水で抽出して得られた廃塩化アルミニウム水溶液
等の塩化アルミニウムから、高純度のアルミニウム・カ
ーボネイト・ハイドロオキサイド・アンモニウム又は高
純度のアルミナが得られる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化アルミニウムと重炭酸アンモニウム
    のモル比(X)が1:1以上となり、pHを6〜10の範
    囲に保持する条件で、塩化アルミニウム水溶液を重炭酸
    アンモニウム水溶液に添加してアルミニウム・カーボネ
    イト・ハイドロオキサイド・アンモニウム結晶を生成さ
    せ、生成した結晶を水溶液から分離したのち、熱分解す
    ることを特徴とする高純度アルミナの製造方法。
  2. 【請求項2】 塩化アルミニウムと重炭酸アンモニウム
    のモル比(X)が1:1〜5となり、pHが6〜10の範
    囲で、pHとモル比(X)が次式 pH≧−1.4X+10 を満足するようにpHを保持する条件で、塩化アルミニウ
    ム水溶液を重炭酸アンモニウム水溶液に添加してアルミ
    ニウム・カーボネイト・ハイドロオキサイド・アンモニ
    ウム結晶を生成させ、生成した結晶を水溶液から分離し
    たのち、熱分解することを特徴とする請求項1記載の高
    純度アルミナの製造方法。
  3. 【請求項3】 塩化アルミニウムと重炭酸アンモニウム
    のモル比を1:1〜3とし、pH7.5以上に保持する請
    求項1記載の高純度アルミナの製造方法。
  4. 【請求項4】 塩化アルミニウムと重炭酸アンモニウム
    のモル比を1:3〜4とし、pHを6.5以上に保持する
    請求項1記載の高純度アルミナの製造方法。
  5. 【請求項5】 pHを一定範囲に保持するためアルカリを
    添加する請求項1〜4のいずれかに記載の高純度アルミ
    ナの製造方法。
  6. 【請求項6】 アルカリがアンモニア水溶液である請求
    項5記載の高純度アルミナの製造方法。
  7. 【請求項7】 塩化アルミニウム水溶液が、塩化アルミ
    ニウムを触媒として使用する有機触媒反応終了後の反応
    混合物から塩化アルミニウムを水で抽出したものである
    請求項1〜6のいずれかに記載の高純度アルミナの製造
    方法。
  8. 【請求項8】 塩化アルミニウムを触媒として使用する
    有機触媒反応終了後の反応混合物から塩化アルミニウム
    を水で抽出し、得られた塩化アルミニウム水溶液を、塩
    化アルミニウムと重炭酸アンモニウムのモル比(X)が
    1:1以上となり、pHを6〜10の範囲に保持するよう
    に、重炭酸アンモニウム水溶液に添加してアルミニウム
    ・カーボネイト・ハイドロオキサイド・アンモニウム結
    晶を生成させ、生成した結晶を水溶液から分離すること
    を特徴とする使用済み塩化アルミニウム触媒の処理方
    法。
  9. 【請求項9】 分離した結晶を熱分解して高純度アルミ
    ナとする使用済み塩化アルミニウム触媒の処理方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007055888A (ja) * 2005-07-25 2007-03-08 Sumitomo Chemical Co Ltd 微粒αアルミナ
KR20080078096A (ko) * 2007-02-22 2008-08-27 한국과학기술연구원 알루미나 코팅층 형성 방법
JP2012511497A (ja) * 2008-12-11 2012-05-24 ユーオーピー エルエルシー 水酸化酸化アルミニウムの変換のための方法

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