JP2003177335A - 適応光学(adaptiveoptics)を用いて光学信号波面の歪みを補正する方法および装置 - Google Patents

適応光学(adaptiveoptics)を用いて光学信号波面の歪みを補正する方法および装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 システムの少なくとも1つのミラーが静電気
力を用いて操作され、特定の電極へ、または特定の電極
から、ミラーのある部分をそれぞれ選択的に引き寄せ、
またははね返す、適応光学系が開示されている。 【解決手段】 この引き寄せ、またははね返しは、誘電
体材料の拘束電荷層をミラーの少なくとも1つの表面に
機械的に結合し、その後、そのミラーの近くに配置され
た電極アレイの電極に電圧をかけることにより成し遂げ
られる。適当な電界と結合された誘電体材料の電荷によ
って、ある瞬間にミラーの複数の部分を引き寄せ、その
後、電極にかける電圧の符合を変えることによって、次
の瞬間に、これら同じ複数の部分をはね返すことが可能
になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】相互参照 本出願は、2001年9月19日に提出された、「Me
thod and Apparatus for th
e Correction of Optical S
ignal Wave Front Distorti
on Using Adaptive Optics」
と題する米国仮出願第_号の利益(benefit)を
主張する。
【0002】
【発明の属する技術分野】本発明は、概して光学信号の
歪みの補正に関し、詳細には、その歪みを補正するため
の適応光学の使用法に関する。
【0003】
【従来の技術】多くの種々の分野において、多くの種々
の目的で、光学信号に対してほぼ無限の用途がある。た
とえば、こうした信号は、アナログまたはデジタルデー
タが、光学スイッチにおけるような、光搬送波信号上で
変調される時の通信システムにおいて使用することがで
きる。こうしたシステムの信号は、その後、光ファイバ
を用いてまたは自由空間伝送によって、ある地点から別
の地点に送信される。さらに、望遠鏡によって集められ
た光信号は、天文学において使用され、遠方の天文学上
の物体または現象が観察される。また、医療分野におい
ても、光信号に対する多くの使用法がある。たとえば、
光信号を人間の目の中に送ることによって、その目の網
膜から反射される光を検出して、網膜の正確なマップを
作成することが可能である。
【0004】光信号を用いたシステムの動作は、種々の
要因によって妨げられる可能性がある。たとえば、送信
された光ビームの平面波面の歪みは、温度変動、擾乱、
屈折率の変動または他の現象による変化を含む、ビーム
が通過する媒体の屈折特性の任意の変化によって起こる
可能性がある。この歪みによって、波面の個々の部分
が、最初に送信された、ビームの進行線に対する垂直方
向からずれる可能性がある。この歪みは、目的地点で波
面の重大な劣化を引き起こす可能性がある。自由空間通
信システムにおいて、送信点と受信点の間の大気の任意
の乱れによって、ビームのある部分は、他の部分に比べ
て早く移動する可能性があり、その結果、上述した波面
歪みが生ずる。同じことが宇宙および医療用の使用法に
あてはまる。たとえば、人間の網膜のマップを作成する
ために使用される時、波面歪みは、通常、大気の乱れか
ら生ずるのではなく、代わりに、目のレンズを通して、
まず、目に入って、次に目から出てくる光ビームから生
ずる。レンズおよび角膜上のわずかの欠陥が、通信また
は医療の使用法において見た歪みと同じように、ビーム
の波面を歪ませる。どんな特別な使用法であっても、結
果は同じである。すなわち、歪みは、ビームの平面波面
が目的地点で同位相で受信されることを妨げる。
【0005】適応光学は、光学系の位相収差を計測する
ために波面センサを使用し、位相収差を補正するために
変形可能ミラーまたは他の波面補償装置を使用する。変
形可能ミラーは、適切にその形を変えて、反射波面の位
相を合わせる。最近まで、これらミラーは、一般的に、
圧電ドライバ、機械的なねじ機構または他の公知の方法
によって変形された。しかし、最近の方法において、変
形可能ミラーは、電極アレイが光学系においてミラーに
静電的に近接して配置される技術によって駆動されるこ
とができる。静電的な近接は、本明細書で使用されるよ
うに、電圧をこれら電極間に印加することによって、こ
れら電極とミラーの間に引き寄せ力が生成されることを
意味する。この手法は、静電的駆動として知られてい
る。ミラー表面の種々の部分に沿って引き寄せ力を制御
することによって、ミラーの形が、公知の方法で変更さ
れ、それによって、少なくとも一部分で波面歪みが補正
される。別の適応光学方法は、ミラーの複数の部分を引
き寄せ、またははね返すために磁気の力を使用すること
を含む。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、こうした変形
可能ミラーを使用するシステムは、重大な制限を有す
る。たとえば、静電的駆動に依存して波面の形を補正す
る従来技術の適応光学系は、ある瞬間において、特定の
電極とミラーの個別の部分との間で引き寄せを起こすこ
とができず、その後、次の瞬間に、その特定の電極とミ
ラーのその同じ部分の間ではね返しを起こす静電気力を
生じることはできず、または、その逆もできない。さら
に、ミラーの特定の場所で所定の圧力を生成するのに必
要な電圧は、ミラーから関連する電極への距離に非線形
に従属する。この距離は常に変わるために(たとえば、
ミラーが能動的に変形した時、ミラーの複数の部分は電
極の近くに引き寄せられるであろう)、異なる瞬間に使
用される同じ電圧は、特定の場所のミラーの形にかなり
異なる結果を生じるであろう。ミラーの形を変えて、波
面の形を補正するために、磁気の力を使用する変形可能
ミラーもまた重大な制限を有する。たとえば、こうした
ミラーは、電圧を印加すると、かなりの熱を生成する電
気コイルを必要とする。この熱は、ある用途に対してミ
ラーを適当でなくする影響を有し(たとえば、赤外線画
像生成)、また、極端な場合には、システムの種々の構
成部品に望ましくない熱応力を生ずるであろう。
【0007】
【課題を解決するための手段】波面歪み補正に関連する
上述の問題は、本発明によって解決される。本発明によ
れば、拘束電荷は、ミラー内に、またはミラーと機械的
に結合されている材料に集積される。拘束電荷層に静電
的に近接して配置された第1の電極のグループの中の特
定の電極に近い拘束電荷層の部分は、その電極にかかる
電圧の符号を変えることによって、その特定の電極に対
して交互に引き寄せられたり、またははね返されたりす
る。したがって、この拘束電荷層に機械的に結合してい
るミラーは、その特定の電極に対して同様に引き寄せら
れたり、またははね返される。一実施形態において、第
1の電極のグループから、ミラーの反対側に配置された
第2の電極のグループは、ミラーの特定の部分を選択的
に引き寄せ、またははね返すために、電界を画定し、第
1のグループの特定の電極の能力を向上するために使用
されることができる。電極のグループを平面に配列する
のが有利である。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は、光ビーム102を反射ま
たは集束させるためにミラー101を利用する従来技術
の構造を示す。光ビーム102は、光ネットワークスイ
ッチを通過する光信号、自由空間光通信システムにおけ
る光信号、人間の目の部分から反射される光、またはミ
ラーを使用してビームの経路を集束または変更する、任
意の他の用途における光ビームであってもよい。ミラー
101は、基板の一方の側が、窒化ケイ素、単結晶シリ
コン、多シリコン、ポリイミドまたは他の公知の材料の
ような1つまた複数の材料層で堆積されているシリコン
基板を、当該技術分野で公知の方法を用いてエッチング
することによって作ることができる。
【0009】容易に変形可能なミラーを作るために、一
般的に、1ミクロンほどの薄さの膜が残るまで、側壁1
03を残して材料がエッチングされる。膜は反射するた
め、方向104に進む光ビーム102は、ミラーに達す
ると、ミラーの表面から反射して、方向105に向けら
れる。反射率を増すために、この膜の上に金属被覆(た
とえば、アルミニウム)が形成されてもよい。公知の方
法を用いて支持フレームに側壁103を結合することに
よって、ミラー101において張力が維持される。
【0010】上述したように、波面歪みは、伝達媒体の
反射特性に対する任意の変化が、光ビームの進行線10
4に沿って起こる時に生ずる可能性がある。これらの変
化によって、ビームの波面の個々の部分が、その伝達さ
れた、垂直方向から、ビーム102の進行線104へそ
れる可能性がある。その結果、波面が、たとえば、ミラ
ー、望遠鏡の焦点面、光波面センサ(たとえば、湾曲波
面センサまたはシャックハートマン型(Shack−H
artman)波面センサ)であるかもしれない目的
地、または任意の他の目的地に達すると波面のイメージ
の歪みが生ずる。例によれば、光通信システムにおい
て、歪みは通信信号の重大な劣化、すなわち全体の通信
損失を生ずる可能性がある。
【0011】図2は、従来技術によって、静電気力を使
用してミラーの反射面を変形して、光ビーム102の波
面歪みを補正する図1の構造を示す。図2に示すミラー
201は、波面歪みの影響を少なくとも部分的に補正す
ることができる。公知の技術を用いて上述した歪みを計
測することによって、その歪みを補正するのに必要なミ
ラーの形が決定される。側壁203の間に吊るされ、か
つ接地されているミラー201は、ミラー201の下
の、距離dにある電極の平面202の少なくとも1つの
電極に、電圧をかけることによって作られる静電気力を
用いて変形される。次に、変形されるべきミラー201
の領域の直下に配置された、電極204のような、これ
ら電極の1つまたは複数に選択的に電圧をかけることに
よって、その領域は方向205の電極204へ引き寄せ
られる。平面202内の個々の電極に種々の電圧をかけ
る結果として、光ビームがミラー201に入射する時、
上述した波面の変形が減ぜられるように、ミラーの種々
の部分が変形する。前記歪みを検出して、その情報を個
々の電圧に変換して、ミラーの変形を作ることによって
波面歪みを補正するための上述した技術は、当該技術分
野では公知である。自由空間光通信システムにおいて使
用される、この方法および装置の実施例は、2001年
6月29日に提出された、第_号の「Method a
nd Apparatus for the Corr
ection of OpticalSignal W
ave Front Distortion With
ina Free−Space Optical Co
mmunicationsSystem」と題する同時
係属中の米国特許出願に記載されている。
【0012】図3は、側壁303の間に吊り下げられ、
接地されたミラー301の反射面が、図2の実施形態に
比べて、より大幅に波面歪みを補償されることができ
る、図2の構造を示す。上述したように、側壁303
は、公知の方法を用いた支持構造に取り付けられる。図
3の実施形態によって提供される、より大幅な補償の程
度は、第1の電極面302から、ミラー301の反対側
の、そのミラーから距離d のところに第2の電極面3
07を付加することによって成し遂げられる。平面30
7は、光ビームの光学経路内にあるため、その平面は、
透明電極、円形電極リングまたはビーム経路をそれほど
妨げないであろう任意の他の電極タイプから成る。電圧
が電極307にかけられると、ミラー301は、方
向306のその電極の方に引き寄せられる。図2に示す
実施形態においてのように、電極304に電圧をかける
ことによって、ミラーは、方向305のその電極の方に
引き寄せられるであろう。方向305かまたは方向30
6のいずれかの、こうした広い範囲の移動は、光ビーム
102の波面歪みの大幅な補正に役立つ。
【0013】図1、2および3の従来技術のミラー構造
を用いたシステムは、重大な制限を有する。これらシス
テムは、ある瞬間に特定の電極とミラーの個々の部分の
間に引き寄せを生じ、その後、次の瞬間に、その特定の
電極とその同じミラーの部分の間にはね返す静電気力を
生じることはできず、または、その逆もできない。さら
に、ミラー上の特定の場所で所定の圧力を生成するのに
必要な電圧は、関連する電極に対するミラーからの距離
に非線形に従属する。この距離は常に変わるために(た
とえば、ミラーが能動的に変形した時、ミラーの複数の
部分は電極の近くに引き寄せられるであろう)、異なる
瞬間に使用される同じ電圧は、特定の場所のミラーの形
にかなり異なる結果を生じるであろう。
【0014】図4は、材料の拘束電荷層404が、ミラ
ー401の表面に添着され、またはそうでなければ機械
的に結合される、本発明の一実施形態による構造を示
す。本明細書で使用されるように、拘束電荷は、誘電体
材料の永久的または半永久的な電気分極である。こうし
た分極は、たとえば、誘電体材料に電荷を注入すること
によって作ることができる。さらに、強誘電体層が分極
されるか、または誘電体材料が電離放射線に暴露される
ことができる。本明細書で使用されるように、ミラーと
の機械的結合は、拘束電荷層にミラーが集積化されてい
る、すなわち、拘束電荷層が、層または中間材料の複数
層を通して、または別の構造または複数構造(たとえ
ば、拘束電荷層をミラーに結合する1つまたは複数の柱
またはばね)を通して、ミラーに接触していることを意
味する。
【0015】厚みBのミラー401は、上述したよう
に、公知の方法を用いて、基板の一方の側を窒化シリコ
ン、単結晶シリコン、多シリコン、ポリイミドまたは他
の公知の材料のような材料層で堆積された、厚みDのシ
リコン基板をエッチングすることによって製作すること
ができる。表面402からのエッチングは、厚みAの側
壁403(通常、5mmのオーダ)および反射ミラー表
面401を生ずるであろう。側壁403を形成する材料
は、こうした材料がミラー表面に剛性を付加するため
に、使用できるミラーに保持されることができる。基板
をエッチングして膜ミラーを作ることは、本質的に典型
的であることを意図しているにすぎない。静電的に変形
することができるミラーを作る任意の他の方法が、本発
明を実施するために使用されてもよい。
【0016】厚みCの誘電体材料層404は、エッチン
グされた表面とは反対のエッチングされた基板の表面に
添着される。この目的に適した、具体的な材料は、スピ
ンコーティングされるか、または基板上に堆積される
か、成長させられ、1または数ミクロン厚の材料層を作
ることができるTeflon(登録商標)(または、別
の誘電体材料)である。一旦この層404が形成される
と、DC電界によるプラズマ内のコロナ放電によって、
または他の公知の方法によって、持続性の拘束電荷がそ
の中に注入されることができる。こうした放電を用い
て、種々の条件下で何年にもわたって持続する、10
−7〜10−9C/cmの密度のTeflon(登録
商標)層404内に電荷が作られる。上述の方法で作ら
れたTeflon(登録商標)の電荷は、許容可能な拘
束電荷層を作るが、拘束電荷層をミラーに機械的に結合
する他の方法もまた可能である。たとえば、ミラー自体
は、電荷を保持するのに適した材料で構成されてもよ
い。別法として、電荷は、キャパシタをミラーに取り付
けることによって、半永久的にミラー内に作られること
ができる。
【0017】図5は、図4の構造の適応光学の実施形態
を示す。この実施形態において、ミラー401は、2つ
の電極面501および503の間で支持される。電極面
503は、拘束電荷層の上に、既知の特性を有する電界
を付加するのに役立つ。この電界によって、ミラー40
1の大幅な制御が可能になる。2つの面501および5
03は、距離Dだけ離され、拘束電荷層404から等距
離(すなわち、d=d)に配置されるのが有利であ
る場合がある。動作時、光信号は、ミラー401が支持
される光学系によって受信される。(たとえば、シャッ
クハートマン型センサまたは湾曲波面センサを用いた)
公知の波面検知技術が使用され、光信号の波面の歪みが
計測される。歪みが検出されると、公知の技術を使用し
て、その歪みを補償するのに必要なミラー401の変形
が決定される。上述したように、面501内の電極50
2のような、個々の電極に電圧をかけることによって、
ミラー401の変形が生ずるであろう。こうした電極
は、アレイ状に配列されることができ、こうした方法で
配列されることで、アレイにおいて、個々に制御された
電圧を多数の電極にかけることによって、ミラー401
の表面上の多数の領域が変形されて、上述の波面歪みを
補償することができる。拘束電荷は、ミラー401に機
械的に結合された誘電体材料402内に注入されるた
め、また拘束電荷層の上の電界が既知であるため、その
電極にかける電圧の符合を変えることによって、種々
で、既知の方向の変形を生ずるであろう。符号が拘束電
荷の符号と同じ場合、各電極に最も近い、拘束電荷層4
04の領域、したがってミラー401は、その電極から
はね返されるであろう。一方、電極にかかった電圧の符
号が拘束電荷の符号と逆である場合、拘束電荷層404
およびミラー401は、その電極に引き寄せられるであ
ろう。電極面503は透明で、光ビームの光学経路内に
ある。この面は、グラウンド接続であり、グラウンド接
続は、電極502および誘電体材料402を有するミラ
ー401とともに、電界の幾何学的形状を画定するのに
役立ち、こうした透明電極が使用されない場合と比較し
て、ミラー401で得られる変形に対する予測可能性を
付加する。図4の距離dが距離dに等しい場合で、
また、拘束電荷層404の小さな変位について、拘束電
荷層404に加わる圧力は、関係: P=δV/D (式1) で定義される。ここで、Pはミラーに加わる圧力、δは
誘電体層402内の拘束電荷密度、Dは図5の2つの電
極面の間の距離である。dがdと異なる場合、この
式は、 P=δV/D−δ[(d−d)/(2εD)] (式1a) となる。
【0018】図2に使用されるような従来技術のミラー
に加わる圧力は、関係 P=1/2(ε/d) (式2) で定義される。ここで、Pは再びミラーに加わる圧力、
εは定数(8.87×10−12F/m)、Vは関連
する電極にかかる電圧、dはミラーから関連する電極面
までの距離である。2つの電極面が使用される、図3で
使用されるミラーの場合、ミラーに加わる圧力が2つの
異なる電極面に依存する可能性がある。この場合、圧力
は、関係: P=1/2ε{(V/d)−(V /d )} (式3) で定義される。ここで、Pは特定の場所でミラーに加わ
る圧力で、εは定数で、Vは面302上で図3の電極
304に印加される電圧で、dはミラーから電極304
までの距離で、Vは面307内で図3の電極308に
印加される電圧で、dはミラーから電極308までの
距離である。
【0019】式から容易に明らかになるように、図5に
おいてd=dである、本発明によれば、式1で定義
される図5の拘束電荷層404に加わる圧力は、電極の
任意の個々の面からミラーまでの距離とは全く独立して
いる。図5の面501および503の間の任意の所定の
距離に対して、この圧力は、面501の電極に印加され
る電圧とまさに線形である。拘束電荷層404に加えら
れる圧力を制御することは、電極502に印加する電圧
Vを変えることである。式2および3によって説明され
た従来技術の場合において、ミラーに加えられる圧力
は、電圧Vの2乗およびVの2乗の両方に依存し、電
極302および307の各面からの距離の2乗にそれぞ
れ逆比例で依存する。結果として、圧力Pの単位増加を
達成するために必要な電圧V(または、V)は、ミラ
ーから電極面までの距離dおよびd の変化とともに絶
えず変わる。したがって、これら従来技術の場合におい
て、ミラーに加える圧力を変えることは、複雑な制御ア
ルゴリズムを必要とする。
【0020】図6は、ミラーを形成する膜の空間周波数
の関数として、図5のミラー401の変位の振幅のグラ
フを示す。空間周波数は、装置が受け入れる可能性があ
る、ミラーの形の複雑さの程度、したがって、装置が補
正できる波面歪みの複雑さを計測する。(たとえば、電
極の電圧を増加することによって)静電気圧力を増加す
ることは、軸601によって表される、膜の空間周波数
応答を増加させる。線603は、空間周波数と単一電極
面と関連して使用される図3の従来技術のミラー301
の変位の振幅の間の関係を表す。線604は、拘束電荷
層が2つの電極面と関連して使用される、本明細書の図
5で示される、本発明の実施形態に対して同じ関係を表
す。線603および604は両方とも空間周波数の2乗
に関して逆に変わる。すなわち、膜の変位の振幅は空間
周波数が増加するにつれて減少する。しかし、所定の空
間周波数605に対して、図3の従来技術の膜は、変位
振幅605を示すのみであるが、本発明の実施形態で使
用されるミラーは、かなり大きな変位振幅606を示す
であろう。結果として、本発明の原理によるミラーを使
用する時、従来技術と同じ変位を達成するのにより小さ
い電圧が必要となる。
【0021】上述したことは、単に本発明の原理を説明
している。したがって、本明細書において明快には説明
され、または示されていないが、本発明の原理を具体化
し、本発明の精神および範囲内にある種々の構成を、当
業者が考案することができるでろうことが理解されであ
ろう。さらに、本明細書において引用される全ての例お
よび条件付きの言葉は、読者が本発明の原理を理解する
のを助けるために、教育学的な目的のためのみであるこ
とが明白に意図されており、こうした、特に引用された
例および条件に限定されることがないものとして解釈さ
れるべきである。本明細書の線図は、ミラーおよび光ビ
ームの概念的な図を表す。光学構成部品の線図は、必ず
しもスケール通りに示されていないが、代わりに、単
に、こうした構成部品の可能な物理的構成を表してい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】入射する光ビームを新たな方向へ再び向ける、
従来技術のミラーを示す図である。
【図2】電極面によって生成された静電気力が、ミラー
の形を変えるのに使用される、従来技術のミラーを示す
図である。
【図3】光学経路の第2の電極面が、ミラーの変形の程
度を増すために使用される、従来技術のミラーを示す図
である。
【図4】拘束電荷層がミラーに添着される、本発明の一
実施形態によるミラーを示す図である。
【図5】ミラーの両側の各々の、第1の電極面および第
2の電極面が、ミラーのまわりの電界を画定するために
使用される、図4のミラーを示す図である。
【図6】従来技術のミラーおよび図4のミラーの両方の
変形の空間周波数と振幅の間の関係を示すグラフを示す
図である。
フロントページの続き (72)発明者 ジョン アンソニー タイソン アメリカ合衆国 07979 ニュージャーシ ィ,ポッタースヴィル,ボックス 165 Fターム(参考) 2H041 AA23 AB14 AB38 AC06 AZ02 AZ08 2H042 DA02 DA11 DA12 DA21 DC01 DD11 DE00

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ミラーと、 前記ミラーに機械的に結合された拘束電荷(bound
    charge)層とを備える装置。
  2. 【請求項2】 前記拘束電荷層に静電的に近接して配置
    される第1の電極のグループをさらに備える、請求項1
    に記載の装置。
  3. 【請求項3】 前記拘束電荷層に静電的に近接して配置
    される第2の電極のグループをさらに備える、請求項2
    に記載の装置。
  4. 【請求項4】 前記ミラーは、前記第1の電極のグルー
    プと前記第2の電極のグループの間の位置に配置され
    る、請求項3に記載の装置。
  5. 【請求項5】 前記拘束電荷層は、前記ミラーに集積化
    されている、請求項1に記載の装置。
  6. 【請求項6】 前記拘束電荷層は、前記ミラーと物理的
    に直接接触している、請求項1に記載の装置。
  7. 【請求項7】 少なくとも1つの拘束電荷層が少なくと
    も1つのミラーに機械的に結合され、少なくとも1つの
    電極のグループが前記拘束電荷層に静電的に近接して配
    置されている光学システムにおいて使用するための方法
    であって、 波面歪みの検出に応答して、前記少なくとも1つの電極
    のグループの少なくとも1つの電極に、正または負の電
    圧を印加することを含む方法。
  8. 【請求項8】 前記ミラーは、2つの電極のグループの
    間に配置される、請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 複数のミラーを備え、前記ミラーの各々
    は、対応する複数の拘束電荷層に機械的に結合されてい
    る装置。
  10. 【請求項10】 光ネットワーク接続スイッチを備え
    る、請求項9に記載の装置。
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