JP2003136151A - めっき鋼板のプレス成形性評価法 - Google Patents

めっき鋼板のプレス成形性評価法

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貴裕 松永
Hajime Ishigaki
一 石垣
Tomoaki Ihara
智章 伊原
Akihito Sato
章仁 佐藤
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康一郎 山岸
Masataka Shiokawa
正隆 塩川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実プレスを行うことなくめっき鋼板のプレス
成形性を簡便かつ的確に評価できる手段を提供する。 【解決手段】 摺動摩擦試験機を用い、めっき鋼板から
なる被試験材に金属体を“点状”もしくは“接触面積が
20mm2 以下の平面状”の接触面でもって接触摺動させ
た際の、摺動長内における摺動抵抗から求められる摩擦
係数に基づいて前記被試験材のプレス成形性を評価す
る。この場合、接触摺動時の押し付け荷重を2〜300
N、摺動速度を1〜1000mm/min、総摺動長を5〜20000m
m とし、接触摺動中に摩擦係数を測定して、摩擦係数平
均値μave と摩擦係数標準偏差値μσ、あるいは摺動長
を適宜数に区分した区分毎の摩擦係数平均値の最大値μ
max を求める等の手法によってプレス成形性の評価を行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、実際のプレス成
形試験を行うことなくプレス成形性が良好なめっき鋼板
を的確に判定することにより、プレス成形機へプレス成
形性が良好なめっき鋼板を安定的に供給できるように管
理することを可能とした、めっき鋼板のプレス成形性評
価法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車部品の生産に用いられてい
るプレス金型は、パンチ,ダイス及びしわ押さえのため
のビード等によって構成されており、プレス成形の際に
おける“鋼板の金型への流れ込み”は、通常、ビードや
しわ押え圧によって調整されている。この場合、鋼板の
金型への流入量が過多の場合にはしわが発生し易く、一
方、過少の場合には破断を起こし易い。上記“鋼板の金
型への流れ込み”の難易を支配する因子のうち、鋼板側
において最も大きく影響するのは“鋼板表面の潤滑性”
である。この潤滑性は、鋼板に塗布されるプレス油の性
能等といった鋼板上層(表層)を構成する被覆層の物性
に左右されることが多いが、鋼板表面自体の潤滑性も支
配因子となる。
【0003】ところで、近年、プレスに供される鋼板に
おいて、コスト低減の観点から規格を下げた安価なもの
が求められるためにグレードダウン化が指向されたり、
環境問題から自動車車体重量の低減を求められるために
高張力鋼の適用等による板厚低減化(ゲージダウン化)
が指向されたりしている。これらの、グレードダウン
化,ゲージダウン化は共に材料の機械的性質を下げるこ
とになり、プレス成形に際して鋼板の金型への流れ込み
を低下させる要因となっている。従って、上述のように
グレードダウンされた鋼板を用いる場合、それを補償す
るだけの金型への流入量を確保することはプレス成形に
おいて不可欠であり、めっき鋼板にあってはめっき表層
の潤滑性を的確に把握する手段の開発が是非とも必要に
なる。
【0004】一方、プレス成形の際には、ある程度しわ
押え圧を確保した状態でなければしわの発生が避けられ
ないので、このような状態下でのプレス割れを防止する
ためにも、鋼板表面の潤滑性を的確に把握することは今
後ますます重要度を増すものと考えられる。上述のよう
に、プレス成形性に対して鋼板の表面の潤滑性を適正に
把握し評価することは、良好なプレス成形性を確保する
上で従来にもまして重要な技術課題となってきた。
【0005】鋼板表面の潤滑性及びプレス成形性を評価
する手法として最も確実な方法は、実際のプレス金型に
よるプレス成形試験結果を用いることである。しかしな
がら、この方法はプレス機の操作やプレス金型の調整に
多大な労力,時間,コストを要するので合理的でない。
【0006】そこで、特開平6−138020号公報と
して、鋼板試験片を表裏面もしくは片面で押さえ付けて
特定速度で引き抜く際の“押え圧”と“引き抜き力”と
から摩擦係数を求める平板摺動試験により、鋼板の潤滑
性及びプレス成形性を評価する方法が提案された。ま
た、特開平9−72799号公報には、プレス金型の絞
りビード部を模擬したものを鋼板試験片に押し付けた形
態で鋼板試験片を引き抜く際の“押え圧”と“引き抜き
力”とから摩擦係数を求めるドロービード試験により、
鋼板の潤滑性およびプレス成形性を評価する方法が提案
されている。
【0007】一方、特開昭60−250835号公報に
は、ビード引き抜きと、ダイ丸み半径部分における曲
げ,曲げ戻し変形及び摺動とをシミュレートすることに
よって絞りビード部とダイス肩部との潤滑状態を同時に
シミュレートする方法が提案されている。そして、特開
平6−308017号公報には、回転ディスク体にピン
で荷重を付与し、摩擦力、加重変動、更には表面粗さ等
の様々な情報を取り込んで摺動摩耗を解析する方法が提
案されている。更に、特開2000−193450号公
報には、鋼板表面の形状を測定し、その断面曲線から振
幅確率密度分布を求め、この振幅確率密度分布等からプ
レス成形性を間接評価する方法が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように、鋼板の潤
滑性,プレス成形性に関する種々の評価試験方法や装置
等がこれまでにも多数提案されてはいるものの、その何
れによっても鋼板表面の摺動性やプレス成形性の正確な
評価を十分に行うことができないのが現状であった。こ
れは、その評価方法が複雑であるため、評価結果に鋼板
の表面以外の因子が複雑に影響するからであると考えら
れる。
【0009】即ち、前記特開平6−138020号公報
により提案された方法では、鋼板の表面性状は表面粗さ
や塗油量の影響を大きく受けるため、これらの影響を受
けて表面性状が変化しやすい鋼板について摺動性を正確
に評価することは難しい。更に、金型の押え圧の増加に
より引き抜き時に摺動部分の塑性変形が起きるため、め
っき層そのものの摺動性の評価が困難になってしまう。
【0010】また、前記特開平9−72799号公報や
特開昭60−250835号公報により提案された方法
では、塑性変形と引き抜き摺動抵抗とを評価してしまう
ために板厚や強度の影響を受けるのは避けられない。つ
まり、これらの方法では板厚や強度等の鋼板基材の特性
を実質均一にすることが困難であるために、様々な種類
の鋼板を用いて莫大な量のデータを採って評価に加える
必要があり、鋼板表面(めっき層等)そのものの摺動性
を判別してプレス成形性合否判定を行うことが難しい。
【0011】このように、特開平6−138020号公
報,特開平9−72799号公報あるいは特開昭60−
250835号公報により提案された方法では、塑性変
形機能が影響することを避けられないために鋼板の表面
の潤滑性や摺動性を正確に評価することができなかっ
た。
【0012】一方、特開平6−308017号公報によ
り提案された方法では、摩耗面の解析手法としては優れ
た点も認められるが、あくまでも摩耗させたときの情報
を解析するものであるため、鋼板表面の潤滑性能を的確
に解析することはできない。更に、特開2000−19
3450号公報により提案された方法は、プレス時の摺
動挙動を表面粗さの因子で評価しようとするものである
が、鋼板表面の物性(硬度),潤滑油の種類,潤滑皮膜
の種類によって摺動挙動が変化してしまうために、表面
粗さのみによって鋼板表面(めっき表面等)の各種状態
に左右される摺動性,潤滑性,成形性を評価するのは困
難である。
【0013】このように、めっき鋼板をプレス成形に供
するに当って、めっき表層部の摺動性,耐型カジリ性等
により変動する表面抵抗を実プレス成形に正確に反映で
きる程度に的確な評価を行える手法は未だ十分に確立さ
れているとは言えず、厳しいプレス成形性を要求される
用途に実プレス成形試験を行うことなくプレス成形性が
良好なめっき鋼板を安定的に供給できるように管理し得
る手段の開発が急務となっていた。
【0014】そこで、本発明が目的としたのは、めっき
鋼板をプレス成形するに際して、めっき鋼板のめっき表
層自体あるいはプレス成形性に影響を及ぼすめっき最表
面の“摺動性,耐型カジリ性,成形性等により表される
プレス成形性”を正確に評価することができる的確なめ
っき鋼板のプレス成形性評価手段を提供し、これにより
実プレスを行うことなく安定してプレス成形性の良好な
めっき鋼板の管理,供給を実施できるようにすることで
ある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討を重ねた結果、まず、めっき鋼
板をプレス成形する際に発生しがちな被成形材の割れ
(プレス割れ)は、プレス時の塗油が部分的に切れ、金
型と鋼板とが直接的に接触するいわゆるメタルタツチを
起こし易い領域で発生し易いことを確認した。そして、
めっき鋼板に関してプレス成形時に割れを発生し易いか
否かを的確に評価するには、上述のような状況を発現さ
せ易い“被成形材からなる試験片に金属体を点接触もし
くは非常に小さい接触面積で接触させて摺動させる接触
摺動試験”が適していることを見出した。
【0016】また、実プレス成形では金型に被成形材
(めっき鋼板)が流れ込んでその表面が摺動を受ける
が、メタルタッチによる金型焼き付きが発生すると被成
形材の流れ込みが抑制されて最終的にプレス割れが発生
することから、摺動距離内での摺動抵抗の変動を正確に
測定してプレス成形性の評価に反映させることが重要で
あることも判明した。即ち、摺動試験によってめっき鋼
板の摺動抵抗を測定しその結果を摩擦係数として評価す
る際、摺動抵抗の測定をリアルタイムに、そして好まし
くは複数の時点(複数点)で測定し、この測定結果に基
づく評価を行ったり、更には、前記測定結果を摩擦係数
として評価する際にその平均値,標準偏差を取り出すと
共に、更に解析を加えることにより、めっき鋼板のプレ
ス成形性と良好な相関関係を示すデ−タを得られること
が判明した。
【0017】つまり、一般的に行われている摺動試験を
実施すると、得られる摩擦係数平均値に差が認められな
い鋼板であっても実プレス成形では割れが発生するもの
と割れが発生しないものとが出る。これは、プレス成形
の際に金型と摺動する被成形材の全摺動部が全て同じ摩
擦係数を示すとは限らず、摺動の開始部から終了部まで
の間で摩擦係数に変化が出るためであると考えられる。
そのため、本発明者らは、上記全摺動部あるいは摺動部
の或る特定領域における“摩擦係数の変化”を観察しこ
れをプレス成形性の評価に採り入れることによって、よ
り的確なプレス成形性の評価結果が得られることを確認
した。
【0018】本発明は、上記知見事項等を基にしてなさ
れたものであり、次に示すめっき鋼板のプレス成形性評
価法を提供するものである。 1) 摺動摩擦試験機を用い、めっき鋼板からなる被試験
材に金属体を“点状”もしくは“接触面積が20mm2
下の平面状”の接触面でもって接触摺動させた際の、摺
動長内において測定される摺動抵抗から求められる摩擦
係数に基づいて前記被試験材のプレス成形性を評価する
ことを特徴とする、めっき鋼板のプレス成形性評価法。 2) 被試験材と金属体との接触摺動は、被試験材に押し
付ける金属体の押し付け荷重を2〜300N、摺動速度
を1〜1000mm/min、そして総摺動長を5〜2000
0mmとした条件で行い、その接触摺動中に摺動抵抗の測
定を行う、前記1)項記載のめっき鋼板のプレス成形性評
価法。 3) 被試験材の温度を実プレス成形で昇温する金型温度
の領域に保持して摺動抵抗の測定を行う、前記 1) 項又
は 2) 項の何れかに記載のめっき鋼板のプレス成形性評
価法。 4) 摺動摩擦試験機を用い、めっき鋼板からなる被試験
材に金属体を“点状”もしくは“接触面積が20mm2
下の平面状”の接触面でもって接触摺動させた際の、摺
動長内における複数の時点で測定される摺動抵抗から求
められる摩擦係数に基づいて前記被試験材のプレス成形
性を評価することを特徴とする、めっき鋼板のプレス成
形性評価法。 5) 被試験材と金属体との接触摺動は、被試験材に押し
付ける金属体の押し付け荷重を2〜300N、摺動速度
を1〜1000mm/min、そして総摺動長を5〜2000
0mmとした条件で行い、その接触摺動中に摺動抵抗の測
定を行う、前記4)項記載のめっき鋼板のプレス成形性評
価法。 6) 被試験材と金属体との接触摺動は、被試験材に押し
付ける金属体の押し付け荷重を2〜300N、摺動速度
を1〜1000mm/min、そして総摺動長を5〜2000
0mmとした条件で行い、その接触摺動中に少なくとも2
0以上の時点で摺動抵抗の測定を行う、前記 4) 項記載
のめっき鋼板のプレス成形性評価法。 7) 被試験材の温度を実プレス成形で昇温する金型温度
の領域に保持して摺動抵抗の測定を行う、前記 4) 項乃
至 6) 項の何れかに記載のめっき鋼板のプレス成形性評
価法。 8) 測定した摺動抵抗より求められる摩擦係数から摩擦
係数平均値μave と摩擦係数標準偏差値μσとを求め、
これを基に被試験材のプレス成形性を評価する、前記
1) 項乃至 7) 項の何れかに記載のめっき鋼板のプレス
成形性評価法。 9) 求めた摩擦係数平均値μave 及び摩擦係数標準偏差
値μσが下記 (1)式並びに (2)式を満足した場合に「プ
レス成形性が良好である」と判定する、前記8)項記載の
めっき鋼板のプレス成形性評価法。 μave ≦ 0.200 ……(1) μσ≦ 0.080 − 0.2×μave ……(2) 10) 被試験材と金属体との接触摺動長を複数の区域に区
分すると共に、摺動抵抗より求められる各区域における
摩擦係数の平均値を求め、各区域毎に求めた摩擦係数の
平均値のうちの最大値μmax を基に被試験材のプレス成
形性を評価する、前記 1) 項乃至 3) 項の何れかに記載
のめっき鋼板のプレス成形性評価法。 11) 各区域毎に求めた摩擦係数の平均値のうちの最大値
μmax が下記 (3)式を満足した場合に「プレス成形性が
良好である」と判定する、前記 10)項記載のめっき鋼板
のプレス成形性評価法。 μmax ≦ 0.25 ……(3) 12) 測定した摺動抵抗より求められる摩擦係数から“総
摺動長における摩擦係数平均値”又は“摺動長の部分区
域における摩擦係数平均値”と“総摺動長における摩擦
係数標準偏差値”又は“摺動長の部分区域における摩擦
係数標準偏差値”とを求め、これを基に被試験材のプレ
ス成形性を評価する、前記 1) 項乃至3)項の何れかに記
載のめっき鋼板のプレス成形性評価法。 13) 求めた“総摺動長における摩擦係数平均値”又は
“摺動長の部分区域における摩擦係数平均値”、並びに
“総摺動長における摩擦係数標準偏差値”又は“摺動長
の部分区域における摩擦係数標準偏差値”が、何れも下
記の (4)式並びに(5)式を満足した場合に「プレス成形
性が良好である」と判定する、前記 12)項記載のめっき
鋼板のプレス成形性評価法。 “総摺動長における摩擦係数平均値”又は“摺動長の部分区域にお ける摩擦係数平均値”≦ 0.20 ……(4) “総摺動長における摩擦係数標準偏差値”又は“摺動長の部分区域 における摩擦係数標準偏差値”≦ 0.080 − 0.2×μave ……(5)
【0019】
【発明の実施の形態】本発明法において適用される摺動
摩擦試験機としては、ピンオンディスクや付着すべり試
験機等の摩擦摩耗試験機が好適である。ピンオンディス
クは、ディスク上に載置した被試験材をディスクと共に
回転させると共に、当該被試験材の表面にピン状の金属
体を押し付けて一方向に摺動させる試験機であるが、付
着すべり試験機(バウデン試験機)のように往復運動さ
せる摺動方法も有効である。ここで、これらの摩擦摩耗
試験機による摩擦摩耗試験自体はベアリング材料やセラ
ミックス等を被試験材として公知であるため、装置その
ものの詳細な説明は省略する。
【0020】なお、実プレス成形においてはプレス加工
時の摺動方向は一定方向になることが多いことから、本
発明法において適用するめっき鋼板のプレス成形性評価
機器としてはバウデン試験機よりもピンオンディスクの
方がより好ましいと言える。しかし、本発明では、従来
から検討されている素材そのものの耐摩耗性を測定する
ことを目的としたものではなく、プレス成形性の良否を
判別させることを目的としていて、プレス成形性に影響
を及ぼす鋼板表面の摺動抵抗を厳密かつ的確に測定する
必要があり、比較的低荷重でかつ短い時間で測定するこ
とが重要である。従って、従来の摩擦磨耗試験機のよう
に“素材そのものの磨耗性”を測定し評価する必要がな
いので、鋼板表面の極く表面だけのメタルタッチを発現
する程度の摺動がなされるように装置の作成,改造は必
要である。
【0021】被試験材に摺動接触させる金属体として
は、実プレスの金型で使用される材質とするのが好まし
く、例えば、JIS−G−4401,4403,440
4に定める工具鋼(例えば、SKD11等)があげられ
る。また、必要に応じて、プレス金型に採用されている
Crめっき,TiN処理等の表面処理を施したものを金属体
として適用することも可能である。
【0022】上記金属体の先端形状としては、“点状”
もしくは“接触面積が20mm2 以下の平面状”が好まし
い。この理由としては、前述したように、極めて厳しい
プレス条件下においては表面に存在する油分が油切れを
起こしてメタルタッチによる金型焼き付きが発現し、こ
れが実プレス成形性の割れの発生原因と考えられるの
で、メタルタッチを起こしやすい状態を効果的に発現さ
せる必要があり、そのため極力接触面積を小さくするこ
とが重要だからである。従って、接触体としての金属体
の形状としては、ボール状球体(点状接触)もしくは2
0mm2 以下の平面部を持つ棒を採用することが好まし
い。
【0023】なお、金属体の接触面積を20mm2 以下に
規定した理由は、20mm2 超では平面部での油の流動が
生じにくく、押え荷重を上げてもメタルタッチが生じに
くくなって極めて過酷な摺動条件の発現が困難であると
ともに、大きな面積の平面状の金属体では被接触材であ
る平滑なめっき鋼板に均一な面圧で押え付けることが困
難になり、測定結果にバラツキが生じるためである。従
って、接触体である金属体は、極力点接触であることが
好ましい。
【0024】本発明に係るめっき鋼板のプレス成形性評
価法では、被試験材に押し付ける金属体先端部の押し付
け荷重を2〜300N,摺動速度を1〜1000mm/mi
n、総摺動長を5〜20000mmの条件で被試験材と金
属体とを接触摺動させ、その接触摺動中における摺動抵
抗の測定を行うのが望ましい。この場合、接触摺動中に
少なくとも20以上の時点で摺動抵抗の測定を行うのが
より望ましい。
【0025】つまり、被試験材に押し付ける金属体先端
部の押し付け荷重が2N未満であると、プレス割れの原
因となる金属と被試験体とのメタルタッチによる金型焼
き付が発生しにくくなるため、本発明の鋼板表面の摺動
性を測定するための荷重としては不十分な場合が多い。
また、摩擦係数の変化を把握できる総摺動長がかなり長
くなって評価そのものに時間を要してしまうおそれがあ
る上、プレス成型時に摺動を受ける表面層全ての摺動抵
抗がとれず、摺動抵抗が安定して摩擦係数標準偏差が小
さくなるため、プレス成形性の有効な評価範囲とはいえ
なくなるおそれがある。一方、金属体先端部の押し付け
荷重が300Nを超えると、押し付け力が大き過ぎるた
めに実プレス成形に影響を及ぼす表面層以上に鋼板内部
の摺動性を測定することになり、鋼板表面の摩擦係数を
測定できなくなるおそれが出てくる。
【0026】従って、金属体先端部の押し付け荷重は2
〜300Nの範囲が望ましいが、実プレス時の面圧を考
えると当該押し付け荷重の下限は20Nであることがよ
り望ましく、上限は100Nであることがより望まし
い。実際には、メタルタッチによる金型焼き付き現象は
接触時の面圧が重要になってくるが、本発明においては
接触時の面圧としては10N/mm2以上が望ましく、より
好ましくは100N/mm2以上である。
【0027】一方、摺動速度が1mm/min未満であると、
実際のプレス成形時の摺動速度に比較してあまりに遅い
ために得られる摩擦係数の信頼性が乏しくなる。これに
対して、摺動速度が1000mm/minを超えると金属体と
被試験体との間への油の流れ込みが生じてすべりやすく
なり、本発明で期待している金属接触が生じなくなって
摩擦係数が低下するため、やはり正確な測定を行うこと
が難しくなるおそれが出てくる。従って、摺動速度は1
〜1000mm/minの範囲が望ましいが、より望ましい範
囲は40〜400mm/minである。
【0028】また、総摺動長が5mm未満であると鋼板か
ら得られる情報(摩擦係数)が少なすぎるためにプレス
成形性との相関に関して信頼性に欠ける場合がある。一
方、総摺動長が20000mmを超えてもそれ以上の信頼
性の向上につながらないだけでなく、回転摺動や往復摺
動の場合には荷重を小さくしたとしても摺動により実プ
レス成型時に影響を及ぼすめっき表面層が測定工具によ
り貫通されてしまい、重要となる鋼板表面を通り越して
被試験材内部の摺動抵抗の情報が得られるようになり、
後の解析によっても誤差を生じるおそれがある。従っ
て、総摺動長は5〜20000mmが望ましいが、より望
ましくは100〜8000mmの範囲とするのが良い。
【0029】なお、摺動抵抗の測定は、特に限定される
わけではないものの、被試験材と金属体との接触摺動に
おける摺動長内で少なくとも20点以上(少なくとも2
0以上の時点で)実施するのが良い。即ち、本発明では
プレス成形性を判別することを目的としているが、その
際に問題となるのは被試験材の表面のみの摺動性であ
る。しかし、例えば複雑なプレス成形性が行われる自動
車車体用の鋼板としては一般には表面にめっき(電気亜
鉛めっき,電気亜鉛合金めっき、合金化溶融亜鉛めっき
等)を施した防錆処理鋼板が採用されている。更に、こ
れらの亜鉛系めっき鋼板でも、プレス成形性を向上させ
るために更にその上層にめっきを施した2層めっき、有
機樹脂を塗布した有機複合被覆鋼板等、最表面のみを改
質しためっき鋼板も適用されている。また、合金化溶融
亜鉛めっき鋼板においては、溶融亜鉛めっきを形成後直
ちに加熱して素材の鉄を亜鉛めっき皮膜中に拡散させ合
金層を形成させるために、めっき深さ方向に鉄の濃度勾
配が生じる傾斜組成になり、めっき最表層は軟質な亜鉛
もしくは鉄濃度の低い亜鉛−鉄合金相が残存する場合が
ある。従って、めっき層全体の合金化度(めっき皮膜中
のFe含有率)が同一であっても、表面に軟質相が残存す
るような合金化溶融亜鉛めっき鋼板では当然に型カジリ
が生じやすく、プレス成形性が劣化する。即ち、一概に
同一表面処理鋼板といっても最表層とめっきバルク層
(内部層)とでは摺動性が異なり、最表面の摺動性のバ
ラツキがプレス割れのばらつきになると予想される。そ
のため、これらのメッキ鋼板は、摺動試験で表面のみの
摺動性情報を得るのが難しい材料である。
【0030】しかるに、摺動試験を行う際に摺動抵抗を
複数回採取することによりプレス成形性に関与する表層
の摺動性のみを採取することが可能となる。なお、摺動
抵抗の測定点が20回未満であるとプレス成形性に及ぼ
す表層の正確な摺動性を代表するだけの情報が十分に採
取できないおそれがが残るので、測定精度の面からは摺
動抵抗の採取回数は20回以上とするのが望ましいが、
より好ましくは測定時間中に一定ピッチで100回以上
の摺動抵抗をリアルタイムで測定すべきである。プレス
成形性の評価を行うには、最表面の摺動性を効果的かつ
精度を上げて測定する必要があることは先に述べた通り
であるが、上記測定条件にて表層の摺動性を的確に測定
することが可能となる。
【0031】さて、測定された摺動抵抗からは「摩擦係
数=摺動抵抗/押し付け荷重」なる関係に基づいて摩擦
係数を導き出すことができるが、本発明ではこのように
して測定された摩擦係数に基づいてめっき鋼板からなる
被試験材のプレス成形性を評価する。
【0032】この場合、摩擦係数からその平均値である
摩擦係数平均値μave と標準偏差である摩擦係数標準偏
差値μσとを求め、これにより実プレスで関与する表層
の摺動抵抗を求めてプレス成形性を評価するのが良い。
以下、この点について説明する。
【0033】実プレス成形においてはメタルタッチによ
る金型焼き付きが起き、焼き付いた金属をその後の摺動
により除去していく現象が起こっており、最終的に焼き
付きによる金属粉の堆積(ビルドアップ)量が著しく増
大したときに材料流れ込みが止まってプレス割れが生じ
ると考えられる。従って、めっき表層が焼き付きやすい
ものでも、容易に剥離することでプレス割れは防止する
ことが可能である。本発明者らは各種めっき鋼板の調査
を行ったところ、“軟質で焼き付き現象を起こしやすい
もの”あるいは“表面粗度が大きいもの”は摩擦係数平
均値μaveが高いが、このようなめっき鋼板であっても
必ずしも全てがプレス割れを起こすわけではなく、摩擦
係数標準偏差値μσが小さいものはプレス成形が可能で
あることが判明した。即ち、一旦、金型に焼き付いても
容易に金型から剥離していくことでビルドアップが抑制
されるため、摩擦係数のバラツキが小さくなり、摩擦係
数標準偏差値μσが小さくなると考えられる。
【0034】つまり、摩擦係数平均値μave は金型への
材料流入のしやすさを表すと共にめっき鋼板の焼き付き
やすさの指標であるが、金型に焼き付いた金属粉の剥離
のしやすさの指標として摩擦係数標準偏差値μσが存在
し、この両方を見ることでプレス割れの原因となる金型
へのビルドアップ量を予測することが可能となる。従っ
て、従来のように摩擦係数のみを見てプレス割れ現象を
予測することは必ずしも十分であるとは言えず、めっき
鋼板のプレス成形性を正確に予想してプレス成形性に優
れためっき鋼板を提供するためには摩擦係数平均値μav
e の他に摩擦係数標準偏差値μσをも評価することが、
より的確なプレス成形性評価につながる訳である。
【0035】なお、めっき鋼板のプレス成形性評価で
は、摩擦係数平均値μave 及び摩擦係数標準偏差値μσ
に関する下記 (1)式及び (2)式を評価基準とするのが良
い。 μave ≦ 0.200 ……(1) μσ≦ 0.080− 0.2×μave ……(2) プレス成形に供するめっき鋼板が上記 (1)式及び (2)式
を共に満足すればプレス成形性が良好であると判断でき
るが、その理由について説明する。
【0036】前述のように、摩擦係数平均値μave はめ
っき鋼板の金型への焼き付き性を示すものであり、摩擦
係数平均値μave が 0.200超では金型へ焼き付き現象が
顕著になると共に、その表面形状から金型へのひっかか
りが大きくなって材料そのものが流れ込まなるためにプ
レス成型時にプレス割れが生じる。従って、プレス成形
に供するめっき鋼板の摩擦係数平均値μave は好ましく
は0.200 以下、より好ましくは 0.180以下とすべきであ
る。なお、摩擦係数平均値μave の下限はプレス割れに
おいては特に規定するものではないが、実プレス成型時
のしわの問題からすれば0.05以上にするのが好ましい。
【0037】一方、摩擦係数標準偏差μσは焼き付いた
金属の剥離のしやすさを表す指標でもあることから低い
ほど好ましい。本発明において摩擦係数平均値μave と
摩擦係数標準偏差μσを前記 (2)式の範囲に規定するの
が好ましいとした理由は、摺動時の金属粉のビルドアッ
プ量を抑制するためであり、前記 (2)式の範囲を超える
摩擦係数標準偏差μσでは金型での金属粉の剥離量より
も金型への金属粉の焼き付き量が多くなり、ビルドアッ
プ量が増大してプレス割れが生じるためである。なお、
より一層過酷なプレス条件を考えた場合には、摩擦係数
標準偏差μσは「μσ≦ 0.060− 0.2×μave 」の領域
に抑制することが好ましい。
【0038】ところで、本発明では摩擦係数の解析につ
いては摩擦係数平均値μave と摩擦係数標準偏差μσと
を採用しているが、最大摩擦係数、あるいはバラツキ等
を考慮して最大10点の摩擦係数の平均値等を採用して
解析方法に加えることも可能である。
【0039】ここで、プレス成形性の評価に資する摩擦
係数は、被試験材によっては例えば摺動摩擦試験の開始
時部分と終了時部分とを除いた部位の摺動抵抗から求め
られるものを評価に適用しても満足できる結果を得られ
ることが多い。また、摺動摩擦試験での摩擦係数の変化
の様相は、測定条件やめっき付着量(表面処理皮膜の付
着量)等が同じであれば被試験材におけるめっき(表面
処理)の種類毎にほぼ類似することも確認されている。
従って、ある特定の被試験材(表面処理鋼板)の摩擦状
態を測定する場合、総摺動長にわたって測定値の平均,
偏差を採る必要は必ずしもなく、摺動長の特定の部分区
域における摺動抵抗を把握すればプレス成形性の的確な
評価を行える場合もある。そのため、前記「摩擦係数平
均値」としては“総摺動長における摩擦係数平均値”又
は“摺動長の部分区域における摩擦係数平均値”を、そ
して前記「摩擦係数標準偏差」としては“総摺動長にお
ける摩擦係数標準偏差値”又は“摺動長の部分区域にお
ける摩擦係数標準偏差値”を採用しても良く、下記の
(4)式並びに (5)式を満足した場合に「プレス成形性が
良好である」と判定するのが実際作業上好ましい場合も
ある。 “総摺動長における摩擦係数平均値”又は“摺動長の部分区域にお ける摩擦係数平均値”≦ 0.20 ……(4) “総摺動長における摩擦係数標準偏差値”又は“摺動長の部分区域 における摩擦係数標準偏差値”≦ 0.080 − 0.2×μave ……(5)
【0040】また、測定中の最大摩擦係数をプレス成形
性評価の解析方法に採用することも可能であることは先
に述べた通りであるが、前記「最大摩擦係数」が特異な
瞬間最大値であるといった局所情報に過ぎる危険もあ
る。そこで、これを避けるためには、被試験材と金属体
との接触摺動長を適宜な複数の区域に区分すると共に、
摺動抵抗より求められる各区域における摩擦係数の平均
値を求めた上で、各区域毎に求めた摩擦係数の平均値の
うちの最大値μmax を基に被試験材のプレス成形性を評
価する手法の採用が推奨される。この場合、前記各区域
毎に求めた摩擦係数の平均値のうちの最大値μmax が下
記の (3)式を満足した場合に「プレス成形性が良好であ
る」と判定するのが適当である。 μmax ≦ 0.25 ……(3)
【0041】以上に説明した各めっき鋼板のプレス成形
性評価法は、実プレス条件に応じて経験的に適宜使い分
けるのが良い。
【0042】なお、本発明以外の測定条件、例えば試料
温度,雰囲気温度,塗油時の油種や塗油量等については
材料特性により変化させることも可能であり、実プレス
環境に即した条件で行う方がより正確なプレス成形性の
判定が可能である。特に、測定時の温度は非常に重要で
ある。例えば実プレス成形では素材変形による発熱,摺
動による摩擦熱で金型温度が上昇し、50〜100℃に
まで達するので、本発明に係る試験の際には、被試験材
であるめっき鋼板の温度をこの温度域(即ち実プレス成
形で昇温する金型温度の領域であって、 より好ましくは
30〜90℃の温度域、 更に好ましくは50〜70℃の
温度域)に保持して試験・測定を行うことがより実プレ
ス環境を反映できるので好ましい。
【0043】以上に説明した本発明に係るめっき鋼板の
プレス成形性評価法では、プレス成形の際に発生しがち
な割れの原因となる“プレス時の塗油が部分的に切れて
金型と鋼板とが直接的に接触するいわゆるメタルタツチ
を起こし易い状態”を簡単かつ正確に再現でき、短時
間,安価,少労力でもって正確かつ安定的にめっき鋼板
の持つプレス成形能力を評価することが可能であるの
で、その評価結果に基づく管理によってプレス成形性に
優れためっき鋼板を安定して供給することも可能とな
る。
【0044】続いて、本発明を実施例によって説明す
る。
【実施例】次に、本発明の根拠について実施例を参照し
ながら詳細に説明する。 〔実施例1〕板厚が 0.8mmで、機械的性質が日本鉄鋼連
盟規格JSC270D相当の素材をベースにした表1に
示す各種めっき鋼板に関して粗度が種々のものを準備
し、それらを被試験材として“実プレス成形性”と“ピ
ンオンディスクを用いた本発明に係るプレス成形性評価
値”との関係を調査した。
【0045】
【表1】
【0046】なお、実プレス成形試験としては、図1に
示すフェンダーモデル金型でのプレス成形を実施した。
この際に、しわ押え圧を変動させると、しわ押え圧が低
い場合にはしわが発生し、高い場合には割れが発生する
が、しわも割れも発生しない好適なプレス成形性が得ら
れるしわ押え圧が存在する。その好適しわ押え圧の範囲
が広いほどプレス成形性時の成形余裕度が高いことか
ら、好適しわ押え圧を測定することによりプレス成形性
の合否判定を行った。合否判定の判断基準としては、好
適しわ押え圧範囲が少なくとも5ton あればプレス機の
能力から考えて十分に制御可能であることから、このレ
ベル以上のものを合格(○)とし、更に、成形性で問題
になることのない冷延鋼板の好適しわ押え圧範囲が20
ton であることから、しわ押え圧範囲がこのレベル以上
であるならばより良好(◎)と判断した。 〈プレス成形性合否判定〉 ◎:好適しわ押え圧範囲≧20ton ○:好適しわ押え圧範囲=5〜20ton ×:好適しわ押え圧範囲<5ton また、その際のピンオンディスクの評価条件は表2に示
す条件とした。
【0047】
【表2】
【0048】表1に記載した内容のサンプルについて、
その表面粗度を変更することにより表面の摺動性を変化
させた際の実プレス性の評価結果と、ピンオンディスク
を用いた本発明に係る方法で測定した摩擦係数平均値μ
ave ,摩擦係数標準偏差μσとを表3及び図2に示す。
また、表3中には、ディスク1回転の摺動長(摺動距離
=1260mm÷20=63mm)毎の摩擦係数の平均値のうちの最
大値μmax をも示した。
【0049】
【表3】
【0050】表3より、めっき種によって摩擦係数平均
値μave ,摩擦係数標準偏差μσ,部分区域毎の摩擦係
数の平均値のうちの最大値μmax のレベルが異なってお
り、純亜鉛めっきであるEG,GIに比較して合金めっ
きであるSZ及びGAの方が全般的に摩擦係数平均値μ
ave ,摩擦係数標準偏差μσ,部分区域毎の摩擦係数の
平均値のうちの最大値μmax が低くなる傾向が認めら
れ、また表層のみを改質を目的とした上層にめっきを施
したGA−F,有機複合被膜を施したTC,あるいはG
I上にリン酸亜鉛皮膜を形成したGI−Pは摩擦係数平
均値μave ,摩擦係数標準偏差μσ,並びに部分区域毎
の摩擦係数の平均値のうちの最大値μmaxが更に低下す
る傾向が認められ、実プレス成形性に対して効果的であ
ることが分かる。
【0051】表3の結果を基に、ピンオンディスクを用
いた本発明に係る方法で測定した摩擦係数平均値μave
,摩擦係数標準偏差μσと実プレス成形性との関係を
より明確にするために、実プレス性の結果と摩擦係数平
均値μave ,摩擦係数標準偏差μσのバランスの関係を
前記図2に示したが、めっき種にかかわらず本発明例の
摩擦係数平均値μave ,摩擦係数標準偏差μσの範囲で
あれば満足する実プレス結果が得られることが分かり、
冷延鋼板と同等以上のプレス成形性を得る好適な範囲と
しては「0.05≦μave ≦0.18」でかつ「μσ≦0.06−
0.2×μave 」の領域であることも分かる。
【0052】以上の結果から、本発明におけるピンオン
ディスクでの評価方法は極めてプレス成形性との相関が
高く、ピンオンディスクを用いた本発明に係る方法によ
り摩擦係数平均値μave 及び摩擦係数標準偏差μσ、あ
るいは部分区域毎の摩擦係数の平均値のうちの最大値μ
max を測定することで実プレスを行うこと無しにプレス
成形性を予測することが可能であることが分かる。
【0053】〔実施例2〕表4に示すサンプル及びピン
オンディスク試験条件にて摩擦係数を測定した。その
際、接触先端子として所定面積となる棒状の金属片を準
備し、先端を鏡面研磨した後試験機に取り付け、摩擦係
数平均値μave ,摩擦係数標準偏差μσを測定した。併
せて、先端子が鋼球(直径=5mm)での試験結果も記載
した。
【0054】
【表4】
【0055】その結果を図3に示すが、先端子接触面積
が20mm2 以下であれば鋼球の場合の摩擦係数平均値μ
ave ,摩擦係数標準偏差μσとほとんど差が認められ
ず、摩擦係数平均値μave ,摩擦係数標準偏差μσを見
ることで、実プレス結果と相関がとれることが分かる。
一方、先端子接触面積が28mm2 以下では、先端子との
メタルタッチを起こしにくくなり、摩擦係数平均値μav
e ,摩擦係数標準偏差μσが急激に低下し、本発明の摩
擦係数平均値μave ,摩擦係数標準偏差μσから想定さ
れるプレス結果では良好な結果となって実プレス結果と
の相違が生じることから、摺動性評価条件として不的確
であることが分かる。従って、先端子の面積はメタルタ
ッチを効果的に発現させるために非常に重要であり、そ
の接触面積としては20mm2 以下にするのが良いことが
分かる。
【0056】次に、押し付け荷重の影響について説明す
る。表3に記載のEG(No.11, 12 )及びGA−F(N
o.7,9 )について、表5に記載のピンオンディスク試
験機での条件にて押し付け荷重を変更した際の摩擦係数
を調査した。その際、実プレス性評価(◎:最良,○:
良好,×:不良)と本発明に係る摩擦係数から判断され
るプレス性評価(◎:最良,○:良好,×:不良)との
関係を表6に示す。
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】表6のNo.2では、押し付け荷重が小さすぎ
るためにピンオンディスクから求められる摩擦係数の摩
擦係数平均値μave ,摩擦係数標準偏差μσは小さく、
摩擦係数から判断されるプレス性評価は十分に良好な結
果となって実プレス成形性との不一致が生じ、試験条件
として適切でないことが分かる。
【0060】一方、No.15 及びNo.16 では、押し付け荷
重が大きすぎるためにメタルタッチによるカジリが顕著
になってめっき層内部の摺動性が表れてくるためにめっ
き最表層の摺動性の評価が適切にできておらず、摩擦係
数から判断されるプレス性は不合格になるが実プレス性
は合格であり、評価の不一致が生じ押し付け荷重として
適切でないことが分かる。
【0061】更に、No.5では、押し付け荷重が小さいた
めに摩擦係数から判断されるプレス性評価は“最良”に
なるが、実プレスは“良好”であり、押え荷重として実
プレス結果と一致するには、No.4より:押し付け荷重が
10kN以上で好適であることが分かる。同様に、No.1
1 ,12からは、押し付け荷重が大きすぎる場合もわずか
に実プレス結果との相違が認められ、実プレス結果と一
致するには押し付け荷重が100kN以下で好適である
ことが分かる。
【0062】次に、押し付け摺動速度及び摺動距離の影
響について説明する。表3に記載の実プレス結果が良好
であったNo.3の合金化溶融亜鉛めっき鋼板を使用し、表
7に示すピンオンディスク試験機での試験条件にて摺動
速度(ディスクの回転速度で対応)及び摺動距離(デー
タサンプリング時間を一定にし、 回転速度を変えること
ですることで対応)を変動させることにより、摩擦係数
がどのように変動するかを調査した。
【0063】
【表7】
【0064】データ採取時間を5秒ピッチで120点採
取した際の摩擦係数平均値μave ,摩擦係数標準偏差μ
σの結果を表8に、 2.5秒ピッチの場合を表9に、10
秒ピッチの場合を表10に示す。
【0065】
【表8】
【0066】
【表9】
【0067】
【表10】
【0068】表8のNo.31 から、摺動速度が 0.6mm/min
では摩擦係数が大きすぎ、摩擦係数から想定されるプレ
ス結果と実プレス結果が一致せず測定条件として不適切
であることが分かる。また、No.52, No.53からして摺動
速度が速すぎる場合も摩擦係数が上昇して実プレス結果
との不一致となることから、摺動速度の条件としては1
〜1000mm/minの範囲が好ましいと分かる。
【0069】No.38 〜44では、摩擦係数から想定される
プレス結果と実プレス結果が共に好適な結果となって一
致していることから、より好ましい摺動速度の条件とし
ては40〜400mm/minであることが分かる。
【0070】表9からも、表8と同様、摺動速度として
は1〜1000mm/minが適正で、かつ40〜400mm/m
inがより好ましいことが分かるとともに、No.54 から摺
動距離が3mmと余りに短い場合は更に摩擦係数平均値μ
ave ,摩擦係数標準偏差μσが上がることから好ましく
ないことが分かり、摺動処理としては、5mm以上が好ま
しいことが明らかである。
【0071】表10からも、表8と同様、摺動速度として
は1〜1000mm/minが適正で、かつ40〜400mm/m
inがより好ましいことが分かると共に、No.98 から摺動
距離が1000mmを超えると表8,9の場合に比較し更
に摩擦係数平均値μave ,摩擦係数標準偏差μσが上が
ることから好ましくないことが分かり、摺動処理として
は1000mm以下が好ましいことが明らかである。
【0072】次に、測定回数の影響について説明する。
表3中のNo.3の合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、表
11の測定条件にて測定した。その際に、デ−タ採取間隔
を変更することにより2点〜1200点でデ−タを採取
した際の摩擦係数平均値μave ,摩擦係数標準偏差μσ
の変動を調査した。その結果を図2に示す。
【0073】
【表11】
【0074】測定点数が少ない場合は摩擦係数平均値μ
ave が低く、摩擦係数標準偏差μσが高くなり、測定点
数が100点以上では摩擦係数平均値μave ,摩擦係数
標準偏差μσとも安定することが分かる。今回調査した
合金化溶融亜鉛めっき鋼板(表3中のNo.3)の実プレス
性は“最良”レベルであり、図4から摩擦係数から判断
されるプレス性との関係を見ると測定点数が20点以上
あれば合格レベルの判断を下せ、100点以上あれば好
適判断が下せることが分かり、判定点数としては20点
以上、好ましくは100点以上とするのが良いことが分
かる。
【0075】〔実施例3〕本実施例では、本発明法を用
いることによって摺動性を管理した表面処理鋼板の適用
例について紹介する。
【0076】合金化溶融亜鉛めっき鋼板(以下、GA鋼
板)は、加熱により母材鋼板から亜鉛めっき皮膜中への
Fe拡散を利用して合金化処理を行うが、GA鋼板では加
熱時のめっき皮膜中へのFe拡散速度にバラツキが大き
く、めっき皮膜表面の合金相構造にバラツキが大きくな
る。また、ミクロ的なFe拡散速度の違いにより表面粗度
のバラツキも大きくなる。このような特性を持つGA鋼
板は、極めて厳密に合金化度,表面粗度を制御しても摺
動性に大きなバラツキが生じることになり、実質、製造
条件の厳密な管理だけでは極最表層の合金化状態,表面
形状を完全に制御することが困難である上、極表層の合
金層状態,表面形状を測定することは技術的にも極めて
困難で、かつ測定可能であっても時間がかかるので、そ
の結果をもって操業条件に直ちに反映することは実質不
可能である。従って、GA鋼板で良好なプレス成型性を
安定的に供給するためには操業条件の厳密な管理、及び
極表層の合金相,表面形状の制御だけでは不十分であ
り、皮膜そのもののの表層の摺動性を簡便,迅速に直接
測定してプレス結果に反映させる必要が極めて大きい。
【0077】本実施例では、市販のGA鋼板(コイル)
にて切り出したサンプルにてピンオンディスク条件を実
施してGA鋼板の摩擦係数を測定し、客先での当該コイ
ルのプレス割れ有無をトレ−スした。使用したGA鋼板
は、厳しい管理基準の下で製造された自動車車体バネル
用のもので、具体的には日本鉄鋼連盟規格のJAC27
0D,JAC270E,JAC270F,JAC340
H,JAC340Pで、目付量が片面当り35〜50g/
2 ,合金化度=9〜11%、表面粗度がJIS B 0
601に記載された平均粗さRaでRa= 0.6〜 1.2μ
mのものである。
【0078】ピンオンディスクの条件は前記表2の条件
で行った摩擦係数(μave ,μσ)を用い、実プレスで
割れたGA鋼板については「×」、問題なく使用できた
GA鋼板については「○」(合格)とし、その調査結果
を図5に示した。図5から、GA鋼板は、極めて厳格な
操業管理で品質的に良好な車体外装用途鋼板でも摩擦係
数平均値μave が低く、摩擦係数標準偏差μσのバラツ
キが大きく、実プレス割れを起す場合があるが、本発明
の請求範囲範囲内であれば安定的にプレス成形性が良好
であることが分かる。
【0079】即ち、厳しい操業管理の下でGA鋼板を製
造しても実プレス割れを完全に抑制することは困難であ
り、本発明のような簡便かつ迅速な摺動性管理を行うこ
とにより安定してプレス成形性の良好なGA鋼板がはじ
めて提供可能になることが分かる。
【0080】
【発明の効果】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、めっき鋼板のプレス成形性を実際のプレス成形を行
う前に簡便かつ迅速に予知することができるようにな
り、プレス成形性の優れた表面処理鋼板を安定的に提供
できる管理体制を確立することを可能にするなど、産業
上極めて有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例におけるプレス成形試験で採用したフェ
ンダーモデル金型の概要図である。
【図2】実プレス性の評価結果とピンオンディスクを用
いた本発明に係る方法で測定した摩擦係数(μave ,μ
σ)との関係を示すグラフであり、実施例1の表3の試
験結果をまとめたものである。
【図3】押し付け先端子の接触面積と本発明に係る方法
で測定した摩擦係数(μave ,μσ)との関係について
示すグラフである。
【図4】本発明に係る方法で測定した摩擦係数(μave
,μσ)と測定点数との関係について示すグラフであ
る。
【図5】市販の合金化溶融亜鉛めっき鋼板における本発
明に係る方法で測定した摩擦係数(μave ,μσ)バラ
ツキとその際の実プレス結果との関係を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松永 貴裕 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 石垣 一 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 伊原 智章 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 佐藤 章仁 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 山岸 康一郎 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 塩川 正隆 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 2F051 AA12 AB01 BA00

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 摺動摩擦試験機を用い、めっき鋼板から
    なる被試験材に金属体を“点状”もしくは“接触面積が
    20mm2 以下の平面状”の接触面でもって接触摺動させ
    た際の、摺動長内において測定される摺動抵抗から求め
    られる摩擦係数に基づいて前記被試験材のプレス成形性
    を評価することを特徴とする、めっき鋼板のプレス成形
    性評価法。
  2. 【請求項2】 被試験材と金属体との接触摺動は、被試
    験材に押し付ける金属体の押し付け荷重を2〜300
    N、摺動速度を1〜1000mm/min、そして総摺動長を
    5〜20000mmとした条件で行い、その接触摺動中に
    摺動抵抗の測定を行う、請求項1記載のめっき鋼板のプ
    レス成形性評価法。
  3. 【請求項3】 被試験材の温度を実プレス成形で昇温す
    る金型温度の領域に保持して摺動抵抗の測定を行う、請
    求項1又は2の何れかに記載のめっき鋼板のプレス成形
    性評価法。
  4. 【請求項4】 摺動摩擦試験機を用い、めっき鋼板から
    なる被試験材に金属体を“点状”もしくは“接触面積が
    20mm2 以下の平面状”の接触面でもって接触摺動させ
    た際の、摺動長内における複数の時点で測定される摺動
    抵抗から求められる摩擦係数に基づいて前記被試験材の
    プレス成形性を評価することを特徴とする、めっき鋼板
    のプレス成形性評価法。
  5. 【請求項5】 被試験材と金属体との接触摺動は、被試
    験材に押し付ける金属体の押し付け荷重を2〜300
    N、摺動速度を1〜1000mm/min、そして総摺動長を
    5〜20000mmとした条件で行い、その接触摺動中に
    摺動抵抗の測定を行う、請求項4記載のめっき鋼板のプ
    レス成形性評価法。
  6. 【請求項6】 被試験材と金属体との接触摺動は、被試
    験材に押し付ける金属体の押し付け荷重を2〜300
    N、摺動速度を1〜1000mm/min、そして総摺動長を
    5〜20000mmとした条件で行い、その接触摺動中に
    少なくとも20以上の時点で摺動抵抗の測定を行う、請
    求項4記載のめっき鋼板のプレス成形性評価法。
  7. 【請求項7】 被試験材の温度を実プレス成形で昇温す
    る金型温度の領域に保持して摺動抵抗の測定を行う、請
    求項4乃至6の何れかに記載のめっき鋼板のプレス成形
    性評価法。
  8. 【請求項8】 測定した摺動抵抗より求められる摩擦係
    数から摩擦係数平均値μave と摩擦係数標準偏差値μσ
    とを求め、これを基に被試験材のプレス成形性を評価す
    る、請求項1乃至7の何れかに記載のめっき鋼板のプレ
    ス成形性評価法。
  9. 【請求項9】 求めた摩擦係数平均値μave 及び摩擦係
    数標準偏差値μσが下記 (1)式並びに (2)式を満足した
    場合に「プレス成形性が良好である」と判定する、請求
    項8記載のめっき鋼板のプレス成形性評価法。 μave ≦ 0.200 ……(1) μσ≦ 0.080 − 0.2×μave ……(2)
  10. 【請求項10】 被試験材と金属体との接触摺動長を複
    数の区域に区分すると共に、摺動抵抗より求められる各
    区域における摩擦係数の平均値を求め、各区域毎に求め
    た摩擦係数の平均値のうちの最大値μmax を基に被試験
    材のプレス成形性を評価する、請求項1乃至3の何れか
    に記載のめっき鋼板のプレス成形性評価法。
  11. 【請求項11】 各区域毎に求めた摩擦係数の平均値の
    うちの最大値μmaxが下記 (3)式を満足した場合に「プ
    レス成形性が良好である」と判定する、請求項10記載の
    めっき鋼板のプレス成形性評価法。 μmax ≦ 0.25 ……(3)
  12. 【請求項12】 測定した摺動抵抗より求められる摩擦
    係数から“総摺動長における摩擦係数平均値”又は“摺
    動長の部分区域における摩擦係数平均値”と“総摺動長
    における摩擦係数標準偏差値”又は“摺動長の部分区域
    における摩擦係数標準偏差値”とを求め、これを基に被
    試験材のプレス成形性を評価する、請求項1乃至3の何
    れかに記載のめっき鋼板のプレス成形性評価法。
  13. 【請求項13】 求めた“総摺動長における摩擦係数平
    均値”又は“摺動長の部分区域における摩擦係数平均
    値”、並びに“総摺動長における摩擦係数標準偏差値”
    又は“摺動長の部分区域における摩擦係数標準偏差値”
    が、何れも下記の (4)式並びに (5)式を満足した場合に
    「プレス成形性が良好である」と判定する、請求項12記
    載のめっき鋼板のプレス成形性評価法。 “総摺動長における摩擦係数平均値”又は“摺動長の部分区域にお ける摩擦係数平均値”≦ 0.20 ……(4) “総摺動長における摩擦係数標準偏差値”又は“摺動長の部分区域 における摩擦係数標準偏差値”≦ 0.080 − 0.2×μave ……(5)
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