JP2003131559A - 鋼製橋梁の橋桁設計システム - Google Patents

鋼製橋梁の橋桁設計システム

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JP2003131559A
JP2003131559A JP2001325278A JP2001325278A JP2003131559A JP 2003131559 A JP2003131559 A JP 2003131559A JP 2001325278 A JP2001325278 A JP 2001325278A JP 2001325278 A JP2001325278 A JP 2001325278A JP 2003131559 A JP2003131559 A JP 2003131559A
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fatigue
bridge
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stress
steel
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Tetsuya Nakamura
哲也 中村
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 橋梁の幅方向の荷重分布を考慮した鋼製橋梁
の橋桁設計を簡単かつ高精度に行なうシステムを提供す
ることを目的とする。 【解決手段】 基本設計された鋼製橋梁の橋桁に対し、
線形被害則に基づいて疲労二次照査を行い、疲労被害度
2が1未満であれば疲労照査を終了し、1以上であれ
ば設計変更を行った後に再び疲労照査を行って、鋼製橋
梁の橋桁を製作するシステムにおいて、車両が橋梁の幅
方向の平均走行位置のみを走行するときの疲労被害度D
1の算出手段と、橋梁の幅方向での車両の走行位置のば
らつきを考慮した影響係数Rの算出手段と、疲労被害度
1に影響係数Rを乗じて疲労被害度D2を算出する手段
を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼製橋梁の桁構造
の設計法に係る技術分野に属し、特に疲労寿命の予測を
考慮した設計システムに関する。
【0002】
【従来の技術】例えば橋梁のように長期間にわたって使
用される鋼構造物では、車両等が走行通過するたびに繰
り返し荷重が加わるため、疲労亀裂が発生することがあ
る。このような疲労亀裂は徐々に成長し、最終的には構
造部材の折損などの重大な事故につながる虞れがある。
特に近年このような疲労による損傷が顕在化してきてい
ることから、鋼橋の設計規則にも疲労に関する特有の規
定を盛り込むことが検討されており、こうすることによ
り、従来よりも長寿命化が図られるようになる。これら
の要求に応えるために、今後橋梁でも疲労設計が重要さ
をますます増してくる。また、より精度の高い疲労設計
手法を用いることができるようになれば、より長寿命の
橋梁を製作することが可能となる。しかし、現在、鋼橋
の設計規則では鋼床版を除いては疲労に関する規定はな
い。そのため、必要な場合には、例えば以下のような方
法で疲労強度の検討が行なわれている。
【0003】従来、橋梁の疲労寿命の一般的な照査方法
としては、許容応力にもとづく方法(従来技術1とい
う)や線形被害則(従来技術2という)が用いられる。
従来技術1では、例えば、まず格子桁計算などにより部
材に作用する断面力から応力範囲を求めて、その応力に
安全係数や補正係数を乗じて得られた値が疲労限度を超
えるかどうかを判定する簡便な疲労一次照査(許容応力
判定)を行なう。次に疲労限度を超える応力が生じた箇
所について、車両の重量分布などから応力範囲の頻度分
布を考慮して等価な疲労被害を生じるような等価応力範
囲を算定する。このようにして求められた等価応力範囲
と許容応力範囲の比較により疲労二次照査を行なう。こ
のようにして疲労被害度についての検討がなされてい
る。かかる手法は、日本鋼構造協会にて指針として示さ
れている(同協会発行、鋼構造物の疲労設計指針・同解
説、以下、「指針」という。)。
【0004】このような手法において、応力範囲の算定
方法についてみてみると、ほとんどの場合、応力範囲
は、車輪の軌跡等から橋梁の幅方向での載荷位置が定位
置であるとの仮定のもとに決定されている。なお、これ
に対し、橋軸方向(車両の通行方向)へは、荷重を移動
させて断面力(応力)の最大、最小値を求めている例が
多い。
【0005】しかしながら、実際には橋梁の幅方向にお
ける車両の通過位置は一定ではなく、様々な位置を通過
する。したがって、橋梁を構成する部材の着目点に生じ
る応力の大きさもまた変動するため、幅方向の通過位置
が一定という仮定をしてしまうと、実際に生じる疲労被
害度を実際よりも過大あるいは過小に見積もっているこ
ととなる。
【0006】そこで、このような影響を考慮するため
に、上記指針では、試計算例として例えば鋼床版に対し
ては、幅方向にも載荷位置を変化させて生じる応力範囲
をそれぞれ求めて、平均通過位置の応力に対する補正係
数として求めている。しかしながら、このような方法で
は、幅方向に多くの応力解析を実施する必要があり、ま
たその算定根拠が明確ではないため一般的に使用するこ
とができず、したがって、疲労寿命の推定精度が向上し
ているとは言い難い。
【0007】また従来技術2の線形被害則にもとづく疲
労照査方法は、車両荷重のように種々の大きさの荷重が
負荷される場合に最も一般的に用いられる手法であり、
その方法を図4を用いて説明する。まず、応力解析手法
等により求めた単位荷重に対する応力範囲と、統計資料
や実測値により求めた荷重の頻度分布から、構造部材に
生じる応力範囲の頻度分布を求める。一方、構造部材に
適合する一定の応力範囲と破壊繰返し数の関係を示す線
図(以下、疲労設計線図という)を選択する。あるレベ
ルの応力範囲σiに対して、応力範囲の頻度分布から得
られる頻度がn i、疲労設計線図から得られる破壊繰返
し数がNiであるとき、Δσiによる疲労被害度をni
iとする。このようにして全てのレベルの応力範囲に
対する疲労被害度を求め、それらを合計した値である累
積被害度Dを求める。この累積被害度Dが、D<1であ
れば疲労損傷は生じないと判定する。この方法は一般的
に鋼構造物全般について同様であり、それぞれの鋼構造
物において異なるのは、応力範囲の頻度分布の算出方法
であり必要に応じて、疲労照査の対象とする構造物、あ
るいは構造部材に対して、補正係数や安全係数等が考慮
される。
【0008】実際の構造物において疲労が問題となるの
は、比較的大きな応力範囲が生じる箇所であり、これら
の箇所では許容応力を上回る応力が発生する場合が多
い。したがって、線形被害則にもとづく疲労照査をより
精密に行うことが、構造物の長寿命化、安全性に直結す
ることになる。線形被害則による疲労照査の精度を向上
させるためには、特に応力範囲の頻度分布をより正確に
推定することが求められる。
【0009】鋼製橋梁について、線形被害則にもとづい
て疲労照査を行う場合の一般的な方法を、図5を用いて
説明する。基本的な照査方法は図4で示した照査方法と
同じであり、応力範囲の頻度分布を求める。まず、単位
荷重により生じる応力を、適当な断面数m、走行位置k
の組合せについて応力解析により求める。したがって、
このときの応力解析の解析ケース数は、m×k通りにな
る。次に、各走行位置毎に各断面の応力を並べることに
より、各走行位置での応力の最大、最小値を求め、この
差として各走行位置を通過した場合の応力範囲σjが求
まる。このようにして求めた応力範囲σjと、車線幅方
向の通過確率Pj、および車重の頻度分布から、応力範
囲の頻度分布が求まる。この後の手順は図4で示した照
査方法と同一である。
【0010】しかしながら、上述の方法では応力解析に
多大な時間を要するため、これら全てのケースの応力解
析を毎回実施することは現実的ではない。そのため、従
来の実施例では、図6に示したように車両の軌跡等から
橋梁の幅方向での載荷位置が定位置であると仮定して、
橋軸方向に載荷位置を変化させたm通りの応力解析のみ
を行い、応力範囲を求めている例が多い。しかしなが
ら、このような方向によれば、実際には車両が橋梁の幅
方向の定位置を通過していないので、実際に生じるより
も過大あるいは過小に疲労被害度を見積もっていること
となり、疲労寿命の推定精度が十分とは言い難い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な課題を解決するためになされたものであり、その目的
とするところは、従来の疲労設計手法に加えて、幅方向
の車両の通過位置が疲労寿命に与える影響を考慮に入れ
て応力範囲の頻度分布を正確に求め、疲労照査に要する
時間を増加せしめることなく容易に疲労寿命の推定を行
ない、かつその精度を向上させることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記目
的は、基本設計された鋼製橋梁の橋桁に対し、線形被害
則に基づいて疲労二次照査を行い、疲労被害度D2が1
未満であれば疲労照査を終了し、1以上であれば設計変
更を行った後に再び疲労照査を行って、鋼製橋梁の橋桁
を製作するシステムにおいて、車両が橋梁の幅方向の平
均走行位置のみを走行するときの疲労被害度D1の算出
手段と、橋梁の幅方向での車両の走行位置のばらつきを
考慮した影響係数Rの算出手段と、疲労被害度D1に影
響係数Rを乗じて疲労被害度D2を算出する手段を有す
ることにより達成される。
【0013】車両が平均走行位置のみを通過するときの
疲労被害度D1は、そのときの応力範囲の頻度分布(σ
i,ni)と、疲労設計曲線にて得られる応力範囲と疲労
破壊を生じる繰返し数の関係(σi,Ni)から、D1
Σ(ni/Ni)として求める。
【0014】また、橋梁幅方向の車両の走行位置を考慮
するための影響係数Rは、ある断面において、幅方向に
おける平均走行位置での応力をσ0、同方向における応
力の傾きをΔσ、同方向における通過位置のばらつきの
標準偏差をSとしたときに、上記RをR=f(σ0,Δ
σ,S)とした関数により算出する。
【0015】また、幅方向の走行位置を考慮した疲労被
害度D2は、上述のD1,Rにより、D2=R・D1として
算出する。
【0016】かくして、本発明によれば、線形被害則に
もとづいた疲労照査の際、車両が平均走行位置のみを通
過するときの疲労被害度D1と、車線幅方向の走行位置
を考慮するための影響係数Rから、幅方向の走行位置を
考慮した疲労被害度D2が算出される。このD2が1より
小さいときには設計を終了し、1より大きいときは設計
変更がなされる。
【0017】本発明において、車線幅方向の走行位置を
考慮するための影響係数Rの算出手段は、R=1+3
{(Δσ・S)/σ02としてRを算出できる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、添付図面にもとづき、本発
明の実施の形態を説明する。
【0019】橋梁の橋桁に関する疲労照査は、応力が疲
労限度を超えているかどうかを行なう簡便な疲労照査
(疲労一次照査)と、応力が疲労限度を超えているとき
に、疲労によるダメージをチェックする疲労二次照査と
を行なう。
【0020】疲労一次照査は、従来と同様に行なわれ、
また、鋼構造物に関しその手法も公知で既出の「指針」
にも開示されており、本発明の主眼とするところではな
いので、ここでは詳述しない。図1に見られるように、
疲労一次照査手段1では、基本設計された鋼製橋梁の橋
桁(の各部材)について、最大応力範囲Δσmaxを算出
する。一方、対象とする部材の継手形式により、疲労設
計曲線のうちから適切な強度等級を選択し、一定振幅応
力に対する応力の打切り限界Δσceを求める。
【0021】次に、上記疲労一次照査手段1では、最大
応力範囲Δσmaxと上記打切り限界Δσceとの比較が一
次比較手段2にてなされるが、その際前者(Δσmax
には安全係数γ、後者(Δσce)には補正係数Cが乗じ
られる。
【0022】安全係数γは、次の三つの係数(γb
γw,γi)の積として得られ、また、補正係数Cは二つ
の補正係数(CR,Ct)の積として得られ、これらはす
でに標準値が定まっている。
【0023】 γb:冗長度係数…………その部材が壊れたときに構造
全体に及ぼす影響を考慮した係数 γw:重要度係数…………破壊が生じたときに社会に与
える影響を考慮した係数 γi:検査係数……………検査により発見できる可能性
(検査しにくければ大きくなる)を考慮した係数 CR:平均応力補正係数…応力範囲が同じであっても、
圧縮応力が作用している場合には、一般に疲労が生じに
くくなるので、これを考慮した係数 Ct:板厚補正係数………同じ形状の継手でも板厚が厚
いほど疲労強度は低下するので、これを考慮した係数 かかる係数γ=(γb・γw・γi),C=(CR・Ct
を乗じて、CΔσ ce≧γΔσmaxであるかどうかの比較
を一次比較手段2にて行ない、これがYESであれば、
安全であるとして、疲労二次照査を行なわずして、疲労
照査を終了する。これがNOの場合、疲労二次照査が行
なわれる。
【0024】疲労二次照査は、線形被害則にもとづい
て、疲労被害度を算定する疲労照査を行う。図2には、
図1における疲労二次照査の各ステップ(〜)がさ
らに理解しやすく線図を用いて示されている。
【0025】まず、単位荷重により構造部材に生じる応
力を、応力解析等の手法により求める。このときの解析
ケースは、車両が平均走行位置を通過するときの応力を
求めるため走行方向に載荷位置を移動させた例えばmケ
ースと、幅方向の応力勾配を求めるためのlケースの、
合計m+lケースである。
【0026】上記の解析の結果から、車両が平均走行位
置を通過するときの応力の最大値、最小値を求め、この
差としての応力範囲が求められる。
【0027】次に、この単位荷重による応力範囲と、実
測あるいは統計などにより得た車重の頻度分布から、応
力範囲の頻度分布、すなわちあるレベルの応力範囲σi
と、σiの繰返し数niの関係が求められる。
【0028】次に、対象としている構造部材に適合する
疲労設計線図を選択し、あるレベルの応力範囲σiと、
σiが作用したときに疲労破壊を生じるまでの繰返し数
iの関係が求められる。
【0029】上述の、σi,ni,Niより、平均走行位
置のみを通過するときの疲労被害度D1が、D1=Σ(n
i/Ni)として求められる。このときに、当然ながら、
一般に考慮されているような例えば平均応力に対する補
正係数や、安全率等を考慮してもかまわない。
【0030】一方、本発明では、車線幅方向の走行位置
を考慮するための影響係数Rを、平均走行位置のみを通
過するときの疲労被害度D1に乗ずることにより、幅方
向の走行位置を考慮した疲労被害度D2が算出される。
この影響係数Rは、影響係数算出手段により算出され、
本発明の特徴をなすものであり、これについては後に詳
述する。
【0031】このようにして得られたD2を用いて、比
較手段によりD2<1であるかどうかを判断し、YES
であれば安全設計であるとして疲労照査を終了し、NO
であれば設計変更手段で設計変更を行い、再び疲労照査
を繰り返す。
【0032】次に、既出の影響係数Rについて説明す
る。
【0033】本願発明者らは、まず橋梁の幅方向の通過
位置の違いにより部材の生じる応力がどのように変化す
るかを検討するため、3種類の鋼I桁について、FEM
解析を行なった。これらの鋼I桁は断面寸法の異なる2
種類の4主桁橋と、2主桁橋である。この結果、いずれ
の場合でも主桁各部の着目点に生じる応力は、載荷位置
が移動するにつれて、線形に変化することを見出した。
【0034】次に、橋梁の幅方向での輪荷重の分布(車
両の通行位置の分布)は、従来の調査結果(例えば、鋼
床版の疲労、土木学会)から、ほぼ正規分布で近似でき
ることがわかっている。そこで、これらの知見から、こ
の幅方向通行位置のばらつきによる疲労被害度の違いを
簡便に補正する方法を検討した。その方法は次の通りで
ある。
【0035】車両の通行位置のばらつきは、正規分布で
近似できる。平均通行位置を原点とし、標準偏差をSと
すると、通行位置の確率密度関数P(x)は次式で表され
る。
【0036】車線内の通行位置の違いにより変化する鋼
I桁橋の主桁各部に生じる応力範囲σ(x)を次式の直線
で近似し、 σ(x)=Δσ・x+σ0 とする。
【0037】ただし、ここで Δσ:車線幅方向に載荷位置を変更したときの応力勾配 σ0:平均通行位置における応力範囲 である。
【0038】このとき、N台の大型車により生じる疲労
被害度D2は、P(x),σ(x)で表される。
【0039】また、通行位置のばらつきを無視し、N台
の大型車全てが平均通行位置を通過した場合の疲労被害
度D1、すなわち従来の方法で求められる疲労被害度
は、次式で表される。
【0040】D1=σ0 3・N よって、両者の比R、すなわち従来の方法により求めら
れる疲労被害度に対する補正係数は次式のようになる。
【0041】これを整理すると影響係数Rは、次式で表
される。
【0042】R=1+3{(Δσ・S)/σ02 すなわち、平均通行位置での応力範囲σ0、幅方向への
応力勾配Δσ、および輪荷重分布(通行位置のばらつ
き)の標準偏差Sの3つだけを用いて、幅方向のばらつ
きが疲労被害度(疲労寿命)に与える影響を上記影響係
数を用いることで簡便に評価できる。すなわち本影響係
数Rを導入すると、幅方向の通行位置を考慮した疲労被
害度D2を直接求める代わりに、定位置を通過すると仮
定した疲労被害度D1に、影響係数Rを乗じることで、
幅方向の走行位置を考慮した疲労被害度D2を簡便に評
価できる。これらのパラメータを決定するためには、従
来どおりの平均通過位置で走行方向に載荷位置を変えた
応力解析に、ある断面において幅方向に載荷位置を適当
に変えた応力解析を1ケース追加して実施するだけで良
いので、従来技術では数ケース実施する必要があった
が、応力解析のケースを減らすことができるだけでな
く、疲労被害度(疲労寿命)の推定精度を向上すること
ができる。また、上述の式を見てもわかる通り、補正係
数Rは1より大きくなるので、従来の推定方法では、疲
労被害度を小さ目に見積もっていることになり、危険側
の評価となっていた可能性があり、是正される。
【0043】<実施例>上述の「鋼床版の疲労」での輪
荷重走行位置の分布調査結果を用いた場合の、補正係数
RとΔσ/σ0の関係を図3に示す。この場合、輪荷重
走行位置の分布Sは0.35mであり、これを上述のR
の式へ代入すると、 RS35=1+0.3675(Δσ/σ02 となり、Δσ/σ0が0.5ではRは約1.1になり、
従来の方法では10%程度疲労被害度を小さく見積もる
ことになり、危険側の評価となる。
【0044】今回の実施例では、FEM解析結果による
Δσ/σ0の値は0.1〜0.2程度であり、補正係数
Rの値では1.01程度、すなわち疲労被害度の差は1
%程度と無視しうる程度であった。しかしながら、結果
的にばらつきの影響が小さい場合においても、本発明の
手法を用いた幅方向の影響度を評価することにより、推
定した疲労被害度(疲労寿命)の信頼度を高めることが
できる。
【0045】
【発明の効果】以上のように本発明では、鋼製橋梁の桁
構造の疲労設計法において、橋梁の幅方向における車両
の通行位置のばらつきが寿命の違いに与える影響を簡便
に考慮するようにしたので、実際の車両の交通の状態を
より忠実に再現するため、より高精度な鋼製橋梁の疲労
設計を行なうことができる。また、このような設計を行
なうことで、より信頼度の高い長寿命の橋梁を製作する
ことが可能となる。また、疲労照査の応力解析を簡便に
できるので設計時間を短縮できる。さらには、従来では
時間のかかった疲労設計の時間を短縮できるので、例え
ば耐用年数を200年とするような長期耐用期間の橋梁
の設計を効率的に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す流れ線図である。
【図2】図1の流れ線図の一部を具体的線図を用いて示
す図である。
【図3】本発明の一実施例における補正係数RとΔσ/
σ0との関係を示す図である。
【図4】従来の線形被害則にもとづく疲労照査方法を示
す流れ線図である。
【図5】従来の鋼製橋梁についての線形被害則にもとづ
く疲労照査方法を示す流れ線図である。
【図6】従来の橋梁幅方向載荷位置を考慮した鋼製橋梁
についての線形被害則にもとづく疲労照査方法を示す流
れ線図である。
【符号の説明】
1 疲労被害度 D2 疲労被害度 R 影響係数 σ0 橋梁幅方向における平均通行位置での応力範囲 Δσ 橋梁幅方向における平均通行位置での応力の傾き S 橋梁幅方向における通行位置でのばらつきの標準偏

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基本設計された鋼製橋梁の橋桁に対し、
    線形被害則に基づいて疲労二次照査を行い、疲労被害度
    2が1未満であれば疲労照査を終了し、1以上であれ
    ば設計変更を行った後に再び疲労照査を行って、鋼製橋
    梁の橋桁を製作するシステムにおいて、車両が橋梁の幅
    方向の平均走行位置のみを走行するときの疲労被害度D
    1の算出手段と、橋梁の幅方向での車両の走行位置のば
    らつきを考慮した影響係数Rの算出手段と、疲労被害度
    1に影響係数Rを乗じて疲労被害度D2を算出する手段
    を有することを特徴とする鋼製橋梁の橋桁製作システ
    ム。
  2. 【請求項2】 影響係数算出手段は、幅方向における平
    均通行位置での応力範囲をσ0、同方向における応力の
    傾きをΔσ、そして同方向における通行位置のばらつき
    の標準偏差をSとした際に、R=1+3{(Δσ・S)
    /σ02として上記Rを算出する請求項1に記載の鋼製
    橋梁の橋桁設計システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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