JP2003096874A - 水洗便器の排臭装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水洗便器からの臭気を直接汚物排水管へ排臭
することが可能であって、排臭ファンが停止した場合で
も、汚物排水管からの臭気が逆流しない水洗便器の排臭
装置を提供する。 【解決手段】 便器本体のボウル部内の臭気を吸引して
汚物排水管へ移送するのに、排臭管と排臭管の途中に設
置された排臭ファンと、ボウル部開口部と排臭ファンと
の間に前記開口部から汚物排水管への方向のみ臭気を移
送可能にしたチェックバルブを設置した水洗便器の排臭
装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、水洗便器の排臭装
置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】現在、トイレにおける便器は、ほとんど
水洗便器となっている。水洗便器には排水トラップが設
けられていて、水洗便器のボウル部と汚物排水管との間
は、この排水トラップにより気密に遮断され、汚物排水
管から臭気が逆流することは無い。しかし、用便中の臭
気は水洗便器のボウル部から直接トイレ室内に発散する
か、または人体と便座の隙間から洩れて室内に拡散す
る。家庭においての使用、又は旅館、ホテルなど多人数
が短時間に同じ便器を使用する場合、この臭気のため先
の人も後の人もお互いに気を使い、また不愉快な思いを
することが多い。ホテルのユニットバス内のトイレで
は、用便後は、他人はしばらく洗面することを控えたく
なるし、当事者は当然早く臭気が無くなることを望む。

【０００３】この改善として、トイレ室内から外部へ
臭気を排出換気する方法、換気ファンを備えて、水洗
便器から臭気をトイレ室外部へ排出する方法、便器か
らの臭気が換気ファンを経由して臭気ろ過装置に導かれ
て吸着された後、その排気をトイレ室内に循環する方法
等が一般的である。の場合、通常の換気扇ではトイレ
内に拡散した臭気を素早く排出できない。の場合、ト
イレ室の外部へ出す排気用の配管類は日本の住宅事情、
外観、コストの面から採用しにくい問題がある。の場
合、臭気ろ過装置を経由してトイレ室内に循環する方法
は換気ファンの騒音が室内に洩れるし、外気との換気が
できない、臭気ろ過具を定期的に取り替える必要がある
等の問題がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明はこれらの問題
を解決しょうとするもので、水洗便器のボウル部で発生
する臭気を直接汚物排水管路へ導くものである。これの
先行技術として、特開平１１―２００４５５号公報に開
示された技術があるが、この装置は、吸引機の停止時に
排水管からの排水と臭気が逆流するのを遮断するため
に、Ｕ字状配管の溜まり水を設けているので、それなり
の効果はあるが、臭気を放出する時このＵ字状配管の溜
まり水を追い出す必要があるから、吸引機の能力を過大
にしなければならない問題がある。

【０００５】また、特表平１１−５１５０６５号公報に
開示された先行技術は、水洗便器のボウル部に取り付
け、取り外し可能の換気ファンと換気管とから成り、換
気管がボウル部の水トラップを通り抜けて排水ラインま
で延びているもので、臭気を直接排水ラインへ放出する
効果は認められるが、換気管が汚物水を通過させる部分
に設置されているので、汚物等が付着し、別の臭気源が
生ずる恐れがある。しかも、換気ファンを停止すると排
水ラインから臭気が逆流するから、その用便の都度、換
気ファンと換気管から成る装置を取り外す手間を要する
問題がある。

【０００６】本発明は、上記の問題点を解消するために
成したものであって、その目的は、水洗便器からの臭気
を直接汚物排水管へ移送することが可能で、排臭ファン
が停止した場合でも、汚物排水管からの臭気が逆流しな
い水洗便器の排臭装置を提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の（請求項１）に係る水洗便器の排臭装置
は便器本体のボウル部内の臭気を吸引して汚物排水管へ
移送するのに、一方がボウル部内に開口し、もう一方が
汚物排水管に開口している排臭管と、排臭管の途中に設
置された排臭ファンと、ボウル部開口部と排臭ファンと
の間に前記開口部から汚水排水管への方向のみ臭気を移
送可能にしたチェックバルブを設置したことを特徴とす
る。本発明の（請求項２）に係る水洗便器の排臭装置は
便器本体のボウル部の排臭管開口部が上下２段に分か
れて設置されていることを特徴とする。

【０００８】本発明の水洗便器の排臭装置によれば、ボ
ウル部内の臭気を排臭ファンにより排臭管のボウル開口
部から強制吸引して、汚物排水管に移送することがで
き、しかも排臭ファンが停止したときには、チェックバ
ルブにより汚物排水管からの臭気が逆流しないように完
全に阻止できる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図１は、本発明に係る実施の形態１
の水洗便器１の排臭装置２の断面模式図である。水洗便
器の本体は上部に便座３があり、その下に排泄物を一時
収容するボウル部４を備え、ボウル部の下部には公知の
排水トラップ部５を構成し、これの下流に汚物排水管６
を形成する。水洗便器の汚物排水管は汚物排水路７に接
続しており、排水トラップ部の溜まり水により汚物排水
管からの臭気がボウル部へ逆流入することを阻止する。

【００１０】本発明に係わる実施の形態１の排臭装置は
図１に示すように、前排臭管８と排臭ファン部１０と後
排臭管１３とから成る。前排臭管８はボウル部４の空間
部の臭気を排臭ファン部１０に向けて吸引するために設
けられる。便座の下に位置しボウル部上縁を囲繞し、か
つ下方に開口を有し、その開口から臭気を吸引するダク
トの役目を供する「かえり部」に、前排臭管間８の開口
部８ａ，ｂが接続しており、臭気を蒐集する。この開口
部の数は本例では２であるが、３とか、４とか数が多い
ほど均一に、広範囲に臭気を蒐集できるので本例に限定
されるものでない。ボウル部の側壁に前排臭管の複数の
開口部、すなわち図１の例では、上部８ａ，ｂ，下部８
ｃ，ｄの計４個の開口部が設けられている（図３も参
照）。各開口部からの前排臭管支管９ａ，ｂ，ｃ，ｄは
合流して前排臭管８となる。前排臭管の上段開口部８
ａ，ｂの端部はボウル部側壁の「かえり部」に若干突出
して開口しているのに対し、下段開口部８ｃ，ｄの端部
はボウル部側壁面であって、下向きに開口して設けられ
ている。また、前排臭管の開口部８ａ，ｂ，ｃ，ｄから
排臭ファン部１０へ向けて、前排臭管８は上り勾配を有
して設けられている。

【００１１】排臭ファン部１０は前排臭管８からの入り
口部にチェックバルブ１１を備え、チェックバルブの後
流に排臭ファン１２を設置し、排臭ファンの後には後排
臭管１３を設けて汚物排水管６に接続する。チェックバ
ルブ１１は図４に示す吊り下げダンパー式チェックバル
ブで良く、チェックバルブ前後の圧力差が小さくても、
バルブ１１ａが確実に開閉動作するものが望ましい。し
たがって、バルブ自身は軽量で、しかも液滴が付着しに
くい材質である合成ゴム、プラスチック等を用いるのが
良い。バルブの開動作は排臭ファンの吸引力で容易であ
るが、閉動作はバルブの重力で閉位置に復帰するから、
確実に閉にするためバルブシート面は垂直よりも若干バ
ルブ側に出た正の角度を持つのが良い。ボウル部４か
ら、又は汚物排水管６からの液滴又は蒸気、ミスト類に
対して、チェックバルブ１１の動作を確実に行うため
に、できるだけ液滴、ミスト類がチェックバルブ１１に
飛来して来ないことを要し、このためチェックバルブ１
１を基準として、前排臭管８はボウル部４から上り勾配
に、そして反対側の排臭ファン部１２、後排臭管１３は
共に、汚物排水管に向けて下り勾配にするのが良い。

【００１２】排臭ファン１２の仕様は大風量、小圧力が
排臭目的及び省エネルギーの点で望ましい。加えて、低
騒音で、小型化できるファンが良い。これらの要求を満
たすファンとしては多翼形ファン（シロッコファン）が
最も推奨される。

【００１３】本発明に係る実施の形態２について図２、
図３により、実施の形態１と変わる部分について説明す
る。前排臭管の開口であるが、ボウル部の側壁に前排臭
管の複数の開口部、すなわち図２、図３の例では、上部
８ａ，ｂ，下部８ｃ，ｄの計４個の開口部が設けられて
いる。各開口部からの前排臭管支管９ａ，ｂ，ｃ，ｄは
合流して前排臭管８となる。前排臭管の上段開口部８
ａ，ｂの端部はボウル部側壁から若干（約１ｃｍ程度）
突き出して設けられているのに対し、下段開口部８ｃ、
ｄの端部はボウル部側壁面であって、下向きに開口して
設けられている。また、前排臭管８ａ，ｂ，ｃ，ｄから
排臭ファン部１０へ向けて、前排臭管８は上り勾配を有
して設けられている。チェックバルブであるが、図５に
示すチェックバルブ１１はゼンマイ状の支持部を有する
バルブ１１ｂが前後の圧力差が小さくても確実に動作
し、濡れにより液滴が付着しても動作が確実に行える点
で良い。排臭ファンであるが、排臭ファンの停止時に
は、汚物排出管からの悪臭及び悪臭を伴った液蒸気又は
ミストが排臭管を経由してボウル部に逆流入することを
阻止する役目を担うために、チェックバルブ１１がある
が、チェックバルブの作動を確実にするために排臭管１
３からの蒸気またはミストの侵入を防止することが重要
で、この目的のためファンダクト部の軸線に対して投影
面積が最大になるファン１２ａの翼形を採用するのが良
い。前記の目的から排臭ファンは効率が若干悪いがプロ
ペラ型ファンが推奨される。

【００１４】この排臭ファン部１０は前排臭管８，後排
臭管１３の一部、チェックバルブ１１、排臭ファン１２
を図１又は図２に示すようにボックス内に収納すること
が可能で、水洗便器との接続は前排臭管と後排臭管とを
それぞれ公知のジョイントカップリング１４を用いて行
うことができる。この方式であれば装置の点検、修理、
保守整備が容易となる。さらに、この方式をとれば、排
臭ファン部を既設水洗便器の脱臭装置の出口と汚物排水
管とそれぞれ接続することにより、既設水洗便器に排臭
装置を設置する改造も可能である。

【００１５】本発明に係る水洗便器の排臭装置２は常時
排臭ファン１２を作動しておくと、水洗便器のボウル部
４からの排臭が完全に行え、かつ汚物排水管６からの悪
臭の逆流入も阻止する点で良いが、近時省エネルギーの
観点からは水洗便器の使用時のみ排臭装置２を作動させ
ることが望ましい。この観点から排臭ファン１２の停止
時、本発明に係る水洗便器の排臭装置は、汚物排水管６
からの悪臭の逆流入をチェックバルブ１１で確実に防止
できるから好適である。

【００１６】詳細に作用を説明すると、本発明に係る排
臭装置２では、水洗便器１の使用時に、ボウル部で発生
する臭気を４本の上下２段の前排臭管８ａ，ｂ，ｃ，ｄ
により広範囲にわたり蒐集して排臭するので、ボウル部
４から洩れる臭気を無くすことができる。図１に示す実
施の態様１において、前排臭管の上部開口部８ａ，ｂに
接続する「かえり部」が臭気を蒐集するダクトの役目を
しているので、排臭ファンが運転されると効率良く臭気
を蒐集して排臭するから、特に、便座と座位の人体との
隙間から臭気が洩れることを重点的に阻止できる。さら
に図１又は図２に示すように前排臭管８の上段開口部８
ａ，ｂの端部は前述したようにボウル部の側壁面から突
出しているので、便器の水洗時にボウル部側壁を流れる
水を前排臭管８へ吸引しないし、流れ込まない。また、
下段の開口部８ｃ，ｄはボウル部の側壁に対し下向きに
勾配を大きくして開口しているため、水洗の水の流入を
阻止できる。前排臭管開口部８ａ，ｂ，ｃ，ｄから吸引
された液滴が多少存在していても、前排臭管８は吸引流
体の流れ方向に対し上向き勾配を有しているので、液滴
は管の内壁に気流に伴い衝突し易く容易に捕集され、前
排臭管８の下り勾配に沿うて流下し、下段の開口部８
ｃ，ｄからボウル部４へと戻されるので、排臭ファン部
１０のチェックバルブ１１に到達する液滴はほとんど無
いから、チェックバルブ１１の作動を確実にすることを
保証する。

【００１７】前記チェックバルブ１１の作用はボウル部
４から汚物排水管６への臭気気体の流れに対して、つま
り排臭ファン１２が運転されると開状態となって排臭す
る。一方排臭ファン１２が停止すると気体の流れが止ま
るので、チェックバルブ１１はバルブ重量又はゼンマイ
力でバルブ１１ａ又は１１ｂが閉状態に復帰し、悪臭が
ボウル部４への逆流することを確実に阻止する。排臭フ
ァン１２により吸引される気体に一部ミストが含まれて
いたとしても、チェックバルブ１１のバルブ１１ａ又は
１１ｂはミストが凝集して液滴になって滴下し易い材質
を選択しているので、液滴によりバルブの開閉動作が悪
化することを防止できる。さらにチェックバルブ１１を
基準として、前排臭管８はボウル部４から上り勾配に、
そして反対側の排臭ファン部１０及び後排臭管１３は共
に、下り勾配にしているので、これによりチェックバル
ブ１１のバルブ１１ａ又は１１ｂに対する吸引流体に付
随する液滴、蒸気、ミスト又は排臭管１３から逆流して
くる蒸気、ミストによる侵入を防止して液付着を軽減
し、チェックバルブのチェック動作を確実に行うことを
保証する。

【００１８】排臭ファン１２は多翼形ファン又はプロペ
ラ型ファンが好適で、仕様としては通常の水洗便器で、
風量０．２〜１．０ｍ^３／ｍｎ、風圧１００〜３００Ｐ
Ａの範囲でよい。排臭ファン１２の運転は水洗便器の使
用中及び使用直後のある時間だけ実施されるのが、省エ
ネルギーの点で望ましいから水洗便器に着座したことを
検出する着座リミットスイッチ又は着座センサーを設置
し、或いは便器前に人が立っていることを検出する人体
検出センサー等公知の検出器（図示せず）を設置して、
その信号により排臭ファンの起動、停止を行えばよい。
停止についてはタイマーを設置することにより、ある時
間だけ排臭ファンの停止を遅延させることで、水洗便器
からの臭気をトイレ室内に漏らさないよう確実に実施で
きる。

【００１９】プロペラ型排臭ファンの場合に、停止時に
おいてプロペラ型の翼形は臭気気体が通過するファンケ
ーシング又はダクトを遮る形となり、悪臭を伴った蒸気
又はミストが翼に凝縮かつ付着し易いのでこれらの侵入
防止が図られ、チェックバルブ１１の方へ蒸気又はミス
トが伴送されることが減少し、チェックバルブ１１の開
閉動作を確実にする。また排臭ファン１２が運転される
と、翼に付着していた液滴は容易に翼の回転の遠心力で
振り飛ばされ、管又はファンケーシングの内壁に衝突し
て集まり下り勾配によって流れ、後排臭管１３を経由汚
物排出管６へと流出する。

【００２０】本発明に係る水洗便器の排臭装置２は排臭
ファン１２が運転されると、水洗便器のボウル部４から
の排臭が完全に行え、かつ汚物排水管６からの悪臭の逆
流入も阻止する点は言うまでも無く可能であり、しか
も、省エネルギーの観点から水洗便器を使用しない時に
排臭ファン１２の停止を行うが、本排臭装置２では、排
臭ファンが停止しても汚物排水管６からの悪臭の逆流を
チェックバルブ１１で確実に阻止できるから好適な設備
である。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る水洗
便器の排臭装置によれば、水洗便器で発生する悪臭をト
イレ室内に漏洩することがなく、直接汚物排水管へ排臭
するので排臭効果が大きい。また、排臭に伴い新鮮な室
外気をトイレ室内に取り込むので換気効果も大きい。し
かも、ボウル部の臭気を脱臭装置にて除去しトイレ室内
に循環する設備に比べ、脱臭器の取替えが不要で、かつ
ファン騒音を室内にもたらさない効果もある。排臭ファ
ンが停止しても、悪臭がトイレ室内に持ち込まれない構
造を採用しているので、水洗便器使用時のみ、排臭ファ
ンを稼動させれば良いので省エネルギーに貢献でき、さ
らに悪臭の逆流防止用のチェックバルブが同じ目的の水
トラップ方式より圧損を小さくすることができ、排臭フ
ァンの能力を適正に小さくでき設備費の低減、省エネル
ギーに貢献する。しかも、本排臭装置によれば室外に排
臭する必要がないから、室外への換気配管も不要であ
り、本装置は排臭ファン、チェックバルブ等簡易な設備
で構成されているので、設備費も安価で、修理、保全費
用も少なくて済むなどの経済効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態１に係る水洗便器の排臭装置
の断面模式図である。

【図２】本発明の実施形態２に係る水洗便器の排臭装置
の断面模式図である。

【図３】本発明の実施形態２に係りボウル部より見た前
排臭管開口部の模式図である。

【図４】本発明の実施形態１に係る排臭ファン部の断面
模式図である。

【図５】本発明の実施形態２に係る排臭ファン部の断面
模式図である。

【符号の説明】

１：水洗便器 ２：排臭装置 ３：便座 ４：ボ
ウル部 ５：排水トラップ部 ６：汚物排水管
７：汚物排水路 ８：前排臭管 ８ａ，ｂ，ｃ，
ｄ：前排臭管開口部 ９ａ，ｂ，ｃ，ｄ：前排臭管支
管 １０：排臭ファン部 １１：チェックバルブ
１１ａ，ｂ：バルブ １２：排臭ファン １
２ａ：ファン １３：後排臭管 １４：ジョイン
トカップリング １５：かえり部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 努 兵庫県神戸市灘区高羽町２丁目５−８ Ｆターム(参考） 2D038 BB16 BB24 JC11 JF03 KA02 KA03 2D039 AD00 FA01 FA03

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 便器本体のボウル部内の臭気を吸引して
   汚物排水管へ移送するのに、一方がボウル部内に開口
   し、もう一方が汚物排水管に開口している排臭管と、排
   臭管の途中に設置された排臭ファンと、ボウル部開口部
   と排臭ファンとの間に前記開口部から汚物排水管への方
   向のみ臭気を移送可能にしたチェックバルブを設置した
   ことを特徴とする水洗便器の排臭装置。
2. 【請求項２】 便器本体のボウル部の排臭管開口部が上
   下２段に分かれて設置されていることを特徴とする請求
   項１に記載の水洗便器の排臭装置。