JP2003096614A - ヘルメット補強体の製造方法 - Google Patents

ヘルメット補強体の製造方法

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JP2003096614A
JP2003096614A JP2001294580A JP2001294580A JP2003096614A JP 2003096614 A JP2003096614 A JP 2003096614A JP 2001294580 A JP2001294580 A JP 2001294580A JP 2001294580 A JP2001294580 A JP 2001294580A JP 2003096614 A JP2003096614 A JP 2003096614A
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helmet
magnesium alloy
reinforcing body
molten metal
die casting
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JP2001294580A
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Hiroichi Sakano
博一 坂野
Kazuo Okamura
和夫 岡村
Koji Suzuki
康治 鈴木
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TAIYO PLAST KOGYOSHO KK
Asahi Tec Corp
Original Assignee
TAIYO PLAST KOGYOSHO KK
Asahi Tec Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヘルメットに必要とされる強度を確保しつ
つ、軽量性、耐腐食性、耐久性に優れたヘルメット補強
体を、生産性良く、且つ低コストに製造する手法を提供
すること。 【解決手段】 アルミニウム及びマンガンを合金成分と
して含有するマグネシウム合金を用い、それを溶解して
得られる溶湯を、ダイカストマシンを用いたダイカスト
鋳造操作により、金型のキャビティ内に充填せしめてヘ
ルメット補強体を成形した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、ヘルメット補強体の製造方法に
係り、特に、ヘルメット本体を与える、帽体形状の、薄
肉部を有する補強体を、工業的に有利に製造し得る方法
に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、工事現場や作業現場などにおい
ては、落下物等の物体の衝突から作業者を保護すること
を目的として、保安帽たるヘルメットが、作業者個々の
頭部に被せられて、用いられている。また、自転車やバ
イク等の運転者用として、更には、各種のスポーツ競技
者用等としても、外部からの衝撃に対して頭部を守る帽
体として、各種形状のヘルメットが、用いられている。
【0003】そして、そのようなヘルメットの構造とし
ては、一般に、ヘルメットの全体的な外形形状を与える
帽体を補強材として用い、それによって、外部から加わ
る衝撃より頭部を保護するようにする一方、かかる帽体
の内側に、所定厚さのクッション性を有する発泡体等に
て形成された緩衝材層を設けて、頭部への衝撃を緩和せ
しめるようにしたものが採用されているが、そのような
構造のヘルメットにおける帽体(本体)には、ヘルメッ
ト着用者が過度の負担を感じない程度の軽量性と共に、
外部からの衝撃に十分に耐え得る耐衝撃性が要求される
ところから、従来のヘルメットにあっては、AES(ア
クリロニトリル−特殊ゴム−スチレン共重合体)樹脂
や、PC(ポリカーボネート)樹脂等の硬質樹脂を、一
定の強度を保持せしめるために、所定厚さをもって、略
半球面形状に一体成形したものが、そのような帽体とし
て採用されている。
【0004】しかしながら、そのようなヘルメットの帽
体を樹脂製とした場合にあっては、強度的に問題があ
り、充分な耐衝撃性を確保するためには、帽体の厚さを
厚くする必要があったのであり、そのために、必然的
に、帽体、ひいてはヘルメット全体の重さが重くなっ
て、充分な軽量化の目的を達成し得ない問題を内在して
いる他に、そのような帽体の材質たる合成樹脂は、その
再利用(再資源化)が、技術的に、また経済的にも難し
く、そのために、破損等により使用不可能となったヘル
メットにあっては、その大部分が廃棄物として焼却処分
或いは埋め立て処分に付され、それによって、人体や環
境に対して悪影響をもたらす恐れも内在するものであっ
たのである。
【0005】このため、本願出願人のうちの一人は、先
に、特願2001−137557号において、ヘルメッ
トの本体を与える帽体形状の補強体を、マグネシウム合
金にて形成することにより、軽量で、外部からの衝撃等
から頭部を有効に保護し得ると共に、優れた通気性やフ
ァッション性を実現し、且つその再資源化も有効に行い
得る保安帽(ヘルメット)を提供し得ることを明らかに
した。そして、そこでは、そのようなマグネシウム合金
からなる帽体形状の補強体を、半溶融射出成形法(チク
ソモールディング法)にて形成せしめることが、推奨さ
れている。
【0006】而して、本発明者らが、ヘルメットにおけ
る帽体形状の補強体(本体)をマグネシウム合金にて製
造するための手法について種々検討したところ、かかる
補強体のより一層の軽量化を図るべく、その薄肉化を更
に進めたとき、チクソモールディング法では、その成形
が困難となり、健全な成形品を効率よく得ることが出来
なくなることに加えて、そのようなチクソモールディン
グ法に用いられるマグネシウム合金チップの製造や、そ
れの成形工程において、装置や容器等から混入する鉄分
が、製品品質に大きな影響をもたらし、そのような鉄分
の存在にて、マグネシウム合金の腐食が惹起され、そし
て、そのような腐食に基づき、薄肉化された補強体ほ
ど、耐衝撃性が低下する問題があり、また、その耐久性
をも悪化せしめることが、明らかとなったのである。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背
景にして為されたものであって、その解決課題とすると
ころは、ヘルメットに必要とされる強度を確保しつつ、
より一層の軽量化を図ると共に、耐腐食性、ひいては耐
久性に優れたヘルメット補強体を、生産性良く、且つ低
コストにおいて有利に製造し得る手法を提供することに
ある。
【0008】
【解決手段】そして、本発明にあっては、そのような課
題を解決するために、頭部に被せられて、かかる頭部を
保護するために用いられるヘルメットの本体を構成する
帽体形状の補強体を、最小肉厚が1.0〜2.0mmとな
る部位を有するように、マグネシウム合金にて成形する
に際して、前記マグネシウム合金として、マンガンを合
金成分として含有するマグネシウム合金を用い、それを
溶解して得られる溶湯を、ダイカストマシンを用いたダ
イカスト鋳造操作により金型のキャビティ内に充填せし
めて、前記補強体を鋳造することを特徴とするヘルメッ
ト補強体の製造方法を、その要旨とするものである。
【0009】このように、かかる本発明に従う製造手法
によれば、マグネシウム合金溶湯を用いたダイカスト鋳
造操作によって、目的とする帽体形状の補強体が鋳造せ
しめられるものであるところから、最小肉厚が1.0〜
2.0mmとなる薄肉部位を有する補強体が、健全な製品
として、生産性良く成形せしめられ得るのであり、加え
て、そのような補強体の肉厚を1.0〜2.0mmの薄肉
と為し得ることによって、補強体として、ひいてはヘル
メット全体として、その重量の軽減に効果的に寄与せし
め得ることとなったのである。
【0010】しかも、本発明に従うダイカスト鋳造操作
は、チクソモールディング法とは異なり、マグネシウム
合金溶湯からなる高温の均一化された溶湯を用いて、そ
れをダイカストマシンの金型キャビティ内に圧入・充填
せしめるものであって、そこでは、マグネシウム合金材
料は完全に溶解せしめられて用いられるものであるとこ
ろから、装置や容器などから鉄分が材料中に混入して
も、そのようなマグネシウム合金の腐食原因となる鉄
が、材料の溶解時において、材料中のマンガンと化合物
を形成して、そのような化合物が溶解設備の底に沈殿し
て分離されるようになるのであり、これにより、得られ
るダイカスト成形品(ヘルメット補強体)中における鉄
の含有量が低く押さえられ得ることとなって、そのよう
な成形品の耐腐食性の向上が効果的に図られ得るのであ
り、さらにはそれによって、ヘルメットの耐衝撃性の向
上、ひいては耐久性の向上が、効果的に図られ得ること
となるのである。
【0011】また、本発明に用いられるマグネシウム合
金は、容易に再資源化を図ることが出来る材料であると
ころから、そのようなマグネシウム合金にて形成された
帽体形状の補強体をヘルメット本体として用いて構成さ
れるヘルメットが、仮に破損等により使用不可能となっ
た場合においても、そのようなヘルメットより、かかる
帽体形状の補強体のみを取り出して、再溶融精錬等を行
うことによって、再びマグネシウム合金として本発明の
補強体材料として再利用することが出来ることは勿論、
他の各種用途にも容易に用いられ得るのであり、それに
よって、使用不可能となったヘルメットの再資源化を効
率的に行い得る利点を有している。そして、本発明にあ
っては、そのようなマグネシウム合金が溶湯形態におい
て用いられて、目的とする補強体の成形(ダイカスト鋳
造)に供されるものであるところから、チクソモールデ
ィング法の如く、マグネシウム合金原材料を一旦チップ
状に形成する必要がなく、従って、チップ形成工程が不
要となるところから、工程の短縮化が図られ、以て低コ
スト化が実現され得るのであり、更に補強体のリサイク
ルに際しても、そのような補強体を再溶解して得られる
溶湯を、そのまま用いることが出来るところから、低コ
ストで、簡単にリサイクルすることが出来る特徴をも有
している。
【0012】なお、かくの如き本発明に従うヘルメット
補強体の製造方法にあっては、マグネシウム合金として
は、有利には、5〜10重量%のアルミニウム及び0.
15〜0.5重量%のマンガンを含有しているものが、
用いられることとなる。このような割合のアルミニウム
及びマンガンを含有するマグネシウム合金を用いること
により、本発明の目的とする薄肉部を有する帽体形状の
補強体が有利に形成され得、また、製品中の鉄の含有量
をも効果的に低減せしめ得るのである。
【0013】また、本発明の望ましい態様の一つによれ
ば、マグネシウム合金溶湯は650〜740℃の温度に
保持され、そして、そのような温度のマグネシウム合金
溶湯がダイカスト鋳造操作により所定の金型のキャビテ
ィ内に圧入・充填せしめられるようにすることによっ
て、高品質の薄肉製品の成形操作が有利に実現され得る
のである。
【0014】さらに、本発明にあっては、マグネシウム
合金溶湯の表面は、有利には、乾燥空気、CO2ガス及
びN2ガスのうちの何れか一種以上に、SF6 ガスの
0.001〜0.2体積%、又はSO2 ガスの0.05
〜2体積%を含有せしめた混合ガスにて保護されること
となる。これにより、マグネシウム合金溶湯の酸化・燃
焼を防止して、品質の良好な製品を有利に得ることが出
来る。
【0015】加えて、本発明の望ましい態様の他の一つ
によれば、マグネシウム合金溶湯は、150〜300℃
に保持された金型のキャビティ内に圧入・充填せしめら
れることが望ましく、これにより、薄肉部を有する健全
な製品を有利に得ることが出来ることとなるのである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ、本発明
の構成について、更に具体的に明らかにすることとす
る。
【0017】先ず、図1及び図2には、本発明に従って
得られたヘルメット補強体を用いたヘルメットの一例が
示されている。それらの図において、ヘルメット10
は、従来と同様に、頭部に被せられて、かかる頭部を保
護するために用いられるものであって、そのようなヘル
メット10の本体を構成する帽体形状の補強体12と、
かかる補強体12の下端周縁部に嵌着せしめられた環状
スカート部14とから、構成されている。具体的には、
補強体12は、マグネシウム合金にて、ほぼ半球面状に
成形されたものであり、その内側(頭部収容側)の内面
には、図3や図4に示されている如く、補強体12にお
ける薄肉の基本肉厚部(薄肉部)12aの補強のため
に、頂部から下端周縁部に放射状に所定幅において延び
る複数のリブ部12bが、一体的に設けられている。な
お、かかる補強体12の内面側には、図示はしないが、
外部からの衝撃を吸収するための緩衝材層が設けられて
おり、また、必要に応じて、衝撃吸収用のハンモック
や、ヘルメット着用者の頭部に固定せしめるための顎紐
等も適宜に取り付けられてなる構造とされている。
【0018】また、環状スカート部14は、半硬質樹脂
(強化ポリエチレン)を材料とした成形体から構成され
るものであって、補強体12の下端周縁部に対応する大
きさを呈する環状部に、着用者の前方に所定幅をもって
突出する鍔部14a、及び主として着用者の耳の上部を
覆うように、該環状部の外側に膨出する耳保護部14
b、更には着用者の後方において所定長さで垂下する後
頭部保護部14cが、一体的に設けられてなる構造とさ
れている。そして、補強体12の下端周縁部に、そのよ
うな樹脂製の環状スカート部14が、例えば凹凸嵌合方
式による無理嵌め等の組付け構造において嵌着せしめら
れて、全体としてヘルメット10が構成されているので
ある。
【0019】本発明は、かくの如き構造のヘルメット1
0におけるヘルメット本体としての補強体12を、ダイ
カスト鋳造手法に従って有利に製造しようとするもので
あるが、その際、補強体12としては、その薄肉の基本
肉厚部12aの厚さを、良好な耐衝撃性を確保しつつ、
可及的に薄くすれば、補強体12、ひいてはヘルメット
10全体としての軽量化を効果的に図り得るところか
ら、本発明にあっては、そのような基本肉厚部12a
が、1.0〜2.0mmの肉厚の薄肉部として形成される
ようにしたのである。なお、かかる基本肉厚部12aの
肉厚が、1.0mmよりも薄くなると、補強体としての強
度、更には耐衝撃性に問題を生じることとなり、また
2.0mmよりも厚くなると、補強体12の重量が重くな
って、ヘルメットの軽量化において不利となるからであ
る。
【0020】そして、かくの如き構造の基本肉厚部12
aが1.0〜2.0mmの最小肉厚となるように構成され
た帽体形状の補強体12が、本発明に従って、所定のマ
グネシウム合金からなる溶湯をダイカストマシンを用い
たダイカスト鋳造操作により、金型のキャビティ内に充
填せしめて鋳造することによって、形成されることとな
るのであるが、その際、マグネシウム合金としては、マ
ンガンを合金成分として含有するマグネシウム合金が用
いられ、これによって、マグネシウム合金溶湯の溶製時
に混入するマグネシウム合金の腐食原因となる鉄をマン
ガンと化合せしめ、鉄−マンガン化合物として沈殿させ
て分離することにより、鉄含有量が極めて低減されたマ
グネシウム合金溶湯より、目的とする補強体12が鋳造
され得ることとなって、その耐腐食性の効果的な向上と
共に、物性の向上、更には耐久性の向上をも有利に図り
得るのである。
【0021】なお、かかるマグネシウム合金は、合金成
分として、上記のマンガンのみを含有するものでも何等
差し支えないが、そのようなマンガンと共に、アルミニ
ウムをも、合金成分として含んでいることが望ましい。
このアルミニウムは、溶湯の流動性を高め、薄肉の製品
(補強体)を鋳造する上において、優れた結果をもたら
すものであり、それ故に、マグネシウム合金中のアルミ
ニウム含有量が高いほど、流動性に優れ、従って薄肉品
を成形し易くなるのであるが、また、アルミニウムの含
有量が高くなるほど、密度(比重)が高くなるところか
ら、製品重量が重くなる問題があり、また引張強度と伸
びとのバランス、及び耐腐食性を考慮すると、アルミニ
ウム含有量は、一般に、5〜10重量%程度とされるこ
ととなる。そして、そのようなアルミニウム含有量と共
に、マンガン含有量としては、0.15〜0.5重量%
程度が採用され、残部がマグネシウム及び不可避的不純
物からなる組成のマグネシウム合金が、用いられること
となるのである。また、かかるマンガン含有量やアルミ
ニウム含有量のマグネシウム合金としては、JIS規格
(ASTM規格)でMD1D(AZ91D)、MD2B
(AM60B)と称されるものを用いることができる。
【0022】そして、そのような合金組成のマグネシウ
ム合金からなる溶湯は、従来と同様にして、目的とする
合金組成を与えるように、マグネシウム合金原材料を溶
解せしめたり、或いは別途作製されたマグネシウム合金
インゴットを用い、それを溶解せしめる等の手法にて溶
製され、また、必要に応じて合金成分を成分調整して、
目的とする合金組成のマグネシウム合金溶湯が溶製され
得るのである。また、そのようなマグネシウム合金溶湯
は、回収されたヘルメット10から取り出されるマグネ
シウム合金製補強体12を用い、それを溶解せしめ、必
要に応じて合金成分の成分調整を行うことによっても、
容易に得られるものであり、更にそのようにして回収さ
れた補強体12を、前記したインゴット等と共に混合溶
解せしめて、目的とする合金組成のマグネシウム合金溶
湯とすることも可能である。
【0023】なお、そのようなマグネシウム合金溶湯の
溶製に際しては、溶湯の酸化・燃焼を防止乃至は抑制す
る目的から、溶解炉として、有利には、蓋付きのるつぼ
式溶解炉を用いることが推奨され、また、形成されるマ
グネシウム合金溶湯の表面上に、所定の保護ガスが流入
せしめられて、かかる溶湯表面が保護ガスにて保護され
ることとなる。ここで、そのような保護ガスとしては、
乾燥空気、CO2 ガス、N2ガスのうちの何れか一種以
上に、SF6ガスを0.001〜0.2体積%、望まし
くは0.005〜0.1体積%の濃度で、又はSO2
スを0.05〜2体積%、望ましくは0.1〜1体積%
の濃度で含有せしめた混合ガスが、有利に用いられるこ
ととなる。けだし、SF6の濃度が0.001体積%未
満の場合や、SO2 の濃度が0.05体積%未満の場合
には、溶湯は酸化・燃焼し、その充分な効果が得られな
いからであり、また、SF6の濃度が0.2体積%を超
えたり、或いはSO2 の濃度が2体積%を超えたりする
と、一般に鉄系材料で製作されている溶解炉のるつぼや
蓋等の腐食が激しくなり、その結果、そのような腐食に
て生じた酸化スケール(酸化鉄)が、溶湯の中に入っ
て、マグネシウム合金の腐食原因となる鉄の含有量を増
加せしめる恐れがある等の問題を生じるからである。
【0024】そして、本発明にあっては、上述の如くし
て得られるマグネシウム合金溶湯を用いて、従来と同様
なダイカストマシンによりダイカスト鋳造することによ
って、目的とする補強体12を鋳造しようとするもので
あり、その際、ダイカストマシンとしては、公知のコー
ルドチャンバー型又はホットチャンバー型のダイカスト
マシンを用いることが出来、例えば、図5に示される如
くしてダイカスト鋳造せしめられるのである。
【0025】具体的には、図5において、20は保温炉
又は溶解炉であって、そのメルティングポット22内に
は、所定のマグネシウム合金溶湯24が、収容、保持さ
れている。なお、そのようなメルティングポット22内
に収容されるマグネシウム合金溶湯24の温度が650
℃未満では、かかる溶湯24の流動性が低下し、目的と
する薄肉成形品を与える金型のキャビティ内への充填が
困難となる問題があり、また、溶湯温度が740℃を超
えるようになると、鉄製のメルティングポット22から
の拡散により、溶湯24中の鉄の含有量を増加せしめる
恐れがあり、さらに溶湯24が酸化・燃焼しやすくな
り、そして、それによって多量に発生する酸化燃焼物が
混入したマグネシウム合金溶湯24が給湯されて、成形
品に含まれる恐れが生ずるところから、溶湯温度は65
0〜740℃、望ましくは660〜720℃の範囲に保
持されることとなる。また、そのような溶湯24の酸化
・燃焼を防止するために、溶湯表面が、前記した混合ガ
スにて保護せしめられるようになっている。
【0026】そして、そのようなメルティングポット2
2内に収容されたマグネシウム合金溶湯24は、圧入プ
ランジャーロッド26の前進によって、グースネック形
状のメタルスリーブ28から、ノズル30を通じて、固
定ダイス32と可動ダイス34とから構成される金型3
6内に形成される、目的とする帽体形状の補強体12を
成形するためのキャビティ38内に圧入、充填せしめら
れることとなる。なお、図5においては、金型36は、
成形品の1個取り構造とされているが、キャビティ38
を2個以上設けて、複数個取り構造とすることも可能で
ある。
【0027】このようなホットチャンバー型のダイカス
トマシンにおいては、メルティングポット22内に収容
したマグネシウム合金溶湯24のうち、溶湯表面及び底
部ではない深さ方向中間部位に位置する溶湯部分を、ダ
イカストマシンに給湯せしめることとなるところから、
より一層健全な且つ特性に優れた成形品を得ることが出
来るのである。けだし、溶湯表面に存在する酸化皮膜
が、成形品に混入した場合には、強度が極端に低下し
て、耐衝撃性等の特性に悪影響をもたらすからであり、
また、炉底に沈殿する溶湯中の鉄とマンガンとの化合物
が成形品中に混入することも、効果的に抑制乃至は阻止
され得て、マグネシウム合金の腐食原因となる成形品中
の鉄の含有率が、低く押さえられ得ることとなるからで
ある。なお、コールドチャンバー型のダイカストマシン
においては、そのような中間部位の溶湯部分をダイカス
トマシンに給湯するために、加圧ポンプ式、電磁ポンプ
式、スクリューポンプ式、減圧吸引式、またはピストン
式等の給湯装置が用いられることとなる。
【0028】また、ダイカストマシンの金型キャビティ
38へのマグネシウム合金溶湯24の充填時間として
は、最小肉厚が1.0〜2.0mmとなる基本肉厚部12
aを有するヘルメット本体としての補強体12を成形す
る上において、一般に、0.005〜0.1秒、望まし
くは0.01〜0.05秒の範囲とされる。金型キャビ
ティ38への充填時間が0.005秒よりも少なくなる
と、金型キャビティ38内の空気が逃げる時間が短いた
めに、得られる成形品内に空気が巻き込まれ、健全な成
形品が得られなくなるのであり、また、充填時間が0.
1秒を超えるようになると、充填性に問題を生じ、薄肉
部の形成が困難となる。
【0029】さらに、鋳造圧力としては、得られる成形
品内に鋳巣等の欠陥が発生するのを防止する上におい
て、通常、300kgf/cm2 以上、望ましくは400
kgf/cm2以上が採用されることとなるのであるが、
1000kgf/cm2を超えるような鋳造圧力を掛けて
も、その効果は変わらなくなるばかりか、バリが発生し
て、仕上げ作業が増えたり、バリ発生を防止するために
大きなサイズのダイカストマシンを用いる必要があり、
それによって製造コストが高くなる等の理由により、鋳
造圧力の上限は、一般に、1000kgf/cm2 程度と
され、望ましくは700kgf/cm2以下である。
【0030】なお、かくの如きダイカストマシンを用い
たダイカスト鋳造操作にあっては、金型36の金型温度
を150℃未満にすると、溶湯の流動性が低下し、金型
キャビティ38内への溶湯の充填性に問題が発生し、ま
た、金型温度が300℃を超えるようになると、溶湯の
凝固速度が遅くなるために、成形品内に鋳巣等の欠陥不
良が発生したり、金型に成形品が焼き付いて、成形品表
面が凹凸となり、外観不良となる等の問題を惹起するよ
うになる。従って、金型温度としては、一般に、150
〜300℃程度、望ましくは180〜250℃程度が採
用されることとなる。
【0031】かくの如くして、目的とする補強体12
が、ダイカストマシンを用いたダイカスト鋳造操作によ
り成形されることとなるのであるが、かかるダイカスト
鋳造手法によれば、チクソモールディング法よりも高温
の材料(マグネシウム合金溶湯24)を金型36に充填
せしめて、成形するものであるところから、より薄肉の
軽量な成形品を有利に製造することが出来るのであり、
また、従来のチクソモールディング法のように、原材料
をチップ状にする必要がなく、マグネシウム合金溶湯を
そのまま用いることが出来るところから、鋳造工程が簡
略化され得ると共に、成形品のリサイクルに際しても、
成形品を再溶解して得られる溶湯をそのまま用いること
が出来、そのために、低コストにて、簡単にリサイクル
することが出来る特徴も発揮し得るのである。
【0032】なお、このようにして得られた成形品(補
強体12)は、金型36から取り出され、従来と同様に
して、堰折りや、バリ取りや、オーバーフロー(湯溜
り)部の除去等の仕上げ加工が実施され、更に目視検
査、蛍光探傷検査、或いはX線検査の如き製品検査を実
施した後、ヘルメットの用途に適合させるべく、必要に
応じてメッキ或いは塗装が施されることとなる。なお、
塗装に際しては、先ず、化成処理又は陽極酸化処理の如
き下地処理(望ましくはノンクロム系化成処理)を行
い、その上に、塗装(望ましくは粉体塗装)を行い、最
表面に耐候性に優れたエポキシ系またはポリエステル系
樹脂塗料等を用いることにより、実施されることとな
る。
【0033】そして、このようにして得られた、ヘルメ
ット本体としての帽体形状の補強体12には、図1に示
されるように、その下端周縁部に環状スカート部14が
取り付けられ、また、内部には、緩衝材層や顎紐、ハン
モック等が取り付けられて、目的とするヘルメット10
が完成されるのである。そして、そのようなヘルメット
10にあっては、それを構成する補強体12の基本肉厚
部12aが1.0〜2.0mmの最小肉厚とされて、重量
軽減が図られているところから、ヘルメット全体として
の軽量化が有利に図られ得ているのであり、また、補強
体12を形成するマグネシウム合金中に混入する鉄の含
有量も効果的に低減されているために、耐腐食性におい
ても優れたものとなり、その耐久性等の物性も、効果的
に高められ得ているのである。
【0034】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更
に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、その
ような実施例の記載によって何等の制約をも受けるもの
でないことは、言うまでもないところである。また、本
発明には以下の実施例の他にも、更には上記した発明の
実施の形態における記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱
しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる
変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解
されるべきである。
【0035】先ず、ダイカストマシンとしては、図5に
示される如きホットチャンバー型のものを用い、また、
マグネシウム合金としては、合金成分としてのアルミニ
ウムが9.0%、亜鉛が0.8%、マンガンが0.2%
のAZ91D(ASTM表記)を用いて、そのようなA
Z91Dからなるマグネシウム合金溶湯24を、メルテ
ィングポット22内において溶製した。そして、かかる
メルティングポット22内のマグネシウム合金溶湯24
の表面には、CO2ガスにSF6ガスを0.05%の割合
に混合してなる混合ガスを保護ガスとして吹き付け、か
かる溶湯表面の酸化を抑制乃至は阻止する一方、溶湯温
度を670℃に保持した。
【0036】次いで、かかるメルティングポット22内
に収容されたマグネシウム合金溶湯24を、圧入プラン
ジャーロッド26の前進によって、メタルスリーブ2
8、ノズル30を通じて、金型36のキャビティ38内
に、充填時間:0.03秒、鋳造圧力:400kgf/
cm2 の条件下に圧入・充填せしめることにより、ダイカ
スト鋳造操作を実施して、目的とする帽体形状の補強体
12の鋳造を行った。なお、かかるダイカスト鋳造操作
において、金型36(固定ダイス32+可動ダイス3
4)は、平均200℃の金型温度となるように加熱され
た。
【0037】かくの如きダイカスト鋳造によって、基本
肉厚部12aが1.2mmとなる最小肉厚の薄肉部を有す
る軽量な補強体12が、溶湯の充填不良等の問題を何等
惹起することなく、健全な成形品として得られ、また、
そのような成形品中における鉄の含有量を測定したとこ
ろ、0.003%の少ない含有量であった。
【0038】これに対して、チクソモールディング法に
て、上述の如き基本肉厚部が1.2mmの薄肉部を有する
帽体形状の補強体(12)の成形を行ったところ、健全
な製品を得ることが出来ず、そのようなチクソモールデ
ィング法にて成形し得る補強体における基本肉厚部の厚
さは、2.0mm程度までであることが判った。また、そ
のようにしてチクソモールディング法にて成形される補
強体中の鉄含有量を測定したところ、0.005%とな
った。
【0039】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に従うヘルメット補強体の製造方法によれば、高強度・
軽量であって、リサイクル性に優れるマグネシウム合金
製ヘルメット補強体が、より一層薄肉化されて、軽量化
された健全な成形品として、有利に鋳造せしめられ得る
のであり、また、そのようにして得られた薄肉の補強体
は、鉄の含有量が効果的に低減せしめられていることに
より、耐腐食性に優れ、従って耐久性等の物性に優れた
ヘルメットを与えるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って製造された補強体をヘルメット
本体とするヘルメットの一例を示す正面説明図である。
【図2】図1に示されるヘルメットの平面説明図であ
る。
【図3】図1に示されるヘルメットに用いられている補
強体の底面図である。
【図4】図3における補強体のA−A断面説明図である
【図5】ホットチャンバー型ダイカストマシンを用いた
本発明の実施の一形態を示す断面説明図である。
【符号の説明】
10 ヘルメット 12 補強体 14 環状スカート部 20 保温炉 22 メルティングポット 24 マグネシウム合金溶湯 26 プランジャーロッド 28 メタルスリーブ 30 ノズル 36 金型 38 キャビティ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡村 和夫 静岡県小笠郡菊川町堀之内547番地の1 旭テック株式会社内 (72)発明者 鈴木 康治 静岡県小笠郡菊川町堀之内547番地の1 旭テック株式会社内 Fターム(参考) 3B107 AA04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 頭部に被せられて、かかる頭部を保護す
    るために用いられるヘルメットの本体を構成する帽体形
    状の補強体を、最小肉厚が1.0〜2.0mmとなる部位
    を有するように、マグネシウム合金にて成形するに際し
    て、 前記マグネシウム合金として、マンガンを合金成分とし
    て含有するマグネシウム合金を用い、それを溶解して得
    られる溶湯を、ダイカストマシンを用いたダイカスト鋳
    造操作により金型のキャビティ内に充填せしめて、前記
    補強体を鋳造することを特徴とするヘルメット補強体の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記マグネシウム合金が、5〜10重量
    %のアルミニウム及び0.15〜0.5重量%のマンガ
    ンを含有している請求項1に記載のヘルメット補強体の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記マグネシウム合金溶湯が、650〜
    740℃の温度に保持されている請求項1又は請求項2
    に記載のヘルメット補強体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記マグネシウム合金溶湯の表面が、乾
    燥空気、CO2 ガス及びN2ガスのうちの何れか1種以
    上に、SF6ガスの0.001〜0.2体積%、又はS
    2 ガスの0.05〜2体積%を含有せしめた混合ガス
    にて、保護されている請求項1乃至請求項3の何れかに
    記載のヘルメット補強体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記マグネシウム合金溶湯が、150〜
    300℃に保持された金型のキャビティ内に、圧入・充
    填せしめられる請求項1乃至請求項4の何れかに記載の
    ヘルメット補強体の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005350808A (ja) * 2004-06-11 2005-12-22 Hyogo Prefecture ヘルメットおよびヘルメットの製造方法
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