【発明の名称】空気入りラジアルタイヤ
【特許請求の範囲】
【請求項1】一対のビード部に配設したビードコア間にトロイダルに延在させて、側部部分をビードコアの周りで半径方向外方に巻返した少なくとも一枚のカーカスプライからなるラジアルカーカスと、ラジアルカーカスの本体部分と側部部分との間で、ビードコアの外周面に隣接させて配設したスティフナと、スティフナのタイヤ半径方向外方に配設した、スティフナよりも低剛性のゴム層とを具える空気入りラジアルタイヤにおいて、
スチールコードもしくは有機繊維コードを一方向に延在させてゴム被覆したチェーファの少なくとも二枚を、ラジアルカーカスを包込むように配設し、かつラジアルカーカスの側部部分のタイヤ幅方向外側での、タイヤ半径方向最外位置を、ラジアルカーカスの側部部分のタイヤ半径方向最外位置よりもタイヤ半径方向外方とし、
各チェーファを構成するスチールコードもしくは有機繊維コードを、弾性率が40GPa以上のフィラメントを撚合わせて成形し、前記スチールコードもしくは有機繊維コードの曲げ剛性を2GPa・mm 4 以下とし、当該スチールコードもしくは有機繊維コードの、コード一本当たりの曲げ剛性(GPa・mm 4 )と打込本数(本/mm)との積を、0.012〜0.62(GPa・mm 4 ・本/mm)とし、隣合うチェーファ同士のコード間交差角θを、50<θ<130(°)としてなる、空気入りラジアルタイヤ。
【請求項2】前記チェーファのうちの一枚を、ラジアルカーカスの本体部分のタイヤ幅方向内側において、スティフナのタイヤ半径方向最外位置よりも外方に延在させた広域チェーファとしてなる、請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
【請求項3】前記広域チェーファを分割してなる、請求項2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
【請求項4】前記チェーファとカーカスとの間に、またはチェーファを包込むように、弾性率が40GPa以下の保護チェーファを配設してなる、請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
【請求項5】前記ラジアルカーカスの側部部分のタイヤ幅方向外側に、軟質緩衝ゴムを配設してなる、請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、空気入りラジアルタイヤに関するものであり、とくに、タイヤビード部の耐久性向上を図るものである。
【0002】
【従来の技術】
荷重負荷の下で転動する空気入りラジアルタイヤでは、接地面に対応して位置する一対のサイドウォール部が大きく撓曲するに止まらず、リムフランジよりもタイヤ半径方向外方に位置するビード部もまたタイヤ幅方向外側に向けて倒れ込む、いわゆるビード部の倒れ込み現象がみられる。この現象により、ラジアルカーカスの側部部分の巻上げ端付近には、ラジアルカーカスとその回りに位置するゴムとの間に、タイヤ幅方向に大きな剪断歪みが作用し、ひいてはタイヤの耐久性を劣化させるという懸念がある。
【0003】
また、空気入りラジアルタイヤの負荷転動時には、接地面のとくに踏込部および蹴出部のそれぞれに対応して位置する、ビード部からサイドウォール部に至る部分に、カーカスプライ等のタイヤ構成部材の変形がほぼタイヤ周方向にみられ、この変形により、ラジアルカーカスの側部部分付近には、タイヤ周方向に剪断歪みが生じ、これもまたタイヤの耐久性を劣化させるという懸念がある。
【0004】
これらの懸念に対し、特開平8−225005号公報には、硬度の異なる二種類以上のスティフナをビード部からサイドウィール部にかけて配設し、上記タイヤ幅方向および周方向剪断歪みを大幅に軽減し、ひいてはタイヤビード部の耐久性の向上を実現する提案がなされており、また、特願平9−171632号公報には、ビード部のへたりの抑制も踏まえた上で、タイヤ周方向剪断歪みに基づく故障発生位置を、ラジアルカーカスの側部部分の巻上げ端部からチェーファ端部に移行させて、タイヤのビード部耐久性の向上を実現する提案がなされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、空気入りラジアルタイヤにおいても、他の種類のタイヤと同様に偏平化が進み、しかもいわゆる更生実施が頻繁に行われる傾向にあることから、負荷転動時のビード部への入力が従来に比して相当増しており、上述した二例のビード部耐久性改善手段では、その効果が不十分となっているのが現状で、とくに、特願平9−171632号公報で示す補強構造においては、故障がなおラジアルカーカスの側部部分の巻上げ端部で発生し、チェーファによる主故障部の保護作用が不十分であることが問題となっている。
なお、とくに偏平率60%以下の偏平大型タイヤでは、ビード部故障により、新品タイヤの早期劣化を招来するばかりでなく、更生実施回数の低減をきたすという深刻な問題がある。
【0006】
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、近年の、ラジアルタイヤの偏平化および度重なるタイヤ更生実施の下においても、負荷転動時に生じるビード部の、タイヤ幅方向および周方向剪断歪みをともに十分軽減し、ひいては優れたビード部耐久性を実現した空気入りラジアルタイヤを提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の空気入りラジアルタイヤは、一対のビード部に配設したビードコア間にトロイダルに延在させて、側部部分をビードコアの周りで半径方向外方に巻返した少なくとも一枚のカーカスプライからなるラジアルカーカスと、ラジアルカーカスの本体部分と側部部分との間で、ビードコアの外周面に隣接させて配設したスティフナと、スティフナのタイヤ半径方向外方に配設した、スティフナよりも低剛性のゴム層とを具えるものであって、スチールコードもしくは有機繊維コードを一方向に延在させてゴム被覆したチェーファの少なくとも二枚を、ラジアルカーカスを包込むように配設し、かつラジアルカーカスの側部部分のタイヤ幅方向外側での、タイヤ半径方向最外位置を、ラジアルカーカスの側部部分のタイヤ半径方向最外位置よりもタイヤ半径方向外方とし、各チェーファを構成するスチールコードもしくは有機繊維コードを、弾性率が40GPa以上のフィラメントを撚合わせて成形し、上記スチールコードもしくは有機繊維コードの曲げ剛性を2GPa・mm 4 以下とし、当該スチールコードもしくは有機繊維コードの、コード一本当たりの曲げ剛性(GPa・mm 4 )と打込本数(本/mm)との積を、0.012〜0.62(GPa・mm 4 ・本/mm)とし、隣合うチェーファ同士のコード間交差角θを、50<θ<130(°)としたものである。
なお、ここでフィラメントの弾性率とは、撚っていないフィラメント単一の弾性率をいうものである。
【0008】
一般に、リム組み状態のラジアルタイヤに内圧が充填された場合には、その内圧によって、ラジアルカーカスの側部部分の巻上げ端部とリムフランジとにより挟まれた部分のゴムには、上記内圧とその反力とにより圧縮力が作用するが、ゴムは非圧縮性であるため、上記部分のゴムは、リムフランジ先端部よりもタイヤ半径方向外方に移動して、その後タイヤ幅方向外側に移動する。
【0009】
これに対し、コードにより補強されたラジアルカーカスは、上記内圧による反力を受けても変形し難いので、ラジアルカーカスの側部部分の巻上げ端部と、上記部分のゴムとの間にはタイヤ幅方向剪断歪みが生ずることとなる。
【0010】
このタイヤ幅方向剪断歪みは、タイヤ負荷転動時にとくに大きくなるところ、この発明によれば、弾性率が40GPa以上のフィラメントを撚合わせて成形した高剛性のスチールコードもしくは有機繊維コードを一方向に延在させてゴム被覆したチェーファの少なくとも二枚を、ラジアルカーカスを包込むように配設するとともに、それらチェーファの、ラジアルカーカスの側部部分のタイヤ幅方向外側での、タイヤ半径方向最外位置を、ラジアルカーカスの側部部分のタイヤ半径方向最外位置よりも外方とし、しかも隣合うチェーファ同士のコードを交差させたことから、上記巻上げ端部のタイヤ幅方向外側に位置するチェーファの、タイヤ幅方向外側に位置するゴムに上記圧縮力を吸収させ、この圧縮力がラジアルカーカスの側部部分の巻上げ端部とその回りのゴムとに影響を及ぼさないようにすることができ、これがため、ラジアルカーカスの側部部分の巻上げ端部とそのタイヤ幅方向外側に位置するゴムとの間においては、タイヤ幅方向剪断歪みの発生を防止することができ、ひいては、近年のタイヤ偏平化およびタイヤ更生実施に耐え得る、ビード部の耐久性を実現することができる。
【0011】
またこの空気入りラジアルタイヤでは、上記態様により、少なくとも二枚の高剛性チェーファを配設したことにより、従来、負荷転動時に、接地面のとくに踏込部および蹴出部のそれぞれに対応して位置する、ビード部からサイドウォール部に至る部分にみられた、カーカスプライ等のタイヤ構成部材のタイヤ周方向における変形を抑制することができ、したがって、ラジアルカーカスの側部部分付近の周方向剪断歪みを抑制することができ、ひいては、近年のタイヤ偏平化およびタイヤ更生実施に耐え得る、ビード部の耐久性を実現することができる。
【0012】
なお、この発明は、一般に用いられる有機繊維コードからなるチェーファを二枚重ね、チェーファ相互間でコードを交差させた場合には、タイヤ周方向剪断歪みが、従来のチェーファを配設しない場合に比して、ほぼ半減することに鑑みてなされたものであるとともに、この効果を発揮させるためには、チェーファのコードを構成するフィラメントの弾性率を、少なくとも40GPa以上とすることが必要であり、また隣合うチェーファ同士のコード間交差角θを、50<θ<130(°)とすることが必要であることに鑑みてなされたものである。
【0013】
そしてこの発明では、各チェーファを構成するスチールコードもしくは有機繊維コードを、フィラメントを撚合わせて成形し、このスチールコードもしくは有機繊維コードの一本当たりの曲げ剛性を2GPa・mm 4 以下としたことにより、チェーファがそのタイヤ幅方向外側に位置するゴムの変形に追従し易くなり、これにより、チェーファとそのタイヤ幅方向外側に位置するゴムとの間に生じる、タイヤ幅方向およびタイヤ周方向剪断歪みをともに抑制し、チューファ端部とその回りに位置するゴムとのセパレーションを防止して、優れたタイヤのビード部剛性を実現することができる。
【0014】
また、この発明は、上記効果を十分に発揮させるためには、上述したコード一本当たりの曲げ剛性に加え、当該スチールコードもしくは有機繊維コードの、コード一本当たりの曲げ剛性(GPa・mm 4 )と打込本数(本/mm)との積を、0.012〜0.62(GPa・mm 4 ・本/mm)とすることが必要であることに鑑みてなされたものである。
【0015】
かかる空気入りラジアルタイヤにおいてより好ましくは、チェーファのうちの一枚を、ラジアルカーカスの本体部分のタイヤ幅方向内側まで延在させ、たとえばスティフナのタイヤ半径方向最外位置付近まで延在させた広域チェーファとする。
【0016】
従来のチェーファの配設態様としては、ラジアルカーカスの側部部分のタイヤ幅方向外側から、ラジアルカーカスの本体部分のタイヤ幅方向内側の、スティフナよりもタイヤ半径方向外方までの配設態様、またはラジアルカーカスの本体部分のタイヤ幅方向内側から、ラジアルカーカスの側部部分のタイヤ幅方向外側の、ラジアルカーカスの巻上げ端付近までの配設態様が、一般的であったところ、この発明によれば、従来二枚であったチェーファを一体化して、上記二つの配設態様を一の配設態様で賄い、タイヤ構造の簡素化、軽量化および製造コストの低減をそれぞれ実現することができる。
【0017】
このようなチェーファの一体化構造においては、広域チェーファを分割することができる。
この場合には、分割した複数枚のチェーファ間においてコード配設角度等を適宜異ならせ、それらチェーファ相互の剛性を目的に応じて相違させることができるが、分割位置で生じる剛性段差のため、上記分割位置で、チェーファとその回りに位置するゴムとのセパレーションの早期発生が懸念されることから、その分割位置を、ラジアルカーカスの側部部分のタイヤ幅方向外側では、ラジアルカーカスの側部部分の巻上げ端よりもタイヤ半径方向内方として、上記セパレーションを防止することが好ましい。
【0018】
なお、上記分割位置は、上記範囲内であれば、ラジアルカーカスの本体部分のタイヤ幅方向内側およびラジアルカーカスの側部部分のタイヤ幅方向外側のいずれでもよく、また複数箇所設けてもよい。
【0019】
また好ましくは、チェーファとカーカスとの間に、またはチェーファを包込むように、弾性率が40GPa以下の保護チェーファを配設する。
これによれば、チェーファ端部とその回りに位置するゴムとのセパレーションを抑制し、タイヤのビード部剛性を一層高めることができる。
【0020】
そして好ましくは、ラジアルカーカスの側部部分のタイヤ幅方向外側に、軟質緩衝ゴムを配設する。
ここで、軟質緩衝ゴムを配設するため、ラジアルカーカスの側部部分のタイヤ幅方向断面形状は、ほぼ直線的にしても、屈曲もしくは湾曲した形状としてもよい。
【0021】
ラジアルカーカスの側部部分のタイヤ幅方向外側にチェーファを配設した場合には、ラジアルカーカスに生じた亀裂がチェーファに達し易いところ、かかる空気入りラジアルタイヤによれば、ラジアルカーカスの側部部分のタイヤ幅方向外側に、軟質緩衝ゴムを配設することで、亀裂のチェーファへの伝達を防止することができ、タイヤビード部の耐久性をさらに一層向上させることができる。
【0022】
また、かかる軟質緩衝ゴムは、上記亀裂の伝達を防止するのみならず、内圧とその反力とにより、ラジアルカーカスの側部部分の巻上げ端部とリムフランジとにより挟まれた部分のゴムにかかる圧縮力を緩和して、ラジアルカーカスの側部部分の巻上げ端部と、上記部分のゴムとの間のタイヤ幅方向剪断歪みを抑制し、これによってもまた、タイヤビード部の耐久性をさらに一層向上させることができる。
【0023】
なお、軟質緩衝ゴムは、その硬度をラジアルカーカスのコードを被覆するゴムの硬度に比して低くすることが上記圧縮力の緩和において望ましく、また、そのゴム質をサイドウォールゴムもしくはスティフナと同じくして、使用ゴム種の増加を防止することが、製造経済上好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態を図面に示すところに基づいて説明する。
図1はこの発明の実施の形態を示す、タイヤ幅方向部分断面図であり、図中1はビードコア、2はラジアルカーカス、3はスティフナ、4はゴム層、5,6はチェーファ、7は(ラジアルカーカスの)本体側チェーファである。
【0025】
ここでは、一対のビード部(図1では片側のみ図示)に配設したビードコア1間に、少なくとも一枚、図では一枚のカーカスプライからなるラジアルカーカス2をトロイダルに延在させて、その側部部分をビードコア1の周りで半径方向外方に巻き返し、ラジアルカーカス2の本体部分と側部部分との間で、ビードコア1の外周面に隣接させてスティフナ3を配設するとともに、スティフナ3のタイヤ半径方向外方にスティフナ3よりも低剛性のゴム層4を配設する。
【0026】
またここでは、スチールコードもしくは有機繊維コードを一方向に延在させてゴム被覆したチェーファの少なくとも二枚、図では二枚のチェーファ5,6を、ラジアルカーカス2を包込むように配設し、かつラジアルカーカス2の側部部分のタイヤ幅方向外側での、タイヤ半径方向最外位置T1,T2をいずれも、ラジアルカーカス2の側部部分のタイヤ半径方向最外位置Lよりもタイヤ半径方向外方とし、各チェーファ5,6を構成するスチールコードもしくは有機繊維コードを、弾性率が40GPa以上のフィラメントを撚合わせて成形し、スチールコードもしくは有機繊維コードの曲げ剛性を2GPa・mm 4 以下とし、スチールコードもしくは有機繊維コードの、一本当たりの曲げ剛性(GPa・mm 4 )と打込本数(本/mm)との積を、0.012〜0.62(GPa・mm 4 ・本/mm)とし、隣合うチェーファ同士のコード間交差角θを、50<θ<130(°)とする。
【0027】
ここで隣合うチェーファ同士のコード間交差角θとは、図2に示すθをいうものであり、図2中のa,bは、隣合うチェーファ同士の各コードを示すものである。
【0028】
図1に示す空気入りラジアルタイヤによれば、近年の、ラジアルタイヤの偏平化および度重なるタイヤ更生実施の下においても十分に耐え得る程度に、負荷転動時に生じるビード部の、タイヤ幅方向および周方向剪断歪みをともに十分に軽減し、ひいては優れたタイヤのビード部耐久性を実現することができる。
【0029】
なお、図1に示した例においては、チェーファ6とラジアルカーカス2との間に、弾性率が40GPa以上の本体側チェーファ7を配設したことにより、ラジアルカーカス2の本体部分の荷重時に生じる周方向変形を効果的に抑制することができ、結果的にチェーファ5,6の各端部とその周りに位置するゴムとのセパレーションを抑制し、タイヤビード部の剛性を一層高めることができる。
【0030】
図3は、この発明の他の実施の形態を示したものであり、この例は、図1に示す構造に加えて、ラジアルカーカス2の側部部分のタイヤ幅方向外側に、軟質緩衝ゴム8を配設したものであり、これにより、ラジアルカーカス2に生じた亀裂のチェーファ5,6への伝達を防止することができ、タイヤビード部の耐久性をさらに一層向上させることができる。
【0031】
図4は、この発明の他の実施の形態を示したものであり、この例は、図1に示す構造を前提に、図1におけるチェーファ6と本体側チェーファ7とを一体化させて一枚の広域チェーファ9で構成し、この広域チェーファ9をラジアルカーカス2の本体部分のタイヤ幅方向内側において、スティフナ3のタイヤ半径方向最外位置よりも外方に延在させたものである。
これによって、二枚のチェーファ等6,7で賄っていた態様を一枚の広域チェーファ9で賄い、タイヤ構造の簡素化、軽量化および製造コストの低減をそれぞれ実現することができる。
【0032】
図5は、この発明の他の実施の形態を示したものであり、この例は、図4に示す構造を前提に、さらに、広域チェーファ9を、ラジアルカーカス2の側部部分のタイヤ幅方向外側において分割して二枚のチェーファ9a,9bとしたものであり、これにより、分割したチェーファ9a,9b間においてコード配設角度等を適宜異ならせ、それらチェーファ9a,9b相互の剛性を目的に応じて相違させることができる。
【0033】
なお、分割位置で生じる剛性段差のため、上記分割位置で、チェーファ9a,9bとその回りに位置するゴムとのセパレーションの早期発生が懸念されるので、ラジアルカーカス2の側部部分のタイヤ幅方向外側での、チェーファ9の分割位置L´を、ラジアルカーカス2の側部部分の巻上げ端Lよりもタイヤ半径方向内方として、上記セパレーションを防止することが好ましい。また、分割位置L´は、上記範囲内であれば、ラジアルカーカス2の本体部分のタイヤ幅方向内側およびラジアルカーカス2の側部部分のタイヤ幅方向外側のいずれでもよく、また複数箇所設けてもよい。
【0034】
図6は、この発明の他の実施の形態を示したものであり、この例は、図1に示す構造を前提に、チェーファ5,6の、ラジアルカーカス2の側部部分のタイヤ幅方向外側でのタイヤ半径方向最外位置T1,T2の関係を、図1に示す例とは反対に設定したものである。このように、T1とT2との位置関係は変更することができ、また、チェーファ5,6のタイヤ幅方向外側に、さらに低剛性の保護チェーファ10(フィラメント弾性率が40GPa以下)を配設することで、高剛性チェーファ5,6の端部付近に発生する剪断歪みを抑制することができる。
【0035】
なお、この低剛性の保護チェーファ10は、高剛性チェーファ5,6のそれぞれの、タイヤ幅方向外側および内側の少なくとも一方側において、これらチェーファ5,6の端部位置T1,T2を越えてタイヤ半径方向上方に延在させることで、優れたタイヤビード部の耐久性が得られる。
【0036】
【実施例】
次に、出願人が実際に供試タイヤを作製し、タイヤビード部の耐久性に関する評価を行ったので、以下で説明する。
供試タイヤはすべて、タイヤサイズを285/60R22.5の重荷重用空気入りラジアルタイヤとし、比較例タイヤ1〜6および実施例タイヤ1〜9はいずれも、表1に示す各諸元を有するものとし、その他の構造については、通常の重荷重用空気入りラジアルタイヤと同様の構造を有するものとした。
表1に、各供試タイヤのチェーファ等に関する諸元を示す。
【0037】
【表1】
【0038】
なお、表中、各チェーファの諸元は、(高剛性チェーファか否か/コードを構成するフィラメントの弾性率(GPa)/コード一本当たりの曲げ剛性(GPa・mm 4 )と打込本数(本/mm)との積(GPa・mm 4 ・本/mm)/コードのタイヤ赤道面に対する延在角度(°)/参考図中の符号)をそれぞれ記載したものである。
【0039】
ここで、表中チェーファ等としたのは、場合によっては保護チェーファを含む趣旨であり、高剛性チェーファはH、低剛性チェーファはL、そしてコードのタイヤ赤道面に対する延在角度(°)は、タイヤの車両装着状態のタイヤ正面視で、タイヤ赤道面に対して右上がりの場合はR、左上がりの場合はLとし、RもしくはLの横に記載した数値はタイヤ赤道面との成す角度を示すものである。
【0040】
また、コード一本当たりの曲げ剛性(GPa・mm 4 )は、以下の式で表される。
ただし、Nは各チェーファ当りのフィラメント本数、 αはフィラメントの撚り角、 Eはフィラメントのヤング率、 Gは横弾性係数、 Iは断面2次モーメント(I=π/64×d4,Ip=π/32×d4,dはフィラメント直径)、そしてμfはフィラメントのポアソン比をそれぞれ示すものである。
【0041】
タイヤビード部の耐久性に関する評価は、最高空気圧を900kPaとし、適用リムを9.00×22.5とした条件の下で、最大負荷能力31.5kNの1.5倍の47.3kNの荷重を作用させ、半径1.7mのドラム試験機上を、ビード部が破壊するまで、時速60kmで走行させることにより行った。
【0042】
タイヤビード部の耐久性についての結果を表2に示す。ここで、当該耐久性についての評価数値は、比較例タイヤ1をコントロール(100)とした指数比であり、その値が大きいほど、優れた結果を示すものである。
【0043】
【表2】
【0044】
表2によれば、実施例タイヤ1〜9はいずれも、比較例タイヤ1〜6に比して、タイヤビード部の耐久性に関して優れた結果を示すことが判る。
【0045】
次に、出願人は、図1に示す構造の空気入りタイヤの、隣合うチェーファ同士のコード間交差角θ(°)を変化させた場合の、タイヤビード部の耐久性を調査したところ、図9に示す結果となり、この発明の請求項1で限定した50<θ<130(°)の範囲で優れた耐久性を示すことが判った。
なお、図9に示すタイヤビード部の耐久性は、隣合うチェーファ同士のコード間交差角θ(°)を50°とした場合をコントロール(100)として、指数評価したものである。
【0046】
また、出願人は、図1に示す構造の空気入りタイヤの、コード一本当たりの曲げ剛性(GPa・mm 4 )と打込本数(本/mm)との積(GPa・mm 4 ・本/mm)を変化させた場合の、タイヤビード部の耐久性を調査したところ、図10に示す結果となり、この発明の請求項1で限定した0.012〜0.62(GPa・mm 4 ・本/mm)の範囲で優れた耐久性を示すことが判った。
なお、図10に示すタイヤビード部の耐久性は、コード一本当たりの曲げ剛性(GPa・mm 4 )と打込本数(本/mm)との積(GPa・mm 4 ・本/mm)を0.012とした場合をコントロール(100)として、指数評価したものである。
【0047】
【発明の効果】
かくして、この発明によれば、タイヤビード部の耐久性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる空気入りラジアルタイヤのビード部の幅方向断面図である。
【図2】隣合うチェーファ同士のコード交差態様を示す図である。
【図3】この発明にかかる他の空気入りラジアルタイヤのビード部の幅方向断面図である。
【図4】この発明にかかる他の空気入りラジアルタイヤのビード部の幅方向断面図である。
【図5】この発明にかかる他の空気入りラジアルタイヤのビード部の幅方向断面図である。
【図6】この発明にかかる他の空気入りラジアルタイヤのビード部の幅方向断面図である。
【図7】従来の空気入りラジアルタイヤの一例を示す図である。
【図8】従来の空気入りラジアルタイヤの他の例を示す図である。
【図9】タイヤビード部の耐久性と、隣合うチェーファ同士のコード間交差角θ(°)との関係を示すグラフである。
【図10】タイヤビード部の耐久性と、コード一本当たりの曲げ剛性(GPa・mm 4 )と打込本数(本/mm)との積(GPa・mm 4 ・本/mm)との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ビードコア
2 ラジアルカーカス
3 スティフナ
4 ゴム層
5,6,9a,9b, チェーファ
7 本体側チェーファ
8 軟質緩衝ゴム
9 広域チェーファ
10 保護チェーファ
a,b コード
L ラジアルカーカス2の側部部分のタイヤ半径方向最外位置
L´ チェーファ9の分割位置L´
T1 チェーファ5の、ラジアルカーカス2の側部部分のタイヤ幅方向外側での、タイヤ半径方向最外位置
T2 チェーファ6の、ラジアルカーカス2の側部部分のタイヤ幅方向外側での、タイヤ半径方向最外位置
θ 隣合うチェーファ同士のコード間交差角[Title of the Invention] Pneumatic radial tire
[Claim of claim]
1. A radial carcass comprising at least one carcass ply which extends toroidally between bead cores disposed in a pair of bead portions and which has side portions wound back radially outward around the bead cores. A stiffener disposed between the main portion and the side portion of the radial carcass and adjacent to the outer peripheral surface of the bead core, and a rubber layer having rigidity lower than that of the stiffener disposed radially outward of the stiffener. In a pneumatic radial tire comprising
At least two pieces of rubber coated chafer with one direction of steel cord or organic fiber cord extended and arranged so as to enclose the radial carcassAndThe outermost position in the tire radial direction on the outer side in the tire width direction of the side portion of the radial carcass is made radially outward of the outermost position in the tire radial direction of the side portion of the radial carcass,
The steel cord or organic fiber cord constituting each chafer is formed by twisting a filament having an elastic modulus of 40 GPa or more, and the bending rigidity of the steel cord or organic fiber cord is 2 GPa.· Mm 4 The bending rigidity per cord of the relevant steel cord or organic fiber cord shall be· Mm 4 The product of) and the number of pins (pieces / mm)· Mm 4 -A pneumatic radial tire in which the cross angle between cords of adjacent chafers is 50 <θ <130 (°), with this being / mm).
2. The wide-area chafer in which one of the chafers is extended outward beyond the outermost position of the stiffener in the tire radial direction on the inner side in the tire width direction of the radial carcass main body portion. The pneumatic radial tire according to 1.
3. The pneumatic radial tire according to claim 2, wherein said wide area chafer is divided.
4. The pneumatically filled vehicle according to any one of claims 1 to 3, wherein a protective chafer having an elastic modulus of 40 GPa or less is disposed between the chafer and the carcass, or so as to enclose the chafer. Radial tire.
5. A pneumatic radial tire according to any one of claims 1 to 4, wherein a soft buffer rubber is disposed on the outer side in the tire width direction of the side portion of said radial carcass.
Detailed Description of the Invention
[0001]
Field of the Invention
The present invention relates to a pneumatic radial tire, and in particular, to improve the durability of a tire bead portion.
[0002]
[Prior Art]
In a pneumatic radial tire rolling under a load, a pair of sidewall portions positioned corresponding to the contact surface does not stop bending significantly, and a bead portion positioned outward in the tire radial direction than the rim flange The phenomenon of so-called bead portion falling down is also observed. Due to this phenomenon, near the winding end of the side portion of the radial carcass, a large shear strain is exerted in the tire width direction between the radial carcass and the rubber located around it, which degrades the durability of the tire. There is a concern that.
[0003]
In addition, at the time of load rolling of the pneumatic radial tire, a tire constituent member such as a carcass ply is provided at a portion extending from the bead portion to the sidewall portion, which is positioned corresponding to the tread surface, in particular, the tread portion and the kick portion. The deformation is observed substantially in the tire circumferential direction, and there is a concern that shear deformation occurs in the tire circumferential direction near the side portion of the radial carcass due to this deformation, which also degrades the durability of the tire.
[0004]
To address these concerns, in JP-A-8-225005, two or more types of stiffeners having different hardnesses are disposed from the bead portion to the side wheel portion to significantly reduce the above-mentioned tire width direction and circumferential direction shear strain. As a result, it has been proposed to realize the improvement of the durability of the tire bead portion, and in the application of Japanese Patent Application No. 9-171632, the shear strain in the circumferential direction of the tire is taken into consideration in consideration of the suppression of the stagnation of the bead portion. It has been proposed that the failure occurrence position based on the above be transferred from the winding end of the side portion of the radial carcass to the end of the chafer to realize the improvement of the bead portion durability of the tire.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
However, in recent years, even with pneumatic radial tires, as with other types of tires, flattening progresses, and so-called remediation practice tends to be performed frequently, so the input to the bead portion during load rolling is At present, the effect of the bead portion durability improving means of the above two examples is considerably increased compared to the prior art, and the effect is not sufficient at present. In particular, the reinforcement shown in Japanese Patent Application No. 9-171632 In the construction, problems still occur at the winding end of the side portion of the radial carcass, and it is a problem that the chafer does not adequately protect the main failure.
In particular, in the case of a flat large tire having a flatness of 60% or less, there is a serious problem that not only early deterioration of the new tire is caused but also the number of times of rebirth is reduced due to the bead portion failure.
[0006]
The present invention is intended to solve such problems of the prior art, and the object of the present invention is also in recent years under the flattening of radial tires and repeated tire reconstruction. An object of the present invention is to provide a pneumatic radial tire capable of sufficiently reducing both shear stress in the tire width direction and circumferential direction of the bead portion generated at the time of load rolling, and thus realizing excellent bead portion durability.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
According to the pneumatic radial tire of the present invention, at least one carcass ply which is toroidally extended between bead cores disposed in a pair of bead portions and in which side portions are wound radially outward around the bead cores. And a stiffener disposed adjacent to the outer circumferential surface of the bead core between the main portion and the side portion of the radial carcass, and stiffer than the stiffener disposed radially outward of the stiffener. And at least two of the rubber-coated chafers having a steel cord or an organic fiber cord extending in one direction so as to enclose the radial carcass.AndThe steel radially outward of the tire radial direction outermost position of the side portion of the radial carcass in the tire radial direction outer position on the tire width direction outer side of the side portion of the radial carcass and constituting steels constituting each chafer The cord or organic fiber cord is formed by twisting a filament having an elastic modulus of 40 GPa or more, and the bending rigidity of the above-mentioned steel cord or organic fiber cord is 2 GPa· Mm 4 The bending rigidity per cord of the relevant steel cord or organic fiber cord shall be· Mm 4 The product of) and the number of pins (pieces / mm)· Mm 4 It is assumed that the cross angle between cords of adjacent chafers is 50 <θ <130 (°).
Here, the elastic modulus of the filament refers to the elastic modulus of a single untwisted filament.
[0008]
Generally, when a radial tire in a rim-assembled state is filled with internal pressure, the internal pressure causes the rubber in the portion sandwiched by the winding end of the side portion of the radial carcass and the rim flange to The reaction force causes a compressive force, but since the rubber is incompressible, the rubber in the above part moves outward in the tire radial direction than the rim flange tip, and then moves outward in the tire width direction .
[0009]
On the other hand, since the radial carcass reinforced by the cord is difficult to be deformed even by receiving the reaction force by the internal pressure, the tire width between the winding end of the side portion of the radial carcass and the rubber of the above portion Directional shear distortion will occur.
[0010]
The shear strain in the widthwise direction of the tire becomes particularly large at the time of tire load rolling. According to the present invention, a highly rigid steel cord or an organic fiber cord formed by twisting filaments having an elastic modulus of 40 GPa or more At least two of the extended and rubber-coated chafers are disposed so as to enclose the radial carcass, and the outermost positions in the tire radial direction on the outer side in the tire width direction of the side portions of the radial carcass of the chafers Since the cords of the chafers adjacent to each other are made to intersect with each other at the outer side of the tire radial direction outermost position of the side portion of the radial carcass, and of the chafers located on the tire width direction outer side of the winding end, The rubber located on the outer side in the tire width direction absorbs the compression force, and this compression force is applied to the side portion of the radial carcass. The raised end and the rubber around it can be prevented from affecting, so that between the winding end of the side portion of the radial carcass and the rubber located on the outer side in the tire width direction, It is possible to prevent the occurrence of shear strain in the tire width direction, and thus to realize the durability of the bead portion that can withstand recent tire flattening and retreading.
[0011]
Also, in this pneumatic radial tire, according to the above aspect, by arranging at least two high rigidity chafers, conventionally, at the time of load rolling, the positions corresponding to each of the tread portion and the kicking portion particularly of the contact surface. Deformation in the tire circumferential direction of a tire component such as a carcass ply and the like seen from the bead portion to the sidewall portion, and therefore circumferential shear strain in the vicinity of the side portion of the radial carcass In addition, durability of the bead portion that can withstand recent tire flattening and retreading can be realized.
[0012]
In the present invention, when two chafers composed of commonly used organic fiber cords are stacked and the cords are crossed between the chafers, the circumferential shear strain of the tire is greater than that in the case where the conventional chafer is not disposed. In order to exhibit this effect, it is necessary to make the elastic modulus of the filaments that make up the chafer cord at least 40 GPa or more, and to be adjacent to each other. The inter-cord crossing angle θ between the chafers is made in view of the need to satisfy 50 <θ <130 (°).
[0013]
In the present invention, the steel cord or organic fiber cord constituting each chafer is formed by twisting the filaments, and the bending rigidity per one piece of the steel cord or organic fiber cord is 2 GPa· Mm 4 By setting the following, it becomes easy for the chafer to follow the deformation of the rubber located on the outer side in the tire width direction, whereby the tire width direction and the tire generated between the chafer and the rubber located on the outer side in the tire width direction Both circumferential shear strain can be suppressed, separation of the end of the tuffer and the rubber positioned around it can be prevented, and excellent bead bead rigidity can be realized.
[0014]
In addition to the bending rigidity per cord described above, the present invention can sufficiently exhibit the above-mentioned effects and the bending rigidity per cord of the steel cord or the organic fiber cord (GPa· Mm 4 The product of) and the number of pins (pieces / mm)· Mm 4 -It is made in view of the need to set it as book / mm).
[0015]
In such a pneumatic radial tire, more preferably, one of the chafers is extended to the inside in the tire width direction of the main portion of the radial carcass, for example, a wide area chafer extended to near the outermost position in the tire radial direction of the stiffener. I assume.
[0016]
As the arrangement of the conventional chafer, the arrangement from the outer side in the tire width direction of the side portion of the radial carcass to the outer side in the tire radial direction of the stiffener on the inner side in the tire width direction of the main portion of the radial carcass According to the present invention, the arrangement form from the inner side in the tire width direction of the main portion of the radial carcass to the vicinity of the winding end of the radial carcass on the outer side in the tire width direction of the side portion of the radial carcass is general. By combining two conventional chafers, it is possible to realize the simplification of the tire structure, the weight reduction and the reduction of the manufacturing cost by combining the two arrangement modes with one arrangement mode.
[0017]
In such an integrated structure of chafers, wide area chafers can be divided.
In this case, the cord arrangement angle and the like may be appropriately changed between the plurality of divided chafers, and the rigidity of the chafers may be different according to the purpose. In the division position, there is a concern about the early occurrence of separation between the chafer and the rubber located around it. Therefore, the division position is referred to as the side portion of the radial carcass in the tire width direction outside of the side portion of the radial carcass. It is preferable to prevent the separation as being inward of the tire radial direction than the winding end.
[0018]
In addition, as long as the division position is within the above range, either the tire width direction inner side of the main portion of the radial carcass or the tire width direction outer side of the side portion of the radial carcass may be provided.
[0019]
Also preferably, a protective chafer with a modulus of 40 GPa or less is disposed between the chafer and the carcass, or so as to enclose the chafer.
According to this, it is possible to suppress separation of the end portion of the chafer and the rubber located around it, and to further enhance the rigidity of the bead portion of the tire.
[0020]
And preferably, the soft buffer rubber is disposed on the outer side in the tire width direction of the side portion of the radial carcass.
Here, in order to dispose the soft buffer rubber, the cross-sectional shape in the tire width direction of the side portion of the radial carcass may be substantially linear, or may be a bent or curved shape.
[0021]
When a chafer is disposed on the outer side in the tire width direction of the side portion of the radial carcass, a crack generated in the radial carcass is likely to reach the chafer. According to such a pneumatic radial tire, according to such a pneumatic radial tire, By disposing the soft buffer rubber on the outer side in the tire width direction, it is possible to prevent the transmission of cracks to the chafer, and the durability of the tire bead portion can be further improved.
[0022]
Moreover, such a soft buffer rubber not only prevents the transmission of the above-mentioned crack, but is applied to the rubber of the portion pinched by the winding end of the side portion of the radial carcass and the rim flange by the internal pressure and its reaction force. The compressive force is relieved to suppress lateral shear strain between the winding end of the side portion of the radial carcass and the rubber of the portion, which also further enhances the durability of the tire bead. It can be improved.
[0023]
In addition, it is desirable to reduce the hardness of the soft buffer rubber relative to the hardness of the rubber covering the cords of the radial carcass in the relaxation of the above-mentioned compressive force, and the rubber quality is made the same as the sidewall rubber or stiffener. It is preferable from the viewpoint of production economy to prevent the increase in the type of rubber used.
[0024]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described based on the drawings.
FIG. 1 is a partial cross-sectional view in the tire width direction showing an embodiment of the present invention, in which 1 is a bead core, 2 is a radial carcass, 3 is a stiffener, 4 is a rubber layer, 5 and 6 is a chafer, 7 is It is a body side chafer of the radial carcass.
[0025]
Here, between the bead cores 1 disposed in the pair of bead portions (only one side is shown in FIG. 1), the radial carcass 2 consisting of at least one sheet of carcass ply in the drawing is toroidally extended, The stiffener 3 is wound radially outward around the bead core 1, and the stiffener 3 is disposed between the main portion and the side portion of the radial carcass 2 adjacent to the outer peripheral surface of the bead core 1. A rubber layer 4 having a rigidity lower than that of the stiffener 3 is disposed outward in the tire radial direction.
[0026]
Here, at least two of the rubber-coated chafers, two chafers 5 and 6 in the figure, are disposed so as to enclose the radial carcass 2 by extending a steel cord or an organic fiber cord in one direction, And both of the tire radial direction outermost positions T1 and T2 at the tire width direction outer side of the side portion of the radial carcass 2 are both outer than the tire radial direction outermost position L of the side portions of the radial carcass 2 in the tire radial direction The steel cords or organic fiber cords constituting each chafer 5, 6 are formed by twisting a filament having an elastic modulus of 40 GPa or more, and the bending rigidity of the steel cord or organic fiber cord is 2 GPa.· Mm 4 The bending rigidity per steel cord or organic fiber cord (GPa· Mm 4 The product of) and the number of pins (pieces / mm)· Mm 4 It is assumed that the cross angle between codes of adjacent chafers is 50 <θ <130 (°).
[0027]
The inter-cord crossing angle θ of the adjacent chafers means θ shown in FIG. 2, and a and b in FIG. 2 indicate the respective cords of the adjacent chafers.
[0028]
According to the pneumatic radial tire shown in FIG. 1, the tire width direction and the bead portion of the bead portion produced at the time of rolling under load can be sufficiently resisted even under recent flattening and repeated tire rebuilding of the radial tire. Both circumferential shear strains can be sufficiently reduced, and in turn excellent bead bead durability can be realized.
[0029]
In the example shown in FIG. 1, by arranging the body-side chafer 7 having an elastic modulus of 40 GPa or more between the chafer 6 and the radial carcass 2, the circumference generated when the body portion of the radial carcass 2 is loaded Directional deformation can be effectively suppressed, and as a result, separation between each end of the chafers 5 and 6 and the rubber positioned therearound can be suppressed, and the rigidity of the tire bead can be further enhanced.
[0030]
FIG. 3 shows another embodiment of the present invention. In this embodiment, in addition to the structure shown in FIG. 1, the soft buffer rubber 8 is provided on the lateral side of the radial carcass 2 in the tire width direction. Thus, it is possible to prevent the transmission of cracks generated in the radial carcass 2 to the chafers 5 and 6 and to further improve the durability of the tire bead portion.
[0031]
FIG. 4 shows another embodiment of the present invention. In this example, assuming the structure shown in FIG. 1, the chafer 6 and the body-side chafer 7 in FIG. In the tire width direction inside of the main portion of the radial carcass 2, the wide area chafer 9 is extended outward beyond the outermost position of the stiffener 3 in the tire radial direction.
By this, it is possible to realize the simplification of the tire structure, the weight reduction, and the reduction of the manufacturing cost, by covering the aspect which is covered by two chafers 6 and 7 with one wide-area chafer 9.
[0032]
FIG. 5 shows another embodiment of the present invention, which is based on the structure shown in FIG. 4 and further includes a wide area chafer 9 and a tire width direction of a side portion of the radial carcass 2. The outer side is divided into two chafers 9a and 9b, whereby the cord arrangement angle etc. is appropriately made different between the divided chafers 9a and 9b, and the rigidity between the chafers 9a and 9b is intended. It can be made different accordingly.
[0033]
It should be noted that there is a concern that early separation of the chafers 9a and 9b and the rubber located therearound may occur at the dividing position due to the rigid step caused at the dividing position, so the tire width direction of the side portion of the radial carcass 2 It is preferable to prevent the separation by setting the dividing position L ′ of the chafer 9 at the outer side inward in the tire radial direction than the winding end L of the side portion of the radial carcass 2. In addition, as long as the division position L 'is within the above range, it may be either inside the tire width direction of the main portion of the radial carcass 2 or outside the tire width direction of the side portion of the radial carcass 2, Good.
[0034]
FIG. 6 shows another embodiment of the present invention, and this example is based on the structure shown in FIG. 1 and is the widthwise outer side of the side portions of the radial carcass 2 of the chafers 5 and 6. The relationship between the tire radial direction outermost positions T1 and T2 in the above is set opposite to the example shown in FIG. Thus, the positional relationship between T1 and T2 can be changed, and a protective chafer 10 (having a filament elastic modulus of 40 GPa or less) of lower rigidity is disposed on the outer side in the tire width direction of chafers 5 and 6 Thus, it is possible to suppress the shear strain generated near the ends of the high rigidity chafers 5 and 6.
[0035]
The low-rigidity protective chafer 10 has tire radiuses beyond the end positions T1, T2 of the chafers 5, 6 on at least one side of the high-rigid chafers 5, 6 on the outer side and the inner side in the tire width direction. By extending the direction upward, excellent tire bead durability can be obtained.
[0036]
【Example】
Next, the applicant actually produced a test tire and evaluated the durability of the tire bead portion, which will be described below.
All of the test tires have a tire size of 285 / 60R22.5 for a heavy load pneumatic radial tire, and each of the comparative example tires 1 to 6 and the example tires 1 to 9 has each specification shown in Table 1 The other structure is the same as that of a normal heavy duty pneumatic radial tire.
Table 1 shows specifications of chafers and the like of each test tire.
[0037]
[Table 1]
[0038]
In the table, the specifications of each chafer are (whether or not it is a high rigidity chafer / elastic modulus (GPa) of a filament constituting the cord / flexural rigidity (GPa per cord)· Mm 4 Product (GPa) with the number of implants (pieces / mm)· Mm 4 · This describes the extension angle (°) of the book / mm) / cord to the tire equatorial plane / symbol in the reference drawing).
[0039]
Here, the term “Chafer, etc.” in the table means that in some cases, a protective chafer is included, the high rigidity chafer is H, the low rigidity chafer is L, and the extension angle (°) of the cord with respect to the tire equatorial plane is In the front view of the tire mounted on the tire, R is upward if it is upward to the right of the tire equatorial plane, L if it is upward to the left, and the numerical value written on the side of R or L is the angle between the tire and the equatorial plane. It is shown.
[0040]
Also, bending stiffness per cord (GPa· Mm 4 ) Is represented by the following formula.
Where N is the number of filaments per chafer, α is the twist angle of the filament, E is the Young's modulus of the filament, G is the transverse elastic modulus, I is the second moment of area (I = π / 64 × d4, Ip= Π / 32 × d4, D is the filament diameter), and μfIndicates the Poisson's ratio of the filament, respectively.
[0041]
The evaluation on the durability of the tire bead part is 47.3kN load which is 1.5 times the maximum load capacity 31.5kN under the condition that the maximum air pressure is 900kPa and the applied rim is 9.00 x 22.5. The test was conducted by running at a speed of 60 km / h until the bead portion was broken on a drum tester having a radius of 1.7 m.
[0042]
The results for the durability of the tire bead are shown in Table 2. Here, the evaluation value for the durability is an index ratio with Comparative Example tire 1 as a control (100), and the larger the value, the better the result.
[0043]
【Table 2】
[0044]
According to Table 2, it can be seen that all of the example tires 1 to 9 show excellent results regarding the durability of the tire bead portion as compared with the comparative example tires 1 to 6.
[0045]
Next, the applicant examined the durability of the tire bead portion in the case of changing the crossing angle θ (°) between cords of adjacent chafers of the pneumatic tire having the structure shown in FIG. As a result shown in 9, it was found that excellent durability was shown in the range of 50 <θ <130 (°) limited in claim 1 of the present invention.
The durability of the tire bead portion shown in FIG. 9 is evaluated by index evaluation with the case where the cord-to-cord crossing angle θ (°) between adjacent chaffers is 50 ° as a control (100).
[0046]
In addition, the applicant has also found that the bending rigidity per cord (GPa) of the pneumatic tire having the structure shown in FIG.· Mm 4 Product (GPa) with the number of implants (pieces / mm)· Mm 4 -When the durability of the tire bead portion was investigated in the case of changing this / mm, the result shown in FIG. 10 is obtained, and the range of 0.012 to 0.62 (GPa defined in claim 1 of the present invention) is obtained.· Mm 4 -It turned out that the outstanding durability is shown in the range of this / mm).
The durability of the tire bead shown in FIG. 10 is determined by the bending rigidity (GPa per cord).· Mm 4 Product (GPa) with the number of implants (pieces / mm)· Mm 4 The index evaluation is performed with the case where the number of book / mm) is set to 0.012 as a control (100).
[0047]
【Effect of the invention】
Thus, according to the present invention, the durability of the tire bead portion can be improved.
Brief Description of the Drawings
FIG. 1 is a widthwise sectional view of a bead portion of a pneumatic radial tire according to the present invention.
FIG. 2 is a view showing a code crossing mode of adjacent chafers;
FIG. 3 is a widthwise cross-sectional view of a bead portion of another pneumatic radial tire according to the present invention.
FIG. 4 is a widthwise cross-sectional view of a bead portion of another pneumatic radial tire according to the present invention.
FIG. 5 is a widthwise cross-sectional view of the bead portion of another pneumatic radial tire according to the present invention.
FIG. 6 is a widthwise cross-sectional view of a bead portion of another pneumatic radial tire according to the present invention.
FIG. 7 is a view showing an example of a conventional pneumatic radial tire.
FIG. 8 is a view showing another example of a conventional pneumatic radial tire.
FIG. 9 is a graph showing the relationship between the durability of the tire bead portion and the cord cross angle θ (°) between adjacent chafers.
[Fig. 10] Durability of tire bead and bending rigidity per cord (GPa· Mm 4 Product (GPa) with the number of implants (pieces / mm)· Mm 4 -It is a graph which shows a relation with a book / mm).
[Description of the code]
1 bead core
2 radial carcass
3 stiffener
4 rubber layer
5,6,9a, 9b, chafer
7 Body side chafer
8 Soft buffer rubber
9 Wide area chafer
10 protection chafer
a, b code
L Radial outermost position of the side part of the radial carcass 2
L 'Division position of the chafer 9 L'
T1The tire radial direction outermost position on the tire width direction outer side of the side portion of the radial carcass 2 of the chafer 5
T2The tire radial direction outermost position on the tire width direction outer side of the side portion of the radial carcass 2 of the chafer 6
Inter-cord crossing angle between adjacent chafers