JP2003087899A - 音響処理装置 - Google Patents

音響処理装置

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JP2003087899A
JP2003087899A JP2001276380A JP2001276380A JP2003087899A JP 2003087899 A JP2003087899 A JP 2003087899A JP 2001276380 A JP2001276380 A JP 2001276380A JP 2001276380 A JP2001276380 A JP 2001276380A JP 2003087899 A JP2003087899 A JP 2003087899A
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JP2001276380A
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Kohei Asada
宏平 浅田
Tetsunori Itabashi
徹徳 板橋
Kenji Nakano
健司 中野
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 聴取者が自己の体を横にするようにしている
場合において用いることが好適な音響処理装置であっ
て、良好に音声を聴取することが可能な状態となるよう
にした音響処理装置を提供する。 【解決手段】 枕部3にスピーカSL、SRを設ける。
スピーカSL、SRに対して、枕部3に乗せられること
になる聴取者の頭部の位置が、常に所定の位置となるよ
うに頭部保持部31によって導き、枕部上に保持するよ
うにする。スピーカSL、SRに供給される音声信号
は、音像定位処理部によって音像定位処理を施し、さら
に補正処理部によって補正を施す。これにより、聴取者
に対して、枕部3のスピーカSL、SRから放音される
音声を常に良好に、かつ、違和感や聞き疲れを感じさせ
ることなく聴取できるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば、使用者
が体を起こしている状態ではなく、体を横にするように
している場合において用いる場合に好適な音響処理装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】音楽を鑑賞する場合などにおける聴取者
の聴取態様を考慮し、例えば、枕や背もたれ部分の角度
の調整が可能ないわゆるリクライニングチェアーのヘッ
ドレスト(頭部支持部分)に、例えば左右2チャンネル
のスピーカを設けるようにしたものが提供されている。
【0003】このように、枕やヘッドレスト部分にスピ
ーカを設けることにより、聴取者の体が重力方向と交差
する横になった状態にあるときに、聴取者の体をよりリ
ラックスしやすい状態を保ちながら、その聴取者の耳の
近傍において高品位の音声を放音して、聴取者に提供す
ることができるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、枕やヘッド
レストにスピーカを設けた場合、聴取者の耳の近傍にお
いて高品位の音声を放音することができるものの、聴取
者の耳の後ろ側から直接音声が聞こえるために、聴取者
の意識が聴取者の後方に惹かれ、聴取する音楽によって
は、違和感を感じたり、いわゆる聞き疲れが生じたりす
る場合がある。
【0005】また、聴取者は、スピーカが設けられた枕
やヘッドレストの上であれば、基本的にどこにでも自己
の頭部を乗せることができる。したがって、スピーカが
設けられた枕やヘッドレストを使用する時々において、
スピーカと聴取者の耳との位置関係がまちまちとなる。
【0006】このため、枕やヘッドレストに設けられた
スピーカから放音される音声を良好に聴取するために、
枕やヘッドレスト上における聴取者の頭部の位置を定め
るのに時間がかかる場合がある。しかし、枕やヘッドレ
スト上における聴取者の頭部の位置を所定の位置に強制
的に保つようにすることは、かえってリラックス効果を
阻害してしまうと考えられる。
【0007】以上のことにかんがみ、この発明は、聴取
者が自己の体を横にするようにしている場合において用
いることが好適な音響処理装置であって、良好に音声を
聴取することが可能な状態となる位置に聴取者の頭部を
導くとともに、常に違和感なく音声の聴取が可能なよう
にした音響処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1に記載の発明の音響処理装置は、スピーカ
が設けられるとともに、聴取者の頭部が乗せられたとき
に、前記スピーカに対する当該聴取者の頭部の位置を所
定の位置に保持するようにするための頭部保持部が設け
られた枕部と、前記スピーカに供給するようにする音声
信号の供給を受けて、前記音声信号による音声の音像を
所定の位置に定位させるようにする音像定位処理部と、
前記音像定位処理部からの音声信号に対して、前記枕部
に聴取者の頭部が置かれときの前記スピーカと前記聴取
者の頭部との位置に応じた補正処理を行なう補正処理部
とを備えることを特徴とする。
【0009】この請求項1に記載の音響処理装置によれ
ば、枕部にはスピーカが設けられている。このスピーカ
に対して、当該枕部に乗せられることになる聴取者の頭
部の位置が、常に所定の位置となるように頭部保持部に
よって導かれ、枕部上に保持するようにされる。
【0010】そして、枕部のスピーカに供給される音声
信号は、音像定位処理部によって、実際にスピーカのあ
る位置からではなく、例えば、聴取者の前方方向の所定
の位置など、予め決められた位置から音声が聞こえるよ
うに音像定位処理され、さらに補正処理部によって、当
該音響処理装置が用いられる音場における伝達関数をも
考慮して、より正確に所定の位置に音像を定位させるよ
うにするための補正が施されたものである。
【0011】これにより、聴取者は、枕部のスピーカか
ら放音される音声を常に良好に、かつ、違和感を感じる
こともなく聴取することができるようにされる。また、
聴取者の頭部は、自然に所定の位置に導かれ、その位置
が保持するようにされるので、スピーカに対する聴取者
の頭部の位置がまちまちとなることにより聴取環境が不
安定になってしまうことを防止することができる。
【0012】また、請求項2に記載の発明の音響処理装
置は、請求項1に記載の音響処理装置であって、前記ス
ピーカは、前記枕部に聴取者の頭部が乗せられたとき
に、前記聴取者の左右それぞれの耳の近傍となる位置に
少なくとも1つづつ設けられるものであり、前記音像定
位処理部と前記補正処理部とは、左右2チャンネル以上
の音声信号を処理して、前記スピーカのそれぞれに対応
する音声信号を供給することが可能であることを特徴と
する。
【0013】この請求項2に記載の音響処理装置によれ
ば、枕部には、左右2チャンネルのスピーカが設けら
れ、音像定位処理部と補正処理部とにおいては、2チャ
ンネル以上の音声信号が処理することができるようにさ
れている。これにより、2チャンネル以上の音声信号、
例えば、DVD(Digital Versatile
Disk)などのマルチチャンネルの音声信号をも処理
して、違和感なく、良好に聴取することができるように
される。
【0014】また、請求項3に記載の発明の音響処理装
置は、請求項1、または、請求項2に記載の音響再生装
置であって、前記枕部に聴取者が頭部を乗せたときに、
当該視聴者により観視可能となる位置に映像を表示する
ための映像表示部を設け、前記映像表示部に表示する映
像に対応付けられた音声信号を前記音像定位処理部に供
給することにより、前記映像表示部に表示される映像に
対応する音声の放音を可能にする。
【0015】この請求項3に記載の音響処理装置によれ
ば、音響再生装置は、例えば、映像を表示するためのス
クリーンとプロジェクタ、液晶ディスプレイやプラズマ
ディスプレイなどの種々の映像表示部とともに用いられ
る。これにより、映像表示部に映出される映像ととも
に、当該映像に対応する音声をも、違和感なく、かつ、
良好に聴取し、楽しむことができるようにされる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図を参照しながら、この発
明による音響処理装置の一実施の形態について説明す
る。以下に説明する実施の形態の音響処理装置は、聴取
者が、主に仰向けに横になった状態(仰向けに寝た状
態)で使用するものである。
【0017】[第1の実施の形態]図1は、この発明に
よる音響処理装置の第1の実施の形態を説明するための
ブロック図である。この第1の実施の形態の音響処理装
置は、左右2チャンネルの音声信号を処理することがで
きるものである。
【0018】図1において、ディスク100は、2チャ
ンネルの音声信号を提供するもの(2ch音源(chは
チャンネル略称))である。このディスク100から再
生された左右2チャンネルの音声信号が、この図1に示
す第1の実施の形態の音響処理装置に供給される。
【0019】そして、この第1の実施の形態の音響処理
装置は、図1に示すように、2ch音源であるディスク
100からの左チャンネルの音声信号の供給を受け付け
る左チャンネル入力端子Linと、右チャンネルの音声
信号の供給を受け付ける右チャンネル入力端子Rinと
を有するとともに、大きく分けると、音像定位処理フィ
ルタ部1と、トランスオーラルシステムフィルタ部2
と、枕部3を備えたものである。
【0020】枕部3は、図1に示すように、左右2チャ
ンネルのスピーカとして、左スピーカ(左チャンネルス
ピーカ)SLと右スピーカ(右チャンネルスピーカ)S
Rとを備えるとともに、このスピーカに対して、当該枕
部3に乗せられる聴取者(ユーザ)の頭部を枕部3上の
所定の位置に導くとともに、その頭部の位置を保持する
ことができるようにする頭部保持部31としての窪みを
設けたものである。
【0021】すなわち、この枕部3は、図6、図7を用
いて後述もするように、聴取者が枕部3に自己の頭部を
乗せ、重力方向と交差するように聴取者の体が横になっ
た状態で用いられるものであり、図1に示すように、聴
取者が主に仰向けに横になった状態(仰向けに寝た状
態)で用いられるものである。
【0022】そして、この第1の実施の形態の音響処理
装置においては、音声の定位を実際に固定されたスピー
カの位置から、仮想的なスピーカの位置にずらすように
することによって、音が聴取者の後頭部付近や聴取者の
耳の後方から聞こえることによる違和感、不快感を除去
するようにしている。
【0023】すなわち、この第1の実施の形態において
は、音像定位処理フィルタ部1、トランスオーラルシス
テムフィルタ部2とにより、枕部3の左スピーカSLと
右スピーカSRから放音される音声を、図1において点
線で示す左仮想スピーカVSL、右仮想スピーカVSR
の位置から放音されたように聞こえるようにする。
【0024】この第1の実施の形態においては、仮想ス
ピーカVSL、VSRは、左スピーカSL、右スピーカ
SRから放音される音声を定位させる仮想位置を特定す
るために、枕部3に頭部を乗せて仰向けに横になってい
る聴取者の前方方向(天井方向)の所定の位置に仮想的
に設定するようにしたものである。
【0025】このように、枕部3の左スピーカSLと右
スピーカSRから放音される音声の音像を、左右の仮想
スピーカVSL、VSRが示す位置から放音されたよう
に定位させることにより、音が聴取者の後頭部付近や聴
取者の耳の後方から聞こえることによる違和感、不快感
を除去し、自然な音声として聴取者が聴取できるように
している。
【0026】以下、この第1の実施の形態の音響処理装
置の各部について詳細に説明する。まず、音像定位処理
フィルタ部1を説明するに当たり、音像定位処理の原理
について説明する。図2は、音像定位処理の原理を説明
するための図である。
【0027】図2に示すように、所定の再生音場におい
て、ダミーヘッドDHの位置を聴取者の位置とし、この
ダミーヘッドDHの位置の聴取者に対して、音像を定位
させようとする左右の仮想スピーカ位置(スピーカがあ
るとものと想定する位置)に実際に左実スピーカSP
L、右実スピーカSLRを設置する。そして、左実スピ
ーカSPL、右実スピーカSPRから放音される音声の
ダミーヘッドDHの両耳までの伝達関数(HRTF)を
予め測定しておく。
【0028】図2に示すように、この第1の実施の形態
において、左実スピーカSPLからダミーヘッドDHの
左耳までの音声の伝達関数はM11であり、左実スピー
カSPLからダミーヘッドDHの右耳までの音声の伝達
関数はM12である。同様に、右実スピーカSPRから
ダミーヘッドDHの左耳までの音声の伝達関数はM21
であり、右実スピーカSPRからダミーヘッドDHの右
耳までの音声の伝達関数はM22である。
【0029】そして、図1の枕部3において説明したよ
うに、聴取者の耳の近傍に位置することになる枕部3の
スピーカSL、SRから放音する音声の音声信号につい
て、上述のようにして予め測定した伝達関数を用いて処
理し、その処理後の音声信号による音声を放音するよう
にする。
【0030】これにより、枕部3のスピーカSL、SR
から放音される音声が、あたかも仮想スピーカ位置(図
1の場合には、仮想スピーカVSL、VSRの位置から
音声が放音されているように聴取者が感じるように、枕
部3のスピーカSL、SRから放音される音声の音像を
定位させることができる。
【0031】このように、音像を定位させるために、予
め測定した音声の伝達関数による処理を行なう部分が、
図1に示す音像定位処理フィルタ部1である。この実施
の形態の音像定位フィルタ処理部1は、左右2チャンネ
ルの音声信号を処理することができるものであり、図1
に示すように、4つのフィルタ11、12、13、14
と、2つの加算回路15、16からなるものである。
【0032】フィルタ11は、左入力端子Linを通じ
て供給を受けた左チャンネルの音声信号を伝達関数M1
1で処理するものであり、処理後の音声信号を左チャン
ネル用の加算回路15に供給する。また、フィルタ12
は、左入力端子Linを通じて供給を受けた左チャンネ
ルの音声信号を伝達関数M12で処理するものであり、
処理後の音声信号を右チャンネル用の加算回路16に供
給する。
【0033】また、フィルタ21は、右入力端Rinを
通じて供給を受けた右チャンネルの音声信号を伝達関数
M21で処理するものであり、処理後の音声信号を左チ
ャンネル用の加算回路15に供給する。また、フィルタ
22は、右入力端子Rinを通じて供給を受けた右チャ
ンネルの音声信号を伝達関数M22で処理するものであ
り、処理後の音声信号を右チャンネル用の加算回路16
に供給する。
【0034】これにより、左チャンネル用の加算回路1
5からの出力音声信号による音声は、図1において左仮
想スピーカVSLから放音されるように音像が定位する
ようにされ、右チャンネル用の加算回路16からの出力
音声信号による音声は、図1において右仮想スピーカV
SRから放音されるように音像が定位するようにされ
る。
【0035】しかし、枕部3に設けられた左スピーカS
L、右スピーカSRから放音される音声は、音像定位処
理が施されていても、図1に示すように、実際の再生音
場における伝達関数G11、G12、G21、G22の
影響を受けて、再生音声の音像を目的とする仮想スピー
カ位置に正確に定位させることができない場合があると
考えられる。
【0036】そこで、この第1の実施の形態において
は、トランスオーラルシステムフィルタ部2を用いて、
音像定位処理フィルタ部1からの音声信号に対して補正
処理を行なうようにすることで、左スピーカSL、右ス
ピーカSRから放音される音声による音像を、正確に仮
想スピーカ位置の左右の仮想スピーカVSL、VSRか
ら放音されたようにする。
【0037】トランスオーラルシステムフィルタ部2
は、トランスオーラルシステムが適用されて形成された
音声フィルタである。トランスオーラルシステムは、ヘ
ッドホンを用い音声を厳密に再生するようにする方式で
あるバイノーラルシステム方式と同様の効果を、スピー
カを用いた場合にも実現しようとする技術である。
【0038】トランスオーラルシステムについて、図1
の場合を例にして簡単に説明すると、左スピーカSL、
右スピーカSRから放音される音声について、それぞれ
のスピーカから放音される音声の聴取者の左右それぞれ
の耳までの伝達関数G11、G12、G13、G14の
影響を除去することにより、左スピーカSL、右スピー
カSRから放音された音声の音像を正確に仮想スピーカ
位置に定位させることができるようにするものである。
【0039】そこで、トランスオーラルシステムフィル
タ部2は、左スピーカSL、右スピーカSRから聴取者
の左右の耳までの伝達関数G11、G12、G13、G
14の逆関数に応じて音声信号を処理するフィルタ2
1、22,23、24と、加算回路25、26を備えた
ものである。なお、この第1の実施の形態において、フ
ィルタ21、22,23、24においては、逆フィルタ
特性をも考慮した処理を行ないより自然な再生音声を放
音できるようにしている。
【0040】そして、音像定位処理フィルタ部1の左チ
ャンネル用の加算回路15からの出力信号は、トランス
オーラルシステムフィルタ部2の左チャンネル用のフィ
ルタ21と、右チャンネル用のフィルタ22とに供給さ
れ、また、音像定位処理フィルタ部1の右チャンネル用
の加算回路16からの出力信号は、トランスオーラルシ
ステムフィルタ部2の左チャンネル用のフィルタ23
と、右チャンネル用のフィルタ24とに供給される。
【0041】各フィルタ21、22、23、24におい
ては、対応する伝達関数G11、G12、G13、G1
4の逆関数、および、逆フィルタ特性をも考慮した関数
H11、H12、H21、H22を用いて供給された音
声信号を処理する。そして、フィルタ21からの出力
は、左チャンネル用の加算回路25に供給され、フィル
タ22からの出力は、右チャンネル用の加算回路26に
供給される。同様に、フィルタ23からの出力は、左チ
ャンネル用の加算回路25に供給され、フィルタ24か
らの出力は、右チャンネル用の加算回路26に供給され
る。
【0042】そして、各加算回路25、26は、これら
に供給された音声信号を加算し、加算回路25は、左ス
ピーカSLに音声信号を供給し、加算回路26は、右ス
ピーカSRに音声信号を供給する。これにより、枕部3
のスピーカSL、SRから放音される音声は、図1に示
す伝達関数G11、G12、G13、G14の影響が除
去され、その音像が正確に左仮想スピーカVSL、右仮
想スピーカVLRの位置に定位させることができるよう
にしている。
【0043】これにより、枕部3に頭部を乗せて仰向け
に横になった聴取者は、枕部3のスピーカSL、SRか
ら放音される音声を仮想スピーカVSL、VSRから放
音されたように聴取することができるようにされる。
【0044】したがって、聴取者の頭部の斜め後ろ側に
位置する左スピーカSL、右スピーカSRから放音され
る音声を聴取するにもかかわらず、音声は聴取者の前方
方向から聞こえてくるようにされるので、左スピーカS
L、右スピーカSRから放音される音声が聴取者の後ろ
側に張り付いて聞こえるなどの違和感や不快感を感じさ
せずに、良好に音声を聴取できるようにすることができ
る。
【0045】また、図1に示したように、枕部3には、
頭部保持部31としての窪みが設けられており、この頭
部保持部31により、枕部3上に聴取者が頭部を乗せる
と、聴取者の頭部の位置は、スピーカSL、SRに対し
て常に同じ位置になるように導かれ、スピーカSL、S
Rに対する聴取者の頭部の位置を保持することができる
ようにされる。
【0046】これにより、枕部3に聴取者が頭部を乗せ
る毎に、枕部3のスピーカSL、SRに対する聴取者の
頭部の位置が変わってしまうことを防止し、枕部3のス
ピーカSL、SRから放音される音声を常時同じ状態で
聴取することができる。つまり、常時同じ聴取環境を簡
単に整えることが可能となる。
【0047】なお、枕部3の左右のスピーカSL、SR
に挟まれた部分であって、聴取者の頭部が乗せられる部
分は、スポンジ、ウレタン、綿、化学繊維などの布、ビ
ーズなどの粒状材など、ある程度の弾性、変形性を有す
る材料によって形成し、この部分に窪みを設けるように
する。
【0048】このようにすることによって、枕部3に乗
せた聴取者の頭部の位置をある程度の遊びを持たせて保
持することができる。したがって、聴取者の頭部が強固
に枕部に固定するようにされてしまうことはないので、
聴取者が窮屈に感じることもない。
【0049】[第1の実施の形態の変形例]図3は、第
1の実施の形態の音響処理装置の変形例を説明するため
のブロック図である。図3に示すように、この例の音響
処理装置は、トランスオーラルシステムフィルタ部2に
変えて、簡易型トランスオーラルシステムフィルタ部4
が搭載されたことを除けば、図1に示した第1の実施の
形態の音響処理装置と同様に構成されたものである。こ
のため、この図3に示す音響処理装置において、図1に
示した第1の音響処理装置と同様に構成される部分に
は、同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0050】図1、図3において、枕部3と聴取者の頭
部との位置関係を見ると明らかなように、当該音響処理
装置は、枕部3に聴取者の頭部が乗せられて使用される
ため、枕部3に設けられたスピーカSL、SRは、聴取
者の耳に近いという性質上、実スピーカから反対側の耳
へのクロストーク成分は、実スピーカから当該実スピー
カに対応する側の耳への音声信号成分よりも格段に小さ
い。
【0051】つまり、図1に示した例において、クロス
トーク成分の伝達関数G12、G21は、伝達関数G1
1、G22よりも格段に小さいので、クロストーク成分
の伝達関数G12、G21は無視することができる。こ
のため、クロストーク成分の考慮を通常のトランスオー
ラルシステムから省略することにより簡略化を図ったも
のが、図3に示す簡易型トランスオーラルシステムフィ
ルタ部4である。
【0052】この簡易型トランスオーラルシステムフィ
ルタ部4は、図3に示すように、枕部3の左スピーカS
Lから聴取者の左耳までの音声の伝達関数G1の逆関数
で音声信号を処理するフィルタ41と、右スピーカSR
から聴取者の右耳までの音声の伝達関数G2の逆関数で
音声信号を処理するフィルタ42とを備えたものであ
る。このように、クロストーク成分を無視するようにし
た場合であっても、音の定位は仮想スピーカ位置になる
ことは実験により確認されている。
【0053】このように、簡易型トランスオーラルシス
テムフィルタ部を用いて、より構成の簡単な音響処理装
置を構成することができる。そして、この場合にも、図
1に示した第1の実施の形態の音響処理装置と同様に、
聴取者の頭部の斜め後ろ側に位置する左スピーカSL、
右スピーカSRから放音される音声を聴取するにもかか
わらず、音声は聴取者の前方方向から聞こえてくるよう
にされるので、左スピーカSL、右スピーカSRから放
音される音声が聴取者の後ろ側に張り付いて聞こえるな
どの違和感や不快感を感じさせずに、良好に音声を聴取
できるようにすることができる。
【0054】また、この図3に示した音響処理装置の場
合にも、図1に示した音響処理装置の場合と同様に、枕
部3には、頭部保持部31としての窪みが設けられてお
り、この頭部保持部31により、枕部3上に聴取者が頭
部を乗せると、聴取者の頭部の位置は、スピーカSL、
SRに対して常に同じ位置になるように導かれ、スピー
カSL、SRに対する聴取者の頭部の位置を保持するこ
とができるようにしている。
【0055】これにより、枕部3に聴取者が頭部を乗せ
る毎に、枕部3のスピーカSL、SRに対する聴取者の
頭部の位置が変わってしまうことを防止し、枕部3のス
ピーカSL、SRから放音される音声を常時同じ状態で
聴取することができる。つまり、常時同じ聴取環境を簡
単に整えることができるようにしている。
【0056】[第2の実施の形態]図4は、この発明に
よる音響処理装置の第2の実施の形態を説明するための
ブロック図である。この第2の実施の形態の音響処理装
置は、例えばDVDなどのマルチチャンネルのメディア
からの音声信号を処理することができるものであり、こ
の第2の実施の形態においては、5チャンネルの音声信
号を処理することができるものである。
【0057】図4に示すように、この第2の実施の形態
の音響処理装置は、5チャンネル分の音声信号の入力端
子i1〜i5を備え、例えば、DVDなどのマルチチャ
ンネルの記録媒体からの5チャンネル分の音声信号の入
力を受けることができるものである。そして、この図4
の場合にも、音響処理装置は、大きく分けると、枕部
3、簡易型トランスオーラルシステムフィルタ部4、音
像定位処理フィルタ部5を備えたものである。
【0058】枕部3は、図1に示した第1の実施の形態
の音響処理装置、および、図3に示した第1の実施の形
態の変形例の音響処理装置の枕部3と同様に構成された
ものである。また、簡易型トランスオーラルシステムフ
ィルタ部4は、図3に示した第1の実施の形態の変形例
の音響処理装置の簡易型トランスオーラルシステムフィ
ルタ部4と同様に構成されたものである。
【0059】そして、この第2の実施の形態の音響処理
装置の音像定位処理フィルタ部5は、基本的には、第1
の実施の形態の音響処理装置の音像定位処理フィルタ部
1と同様の原理に基づいて、スピーカから放音される音
声の音像を定位させるものである。
【0060】しかし、図4に示すこの第2の実施の形態
の音響処理装置においては、枕部3の左右のスピーカS
L、SRから放音される音声を、図4において、点線で
示した5つの仮想スピーカVS1〜VS5から放音され
ているように定位させるようにしている。
【0061】図5は、図4に示した第2の実施の形態の
音響処理装置の音像定位処理フィルタ部5の原理を説明
するための図である。図5に示すように、所定の再生音
場において、ダミーヘッドDHの位置を聴取者の位置と
し、このダミーヘッドDHの位置の聴取者に対して、音
像を定位させようとする仮想スピーカ位置(スピーカが
あるとものと想定する位置)に実際に実スピーカSP1
〜SP5を設置する。そして、実スピーカSP1〜SP
5のそれぞれから放音される音声のダミーヘッドDHの
左右それぞれの耳までの伝達関数(HRTF)を予め測
定しておく。
【0062】図5に示すように、この第2の実施の形態
において、実スピーカSP1からダミーヘッドDHの左
耳までの音声の伝達関数はN11であり、実スピーカS
P1からダミーヘッドDHの右耳までの音声の伝達関数
はN12である。また、実スピーカSP2からダミーヘ
ッドDHの左の耳までの音声の伝達関数はN21であ
り、実スピーカSP2からダミーヘッドDHの右の耳ま
での音声の伝達関数はN22である。
【0063】以下同様に、実スピーカSP3からダミー
ヘッドDHの左右それぞれの耳までの音声の伝達関数
は、N31、N32であり、実スピーカSP4からダミ
ーヘッドDHの左右それぞれの耳までの音声の伝達関数
は、N41、N42である。また、実スピーカSP5か
らダミーヘッドDHの左右それぞれの耳までの音声の伝
達関数は、N51、N52である。
【0064】そして、入力端子i1〜i5のそれぞれか
ら入力される音声信号について、図5を用いて説明した
ように、予め測定した対応する伝達関数を用いて処理す
るとともに、簡易型トランスオーラルシステムフィルタ
部4において補正処理し、その処理後の音声信号による
音声を枕部3の左右のスピーカSL、SRに供給し、音
声を放音するようにする。
【0065】これにより、枕部3のスピーカSL、SR
から放音される音声が、あたかも図4において点線で損
した仮想スピーカVS1〜VS5が示す位置から放音さ
れているように視聴者が感じるように、枕部3のスピー
カSL、SRから放音される音声の音像を定位させるこ
とができる。
【0066】このように、音像を定位させるために、予
め測定した音声の伝達関数による処理を行なう部分が、
図4に示す音像定位処理フィルタ部5である。この実施
の形態の音像定位フィルタ処理部5は、5チャンネルの
音声信号を処理することができるものであり、図5に示
すように、10個のフィルタ51〜60と、2つの加算
回路61、62からなるものである。
【0067】フィルタ51は、端子i1を通じて供給を
受けた音声信号を伝達関数N11で処理するものであ
り、処理後の音声信号を左チャンネル用の加算回路61
に供給する。また、フィルタ52は、端子i2を通じて
供給を受けた音声信号を伝達関数N12で処理するもの
であり、処理後の音声信号を右チャンネル用の加算回路
62に供給する。
【0068】フィルタ53は、端子i2を通じて供給を
受けた音声信号を伝達関数N21で処理するものであ
り、処理後の音声信号を左チャンネル用の加算回路61
に供給する。また、フィルタ54は、端子i2を通じて
供給を受けた音声信号を伝達関数N22で処理するもの
であり、処理後の音声信号を右チャンネル用の加算回路
62に供給する。
【0069】フィルタ55は、端子i3を通じて供給を
受けた音声信号を伝達関数N31で処理するものであ
り、処理後の音声信号を左チャンネル用の加算回路61
に供給する。また、フィルタ56は、端子i3を通じて
供給を受けた音声信号を伝達関数N32で処理するもの
であり、処理後の音声信号を右チャンネル用の加算回路
62に供給する。
【0070】フィルタ57は、端子i4を通じて供給を
受けた音声信号を伝達関数N41で処理するものであ
り、処理後の音声信号を左チャンネル用の加算回路61
に供給する。また、フィルタ58は、端子i4を通じて
供給を受けた音声信号を伝達関数N42で処理するもの
であり、処理後の音声信号を右チャンネル用の加算回路
62に供給する。
【0071】フィルタ59は、端子i5を通じて供給を
受けた音声信号を伝達関数N51で処理するものであ
り、処理後の音声信号を左チャンネル用の加算回路61
に供給する。また、フィルタ60は、端子i5を通じて
供給を受けた音声信号を伝達関数N52で処理するもの
であり、処理後の音声信号を右チャンネル用の加算回路
62に供給する。
【0072】これにより、左チャンネル用の加算回路6
1からの出力音声信号による音声と、右チャンネル用の
加算回路62からの出力音声信号による音声とは、図4
において点線で示した仮想スピーカVS1〜VS5の位
置から放音されるように音像が定位するようにされる。
【0073】そして、この第2の実施の形態の音響処理
装置の場合にも、第1の実施の形態の音響処理装置の場
合と同様に、枕部3に設けられた左スピーカSL、右ス
ピーカSRから放音される音声は、音像定位処理が施さ
れていても、実際の再生音場における伝達関数の影響を
受けて、再生音声の音像を目的とする仮想スピーカ位置
に定位させることができない場合があると考えられる。
【0074】そこで、この第2の実施の形態の音響処理
装置においても、クロストーク成分を考慮しない簡易型
のトランスオーラルシステムフィルタ部4を用いること
によって、枕部3のスピーカSL、SRから放音される
音声の音像が、正確に各仮想スピーカVS1〜VS5の
各位置に定位するようにしている。
【0075】このように、DVDなどのマルチチャンネ
ルの音源を持つメディアも普及してきているが、この第
2の実施の形態の音響処理装置のように、5チャンネル
の音声信号を処理できるようにしておくことによって、
枕部3の2つのスピーカSL、SRを通じて、仮想的な
5チャンネルの音像を得て、迫力ある再生音声を楽しむ
こともできる。
【0076】また、図4にも示したように、枕部3に
は、頭部保持部31としての窪みが設けられており、こ
の頭部保持部31により、枕部3上に聴取者が頭部を乗
せると、聴取者の頭部の位置は、スピーカSL、SRに
対して常に同じ位置になるように導かれ、スピーカS
L、SRに対する聴取者の頭部の位置を保持するように
することができる。
【0077】これにより、枕部3に聴取者が頭部を乗せ
る毎に、枕部3のスピーカSL、SRに対する聴取者の
頭部の位置が変わってしまうことを防止し、枕部3のス
ピーカSL、SRから放音される音声を常時同じ状態で
聴取することができる。つまり、常時同じ聴取環境を簡
単に整えることができるようにされている。
【0078】なお、この第2の実施の形態においては、
簡易型トランスオーラルシステムフィルタ部4を用いる
ようにしたが、図1に示した第1の実施の形態の音響処
理装置の場合と同様に、クロストーク成分をも考慮した
トランスオーラルシステムフィルタ2を用いるようにし
てもよい。
【0079】また、前述の第1、第2の実施の形態にお
いて、音像定位処理フィルタ部1または音像定位処理フ
ィルタ5、トランスオーラルシステムフィルタ部2また
は簡易型トランスオーラルシステムフィルタ部4を、枕
部3の内部に構成するようにすることができる。
【0080】また、音像定位処理フィルタ部1または音
像定位処理フィルタ5、トランスオーラルシステムフィ
ルタ部2または簡易型トランスオーラルシステムフィル
タ部4を備えたアダプタを構成し、このアダプタと、ス
ピーカおよび頭部保持部が設けられた枕部とにより、こ
の発明による音響処理装置を構成するようにしてもよ
い。
【0081】また、音像定位処理フィルタ部1または音
像定位処理フィルタ部5、トランスオーラルシステムフ
ィルタ部2または簡易型トランスオーラルシステムフィ
ルタ部4は、音声信号の再生装置側に設け、処理された
音声信号をスピーカと頭部保持部が設けられた枕部の当
該スピーカに供給する構成とすることもできる。
【0082】[音響処理装置の具体的な利用態様]図6
は、前述した第1、第2の実施の形態の音響処理装置の
具体的な利用態様の一例について説明するための図であ
る。図6に示す音響処理装置は、前述した第1の実施の
形態の音響処理装置の場合と同様に、左右2チャンネル
の音声信号を処理することができるものであり、音像定
位処理フィルタ部1と、トランスオーラルシステムフィ
ルタ部2と、ワイヤレス送信装置71とを備えた送信装
置部と、ワイヤレス受信装置72と、パワーアンプ73
と、枕部3とを備えた受信装置部との2つの装置部に分
離するようにしたものである。
【0083】ワイヤレス送信装置71とワイヤレス受信
装置72とを用い、枕部3のスピーカSL、SRへの音
声信号を無線で供給するようにしたことを除けば、図1
に示した音響処理装置と同様に構成したものである。こ
の図6の音響処理装置のように、送信装置部と受信装置
部とを分離した構成とするのは、音響処理装置は、例え
ばディスク100の再生装置や記録再生装置から2チャ
ンネルの音声信号の供給を受けなければならず、ケーブ
ルにより接続した場合には、ケーブルが邪魔になった
り、枕部3の設置位置や、逆に再生装置や記録再生装置
の設置位置が限られたりしてしまうなどの問題が生じる
ためである。
【0084】そして、図6に示すように、枕部3と、音
声信号の再生装置側とをワイヤレスで接続しておくこと
により、枕部3や再生装置や記録再生装置を好きな位置
にセッティングして利用することができるようにされ
る。
【0085】そして、図6に示した音響処理装置の場合
には、左右の入力端子Lin、Rinを通じて供給され
た音声信号は、前述した第1の実施の形態の音響処理装
置の場合と同様に、音像定位処理フィルタ部1に供給さ
れ、ここで音像定位処理されるとともに、トランスオー
ラルシステムフィルタ部2において補正処理されて、ワ
イヤレス送信装置71を通じて送出されることになる。
【0086】ワイヤレス送信装置71から送出された音
声信号は、ワイヤレス受信装置72により受信され、パ
ワーアンプ73において増幅するようにされて、枕部3
の左右のスピーカSL、SRに供給される。これによ
り、枕部3の左右のスピーカSL、SRから放音される
音声の音像は、図6において、点線で示す仮想スピーカ
VPL、VPRの示す位置に定位し、枕部3のスピーカ
SL、SRから放音された音声を違和感なく聴取するこ
とができる。
【0087】そして、図6の例の場合には、ベッド20
0の上で枕部3を用いるようにした場合の例であり、聴
取者がベッド上に横になった状態で音声を聴取するのに
好適な環境を作ることができる。しかも、枕部3上の聴
取者の頭部の位置を常に所定の位置に位置付け無理なく
保持するようにすることができるので、枕部3を用いて
音声を聴取する場合に常に同じ状態で適正かつ良好に音
声を聴取することができる。
【0088】このように、聴取者が仰向けに横になった
状態で音声を聴取するのに好適な環境を簡単に整えるこ
とができる。すなわち、リラクゼイション効果の高い音
声聴取環境を整えることができる。
【0089】また、枕部3の設置位置の自由度が増し、
例えば、病院、歯科医院、整骨院などにおいてのリラッ
クスBGMの聴取用の音響処理装置として使用すること
ができるなど、音楽の効用をより引き出すことが可能な
環境、換言すれば、音楽をより効果的に利用することが
できる環境を形成することができる。
【0090】図7は、前述した第1、第2の実施の形態
の音響処理装置の具体的な利用態様の他の例について説
明するための図である。この図7に示す利用態様の他の
例においては、映像に関連付けられた音声を再生するよ
うにする場合にこの発明による音響処理装置を用いるよ
うにしたものである。
【0091】図7Aにおいて、スクリーン300は、映
像表示用のものである。スクリーン300は、プロジェ
クタによって映像が投影するようにされたり、あるい
は、映像信号の供給を受けて映像を表示したりする液晶
ディスプレイやプラズマディスプレイなどである。
【0092】そして、スクリーン300に表示される映
像に同期するように関連付けられた音声をこの発明によ
る音響処理装置の枕部3から放音することにより、映像
のある方向に音像を定位させ、聞き疲れや意識が後方に
惹かれることによる違和感や不快感を生じさせることな
い映像音声視聴空間を形成することができる。
【0093】また、図7Aに示したように、聴取者が一
人である場合を想定したものに限らず、図7Bに示すよ
うに、多数の聴取者が、1つのスクリーン350に表示
される映像を観視し、これに関連する音声を聴取できる
ようにするシステムにも、この発明の音響処理装置を用
いるようにすることができる。
【0094】なお、図7Bに示したように、多数の聴取
者を想定したシステムの場合であっても、各聴取者毎に
枕部3a、3b、3c、3d、…が設けられ、各聴取者
の耳の近傍にその聴取者専用のスピーカが設けられるこ
とになるので、スピーカから放音する音声の絶対音量を
小さくすることができる。これを利用して、同一の映像
を複数の使用者が見ながら、音声は、各自が好みの言語
を選ぶことができるようにするなどのことが可能とな
る。
【0095】例えば、図7Bのような映画の鑑賞環境を
形成し、英語の分かる人は英語の音声を利用し、日本語
しかわからない人は日本語の音声を利用するというよう
に、同じ映像を鑑賞しながら、異なる音声を聴取するこ
とができる環境を整えることができる。
【0096】このように、図7Aに示した利用態様が適
用可能な具体的なシチュエーションとしては、前述もし
たように、病院や接骨院などでの利用、家庭の寝室での
ホームシアターとしての利用、エステティクサロン、日
焼けサロンなど、利用者が横になる環境がある場所での
利用、カプセルホテルや寝台車などの宿泊施設での利用
などが考えられる。
【0097】図7Bに示した利用態様が適用可能な具体
的なシチュエーションとしては、集合仮眠室での映画鑑
賞用システムとしての利用や、さらに規模の大きな映画
館、プラネタリュームなどでの映像音声視聴システムと
しての利用などが考えられる。
【0098】[枕部に形成する頭部保持部について]ま
た、前述した第1、第2の実施の形態において説明した
ように、枕部3には、聴取者の頭部の位置をスピーカS
L、SRに対して常に一定の位置となるようにするため
に、頭部保持部31として窪みを設けるようにした。し
かし、頭部保持部31としては、種々の構成が考えられ
る。
【0099】図8、図9は、枕部3に設けられる頭部保
持部31の具体例を説明するための図である。図8A、
Bに示す例は、前述した第1、第2の実施の形態におい
て採用したものであり、枕部3に聴取者の頭部を保持す
る窪みを設け、これを頭部保持部31とするようにした
ものである。
【0100】この図8A、Bに示す例の場合、窪み31
は、枕部3の頭部を乗せる面の中心部分に半円形の窪み
を大きく設けるようにしている。これにより、聴取者が
頭部を枕部3上に乗せる場合には、窪みの位置を確認し
なくても、必ず窪みの中に頭部を導くことができ、ま
た、頭部の位置を窪みが保持することができるようにさ
れる。
【0101】なお、窪みは、図8A、Bに示したような
半円形のものに限るものではなく、例えば、三角柱形の
窪みを設けるようにしてもよい。この他、多角柱形の形
状の窪みを形成するようにすることも可能であるし、ま
た、枕部の頭部を乗せる面にドーナッツ状に円形の窪み
を設けるようにしてもよい。
【0102】また、図9A、Bは、枕部3上において、
スピーカが埋め込まれた部分と、聴取者の頭部を乗せる
部分との境目、あるいはその近傍などに、仕切りのため
の盛り上がり部31a、31bを設けるようにしたもの
である。そして、使用者の頭部が、左右いずれかのスピ
ーカ側に片寄ると、図9A、Bに示した枕部3の盛り上
がり部分31a、31bが、使用者の頭部に当たり頭部
の位置の偏りを知り適正な位置に位置付けるようにする
ことができるようにしたものである。
【0103】このように、枕部3に設ける頭部保持部3
1は、窪み状に形成しても、また、突起上に形成しても
よく、その窪みや突起の形状は、様々な形状ととするこ
とができる。
【0104】なお、前述の実施の形態においては、いわ
ゆる枕にスピーカを搭載する場合を例にして説明した
が、これに限るものではない。たとえば、家庭において
用いられるリクライニングチェアーや自動車や飛行機な
どの座席などの各種の椅子のヘッドレスト部にスピーカ
を搭載するようにした場合にもこの発明を適用すること
ができる。
【0105】また、前述した実施の形態において、枕部
3に設けられるスピーカの放音面は、枕部3の頭部が乗
せられる面に平行となるようにした場合を示したが、枕
部3に設けるスピーカの放音面を聴取者側に傾けるな
ど、適宜の修正を行なうようにすることも可能である。
【0106】また、前述の実施の形態においては、枕部
に左スピーカSL、右スピーカSRの2つのスピーカを
設けるようにした場合の例を示したが、スピーカは、必
ず2つである必要はなく、1つであってもよいし、3つ
以上の複数であってもよい。また、ツイターなどを備え
たいわゆるHiFi志向のスピーカデバイスを用いるよ
うにしてもよい。
【0107】
【発明の効果】以上説明したように、聴取者が主に仰向
け横になった(仰向けに寝た)状態でも聞き疲れや違和
感、不快感などを生じることなく良好に音声を聴取する
ことが可能な環境を容易に整えるようにすることができ
る。
【0108】また、リラクゼイション効果の高い音響聴
取環境を整えることができる。また、従来なかった、音
声の聴取環境、映像と音声の視聴環境を提供することが
できる。また、これを利用した各種のサービスを提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による音響処理装置の一実施の形態を
説明するためのブロック図である。
【図2】図1に示した音響処理装置において行なわれる
音像定位処理の原理について説明するための図である。
【図3】図1に示した音響処理装置の変形例を説明する
ためのブロック図である。
【図4】この発明による音響処理装置の他の例を説明す
るためのブロック図である。
【図5】図4に示した音響処理装置において行なわれる
音像定位処理の原理について説明するための図である。
【図6】この発明による音響処理装置の具体的な実現例
を説明するための図である。
【図7】この発明による音響処理装置の具体的な利用態
様の例を説明するための図である。
【図8】枕部に形成される頭部保持部の一例を説明する
ための図である。
【図9】枕部に形成される頭部保持部の他の一例を説明
するための図である。
【符号の説明】
1…音像定位処理フィルタ部、11〜14…フィルタ、
15、16…加算回路、2…トランスオーラルシステム
フィルタ部、21〜24…フィルタ、25、26…加算
回路、3…枕部、31…頭部保持部、SL…左スピー
カ、SR…右スピーカ、VSL…仮想左スピーカ、VS
R…仮想右スピーカ、4…簡易型トランスオーラルシス
テムフィルタ部、41、42…フィルタ、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04S 7/00 H04S 7/00 A F (72)発明者 中野 健司 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 5D062 AA65 BB10 CC13 DD10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スピーカが設けられるとともに、聴取者の
    頭部が乗せられたときに、前記スピーカに対する当該聴
    取者の頭部の位置を所定の位置に保持するようにするた
    めの頭部保持部が設けられた枕部と、 前記スピーカに供給するようにする音声信号の供給を受
    けて、前記音声信号による音声の音像を所定の位置に定
    位させるようにする音像定位処理部と、 前記音像定位処理部からの音声信号に対して、前記枕部
    に聴取者の頭部が置かれときの前記スピーカと前記聴取
    者の頭部との位置に応じた補正処理を行なう補正処理部
    とを備えることを特徴とする音響処理装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の音響処理装置であって、 前記スピーカは、前記枕部に聴取者の頭部が乗せられた
    ときに、前記聴取者の左右それぞれの耳の近傍となる位
    置に少なくとも1つづつ設けられるものであり、 前記音像定位処理部と前記補正処理部とは、左右2チャ
    ンネル以上の音声信号を処理して、前記スピーカのそれ
    ぞれに対応する音声信号を供給することが可能であるこ
    とを特徴とする音響処理装置。
  3. 【請求項3】請求項1、または、請求項2に記載の音響
    再生装置であって、 前記枕部に聴取者が頭部を乗せたときに、当該視聴者に
    より観視可能となる位置に映像を表示するための映像表
    示部を設け、 前記映像表示部に表示する映像に対応付けられた音声信
    号を前記音像定位処理部に供給することにより、前記映
    像表示部に表示される映像に対応する音声の放音を可能
    にする音響処理装置。
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