JP2003078999A - 3次元移動音生成方法とその装置 - Google Patents

3次元移動音生成方法とその装置

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JP2003078999A
JP2003078999A JP2001264413A JP2001264413A JP2003078999A JP 2003078999 A JP2003078999 A JP 2003078999A JP 2001264413 A JP2001264413 A JP 2001264413A JP 2001264413 A JP2001264413 A JP 2001264413A JP 2003078999 A JP2003078999 A JP 2003078999A
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Mitsuo Matsumoto
光雄 松本
Mikio Higashiyama
三樹夫 東山
Susumu Yamanaka
晋 山中
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Tama TLO Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 3次元的に音を正確に移動させる3次元移動
音生成方法と装置を提供する。 【解決手段】 3次元移動音生成方法は、複数の音再生
手段を移動音を再生可能に3次元状に配設するステップ
2と、移動方向に沿った複数の位置における複数の仮想
音源における予め得られた音情報と、移動する音情報を
させるべき予め得られた視聴者の両耳応答とを、ある位
置における仮想音源x(n) における音情報とその位置に
対する両耳応答hk (n) とを次式:hk (n) ×x(n) =
y(n) 、y(n) は音信号に基づいて畳み込み、前回のサ
ンプリング処理のときの繰越分を残響成分として上記畳
み込み結果に加算し、前回までのサンプリングにおける
処理結果を今回の処理結果を結合するステップ5と、前
記生成された音信号を前記複数の音再生手段に、前記仮
想音源から発せられた音が移動していくように出力する
音出力ステップ6とを有する。3次元移動音生成装置は
上記方法を実施する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は3次元移動音を生成
する方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータゲーム、遠隔会議、航空管
制など音に関して仮想現実感を体験させるような場合、
視聴者に対して、音が移動していく状況が要望されてい
る。たとえば、コンピュータゲームにおいて、戦闘機が
視聴者に接近し、去っていく映像を提供する際、その戦
闘機の移動に関連づけた音を生成することが行われてい
る。同様に、航空管制において複数の航空機の位置およ
びその移動位置に応じた航空機の音、もしくはその時の
機長の声を管制官に聞かせると臨場感が高まり管制官の
認識が向上することが期待されている。逆に、不確かな
航空機の移動音は管制官のご判断を招く可能性もある。
このように、正確に視覚と聴覚とを関連づけた情報を提
供することは種々の分野で有効である。視聴者に対し
て、3次元的に移動する映像および音声を提供する技術
のうちで、本発明は特に、移動音を生成する方法と装置
に関する。
【0003】3次元的に移動音を生成する従来の試みに
ついて例示する。第1例として、ステレオ再生装置が知
られている。ステレオ再生装置においては、たとえば、
視聴者の前方の左右に2個のスピーカを離して設置し、
音再生装置から2個のスピーカに出力する音信号の音量
を音の移動に対応させて変化させていく。しかしなが
ら、このような方法では正確な移動音の提供にはならな
い。第2例としては、仮想音源位置と視聴者の両耳との
間のインパルス応答または伝達関数を減衰器、遅延器、
および、1対のスピーカによって模擬して希望する位置
に音像を定位させる技術が知られている。しかしなが
ら、このような方法でも音像を希望するようには動かす
ことはできないので、この方法も正確な移動音の提供に
はならない。
【0004】音像を移動させる方法として、たとえば、
図9に図解したように複数の仮想音源を準備し、それら
の仮想音源を順次(逐次)切り換えていく方法も試みら
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図9に
図解した方法において、仮想音源が2つの実音源、たと
えば、スピーカの間にあるとき、同時に2か所からの音
によって音像が形成されることになるため、音像がぼけ
て曖昧になり、実際に音源が移動した状況とは物理的に
異なるという不具合がある。
【0006】本発明の目的はより正確な移動音像を提供
可能な3次元移動音生成技術を提供することにある。本
発明の他の目的は、視聴者の両耳特性をも考慮して、よ
り正確な移動音像を提供可能な3次元移動音生成技術を
提供することにある。本発明のさらに他の目的は、比較
的簡易な方法で、上記より正確な移動音像を提供可能な
3次元移動音生成技術を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の観点によ
れば、(a)複数の音再生手段を移動音を再生可能に3
次元状に配設する段階と、(b)移動方向に沿った複数
の位置における複数の仮想音源における予め得られた音
情報と、移動する音情報を定位させるべき予め得られた
視聴者の両耳応答とを、ある位置における仮想音源にお
ける音情報とその位置に対する両耳応答を用いて畳み込
み、前回の処理のときの繰越分を残響成分として上記畳
み込み結果に加算し、前回までの処理結果と今回の処理
結果とを結合する段階と、(c)前記生成された音信号
を前記複数の音再生手段に、前記仮想音源から発せられ
た音が移動していくように出力する音出力段階とを有す
る3次元移動音生成方法が提供される。
【0008】好ましくは、前記音情報と両耳応答hk
(n) との畳み込み演算を下記の演算式に従って行うこと
を特徴とする。
【数3】hk (n) *x(n) =y(n) ただし、x(n) はn番目の位置における仮想音源であ
り、hk (n) はk番目の仮想音源位置x(n) と視聴者の
両耳(左右の耳の)との間の応答であり、y(n) は音信
号である。
【0009】さらに好ましくは、前記処理結果には、そ
れ以前の処理における音情報の直接音を含まない。
【0010】また好ましくは、一連の複数の仮想音源の
音情報を複数フレームに分割し、該フレームに分割され
た音情報について上記演算処理を行う。
【0011】さらに好ましくは、前記各フレームに分割
した音について、移動方向に沿って隣接する仮想音源の
間、あるいは、隣接した補間仮想音源の間を複数に補間
した補間仮想音源に対する音情報を補間する。
【0012】本発明の第2の観点によれば、上記3次元
移動音生成方法を実施する装置、すなわち、3次元移動
音生成装置が提供される。当該3次元移動音生成装置
は、(イ)移動音を再生可能に3次元状に配設された複
数の音再生手段と、(ロ)移動方向に沿った複数の位置
における複数の仮想音源における予め得られた音情報
と、移動する音情報を定位させるべき予め得られた視聴
者の両耳応答とを、ある位置における仮想音源における
音情報とその位置に対する両耳応答を用いて畳み込み、
前回の処理のときの繰越分を残響成分として上記畳み込
み結果に加算し、前回までの処理結果と今回の処理結果
とを結合する演算処理手段と、(ハ)前記生成された音
信号を前記複数の音再生手段に前記仮想音源から発せら
れた音が移動していくように出力する音出力手段と、を
有する。
【0013】事前に音像を移動させたい経路に沿った、
少なくとも、主要な位置における複数の仮想音源の音を
決定し、その時の移動方向に沿った視聴者の両耳応答を
測定しておく。主要な位置の仮想音源とする意味は、デ
ータ数を必要最小限にするため、主要な位置についての
み、仮想音源を決定してその両耳応答を測定し、その間
の位置の仮想音源は補間により推定させるためである。
もちろん、極力、多数の位置における仮想音源と両耳応
答を測定することが望ましい。仮想音源は移動音像の移
動経路、そのときの音量、高低、その他の音条件を考慮
して決定する。また、仮想音源に対する左右の耳の位置
が異なるから、左右の耳ごとに両耳応答を測定すること
が望ましい。
【0014】視聴者の両耳応答については、上述したよ
うに、特定の視聴者についての両耳応答を測定してもよ
いし、不特定多数に対する標準的な両耳応答でもよい。
【0015】このようにして得られた仮想音源x(n) の
音情報および両耳応答hk (n) を上記式を用いて演算
し、その結果をスピーカなどの音再生手段に順次出力し
ていくことにより、両耳応答を考慮した移動音を再生す
ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の基本事項について述べ
る。本発明の発明者の研究によれば、図1に図解したよ
うに、仮想音源x(n) が視聴者Hの周囲を1サンプル毎
に方向を変えて移動したとき、対応する方向の視聴者H
の両耳Le、Reで再生される音信号y(n) は下記式1
で表されることが判った。
【0017】両耳応答hk (n) におけるインデックスn
はn番目の位置を示し、hk (n) はk番目の仮想音源位
置x(n) と視聴者Hの両耳との間の応答を示す。たとえ
ば、h0 (0) 、h1 (0) ,2 (0) はそれぞれ、0、
1、2番目における仮想音源x(0) 、x(1) 、x(2) と
視聴者の両耳との間の応答hk (n) である。また、たと
えば、h2 (0) は、サンプル位置2において、仮想音源
x(0) を残響として感じる両耳応答である。
【0018】
【数4】
【0019】式1の意味を図2を参照して述べる。図2
は仮想音源x(n) が移動したときに視聴者Hの両耳で感
じる音信号を図解した図である。 (1)視聴者の両耳で感覚される音信号y(0) は、0番
目の仮想音源x(0) ×両耳応答h0 (0) になる。 (2)視聴者の両耳で感覚される音信号y(1) は、1番
目の仮想音源x(1) ×両耳応答h1 (0) と、前のサンプ
ル位置0における仮想音源x(0) ×両耳応答h 0(1)との
和となる。x(0) ×h0(1)で規定される成分は、仮想音
源x(n) の残響成分を示している。 (3)視聴者の両耳で感覚される音信号y(2) は、0番
目の仮想音源x(0) ×両耳応答h0 (2) と、1番目の仮
想音源x(1) ×両耳応答h1 (1) と、2番目の仮想音源
x(2) ×両耳応答h2(0)との和となる。この場合は、x
(0) ×h0 (2)の項が仮想音源x(0) による残響成分、
x(1) ×h1 (1) が仮想音源x(1) による残響成分を意
味している。 もちろん、仮想音源x(1) による残響成分は、図1に図
解した例示および一般的な見地から時間の経過とともに
減衰していくから、たとえば、音信号y(1) に含まれる
x(0) ×h0(1)は音信号y(2) に含まれるx(0) ×h0
(2) よりは大きい。換言すれば、x(0) ×h0 (2) はx
(0) ×h0(1)より小さい。
【0020】本発明においては、仮想音源x(n) の音信
号y(n) に対して、それ以前の残響音を考慮している
が、それ以前の直接音成分、たとえば、1つ前の直接音
の仮想音源x(n-1 )、2つ前の直接音の仮想音源x(n-2
)それ自体を含めていないことである。換言すれば、本
発明においては、従来方法のように、単に音の強弱を変
化させるだけで前の処理の音の成分を次の処理の音成分
に重畳した方法とは異なり、仮想音源x(n) そのものを
次の処理の音信号y(n) には含めず、従来方法における
重複音による曖昧さを克服している。
【0021】本例においては、ディジタル信号処理装置
を用いて仮想音源x(n) などの扱いをサンプル処理した
ものとしているが、もちろん、アナログ信号を連続的に
処理した場合でもよい。ただし下記の記述においては、
ディジタル信号処理した場合について述べる。
【0022】図1の図解は、視聴者と一定の距離を保っ
て視聴者の周囲を回るように仮想音源x(n) が移動して
いく場合を例示したが、視聴者と仮想音源x(n) との移
動関係は、図1の図解に限らず、任意であってもよい。
たとえば、仮想音源x(n) が視聴者に向かって直線的に
接近し、そして、遠ざかる方向に移動してもよい。ま
た、視聴者と仮想音源x(n) との移動関係は二次元状態
に限らず、3次元的であってもよい。以下、簡単化のた
め、図1に図解したように、二次元空間において仮想音
源x(n) が移動する場合を例示する。
【0023】図3に図解したように、仮想音源x(n) か
ら視聴者Hの左右の両耳Le、Reへの距離dl,dr
は異なる。したがって、視聴者の両耳応答hk (n) 、す
なわち、左右の耳の応答は、視聴者Hと仮想音源x(n)
との位置に応じて異なるから、視聴者の両耳応答hk
(n) を、視聴者と仮想音源x(n) との離隔間隔に応じて
異ならせる。
【0024】通常、視聴者Hは仮想音源x(n) の位置に
応じて顔の向きを変化させる可能性が高い。しかし、こ
こでは、視聴者Hは仮想音源x(n) の位置に応じて顔の
向きを変化させないと仮定して述べる。もし、視聴者H
が仮想音源x(n) の移動に合わせて顔の向きを変え、そ
の結果、視聴者Hの両耳応答hk (n) に相違がない場合
は、その処理は簡単になる。
【0025】視聴者の聴覚は個人差があるから、視聴者
の両耳応答hk (n) は視聴者によっても異なる。したが
って、厳密には視聴者に応じて両耳応答hk (n) を異な
らせることが望ましい。視聴者が特定される場合などに
は、その視聴者に応じた両耳応答hk (n) を用いること
が望ましい。ただし、簡便化のためには、あるいは、多
数の不特定の視聴者を対象とする場合は、標準的な視聴
者についての両耳応答hk (n) を用いてもよい。以下の
記述においては、視聴者についてはこだわらないで述べ
る。
【0026】式1は行列を用いて下記式2で表すことが
できる。仮想音源x(n) が移動するときは、式2の左辺
の視聴者の両耳の応答から行列の各列のベクトルは同じ
ではない。このことは通常の畳み込みとは異なることを
示している。仮想音源x(n) の移動方向がmサンプル毎
に変化するとき、視聴者の両耳における音信号は、図2
を参照して上述したように、対応する移動方向の両耳応
答h k (n) との畳み込みとなる。
【0027】
【数5】
【0028】式2を一般的に表現すれば、下記式3で表
される。下記式3は、〔課題を解決するための手段〕に
おいて記載した式と実質的に同じである。
【0029】
【数6】 hk (n) *x(n) =y(n) ・・・(3) ただし、x(n) はn番目の位置における仮想音源であ
り、hk (n) はk番目の仮想音源位置x(n) と視聴者の
両耳(左右の耳の)との間の応答であり、y(n) は音信
号である。
【0030】実験結果 上記方法により、仮想音源x(n) が1サンプルあたりΔ
x移動するときの視聴者の両耳応答hk (n) をシミュレ
ーションによって算出した結果と、実測した結果とを比
較した結果を図4のグラフに示す。
【0031】本発明に基づく仮想音源x(n) が1サンプ
ル当たり4.5×10-4度(°)移動したとき、両耳応
答hk (n) として実測した応答、たとえば、毎5°方
向、1方向当たり512サンプル、サンプリング周波数
s =44.1kHzで実測した応答を用いて視聴者H
の両耳位置での音信号y(n) を求めた。曲線Aは仮想音
源x(n) の信号と0〜15°の範囲で4方向の両耳応答
k (n) について実測した結果を示す。曲線Bは5°、
10°に対応する両耳応答hk (n) を0°、15°の両
耳応答hk (n) から補間した場合の視聴者Hの両耳での
音信号y(n) を示す。曲線Cは曲線Aの結果と曲線Bの
結果との差異、すなわち、誤差を示す。
【0032】試聴した結果、曲線Aに示す実測した両耳
応答hk (n) を用いた場合に違和感がない移動音像を知
覚(感覚)できた。また曲線Bに示した補間による両耳
応答hk (n) についても音像に違和感のない移動音像を
知覚(感覚)できた。したがって、上述した本発明の基
本事項に基づく仮想音源x(n) の移動および両耳応答h
k (n) を適用すると、良好な移動音像が得られることが
判った。
【0033】実施の形態 本発明の3次元移動音生成方法および装置の実施の形態
として、上述した方法を参照して実現した方法と装置の
例を下記に述べる。図5は本発明の実施の形態としての
3次元移動音生成方法を説明するフローチャートであ
る。
【0034】ステップ1:仮想音源x(n) の音の決定と
両耳応答hk (n) の測定 第1の準備段階として、音像を移動させたい経路に沿っ
た、少なくとも、主要な位置における複数の仮想音源x
(n) の音を決定し、その時の移動方向に沿った視聴者H
の両耳応答hk (n) を測定する。主要な位置の仮想音源
x(n) とする意味は、データ数を必要最小限にするた
め、主要な位置についてのみ、仮想音源x(n) を決定し
てその両耳応答hk (n) を測定し、その間の位置の仮想
音源x(n) は補間により推定させるためである。もちろ
ん、極力、多数の位置における仮想音源x(n) と両耳応
答hk (n) を測定することが望ましい。仮想音源x(n)
は移動音像の移動経路、そのときの音量、高低、その他
の音条件を考慮して決定する。また、図3を参照して述
べたように、仮想音源x(n) に対する左右の耳の位置が
異なるから、左右の耳ごとに両耳応答hk (n) を測定す
ることが望ましい。しかしながら、簡略化する場合、あ
るいは、左右の耳の感覚に相違がない場合は一方の耳で
代表させるか、両耳が同じ特性であるとしてもよい。
【0035】ステップ2:スピーカの配置 第2の準備段階として、図6に例示したように、複数の
スピーカを仮想音源x(n) が移動していく経路に従って
仮想音源x(n) から移動音像が再生できるように配置す
る。複数のスピーカの配置は、後述する音信号の出力に
よって、複数のスピーカから、結果として、図1に図解
した仮想音源x(n) の移動が達成されるような配置にす
る。本発明の実施の形態における音出力は3次元音が移
動するようにすることを前提としているから、スピーカ
はもちろん、ステレオ用スピーカを用い、視聴者Hにと
って左右の耳で感覚される音の相違が出るように出力さ
れる。なお、スピーカの配置は上述したステップ1の処
理と同時、または、ステップ1の処理の前に行ってもよ
い。
【0036】視聴者Hの両耳応答hk (n) については、
上述したように、特定の視聴者Hについての両耳応答h
k (n) を測定してもよいし、不特定多数に対する標準的
な両耳応答hk (n) でもよい。不特定多数の視聴者Hの
両耳応答hk (n) は事前にわかっているから、その場合
は、この段階の処理を行う必要はない。また、特定の視
聴者Hについて事前に両耳応答hk (n) を測定してある
場合も、この段階の処理を行う必要はない。
【0037】ステップ3:音源の音を複数フレームに分
一連の複数の仮想音源x(n) の音情報を複数フレームに
分割する。その理由は、信号処理を容易にするため、各
フレームごとに信号処理するためである。複数フレーム
に分割された音は、メモリに蓄積しておく。
【0038】ステップ4:補間処理 データ量の関係で、主要部分、あるいは、サンプルを粗
くした場合には、各フレームに分割した音について、移
動方向に沿って隣接する仮想音源x(n) の間、あるい
は、隣接した補間仮想音源x(n) の間を複数に補間した
補間仮想音源x(n) に対する音情報を補間して生成す
る。補間方法としては、線型補間などを適用する。この
ような補間したデータをメモリに記憶する。図4を参照
して、適切な補間を行えば十分正確な移動音像が再生で
きることは上述した。もちろん、補間する必要がないほ
ど十分な仮想音源x(n) が測定されている場合はこの処
理は不要である。
【0039】ステップ5:移動音像の生成 上述のごとく生成された各フレームの各サンプル位置の
仮想音源x(n) の音を、移動音像を生成させたい方向の
両耳応答hk (n) とを、式2に従って畳み込む演算処理
を行う。次いで、前回の処理のときの繰越分を残響成分
として上記今回の演算結果に加算する。さらに、前回ま
での処理結果を今回の処理結果を結合する。上述したよ
うに、この信号処理によって、直接音は次の処理には含
ませず、その残響音が時間経過に伴って減衰しているよ
うに、音信号が生成される。また、この信号処理によっ
て左右の耳の知覚状況に則した音信号が生成される。
【0040】ステップ6:音信号の出力 このようにして生成された音信号は、適切に配設された
複数のスピーカ、たとえば、図6に図解したように配設
した少なくとも2個の複数のスピーカ、図6の例示は3
個のスピーカ、から出力される。
【0041】複数のスピーカに対して上述した生成した
音信号を分配するかは、複数のスピーカの位置、音量な
どの移動音の状態、および、音の移動方向などを考慮し
て決定する。たとえば、図1に例示したように、仮想音
源x(n) が右方向に移動していく場合は、図6の右側に
位置するスピーカへの音量が大きくなるように、複数の
スピーカへの音出力信号を調整していく。その結果、図
1を参照して述べた仮想音源x(n) の移動に則した音が
視聴者Hで感覚される。
【0042】ステップ5の処理について述べたように、
そして、図2および図4の実験結果を参照して述べたよ
うに、再生された仮想音源x(n) の移動音は正確であ
る。その1つの理由として、たとえば、仮想音源x(0)
の直接音は0番目にのみ存在させ、仮想音源x(0) の直
接音自体とそれ以降のサンプル期間、たとえば、1番
目、2番目には存在させず、その残響のみ関連させてい
る、たとえば、順次、減衰させるように関連させてい
る。したがって、そのように処理された音信号を複数の
スピーカから出力した場合、従来技術におけるように、
単に前回の音の音量を逓減していった場合のように音の
不明瞭さは起きず、希望する移動音が再生できる。もち
ろん、左右の耳の知覚状況に則した音信号が生成され
る。
【0043】ステップ7:終了判定 全フレームの仮想音源x(n) の音について上記処理を行
うまで、上述したステップ3〜5の処理を反復する。
【0044】図5および図6を参照して述べた、本発明
の1実施の形態としての3次元移動音生成方法は比較的
簡単な処理であり、その実施は容易である。
【0045】図7は本発明の実施の形態としての、上記
図5および図6を参照して述べた3次元移動音生成方法
を実施する3次元移動音生成装置の構成図である。図7
に図解した3次元移動音生成装置は、本発明の音出力手
段としての図6に図解した複数のスピーカと、記憶手段
11と、演算処理手段12と、出力手段13とを有す
る。記憶手段11は、図5のステップ1で得られた結
果、すなわち、仮想音源x(n) の音情報と、両耳応答h
k (n) を保持し、さらにステップ2で複数のフレームに
分割される音情報を記憶する。記憶手段11はまた、必
要に応じて補間を行うときは、ステップ3における補間
結果も保持する。演算処理手段12は、ステップ2にお
ける複数フレームへの分割処理、ステップ3の補間処
理、ステップ4の移動音の生成処理、ステップ5の図6
に図解したステップへの生成した音信号の出力処理、お
よび、ステップ6の終了判断処理を行う。 出力手段1
3は、演算処理手段12で演算した音信号結果を複数の
スピーカに出力する。記憶手段11、演算処理手段12
および出力手段13はたとえば、メモリ、CPU、出力
インタフェースを有するコンピュータを用いて実現でき
る。
【0046】たとえば、コンピュータのCPUで構成さ
れる演算処理手段12の処理は、各サンプリング時間ご
とに、上述したステップ2における複数フレームへの分
割処理、ステップ3の補間処理、ステップ4の移動音の
生成処理、ステップ5の図6に図解したステップへの生
成した音信号の出力処理、および、ステップ6の終了判
断処理を行う。なお、演算処理手段12を、上記各ステ
ップの処理に対応させて、図8に図解したように、フレ
ーム分割手段121と、補間処理手段122と、移動音
生成処理手段123と、音信号出力処理手段124に分
割して構成することもできる。なお、高速な信号処理が
必要な場合、これらの手段をディジタル信号プロセッサ
(DSP)などで実現することもできる。
【0047】図7および図8に図解した本発明の1実施
の形態としての3次元移動音生成装置は既存のハードウ
エア、たとえば、既存のコンピュータ、既存のDSPな
どを用いて実現することができ、その実施は容易であ
る。
【0048】上述した本発明の実施の形態の3次元移動
音生成方法または3次元移動音生成装置を、コンピュー
タゲーム、航空管制、会議電話などに適用すると、映像
の移動に同期して音が移動する仮想音源の移動が実現で
きる。そのような移動音を用いると臨場感が一層向上す
る。
【0049】本発明の実施の形態に際しては上述した実
施の形態に限定されず、種々の変形態様をとることがで
きる。
【0050】
【発明の効果】本発明の3次元移動音生成方法によれ
ば、比較的簡単な方法で、仮想音源が移動していく移動
音を正確に再生することができる。特に、本発明の3次
元移動音生成方法は、視聴者の移動方向に対する両耳応
答を考慮しており、視聴者にとって臨場感に富んだ正確
な移動音を提供できる。
【0051】本発明の3次元移動音生成装置によれば、
比較的簡単な方法で、既存のハードウエアを活用して、
仮想音源が移動していく移動音を正確に再生することが
できる。特に、本発明の3次元移動音生成方法は、視聴
者の移動方向に対する両耳応答を考慮しており、視聴者
にとって臨場感に富んだ正確な移動音を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の例示として仮想音源の音を移動
させて移動音を生成する態様を図解した図である。
【図2】図2は本発明の移動音を生成する方法を図解し
たグラフである。
【図3】図3は視聴者の左右の耳と仮想音源との距離の
相違を図解した図である。
【図4】図4は本発明の1例の実験結果を示すグラフで
ある。
【図5】図5は本発明の1実施の形態としての3次元移
動音生成方法の処理を示すフローチャートである。
【図6】図6は本発明の音再生手段の1例としての複数
のスピーカの配置を図解した図である。
【図7】図7は図5に図解した処理を実施する本発明の
1実施の形態の3次元移動音生成装置の構成図である。
【図8】図8は図7に図解した演算処理手段の構成を図
解した図である。
【図9】図9は従来技術の1例を図解した図である。
【符号の説明】
11・・記憶手段、12・・演算処理手段、13・・出
力手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山中 晋 東京都八王子市中野町2665−1 工学院大 学内 Fターム(参考) 5D062 CC16

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の音再生手段を移動音を再生可能に3
    次元状に配設する段階と、 移動方向に沿った複数の位置における複数の仮想音源に
    おける予め得られた音情報と、移動する音情報を定位さ
    せるべき予め得られた視聴者の両耳応答とを、ある位置
    における仮想音源における音情報とその位置に対する両
    耳応答を用いて畳み込み、前回の処理のときの繰越分を
    残響成分として上記畳み込み結果に加算し、前回までの
    処理結果と今回の処理結果とを結合する段階と、 前記生成された音信号を前記複数の音再生手段に、前記
    仮想音源から発せられた音が移動していくように出力す
    る音出力段階と、 を有する3次元移動音生成方法。
  2. 【請求項2】前記音情報と両耳応答との畳み込み演算を
    下記の演算式に従って行うことを特徴とする、 【数1】hk (n) *x(n) =y(n) ただし、x(n) はn番目の位置における仮想音源であ
    り、hk (n) はk番目の仮想音源位置x(n) と視聴者の
    両耳(左右の耳の)との間の応答であり、y(n) は音信
    号である。 請求項1記載の3次元移動音生成方法。
  3. 【請求項3】前記処理結果には、それ以前の処理におけ
    る音情報の直接音を含まない、 請求項2記載の3次元移動音生成方法。
  4. 【請求項4】一連の複数の仮想音源の音情報を複数フレ
    ームに分割し、該フレームに分割された音情報について
    上記演算処理を行う、 請求項1〜3いずれか記載の3次元移動音生成方法。
  5. 【請求項5】前記各フレームに分割した音について、移
    動方向に沿って隣接する仮想音源の間、あるいは、隣接
    した補間仮想音源の間を複数に補間した補間仮想音源に
    対する音情報を補間する、 請求項4記載の3次元移動音生成方法。
  6. 【請求項6】移動音を再生可能に3次元状に配設された
    複数の音再生手段と、 移動方向に沿った複数の位置における複数の仮想音源に
    おける予め得られた音情報と、移動する音情報を定位さ
    せるべき予め得られた視聴者の両耳応答とを、ある位置
    における仮想音源における音情報とその位置に対する両
    耳応答を用いて畳み込み、前回の処理のときの繰越分を
    残響成分として上記畳み込み結果に加算し、前回までの
    処理結果と今回の処理結果とを結合する演算処理手段
    と、 前記生成された音信号を前記複数の音再生手段に前記仮
    想音源から発せられた音が移動していくように出力する
    音出力手段と、 を有する3次元移動音生成装置。
  7. 【請求項7】前記演算処理手段は、前記音情報と両耳応
    答との畳み込み演算を下記の演算式に従って行う、 【数2】hk (n) *x(n) =y(n) ただし、x(n) はn番目の位置における仮想音源であ
    り、hk (n) はk番目の仮想音源位置x(n) と視聴者の
    両耳(左右の耳の)との間の応答であり、y(n) は音信
    号である。 請求項6記載の3次元移動音生成装置。
  8. 【請求項8】前記演算処理手段における前記処理結果に
    は、それ以前の処理における音情報の直接音を含まな
    い、 請求項7記載の3次元移動音生成装置。
  9. 【請求項9】前記演算処理手段は、一連の複数の仮想音
    源の音情報を複数フレームに分割し、該フレームに分割
    された音情報について上記演算処理を行う、 請求項6〜8いずれか記載の3次元移動音生成装置。
  10. 【請求項10】前記演算処理手段は、前記各フレームに
    分割した音について、移動方向に沿って隣接する仮想音
    源の間、あるいは、隣接した補間仮想音源の間を複数に
    補間した補間仮想音源に対する音情報を補間する、 請求項9記載の3次元移動音生成装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101576294B1 (ko) 2008-08-14 2015-12-11 삼성전자주식회사 가상 현실 시스템에서 사운드 처리를 수행하기 위한 장치 및 방법

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