JP2003070345A - 発根用支持体 - Google Patents
発根用支持体Info
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Abstract
られた鍔部とからなる発根用支持体を用いてシュートを
発根させた場合の発根率を向上させ、効率良くクローン
苗を生産する。 【解決手段】 植物シュートの挿し付け部とその上端に
設けられた鍔部とからなる発根用支持体において、該鍔
部の少なくとも一部に切欠き部及び/又は開口部を設け
ることにより、鍔部を境界とした培養容器上部と下部の
ガス交換をスムーズとする。尚、切欠き部及び/又は開
口部の総面積は、開口率10%以上となるように設ける
ことが望ましい。
Description
発根させる際に用いる、発根用支持体に関する。
れた植物のシュートを発根させてクローン苗を生産する
場合、これらのシュートは、砂、土、バーミキュライ
ト、パーライト、ミズゴケ、ピートモス、寒天、発泡ウ
レタン樹脂等からなる発根用支持体に挿し付けられる。
中でも、発泡ウレタン樹脂等の合成高分子系発泡素材は
様々な形状に成形して使用できる他、シュートの発根後
は支持体ごと移植できるので、その根を傷めることが少
なく、加えて滅菌処理が容易である等、多くの点で取扱
い性に優れており、近年、広く使用されている。
た発根用支持体(11)として一般的なものに、植物シ
ュートの挿し付け部(12)とその上端に設けられた鍔
部(13)とからなるものがある(図5〜図8)。これ
は普通、挿し付け部(12)が鍔部(13)を介して、
一定の間隔で多数連結された形(図9)で市販されてお
り、使用にあたっては、この挿し付け部(12)を適宜
切離して用いる。即ち、挿し付けるシュートの数や培養
容器の大きさ等に応じ、シュート挿し付け部(12)を
1個又は複数個づつ、鍔部(13)で切離してから培養
容器に入れ、その植物の発根に適した液体培地でこれを
十分に湿潤させた後、植物のシュートを挿し付けて発根
させる。
た発根用支持体において、多数のシュート挿し付け部を
連結させたまま用いた場合には、支持体内側に位置する
挿し付け部(培養容器内壁に隣接するシュート挿し付け
部の内側に位置する挿し付け部、以下、単に内側の挿し
付け部という。)に挿し付けたシュートの発根率が悪い
ため、クローン苗の生産性が上がらないという問題があ
った。
鋭意研究を行った結果、シュート挿し付け部の上端に設
けられた鍔部に切欠き及び/又は開口部を設けること
で、上記課題が解決されることを見出し、本願発明を完
成させた。
け部とその上端に設けられた鍔部とからなる発根用支持
体において、該鍔部の少なくとも一部に切欠き部及び/
又は開口部を設けることを特徴とする。
4に基づき詳細に説明する。
(2)とその上端に設けられた鍔部(3)とからなる発
根用支持体(1)に適用される。発根用支持体(1)の
材料は、これを上記形状に成形して使用する際に、実用
上、支障を生じない強度を有するものであれば何であっ
ても構わない。しかし、中でも、発泡ウレタン樹脂等の
合成高分子系発泡素材は、各種形状に成形しやすく、ま
た、挿し付け部(2)に十分な空気が供給される程度の
空隙も確保できるので、本願発明の発根用支持体(1)
の材料として望ましい。ちなみに、挿し付け部(2)と
鍔部(3)は同じ材料で形成されていても異なる材料で
形成されていても構わない。
の発根用支持体(1)が、鍔部(3)を介して、植物シ
ュートの挿し付け部(2)を一定間隔で複数個連結して
なるものである場合に、特に大きな効果を発揮する。か
かる発根用支持体(1)は、各挿し付け部(2)の上端
に設けられた鍔部(3)同士を、接着剤や特定の嵌め込
み構造等、種々の方法によって結合することにより得ら
れるが、発泡ウレタン樹脂等の合成高分子系発泡素材を
材料とする場合においては、各挿し付け部(2)及びこ
れらを連結する鍔部(3)を一体に成形することがで
き、生産性やコスト、そして強度の点から有利となる。
にも、組織培養により得られたシュートにも適用でき
る。具体的には、実生苗から、又は、組織培養により得
られた定芽、不定芽そして多芽体より得られる芽を伸長
させたもの、さらには挿し木で用いる挿し穂等にも適用
することができる。
物シュートの挿し付け部(2)の形状は、図1に示した
直方体状のみならず、円柱状、角錐状、円錐状、角錐台
状、円錐台状等とすることができる。しかし、この部分
の形状は、基本的に、挿し付けたシュートを倒れないよ
うに保持することができる深さ(d)と、発根した苗を
馴化工程に移すまでの間、シュートから生じる根の生育
環境を保護できる体積があるものであれば、上記例示し
た形状に限らず、どのような形状であっても問題はな
い。また、この挿し付け部(2)に、シュート挿し付け
用穴(6)を予め設けておけば、発泡ウレタン樹脂成形
体等、比較的固い発根用支持体にシュートを挿し付ける
場合でも、挿し付け作業をスムーズに行うことができ
る。
いて挿し付け部(2)の上端に設けられる鍔部(3)に
は、切欠き部(4)及び/又は開口部(5)を設ける。
切欠き部(4)及び/又は開口部(5)は、鍔部(3)
の実用上必要とされる強度を損なわない限り、いかなる
形状、いかなる数、そしていかなる位置にでも設けるこ
とができる。図1〜図4に示した切欠き部(4)又は開
口部(5)はその一例であり、図1及び図2において
は、切欠き部(4)が発根用支持体(1)の外周をなす
鍔部(3)に、隣合う挿し付け部(2)の間に楔形に設
けられ、図3においては、長方形の開口部(5)が発根
用支持体(1)内側に、支持体外縁(7)と平行に設け
られ、図4においては、円形の開口部(5)が発根用支
持体(1)内側に、その中心部から対角線に沿って放射
状に設けられている。
(5)の面積は、以下の式で算出される開口率が10%
以上となるように設けることが望ましい。
た切欠き部(4)及び/又は開口部(5)の総面積、S
はシュート挿し付け部(2)上端の総面積、Bは鍔部
(3)上面の総面積である。本願発明の発根用支持体
(1)において、この開口率が10%以上であれば、こ
れを用いて植物シュートを発根させた場合に、より大幅
な発根率の改善が見こまれる。
設けられる鍔は、培養容器の移動に伴う振動等によっ
て、容器中の発根用支持体が倒れたり、培養容器内壁と
ぶつかって欠けたり潰れたりしないように、その外縁を
培養容器内壁にできるだけ密着させることで、発根用支
持体を培養容器内に固定する役割を果たしている。
が、発根用支持体に挿し付けられたシュートの発根を阻
害していると考えた。即ち、このようにして発根用支持
体を培養容器内に固定すると、この鍔部を境界として培
養容器内の上部と下部とのガス交換が阻害され、鍔部か
ら下の培養容器下部の環境は、シュートから生じた根に
よって酸素が消費される一方、外部からの酸素供給が殆
どないので酸素欠乏状態となり、そのため、発根率、特
に内側の挿し付け部に挿し付けられたシュートの発根率
が低下するのである。
は、鍔部の少なくとも一部に切欠き部及び/又は開口部
を設け、培養容器上部と下部のスムーズなガス交換を可
能とした。すると、発根用支持体に挿し付けられたシュ
ートの発根率が向上したばかりではなく、驚くべきこと
に、切欠き部及び/又は開口部の形状や配置に関らず、
内側の挿し付け部に挿し付けられたシュートの発根率
が、外側の挿し付け部(培養容器内壁に隣接するシュー
ト挿し付け部)に挿し付けられたシュートの発根率よ
り、むしろ高い値を示すようになったのである。
る。
ス(Eucalyptus globulus、以下、E.グロビュラスと
いう。)5年生個体の当年生枝から、特開平8−228
621に示す方法を用いて多芽体を誘導した。
持体(日本曹達(株)製『オアシス』)に、図1及び図
2に示すような形状・配置の切欠き(4)を、鍔部
(3)上面に対しほぼ垂直方向に設けた発根用支持体
(1)を用意して、その鍔部(3)の外縁(7)が、切
欠き部(4)を除いて容器内壁に密着するような大きさ
と形状の培養容器に入れ、これを固定した。次いで、こ
の発根用支持体(1)を、IBA1mg/l添加のMS
液体培地で湿潤させてから、そのシュート挿し付け用穴
(6)に、上記多芽体から伸長してきたシュートを切取
って挿し付け、非無菌下、温度24℃、湿度60%、炭
酸ガス濃度500ppm、光強度40μmol/m2/
s・16時間日長で4週間培養し、発根率を調査した。
植物シュート挿し付け部(2)が縦5×横5=計25個
連結されており、発根用支持体(1)全体の寸法は縦1
1cm、横11cm、深さ3cm、挿し付け部(2)の
寸法は、縦1.7cm、横1.7cm、深さ3cm、鍔
部(3)の寸法は、その幅が、発根用支持体(1)の外
周をなす部分で0.45cm、挿し付け部(2)間で
0.4cm、また、その厚さが0.4cmであり、切欠
き部(4)の全面積Hは24.2cm2、そして開口率
Rは20%であった。結果を表1に示す。
鍔部(3)に図3に示すような形状・配置の開口部
(5)を設けたものを用いた他は、実施例1と同様にし
てE.グロビュラス多芽体から得られたシュートについ
て、発根率を調査した。
5.7cm2、開口率Rは13%であった。結果を表1
に示す。
鍔部(3)に図4に示すような形状・配置の開口部
(5)を設けたものを用いた他は、実施例1と同様にし
てE.グロビュラス多芽体から得られたシュートについ
て、発根率を調査した。
1cm2、開口率Rは5%であった。結果を表1に示
す。
切欠き部(4)及び開口部(5)がないものを用いた他
は、実施例1と同様にしてE.グロビュラス多芽体から
得られたシュートについて、発根率を調査した。
部(5)の全面積Hは0cm2、開口率Rは0%であっ
た。結果を表1に示す。
発根用支持体においては、その鍔部に切欠き部や開口部
を設けることにより、植物シュート挿し付け部に挿し付
けたE.グロビュラスの発根率が向上し、開口率が10
%以上になると、内側の挿し付け部に挿し付けられたシ
ュートでも、外側の挿し付け部に挿し付けられたシュー
トでも、50%以上の発根率を示した。なお、発根率の
向上効果は、特に、内側の挿し付け部において顕著であ
り、実施例1〜3のいずれの場合でも、外側の挿し付け
部よりも高い発根率を示した。
付け部とその上端に設けられた鍔部とからなる発根用支
持体を、培養容器内壁に鍔部外縁を密着させて用いた場
合でも、この鍔部の上部と下部のガス交換がスムーズに
行われるため、培養容器下部が酸素欠乏状態となること
がない。従って、植物シュート挿し付け部に挿し付けら
れたシュートも、良好な発根率を示す。これは特に、発
根用支持体が、鍔部を介して、植物シュート挿し付け部
を一定間隔で複数個連結してなるものである場合に、大
きな効果を発揮する。
おいて顕著であり、鍔部に設けられた切欠き部及び/又
は開口部の形状や配置に関らず、内側の挿し付け部に挿
し付けられたシュートの発根率は、外側の挿し付け部に
挿し付けられたシュートの発根率よりも高い値を示すよ
って、本願発明によれば、クローン苗の大量生産を、簡
易にかつ効率的に行うことができる。
図である。
見た概略図である。
見た概略図である。
見た概略図である。
ある。
ある。
ある。
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 植物シュートの挿し付け部とその上端に
設けられた鍔部とからなる発根用支持体において、該鍔
部の少なくとも一部に切欠き部及び/又は開口部を設け
たことを特徴とする、発根用支持体。 - 【請求項2】 植物シュートの挿し付け部が、その上端
に設けられた鍔部を介し、一定の間隔をもって複数個連
結されていることを特徴とする、請求項1に記載の発根
用支持体。 - 【請求項3】 以下の式で算出される開口率が10%以
上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の発
根用支持体。 R=H/(H+S+B)×100 (ここで、Rは開口率、Hは鍔部に設けられた切欠き部
及び/又は開口部の総面積、Sは挿し付け部上端の総面
積、Bは鍔部上面の総面積である。) - 【請求項4】 発根用支持体の外周をなす鍔部に切欠き
部を設けたことを特徴とする、請求項1、2又は3に記
載の発根用支持体。 - 【請求項5】 植物がユーカリ属に属する植物であるこ
とを特徴とする、請求項1、2、3又は4に記載の発根
用支持体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001267161A JP2003070345A (ja) | 2001-09-04 | 2001-09-04 | 発根用支持体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001267161A JP2003070345A (ja) | 2001-09-04 | 2001-09-04 | 発根用支持体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003070345A true JP2003070345A (ja) | 2003-03-11 |
Family
ID=19093335
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001267161A Pending JP2003070345A (ja) | 2001-09-04 | 2001-09-04 | 発根用支持体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003070345A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105794552A (zh) * | 2014-12-30 | 2016-07-27 | 王亚军 | 一种玉米顶腐病的防治方法 |
-
2001
- 2001-09-04 JP JP2001267161A patent/JP2003070345A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN105794552A (zh) * | 2014-12-30 | 2016-07-27 | 王亚军 | 一种玉米顶腐病的防治方法 |
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