JP2003067566A - 不動産資産担保証券の優先及び劣後部分のプライシング方法及び不動産資産担保証券の優先及び劣後部分のx%バリューアットリスクを算出する方法 - Google Patents
不動産資産担保証券の優先及び劣後部分のプライシング方法及び不動産資産担保証券の優先及び劣後部分のx%バリューアットリスクを算出する方法Info
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- JP2003067566A JP2003067566A JP2001252262A JP2001252262A JP2003067566A JP 2003067566 A JP2003067566 A JP 2003067566A JP 2001252262 A JP2001252262 A JP 2001252262A JP 2001252262 A JP2001252262 A JP 2001252262A JP 2003067566 A JP2003067566 A JP 2003067566A
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Landscapes
- Financial Or Insurance-Related Operations Such As Payment And Settlement (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】不動産ABSについて新規なプライシング技術
を提供する。 【解決手段】不動産ABSの優先部分のプライシング方
法は、優先部分の償還条件を満たす無リスク債券価格の
情報を取得し、優先部分の元本総額の償還遅れをヘッジ
するためのオプション価格の情報を取得し、優先部分の
償還時における償還額の元本割れをヘッジするためのオ
プション価格の情報を計算し、これらの情報を用いて不
動産ABSの優先部分の価格を決定する。不動産ABS
の劣後部分のプライシング方法は、劣後部分の償還期間
後を行使時点とし、不動産資産担保証券の優先部分の元
本総額を行使価格とし、不動産を原資産とするコール・
オプションの価格を計算し、第1のコール・オプション
の価格を用いて不動産ABSの劣後部分の価格を決定す
る。
を提供する。 【解決手段】不動産ABSの優先部分のプライシング方
法は、優先部分の償還条件を満たす無リスク債券価格の
情報を取得し、優先部分の元本総額の償還遅れをヘッジ
するためのオプション価格の情報を取得し、優先部分の
償還時における償還額の元本割れをヘッジするためのオ
プション価格の情報を計算し、これらの情報を用いて不
動産ABSの優先部分の価格を決定する。不動産ABS
の劣後部分のプライシング方法は、劣後部分の償還期間
後を行使時点とし、不動産資産担保証券の優先部分の元
本総額を行使価格とし、不動産を原資産とするコール・
オプションの価格を計算し、第1のコール・オプション
の価格を用いて不動産ABSの劣後部分の価格を決定す
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不動産資産担保証
券についてのプライシング及びバリューアットリスク
(VaR)の算出技術に関する。
券についてのプライシング及びバリューアットリスク
(VaR)の算出技術に関する。
【0002】
【従来の技術】昨今、企業により資産の流動化として、
特定の資産を裏付けにして証券を発行し資金を調達する
証券化が数多く行われるようになってきた。これによ
り、保有している資産を流動化して、新たな資産調達の
途を拓くことにより財務面の改善を図ることができるよ
うになる。なお、流動化対象の資産には、不動産や、リ
ース債券、ローン債券などがある。
特定の資産を裏付けにして証券を発行し資金を調達する
証券化が数多く行われるようになってきた。これによ
り、保有している資産を流動化して、新たな資産調達の
途を拓くことにより財務面の改善を図ることができるよ
うになる。なお、流動化対象の資産には、不動産や、リ
ース債券、ローン債券などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来不動産の
証券化、特にプライシングやVaRの算出については、
厳密な議論がなされてこなかった。従って、実際に証券
化された不動産資産担保証券(不動産ABS(Asset Ba
cked Securities))の価格の根拠や、VaRの値の正
確さといった面で問題があった。
証券化、特にプライシングやVaRの算出については、
厳密な議論がなされてこなかった。従って、実際に証券
化された不動産資産担保証券(不動産ABS(Asset Ba
cked Securities))の価格の根拠や、VaRの値の正
確さといった面で問題があった。
【0004】よって本発明の目的は、不動産ABSにつ
いて新規なプライシング及びVaR算出技術を提供する
ことである。
いて新規なプライシング及びVaR算出技術を提供する
ことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様に係
る、不動産資産担保証券の優先部分のプライシング方法
は、優先部分の償還条件を満たす無リスク債券価格の情
報を取得し、記憶装置に格納するステップと、優先部分
の元本総額の償還遅れをヘッジするためのオプション価
格の情報を取得し、記憶装置に格納するステップと、優
先部分の償還時における償還額の元本割れをヘッジする
ためのオプション価格を計算し、記憶装置に格納するス
テップと、無リスク債券価格と優先部分の元本総額の償
還遅れをヘッジするためのオプション価格と優先部分の
償還時における償還額の元本割れをヘッジするためのオ
プション価格とを用いて不動産資産担保証券の優先部分
の価格を決定し、記憶装置に格納する価格決定ステップ
とを含む。
る、不動産資産担保証券の優先部分のプライシング方法
は、優先部分の償還条件を満たす無リスク債券価格の情
報を取得し、記憶装置に格納するステップと、優先部分
の元本総額の償還遅れをヘッジするためのオプション価
格の情報を取得し、記憶装置に格納するステップと、優
先部分の償還時における償還額の元本割れをヘッジする
ためのオプション価格を計算し、記憶装置に格納するス
テップと、無リスク債券価格と優先部分の元本総額の償
還遅れをヘッジするためのオプション価格と優先部分の
償還時における償還額の元本割れをヘッジするためのオ
プション価格とを用いて不動産資産担保証券の優先部分
の価格を決定し、記憶装置に格納する価格決定ステップ
とを含む。
【0006】本発明の第1の態様において、優先部分の
各配当条件を満たす第2の無リスク債券価格の情報を取
得し、記憶装置に格納するステップと、優先部分の各配
当額の想定配当額割れをヘッジするためのオプション価
格を計算し、記憶装置に格納するステップとをさらに含
み、上で述べた価格決定ステップを、無リスク債券価格
及び前記第2の無リスク債券価格と、優先部分の元本総
額の償還遅れをヘッジするためのオプション価格と優先
部分の償還時における償還額の元本割れをヘッジするた
めのオプション価格と優先部分の各配当額の想定配当額
割れをヘッジするためのオプション価格とを用いて不動
産資産担保証券の優先部分の価格を決定し、記憶装置に
格納するステップとすることも可能である。
各配当条件を満たす第2の無リスク債券価格の情報を取
得し、記憶装置に格納するステップと、優先部分の各配
当額の想定配当額割れをヘッジするためのオプション価
格を計算し、記憶装置に格納するステップとをさらに含
み、上で述べた価格決定ステップを、無リスク債券価格
及び前記第2の無リスク債券価格と、優先部分の元本総
額の償還遅れをヘッジするためのオプション価格と優先
部分の償還時における償還額の元本割れをヘッジするた
めのオプション価格と優先部分の各配当額の想定配当額
割れをヘッジするためのオプション価格とを用いて不動
産資産担保証券の優先部分の価格を決定し、記憶装置に
格納するステップとすることも可能である。
【0007】本発明の第2の態様に係る、不動産資産担
保証券の優先部分のプライシング方法は、優先部分の償
還条件を満たす無リスク債券価格の情報を取得し、記憶
装置に格納するステップと、優先部分の償還期限後を行
使時点とし、優先部分の元本総額を額面とし、償還期限
以降償還猶予期限内のいずれかの時点で償還可能な債券
(例えば実施の形態においてはコーラブル債)を優先部
分の元本総額で売却するための第1のプット・オプショ
ン(満期償還の遅れをヘッジするためのプット・オプシ
ョン。例えばバミューダ・スワップションに代替され得
る。)の価格の情報を取得し、記憶装置に格納する第1
プット・オプション価格取得ステップと、優先部分の償
還期限以降償還猶予期限内を行使期間とし、不動産を原
資産とし、優先部分の元本総額を行使価格とする第2の
プット・オプション(例えば実施の形態においてはアメ
リカン・プット・オプション。満期時点での元本の目減
りをヘッジするためのプット・オプション)の価格を計
算し、記憶装置に格納する第2プット・オプション価格
計算ステップと、無リスク債券価格と第1及び第2のプ
ット・オプションの価格とを用いて不動産資産担保証券
の優先部分の価格を決定し、記憶装置に格納する価格決
定ステップとを含む。
保証券の優先部分のプライシング方法は、優先部分の償
還条件を満たす無リスク債券価格の情報を取得し、記憶
装置に格納するステップと、優先部分の償還期限後を行
使時点とし、優先部分の元本総額を額面とし、償還期限
以降償還猶予期限内のいずれかの時点で償還可能な債券
(例えば実施の形態においてはコーラブル債)を優先部
分の元本総額で売却するための第1のプット・オプショ
ン(満期償還の遅れをヘッジするためのプット・オプシ
ョン。例えばバミューダ・スワップションに代替され得
る。)の価格の情報を取得し、記憶装置に格納する第1
プット・オプション価格取得ステップと、優先部分の償
還期限以降償還猶予期限内を行使期間とし、不動産を原
資産とし、優先部分の元本総額を行使価格とする第2の
プット・オプション(例えば実施の形態においてはアメ
リカン・プット・オプション。満期時点での元本の目減
りをヘッジするためのプット・オプション)の価格を計
算し、記憶装置に格納する第2プット・オプション価格
計算ステップと、無リスク債券価格と第1及び第2のプ
ット・オプションの価格とを用いて不動産資産担保証券
の優先部分の価格を決定し、記憶装置に格納する価格決
定ステップとを含む。
【0008】このように、金利性の第1のプット・オプ
ションの情報を取得し、満期時点での元本の目減りをヘ
ッジするための第2のプット・オプションの価格を例え
ば実施の形態のようなモデルの下に算出し、例えば無リ
スク債券価格から第1及び第2のプット・オプションの
価格を減ずることにより、不動産ABSの優先部分の価
格を計算することができるようになる。なお、これは不
動産ABSの優先部分には配当が無い場合の例である。
ションの情報を取得し、満期時点での元本の目減りをヘ
ッジするための第2のプット・オプションの価格を例え
ば実施の形態のようなモデルの下に算出し、例えば無リ
スク債券価格から第1及び第2のプット・オプションの
価格を減ずることにより、不動産ABSの優先部分の価
格を計算することができるようになる。なお、これは不
動産ABSの優先部分には配当が無い場合の例である。
【0009】また、本発明の第2の態様において、優先
部分の各配当条件(例えば配当時期及び配当額による条
件)を満たす第2の無リスク債券価格の情報を取得し、
記憶装置に格納するステップと、優先部分の各配当時期
を各行使時期とし、不動産又は不動産の賃料収入を原資
産とし、各配当金額を行使価格とする第3のプット・オ
プションの価格(配当が複数回あれば、複数の値を含
む)を計算し、記憶装置に格納する第3プット・オプシ
ョン価格計算ステップとをさらに含み、上で述べた価格
決定ステップを、無リスク債券価格及び第2の無リスク
債券価格と第1乃至第3のプット・オプションの価格と
を用いて不動産資産担保証券の優先部分の価格を決定
し、記憶装置に格納するステップとするような構成も可
能である。
部分の各配当条件(例えば配当時期及び配当額による条
件)を満たす第2の無リスク債券価格の情報を取得し、
記憶装置に格納するステップと、優先部分の各配当時期
を各行使時期とし、不動産又は不動産の賃料収入を原資
産とし、各配当金額を行使価格とする第3のプット・オ
プションの価格(配当が複数回あれば、複数の値を含
む)を計算し、記憶装置に格納する第3プット・オプシ
ョン価格計算ステップとをさらに含み、上で述べた価格
決定ステップを、無リスク債券価格及び第2の無リスク
債券価格と第1乃至第3のプット・オプションの価格と
を用いて不動産資産担保証券の優先部分の価格を決定
し、記憶装置に格納するステップとするような構成も可
能である。
【0010】各配当についても不動産の賃料収入の目減
りによる配当金額の目減りをヘッジするための第3のプ
ット・オプションの価格を実施の形態のようなモデルの
下に算出し、例えば配当金に対応する第2の無リスク債
券価格と不動産ABSの優先部分の元本に対応する無リ
スク債券価格の和の値からヘッジコストである第1乃至
第3のプット・オプションの価格を減ずることにより不
動産ABSの優先部分の価格を決定することができるよ
うになる。
りによる配当金額の目減りをヘッジするための第3のプ
ット・オプションの価格を実施の形態のようなモデルの
下に算出し、例えば配当金に対応する第2の無リスク債
券価格と不動産ABSの優先部分の元本に対応する無リ
スク債券価格の和の値からヘッジコストである第1乃至
第3のプット・オプションの価格を減ずることにより不
動産ABSの優先部分の価格を決定することができるよ
うになる。
【0011】なお、上で述べた第2プット・オプション
価格計算ステップにおいては、少なくとも不動産の価格
のボラティリティと、金利情報と、不動産価格と、優先
部分の元本総額とを用いて第2のプット・オプションの
価格を計算する場合もある。
価格計算ステップにおいては、少なくとも不動産の価格
のボラティリティと、金利情報と、不動産価格と、優先
部分の元本総額とを用いて第2のプット・オプションの
価格を計算する場合もある。
【0012】また、上で述べた第3プット・オプション
価格計算ステップにおいては、少なくとも不動産又は賃
料収入の価格のボラティリティ(例えば収益還元法によ
り不動産価格が決定される場合には実質的に両者は同じ
になる)と、金利情報と、賃料価格と、優先部分の配当
金額とを用いて第3のプット・オプションの価格を計算
する場合もある。
価格計算ステップにおいては、少なくとも不動産又は賃
料収入の価格のボラティリティ(例えば収益還元法によ
り不動産価格が決定される場合には実質的に両者は同じ
になる)と、金利情報と、賃料価格と、優先部分の配当
金額とを用いて第3のプット・オプションの価格を計算
する場合もある。
【0013】本発明の第3の態様に係る、不動産資産担
保証券の優先部分のx%バリューアットリスクを算出す
る方法は、優先部分の元本総額を行使価格とし、優先部
分の償還期限後(例えば償還期限後償還猶予期限内)を
行使時点とする不動産を原資産とするt年後のプット・
オプションの価格の期待値を計算し、記憶装置に格納す
る期待値計算ステップと、不動産を原資産とするt年後
のプット・オプションについて(100−x)%の確率
で発生する最大損失額(例えばx=99であれば1%il
e点)を計算し、記憶装置に格納する最大損失額計算ス
テップと、不動産を原資産とするt年後のプット・オプ
ションについて(100−x)%の確率で発生する最大
損失額と不動産を原資産とするt年後のプット・オプシ
ョンの価格の期待値とを用いて不動産資産担保証券の優
先部分のx%バリューアットリスクを算出し、記憶装置
に格納するバリューアットリスク計算ステップとを含
む。
保証券の優先部分のx%バリューアットリスクを算出す
る方法は、優先部分の元本総額を行使価格とし、優先部
分の償還期限後(例えば償還期限後償還猶予期限内)を
行使時点とする不動産を原資産とするt年後のプット・
オプションの価格の期待値を計算し、記憶装置に格納す
る期待値計算ステップと、不動産を原資産とするt年後
のプット・オプションについて(100−x)%の確率
で発生する最大損失額(例えばx=99であれば1%il
e点)を計算し、記憶装置に格納する最大損失額計算ス
テップと、不動産を原資産とするt年後のプット・オプ
ションについて(100−x)%の確率で発生する最大
損失額と不動産を原資産とするt年後のプット・オプシ
ョンの価格の期待値とを用いて不動産資産担保証券の優
先部分のx%バリューアットリスクを算出し、記憶装置
に格納するバリューアットリスク計算ステップとを含
む。
【0014】不動産ABSの優先部分のプライシングに
おいて出てきた無リスク債券については金利リスクはあ
るが、不動産のリスクではなく且つ別の手法にてヘッジ
可能であるので、VaRを算出する上では考慮しない場
合もある。例えば満期時の不動産価格の下落をヘッジす
るためのプット・オプションの価格の期待値から当該プ
ット・オプションについて(100−x)%の確率で発
生する最大損失額を減ずることによりx%VaRの値を
計算することができるようになる。なお、この場合にも
不動産ABSの優先部分の元本のみが考慮されており、
配当については考慮されていない。
おいて出てきた無リスク債券については金利リスクはあ
るが、不動産のリスクではなく且つ別の手法にてヘッジ
可能であるので、VaRを算出する上では考慮しない場
合もある。例えば満期時の不動産価格の下落をヘッジす
るためのプット・オプションの価格の期待値から当該プ
ット・オプションについて(100−x)%の確率で発
生する最大損失額を減ずることによりx%VaRの値を
計算することができるようになる。なお、この場合にも
不動産ABSの優先部分の元本のみが考慮されており、
配当については考慮されていない。
【0015】また、本発明の第3の態様において、優先
部分の各配当金額を行使価格とし、優先部分の各配当時
期を行使時点とする不動産又は不動産の賃料収入を原資
産とするt年後のプット・オプションの価格の第2の期
待値を計算し、記憶装置に格納する第2期待値計算ステ
ップと、不動産又は不動産の賃料収入を原資産とするt
年後のプット・オプションについて(100−x)%の
確率で発生する第2の最大損失額を計算し、記憶装置に
格納する第2最大損失額計算ステップとをさらに含み、
上で述べたバリューアットリスク計算ステップを、最大
損失額及び第2の最大損失額と期待値及び第2の期待値
とを用いて、不動産資産担保証券の優先部分のx%バリ
ューアットリスクを算出し、記憶装置に格納するステッ
プとすることも可能である。
部分の各配当金額を行使価格とし、優先部分の各配当時
期を行使時点とする不動産又は不動産の賃料収入を原資
産とするt年後のプット・オプションの価格の第2の期
待値を計算し、記憶装置に格納する第2期待値計算ステ
ップと、不動産又は不動産の賃料収入を原資産とするt
年後のプット・オプションについて(100−x)%の
確率で発生する第2の最大損失額を計算し、記憶装置に
格納する第2最大損失額計算ステップとをさらに含み、
上で述べたバリューアットリスク計算ステップを、最大
損失額及び第2の最大損失額と期待値及び第2の期待値
とを用いて、不動産資産担保証券の優先部分のx%バリ
ューアットリスクを算出し、記憶装置に格納するステッ
プとすることも可能である。
【0016】配当の目減りをヘッジするためのプット・
オプションの価格の期待値(配当が複数回あれば複数の
値を含む)及びそのプット・オプションについて(10
0−x)%の確率で発生する第2の最大損失額(配当が
複数回あれば複数の値を含む)も、元本と同様のモデル
で計算することができる。そして、例えば最大損失額及
び第2の最大損失額の和の値から期待値及び第2の期待
値を減ずることにより、配当部分を考慮したx%VaR
を算出することができるようになる。
オプションの価格の期待値(配当が複数回あれば複数の
値を含む)及びそのプット・オプションについて(10
0−x)%の確率で発生する第2の最大損失額(配当が
複数回あれば複数の値を含む)も、元本と同様のモデル
で計算することができる。そして、例えば最大損失額及
び第2の最大損失額の和の値から期待値及び第2の期待
値を減ずることにより、配当部分を考慮したx%VaR
を算出することができるようになる。
【0017】なお、上で述べた期待値計算ステップ又は
最大損失額計算ステップにおいて、少なくとも不動産の
価格のボラティリティと、金利情報と、不動産価格と、
優先部分の元本総額とを用いて期待値を計算するような
場合もある。
最大損失額計算ステップにおいて、少なくとも不動産の
価格のボラティリティと、金利情報と、不動産価格と、
優先部分の元本総額とを用いて期待値を計算するような
場合もある。
【0018】本発明の第4の態様に係る、不動産資産担
保証券の劣後部分のプライシング方法は、劣後部分の償
還期間後を行使時点とし、不動産資産担保証券の優先部
分の元本総額を行使価格とし、不動産を原資産とする第
1のコール・オプションの価格を計算し、記憶装置に格
納する第1コール・オプション価格計算ステップと、第
1のコール・オプションの価格を用いて不動産資産担保
証券の劣後部分の価格を決定し、記憶装置に格納する価
格決定ステップと、を含む。
保証券の劣後部分のプライシング方法は、劣後部分の償
還期間後を行使時点とし、不動産資産担保証券の優先部
分の元本総額を行使価格とし、不動産を原資産とする第
1のコール・オプションの価格を計算し、記憶装置に格
納する第1コール・オプション価格計算ステップと、第
1のコール・オプションの価格を用いて不動産資産担保
証券の劣後部分の価格を決定し、記憶装置に格納する価
格決定ステップと、を含む。
【0019】劣後部分の元本については、上で述べたよ
うな第1のコール・オプションと同様に考えることがで
き、当該コール・オプションの価格を以下で述べるよう
なモデルの下に算出する。
うな第1のコール・オプションと同様に考えることがで
き、当該コール・オプションの価格を以下で述べるよう
なモデルの下に算出する。
【0020】また、本発明の第4の態様において、劣後
部分の各配当時期を各行使時期とし、不動産又は不動産
の賃料収入を原資産とし、優先部分の各配当金額を行使
価格とする第2のコール・オプションの価格(配当が複
数回であれば複数の値を含む)を計算し、記憶装置に格
納する第2コール・オプション価格計算ステップをさら
に含み、上で述べた価格決定ステップを、第1及び第2
のコール・オプションの価格を用いて不動産資産担保証
券の劣後部分の価格を決定し、記憶装置に格納するステ
ップとすることも可能である。
部分の各配当時期を各行使時期とし、不動産又は不動産
の賃料収入を原資産とし、優先部分の各配当金額を行使
価格とする第2のコール・オプションの価格(配当が複
数回であれば複数の値を含む)を計算し、記憶装置に格
納する第2コール・オプション価格計算ステップをさら
に含み、上で述べた価格決定ステップを、第1及び第2
のコール・オプションの価格を用いて不動産資産担保証
券の劣後部分の価格を決定し、記憶装置に格納するステ
ップとすることも可能である。
【0021】配当を考慮する場合には、元本と同様のモ
デルにて第2のコール・オプションの価格を算出し、例
えば第1及び第2のコール・オプションの価格を加算す
ることにより、プライシングを行うことができる。
デルにて第2のコール・オプションの価格を算出し、例
えば第1及び第2のコール・オプションの価格を加算す
ることにより、プライシングを行うことができる。
【0022】また、本発明の第5の態様において、劣後
部分の償還期限後を行使時点とし、劣後部分の元本総額
を額面とし、償還期限以降償還猶予期限内のいずれかの
時点で償還可能な債券を劣後部分の額面で売却するため
の第1のプット・オプションの価格の情報を取得し、記
憶装置に格納する第1プット・オプション価格取得ステ
ップをさらに含み、上で述べた価格決定ステップを、第
1のコール・オプション又は第1及び第2のコール・オ
プションと第1のプット・オプションの価格とを用いて
不動産資産担保証券の劣後部分の価格を決定し、記憶装
置に格納するステップとすることも可能である。
部分の償還期限後を行使時点とし、劣後部分の元本総額
を額面とし、償還期限以降償還猶予期限内のいずれかの
時点で償還可能な債券を劣後部分の額面で売却するため
の第1のプット・オプションの価格の情報を取得し、記
憶装置に格納する第1プット・オプション価格取得ステ
ップをさらに含み、上で述べた価格決定ステップを、第
1のコール・オプション又は第1及び第2のコール・オ
プションと第1のプット・オプションの価格とを用いて
不動産資産担保証券の劣後部分の価格を決定し、記憶装
置に格納するステップとすることも可能である。
【0023】劣後部分の満期償還遅れを考慮する場合に
は、不動産ABSの優先部分で述べたような償還遅れを
ヘッジするための第1のプット・オプションの価格を取
得し、例えばコール・オプションの価格から減ずること
により劣後部分の価格を決定することができるようにな
る。
は、不動産ABSの優先部分で述べたような償還遅れを
ヘッジするための第1のプット・オプションの価格を取
得し、例えばコール・オプションの価格から減ずること
により劣後部分の価格を決定することができるようにな
る。
【0024】なお、上で述べた第1コール・オプション
価格計算ステップにおいては、少なくとも不動産の価格
のボラティリティと、金利情報と、不動産価格と、劣後
部分の元本総額とを用いて第1のコール・オプションの
価格を計算する場合もある。
価格計算ステップにおいては、少なくとも不動産の価格
のボラティリティと、金利情報と、不動産価格と、劣後
部分の元本総額とを用いて第1のコール・オプションの
価格を計算する場合もある。
【0025】また、第2コール・オプション価格計算ス
テップにおいては、少なくとも不動産又は賃料の価格の
ボラティリティと、金利情報と、賃料価格と、劣後部分
の配当金額とを用いて第2のプット・オプションの価格
を計算する場合もある。
テップにおいては、少なくとも不動産又は賃料の価格の
ボラティリティと、金利情報と、賃料価格と、劣後部分
の配当金額とを用いて第2のプット・オプションの価格
を計算する場合もある。
【0026】本発明の第5の態様に係る、不動産資産担
保証券の劣後部分のx%バリューアットリスクを算出す
る方法は、劣後部分の償還期間後を行使時点とし、不動
産資産担保証券の優先部分の元本総額を行使価格とし、
不動産を原資産とするt年後のコール・オプションの価
格の期待値を計算し、記憶装置に格納する期待値計算ス
テップと、不動産を原資産とするt年後のコール・オプ
ションについてx%の確率でカバーされる範囲における
最大損失額を計算し、記憶装置に格納する最大損失額計
算ステップと、不動産を原資産とするt年後のコール・
オプションの価格の期待値と不動産を原資産とするt年
後のコール・オプションについてx%の確率でカバーさ
れる範囲における最大損失額とを用いて不動産資産担保
証券の劣後部分のx%バリューアットリスクを算出し、
記憶装置に格納するバリューアットリスク計算ステップ
とを含む。但し、この場合配当については考慮していな
い。
保証券の劣後部分のx%バリューアットリスクを算出す
る方法は、劣後部分の償還期間後を行使時点とし、不動
産資産担保証券の優先部分の元本総額を行使価格とし、
不動産を原資産とするt年後のコール・オプションの価
格の期待値を計算し、記憶装置に格納する期待値計算ス
テップと、不動産を原資産とするt年後のコール・オプ
ションについてx%の確率でカバーされる範囲における
最大損失額を計算し、記憶装置に格納する最大損失額計
算ステップと、不動産を原資産とするt年後のコール・
オプションの価格の期待値と不動産を原資産とするt年
後のコール・オプションについてx%の確率でカバーさ
れる範囲における最大損失額とを用いて不動産資産担保
証券の劣後部分のx%バリューアットリスクを算出し、
記憶装置に格納するバリューアットリスク計算ステップ
とを含む。但し、この場合配当については考慮していな
い。
【0027】本発明の第4の態様において説明したよう
に、不動産ABSの劣後部分の価格は上記のようなコー
ル・オプションの価格で決定されるため、不動産ABS
の劣後部分のVaRは、例えば当該コール・オプション
の価格の期待値から当該コール・オプションについてx
%の確率でカバーされる範囲における最大損失額を減ず
ることにより算出される。
に、不動産ABSの劣後部分の価格は上記のようなコー
ル・オプションの価格で決定されるため、不動産ABS
の劣後部分のVaRは、例えば当該コール・オプション
の価格の期待値から当該コール・オプションについてx
%の確率でカバーされる範囲における最大損失額を減ず
ることにより算出される。
【0028】なお、本発明の第5の態様において、劣後
部分の各配当時期を行使時点とし、不動産資産担保証券
の優先部分の配当総額を行使価格とし、不動産又は不動
産の賃料収入を原資産とするt年後のコール・オプショ
ンの価格の第2の期待値を計算し、記憶装置に格納する
ステップと、不動産又は不動産の賃料収入を原資産とす
るt年後のコール・オプションについてx%の確率でカ
バーされる範囲における第2の最大損失額を計算し、記
憶装置に格納するステップとをさらに含み、上で述べた
バリューアットリスク計算ステップを、期待値及び第2
の期待値と最大損失額及び第2の最大損失額とを用いて
不動産試算担保証券の劣後部分のx%バリューアットリ
スクを算出し、記憶装置に格納するステップとすること
も可能である。
部分の各配当時期を行使時点とし、不動産資産担保証券
の優先部分の配当総額を行使価格とし、不動産又は不動
産の賃料収入を原資産とするt年後のコール・オプショ
ンの価格の第2の期待値を計算し、記憶装置に格納する
ステップと、不動産又は不動産の賃料収入を原資産とす
るt年後のコール・オプションについてx%の確率でカ
バーされる範囲における第2の最大損失額を計算し、記
憶装置に格納するステップとをさらに含み、上で述べた
バリューアットリスク計算ステップを、期待値及び第2
の期待値と最大損失額及び第2の最大損失額とを用いて
不動産試算担保証券の劣後部分のx%バリューアットリ
スクを算出し、記憶装置に格納するステップとすること
も可能である。
【0029】このように配当についても同様のモデルを
採用することができ、配当についてのコール・オプショ
ンの価格の第2の期待値及び当該コール・オプションに
ついてx%の確率でカバーされる範囲における第2の最
大損失額が計算できる。そして、例えば期待値及び第2
の期待値の和の値から最大損失額及び第2の最大損失額
を減ずることにより、配当を考慮した劣後部分のVaR
を算出することができるようになる。
採用することができ、配当についてのコール・オプショ
ンの価格の第2の期待値及び当該コール・オプションに
ついてx%の確率でカバーされる範囲における第2の最
大損失額が計算できる。そして、例えば期待値及び第2
の期待値の和の値から最大損失額及び第2の最大損失額
を減ずることにより、配当を考慮した劣後部分のVaR
を算出することができるようになる。
【0030】なお、上で述べた期待値計算ステップ又は
最大損失額決定ステップにおいては、少なくとも不動産
の価格のボラティリティと、金利情報と、不動産価格
と、優先部分の元本総額とを用いて期待値を計算するよ
うな場合もある。
最大損失額決定ステップにおいては、少なくとも不動産
の価格のボラティリティと、金利情報と、不動産価格
と、優先部分の元本総額とを用いて期待値を計算するよ
うな場合もある。
【0031】本発明に係るプライシング方法及びVaR
算出方法をコンピュータに実行させるためのプログラム
を作成することも可能であって、当該コンピュータはプ
ライシング装置及びVaR算出装置を構成する。また、
当該プログラムは、例えばフレキシブル・ディスク、C
D−ROM、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードデ
ィスク等の記憶媒体又は記憶装置に格納される。さら
に、ネットワークを介して頒布される場合もある。な
お、処理途中のデータについては、コンピュータのメモ
リに一時保管される。
算出方法をコンピュータに実行させるためのプログラム
を作成することも可能であって、当該コンピュータはプ
ライシング装置及びVaR算出装置を構成する。また、
当該プログラムは、例えばフレキシブル・ディスク、C
D−ROM、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードデ
ィスク等の記憶媒体又は記憶装置に格納される。さら
に、ネットワークを介して頒布される場合もある。な
お、処理途中のデータについては、コンピュータのメモ
リに一時保管される。
【0032】
【発明の実施の形態】[本発明の原理]
1.不動産ABSの優先部分のプライシング
1.1概要
例えば不動産ABSの期間は5年であり、不動産売却に
よる返済原資確保にかかる期間は最大2年とする。ま
た、証券購入時点での不動産時価は200億円とする。
200億円のうち優先部分は100億円であり、5年後
の不動産売却価格が100億円を下回ると元本割れす
る。また、配当は年1回であるとする。
よる返済原資確保にかかる期間は最大2年とする。ま
た、証券購入時点での不動産時価は200億円とする。
200億円のうち優先部分は100億円であり、5年後
の不動産売却価格が100億円を下回ると元本割れす
る。また、配当は年1回であるとする。
【0033】この場合以下で説明するキャッシュフロー
の変動要因が全て発生しなければ図1のようなキャッシ
ュフローとなる。すなわち、1年後には配当D(10
1)が、2年後には配当D(103)が、3年後には配
当D(105)が、4年後には配当D(107)が、5
年後には配当D(109)及び元本100億円(11
1)が、優先部分の投資家のキャッシュフローとなる。
の変動要因が全て発生しなければ図1のようなキャッシ
ュフローとなる。すなわち、1年後には配当D(10
1)が、2年後には配当D(103)が、3年後には配
当D(105)が、4年後には配当D(107)が、5
年後には配当D(109)及び元本100億円(11
1)が、優先部分の投資家のキャッシュフローとなる。
【0034】しかし、(1)不動産売却が遅れて5年後
の優先部分の元本の償還が最大2年延滞する場合があ
る。(2)満期償還時に、不動産価格が下落して優先部
分の元本100億円を下回ってしまった場合、元本が目
減りするかもしれない。(3)原資産である不動産から
の賃料収入が目減りした場合、優先部分の各配当Dが目
減りするかもしれない。
の優先部分の元本の償還が最大2年延滞する場合があ
る。(2)満期償還時に、不動産価格が下落して優先部
分の元本100億円を下回ってしまった場合、元本が目
減りするかもしれない。(3)原資産である不動産から
の賃料収入が目減りした場合、優先部分の各配当Dが目
減りするかもしれない。
【0035】これら(1)乃至(3)のリスクをヘッジ
できれば、不動産ABSの優先部分は、図1に示すよう
なキャッシュフローを生み出す無リスク債券(例えば国
債)となる。すなわち、不動産ABSの優先部分の価値
は、図1のようなキャッシュフローを生み出す無リスク
債券の価格から上で述べた(1)乃至(3)のリスクを
ヘッジするためのコストを引いたものとなる。
できれば、不動産ABSの優先部分は、図1に示すよう
なキャッシュフローを生み出す無リスク債券(例えば国
債)となる。すなわち、不動産ABSの優先部分の価値
は、図1のようなキャッシュフローを生み出す無リスク
債券の価格から上で述べた(1)乃至(3)のリスクを
ヘッジするためのコストを引いたものとなる。
【0036】(1)に示したような元本償還の遅延のよ
うすを図2に示す。例えば、5年後に生ずるはずであっ
た優先部分の元本100億円分のキャッシュフロー11
1aは、最も遅れた場合に、7年後に100億円のキャ
ッシュフロー111bとして優先部分の投資家に返却さ
れる。もし、5年後に金利が低下していると(債券は値
上がりするので)、このキャッシュフローは100億円
以上の価値をもつ場合もあり、償還の延滞は大きな問題
となる。逆に、このような延滞を生じさせないようにす
るためには、5年後に元本100億円を調達しなければ
ならない。このためには、行使時点5年後、額面100
億円の債券(不動産の売却が5年後から7年後間のどの
時点かは分からないのでコーラブル債)を100億円で
売却するプット・オプションを購入しておけばよい。こ
のプット・オプションは、金利性のバミューダ・スワッ
プションで代替することができ、市場の価格が分かる。
うすを図2に示す。例えば、5年後に生ずるはずであっ
た優先部分の元本100億円分のキャッシュフロー11
1aは、最も遅れた場合に、7年後に100億円のキャ
ッシュフロー111bとして優先部分の投資家に返却さ
れる。もし、5年後に金利が低下していると(債券は値
上がりするので)、このキャッシュフローは100億円
以上の価値をもつ場合もあり、償還の延滞は大きな問題
となる。逆に、このような延滞を生じさせないようにす
るためには、5年後に元本100億円を調達しなければ
ならない。このためには、行使時点5年後、額面100
億円の債券(不動産の売却が5年後から7年後間のどの
時点かは分からないのでコーラブル債)を100億円で
売却するプット・オプションを購入しておけばよい。こ
のプット・オプションは、金利性のバミューダ・スワッ
プションで代替することができ、市場の価格が分かる。
【0037】(2)に示した満期償還時の不動産価格の
下落に伴う優先部分の元本割れは、例えば図3に示すよ
うなものである。すなわち、現在不動産価格301は優
先部分100億円及び劣後部分100億円の合計200
億円であるが、不動産の価格は今後線303で表すよう
に変動する。もし、満期償還時(5年から7年のいずれ
かの時点)に不動産価格が100億円を下回っている
と、劣後部分305cは全く償還されず、優先部分につ
いても305bの部分は毀損され、償還されるのは額面
以下の実線で囲まれた部分305aだけとなる。逆に、
満期償還時に不動産価格が100億円を上回っていれば
優先部分は元本100億円そのまま償還されるが、いく
ら不動産価格が上昇していても償還額は100億円を超
えることは無い。このように不動産ABSの優先部分
は、満期償還時に不動産価格が100億円を上回ってい
れば、元本はそのまま償還され、100億円を下回れば
不動産価格の分だけしか償還されない。この状況をグラ
フに描くと図4のようになる。図4において横軸は不動
産価格であり、縦軸は償還額である。すなわち、不動産
価格が0からy0(本例では100億円)までは、償還
額は不動産価格と同じであるが、不動産価格がy0を超
えると、y0のままとなる。このグラフは、期間が5年
から7年で額面100億円の無リスク債券を購入し、行
使期間が5年から7年であり、当該不動産を原資産と
し、行使価格を100億円とするアメリカン・プット・
オプションを売却した場合と同様のグラフとなる。従っ
て、逆にこのようなアメリカン・プット・オプションを
購入すればリスクをヘッジできる。但し、このようなア
メリカン・プット・オプションは市場には存在しないた
め、後に述べるような計算を行ってオプション価格を決
定する。
下落に伴う優先部分の元本割れは、例えば図3に示すよ
うなものである。すなわち、現在不動産価格301は優
先部分100億円及び劣後部分100億円の合計200
億円であるが、不動産の価格は今後線303で表すよう
に変動する。もし、満期償還時(5年から7年のいずれ
かの時点)に不動産価格が100億円を下回っている
と、劣後部分305cは全く償還されず、優先部分につ
いても305bの部分は毀損され、償還されるのは額面
以下の実線で囲まれた部分305aだけとなる。逆に、
満期償還時に不動産価格が100億円を上回っていれば
優先部分は元本100億円そのまま償還されるが、いく
ら不動産価格が上昇していても償還額は100億円を超
えることは無い。このように不動産ABSの優先部分
は、満期償還時に不動産価格が100億円を上回ってい
れば、元本はそのまま償還され、100億円を下回れば
不動産価格の分だけしか償還されない。この状況をグラ
フに描くと図4のようになる。図4において横軸は不動
産価格であり、縦軸は償還額である。すなわち、不動産
価格が0からy0(本例では100億円)までは、償還
額は不動産価格と同じであるが、不動産価格がy0を超
えると、y0のままとなる。このグラフは、期間が5年
から7年で額面100億円の無リスク債券を購入し、行
使期間が5年から7年であり、当該不動産を原資産と
し、行使価格を100億円とするアメリカン・プット・
オプションを売却した場合と同様のグラフとなる。従っ
て、逆にこのようなアメリカン・プット・オプションを
購入すればリスクをヘッジできる。但し、このようなア
メリカン・プット・オプションは市場には存在しないた
め、後に述べるような計算を行ってオプション価格を決
定する。
【0038】(3)に示した不動産賃料収入の下落に伴
う配当の目減りは、例えば図5に示すようなものであ
る。すなわち、期待賃料収入501が劣後部分に対する
配当及び優先部分に対する配当に分けられるように設計
されていても、実際の賃料収入503が当初想定してい
た優先部分の配当額より少なくなってしまえば、劣後部
分に対する配当は支払われず且つ優先部分の配当額も減
額される。例えば当初想定していた優先部分の配当額
(n回目:ここではnは1から5の整数)をyn0とする
と、賃料収入がyn0より少なければ、優先部分の配当額
(n回目)は賃料収入と同じになり、賃料収入がyn0よ
り多ければ、優先部分の配当額(n回目)はyn0とな
る。このように見るとモデルは(2)とほぼ同じであ
る。すなわち、(2)でy0であったものがyn0とな
り、不動産価格が賃料収入となっただけである。グラフ
は図6に示したようになる。図6において横軸は不動産
の賃料収入であり、縦軸は配当額を示す。従って、優先
部分の配当は、期間が各配当時期までで額面yn0の5つ
の無リスク債券を購入し、行使時点が各配当時期であ
り、不動産の賃料収入を原資産とし、行使価格をyn0と
する5本のヨーロピアン・プット・オプションを売却し
た場合と同じになる。従って、逆にこのようなヨーロピ
アン・プット・オプションを購入すればリスクをヘッジ
できる。但し、このようなヨーロピアン・プット・オプ
ションは市場には存在しないため、後に述べるような計
算を行ってオプション価格を決定する。また、配当が元
々設定されていないような場合には、(3)の部分は考
慮しなくとも良い。
う配当の目減りは、例えば図5に示すようなものであ
る。すなわち、期待賃料収入501が劣後部分に対する
配当及び優先部分に対する配当に分けられるように設計
されていても、実際の賃料収入503が当初想定してい
た優先部分の配当額より少なくなってしまえば、劣後部
分に対する配当は支払われず且つ優先部分の配当額も減
額される。例えば当初想定していた優先部分の配当額
(n回目:ここではnは1から5の整数)をyn0とする
と、賃料収入がyn0より少なければ、優先部分の配当額
(n回目)は賃料収入と同じになり、賃料収入がyn0よ
り多ければ、優先部分の配当額(n回目)はyn0とな
る。このように見るとモデルは(2)とほぼ同じであ
る。すなわち、(2)でy0であったものがyn0とな
り、不動産価格が賃料収入となっただけである。グラフ
は図6に示したようになる。図6において横軸は不動産
の賃料収入であり、縦軸は配当額を示す。従って、優先
部分の配当は、期間が各配当時期までで額面yn0の5つ
の無リスク債券を購入し、行使時点が各配当時期であ
り、不動産の賃料収入を原資産とし、行使価格をyn0と
する5本のヨーロピアン・プット・オプションを売却し
た場合と同じになる。従って、逆にこのようなヨーロピ
アン・プット・オプションを購入すればリスクをヘッジ
できる。但し、このようなヨーロピアン・プット・オプ
ションは市場には存在しないため、後に述べるような計
算を行ってオプション価格を決定する。また、配当が元
々設定されていないような場合には、(3)の部分は考
慮しなくとも良い。
【0039】なお、賃料収入については、賃貸契約に基
づき保証される場合もある。しかし、そのような場合で
あっても、賃借人である企業が倒産したりする場合もあ
るため、このような場合には賃借人の信用リスクをヘッ
ジするような形にしてもよい。すなわち、賃借人の信用
リスクをヘッジするためのコストを取得し、それを用い
る。
づき保証される場合もある。しかし、そのような場合で
あっても、賃借人である企業が倒産したりする場合もあ
るため、このような場合には賃借人の信用リスクをヘッ
ジするような形にしてもよい。すなわち、賃借人の信用
リスクをヘッジするためのコストを取得し、それを用い
る。
【0040】もし、配当が元々設定されていないような
場合には、図1に示した優先部分の元本111が償還期
限(図1では5年後)に償還されるような無リスク債券
の価格を取得し、(1)に示すような不動産売却が遅れ
て優先部分の元本の償還が延滞するのをヘッジするため
のプット・オプション(バミューダ・スワップション)
の価格を取得し、(2)に示すような満期償還時の不動
産価格の下落に伴う優先部分の元本割れをヘッジするた
めのアメリカン・プット・オプションの価格を算出し、
無リスク債券の価格から(1)及び(2)のプット・オ
プションの価格を減ずればよい。
場合には、図1に示した優先部分の元本111が償還期
限(図1では5年後)に償還されるような無リスク債券
の価格を取得し、(1)に示すような不動産売却が遅れ
て優先部分の元本の償還が延滞するのをヘッジするため
のプット・オプション(バミューダ・スワップション)
の価格を取得し、(2)に示すような満期償還時の不動
産価格の下落に伴う優先部分の元本割れをヘッジするた
めのアメリカン・プット・オプションの価格を算出し、
無リスク債券の価格から(1)及び(2)のプット・オ
プションの価格を減ずればよい。
【0041】一方、配当が設定されている場合には、図
1に示した優先部分の元本111が償還期限に償還され
るような無リスク債券の価格及び各配当時期に優先部分
に対する各配当金額が償還されるような無リスク債券の
価格を取得し、(1)に示すような不動産売却が遅れて
優先部分の元本の償還が延滞するのをヘッジするための
プット・オプション(バミューダ・スワップション)の
価格を取得し、(2)に示すような満期償還時の不動産
価格の下落に伴う優先部分の元本割れをヘッジするため
のアメリカン・プット・オプションの価格を算出し、
(3)に示すような賃料収入の下落に伴う優先部分に対
する配当の減額をヘッジするためのヨーロピアン・プッ
ト・オプションの価格を各配当分について算出し、元本
及び配当に対する無リスク債券価格から(1)乃至
(3)にかかるプット・オプションの価格を減ずればよ
い。
1に示した優先部分の元本111が償還期限に償還され
るような無リスク債券の価格及び各配当時期に優先部分
に対する各配当金額が償還されるような無リスク債券の
価格を取得し、(1)に示すような不動産売却が遅れて
優先部分の元本の償還が延滞するのをヘッジするための
プット・オプション(バミューダ・スワップション)の
価格を取得し、(2)に示すような満期償還時の不動産
価格の下落に伴う優先部分の元本割れをヘッジするため
のアメリカン・プット・オプションの価格を算出し、
(3)に示すような賃料収入の下落に伴う優先部分に対
する配当の減額をヘッジするためのヨーロピアン・プッ
ト・オプションの価格を各配当分について算出し、元本
及び配当に対する無リスク債券価格から(1)乃至
(3)にかかるプット・オプションの価格を減ずればよ
い。
【0042】なお、配当が図1の配当D(109)のみ
の場合、すなわち元本111の償還時の配当のみの場合
には、配当D(109)を元本(111)に足し合わせ
て配当なしとして計算する場合もある。これは、収益還
元法の下では不動産価格と不動産の賃料収入とは同じ確
率過程に従うと考えることができるからである。また、
配当がある場合でも、償還時と同時に支払われる配当に
ついては元本に足し合わせて計算し、配当の回数を1回
減ずるような方法も行われる場合がある。
の場合、すなわち元本111の償還時の配当のみの場合
には、配当D(109)を元本(111)に足し合わせ
て配当なしとして計算する場合もある。これは、収益還
元法の下では不動産価格と不動産の賃料収入とは同じ確
率過程に従うと考えることができるからである。また、
配当がある場合でも、償還時と同時に支払われる配当に
ついては元本に足し合わせて計算し、配当の回数を1回
減ずるような方法も行われる場合がある。
【0043】1.2詳細
1.2.1優先部分の元本について
不動産Xのt時点の価格をXtとし、初期値をX0する。
また、優先部分の元本総額の初期値をy0とする。優先
部分の価格をDe0tとし、償還時点をteとし且つ額面y
0の無リスク債券のt時点の価格をRF0tとする。オプ
ションの行使時点がteで行使価格がy0の不動産を原資
産とするプット・オプションのt時点の価格をP0tとす
る。RF及びPの下付け文字の1桁目の0は優先部分の
元本についての記号であることを示し、2桁目は時間t
を表す。配当が無い場合には、以下のような式が成り立
つ。 De0t=RF0t−P0t (1) De00=RF00−P00 (2) (2)式のRF00は市場から価格を得ることができる。
よって、P00を計算すればよい。
また、優先部分の元本総額の初期値をy0とする。優先
部分の価格をDe0tとし、償還時点をteとし且つ額面y
0の無リスク債券のt時点の価格をRF0tとする。オプ
ションの行使時点がteで行使価格がy0の不動産を原資
産とするプット・オプションのt時点の価格をP0tとす
る。RF及びPの下付け文字の1桁目の0は優先部分の
元本についての記号であることを示し、2桁目は時間t
を表す。配当が無い場合には、以下のような式が成り立
つ。 De0t=RF0t−P0t (1) De00=RF00−P00 (2) (2)式のRF00は市場から価格を得ることができる。
よって、P00を計算すればよい。
【0044】不動産の価格Xtは幾何ブラウン運動に従
うものと仮定する。すなわち、以下の式で表される。 dXt=μXtdt+σXtdW (3) ここでμは期待収益率であり、σは不動産価格のボラテ
ィリティである。またWは標準ブラウン運動(tの関
数)である。
うものと仮定する。すなわち、以下の式で表される。 dXt=μXtdt+σXtdW (3) ここでμは期待収益率であり、σは不動産価格のボラテ
ィリティである。またWは標準ブラウン運動(tの関
数)である。
【0045】このような仮定が成り立つ状態において、
不動産プット・オプションP00の価格は、以下のように
表される。
不動産プット・オプションP00の価格は、以下のように
表される。
【数1】
ここでt0は不動産ABSの開始時点を示す。Xeは償還
時の不動産価格を表す。Φは正規分布の累積密度関数で
あり、Qは不動産Xtが従う観測確率測度であり、Q*は
不動産Xtが従うリスク中立確率測度である。rは無リ
スク金利であり、ここでは例えば期間te−t0の利率を
使用する。a、d'1、d'2、σ**については、以下の
(7)式乃至(11)式に示す。 a=lnX0+(r−0.5σ2)(te−t0) (7)
時の不動産価格を表す。Φは正規分布の累積密度関数で
あり、Qは不動産Xtが従う観測確率測度であり、Q*は
不動産Xtが従うリスク中立確率測度である。rは無リ
スク金利であり、ここでは例えば期間te−t0の利率を
使用する。a、d'1、d'2、σ**については、以下の
(7)式乃至(11)式に示す。 a=lnX0+(r−0.5σ2)(te−t0) (7)
【数2】
【0046】(4)式においてEQ*[Z]は、リスク中立
確率測度でZの期待値をとるという意味である。(4)
式から(5)式の変形及び(5)式から(6)式への変
形については、ブラック・ショールズにより示されてい
るものであり、詳細についてはここでは述べない。
(6)式を計算することにより、不動産プット・オプシ
ョンP00の価格を得ることができ、(2)式に従えば不
動産ABSの優先部分の価格が計算される。
確率測度でZの期待値をとるという意味である。(4)
式から(5)式の変形及び(5)式から(6)式への変
形については、ブラック・ショールズにより示されてい
るものであり、詳細についてはここでは述べない。
(6)式を計算することにより、不動産プット・オプシ
ョンP00の価格を得ることができ、(2)式に従えば不
動産ABSの優先部分の価格が計算される。
【0047】1.2.2優先部分の配当について
n年目の賃料収入のt時点の価格をHntとし、現時点に
おける価格をHn0とする。また、優先部分のn年目の想
定配当金額をyn0とする。t時点における優先部分のn
年目の配当の価格をDentとし、償還時点をtn年とし且
つ額面yn0の無リスク債券のt時点の価格をRFntとす
る。オプションの行使時点がtnで行使価格がyn0の不
動産の賃料収入を原資産とするプット・オプションのt
時点の価格をPntとする。RF及びPの下付け文字の1
桁目は優先部分の配当の年数nを表し、2桁目は時間t
を表す。n年目の配当だけの場合には、以下のような式
が成り立つ。 Dent=RFnt−Pnt (12) Den0=RFn0−Pn0 (13) (13)式のRFn0は市場から価格を得ることができ
る。よって、Pn0を計算すればよい。
おける価格をHn0とする。また、優先部分のn年目の想
定配当金額をyn0とする。t時点における優先部分のn
年目の配当の価格をDentとし、償還時点をtn年とし且
つ額面yn0の無リスク債券のt時点の価格をRFntとす
る。オプションの行使時点がtnで行使価格がyn0の不
動産の賃料収入を原資産とするプット・オプションのt
時点の価格をPntとする。RF及びPの下付け文字の1
桁目は優先部分の配当の年数nを表し、2桁目は時間t
を表す。n年目の配当だけの場合には、以下のような式
が成り立つ。 Dent=RFnt−Pnt (12) Den0=RFn0−Pn0 (13) (13)式のRFn0は市場から価格を得ることができ
る。よって、Pn0を計算すればよい。
【0048】上で述べたように不動産の価格Xtは幾何
ブラウン運動に従うものと仮定していた。不動産の賃料
Hntも収益還元法の下では同様に考えることができる。
すなわち、以下の式で表される。 dHnt=μhHntdt+σhHntdW (14) ここでμhは期待収益率であり、σhは賃料収入のボラテ
ィリティである。なお、μhをμと同じ値としても良い
し、σhもσと同じにしてもよい。またWは標準ブラウ
ン運動(tの関数)である。
ブラウン運動に従うものと仮定していた。不動産の賃料
Hntも収益還元法の下では同様に考えることができる。
すなわち、以下の式で表される。 dHnt=μhHntdt+σhHntdW (14) ここでμhは期待収益率であり、σhは賃料収入のボラテ
ィリティである。なお、μhをμと同じ値としても良い
し、σhもσと同じにしてもよい。またWは標準ブラウ
ン運動(tの関数)である。
【0049】このような仮定が成り立つ状態において、
賃料収入プット・オプションPn0の価格は、以下のよう
に表される。
賃料収入プット・オプションPn0の価格は、以下のよう
に表される。
【数3】
ここでt0は不動産ABSの開始時点を示す。Hnnは配
当時期(配当の償還時)の賃料収入の価値を表す。Φは
正規分布の累積密度関数であり、Qは不動産の賃料Hnt
が従う観測確率測度であり、Q*は不動産の賃料Hntが
従うリスク中立確率測度である。rは無リスク金利であ
り、ここでは例えば期間tn−t0の無リスク金利を使用
する。mn、d1n、d2n、σn **については、以下の(1
8)式乃至(22)式に示す。 mn=lnHn0+(r−0.5σh 2)(tn−t0) (18)
当時期(配当の償還時)の賃料収入の価値を表す。Φは
正規分布の累積密度関数であり、Qは不動産の賃料Hnt
が従う観測確率測度であり、Q*は不動産の賃料Hntが
従うリスク中立確率測度である。rは無リスク金利であ
り、ここでは例えば期間tn−t0の無リスク金利を使用
する。mn、d1n、d2n、σn **については、以下の(1
8)式乃至(22)式に示す。 mn=lnHn0+(r−0.5σh 2)(tn−t0) (18)
【数4】
【0050】(15)式から(16)式の変形及び(1
6)式から(17)式への変形については、ブラック−
ショールズにより示されているものであり、詳細につい
てはここでは述べない。(17)式を計算することによ
り、不動産の賃料収入のプット・オプションPn0の価格
を得ることができ、(13)式に従えば不動産ABSの
優先部分のn年目の配当の価値が計算される。
6)式から(17)式への変形については、ブラック−
ショールズにより示されているものであり、詳細につい
てはここでは述べない。(17)式を計算することによ
り、不動産の賃料収入のプット・オプションPn0の価格
を得ることができ、(13)式に従えば不動産ABSの
優先部分のn年目の配当の価値が計算される。
【0051】(13)式に従って各年分の配当の価値を
全て計算し、全て加算することにより配当全体の価値を
計算することができる。さらに(2)式で計算した不動
産ABSの優先部分の元本の価値を加算し、別途取得し
た償還遅れをヘッジするためのオプション価格を減ずれ
ば、全体としての価値を計算することができるようにな
る。
全て計算し、全て加算することにより配当全体の価値を
計算することができる。さらに(2)式で計算した不動
産ABSの優先部分の元本の価値を加算し、別途取得し
た償還遅れをヘッジするためのオプション価格を減ずれ
ば、全体としての価値を計算することができるようにな
る。
【0052】2.不動産ABSの優先部分のVaRの算
出 2.1概要 上で議論したように不動産ABSの優先部分の元本の価
値は(1)式のように表されるが、この1年後の99%
VaRはDe01の期待値からDe01の99%ile点を引い
たものとなる。99%でなくとも95%等であってもよ
い。99%ile点とは、不動産価格の分布関数における
99%をカバーする範囲において生ずる最大の損失額の
値である。例えば図7に確率密度関数701を示す。横
軸は不動産価格を示す。この確率密度関数701におい
て損失が大きい左側から面積を積分してゆき、面積が1
%になる線703と横軸の交点が99%ile点(X|99)
となる。
出 2.1概要 上で議論したように不動産ABSの優先部分の元本の価
値は(1)式のように表されるが、この1年後の99%
VaRはDe01の期待値からDe01の99%ile点を引い
たものとなる。99%でなくとも95%等であってもよ
い。99%ile点とは、不動産価格の分布関数における
99%をカバーする範囲において生ずる最大の損失額の
値である。例えば図7に確率密度関数701を示す。横
軸は不動産価格を示す。この確率密度関数701におい
て損失が大きい左側から面積を積分してゆき、面積が1
%になる線703と横軸の交点が99%ile点(X|99)
となる。
【0053】式で表せば以下のようになる。なお、Z|
ζはZのζ%ile点であることを表し、VaR|ζ[Z]は資
産Zのζ%VaRであることを表す。Ftはt時点のフ
ィルトレーションを表す。 VaR|99[De01] =E[De01|F0]−De01|99 (23) =E[RF01|F0]−RF01|99−(E[P01|F0]−P01|1) (24) =−E[P01|F0]+P01|1 (25)
ζはZのζ%ile点であることを表し、VaR|ζ[Z]は資
産Zのζ%VaRであることを表す。Ftはt時点のフ
ィルトレーションを表す。 VaR|99[De01] =E[De01|F0]−De01|99 (23) =E[RF01|F0]−RF01|99−(E[P01|F0]−P01|1) (24) =−E[P01|F0]+P01|1 (25)
【0054】(23)式から(24)式への変形は
(1)式の関係をそのまま入力したものである。但し、
プット・オプションの売りというポジションにおいて9
9%ile点と同じ意味となるものはP01|1であり、ここ
ではこれを用いて表している。(24)式から(25)
式への変形は、RFは金利リスクのみを有しており、こ
の金利リスクは不動産のリスクとは別であり、他の方法
にてヘッジすることも可能であるため、RFについての
項を削除したものである。従って、不動産プット・オプ
ションのショート(売り)ポジションのVaRと等しく
なる。よって、(25)式を計算すればよい。
(1)式の関係をそのまま入力したものである。但し、
プット・オプションの売りというポジションにおいて9
9%ile点と同じ意味となるものはP01|1であり、ここ
ではこれを用いて表している。(24)式から(25)
式への変形は、RFは金利リスクのみを有しており、こ
の金利リスクは不動産のリスクとは別であり、他の方法
にてヘッジすることも可能であるため、RFについての
項を削除したものである。従って、不動産プット・オプ
ションのショート(売り)ポジションのVaRと等しく
なる。よって、(25)式を計算すればよい。
【0055】不動産ABSの優先部分の各配当の価値は
(12)式のように表されるが、この1年後の99%V
aRはDen1の期待値からDen1の99%ile点を引いた
ものとなる。RFについては上で述べたのと同様に無視
することができるため、式で表せば以下のようになる。 VaR|99[Den1] =E[Den1|F0]−Den1|99 (26) =−E[Pn1|F0]+Pn1|1 (27)
(12)式のように表されるが、この1年後の99%V
aRはDen1の期待値からDen1の99%ile点を引いた
ものとなる。RFについては上で述べたのと同様に無視
することができるため、式で表せば以下のようになる。 VaR|99[Den1] =E[Den1|F0]−Den1|99 (26) =−E[Pn1|F0]+Pn1|1 (27)
【0056】(27)式を各配当について計算して加算
し、(25)式で計算される元本の分を加算すれば全体
としてのVaRを計算することができる。
し、(25)式で計算される元本の分を加算すれば全体
としてのVaRを計算することができる。
【0057】2.2詳細
2.2.1不動産ABSの優先部分の元本についてのV
aR 不動産Xtは上で述べたように(3)式の確率過程に従
う。そうすると、不動産プット・オプションP01は、以
下のようになる。
aR 不動産Xtは上で述べたように(3)式の確率過程に従
う。そうすると、不動産プット・オプションP01は、以
下のようになる。
【数5】
m、d1、d2、σ*については、以下の(31)式乃至
(35)式に示す。 m=lnX1+(r−0.5σ2)(te−t1) (31)
(35)式に示す。 m=lnX1+(r−0.5σ2)(te−t1) (31)
【数6】
(28)式から(29)式の変形及び(29)式から
(30)式への変形については、ブラック・ショールズ
により示されているものであり、詳細についてはここで
は述べない。
(30)式への変形については、ブラック・ショールズ
により示されているものであり、詳細についてはここで
は述べない。
【0058】不動産価値過程が(3)式に従うため、1
年後の不動産の価値分布X1は対数正規分布exp[N
(m',σ')]に従うこととなる。ここでN(m',
σ')は平均m'、標準偏差σ'の正規分布である。ま
た、m'及びσ'は以下のとおりである。 m'=lnX0+(μ−0.5σ2)(t1−t0) (36)
年後の不動産の価値分布X1は対数正規分布exp[N
(m',σ')]に従うこととなる。ここでN(m',
σ')は平均m'、標準偏差σ'の正規分布である。ま
た、m'及びσ'は以下のとおりである。 m'=lnX0+(μ−0.5σ2)(t1−t0) (36)
【数7】
【0059】そして、1年後のプット・オプションの価
値の現時点での期待値E[P01|F0]は下に述べるような
式で表される。
値の現時点での期待値E[P01|F0]は下に述べるような
式で表される。
【数8】
(38)式は、不動産Xtが従うリスク中立確率測度Q*
で1年後のフィルトレーションF1の下期待値を計算
し、その後現在のフィルトレーションF0の下期待値を
計算することを表している。(38)式から(39)式
への変形はブラック・ショールズに従い、また(39)
式から(40)式への変形はX1の確率密度関数を
(3)式より計算することで変形できる。
で1年後のフィルトレーションF1の下期待値を計算
し、その後現在のフィルトレーションF0の下期待値を
計算することを表している。(38)式から(39)式
への変形はブラック・ショールズに従い、また(39)
式から(40)式への変形はX1の確率密度関数を
(3)式より計算することで変形できる。
【0060】なお、(40)式で用いられているd"1、
d"2については以下のように表される。
d"2については以下のように表される。
【数9】
【0061】次に、1年後のプット・オプションの価値
の1%ile点P01|1を計算する。(30)式から、プッ
ト・オプションの価値はX1の単調減少関数となる。
(30)式をP1=h(X1)と書き直すと、次の式が成り
立つ。なお、P[Z]はZである確率を表す。 0.01=P[X1<X1|99] (44) =P[h(X1)>h(X1|99)] (45) =P[P1>h(X1|99)] (46)
の1%ile点P01|1を計算する。(30)式から、プッ
ト・オプションの価値はX1の単調減少関数となる。
(30)式をP1=h(X1)と書き直すと、次の式が成り
立つ。なお、P[Z]はZである確率を表す。 0.01=P[X1<X1|99] (44) =P[h(X1)>h(X1|99)] (45) =P[P1>h(X1|99)] (46)
【0062】(44)式は、X1の99%ile点の方がX
1より大きい確率が1%しかないことを表しており、
(44)式から(45)式への変形は単調減少関数hで
あるために成り立つ。そして、上で述べた定義より(4
5)式は(46)式に変形される。従って、以下の式が
成り立つ。 P1|1=h(X1|99) (47) =−X1|99Φ(−d"1)+y0e-r(te-t1)Φ(−d"2) (48) なお、(48)式のd"1は(41)式におけるξをX1|
99に、同じくd"2は(42)式におけるξをX1|99に変
更したものである。
1より大きい確率が1%しかないことを表しており、
(44)式から(45)式への変形は単調減少関数hで
あるために成り立つ。そして、上で述べた定義より(4
5)式は(46)式に変形される。従って、以下の式が
成り立つ。 P1|1=h(X1|99) (47) =−X1|99Φ(−d"1)+y0e-r(te-t1)Φ(−d"2) (48) なお、(48)式のd"1は(41)式におけるξをX1|
99に、同じくd"2は(42)式におけるξをX1|99に変
更したものである。
【0063】以上述べたように(25)式、(40)式
及び(47)式を用いれば、不動産ABSの優先部分の
99%VaRは、以下の式で表される。
及び(47)式を用いれば、不動産ABSの優先部分の
99%VaRは、以下の式で表される。
【数10】
【0064】なお、(49)式の具体的計算方法として
は区分求積法を用いる。例えば、ξを0から十分大きな
値まで区切り(例えば100000)、ξの区切り毎に
積分の中身部分の計算を行い、その値を全部足したもの
にξの区切り幅をかけて計算する。なお、積分の中身の
計算において、Φ(正規分布の累積密度関数)以外は解
析的に計算でき、Φは一般的に使用される近似計算を行
えばよい。また、第2項目のhの中身については対数正
規分布の99ile点の近似計算方法が周知であるからそ
れを用いればよい。
は区分求積法を用いる。例えば、ξを0から十分大きな
値まで区切り(例えば100000)、ξの区切り毎に
積分の中身部分の計算を行い、その値を全部足したもの
にξの区切り幅をかけて計算する。なお、積分の中身の
計算において、Φ(正規分布の累積密度関数)以外は解
析的に計算でき、Φは一般的に使用される近似計算を行
えばよい。また、第2項目のhの中身については対数正
規分布の99ile点の近似計算方法が周知であるからそ
れを用いればよい。
【0065】2.2.2不動産ABSの優先部分の配当
についてのVaR 不動産Xtは上で述べたように(3)式の確率過程に従
う。不動産の賃料収入についても同様に(14)式に従
う。但し上で述べたように、(3)に従うようにしても
良い。そうすると、不動産の賃料収入についてのプット
・オプションP n1は、以下のようになる。
についてのVaR 不動産Xtは上で述べたように(3)式の確率過程に従
う。不動産の賃料収入についても同様に(14)式に従
う。但し上で述べたように、(3)に従うようにしても
良い。そうすると、不動産の賃料収入についてのプット
・オプションP n1は、以下のようになる。
【数11】
m'n、d'1n、d'2n、σn *については、以下の(53)
式乃至(57)式に示す。 m'n=lnHn1+(r−0.5σh 2)(tn−t1) (53)
式乃至(57)式に示す。 m'n=lnHn1+(r−0.5σh 2)(tn−t1) (53)
【数12】
(50)式から(51)式の変形及び(51)式から
(52)式への変形については、ブラック・ショールズ
により示されているものであり、詳細についてはここで
は述べない。
(52)式への変形については、ブラック・ショールズ
により示されているものであり、詳細についてはここで
は述べない。
【0066】確率過程が(14)式に従うため、1年後
の不動産のn年目の賃料収入Hn1は対数正規分布exp[N
(b,σ'h)]に従うこととなる。ここでN(b,
σ'h)は平均b、標準偏差σ'hの正規分布である。ま
た、b及びσ'hは以下のとおりである。 b=lnHn0+(μh−0.5σh 2)(t1−t0) (58)
の不動産のn年目の賃料収入Hn1は対数正規分布exp[N
(b,σ'h)]に従うこととなる。ここでN(b,
σ'h)は平均b、標準偏差σ'hの正規分布である。ま
た、b及びσ'hは以下のとおりである。 b=lnHn0+(μh−0.5σh 2)(t1−t0) (58)
【数13】
【0067】そして、1年後のプット・オプションの価
値の現時点での期待値E[Pn1|F0]は下に述べるような
式で表される。
値の現時点での期待値E[Pn1|F0]は下に述べるような
式で表される。
【数14】
(60)式から(61)式への変形はブラック・ショー
ルズに従い、また(61)式から(62)式への変形は
Hntの確率密度関数を(14)式より計算することで変
形できる。
ルズに従い、また(61)式から(62)式への変形は
Hntの確率密度関数を(14)式より計算することで変
形できる。
【0068】なお、(62)式で用いられている
d"1n、d"2nについては以下のように表される。
d"1n、d"2nについては以下のように表される。
【数15】
【0069】次に、1年後のプット・オプションの価値
の1%ile点Pn1|1を計算する。(52)式から、プッ
ト・オプションの価値はHn1の単調減少関数となる。
(52)式をPn1=h2(Hn1)と書き直すと、次の式が
成り立つ。 0.01=P[Hn1<Hn1|99] (66) =P[h2(Hn1)>h2(Hn1|99)] (67) =P[Pn1>h(Hn1|99)] (68)
の1%ile点Pn1|1を計算する。(52)式から、プッ
ト・オプションの価値はHn1の単調減少関数となる。
(52)式をPn1=h2(Hn1)と書き直すと、次の式が
成り立つ。 0.01=P[Hn1<Hn1|99] (66) =P[h2(Hn1)>h2(Hn1|99)] (67) =P[Pn1>h(Hn1|99)] (68)
【0070】(66)式は、Hn1の99%ile点の方が
Hn1より大きい確率が1%しかないことを表しており、
(66)式から(67)式への変形は単調減少関数h2
であるために成り立つ。そして、上で述べた定義より
(67)式は(68)式に変形される。従って、以下の
式が成り立つ。 Pn1|1=h2(Hn1|99) (69) =−Hn1|99Φ(−d"1n)+yn0e-r(tn-t1)Φ(−d"2n) (70) なお、(70)式のd"1nは(63)式におけるξをH
n1|99に、d"2nは(64)式におけるξをHn1|99に置
換する必要がある。
Hn1より大きい確率が1%しかないことを表しており、
(66)式から(67)式への変形は単調減少関数h2
であるために成り立つ。そして、上で述べた定義より
(67)式は(68)式に変形される。従って、以下の
式が成り立つ。 Pn1|1=h2(Hn1|99) (69) =−Hn1|99Φ(−d"1n)+yn0e-r(tn-t1)Φ(−d"2n) (70) なお、(70)式のd"1nは(63)式におけるξをH
n1|99に、d"2nは(64)式におけるξをHn1|99に置
換する必要がある。
【0071】以上述べたように(52)式、(62)式
及び(69)式を用いれば、不動産ABSの優先部分の
配当についての99%VaRは、以下の式で表される。
及び(69)式を用いれば、不動産ABSの優先部分の
配当についての99%VaRは、以下の式で表される。
【数16】
【0072】なお、(71)式の具体的計算方法として
は区分求積法を用いる。また積分の中身の計算におい
て、Φ(正規分布の累積密度関数)以外は解析的に計算
でき、Φは一般的に使用される近似計算を行えばよい。
また、第2項目のh2の中身については対数正規分布の
99ile点の近似計算方法が周知であるからそれを用い
ればよい。
は区分求積法を用いる。また積分の中身の計算におい
て、Φ(正規分布の累積密度関数)以外は解析的に計算
でき、Φは一般的に使用される近似計算を行えばよい。
また、第2項目のh2の中身については対数正規分布の
99ile点の近似計算方法が周知であるからそれを用い
ればよい。
【0073】(71)式を各年の配当について計算し加
算すれば、配当全体についての99%VaRを計算する
ことができるようになる。さらに、(49)式に従って
計算された元本についての99%VaRを加算すれば、
不動産ABSの優先部分の全体にかかる99%VaRを
計算することができる。上で述べたが95%等他のパー
センテージについてのVaRを計算する場合もある。
算すれば、配当全体についての99%VaRを計算する
ことができるようになる。さらに、(49)式に従って
計算された元本についての99%VaRを加算すれば、
不動産ABSの優先部分の全体にかかる99%VaRを
計算することができる。上で述べたが95%等他のパー
センテージについてのVaRを計算する場合もある。
【0074】3.不動産ABSの劣後部分のプライシン
グ 3.1概要 例えば不動産ABSの期間は5年であり、不動産売却に
よる返済原資確保にかかる期間は最大2年とする。ま
た、証券購入時点での不動産時価は200億円とする。
200億円のうち劣後部分は100億円であり、5年後
の不動産売却価格が200億円を下回ると元本割れす
る。また、配当は年1回であるとする。
グ 3.1概要 例えば不動産ABSの期間は5年であり、不動産売却に
よる返済原資確保にかかる期間は最大2年とする。ま
た、証券購入時点での不動産時価は200億円とする。
200億円のうち劣後部分は100億円であり、5年後
の不動産売却価格が200億円を下回ると元本割れす
る。また、配当は年1回であるとする。
【0075】この場合、不動産売却価格が0円から10
0億円の間であれば劣後部分についての償還金額は0で
あり、不動産売却価格が優先部分の元本総額である10
0億円を超えると超えた分だけ劣後部分についての償還
金額となる。不動産売却価格が200億円を超えてもそ
の分は劣後部分の償還金額となる。従って、劣後部分の
価値は、不動産を原資産とし、オプション期間が5年か
ら7年であり、行使価格がy0(優先部分の元本総額)
である不動産コール・オプションCを購入することによ
り複製できることが分かる。グラフに表すと図8のよう
になる。図8では横軸は不動産価格で、縦軸は償還額を
示す。行使価格y0は100億円であり、不動産価格が
100億円を超えれば、超えただけ劣後部分の償還金額
となる。
0億円の間であれば劣後部分についての償還金額は0で
あり、不動産売却価格が優先部分の元本総額である10
0億円を超えると超えた分だけ劣後部分についての償還
金額となる。不動産売却価格が200億円を超えてもそ
の分は劣後部分の償還金額となる。従って、劣後部分の
価値は、不動産を原資産とし、オプション期間が5年か
ら7年であり、行使価格がy0(優先部分の元本総額)
である不動産コール・オプションCを購入することによ
り複製できることが分かる。グラフに表すと図8のよう
になる。図8では横軸は不動産価格で、縦軸は償還額を
示す。行使価格y0は100億円であり、不動産価格が
100億円を超えれば、超えただけ劣後部分の償還金額
となる。
【0076】なお、償還の延滞については、劣後部分に
おいて考慮すべきときもあれば、考慮すべきでない場合
もある。考慮すべき場合には、優先部分で説明したよう
に、行使時点5年後(償還期限)、額面100億円(劣
後部分の金額)の債券(不動産の売却が5年後から7年
後間のどの時点かは分からないのでコーラブル債)を1
00億円で売却するプット・オプションを購入しておけ
ばよい。このプット・オプションは、金利性のバミュー
ダ・スワップションに代替され、市場の価格が分かる。
従って考慮すべき場合には、不動産コール・オプション
Cの価格からプット・オプションの価格を減ずることに
より劣後部分の価値が計算される。
おいて考慮すべきときもあれば、考慮すべきでない場合
もある。考慮すべき場合には、優先部分で説明したよう
に、行使時点5年後(償還期限)、額面100億円(劣
後部分の金額)の債券(不動産の売却が5年後から7年
後間のどの時点かは分からないのでコーラブル債)を1
00億円で売却するプット・オプションを購入しておけ
ばよい。このプット・オプションは、金利性のバミュー
ダ・スワップションに代替され、市場の価格が分かる。
従って考慮すべき場合には、不動産コール・オプション
Cの価格からプット・オプションの価格を減ずることに
より劣後部分の価値が計算される。
【0077】また、劣後部分の配当については、n年目
の不動産の賃料収入Hn0が、優先部分についての想定配
当金額yn0以下であれば0となり、想定配当金額yn0を
超えれば超えた分だけ支払われる。従って元本と同じよ
うに、劣後部分の配当の価値については、行使時期が各
配当時期であり、行使価格が優先部分についての想定配
当金額yn0である不動産賃料収入のコール・オプション
Cn0を購入することにより複製することができる。グラ
フに表すと図9のようになる。図9において、横軸は不
動産賃料であり、縦軸は配当額を示す。行使価格yn0ま
では配当は0円であり、yn0を超えると超えた分だけ劣
後部分の配当額となる。
の不動産の賃料収入Hn0が、優先部分についての想定配
当金額yn0以下であれば0となり、想定配当金額yn0を
超えれば超えた分だけ支払われる。従って元本と同じよ
うに、劣後部分の配当の価値については、行使時期が各
配当時期であり、行使価格が優先部分についての想定配
当金額yn0である不動産賃料収入のコール・オプション
Cn0を購入することにより複製することができる。グラ
フに表すと図9のようになる。図9において、横軸は不
動産賃料であり、縦軸は配当額を示す。行使価格yn0ま
では配当は0円であり、yn0を超えると超えた分だけ劣
後部分の配当額となる。
【0078】劣後部分について配当が無い場合には、不
動産コール・オプションCの価格を決定することにより
劣後部分の価値が決定される。償還の延滞を考慮すべき
場合には、不動産コール・オプションCの価格から遅延
をヘッジするプット・オプションの価格を減ずる。劣後
部分について配当がある場合には、元本についての不動
産コール・オプションCの価格と各配当についての不動
産賃料収入のコール・オプションCn0の価格を加算する
ことにより決定される。もし償還の遅延を考慮すべき場
合には、コール・オプションの加算額から遅延をヘッジ
するプット・オプションの価格を減する。
動産コール・オプションCの価格を決定することにより
劣後部分の価値が決定される。償還の延滞を考慮すべき
場合には、不動産コール・オプションCの価格から遅延
をヘッジするプット・オプションの価格を減ずる。劣後
部分について配当がある場合には、元本についての不動
産コール・オプションCの価格と各配当についての不動
産賃料収入のコール・オプションCn0の価格を加算する
ことにより決定される。もし償還の遅延を考慮すべき場
合には、コール・オプションの加算額から遅延をヘッジ
するプット・オプションの価格を減する。
【0079】3.2詳細
3.2.1劣後部分の元本について
劣後部分の元本についての価値を算出する上での前提は
優先部分の元本についてのものと同じである。
優先部分の元本についてのものと同じである。
【0080】よって償還期限を行使期間とし、行使価格
を優先部分の元本総額y0であるコール・オプションC0
は、以下のように表される。
を優先部分の元本総額y0であるコール・オプションC0
は、以下のように表される。
【数17】
a、d'1、d'2、σ**は優先部分のプライシングで説明
したとおりである。(74)式においてΦは一般的に使
用される近似関数を用いて計算できる。
したとおりである。(74)式においてΦは一般的に使
用される近似関数を用いて計算できる。
【0081】3.2.2劣後部分の配当について
劣後部分の配当についての価値を算出する上での前提は
優先部分の元本についてのものと同じである。
優先部分の元本についてのものと同じである。
【0082】よって償還期限を各配当時期とし、行使価
格を優先部分の想定配当金額yn0であるコール・オプシ
ョンCn0は、以下のように表される。
格を優先部分の想定配当金額yn0であるコール・オプシ
ョンCn0は、以下のように表される。
【数18】
mn、d1n、d2n、σn**は優先部分のプライシングで説
明したとおりである。(77)式においてΦは一般的に
使用される近似関数を用いて計算できる。
明したとおりである。(77)式においてΦは一般的に
使用される近似関数を用いて計算できる。
【0083】配当がある場合には、各配当についてのコ
ール・オプションCn0を加算する。劣後部分全体のプラ
イシングを計算する場合には元本についてのコール・オ
プションC0の価格を加算する。償還の遅延をヘッジす
る場合には、そのためのオプション価格を減ずる必要が
ある。
ール・オプションCn0を加算する。劣後部分全体のプラ
イシングを計算する場合には元本についてのコール・オ
プションC0の価格を加算する。償還の遅延をヘッジす
る場合には、そのためのオプション価格を減ずる必要が
ある。
【0084】4.不動産ABSの劣後部分のVaRの算
出 4.1概要 上で議論したように不動産ABSの劣後部分の元本の価
値Eq0t(下付け文字の一桁目の0は元本であることを
示し、二桁目のtはt時点における価値であることを示
す)は不動産コール・オプションCtの価値となる。1
年後の99%VaRはEq01の期待値からEq01の99%
ile点を引いたものとなる。99%VaRでなくとも9
5%VaR等であってもよい。
出 4.1概要 上で議論したように不動産ABSの劣後部分の元本の価
値Eq0t(下付け文字の一桁目の0は元本であることを
示し、二桁目のtはt時点における価値であることを示
す)は不動産コール・オプションCtの価値となる。1
年後の99%VaRはEq01の期待値からEq01の99%
ile点を引いたものとなる。99%VaRでなくとも9
5%VaR等であってもよい。
【0085】式で表せば以下のようになる。なお、Z|
ζはZのζ%ile点であることを表し、VaR|ζ[Z]は資
産Zのζ%VaRであることを表す。Ftはt時点のフ
ィルトレーションを表す。 VaR|99[Eq01] =E[Eq01|F0]−Eq01|99 (78) =E[C01|F0]−C01|99 (79) なお、(78)式から(79)式への変形は上で述べた
関係をそのまま入力したものである。
ζはZのζ%ile点であることを表し、VaR|ζ[Z]は資
産Zのζ%VaRであることを表す。Ftはt時点のフ
ィルトレーションを表す。 VaR|99[Eq01] =E[Eq01|F0]−Eq01|99 (78) =E[C01|F0]−C01|99 (79) なお、(78)式から(79)式への変形は上で述べた
関係をそのまま入力したものである。
【0086】不動産ABSの劣後部分の各配当の価値E
qnt(下付け文字の一桁目のnはn年目の配当であるこ
とを示し、二桁目のtはt時点における価値であること
を示す)は不動産賃料収入のコール・オプションCntの
価値となる。1年後の99%VaRはEqn1の期待値か
らEqn1の99%ile点を引いたものとなる。式で表せば
以下のようになる。 VaR|99[Eqn1] =E[Eqn1|F0]−Eqn1|99 (80) =E[Cn1|F0]−Cn1|99 (81)
qnt(下付け文字の一桁目のnはn年目の配当であるこ
とを示し、二桁目のtはt時点における価値であること
を示す)は不動産賃料収入のコール・オプションCntの
価値となる。1年後の99%VaRはEqn1の期待値か
らEqn1の99%ile点を引いたものとなる。式で表せば
以下のようになる。 VaR|99[Eqn1] =E[Eqn1|F0]−Eqn1|99 (80) =E[Cn1|F0]−Cn1|99 (81)
【0087】(81)式を各配当について計算して加算
し、(79)式で計算される元本の分を加算すれば全体
としてのVaRを計算することができる。
し、(79)式で計算される元本の分を加算すれば全体
としてのVaRを計算することができる。
【0088】4.2詳細
4.2.1不動産ABSの劣後部分の元本についてのV
aR 不動産Xtは上で述べたように(3)式の確率過程に従
う。そうすると、不動産コール・オプションC01は、以
下のようになる。
aR 不動産Xtは上で述べたように(3)式の確率過程に従
う。そうすると、不動産コール・オプションC01は、以
下のようになる。
【数19】
m、d1、d2、σ*については、優先部分のVaRの算
出に用いたものと同じである(式(31)乃至(3
5))。(82)式から(83)式の変形及び(83)
式から(84)式への変形については、ブラック・ショ
ールズにより示されているものであり、詳細については
ここでは述べない。
出に用いたものと同じである(式(31)乃至(3
5))。(82)式から(83)式の変形及び(83)
式から(84)式への変形については、ブラック・ショ
ールズにより示されているものであり、詳細については
ここでは述べない。
【0089】不動産価値過程が(3)式に従うため、1
年後の不動産の価値分布X1は(36)式及び(37)
式で述べたような対数正規分布exp[N(m',σ')]に
従うこととなる。
年後の不動産の価値分布X1は(36)式及び(37)
式で述べたような対数正規分布exp[N(m',σ')]に
従うこととなる。
【0090】そして、1年後のコール・オプションの価
値の現時点での期待値E[C01|F0]は下に述べるような
式で表される。
値の現時点での期待値E[C01|F0]は下に述べるような
式で表される。
【数20】
(85)式から(86)式への変形はブラック・ショー
ルズに従い、また(86)式から(87)式への変形は
X1の確率密度関数を(3)式より計算することで変形
できる。
ルズに従い、また(86)式から(87)式への変形は
X1の確率密度関数を(3)式より計算することで変形
できる。
【0091】次に、1年後のコール・オプションの価値
の99%ile点C01|99を計算する。(74)式から、コ
ール・オプションの価値はX1の単調増加関数となる。
(74)式をC01=h3(X1)と書き直すと、次の式が成
り立つ。なお、P[Z]はZである確率を表す。 0.01=P[X1<X1|99] (88) =P[h3(X1)<h3(X1|99)] (89) =P[C01<h3(X1|99)] (90)
の99%ile点C01|99を計算する。(74)式から、コ
ール・オプションの価値はX1の単調増加関数となる。
(74)式をC01=h3(X1)と書き直すと、次の式が成
り立つ。なお、P[Z]はZである確率を表す。 0.01=P[X1<X1|99] (88) =P[h3(X1)<h3(X1|99)] (89) =P[C01<h3(X1|99)] (90)
【0092】(88)式は、X1の99%ile点の方がX
1より大きい確率が1%しかないことを表しており、
(88)式から(89)式への変形は単調増加関数h3
であるために成り立つ。そして、上で述べた定義より
(89)式は(90)式に変形される。従って、以下の
式が成り立つ。 C01|99=h3(X1|99) (91) =X1|99Φ(d1)−y0e-r(te-t1)Φ(d2) (92) なお、(92)式におけるd1は(32)式のX1をX1|
99に、d1は(33)式のX1をX1|99に置換する必要が
ある。
1より大きい確率が1%しかないことを表しており、
(88)式から(89)式への変形は単調増加関数h3
であるために成り立つ。そして、上で述べた定義より
(89)式は(90)式に変形される。従って、以下の
式が成り立つ。 C01|99=h3(X1|99) (91) =X1|99Φ(d1)−y0e-r(te-t1)Φ(d2) (92) なお、(92)式におけるd1は(32)式のX1をX1|
99に、d1は(33)式のX1をX1|99に置換する必要が
ある。
【0093】以上述べたように(79)式、(87)式
及び(91)式を用いれば、不動産ABSの劣後部分の
99%VaRは、以下の式で表される。
及び(91)式を用いれば、不動産ABSの劣後部分の
99%VaRは、以下の式で表される。
【数21】
【0094】なお、(93)式の具体的計算方法として
は区分求積法を用いる。また、積分の中身の計算におい
て、Φ(正規分布の累積密度関数)以外は解析的に計算
でき、Φは一般的に使用される近似計算を行えばよい。
また、第2項目のhの中身については対数正規分布の9
9ile点の近似計算方法が周知であるからそれを用いれ
ばよい。
は区分求積法を用いる。また、積分の中身の計算におい
て、Φ(正規分布の累積密度関数)以外は解析的に計算
でき、Φは一般的に使用される近似計算を行えばよい。
また、第2項目のhの中身については対数正規分布の9
9ile点の近似計算方法が周知であるからそれを用いれ
ばよい。
【0095】4.2.2不動産ABSの劣後部分の配当
についてのVaR 不動産Xtは上で述べたように(3)式の確率過程に従
う。不動産の賃料収入についても同様に(14)式に従
う。但し上で述べたように、(3)に従うようにしても
良い。そうすると、不動産の賃料収入についてのコール
・オプションC n1は、以下のようになる。
についてのVaR 不動産Xtは上で述べたように(3)式の確率過程に従
う。不動産の賃料収入についても同様に(14)式に従
う。但し上で述べたように、(3)に従うようにしても
良い。そうすると、不動産の賃料収入についてのコール
・オプションC n1は、以下のようになる。
【数22】
m'n、d'1n、d'2n、σn*については、(53)式乃至
(57)式に示したものを用いる。
(57)式に示したものを用いる。
【0096】(94)式から(95)式の変形及び(9
5)式から(96)式への変形については、ブラック・
ショールズにより示されているものであり、詳細につい
てはここでは述べない。
5)式から(96)式への変形については、ブラック・
ショールズにより示されているものであり、詳細につい
てはここでは述べない。
【0097】確率過程が(14)式に従うため、1年後
の不動産のn年目の賃料収入Hn1は(58)式及び(5
9)式で述べたような対数正規分布exp[N(b,
σ'h)]に従うこととなる。
の不動産のn年目の賃料収入Hn1は(58)式及び(5
9)式で述べたような対数正規分布exp[N(b,
σ'h)]に従うこととなる。
【0098】そして、1年後のコール・オプションの価
値の現時点での期待値E[Cn1|F0]は下に述べるような
式で表される。
値の現時点での期待値E[Cn1|F0]は下に述べるような
式で表される。
【数23】
(97)式から(98)式への変形はブラック・ショー
ルズに従い、また(98)式から(99)式への変形
は、Hntの確率密度関数を(14)式より計算すること
で変形することができる
ルズに従い、また(98)式から(99)式への変形
は、Hntの確率密度関数を(14)式より計算すること
で変形することができる
【0099】なお、(99)式で用いられている
d"1n、d"2nは(63)式及び(64)式に示されたと
おりである。
d"1n、d"2nは(63)式及び(64)式に示されたと
おりである。
【0100】次に、1年後のコール・オプションの価値
の99%ile点Cn1|99を計算する。(96)式から、コ
ール・オプションの価値はHn1の単調増加関数となる。
(96)式をCn1=h4(Hn1)と書き直すと、次の式が
成り立つ。なお、P[Z]はZである確率を表す。 0.01=P[Hn1<Hn1|99] (100) =P[h4(Hn1)<h4(Hn1|99)] (101) =P[Cn1<h4(Hn1|99)] (102)
の99%ile点Cn1|99を計算する。(96)式から、コ
ール・オプションの価値はHn1の単調増加関数となる。
(96)式をCn1=h4(Hn1)と書き直すと、次の式が
成り立つ。なお、P[Z]はZである確率を表す。 0.01=P[Hn1<Hn1|99] (100) =P[h4(Hn1)<h4(Hn1|99)] (101) =P[Cn1<h4(Hn1|99)] (102)
【0101】(100)式は、Hn1の99%ile点の方
がHn1より大きい確率が1%しかないことを表してお
り、(100)式から(101)式への変形は単調増加
関数h4であるために成り立つ。そして、上で述べた定
義より(101)式は(102)式に変形される。従っ
て、以下の式が成り立つ。 Hn1|99=h4(Hn1|99) (103) =Hn1|99Φ(d'1n)−yn0e-r(tn-t1)Φ(d'2n) (104) なお、(104)式においてd'1nは(54)式のHn1
をHn1|99に、d'2nは(55)式のHn1をHn1|99に置
換する必要がある。
がHn1より大きい確率が1%しかないことを表してお
り、(100)式から(101)式への変形は単調増加
関数h4であるために成り立つ。そして、上で述べた定
義より(101)式は(102)式に変形される。従っ
て、以下の式が成り立つ。 Hn1|99=h4(Hn1|99) (103) =Hn1|99Φ(d'1n)−yn0e-r(tn-t1)Φ(d'2n) (104) なお、(104)式においてd'1nは(54)式のHn1
をHn1|99に、d'2nは(55)式のHn1をHn1|99に置
換する必要がある。
【0102】以上述べたように(92)式、(99)式
及び(103)式を用いれば、不動産ABSの劣後部分
の配当についての99%VaRは、以下の式で表され
る。
及び(103)式を用いれば、不動産ABSの劣後部分
の配当についての99%VaRは、以下の式で表され
る。
【数24】
【0103】なお、(105)式の具体的計算方法とし
ては区分求積法を用いる。また、積分の中身の計算にお
いて、Φ(正規分布の累積密度関数)以外は解析的に計
算でき、Φは一般的に使用される近似計算を行えばよ
い。また、第2項目のh4の中身については対数正規分
布の99ile点の近似計算方法が周知であるからそれを
用いればよい。
ては区分求積法を用いる。また、積分の中身の計算にお
いて、Φ(正規分布の累積密度関数)以外は解析的に計
算でき、Φは一般的に使用される近似計算を行えばよ
い。また、第2項目のh4の中身については対数正規分
布の99ile点の近似計算方法が周知であるからそれを
用いればよい。
【0104】(105)式を各年の配当について計算し
加算すれば、配当全体についての99%VaRを計算す
ることができるようになる。さらに、(93)式に従っ
て計算された元本についての99%VaRを加算すれ
ば、不動産ABSの劣後部分の全体にかかる99%Va
Rを計算することができる。上で述べたが95%等他の
パーセンテージについてのVaRを計算する場合もあ
る。
加算すれば、配当全体についての99%VaRを計算す
ることができるようになる。さらに、(93)式に従っ
て計算された元本についての99%VaRを加算すれ
ば、不動産ABSの劣後部分の全体にかかる99%Va
Rを計算することができる。上で述べたが95%等他の
パーセンテージについてのVaRを計算する場合もあ
る。
【0105】[実施の態様]図10を用いて上で述べた
発明の原理を実施するコンピュータ・システム1の概要
を説明する。コンピュータ・システム1には、上で述べ
た計算において用いられるデータをユーザ等から受け取
り、優先部分処理部5、劣後部分処理部7、EVaR計
算部21及び収益還元利回計算部27に入力する条件入
力部3と、優先部分のプライシングを行うプライシング
部9及び優先部分のVaRの算出を行うVaR計算部1
1を含む優先部分処理部5と、劣後部分のプライシング
を行うプライシング部13と劣後部分のVaRの算出を
行うVaR計算部15を含む劣後部分処理部7と、市場
の金利やオプションなどの価格のデータを取得して、優
先部分処理部5や劣後部分処理部7やEVaR計算部2
1に入力する情報取得部17と、優先部分のイクペクテ
ィド・ショート・フォール(Expected short fall)ベ
ースのVaRを計算する優先EVaR計算部23と劣後
部分のExpected short fallベールのVaRを計算する
劣後EVaR計算部25とを含むEVaR計算部21
と、収益還元利回りに関連する計算を行う収益還元利回
計算部27と、優先部分処理部5と劣後部分処理部7と
EVaR計算部21と収益還元利回計算部27との出力
を出力装置29に出力する出力部19と、例えば表示装
置や印刷装置である出力装置29とが含まれる。
発明の原理を実施するコンピュータ・システム1の概要
を説明する。コンピュータ・システム1には、上で述べ
た計算において用いられるデータをユーザ等から受け取
り、優先部分処理部5、劣後部分処理部7、EVaR計
算部21及び収益還元利回計算部27に入力する条件入
力部3と、優先部分のプライシングを行うプライシング
部9及び優先部分のVaRの算出を行うVaR計算部1
1を含む優先部分処理部5と、劣後部分のプライシング
を行うプライシング部13と劣後部分のVaRの算出を
行うVaR計算部15を含む劣後部分処理部7と、市場
の金利やオプションなどの価格のデータを取得して、優
先部分処理部5や劣後部分処理部7やEVaR計算部2
1に入力する情報取得部17と、優先部分のイクペクテ
ィド・ショート・フォール(Expected short fall)ベ
ースのVaRを計算する優先EVaR計算部23と劣後
部分のExpected short fallベールのVaRを計算する
劣後EVaR計算部25とを含むEVaR計算部21
と、収益還元利回りに関連する計算を行う収益還元利回
計算部27と、優先部分処理部5と劣後部分処理部7と
EVaR計算部21と収益還元利回計算部27との出力
を出力装置29に出力する出力部19と、例えば表示装
置や印刷装置である出力装置29とが含まれる。
【0106】次に図11乃至図14を用いて図10に示
したコンピュータ・システム1の処理フローを説明す
る。最初に図11を用いて不動産ABSの優先部分のプ
ライシングの処理フローを説明する。情報取得部17
は、例えば図示しないネットーワークを介して他のコン
ピュータから又はコンピュータ・システム1の記憶装置
に格納されているファイル等から、条件入力部3により
入力された償還条件及び優先部分についての配当条件
(以下、優先配当条件とも呼ぶ)に従う無リスク債券価
格の情報を取得し、メモリなどの記憶装置に格納する
(ステップS1)。なお、配当がなければ配当なしの無
リスク債券の価格の情報を取得する。また、情報取得部
17は、満期償還の遅れをヘッジするためのプット・オ
プションの価格の情報を取得し、記憶装置に格納する
(ステップS3)。より詳しくは、条件入力部3により
入力された優先部分の償還期限及び優先部分の元本総額
をそれぞれ行使時点及びコーラブル債の額面とし、当該
コーラブル債を行使時点において当該コーラブル債の額
面と同じ金額で売却するプット・オプションについての
価格情報を取得する。なお、同条件のバミューダ・スワ
ップションの価格を取得すれば代替可能である。
したコンピュータ・システム1の処理フローを説明す
る。最初に図11を用いて不動産ABSの優先部分のプ
ライシングの処理フローを説明する。情報取得部17
は、例えば図示しないネットーワークを介して他のコン
ピュータから又はコンピュータ・システム1の記憶装置
に格納されているファイル等から、条件入力部3により
入力された償還条件及び優先部分についての配当条件
(以下、優先配当条件とも呼ぶ)に従う無リスク債券価
格の情報を取得し、メモリなどの記憶装置に格納する
(ステップS1)。なお、配当がなければ配当なしの無
リスク債券の価格の情報を取得する。また、情報取得部
17は、満期償還の遅れをヘッジするためのプット・オ
プションの価格の情報を取得し、記憶装置に格納する
(ステップS3)。より詳しくは、条件入力部3により
入力された優先部分の償還期限及び優先部分の元本総額
をそれぞれ行使時点及びコーラブル債の額面とし、当該
コーラブル債を行使時点において当該コーラブル債の額
面と同じ金額で売却するプット・オプションについての
価格情報を取得する。なお、同条件のバミューダ・スワ
ップションの価格を取得すれば代替可能である。
【0107】そして、優先部分処理部5のプライシング
部9は、満期時点での元本の目減りをヘッジするための
プット・オプションの価格を決定し、記憶装置に格納す
る(ステップS5)。すなわち、条件入力部3により入
力された償還期限及び償還猶予期限を行使期間とし、同
じく条件入力部3により入力された優先部分の元本総額
を行使価格とし、不動産を原資産とするアメリカン・プ
ット・オプションの価格を計算し、記憶装置に格納す
る。より詳細には、プット・オプションの価格P 00を
(6)式に従って計算し、計算結果を記憶装置に格納す
る。
部9は、満期時点での元本の目減りをヘッジするための
プット・オプションの価格を決定し、記憶装置に格納す
る(ステップS5)。すなわち、条件入力部3により入
力された償還期限及び償還猶予期限を行使期間とし、同
じく条件入力部3により入力された優先部分の元本総額
を行使価格とし、不動産を原資産とするアメリカン・プ
ット・オプションの価格を計算し、記憶装置に格納す
る。より詳細には、プット・オプションの価格P 00を
(6)式に従って計算し、計算結果を記憶装置に格納す
る。
【0108】次に、優先部分処理部5のプライシング部
9は、各優先配当の目減りをヘッジするためのプット・
オプションの価格を決定し、記憶装置に格納する(ステ
ップS7)。本ステップは、各配当について計算が実施
される。なお、配当が無い場合には本ステップは実施さ
れない。本ステップをより詳しく述べれば、条件入力部
3により入力された配当時期を行使時点とし、同じく条
件入力部3により入力された想定優先配当額を行使価格
とし、不動産の賃料収入を原資産とするヨーロピアン・
プットオプションの価格を計算し、記憶装置に格納す
る。さらに詳細には、プット・オプションの価格Pn0を
(17)式に従って各nについて計算をし、計算結果を
記憶装置に格納する。
9は、各優先配当の目減りをヘッジするためのプット・
オプションの価格を決定し、記憶装置に格納する(ステ
ップS7)。本ステップは、各配当について計算が実施
される。なお、配当が無い場合には本ステップは実施さ
れない。本ステップをより詳しく述べれば、条件入力部
3により入力された配当時期を行使時点とし、同じく条
件入力部3により入力された想定優先配当額を行使価格
とし、不動産の賃料収入を原資産とするヨーロピアン・
プットオプションの価格を計算し、記憶装置に格納す
る。さらに詳細には、プット・オプションの価格Pn0を
(17)式に従って各nについて計算をし、計算結果を
記憶装置に格納する。
【0109】プライシング部9は、ステップS1及びス
テップS3において取得された無リスク債券の価格及び
プット・オプションの価格(若しくはバミューダ・スワ
ップションの価格)とステップS5及びステップS7に
おいて決定されたプット・オプションの価格を用いて不
動産ABSの優先部分の価格を決定し、記憶装置に格納
する。そして出力部19を介して表示装置等の出力装置
29に出力する(ステップS9)。より詳しくは、ステ
ップS1において取得された無リスク債券の価格から、
ステップS3で取得されたプット・オプションの価格、
ステップS5において決定されたプット・オプションの
価格及びステップS7において決定された各配当につい
てのプット・オプションの価格を減ずることにより、不
動産ABSの優先部分の価格を決定し、出力装置に出力
する。これにより不動産ABSの優先部分の価格が決定
される。
テップS3において取得された無リスク債券の価格及び
プット・オプションの価格(若しくはバミューダ・スワ
ップションの価格)とステップS5及びステップS7に
おいて決定されたプット・オプションの価格を用いて不
動産ABSの優先部分の価格を決定し、記憶装置に格納
する。そして出力部19を介して表示装置等の出力装置
29に出力する(ステップS9)。より詳しくは、ステ
ップS1において取得された無リスク債券の価格から、
ステップS3で取得されたプット・オプションの価格、
ステップS5において決定されたプット・オプションの
価格及びステップS7において決定された各配当につい
てのプット・オプションの価格を減ずることにより、不
動産ABSの優先部分の価格を決定し、出力装置に出力
する。これにより不動産ABSの優先部分の価格が決定
される。
【0110】次に図12を用いて不動産ABSの優先部
分の99%VaRの計算処理フローを説明する。優先部
分処理部5のVaR計算部11は、条件入力部3から入
力された不動産ABSの優先部分の元本総額を行使価格
とし、同じく条件入力部3から入力された満期後(償還
期限)を行使時期とし、不動産を原資産とするプット・
オプションの1年後の価値の期待値を算出し、記憶装置
に格納する(ステップS11)。より詳しくは、(4
0)式に従って計算を行い、計算結果を記憶装置に格納
する。次に、VaR計算部11は、優先部分の元本総額
を行使価格とし、満期後を行使時期とし、不動産を原資
産とするプット・オプションの1%ile点の値を算出
し、記憶装置に格納する(ステップS13)。より詳し
くは、(48)式に従って計算を行い、計算結果を記憶
装置に格納する。なお、ステップS11及びステップS
13をまとめて(49)式に従って、元本についての9
9%VaRを計算するような構成であってもよい。
分の99%VaRの計算処理フローを説明する。優先部
分処理部5のVaR計算部11は、条件入力部3から入
力された不動産ABSの優先部分の元本総額を行使価格
とし、同じく条件入力部3から入力された満期後(償還
期限)を行使時期とし、不動産を原資産とするプット・
オプションの1年後の価値の期待値を算出し、記憶装置
に格納する(ステップS11)。より詳しくは、(4
0)式に従って計算を行い、計算結果を記憶装置に格納
する。次に、VaR計算部11は、優先部分の元本総額
を行使価格とし、満期後を行使時期とし、不動産を原資
産とするプット・オプションの1%ile点の値を算出
し、記憶装置に格納する(ステップS13)。より詳し
くは、(48)式に従って計算を行い、計算結果を記憶
装置に格納する。なお、ステップS11及びステップS
13をまとめて(49)式に従って、元本についての9
9%VaRを計算するような構成であってもよい。
【0111】また、VaR計算部11は、条件入力部3
により入力された不動産ABSの優先部分の各想定配当
額を行使価格とし、同じく条件入力部3により入力され
た各配当時期を行使時点とし、不動産の賃料収入を原資
産とする第2のプット・オプションの1年後の価値の各
期待値を算出し、記憶装置に格納する(ステップS1
5)。各配当について第2のプット・オプションの1年
後の価値の期待値を計算する。より詳しくは、(62)
式に従って計算を行い、計算結果を記憶装置に格納す
る。また、VaR計算部11は、各想定配当額を行使価
格とし、各配当時期を行使時期とし、不動産の賃料収入
を原資産とする第2のプット・オプションの1%ile点
の値を算出し、記憶装置に格納する(ステップS1
7)。より詳しくは、(70)式に従って計算を行い、
計算結果を記憶装置に格納する。なお、ステップS15
及びステップS17をまとめて(71)式に従って、配
当についての99%VaRを計算するような構成であっ
てもよい。
により入力された不動産ABSの優先部分の各想定配当
額を行使価格とし、同じく条件入力部3により入力され
た各配当時期を行使時点とし、不動産の賃料収入を原資
産とする第2のプット・オプションの1年後の価値の各
期待値を算出し、記憶装置に格納する(ステップS1
5)。各配当について第2のプット・オプションの1年
後の価値の期待値を計算する。より詳しくは、(62)
式に従って計算を行い、計算結果を記憶装置に格納す
る。また、VaR計算部11は、各想定配当額を行使価
格とし、各配当時期を行使時期とし、不動産の賃料収入
を原資産とする第2のプット・オプションの1%ile点
の値を算出し、記憶装置に格納する(ステップS1
7)。より詳しくは、(70)式に従って計算を行い、
計算結果を記憶装置に格納する。なお、ステップS15
及びステップS17をまとめて(71)式に従って、配
当についての99%VaRを計算するような構成であっ
てもよい。
【0112】そしてVaR計算部11は、ステップS1
1乃至ステップS17において算出された値を用いて不
動産ABSの優先部分のVaRを決定し、決定されたV
aRの値を記憶装置に格納する。そして、出力部19を
介して出力装置29に出力する(ステップS19)。例
えば、ステップS13及びステップS17において計算
された値の和からステップS11及びステップS15に
おいて計算された値を減ずることにより、優先部分のV
aRを算出する。これにより、不動産ABSの優先部分
の99%VaRを計算することができる。なお、99%
VaRでなく95%VaRの場合には、1%ile点では
なく5%ile点のプット・オプションの価値を計算すれ
ばよい。他の%についても同様である。
1乃至ステップS17において算出された値を用いて不
動産ABSの優先部分のVaRを決定し、決定されたV
aRの値を記憶装置に格納する。そして、出力部19を
介して出力装置29に出力する(ステップS19)。例
えば、ステップS13及びステップS17において計算
された値の和からステップS11及びステップS15に
おいて計算された値を減ずることにより、優先部分のV
aRを算出する。これにより、不動産ABSの優先部分
の99%VaRを計算することができる。なお、99%
VaRでなく95%VaRの場合には、1%ile点では
なく5%ile点のプット・オプションの価値を計算すれ
ばよい。他の%についても同様である。
【0113】次に、図13を用いて不動産ABSの劣後
部分のプライシングの処理フローについて説明する。劣
後部分処理部7のプライシング13は、条件入力部3か
ら入力された不動産ABSの劣後部分の満期後(満期償
還後)を行使時点とし、同じく条件入力部3から入力さ
れた優先部分の元本総額を行使価格とし、不動産を原資
産とする第1のコール・オプションの価格を計算し、記
憶装置に格納する(ステップS21)。より詳しくは、
(74)式に従って計算を行い、計算結果を記憶装置に
格納する。
部分のプライシングの処理フローについて説明する。劣
後部分処理部7のプライシング13は、条件入力部3か
ら入力された不動産ABSの劣後部分の満期後(満期償
還後)を行使時点とし、同じく条件入力部3から入力さ
れた優先部分の元本総額を行使価格とし、不動産を原資
産とする第1のコール・オプションの価格を計算し、記
憶装置に格納する(ステップS21)。より詳しくは、
(74)式に従って計算を行い、計算結果を記憶装置に
格納する。
【0114】また、プライシング部13は、条件入力部
3により入力された不動産ABSの劣後部分の各配当時
期を各行使時期とし、同じく条件入力部3により入力さ
れた優先部分の各想定配当額を行使価格とし、不動産の
賃料収入を原資産とする第2のコール・オプションの価
格を各配当について計算し、記憶装置に格納する(ステ
ップS23)。より詳しくは、(77)式に従って計算
を行い、計算結果を記憶装置に格納する。
3により入力された不動産ABSの劣後部分の各配当時
期を各行使時期とし、同じく条件入力部3により入力さ
れた優先部分の各想定配当額を行使価格とし、不動産の
賃料収入を原資産とする第2のコール・オプションの価
格を各配当について計算し、記憶装置に格納する(ステ
ップS23)。より詳しくは、(77)式に従って計算
を行い、計算結果を記憶装置に格納する。
【0115】また、情報取得部17は、劣後部分の償還
が不動産売却が遅れたために遅延する場合その遅延をヘ
ッジするためのプット・オプションの価格を、例えばネ
ットワークを介して他のコンピュータから又はコンピュ
ータ・システム1のファイル等から取得し、記憶装置に
格納する(ステップS25)。なお、このようなリスク
をヘッジする必要が無ければ、本ステップを実施する必
要は無い。より詳しくは、条件入力部3により入力され
た劣後部分の償還期限及び劣後部分の元本総額をそれぞ
れ行使時点及びコーラブル債の額面とし、当該コーラブ
ル債を行使時点において当該コーラブル債の額面と同じ
金額で売却するプット・オプションについての価格情報
を取得する。なお、同条件のバミューダ・スワップショ
ンの価格を取得すれば代替可能である。
が不動産売却が遅れたために遅延する場合その遅延をヘ
ッジするためのプット・オプションの価格を、例えばネ
ットワークを介して他のコンピュータから又はコンピュ
ータ・システム1のファイル等から取得し、記憶装置に
格納する(ステップS25)。なお、このようなリスク
をヘッジする必要が無ければ、本ステップを実施する必
要は無い。より詳しくは、条件入力部3により入力され
た劣後部分の償還期限及び劣後部分の元本総額をそれぞ
れ行使時点及びコーラブル債の額面とし、当該コーラブ
ル債を行使時点において当該コーラブル債の額面と同じ
金額で売却するプット・オプションについての価格情報
を取得する。なお、同条件のバミューダ・スワップショ
ンの価格を取得すれば代替可能である。
【0116】最後に、プライシング部13は、ステップ
S21及びステップS23において計算されまたステッ
プS25において取得された情報を用いて不動産ABS
の劣後部分の価格を決定し、記憶装置に格納する。そし
て、出力部19を介して出力装置29に出力する(ステ
ップS27)。例えば、ステップS21で計算された第
1のコール・オプションの価格とステップS23で計算
された各配当に対応する第2のコール・オプションの価
格とを加算し、ステップS25で取得されたプット・オ
プションの価格を減ずれば、劣後部分の価格を決定する
ことができる。
S21及びステップS23において計算されまたステッ
プS25において取得された情報を用いて不動産ABS
の劣後部分の価格を決定し、記憶装置に格納する。そし
て、出力部19を介して出力装置29に出力する(ステ
ップS27)。例えば、ステップS21で計算された第
1のコール・オプションの価格とステップS23で計算
された各配当に対応する第2のコール・オプションの価
格とを加算し、ステップS25で取得されたプット・オ
プションの価格を減ずれば、劣後部分の価格を決定する
ことができる。
【0117】次に図14を用いて不動産ABSの劣後部
分の99%VaRの計算処理フローを説明する。劣後部
分処理部5のVaR計算部15は、条件入力部3から入
力された不動産ABSの優先部分の元本総額を行使価格
とし、同じく条件入力部3から入力された満期後(償還
期限)を行使時期とし、不動産を原資産とするコール・
オプションの1年後の価値の期待値を算出し、記憶装置
に格納する(ステップS31)。より詳しくは、(8
7)式に従って計算を行い、計算結果を記憶装置に格納
する。次に、VaR計算部15は、優先部分の元本総額
を行使価格とし、満期後を行使時期とし、不動産を原資
産とするプット・オプションの99%ile点の値を算出
し、記憶装置に格納する(ステップS33)。より詳し
くは、(92)式に従って計算を行い、計算結果を記憶
装置に格納する。なお、ステップS31及びステップS
33をまとめて(93)式に従って、元本についての9
9%VaRを計算するような構成であってもよい。
分の99%VaRの計算処理フローを説明する。劣後部
分処理部5のVaR計算部15は、条件入力部3から入
力された不動産ABSの優先部分の元本総額を行使価格
とし、同じく条件入力部3から入力された満期後(償還
期限)を行使時期とし、不動産を原資産とするコール・
オプションの1年後の価値の期待値を算出し、記憶装置
に格納する(ステップS31)。より詳しくは、(8
7)式に従って計算を行い、計算結果を記憶装置に格納
する。次に、VaR計算部15は、優先部分の元本総額
を行使価格とし、満期後を行使時期とし、不動産を原資
産とするプット・オプションの99%ile点の値を算出
し、記憶装置に格納する(ステップS33)。より詳し
くは、(92)式に従って計算を行い、計算結果を記憶
装置に格納する。なお、ステップS31及びステップS
33をまとめて(93)式に従って、元本についての9
9%VaRを計算するような構成であってもよい。
【0118】また、VaR計算部15は、条件入力部3
により入力された不動産ABSの優先部分の各想定配当
総額を行使価格とし、同じく条件入力部3により入力さ
れた各配当時期を行使時点とし、不動産の賃料収入を原
資産とする第2のコール・オプションの1年後の価値の
各期待値を算出し、記憶装置に格納する(ステップS3
5)。各配当について第2のコール・オプションの1年
後の価値の期待値を計算する。より詳しくは、(99)
式に従って計算を行い、計算結果を記憶装置に格納す
る。また、VaR計算部15は、各想定配当総額を行使
価格とし、各配当時期を行使時期とし、不動産の賃料収
入を原資産とする第2のコール・オプションの99%il
e点の値を算出し、記憶装置に格納する(ステップS3
7)。より詳しくは、(104)式に従って計算を行
い、計算結果を記憶装置に格納する。なお、ステップS
35及びステップS37をまとめて(105)式に従っ
て、配当についての99%VaRを計算するような構成
であってもよい。
により入力された不動産ABSの優先部分の各想定配当
総額を行使価格とし、同じく条件入力部3により入力さ
れた各配当時期を行使時点とし、不動産の賃料収入を原
資産とする第2のコール・オプションの1年後の価値の
各期待値を算出し、記憶装置に格納する(ステップS3
5)。各配当について第2のコール・オプションの1年
後の価値の期待値を計算する。より詳しくは、(99)
式に従って計算を行い、計算結果を記憶装置に格納す
る。また、VaR計算部15は、各想定配当総額を行使
価格とし、各配当時期を行使時期とし、不動産の賃料収
入を原資産とする第2のコール・オプションの99%il
e点の値を算出し、記憶装置に格納する(ステップS3
7)。より詳しくは、(104)式に従って計算を行
い、計算結果を記憶装置に格納する。なお、ステップS
35及びステップS37をまとめて(105)式に従っ
て、配当についての99%VaRを計算するような構成
であってもよい。
【0119】そしてVaR計算部15は、ステップS3
1乃至ステップS37において算出された値を用いて不
動産ABSの劣後部分のVaRを決定し、決定されたV
aRの値を記憶装置に格納する。そして、出力部19を
介して出力装置29に出力する(ステップS39)。例
えば、ステップS31及びステップS35において計算
された値の和からステップS33及びステップS37に
おいて計算された値を減ずることにより、劣後部分のV
aRを算出する。これにより、不動産ABSの劣後部分
の99%VaRを計算することができる。なお、99%
VaRでなく95%VaRの場合には、99%ile点で
はなく95%ile点のコール・オプションの価値を計算
すればよい。他の%についても同様である。
1乃至ステップS37において算出された値を用いて不
動産ABSの劣後部分のVaRを決定し、決定されたV
aRの値を記憶装置に格納する。そして、出力部19を
介して出力装置29に出力する(ステップS39)。例
えば、ステップS31及びステップS35において計算
された値の和からステップS33及びステップS37に
おいて計算された値を減ずることにより、劣後部分のV
aRを算出する。これにより、不動産ABSの劣後部分
の99%VaRを計算することができる。なお、99%
VaRでなく95%VaRの場合には、99%ile点で
はなく95%ile点のコール・オプションの価値を計算
すればよい。他の%についても同様である。
【0120】図15にコンピュータ・システム1の出力
装置29の一つである表示装置の表示例を示す。条件入
力部3にデータを入力する欄としては、不動産の初期価
格X 0を入力するための初期価格入力欄150と、償還
期限teを入力するための償還年入力欄152と、優先
部分の元本総額y0を入力するための優先償還額入力欄
154と、期待収益率μを入力するための期待収益率入
力欄156と、ボラティリティσを入力するためのボラ
ティリティ入力欄158と、償還時価格Xeを入力する
ための償還時価格入力欄160とが含まれる。なお、金
利及び無リスク債券の価格については、金利設定ボタン
178をクリックし、JGB(Japanese Government Bo
nd)金利ファイル指定ウインドウ180をオープンし、
ドライブ指定欄188でドライブを指定し、ディレクト
リ指定欄186でディレクトリを指定し、ファイル選択
欄190でファイルを選択し、最終的に選択されたファ
イル名がファイル名表示欄181に表示され、このファ
イルに含まれるデータを元に設定される。なお、償還遅
れをヘッジするためのプット・オプションの価格は金利
性のバミューダ・スワップションで代替されるが、この
価格についても別の所定のファイルからデータを取得す
る。
装置29の一つである表示装置の表示例を示す。条件入
力部3にデータを入力する欄としては、不動産の初期価
格X 0を入力するための初期価格入力欄150と、償還
期限teを入力するための償還年入力欄152と、優先
部分の元本総額y0を入力するための優先償還額入力欄
154と、期待収益率μを入力するための期待収益率入
力欄156と、ボラティリティσを入力するためのボラ
ティリティ入力欄158と、償還時価格Xeを入力する
ための償還時価格入力欄160とが含まれる。なお、金
利及び無リスク債券の価格については、金利設定ボタン
178をクリックし、JGB(Japanese Government Bo
nd)金利ファイル指定ウインドウ180をオープンし、
ドライブ指定欄188でドライブを指定し、ディレクト
リ指定欄186でディレクトリを指定し、ファイル選択
欄190でファイルを選択し、最終的に選択されたファ
イル名がファイル名表示欄181に表示され、このファ
イルに含まれるデータを元に設定される。なお、償還遅
れをヘッジするためのプット・オプションの価格は金利
性のバミューダ・スワップションで代替されるが、この
価格についても別の所定のファイルからデータを取得す
る。
【0121】優先部分のキャッシュフローについては、
ウインドウ214内において設定する。このキャッシュ
フローの列において、各年の全体の配当及び償還額を入
力する。この例では、1年目から5年目に2という配当
が支払われ(賃料収入Hnnも2)であるとする)、償還
時には償還時価格入力欄160で入力された額が加えて
支払われることになる。また、優先部分のCFの列で
は、各年の優先部分に対する配当および償還額を入力す
る。この例では、1年目から5年目に1という配当が支
払われ、償還時には優先部分の元本総額20000が加
えられている。現在価格の列には、計算ボタン208が
クリックされると、キャッシュフローの列に入力された
値を現在価値に割り戻した額が表示されるようになって
いる。また、収益還元利回りについても収益還元利回計
算部27にて計算され、収益還元利回り表示欄212に
表示される。すなわち、現在価値は、収益還元利回りに
て割り戻された値となっている。なお、ウインドウ21
4において戻るボタンを押すと、ウインドウ214がク
ローズされるようになっている。
ウインドウ214内において設定する。このキャッシュ
フローの列において、各年の全体の配当及び償還額を入
力する。この例では、1年目から5年目に2という配当
が支払われ(賃料収入Hnnも2)であるとする)、償還
時には償還時価格入力欄160で入力された額が加えて
支払われることになる。また、優先部分のCFの列で
は、各年の優先部分に対する配当および償還額を入力す
る。この例では、1年目から5年目に1という配当が支
払われ、償還時には優先部分の元本総額20000が加
えられている。現在価格の列には、計算ボタン208が
クリックされると、キャッシュフローの列に入力された
値を現在価値に割り戻した額が表示されるようになって
いる。また、収益還元利回りについても収益還元利回計
算部27にて計算され、収益還元利回り表示欄212に
表示される。すなわち、現在価値は、収益還元利回りに
て割り戻された値となっている。なお、ウインドウ21
4において戻るボタンを押すと、ウインドウ214がク
ローズされるようになっている。
【0122】このような入力を行い、計算ボタン174
をクリックすると、算出結果表示欄161に算出結果が
表示される。ここでは、図11の処理フローに従って計
算される優先部分の価格が「優先price」欄162に表
示される。また図13の処理フローに従って計算される
劣後部分の価格が「劣後price」欄164に表示され
る。さらに図12の処理フローに従って計算される優先
部分のVaRが「優先VaR」欄166に表示される。さ
らに図14の処理フローに従って計算される劣後部分の
VaRが「劣後VaR」欄168に表示される。また、こ
の例では、優先部分のExpected short fall ベースのV
aR及び劣後部分のExpected short fallベースのVa
Rがそれぞれ「優先EVaR」欄170と「劣後EVaR」欄1
72とに表示される。
をクリックすると、算出結果表示欄161に算出結果が
表示される。ここでは、図11の処理フローに従って計
算される優先部分の価格が「優先price」欄162に表
示される。また図13の処理フローに従って計算される
劣後部分の価格が「劣後price」欄164に表示され
る。さらに図12の処理フローに従って計算される優先
部分のVaRが「優先VaR」欄166に表示される。さ
らに図14の処理フローに従って計算される劣後部分の
VaRが「劣後VaR」欄168に表示される。また、こ
の例では、優先部分のExpected short fall ベースのV
aR及び劣後部分のExpected short fallベースのVa
Rがそれぞれ「優先EVaR」欄170と「劣後EVaR」欄1
72とに表示される。
【0123】Expected short fall ベースのVaRは以
下の式にて定義されており、EVaR計算部21にて計
算される。 EVaR[X1]=E[X1]−E[X1|X1<X1|99] (106) (106)式は、資産Xの1年後の資産価値X1のExpec
ted short fallベースのVaRは、X1の期待値から、
X1の99%ile点より小さくなるようなX1の期待値を
減じたものである。通常のVaRであれば第2項はX1|
99であるのに対し、X1の99%ile点より小さくなるよ
うなX1の期待値に置き換わっている。よって、EVa
R計算部21の優先EVaR計算部23は、以下のよう
な計算を実施する。 EVaR|[De01] =E[De01|F0]−E[De01|De01<De01|99] (107) =E[RF01|F0]−E[RF01|RF01<RF01|99]−(E[P01|F0]−E[P01|P01<P01| 1 ]) (108) =−E[P01|F0]+E[P01|P01<P01|1] (109) (107)式から(108)式及び(108)式から
(109)式への変形の仕方は前と同じである。(10
9)式の第1項については前と同じであり、第2項のみ
が異なる。第2項はプット・オプションの1年後の価格
P01がその1%ile点の値P01|1より小さくなる場合の
P01の期待値を計算することを意味する。この計算は
(40)式で積分の範囲が0から∞となっているが、0
から1%ile点に相当する範囲までの積分とすれば計算
できる。なお、配当についても同様な計算である。
下の式にて定義されており、EVaR計算部21にて計
算される。 EVaR[X1]=E[X1]−E[X1|X1<X1|99] (106) (106)式は、資産Xの1年後の資産価値X1のExpec
ted short fallベースのVaRは、X1の期待値から、
X1の99%ile点より小さくなるようなX1の期待値を
減じたものである。通常のVaRであれば第2項はX1|
99であるのに対し、X1の99%ile点より小さくなるよ
うなX1の期待値に置き換わっている。よって、EVa
R計算部21の優先EVaR計算部23は、以下のよう
な計算を実施する。 EVaR|[De01] =E[De01|F0]−E[De01|De01<De01|99] (107) =E[RF01|F0]−E[RF01|RF01<RF01|99]−(E[P01|F0]−E[P01|P01<P01| 1 ]) (108) =−E[P01|F0]+E[P01|P01<P01|1] (109) (107)式から(108)式及び(108)式から
(109)式への変形の仕方は前と同じである。(10
9)式の第1項については前と同じであり、第2項のみ
が異なる。第2項はプット・オプションの1年後の価格
P01がその1%ile点の値P01|1より小さくなる場合の
P01の期待値を計算することを意味する。この計算は
(40)式で積分の範囲が0から∞となっているが、0
から1%ile点に相当する範囲までの積分とすれば計算
できる。なお、配当についても同様な計算である。
【0124】さらに、劣後EVaR計算部25は、以下
のような計算を実施する。 EVaR[Eq01] =E[Eq01|F0]−E[Eq01|Eq01<Eq01|99] (110) =E[C01|F0]−E[C01|C01<C01|99] (111) (110)式から(111)式への変形の仕方は前と同
じである。(111)式の第1項については前と同じで
あり、第2項のみが異なる。第2項はコール・オプショ
ンの1年後の価格C01がその99%ile点の値C01|99よ
り小さくなる場合のC01の期待値を計算することを意味
する。この計算は(87)式で積分の範囲が0から∞と
なっているが、0から99%ile点に相当する範囲まで
の積分とすれば計算できる。なお、配当についても同様
な計算である。
のような計算を実施する。 EVaR[Eq01] =E[Eq01|F0]−E[Eq01|Eq01<Eq01|99] (110) =E[C01|F0]−E[C01|C01<C01|99] (111) (110)式から(111)式への変形の仕方は前と同
じである。(111)式の第1項については前と同じで
あり、第2項のみが異なる。第2項はコール・オプショ
ンの1年後の価格C01がその99%ile点の値C01|99よ
り小さくなる場合のC01の期待値を計算することを意味
する。この計算は(87)式で積分の範囲が0から∞と
なっているが、0から99%ile点に相当する範囲まで
の積分とすれば計算できる。なお、配当についても同様
な計算である。
【0125】EVaR計算部21の優先EVaR計算部
23及び劣後EVaR計算部25により計算された優先
部分のExpected short fall ベースのVaRの値及び劣
後部分のExpected short fallベースのVaRの値は出
力部19を介して出力装置29である表示装置に表示さ
れる。すなわち、図15の算出結果表示欄161の「優
先EVaR」欄170及び「劣後EVaR」欄172に
表示される。
23及び劣後EVaR計算部25により計算された優先
部分のExpected short fall ベースのVaRの値及び劣
後部分のExpected short fallベースのVaRの値は出
力部19を介して出力装置29である表示装置に表示さ
れる。すなわち、図15の算出結果表示欄161の「優
先EVaR」欄170及び「劣後EVaR」欄172に
表示される。
【0126】なお、上の説明では、アメリカン・オプシ
ョンについて計算すべきところでも説明を簡単にするた
めにヨーロピアン・オプションについて計算を行ってい
た。これはアメリカン・オプションの場合には一般的に
は解析解が存在しないためでもある。もし、アメリカン
・オプションで計算する場合には、数値解析法等で解く
ことになる。ここでは、その一手法である、二項ツリー
により近似解を求める方法について簡単に説明してお
く。最初に以下の式を離散化することを考える。 dXt=μXtdt+σXtdW (112) ここではツリーの上方へ移動した場合であって、ツリー
の上方へ移動する確率がpの場合に不動産価格はu倍と
なり、ツリーの下方へ移動した場合であって、ツリーの
下方へ移動する確率が1−pである場合に不動産価格は
d倍となるとする。そして、Ntはどのノードにいるか
の状態を表すものとする。そうすると、(112)式は
以下のように離散化される。 Xt=X0uNtdt-Nt (113) t=1,2,...Tとする。Tはオプションの満期時
期を表す。
ョンについて計算すべきところでも説明を簡単にするた
めにヨーロピアン・オプションについて計算を行ってい
た。これはアメリカン・オプションの場合には一般的に
は解析解が存在しないためでもある。もし、アメリカン
・オプションで計算する場合には、数値解析法等で解く
ことになる。ここでは、その一手法である、二項ツリー
により近似解を求める方法について簡単に説明してお
く。最初に以下の式を離散化することを考える。 dXt=μXtdt+σXtdW (112) ここではツリーの上方へ移動した場合であって、ツリー
の上方へ移動する確率がpの場合に不動産価格はu倍と
なり、ツリーの下方へ移動した場合であって、ツリーの
下方へ移動する確率が1−pである場合に不動産価格は
d倍となるとする。そして、Ntはどのノードにいるか
の状態を表すものとする。そうすると、(112)式は
以下のように離散化される。 Xt=X0uNtdt-Nt (113) t=1,2,...Tとする。Tはオプションの満期時
期を表す。
【0127】(113)式で表される不動産価格の変化
を表すツリーの一例を図16に示す。t=0の価格がX
0であり、t=1ではpの確率でuX0となり、1−pの
確率でdX0となる。また、t=2ではuX0の場合もd
X0の場合も確率pでノードの上方に移動し、確率1−
pでノードの下方に移動する。従って、u2X0となる場
合と、udX0となる場合と、d2X0となる場合があ
る。これをt=T(図ではT=6)まで繰り返す。
を表すツリーの一例を図16に示す。t=0の価格がX
0であり、t=1ではpの確率でuX0となり、1−pの
確率でdX0となる。また、t=2ではuX0の場合もd
X0の場合も確率pでノードの上方に移動し、確率1−
pでノードの下方に移動する。従って、u2X0となる場
合と、udX0となる場合と、d2X0となる場合があ
る。これをt=T(図ではT=6)まで繰り返す。
【0128】この離散化された(113)式のp,u,
dを(112)式と整合的になるように決める必要があ
るが、2項モデルの場合は、一般的にu=1/dという
条件を追加し、Δtにおける変化の平均値及び分散が
(112)式及び(113)式で等しくなるという条件
の下解かれる。オプションの価格(プレミアム)を算出
する際は、リスク中立確率の下で計算する必要があり、
この場合測度変換を行うと、μ=r(無リスク金利)と
すればよいことが分かっている。次に、アメリカン・オ
プションの価格を算出するにあたっては、まず時点Tに
おけるオプションの行使価値を各ノード(NT=1,
2,...T)で算出し(例えばコール・オプションの
場合はmax(0,XT−K)(K:行使価格)。プッ
ト・オプションの場合max(0,K−XT))、次に
バックワード・インダクションを用いてT−1時点でT
時点まで保有した場合のオプション価格を算出し、その
値とT−1時点で行使した場合の価値(コール・オプシ
ョンの場合には、XT-1−K。プット・オプションの場
合K−XT-1)を比較し、大きい方を当ノードにおける
アメリカン・オプションの価値とする。ここでバックワ
ード・インダクションとは、t時点のノードにおける価
値を当該ノードに接続されたt+1時点のノードにおけ
る価値から算出する(具体的にはt+1時点の期待値を
t時点の価値に割り戻す)ことである。図16に示した
グラフで右から左にノードをたどる形になる。この操作
をオプションの行使が可能となる時点Tsまで繰り返
す。時点Tsから現時点までは、通常のヨーロピアン・
オプションと同様にバックワード・インダクションを使
用すれば、現時点におけるアメリカン・オプションの価
格が求まる。
dを(112)式と整合的になるように決める必要があ
るが、2項モデルの場合は、一般的にu=1/dという
条件を追加し、Δtにおける変化の平均値及び分散が
(112)式及び(113)式で等しくなるという条件
の下解かれる。オプションの価格(プレミアム)を算出
する際は、リスク中立確率の下で計算する必要があり、
この場合測度変換を行うと、μ=r(無リスク金利)と
すればよいことが分かっている。次に、アメリカン・オ
プションの価格を算出するにあたっては、まず時点Tに
おけるオプションの行使価値を各ノード(NT=1,
2,...T)で算出し(例えばコール・オプションの
場合はmax(0,XT−K)(K:行使価格)。プッ
ト・オプションの場合max(0,K−XT))、次に
バックワード・インダクションを用いてT−1時点でT
時点まで保有した場合のオプション価格を算出し、その
値とT−1時点で行使した場合の価値(コール・オプシ
ョンの場合には、XT-1−K。プット・オプションの場
合K−XT-1)を比較し、大きい方を当ノードにおける
アメリカン・オプションの価値とする。ここでバックワ
ード・インダクションとは、t時点のノードにおける価
値を当該ノードに接続されたt+1時点のノードにおけ
る価値から算出する(具体的にはt+1時点の期待値を
t時点の価値に割り戻す)ことである。図16に示した
グラフで右から左にノードをたどる形になる。この操作
をオプションの行使が可能となる時点Tsまで繰り返
す。時点Tsから現時点までは、通常のヨーロピアン・
オプションと同様にバックワード・インダクションを使
用すれば、現時点におけるアメリカン・オプションの価
格が求まる。
【0129】以上本発明の一実施の形態を説明したが、
本発明はこれに限定されるものではない。例えば図11
乃至図14の処理フローであるが、各図において処理ス
テップは最終ステップ以外順番の入れ替えや同時実施が
可能である。また、図10に示した機能ブロック図は一
例であって、実際のプログラムのモジュール分けとは異
なる場合がある。また、同様の計算を実施する部分につ
いては共通モジュールとして用いられる場合もある。
本発明はこれに限定されるものではない。例えば図11
乃至図14の処理フローであるが、各図において処理ス
テップは最終ステップ以外順番の入れ替えや同時実施が
可能である。また、図10に示した機能ブロック図は一
例であって、実際のプログラムのモジュール分けとは異
なる場合がある。また、同様の計算を実施する部分につ
いては共通モジュールとして用いられる場合もある。
【0130】
【発明の効果】本発明によれば、不動産ABSについて
新規なプライシング及びVaR算出技術を提供すること
ができる。
新規なプライシング及びVaR算出技術を提供すること
ができる。
【図1】不動産ABSの優先部分のキャッシュフローの
一例を示す図である。
一例を示す図である。
【図2】優先部分の元本の償還遅れを示す図である。
【図3】不動産価格の変動により償還額が元本割れする
例を示す図である。
例を示す図である。
【図4】不動産価格と優先部分の元本の償還額の関係を
示す図である。
示す図である。
【図5】不動産の賃料収入の変動による配当の変動を説
明するための図である。
明するための図である。
【図6】不動産の賃料収入と優先部分の配当額の関係を
表す図である。
表す図である。
【図7】99%ile点を説明するための図である。
【図8】不動産価格と劣後部分の償還額の関係を示す図
である。
である。
【図9】不動産の賃料収入と劣後部分の配当額の関係を
示す図である。
示す図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係るコンピュータ・
システム1のブロック図である。
システム1のブロック図である。
【図11】優先部分のプライシングのための処理フロー
の一例を示す図である。
の一例を示す図である。
【図12】優先部分のVaR算出のための処理フローの
一例を示す図である。
一例を示す図である。
【図13】劣後部分のプライシングのための処理フロー
の一例を示す図である。
の一例を示す図である。
【図14】劣後部分のVaR算出のための処理フローの
一例を示す図である。
一例を示す図である。
【図15】コンピュータ・システム1の表示画面例を示
す図である。
す図である。
【図16】アメリカン・オプションの説明のための図で
ある。
ある。
1 コンピュータ・システム 3 条件入力部
5 優先部分処理部 7 劣後部分処理部
9,13 プライシング部 11,15 VaR計算
部 17 情報取得部 19 出力部 21 EVaR計算部 23 優先EVaR計算部 25 劣後EVaR計算部 27 収益還元利回計算
部 29 出力装置
部 17 情報取得部 19 出力部 21 EVaR計算部 23 優先EVaR計算部 25 劣後EVaR計算部 27 収益還元利回計算
部 29 出力装置
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 中山 博貴
東京都千代田区丸の内1丁目2番1号 東
京海上火災保険株式会社内
(72)発明者 森本 祐司
神奈川県川崎市麻生区片平1−9−5−
303
Claims (21)
- 【請求項1】不動産資産担保証券の優先部分のプライシ
ング方法であって、 前記優先部分の償還条件を満たす無リスク債券価格の情
報を取得し、記憶装置に格納するステップと、 前記優先部分の元本総額の償還遅れをヘッジするための
オプション価格の情報を取得し、記憶装置に格納するス
テップと、 前記優先部分の償還時における償還額の元本割れをヘッ
ジするためのオプション価格を計算し、記憶装置に格納
するステップと、 前記無リスク債券価格と前記優先部分の元本総額の償還
遅れをヘッジするためのオプション価格と前記優先部分
の償還時における償還額の元本割れをヘッジするための
オプション価格とを用いて前記不動産資産担保証券の優
先部分の価格を決定し、記憶装置に格納する価格決定ス
テップと、 を含む不動産資産担保証券の優先部分のプライシング方
法。 - 【請求項2】前記優先部分の各配当条件を満たす第2の
無リスク債券価格の情報を取得し、記憶装置に格納する
ステップと、 前記優先部分の各配当額の想定配当額割れをヘッジする
ためのオプション価格を計算し、記憶装置に格納するス
テップと、 をさらに含み、 前記価格決定ステップが、 前記無リスク債券価格及び前記第2の無リスク債券価格
と、前記優先部分の元本総額の償還遅れをヘッジするた
めのオプション価格と前記優先部分の償還時における償
還額の元本割れをヘッジするためのオプション価格と前
記優先部分の各配当額の想定配当額割れをヘッジするた
めのオプション価格とを用いて前記不動産資産担保証券
の優先部分の価格を決定し、記憶装置に格納するステッ
プ、 であることを特徴とする請求項1記載の不動産資産担保
証券の優先部分のプライシング方法。 - 【請求項3】不動産資産担保証券の優先部分のプライシ
ング方法であって、 前記優先部分の償還条件を満たす無リスク債券価格の情
報を取得し、記憶装置に格納するステップと、 前記優先部分の償還期限後を行使時点とし、前記優先部
分の元本総額を額面とし、前記償還期限以降償還猶予期
限内のいずれかの時点で償還可能な債券を前記優先部分
の元本総額で売却するための第1のプット・オプション
の価格の情報を取得し、記憶装置に格納する第1プット
・オプション価格取得ステップと、 前記優先部分の償還期限以降前記償還猶予期限内を行使
期間とし、前記不動産を原資産とし、前記優先部分の元
本総額を行使価格とする第2のプット・オプションの価
格を計算し、記憶装置に格納する第2プット・オプショ
ン価格計算ステップと、 前記無リスク債券価格と前記第1及び第2のプット・オ
プションの価格とを用いて前記不動産資産担保証券の優
先部分の価格を決定し、記憶装置に格納する価格決定ス
テップと、 を含む不動産資産担保証券の優先部分のプライシング方
法。 - 【請求項4】前記優先部分の各配当条件を満たす第2の
無リスク債券価格の情報を取得し、記憶装置に格納する
ステップと、 前記優先部分の各配当時期を各行使時期とし、前記不動
産又は不動産の賃料収入を原資産とし、各配当金額を行
使価格とする第3のプット・オプションの価格を計算
し、記憶装置に格納する第3プット・オプション価格計
算ステップと、 をさらに含み、 前記価格決定ステップが、 前記無リスク債券価格及び前記第2の無リスク債券価格
と前記第1乃至第3のプット・オプションの価格とを用
いて前記不動産資産担保証券の優先部分の価格を決定
し、記憶装置に格納するステップであることを特徴とす
る請求項1記載の不動産資産担保証券の優先部分のプラ
イシング方法。 - 【請求項5】不動産資産担保証券の優先部分のx%バリ
ューアットリスクを算出する方法であって、 前記優先部分の元本総額を行使価格とし、前記優先部分
の償還期限後を行使時点とする不動産を原資産とするt
年後のプット・オプションの価格の期待値を計算し、記
憶装置に格納する期待値計算ステップと、 前記不動産を原資産とするt年後のプット・オプション
について(100−x)%の確率で発生する最大損失額
を計算し、記憶装置に格納する最大損失額計算ステップ
と、 前記不動産を原資産とするt年後のプット・オプション
について(100−x)%の確率で発生する最大損失額
と前記不動産を原資産とするt年後のプット・オプショ
ンの価格の期待値とを用いて前記不動産資産担保証券の
優先部分のx%バリューアットリスクを算出し、記憶装
置に格納するバリューアットリスク計算ステップと、 を含む不動産資産担保証券の優先部分のx%バリューア
ットリスク算出方法。 - 【請求項6】前記優先部分の各配当金額を行使価格と
し、前記優先部分の各配当時期を行使時点とする前記不
動産又は不動産の賃料収入を原資産とするt年後のプッ
ト・オプションの価格の第2の期待値を計算し、記憶装
置に格納する第2期待値計算ステップと、 前記不動産又は不動産の賃料収入を原資産とするt年後
のプット・オプションについて(100−x)%の確率
で発生する第2の最大損失額を計算し、記憶装置に格納
する第2最大損失額計算ステップと、 をさらに含み、 前記バリューアットリスク計算ステップが、 前記最大損失額及び前記第2の最大損失額と前記期待値
及び前記第2の期待値とを用いて、前記不動産資産担保
証券の優先部分のx%バリューアットリスクを算出し、
記憶装置に格納するステップであることを特徴とする請
求項5記載の不動産資産担保証券の優先部分のx%バリ
ューアットリスク算出方法。 - 【請求項7】前記期待値計算ステップ又は前記最大損失
額計算ステップにおいて、 少なくとも前記不動産の価格のボラティリティと、金利
情報と、不動産価格と、前記優先部分の元本総額とを用
いて前記期待値を計算することを特徴とする請求項4乃
至6のいずれか1つ記載の不動産資産担保証券の優先部
分のx%バリューアットリスク算出方法。 - 【請求項8】不動産資産担保証券の劣後部分のプライシ
ング方法であって、 前記劣後部分の償還期間後を行使時点とし、前記不動産
資産担保証券の優先部分の元本総額を行使価格とし、前
記不動産を原資産とする第1のコール・オプションの価
格を計算し、記憶装置に格納する第1コール・オプショ
ン価格計算ステップと、 前記第1のコール・オプションの価格を用いて前記不動
産資産担保証券の劣後部分の価格を決定し、記憶装置に
格納する価格決定ステップと、 を含む不動産資産担保証券の劣後部分のプライシング方
法。 - 【請求項9】前記劣後部分の各配当時期を各行使時期と
し、前記不動産又は不動産の賃料収入を原資産とし、前
記優先部分の各配当金額を行使価格とする第2のコール
・オプションの価格を計算し、記憶装置に格納する第2
コール・オプション価格計算ステップ、 をさらに含み、 前記価格決定ステップが、 前記第1及び第2のコール・オプションの価格を用いて
前記不動産資産担保証券の劣後部分の価格を決定し、記
憶装置に格納するステップであることを特徴とする請求
項8記載の不動産資産担保証券の劣後部分のプライシン
グ方法。 - 【請求項10】前記劣後部分の償還期限後を行使時点と
し、前記劣後部分の元本総額を額面とし、前記償還期限
以降償還猶予期限内のいずれかの時点で償還可能な債券
を前記劣後部分の額面で売却するための第1のプット・
オプションの価格の情報を取得し、記憶装置に格納する
第1プット・オプション価格取得ステップ、 をさらに含み、 前記価格決定ステップが、 前記第1のコール・オプション又は第1及び第2のコー
ル・オプションと前記第1のプット・オプションの価格
とを用いて前記不動産資産担保証券の劣後部分の価格を
決定し、記憶装置に格納するステップであることを特徴
とする請求項8又は9の不動産資産担保証券の劣後部分
のプライシング方法。 - 【請求項11】前記第1コール・オプション価格計算ス
テップにおいて、 少なくとも前記不動産の価格のボラティリティと、金利
情報と、不動産価格と、前記劣後部分の元本総額とを用
いて前記第1のコール・オプションの価格を計算するこ
とを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1つ記載の
不動産資産担保証券の劣後部分のプライシング方法。 - 【請求項12】前記第2コール・オプション価格計算ス
テップにおいて、 少なくとも前記不動産又は賃料の価格のボラティリティ
と、金利情報と、賃料価格と、前記劣後部分の配当金額
とを用いて前記第2のプット・オプションの価格を計算
することを特徴とする請求項9記載の不動産資産担保証
券の劣後部分のプライシング方法。 - 【請求項13】不動産資産担保証券の劣後部分のx%バ
リューアットリスクを算出する方法であって、 前記劣後部分の償還期間後を行使時点とし、前記不動産
資産担保証券の優先部分の元本総額を行使価格とし、前
記不動産を原資産とするt年後のコール・オプションの
価格の期待値を計算し、記憶装置に格納する期待値計算
ステップと、 前記不動産を原資産とするt年後のコール・オプション
についてx%の確率でカバーされる範囲における最大損
失額を計算し、記憶装置に格納する最大損失額計算ステ
ップと、 前記不動産を原資産とするt年後のコール・オプション
の価格の期待値と前記不動産を原資産とするt年後のコ
ール・オプションについてx%の確率でカバーされる範
囲における最大損失額とを用いて前記不動産資産担保証
券の劣後部分のx%バリューアットリスクを算出し、記
憶装置に格納するバリューアットリスク計算ステップ
と、 を含む不動産資産担保証券の劣後部分のx%バリューア
ットリスク算出方法。 - 【請求項14】前記劣後部分の各配当時期を行使時点と
し、前記不動産資産担保証券の優先部分の想定配当金額
を行使価格とし、前記不動産又は不動産の賃料収入を原
資産とするt年後のコール・オプションの価格の第2の
期待値を計算し、記憶装置に格納するステップと、 前記不動産又は不動産の賃料収入を原資産とするt年後
のコール・オプションについてx%の確率でカバーされ
る範囲における第2の最大損失額を計算し、記憶装置に
格納するステップと、 をさらに含み、 前記バリューアットリスク計算ステップが、 前記期待値及び前記第2の期待値と前記最大損失額及び
前記第2の最大損失額とを用いて前記不動産試算担保証
券の劣後部分のx%バリューアットリスクを算出し、記
憶装置に格納するステップであることを特徴とする請求
項13又は14記載の不動産資産担保証券の劣後部分の
x%バリューアットリスク算出方法。 - 【請求項15】前記期待値計算ステップ又は前記最大損
失額決定ステップにおいて、 少なくとも前記不動産の価格のボラティリティと、金利
情報と、不動産価格と、前記優先部分の元本総額とを用
いて前記期待値を計算することを特徴とする請求項13
記載の不動産資産担保証券の劣後部分のx%バリューア
ットリスク算出方法。 - 【請求項16】請求項1乃至15のいずれか1つ記載の
方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。 - 【請求項17】不動産資産担保証券の優先部分のプライ
シング装置であって、 前記優先部分の償還条件を満たす無リスク債券価格の情
報を取得し、記憶装置に格納する手段と、 前記優先部分の元本総額の償還遅れをヘッジするための
オプション価格の情報を取得し、記憶装置に格納する手
段と、 前記優先部分の償還時における償還額の元本割れをヘッ
ジするためのオプション価格を計算し、記憶装置に格納
する手段と、 前記無リスク債券価格と前記優先部分の元本総額の償還
遅れをヘッジするためのオプション価格と前記優先部分
の償還時における償還額の元本割れをヘッジするための
オプション価格とを用いて前記不動産資産担保証券の優
先部分の価格を決定し、記憶装置に格納する価格決定手
段と、 を含む不動産資産担保証券の優先部分のプライシング装
置。 - 【請求項18】不動産資産担保証券の優先部分のプライ
シング装置であって、 前記優先部分の償還条件を満たす無リスク債券価格の情
報を取得し、記憶装置に格納する手段と、 前記優先部分の償還期限後を行使時点とし、前記優先部
分の元本総額を額面とし、前記償還期限以降償還猶予期
限内のいずれかの時点で償還可能な債券を前記優先部分
の元本総額で売却するための第1のプット・オプション
の価格の情報を取得し、記憶装置に格納する第1プット
・オプション価格取得手段と、 前記優先部分の償還期限以降前記償還猶予期限内を行使
期間とし、前記不動産を原資産とし、前記優先部分の元
本総額を行使価格とする第2のプット・オプションの価
格を計算し、記憶装置に格納する第2プット・オプショ
ン価格計算手段と、 前記無リスク債券価格と前記第1及び第2のプット・オ
プションの価格とを用いて前記不動産資産担保証券の優
先部分の価格を決定し、記憶装置に格納する価格決定手
段と、 を含む不動産資産担保証券の優先部分のプライシング装
置。 - 【請求項19】不動産資産担保証券の優先部分のx%バ
リューアットリスクを算出する装置であって、 前記優先部分の元本総額を行使価格とし、前記優先部分
の償還期限後を行使時点とする不動産を原資産とするt
年後のプット・オプションの価格の期待値を計算し、記
憶装置に格納する期待値計算手段と、 前記不動産を原資産とするt年後のプット・オプション
について(100−x)%の確率で発生する最大損失額
を計算し、記憶装置に格納する最大損失額計算手段と、 前記不動産を原資産とするt年後のプット・オプション
について(100−x)%の確率で発生する最大損失額
と前記不動産を原資産とするt年後のプット・オプショ
ンの価格の期待値とを用いて前記不動産資産担保証券の
優先部分のx%バリューアットリスクを算出し、記憶装
置に格納するバリューアットリスク計算手段と、 を含む不動産資産担保証券の優先部分のx%バリューア
ットリスク算出装置。 - 【請求項20】不動産資産担保証券の劣後部分のプライ
シング装置であって、 前記劣後部分の償還期間後を行使時点とし、前記不動産
資産担保証券の優先部分の元本総額を行使価格とし、前
記不動産を原資産とする第1のコール・オプションの価
格を計算し、記憶装置に格納する第1コール・オプショ
ン価格計算手段と、 前記第1のコール・オプションの価格を用いて前記不動
産資産担保証券の劣後部分の価格を決定し、記憶装置に
格納する価格決定手段と、 を含む不動産資産担保証券の劣後部分のプライシング装
置。 - 【請求項21】不動産資産担保証券の劣後部分のx%バ
リューアットリスクを算出する装置であって、 前記劣後部分の償還期間後を行使時点とし、前記不動産
資産担保証券の優先部分の元本総額を行使価格とし、前
記不動産を原資産とするt年後のコール・オプションの
価格の期待値を計算し、記憶装置に格納する期待値計算
手段と、 前記不動産を原資産とするt年後のコール・オプション
についてx%の確率でカバーされる範囲における最大損
失額を計算し、記憶装置に格納する最大損失額計算手段
と、 前記不動産を原資産とするt年後のコール・オプション
の価格の期待値と前記不動産を原資産とするt年後のコ
ール・オプションについてx%の確率でカバーされる範
囲における最大損失額とを用いて前記不動産資産担保証
券の劣後部分のx%バリューアットリスクを算出し、記
憶装置に格納するバリューアットリスク計算手段と、 を含む不動産資産担保証券の劣後部分のx%バリューア
ットリスク算出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001252262A JP2003067566A (ja) | 2001-08-23 | 2001-08-23 | 不動産資産担保証券の優先及び劣後部分のプライシング方法及び不動産資産担保証券の優先及び劣後部分のx%バリューアットリスクを算出する方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001252262A JP2003067566A (ja) | 2001-08-23 | 2001-08-23 | 不動産資産担保証券の優先及び劣後部分のプライシング方法及び不動産資産担保証券の優先及び劣後部分のx%バリューアットリスクを算出する方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2003067566A true JP2003067566A (ja) | 2003-03-07 |
Family
ID=19080772
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001252262A Withdrawn JP2003067566A (ja) | 2001-08-23 | 2001-08-23 | 不動産資産担保証券の優先及び劣後部分のプライシング方法及び不動産資産担保証券の優先及び劣後部分のx%バリューアットリスクを算出する方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2003067566A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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US7693765B2 (en) | 2004-11-30 | 2010-04-06 | Michael Dell Orfano | System and method for creating electronic real estate registration |
JP2012058938A (ja) * | 2010-09-08 | 2012-03-22 | Nomura Research Institute Ltd | 価格情報提供装置および価格情報提供方法 |
US9076185B2 (en) | 2004-11-30 | 2015-07-07 | Michael Dell Orfano | System and method for managing electronic real estate registry information |
KR20240012887A (ko) * | 2022-07-21 | 2024-01-30 | 윤태규 | 주택 증권 운용 서버 및 이를 포함하는 시스템 |
-
2001
- 2001-08-23 JP JP2001252262A patent/JP2003067566A/ja not_active Withdrawn
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KR102711280B1 (ko) | 2022-07-21 | 2024-09-26 | 윤태규 | 주택 증권 운용 서버 및 이를 포함하는 시스템 |
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