JP2003065425A - 無段変速機の前後進切り換え機構における油量収支制御装置 - Google Patents

無段変速機の前後進切り換え機構における油量収支制御装置

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JP2003065425A
JP2003065425A JP2001256063A JP2001256063A JP2003065425A JP 2003065425 A JP2003065425 A JP 2003065425A JP 2001256063 A JP2001256063 A JP 2001256063A JP 2001256063 A JP2001256063 A JP 2001256063A JP 2003065425 A JP2003065425 A JP 2003065425A
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pressure
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高負荷セレクト時はライン圧制御値を高くす
るから下流における前後進切り換え制御部の油量収支が
悪化してクラッチの締結遅れによる耐久性の悪化を生じ
るため、これを防止し得る油量収支制御装置を実現す
る。 【解決手段】 S52,S54で高負荷セレクト有りと
判定する時S56において、S55で読み込んだ作動油
温TMPおよびS53で読み込んだエンジン回転数Ne
(オイルポンプ回転数)から、高負荷セレクト時におい
てクラッチ元圧制御弁26が所定の圧力を作り出すこと
のできる油量収支上のライン圧限界値P LIM を求
め、S57では、ライン圧限界値PLLIM とS64
で求めた高負荷セレクト時のライン圧目標値PLO
を比較し、PLLIM≧PLOならS58でライン圧指
令値Pにライン圧目標値PLO をセットし、P
LLI <PLO ならS59でライン圧指令値P
にライン圧限界値PLLIMをセットする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無段変速機の前後
進切り換え機構における摩擦要素が高負荷セレクト時に
おいて油量不足を生ずることのないようにした油量収支
制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】無段変速機は、無段変速機構がそれ自体
で回転方向を切り換える機能を持たないため無段変速機
構の前段または後段(通常は前段)に前後進切り換え機
構を具え、その内部における前進用摩擦要素(クラッチ
やブレーキ)または後退用摩擦要素(クラッチやブレー
キ)を締結させて無段変速機を前進回転伝動状態または
後退回転伝動状態にし得るようになす。
【0003】前進用摩擦要素または後退用摩擦要素を締
結、解放制御するための油圧回路としては、無段変速機
構の変速制御に用いるライン圧を制御するライン圧制御
弁からの余剰油をクラッチ元圧制御弁により圧力制御
し、これにより前後進切り換え機構の前進用摩擦要素ま
たは後退用摩擦要素を締結したり解放させるようにした
ものがある。
【0004】ところでライン圧は、例えばVベルト式無
段変速機について述べると、変速制御に用いる時にVベ
ルトをプーリV溝側壁間に挟圧して原動機からのトルク
を伝達する用をなし、従って伝達トルク容量を決定する
ことから原動機の負荷状態にマッチしたものであるを要
し、さもなくば、ライン圧(伝達トルク容量)が過大で
ある時にはVベルトに過大張力がかかってしまい、ライ
ン圧(伝達トルク容量)が不足する時にはVベルトをス
リップさせてしまい、いずれの場合も耐久性の低下を生
じる。
【0005】一方で、前後進切り換え機構における前進
用摩擦要素や後退用摩擦要素を締結させるためのクラッ
チ元圧も、これら摩擦要素の伝達トルク容量を決定する
ことから原動機の負荷状態にマッチしたものであるを要
し、さもなくば、クラッチ元圧(伝達トルク容量)が過
大である時に大きなセレクトショックを生じ、クラッチ
(伝達トルク容量)が不足する時に大きなセレクト応答
遅れを生じる。
【0006】そこで従来は、例えば特開平8−2104
49号公報に記載のように、セレクト時に原動機が高負
荷状態である場合、ライン圧の目標値を低負荷時よりも
高い、ベルト滑りを生じない限界値まで高める技術が提
案された。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来の技術を前
記したライン圧制御系およびクラッチ元圧制御系に適用
した場合、非走行レンジから走行レンジへのセレクト操
作の後所定時間内にアクセルペダルの踏み込みがあった
高負荷セレクト時について説明すると、ライン圧目標値
は踏み込み瞬時から高負荷用の到達ライン圧へと上昇さ
れ、実際のライン圧がこれに沿って上昇するよう制御さ
れる。
【0008】しかし上記のライン圧制御系およびクラッ
チ元圧制御系にあっては、ライン圧制御弁が上記のよう
にライン圧を上昇させるよう制御した後にライン圧制御
弁から排出される余剰油をクラッチ元圧制御弁により調
圧してクラッチ元圧となし、これを前進用摩擦要素や後
退用摩擦要素に供給してその締結圧(クラッチ圧)を発
生させるものであるため、ライン圧を急上昇させる高負
荷セレクト時においてはクラッチ元圧が油量不足により
著しく低下する。
【0009】これがため、摩擦要素の締結遅れが発生す
ると共に、この間にもエンジン回転数は高負荷故に上昇
するため、当該エンジン回転数の上昇後に上昇したクラ
ッチ圧により前進用摩擦要素や後退用摩擦要素が急激に
締結されてしまう。その結果、トルク伝達系の振動を誘
発してVベルトに対し許容限界トルクを越えたピークト
ルクを作用させ、Vベルトの耐久性を低下させたり、シ
ョックの発生原因となっていた。
【0010】かといって、高負荷セレクト時においても
クラッチ元圧Pcoが所定通りに発生するような大容量
のオイルポンプを用いて油量収支を満足させようとする
と、ポンプの駆動負荷が大きくなって燃費の悪化を伴う
し、オイルの漏洩量を減じて油量収支を満足させようと
すると、コスト高になって実際的ではない。
【0011】本発明は、高負荷セレクト時において前後
進切り換え制御部の油量収支が不成立となる領域をライ
ン圧限界値により定め、この限界値を超えてライン圧が
高くならないようにすることで、ライン圧制御の下流側
における前後進切り換え制御部の油量収支を確実に成立
させ得るようにし、もって上記したような前進用摩擦要
素や後退用摩擦要素の締結遅れ、およびこれに伴うピー
クトルクの発生やショックの問題を回避し得るようにし
た無段変速機構の前後進切り換え機構における油量収支
制御装置を提案することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】この目的のため請求項1
に記載の発明による無段変速機の油量収支制御装置は、
無段変速機構の変速制御に用いるライン圧を制御するラ
イン圧制御弁からの余剰油をクラッチ元圧制御弁により
圧力制御して前後進切り換え機構の制御に用いるように
した無段変速機において、非走行レンジから走行レンジ
へのセレクト時に原動機が高負荷状態である場合、前記
クラッチ元圧制御弁が所定の圧力を作り出すことのでき
る油量収支上のライン圧限界値と、該高負荷セレクト時
のライン圧目標値との低い方を前記ライン圧制御弁の調
圧値とするよう構成したことを特徴とするものである。
【0013】また請求項2に記載の発明は、請求項1の
発明におけるライン圧限界値を、ライン圧およびクラッ
チ元圧の媒体である作動油を吐出するオイルポンプの回
転数が低い時ほど小さな値に設定したものである。
【0014】さらに請求項3に記載の発明は、請求項1
または2の発明におけるライン圧限界値を、ライン圧お
よびクラッチ元圧の媒体である作動油の油温が高い時ほ
ど小さな値に設定したものである。
【0015】
【発明の効果】請求項1においては、無段変速制御用の
ライン圧を制御するライン圧制御弁からの余剰油をクラ
ッチ元圧制御弁により圧力制御して前後進切り換え機構
の制御に用いるが、この際、非走行レンジから走行レン
ジへのセレクト時に原動機が高負荷状態である場合、ク
ラッチ元圧制御弁が所定の圧力を作り出すことのできる
油量収支上のライン圧限界値と、該高負荷セレクト時の
ライン圧目標値との低い方をライン圧制御弁の調圧値と
する。よって、高負荷セレクト時において前後進切り換
え制御部の油量収支を成立させ得なくなるようなライン
圧限界値を超えてライン圧が高くなることがなくなり、
ライン圧制御の下流側における前後進切り換え制御部の
油量収支を確実に成立させることができ、これにより、
前記したような前進用摩擦要素や後退用摩擦要素の締結
遅れ、およびこれに伴うピークトルクの発生やショック
の問題を回避し得る。
【0016】請求項2においては、請求項1の発明にお
けるライン圧限界値をオイルポンプの回転数が低い時ほ
ど小さな値にしたから、前後進切り換え制御部の油量収
支を成立させ得なくなるようなライン圧限界値がオイル
ポンプ回転数の低い時ほど小さくなるとの実情に良く符
合して、如何なるオイルポンプ回転数のもとでもライン
圧を必要最小限に制限することができる。
【0017】請求項3においては、請求項1または2に
おけるライン圧限界値を作動油温が高い時ほど小さな値
に設定したから、前後進切り換え制御部の油量収支を成
立させ得なくなるようなライン圧限界値が高油温時ほど
漏洩の影響で小さくなるとの実情に良く符合して、如何
なる油温のもとでもライン圧を必要最小限に制限するこ
とができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき詳細に説明する。図1乃至図4は、本発明一実
施の形態になる油量収支制御装置をVベルト式無段変速
機に適用した例を示す。
【0019】図1は、トランスアクスルとして構成した
同Vベルト式無段変速機の伝動系を示し、この伝動系
は、原動機であるエンジン1からの回転をトルクコンバ
ータ2を経て入力される入力軸3と、前後進切換え機構
4と、Vベルト伝動機構5と、ディファレンシャルギヤ
装置6とで構成する。前後進切換え機構4は、ダブルピ
ニオン型遊星歯車組7を具え、前進クラッチ8の締結に
より入力軸3の回転をそのままVベルト伝動機構5に伝
達することができ、後退ブレーキ9の締結により入力軸
3の回転を逆転してVベルト伝動機構5に伝達すること
ができるものとする。
【0020】Vベルト伝動機構5は、前後進切換え機構
4からの回転を入力される駆動側のプライマリプーリ1
0と、従動側のセカンダリプーリ11と、これらプーリ
10,11間に掛け渡したVベルト12とで構成する。
ここでプライマリプーリ10およびセカンダリプーリ1
1はそれぞれ、一方のフランジ10a,11aを他方の
フランジ10b,11bと共に回転するが、軸線方向へ
変位可能な可動フランジとし、これら可動フランジ10
a,11aの位置をシリンダ室10c,11c内の圧力
により制御可能とする。
【0021】Vベルト伝動機構5は、プライマリプーリ
10への回転をVベルト12を介してセカンダリプーリ
11および出力軸13に順次伝達する。この伝動中セカ
ンダリプーリシリンダ室11cに、図2のシステムによ
り制御されるライン圧Pを供給し、プライマリプー
リシリンダ室10cに、このライン圧Pを元圧とし
て変速制御弁(図示せず)が決定した変速制御圧(プラ
イマリプーリ圧)を供給する。そして、セカンダリプー
リシリンダ室11cにおけるライン圧Pに対するプ
ライマリプーリシリンダ室10cにおけるプライマリプ
ーリ圧の比により、可動フランジ10a,11aの位置
を決定して、両プーリ10,11に対するVベルト12
の巻掛け円弧径、つまり、プーリ間伝動比(変速比)を
決定する。
【0022】よってVベルト伝動機構5は、プライマリ
プーリ圧を上昇させることで、変速比を最低速変速比か
ら連続的に高速側変速比に向けて無段階に変化させる変
速を行うことができ、プライマリプーリ圧を低下させる
ことで、変速比を逆に連続的に最低速変速比へ向けて無
段階に変化させる変速を行うことができる。
【0023】Vベルト伝動機構5から出力軸13への回
転は、平行軸歯車組14を介してディファレンシャルギ
ヤ装置6に入力され、このディファレンシャルギヤ装置
6は車軸15,16を介して図示せざる車両の左右駆動
輪を差動下に駆動するものとする。
【0024】図2は、前進クラッチ8および後退ブレー
キ9を締結圧Pc,PbのON,OFFにより締結、解
放制御する油圧回路を、ライン圧Pの制御回路と共
に示し、これら圧力の媒体である作動油をオイルパン2
1から吸入して吐出するオイルポンプ22を具える。オ
イルポンプ22はエンジン1により駆動され、オイルポ
ンプ22からの吐出オイルは、ライン圧制御弁23によ
り所定のライン圧Pに調圧されてVベルト伝動機構
5(図1参照)の変速制御部24に向かい、前記の変速
制御に供される。
【0025】弁23による上記したライン圧制御中に余
った余剰油は弁23から回路25に送出され、クラッチ
元圧制御弁26はこの余剰油を媒体として回路25内の
余剰油を所定のクラッチ元圧Pcoに調圧する。ライン
圧制御弁23およびクラッチ元圧制御弁26は、制御元
圧発生部27からの一定のパイロット圧をもとにソレノ
イド弁28がデューティDに応じて作り出した制御圧P
sに応動し、ライン圧Pおよびクラッチ元圧Pco
を制御圧Ps、つまりソレノイド弁駆動デューティDに
応じ例えば図3に例示するごとく制御するものとする。
ちなみに、ライン圧Pはソレノイド弁駆動デューテ
ィDに応じ最低値P MIN および最高値P
LMAX との間で図示のごとくに変化し、クラッチ元
圧Pcoはソレノイド弁駆動デューティDに応じ最低値
CMIN および最高値PCMAX との間で図示の
ごとくに変化するものとする。
【0026】クラッチ元圧Pcoは前後進切り換え弁3
1に供給する。前後進切り換え弁31は前進レンジでク
ラッチ元圧Pcoを前進クラッチ8に供給してその締結
圧Pcを発生させると共に後退ブレーキ9の締結圧Pb
をドレンし、また後退レンジでクラッチ元圧Pcoを後
退ブレーキ9に供給してその締結圧Pbを発生させると
共に前進クラッチ8の締結圧Pcをドレンし、さらに駐
停車レンジでクラッチ元圧Pcoを遮断した状態で、前
進クラッチ8の締結圧Pcおよび後退ブレーキ9の締結
圧Pbを共にドレンするものとする。
【0027】前進クラッチ8の締結圧回路32および後
退ブレーキ9の締結圧回路33にそれぞれアキュムレー
タ34,35を接続し、これらアキュムレータ34,3
5はアキュムレータピストン34p、35pを具え、そ
の一方向にアキュムレータスプリング34s、35sを
作用させ、これと対向する方向にクラッチ元圧Pcoを
アキュムレータ背圧として作用させる。かくしてアキュ
ムレータ34,35は、アキュムレータ背圧として作用
させたクラッチ元圧Pcoに応じ、対応する前進クラッ
チ8の締結圧Pcおよび後退ブレーキ9の締結圧Pbを
過渡制御することができる。
【0028】ところで本実施の形態においてはライン圧
を、本発明が狙いとする前進クラッチ8および後
退ブレーキ9の制御系における油量収支の達成のため、
図4に示す制御プログラムの実行により図7および図8
に示すごとくに制御するものとする。図4の制御プログ
ラムは図2に示すコントローラ41が、ソレノイド弁2
8のデューティ制御を介してライン圧Pを制御するも
ので、コントローラ41には、Vベルト式無段変速機の
選択レンジを検知するインヒビタスイッチ42からのレ
ンジ信号と、エンジン回転数Neを検出するエンジン回
転センサ43からの信号と、エンジンスロットル開度T
VOを検出するスロットル開度センサ44からの信号
と、車速VSPを検出する車速センサ45からの信号
と、作動油温度TMPを検出する油温センサ46からの
信号とを入力する。
【0029】コントローラ41は、一定時間ごとの定時
割り込みにより繰り返し実行されるもので、先ずステッ
プS51で選択レンジを読み込み、これをもとにステッ
プS52で非走行レンジから走行レンジへのセレクトが
有ったか否かを判定する。ステップS52で非走行レン
ジから走行レンジへのセレクトが有ったと判定する時、
ステップS65において、当該セレクトからの経過時間
を計測するセレクトタイマをリセットして起動させると
共に、ステップS53において、高負荷判定用のスロッ
トル開度TVO、エンジン回転数Neおよび車速VSP
を読み込む。
【0030】ステップS54では、これらスロットル開
度TVO、エンジン回転数Neおよび車速VSPが全て
設定値未満の時低負荷と判定し、1つでも設定値以上な
ら高負荷と判定する。ステップS54で高負荷と判定す
る時、高負荷セレクト時であるから、ステップS55で
作動油温TMPを読み込み、次いでステップS56にお
いて、実験などにより予め求めておいた図7のマップを
基に作動油温TMPおよびエンジン回転数Ne(オイル
ポンプ回転数)から、高負荷セレクト時においてクラッ
チ元圧制御弁26が所定の圧力を作り出すことのできる
油量収支上のライン圧限界値P LLIM を検索により
求める。
【0031】ここでライン圧限界値PLLIM は図7
に示すように、作動油温TMPをパラメータとして、エ
ンジン回転数Ne(オイルポンプ回転数)に応じて変化
させ、高温時ほど作動油の漏れ量が多くなって上記の油
量収支が厳しくなることから高温時ほどライン圧限界値
LLIM を小さくし、またエンジン回転数Ne(オ
イルポンプ回転数)が低いほど上記の油量収支が厳しく
なることから低回転時ほどライン圧限界値PLLIM
を小さくする。
【0032】次のステップS64では、高負荷セレクト
時のライン圧目標値PLOを例えば図5のようにして求
める。図5のステップS71では高負荷セレクトフラグ
が既にセットされているか否かをチェックし、セットさ
れていなければステップS72で高負荷セレクト時であ
ることを示すように高負荷セレクトフラグをセットし、
併せて、ステップS73で当該高負荷セレクト時(前記
セレクト後のアクセルペダル踏み込み瞬時)からの経過
時間を計測するために高負荷タイマをリセットすると共
に起動する。ステップS71で高負荷セレクトフラグが
既にセットされていると判定するときは、ステップS7
2およびステップS73は不要であるからこれらをスキ
ップして実行しない。
【0033】次のステップS74およびステップS75
ではそれぞれ、図4のステップS65で起動させたセレ
クトタイマが設定時間a未満か否かを、また図5のステ
ップS73で起動させた高負荷タイマが設定時間b未満
か否かをチェックする。セレクトタイマが設定時間a未
満である間、また設定時間a以上を示していても高負荷
タイマが設定時間b未満であれば、ステップS76で高
負荷セレクト時のライン圧目標値PLOとして、当該高
負荷セレクト時の最終的な目標である制御最大値(到達
油圧)よりも低い一定の初期圧を指令する。
【0034】ステップS74でセレクトタイマが設定時
間a以上になったと判定し、且つ、ステップS75で高
負荷タイマが設定時間b以上になったと判定する瞬時以
後は、ステップS77において、高負荷セレクト時のラ
イン圧目標値PLOを緩やかな第1勾配で上昇させる制
御が行われていることを示す第1油圧傾きフラグが既に
セットされているか否かをチェックし、未だセットされ
ていなければステップS78において当該瞬時からの経
過時間を計測する第1油圧傾きタイマをリセットすると
共に起動させ、既にセットされていればステップS78
をスキップして、制御をステップS79に進め、ここで
高負荷セレクト時ライン圧目標値PLOの第1勾配での
上昇が開始されていることを示すように上記の第1油圧
傾きフラグをセットする。
【0035】次のステップS80においては、第1油圧
傾きタイマが設定時間c未満か否かをチェックし、設定
時間cが経過するまでの間はステップS81において、
高負荷セレクト時ライン圧目標値PLOに前記の初期圧
から比較的緩やかな第1勾配で上昇するような油圧値を
指令する。ステップS80で、第1油圧傾きタイマが設
定時間c以上であると判定する時は、ステップS82で
高負荷セレクト時ライン圧目標値PLOが高負荷セレク
ト時の最終的な目標であって制御最高値である到達油圧
Lmaxよりも低いと判定する限りにおいて、ステッ
プS83で、高負荷セレクト時ライン圧目標値P
比較的急な第2勾配で上昇するような油圧値を指令す
る。
【0036】ステップS82で高負荷セレクト時ライン
圧目標値PLOが高負荷セレクト時の最終的な目標であ
って制御最高値である到達油圧PLmaxに達したと判
定した後は、ステップS84において、高負荷セレクト
時ライン圧目標値PLOに到達油圧PLmaxを指令す
る。以上のようにステップS76、またはステップS8
1、またはステップS83,或いはステップS84で高
負荷セレクト時ライン圧目標値PLOを決定した後、制
御は図4のステップS57に戻る。
【0037】このステップS57では、ステップS56
で求めたライン圧限界値PLLIM と、ステップS64
で求めた高負荷セレクト時ライン圧目標値PLO とを
比較し、PLLIM ≧ PLO ならステップS58
でライン圧指令値Pにライン圧目標値PLO をセ
ットし、PLLIM <PLO ならステップS59で
ライン圧指令値Pにライン圧限界値PLLIM
セットする。
【0038】なお、ステップS52で非走行レンジから
走行レンジへのセレクトがなかったと判定する時は、ス
テップS66で前記した高負荷セレクトフラグをリセッ
トし、ステップS67で前記第1油圧傾きフラグをリセ
ットした後、ステップS60においてライン圧指令値P
に非セレクト時ライン圧をセットする。
【0039】また、ステップS54で高負荷でないと判
定する時は、ステップS68で前記した高負荷セレクト
フラグをリセットし、ステップS69で前記第1油圧傾
きフラグをリセットした後、ステップS61において、
図6に例示した特性に対応するマップを基に変速比およ
び入力トルクから低負荷セレクト時ライン圧をを検索に
より求め、ライン圧指令値Pにこの低負荷セレクト
時ライン圧をセットする。ステップS58〜ステップS
61で上記のごとくにライン圧指令値Pを決定した
後は、ステップS62において当該ライン圧指令値P
を達成させるためのソレノイド駆動デューティDを
演算し、次にステップS63においてこのデューティD
をソレノイド弁28(図2参照)に出力する。
【0040】以上の制御によれば、高負荷セレクト時は
ライン圧限界値PLLIM とライン圧目標値PLO
との低い方がライン圧制御弁23(図2参照)の調圧値
にされることとなり、つまり、図7に示すライン圧
限界値PLLIM の特性線よりも高ライン圧側の油量
収支不成立域のライン圧になることのないように制御さ
れることとなる。
【0041】よって高負荷セレクト時の動作タイムチャ
ートを示す図8により説明すると、PLLIM < P
LO となる斜線領域でライン圧指令値Pがライン
圧目標値PLO ではなくてライン圧限界値P
LLIM に制限される。従って、図2に示すようにラ
イン圧制御弁23がライン圧Pを制御した後にライ
ン圧制御弁23から回路25に排出される余剰油をクラ
ッチ元圧制御弁26により調圧してクラッチ元圧Pco
となし、これを前進クラッチ8や後退ブレーキ9の締結
制御に用いる油圧回路であっても、ライン圧Pを上
昇させる高負荷セレクト時においてクラッチ元圧Pco
が油量不足により著しく低下するというようなことがな
くなる。
【0042】これがため、振動がある場合と無い場合の
前進クラッチ8または後退ブレーキ9の伝達トルクTi
に係わる波形から明らかなように、これら摩擦要素の締
結遅れをなくすことができ、エンジン回転数Neの上昇
後に前進クラッチ8または後退ブレーキ9が急激に締結
されるといったようなことがなくなるため、図8に示す
ように許容限界トルクLimを越えたピークトルクが発
生するのを防止し得て、耐久性の低下を招いたりショッ
クを発生するというような前記の問題を解消することが
できる。
【0043】なお本実施の形態においては、ライン圧限
界値PLLIM を図7に例示するように、オイルポン
プ回転数(エンジン回転数Ne)が低い時ほど小さな値
に設定し、作動油温TMPが高い時ほど小さな値に設定
したから、前後進切り換え制御部の油量収支を成立させ
得なくなるようなライン圧限界値PLLIM がオイル
ポンプ回転数の低い時ほど、また高油温時ほど小さくな
るとの実情に良く符合して、如何なるオイルポンプ回転
数のもとでも、また如何なる油温のもとでもライン圧を
必要最小限に制限することができ、当該制限による影響
をほとんどなくし得る。
【0044】なお上記では自動変速機がVベルト式無段
変速機である場合について説明したが、本発明はトロイ
ダル型無段変速機など他の型式の無段変速機においても
同様に適用して同じ作用効果を達成することができるこ
とは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態になる高負荷セレクト
時の油量収支制御装置を具えたVベルト式無段変速機の
伝動系を示す略線図である。
【図2】 同Vベルト式無段変速機の前後進切り換え制
御油圧システムを示す油圧回路図である。
【図3】 同システムにおけるソレノイド駆動デューテ
ィとライン圧およびクラッチ元圧との関係を示す線図で
ある。
【図4】 同実施の形態なる油量収支制御装置のコント
ローラが実行する制御プログラムを示すフローチャート
である。
【図5】 同制御プログラムにおいて高負荷セレクト時
ライン圧目標値を求める時の処理に係わるサブルーチン
を示すフローチャートである。
【図6】 同制御プログラムにおいて低負荷セレクト時
のライン圧を求めるのに用いる低負荷用ライン圧の変化
特性図である。
【図7】 図2に油圧回路における前後進切り換え機構
制御部の油量収支が成立するライン圧限界値を示す線図
である。
【図8】 同実施の形態による高負荷セレクト時の油量
収支制御動作を示す動作タイムチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン(原動機) 2 トルクコンバータ 3 入力軸 4 前後進切換え機構 5 Vベルト伝動機構 6 ディファレンシャルギヤ装置 7 遊星歯車組 8 前進クラッチ 9 後退ブレーキ 10 プライマリプーリ 10a 可動フランジ 11 セカンダリプーリ 11a 可動フランジ 12 Vベルト 13 出力軸 21 オイルパン 22 オイルポンプ 23 ライン圧制御弁 24 Vベルト式無段変速機の変速制御部 26 クラッチ元圧制御弁 27 制御元圧発生部 31 前後進切り換え弁 34 アキュムレータ 35 アキュムレータ 41 コントローラ 42 インヒビタスイッチ 43 エンジン回転センサ 44 スロットル開度センサ 45 車速センサ 46 油温センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16H 59:44 F16H 59:44 59:72 59:72 63:06 63:06 Fターム(参考) 3J552 MA07 MA12 NA01 NB01 PA03 QA13C QA30C RA20 RB06 RB07 RC07 RC08 SA07 SA31 SA52 TA01 VA07Z VA47W VA53W VA53Y VA62W VA64W VA66W VA74Z VB01W VC01W VC03W

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無段変速機構の変速制御に用いるライン
    圧を制御するライン圧制御弁からの余剰油をクラッチ元
    圧制御弁により圧力制御して前後進切り換え機構の制御
    に用いるようにした無段変速機において、 非走行レンジから走行レンジへのセレクト時に原動機が
    高負荷状態である場合、前記クラッチ元圧制御弁が所定
    の圧力を作り出すことのできる油量収支上のライン圧限
    界値と、該高負荷セレクト時のライン圧目標値との低い
    方を前記ライン圧制御弁の調圧値とするよう構成したこ
    とを特徴とする無段変速機の前後進切り換え機構におけ
    る油量収支制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記ライン圧限界値
    は、ライン圧およびクラッチ元圧の媒体である作動油を
    吐出するオイルポンプの回転数が低い時ほど小さな値に
    設定したことを特徴とする無段変速機の前後進切り換え
    機構における油量収支制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、前記ライン
    圧限界値は、ライン圧およびクラッチ元圧の媒体である
    作動油の油温が高い時ほど小さな値に設定したことを特
    徴とする無段変速機の前後進切り換え機構における油量
    収支制御装置。
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