JP2003064590A - シュープレスベルト - Google Patents

シュープレスベルト

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JP2003064590A
JP2003064590A JP2001250147A JP2001250147A JP2003064590A JP 2003064590 A JP2003064590 A JP 2003064590A JP 2001250147 A JP2001250147 A JP 2001250147A JP 2001250147 A JP2001250147 A JP 2001250147A JP 2003064590 A JP2003064590 A JP 2003064590A
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JP2001250147A
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Kazumasa Watanabe
一正 渡辺
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Ichikawa Woolen Textile Co Ltd
Original Assignee
Ichikawa Woolen Textile Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 湿紙原料中に含まれる親油性の不純物が付着
しにくく、長時間、安定して効率良く搾水できるシュー
プレスベルトを提供すること。 【解決手段】 シュープレスベルト10,10’は、基
体B、湿紙側層20,20’、及びシュー側層Sからな
る。湿紙側層20,20’とシュー側層Sは強親水性の
高分子弾性材料からなり、その表面30,30’は研磨
されて平滑にされている。また、湿紙側層20’の表面
に、捕水部40が設けられている。このシュープレスベ
ルト10,10’の湿紙側層表面30,30’、及び捕
水部40の側壁部50aと底部50bは強親水性である
ため、親油性の不純物は付着し難く、また、不純物が付
着しても、シュープレスベルト10,10’の走行によ
って振り払われ易い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シュープレス装置
に使用されるシュープレスベルトであって、特に、優れ
た排水効果を持続することができるベルトの技術分野に
属する。
【0002】
【従来の技術】従来から製紙工程のプレスパートに採用
されているシュープレス装置は、図11及び図12に示
すものの2つに大別される。これらは共に、ロールRと
シューSHとを面接触させ、両者間に2枚のエンドレス
フェルトF1,F2とシュープレスベルト108を挟持
させたものである。搾水すべき湿紙Pは、エンドレスフ
ェルトF1,F2間に保持された状態でシュープレスベ
ルト108上に載置され、ロールRとシューSHとで構
成されるニップ圧部Nを通って搾水されるようになって
いる。図11及び図12に示すように、これらの装置で
は、搾水効果が向上するように、ロールRとシューSH
とが面接触して広いニップ圧部Nが構成されている。
【0003】なお、図11の装置には比較的長尺のシュ
ープレスベルトが使用され、このシュープレスベルトを
無端状にして、複数(図11では4個)のロールrに掛
け渡し、一定の張力を掛けた状態で走行させている。一
方、図12の装置では、比較的短いシュープレスベルト
が使用される。
【0004】図13は、上記2種のシュープレス装置に
使用される、従来のシュープレスベルト108,10
8’の断面図である。これらのシュープレスベルト10
8,108’は、織布や不織布等からなる基体Bと、高
分子弾性材料からなる湿紙側層208,208’、及び
シュー側層Sで構成されており、図13(a)に示すよ
うに湿紙側層208の表面を平滑にしたものや、図13
(b)に示すように、平滑にした湿紙側層208’の表
面に捕水部408を設けたものがある。
【0005】図13(a)に示すシュープレスベルト1
08は、シュー側層Sの高分子弾性材料の表面を研磨す
るだけで得られるので、製造コストを低減させることが
できるという利点がある。
【0006】一方、図13(b)に示すシュープレスベ
ルト108’によると、図11又は図12に示す装置に
使用した場合、湿紙Pから搾り出された水は捕水部40
8に保持され、再び湿紙Pに戻ることがないため、より
優れた搾水効果が得られるという利点を有する。このよ
うな捕水部を具えたシュープレスベルトとしては、特開
昭59−54598号公報に記載されたものがあり、こ
のシュープレスベルトでは高分子弾性材料としてポリウ
レタン樹脂のような親水性素材が使用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】近年、抄紙機の高速化
に伴い、シュープレス装置において湿紙から効率良く搾
水することが必要となり、そのため、シュープレス装置
のニップ圧がより高く設定されるようになっている。そ
して、シュープレス装置に使用されるシュープレスベル
トとしては、耐久性に優れ、且つ、長時間使用しても搾
水効率が低下しないことが要求される。
【0008】ところで、新聞紙のような再生紙の原料中
には、油脂、ピッチ、ガム状の微細粒子等の不純物が含
まれていることが多い。このような再生原料からなる湿
紙をシュープレス装置で搾水すると、湿紙(再生原料)
に含まれる微細粒子等の不純物がシュープレスベルトの
表面に付着したり、捕水部M内に堆積したりするため、
シュープレスベルトを長時間連続して使用することがで
きないという問題がある。特に、捕水部を有するシュー
プレスベルトにおいては、捕水部内に不純物が堆積する
につれて捕水力が次第に低下してしまうため、長時間、
安定して効率良く搾水することができないという問題を
有している。
【0009】本発明は、湿紙原料に含まれる油脂、ピッ
チ、微細粒子等、不純物の多くが親油性であることに着
目し、前記課題を解決する手段を見出したものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、シュープレス
装置のプレスローラとシューの間に配置され、基体、湿
紙側層、及びシュー側層からなるシュープレスベルトに
おいて、前記湿紙側層の表面が強親水性であることを特
徴とするシュープレスベルトによって、また、シュープ
レス装置のプレスローラとシューの間に配置され、基
体、湿紙側層、及びシュー側層からなるシュープレスベ
ルトにおいて、前記湿紙側層に、溝又は穴状の捕水部が
設けられ、前記湿紙側層の表面が弱親水性又は疎水性で
あり、前記捕水部の側壁面と底面の少なくとも一方が強
親水性であることを特徴とするシュープレスベルトによ
って、前記の課題を解決した。
【0011】
【作用】本発明のシュープレスベルトによると、湿紙側
層の表面、捕水部の側壁面、又は底面の何れかに設けら
れた強親水性材料により、湿紙原料中に含まれる親油性
の不純物が付着しにくく、また、付着した不純物はシュ
ープレスベルトの走行によって振り払われやすい。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1実施形態に
よるシュープレスベルト10,10’の断面図であり、
図1(a)は湿紙側層20の表面を平滑にしたもの、図
1(b)は湿紙側層20’の表面に捕水部40を形成し
たものである。これらのシュープレスベルト10,1
0’は、基体Bと、基体Bの外側に設けられた湿紙側層
20,20’及びシュー側層Sからなり、湿紙側層2
0,20’とシュー側層Sは高分子弾性材料からなる。
なお、何れの場合も、シュー側層Sの表面は平滑にされ
ている。
【0013】これらのシュープレスベルト10,10’
の製造工程では、基体Bに対して湿紙側層20,20’
とシュー側層Sをそれぞれ別工程で設けても、一度の工
程で設けてもよい。また、湿紙側層20,20’とシュ
ー側層Sを構成する高分子弾性材料は、基体Bの内部に
それぞれ含浸して硬化している。
【0014】基体Bは、シュープレスベルトの強度を保
持するために設けられたものであり、経糸と緯糸とを織
製した基布の他、経糸と緯糸を織製せずに重ねたもの、
細い帯状の不織布や織布を幅方向にスパイラル状に重ね
たもの等、基体としての機能を果たすものであればどの
ようなものを使用してもよい。
【0015】捕水部40の具体例としては、シュープレ
スベルトの走行方向に沿って連続して設けられた凹溝が
あるが、水分を保持することができれば単なる孔であっ
てもよい。
【0016】捕水部40は、側壁面50aと底面50b
からなる。図1(b)では、断面が直線状の側壁面50
aと底面50bを示したが、捕水機能を果たすものであ
れば、側壁面や底面の形状は、湾曲状や、入口が狭く内
部が広い、いわゆる蟻溝状であってもよい。
【0017】これらのシュープレスベルト10,10’
において、湿紙側層20,20’は強親水性の高分子弾
性材料からなるため、図1(a)のシュープレスベルト
10の場合、その表面30は全域に亘って強親水性であ
り、図1(b)のシュープレスベルト10’の場合、そ
の表面30’、及び捕水部40の側壁面50aと底面5
0bが共に強親水性であることは言うまでもない。
【0018】ここで、「親水性」とは水への親和性、す
なわち、水への濡れ性をいう。本明細書では、親水性の
強弱を示す指標として、図2に示すように、基準面Lと
その上に滴下した水滴との接触角θを使用し、θが10
°以下の場合を「強親水性」、θが10°を超え50°
未満の場合を「弱親水性」、θが50°以上の場合を
「疎水性」と呼ぶことにする。
【0019】強親水性の高分子弾性材料として、具体的
には、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系
樹脂、ポリアミド系樹脂、及びウレタン系樹脂からの一
種、または複数種を混合したものがある。また、後述す
る実施形態に使用される弱親水性の高分子弾性材料とし
て、具体的には、ゴム、エラストマーの中から選択でき
るが、好ましくはポリウレタン系樹脂が使用される。ま
た、ポリウレタン系樹脂としては、その物性面から熱硬
化性ウレタン樹脂が好ましい。さらに、後述する実施形
態に使用される疎水性の高分子弾性材料として、具体的
には、フッ素樹脂等がある。
【0020】なお、本発明のシュープレスベルトに使用
される強親水性、弱親水性、及び疎水性の高分子弾性材
料は、硬化後の硬度がそれぞれ70°〜98°(JIS
−A)の範囲にあるものであることが望ましい。
【0021】次に、図1に示す本発明のシュープレスベ
ルト10,10’による作用について、図3に基づいて
説明する。図3は、図11に示すシュープレス装置のロ
ールR及びシューSHによって構成されたニップ圧部N
付近の拡大図である。湿紙Pは、エンドレスフェルトF
1,F2間に挟まれた状態でシュープレスベルト10
(10’)上に載置され、ニップ圧部Nで圧力が掛けら
れて搾水される。そして、ニップ圧部Nで搾水された水
分は、エンドレスフェルトF1,F2、及びシュープレ
スベルト10(10’)の湿紙側層20(20’)表面
へ移行する。湿紙Pに親油性の微細粒子等の不純物が含
まれている場合には、ニップ圧部Nで圧力が掛けられる
と、水分と共に不純物もエンドレスフェルトF1,F
2、及びシュープレスベルト10(10’)へ移行す
る。
【0022】シュープレスベルト10(10’)がニッ
プ圧部Nを通過すると、方向転換部Tにおいてその進行
方向が転換されるため、シュープレスベルト10(1
0’)に移行した水分と共にシュープレスベルト10
(10’)表面に付着した不純物(及び捕水部40内に
入り込んだ不純物)には遠心力が掛けられる。前述の通
り、本発明の第1実施形態によるシュープレスベルト1
0,10’は、湿紙側層20,20’が強親水性の高分
子弾性部材からなり、且つ、湿紙原料に含まれる不純物
は親油性であるので、湿紙側層20,20’表面、及び
捕水部40内部に付着した不純物は、シュープレスベル
ト10,10’が走行したり遠心力が掛けられたりする
と、水分と共にT外へ簡単に振り払われる。
【0023】このシュープレスベルト10,10’を、
方向転換部Tを具えていない図12のシュープレス装置
に使用した場合も、シュープレスベルト10,10’が
走行することによって、親油性の不純物に遠心力が掛け
られて簡単に振り払われる。
【0024】図4は、本発明のシュープレスベルト1
0,10’を製造するための装置を示し、図4(a)は
比較的長尺のシュープレスベルトを製造するのに適した
装置の概要図、図4(b)は比較的丈の短いシュープレ
スベルトを製造するのに適した装置の斜視図である。
【0025】図4(a)の装置を使用して本発明のシュ
ープレスベルト10,10’の製造方法について説明す
る。まず、図4(a)に示す装置のロールr,r間に、
無端状の基体Bを張設して走行させ、基体Bの上面に、
ノズルnによって高分子弾性材料を塗布する。なお、図
4(a)の装置において、高分子弾性材料は、撹拌機を
具えたタンク内に準備されており、ポンプで汲み出して
導管を通ってノズルnに供給されるようになっている。
ノズルnはトラバース装置によって基体Bの幅方向に移
動するようになっており、また、均し装置によって高分
子弾性材料が均一な厚みに塗布されるようになってい
る。
【0026】上記の通り、図4(a)の装置によって、
基体B上に高分子弾性材料を所定の厚みになるまで塗布
したら、加熱装置(図示せず。)で加熱して、高分子弾
性材料を硬化させる。
【0027】次いで、ロールr,rから取外して表裏を
反転させ、すなわち、高分子弾性材料が積層された面を
内側にして、再度ロールr,rに掛け渡して走行させ、
この面にも高分子弾性材料を塗布し、熱硬化させる。
【0028】その後、湿紙側層を研磨して表面を平滑に
すると、図1(a)のシュープレスベルト10が得られ
る。一方、湿紙側層20’の表面を平滑にした後、溝切
装置等(図示せず。)により捕水部40を切削形成する
と、図1(b)のシュープレスベルト10’が得られ
る。
【0029】なお、図12に示すシュープレス装置に使
用される比較的丈の短いシュープレスベルトを製造する
ためには、図4(b)に示すように、単一のロールr’
を使用してもよい。すなわち、まず、単一のロールr’
上に高分子弾性材料を塗布してシュー側層Sを形成し、
その上に基体Bを配置した後、この基体上に高分子弾性
材料を塗布して湿紙側層20,20’を形成する。
【0030】本発明のシュープレスベルトの製造方法
は、上記方法に限定されるものではない。例えば、図4
(a)に示す製造装置を用いる場合でも、基体B上から
一度に高分子弾性材料を含浸させて、湿紙側層20,2
0’及びシュー側層Sを同時に成形することもできる。
また、図4(b)において、基体B上から一度に高分子
弾性材料を含浸させて湿紙側層20,20’とシュー側
層Sを同時に成形することもできる。
【0031】以上に説明した本発明の第1実施形態のシ
ュープレスベルト10,10’によると、図1(a)の
場合にはシュープレスベルト10の表面30、図1
(b)の場合にはシュープレスベルト10’の表面3
0’、及び捕水部40の側壁面50aと底面50bがそ
れぞれ強親水性を示すため、シュープレスベルト10,
10’の表面30,30’、及び捕水部40に親油性の
不純物が付着しにくく、且つ、シュープレスベルト1
0,10’の表面30,30’、及び捕水部40に付着
した親油性の不純物は、シュープレスベルト10,1
0’の走行によって簡単に振り払われるという効果を奏
する。しかし、これらのシュープレスベルト10,1
0’は、その表面30,30’及び/又は捕水部40
に、湿紙から搾り出された水が付着しやすいため、排水
効果が十分であるとはいえない。
【0032】そこで、図5乃至図7に示す各実施形態の
シュープレスベルトは、防汚効果と排水効果の両立を図
ろうとするものである。図5は、本発明の第2実施形態
のシュープレスベルト、及びその製造方法を示す図であ
る。この実施形態のシュープレスベルト102は、図5
(c)の断面図に示すものであり、基体Bと、湿紙側層
202及びシュー側層Sとからなり、湿紙側層202と
シュー側層Sが全体として強親水性の高分子弾性材料か
らなる点において第1実施形態のものと同様であるが、
湿紙側層202の表面に、弱親水性、又は疎水性の高分
子弾性材料からなる皮膜60が設けられている点で、第
1実施形態のものとは異なる。
【0033】次に、図5(c)に示すシュープレスベル
ト102の製造方法について説明する。まず、図4に示
す装置等を用いて、基体Bに、それぞれ強親水性の高分
子材料からなる湿紙側層202とシュー側層Sを設け、
湿紙側層202の表面を研磨して平滑にする(図5
(a)参照)。次いで、図5(b)に示すように、湿紙
側層202の表面に、弱親水性、又は疎水性の高分子弾
性材料からなる皮膜60を形成する。その後、図5
(c)に示すように、湿紙側層202の表面を切削して
捕水部402を形成する。
【0034】このようにして形成されたシュープレスベ
ルト102によると、湿紙側層202の表面302は弱
親水性、又は疎水性、捕水部4において、皮膜60の肉
厚相当分を除く捕水部402の側壁面502aと底面5
02bは強親水性となっている。そのため、シュープレ
スベルト102の表面302には水分が付着しにくく、
湿紙から搾り出された水分はすぐに排水され、且つ、捕
水部402の側壁面502a及び底面502bには親油
性の不純物が付着しにくい。すなわち、このシュープレ
スベルト102によると、防汚効果と排水効果を両立さ
せることが可能となる。
【0035】ここで、強親水性の高分子弾性樹脂は高価
であるため、湿紙側層とシュー側層を全て強親水性の高
分子弾性樹脂で形成するとコストが嵩むという問題があ
る。そこで、図6、及び図7に示すように、湿紙側層の
表面、捕水部の側壁面、及び底面のうち、一部だけを強
親水性の高分子弾性樹脂で構成し、残りの部分を比較的
廉価な弱親水性、又は疎水性の高分子樹脂で形成しても
よい。
【0036】図6は、本発明の第3実施形態のシュープ
レスベルト、及びその製造方法を示す図である。本発明
の第3実施形態のシュープレスベルト104は、図6
(c)の断面図に示すものであり、基体Bと、捕水部4
04が設けられた湿紙側層204と、シュー側層Sとか
らなる。このシュープレスベルト104の湿紙側層20
4とシュー側層Sは、全体として弱親水性、又は疎水性
の高分子弾性材料からなり、捕水部404の側壁面50
2a、及び底面502bに、強親水性の高分子弾性材料
からなる皮膜64が設けられている。
【0037】図6(c)に示すシュープレスベルト10
4の製造方法について説明する。まず、図4に示す装置
等を用いて、基体Bに、それぞれ弱親水性の高分子材料
からなる湿紙側層204とシュー側層Sを設け、湿紙側
層204の表面を研磨して平滑にした後、湿紙側層20
4に捕水部404を設ける(図6(a)参照)。次い
で、湿紙側層204の捕水部404中に、スプレー等を
用いて強親水性の高分子弾性材料の皮膜64を形成し、
硬化させる(図6(b)参照。)。このとき、捕水部4
04の隅々まで高分子弾性材料を行き渡らせることが重
要である。その後、湿紙側層204の表面を研磨して、
表面を覆う皮膜を除去する(図6(c)参照)。
【0038】このようにして形成されたシュープレスベ
ルト104によると、湿紙側層204の表面304は弱
親水性、又は疎水性、捕水部404の側壁面504aと
底面504bは強親水性となっている。
【0039】次に、図7は、本発明の第4実施形態のシ
ュープレスベルト、及びその製造方法を示す図である。
本発明の第4実施形態のシュープレスベルト106は、
図7(d)の断面図に示すように、基体Bと、捕水部4
06が設けられた湿紙側層206と、シュー側層Sとか
らなり、湿紙側層206とシュー側層Sは、全体として
弱親水性、又は疎水性の高分子弾性材料からなり、捕水
部406の側壁面506aに、強親水性の高分子弾性材
料からなる皮膜66が設けられている。
【0040】図7(d)に示すシュープレスベルトの製
造方法について説明する。まず、図4に示す装置等を用
いて、基体Bの両側に弱親水性、又は疎水性の高分子弾
性材料からなる湿紙側層206とシュー側層Sを設け、
湿紙側層206の表面を研磨して平滑にした後、湿紙側
層206に捕水部406を設ける(図7(a)参照)。
このとき、捕水部406の幅は、実際の捕水部406の
幅よりも、後述する皮膜66の肉厚分だけ広くしてお
く。次に、図7(b)に示すように、強親水性の高分子
弾性材料を湿紙側層206の表面に塗布するとともに捕
水部406内にも充填し、図7(c)に示すように、湿
紙側層206の表面を研磨して、表面を覆う高分子弾性
材料を除去する。そして、捕水部406内に充填された
高分子弾性材料を、溝切装置等(図示せず。)を用いて
切削し、図7(d)に示すように、捕水部406の側壁
面506aに、充填した高分子弾性材料の一部が皮膜6
6として残るようにする。
【0041】このシュープレスベルトによると、第3実
施形態のものと同様に、湿紙側層206の表面306は
弱親水性、又は疎水性、捕水部406の側壁面506a
は強親水性となる。
【0042】なお、溝切装置を用いて捕水部406に充
填された高分子弾性材料を切削する際、加工の仕方によ
っては、捕水部406の側壁面506a、及び底面50
6bの双方に、充填した強親水性の高分子弾性材料が皮
膜として残るようにすることも可能である。
【0043】図6、及び図7のシュープレスベルト10
4,106は、図5に示すものと同様に、湿紙側層20
4,206の表面に弱親水性又は疎水性の高分子弾性材
料が現れているので、湿紙側層表面304,306には
湿紙から搾られた水が付着しにくく、且つ、捕水部40
4,406の一部に強親水性の高分子弾性材料が使用さ
れているため、シュープレスベルト104,106の走
行によって、搾水作業中に捕水部404,406に入り
込んだ親油性の不純物は振り払われ易いという効果を奏
する。
【0044】また、図6、及び図7に示すシュープレス
ベルト104,106によると、湿紙側層204,20
6とシュー側層Sを全体として弱親水性、又は疎水性の
高分子弾性部材で形成し、必要な部分だけに強親水性の
高分子弾性部材を設けたものであるため、高価な強親水
性の高分子弾性部材は少量使用するだけで足りる。その
結果、材料コストを低減させることができる。
【0045】防汚効果と排水効果を両立させるシュープ
レスベルトの構成としては、湿紙側層の表面を強親水性
の高分子弾性材料で構成し、捕水部の側壁面と底面の少
なくとも一方を弱親水性、又は疎水性の高分子弾性材料
で構成してもよい(図示せず)。この場合には、湿紙側
層の表面に親油性の微細粒子等が付着しにくく、捕水部
内に水分が付着しにくいという効果を奏する。
【0046】このようなシュープレスの製造方法として
は、基体の両側に弱親水性、又は疎水性の高分子弾性材
料からなる湿紙側層とシュー側層を設け、湿紙側層の表
面を研磨して平滑にした後、湿紙側層の表面に、強親水
性の高分子弾性材料からなる皮膜を設け、さらに、切削
加工して捕水部を設ける方法がある。また、材料コスト
を考慮しなければ、基体の両側に強親水性の高分子弾性
材料からなる湿紙側層及びシュー側層を設け、湿紙側層
に捕水部を設けた後、捕水部内に弱親水性、又は疎水性
の高分子弾性材料を塗布、又は充填し、湿紙側層表面を
研磨して強親水性の高分子弾性材料が現れるようにして
もよい。これらは、図4の装置を用いて製造することが
できる。
【0047】また、本発明のシュープレスベルトにおい
て、強親水性の高分子弾性材料を設ける箇所は上記のも
のに限定されず、製造コストや搾水する湿紙等の条件等
に応じて変更することができる。
【0048】次に、本発明のシュープレスベルトの具体
例を、1乃至4の実施例によって説明する。1乃至4の
実施例、及び後述する比較例としてのシュープレスベル
トは、基体と、基体の両面に設けられた高分子弾性材料
からなる湿紙側層、及びシュー側層からなり、シュー側
層を内側、湿紙側層を外側にして、直径0.5mの無端
状に形成したものである。また、実施例1以外のものに
は、図8の斜視図に示すように、捕水部として、側壁面
の高さhが1mm、底面の幅wが0.8mmの溝を形成
した。なお、隣接する溝同士の間隔Dは2.5mmとし
た。
【0049】実施例1 実施例1のシュープレスベルトは、湿紙側層の表面を強
親水性のシリコーン系樹脂で形成した。なお、この実施
例のシュープレスベルトには捕水部を設けなかった。
【0050】実施例2 実施例2のシュープレスベルトは、湿紙側層に捕水部を
設けたものであり、湿紙側層の表面、捕水部の側壁面、
及び底面を、強親水性のシリコーン系樹脂で形成した。
【0051】実施例3 実施例3のシュープレスベルトは、湿紙側層に捕水部を
設けたものであり、湿紙側層の表面を強親水性のシリコ
ーン系樹脂により形成し、捕水部の側壁面、及び底面
を、弱親水性のウレタン系樹脂で形成した。
【0052】実施例4のシュープレスベルトは、湿紙側
層に捕水部を設けたものであり、湿紙側層の表面を弱親
水性のウレタン系樹脂により形成し、捕水部の側壁面、
及び底面を、強親水性のシリコーン系樹脂で形成した。
【0053】また、上記の実施例に対する比較例とし
て、以下のシュープレスベルトを作製した。
【0054】比較例1 比較例1のシュープレスベルトは捕水部を設けず、湿紙
側層の表面を弱親水性のウレタン系樹脂で形成した。
【0055】比較例2 比較例2のシュープレスベルトは、湿紙側層に図8に示
す通りの捕水部を設けたものであり、湿紙側層の表面、
捕水部の側壁面、及び底面を弱親水性のウレタン系樹脂
で形成した。
【0056】なお、上記の実施例1〜4、及び比較例
1,2において使用した高分子弾性材料について、親水
性の指標である水滴との接触角は、シリコーン系樹脂の
場合は10°、ウレタン系樹脂の場合は30°である。
【0057】実施例1〜4及び比較例1、2のシュープ
レスベルトについて、図9に示す装置を使用して、親油
性微細粒子の残留度合いを評価するテストを行なった。
図9に示す装置は、評価すべきシュープレスベルトに圧
接するトップロールと、走行中のシュープレスベルトへ
懸濁液を噴出させるノズルからなる。使用される懸濁液
は、新聞紙抄造工程のプレスパートに設置されているサ
クションボックスリップに堆積した、油脂・ピッチを含
んだパルプ成分100部をエチルエーテル200部で抽
出し、この抽出液の上澄液をろ過後、エーテルを蒸発さ
せ、その残渣10部をトルエンとエチルエーテルとを2
対1の比率で混合してなる混合溶剤20部で溶かし、更
に3000部の水で希釈しながらホモジナイザーで調製
したものであり、TAPPI(JAPAN TAPPI
紙パルプ試験方法 No.11−76)の方法に準じ
たものである。
【0058】評価の対象であるシュープレスベルトは、
直径0.5の無端状にされ、トップロールによって圧接
された状態で、分速1000mの速さで図9の矢印方向
に回転させられている。この状態で、ノズルから3kg
/cm2の圧力で毎分15リットルの懸濁液を噴出させ
ると、懸濁液はシュープレスベルトの走行によって図の
矢印方向へ飛ばされ、シュープレスベルトの1m先に立
てた衝立に当たって受け枡内に収容される。
【0059】上記の作業を24時間継続して行なった
後、シュープレスベルトの表面、及び捕水部の汚濁度合
いを評価した結果を図10に示す。なお、シュープレス
ベルトについて評価するに当たって、次のような評価基
準を定めた。 評価5:油膜状の付着物がない状態。 評価4:所々に付着物が付着している状態。 評価3:薄膜状に付着物が付着している状態。 評価2:厚膜状に付着物が付着している状態。 評価1:溝内までブリッジ状に付着物が固着している状
態。
【0060】図10に示すように、本発明のシュープレ
スベルトは、比較例のものよりも防汚効果が高いことが
わかる。また、本発明のシュープレスベルトにおいて、
強親水性の樹脂が現れている面が多ければ多いほど、防
汚効果が向上することが確認された。
【0061】
【発明の効果】本発明のシュープレスベルトは、表面、
又は捕水部に、湿紙原料中に含まれている親油性の不純
物が付着しにくく、長時間、安定して、効率良く搾水す
ることができるという効果を奏する。従って、高速、且
つ、高ニップ圧のシュープレス装置に使用しても、効率
よく搾水することができる。
【0062】なお、強親水性の高分子弾性材料を、湿紙
側層表面、又は捕水部の側壁面と底面の少なくとも一方
に設けるという構成にすることによって、シュープレス
ベルトとして要求される特性に応じた対応をすることが
でき、全体的製造コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態のシュープレスベルト
で、図1(a)は捕水部を設けていないもの、図1
(b)は捕水部を設けたものの拡大断面図。
【図2】 親水性の強弱を示す指標について説明する
図。
【図3】 本発明のシュープレスベルトを使用したシュ
ープレス装置の部分拡大断面図。
【図4】 本発明のシュープレスベルトを製造するため
の方法を示し、図4(a)は比較的長尺なものを製造す
るための装置の概要図、4(b)は比較的短尺なものを
製造するための装置の要部斜視図。
【図5】 本発明の第2実施形態によるシュープレスベ
ルト、及びその製造手順を示し、図5(a)は基体に湿
紙側層及びシュー側層を設けた状態、図5(b)は湿紙
側層表面に高分子弾性材料からなる皮膜を設けた状態、
図5(c)は湿紙側表面に捕水部を設けた状態を示す断
面図。
【図6】 本発明の第3実施形態によるシュープレスベ
ルト、及びその製造手順を示し、図6(a)は基体に湿
紙側層及びシュー側層を設け、湿紙側層に捕水部を形成
した状態、図6(b)は湿紙側層表面及び捕水部に高分
子弾性材料からなる皮膜を設けた状態、図6(c)湿紙
側層表面の皮膜を除去した状態を示す断面図。
【図7】 本発明の第4実施形態によるシュープレスベ
ルト、及びその製造手順を示し、図7(a)は基体に湿
紙側層及びシュー側層を設け、湿紙側層に捕水部を形成
した状態、図7(b)は湿紙側層表面及び捕水部内に高
分子弾性材料を塗布、充填した状態、図7(c)は湿紙
側層の表面の塗布層を除去した状態、図7(d)は捕水
部に充填した高分子弾性材料の一部を残して溝切した状
態を示す断面図。
【図8】 具体的な実施例、及び比較例における捕水部
を設けたシュープレスベルトの斜視図。
【図9】 具体的な実施例、及び比較例のシュープレス
ベルトについて、親油性微細粒子の残留度合いを評価す
るための装置の斜視図。
【図10】 図9の装置によって評価した結果を示す
図。
【図11】 比較的長尺のシュープレスベルトに適した
シュープレス装置の概要図。
【図12】 比較的短いシュープレスベルトに適したシ
ュープレス装置の要部を示す図。
【図13】 従来のシュープレスベルトを示し、図13
(a)は湿紙側層の表面を平滑にしたもの、図13
(b)は湿紙側層の表面に捕水部を設けたものの断面
図。
【符号の説明】
10,10’,102,104,106:シュープレス
ベルト B:基体 S:シュー側層 20,20’,202,204,206:湿紙側層 30,30’,302,304,306:湿紙側層の表
面 60,64,66:皮膜 40,402,404,406:捕水部 50a,502a,504a,506a:捕水部の側壁
面 50b,502b,504b,506b:捕水部の内底

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シュープレス装置のプレスローラとシュ
    ーの間に配置され、基体、湿紙側層、及びシュー側層か
    らなるシュープレスベルトにおいて、 前記湿紙側層の表面が強親水性であることを特徴とす
    る、 シュープレスベルト。
  2. 【請求項2】 前記湿紙側層に、溝又は穴状の捕水部が
    設けられている、請求項1のシュープレスベルト。
  3. 【請求項3】 前記湿紙側層が強親水性材料で形成され
    ている、請求項1又は2のシュープレスベルト。
  4. 【請求項4】 前記湿紙側層が弱親水性材料、又は疎水
    性材料からなり、該湿紙側層の表面に、強親水性材料の
    皮膜が設けられている、請求項1又は2のシュープレス
    ベルト。
  5. 【請求項5】 シュープレス装置のプレスローラとシュ
    ーの間に配置され、基体、湿紙側層、及びシュー側層か
    らなるシュープレスベルトにおいて、 前記湿紙側層に、溝又は穴状の捕水部が設けられ、 前記湿紙側層の表面が弱親水性又は疎水性であり、 前記捕水部の側壁面と底面の少なくとも一方が強親水性
    であることを特徴とする、 シュープレスベルト。
  6. 【請求項6】 前記湿紙側層が強親水性材料からなり、
    該湿紙側層の表面に弱親水性又は疎水性の皮膜が設けら
    れている、請求項5のシュープレスベルト。
  7. 【請求項7】 前記湿紙側層が弱親水性材料又は疎水性
    材料からなり、前記捕水部の側壁面と底面の少なくとも
    一方に強親水性の皮膜が設けられている、請求項5のシ
    ュープレスベルト。
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