JP2003042916A - 溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の品質管理方法 - Google Patents

溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の品質管理方法

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JP2003042916A
JP2003042916A JP2001229252A JP2001229252A JP2003042916A JP 2003042916 A JP2003042916 A JP 2003042916A JP 2001229252 A JP2001229252 A JP 2001229252A JP 2001229252 A JP2001229252 A JP 2001229252A JP 2003042916 A JP2003042916 A JP 2003042916A
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Tadashi Kasuya
正 糟谷
Yuji Hashiba
裕治 橋場
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Abstract

(57)【要約】 酸化物等の微細分散でHAZ靱性を向上させた鋼材の品
質管理およびその鋼材を多層溶接部に用いたときの施工
条件決定を効率よく行う方法を提供する。 【課題】 酸化物を利用したHAZ靱性に優れた鋼材
は、鋼材成分が所定の範囲内にあるだけでなく酸化物が
微細に分散していることが必要であるが、これを確かめ
る効率よい品質管理方法と、それをパス間温度が非常に
高くなる多層溶接に用いるときの効率よい管理方法を提
供する。 【解決手段】 酸化物微細分散を確認する方法として、
再現熱サイクル試験を実施し、そのシャルピー衝撃値ま
たは旧γ粒径で品質管理を実施する。多層溶接の場合は
熱履歴パラメーターを定め、その値が同じになるように
1パス溶接の入熱量を実効入熱量と定義し、その実効入
熱量の値を用いて再現熱サイクル試験を実施して鋼材の
品質管理や多層溶接の施工条件を管理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化物などを微細
分散させることによる溶接熱影響部の靱性に優れた鋼材
の品質管理に関するもので、より詳しくは、建築、造
船、橋梁、海洋構造物、タンク、ラインパイプなどの分
野で大入熱溶接される鋼材の溶接熱影響部の品質管理、
建築鉄骨の柱梁溶接部のような溶接ビードが比較的短く
かつほぼ連続的に多層溶接される鋼材の溶接熱影響部の
品質管理に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼材の品質管理方法としては、従来は鋼
材の成分、引張り強度、鋼材のシャルピー衝撃値などを
用いて行われてきた。しかし、鋼材を構造物にしたと
き、構造物の信頼性を決定するのは鋼材そのものより、
溶接熱により変質したいわゆる溶接熱影響部(以降HA
Zと記述することとする)である。HAZの靱性、特に
大入熱溶接したときのHAZ靱性を確保するためにこれ
まで多くの研究がなされてきているが、その1つの方法
として、Niなどの合金元素を添加する方法が考えられ
る。この方法は、HAZ靱性確保のための合金元素成分
範囲を、あらかじめ溶接継手を作製して靱性を調べるな
どして決定し、各成分が許容範囲内に収まっているかか
どうかで、製造後の鋼板がHAZ靱性を確保できている
かどうかを判別することができる方法である。実際、こ
れまで、鋼板の品質管理は鋼材成分管理の比重が大きか
った。
【0003】一方、HAZ靱性に優れた鋼板としては、
このような合金元素を添加する方法以外にも、特開20
00−80436にあるような、極微量元素を有効利用
する方法が開発された。この技術は、Ti、Al、Mg
などの微量元素を添加させ、それらが形成する酸化物を
微細分散させることによりHAZでの旧オーステナイト
粒の粗大化を防止する技術である。この方法は、酸化物
が微細分散されていればHAZ部の旧オーステナイト粒
の粒成長を酸化物がピン止めすることを有効に活用する
技術である。しかし、このHAZ靱性に優れた鋼板も、
問題がないわけではない。
【0004】それは、微量元素、例えば、Ti,Al,
Mgなどの成分範囲だけを管理しても必ずしもHAZ靱
性が確保されるわけではないためである。すなわち、あ
る成分範囲内に収まっていると同時に微細に分散されて
いなければHAZ靱性に優れた鋼板とはならない点であ
る。この点は、Niなどの合金元素添加技術と大きく異
なる点で、従来のHAZ靱性に優れた鋼板の品質管理の
ように成分管理をしっかり行っていれば自動的にHAZ
靱性が確保できる、というものではない。そのため、鋼
材の品質管理には従来方法に加え酸化物が微細分散され
ているかどうかという管理項目が加わることとなり、管
理コストが増大するという問題がある。
【0005】HAZ靱性の問題は、単に大入熱溶接され
る場合だけではなく、建築鉄骨の柱梁溶接部のように、
パス間温度が非常に高くなるために、実質的に大入熱溶
接と同じ継手特性になってしまう場合も問題となる。大
入熱溶接の場合は入熱量のみ注意していればいいが、柱
梁溶接部の場合は、溶接長が短くまた施工効率を上げる
ため連続的に多層溶接される場合が多いためパス間温度
が高くなりやすく、場合によっては500℃を上回る場
合すらある。そのため、溶接入熱量のみならずパス間温
度の影響の方が大きくなる場合もあり、それぞれの影響
を考慮するとなると、入熱量とパス間温度の組み合わせ
の数だけ存在することとなり、その管理費用はますます
増大することとなる。そのため、より効率のよい鋼材品
質管理方法が望まれていた。
【0006】例えば、特開7-103871では、溶接
熱影響部の疲労破壊感受性評価試験方法に関する技術が
開示されている。この技術は、鋼材から採取した試験片
に再現熱サイクル試験を実施し、切り欠きを付与して試
験片を作製し、その疲労特性を調べることで溶接熱影響
部の疲労特性を調べるという技術である。しかし、この
技術は、疲労特性を評価することが目的であり、本発明
は、溶接継手の靭性を管理することが目的である点が大
きく異なっている。一般に、溶接継手の疲労特性は、熱
影響部のミクロ組織などの要因よりも、力学要因、すな
わち、切り欠きによる応力集中などの影響がはるかに大
きいといわれており、したがって、特開7-10387
1の技術では、疲労特性しか評価できず、熱影響部靭性
の評価をこの技術で代用することは不可能だった。
【0007】さらに、溶接熱影響部に優れた鋼材は、通
常、大入熱溶接および大入熱溶接と同程度の熱影響を受
ける溶接継手に適用してはじめてその効果が発揮される
よう設計されているため、再現熱サイクル試験の実施方
法によっては、一般鋼材と区別がつかない領域があるこ
とにも注意しなければならない。具体的には、再現熱サ
イクル試験における最高加熱温度および800℃から500℃
までの冷却時間であり、これらを適切な範囲に設定しな
いと、本発明の目的たる、溶接熱影響部靭性に優れた鋼
板の品質管理に用いることはできない。特開7-103
871が開示している技術では、800℃から500℃間の冷
却速度が300℃/秒まで設定されることになるが、これ
は冷却時間に直すと800℃から500℃までの冷却時間が1
秒まで適用される技術であることになる。このような領
域では、溶接熱影響部靭性に優れた鋼板と一般鋼板の区
別は不可能で、冷却速度の設定範囲からも、特開7-1
03871の技術では、本発明の目的を達成することは
不可能だった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のよう
な従来技術の問題点を解決し、溶接熱影響部の靱性が優
れた鋼板、特に酸化物を微細に分散することにより溶接
熱影響部の靱性を改善した鋼板の品質管理方法を、より
効率よく経済的に行えるような方法を提供することを課
題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以上の背
景から、溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の品質管理方
法について鋭意検討し、鋼板の靭性評価に再現熱サイク
ル試験を導入すれば、また多層溶接される場合において
は実効入熱量という概念を用いれば、より効率よく鋼材
のHAZ靱性の品質管理を効率よく行えることを見いだ
した。本発明はこのような研究成果の結果なされたもの
であり、その要旨は以下の通りである。
【0010】(1)溶接熱影響部の靱性に優れた鋼材の
品質管理方法において、該鋼材から試験片を採取し、最
高加熱温度が1250℃から1450℃の間にあり、そ
の後の100℃までの冷却過程において800℃から5
00℃までの冷却時間が50秒から300秒であるよう
な再現熱サイクルを実施し、該試験片の0℃シャルピー
衝撃値が27Jから100J以下のあらかじめ定められ
た値より高いか否かで該鋼材が溶接されたときの溶接熱
影響部の靱性特性を評価することを特徴とする溶接熱影
響部の靱性に優れた鋼材の品質管理方法。
【0011】(2)溶接熱影響部の靱性に優れた鋼材の
品質管理方法において、該鋼材から試験片を採取し、該
試験片に、最高加熱温度が1250℃から1450℃の
間にあり、その後の100℃までの冷却過程において8
00℃から500℃までの冷却時間が50秒から300
秒であるような再現熱サイクルを実施し、該試験片の旧
オーステナイト粒径を測定し、その粒径が150μm以
下であるか否かで該鋼材が溶接されたときの溶接熱影響
部の靱性特性を評価することを特徴とする溶接熱影響部
の靱性に優れた鋼材の品質管理方法。ここに、旧オース
テナイトとは、溶接熱影響部が加熱されることによりオ
ーステナイト相(γ相)になり、その後、再びα相にな
った相をいい、その相の最大粒径を旧オーステナイト粒
径という。
【0012】(3)溶接長が400mm以下で3パス以
上の多層溶接される溶接熱影響部の靱性に優れた鋼材の
品質管理方法において、該多層溶接のピーク温度が12
50℃から1450℃の範囲にある熱履歴から計算され
る熱履歴パラメーターと同じ熱履歴パラメーターの値を
与える予熱なしの1パス溶接の入熱量を計算し、それを
該多層溶接の実効入熱量と定義し、該実効入熱量に対応
する1パス溶接の熱履歴による再現熱サイクル試験を実
行し、該試験片の0℃シャルピー衝撃値が27Jから1
00J以下のあらかじめ定められた値より高いか否かで
該鋼材が溶接されたときの溶接熱影響部の靱性特性を評
価することを特徴とする溶接熱影響部の靱性に優れた鋼
材の品質管理方法。
【0013】(4)溶接長が400mm以下で、かつ3
パス以上の多層溶接される溶接熱影響部の靱性に優れた
鋼材の品質管理方法において、該多層溶接のピーク温度
が1250℃から1450℃の範囲にある熱履歴から計
算される熱履歴パラメーターと同じ熱履歴パラメーター
の値を与える予熱なしの1パス溶接の入熱量を計算し、
それを該多層溶接の実効入熱量と定義し、該実効入熱量
に対応する1パス溶接の熱履歴による再現熱サイクル試
験を実行し、その試験片の旧オーステナイト粒径を測定
し、その粒径が150μm以下であるか否かで該鋼材が
溶接されたときの溶接熱影響部の靱性特性を評価するこ
とを特徴とする溶接熱影響部の靱性に優れた鋼材の品質
管理方法。
【0014】(5)熱履歴パラメーターとして、下記
(A)式で計算されるパラメーターを用いることを特徴
とする(3)または(4)記載の溶接熱影響部の靱性に
優れた鋼材の品質管理方法。 I=∫exp(−28900/T)dt・・・(A) (T:絶対温度、t:時間)
【0015】
【発明の実施の形態】まず、本発明における技術思想に
ついて述べる。本発明の課題とするところは、酸化物の
微細分散を利用したHAZの靱性に優れた鋼板の品質管
理を効率よく行うところにある。このような鋼材は、単
に鋼材成分が所定の範囲内に収まっているかどうかを管
理するだけではなく、特に酸化物が鋼板中で微細に分散
しているかどうかも管理しなければ課題を達成すること
はできない。この点が、Ni添加等の従来技術鋼板と大
きく異なる点である。しかし、酸化物が微細であるこ
と、かつ多量に生成していることを確認することは、そ
れほど簡単なことではない。
【0016】そこで、本発明では、酸化物の微細分散を
管理項目とする代わりに、再現熱サイクル試験を実施
し、その試験片のシャルピー衝撃値またはオーステナイ
ト粒径を管理項目に加える方法を採用した。これは、酸
化物微細分散は、シャルピー値を向上させる効果があ
り、かつ、シャルピー衝撃値を向上させるメカニズム
は、旧オーステナイト粒の成長を抑制する点にあること
による。酸化物が微細分散されていれば、旧オーステナ
イト粒が小さくなり、シャルピー衝撃値が向上するた
め、逆に、これらを調べることにより酸化物の微細分散
を確認することができる。これが、本発明における第1
の技術思想である。
【0017】次に、本発明における第2の技術思想は、
高パス間温度でHAZの靱性に優れた鋼板を多層溶接す
る場合に、多層溶接の実効入熱量という概念を導入し、
入熱量とパス間温度の影響を一本化して考えるというも
のである。例えば、建築鉄骨の柱梁溶接部など、溶接ビ
ードが短くかつ連続的に溶接される場合のように、パス
間温度が非常に高くなるような溶接継手の場合、熱履歴
が大入熱溶接のそれと同等になる。
【0018】ここで問題になるのは、溶接熱履歴に影響
を与える要因は、従来は溶接入熱量の影響が支配的であ
ったのに対し、柱梁溶接部ではパス間温度も大きな影響
を与えうると言うことである。すなわち、課題の本質
は、考えるべき要因として入熱量とパス間温度の2つが
あることで、これにより考えなければならない条件が大
幅に増えてしまうことである。そこで、従来技術では2
つの要因を同時に考慮しなければならなかった問題を入
熱量とパス間温度から決定される新しい指標を1つ定
め、それで継手特性を評価することが可能になれば、要
因が2つから1つに減ることを意味し、産業上メリット
は大である。
【0019】実際の熱履歴パターンは、溶接条件、すな
わち電流、電圧、溶接速度と、パス間温度で決定され
る。従来は、パス間温度の影響が小さいと判断され、パ
ス間温度を無視し、溶接条件だけで(パス間温度を無視
するということは、パス間温度が室温と同じ、という意
味になる)議論されていた。パス間温度が無視される
と、常に実効入熱量と実際の入熱量が等しくなる。多層
溶接では、パス間温度の影響が大きくなる場合が存在す
るため、その影響を考慮した熱履歴からパラメーターを
決定し、実効入熱量を算出するため、熱履歴パラメータ
ーにパス間温度の影響が含まれる。
【0020】一般に、再現熱サイクル試験を用いてシャ
ルピー値を調べる場合は、大入熱溶接の場合がほとんど
であった。阪神大震災以降、柱梁溶接部のようにパス間
温度が極端に高くなり得る溶接部では、入熱量が低くて
も高パス間温度の影響で溶接部の冷却が遅く、実質的に
は大入熱溶接と同じ様なミクロ組織にある危険性がある
と認識されるようになったが、これまで、再現熱サイク
ル試験では、“入熱量がいくらに対応する熱サイクルパ
ターン”などというような検討はなされてきたが、“入
熱量がいくらでパス間温度がいくらに対応する熱サイク
ルパターン”という観点からの検討はあまりされていな
い。従って、これまでの方法によれば、このような高パ
ス間温度の多層溶接継手の特性を確保するためには、熱
サイクルパターンに影響を与える要因である入熱量とパ
ス間温度両方を振り分けて、それぞれの条件でシャルピ
ー値等を調査する方法しかなかった。それでは、パター
ンの数が多くなりすぎ経済的ではない。
【0021】以上の問題を解決するために、実効入熱量
という概念を導入した。これは、熱履歴パラメーターを
決め、多層溶接の熱履歴を用いてそのパラメーターを計
算し、それと同じ値の熱履歴パラメーターを与える予熱
なしの1パス溶接の入熱量を実効入熱量とするものであ
る。図1は本発明における鋼材の品質管理方法の手順
を、特に多層溶接が実施される場合について説明したも
のである。図1(a)は、多層溶接条件から決定される
溶接熱履歴であり、ここではパス間温度が最も高い状態
で溶接施工されると考えられる最終層の最終溶接ビード
に隣接するHAZの熱履歴である。この熱履歴を用いて
(A)式を計算しそれと同じ値を与える予熱なしの1パ
ス溶接の熱履歴が図1―(b)である。そして、(b)
の熱履歴パターンを再現熱サイクル試験に用い(図1−
(c))、その試験片にシャルピー値や旧ガンマ粒径を
測定し(図1−(d))、その値で鋼材の品質管理をす
るというものである。なお、大入熱溶接の場合は、図1
の(b)を実際の溶接熱履歴として、その後の手順は多
層溶接の場合と同じになる。
【0022】本発明では、具体的な熱履歴パラメーター
として、 I=∫exp(−28900/T)dt・・・(A) (T:絶対温度、t:時間) を選択した。この指標は、AshbyとEarsterlingが198
4年に、Acta Metallurgica誌に発表したものである。
そして、このIを用いて、多層溶接の熱履歴と同値な予
熱無しの1パス溶接の熱履歴を定め、そのときの入熱量
を実効入熱量と定義した。なお、一般に、熱履歴パラメ
ーターとしては、800℃から500℃までの冷却時間
がよく用いられており、これを用いて実効入熱量を定義
することもできる。
【0023】多層溶接の場合、その熱履歴がわかればそ
れを再現熱サイクルに用いればよいとも考えられるが、
本発明では、実効入熱量の導入により品質管理の効率は
格段に向上すると考えている。例えば、入熱量2.5kJ/mm
を最高パス間温度450℃で溶接した場合と、入熱量3.
5kJ/mmを最高パス間温度375℃で溶接した場合、
(A)式から定義される実効入熱量はほぼ同じである。
しかし、熱履歴そのものは必ずしも一致しない。もし、
実効入熱量を導入しなければ、両者の熱履歴パターンで
再現熱サイクル試験を実施する、すなわち2回実施する
必要があるが、本発明では、1回の試験で充分となる。
【0024】本発明の考えで、実用上充分な精度で品質
管理ができることを示したのが図2、図3である。図2
は、種々の多層溶接継手から採取した0℃のシャルピー
値と、多層溶接条件から決定した実効入熱量の熱履歴パ
ターンを用いた再現熱サイクル試験のシャルピー値の相
関を示したものである。図2−(a)は実効入熱量を
(A)式で定義したもの(実効入熱量1)であるが、よ
い相関が認められ実用上十分である。図2−(b)は、
△t8/5(800℃から500℃までの冷却時間)で定
義した実効入熱量(実効入熱量2)を用いた場合である
が、図2−(a)より相関は低くい。しかし、この傾向
を理解した上で△t8/5(800℃から500℃までの
冷却時間)で定義した実効入熱量を使用すれば、効果が
あるものと考えられる。図3は、旧γ粒径について同様
の相関を調べたものであるが、図2と同様の関係が見出
せる。
【0025】次に、最高加熱温度を限定した理由につい
て述べる。本発明は、HAZの靱性に優れた鋼材の品質管
理を目的としている。HAZとは、通常、Ac1温度以上
から融点以下に加熱された領域を指すが、特に靱性が問
題となるのは、融合線近傍であり、ここでの靱性が向上
しない場合は、HAZ靱性が優れているとは言い難い。最
高加熱温度を1250℃以上としたのは、融合線近傍の
HAZ組織を再現する最低の値として設定した。一方、加
熱温度を1450℃を上回る温度に設定すると、試験片
が部分的に溶融する危険があることや、実験装置のコン
トロールのばらつきから試験片の融点に達してしまう危
険性があるため上限を1450℃とした。
【0026】次に、冷却時間を限定した理由について述
べる。HAZ靱性が問題となるのは、大入熱溶接の場合で
あり、一般に大入熱溶接は、800℃から500℃まで
の冷却時間が長い。本発明は、HAZ靱性に優れた鋼板の
品質管理を目的としているため、大入熱溶接に対応する
熱サイクルを考える必要がある。下限の50秒は、これ
より短い冷却時間特にHAZ靱性に優れた鋼板でなくとも
特性は確保できるため、再現熱サイクル試験を品質管理
項目に加えなくとも問題ないこと、さらには、酸化物が
微細分散された鋼材とそうでない鋼材の区別ができなく
なるため下限をこの値にした。上限の300秒は、現状
の大入熱溶接は、冷却時間がせいぜい300秒程度であ
り、これを上回る冷却時間に対応する溶接条件は現実的
ではないのでこの値を設定した。
【0027】次に、再現熱サイクル試験での0℃シャル
ピー値の下限の範囲を限定した理由について述べる。シ
ャルピー値は、ある一定以上あれば、どのような構造物
にもその信頼性が確保できるというものではなく、必要
なシャルピー値は構造物の設計に依存する。一般に、要
求されるシャルピー値は、27J、48J、70Jな
ど、27〜100Jの範囲内にある場合が多く、現在の
HAZ靱性に優れた鋼材も、これら要求を満足するよう製
造されるべきである。シャルピー値の下限は、構造物を
設計する鋼材需要家が要求するため、鋼材の品質管理は
その要求を満足するよう管理しなければならない。シャ
ルピー値の下限は、その要求に応じて設定する必要があ
り、現在用いられている必要シャルピー値の範囲という
意味で設定した。
【0028】次に、旧ガンマ粒径を限定した理由につい
て述べる。酸化物微細分散型の鋼材のHAZ靱性向上メカ
ニズムは旧ガンマ粒の細粒化である。そのため、旧ガン
マ粒が充分細粒化されているかどうかは、鋼材の品質管
理上重要である。旧ガンマ粒径の上限150ミクロン
は、これを上回る旧ガンマ粒径の場合は、HAZ組織の細
粒化による靱性向上が得られないため、この値を設定し
た。次に、溶接長を400mm以下に限定した理由につ
いて述べる。本発明では、多層溶接におけるパス間温度
の影響が大きくなる場合を対象としている。溶接長が4
00mmを上回る場合は、たとえ連続溶接を実施しても
パス間温度が高くなることはなく、溶接部の継手特性と
いう観点からは、溶接入熱量のみが支配的になる。これ
は、従来の技術の範疇になるので、溶接長の上限を40
0mmとした。
【0029】次に、多層溶接におけるパス数を3パス以
上に限定した理由について述べる。多層溶接の場合、大
入熱溶接と異なり、パス間温度もHAZ靱性を決定する重
要な要因である。そして、パス間温度を決定するのは、
溶接入熱量、溶接ビード長さに加え、溶接パス数があ
る。溶接パス数が少ない場合は、パス間温度が高くはな
らないため、実効入熱量の導入が可能であるとはいえ、
それを導入したとしても実際の入熱量と大差なく、品質
管理の効率向上にはつながらなく、本発明の本意からは
ずれるため、パス数の下限を3パスとした。
【0030】以下に実施例について説明する。 (実施例1)板厚25mmの表1に示す化学成分および
酸化物(ピンニング)粒子数を含有する5種類の供試材
を用いて、表2に示す溶接条件でエレクトロスラグ溶接
を行って実溶接継手を作成するとともに、表3に示す再
現熱サイクル条件で再現熱サイクル試験を行った。な
お、表1における酸化物(ピンニング)粒子の数は、鋼
材の中央部分から抽出レプリカ試料を作成し、これを3
0000倍の倍率で2000μm2の面積にわたって透
過電子顕微鏡(以降TEMと記述することとする)を用
いて観察することにより Ti酸化物、Mg酸化物また
はTi及びMg複合酸化物などの酸化物の個数を測定し
た。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】表1において、鋼材記号A−1、A−2お
よびA−3の鋼材は、本来、Ti酸化物、Mg酸化物ま
たはTi及びMg複合酸化物などの酸化物を鋼中に微細
分散し、それらのピンニング効果を利用して溶接時のH
AZ靱性を確保することを目的とするものであるが、鋼
材記号A−1の鋼材は、化学成分および製造条件が適正
な条件で製造したため、鋼中の酸化物(ピンニング)粒
子が4×104個/mm2であり、溶接時に充分なピンニ
ング効果を発揮し旧オーステナイトの粒成長を抑制で
き、良好な靱性が得られと期待されるものである。これ
に対して、鋼材記号A−2の鋼材は、製造条件が適正で
ない条件で、鋼材記号A−3の鋼材は、TiおよびMg
の成分が含有しない条件でそれぞれ製造したために、鋼
中の酸化物(ピンニング)粒子が0.6×104(個/
mm2)、0.05×104(個/mm2)と少なく、溶
接時に充分なピンニング効果を発揮できず、旧オーステ
ナイトの粒成長および靱性低下が生じる予測されるもの
である。
【0035】また、鋼材記号Bの鋼材は、化学成分とし
て、Niを0.8%と多量に添加することにより、HA
Z部の粒内組織自体の靱性を向上させることを目的とし
て製造されたものである。表3には、再現熱サイクル条
件とともに、その再現熱サイクル試験材および実溶接継
手のHAZ部からシャルピー衝撃試験片を採取し衝撃値
を測定した結果と鋼中の旧オーステナイト(γ)粒径の
測定結果をそれぞれ示した。なお、実溶接継手から採取
したシャルピー試験片のノッチ位置は、融合線から1mm
離れたHAZ部とした。また、鋼中の旧オーステナイト
(γ)粒径の測定方法は、ASTMが定めている切断法
を用いて行った。すなわち、融合線から1mm離れたH
AZ部に直線をランダムに引き、粒界と直線の交点を測
定しその個数で直線の長さを割って粒径を求める方法で
ある。
【0036】表3において、No.5〜9は、再現熱サ
イクル条件で最高加熱温度が900℃と本発明範囲より
低めに外れた比較例であり、最高加熱温度が実溶接時の
オーステナイト粒の成長を再現できない程度の低い温度
域であるために、実溶接継手に比べて何れの再現熱サイ
クル試験材のシャルピー値は高く、旧ガンマ粒径は低く
なり、実溶接継手の溶接条件を再現できす、鋼材のHA
Z靱性を適正に評価できなかった。鋼材A-2、A-3におい
ては、特にHAZ靭性に優れている鋼材ではないため、実
継手のシャルピー値が100Jに達していないにもかか
わらず、再現熱サイクル試験では150Jを上回る値を
示している。
【0037】一方、再現熱サイクル条件が本発明範囲を
満足するNo.1〜4の発明例は、何れの再現熱サイク
ル試験材のシャルピー値および旧ガンマ粒径も、実溶接
継手のシャルピー値および旧ガンマ粒径を再現してお
り、鋼材のHAZ靱性を適正に評価することができた。
表3における試験No10〜13は、最高加熱温度が1
350℃で、本発明の範囲に入っているが、冷却時間が
短いため、実継手のHAZ靭性を正しく評価できなかっ
た例である。すなわち、冷却時間が短いため、旧γ粒の
成長が充分でなく、かつHAZが充分焼き入れられ、シ
ャルピー値も充分な値になってしまった例である。特
に、鋼材A−2、A-3のシャルピー値は100Jを充
分上回っており靭性値としては充分な値であるが、実際
の継手でのシャルピー値は100Jを下回っており、H
AZ靭性の品質管理に用いることは適切ではないことが
わかる。鋼材のHAZ靱性の評価による鋼材の品質管理
は、製品鋼材のTEM観察によるピンニング粒子数の測
定により可能であるが、本発明法に比べて作業費用が高
く、かつ作業時間もかかる。したがって、実溶接継手の
溶接条件を再現できる本発明法の適用による産業上のメ
リットは大きい。
【0038】(実施例2)次に、多層溶接継手のHAZ
靭性を評価するために、表4に示す溶接条件で表1にあ
る鋼材A-1,A-2、Bを用いて継手を作製した。この
ときの板厚は25mmである。多層溶接条件から、熱履
歴計算を実施した。熱履歴計算は、市販の有限要素法プ
ログラム、QuickWelder(計算力学研究セン
ター製)を用いて実施した。またそのとき用いた熱定数
は、熱伝導率が0.06cal/cm℃s、熱拡散係数
が0.042cm2/s、表面熱放散係数が0.001
cal/cm2℃sである。このプログラムは、各ビー
ドの溶接条件を入力すると数値的に温度履歴を計算する
プログラムである。熱履歴計算は、HAZ靭性が最も劣
化する最終層の最終ビードに隣接するピーク温度が13
50℃の熱影響部のところで計算した。計算は、まず、
第1ビードの熱伝導計算を実施し、第1ビード終了した
ときのパス間温度が表4のあらかじめ設定されている最
高パス間温度以下であるときには、連続的に次の溶接ビ
ードがスタートするとして、パス間温度が表4の最高パ
ス間温度を上回るときは、パス間温度が表4の最高パス
間温度に下がるまで次の溶接ビードを施工しない、とい
う条件で計算を実施した。
【0039】
【表4】
【0040】なお、この計算条件は、表4の多層溶接を
行ったときの施工条件と同じである。熱履歴が計算され
ると、これを用いて、(A)式の値、あるいは800℃
から500℃までの冷却時間が各溶接条件に対して求ま
る。これら値と同じ値を与える予熱なしの1パス溶接の
入熱量、すなわち実効入熱量を求めた。計算は、熱伝導
解析はQuickWelderで行い、その温度履歴を
用いて、(A)式や冷却時間を計算し、多層溶接におけ
るそれら値と同じになるまで入熱量を変化させて実行し
た。(A)式を用いたときの実効入熱量を実効入熱量1
とし、800℃から500℃までの冷却時間を用いたと
きの実効入熱量を実効入熱量2とした。
【0041】次に、実効入熱量に対応する1パス溶接の
熱履歴は計算済みであるため、この結果を用いて再現熱
サイクル試験を実施した。そのときの、試験条件と0℃
シャルピー値および旧γ粒径を表5にまとめた。旧γ粒
径の測定方法は、実施例1と同じ方法を採用した。
【0042】
【表5】
【0043】表5の結果で、多層溶接継手の継手を評価
できるかを調べるため、表4の条件で作製した多層溶接
継手の0℃シャルピー値と旧γ粒径を調べた。シャルピ
ー値および旧γ粒径は最終層の最終ビードに隣接するH
AZ部の値で、その結果を表6に示した。
【0044】
【表6】
【0045】表4〜6の結果から、多層溶接継手のHA
Z靭性の評価が可能かどうか調べた。表7、8は、シャ
ルピー値に着目した例である。表7は、表4の多層溶接
条件で溶接ビード長さが本発明の範囲内である溶接条件
1および3に対する実施例を示し、表8は、本発明の範
囲外の溶接ビード長さである表4の溶接条件2に対する
実施例である。表7で、鋼材A−1は、継手のシャルピ
ー値は表6から溶接条件1では205J、溶接条件3で
は190Jである。それに対し、実効入熱量1を用いた
評価では、溶接条件1については、その実効入熱量は表
4から7.0kJ/mmとわかっているため、表5の鋼
材A−1の7kJ/mmの再現熱サイクル試験結果であ
る183Jが溶接条件1に対応するシャルピー値にな
る。このようにして、他の条件でも多層溶接継手のシャ
ルピー値と再現熱サイクル試験のシャルピー値を表7に
併記した。
【0046】
【表7】
【0047】
【表8】
【0048】一般に、HAZ靭性はある値以上を合格と
するため、ここでは、現状最も厳しい条件と考えられる
100Jを満たしているかどうかで継手のシャルピー値
を評価できているかの判断とする。例えば、鋼材A−1
の溶接条件1では、実効入熱量1の場合再現熱サイクル
試験結果が183Jで、継手のそれが205Jと、とも
に100Jを上回っているため再現熱サイクル試験は継
手のシャルピー値を正しく評価できると判断した。この
ときを○と表現した。一方、鋼材A−2で、実際の入熱
量を用いた再現熱サイクル試験結果は溶接条件3で12
0Jであるのに対し、実継手は65Jしかなく、再現熱
サイクル試験と実継手のシャルピー値は一致しないと判
断できる。このときを×と表現した。
【0049】表7では以上のような判断で、継手シャル
ピー値と再現熱サイクル試験結果の一致と不一致をまと
めている。不一致が認められるのは、まず、加熱温度が
900℃と低い場合であり、これは旧γ粒径が充分成長
しない領域の温度であるためである。本発明の範囲内に
ある1350℃加熱では、よい一致を示している。さら
に、実効入熱量を用いず実際の入熱量を用いた場合も、
継手のシャルピー値を正しく評価できていなく、×にな
っていることがわかる。
【0050】次に、表8では、溶接ビード長が本発明の
範囲外である条件で表7と同様な評価をした例である。
このような場合、表7と異なり、実効入熱量を用いて
も、実際の入熱量を用いても、継手のシャルピー値をほ
ぼ同じ程度によく評価できることがわかる。すなわち、
表7では、実際の入熱量を用いて再現熱サイクル試験を
実施すると、溶接継手のシャルピー値を正しく評価でき
なかったが、表8では、正しく評価できていることがわ
かる。これは、多層溶接時のパス間温度が、あまり高く
ならなかったためで、実効入熱量と実際の入熱量の差が
小さいためのこのような結果になった例である。従来技
術では、パス間温度の影響をあまり重視しなくても充分
であった理由は、このような理由による。実効入熱量を
導入するメリットがあるのは、本発明のようにビード長
さが短い場合であることがわかる。
【0051】表7、8のシャルピー値と同じように、再
現熱サイクル試験と多層溶接継手の旧γ粒径を比較した
のが表9,10である。ここでは、旧γ粒径が150μ
m以下であるかどうかで両者が一致するかどうかを判断
した。表9は、溶接ビード長さが本発明例の範囲内であ
る、表4の溶接条件1、3に対する実施例であり、表1
0は、ビード長さが本発明の範囲外である溶接条件2に
対する実施例である。表9,10の結果は、表7,8の
それと同じであり、本発明に従い再現熱サイクル試験を
実施すれば、旧γ粒径の評価も可能である事がわかっ
た。なお、鋼材Bで、実効入熱量2を用いた再現熱サイ
クル試験結果は101Jと、継手シャルピー値の145
Jとの乖離は実効入熱量1を用いた場合より大きい。す
なわち、実効入熱量1を用いたほうがより評価が正しい
ことがわかる。しかし、実効入熱量2を用いたとき、評
価が厳しくなる傾向にあることをあらかじめ考慮してお
けば、実効入熱量2による評価も充分実用的である。
【0052】
【表9】
【0053】
【表10】
【0054】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、酸化物
微細分散を有効利用したHAZ靱性に優れた鋼板の品質
管理をより効率よく行うことができ、また多層溶接部の
HAZ靱性管理も効率よく行うことが可能であり、産業
上のメリットは大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明における品質管理手順を説明
した概念図である。
【図2】 図2は、実際の継手のシャルピー値と再現熱
サイクル試験でのシャルピー値の相関を説明した図であ
る。
【図3】 図3は、実際の継手の旧γ粒径と再現熱サイ
クル試験での旧γ粒径の相関を説明した図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接熱影響部の靱性に優れた鋼材の品質
    管理方法において、該鋼材から試験片を採取し、最高加
    熱温度が1250℃から1450℃の間にあり、その後
    の100℃までの冷却過程において800℃から500
    ℃までの冷却時間が50秒から300秒であるような再
    現熱サイクルを実施し、該試験片の0℃シャルピー衝撃
    値が27Jから100J以下のあらかじめ定められた値
    より高いか否かで該鋼材が溶接されたときの溶接熱影響
    部の靱性特性を評価することを特徴とする溶接熱影響部
    の靱性に優れた鋼材の品質管理方法。
  2. 【請求項2】 溶接熱影響部の靱性に優れた鋼材の品質
    管理方法において、該鋼材から試験片を採取し、該試験
    片に、最高加熱温度が1250℃から1450℃の間に
    あり、その後の100℃までの冷却過程において800
    ℃から500℃までの冷却時間が50秒から300秒で
    あるような再現熱サイクルを実施し、該試験片の旧オー
    ステナイト粒径を測定し、その粒径が150μm以下で
    あるか否かで該鋼材が溶接されたときの溶接熱影響部の
    靱性特性を評価することを特徴とする溶接熱影響部の靱
    性に優れた鋼材の品質管理方法。
  3. 【請求項3】 溶接長が400mm以下で3パス以上の
    多層溶接される溶接熱影響部の靱性に優れた鋼材の品質
    管理方法において、該多層溶接のピーク温度が1250
    ℃から1450℃の範囲にある熱履歴から計算される熱
    履歴パラメーターと同じ熱履歴パラメーターの値を与え
    る予熱なしの1パス溶接の入熱量を計算し、それを該多
    層溶接の実効入熱量と定義し、該実効入熱量に対応する
    1パス溶接の熱履歴による再現熱サイクル試験を実行
    し、該試験片の0℃シャルピー衝撃値が27Jから10
    0J以下のあらかじめ定められた値より高いか否かで該
    鋼材が溶接されたときの溶接熱影響部の靱性特性を評価
    することを特徴とする溶接熱影響部の靱性に優れた鋼材
    の品質管理方法。
  4. 【請求項4】 溶接長が400mm以下で、かつ3パス
    以上の多層溶接される溶接熱影響部の靱性に優れた鋼材
    の品質管理方法において、該多層溶接のピーク温度が1
    250℃から1450℃の範囲にある熱履歴から計算さ
    れる熱履歴パラメーターと同じ熱履歴パラメーターの値
    を与える予熱なしの1パス溶接の入熱量を計算し、それ
    を該多層溶接の実効入熱量と定義し、該実効入熱量に対
    応する1パス溶接の熱履歴による再現熱サイクル試験を
    実行し、その試験片の旧オーステナイト粒径を測定し、
    その粒径が150μm以下であるか否かで該鋼材が溶接
    されたときの溶接熱影響部の靱性特性を評価することを
    特徴とする溶接熱影響部の靱性に優れた鋼材の品質管理
    方法。
  5. 【請求項5】 熱履歴パラメーターとして、下記(A)
    式で計算されるパラメーターを用いることを特徴とする
    請求項3または4記載の溶接熱影響部の靱性に優れた鋼
    材の品質管理方法。 I=∫exp(−28900/T)dt・・・(A) (T:絶対温度、t:時間)
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101975702A (zh) * 2010-09-15 2011-02-16 河北省电力研究院 一种金属焊缝冲击功试验及计算方法
CN117260053A (zh) * 2023-11-15 2023-12-22 张家港广大特材股份有限公司 一种特种钢材焊接控制方法及系统

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