JP2003039059A - ハロゲン化有機化合物による汚染物を浄化する方法 - Google Patents

ハロゲン化有機化合物による汚染物を浄化する方法

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JP2003039059A JP2002205722A JP2002205722A JP2003039059A JP 2003039059 A JP2003039059 A JP 2003039059A JP 2002205722 A JP2002205722 A JP 2002205722A JP 2002205722 A JP2002205722 A JP 2002205722A JP 2003039059 A JP2003039059 A JP 2003039059A
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Naoaki Kataoka
直明 片岡
Tatsuo Shimomura
達夫 下村
Norimitsu Kitajima
宣光 北嶋
Naoki Seki
直樹 関
Koji Niimura
浩司 新村
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Ebara Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決課題】 ハロゲン化有機化合物による土壌、底
質、汚泥、水などの汚染物を浄化する方法を提供する。 【解決手段】 25℃における標準水素電極に対する標準
電極電位が130mV〜-2400mVであり、鉄-シリコン合金、
チタン合金、亜鉛合金、マンガン合金、アルミニウム合
金、マグネシウム合金、カルシウム合金、及び水溶性化
合物から選ばれた少なくとも1種である還元剤を、ハロ
ゲン化有機化合物による汚染物に添加する工程を有する
汚染物を浄化する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン化有機化
合物、特に塩素化有機化合物による汚染物、例えば、土
壌、底質、汚泥、水を浄化する方法に関し、特に、化学
反応及び生物的反応を組み合わせた還元性脱ハロゲン化
反応によってハロゲン化有機化合物を分解することによ
る、汚染物を浄化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
電子機器金属部品の脱脂・洗浄剤やドライクリーニング
の洗浄剤として広く使用されているテトラクロロエチレ
ン、トリクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタ
ン、ジクロロエチレンなどのハロゲン化有機化合物によ
る土壌・地下水の汚染が次々と報告されている。これら
のハロゲン化有機化合物は、自然界で容易に分解され
ず、難水溶性であるために、汚染域において土壌中での
蓄積、地下水への浸透が生じ易い。また、ハロゲン化有
機化合物は、肝障害を引き起し、発がん性を有する。そ
こで、土壌等に含まれる塩素化有機化合物等のハロゲン
化有機化合物を分解することが望まれている。
【0003】最近、ハロゲン化有機化合物で汚染された
土壌、地下水等を浄化する方法として、微生物処理法
(バイオレメディエーション)が注目されている。微生
物処理法では、費用対効果、安全性が高い。しかし、微
生物処理法では、以下に記載する如く、処理が長期間に
なり、分解できる物質の種類や濃度が限定されることか
ら、必ずしも十分に満足できない。
【0004】その微生物処理法の一例として、メタン資
化性菌やトルエン・フェノール分解菌、アンモニア酸化
細菌、アルケン資化性菌によるトリクロロエチレンの好
気的分解処理法が数多く報告されている。しかし、1)
分解反応が不安定であること、2)分解対象物質の範囲
が極めて狭いこと、3)テトラクロロエチレンや四塩化
炭素といった高塩素化物質には分解作用を有しないとい
う欠点がある。
【0005】一方、多くの嫌気性微生物ではテトラクロ
ロエチレン、トリクロロエチレン、四塩化炭素等の高度
に塩素化された有機化合物に対して幅広く分解できる。
しかし、1)微生物の増殖が非常に遅いこと、2)嫌気
的分解過程で毒性の強い中間代謝産物が生成・蓄積する
こと等の欠点がある(内山裕夫・矢木修身、バイオサイ
エンスとインダストリー、1994年、第52巻、第1
1号、第879〜884頁)。
【0006】一方、化学反応によりハロゲン化有機化合
物を分解する技術として、金属鉄による塩素化有機化合
物の還元的処理が報告されている(先崎哲夫、有機塩素
化合物汚染地下水の処理-金属鉄付着活性炭による低温
下での処理技術、「PPM」、1995年、第26巻、
第5号、第64〜70頁)。そこで、本発明者は、微生
物の炭素源がない状態において、土壌中に金属鉄を添加
して脱塩素化試験を試みた。しかし、微生物が培養され
てない条件、特に、還元雰囲気及び中性条件が維持され
ない場合には、脱塩素化反応は認められなかった。ま
た、FeCl2、FeCl3、FeSO4といった鉄塩を
金属鉄の代わりに添加した場合であっても、脱塩素化反
応は認められなかった。
【0007】さらには、金属鉄と高圧空気を汚染土壌中
に注入してハロゲン化有機化合物を鉄粉と反応させて無
機化し、無害化処理する方法が報告されている(特開平
8-257570号)。この方法においても空気注入設
備の問題やハロゲン化有機化合物揮散の恐れがあるなど
の問題がある。さらには、高圧空気を用いるため、コス
ト上の問題が生じ、実用的でない。
【0008】また、脱ハロゲン化触媒作用を持つ天然物
質と微生物処理とを組み合わせて、土壌や地下水を汚染
した有機塩素化合物を除去する方法が報告されている
(日経バイオテク」(日経BP社発行)1996年10
月7日発行、第361号、第14〜15頁)。しかし、
具体的な天然物質及び微生物については一切記載されて
いない。
【0009】米国特許第5,411,664号には、繊
維性有機物及び鉄等の多価金属粒子を汚染物に添加する
ことによるハロゲン化有機化合物の分解方法が記載され
ている。しかし、この米国特許には、還元鉄、鋳鉄、合
金、水溶性還元剤等の還元剤については記載されていな
い。また、還元剤を添加後に、汚染物を還元雰囲気及び
所定のpHに保持することは記載されていない。
【0010】更に、添加する栄養源の組成によっては、
土壌中で硫酸還元、メタン発酵等の生物的還元反応が生
じるため、硫化水素、メルカプタンなどの硫黄系の悪臭
ガスや、メタンガスなどの可燃性ガスが発生する可能性
がある。また、土壌が硫化鉄等の生成に伴って、黒色に
変色する可能性がある。更に、金属粉末と水との反応に
より可燃性の水素ガスが発生する可能性がある。
【0011】更にまた、実験室において、還元剤、栄養
源及び汚染物を均一に混合することは容易である。これ
に対して、現実に土壌等の汚染物を浄化するためには、
多量の還元剤及び栄養源を混合することになり土木工事
が必要となる。また、均一に混合することは必ずしも容
易ではない。更に、混練の際の条件が、ハロゲン化有機
化合物の分解率に影響を与えることも想定される。特
に、1m3以上の体積、特に10m3以上の体積の汚染物
を浄化するためには、混練方法に工夫が必要となる。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、化学反応及び
生物的反応を組み合わせて、ハロゲン化有機化合物を分
解することにより、ハロゲン化有機化合物による汚染物
を浄化する方法を提供することを目的とする。
【0013】本発明の第1の側面では、還元性脱ハロゲ
ン化反応により、ハロゲン化有機化合物を分解すること
を目的とする。
【0014】本発明の第2の側面では、化学的脱ハロゲ
ン化反応により、ハロゲン化有機化合物を分解すること
を目的とする。
【0015】本発明の第3の側面では、還元性脱ハロゲ
ン化反応において副次的に生じる硫黄系の悪臭ガスや可
燃性ガスの生成、および土壌等の汚染物の過度の変色等
を防ぐことを目的とする。
【0016】本発明の第4の側面では、体積が大きい汚
染物の場合に、栄養源及び還元剤を汚染物と効果的に混
合することを目的とする。
【0017】本発明の第1の側面では、所定の還元剤を
添加することに特徴があり、これにより、還元性脱ハロ
ゲン化反応を促進する。
【0018】本発明の第2の側面では、所定の還元剤を
添加することに特徴があり、これにより、化学的脱ハロ
ゲン化反応を促進する。本発明の第1の側面と異なっ
て、必ずしも、生物的反応が関与しなくてもよい。所定
の還元剤を用いることにより、化学反応のみでも、ハロ
ゲン化有機化合物を分解することができる。
【0019】本発明の第3の側面では、有機態炭素の2
0〜50重量%の酸化態窒素を含有する栄養源を用いる
ことにより、ハロゲン化有機化合物を分解する際に、還
元性脱ハロゲン化反応に関与する微生物群を変化させ、
硫化鉄等による土壌の黒変、並びに、メルカプタン等の
悪臭ガスの生成を抑制することができる。
【0020】本発明の第4の側面では、還元剤及び栄養
源を汚染物と混合する工程に特徴があり、これにより、
1m3以上、特に10m3以上の体積の汚染物を浄化する
際に、より均一にこれらを混合することができる。
【0021】なお、本発明の第3の側面及び第4の側面
では、本発明の第1の側面又は第2の側面で用いられる
還元剤を好ましく用いられる。しかし、本発明の第1の
側面又は第2の側面で用いられる還元剤に限定されな
い。
【0022】本発明の第1の側面では、ハロゲン化有機
化合物による汚染物を浄化する方法であって、25℃に
おける標準水素電極に対する標準電極電位が130mV
〜-2400mVである還元剤、及び、従属栄養型嫌気
性微生物の栄養源を、前記汚染物に添加する工程を有
し、前記還元剤が、還元鉄、鋳鉄、鉄-シリコン合金、
チタン合金、亜鉛合金、マンガン合金、アルミニウム合
金、マグネシウム合金、カルシウム合金及び水溶性化合
物からなる群から選ばれた少なくとも1種である方法が
提供される。このような還元剤の存在下において、化学
反応及び微生物の組み合わせによる還元性脱ハロゲン化
を促進することができる。
【0023】本発明において、前記還元剤が、25℃に
おける標準水素電極に対する標準電極電位が-400m
V〜-2400mVであり、かつ、還元鉄、鋳鉄、鉄-シ
リコン合金、チタン合金、亜鉛合金、マンガン合金、ア
ルミニウム合金、マグネシウム合金、及び、カルシウム
合金から選ばれた少なくとも一種であることが好まし
い。また、前記還元剤が、還元鉄を含むことが好まし
い。あるいは、前記還元剤が、鋳鉄を含むことが好まし
い。あるいは、前記還元剤が、鉄-シリコン合金、チタ
ン-シリコン合金、チタン-アルミニウム合金、亜鉛-ア
ルミニウム合金、マンガン-マグネシウム合金、アルミ
ニウム-亜鉛-カルシウム合金、アルミニウム-スズ合
金、アルミニウム-シリコン合金、マグネシウム-マンガ
ン合金、及び、カルシウム-シリコン合金からなる群か
ら選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
【0024】前記還元剤が、水溶性化合物であることが
好ましい。前記還元剤が、有機酸若しくはその誘導体、
次亜リン酸若しくはその誘導体、又は、硫化物塩である
ことが更に好ましい。
【0025】前記還元剤が、500μm以下の粒径を有
する粉末であることが好ましい。なお、本明細書におい
て、粉末とは、粒径が500μm以下の粉末に限られな
い。前記汚染物の含水率が少なくとも25重量%である
ことが好ましい。
【0026】前記添加工程の後に、前記ハロゲン化有機
化合物の還元性脱ハロゲン化を促進するために、前記汚
染物をpH4.5〜9.0の範囲に保持する工程を更に
有することが好ましい。前記添加工程の後に、前記汚染
物をpH4.5〜9.0の範囲かつ還元雰囲気に保持す
る工程を更に有することが更に好ましい。
【0027】有機質系各種コンポスト、堆肥化有機物、
又は、有機物を含有する廃水若しくは廃棄物を前記汚染
物に添加し、次いで、混合する工程を有することが好ま
しい。
【0028】本発明の第1の側面において、前記水溶性
還元剤が、1〜20の炭素原子を有し、かつ、水酸基で
置換されていてもよい、モノカルボン酸、ジカルボン
酸、トリカルボン酸、若しくはテトラカルボン酸若しく
はその塩、ポリヒドロキシアリール、又は、次亜リン酸
若しくはその塩であることが好ましい。また、前記水溶
性還元剤が、次亜リン酸又はその塩であることが好まし
い。また、前記水溶性還元剤が、有機酸又は次亜リン酸
と、鉄、チタン、亜鉛、マンガン、アルミニウム又はマ
グネシウムとからなる塩であってもよい。
【0029】前記汚染物のpHを調整するために、前記
汚染物にアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物
の少なくとも1種を添加する工程を有することが好まし
い。前記保持工程において、前記ハロゲン化有機化合物
が、ハロゲン原子を含まない有機化合物に変換されるこ
とが好ましい。前記保持工程において、前記ハロゲン化
有機化合物が、ハロゲン原子を含まない炭化水素に変換
されることが好ましい。
【0030】本発明の第2の側面では、ハロゲン化有機
化合物による汚染物を浄化する方法であって、25℃に
おける標準水素電極に対する標準電極電位が130mV
〜-2400mVである還元剤を、前記汚染物に添加す
る工程を有し、前記還元剤が、還元鉄、鋳鉄、鉄-シリ
コン合金、チタン合金、亜鉛合金、マンガン合金、アル
ミニウム合金、マグネシウム合金、カルシウム合金及び
水溶性化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種で
ある方法が提供される。
【0031】本発明の第2の側面において、前記還元剤
が、25℃における標準水素電極に対する標準電極電位
が-445mV〜-2400mVであり、かつ、鉄-シリ
コン合金、チタン合金、亜鉛合金、マンガン合金、アル
ミニウム合金、マグネシウム合金、及び、カルシウム合
金から選ばれた少なくとも一種であることが好ましい。
【0032】前記汚染物に、前記汚染物の乾燥重量1k
gに基づいて0.1g〜100gの鉄化合物が含有して
いることが好ましく、前記汚染物に、前記汚染物の乾燥
重量1kgに基づいて1g〜100gの鉄化合物が含有
しており、前記鉄化合物が水酸化鉄(Fe(OH)3)又は四
酸化三鉄(Fe3O4)を含有していることが更に好まし
い。
【0033】更にまた、前記還元剤が、鉄-シリコン合
金、チタン-シリコン合金、チタン-アルミニウム合金、
亜鉛-アルミニウム合金、マンガン-マグネシウム合金、
アルミニウム-亜鉛-カルシウム合金、アルミニウム-ス
ズ合金、アルミニウム-シリコン合金、マグネシウム-マ
ンガン合金、及び、カルシウム-シリコン合金からなる
群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
【0034】あるいは、前記還元剤が、水溶性化合物で
あることが好ましい。また、前記還元剤が、有機酸若し
くはその誘導体、次亜リン酸若しくはその誘導体、又
は、硫化物塩であることが好ましい。前記還元剤が、5
00μm以下の粒径を有する粉末であることが好まし
い。なお、本明細書において、粉末とは、粒径が500
μm以下の粉末に限られない。
【0035】本発明の第3の側面では、ハロゲン化有機
化合物による汚染物を浄化する方法であって、25℃に
おける標準水素電極に対する標準電極電位が130mV
〜-2400mVである還元剤、及び、従属栄養型嫌気
性微生物の栄養源を、前記汚染物に添加する工程を有
し、前記栄養源は、有機態炭素、及び、前記有機態炭素
の20〜50重量%の酸化態窒素を含有する方法が提供
される。
【0036】また、前記栄養源は、前記有機態炭素の2
0〜30重量%の酸化態窒素を含有することがより好ま
しい。前記有機態炭素が、水溶性の有機炭素源として供
給されていることが好ましい。
【0037】更に、前記還元剤が、25℃における標準
水素電極に対する標準電極電位が-400mV〜-240
0mVである金属物質であることが好ましい。前記還元
剤が、還元鉄、鋳鉄、鉄-シリコン合金、チタン合金、
亜鉛合金、マンガン合金、アルミニウム合金、マグネシ
ウム合金、及び、カルシウム合金からなる群から選ばれ
た少なくとも1種であることが好ましい。
【0038】あるいは、前記還元剤が、水溶性化合物で
あることが好ましい。前記還元剤が、500μm以下の
粒径を有する粉末であることが好ましい。
【0039】本発明の第3の側面において、前記酸化態
窒素が、硝酸塩の形態であることが好ましい。前記硝酸
塩が、硝酸アルカリ金属塩、硝酸アルカリ土類金属塩、
硝酸鉄、硝酸チタン、硝酸亜鉛、硝酸マンガン、硝酸ア
ルミニウム又は硝酸マグネシウムを含有することが好ま
しく、前記硝酸塩が、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム又
は硝酸カルシウムを含有することが更に好ましい。
【0040】前記有機炭素源が、糖類、有機酸若しくは
その誘導体、低級アルコール、モラセス廃液、若しく
は、醸造廃液又はこれらの混合物であることが好まし
い。
【0041】本発明の第4の側面では、ハロゲン化有機
化合物と、固体とを含む汚染物を浄化する方法であっ
て、従属栄養型嫌気性微生物の栄養源と水とを含む栄養
液、及び、25℃における標準水素電極に対する標準電
極電位が130mV〜-2400mVである還元剤を、
前記汚染物と混合する工程と、ここで、前記混合工程
は、前記汚染物をpH4.5〜9.0の範囲に調整する
工程を含み;前記混合物を低通気条件下で静置する工程
と;を含む方法が提供される。
【0042】本発明において、前記還元剤が粉末形態で
あり、前記栄養液を前記汚染物に添加し、次いで、混合
し、そして、前記還元剤を前記混合物に添加し、次い
で、混合することが好ましい。
【0043】また、前記還元剤が、500μm以下の粒
径を有する粉末であることが好ましい。なお、本明細書
において、粉末とは、粒径が500μm以下の粉末に限
られない。
【0044】更に、前記還元剤が、還元鉄、鋳鉄、鉄-
シリコン合金、チタン合金、亜鉛合金、マンガン合金、
アルミニウム合金、マグネシウム合金、及び、カルシウ
ム合金からなる群から選ばれた少なくとも1種であるこ
とが好ましい。
【0045】また、第1段階として、前記汚染物に基づ
いて1〜10vol%の前記栄養液を前記汚染物に添加し、
混合する工程と、次いで、第1段階で添加した量よりも
多い量の前記栄養液を前記汚染物に添加し、混合する工
程を更に有することが好ましい。
【0046】あるいは、第1段階として、前記汚染物に
基づいて1〜5vol%の前記栄養液を前記汚染物に添加
し、混合する工程と、次いで、第2段階として、第1段
階と併せて前記汚染物に基づいて5〜10vol%となるよ
うに前記栄養液を前記汚染物に添加し、混合する工程
と、更に、第1段階又は第2で添加した量よりも多い量
の前記栄養液を前記汚染物に添加し、混合する工程を更
に有することが好ましい。
【0047】また、前記還元剤が水溶性化合物であり、
前記還元剤が前記栄養液に溶解していることが好まし
い。更に、前記静置工程において、少なくとも最初の3
日間は、前記汚染物を17℃〜60℃に保持することが
好ましい。
【0048】本発明の第4の側面において、前記汚染物
に基づいて15〜25vol%の前記栄養液を最終的に前記
汚染物に添加することが好ましい。
【0049】また、前記静置工程において、少なくとも
最初の5日間は、前記汚染物を17℃〜60℃に保持す
ることが好ましい。更に、前記静置工程において、少な
くとも最初の3日間、好ましくは5日間は、前記汚染物
を20℃〜40℃に保持することが好ましい。
【0050】前記静置工程が、周囲と離隔した状態で行
われることが好ましい。低通気条件を維持するため、不
通気材料で前記汚染物を被覆することが好ましい。低通
気条件を維持するため、前記汚染物を水性液に浸すこと
が好ましい。前記栄養液と、前記還元剤と、前記汚染物
とを、容器中で混合することが好ましい。
【0051】本発明の第5の側面では、ハロゲン化有機
化合物による汚染物を浄化する方法であって、25℃に
おける標準水素電極に対する標準電極電位が130mV
〜-2400mVである、固体の還元剤と従属栄養型嫌
気性微生物の栄養源とを混合する工程と、前記混合物を
前記汚染物に添加する工程と、を有する方法が提供され
る。
【0052】本発明の第5の側面において、前記固体の
還元剤と、前記栄養源及び水を含有する栄養液とを混合
することが好ましい。
【0053】固体の還元剤としては、例えば、粉末ない
し粉末形態の還元剤が挙げられる。
【0054】また、前記混合工程の後、24時間以内に
前記添加工程が開始されることが好ましく、6時間以内
に前記添加工程が開始されることが更に好ましく、2時
間以内に開始されることが更になお好ましい。
【0055】
【発明の実施の形態】本発明の第1の側面、第2の側
面、及び第3の側面では、ハロゲン化有機化合物による
汚染物を浄化する。本明細書において、ハロゲンとは、
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素をいう。本発明では、ハロ
ゲン原子を有する有機化合物による汚染物を浄化するこ
とができ、特に、塩素原子及び臭素原子を有する有機化
合物による汚染物を浄化することができ、更に特に、塩
素原子を有する有機化合物による汚染物を浄化すること
ができる。塩素化有機化合物としては、例えば、テトラ
クロロエチレン、トリクロロエチレン、1,1,1-ト
リクロロエタン、ジクロロエチレンなどの脂肪族化合物
に限られず、ペンタクロロフェノール等の芳香族化合物
も分解することができる。
【0056】本発明の第1の側面、第2の側面、第3の
側面及び第4の側面において処理することができる汚染
物としては、土壌、底質、汚泥などが挙げられる。ま
た、コンポスト、堆肥化有機物、廃棄物も処理すること
ができる。そして、本発明の第1の側面、第2の側面及
び第3の側面では、地下水、廃水等の水性液も処理する
ことができる。本明細書において、水性液には、水溶
液、懸濁液、乳化液、及び、これらの混合物が含まれ
る。
【0057】汚染物が土壌、底質、汚泥などの場合、そ
の含水率は少なくとも25重量%以上であることが好ま
しく、40〜60重量%が更に好ましい。これは嫌気性
微生物を増殖するために、土壌、汚泥などの中に空気が
入りにくい状態とする上で好ましいからである。この含
水率(%)は下記のように定義される。 含水率=(水分の重量/水分を含む汚染物の重量)×1
00
【0058】前記汚染物が、地下水、廃水等の水の場合
には、含水率は必然的に25重量%以上となる。
【0059】本発明の第1の側面では、25℃における
標準水素電極に対する標準電極電位が130mV〜-2
400mVである還元剤、及び、従属栄養型嫌気性微生
物の栄養源を、前記汚染物に添加することにより、化学
反応と生物的反応との双方を促進させ、ハロゲン化有機
化合物を分解する。
【0060】標準電極電位が130mVよりも高い物質
の場合には、充分な還元力が得られない。一方、標準電
極電位が-2400mVよりも低い物質、例えば、金属
ナトリウム、金属カリウムなどアルカリ金属類は、還元
力が強すぎるため、水と爆発的に反応して水素ガスを発
生して、非常に危険であるので、好ましくない。25℃
における標準水素電極に対する標準電極電位(E°)を
下記表に示す。
【0061】
【表1】 標準電極電位とは、ある電池反応に関して、その電池反
応に関与するすべての化学種が標準状態(純固相、標準
濃度、標準圧力など)にあるとき、比較電極として水素
電極を用いて測定を行った場合に測定される電位であり
標準電位E0に等しい。この値は次式を用いて表され
る。 E0=-△G0/nF
【0062】ここで、△G0とは電池反応の標準ギプス
自由エネルギー変化、nはその反応に関与する電子数、
Fはファラデー定数である。通常、酸化還元電位は比較
電極として飽和塩化銀電極を用いて測定した電位で示さ
れる場合が多いが、この場合測定された数値は水素標準
電極を比較電極として測定した標準電位と比べ約200
mV程度低い値を示すので注意が必要である。
【0063】本発明では、前記還元剤が、還元鉄、鋳
鉄、鉄-シリコン合金、チタン合金、亜鉛合金、マンガ
ン合金、アルミニウム合金、マグネシウム合金、カルシ
ウム合金及び水溶性化合物からなる群から選ばれた少な
くとも1種である。
【0064】前記還元剤が、25℃における標準水素電
極に対する標準電極電位が-400mV〜-2400mV
である金属物質であることが好ましい。
【0065】本発明の一実施態様としては、還元剤とし
ては、還元鉄を用いる。鉄粉は通常表面が酸化されて酸
化皮膜が形成されている。これに対して、還元鉄では、
酸化被膜が少なく、酸化されやすく、反応性が高い。
【0066】ここで、還元鉄とは、酸化物の還元によっ
て製造された金属鉄の一種をいい、きわめて細かい粉末
状でありきわめて酸化されやすい(化学大辞典2、化学
大辞典編集委員会、共立出版株式会社)。典型的には、
高温下、水素ガスで還元されたものである。酸化鉄が還
元されてもよいが、酸化物は酸化鉄には限られない。還
元鉄には、Feの含有量が90%以上のものがある。例
えば、和光純薬工業株式会社から入手できる。
【0067】本発明の他の実施態様としては、還元剤と
して、鋳鉄も好ましく用いられる。鋳鉄は、安全で、取
り扱いが容易であり、且つ高い浄化率を達成できるから
である。また、鋳物製品の削り屑、即ち、鋳鉄屑が更に
好ましい。削り屑を再利用することができるからであ
る。
【0068】一般に、鉄鉱石を還元して製造される銑鉄
から、さらに不純物を除いて産業利用される鉄のうち、
炭素濃度が約2%(重量)以下のものを鋼、これ以上の
炭素を含む物を鋳鉄という(「理化学辞典」第4版19
87年、第411頁)。
【0069】鋼は機械的性質に優れているため、多くの
工業製品に加工利用されている。その際に放出される鋼
の削り屑を、ハロゲン化有機化合物で汚染を受けた物質
の浄化方法に用い得るかを検討したところ、その切削加
工には油を用いるため、鋼製品の削り屑には油が含まれ
ている。これを用いて本発明の有機塩素を化合物による
汚染物の浄化方法を行なおうとすれば、油による2次汚
染を引き起こすおそれがある。これに対し、鋳物用に用
いられる鋳鉄は、切削加工時に油を使用しないので、鋳
物製品削り屑(鋳鉄屑)は前記鋼製品削り屑のような2
次汚染を引き起こすおそれがない。
【0070】本発明の他の実施態様としては、還元剤と
しては、合金が用いられる。即ち、鉄-シリコン合金、
チタン合金、亜鉛合金、マンガン合金、アルミニウム合
金、マグネシウム合金、及び、カルシウム合金も用いら
れる。チタン合金としては、例えば、チタン-シリコン
合金、チタン-アルミニウム合金が挙げられる。亜鉛合
金としては、例えば、亜鉛-アルミニウム合金が挙げら
れる。マンガン合金としては、例えば、マンガン-マグ
ネシウム合金が挙げられる。アルミニウム合金として
は、例えば、アルミニウム-亜鉛-カルシウム合金、アル
ミニウム-スズ合金、アルミニウム-シリコン合金等が挙
げられる。
【0071】マグネシウム合金としては、例えば、マグ
ネシウム-マンガン合金が挙げられる。カルシウム合金
としては、例えば、カルシウム-シリコン合金が挙げら
れる。
【0072】還元剤の作用について、還元鉄の場合で例
示して説明する。金属鉄による嫌気脱ハロゲン化反応の
反応機構は、還元鉄の反応について述べた先崎の報告
(「有機塩素化合物汚染地下水の処理-金属鉄付着活性
炭による低温下での処理技術」、PPM、1995年、
第26巻、第5号、第64〜70頁)によれば、還元鉄
表面にハロゲン化有機化合物の吸着が起こり、同時に還
元鉄表面において金属側と環境側の条件の差異によって
アノードとカソードの分極が生じ、これによって電流が
ながれる。これに伴って、アノードでは鉄が鉄イオンと
なって溶出し、一方、カソードには電子が流入し、脱ハ
ロゲン化反応等の還元反応が生じるものと思われる。 アノード:Fe→Fe2+ +2e-
【0073】鋳鉄は前記のように炭素濃度2%以上のも
のを言うが、一般には重量で3〜3.5%、容量では1
3〜14%の多量の炭素をグラファイトとして含有して
いる。いわゆるヅクと呼ばれる鋳物製品削り屑(鋳鉄
屑)は、廃棄物として排出される前に、一般にミルで粉
砕されている。その粉砕時に一部のグラファイトは、離
脱して鋳鉄粉の表面に付着する。このためこの鋳鉄粉が
水膜で覆われるとグラファイトがカソードとして作用
し、一方鉄がアノードとして作用し、前記のように電流
が流れ、アノードで鉄が溶出し、カソードで脱ハロゲン
化反応等の還元反応が生じると考えられる。上記合金も
アノードとして作用し、合金が溶出するものと思われ
る。一方、カソードで脱ハロゲン化反応が生じると思わ
れる。
【0074】また、金属鉄よりも還元力が強い合金の場
合には、より還元雰囲気を維持し易く、ハロゲン化有機
化合物との電位差がより大きくなり、脱ハロゲン化反応
が加速される。
【0075】さらに、マグネシウム-マンガン合金、亜
鉛-アルミニウム合金、アルミニウム-亜鉛-カルシウム
合金、アルミニウム-スズ合金などの合金を用いると、
酸化膜や腐食生成物の金属表面への付着を生じないか、
又は付着はしても反応を阻害するような緻密な膜にはな
らない(不動態化していない)ため、還元反応により接
触効率が低下する問題が生ぜず、浄化反応が効率よく行
える。
【0076】本発明の一実施態様では、前記還元剤が、
水溶性化合物であることが好ましい。
【0077】粉末等の固体を添加する場合と比較してハ
ロゲン化有機化合物との接触効率が飛躍的に増大し、脱
ハロゲン化反応が加速される。また、水溶性の還元剤は
土壌等に浸透するため、注入井戸等を用いて還元剤を注
入することができ、物理的な掘削混合作業を必要としな
い。さらに浄化運転中に還元状態が不安定になった場合
には、汚染物の浸出水を回収して水溶性の還元剤を添加
し、再注入することにより還元状態を容易に回復するこ
とも可能である。
【0078】水溶性還元剤としては、有機酸若しくはそ
の誘導体、次亜リン酸若しくはその誘導体、又は、硫化
物塩が挙げられる。有機酸としては、カルボン酸、スル
ホン酸、フェノール若しくはその誘導体等が挙げられ
る。カルボン酸としては、例えば、1〜20の炭素原子
を有し、かつ、水酸基で置換されていてもよい、モノカ
ルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、又は、テト
ラカルボン酸が挙げられる。具体的には、酢酸、クエン
酸、テレフタル酸等が好ましく、特に、クエン酸等の2
〜10の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸が好まし
い。
【0079】フェノール誘導体としては、ポリヒドロキ
シアリールが好ましい。ポリヒドロキシアリールとは、
2以上の水酸基で置換されたアリールをいい、アリール
としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等が挙
げられる。また、ナフタレン、インデンのように縮合環
が形成されていてもよい。ポリヒドロキシアリールとし
ては、例えば、1,2,3-トリヒドロキシベンゼン、
1,4-ジヒドロキシベンゼンが好ましい。ここで、
1,2,3-トリヒドロキシベンゼンは、焦性没食子
酸、ピロガロールとも呼ばれる。そのアルカリ性溶液
は、酸素と反応して酸化物を生成する。
【0080】有機酸の誘導体としては、塩、エステル、
アミド、酸無水物等が挙げられ、塩が好ましい。反対イ
オンとしては、特に制限がなく、ナトリウムイオン等の
アルカリ金属イオン;カルシウムイオン等のアルカリ土
類金属イオン;鉄イオン、チタンイオン等の遷移金属イ
オン等の無機イオン、又は、テトラアルキルアンモニウ
ムイオン等の有機イオンであってもよい。
【0081】次亜リン酸の誘導体としては、塩、エステ
ル等が挙げられ、塩が好ましい。反対イオンとしては、
特に制限がなく、ナトリウムイオン等のアルカリ金属イ
オン;カルシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;
鉄イオン、チタンイオン等の遷移金属イオン等の無機イ
オン、又は、テトラアルキルアンモニウムイオン等の有
機イオンであってもよい。
【0082】また、前記還元剤が、有機酸又は次亜リン
酸と、鉄、チタン、亜鉛、マンガン、アルミニウム又は
マグネシウムとからなる塩であってもよい。
【0083】これらの還元剤を添加した場合では、嫌気
的脱ハロゲン化反応で多く報告されている塩化ビニル等
の中間代謝産物の生成・蓄積は全く認められず、反応生
成物はいずれも完全に脱ハロゲン化された物質へと転換
されて気相部へ放出されることがわかった。また、標準
電極電位が金属鉄と同等もしくはそれ以下の還元剤を用
いた場合には、ハロゲン化有機化合物との電位差がより
大きくなり、脱ハロゲン化反応が促進され、好ましい。
【0084】還元剤の使用量は、汚染物が土壌の場合、
土壌100g当たり0.01〜20gが好ましく、更に
好ましくは0.05〜10gである。また汚染物が水の
場合、水100ml当たり0.1〜30gが好ましく、
更に好ましくは0.2〜20gである。いずれの場合
も、脱ハロゲン化の対象となるハロゲン化有機化合物の
汚染濃度が50mg/kg(または50mg/l)を越
える場合には、ハロゲン化有機化合物1mgに対し、
0.05〜0.1gの比率で金属粉末等の還元剤の添加
量を増加させることが必要となる。ただしこれはあくま
でも理想条件下での数値であり、実際の汚染現場におい
ては、微生物による酸素消費が順調に行われなかった場
合には還元剤の還元力がむだに消耗されることも起こり
うる。また、雨水や外気による酸素等の供給によっても
還元剤の還元力は容易に消耗するため、実施に当たって
は現場で予備試験を行い、現場の条件に合わせて個々に
添加濃度を決定すべきである。
【0085】還元剤と汚染物との接触効率を高めるため
に還元剤は粉末状又は溶液状のものが好ましい。ただし
上述した物質の多くは水と反応して容易に酸化態へ変更
するので、その場合は汚染物と還元剤を直接混合するこ
とか、混合する直前に水に溶解させることが望ましい還
元剤が粉末状の場合には、500μm以下の粒径を有す
ることが好ましい。粒径が小さい場合には、ハロゲン化
有機化合物の分解率が向上するためである。
【0086】また、用途によっては、還元剤は、粒径が
0.001mmから5mmの粉末であることが好まし
く、0.01mmから1mmの粉末であることが更に好
ましい。
【0087】粒子径は化学的還元反応の速度を支配し、
粒子径が増加するのに比例して単位重量あたりの還元反
応速度は低下するので注意を要する。さらに、粒子径が
5mm以上であり、かつ、金属物質である場合には金属
粒子の表面が比較的厚い酸化膜で覆われる結果、中心部
の還元状態の金属は利用されない可能性が大きい。また
一方、粒子径が0.001mm以下である場合には非常
に酸化速度が速いので、輸送中及び混合時に水分と接触
して酸化されてしまう危険性が高くなるからである。な
お、還元剤が金属物質の場合には、粉末の表面が酸化さ
れていても、内部が還元状態であり酸化されていなけれ
ば利用可能である。
【0088】従属栄養型嫌気性微生物としては、例え
ば、メタン生成細菌(例えば、Methanosarc
ina属、Methanothrix属、Methan
obacterium属、Methanobrevib
acter属)、硫酸還元細菌(例えば、Desulf
ovibrio属、Desulfotomaculum
属、Desulfobacterium属、Desul
fobacter属、Desulfococcus
属)、酸生成細菌(例えば、Clostridium
属、Acetivibrio属、Bacteroide
s属、Ruminococcus属)、通性嫌気性細菌
(例えばBacillus属、Lactobacill
us属、Aeromonas属、Streptococ
cus属、Micrococcus属)等があげられ
る。
【0089】また、Bacillus属、Pseudo
monas属、Aeromonas属、Strepto
coccus属、Micrococcus属は、酸化態
窒素還元活性を有するので、好ましい。
【0090】従属栄養型嫌気性微生物の栄養源は、汚染
物中の微生物特性に応じて、適宜選択される。例えば、
メタン生成微生物用培地、硫酸還元微生物培地、硝酸還
元微生物培地などのいずれかを選択すればよく、その選
択に際しては浄化トリータビリティテスト(浄化適用性
試験)によってハロゲン化有機化合物の浄化効率を調べ
て決定することができる。
【0091】メタン生成微生物の栄養源としては、乳
酸、メタノール、エタノール、酢酸、クエン酸、ピルビ
ン酸、ポリペプトン等に代表されるメタン生成微生物の
増殖栄養源として一般に知られている栄養素でよい。ま
た、硫酸還元微生物の増殖栄養源としては、乳酸、メタ
ノール、エタノール、酢酸、クエン酸、ピルビン酸、ポ
リペプトン、糖含有有機物等に代表される硫酸還元微生
物の増殖栄養源として一般に知られている栄養素でよ
い。
【0092】さらには、従属栄養型嫌気性微生物の増殖
栄養源として、メタン発酵処理の対象となっている有機
性廃水・廃棄物は効果的であり、例えば、ビール醸造廃
水、でん粉廃水、酪農廃水、製糖廃水や、ビール粕、オ
カラ、汚泥等が挙げられる。
【0093】液体の微生物培地を添加する際、過剰量が
添加されると、ハロゲン化有機化合物の地下への浸透が
進行して汚染が拡散する恐れがあり、逆に少な過ぎる
と、微生物増殖に適度な水分含有量が確保できずに増殖
抑制をもたらすことになる。このため、土壌中水分含有
量(汚泥などは土壌に準ずる)として25〜60%、好
ましくは35〜60%となるように、液体の微生物培地
を調製して添加することがよい。この培地添加量に関し
ては、土壌含水率、間隙率、粒度組成、透水係数を十分
に考慮した上で、決定すべきものである。従って、添加
に用いる微生物培地濃度、培地量ともに汚染土壌の状態
によって各々異なるものであり、浄化トリータビリティ
テストによって慎重に決定すべきものである。
【0094】また、土壌中水分含量を安定に確保するた
めには、珪藻土や各種の保水材、腐養土等を適宜混合す
ることが効果的である。
【0095】汚染物が粘土質土壌や固結したシルト質な
どの透水性の低い物質であった場合には、還元剤のみを
用いた脱塩素処理では接触効率が低いことから長時間を
要し、外部からの酸化物の供給条件によっては還元状態
が不安定になることが考えられる。この場合には還元剤
のほかに微生物の増殖基質となる有機炭素源を添加し、
中性条件下で分解浄化することにより還元状態を安定化
し、完全な脱ハロゲン化浄化を達成することができる。
【0096】本発明において、還元剤を添加した後に、
前記汚染物が還元雰囲気に維持されていることが好まし
い。ここで、還元雰囲気というのは、例えば、空気中の
酸素ガスが水等により遮断されていることである。従属
栄養型嫌気性微生物が分解に関与するので、酸素等があ
るとこのような微生物の増殖を阻害するためである。ま
た、還元剤が酸化されることにより、還元雰囲気を達成
し易くなるものと思われる。なお、還元剤が消費され尽
くした場合には、還元雰囲気を保持し難い場合もある。
【0097】この還元雰囲気としては、25℃における
標準水素電極に対する標準電極電位が+200〜-24
00mVの範囲が好ましく、+200〜-1000mV
の範囲が更に好ましく、+100〜-600mVの範囲
が更になお好ましい。
【0098】本発明では、還元性脱ハロゲン化反応の進
行中には、所定のpHを維持することが好ましい。具体
的には、pH5.8〜8.5が好ましく、更に好ましく
はpH6〜8であり、さらになお好ましくはpH6.2
〜7.6である。このように所定のpH及び嫌気的環境
を安定に確保する場合には、還元剤の表面上における有
機化合物の脱ハロゲン化活性を高く保持することができ
る。
【0099】また、予め汚染物にpH調整剤を添加する
ことができる。そのようなpH調整剤としては、酸性土
壌の場合には、アルカリ金属化合物やアルカリ土類金属
化合物を用いることが好ましく、具体的には、従来無機
系土壌改良材として用いられたものを用いることができ
る。例えば、石灰石、生石灰、消石灰、硫酸カルシウム
(石膏)、酸化マグネシウム、ベントナイト、バーライ
ト、ゼオライト等が挙げられる。
【0100】さらに、この処理を行う際には、反応の進
行上から、各種コンポスト、堆肥化有機物などを混合さ
せることが好ましい。これらは、主として微生物添加効
果や微生物栄養源の供給、水分保持に作用するものであ
り、従来有機系土壌改良材として知られたものを指す。
【0101】これらは、微生物栄養源並びに嫌気的環境
の確保に作用し、さらには、土壌の嫌気醗酵にともなっ
て発生する悪臭ガス、特に硫化水素やメチルメルカプタ
ンをはじめとする硫黄系の悪臭ガスの分解・除去にも作
用するものと考える。
【0102】なお、各種のコンポストが、放線菌、細菌
をはじめとする種々の微生物を含有し、硫黄系悪臭物質
を効率良く分解する微生物が多数存在することは従来か
ら良く知られていることであり、種々のコンポストより
有用な無臭化微生物が多数分離されていることや、家畜
糞尿処理における悪臭除去対策としてもコンポストが利
用されていることからも容易に推測することができる。
【0103】なお、前記した条件によれば、土壌にアル
カリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物のようなpH
調整剤となる無機質系物質(これらは無機質系土壌改良
材といわれているものが多い)、有機質系物質(有機質
系土壌改良材類)、及び微生物培地を添加することによ
って土壌中に存在する嫌気性微生物の増殖は直ちにはじ
まり、土壌の中性的、嫌気的環境が速やかに形成される
ことから、本発明による化学的脱ハロゲン化反応を担う
還元鉄の土壌への混合時期については、無機質系物質、
有機質系物質、微生物培地の添加時と同時に混合して、
なんら差し障りはなく、むしろ、同時に混合しておいた
方が嫌気的環境の長期間確保には得策であって、また、
コスト的にも安価となり、汚染浄化プロセスの管理にお
いても有利である。
【0104】本発明による還元性脱ハロゲン化反応を実
際の汚染サイトに適用するに際しては、なんら大規模な
設備を建設する必要はなく、対象とする汚染土壌に各種
土壌改良材と還元剤とを混合した後、微生物増殖培地を
添加すると共に、水分蒸散や雨水混入の防止、保温の目
的で浄化区域をビニルシート等で覆うことで十分であ
る。また、悪臭ガス発生防止と共に、水分蒸散の抑制の
ため、必要に応じて腐葉土もしくはコンポストを浄化区
域の土壌表層に敷きつめることが望ましい。
【0105】本発明による還元性脱ハロゲン化反応の反
応機構は、現時点では全ては解明されていないものの、
本発明者らは以下のように考えている。先ず、土壌等の
汚染物中のpH4.5〜9.0、かつ、25℃における
標準水素電極に対する標準電極電位が+200〜-24
00mVの範囲の嫌気的環境を確保するために、無機質
系物質並びに有機質系物質と微生物活性化剤としての微
生物培地を土壌に添加して、土壌中微生物の増殖反応を
利用した嫌気的環境を作成することが好ましい。この場
合、土壌中の嫌気微生物は速やかに増殖するために、化
学的脱ハロゲン化反応を抑制することは殆どなく、生物
的脱ハロゲン化反応と化学的脱ハロゲン化反応はほぼ同
時に開始する。
【0106】生物的嫌気脱ハロゲン化反応のメカニズム
については微生物学的、酵素反応学的に十分に追求され
ているものではないために明らかではないが、嫌気的環
境下においてメタン生成微生物や硫酸還元微生物などの
偏性嫌気性微生物並びに種々の嫌気汚泥、底泥中の嫌気
性微生物の増殖状態にある場合、非常にゆっくりとした
微生物反応で塩素が1個ずつ順次脱塩素して行くことが
報告されていることから、本発明においても同様な緩や
かな還元性脱ハロゲン化反応が進行しているものと考え
る。
【0107】本発明では、浄化開始後1ヶ月までの反応
初期では化学的脱ハロゲン化反応が大部分を占めるが、
その後、ハロゲン化有機化合物の汚染濃度の低下と還元
剤の還元活性低下に伴って化学的脱ハロゲン化反応は収
束し、代わって、生物的脱ハロゲン化反応がゆっくりと
優勢となってきて、さらなる脱塩素が長時間にわたって
進行するものとなる。この生物的脱ハロゲン化反応が作
用し始める時点においては、ハロゲン化有機化合物汚染
の濃度はかなり低下しており、生物の脱ハロゲン化反応
に濃度阻害をもたらすことはなく、むしろ、生物反応の
得意な低濃度汚染の脱ハロゲン化反応として、より活発
に作用するものである。したがって、本発明によるハロ
ゲン化有機化合物汚染の浄化においては、化学的脱ハロ
ゲン化反応と生物的脱ハロゲン化反応の相互作用によっ
て極めて低濃度にまで浄化することが可能になる。
【0108】本発明の化学的並びに生物的嫌気脱塩素方
法によれば、溶解性の低い土壌改良剤類の無機質系物質
及び有機質系物質を組み合わせることで、当該汚染土壌
からハロゲン化有機化合物が溶出することなく、かつ、
当該汚染土壌の保水性を適度に保持することによって当
該ハロゲン化有機化合物汚染を汚染位置より深い地下に
浸透することなく、短期間に、安価で簡便に当該ハロゲ
ン化有機化合物汚染土壌を浄化させることが可能であ
る。
【0109】本発明の反応においては、前記した脱塩素
の反応を完全に塩素を含まない有機化合物が主な生成物
として得られるまで進行させることができ、このように
することがハロゲン化有機化合物による汚染物を十分に
浄化する上から好ましいことである。例えば、テトラク
ロロエチレンやトリクロロエチレンによる汚染物の浄化
においては、主な生成物である完全に塩素を含まない有
機化合物はエチレン、エタンであって、この反応におい
ては、有害な塩素を含む中間生成物をほとんど生成しな
いので非常に好ましい結果が得られる。
【0110】本発明の第2の側面では、本発明の第1の
側面で用いられる還元剤が用いられる。所定の栄養源を
添加せず、生物反応が関与しない場合であっても、ハロ
ゲン化化合物を分解することができる。
【0111】また、本発明の第2の側面では、還元剤
が、25℃における標準水素電極に対する標準電極電位
が-445mV〜-2400mVであり、かつ、鉄-シリ
コン合金、チタン合金、亜鉛合金、マンガン合金、アル
ミニウム合金、マグネシウム合金、及び、カルシウム合
金から選ばれた少なくとも一種であることが好ましい。
これらの還元剤は、鉄よりも還元力が強い。従って、土
壌等の汚染物に鉄化合物、特に2価又は3価の鉄化合物
が含有している場合には、これらの鉄化合物を鉄に還元
することにより、脱ハロゲン化反応に関与させることが
できる可能性がある。
【0112】以上の観点より、汚染物に、前記汚染物の
乾燥重量1kgに基づいて0.1g〜100gの鉄化合
物が含有していることが好ましく、前記汚染物に、前記
汚染物の乾燥重量1kgに基づいて1g〜100gの鉄
化合物が含有しており、前記鉄化合物が水酸化鉄(Fe(O
H)3)又は四酸化三鉄(Fe3O4)を含有していることが更
に好ましい。また、鉄化合物としては、更に、FeO、Fe2
O3等の酸化鉄、塩化鉄等が含有していてもよい。また、
還元剤が、25℃における標準水素電極に対する標準電
極電位が-450mV〜-2400mVであることが更に
好ましい。あるいは、還元剤が水溶性化合物であっても
よい。
【0113】以下、本発明の第3の側面及び第4の側面
で用いられる還元剤について説明する。本発明の第3の
側面及び第4の側面では、25℃における標準水素電極
に対する標準電極電位が130mV〜-2400mVで
ある還元剤が用いられる。本発明の第1の側面又は第2
の側面に用いられる還元剤は、好ましく用いられる。
【0114】しかし、本発明の第3の側面及び第4の側
面で用いられる還元剤は、本発明の第1の側面及び第2
の側面に用いられる還元剤に限られず、例えば、鉄(還
元鉄、鋳鉄に限定されない)、マンガン、ニッケル、マ
グネシウム、銅も用いることができる。金属鉄又は金属
マンガンは、酸化状態で天然に土壌中に多く存在してい
るため、添加しても生態系への影響が少なく、安全であ
る。また、市販されているため容易に入手できる。還元
剤の使用量は、上記の通りである。
【0115】本発明の第3の側面及び第4の側面で用い
られる還元剤が、25℃における標準水素電極に対する
標準電極電位が-400mV〜-2400mVである金属
物質であることが好ましい。前記還元剤が、還元鉄、鋳
鉄、鉄-シリコン合金、チタン合金、亜鉛合金、マンガ
ン合金、アルミニウム合金、マグネシウム合金、及び、
カルシウム合金からなる群から選ばれた少なくとも1種
であることが好ましい。
【0116】あるいは、前記還元剤が、水溶性化合物で
あることが好ましい。前記還元剤が、500μm以下の
粒径を有する粉末であることが好ましい。
【0117】以下、本発明の第3の側面について主に説
明する。本発明の第1の側面と共通することは説明を省
略する。
【0118】本発明の第3の側面では、25℃における
標準水素電極に対する標準電極電位が130mV〜-2
400mVである還元剤、及び、従属栄養型嫌気性微生
物の栄養源を、前記汚染物に添加する工程を有する。こ
れにより、上述したように、還元性脱ハロゲン化によ
り、ハロゲン化有機化合物を分解することができる。
【0119】そして、本発明の第3の側面では、前記栄
養源は、有機態炭素、及び、前記有機態炭素の20〜5
0重量%の酸化態窒素を含有し、前記有機態炭素の20
〜30重量%の酸化態窒素を含有することが好ましい。
これにより、ハロゲン化有機化合物を分解する際に、還
元性脱ハロゲン化反応に関与する微生物群を変化させ、
硫化鉄等による土壌の黒変、並びに、メルカプタン等の
悪臭ガスの生成を抑制することができる。ここで、酸化
態窒素の含有量は、例えば、硝酸塩の場合には、硝酸塩
に含まれる窒素原子の重量をいう。同様に、有機態炭素
の含有量は、有機物に含まれる炭素原子の重量をいう。
【0120】還元性脱ハロゲン化では、添加する栄養源
の組成に応じて土壌中で硫酸還元、メタン発酵等の生物
的還元反応が生じるため、硫化水素、メルカプタンなど
の悪臭ガスや、メタンガスなどの可燃性ガスが発生する
可能性がある。また、還元条件下では金属粉末と水とが
反応することにより水素ガスが発生する。さらに、硫酸
還元の結果硫化鉄が生成して土壌が黒変する場合もあ
る。
【0121】しかし、栄養源中に、有機態炭素の20〜
50重量%の酸化態窒素を含有する場合には、これらの
反応を抑制することができる。即ち、増殖基質である有
機態炭素源は主に酸化態窒素還元活性を持つ微生物によ
って利用され、メタン発酵や硫酸還元反応は抑制される
ことを土壌を用いた試験により確認している。土壌から
は主に窒素ガスが発生し、水素ガスも発生するものの窒
素ガスにより希釈されているため、引火爆発等の恐れが
ない。さらに栄養塩として添加する物質として硫黄分も
しくは硫酸根を含む塩類を使用しないことにより、硫化
水素、メルカプタン系のガスや硫化鉄の発生をより確実
に抑制することができる。
【0122】酸化態窒素塩を過剰に汚染物に加えた場合
は、酸化態窒素が有機態炭素の消費後に残留するため、
充分な還元雰囲気を維持することができない。例えば、
飽和塩化銀電極に対する酸化還元電位が+100mV程
度までしか低下せず、還元性脱ハロゲン化反応がほとん
ど進行しなくなるので注意を要する。また逆に、有機態
炭素源の添加量に対し酸化態窒素塩が極端に不足した場
合は、初期の窒素ガス発生により酸化態窒素が消費し尽
くされてしまい、その後メタン発酵などの通常の生物的
還元反応が生じることとなる。このため、添加する有機
態炭素源と酸化態窒素塩との比率が重要となる。
【0123】一般に酸化態窒素還元活性を持つ微生物と
して知られるアルカリゲネス・ユートロファスやパラコ
ッカス・デニトリフィカンスでは水溶液中での酸化態窒
素の消費率は有機態炭素源の40〜50wt%である
が、発明者らが各種土壌中で土着菌を用いて本発明の還
元反応を行わせた結果では、酸化態窒素を有機態炭素源
の20〜50wt%、望ましくは20〜30wt%の比
率で添加した場合にメタン、硫黄系の悪臭ガスの発生が
なく、かつ酸化態窒素塩が完全に消失してハロゲン化有
機化合物の完全な脱ハロゲン化が達成された。
【0124】従来、還元性脱ハロゲン化反応を進行させ
るに当たって酸化態窒素を添加することは、反応を阻害
するものであるとみなされていた(藤田らProc. 8thInt
ernational Cont. on anaerobic Digestion, 1997年、
第2巻、492〜499頁)。しかし本発明では、酸化態窒素と
有機態炭素の添加比率を適正に調節することにより、酸
化態窒素還元活性を持つ微生物を優先させて硫黄系の悪
臭ガスやメタンなどの可燃性ガスの発生を防ぎ、かつ汚
染物中の還元状態を安定に維持して金属粉末のみでは達
成できない安定して効率的な脱ハロゲン化反応を可能と
した。このように本発明は従来の常識を打ち破る新規な
浄化方法であるといえる。
【0125】酸化態窒素が、硝酸塩の形態であることが
好ましい。前記硝酸塩が、硝酸アルカリ金属塩、硝酸ア
ルカリ土類金属塩、硝酸鉄、硝酸チタン、硝酸亜鉛、硝
酸マンガン、硝酸アルミニウム又は硝酸マグネシウムを
含有することが好ましく、前記硝酸塩が、硝酸ナトリウ
ム、硝酸カリウム又は硝酸カルシウムを含有することが
更に好ましい。
【0126】本発明では、有機態炭素が、水溶性の有機
炭素源として供給されていることが好ましい。これは、
必ずしも、本発明の第3の側面に限定されず、本発明の
第1の側面及び第4の側面に適用してもよい。また、水
溶性の有機態炭素としては、糖類、有機酸若しくはその
誘導体、低級アルコール、モラセス廃液、若しくは、醸
造廃液又はこれらの混合物であることが好ましい。有機
態炭素は、微生物を増殖させるための増殖基質として作
用する。また、有機態炭素としてブドウ糖、ショ糖など
の糖類、酢酸、クエン酸、乳酸などの有機酸または有機
酸塩、モラセス廃液、醸造廃液、ビール粕、おから等の
有機性廃液、廃棄物を利用することができる。有機態炭
素の添加量は汚染物の持つ酸化力及びハロゲン化有機化
合物の汚染濃度を考慮して決定すべきであるが、汚染物
が通常の不飽和土壌である場合、土壌1kgに対して1
g程度の有機態炭素が還元状態維持のために必要であ
る。さらに、脱ハロゲン化の対象となるハロゲン化有機
化合物の汚染濃度が50mg/kgを越える場合には、
ハロゲン化有機化合物1mgに対し10〜20mgの比
率で有機体炭素の添加量を増加させることが必要とな
る。ただしこれはあくまでも目安であり、実際の汚染現
場においては汚染物の酸化力だけではなく雨水や空気に
よる酸素等の供給によっても有機態炭素や後述する金属
粉末の還元力が消耗されるため、現場で予備試験を行っ
て個々に添加濃度を決定すべきである。
【0127】本発明の第4の側面では、ハロゲン化有機
化合物と、固体とを含む汚染物を浄化する方法である。
汚染物については、上記した通りである。本発明の第4
の側面では、所定の栄養液及び所定の還元剤を、汚染物
と混合する工程を含む。そして、この混合工程では、汚
染物をpH4.5〜9.0の範囲に調整する。
【0128】前記還元剤が粉末形態であり、前記栄養液
を前記汚染物に添加し、次いで、混合し、そして、前記
還元剤を前記混合物に添加し、次いで、混合することが
好ましい。これにより、還元剤が栄養液で酸化されるこ
とを防止し、その還元力を汚染物中で発揮することがで
きる。
【0129】一方、前記還元剤が水溶性化合物であり、
前記還元剤が前記栄養液に溶解していてもよい。固体の
還元剤よりも現場での施行が容易になる。また、大量の
栄養液を保存、移動させることが容易になる。なお、保
存中に還元剤が酸化されることを防止するため、還元剤
を含有する栄養液は、密閉容器に保存することが好まし
い。
【0130】あるいは、この混合工程において、栄養液
を2回以上に分けて汚染物に添加してもよい。多量の栄
養液と例えば、土壌とを混合する場合には、液体中の土
壌の塊にせん断力が働き難く、土壌の塊が崩れないま
ま、液体中を移動し兼ねない。これに対して、少量の栄
養液を添加した場合には、せん断力により土壌の塊が崩
壊し易くなり、より均一に混合することができる。そし
て、次により多くの栄養液を更に添加すればよい。一実
施態様としては、第1段階として、前記汚染物に基づい
て1〜10vol%の前記栄養液を前記汚染物に添加し、混
合する工程と、次いで、第1段階で添加した量よりも多
い量の前記栄養液を前記汚染物に添加し、混合する工程
を更に有することが好ましい。他の実施態様としては、
第1段階として、前記汚染物に基づいて1〜5vol%の前
記栄養液を前記汚染物に添加し、混合する工程と、次い
で、第2段階として、第1段階と併せて前記汚染物に基
づいて5〜10vol%となるように前記栄養液を前記汚染
物に添加し、混合する工程と、更に、第1段階又は第2
で添加した量よりも多い量の前記栄養液を前記汚染物に
添加し、混合する工程を更に有することが好ましい。何
れの実施態様でも、第1段階では、少量の栄養液を添加
するので、混合物にせん断力が働き、より均一に混合し
易くなる。何れの実施態様でも、前記汚染物に基づいて
15〜25vol%の前記栄養液を最終的に前記汚染物に添
加することが好ましい。最終的というのは、何回かに分
けて栄養液を添加した場合に、これらの栄養液の合計と
いうことである。
【0131】次いで、混合物を低通気条件下で静置す
る。この静置工程において、還元性脱ハロゲン化によ
り、汚染物が除去される。例えば、2週間以上、静置
し、好ましくは1ヶ月以上静置する。
【0132】静置工程が、周囲と離隔した状態で行われ
ることが好ましい。これにより、混合物中のハロゲン化
有機化合物が周囲に拡散、浸透することを防止すること
ができる。
【0133】また、低通気条件を維持するため、不通気
材料で前記汚染物を被覆することが好ましい。例えば、
ビニールシートで土壌を被覆すればよい。嫌気性微生物
の培養を促進するためである。低通気条件を維持するた
め、前記汚染物を水性液に浸すことが好ましい。
【0134】更に、前記静置工程において、少なくとも
最初の3日間は、前記汚染物を17℃〜60℃に保持す
ることが好ましい。これにより、混合物中の微生物の培
養が特に促進され、濃度が高くなる。また、前記静置工
程において、少なくとも最初の5日間は、前記汚染物を
17℃〜60℃に保持することが好ましい。更に、前記
静置工程において、少なくとも最初の3日間、好ましく
は5日間は、前記汚染物を20℃〜40℃に保持するこ
とが好ましい。
【0135】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。ただし、本発明はこれらの実施例により本発明が限
定されるものではない。
【0136】本発明の実施例で行ったテトラクロロエチ
レン浄化実験においては、微生物培地として、表2のメ
タン生成微生物用培地、あるいは表3の硫酸還元微生物
用培地を用いた。また、いずれの浄化試験においても、
室温(12〜23℃)にて実施した。
【0137】pHの測定は、土壌:純水=1:1(重量
比)に調整し、東亜電波工業製pHメータHM-5B型
にて測定した。また、飽和塩化銀電極に対する酸化還元
電位の測定では、土壌:無酸素水=1:1(重量比)に
調整し、東亜電波工業製ORPメータODIC-3型に
て、ORP複合電極PS‐8160型を浸して30分間
放置後測定した。
【0138】土壌中塩化エチレン類の分析は、横浜国立
大学で開発された方法(宮本建一ら、「土壌の低沸点有
機汚染物質含有量の測定方法」、水環境学会誌、199
5年、第18巻、第6号、第477〜488頁)に従
い、試料土壌をエタノール中に浸潰しエチレン類をエタ
ノール抽出した後、エチレン類をデカン中に再抽出し、
エチレン類のデカン溶液を日立ガスクロマトグラフG-
5000型のカラムに投入し、FID検出器にて分析を
行った。
【0139】一方、気相中に発生した塩化エチレン類ガ
スの測定には、発生した塩化エチレン類ガスを日立ガス
クロマトグラフG‐5000型の20%TCP Chr
omosorb WAW DMCS 60〜80mesh
カラムに注入し、FID検出器にて検出することにより
分析した。また、気相中に発生したエチレン、エタンガ
スの測定の場合には、カラムとしてPorapack
Q カラムを用い、日立ガスクロマトグラフG-5000
型、FID検出器にて検出することにより分析した。さ
らに、気相中に発生した水素、炭酸ガス、メタンの測定
には、GLサイエンスガスクロマトグラフ-320型、
TCD検出器にて、活性炭30/60もしくはMole
cular sieve 13Xにて分析した。
【0140】還元鉄としては、和光純薬工業株式会社、
和光1級還元鉄、商品コード096-00785を用い
た。なお、特に断りがない限り、還元鉄は粉末をいう。
【0141】実施例1〜5、及び、7〜10は、主に本
発明の第1の側面に関する。
【0142】実施例1 実施例1では、還元剤として還元鉄粉末を用いた。
【0143】A工場の汚染土壌表層から採取した汚染土
壌を用いた。当該汚染土壌中の汚染物質は、主にテトラ
クロロエチレンであり、乾燥汚染土壌1kg中に含まれ
るテトラクロロエチレンの量が25mgである。この汚
染土壌の30gを125ml容量のバイアル瓶に採取し
たサンプル14個について、以下に示す14種類の実験
条件で、汚染土壌のpH、飽和塩化銀電極に対する酸化
還元電位およびテトラクロロエチレン減少量の経時変化
を調べた。各実験系での含水率は48〜53%の範囲と
して行った。試料調製時および試料採取後には、バイア
ル瓶の気相部は窒素ガスにて置換した。
【0144】なお、供試汚染土壌はローム層よりのもの
で、その物性特性は、含水率47%、透水係数10-4
10-5cm/sec、pH6.6,飽和塩化銀電極に対
する酸化還元電位380mVのものであった。
【0145】実験条件A.メタン生成微生物用培地(表
2)を用いた反応系 汚染土壌のコントロール 汚染土壌+メタン生成培地9.0ml 汚染土壌+メタン生成培地9.0ml+還元鉄1.0
g 汚染土壌+メタン生成培地9.0ml+還元鉄1.0
g+混合石灰質肥料A(主成分石灰石)1.0g+牛糞
コンポスト1.0g+腐葉土0.5g 汚染土壌+メタン生成培地9.0ml+還元鉄1.0
g+混合石灰質肥料B(主成分石灰石とアヅミン)1.
0g十下水汚泥コンポスト1.0g+腐葉土0.5g 汚染土壌+メタン生成培地9.0ml+還元鉄1.0
g+混合貝化石肥料(主成分貝化石)1.0g+下水汚
泥コンポスト1.0g+腐葉土0.5g 汚染土壌+メタン生成培地9.0ml+還元鉄1.0
g+混合石灰質肥料A1.0g+腐葉土1.0g なお、「アヅミン」とは腐植酸苦土肥料であり、その成
分組成は、腐植酸(50〜60%)、苦土(15%)、
全窒素(3%)、けい酸(3%)である。
【0146】表2は、メタン生成微生物用培地を示す。
【0147】
【表2】 *ミネラル1液とは、1リットルの蒸留水中に6gのK
2HPO4が含有している液をいう。
【0148】*ミネラル2液とは、1リットルの蒸留水
中に、6gのKH2PO4、6gの(NH42SO4、1
2gのNaCl、2.6gのMgSO4・7H2O、及
び、0.16gのCaCl2・2H2Oが含有している液
をいう。
【0149】*微量ミネラル液とは、1リットルの蒸留
水中に、1.5gのニトリロ三酢酸、3.0gのMgS
4・7H2O、0.5gのMnSO4・2H2O、1.0
gのNaCl、0.1gのFeSO4・7H2O、0.1
gのCoSO4又はCoCl2、0.1gのCaCl2
2H2O、0.1gのZnSO4、0.01gのCuSO
4・5H2O、0.01gのAlK(SO42、0.01
gのH3BO3、及び、0.01gのNa2MoO4・2H
2Oが含有している液をいう。まず、ニトリロ三酢酸を
KOHでpH6.5にしつつ溶解させ、次いで、他のミ
ネラルを添加する。最終的には、KOHによりpHが
7.0に調整されている。
【0150】*微量ビタミン液とは、1リットルの蒸留
水中に、2mgのビオティン(biotin)、2mgの葉酸(f
olic acid)、10mgのピリドキシン(pyridoxine)・塩
酸、5mgのチアミン・塩酸、5mgのリボフラビン(r
iboflavin)、5mgのニコチン酸(nicotinicacid)、5
mgのDL-パントテン酸カルシウム(calcium pantothe
nate)、0.1mgのビタミンB12、5mgのp-アミノ
安息香酸、及び、5mgのリポ酸(lipoic acid)を含有
している液をいう。
【0151】前記実験条件において、前記反応系を表す
式の意味するところは、例えばの実験条件について説
明すると以下の通りである。
【0152】汚染土壌の30gを分取した125ml容
量のバイアル瓶に還元鉄1.0g、混合石灰質肥料A
1.0gを混合した後、この混合物に表2に示したメタ
ン生成微生物用培地を9.0ml添加し、その後牛糞コ
ンポスト1.0gと腐葉土0.5gを添加した後、ブチ
ル栓とアルミシールで密栓した。この実験試料調製の一
連の操作は、間を置くことなく、速やかに行った。
【0153】この様に調製した前記7種の被検体につい
て、図1に示すように、3日経過したものについてテト
ラクロロエチレンの含有量、7日経過したものについて
pH値と飽和塩化銀電極に対する酸化還元電位を測定す
る。
【0154】以下の測定間隔は図1に示す通りである。
【0155】B.硫酸還元微生物用培地(表3)を用い
た反応系 汚染土壌のコントロール 汚染土壌+硫酸還元培地9.0ml 汚染土壌+硫酸還元培地9.0ml+還元鉄1.0g 汚染土壌+硫酸還元培地9.0ml+還元鉄1.0g
+混合石灰質肥料A(主成分石灰石)1.0g+牛糞コ
ンポスト1.0g+腐葉土0.5g 汚染土壌+硫酸還元培地9.0ml+還元鉄1.0g
+混合石灰質肥料B(主成分石灰石とアヅミン)1.0
g+下水汚泥コンポスト1.0g+腐葉土0.5g 汚染土壌+硫酸還元培地9.0ml+還元鉄1.0g
+混合貝化石肥料(主成分貝化石)1.0g+下水汚泥
コンポスト1.0g+腐葉土0.5g 汚染土壌+硫酸還元培地9.0ml+還元鉄1.0g
+混合石灰質肥料A(主成分石灰右)1.0g+腐葉土
1.0g 表3は、硫酸還元微生物用培地を示す。
【0156】
【表3】 *微量ビタミン液とは、表2中の微量ビタミン液と同様
である。
【0157】実施例1での試験結果を図1及び図2に示
す。なお、実験A-、および実験B-、について
は、実験A−、もしくは実験B-、とほぼ同様
に、テトラクロロエチレンが減少したので、図への記載
は省略した。
【0158】これより、汚染土壌に還元鉄と無機系肥
料、各種コンポストを混合し、メタン生成微生物用培地
もしくは硫酸還元微生物用培地を混ぜ合わせることによ
り、土壌pH7付近の中性環境並びに嫌気的環境が安定
的に確保され、土壌中テトラクロロエチレンは速やかに
分解されていることが明らかである。なお、図1及び図
2には、汚染土壌にメタン生成微生物用培地又は硫酸還
元微生物用培地を混合しただけではテトラクロロエチレ
ン分解はほとんど認められないことも示されている。ま
た、混合石灰質肥料Aに代えて、消石灰を用いても同様
の効果が得られた。
【0159】実施例2 実施例2では、還元剤として還元鉄粉末を用いた。ま
た、コントロールとして、塩化鉄(II)又は硫酸鉄
(II)を用いた。
【0160】実施例1と同じA工場から採取したテトラ
クロロエチレン汚染土壌に対して、テトラクロロエチレ
ンを添加し、最終汚染濃度が、1kg当たりの乾燥土壌
に、約75mgのテトラクロロエチレンとなるように調
製した高濃度汚染土壌について実験した。実施例1と同
様、125ml容量のバイアル瓶に汚染土壌30gを分
取し、以下の8種類の実験条件についてpH、飽和塩化
銀電極に対する酸化還元電位、テトラクロロエチレン減
少量、エチレン・エタン生成量、水素・炭酸ガス・メタ
ン生成量を調べた。なお、各実験系でのでの含水率は4
8〜53%の範囲として行った。なお、実験A-と実
験B-は、汚染土壌と下水汚泥コンポストと腐葉土を
オートクレーブにて60分間蒸気圧滅菌することによ
り、それらを起源とする微生物群を滅菌し、テトラクロ
ロエチレン分解反応系における微生物の作用を検討した
ものである。
【0161】試料調製時にはバイアル瓶の気相部は窒素
置換して行った。
【0162】実験条件A.メタン生成微生物用培地(表
2)を用いた反応系 汚染土壌+メタン生成培地9.0ml+還元鉄1.0
g+混合石灰質肥料B(主成分石灰右とアヅミン)1.
0g+下水汚泥コンボスト1.0g+腐葉土0.5g 汚染土壌+メタン生成培地9.0ml+FeCl
21.0g+混合石灰質肥料B(主成分石灰石とアヅミ
ン)1.0g+下水汚泥コンポスト1.0g+腐葉土
0.5g 汚染土壌+メタン生成培地9.0ml+FeSO
41.0g+混合石灰質肥料B(主成分石灰石とアヅミ
ン)1.0g+下水汚泥コンポスト1.0g+腐葉土
0.5g 滅菌済み汚染土壌+メタン生成培地9.0ml+還元
鉄1.0g+混合石灰質肥料B(主成分石灰石とアヅミ
ン)1.0g+滅菌済み下水汚泥コンポスト1.0g+
滅菌済み腐葉土0.5g B.硫酸還元微生物用培地(表3)を用いた反応系 汚染土壌+硫酸還元培地9.0ml+還元鉄1.0g
+混合石灰質肥料B(主成分石灰石とアツミン)1.0
g+下水汚泥コンポスト1.0g+腐葉土0.5g 汚染土壌+硫酸還元培地9.0ml+FeCl21.
0g+混合石灰質肥料B(主成分石灰石とアツミン)
1.0g+下水汚泥コンポスト1.0g+腐葉土0.5
g 汚染土壌+硫酸還元培地9.0ml+FeSO4l.
0g+混合石灰質肥料B(主成分石灰石とアヅミン)
1.0g+下水汚泥コンポスト1.0g+腐葉土0.5
g 滅菌済み汚染土壌+硫酸還元培地9.0ml+還元鉄
1.0g+混合石灰質肥料B(主成分石灰右とアヅミ
ン)1.0g+滅菌済み下水汚泥コンポスト1.0g+
滅菌済み腐葉土0.5g 実施例2の結果を表4および表5に示す。
【0163】表4及び表5より、還元鉄では、テトラク
ロロエチレンが分解していることが分かる。即ち、汚染
土壌に還元鉄と無機系肥料(pH調整剤)、各種コンポ
ストを混合し、メタン生成微生物用培地もしくは硫酸還
元微生物用培地を混ぜ合わせることによって、土壌は、
pH7付近の中性環境並びに嫌気的環境が安定的に確保
され、土壌中テトラクロロエチレンは速やかに分解され
ていることが明らかである。一方、還元鉄の代わりにF
eCl2あるいはFeSO4を添加した場合ではテトラク
ロロエチレン分解が殆ど進行しないことが明らかであ
る。即ち、FeCl2、FeSO4のような第1鉄塩やF
eCl3といった第2鉄塩では分解しない。
【0164】また、微生物を滅菌した場合でも(実験A
-、B−)テトラクロロエチレン分解量は相当低
く、本発明の方法において、還元性脱ハロゲン化反応は
生物的反応と化学的反応との相乗作用で進行することを
示している。
【0165】表5は、実験A−、B−でのバイアル
瓶中に発生したガス成分の分析結果を示す。これらの実
験系いずれでも、多量の水素、炭酸ガスとエチレン・エ
タンの生成が認められた。なお、実験A−、B−共
に極微量のテトラクロロエチレンとcis-DCEが検
出された程度であった。また、塩化ビニルもほとんど検
出されず、その蓄積はなかった。実験A−、B−に
おける物質収支を計算すると、土壌中テトラクロロエチ
レンの分解量のおよそ71%、58%がエチレンとエタ
ンに転換された計算となる。
【0166】下水汚泥コンポストに代えて家畜コンポス
トを用いても同様な結果が得られた。
【0167】表4は、高濃度汚染土壌を用いた脱ハロゲ
ン化反応試験結果(培養55日後)を示す。
【0168】
【表4】 表5は、テトラクロロエチレンを嫌気条件で脱ハロゲン
化反応をした際の発生ガス(培養55日後)を示す。
【0169】
【表5】 テトラクロロエチレンを分解した場合であってもジクロ
ロエチレンや塩化ビニルに留まることなく、エチレン、
エタンにまで分解することができる。
【0170】実施例3 実施例3では、還元剤として還元鉄を用いた。
【0171】工業地帯に隣接した湖沼底泥(X)及び湿
地の表層底泥(Y)に対して、テトラクロロエチレンを
添加して、テトラクロロエチレン35mg/乾燥泥1k
gの最終濃度に調製した。25リットル容円筒型ステン
レス缶(直径300mm×高さ370mm)に、汚染底
泥15kgを分取した実験系を4系列(X系のコントロ
ールと浄化区、Y系のコントロールと浄化区)を設け
た。各実験系の条件は以下のとおりである。なお、水分
の蒸散や水の混入を防止し、かつ、保温する目的で、こ
れらの実験容器はカバーで覆った。コンポストや腐葉土
を底泥表層に敷くことは必須条件ではないため、本実験
では行わなかった。これら3系列の実験を屋外に設置し
てpH、飽和塩化銀電極に対する酸化還元電位、テトラ
クロロエチレン減少量を経時的に調べた。なお、実験期
間中の屋外温度範囲は7〜18℃、底泥の含水率は約4
1〜50%である。
【0172】(実験条件) X系コントロール:汚染底泥+純水3000ml X系浄化区:汚染底泥十ビール糖化粕廃水3200ml
+還元鉄500g+混合石灰質肥料B(主成分石灰石と
アヅミン)500g+下水汚泥コンポスト500g+腐
葉土250g Y系コントロール:汚染底泥+純水3300ml Y系浄化区:汚染底泥十ビール糖化粕廃水3500ml
+還元鉄500g+混合石灰質肥料B(主成分石灰石と
アヅミン)500g+下水汚泥コンポスト500g+腐
葉土250g なお、ビール糖化粕廃水の主な成分は、還元糖9600
mg/リットル、酢酸180mg/リットル、乳酸31
00mg/リットル、懸濁物質8100mg/リット
ル、BOD(生物化学的酸素要求量)12700mg/
リットル、及び、全有機炭素濃度5100mg/リット
ルである。
【0173】テトラクロロエチレン濃度変化の結果を表
6に示す。なお、pH及び飽和塩化銀電極に対する酸化
還元電位については、X系コントロール及びY系コント
ロール共に、pH4.6〜5.3、ORP180〜30
0mV程度であり、X系浄化区及びY系浄化区共に、p
H7〜7.4、ORP-400〜-570mVであった。
これにより、X系浄化区、Y系浄化区の何れでも、本発
明による浄化方法によってテトラクロロエチレンを効果
的に分解できることがわかる。
【0174】表6は、底泥中テトラクロロエチレン濃度
の変化(単位:mg/乾燥泥1kg)を示す。
【0175】
【表6】 本発明では、化学反応及び生物的嫌気反応を組み合わせ
ることにより、素早く、簡便に、土壌、地下水等のハロ
ゲン化有機化合物の汚染物を浄化することができる。ま
た、本発明の方法では、汚染物から、ハロゲン化有機化
合物が溶出することなく、浄化することができる。例え
ば、汚染土壌などの場合には、当該汚染土壌等の保水性
を適度に保持することによって、当該ハロゲン化有機化
合物汚染を汚染位置より深い地下に浸透することなく浄
化することができる。
【0176】本発明では、ハロゲン化有機化合物をエチ
レンやエタンのような塩素を含まない有機化合物にまで
変換することもでき、有害な中間生成物で反応が留まる
ことがなく、有害な中間生成物の蓄積という問題が起き
ない。
【0177】実施例4 実施例4では、還元剤として、還元鉄又は鋳鉄屑を用い
た。
【0178】実施例4におけるテトラクロロエチレン土
壌浄化実験においては、表7に示すメタン生成微生物用
培地を用いた。なお、実施例4で示す酸化還元電位は、
金属電極として白金電極、比較電極に飽和塩化銀電極を
用いて測定した電位を示す。
【0179】表7は、メタン生成微生物用培地を示す。
【0180】
【表7】 ミネラル1液、ミネラル2液、微量ミネラル液、及び、
微量ビタミン液については表2に用いたものと同様であ
る。
【0181】A工場から採取したテトラクロロエチレン
汚染土壌(汚染濃度は、乾燥土壌1kgに対応する量の
土壌中にテトラクロロエチレンを25mg含むものであ
る)について浄化実験を行った。
【0182】実験では、125ml容量のバイアル瓶に
汚染土壌30gを分取し、メタン生成微生物培地、還元
鉄もしくは鋳鉄屑、下水汚泥コンポストを以下に示す条
件で混合し、テトラクロロエチレンの分解を調べた。土
壌への還元鉄、鋳鉄屑、下水汚泥コンポストの添加量は
5%(重量)で行った。鋳鉄屑はふるいで分け、粒径5
00μm以下を鋳鉄屑A、500〜800μmを鋳鉄屑
B、800μm以上を鋳鉄屑Cとした。なお、試料調製
時にはバイアル瓶の気相部は窒素置換した。
【0183】土壌浄化時の土壌水分含水率は48.4〜
48.9%であった。ここでいう含水率(%)とは、
(水分重量/湿潤土壌重量)×100によって求めた値
である。
【0184】実験では、60日間、培養した。そして、
土壌中のpH、飽和塩化銀電極に対する酸化還元電位、
テトラクロロエチレン減少量、並びに気相部のエチレン
・エタン生成量、水素・炭酸ガス・メタン生成量につい
て調べた。
【0185】ここで用いた還元鉄は、上記したように、
和光純薬社から1級還元鉄粉末として市販されているも
のである。
【0186】実験条件 汚染土壌30g(コントロール、比較例) 汚染土壌30g+メタン生成培地9.0ml+還元鉄
1.5g+下水汚泥コンポスト1.5g 汚染土壌30g+メタン生成培地9.0ml+鋳鉄屑
A1.5g+下水汚泥コンポスト1.5g 汚染土壌30g+メタン生成培地9.0ml+鋳鉄屑
B1.5g+下水汚泥コンポスト1.5g 汚染土壌30g+メタン生成培地9.0ml+鋳鉄屑
C1.5g+下水汚泥コンポスト1.5g 実施例4での試験結果を表8、表9に示す。
【0187】表8は、鋳鉄屑等により浄化した場合の土
壌中テトラクロロエチレンの濃度を示す。
【0188】表9は、鋳鉄屑等により土壌中のテトラク
ロロエチレンを浄化した時の発生ガスを示す。
【0189】表8は、鋳鉄屑等による土壌中テトラクロ
ロエチレン浄化結果(培養60日後)を示す。
【0190】
【表8】 表9は、鋳鉄屑等による土壌中テトラクロロエチレン浄
化時の発生ガス量(培養60日後)を示す。
【0191】
【表9】 なお、表8中の「土壌中テトラクロロエチレン(PC
E)、pH、ORP」とは、培養60日後の値を表す。
表9中の「テトラクロロエチレン(PCE)のエチレン
・エタン転換率」とは、培養60日間にエチレン・エタ
ンに転換したテトラクロロエチレンの割合を表す。「H
2、CH4、CO2」は、それぞれ、乾燥土1kg当たり
に、その期間に発生したガスの量を表している。
【0192】還元鉄を用いた系および鋳鉄屑Aを用いた
系では、土壌中テトラクロロエチレンは検出されないレ
ベルにまで浄化された。
【0193】還元鉄と同様に、鋳鉄屑を用いても、テト
ラクロロエチレンを脱塩素してエチレン、エタンへ変換
できることが分かる。特に、鋳鉄屑A、即ち、粒径が小
さい鋳鉄屑を用いることによってテトラクロロエチレン
が非常に効率よく脱塩素することが解る。
【0194】鋳鉄屑でテトラクロロエチレン汚染土壌を
浄化した場合、土壌pHは7.2〜7.3と中性であ
り、飽和塩化銀電極に対する酸化還元電位は-225〜-
375mVと還元的環境が維持された。したがって、還
元鉄を用いた土壌浄化法と鋳鉄屑での土壌浄化法を比較
すると、両者の土壌環境には相違はないと言える。
【0195】さらに、メタン生成微生物培地を添加した
系、及びでは、いずれもバイアル瓶の気相部に
炭酸ガスが発生していることから、微生物増殖が起きて
いると言える。すなわち、鋳鉄屑は土壌微生物の生育に
阻害をもたらすことのない物質であると言える。
【0196】実施例5 実施例4と同様のテトラクロロエチレン汚染土壌に更に
テトラクロロエチレンを添加することによりテトラクロ
ロエチレン含有量の異なった汚染土壌の試料を調製し
た。これにより、乾燥土壌に換算して1kgの土壌に、
テトラクロロエチレンを50mg含む汚染土壌、75m
g含む汚染土壌、及び140mg含む汚染土壌を得た。
そして、それぞれの汚染土壌について浄化試験を行っ
た。
【0197】実験は、実施例4と同様に125ml容量
のバイアル瓶に種々の汚染土壌30gを分取し、表7の
メタン生成微生物培地9.0ml、粒径500μm以下
の鋳鉄屑A1.5g、下水汚泥コンポスト1.5gを混
合し、テトラクロロエチレンの分解を調べた。なお、試
料調製時にはバイアル瓶の気相部は窒素置換して行っ
た。
【0198】実験では、室温で培養し続け、63日後に
土壌中のpH、飽和塩化銀電極に対する酸化還元電位、
テトラクロロエチレンの減少量、並びに気相部のエチレ
ン・エタン生成量を調べた。
【0199】実験条件 汚染土壌(50mg-テトラクロロエチレン/kg-乾
燥土壌)30g(コントロール) 汚染土壌(50mg-テトラクロロエチレン/kg-乾
燥土壌)30g+メタン生成培地9.0ml+鋳鉄屑A
1.5g+下水汚泥コンポスト1.5g 汚染土壌(7 5mg-テトラクロロエチレン/kg-
乾燥土壌)30g(コントロール) 汚染土壌(7 5mg-テトラクロロエチレン/kg-
乾燥土壌)30g+メタン生成培地9.0ml+鋳鉄屑
A1.5g+下水汚泥コンポスト1.5g 汚染土壌(1 4 0mg-テトラクロロエチレン/k
g-乾燥土壌)3 0g(コントロール) 汚染土壌(140mg-テトラクロロエチレン/kg-
乾燥土壌)30g+メタン生成培地9.0ml+鋳鉄屑
A1.5g+下水汚泥コンボスト1.5g 実施例5の試験結果を表10に示す。これより、乾燥土
壌に換算してlkgの量の土壌に、テトラクロロエチレ
ンを50mg、75mg、140mgの割合で含む高濃
度汚染土壌においても粒径500μm以下の鋳鉄屑Aを
用いることで、エチレン・エタンへの脱ハロゲン化が可
能であり、本土壌浄化法の有効性が示されていることが
分かった。本土壌浄化実験では、テトラクロロエチレン
分解産物として気相中および土壌中にわずかなトリクロ
ロエチレンとcis-DCEの発生が認められたが、塩
化ビニルはほとんど検出されなかった。
【0200】また、鋳鉄屑Aを用いた高濃度テトラクロ
ロエチレン汚染土壌の浄化において、土壌pHは7.2
〜7.3と中性、飽和塩化銀電極に対する酸化還元電位
は-350〜-380mVと還元的環境が安定的に維持さ
れた。
【0201】表10中の「土壌中テトラクロロエチレ
ン、pH、ORP」は培養63日後の値を表す。表10
中の「テトラクロロエチレンのエチレン・エタン転換
率」とは、培養63日間にエチレン・エタンに転換した
テトラクロロエチレンの割合を表す。
【0202】表10は、鋳鉄屑による高濃度テトラクロ
ロエチレン汚染土壌の浄化結果(培養63日後)を示
す。
【0203】
【表10】 本発明では、金属粉末として鋳鉄粉末又は還元鉄粉末を
用いることにより、ハロゲン化有機化合物の低濃度から
高濃度に到るまでの幅広い汚染濃度に対して高度の浄化
率を達成できることが分かった。鋳鉄、例えば鋳鉄屑を
用いることにより、低コストで、安全にしかも簡単な処
理システムにてハロゲン化有機化合物による汚染物を、
浄化することができ、且つ産業廃棄物を有効に利用する
こともできる。
【0204】更に、溶解性の低い土壌改良剤を組み合わ
せることで当該汚染土壌からハロゲン化有機化合物が溶
出することをくい止めることができる。しかも、当該汚
染土壌の保水性を適度に保持すれば、既に地下で生じて
いる有機塩素化合物汚染の汚染位置から更に深い深度に
までは汚染を拡大浸透させることなく浄化を達成でき
る。
【0205】実施例6 実施例6は、本発明の第2の側面に対応する。実施例6
では、従属栄養型嫌気性微生物の栄養源を添加しない場
合であっても、ハロゲン化有機化合物を分解できること
を示す。
【0206】還元剤として(1)金属鉄(比較例)、
(2)マンガン、(3)アルミニウム-シリコン合金、
(4)次亜リン酸ナトリウムの4種類を用いたものを比
較した。
【0207】各還元剤の標準電極電位を表11に示す。
【0208】表11は、還元剤の標準電極電位を示す。
【0209】
【表11】 テトラクロロエチレンを150mg/kg含有するロー
ム質土壌6500g(含水率60%)に対し、還元剤と
して(1)金属鉄20g、(2)マンガン10g、
(3)アルミニウム-シリコン合金10g、または
(4)次亜リン酸ナトリウム20g、を添加し、温度2
0℃に維持し、以後の状態を測定した。
【0210】(2)と(3)は1時間以内に酸化還元電
位が-500mV以下に低下し、その後10日間-500
mV以下に維持された。テトラクロロエチレンは10日
後までに完全にエチレン、エタンまで脱ハロゲン化され
た。(4)では1時間以内に酸化還元電位が-450m
V以下に低下し、その後10日間-450mV以下に維
持された。テトラクロロエチレンは10日後までに完全
にエチレン、エタンまで脱ハロゲン化された。これに対
して(1)では酸化還元電位が-400mVに低下する
までに5日間かかり、その後5日間-400mV以下に
維持された。テトラクロロエチレン10日後までに2割
がエチレン、エタンまで脱ハロゲン化されるに留まっ
た。
【0211】実施例7 (1)還元剤のみを添加し、かつ、有機炭素源を添加し
ない系と、(2)還元剤と有機炭素源とを添加した系と
を比較した。還元剤としては、カルシウム-シリコン合
金(標準電極電位-1900mV)を用い、有機炭素源
として酢酸ナトリウムを用いた。
【0212】トリクロロエチレンが200mg/kg吸
着している粘土質土壌65kg(含水率55%)に対
し、(1)及び(2)では、カルシウム-シリコン合金
100gを添加した。(2)では、これに加えて、酢酸
ナトリウム70gを添加し及び他に栄養塩類7gを添加
した。何れも、温度20℃に維持して、以後の状態を測
定した。
【0213】(1)、(2)ともに1時間以内に酸化還
元電位が-500mV以下に低下した。(1)は酸化還
元電位を10日間-500mV以下に維持し、その後徐
々に酸化状態に移行し40日後までに0mVまで酸化還
元電位が上昇した。トリクロロエチレンは8割がエチレ
ン、エタンに還元されたが2割が土壌中に残留した。こ
れに対し(2)は酸化還元電位を40日間-500mV
以下に維持し、トリクロロエチレンは99%がエチレ
ン、エタンに還元された。
【0214】本発明の還元剤は、表面が安定な酸化膜で
被覆され難く、かつ、水に溶解し易いので、汚染物と接
触し易くなり、分解速度が向上する。また、汚染物が粘
土質土壌や固結したシルト質などの透水性の低い物質で
あっても、微生物の増殖基質となる有機炭素源と組み合
わせることにより、脱ハロゲン化反応を行うことができ
る。
【0215】実施例8 還元剤として、(1)金属鉄粉末(コントロール)、
(2)次亜リン酸ナトリウム粉末、又は(3)クエン酸
チタニウム水溶液を用いたものを比較した。
【0216】(試験条件)乾燥土に換算して、テトラク
ロロエチレンを120mg/kg含有するローム質土壌
を用いた。初期酸化還元電位は、+350mVであり、
土壌量は100m 3であった。
【0217】(試験結果)(2)、(3)では1時間以
内に酸化還元電位が-450mV以下に低下し、その後
5日間-450mV以下に維持された。テトラクロロエ
チレンは5日後までに完全にエチレン、エタンまで脱ハ
ロゲン化された。
【0218】これに対して、(1)ではバックホウ1台
を用いて土壌と金属を完全に混練するのに10日間かか
り、その後酸化還元電位が-400mVに低下するまで
に5日間かかり、その後5日間-400mV以下に持続
された。テトラクロロエチレンは20日後までに2割が
エチレン、エタンまで脱ハロゲン化されるに留まった。
【0219】実施例9 何れの系でも、還元剤として、アスコルビン酸を用い
た。系(1)では、有機炭素源を添加しなかった。これ
に対して、系(2)では、有機炭素源として酢酸ナトリ
ウムも用いた。
【0220】乾燥土に換算して、テトラクロロエチレン
を100mg/kg含有する粘土を用いた。初期酸化還
元電位は、+320mVであり、初期pHは6.5であ
った。
【0221】(試験結果)系(1)、(2)ともに還元
液注入後1時間以内に酸化還元電位が+130mV以下
に低下した。(1)は酸化還元電位を10日間+130
mV以下に維持し、その後徐々に酸化状態に移行し40
に後までに+300mVまで酸化還元電位が上昇した。
pHは0日目の6.3から徐々に低下し40日後に5.
5となった。トリクロロエチレンは5割がエチレン、エ
タンに還元されたが5割が土壌中に残留した。
【0222】これに対して、(2)はその後酸化還元電
位が徐々に低下し20日後に-150mV以下となり、
40日後まで-150mV以下を持続した。pHは0日
目の7.5から徐々に低下し40日後に6.8となっ
た。トリクロロエチレンは99.9%がエチレン、エタ
ンに還元された。
【0223】この実施態様では、水溶性の還元剤を用い
るため、ハロゲン化有機化合物による汚染物と還元剤と
をよく接触させることができ、還元性脱ハロゲン化反応
を促進することができる。
【0224】また、この実施態様に用いる還元剤は、標
準電極電位が金属鉄と同等もしくはそれ以下であるた
め、ハロゲン化有機化合物との電位差がより大きくな
り、脱ハロゲン化が加速される利点がある。また、汚染
物が粘土質土壌や固結したシルト質などの透水性の低い
物質であっても、微生物の増殖基質となる有機炭素源と
組み合わせることにより、脱ハロゲン化反応を行うこと
ができる。また、これらの還元剤は、金属鉄のように、
不動態化することがない。
【0225】実施例10 本発明により、ハロゲン化芳香族化合物が分解できるこ
とを示す。
【0226】ペンタクロロフェノール(以下、PCPと
略す。)濃度10mg/kgのローム土壌6kgに金属
鉄20g添加した。系10-1では、更に、表12に示
す硝酸還元性微生物用培地1リットル添加した。これに
対して、系10-2では、コントロールとして、水1リ
ットルを添加した。
【0227】表12は、硝酸還元性微生物用培地を示
す。
【0228】
【表12】 次いで、混練後28℃に維持し、PCP濃度及び生成物
濃度の変化を調べた。
【0229】結果を表13及び表14に示す。
【0230】表13は系10-1の結果を示す。
【0231】
【表13】 表14は、系10-2の結果を示す。
【0232】
【表14】 表13及び14中、TeCP及びCPは、それぞれ、2,3,
5,6-テトラクロロフェノール及び3-クロロフェノー
ルを示す。また、Ehは、標準水素電極に対する標準電極
電位に換算した値である。
【0233】系10-1では、系10-2と比較して、ペ
ンタクロロフェノールが速やかに分解されたことが分か
る。系10-1では、ペンタクロロフェノールは、2,
3,5,6-テトラクロロフェノール及び/又は3-クロ
ロフェノールを経て、フェノールに分解されたものと思
われる。また、2,3,5,6-テトラクロロフェノー
ル及び3-クロロフェノールも最終的に脱ハロゲン化さ
れ、蓄積されなかった。なお、フェノールは、更に他の
化合物に分解されたものと思われる。
【0234】実施例11 実施例11は、主に本発明の第3の側面に対応する。
【0235】実施例11では、表15の酸化態窒素還元
用微生物培地及び表16のメタン生成微生物用培地(コ
ントロール)を用いて、テトラクロロエチレン汚染土壌
を浄化した。表15の培地組成中の酸化態窒素は有機態
炭素の23重量%に相当する。浄化試験は室温(12〜
23℃)にて30日実施し、土壌諸性質の変化を測定
し、表17にまとめた。
【0236】pHの測定は土壌:純水=1:1(Wt)
に調製し、東亜電波工業製pHメータHM-5B型にて
測定した。また、飽和塩化銀電極に対する酸化還元電位
(ORP)の測定では、土壌:無酸素水=1:1(W
t)に調製し、セントラル科学製ORPメータUK-2
030にて電極を浸して30分放置後に測定した。な
お、本実施例で示す飽和塩化銀電極に対する酸化還元電
位は、金属電極として白金電極を、比較電極として飽和
塩化銀電極を用いて測定した電位を示す。土壌塩化エチ
レン類の分析は横浜国立大学で開発された方法(宮本健
一ら、「土壌の低沸点ハロゲン化有機化合物含有量の測
定方法」、水環境学会誌、1995年、第18巻、第6
号、477〜488頁)に従い、エタノール抽出後にデ
カンへ転換して日立ガスクロマトグラフG-5000
型、FID検出器にて20%TCP Chromoso
rb WAW DMCS60-80meshカラムにより
分析した。さらに、気相中に発生した水素、炭素ガス、
メタン、窒素の測定には、GLサイエンスガスクロマト
グラフGC-320型、TCD検出器にて、Activ
ecarbon 30/60またはMolecular
sieve 13X を使用した。また、土壌中の硝酸態
窒素、亜硝酸態窒素イオン濃度は土壌:純水=1:1
(Wt)に調節した抽出水について、日立陰イオンクロ
マトグラフ2010iを用いて測定を行った。
【0237】表15は、酸化態窒素還元用微生物培地を
示す。
【0238】
【表15】 表16は、メタン生成微生物用培地を示す。
【0239】
【表16】 化学工場から採取したテトラクロロエチレン汚染土壌
(汚染濃度約25mg/kg-乾燥土壌)について浄化
実験を行った。実験は50ml容のバイアルビンに汚染
土壌30gを分取し、培地、金属粉末を以下に示す条件
で混合して30日後におけるテトラクロロエチレン分解
をはじめとする土壌諸性質の変化状態等(表17)を調
べた。金属粉末としては和光純薬製の1級還元鉄粉末を
使用した。なお、試料調製時にはバイアル瓶の気相部を
ヘリウムガスで置換した。
【0240】実験条件 汚染土壌30g 汚染土壌30g+水9.0ml+還元鉄0.07g 汚染土壌30g+酸化態窒素還元用微生物培地9.0
ml+還元鉄0.07g 汚染土壌30g+メタン生成微生物用培地9.0ml
+還元鉄0.07g 試験結果を表17に示す。酸化態窒素還元培地を用いた
場合には、テトラクロロエチレンをエチレン、エタンヘ
と脱塩素するのみならず、土壌の黒変やメタンガスの発
生、メルカプタン系の臭気の発生を抑制できることが確
認された。また、窒素ガスが発生することにより発生す
る水素ガスが希釈されることが見いだされた。また、土
壌中に酸化態窒素、亜酸化態窒素の残留は見られなかっ
た。
【0241】一方、金属と水のみを添加した系ではpH
が大幅に低下し、飽和塩化銀電極に対する酸化還元電位
も30日後には+2mVまで上昇してしまったため十分
な還元脱塩素分解を行うことができなかった。その結果
テトラクロロエチレンが一部土壌中に残留し、エチレン
への転換率も26%に止まった。これらのことから、金
属粉末のみを添加した系では長期間にわたって適当な還
元状態を維持することは困難であり、栄養剤の添加によ
る生物反応を共存させることにより初めて、安定した分
解が可能となることが示された。さらに、金属粉末のみ
を添加した系ではほぼ100%の濃度の水素ガスが発生
し、爆発の危険性が考えられた。これに対し酸化態窒素
還元用微生物培地を添加した系では窒素が、メタン生成
微生物培地を添加した系では二酸化炭素が発生して水素
ガスを希釈するため、安全性が高いことが示された。た
だしメタン生成微生物培地を添加した系では、臭気の発
生や土壌の変色が観られた。
【0242】表17は、土壌中テトラクロロエチレン
(PCE)浄化結果(培養30日後)を示す。
【0243】
【表17】 本発明の第3の側面では、有機態炭素の20〜50重量
%の酸化態窒素を含有する栄養源を用いることにより、
ハロゲン化有機化合物を分解する際に、土壌の黒変、並
びに、メタンガス、メルカプタン等の悪臭ガスの発生を
抑制することができる。
【0244】実施例12 実施例12では、水溶性の有機炭素源として有機態炭素
が供給された。
【0245】有機塩素化合物を10mg/kgを含有す
る土壌5kg(水分60%)に対し、有機炭素源として
(1)グルコース、(2)モラセス廃液、(3)堆肥を
それぞれ6gを別に添加し、他に栄養塩類200mgを
添加し、温度28℃で維持した。
【0246】以後の状態を測定した。
【0247】(1)と(2)は、数日で嫌気性細菌数が
107生菌/g土まで増殖し、飽和塩化銀電極に対する
酸化還元電位(ORP)が30日間-600mV以下に
維持され、テトラクロロエチレンがエチレン、エタンま
でに脱ハロゲン化された。
【0248】これに対して、(3)では、微生物が10
7生菌/g土まで増殖するのに20日かかり、ORPは
13日以降上昇し、30日後には-23mVとなった。
テトラクロロエチレンは、50%がcDCE(シス-ジ
クロロエチレン)の形で残留し、完全には脱ハロゲン化
されなかった。
【0249】実施例13 ハロゲン化有機化合物を30mg/kgを含有する土壌
200kg(水分65%)に対し、有機炭素源としてグ
ルコースを240gを添加し、他に栄養塩類8gを添加
し、冬季の浄化作業として、(1)ビニールハウスで囲
い、温水で加温した(平均温度22℃)、(2)野外野
積みの条件でそれぞれ処理を行った。
【0250】(1)では、数日で嫌気性細菌数が107
生菌/g土まで増殖し、ORPが30日間-600mV
以下に維持され、テトラクロロエチレンがエチレン、エ
タンまでに脱ハロゲン化された。
【0251】これに対して、(2)では、微生物が10
7生菌/g土までに増殖するのに30日かかり、ORP
は10日以降上昇し、30日後には+52mVとなっ
た。テトラクロロエチレンは、20%が分解されずに残
り、40%がcDCE(シス-ジクロロエチレン)の形
で残留し、完全には脱ハロゲン化されなかった。
【0252】実施例14 実施例14は、主に本発明の第4の側面に対応する。
【0253】ハロゲン化有機化合物による汚染物を原位
置で浄化する汚染土壌浄化工事を行った。
【0254】化学工場敷地から掘削し、コンクリートピ
ット内に貯留してあるテトラクロロエチレン汚染土壌
(平均汚染濃度約11mg/kg-土壌)について浄化
を実施した。
【0255】本浄化工事は下記の3つの方法で行った。
【0256】[方法1]コンクリートピット中の汚染土
壌5m3を非漏水性容器である容積10m3の鋼板製バケ
ットに、バックホウを使用して投入した。次に、表15
の酸化態窒素還元用微生物培地と表16のメタン生成微
生物用培地とを混合した栄養液(以下栄養剤Aという)
0.2m3(土壌の4vol%)を鋼板製バケットに添加
し、バックホウを使用して土壌と栄養剤Aを混練した。
さらに、栄養剤A0.2m3(土壌の4vol%)を鋼板製
バケットに添加し、バックホウを使用して土壌と栄養剤
Aを混練した。そしてさらに、栄養剤A0.7m3(土
壌の14vol%)を鋼板製バケットに添加して、土壌と栄
養剤Aとを混合した。土壌と栄養剤Aが十分に混ざった
後、還元鉄を鋼板製バケット中の土壌に散布し、再度混
練を行った。混練した土壌はコンクリートピットに戻し
た。
【0257】[方法2]コンクリートピット中の汚染土
壌5m3を前記鋼板製バケットに、バックホウを使用し
て投入した。次に、前記栄養剤A1.1m3(土壌の2
2vol%)を鋼板製バケットに添加し、バックホウを使用
して土壌と栄養剤Aを混練した。土壌と栄養剤Aが十分
に混ざった後、還元鉄を鋼板製バケット中の汚染土壌に
散布し、再度混練を行った。混練した土壌はコンクリー
トピットに戻した。
【0258】[方法3]コンクリートピット中の汚染土
壌5m3を前記鋼板製バケットに、バックホウを使用し
て投入した。次に添加15〜20時間前に、表15の酸
化態窒素還元用微生物培地と表16のメタン生成微生物
用培地とに還元鉄を懸濁した懸濁液(以下、栄養剤Bと
いう)0.2m3(土壌の4vol%)を鋼板製バケットに
添加し、バックホウを使用して土壌と栄養剤Bを混練し
た。さらに、栄養剤B0.2m3(土壌の4vol%)を鋼
板製バケットに添加し、バックホウを使用して土壌と栄
養剤Bを混練した。そしてさらに、栄養剤B0.7m3
(土壌の14vol%)を鋼板製バケットに添加して、これ
とこれらを十分に混練した。混練した土壌はコンクリー
トピットに戻した。
【0259】方法1〜3で混練した土壌の一部を取り出
して10mmメッシュの篩にかけて、混練後の土壌に含
まれている土壌塊の量を目視により確認した結果、方法
1及び3で行った土壌は土壌塊が土壌量の1〜10%で
あったのに対して、方法2で行った土壌は15〜30%
であり、栄養剤の添加方法並びに混練方法により混練度
合いが異なることが示された。
【0260】方法1〜3の何れでも、混練後、外部との
酸素の出入りを抑制するために、コンクリートピット中
の土壌の上面全てをビニールシートで覆い、鉄板にてこ
れを固定した。なお、ビニールシートで被覆する方法以
外に、外部との酸素の出入りを抑制し土壌内の水分が十
分に保たれるように土壌上面から5〜15cm程度まで
水を冠水させ、土壌を水封してもよい。
【0261】なお、方法1〜3の何れでも、コンクリー
トピットに土壌を戻しているが、これは、テトラクロロ
エチレン等が流出するのを防止するためである。実際に
は、地中の汚染土壌をバケットに投入し、バケット内で
汚染土壌と栄養液とを混練し、次いで、汚染土壌を除去
した穴に混練物を戻してもよい。あるいは、バケットで
混練せず、現場の地中で混練してもよい。
【0262】ビニールシートによる覆面時から2ヶ月経
過後、土壌中のテトラクロロエチレン濃度を測定した。
この結果を表18に示す。即ち、表18は、テトラクロ
ロエチレン汚染土壌の浄化工事の結果である。
【0263】
【表18】 方法1により混練した土壌では、その99.8%が分解
し、方法2では89%、方法3では62%が分解した。
このことから、方法1のように、栄養剤を数回に分けて
添加して、混練をその都度行う場合には、分解率が向上
することが分かる。また、方法2のように、栄養液と土
壌とを混練後に、粉末形態の還元剤を添加する場合に
は、分解率が向上することが分かる。
【0264】なお、本発明の実施態様としては、下記に
掲げるものも含まれる。
【0265】ハロゲン化有機化合物による汚染物を浄化
する方法であって、25℃における標準水素電極に対す
る標準電極電位が130mV〜-2400mVである還
元剤を、前記汚染物に添加する工程を有し、前記還元剤
が、鉄-シリコン合金、チタン合金、亜鉛合金、マンガ
ン合金、アルミニウム合金、マグネシウム合金、カルシ
ウム合金及び水溶性化合物からなる群から選ばれた少な
くとも1種である方法。
【0266】前記還元剤が、25℃における標準水素電
極に対する標準電極電位が-445mV〜-2400mV
であり、かつ、鉄-シリコン合金、チタン合金、亜鉛合
金、マンガン合金、アルミニウム合金、マグネシウム合
金、及び、カルシウム合金から選ばれた少なくとも一種
である方法。
【0267】前記汚染物に、前記汚染物の乾燥重量1k
gに基づいて0.1g〜100gの鉄化合物が含有して
いる方法。
【0268】前記汚染物に、前記汚染物の乾燥重量1k
gに基づいて1g〜100gの鉄化合物が含有してお
り、前記鉄化合物が水酸化鉄(Fe(OH)3)又は四酸化三
鉄(Fe3O4)を含有している方法。
【0269】前記還元剤が、鉄-シリコン合金、チタン-
シリコン合金、チタン-アルミニウム合金、亜鉛-アルミ
ニウム合金、マンガン-マグネシウム合金、アルミニウ
ム-亜鉛-カルシウム合金、アルミニウム-スズ合金、ア
ルミニウム-シリコン合金、マグネシウム-マンガン合
金、及び、カルシウム-シリコン合金からなる群から選
ばれた少なくとも1種である方法。
【0270】前記還元剤が、500μm以下の粒径を有
する粉末である方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に従って、メタン生成用培地を
用い、テトラクロロエタン汚染土壌を嫌気性条件で還元
性脱ハロゲン化反応を行った試験結果を示すグラフであ
る。
【図2】図2は、本発明に従って、硫酸還元培地を用
い、テトラクロロエタンの洗土壌を嫌気性条件で脱ハロ
ゲン反応試験を行った試験結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平9−310599 (32)優先日 平成9年11月12日(1997.11.12) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平9−346511 (32)優先日 平成9年12月16日(1997.12.16) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平9−357607 (32)優先日 平成9年12月25日(1997.12.25) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 関 直樹 神奈川県横須賀市池上4−12−13 (72)発明者 新村 浩司 神奈川県横浜市港北区日吉本町2−33−1 荏原製作所日吉寮351 Fターム(参考) 4D004 AA02 AA41 AB05 AB06 AB08 AC07 CA18 CA35 CA37 CC11 CC12 4D050 AA12 AB19 BA01 BA04 BA12 CA13 CA17 4D059 AA18 BA11 BA28 BF11 BK30 DA21 DA22 DA25 DA34 DA39 DB08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲン化有機化合物による汚染物を浄
    化する方法であって、25℃における標準水素電極に対す
    る標準電極電位が130mV〜-2400mVである還元剤を、前記
    汚染物に添加する工程を有し、前記還元剤が、鉄-シリ
    コン合金、チタン合金、亜鉛合金、マンガン合金、アル
    ミニウム合金、マグネシウム合金、カルシウム合金、及
    び水溶性化合物から選ばれた少なくとも1種である方
    法。
  2. 【請求項2】 前記還元剤が、鉄-シリコン合金、チタ
    ン-シリコン合金、チタン-アルミニウム合金、亜鉛-ア
    ルミニウム合金、マンガン-マグネシウム合金、アルミ
    ニウム-亜鉛-カルシウム合金、アルミニウム-スズ合
    金、アルミニウム-シリコン合金、マグネシウム-マンガ
    ン合金、及びカルシウム-シリコン合金から選ばれた少
    なくとも1種である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記還元剤が、有機酸若しくはその誘導
    体、次亜リン酸若しくはその誘導体、又は硫化物塩から
    選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記還元剤は、25℃における標準水素電
    極に対する標準電極電位が-445mV〜-2400mVである還元
    剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項
    に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記還元剤が、500μm以下の粒径を有
    する粉末であることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載の方法。
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JP9-212069 1997-12-25
JP9-357607 1997-12-25
JP35760797 1997-12-25
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