JP2003038985A - 水分分離用遠心分離器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 湿り蒸気から水を分離するためのコンパクト
な遠心分離機を提供する。 【解決手段】 前記遠心分離機は第１円筒２と該円筒と
同軸的に配設された第２円筒３とを具備する。第１円筒
２の内径は第２円筒３の外径よりも大きい。第１円筒２
内にはハブ７に固定された複数の旋回羽根８からなる環
状体を有する旋回流発生装置６が取付けられている。円
筒２、３は互いに対向する端部とは反対側の端部に湿り
蒸気を搬送する蒸気管路１に挿入可能な連結筒４をそれ
ぞれ備えている。該円筒２、３はドレン抜き１８を備
え、かつ該円筒２、３から半径方向に間隔をおいて分離
チャンバー１５を形成するケーシング１４により気密に
取り囲まれている。該分離チャンバーは戻り管路２１を
介してその上流側が閉鎖され、下流側が開かれている前
記ハブ７の内部に連結されており、これにより該分離チ
ャンバー内の圧力は前記円筒２、３内の圧力より低い圧
力に維持される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、遠心分離機に係
り、殊に、第１の円筒と該第１の円筒と同軸的に配設さ
れた第２の円筒とを具備し、該第１円筒の内径が該第２
円筒の外径より大きく、かつ該第１の円筒の内部にハブ
に固定された複数の旋回羽根からなる環状体を有する旋
回流発生装置が取り付けられている、湿り蒸気から水を
分離するための遠心分離機に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の遠心分離機は、抽気管路を備え
た蒸気発生装置において、湿り蒸気中の水分を低下させ
て管路及び蒸気タービンを水滴による腐蝕から保護する
ために使用される。

【０００３】従来、この種の遠心分離器としては、例え
ばＥＰ−Ａ−０００２ ２３５号公報、ＥＰ−Ｂ−０
００５ ４９４号公報等に開示されているように、１つ
のタンクの内部に複数の細い管を配設し、それら細い管
それぞれの内部に旋回流発生装置を取り付けたものが知
られている。

【０００４】上記の如き構成を有する遠心分機にあって
は、全体の構造が大型化し、蒸気管路から離れた蒸気発
生装置の内部に取り付けなければならないため、構成が
複雑化し、しかも高価とならざるを得ない。のみなら
ず、分離された水の排出のために必要なブースター蒸気
は外部に導出されて適度に低い圧力を有する蒸気発生装
置内の一定の場所ないし機器へ送給されるようになって
いる。

【発明が解決しようとする課題】

【０００５】本発明は、先行技術の有する上記の如き欠
点を除去改良すべくなされたものであって、コンパクト
な構造を有し、かつ余分な支持部材を用いることなく湿
り蒸気管路中に容易に取り付けることができるようにし
た上記した種類の遠心分離機を提供することをその主た
る目的とするものである。

【課題を解決するための手段】

【０００６】上記の目的を達成するため、本発明の遠心
分離機は、上記種類の遠心分離機において、互いに対向
する第１及び第２円筒の端部とは反対側の端部に湿り蒸
気を搬送する蒸気管路に挿入可能な連結筒をそれぞれ備
えているいること、前記第１及び第２円筒から半径方向
に間隔をおき、かつ該２つの円筒を少なくとも部分的に
気密に取り囲んで分離チャンバーを形成するケーシング
を備えていること、該ケーシングはドレン抜きを備えて
いること、及び戻り管路を介してその上流側又は入口側
が閉鎖され、下流側又は出口側が開かれているハブの内
部空間に連結されており、これにより、該分離チャンバ
ー内の圧力を前記第１及び第２円筒内の圧力より低い圧
力に維持し得るようにしたことを主な特徴とする。な
お、本発明の有利な実施態様については、請求項２〜請
求項１０の各記載を参照されたい。

【０００７】

【発明の作用効果】本発明に係る遠心分離機は、非常に
コンパクトな構造を特徴とする簡単でかつ頑丈な形態を
もたらす単一のサイクロン型分離機から構成されてい
る。したがって、この遠心分離機は、外形寸法が非常に
小さくなるので、湿り蒸気管路に一種の管継手のような
態様で挿入して取り付けることができる。このようにし
て、本発明に係る遠心分離機は、既設の或いは現に稼働
中の蒸気発生装置の湿り蒸気管路に後から取り付けてや
り、その分離効率を高めるべくその改装ないしデザイン
変更の目的での使用にも適している。また、本発明に係
る遠心分離機にあっては、分離された水を排出するため
の抽出蒸気の外部からの供給を必要としない。本発明の
他の特徴、作用、効果等については本発明の実施の形態
との関連において後述する。

【発明の実施の形態】

【０００８】以下、本発明の一実施形態を図解した添付
図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。

【０００９】図面において、１は水平に、垂直に又はあ
る角度をもって延在する蒸気管路であり、この蒸気管路
１により、例えば蒸気タービンの抽気管路又は蒸気発生
装置からの湿り蒸気が原子力発電プラントに案内される
ようになっている。湿り蒸気は１２〜１５パーセントの
水の留分を含んでいる。水滴による腐蝕からそれに続く
管路及び蒸気タービンを保護するために、湿り蒸気が蒸
気管路１に取り付けられた高速遠心分離機に供給され
る。

【００１０】遠心分離機は、第１の円筒２と該第１円筒
２に対して同軸上に配設された第２の円筒３を備えてい
る。互いに対向する第１円筒２及び第２円筒３の端部と
は反対側の端部は、湿り蒸気を搬送する蒸気管路１に挿
入される連結筒４をそれぞれ備えている。湿り蒸気は前
記第１及び第２の円筒２、３を通って連続的に流れる。
内側に取り付けられた連結筒４と第１円筒２との間に
は、各種の管の断面領域に適合し得る部材としての切頭
円錐形をした中間部材５が取り付けられている。

【００１１】前記第１円筒２の入口部分には旋回流発生
装置６が設けられている。この旋回流発生装置６は、ハ
ブ７と該ハブのまわりに固着された複数の固定式の旋回
羽根８とからなっている。前記ハブ７は中空であり、そ
の上流側が閉鎖され、その下流側が開かれている。ハブ
７はその上流側に小さな直径を有する延長部分９を設け
て延長することができる。前記連結筒４の直径と遠心分
離機の長さとの間の比率は１対２〜５とすることが望ま
しい。また、前記ハブ７の直径と該連結筒４の直径との
間の比率は１対３より大きくすることが望ましい。

【００１２】前記第２円筒３は前記第１円筒２から所定
の間隔をおいて同軸的に配置されている。該第１円筒２
の内径は、該第２円筒３の外径より大きい。換言する
と、後者３の外径は前者２の内径より小さい。図示の例
では、第３の円筒１０が第１円筒２と第２円筒３との間
に同軸的に取り付けられている。この第３の円筒１０の
外径は第１円筒２の内径より小さく、また該第３円筒１
０の内径は第２円筒３の外径より大きい。互いに対向す
る前記第２及び第３円筒３、１０の端部は互いに挿入さ
れ、その結果として環状の間隙１１が形成されている。
（図３参照）。そして、この２つの円筒３、１０は、そ
の筒壁を貫通するネジないしボルト１２によって互いに
連結されている。前記した第１及び第３の円筒２、１０
は、図示の例では、互いに軸方向に間隔をおいて配置さ
れているが、それぞれの対向端部を前記と同様に互いに
嵌合させるようにしてもよい。

【００１３】前記円筒２、３、１０は２つの端部もしく
は頭部１３によって閉塞されたケーシング１４から半径
方向に間隔をおいて配置されるとともに、該ケーシング
１４によって気密に取り囲まれている。その結果とし
て、分離チャンバー１５がケーシング１４とそれら３つ
の円筒２、３、１０との間で形成されている。２つの外
側の円筒２、３は前記２つの頭部１３を貫通して案内さ
れ、かつ該頭部にそれぞれ固定されている。円筒２、１
０は複数の流線型ないしＶ字形のリブ１６を介してケー
シング１４に支持されている。同時に、該リブ１６は分
離チャンバー１５内の流れを静めるように作用する。ケ
ーシング１４の内側及び第３円筒１０の外側、もしくは
第３円筒１０が存在しない場合には第２円筒３の外側に
当接させて取り付けた円板もしくはそれに類する部材１
７は、分離チャンバー１５を前部チャンバー１５′と後
部チャンバー１５″とに分離している。

【００１４】前記前部チャンバー１５′の領域におい
て、ケーシング１４は排出管路１９に接続されたドレン
抜き１８を備えている。前記後部チャンバー１５″は、
他の排出管路２０を介して前記排出管路１９と接続され
ている。

【００１５】前記分離チャンバー１５の後部チャンバー
１５″は、戻り管路２１を介してケーシング１４を取り
囲む環状導管２２に接続されている。該環状導管２２に
はケーシング１４を通して案内され、かつ前記旋回羽根
８の上流側の中空ハブ７ないしハブ延長部分９の内部に
開口する複数の接続管路２３が接続されている。

【００１６】最後の円筒としての第２円筒３内には整流
装置２４が取り付けられている。整流装置２４は、図示
の例では、ハブ２６に固着された複数の固定式旋回羽根
２５からなる環状体から構成されている。整流装置２４
の旋回羽根２５の回転方向は遠心分離機の入口部分にあ
る旋回流発生装置６の旋回羽根８の回転方向と反対であ
る。整流装置２４のハブ２６の直径は旋回流発生装置６
のハブ７の直径よりも小さい。

【００１７】旋回流発生装置６の上流側には公知の構造
の凝集器２７が取り付けられている。該凝集器２７は、
例えば平行な波形プレートからなるグリッドのような適
当な要素から構成される。該凝集器２７は湿り蒸気中の
水滴のサイズを大きくするとともに、旋回流発生装置６
の水滴の分離度を高めるように働く。

【００１８】上記遠心分離機の大きさは以下の寸法によ
って特徴付けられる。 Ｄ／Ｌ＝１／２〜５ ｄ／Ｄ≧１／３ ここで、Ｄは蒸気管路１の直径、Ｌは蒸気管路１の接続
部分間における遠心分離機の長さ、そして、ｄは旋回流
発生装置６のハブ７の直径である。

【００１９】上記遠心分離機の旋回流発生装置６内にお
いて、半径方向の速度は湿り蒸気の軸方向の速度と重な
る。この装置６によって発生せしめられた湿り蒸気の旋
回流は半径方向の成分を有するので、湿り蒸気中に含ま
れている水滴は遠心力により第１円筒２の筒壁に衝突す
る。そして、筒壁に衝突した水分は分離チャンバー１５
内に入るとともに、緩やかな流れとなって分離チャンバ
ー１５から抽出される。水から分離されて前記筒壁内方
に旋回しながら流動する蒸気流は、前記整流装置２４に
より旋回を解消され、一方向に整流された状態で前記第
２円筒３から出て行く。

【００２０】第３円筒１０と第２円筒３との間に形成さ
れた環状の間隙１１は、水の排出用の環状間隙であり、
該環状間隙１１からの水の排出は水と蒸気との分離度を
増加させるように作用する。該環状間隙１１を通して水
を抽出するために、前記分離チャンバー１５の後部チャ
ンバー１５″の内部は部分的な真空、すなわち負圧とな
るようにされている。この部分的な真空は、遠心分離機
の内部で発生せしめられるようになっており、図示の例
にあっては、戻り管路２１、環状導管２２、接続管路２
３及び中空ハブ７又はハブ延長部分９の接続によって形
成される回路を介して生成されるようになっている。旋
回流発生装置６で発生せしめられる半径方向の流速によ
り、ハブ７の背後には該ハブの領域における負圧による
圧力プロフィールが生じる。このようにして、環状間隙
１１から水を抽出するとともに蒸気を内部循環させるの
に必要なエネルギーを有する蒸気としてのブースター蒸
気を得ることができる。

【００２１】本発明は、添付図面を参照して詳細に説明
した上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求
の範囲に記載の範囲内で、これに各種の改変を施して実
施することができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例としての遠心分離機の縦断面
図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿って切断した断面図であ
る。

【図３】図１のＢ−Ｂ線に沿って切断した断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 蒸気管路 ２ 第１の円筒 ３ 第２の円筒 ４ 連結筒 ５ 中間部材 ６ 旋回流発生装置 ７ ハブ ８ 旋回羽根 １０ 第３の円筒 １１ 環状間隙 １２ ネジないしボルト １４ ケーシング １５ 分離チャンバー １５′ 前部チャンバー １５″ 後部チャンバー １６ リブ １７ 円板 １８ ドレン抜き ２１ 戻り管路 ２４ 整流装置 ２５ 旋回羽根 ２７ 凝集器

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 マルティン キエンベック ドイツ連邦共和国 40883 ラティンゲン、 ピロルヴェーク 12 Ｆターム(参考） 4D031 AC06 BA01 BA03 BA07 BA10 EA01 4D057 AA00 AB07 AC01 AC06 AD01 AE18 BC05 BC11 CB00

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 第１の円筒（２）と、該第１円筒（２）
   と同軸的に配設された円筒であって、その外径が前記第
   １円筒の内径より小さい第２の円筒（３）と、ハブ
   （７）及び該ハブ（７）の外周に環状に固定された複数
   の旋回羽根（８）からなっていて、前記第１円筒（２）
   内に取り付けられた旋回流発生装置とを具備する湿り上
   記から水を分離するための遠心分離機において、互いに
   対向する前記第１及び第２円筒（２、３）の端部とは反
   対側の端部に湿り蒸気を搬送する蒸気管路（１、１）に
   挿入可能な連結筒（４、４）をそれぞれ備えているこ
   と、前記第１及び第２円筒（２、３）から半径方向に間
   隔をおき、かつ該２つの円筒を少なくとも部分的に気密
   に取り囲んで分離チャンバー（１５）を形成するケーシ
   ング（１４）を備えていること、該ケーシング（１４）
   はドレン抜き（１８）を備えていること、及び、前記分
   離チャンバー（１５）は戻り管路（２１）を介してその
   上流側が閉鎖され、下流側が開かれているハブ（７）の
   内部に連結されており、これにより、該分離チャンバー
   （１５）内の圧力を前記第１及び第２円筒（２、３）内
   の圧力より低い圧力に維持し得るようにしたことを特徴
   とする遠心分離機。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の遠心分離機において、
   前記第１円筒（２）と前記第２円筒（３）との間に第３
   円筒（１０）が同軸的に配設されていること、該第３円
   筒（１０）は前記第１円筒（２）の内径より小さな外径
   を有すること、及び、前記第３円筒（１０）は前記第２
   円筒（３）の外径より小さな内径を有することを特徴と
   する遠心分離機。
3. 【請求項３】 請求項２に記載の遠心分離機において、
   円板（１７）が前記第３円筒（１０）又は前記第２円筒
   （３）に配設され、前記分離チャンバー（１５）を前部
   チャンバー（１５′）と後部チャンバー（１５″）とに
   分離していることを特徴とする遠心分離機。
4. 【請求項４】 請求項１、２又は３に記載の遠心分離機
   において、少なくとも前記第１及び第３の円筒（２、１
   ０）の一つが流線形のリブ（１６）を介して前記ケーシ
   ング（１４）に支持されていることを特徴とする遠心分
   離機。
5. 【請求項５】 請求項１から４までのいずれか１項に記
   載の遠心分離機において、前記第２及び第３の円筒
   （３、１０）の対向端部が互いに挿入され、かつ該対向
   端部を貫通するネジ（１２）によって相互に連結されて
   いることを特徴とする遠心分離機。
6. 【請求項６】 請求項１から４までのいずれか１項に記
   載の遠心分離機において、前記第１及び第３の円筒
   （２、１０）が互いに軸方向に間隔をおいて配置されて
   いることを特徴とする遠心分離機。
7. 【請求項７】 請求項１から６までのいずれか１項に記
   載の遠心分離機において、整流装置（２４）が前記第２
   円筒（３）の下流側に取り付けられていること、該整流
   装置（２４）は複数の旋回羽根（２５）からなる環状体
   を備えていること、及び該旋回羽根（２５）は前記旋回
   流発生装置（６）の旋回羽根（８）の回転方向とは反対
   方向に回転するようにされていることを特徴とする遠心
   分離機。
8. 【請求項８】 請求項１から６までのいずれか１項に記
   載の遠心分離機において、水滴の凝集器（２７）が前記
   旋回流発生装置（６）の上流側に取り付けられているこ
   とを特徴とする遠心分離機。
9. 【請求項９】 請求項１から８までのいずれか１項に記
   載の遠心分離機において、前記蒸気管路（１）の端部に
   挿入された連結筒（４）の直径と遠心分離機の長さとが
   １対２〜５の比率となっていることを特徴とする遠心分
   離機。
10. 【請求項１０】 請求項１から９までのいずれか１項に
    記載の遠心分離機において、前記旋回流発生装置（６）
    のハブ（７）の直径と前記連結筒（４）の直径との間の
    比率が１対３より大きいことを特徴とする遠心分離機。