JP2003021626A - 水質分析の前処理方法及び装置 - Google Patents

水質分析の前処理方法及び装置

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JP2003021626A
JP2003021626A JP2001207337A JP2001207337A JP2003021626A JP 2003021626 A JP2003021626 A JP 2003021626A JP 2001207337 A JP2001207337 A JP 2001207337A JP 2001207337 A JP2001207337 A JP 2001207337A JP 2003021626 A JP2003021626 A JP 2003021626A
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Japan
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sample water
water
quality analysis
water quality
ultrasonic
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JP2001207337A
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English (en)
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Koji Kawakami
幸次 川上
Yujiro Kitade
雄二郎 北出
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 種々の化合物を含む試料水を各種水質分析に
供することが可能な分析種にまで化合物を効率よく酸化
分解、熱分解すること及びコンパクトでかつ高保守性の
水質分析の前処理装置を提供すること。 【解決手段】 例えば、発振器2に連結された振動子1
と、加熱手段5とを設けた反応容器4に、水質分析を行
うべき試料水を注水し、振動子1による超音波照射処理
と、加熱手段5による加熱処理とを、同時又は順不同で
順次行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、河川水、湖沼等の
環境水および工場廃水中等に存在する種々の化合物を分
解後、各種水質測定を行う水質分析、特に測定の際の水
質分析の前処理方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、湖沼、内海等の閉鎖領域において
は、リン、窒素等による富栄養化あるいは有機汚濁が問
題となっており、環境基準及び排水規制等が告示されて
いる。
【0003】通常、水中の種々の化合物、例えば富栄養
化の指標となる各種リン化合物を全リン量として測定す
る方法としては、JIS K0102として規格化され
ており、無機態リン、縮合リン及び有機リン等の種々の
形態で存在しているリン化合物を酸化分解して、リン酸
イオンに変えた後、該リン酸イオンを分析・定量するこ
とが記載されている。
【0004】そして、前処理方法であるリン化合物の酸
化分解方法としては、試料水にベルオキソ二硫酸カリウ
ムを添加し、オートクレーブにて加圧・高温加熱するこ
とによってリン化合物をリン酸イオンに酸化分解するベ
ルオキソ二硫酸カリウム分解法の他、これまで試料水に
紫外線を照射し、リン化合物をリン酸イオンに酸化分解
する光酸化分解法、試料水を140℃以上の高温に加熱
することによってリン化合物をリン酸イオンに分解する
熱分解法が提案されている。
【0005】また、特開平11−37990号には、水
中のリン化合物を短時間で酸化分解する方法として、光
酸化分解反応器と熱分解反応器を組合わせて用いる方
法、すなわち試料水に紫外線を照射及び試料水を120
℃以上の状態にすることによって、試料水中のリン化合
物の内、酸化分解し易い化合物(フェニルリン酸ナトリ
ウム等)及び熱・加水分解し易い化合物(トリポリリン
酸ナトリウム等)を両反応器で効率的にリン酸イオンに
酸化分解することが提案されている。
【0006】しかしながら、これらの従来の前処理方法
において、ベルオキソ二硫酸カリウム等の強酸や酸化剤
を用いる分解法は危険、有害で取り扱いにくいこと、ま
た光酸化分解法及び熱分解法は反応容器の材質、構造に
充分な配慮が必要なため、高価でかつ配管が複雑、大掛
かりなものとなり易く、試料水中の種々の化合物を各種
の水質分析に効率よく供することができることは勿論の
こと、コンパクトで低価格かつ高保守性の前処理方法や
それを可能とする装置が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の課題
を解決し、試料水中の種々の化合物を含む試料水を各種
の水質分析に供することが可能な分析種にまで化合物を
効率よく酸化分解、熱分解すること及びコンパクトでか
つ高保守性の水質分析の前処理方法やそれを可能とする
装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第一の発明は、
水質分析を行うべき試料水に対して、超音波照射処理
と、加熱処理とを、同時又は順不同で順次行うことを特
徴とする水質分析の前処理方法である。
【0009】また、本発明の好ましい方法の態様の1つ
は、超音波処理を、周波数100KHZ〜1MHZ、出力
50〜500Wで行う水質分析の前処理方法である。
【0010】また、本発明の他の好ましい方法の態様の
1つは、超音波処理を、超音波を照射する振動子の照射
面積を、試料水が注入された反応容器の該振動子が配置
された面の該試料水の占める面積とを、ほぼ同等とし、
かつ試料水単位体積当たりの超音波音場の平均強度が最
大となるような試料水液量で行う水質分析の前処理方法
である。
【0011】また、本発明の他の好ましい方法の態様の
1つは、加熱処理を、温度50〜95℃で行う水質分析
の前処理方法である。
【0012】また、本発明の他の好ましい方法の態様の
1つは、試料水がリン化合物、窒素化合物及び有機物の
1つ以上を含むものを対象とする水質分析の前処理方法
である。
【0013】本発明の第二の発明は、水質分析を行うべ
き試料水を貯留させる反応容器と、該反応容器に貯留さ
れる該試料水に対して超音波を付与する超音波照射手段
と、該反応容器に貯留される該試料水を加熱する加熱手
段とを備えていることを特徴とする水質分析の前処理装
置である。
【0014】また、本発明の好ましい装置の態様の1つ
は、反応容器の1つに、超音波照射手段と、加熱手段と
が設けられている水質分析の前処理装置である。
【0015】また、本発明の他の好ましい装置の態様の
1つは、反応容器が複数設けられ、そのうちのいずれか
には超音波照射手段が設けられ、他のものには加熱手段
が設けられていて、該複数の反応容器のそれぞれに記試
料水が順次送られるように構成されている水質分析の前
処理装置である。
【0016】また、本発明の他の好ましい装置の態様の
1つは、超音波照射手段である超音波を照射する振動子
が反応容器に設けられ、該振動子の照射面積が、試料水
が注入された反応容器の該振動子が配置された面の該試
料水の占める面積の0.8〜1.2倍とされている水質
分析の前処理装置である。
【0017】本発明において、超音波照射による酸化分
解は、水中への照射で生成するキャビテーションの高
温、高圧場において、各種化合物の熱分解が起きると推
測されるが、このキャビテーション気泡内及び近辺では
難水溶性かつ揮発性の物質が優先的に熱分解するものと
考えられる。
【0018】したがって、試料水中のリン化合物や窒素
化合物、有機汚濁物質等の多くは易水溶性、非揮発性の
物質であるため、このうち熱分解し易い化合物について
は超音波の照射のみでは分解が困難であることが想定さ
れ、同時または順次加熱手段を組合わせることで、効率
的かつ確実に分解できることになると考えられる。
【0019】ここで、超音波照射のみの場合、超音波振
動子の機械的振動が水中に伝播、減衰する過程で、その
振動エネルギーの一部が熱に変換され、試料水の水温が
徐々に上昇する現象が見られても、試料水を一定温度に
制御することは困難であるが、積極的な加熱手段の適用
によりそれを可能にするものと考えられる。
【0020】具体的にリン化合物を例にとって考えてみ
ると、リン化合物の内、超音波照射により酸化分解し易
い化合物(フェニルリン酸ナトリウム等)が分解し、加
熱により熱・加水分解し易い化合物(トリポリリン酸ナ
トリウム等)が分解することで、効率的かつ確実にリン
酸イオンに分解することが可能になるものと考えられ
る。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明は、このように試料水中に
超音波を照射することと試料水を一定温度に加熱するこ
とを組合わせて、試料水中の種々の化合物を酸化分解あ
るいは加水分解することで、各種の水質分析の測定に適
したものとするものであり、その分析種としてはリン化
合物をリン酸イオンに分解させることに最適であるが、
分析種が窒素化合物や有機物であっても同様に好適に適
用できる。
【0022】本発明において、試料水としては水質分析
すべき全てのものを対象としうるものであり、一般的に
は河川水、湖水、下水処理水、工場排水などが挙げられ
る。そして、これらに含まれ、水質分析項目としての標
準的な化合物例としては、次のようなものが挙げられ
る。
【0023】すなわち、リン化合物としては、トリポリ
リン酸ナトリウム、フェニルリン酸ナトリウム等の各種
リン酸塩等であり、窒素化合物としては、硫酸アンモニ
ウム等の各種アンモニウム塩、P−ニトロフェニール等
のフェノール類等であり、また、有機化合物としては、
フミン酸等の各種有機物である。
【0024】また、これらの化合物を含む試料水を前処
理するに際しては、これらの化合物の濃度を調整してお
くことが好ましく、試料水中の好ましい濃度は、リン化
合物の場合では、リン(P)として0.1〜1mg/リ
ットル、窒素化合物の場合では、窒素(N)として1〜
10mg/リットル、有機化合物の場合では、溶解性の
全有機炭素(C)として1〜10mg/リットルであ
り、これらの濃度には試料水を必要に応じて希釈または
濃縮することにより調整可能である。
【0025】本発明では、このような試料水に対して、
基本的には、超音波照射処理と加熱処理を併用すること
を特徴とする。このようにすることによって、種々の化
合物を含む試料水を各種水質分析に好ましく供すること
を可能とする。
【0026】本発明において、超音波照射処理と加熱処
理は、試料水に対して同時であってもよいし、または順
不同で順次行うことでもよい。
【0027】すなわち、試料水を貯留させる1つの反応
容器に、該反応容器に貯留されている試料水に超音波を
付与する超音波照射手段と該反応容器に貯留されている
試料水を加熱する加熱手段を併設させて、超音波照射処
理と加熱処理を試料水に対して同時に行うことができ
る。
【0028】また、超音波照射処理と加熱処理は、超音
波照射手段と加熱手段の双方を併設した反応容器におい
ては、これらの2つの処理を同時ではなく、経時的にず
らして順次行うことができる。この場合、超音波照射処
理を先に行い加熱処理を後にしてもよいし、加熱処理を
先に行い超音波照射処理を後にしてもよい。
【0029】また、超音波照射処理と加熱処理は、反応
容器が複数設けられ、そのうちのいずれかには超音波照
射手段が設けられ、他のものには加熱手段が設けられて
いて、該複数の反応容器のそれぞれに試料水が順次送ら
れるように構成されている水質分析の前処理装置を利用
することもできる。この場合でも、超音波照射処理を先
に行い加熱処理を後にしてもよいし、加熱処理を先に行
い超音波照射処理を後にしてもよい。
【0030】なお、複数の反応容器を使用する場合、反
応容器を3つ以上とすることは、効率、価格及びコンパ
クト化の面からは必ずしも有利とはいえず、通常は反応
容器は2つとするのが好ましいが、特殊の場合、例えば
超音波処理を複数の容器内でそれぞれ周波数を変えて行
うことが有利な試料水に対しては、適用することも可能
である(異なる周波数の超音波の照射は、1つの振動子
からの周波数の変更は技術的に困難であるばかりか、基
本的には振動子によって周波数が一意的に決まってしま
うため)。
【0031】なお、超音波照射処理と加熱処理を同時ま
たは順次行うことは、試料水の種類等に応じて使い分け
ることができる。
【0032】また、試料水が途中で変質する可能性があ
る場合等には、可及的に短時間の内にこれらの処理を続
けて行い、測定に供することが好ましく、このような場
合は超音波照射処理と加熱処理を同時に行うか、または
順次に行う場合でも反応容器を1つとするか、あるいは
2つ以上であっても各処理容器間の試料水の移行は円滑
であることが望ましい。
【0033】また、複数の反応容器を使用する場合にお
いて、反応容器間の試料水の移行は、反応容器が横に併
設されている場合でも、上下に連続して併設されている
場合でも、通常これらを接続した配管で行うことが実用
的には適しているが、アクチュエータ等で駆動する吸
入、注入機等の機械的な手段により行うこともできる。
【0034】なお、反応容器が横に併設されている反応
容器間の試料水の移行を配管で行う場合、特に超音波照
射手段を備えた反応容器から加熱手段を備えた反応容器
に試料水の移行を配管で行う場合には、配管を1つの反
応容器の上部に設け、試料水をオーバーフローさせて移
行させることが好ましい。このようにすることによっ
て、流量センサ等の検知手段を必要とすることなく、例
えば超音波照射手段を備えた反応容器内に貯留できる試
料水の容量(体積)が一定に保持されるので、以下に説
明する好ましい態様における容器中の試料水の深さや貯
留量を自動的に定められるからである。
【0035】本発明において、超音波を照射する際の周
波数や出力については、試料水の種類、量、必要な処理
の程度等によって、適宜選択することができるが、一般
的には、周波数としては100KHZ〜1MHZ、出力と
しては50〜500W程度とすることが好ましい。
【0036】また、照射時間としては、多くの場合、3
0〜60分程度で十分であるが、目的に応じて適宜選択
するのがよい。
【0037】本発明において、加熱処理の温度として
は、超音波の照射条件と同様に試料水の種類、量、必要
な処理の程度等によって、適宜選択することができる
が、一般的には、50〜95℃程度とすることが好まし
い。これは、試料水は超音波照射によって徐々に水温は
上昇することもあるが、50℃に満たないと多くの場合
には化合物を効率的かつ確実に分解するには不十分であ
るし、試料水の量、水温、反応容器の熱伝導性、周囲の
環境等の影響により、試料水を一定温度に制御すること
は困難であるためこの程度まで積極的に加熱、制御する
ことが好ましいものの、一方で、95℃を超えると試料
水が沸騰してしまうことが多いという理由による。
【0038】また、本発明は、水質分析用の前処理が目
的であるため、試料水の前処理及び水質分析に必要な試
料水量は通常数ミリリットル〜数十ミリリットル程度と
少量でよく、より効率的な超音波の照射条件を選択する
ことにより、迅速、確実で、かつコンパクトな前処理を
可能とすることができる。
【0039】このためには、超音波処理を、超音波を照
射する振動子の照射面積を、試料水が注入された反応容
器の該振動子が配置された面の該試料水の占める面積と
を、ほぼ同等とし、かつ試料水単位体積当たりの超音波
音場の平均強度が最大となるような試料水液量で行うこ
とであり、また、超音波照射手段である超音波を照射す
る振動子が反応容器に設けられ、該振動子の照射面積
が、試料水が注入された反応容器の該振動子が配置され
た面の該試料水の占める面積の0.8〜1.2倍とされ
ている水質分析の前処理装置とすることである。
【0040】ここで、超音波を照射する振動子の照射面
積とは、通常振動子は反応容器の底面に配置されること
が多いので反応容器の底面に配置された振動子の面積を
いうが、振動子は上面または側面に配置することもでき
るので、配置された部位はどこであっても振動子の試料
水へ出力できる面積をいい、容器の形状により円形であ
ってもよいし、方形であってもよい。
【0041】また、試料水が注入された反応容器の振動
子が配置された面の該試料水の占める面積とは、振動子
が反応容器の底面に配置された場合には反応容器の注入
された試料水の貯留する底面積をいうが、振動子が反応
容器の上面または側面に配置された場合には、それぞれ
試料水の占める上面積または側面積をいう。
【0042】また、試料水単位体積当たりの超音波音場
の平均強度が最大となるような試料水液量は、次のよう
にして決定することができる。。
【0043】例えば、試料水単位体積当たりの超音波音
場の平均強度が最大となるような条件としては、超音波
照射面積Svと反応容器の振動子が配置された面の該試料
水の占める面積Srとをほぼ同等(Sv≒Sr)とし、かつ反
応容器の水深d(振動子が反応容器の底面または上面に
配置されている場合)または奥行きd(振動子が反応容
器の側面に配置されている場合)をなるべく小さくする
ことである。
【0044】ここで、Sv≒Srとしては、具体的には、振
動子の照射面積が、試料水が注入された反応容器の該振
動子が配置された面の該試料水の占める面積の0.8〜
1.2倍とすることが好ましく、実際には、振動子の取
付け寸法の制約条件等から、Srの方をSvより若干大きく
する方が最大の効率が得られる。
【0045】このようにすることにより、振動子から照
射されるエネルギーは照射面における強度を最大とし
て、その面をそのまま垂直方向に移動し形成する立体
(例えば、照射面が円の場合、その立体は円柱となる)
において、照射面より距離が離れるほど反応媒体である
試料水により減衰していくものの、反応容器中の試料水
水深が超音波振動の波長λの1/2の整数倍のときには
試料水中で定在波が形成され音場強度(音圧)が増大す
る。
【0046】ここで、Sv<Srの場合には照射領域である
立体の外側に非照射の試料水が存在することになり、効
率的な反応を行うには攪拌等によりこの部分の試料水を
照射有効領域まで誘導する必要がある。逆に、Sv>Sr の
場合には照射有効領域である立体内に試料水が存在する
ものの、試料水への照射に寄与しない領域も存在するた
め、振動子における有効照射面積は小さくなり、結果と
して試料水への照射強度は低下してしまう。
【0047】したがって、振動子の照射面積に対して極
力、同等の面積Srを有する反応容器を用いること、そし
てこの反応容器の面積Srと目標の試料水液量より求まる
水深dまたは奥行きd(d≒試料水液量/Sr)が超音波
振動の波長λの1/2の整数倍で、特に低整数倍のと
き、すなわちdがより浅いまたは短いとき、試料水単位
体積当りの超音波音場の平均強度が最大となる超音波照
射条件が満たされることになるからである。
【0048】このような照射条件の選定は、また、試料
水中の化合物の種類が多い、あるいは高濃度である等の
場合にも極めて有効である。
【0049】本発明を、以下、さらに図面を参照しなが
ら説明する。図1は、本発明の水質分析の前処理装置の
一実施形態を示す説明図であり、1つの反応容器に、超
音波照射手段と、加熱手段とが設けられている例であ
る。図1において、前処理装置6は1つの反応容器4か
らなり、反応容器4の底面に超音波を発振する振動子1
(図1で振動子1は、反応容器4に直接取付けられてい
るが図示しない水槽に取付け、水槽内に反応容器を入れ
て水を介して照射してもよい)と側面に加熱手段5を備
えている。
【0050】振動子1は、接続されている発振器2によ
り駆動され、試料水3は注水部7より注入され、反応容
器4に貯留されるようになっている。加熱手段5として
は、加熱コイル、ヒーター等、一定温度に制御可能なも
のであればいずれでもよい。
【0051】このような装置を利用することにより、試
料水に超音波照射と加熱の同時処理を行うことで、試料
水3中の各種化合物、例えばリン化合物を酸化分解かつ
熱・加水分解せしめ、リン酸イオンを生成させ、採水部
9より取出し、分析計8による定量が可能となる。
【0052】図2は、本発明の水質分析の前処理装置の
他の実施形態を示す説明図であり、2つの反応容器を備
え、それぞれの反応容器に、超音波照射手段と、加熱手
段とが独立して設けられている例である。図2におい
て、前処理装置6は、加熱手段5を備えた反応容器4b
と、超音波照射手段である発振器2により駆動される振
動子1を備えた反応容器4aとからなり、試料水3は上
流に位置する加熱手段5を備えた反応容器4bにまず注
入、貯留され、オーバーフローした試料水3は反応容器
4bの上部に設けられている配管10を通って反応容器
4aに移行されるようになっている。なお、図1におい
て示されている注水部7、採水部9及び分析計9は省略
されている(図3においても同じ)。
【0053】このような装置を利用することにより、ま
ず反応容器4bで試料水3中の各種化合物、例えば窒素
化合物を熱、加水分解せしめ、その後、試料水3を反応
容器4aに移行せしめ未分解の窒素化合物を超音波照射
により酸化分解させ、硝酸イオンを生成させることで全
窒素濃度の定量が可能となる。
【0054】図3は、本発明の水質分析の前処理装置の
更に他の実施形態を示す説明図であり、前記実施形態と
同様に2つの反応容器を備え、それぞれの反応容器に、
超音波照射手段と、加熱手段とが独立して設けられてい
る例であり、加熱処理を行う反応容器4bと超音波処理
を行う反応容器4aの直列の配管接続を逆にした例であ
る。
【0055】このような装置は、酸化分解の後に熱、加
水分解を行うことで効率的に分解可能な化合物を含む試
料水の処理に適したものである。
【0056】
【実施例】実施例1 図1に示すような超音波照射と加熱の同時処理を行うこ
とができる装置を使用し、リン化合物として、フェニル
リン酸ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウムを1リ
ットル中にPとして1mg含む濃度の液を試料水として
使用した。
【0057】そして、PFA製反応容器に上記試料水2
0mLを入れ、該反応容器を、70℃に保持した温水槽
中に入れ、温水槽の底面には反応容器の底面積とほぼ同
じ面積の円板からなる振動子を配置し、接続した発振器
からの超音波振動を試料水に照射できるようにした。
【0058】振動子より200KHZ、200Wの照射
条件で試料水に超音波を照射し、リン化合物の分解率を
測定した結果を表1に示すとともに、照射時間と分解率
の関係を図4に示す。
【0059】
【表1】
【0060】比較例1 温水槽の温度を20℃に保持した以外は例1と同じ条件
で超音波照射処理を行った。リン化合物の分解率を測定
した結果を表2に示すとともに、照射時間と分解率の関
係を図5に示す。
【0061】
【表2】
【0062】比較例2 温水槽の温度を95℃に保持したが、超音波照射を行わ
ない条件で処理した場合の、リン化合物の分解率を測定
した結果を表3に示すとともに、照射時間と分解率の関
係を図6に示す。
【0063】
【表3】
【0064】このように、超音波照射と加熱処理を併用
することにより、種々のリン化合物を含む試料水であっ
ても、リン化合物の分解を、迅速、確実かつ効率よく行
うことができることが確認された。
【0065】
【発明の効果】本発明は、試料水に超音波を照射する手
段及び試料水を一定温度に加熱する手段を組み合せ利用
するものであるため、種々のあるいは濃度の高い化合物
を含む試料水であっても、各種水質分析に供することの
出来る分析種にまで、化合物を迅速、確実かつ効率よ
く、酸化分解及び熱、加水分解することが可能となった
ばかりか、コンパクトで高保守性の装置を提供できるも
のであり、その工業的な価値は多大である。
【0066】また、超音波を照射する手段において、試
料水単位体積当りの超音波音場の平均強度を最大となる
よう、超音波振動子の照射面積、反応容器の面積及び試
料水の水深等を調整することにより、さらにコンパクト
で高効率な前処理装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の装置の1実施形態を示す説明図。
【図2】 本発明の装置の他の実施形態を示す説明図。
【図3】 本発明の装置の更に他の実施形態を示す説明
図。
【図4】 本発明の実施例の超音波照射時間と分解率の
関係を示す図表。
【図5】 比較例の超音波照射時間と分解率の関係を示
す図表。
【図6】 比較例の加熱時間と分解率の関係を示す図
表。
【符号の説明】
1:振動子 2:発振器 3:試料水 4、4a、4b:反応容器 5:加熱手段 6:前処理装置 7:注水部 8:分析計 9:採水部 10:配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 1/36 G01N 31/00 N // G01N 31/00 Y 1/28 K Y Fターム(参考) 2G042 AA01 BA05 BA09 CA02 CB03 EA20 HA05 HA06 HA10 2G052 AA06 AB01 AC03 AD26 EB11 FB10 JA09 4D037 AA05 AA11 AB02 AB12 AB15 BA26 BB06 CA11

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水質分析を行うべき試料水に対して、超音
    波照射処理と、加熱処理とを、同時又は順不同で順次行
    うことを特徴とする水質分析の前処理方法。
  2. 【請求項2】前記超音波処理を、周波数100KHZ
    1MHZ、出力50〜500Wで行う請求項1記載の水
    質分析の前処理方法。
  3. 【請求項3】前記超音波処理を、超音波を照射する振動
    子の照射面積と、試料水が注入された反応容器の該振動
    子が配置された面の該試料水の占める面積とを、ほぼ同
    等とし、かつ試料水単位体積当たりの超音波音場の平均
    強度が最大となるような試料水液量で行う請求項1また
    は2記載の水質分析の前処理方法。
  4. 【請求項4】前記加熱処理を、温度50〜95℃で行う
    請求項1〜3のいずれかに記載の水質分析の前処理方
    法。
  5. 【請求項5】前記試料水がリン化合物、窒素化合物及び
    有機物の1つ以上を含むものである請求項1〜4のいず
    れかに記載の水質分析の前処理方法。
  6. 【請求項6】水質分析を行うべき試料水を貯留させる反
    応容器と、該反応容器に貯留される該試料水に対して超
    音波を付与する超音波照射手段と、該反応容器に貯留さ
    れる該試料水を加熱する加熱手段とを備えていることを
    特徴とする水質分析の前処理装置。
  7. 【請求項7】前記反応容器の1つに、前記超音波照射手
    段と、前記加熱手段とが設けられている請求項6に記載
    の水質分析の前処理装置。
  8. 【請求項8】前記反応容器が複数設けられ、そのうちの
    いずれかには前記超音波照射手段が設けられ、他のもの
    には前記加熱手段が設けられていて、該複数の反応容器
    のそれぞれに前記試料水が順次送られるように構成され
    ている請求項6に記載の水質分析の前処理装置。
  9. 【請求項9】前記超音波照射手段である超音波を照射す
    る振動子が前記反応容器に設けられ、該振動子の照射面
    積が、試料水が注入された反応容器の該振動子が配置さ
    れた面の該試料水の占める面積の0.8〜1.2倍とさ
    れている請求項6〜8のいずれかに記載の水質分析の前
    処理装置。
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