JP2003012552A - 閉経前乳癌の術後再発予防剤 - Google Patents

閉経前乳癌の術後再発予防剤

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JP2003012552A
JP2003012552A JP2002122734A JP2002122734A JP2003012552A JP 2003012552 A JP2003012552 A JP 2003012552A JP 2002122734 A JP2002122734 A JP 2002122734A JP 2002122734 A JP2002122734 A JP 2002122734A JP 2003012552 A JP2003012552 A JP 2003012552A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】新規閉経前乳癌術後再発予防剤の提供。 【解決手段】GnRHアゴニストまたはアンタゴニストを含
有してなる閉経前乳癌の術後再発予防剤など。 【効果】本発明のGnRHアゴニストまたはアンタゴニスト
を含有してなる閉経前乳癌の術後再発予防剤により、重
篤な副作用なく閉経前乳癌の術後再発予防が可能とな
る。また、長期徐放型マイクロカプセルを用いることに
より、頻繁に薬物を投与することなく長時間薬物を作用
させることが可能となり、再発予防期間が長く、利便性
が高い閉経前乳癌の術後再発予防が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、GnRHアゴニスト
またはアンタゴニストを含有してなる閉経前乳癌の術後
再発予防剤、GnRHアゴニストまたはアンタゴニストを
含有する徐放性製剤または埋め込み剤を含有してなる閉
経前乳癌の術後再発予防剤などに関する。
【0002】
【従来の技術】性ステロイドホルモンであるエストロゲ
ンは、ホルモン反応性を示す乳癌の発生、進展に関わっ
ていると考えられている。乳癌の治療は、通常、まず手
術による原発巣の切除が行われた後、再発予防のため術
後に補助療法を行う。主な補助療法は放射線療法、内分
泌療法、化学療法である。内分泌療法では、術後の再発
進行乳癌に対して治療効果があるものについて補助療法
としての有効性が検討され、抗エストロゲン剤であるタ
モキシフェン(Tamoxifen citrate:アストラゼネカ社
製)が広く使われるようになっている。タモキシフェン
は、エストロゲン受容体アンタゴニストであり、内因性
エストロゲンと競合することでその薬効を示す。したが
って、卵巣でエストロゲンが合成されている閉経前の場
合、卵巣でエストロゲンが合成されていない閉経後と比
較して内因性エストロゲン濃度が高いため、その薬効は
閉経後の場合より低下する。また、タモキシフェンは組
織によってはアゴニスト作用を示すため、子宮内膜癌な
どの発生を促す懸念が払拭できていない(ジャーナル・
オブ・ナショナル・キャンサー・インスティテュート9
1巻1654−1662頁)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のとおり、閉経前
乳癌術後再発予防剤としては抗エストロゲン剤であるタ
モキシフェンが知られているが、閉経後に比べて内因性
エストロゲンの濃度が高い閉経前ではその効果は減弱す
る。また、子宮内膜癌や他の腫瘍の発生を促すという可
能性が指摘されている。そこで、閉経前乳癌において、
より強い効果を示し、かつ子宮内膜癌等の懸念がない術
後再発予防剤の開発が期待されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような事情に鑑み、
本発明者らは、エストロゲン作用を持たない閉経前乳癌
の術後再発予防剤の開発の目的で、鋭意研究を行った結
果、GnRHアゴニストまたはアンタゴニストを投与する
(好ましくは徐放性製剤として投与する)ことにより連
続的にエストロゲンを低下させることができることを見
出した。また、徐放剤の投与間隔を長くすることによ
り、患者の利便性を向上させることができることを見い
だし、これに基づいてさらに研究した結果、本発明を完
成した。すなわち本発明は、(1)GnRHアゴニストまた
はアンタゴニストを含有してなる閉経前乳癌の術後再発
予防剤、(2)GnRHアゴニストが、式 5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-Y-Leu-Arg-Pro-Z 〔式中、YはDLeu、DAla、DTrp、DSer(tBu)、D2Nalおよ
びDHis(ImBzl)から選ばれる残基を、ZはNH-C2H5または
Gly-NH2をそれぞれ示す〕で表わされるペプチドまたは
その塩である上記(1)記載の剤、(3)GnRHアゴニス
トが、式 5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-DLeu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5 で表されるぺプチドまたはその塩である上記(1)記載
の剤、(4)GnRHアゴニストが、式 5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-DLeu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5 で表されるペプチドの酢酸塩である上記(1)記載の
剤、(5)GnRHアゴニストまたはアンタゴニストを含有
する徐放性製剤または埋め込み剤を含有してなる上記
(1)記載の剤、(6)徐放性製剤が徐放型マイクロカ
プセルである上記(5)記載の剤、(7)徐放型マイク
ロカプセルが2カ月以上にわたってGnRHアゴニストある
いはアンタゴニストを放出する長期徐放型マイクロカプ
セルである上記(6)記載の剤、(8)式 5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-DLeu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5 で表されるぺプチドまたはその塩および生体内分解性ポ
リマーを含有する上記(1)記載の剤、(9)生体内分
解性ポリマーが乳酸−グリコール酸重合体またはポリ乳
酸である上記(8)記載の剤、(10)哺乳動物に対し
てGnRHアゴニストまたはアンタゴニストの有効量を投与
することを特徴とする閉経前乳癌の術後再発予防方法、
(11)閉経前乳癌の術後再発予防剤を製造するための
GnRHアゴニストまたはアンタゴニストの使用、(12)
閉経前乳癌の術後再発予防のためのGnRHアゴニストまた
はアンタゴニストの使用などを提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】GnRHアゴニスト・アンタゴニスト
としては、ホルモン依存性疾患、特に性ホルモン依存性
癌(例、前立腺癌、子宮癌、乳癌、下垂体腫瘍など)、
前立腺肥大症、子宮内膜症、子宮筋腫、思春期早発症、
月経困難症、無月経症、月経前症候群、多嚢胞性卵巣症
候群等の性ホルモン依存性の疾患および避妊(もしく
は、その休薬後のリバウンド効果を利用した場合には、
不妊症)に有効なGnRHアゴニストまたはアンタゴニスト
が挙げられる。さらに性ホルモン非依存性であるがGnRH
感受性である良性または悪性腫瘍などに有効なGnRHアゴ
ニストまたはアンタゴニストも挙げられる。GnRHアゴニ
スト・アンタゴニストの具体例としては、例えば、トリ
ートメントウイズ GnRH アナログ:コントラバー
シス アンド パースペクテイブ(Treatment with GnR
H analogs: Controversies and perspectives)[パル
テノン バブリッシング グループ(株)(The Parthen
on Publishing Group Ltd.)発行1996年]、特表平3−
503165号公報、特開平3−101695号、同7
−97334号および同8−259460号公報などに
記載されているペプチド類が挙げられる。
【0006】GnRHアンタゴニストとしては、例えば、一
般式〔I〕 X-D2Nal-D4ClPhe-D3Pal-Ser-A-B-Leu-C-Pro-DAlaNH2 〔式中、XはN(4H2-furoyl)GlyまたはNAcを、AはNMeTy
r、Tyr、Aph(Atz)、NMeAph(Atz)から選ばれる残基を、
BはDLys(Nic)、DCit、DLys(AzaglyNic)、DLys(AzaglyF
ur)、DhArg(Et2)、DAph(Atz)およびDhCi から選ばれる
残基を、CはLys(Nisp)、ArgまたはhArg(Et2)をそれぞ
れ示す〕で表わされるペプチドまたはその塩、アバレリ
ックスなどが用いられる。また、非ペプチド性のGnRHア
ンタゴニストとしては、WO 95/28405号公報(特開平8-2
95693号)、WO 97/14697号公報(特開平9-169767号)、
WO 97/14682号公報(特開平9-169735号)、WO 96/24597
号公報(特開平9-169768号)、チエノピリジン系化合物
『例、3-(N-Benzyl-N-methylaminomethyl)4,7-dihydro-
5-isobutyryl-7-(2,6-difluorobenzyl)-2-[4-[(1-hydro
xycyclopropyl)carbonylamino]phenyl]-4-oxothieno[2,
3-b]pyridine等』を記載したWO 00/00493号公報、チエ
ノピリミジン系化合物『例、5-(N-benzyl-N-methylamin
omethyl)-1-(2,6-difluorobenzyl)-6-[4-(3-methoxyure
ido)phenyl]-3-phenylthieno[2,3-d]pyrimidine-2,4(1
H,3H)-dione等』を記載したWO 00/56739号、5-[(3,5,5,
8,8-pentamethyl-5,6,7,8-tetrahydro-2-naphthalenyl)
methyl]-N-(2,4,6-trimethoxyphenyl)-2-furamide(ア
メリカ癌学会(AACR)、2002.4.6-10)などがあげられ
る。
【0007】GnRHアゴニストとしては、例えば、一般式
〔II〕 5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-Y-Leu-Arg-Pro-Z 〔式中、YはDLeu、DAla、DTrp、DSer(tBu)、D2Nalおよ
びDHis(ImBzl)から選ばれる残基を、ZはNH-C2H5または
Gly-NH2をそれぞれ示す〕で表わされる生理活性ペプチ
ドまたはその塩などが用いられる。特に、YがDLeuで、
ZがNH-C2H5であるペプチドまたはその塩(即ち、5-oxo
-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-DLeu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5で表
されるペプチドまたはその塩、特にその酢酸塩(酢酸リ
ュープロレリン:武田薬品工業株式会社製)などが好適
である。該GnRHアゴニスト・アンタゴニストとして例示
したペプチドは薬理学的に許容される塩であってもよ
い。このような塩としては、該ペプチドがアミノ基等の
塩基性基を有する場合、無機酸(例、塩酸、硫酸、硝
酸、ホウ酸等)、有機酸(例、炭酸、重炭酸、コハク
酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等)などと
の塩があげられる。該ペプチドがカルボキシル基等の酸
性基を有する場合、無機塩基(例、ナトリウム、カリウ
ム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のア
ルカリ土類金属など)や有機塩基(例、トリエチルアミ
ン等の有機アミン類、アルギニン等の塩基性アミノ酸類
等)などとの塩があげられる。また、該ペプチドは金属
錯体化合物(例、銅錯体、亜鉛錯体等)を形成していて
もよい。これらのペプチドまたはその塩は、前記文献あ
るいは公報記載の方法あるいはこれに準じる方法で製造
することができる。
【0008】GnRHアゴニストとして、上記のリュープロ
レリン(酢酸リュープロレリン)の他に好ましい具体例
としては、例えば、(1)ブセレリン(Buserelin)
【化1】 (米国特許No.4,024,248、ドイツ特許第2
438352号,特開昭和51−41359号)、
(2)トリプトレリン(Triptorelin)
【化2】 (米国特開第4010125号,特開昭52−3107
3号)、(3)ナファレリン(Nafarelin)
【化3】 (米国特開第4234571号,特開昭55−1646
63号,同昭63−264498号,同昭64−257
94号)、(4)ヒストレリン(Histrelin)
【化4】 (5)デスロレリン(Deslorelin)
【化5】 (米国特開第4569967号,同4218439
号)、(6)メテレリン(Meterelin)
【化6】 (PCT WO 91/18016)、(7)ゴナドレリ
ン(Gonadrelin)
【化7】 (ドイツ特許第2213737号)など、またはそれら
の塩などがあげられる。また、本発明に用いられるGnRH
アゴニストから下記のゴセレリンは除かれるが、ゴセレ
リンを上記した他のGnRHアゴニストと併用して用いても
よい。(8)ゴセレリン(Goserelin)
【化8】 (米国特開第4100274号,特開昭52−1361
72号)。
【0009】また、上記のGnRHアゴニストまたはアンタ
ゴニスト(好ましくは、式 5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Ty
r-DLeu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5で表されるぺプチドまたは
その塩(以下、単に「リュープロレリンまたはその塩」
と称する場合がある))、より好ましくは酢酸リュープ
ロレリンは、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル
剤、エリキシル剤、徐放性製剤などとして経口的に、あ
るいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との
無菌性溶液、または懸濁液剤、徐放性製剤(特に徐放型
マイクロカプセル)などの注射剤、埋め込み剤(生体内
分解性ポリマーを基材として成型されたもの、チタンな
どの生体内適合性金属の筒に封入され、一定速度で活性
成分を放出するもの)、生体に投与可能な有機溶媒に生
体内分解性ポリマーおよび薬物を溶解あるいは分散した
注射剤、または溶液、懸濁液剤などの経鼻投与製剤の形
で非経口的に投与できるが、好ましくは徐放性製剤とし
て、特に好ましくは徐放性注射剤として投与される。ま
た、徐放性製剤が徐放型マイクロカプセルである場合、
2カ月以上にわたってGnRHアゴニストあるいはアンタゴ
ニストを放出する長期徐放型マイクロカプセルであるこ
とが好ましい。リュープロレリンまたはその塩、より好
ましくは酢酸リュープロレリンを生理学的に認められる
公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定
剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要
求される単位用量形態で混和することによって上記製剤
を製造することができる。
【0010】錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えばゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性
物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油など
を溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って
処方することができる。注射用の水性液としては、例え
ば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張
液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩
化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助
剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアル
コール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート
80(TM)、HCO−50)などと併用してもよい。
油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いら
れ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアル
コールなどと併用してもよい。また、上記製剤は、例え
ば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム
緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、
塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アル
ブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例え
ば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止
剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適
当なアンプル、バイアルなどの密封容器に充填される。
上記のGnRHアゴニストまたはアンタゴニスト(好ましく
は、リュープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢
酸リュープロレリン)を含有してなる徐放性製剤(特に
徐放型マイクロカプセル)は、自体公知の方法、例え
ば、特開昭60−100516号、特開昭62−201
816号、特開平4−321622号、特開平6−19
2068号、特開平9−132524号、特開平9−2
21417号、特開平11−279054号、WO 9
9/360099号公報などに記載の方法に従って製造
することができる。上記の徐放性製剤の中でも、特に特
開平4−321622号に記載されている「2カ月以上
にわたって生理活性物質をゼロ次放出する長期徐放型マ
イクロカプセル」が好ましく用いられる。
【0011】上記徐放型マイクロカプセルの製造方法の
一例を以下に記載する。まず、水にGnRHアゴニストまた
はアンタゴニスト(好ましくは、リュープロレリンまた
はその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)を約
20%ないし70%(W/W)、好ましくは25〜65%
(W/W)、より好ましくは35〜60%(W/W)溶
解し、これに必要であればゼラチン、あるいは塩基性ア
ミノ酸などの薬物保持物質を溶解もしくは懸濁し、内水
相液とする。これらの内水相液中には、GnRHアゴニスト
またはアンタゴニスト(好ましくは、リュープロレリン
またはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)
の安定性、溶解性を保つためのpH調整剤として、炭
酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、リン酸、塩酸、水酸化
ナトリウム、アルギニン、リジンおよびそれらの塩など
を添加してもよい。また、さらにGnRHアゴニストまたは
アンタゴニスト(好ましくは、リュープロレリンまたは
その塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)の安定
化剤として、アルブミン、ゼラチン、クエン酸、エチレ
ンジアミン四酢酸ナトリウム、デキストリン、亜硫酸水
素ナトリウム、ポリエチレングリコールなどのポリオー
ル化合物などを、あるいは保存剤として、一般に用いら
れるパラオキシ安息香酸エステル類(メチルパラベン、
プロピルパラベンなど)、ベンジルアルコール、クロロ
ブタノール、チメロサールなどを添加してもよい。この
ようにして得られた内水相液を、高分子重合物を含む溶
液(油相)中に加え、ついで乳化操作を行い、W/O型乳
化物をつくる。該乳化操作は、公知の分散法が用いら
れ、たとえば、断続振とう法、プロペラ型攪はん機ある
いはタービン型攪はん機などのミキサーによる方法、コ
ロイドミル法、ホモジナイザー法、超音波照射法などが
挙げられる。ついで、このようにして調製されたW/O
型エマルションをマイクロカプセル化工程に付するが、
該工程としては水中乾燥法あるいは相分離法が適用でき
る。水中乾燥法によりマイクロカプセルを製する場合
は、該W/Oエマルションをさらに第3相目の水相中に
加え、W/O/W型の3相エマルションを形成させた
後、油相中の溶媒を蒸発させ、マイクロカプセルを調製
する。上記外相の水相中に乳化剤を加えてもよく、その
例としては、一般に安定なO/W型エマルションを形成
するものであればいずれでもよいが、たとえば、アニオ
ン界面活性剤(オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナ
トリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、非イオン性
界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エス
テル[Tween 80、Tween 60、アトラスパウダー社]、
ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体[HCO−60、H
CO−50、日光ケミカルズ]など)、あるいはポリビニ
ールピロリドン、ポリビニールアルコール、カルボキシ
メチルセルロース、レシチン、ゼラチンなどが挙げら
れ、これらの中の1種類か、いくつかを組み合わせて使
用してもよい。使用の際の濃度は、約0.01%から2
0%の範囲から適宜選択でき、より好ましくは約0.0
5%から10%の範囲で用いられる。油相の溶媒の蒸発
には、通常用いられる方法が採用される。該方法として
は、プロペラ型攪はん機、あるいはマグネチックスター
ラーなどで攪はんしながら徐々に減圧して行うか、ロー
タリーエバポレーターなどを用いて、真空度を調節しな
がら行う。この場合、高分子重合物の固化がある程度進
行した時点で、溶媒の脱着をより完全にする目的で、W
/O/W型エマルションを徐々に加温して行うと所要時
間を短縮することができる。このようにして得られたマ
イクロカプセルは遠心分離あるいは濾過して分取した
後、マイクロカプセルの表面に付着している遊離のGnRH
アゴニストまたはアンタゴニスト(好ましくは、リュー
プロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープ
ロレリン)、薬物保持物質、乳化剤などを、蒸留水で数
回繰り返し洗浄した後、再び、蒸留水などに分散して凍
結乾燥する。この際に凝集防止剤(たとえば、マンニト
ール、ソルビトール、ラクトース、ブドウ糖など)を加
えてもよい。必要であれば加温し、減圧下でマイクロカ
プセル中の水分および有機溶媒の脱離をより完全に行
う。相分離法によりマイクロカプセルを製する場合は、
該W/Oエマルションに攪はん下、コアセルベーション
剤を徐々に加え、高分子重合物を析出、固化させる。コ
アセルベーション剤としては、高分子重合物の溶剤に混
和する高分子系、鉱物油系または、植物油系の化合物
で、カプセル化用重合体を溶解しないものであればよ
く、例えば、シリコン油、ゴマ油、大豆油、コーン油、
綿実油、ココナツ油、アマニ油、鉱物油、n−ヘキサ
ン、n−ヘプタンなどが挙げられる。これらは2種以上
混合して用いてもよい。このようにして得られたマイク
ロカプセルは、濾過して分取した後、ヘプタン等により
繰り返し洗浄し、コアセルベーション剤を除去する。さ
らに、水中乾燥法と同様の方法で遊離薬物の除去、溶媒
の脱離を行う。洗浄中の粒子同志の凝集を防ぐために、
凝集防止剤を加えてもよい。上記で得られたマイクロカ
プセルは、必要であれば軽く粉砕した後、篩過して、大
きすぎるマイクロカプセル部分を除去する。マイクロカ
プセルの粒子径は、平均径として約0.5〜1000μm
の範囲が挙げられ、より好ましくは約2〜500μmの
範囲にあることが望まれる。懸濁注射剤として使用する
場合には、その分散性、通針性を満足させる範囲であれ
ばよく、たとえば、約2ないし100μmの範囲にある
ことが望ましい。
【0012】上記高分子重合物としては、生体内分解性
ポリマー、例えば、α−ヒドロキシモノカルボン酸類
(例、グリコール酸、乳酸等)、α−ヒドロキシジカル
ボン酸類(例、リンゴ酸)、α−ヒドロキシトリカルボ
ン酸(例、クエン酸)等のα−ヒドロキシカルボン酸類
の1種以上から合成され、遊離のカルボキシル基を有す
る重合体、共重合体、またはこれらの混合物;ポリ(α
−シアノアクリル酸エステル);ポリアミノ酸(例、ポ
リ(γ−ベンジル−L−グルタミン酸)等);無水マレ
イン酸系共重合体(例、スチレン−マレイン酸共重合体
等)などが用いられる。モノマーの結合様式としては、
ランダム、ブロック、グラフトのいずれでもよい。ま
た、上記α−ヒドロキシモノカルボン酸類、α−ヒドロ
キシジカルボン酸類、α−ヒドロキシトリカルボン酸類
が分子内に光学活性中心を有する場合、D−、L−、D
L−体のいずれを用いてもよい。これらの中でも、乳酸
−グリコール酸重合体(以下、ポリ(ラクチド−co−
グリコリド)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)ある
いは乳酸−グリコール酸共重合体と称することもあり、
特に明示しない限り、乳酸、グリコール酸のホモポリマ
ー(重合体)及びコポリマー(共重合体)を総称する。
また乳酸ホモポリマーは乳酸重合体、ポリ乳酸、ポリラ
クチドなどと、またグリコール酸ホモポリマーはグリコ
ール酸重合体、ポリグリコール酸、ポリグリコリドなど
と称される場合がある)、ポリ(α−シアノアクリル酸
エステル)などが好ましい。さらに好ましくは、乳酸−
グリコール酸重合体であり、より好ましくは、末端に遊
離のカルボキシル基を有する乳酸−グリコール酸重合体
である。生体内分解性ポリマーは塩であってもよい。塩
としては、例えば、無機塩基(例、ナトリウム、カリウ
ム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のア
ルカリ土類金属など)や有機塩基(例、トリエチルアミ
ン等の有機アミン類、アルギニン等の塩基性アミノ酸類
等)などとの塩、または遷移金属(例,亜鉛,鉄,銅な
ど)との塩および錯塩などが挙げられる。生体内分解性
ポリマーとして乳酸−グリコール酸重合体を用いる場
合、その組成比(モル%)は約100/0〜約40/6
0が好ましく、約100/0〜約50/50がより好ま
しい。また、2カ月以上にわたって生理活性物質をゼロ
次放出する長期徐放型マイクロカプセルの場合、組成比
が100/0である乳酸ホモポリマーも好ましく用いら
れる。該「乳酸−グリコール酸重合体」の最小繰り返し
単位の一つである乳酸の光学異性体比は、D−体/L−
体(モル/モル%)が約75/25〜約25/75の範
囲のものが好ましい。このD−体/L−体(モル/モル
%)は、特に約60/40〜約30/70の範囲のもの
が汎用される。該「乳酸−グリコール酸重合体」の重量
平均分子量は、通常、約3,000〜約100,00
0、好ましくは約3,000〜約60,000、さらに
好ましくは約3,000〜約50,000のものが用い
られる。また、分散度(重量平均分子量/数平均分子
量)は、通常約1.2〜約4.0が好ましく、さらには
約1.5〜3.5が特に好ましい。該「乳酸−グリコー
ル酸重合体」の遊離のカルボキシル基量は、重合体の単
位質量(グラム)あたり通常約20〜約1000μmol
(マイクロモル)が好ましく、さらには約40〜約10
00μmol(マイクロモル)が特に好ましい。上記の重
量平均分子量、数平均分子量および分散度とは、重量平
均分子量が1,110,000、707,000、45
5,645、354,000、189,000、15
6,055、98,900、66,437、37,20
0、17,100、9,830、5,870、2,50
0、1,303、504の15種類の単分散ポリスチレ
ンを基準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラ
フィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の分子量
および算出した分散度をいう。測定は、高速GPC装置
(東ソー製、HLC−8120GPC、検出方式は示差
屈折率による)、GPCカラムKF804L×2(昭和
電工製)を使用し、移動相としてクロロホルムを用い
る。流速は1ml/minで行う。上記の遊離のカルボ
キシル基量とはラベル化法により求めたもの(以下、
「ラベル化法によるカルボキシル基量」と称する)をい
う。具体的にポリ乳酸の場合について述べると、ポリ乳
酸 Wmgを5N塩酸/アセトニトリル(v/v=4/
96)混液2mlに溶解し、0.01M o−ニトロフ
ェニルヒドラジン塩酸塩(ONPH)溶液(5N塩酸/
アセトニトリル/エタノール=1.02/35/15)
2mlと0.15M 1−エチル−3−(3−ジメチル
アミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩溶液(ピリジ
ン/エタノール=4v/96v)2mlを加えて40℃
で30分反応させた後溶媒を留去する。残滓を水洗(4
回)した後、アセトニトリル2mlで溶解し、0.5m
ol/lのエタノール性水酸化カリウム溶液1mlを加
えて60℃で30分反応させる。反応液を1.5N水酸
化ナトリウム水溶液で希釈してYmlとし、1.5N水
酸化ナトリウム水溶液を対象として544nm吸光度A
(/cm)を測定する。一方、DL−乳酸水溶液を基準
物質として、その遊離カルボキシル基量 Cmol/L
をアルカリ滴定で求め、またONPHラベル化法でDL
−乳酸ヒドラジドとしたときの544nm吸光度を B
(/cm)とするとき、重合体の単位質量(グラム)あ
たりの遊離のカルボキシル基のモル量は以下の数式で求
められる。 [COOH](mol/g)=(AYC)/(WB) また、該「カルボキシル基量」は生体内分解性ポリマー
をトルエン−アセトン−メタノール混合溶媒に溶解し、
フェノールフタレインを指示薬としてこの溶液をアルコ
ール性水酸化カリウム溶液でカルボキシル基を滴定して
求めることもできる(以下、この方法によって求めた値
を「アルカリ滴定法によるカルボキシル基量」と称す
る)が、滴定中にポリエステル主鎖の加水分解反応を競
合する結果、滴定終点が不明確になる可能性があり上記
ラベル化法で定量するのが望ましい。該「乳酸−グリコ
ール酸重合体」は、例えば、乳酸とグリコール酸からの
無触媒脱水重縮合(特開昭61−28521号)あるい
はラクチドとグリコリド等の環状ジエステル化合物から
の触媒を用いた開環重合(Encyclopedic Handbook ofBi
omaterials and Bioengineering Part A: Materials, V
olume 2, Marcel Dekker, Inc. 1995年)で製造できる。
上記の公知の開環重合方法によって得られる重合体は、
得られる重合体の末端に遊離のカルボキシル基を有して
いるとは限らないが、例えば、EP−A−083952
5号に記載の加水分解反応に付すことにより、単位質量
当たりにある程度のカルボキシル基量を有する重合体に
改変することができ、これを用いることもできる。上記
の「末端に遊離のカルボキシル基を有する乳酸−グリコ
ール酸重合体」は公知の製造法(例えば無触媒脱水重縮
合法、特開昭61−28521号公報参照)と同様の方
法またはそれに準じた方法により製造できる。該マイク
ロカプセルを注射剤とするには、マイクロカプセルを分
散剤(例、Tween 80、HCO−60、カルボキシメチ
ルセルロース、アルギン酸ナトリウムなど)、保存剤
(例、メチルパラベン、プロピルパラベンなど)、等張化
剤(例、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトー
ル、ブドウ糖など)などと共に水性懸濁剤とするかゴマ
油、コーン油などの植物油と共に分散して油性懸濁剤と
し、実際に使用できる徐放性注射剤とする。
【0013】乳癌細胞にはホルモン感受性があり、エス
トロゲンにより増殖する乳癌細胞があるため、酢酸リュ
ープロレリンをはじめとするホルモン療法薬剤を閉経前
の術後再発予防剤として用いることは困難であると考え
られていたが、上記の公知の方法またはそれに準じた方
法により製造されたGnRHアゴニストまたはアンタゴニス
ト(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩、より
好ましくは酢酸リュープロレリン)を含有してなる剤
(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩(好まし
くは酢酸リュープロレリン)を含有してなる徐放型マイ
クロカプセルを含有してなる剤)は、予想外にも、閉経
前乳癌の術後再発予防剤または再発抑制剤として用いる
ことができる。上記のGnRHアゴニストまたはアンタゴニ
スト(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩、よ
り好ましくは酢酸リュープロレリン)を含有してなる剤
(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩(好まし
くは酢酸リュープロレリン)を含有してなる徐放型マイ
クロカプセルを含有してなる剤)を含有する閉経前乳癌
の術後再発予防剤または再発抑制剤は、そのまま皮下、
筋肉内、血管など(好ましくは皮下など)に容易に注射
剤および埋め込み剤など(好ましくは注射剤など)とし
て投与することができる。また、その他上記の種々の製
剤に成形して投与することもでき、そのような製剤を製
造する際の原料物質としても使用され得る。また、上記
閉経前乳癌の術後再発予防剤または再発抑制剤の投与量
は、GnRHアゴニストまたはアンタゴニスト(好ましく
は、リュープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢
酸リュープロレリン)の含量、剤形、GnRHアゴニストま
たはアンタゴニスト(好ましくは、リュープロレリンま
たはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)の
持続時間、投与対象動物[例、温血哺乳動物(例、ヒト、
マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマな
ど)]により種々異なるが、該GnRHアゴニストまたはアン
タゴニスト(好ましくは、リュープロレリンまたはその
塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)の閉経前乳
癌の術後再発予防剤または再発抑制剤としての有効量で
あればよい。たとえば、上記温血哺乳動物に1回あたり
投与量として、約0.01mgないし 100mg/kg体重、
好ましくは約0.02mgないし50mg/kg体重、さらに
好ましくは0.05mgないし20mg/kg体重の範囲
から適宜選ぶことができる。また、上記閉経前乳癌の術
後再発予防剤または再発抑制剤を注射剤として投与する
場合、成人の閉経前乳癌の術後患者(体重60kgに対
し)においては、一回につきGnRHアゴニストまたはアン
タゴニスト(好ましくは、リュープロレリンまたはその
塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)を通常約
0.01から50mg程度、好ましくは約0.1から20
mg程度、より好ましくは約0.1から15mg程度を
皮下あるいは筋肉内に投与すればよい。また、上記のGn
RHアゴニストまたはアンタゴニスト(好ましくは、リュ
ープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュー
プロレリン)を含有してなる徐放型マイクロカプセルを
含有する術後再発予防剤または再発抑制剤を注射剤とし
て投与する場合には、徐放型マイクロカプセルの薬物徐
放期間によって、投与量が異なり、例えば、約1ヶ月に
一回の投与を行う場合には、成人の閉経前乳癌の術後患
者(体重60kgに対し)において、一回につきGnRHア
ゴニストまたはアンタゴニスト(好ましくは、リュープ
ロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロ
レリン)を通常約0.01から20mg程度、好ましく
は約0.1から10mg程度、より好ましくは約0.1か
ら5mg程度を皮下あるいは筋肉内に投与すればよく、
例えば、約3ヶ月に一回の投与を行う場合には、成人の
閉経前乳癌の術後患者(体重60kgに対し)におい
て、一回につきGnRHアゴニストまたはアンタゴニスト
(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩、より好
ましくは酢酸リュープロレリン)を通常約0.1から3
0mg程度、好ましくは約0.1から20mg程度、よ
り好ましくは約1から15mg程度を皮下あるいは筋肉
内に投与すればよい。GnRHアゴニストまたはアンタゴニ
スト(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩、よ
り好ましくは酢酸リュープロレリン)を含有してなる剤
(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩(好まし
くは酢酸リュープロレリン)を含有してなる徐放型マイ
クロカプセルを含有してなる剤)の投与期間は、特に限
定されないが、通常約1〜5年、好ましくは約2年であ
る。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した
量を投与することができる。
【0014】また、GnRHアゴニストまたはアンタゴニス
ト(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩、より
好ましくは酢酸リュープロレリン)は、閉経前乳癌の術
後再発予防剤として、以下の薬物(併用薬)と併用して
投与することも可能である。 (1)(ステロイド性または非ステロイド性の)抗アン
ドロゲン剤 フルタミド、カソデックス、ニルタミドなど。 (2)(ステロイド性または非ステロイド性の)抗エス
トロゲン剤 タモキシフェン、SERM剤(例、ラロキシフェン、ア
ルゾキシフェン、ラソフォキシフェン、TSE−42
4、SERM−339、SPC−8490)、ERdown r
egulatorなど。 (3)化学療法剤 イホスファミド(Ifosfamide)、UTF、アドリアマイ
シン(Adriamycin)、ペプロマイシン(Peplomycin)、
シスプラチン(Cisplatin)、シクロフォスファミド(C
yclophosphamide)、5−FU、UFT、メトレキセー
ト(Methotrexate)、マイトマイシンC(Mitomycin
C)、マイトキサントロン(Mitoxantrone)など。 (4)5α−レダクターゼ阻害薬 5α-レダクターゼ2阻害薬 フィナステリド、ドュタステリド 、イゾンステリド、
エプリステライドなど。 5α-レダクターゼ1阻害薬 WO93/23420号に記載の化合物、WO95/1
1254号に記載の化合物、4,7β-ジメチル-4-アザ-5
α-コレスタン-3-オン、3-オキソ-4-アザ-4,7β-ジメチ
ル-16β-(4-クロロフェノキシ)-5α-アンドロスタン、3
-オキソ-4-アザ-4,7β-ジメチル-16β-(ファフキシ)-5
α-アンドロスタンなど。 5α-レダクターゼ1および5α-レダクターゼ2の二
重阻害薬 WO95/07927号に記載の化合物、3-オキソ-4-
アザ-17β-(2,5-トリスルオロメチルフェイル−カルバ
モイル)-5α-アンドロスタンなど。
【0015】(5)α−受容体阻害薬 タムスロシン、プラゾシン、テラゾシン、ドキサゾシ
ン、セロドシン、アルフゾミンなど。 (6)アロマターゼ阻害薬 アナストロゾール、レトロゾール、フィンゾロールな
ど。 (7)17β−ヒドロキシステロイド脱水素酵素阻害薬 (8)副腎系アンドロゲン産生阻害薬 (9)性ホルモン合成阻害薬 アビラテロンなどのリアーゼ(C17,20−lyase)阻
害薬など。 (10)りん酸化酵素阻害薬 (11)チロシンりん酸化酵素阻害薬 (12)ホルモン療法剤 黄体ホルモン剤(例、MPAなど)、アンドロゲン剤、
エストロゲン剤、成長ホルモンおよびその誘導体、成長
ホルモン分泌促進剤など。 (13)受容体型チロシンキナーゼ阻害薬 イレッサ(iressa)、イマチブニ(imatinib)、ODI
−774、セマキサニブ、SU−6668、SU−10
1、GW−2016、CI−1033など。 (14)副作用緩和剤・骨代謝調節薬 ビスホスネート(ビスホスホン酸)、ビスフォスフォネ
ート系化合物(例、アレンドロン酸、エチドロン酸、イ
バンドロン酸、インカドロン酸など)、成長ホルモン分
泌促進剤(MK-0677)、イプリフラボン、オステオプロ
テゲリンなど。
【0016】(15)免疫療法剤 (15−1)前立腺(癌)特異的な免疫療法に用いられる
抗体、ワクチン、免疫賦活 PSMA (Prostate-Specific Membrane Antigen)vaccine
(Northwest Bio)、Dendritic cell therapy (Dendreo
n)、MDX-220 (Medarex)、MAB-PSMA (Biovation)、Anti-
PSM vaccine (M&E Biothech)、Prostate cancer vaccin
e (Corxia)、MAb-PSA (AltaRex)、MAb-PSMA (Northwest
biotherapeutics)、MAb-PSCA(UroGenesys)など。 (15−2)その他の抗体 131I-chTNT-1/B (Peregrine Pharm)、MAB-bispecific-H
ER2(Medarex)、Cetuximab、Bevacizumaba (Genentec
h)、SK-1 MAb (Hygeia)、PE-40-MAb (BR96, BMS)、J-59
1、Anti-EGFR MAbなど。 (15−3)その他のワクチンあるいは免疫賦活薬 MAK cells+bispecific antibody (IDM SA)、IL-2+サ
イトカイン (CEL-SCI)、Cancer vaccine (Onyvax)、Hea
t-killed M.vaccae (SR Pharma)、GBC-590 (SafeScienc
e)、Cancer vaccine (ImmunoTherapy)、ADJUVAX-100-A
(Jenner)、IPS-21 (Biostar)、Mycobacterium Cell wal
l Complex、GPI-0100 (Galenica Pharm)、Globo-H-KLM
vaccine、BPH therapy (Zonagen)、Anti-PSM vaccine
(M&E Biothech)、Prostate cancer vaccine (Corxia)な
ど。 (16)EGFRあるいはEGFRの抗体やワクチン cetuximab (IMC C225、ImClone Systems')、EGFRワクチ
ンなど。 (17)T細胞分化調節薬 6,7−ジメトキシ−4−(3,4−ジメトキシフェニ
ル)−2−(1,2,4−トリアゾール−1−イルメチ
ル)キノリン−3−カルボン酸エチルエステル(特開平
7−118266号公報)など。 (18)HER2抗体
【0017】(19)サイトカイン/ケモカイン阻害薬 (19−1)タンパク質製剤 (i)TNF阻害薬 エタナーセプト、インフリキシマブ、D2E7、CDP-571、P
ASSTNF-α、可溶性TNF受容体、TNF-α結合蛋白、抗TNF-
α抗体など。 (ii)インターロイキン−1阻害薬 アナキンラ(インターロイキン-1受容体拮抗薬)、可溶性
インターロイキン-1受容体など。 (iii)インターロイキン−6阻害薬 MRA (抗インターロイキン-6受容体抗体)、抗インターロ
イキン-6抗体、Sant-7(インターロイキン-6受容体拮抗
薬)など。 (iv)インターロイキン−10薬 インターロイキン-10など。 (v)インターロイキン−12阻害薬 抗インターロイキン-12抗体など。 (vi)インターフェロン−αおよび−γ阻害、およびT
NF−α阻害を併せ持つ薬物 AGT−1 (19−2)非タンパク質製剤 (i)CXCR4拮抗薬 (ii)CCR7拮抗薬 (iii)MAPキナーゼ阻害薬 PD-98059など。 (iv)遺伝子調節薬 SP-100030、NF-κ, NF-κB, IKK-1, IKK-2, AP-1などシ
グナル伝達に関係する分子の阻害薬など。 (v)サイトカイン産生抑制薬 T-614、SR-31747、ソナチモドなど。 (vi)TNF−α変換酵素阻害薬 (vii)インターロイキン-1β変換酵素阻害薬 HMR3480/VX-740など。 (viiii)インターロイキン−6拮抗薬 SANT-7など。 (ix)インターロイキン−8阻害薬 IL-8拮抗薬、CXCR1 & CXCR2拮抗薬など。 (x)ケモカイン拮抗薬 MCP-1拮抗薬など。 (xi)インターロイキン−2受容体拮抗薬 デニロイキン ディフチトックスなど。 (xii)Therapeutic vaccines TNF-αワクチンなど。 (xiii)遺伝子治療薬 インターロイキン-4, インターロイキン-10, 可溶性イ
ンターロイキン-1受容体, 可溶性TNF-α受容体, HSV-tk
など抗炎症作用を有する遺伝子の発現を亢進させること
を目的とした遺伝子治療薬。 (xiv)アンチセンス化合物 ISIS-104838など。
【0018】(20)エンドセリン受容体アンタゴニス
ト アトラセンタン、YM−598、TA−0201など。 (21)アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト (22)シクロオキシゲナーゼ抑制薬(COX−I選択
的阻害薬、COX−II選択的阻害薬など) サリチル酸誘導体(例、セレコキシブ、ロフェコキシ
ブ、アスピリン)、MK-663、バルデコキシブ、SC-5766
6、チラコキシブ、S-2474、ジクロフェナック、インド
メタシン、ロキソプロフェンなど。 (23)ボンベシン受容体アンタゴニスト、抗ボンベシ
ン受容体抗体、リガンド−トキシン複合体など。 (24)カルシトニン受容体アンタゴニスト、抗カルシ
トニン受容体抗体、リガンド−トキシン複合体など。 (25)ソマトスタチン受容体アンタゴニスト、抗ソマ
トスタチン受容体抗体、リガンド−トキシン複合体な
ど。 (26)セロトニン受容体アンタゴニスト、抗セロトニ
ン受容体抗体、リガンド−トキシン複合体など。 (27)GHRH受容体アンタゴニスト、抗GHRH受
容体抗体、リガンド−トキシン複合体など。 (28)アンドロゲン受容体発現増強薬 IL−6など。 (29)アンドロゲン受容体発現低下薬 (30)サイトカイン作用調節薬 (31)細胞増殖因子作用阻害薬 (32)その他 血管新生阻害薬、中枢性薬剤〔例、抗不安薬、睡眠導入
剤、精神分裂病治療剤、パーキンソン氏病治療剤、抗痴
呆剤(例、脳循環改善剤、脳代謝賦活剤など)〕、降圧
剤、糖尿病治療剤、抗高脂血症剤、栄養剤(例、ビタミ
ン剤など)、消化吸収促進剤、胃腸薬など。
【0019】GnRHアゴニストまたはGnRHアンタ
ゴニスト(以下、GnRHアゴニスト/GnRHアンタ
ゴニスト)と併用薬との併用に際しては、GnRHアゴ
ニスト/GnRHアンタゴニストと併用薬との投与時期
は限定されず、GnRHアゴニスト/GnRHアンタゴ
ニストまたはその製剤と併用薬またはその製剤とを、投
与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおい
て投与してもよい。併用薬の投与量は、臨床上用いられ
ている投与量に準ずればよく、投与対象、投与ルート、
疾患、組み合わせ等により適宜選択することができる。
GnRHアゴニスト/GnRHアンタゴニストと併用薬
との投与形態は、特に限定されず、投与時に、GnRH
アゴニストと併用薬とが組み合わされていればよい。こ
のような投与形態としては、例えば、(1)GnRHア
ゴニスト/GnRHアンタゴニストと併用薬とを同時に
製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)GnRH
アゴニスト/GnRHアンタゴニストと併用薬とを別々
に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同
時投与、(3)GnRHアゴニストと併用薬とを別々に
製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間
差をおいての投与、(4)GnRHアゴニスト/GnR
Hアンタゴニストと併用薬とを別々に製剤化して得られ
る2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)G
nRHアゴニスト/GnRHアンタゴニストと併用薬と
を別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経
路での時間差をおいての投与(例えば、GnRHアゴニ
スト/GnRHアンタゴニスト;併用薬の順序での投
与、あるいは逆の順序での投与)などが挙げられる。併
用薬としては、タモキシフェンなどの抗エストロゲン剤
が好ましく、例えば、GnRHアゴニストを2年間、タ
モキシフェンを5年間併用するのが好ましい。
【0020】GnRHアゴニストまたはGnRHアンタゴニスト
と種々の併用薬とを組み合わせることにより、(1)G
nRHアゴニスト/GnRHアンタゴニストまたは併用
薬を単独で投与する場合に比べて、その投与量を軽減す
ることができ、副作用を軽減することができる、(2)
患者の症状(軽症、重症など)に応じて、GnRHアゴ
ニスト/GnRHアンタゴニストと併用する薬物を選択
することができる、(3)GnRHアゴニスト/GnR
Hアンタゴニストと作用機序が異なる併用薬を選択する
ことにより、治療期間を長く設定することができる、
(4)GnRHアゴニスト/GnRHアンタゴニストと
作用機序が異なる併用薬を選択することにより、治療効
果の持続を図ることができる、(5)GnRHアゴニス
ト/GnRHアンタゴニストと併用薬とを併用すること
により、相乗効果が得られる、(6)GnRHアゴニス
トと併用薬とを併用することにより、Add−Back
療法が可能となる、(7)GnRHアゴニストと併用薬
とを併用することにより、MAB(Maximum androgen bl
ockade)療法あるいはすべてのエストロゲンの作用を抑
制するMaximumestrogen blockade療法が可能となる、な
どの優れた効果を得ることができる。
【0021】Add−Back療法とは、GnRHアゴ
ニストの投与により血中の性ホルモン(テストステロ
ン、エストロゲン、エストラジオールなど)を低下させ
て、これらホルモンに依存して増悪化する疾患の予防・
治療を行う場合に、これらホルモンの低下、すなわち薬
効に起因する副作用(例えば、骨塩量の低下)を軽減させ
るために、これらホルモンまたはホルモンと同等と見な
される薬剤(以下、Add−Back剤と略記する場合
がある)を補助的に投与してやる治療方法をいう。主と
してAdd−Back剤は経口投与により、投与するの
が好ましい。MAB療法とは、すべてのアンドロゲン作
用をブロックする方法で、前立腺癌の治療法として行わ
れる。すなわち、精巣由来のアンドロゲンの作用をブロ
ックするための外科的去勢あるいはGnRHアゴニスト
と、副腎由来のアンドロゲンの作用をブロックするため
のアンチアンドロゲンを併用する治療法をいう。乳癌細
胞の中には、アンドロゲンにより増殖する細胞があり、
アンドロゲン作用あるいはアンドロゲン合成の抑制は治
療法になりうる。Maximum estrogen blockade療法と
は、MAB療法と同様の考え方で、すべてのエストロゲン
作用をブロックする方法である。すなわち、卵巣由来の
エストロゲンの作用をブロックするための外科的卵巣摘
出あるいはGnRHアゴニストと、副腎由来のアンドロ
ゲンから生合成されるエストロゲンの作用をブロックす
るためのエストロゲン受容体アンタゴニストを併用する
治療法をいう。
【0022】さらに、GnRHアゴニストとGnRHア
ンタゴニストを用いた間歇療法も可能である。例えば、
GnRHアゴニストまたはそれを含有する製剤(好まし
くは徐放性製剤)を投与した後、GnRHアゴニストの
薬効期間内にGnRHアンタゴニストまたはそれを含有
する製剤(好ましくは徐放性製剤)を投与する。GnR
HアゴニストとGnRHアンタゴニストまたはそれぞれ
を含有する製剤の投与間隔は、好ましくは、1日以上、
GnRHアゴニストの薬効期間内から適宜選ぶことがで
きる。GnRHアゴニストを含有する徐放性製剤を用い
る場合、GnRHアゴニストの薬効期間は7日以上、1
2ヶ月以内、好ましくは10日以上、6ヶ月以内、より
好ましくは14日以上、4ヶ月以内であり、これらの薬
効期間内から適宜選ぶことができる。必要とされる治療
期間中には、先行して投与されるGnRHアゴニストま
たはそれを含有する製剤(好ましくは徐放性製剤)の薬
効期間で規定される投与間隔で連続投与されてもよい。
GnRHアンタゴニストまたはそれを含有する製剤(好
ましくは徐放性製剤)は治療期間中の最後の投薬として
使用されるが、休薬期間の規定を確実にするために連続
投与されてもよい。該徐放性製剤の場合、その薬効期間
はEIA、RIAなどの自体公知の方法またはそれに準
じた方法により測定することができる。GnRHアゴニ
ストまたはそれを含有する製剤(好ましくは徐放性製
剤)の投与後にGnRHアンタゴニストまたはそれを含
有する製剤(好ましくは徐放性製剤)を投与すると、G
nRHアンタゴニストの薬効期間後の性ホルモン(例、
テストステロン、LH、FSH、エストロジェンなど)
濃度の回復が速やかであるため、間歇療法における明確
な休薬期間規定を可能たらしめる。また、GnRHアン
タゴニストまたはそれを含有する製剤(好ましくは徐放
性製剤)を用いることにより、生体内性ホルモン(例、
テストステロン、LH、FSH、エストロジェンなど)
濃度が速やかに回復するため、性ホルモン依存性の疾患
をホルモン依存性に保つことが可能である。性ホルモン
濃度が回復した後、GnRHアゴニストまたはそれを含
有する製剤および/またはGnRHアンタゴニストまた
はそれを含有する製剤を投与することができる。
【0023】上記閉経前乳癌の術後再発予防剤を投与す
る際には、原発巣が病理組織学的に乳癌であることが証
明されていること、転移巣・再発巣が乳癌であることに
ついて病理組織学的、又は臨床的に客観的証拠があり、
転移巣・再発巣は計測又は評価が可能であり、かつ計測
又は評価は投与開始前の4週間以内に実施されること、
皮膚・皮下、リンパ節等の軟部組織では、病理組織診も
しくは細胞診所見を有すること、骨、肺等の病巣では、
各種画像診断(単純X線、CT、MRI、超音波等)による客
観的所見を有すること、原発巣又は転移巣・再発巣のEs
trogen Receptor(ER)又はProgesterone Receptor(Pg
R)が陽性であることなどが要件として挙げられる。た
だし、ER、PgR所見は必須の要件ではない。また、投与
開始の1年以内に月経が存在していることも必要である
が、子宮摘出例では、投与開始の1年以内に卵巣機能が
保持(具体的には、E2≧30pg/mL、FSH≦50pg/mL又は20m
U/mLの両者を満たすこと等)されていることを確認でき
ればよい。これら要件は原則であり、学術の進展により
変更はありうる。これら閉経前乳癌の術後再発予防剤の
投与を開始する時期は、上記の要件を満たす限り、閉経
前乳癌患者の乳癌病巣部位の摘出などに関する手術後で
あれば、特に制限されない。また、該手術前から継続的
に投与し、術後も連続して投与することも可能である。
【0024】本明細書中に記載されるポリペプチドにお
けるアミノ酸、ペプチド、保護基等に関し、略号で表示
する場合、IUPAC−IUB Commission on Bioche
mical Nomenclatureによる略号あるいは当該分野におけ
る慣用略号に基づくものとし、また、アミノ酸に関し光
学異性体がありうる場合は、特に明示しなければL体を
示すものとする。略号の例を以下に示す。 Abu :アミノ酪酸 Aibu :2−アミノ酪酸 Ala :アラニン Arg :アルギニン Gly :グリシン His :ヒスチジン Ile :イソロイシン Leu :ロイシン Met :メチオニン Nle :ノルロイシン Nval :ノルバリン Phe :フェニルアラニン Phg :フェニルグリシン Pro :プロリン (Pyr)Glu :ピログルタミン酸 Ser :セリン Thr :スレオニン Trp :トリプトファン Tyr :チロシン Val :バリン D2Nal :D-3-(2-ナフチル)アラニン残基 DSer(tBu):O-tert-ブチル−D−セリン DHis(ImBzl) :Nim-ベンジル−D−ヒスチジン PAM :フェニルアセタミドメチル Boc :t−ブチルオキシカルボニル Fmoc :9−フルオレニルメチルオキシカルボニル Cl−Z :2−クロロ−ベンジルオキシカルボニル Br−Z :2−ブロモーベンジルオキシカルボニル Bzl :ベンジル Cl2−Bzl :2,6−ジクロロベンジル Tos :p−トルエンスルホニル HONb :N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキ シイミド HOBt :1−ヒドロキシベンゾトリアゾール HOOBt :3−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,2, 3−ベンゾトリアジン MeBzl :4−メチルベンジル Bom :ベンジルオキシメチル Bum :t−ブトキシメチル Trt :トリチル DNP :ジニトロフェニル DCC :N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
【0025】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体
的に説明する。
【0026】実施例1 閉経前乳癌術後患者に、Lupron Depot(登録商標)1
1.25mg(TAP Pharmaceutical Products Inc.社
製)を3ヶ月間隔で計8回皮下投与する。初回投与から
24ヶ月後に、閉経前乳癌術後患者の局所の再発、対側
性の乳房における転移および再発を組織学的(細胞学
的)所見またはX線写真により確認する。また、画像検
査法、組織学的(細胞学的)所見などの通常の方法によ
り、遠隔転移を確認する。Lupron Depot(登録商標)1
1.25mg(TAP Pharmaceutical Products Inc.社
製)、初回投与から24ヶ月経過後の閉経前乳癌術後患
者には乳癌再発・転移などはほとんど見られず、Lupron
Depot(登録商標)11.25mg(TAP Pharmaceutica
l Products Inc.社製)は閉経前乳癌術後再発予防効果
を有する。
【0027】実施例2 閉経前乳癌術後患者に、リュープリン(登録商標)注射
用3.75(武田薬品工業株式会社製)を4週間隔で計
6回皮下投与する。投与開始時点から投与24週後まで
の期間の血中エストラジオール濃度を測定する。一方、
閉経前乳癌術後患者に、実施例1のLupron Depot(登録
商標)11.25mg(TAP Pharmaceutical Products I
nc.社製)を12週間隔で計2回皮下投与する。投与開
始時点から投与24週後までの期間の血中エストラジオ
ール濃度を測定する。リュープリン(登録商標)注射用
3.75(武田薬品工業株式会社製)を投与した患者と
Lupron Depot(登録商標)11.25mg(TAP Pharmac
eutical Products Inc.社製)を投与した患者の、血中
エストラジオール濃度変化を比較すると、両者は同様に
閉経レベルまで血中エストラジオール濃度を抑制するた
め、リュープリン(登録商標)注射用3.75(武田薬
品工業株式会社製)もLupron Depot(登録商標)11.
25mg(TAP Pharmaceutical Products Inc.社製)と
同様に閉経前乳癌術後再発予防効果を有する。
【0028】実施例3 〔対象患者〕 年齢:49歳。 病状:2001年6月頃に乳癌と診断され(腫瘍径1.
6cm)、同年7月4日に乳房温存療法施行した。術
中、術後検査の結果、病理診断名は粘液癌であり、リン
パ節に転移は認められず又ホルモンレセプターについて
は、エストロゲンレセプターが陽性であることが確認さ
れた。患者には同年7月18日に本治験の説明を実施
し、同年8月10日に同意を取得後、同日より実施例2
のリュープリン(登録商標)注射用3.75(武田薬品
工業株式会社製)の投与を開始した。その後4週ごとに
投与し、投与開始24週後時点(2002年1月25
日)の診察及び肺X線、肝CT及び骨シンチグラムなど
の各種画像診断から乳癌の再発は認められないことが確
認された。なお、現在も投与を継続中で2年間の投与を
予定している。
【0029】実施例4 〔対象患者〕 年齢:42歳 病状:2001年7月頃に乳癌と診断され(腫瘍径2.
5cm)、同年8月23日に胸筋温存乳房切除術(Au
chincloss法)を施行した。術中、術後検査の
結果、病理診断名は充実腺管癌であり、リンパ節に転移
は認められず又ホルモンレセプターについては、エスト
ロゲンレセプター、プロゲステロンレセプターともに陽
性であることが確認された。患者には同年9月13日に
本治験の説明を実施、同年9月14日に同意を取得後、
同年10月3日より実施例1のLupron Depo
t(登録商標)11.25mg(TAP Pharma
ceutical Products Inc.社製)
の投与を開始した。その後、12週ごとに投与し、投与
開始24週後時点(2002年3月20日)の診察及び
肺X線、肝エコーなどの各種画像診断から乳癌の再発は
認められないことが確認されている。なお、現在も投与
を継続中で2年間の投与を予定している。
【0030】
【発明の効果】本発明のGnRHアゴニストまたはアンタゴ
ニストを含有してなる閉経前乳癌の術後再発予防剤によ
り、重篤な副作用なく閉経前乳癌の術後再発予防が可能
となる。また、長期徐放型マイクロカプセルを用いるこ
とにより、頻繁に薬物を投与することなく長時間薬物を
作用させることが可能となり、再発予防期間が長く、利
便性が高い閉経前乳癌の術後再発予防が可能になる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C076 AA64 BB32 CC27 CC30 EE24A FF32 4C084 AA02 AA03 BA01 BA09 BA17 BA23 BA44 DB10 DB70 MA01 MA38 MA67 NA12 ZB262

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】GnRHアゴニストまたはアンタゴニストを含
    有してなる閉経前乳癌の術後再発予防剤。
  2. 【請求項2】GnRHアゴニストが、式 5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-Y-Leu-Arg-Pro-Z 〔式中、YはDLeu、DAla、DTrp、DSer(tBu)、D2Nalおよ
    びDHis(ImBzl)から選ばれる残基を、ZはNH-C2H5または
    Gly-NH2をそれぞれ示す〕で表わされるペプチドまたは
    その塩である請求項1記載の剤。
  3. 【請求項3】GnRHアゴニストが、式 5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-DLeu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5 で表されるぺプチドまたはその塩である請求項1記載の
    剤。
  4. 【請求項4】GnRHアゴニストが、式 5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-DLeu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5 で表されるペプチドの酢酸塩である請求項1記載の剤。
  5. 【請求項5】GnRHアゴニストまたはアンタゴニストを含
    有する徐放性製剤または埋め込み剤を含有してなる請求
    項1記載の剤。
  6. 【請求項6】徐放性製剤が徐放型マイクロカプセルであ
    る請求項5記載の剤。
  7. 【請求項7】徐放型マイクロカプセルが2カ月以上にわ
    たってGnRHアゴニストあるいはアンタゴニストを放出す
    る長期徐放型マイクロカプセルである請求項6記載の
    剤。
  8. 【請求項8】式 5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-DLeu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5 で表されるぺプチドまたはその塩および生体内分解性ポ
    リマーを含有する請求項1記載の剤。
  9. 【請求項9】生体内分解性ポリマーが乳酸−グリコール
    酸重合体またはポリ乳酸である請求項8記載の剤。
  10. 【請求項10】哺乳動物に対してGnRHアゴニストまたは
    アンタゴニストの有効量を投与することを特徴とする閉
    経前乳癌の術後再発予防方法。
  11. 【請求項11】閉経前乳癌の術後再発予防剤を製造する
    ためのGnRHアゴニストまたはアンタゴニストの使用。
  12. 【請求項12】閉経前乳癌の術後再発予防のためのGnRH
    アゴニストまたはアンタゴニストの使用。
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