JP2003001321A - 塑性加工装置及び塑性加工方法 - Google Patents

塑性加工装置及び塑性加工方法

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JP2003001321A
JP2003001321A JP2001184745A JP2001184745A JP2003001321A JP 2003001321 A JP2003001321 A JP 2003001321A JP 2001184745 A JP2001184745 A JP 2001184745A JP 2001184745 A JP2001184745 A JP 2001184745A JP 2003001321 A JP2003001321 A JP 2003001321A
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Naoki Niwa
直毅 丹羽
Kazuo Ichinose
和夫 一之瀬
Hidefusa Takahara
秀房 高原
Nobuo Fujikura
信夫 藤倉
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Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21CMANUFACTURE OF METAL SHEETS, WIRE, RODS, TUBES OR PROFILES, OTHERWISE THAN BY ROLLING; AUXILIARY OPERATIONS USED IN CONNECTION WITH METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL
    • B21C23/00Extruding metal; Impact extrusion
    • B21C23/001Extruding metal; Impact extrusion to improve the material properties, e.g. lateral extrusion

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  • Mechanical Engineering (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の材料の塑性加工方法であるECAP
法では、被加工材のダイへの圧入により1回しか剪断力
が加えられず、歪が蓄積した等方性結晶を得るために
は、材料の方向を変化させて塑性加工を繰り返して行う
必要があり、操作が煩雑になる。 【解決手段】 筒状コンテナの流路34に被加工材35を強
制流通させて塑性加工を行う際に、前記流路に複数の折
曲部37、38を形成し、前記被加工材に対して該折曲部で
複数回剪断力を加える。折曲部が複数個所存在するた
め、従来のECAP法と異なり、被加工材の単一回の圧
入により剪断力を複数回加えられるため、歪み生成効率
が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塑性加工により金
属の集合組織制御や結晶粒微細化など所定の組織制御の
目的に合わせた所定の歪み状態の材料として得るための
塑性加工装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の塑性加工は、被加工材に圧延、押
出及び引抜等の強い加工を施こすことにより行われ、該
塑性加工を行うと、いわゆる集合組織の形成は避けられ
ず、加工された材料は異方性を有する材料特性を示す。
該異方性を積極的に利用することもあるが、該異方性が
望ましくない場合は熱処理などにより前記異方性を除く
処理が行われる。従って前記塑性加工状態では等方性材
料は得られない。
【0003】他方、最近強加工を施して結晶の微細化を
達成する研究開発が活発に行われており、例えば次の文
献にレビューとして開示されている(例えばF.J.Humphr
eys,P.B.Prangnell and R.Priestner, "Fine-Grained A
lloys by ThermomechanicalProcessing", Proceedings
of the Fourth International Conference on Recrysta
llization and Related Phenomena, edited by T.Sakai
and H.G. Suzuki,1999, p69)。
【0004】前記文献に開示された強加工法のうち、例
えば直角などのある角度を有する曲がった流路(ダイキ
ャビティ)を利用した高剪断歪み付加プロセスが注目さ
れている。このプロセスはECAP(equal-channel-an
gular-processing)法又はECAE(equal-channel-an
gular-extrusion)法と呼ばれ、直角又は傾斜したダイ
キャビティに凝固材を供給して押出し−引抜きを行うこ
とで角度部において高い剪断歪みを付与するように被加
工材を塑性加工する方法であり、強加工により結晶粒の
微細化が達成できることが立証された。しかるに塑性加
工された被加工材には一方向に偏った粒子の微細化やリ
ボン化が起こっているため、等方微細化結晶を得るため
には、傾斜角90度で被加工材の方向を少なくとも4回
(90度ずつ回転)変化させて工程を繰り返す必要がある
ことが前記文献のP301にZ.Horitaらにより開示されてい
る。
【0005】このECAP法を図6及び図7に基づいて
説明する。図6はECAPプロセスに使用可能なダイの
斜視図、図7は図6の要部の拡大縦断面図である。図6
に示すように、直方体のダイ1には、上面の開口部2か
ら下降し、右方向に直角に折れ曲がった後に、ダイ1の
側面に達して開口するダイキャビティ(流路)3が穿設
されている。このダイ1を加熱しながら、プランジャー
(図示略)を使用して直方体状の被加工材4を前記開口
部2からダイキャビティ3中に圧入すると、該被加工材
はダイキャビティ3中の直角部分に相当する折曲部7で
剪断力を受けて対応するダイキャビティ3の形状に応じ
て図7に示すように変形する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この際に被加工材4の
結晶粒には圧縮場で滑り帯が生じて旧結晶粒を剪断破壊
して、一定方向に偏った粒子の微細化が起こる。そして
図7の状態にある被加工材4に更に力を加えあるいは引
張応力を加えると、ダイ1の側面の開口部5から塑性加
工された被加工材6として取り出される。この方法によ
り、実際に1μmオーダーの塑性加工された高剪断歪み
を有するアルミニウム合金やマグネシウム合金が実験室
規模で得られており、有効な方法であるといえる。しか
し塑性加工された被加工材には前述した通り一定方向に
偏った粒子の微細化が起こっているため、等方微細化結
晶を得るためには、被加工材の方向(位相)を変化させ
て再度ダイ1を通して塑性加工を行う必要がある。
【0007】このように前記ECAP法は圧入される材
料のフローの方向が2方向に限定され、繰り返し工程に
より高剪断歪みを被加工材に与えられるという利点はあ
るものの、等方微細化結晶を得るには工程が複雑すぎて
生産性が向上しないという欠点がある。又マグネシウム
のように成形性が悪い材料では、加熱状態で塑性加工す
る必要があるが、前述の工程を繰り返すと、材料の酸化
等による劣化が起こってしまう。
【0008】更に被加工材に付与される歪みは材料全体
に均一に分布していることが望ましいが、その歪みの程
度は高ければ良い訳ではなく、被加工材の用途に応じた
歪みが付与できることが望ましい。前述のECAP法で
は材料がダイキャビティ3中の直角部分で剪断力を受け
て対応するダイキャビティ3の形状に変化するため、強
い応力を受けて高歪みが発生し、比較的小さい歪みを有
する材料を塑性加工で得ることは困難である。このよう
に従来は低歪み状態から高歪み状態までの任意の歪み量
を有する被加工材を得ること及び比較的簡単な操作で高
歪み状態の塑性加工した被加工材を得ることが実質的に
不可能であった。従って本発明は、より簡便な手法で被
加工材を塑性加工して、所定の性能、特に低歪み状態か
ら高歪み状態までの任意の歪み量を有する被加工材、あ
るいは高歪みや等方微細化結晶を有する被加工材を得る
ことができる塑性加工装置及び塑性加工方法を提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、筒状コンテナ
の流路に被加工材を強制流通させて塑性加工を行う装置
において、前記流路に複数の折曲部を形成し、前記被加
工材に対して該折曲部で複数回剪断力を加えることを特
徴とする塑性加工装置、及び複数の折曲部を有する筒状
コンテナの流路が形成された塑性加工装置に被加工材を
強制流通させて塑性加工を行い、前記複数の折曲部ごと
に被加工材に対して複数回剪断力を加えて該被加工材に
歪みを生じさせることを特徴とする塑性加工方法であ
り、本発明では筒状コンテナ流路の内面に複数のバリア
体を設置しても良い。
【0010】以下本発明を詳細に説明する。本発明の塑
性加工の対象となる被加工材は、アルミニウム、マグネ
シウム、鉄及びチタン等の純金属、及びそれらの合金又
は金属間化合物、セラミックス、樹脂及びこれらの複合
体であるハイブリッド材等を含む。この被加工材のサイ
ズは特に限定されず、必要な用途に応じて適宜設定すれ
ば良い。本発明では、このような材料から成る加工対象
材(被加工材)を、複数の折曲部を形成した筒状コンテ
ナの流路を有する好ましくは加熱された塑性加工装置の
流路にプランジャー等を使用して圧入する。この塑性加
工装置のサイズも特に限定されないが、被加工材のサイ
ズに応じて好適なサイズが変動する。例えば直径が15cm
で高さが30cmの円柱状の被加工材の塑性加工を行う場合
の塑性加工装置(後述するダイの部分)のサイズは、縦
50〜200cm、横縦50〜200cm及び高さ縦50〜200cmの範囲
で選択できる。
【0011】この装置に圧入された被加工材はまず図6
及び7に示した従来のECAP法の場合と同様にして、
第1の折曲部で第1の剪断力を受けて対応する流路の形
状に応じて変形して第1の歪みが発生して被加工材内に
蓄積される。このようにして第1の剪断変形を受けた被
加工材は前記プランジャー等により更に流路内に深く圧
入されて、第2の折曲部に達する。この第2の折曲部で
も、同様にして第2の剪断力を受けて対応する流路の形
状に応じて変形して第2の歪みが発生して第1及び第2
の歪みが合成されて被加工材内に蓄積される。3以上の
折曲部を有する装置の場合は、更に被加工材に第3の折
曲部で第3の歪みが発生し、これが最後の折曲部まで行
われて被加工材に複数の剪断力による歪みが生じる。こ
れら複数の折曲部は折曲部間の流路が隣接する流路と互
いに90°の角度になるように形成することが望ましく。
90°を超える角度の場合には、被加工材が鋭角に流路を
変更しなけれがならず抵抗が大きくなって円滑に被加工
材の圧入が起こり難いため避けることが好ましくいが、
90°未満の場合は生じる剪断力が小さくなるが被加工材
の圧入には支障が生じない。又90°又は90°よりやや小
さい角度に設定する場合には、折曲部の外側を湾曲させ
て生じる抵抗を低減させることが望ましい。
【0012】折曲部の数が多いほど、被加工材の単一の
圧入操作で多数回の剪断力が加わり、生じる歪み量を増
加できるが、流路内の抵抗が増加するため、被加工材の
装置内への圧入が困難になる。従って折曲部の数は必要
な歪み量と被加工材の圧入を考慮して適宜設定する。折
曲部の角度を90°に設定する場合には、折曲部の数を偶
数にすると被加工材の導入部と導出部を同一方向に向け
ることができ、スペースの節約上好ましく、更に力を加
える方向が同一直線上になり、直角方向に成る場合と比
べて装置の安定性が向上する。角度が90°の2個所の隣
接する折曲部を形成する場合には、折曲方向を同一にす
る形態と逆にする形態がある。
【0013】折曲方向を同一にすると流路の断面形状は
「U」字状になり、逆にすると「L」を2個逆向きに組
み合わせた形状になる。折曲方向を同一にすると被加工
材には前記2個所の隣接する折曲部で同一方向からの剪
断力を受けるのに対し、逆にすると逆方向からの剪断力
を受けて歪みがほぼ均一に分散している被加工材が得ら
れる。このように折曲部の数、角度及び向きを適宜設定
することにより、得られる被加工材に所望の歪みを生じ
させることができる。従来のECAP法では被加工材の
単一回の圧入により剪断力が1回のみ加えられていた
が、本発明では折曲部が複数存在するため、剪断力を所
望回加えることができる。従って従来のように、等方微
細化結晶を得るために、傾斜角90度で被加工材の方向を
少なくとも4回(90度ずつ回転)変化させて工程を繰り
返すような必要がなくなり、4個所の折曲部を有する装
置では1回の圧入操作で、2個所の折曲部を有する装置
でも1度圧入操作を行って取り出した被加工材の方向を
代えて圧入するという2回の操作で、従来の4回工程を
繰り返す場合とほぼ同様の歪みを有する被加工材が得ら
れる。
【0014】このように本発明により、流路内に複数の
折曲部を設定することにより、所望の歪みを有する被加
工材が得られるが、前記流路内に複数のバリア体を非対
称に形成すると、更に容易かつ確実に所望歪みを有する
被加工材が得られる。各バリア体は筒状コンテナの流路
の一部を閉塞するように設置され、筒状コンテナの流路
に圧入された被加工材は、前記バリア体に接触して流路
が変更され、設置されたバリア体及び筒状コンテナ内壁
で構成された流路を通過させる工程で生ずる多重応力場
で、前記被加工材の塑性加工が行われて、前述の折曲部
での歪み形成に加えて、該被加工材中に歪みが生成す
る。
【0015】そして前記バリア体は複数個形成されてい
るため、前記被加工材は各バリア体との接触ごとにこの
ような多重応力系を形成し、かつ塑性加工が行われる。
従ってバリア体の数と同じ回数の塑性加工を受けること
になり、バリア体の数の増加に伴ってより均一でより微
細な構造が得られることになる。更に全てのバリア体が
筒状コンテナ断面内で非対称に配置されているため、各
バリア体により塑性加工中の被加工材が異なった方向に
変形し、加工中の被加工材を筒状コンテナの流路内に再
圧入させることなく、被加工材に印加される応力の方向
を変えることができる。ここで筒状コンテナ断面内の
「断面」とは筒状コンテナ内壁に対して垂直方向の面を
いう。本発明のバリア体は、前述の通り筒状コンテナの
流路の一部を閉塞するような形状を有すれば良く、特に
限定されないが、断面が円弧状、矩形、多角形状又はそ
れらの組合せ等とし、その表面形状が多面体形状や、球
形及び楕円形等の曲面形状であることが好ましい。
【0016】このバリア体は筒状コンテナの内面に接す
るように設置されるが、該バリア体は筒状コンテナと一
体成形しても、又は筒状コンテナに穿設した孔に嵌合し
ても、あるいは平面又は曲面状の前記筒状コンテナ内面
に接着剤により接着するようにしても良い。又このバリ
ア体は被加工材と接触し流れの方向を変える働きをする
から、該バリア体との接触により被加工材中に空洞が生
じたり、被加工材に欠陥を生じさせたりすることがない
ように配慮することが望ましく、例えばバリア体のコー
ナーに相当する部分に僅かな湾曲を付して加工対象の被
加工材の損傷を防止する。更に該バリア体は加工対象の
被加工材が円滑に接触することが好ましく、所謂デッド
スペースが生じると処理効率が低下する。各バリア体は
被加工材と反応せずかつ被加工材に対する耐性を有すれ
ば、どのような材料であっても良い。
【0017】なお本発明で使用する被加工材は加工前に
は直方体状又は円柱状等の通常の形状を有していること
が望ましく、加工後にも当初の形状と同じ又はそれに近
い取扱いを行いやすい形状とすることが好ましい。本発
明のように筒状流路を有する装置で塑性加工を行うと装
置からは前記筒状流路と同じ断面形状の塑性加工済みの
被加工材として得られ、例えば筒状流路が円筒状流路で
あると円筒形の被加工材として、又四角形の筒状流路で
あると直方体形の被加工材として得られる。これら以外
の形状として被加工材を得たい場合には、装置端部に、
又は装置と連続して所定の型を設置して形状の調節を行
う。しかし単なる押出加工では、強加工により変形した
被加工材が元の形状やサイズに戻りにくくなる。より円
滑に元の又はそれに近い形状に戻すためには、被加工材
の前部側より後部側に大きな応力を加えれば良く、これ
を達成するためには、例えば本発明装置に精密油圧装置
を2個設置し、両油圧装置をリンクしながら駆動して応
力を調節すれば良い。このような構成にすると、加工さ
れる被加工材と筒状コンテナ間にデッドスペースが生じ
にくくなる。
【0018】多数のバリア体を設置しておくと多数の塑
性加工を受けることになり、単一回の押出加工で、従来
のECAP法等で、加工対象の被加工材の圧入−単一塑
性加工処理−加工された被加工材の取り出し−被加工材
の再圧入の繰り返し処理を行うのとほぼ同等の処理効果
が得られる。従って筒状コンテナの流路への被加工材の
単一回の圧入により所定特性の塑性加工された被加工材
を得ることも可能になる。しかし単一回の圧入による塑
性加工処理では所定の特性が得られない場合は、従来の
ように装置から取り出し、再度装置の筒状流路に圧入し
ても良いが、塑性加工装置を往復処理が可能なような構
造とし、バリア体が設置されたエリアから離脱したが依
然として前記流路内にある被加工材を再度バリア体が設
置されたエリアに圧力を加えながら戻すことにより、複
数回の塑性加工処理を受けさせても良く、この場合には
更に塑性加工つまり高歪み化が進行し、所定の特性の被
加工材が得られる。
【0019】筒状コンテナの流路中にバリア体が設置さ
れているという特殊性から、往復押出加工を行うために
は、加工対象の被加工材以外にダミー材料を使用する。
このダミー材料自体は加工を意図しないため、被加工材
以外の材料でも良く、適度な硬度を有し、筒状流路内で
変形した加工対象の被加工材をバリア体設置エリア以外
に押し出し、かつ前記流路の内面に応じた形状に変形さ
せる役割を有する。しかしこのダミー材料自身もバリア
体と接触して塑性加工を受けるため、加工対象の被加工
材と同じ材料又は被加工材として使用可能な材料とする
と、該被加工材と同等又はやや劣った塑性加工条件で加
工されて、ある程度の歪みと等方微細化結晶を有する塑
性加工済材料が得られ、用途によっては本来の加工対象
の被加工材と同じようにして高歪み及び等方微細化結晶
を有する塑性加工された被加工材として使用することも
できる。そして、高歪みを有する被加工材が得られるだ
けでなく、バリア体の数や形状(流路を閉塞する度合
い)、及び往復回数等を調節することにより、所定の歪
み度を有し更に該歪みがほぼ均一に分散している被加工
材が得られる。
【0020】次にバリア体を設定する場合の被加工材の
塑性加工の理論解析及びモデル実験に関し、図1のダイ
アグラムを用いて説明する。図1は流路断面が直方体で
あり流路の上面内壁にバリア体を、下面内壁にバリア
体を設置した筒状コンテナに図の左側から被加工材を
圧入して右側から塑性加工を施した被加工材を取り出す
モデルを示している。なお図1中、両端の影の部分及び
両者を結ぶ折れ線部分(中に矢印を含む)は被加工材の
微小部分の移動状況を示す。又バリア体は断面が図示の
通り三角形で図面と垂直方向に延びる三角柱の形状を有
し、三角形の斜面の部分が前記流路の上下の内壁のいず
れかに接触している。
【0021】このモデルを使用して、金属が受ける歪み
を上界法により説明する。この上界法では次のように仮
定する。 筒状コンテナは剛体とする。 金属はミゼスの応力−歪み速度法則に従う(金属が
弾性変形をせず、一定の降伏応力の値を維持し、加工硬
化もしない剛完全塑性体である)。 金属の変形は運動学的可容である(2つの領域が隣
合う境界面では、この境界面に対する両領域の垂直速度
成分は互いに等しい)。 筒状コンテナと金属の接触面は速度不連続面であ
る。 筒状コンテナ内は金属で満たされている。 筒状コンテナと金属間、及び金属とバリア体間の界
面の摩擦損失を考慮しない。
【0022】更に図1では前述の通り筒状コンテナの流
路を4角が全て直角な直方体とし、従って金属は筒状コ
ンテナの流路内で平面歪み変形を被る。図1において、
三角領域BCDは辺BCと辺CDを等辺とする二等辺三
角形であるバリア体を示し、同様に三角領域B′C′
D′はバリア体を示す。両バリア体は同一形状及
び寸法である。バリア体に対するバリア体の点D′
は∠D′CI′=α/2となる軸方向位置に配置されて
いる。向かい合う筒状コンテナの内壁間の間隔をt0と
し、バリア体の頂点Cとそれに向かい合うコンテナ内
壁までの垂直距離をt1とする。
【0023】剪断境界(剪断を受ける境界面)を用い
て、金属の剛体移動(変形せず並進のみ)と変形を次の
領域に分割して算出する(図1参照)。 A.領域I・・・剛体移動(未変形領域)。 B.剪断境界Γ1・・・領域Iからの金属がこの面上で
剪断変形を受け、領域IIでの収斂流れに変わる境界面を
表す。Γ1に沿う速度不連続により剪断歪みを被る。 C.変形領域II・・・扇形の頂点Oに向かってΓ2に至
るまで収斂流れによる歪みを被る領域を表す。 D.剪断境界Γ2・・・領域IIで収斂流れを経た金属が
この面上で剪断変形を受け、領域III の剛体移動に変わ
る境界面を表す。Γ2に沿う速度不連続により金属は剪
断歪みを被る。 E.領域III ・・・剛体移動を行う(コンテナ内壁に平
行な並進)。 F.剪断境界Γ3・・・領域III の金属がこの面上で剪
断変形を受け、領域IVでの剛体移動に変わる境界面を表
す。Γ3に沿う速度不連続により金属は剪断歪みを被
る。
【0024】G.領域IV・・・剛体移動を行う(バリア
体の面CDとバリア体の面D′C′により構成され
た平行領域で金属は並進する)。 H.剪断境界Γ3′・・・領域IVの剛体移動から領域II
I ′の剛体移動に変わる境界面を示す。Γ3′に沿う速
度不連続により金属は剪断歪みを被る。 I.領域III ′・・・剛体移動を行う(コンテナ内壁に
平行な並進)。 J.剪断境界Γ2′・・・領域III の剛体移動から、領
域II′の拡散流れに変わる境界面を表す。Γ2′に沿う
速度不連続により、剪断歪みを被る。 K.変形領域II′・・・扇形の頂点O′を通る半径線上
で、剪断境界Γ2′から発した金属がΓ1′に至るまで
の拡散流れ領域を示す。この領域で拡散流れによる歪み
を被る。 L.剪断境界Γ1′・・・領域II′で拡散流れを経た金
属が剪断変形を受け、領域I′の剛体移動に変わる境界
面を表す。Γ1′に沿う速度不連続により、剪断歪みを
被る。 M.領域I′・・・剛体移動を行う(変形終了域)。
【0025】次に各領域又は境界面で金属が被る歪みに
ついて説明する。a.変形領域II及びII′の歪み 変形領域IIの収斂流れによる平均相当歪みεIIの値は下
式の通りになる。 εII=(2/31/2)×ln(t0/t1) ×Ε(31/2/2,α)/sin α (1) ここでΕ(31/2/2,α)/sin αは楕円積分の値で
ある。変形領域II′の拡散流れによる平均相当歪み
εII′は領域IIの平均相当歪みに等しく、次式となる。 εII=εII′ (2)
【0026】b.円弧状剪断境界面Γ1、Γ2、Γ2′
及びΓ1′での平均剪断歪み 円弧状剪断境界面Γ1、Γ2、Γ2′及びΓ1′での平
均剪断歪みγ1 、γ2、γ2′及びγ1′は次のように求
められる。剪断境界面Γ1での相当剪断歪みγ1は式
(3)で与えられる。 γ1=(1/31/2)×〔tan(α/2)〕 (3) 剪断境界面Γ2、Γ2′及びΓ1′での平均剪断歪みも
γ1に等しく式(4)で与えられる。 γ2=γ2′=γ1′=γ1 (4)c.平面剪断境界面Γ3及びΓ3′での歪み 剪断境界面Γ3での剪断歪みγ3は式(5)で与えられ
る。 γ3=(2/31/2)×〔tan(α/2)〕 (5) 剪断境界面Γ3′での歪みγ3′もγ3に等しく式(6)で
与えられる。 γ3′=γ3 (6)
【0027】d.領域Iから領域I′までに金属が被る
歪み 式(1)から(6)を組合せてそれぞれ特徴ある領域と剪断
境界面での歪みを算出できる。i)平均相当歪みの値を
εcdとすると、領域IIでの歪みの式(1)と領域II′での
歪みの式(2)との和からεcdが下式のように算出でき
る。 εcd=(4/31/2)×ln(t0/t1) ×Ε(31/2/2,α)/sin α (7) ii) 円弧状剪断境界面Γ1、Γ2、Γ2′及びΓ1′の
歪みの和をεspとすると、式(3)と式(4)の和からεsp
が下式のように算出できる。 εsp=(4/31/2)×〔tan(α/2)〕 (8) iii)平面剪断境界面Γ3及びΓ3′での歪みの和をεp
とすると、式(5)と式(6)によりεpは下式のように算
出できる。 εp=(4/31/2)×〔tan(α/2)〕 (9)
【0028】次にこれらの値から歪みの総和εsum を計
算すると式(10)のようになる。 εsum =(4/31/2)×ln(t0/t1) ×Ε(31/2/2,α)/sin α+(8/ 31/2)×〔tan(α/2)〕 (10) そしてバリア体及びの傾斜角α=20°と仮定する
と、楕円積分(Ε(31/ 2/2,α)/sin α)の値は
1.005 となる。そしてln(t0/t1) =ln(1/0.75)=0.29
である。従ってεsum =0.67+0.81=1.48となり、この
ように図1に示した筒状コンテナを使用して、金属を塑
性加工する場合の上界法モデルにより算出される金属中
に蓄積される歪みが得られる。
【0029】断面減少率が99%である強加工での歪みは
約4.6 に相当する。従って図1のモデルの塑性加工を4
回繰り返すこと、例えばバリア体の数を4個とし、プラ
ンジャ(図示略)を1回往復運動させることであるいは
バリア体の数を8個とすることで4.6 を超える歪みを有
する金属を製造できる。更に前述の計算式の傾斜角αを
0に近づけると歪みが小さくなる。そしてこの傾斜角は
連続的に変化させられるため、この傾斜角を調節するこ
とにより任意の歪みを有する金属を提供できる。又この
モデルでは、バリア体を上下のみに設置したが直方体の
4辺に設置したり、筒状コンテナを円筒状としてその内
壁にバリア体を放射状に設置するなどして歪みの分散を
より以上に均一化することもできる。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明の被加工材の塑性加工装置
及び方法の実施の態様を、添付図面に基づいてより詳細
に説明する。図2a及び2bは、本発明装置の一例によ
り加工対象の被加工材を塑性加工する要領を例示する一
連の縦断面図である。図2a及び2bに示すように、直
方体のダイ31には、上面の開口部32から下降して下端近
傍に達した後に、右方向に直角に折れ曲がった後に更に
上向きに折り曲げられた流路34が穿設されている。図2
aに示す加工開始時には、流路34内に充填された被加工
材35の基端側はダイ31表面近くに位置している。このダ
イ31を加熱しながら、プランジャー又は金型36を使用し
て前記被加工材35を前記開口部32から流路34中に圧入す
ると、該被加工材35、例えば被加工材中の点35Aは流路
34中の直角部分に相当する湾曲した第1折曲部37で剪断
力を受けて対応する流路34の形状に応じて水平方向に変
形して歪みが発生し、前記被加工材中の点35Aは図2a
の一点鎖線で示した点に達する。
【0031】前記金型36を更に押し下げると、被加工材
中の点35Aは、湾曲した第2折曲部38に達し、ここで剪
断力を受けて対応する流路34の形状に応じて垂直方向に
変形して歪みが発生し、前記被加工材中の点35Aは図2
bの点に達する。このように図2a及び2bの例では、
被加工材35中の点35Aが金型36による単一回の圧入によ
り、2箇所の折曲部37及び38で剪断力を受けて歪みを発
生させる。従来のECAP法とは異なって複数の折曲部
を有するため、1回の圧入で所望回の剪断力発生及びこ
れに伴う歪み発生を生じさせることができ、被加工材を
装置から取り出さずに互いに交差した方向にせん断歪み
を生成させることができる。
【0032】図3a及び3bは、被加工材を塑性加工す
る装置の他の例を示す一連の縦断面図である。本例の装
置は図2a及び2bの装置の改良に係るもので、図2a
及び2bと同一部材には同一符号を付して説明を省略す
る。図3a及び3bの装置では、縦長のダイ31′の流路
は異なった方向に延びる縦長の2本の長流路34Bと両長
流路34Bを連結する短流路34Cから成り、両長流路34B
の内面には、非対称になるように複数のバリア体39が設
置されている。このダイ31′を加熱しながら、被加工材
35′を前記開口部32から流路34中に圧入すると、該被加
工材35′は後述の通りバリア体39により剪断力を受けて
歪みを生成する。次いで被加工材35′例えば被加工材中
の点35′Aは流路34Bと流路34C間の直角部分に相当す
る湾曲した第1折曲部37で剪断力を受けて対応する流路3
4Cの形状に応じて水平方向に変形して歪みが発生し、
前記被加工材中の点35′Aは図3bの一点鎖線で示した
点に達する。
【0033】前記金型36を更に押し下げると、被加工材
中の点35′Aは、湾曲した第2折曲部38に達し、ここで
剪断力を受けて対応する流路34の形状に応じて垂直方向
に変形して歪みが発生し、同一方向に変形して前記被加
工材中の点35′Aは図3bの点に達する。このように図
3a及び3bの例では、被加工材35中の点35Aが金型36
による単一回の圧入により、2箇所の折曲部37及び38で
の剪断による歪み発生に、バリア体39による歪みが加わ
り、生成する歪み量が増大するとともに、バリア体39の
配置により所望の歪みを生成できるようになる。
【0034】次に図4aから4cに基づいてバリア体に
よる歪み生成の原理を説明する。図4aから4cに示す
被加工材の塑性加工装置は、角筒状の流路11を有する筒
状コンテナ12から成り、前記流路11の中央部の上側には
やや離間して、前記筒状コンテナ12と一体成形された三
角柱状の2個のバリア体13が隆起して配置されている。
又前記流路11の中央部の下側にはやや離間して、前記筒
状コンテナ12と一体成形された三角柱状の2個のバリア
体13が、上側のバリア体13とは互い違いに隆起するよう
に配置され、図4aの例では角筒状流路11内に計4個の
バリア体13が設置されている。前記バリア体13は図示の
例では三角柱状としているが、半円柱状等でも良く、な
るべく角部が存在しないゆるやかな湾曲面で形成され、
加工対象の被加工材に損傷を与えないようにすることが
望ましい。
【0035】角筒状流路11内部の左側には、図4aに示
すように、第1プランジャ20aが、角筒状流路11の内面
に沿って摺動自在に設置され、該プランジャ20aの押圧
面20bが前記4個のバリア体13が設置された流路内に予
め圧入して存在するダミー材料21に接するように位置し
ている。次いで角筒状流路11内に右側の開口部からマグ
ネシウム合金等の角柱状の加工対象の被加工材22を供給
し、更に押圧面23bを有する第2プランジャ23aにより
被加工材22を圧入して加熱下又は室温下で押出加工を行
う。
【0036】第2プランジャ23aによる圧入で被加工材
22は、まず図4bに示す下側内壁面の右側のバリア体13
に接触する。該バリア体13は角筒状流路11内で下側に偏
位しているため、加工対象の被加工材22は角筒状流路11
内の上半分を移動する。被加工材22は続いて上側内壁面
の右側のバリア体13に接触して、角筒状流路11内の下半
分を移動する。更に加工対象の被加工材22は残りの2個
のバリア体13に接触して同様の加工を受け、最終的に被
加工材22はバリア体13及び筒状コンテナ12の流路11内面
に対応した形状に変形する(図4b)。
【0037】図4bの状態から第1プランジャ20aを図
面の右方向に移動させると、ダミー材料21が変形した被
加工材22を右方向に押圧しながら移動する。この際に変
形した被加工材22は再度各バリア体13に接触して変形し
歪みが蓄積される。バリア体13との接触が終了した被加
工材22は更に右方向に移動して流路11の内壁に接触して
成形されて当初の形状に戻る(図4c)。この際にダミ
ー材料21は図4cに示すような形状に戻る。なお、この
際に第2プランジャ23bと第1プランジャ20aの相互の
移動速度のバランスをとってコンテナと被加工材との間
に空隙が生じないようにすることが望ましい。このよう
に加工対象の被加工材22はバリア体13による変形から復
元する。図4cの状態で既に所定の特性を有する被加工
材となっている場合には角筒状流路11の右端の開口部か
ら取り出し原料として使用すれば良い。
【0038】しかしこの単一の押出による塑性加工で
は、加工対象の被加工材22は十分な特性を付与されない
場合には、再度第2プランジャ23aを左方向に移動させ
図4bに示すように被加工材22に変形を付与し、更に第
1プランジャ20aを右方向に移動させる。これにより加
工対象の被加工材22は再度バリア体13による変形を受
け、更に特性が向上する。図4bと図4cの工程を必要
回数繰り返すと、加工対象の被加工材22に十分な特性が
生じ、角筒状流路11から取り出して適宜の用途に使用で
きる。この繰り返し工程を実施する場合でも、被加工材
22を筒状コンテナ12外に取り出す必要はなく、酸化しや
すい被加工材の場合でも該材料の特性を劣化させること
なく、塑性加工を実行できる。
【0039】なおこれまでの説明でも分かるように、図
示の塑性加工方法では、被加工材22だけでなく、ダミー
材料21もバリア体13による塑性加工を受けて、所定特性
又はそれに近い特性を有する材料となる。従って図示の
通り説明したダミー材料として所定の被加工材を使用す
ると本来の被加工材以外にも同等又はそれに近い被加工
材を得ることができる。又図示の例ではダミー材料を1
個使用する例を示したが、被加工材の両側に2個のダミ
ー材料を位置させても良い。
【0040】又本例では、角筒状流路内の上側及び下側
に交互に位置する4個のバリア体による塑性加工を例示
したが、バリア体の数及び配置はこれに限定されず、例
えば3個のバリア体がそれぞれが120 °ずつ離れた放射
状配置としたり、4個のバリア体がそれぞれが90°ずつ
離れた放射状配置としたりすることができ、これらの場
合には被加工材がより良好に変形して所定の被加工材を
製造できる。
【0041】
【実施例】次に本発明の実施例及び比較例につき説明す
るが、該実施例及び比較例は本発明を限定するものでは
ない。
【0042】実施例1 試験用被加工材として、展伸用マグネシウムであるMg
−Al−Zn合金AZ31(Al3%、Zn1%)を用
い、有限要素シミュレーションには鍛造専用の2次元解
析ソフト(GRADEForge2D)を使用した。解
析では平面歪み要素を用い、上型と下型は剛体壁として
定義して実験をモデル化した。解析工程では、上型速度
を20mm/秒とし、この速度で20mmを100ステップに分け
て圧入した。摩擦にはクーロン摩擦を用いた。湾曲部の
直径を0.5mm、摩擦係数μ=0として、図2a及び2b
に示した折曲部を2個所有するダイを使用し、塑性加工
を行った。得られた被加工材に幅方法に格子点を付与
し、各格子点における歪み量を測定したところ図5のグ
ラフに示した結果が得られた。
【0043】比較例1 折曲部が1個所である図6及び図7のダイを使用したこ
と以外は実施例1と同一条件で有限要素シミュレーショ
ン法で被加工材の生成を行った。得られた被加工材に幅
方法に格子点を付与し、各格子点における歪み量を測定
したところ図5のグラフに示した結果が得られた。図5
のグラフでは、両端部で歪みが大きくなっているが、こ
れは被加工材と流路内壁との摩擦によるものと考えられ
る。両端部以外(格子点2から16)では、実施例1の歪
み量が比較例1の歪み量の約2倍になっており、折曲部
を2個有するダイを使用することにより折曲部を1個の
み有するダイの2倍の歪み量が得られることが分かっ
た。実際の使用に際しては両端を切断して歪みがほぼ均
一が部分のみを使用すれば良い。
【0044】
【発明の効果】本発明は、筒状コンテナの流路に被加工
材を強制流通させて塑性加工を行う装置において、前記
流路に複数の折曲部を形成し、前記被加工材に対して該
折曲部で複数回剪断力を加えることを特徴とする塑性加
工装置(請求項1)である。このように本発明では、折
曲部が複数個所存在し、被加工材の単一回の圧入により
剪断力が1回のみ加えられていた従来のECAP法と異
なり、被加工材の単一回の圧入により剪断力を複数回加
えられるため、歪み生成効率が向上する。複数回の圧入
を行うと更に大きい歪みを生成できる。
【0045】又筒状コンテナ流路の内面に複数のバリア
体を設置しておくと(請求項2)、該バリア体によって
も歪みが発生し、前記折曲部による歪みと合わせて、歪
み発生量が増大する。特にバリア体の数や配置等を工夫
すると、被加工材に所望の歪み分布を生じさせることが
できる。従ってこの態様では低歪み状態から高歪み状態
までの任意の歪み量を有する被加工材を得ることが可能
になる。このバリア体を使用する塑性加工装置では、多
重応力場が生じ、前記被加工材に多重歪みを創出できる
(請求項3)。従って従来のECAP法のように1工程
ごとに外部に取り出し、被加工材の位相を変えて再圧入
するといった煩雑な工程を必要とすることなく、多重歪
みを創出できる。前記バリア体は筒状コンテナ流路の内
面に沿って移動可能としても良く(請求項4)、これに
よりバリア体を交換することなく、歪み量や歪みの方向
性を調節できる。
【0046】又本発明装置では、筒状コンテナの流路内
の被加工材の両側に1対のプランジャを設置し、該プラ
ンジャと前記筒状コンテナの相対移動により筒状コンテ
ナ断面内で対称な被加工材フローを形成することができ
る(請求項5)。この相対移動とは、プランジャ単独又
は筒状コンテナ単独あるいは両者の移動を含み、加工対
象の被加工材がバリア体に接触すればどの部材を移動さ
せても良い。前記折曲部が90°又は90°に近い角度を有
する場合は、折曲部の外側に湾曲部を形成し(請求項
6)、被加工材が折曲部を通過する際の抵抗を低減する
ことが望ましい。
【0047】本発明方法は、複数の折曲部を有する筒状
コンテナの流路が形成された塑性加工装置に被加工材を
強制流通させて塑性加工を行い、前記複数の折曲部ごと
に被加工材に対して複数回剪断力を加えて該被加工材に
歪みを生じさせることを特徴とする塑性加工方法(請求
項7)であり、本発明方法によると、被加工材の単一回
の圧入により剪断力を複数回加えられるため、歪み生成
効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】上界法モデルを説明するための図。
【図2】図2a及び2bは、本発明装置の一例により加
工対象の被加工材を塑性加工する要領を例示する一連の
縦断面図。
【図3】図3a及び3bは、本発明装置の他の例により
加工対象の被加工材を塑性加工する要領を例示する一連
の縦断面図。
【図4】図4aから4cはバリア体による歪み生成の原
理を説明する図。
【図5】実施例における歪み分布を示す図。
【図6】従来のECAPプロセスに使用可能なダイの斜
視図。
【図7】図6の装置の部分縦断面図。
【符号の説明】
11 流路 12 筒状コンテナ 13 バリア体 20a 第1プランジャ 21 ダミー材料 22 被加工材 23a 第2プランジャ 31、31′ ダイ 34 流路 35 被加工材 37、38 折曲部 39 バリア体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 612 C22F 1/00 612 624 624 685 685Z 694 694A (71)出願人 500453577 一之瀬 和夫 東京都新宿区西新宿1−24−2 工学院大 学工学部機械システム工学科内 (72)発明者 丹羽 直毅 東京都新宿区西新宿1−24−2 工学院大 学工学部機械システム工学科内 (72)発明者 一之瀬 和夫 東京都新宿区西新宿1−24−2 工学院大 学工学部機械システム工学科内 (72)発明者 高原 秀房 埼玉県上尾市原市1333−2 三井金属鉱業 株式会社総合研究所内 (72)発明者 藤倉 信夫 千葉県千葉市若葉区若松町407−9 Fターム(参考) 4E029 AA06 AA07 HD04 RA01 RA07

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 筒状コンテナの流路に被加工材を強制流
    通させて塑性加工を行う装置において、前記流路に複数
    の折曲部を形成し、前記被加工材に対して該折曲部で複
    数回剪断力を加えることを特徴とする塑性加工装置。
  2. 【請求項2】 前記筒状コンテナ流路の内面に複数のバ
    リア体を設置し、該筒状コンテナ内に被加工材を供給し
    該被加工材を前記バリア体に接触させることにより、筒
    状コンテナ内に筒状コンテナ断面内で非対称な被加工材
    フローを形成し、多重歪みを前記被加工材内に創出する
    ようにした請求項1に記載の塑性加工装置。
  3. 【請求項3】 バリア体を設置した筒状コンテナの一方
    端から被加工材を圧入し、該被加工材を押出し、設置さ
    れたバリア体で構成された流路を通過させる工程で生ず
    る多重応力場で、前記被加工材に多重歪みを創出するよ
    うにした請求項2に記載の塑性加工装置。
  4. 【請求項4】 複数のバリア体の少なくとも1個を筒状
    コンテナ流路の内面に沿って移動可能とした請求項2又
    は3に記載の塑性加工装置。
  5. 【請求項5】 筒状コンテナの流路内の被加工材の両側
    に1対のプランジャを設置し、該プランジャと前記筒状
    コンテナの相対移動により筒状コンテナ断面内で非対称
    な被加工材フローを形成するようにした請求項2から4
    までのいずれかに記載の塑性加工装置。
  6. 【請求項6】 折曲部の外側に湾曲部を形成した請求項
    1から5までのいずれかに記載の塑性加工装置。
  7. 【請求項7】 複数の折曲部を有する筒状コンテナの流
    路が形成された塑性加工装置に被加工材を強制流通させ
    て塑性加工を行い、前記複数の折曲部ごとに被加工材に
    対して複数回剪断力を加えて該被加工材に歪みを生じさ
    せることを特徴とする塑性加工方法。
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