JP2002528110A - カドヘリン−11発現、アッセイおよび細胞浸潤性のための処置 - Google Patents

カドヘリン−11発現、アッセイおよび細胞浸潤性のための処置

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Abstract

(57)【要約】 細胞の分化または腫瘍性形質転換をモジュレートする方法を提供する。該方法では、細胞にcad-11発現または機能を増大または低減させる。かかる方法は、栄養膜細胞中のcad-11機能または発現を変更することによって細胞の分化または腫瘍性形質転換に影響を及ぼす、妊娠を防止または終了する用途、または転移する可能性が低〜中程度の癌腫細胞の生存力を低減させるための用途を有する。cad-11発現または機能を増大または低減させる薬剤の使用も提供する。かかる方法には、細胞の分化または腫瘍性形質転換をモジュレートするための医薬を製造するための使用が含まれる。癌腫細胞の転移する可能性を評価する方法もまた提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、細胞の分化または腫瘍性形質転換に影響を及ぼすための栄養膜細胞
および癌腫細胞におけるカドヘリン-11発現のモジュレーションに関する。また
本発明は、上皮性腫瘍の転移する可能性の評価に関する。
【0002】発明の背景 妊娠の樹立を成功させるために、胎芽前の未分化胚芽細胞の栄養膜(trophobl
ast)細胞は、月経周期中の所定の期間(着床のウインドウと呼ばれる)にわた
り子宮内膜と相互作用しなければならない。この受容期間外では、子宮内膜は着
床を阻止する。月経周期中の子宮内膜の異常なまたは「周期のずれた」発達は、
RSAおよび不妊症の根底をなすと考えられる因子の1つである着床不全と関連づけ
られてきた。栄養膜細胞と子宮内膜細胞との相互作用を促進する子宮環境の確立
に関与する接着機構については、わずかに特性づけられているにすぎない。
【0003】 ヒトの胎芽前の未分化胚芽細胞の着床における第1のステップは、子宮内膜の
表面上皮への未分化胚芽細胞の栄養膜細胞の付着である。その後、栄養膜細胞は
増殖し、基底の子宮内膜間質中に浸潤する。栄養膜細胞は、2層、すなわち、有
糸分裂活性のある栄養膜細胞層(cytotrophoblast)を含有する内側細胞層と、
分裂の終了した栄養膜細胞層の融合により形成された最終的に分化した多核細胞
である外側合胞体栄養膜(outer syncytial trophoblast)とからなる絨毛膜絨
毛に分化する。妊娠が進行するにつれて、栄養膜細胞層は増殖し、合胞体栄養膜
を通って母体脱落膜中に伸びた柱状体(column)を形成する。これらの絨毛外(
extravillous)の栄養膜細胞層の柱状体は、胎盤を脱落膜に固定すると考えられ
る。栄養膜細胞層は、該絨毛外柱状体(extravillous columns)から解離して母
体血管系および脱落膜中に深く浸潤する。続いて、これらの浸潤性栄養膜細胞層
は、分化および融合を起こして、周囲の脱落膜細胞に密着した状態の大きな多核
細胞である胎盤床巨大細胞を形成する。子宮内膜への浸潤時、栄養膜細胞は、互
いに相互作用するだけでなく、子宮内膜を構成する様々な細胞集団とも相互作用
しなければならない。
【0004】 ステロイドホルモンのプロゲステロン(P4)および17-エストラジオール(E2
)は、着床のための子宮内膜の形成において中心的な役割を果たす。子宮内膜の
形成に関与するステップの1つには、間質細胞の脱落膜細胞への分化が含まれ、
それにより栄養膜細胞を固定しそれらの浸潤を阻止する。形態学的には、脱落膜
形成は、細胞サイズの増大を伴う多面体型細胞形状への間質細胞の変化を特徴と
する。超微細構造的には、タンパク質の合成(粗面小胞体)および分泌(ゴルジ
体)ならびにデスモゾームの出現や隣接する細胞間のギャップ結合の出現に関与
するオルガネラの広範にわたる発生が起こる。
【0005】 栄養膜の浸潤深度は正確に制御され、エラーが発生すると、母体および胎児の
健康は極めて重大な影響を受ける。例えば、浅い浸潤は、母体および胎児の罹患
率および死亡率の高い疾患である子癇前症と関連づけられる。これとは対照的に
、脱落膜が存在しなければ、癒着胎盤または子宮外妊娠の場合のように、下部の
組織中に栄養膜が深く浸潤できるようになる。
【0006】 細胞間相互作用の変更もまた、健常細胞から悪性腫瘍細胞への腫瘍性形質転換
の特徴である。腫瘍転移には、最初に腫瘍内の細胞の解離、続いて解離した腫瘍
細胞の基底間質への浸潤、続いて腫瘍細胞の血流またはリンパへの外侵(extrav
asion)が不可欠である。この後に、転移性腫瘍が確立される特定の遠隔部位に
おいて腫瘍細胞の再結合が起こる。従って腫瘍性形質転換の過程は、上述の栄養
膜細胞の分化などの胚形成の過程と共通の特徴を有する。
【0007】 カドヘリンは、同種親和的(homophilic manner)にカルシウム依存性細胞接
着を媒介する必要不可欠な膜糖タンパク質である。カドヘリンサブタイプの空時
的発現は、発生期間中、高度に調節される。異なる典型的カドヘリン(1型カド
ヘリン)を提示する胚細胞は互いに分離し、また、これらのカドヘリンは、個々
の細胞集団の分離およびそれに続く組織の形成に対する分子的基礎をなすと考え
られる。成人では、カドヘリンは、接着結合部(adherens junction)の膜ドメ
インに局在化し、細胞の分化状態を維持すると考えられる。
【0008】 カドヘリンは、胚形成および腫瘍発達の両方における細胞間結合の変更に役割
を果たしている。カドヘリン発現は、腫瘍細胞の浸潤および転移する可能性と関
連づけられている。一般的には、カドヘリンが低レベルであるほど、腫瘍細胞が
解離し、他の組織に浸潤する可能性がさらに高くなるという関連性があると考え
られている。
【0009】 典型的なカドヘリンには、種々の細胞種においてカルシウム依存性細胞間接着
を媒介するE-、P-およびN-カドヘリンが含まれる。これらの典型的カドヘリンの
異常発現は、自発的に転移することができるいくつかの腫瘍と関連づけられ、こ
れによりカドヘリンの異種性発現と転移する可能性との間の連関がありうると示
唆されている(Takeichi, M. (1993)"Cadherins in Cancer: Implications for
Invasion and Metastasis". Current Opinion in Cell Biology 5: 806-811参照
)。
【0010】 E-カドヘリン(すなわち上皮カドヘリン)は、上皮細胞接着に関与する。E-カ
ドヘリンの欠損は、前立腺(Umbas, R.ら、(1992)"Expression of the Cellular
Adhesion Molecule E-cadherin is Reduced or Absent in High Grade Tumors"
; Cancer Research 52: 5104-5109参照)および乳腺(Oka. H.ら、(1993)"Expre
ssion of E-cadherin Cell Molecules in Human Breast Cancer Tissues and it
s Relationship to Metastasis" ; Cancer Research 53: 1696-1701参照)など
の上皮由来の腫瘍(癌腫)の浸潤および転移の増大と関連している。
【0011】 2型カドヘリンは、典型的カドヘリンに対するアミノ酸全体の相同性が低い。2
型カドヘリンは、特徴的なアミノ酸の欠損または付加、種々の部位における特有
なアミノ酸置換など、典型的カドヘリンには見られない共通した配列特性を共有
する。特に、2型カドヘリンには、すべての典型的カドヘリンサブタイプ間で保
存されている細胞接着認識(CAR)配列、HAVが含まれない。OB-カドヘリン(OB-
cad)とも呼ばれるカドヘリン-11(cad-11)は、形態形成において中心的な役割
を果たすと考えられる2型カドヘリンである。[参考として本明細書に組み入れ
る1997年1月28日発行の米国特許第5,597,725号およびTakeichi, M. (1995) "Mor
phogenetic Roles of Classical Cadherins", Curr. Opin. Cell. Biol. 7:619-
627を参照されたい。] 現在までの研究によって、cad-11発現はいくつかの細胞種の分化と連関すると
示されているが、この連関、およびcad-11が細胞分化を仲介する機構はいずれも
理解されていない。
【0012】 cad-11はヒト分娩期胎盤の合胞体栄養膜中では発現されるが、絨毛性栄養膜細
胞層中では発現されないことが確認された。また、cad-11発現は、妊娠期間の最
初の3ヶ月の胎盤の絨毛外栄養膜細胞層柱状体の遠位末端に位置する栄養膜細胞
層中でも検出されている。子宮内膜中では、cad-11は、月経周期の間、腺上皮お
よび間質中で空時的に発現される。腺および表面上皮中のcad-11のレベルは、月
経周期全体にわたり比較的一定に保たれる。cad-11は、増殖期の間、間質中に存
在しない。cad-11は、後期分泌期の間、間質(初期脱落膜形成の領域)の螺旋動
脈周辺で最初に検出される。cad-11レベルは、間質が脱落膜形成を行い続けるに
つれて増大し、最大レベルは、妊娠初期の脱落膜中で観測される。[MacCalman
ら、(1996) "Regulated Expression of Cadherin-11 in Human Epithelial Cell
s: A Role for Cadherin-11 in Trophoblast-Endometrium Interactions?", Dev
elopmental Dynamics 206: 201-211;MacCalmanら、"Novel Cell Adhesion Mole
cules: Roles in Implantation?", The Endometrium as a Target for Contrac
eption, Beierら編、Springer-Verlag, Berlin (1996), pages 137-157]を参照
されたい。]
【0013】 cad-11が腫瘍性形質転換の過程で役割を果たす場合には、その役割は知られて
いない。cad-11は間葉マーカーであると考えられ、その発現は上皮から間葉表現
型への変化を特徴とする癌の進行と関連しうる。cad-11発現は、浸潤性および高
度に腹膜または間質増殖性を示す印環細胞癌で検出されている(Shibata. T.ら
、(1996)"Simuitaneous Expression of Cadherin-11 in Signet-Ring Cell Carc
inoma and Stromal Cells of Diffuse-Type Gastric Cancer" : Cancer Letters
(99: 147-153)参照)。また、種々の腎細胞癌細胞系の研究において、E-cad発
現は上皮表現型と関連していたが、cad-11発現は繊維芽細胞表現型を有する細胞
系において検出され、E-カドヘリンとcad-11との共発現はいずれの単一細胞系に
おいても検出されなかった(Shimazui. T.ら、(1996)"Complex Cadherin Expres
sion in Renal Cell Carcinoma" : Cancer Res. 56: 3234-3237参照)。
【0014】 現在のところ、栄養膜細胞の最終的な分化と融合との間にcad-11発現が増大す
るが、それにより栄養膜細胞があまり浸潤性ではなくなることが見出されている
。かかる細胞におけるcad-11のダウンレギュレーションによって、合胞体化栄養
膜細胞の生存力が低減し、該細胞の融合およびステロイド産生能力が抑制される
。したがって、着床または妊娠の樹立を、cad-11発現を妨害することにより途絶
させうる。
【0015】 また、制限された転移可能性を示す癌腫細胞がcad-11を発現することがわかっ
ている。かかる細胞におけるcad-11発現のモジュレーションは、かかる細胞の浸
潤能力または腫瘍部位に付着する能力に影響を及ぼすだろう。更に、かかる細胞
におけるcad-11発現のダウンレギュレーションによってそれらの生存力が低減す
る。
【0016】 また、癌腫細胞によるcad-11およびE-カドヘリン発現の評価は、かかる細胞の
転移する可能性の正確なインジケータであることが見出されている。そのような
カドヘリン測定に基づく評価は、組織学的サンプルの形態学的グレードのみに基
づく腫瘍分類評価の代替となりうる。
【0017】発明の概要 本発明は、細胞の分化または腫瘍性形質転換をモジュレートする方法を提供す
る。該方法には、該細胞のcad-11発現または機能を増大または低減させるステッ
プが含まれる。cad-11発現は、cad-11発現を増大させるプロゲスチンまたはTGF-
1などのホルモンの適用により増大させうる。cad-11機能は、該細胞とcad-11機
能を妨害する薬剤(例えば、抗cad-11抗体、好ましくは中和抗体またはcad-11に
結合した場合にcad-11の細胞外もしくは細胞内ドメインを阻害する抗体)とを接
触させることにより低減させうる。cad-11発現は、該細胞と、cad-11発現を(例
えば、cad-11アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用してcad-11 mRNAの翻訳を
阻止する、またはゲノムDNAに結合するセンスもしくはアンチセンスオリゴヌク
レオチドを使用して転写を阻止することにより)妨害する薬剤とを接触させるこ
とにより低減させうる。
【0018】 本発明はまた、妊娠を防止または終了する方法を提供する。該方法には、ヒト
栄養膜細胞においてcad-11機能または発現を低減させるステップが含まれる。ca
d-11発現または機能は上述のように低減させうる。
【0019】 本発明はまた、上述のように転移する可能性が低〜中程度の癌腫細胞において
cad-11発現または機能を低減させることにより該細胞の生存力を低減させる方法
を提供する。cad-11発現は、前記細胞とcad-11アンチセンスオリゴヌクレオチド
とを接触させて、該細胞によるcad-11発現を妨害することにより遮断しうる。癌
腫細胞は前立腺癌細胞でありうる。
【0020】 本発明はまた、癌腫細胞の転移可能性を評価する方法を提供する。該方法には
、癌腫を含有すると疑われる組織サンプル中の細胞と、cad-11もしくはcad-11 m
RNAと結合することができる検出可能なインジケータとを接触させ、そして該組
織におけるcad-11発現の存在または不在を判定するステップが含まれる。該方法
には、前記組織の細胞にE-カドヘリンまたはmRNA中のE-カドヘリンに結合するこ
とができる第2の検出可能なインジケータを適用し、そして該細胞中のE-カドヘ
リン発現の存在または不存在を判定することがさらに含まれてもよい。検出可能
なインジケータは、検出のために標識しうるか、またはその活性により検出しう
る物質、ならびに抗体およびオリゴヌクレオチドを含む応答性カドヘリンまたは
mRNAとの結合特異性を有する物質などのいずれの物質であってもよい。
【0021】発明の詳細な説明 本明細書において、「転移する可能性」という用語は、癌腫の細胞が腫瘍部位
を離脱して転移性腫瘍を確立する相対的傾向を意味する。転移する可能性が「低
〜中程度である」とは、かかる浸潤性の中程度のレベルまでしか基底間質を浸潤
する傾向を示さない細胞を特徴とする。この状態は、E-カドヘリンまたはcad-11
の一方または他方を発現する細胞には存在するが、両方のカドヘリンの発現が途
絶した細胞には存在しないことをさらに特徴とする。
【0022】 「転移する可能性が高い」細胞は、E-cadおよびcad-11の発現が途絶している
。かかる細胞は、血液またはリンパを介して腫瘍部位から離脱(外浸)して転移
性腫瘍形成の一因となるだろう。
【0023】 「癌腫」という用語は、上皮起源の腫瘍、例えば腺腫を意味する。これらの腫
瘍には、限定するものではないが、前立腺癌、乳癌、肺癌、皮膚癌(例えば扁平
上皮癌)、ならびに腎臓癌および胃癌が含まれる。
【0024】 「cad-11発現」および「E-カドヘリン発現」という用語は、2型カドヘリン(
cad-11)、または典型的な上皮カドヘリン(E-カドヘリン)を産生する細胞の能
力および状態を意味する。「cad-11機能」および「E-カドヘリン機能」という用
語は、それぞれのカドヘリンの生物学的機能を意味する。
【0025】 「分化」という用語は、細胞の表現型もしくは機能または細胞の派生物の変化
が生じる過程を意味する。「腫瘍性形質転換」という用語は、腫瘍細胞が悪性に
なるかまたは転移する可能性が高まる過程を意味する。分化および腫瘍性形質転
換は、細胞の分化(specialization)の程度の変化、細胞が他の細胞と結合する
傾向の変化、または細胞の運動性の変化を特徴とする。「浸潤性」という用語は
、細胞がまわりの組織中に移動する相対的傾向を意味する。
【0026】 cad-11およびE-カドヘリン発現は、それぞれのカドヘリンに対し特異的な検出
可能なインジケータの使用により検出しうる。検出可能なインジケータは、検出
可能な標識または生物学的部分を結合させうる標的とするカドヘリンに結合する
特異性を有する抗体であってもよい。該標識は、検出されうるいずれの物質であ
ってもよく、放射性標識または染料が含まれる。標識または生物学的部分は、例
えば、刺激した場合の発光能力により検出されうる酵素または他の活性部分であ
ってもよい。カドヘリンに結合した抗体(第1抗体)もまた、第1抗体に対し特
異的な第2抗体を用いて精査することにより検出することができ、第1抗体と第
2抗体との結合は検出可能なインジケータである。これは、第2抗体に結合した
標識または生物学的部分の検出により容易でありうる。E-カドヘリンおよびcad-
11に対する抗体は入手可能であり、またかかる抗体の製造方法も当技術分野で公
知である(米国特許第5,597,725号;Taniharaら、前掲;ならびにShimoyama, Y.
ら、(1989) Cancer Res. 49:2128-2133参照)。
【0027】 E-カドヘリンまたはcad-11の検出可能なインジケータはまた、E-カドヘリンま
たはcad-11のmRNAの特異的部分に対し相補的なオリゴヌクレオチド、好ましくは
短いDNA配列であってもよい。E-カドヘリンおよびcad-11のm-RNA配列は公知であ
り、適切な相補性オリゴヌクレオチド、例えば、E-カドヘリンおよびcad-11に特
異的なcDNA部分に基づくオリゴヌクレオチドもまた公知である(Bussemakers, M
. J. G.ら、(1993)"Molecular Biology Reports"17: 123-128;Tanihara, H.ら
、(1994) Cell Ades. Commun. 2: 15-26;ならびに米国特許第5,597,725号参照
)。塩基対合により相補性mRNA配列に結合する場合の、オリゴヌクレオチドの製
造方法、オリゴヌクレオチドの標識方法、およびオリゴヌクレオチドの検出方法
は当技術分野で公知である。
【0028】 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、特定のタンパク質の遺伝子もしくはmRNA
中の特異的配列に対し相補的であるようにした配列により作製される短い(例え
ば7〜50塩基、好ましくは13〜20塩基)DNAもしくはRNA分子である。アンチセン
ス配列は、塩基対合によりその相補性配列に結合しようとする。典型的には、ア
ンチセンスは、mRNAに結合して、mRNAの翻訳を妨害するまたはRNAseHなどのヌク
レアーゼによる切断を促進するヘテロ二本鎖を形成しようとする。ゲノムDNAに
結合して転写を妨害しようとするアンチセンスを含むオリゴヌクレオチドの製造
方法は公知であり、またRNA分子と選択的に結合または該分子を切断する触媒性
リボザイムの製造方法も公知である。かかるアンチセンス構築物を細胞に送達す
る方法もまた公知であり、リポソーム中への封入、アンチセンスへの脂質部分の
結合、または膜貫通受容体(トランスフェリンおよび葉酸など)のリガンドの結
合が含まれる。候補となるオリゴヌクレオチドの配列決定方法およびそれらの合
成方法は当技術分野で公知である。候補となるオリゴヌクレオチドは、それらが
(例えば、折りたたみ、ループ形成、または標的配列に結合したタンパク質によ
り)最小の妨害性を有する標的配列に結合する能力、ならびに標的タンパク質の
発現を妨害する能力について試験する。
【0029】 少なくとも約15塩基でありかつcad-11ポリペプチドをコードするDNA配列の特
異的部分に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、合意の技法により合成
しうる。このような技法には、例えば、固相ホスホルアミダイト(phosphoamite
)化学合成による化学合成技法が含まれる。あるいは、アンチセンスRNA分子を
、該RNA 分子をコードするDNA配列のin vitro転写またはin vivo転写により作製
してもよい。かかるDNA配列は、適切なRNAポリメラーゼプロモーター(T7もしく
はSP6ポリメラーゼプロモーターなど)を組み込んだ多種多様なベクター中へ組
み込みうる。本発明のオリゴヌクレオチドには、細胞内安定性および半減期を増
大させるために種々の修飾を導入しうる。可能な修飾には、限定するものではな
いが、該分子の5'末端および/または3'末端へのリボヌクレオチドまたはデオキ
シリボヌクレオチドのフランキング配列の付加、あるいは、該オリゴヌクレオチ
ド骨格中のホスホジエステラーゼ結合の代わりにホスホロチオ酸または2'-O-メ
チルの使用が含まれる。
【0030】 特定の組織または器官へのアンチセンスオリゴヌクレオチドの送達は、例えば
、組み換えベクターおよび非ベクター系により達成しうる。アンチセンス自体の
送達に適切な非ベクター系の例としては、限定するものではないが、任意の脂質
に基づく、脂質カプセル化DNAまたはカチオン性脂質/DNA複合体が含まれる。組
み換えウイルスベクターの例としては、限定するものではないが、アンチセンス
をコードする遺伝子の送達に特に適しているヘルペスウイルス、レトロウイルス
、ワクシニアウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスが含まれる。
組み換えベクター送達系は、典型的には、組織または器官への送達を増強する薬
剤を含有するバッファー中に配合する。かかる送達強化剤の例としては、界面活
性剤、アルコール、グリコール、サーファクタント、胆汁酸塩、ヘパリンアンタ
ゴニスト、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、高張塩溶液、および酢酸塩がある。ア
ルコールには、例えば、エタノール、N-プロパノール、イソプロパノール、ブチ
ルアルコール、アセチルアルコールなどの脂肪族アルコールが含まれる。グリコ
ールには、グリセリン、プロピレングリコール、および他の低分子量グリコール
(グリセロールおよびチオグリセロールなど)が含まれる。酢酸、酢酸グルコノ
ールおよび酢酸ナトリウムなどの酢酸塩は、送達強化剤のさらなる例である。1M
NaClなどの高張塩溶液もまた送達強化剤の例である。サーファクタントの例と
しては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)およびリゾレシチン、ポリソルベート8
0、ノニルフェノキシポリオキシエチレン、リゾホスファチジルコリン、ポリエ
チレングリコール400、ポリソルベート80、ポリスチレン(polyosyethylene)エ
ーテル、ポリグリコールエーテルサーファクタントならびにDMSOがある。胆汁酸
塩、例えば、タウロコール酸塩、デオキシタウロコール酸(taruo-deosycholate
)ナトリウム、デオキシコール酸塩、ケノデオキシコール酸塩、グリココール酸
、グリコケノデオキシコール酸、および硝酸銀などの他の収斂剤を使用しうる。
第4級アミンなどのヘパリンアンタゴニスト、例えば、硫酸プロラミンを用いて
もよい。シクロオキシゲナーゼ阻害剤、例えば、サリチル酸ナトリウム、サリチ
ル酸、および非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDS)(インドメタシン、ナプロキセ
ン、ジクロフェナクなど)を使用してもよい。
【0031】 送達強化剤は、組み換えアデノウイルスベクター送達系を配合したバッファー
中に含有させうる。送達強化剤は、組み換えウイルスの投与前または該ウイルス
の投与と同時に投与してもよい。いくつかの実施形態においては、送達強化剤は
、患者に投与する直前にウイルス調製物と送達強化剤配合物とを混合することに
よってウイルスと同時に提供する。他の実施形態においては、送達強化剤および
ウイルスを、単一バイアル中に配合して、投与のため治療奉仕者に提供してもよ
い。
【0032】 組み換えアデノウイルスベクターに含まれる遺伝子を含む医薬組成物の場合、
送達系を送達強化剤をさらに含むバッファー中に配合しうる。該医薬組成物を経
時的、例えば約5分〜3時間にわたって投与しうる。送達強化剤はまた、組み換
えアデノウイルスベクター送達系の投与の前に投与してもよい。
【0033】 送達強化剤の濃度は、使用する特定の送達強化剤、バッファー、pH、標的組織
もしくは器官および投与方法などの当業者に公知の数々の因子に依存するであろ
う。送達強化剤の濃度は、1%〜50%(v/v)の範囲でありうる。好ましくは、患者
に投与する最終的な製剤中のいずれの界面活性剤も、約0.5〜2Xの基準ミセル化
濃度(CMC)である。
【0034】 送達強化剤を含有するバッファーは、リン酸緩衝化食塩水またはリン酸ナトリ
ウム/硫酸ナトリウム、Trisバッファー、グリシンバッファー、滅菌水、および
他の公知バッファーなどのいずれの医薬学的バッファーであってよい。アデノウ
イルスベクター送達系を含有する医薬組成物中のバッファーのpHは、6.4〜8.4で
ありうる。
【0035】 避妊用途に関して、cad-11発現または機能を低減させる薬剤は、子宮の内部と
該薬剤とを接触させることにより女性被験者に投与しうる。該薬剤は、cad-11ア
ンチセンスを含む適切な非ベクター送達系でありうる。
【0036】 A.子宮内膜間質細胞の分化におけるCad-11発現 ヒト子宮内膜の間質細胞は、最終的な分化を受けて月経周期の黄体期に脱落膜
細胞を形成する。これらの分化した子宮内膜細胞は、妊娠の樹立および維持に重
要な役割を果たす。黄体期における子宮内膜の異常な発達は、着床不全および胎
盤機能障害に関連している。
【0037】 脱落膜形成(decidualization)は、子宮内膜間質細胞の形態および機能の変
化を特徴とする。形態学的脱落膜形成には、細胞の形状および大きさの変化、タ
ンパク質合成に関与するオルガネラの過剰発達、ならびに細胞間橋およびギャッ
プ結合の分泌および形成が含まれる。機能的には、脱落膜形成は、プロラクチン
(PRL)、インシュリン様増殖因子結合タンパク質1(IGFBP-1)の分泌開始を特
徴とする。これらの分化過程は、主にプロゲステロン(P4)および17-エストラ
ジオール(E2)により調節されていると示されている。培養した子宮内膜間質細
胞は、性腺ステロイドの存在下で培養した場合に、脱落膜形成を特徴とする形態
学的および生化学的変化を受ける。
【0038】組織 本研究で使用した組織は全て、Committee for Ethical Review of Research i
nvolving Human Subject of the University of British Columbiaによる承諾を
得て入手したものである。
【0039】子宮内膜間質細胞の調製および培養 子宮内膜組織生検(n=6)を、生殖年齢の女性から月経周期の中間分泌期に得
た。患者は全て正常な月経周期を有し、組織採取の前の少なくとも3ヶ月間はホ
ルモンを摂取していなかった。月経周期の段階は、最後の月経期間で判定し、組
織学的評価により確認した。
【0040】 子宮内膜間質細胞を、酵素消化および物理的解離により腺上皮から分離した。
子宮内膜生検材料を細かく切り刻み、振とうしながら37℃の水浴中で0.1%コラ
ゲナーゼ(1型:Sigma Chemical Co.. St. Louis. MO)および0.1%ヒアルロニ
ダーゼ(I-S型:Sigma Chemical Co.)消化に1時間付した。次に細胞消化物を
ナイロン製篩(38m)に通した。分離した腺を篩上に保持し、間質細胞を含有す
る溶出物を50mlのチューブに回収した。間質細胞を、室温にて10分間800 x gで
遠心してペレット化した。その細胞ペレットを、10%チャコール除去(charcoal
-stripped)胎児ウシ血清(FBS)を含有するフェノールレッド非含有ダルベッコ
の改変イーグル培地(DMED)中で1回洗浄した後で、10%チャコール除去FBSを
補充した25mMグルコース、25mM Hepes、1% (w/v) L-グルタミン、抗生物質(100
U/mlペニシリン、100g/mlストレプトマイシンおよび2.5g/mlフンギソン)を含有
するDMED中に再懸濁してプレーティングした。培養培地をプレーティングの30分
後に交換して上皮細胞の汚染を低減した。細胞培養物の純度は、ビメンチン、サ
イトケラチン、筋肉アクチンおよび第VII因子に関する免疫細胞化学的染色法に
より判定した。これらの基準が定義するように、間質細胞培養物は1%より少な
い子宮内膜上皮または血管細胞を含有していた。
【0041】ホルモン処置 間質細胞を集密的濃度になるまで増殖させ、PBSを用いて洗浄し、そして10%
チャコール除去FBSを補充し、P4(1mM)、E2(30nM)またはビヒクル(0.1%エ
タノール)のいずれかを含有するDMEM中で培養した。培養培地を24時間毎に交換
した。細胞を、ステロイドの存在または不存在下における培養の0、2、4、6
、8、10もしくは12日後にノーザンもしくはウエスタンブロット分析のために回
収した。培養培地を毎日交換した。間質細胞もまた、P4(1mM)およびE2(30nM
)の存在下にて0、2、4、6、8、10もしくは12日間培養し、その後でノーザ
ンもしくはウエスタンブロット分析のために回収した。
【0042】ノーザンブロット分析 ChomezynskiおよびSacchi (1987) Analytical Biochemistry 162: 156-159の
フェノールクロロホルム法に従って培養した間質細胞から総RNAを調製した。RNA
種を、3.7%ホルムアルデヒドを含有する1%アガロースゲルにおける電気泳動に
より分離させた。各レーンごとに約20gの総RNAをローディングした。続いて分画
化RNA種を荷電ナイロンメンブレン上にトランスファーした。
【0043】 ノーザンブロットを、MacCalmanら、(1992) Developmental Dynamics 195: 12
7-132の方法に従ってヒトcad-11に対し特異的な放射性標識cDNAプローブとハイ
ブリダイズさせた。続いてそのブロットを2X SSPEを用いて室温で2回洗浄し、1
% SDS含有2X SSPEを用いて55℃にて2回洗浄し、そして0.2X SSPEを用いて室温
で2回洗浄した。各レーンにおける総RNA量を平均化するために、ブロットを、M
acCalman ら(1992)[前掲]に記載のプロトコルに従って18S rRNAに対し特異的
な放射性標識合成オリゴヌクレオチドを用いて精査した。再度ブロットをラジオ
オートグラフィーにかけて放射性標識プローブと18S rRNAとのハイブリダイゼー
ションを検出した。続いてラジオオートグラムを、LKBレーザーデンシトメータ
ーを用いて走査した。cad-11 mRNA転写産物に関して得られた吸光度の値を18S r
RNA吸光度の値に対して基準化した。
【0044】ウエスタンブロット分析 ウエスタンブロット分析のために、間質細胞を、PBSを用いて洗浄し、振動プ
ラットホーム上で100 Lの細胞溶解バッファー(0.5% Nonidet P-40、0.5 mM Ca
Cl2、および1.0 mM PMSFを含有するTris-HCI、pH 7.5)中で4℃にて30分間イン
キュベートした。細胞溶解物を10,000 x gにて20分間遠心し、その上清をウエス
タンブロット分析で使用した。続いてアリコート(20 g)をサンプルから取り出
し、Laemmli (1970)の記載のように還元条件下にてSDSポリアクリルアミドゲル
電気泳動にかけた。 積層ゲルは5%アクリルアミドを含有し、分離したゲルは7.
5%アクリルアミドで構成された。タンパク質を、Towbinら、(1979) P.N.A.S. U
.S.A. 76: 4350-4354の手法に従って、ゲルから電気泳動によりニトロセルロー
ス紙上にトランスファーした。ニトロセルロースブロットを、ヒトcad-11に対す
るマウスモノクローナル抗体(C11-113H)(ICOS Corporation. Bothell, WA:A
TCC受託番号HB-12514)を用いて精査した。Amersham ECLシステムを用いて、抗
原に結合した抗体を検出した。続いてオートラジオグラムをLKBレーザーデンシ
トメーターを用いて走査した。
【0045】統計学的解析 得られた結果を、3つの個々の実験に関する平均相対吸光度(+SE)として示
す。時間と処置との間の統計学的差は、分散の解析により評価した(ANOVA)。
差は、p<0.05の場合に有意とみなした。平均値の間の有意な差は、最小有意差
検定を用いて決定した。
【0046】 培養した子宮内膜間質細胞から調製した全ての総RNA抽出物中、1つのcad-11m
RNA転写産物(4.4kb)が検出された。P4によって、このステロイドの存在下にお
ける培養の2日後に間質cad-11 mRNAレベルの有意な増大が引き起こされた。cad
-11 mRNA転写産物のレベルは、培養の時間経過に従って増大し続け、P4の存在下
にて12日間培養した間質細胞において最大のcad-11 mRNAレベルが観察された。
一方、E2またはビヒクル単独(0.1%エタノール)では、間質cad-11 mRNAレベル
は有意に増大しなかった。
【0047】 P4およびE2の存在下における培養の2日後に、cad-11 mRNAレベルの有意な増
大が見られた。これらの2つの性腺ステロイドの存在下における培養の10日後に
最大のcad-11レベルが観察された。cad-11 mRNA転写産物のレベルは、これらの
ステロイドの存在下における培養の12日目までの本研究期間にわたって上昇し続
けた。これらの細胞培養物におけるcad-11 mRNAレベルの増大は、P4単独の存在
下において培養した間質細胞で観察されたレベルよりも大きかった。
【0048】 ヒトcad-11に対するマウスモノクローナル抗体を用いたウエスタンブロット分
析において、全間質細胞抽出物中1つのcad-11タンパク質種(分子量125 kDa)
が検出された。ノーザンブロット分析と一致して、P4の存在下における培養の2
日後にcad-11発現が増大した。最大cad-11発現レベルは、P4の存在下における12
日間の細胞培養物から調製された抽出物で検出された。E2およびP4によって、培
養の2日目にcad-11発現の有意な増加が引き起こされ、これらのステロイドの存
在下における培養の10日後に最大レベルが観察された。E2の存在下もしくはビヒ
クル単独にて培養した子宮内膜間質細胞ではcad-11発現の有意な増加が検出され
なかった。したがって、cad-11 mRNAおよびタンパク質発現レベルは、培養した
子宮内膜間質細胞の、ステロイドが媒介する分化の間にしっかりと調節されてい
る。
【0049】 B.Cad-11発現とヒト栄養膜の分化との相関 着床は、胎児栄養膜細胞の増殖、分化、および母体子宮内膜への浸潤に依存す
る。増殖因子およびサイトカインは、栄養膜の分化および浸潤の重要な調節因子
であると考えられている。例えば、形質転換増殖因子1(TGF-1)がヒト子宮内膜
および合胞体栄養膜の脱落膜細胞へ局在化すること、ならびに妊娠期間の最初の
3ヶ月の胎盤の絨毛外(extravillous)栄養膜細胞層柱状体によって、この増殖
因子がオートクラインおよびパラクリンの両方の様式で栄養膜の浸潤能力を調節
していることが提起される。更に、TGF-1は、増殖の低減、ならびにin vitroに
おける非常に浸潤性の高い絨毛外栄養膜細胞層の分化および合胞体への融合の促
進が示されている。これらの発生過程は、これらの細胞の浸潤能力の低減に関連
している。
【0050】細胞調製および培養 妊娠期間の最初の3ヶ月の胎盤を妊娠中絶(8〜13週目)から得た。絨毛外栄
養膜細胞層を、Grahamら、Biology of Reproduction 46: 561-572の記載の通り
に妊娠期間の最初の3ヶ月の胎盤組織片から増殖させた。絨毛膜絨毛を25mMグル
コース、25mM Hepesおよび50g/mlゲンタマイシンを含有するダルベッコの改変イ
ーグル培地(DMEM;Gibco BRL. Burlington. Ont.)中で十分に洗浄した。その
絨毛を細かく切り刻み、抗生物質および10%熱不活化胎児ウシ血清(FCS)を補
充したDMEMを含有する25cm2の組織培養フラスコ中にプレーティングした。絨毛
膜絨毛の断片を203日間かけて接着させた後、未接着物質を除去した。絨毛組織
片を、3日毎に培地を交換しながらさらに10〜14日間培養した。増殖した絨毛外
栄養膜細胞層をトリプシン消化(Ca2+、Mg2+非含有PBS中、0.125%トリプシン)
により絨毛組織片から分離し、抗生物質および10% FCSを補充したDMEMを含有す
る60mm培養ディッシュ中にプレーティングした。絨毛外栄養膜細胞層培養物の純
度をサイトケラチン免疫染色法で測定した。サイトケラチン免疫染色法に関して
100%陽性であった培養物のみを使用した。
【0051】 10% FCSを含有するDMEM中で70%の集密性濃度になるまで増殖させた絨毛外栄
養膜細胞層をPBSを用いて洗浄し、血清非含有DMEM中でさらに24時間培養した。
培養培地を除去した後、細胞をPBSを用いて2回洗浄し、ブタTGF-1(1pg〜10ng/
ml)(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)またはビヒクル(40 M HCl/BSA)
を含有する血清非含有DMEMと交換した。細胞を、TGF-1の存在または不存在下に
おける培養の24時間後に、形態学的評価および免疫細胞化学法のために固定する
か、またはノーザンもしくはウエスタンブロット分析のために回収した。
【0052】ノーザンブロット分析 総RNAを、フェノールクロロホルム法(ChomczynskiおよびSachhi (1987) 前掲
)に従って栄養膜細胞層培養物から調製した。RNA種を、3.7%ホルムアルデヒド
を含有する1%アガロースゲルにおける電気泳動で分離させた。各レーンごとに
約20gの総RNAをローディングした。続いて分画化RNA種を荷電ナイロンメンブレ
ン(Amersham Canada Ltd., Oakville, Ont.)上にトランスファーした。
【0053】 ノーザンブロットを、MacCalmanら、(1992)[前掲]の方法に従ってヒトcad-1
1 cDNAプローブを用いて精査した。次にそのブロットを2X SSPE(20X SSPEは、2
5mM EDTAおよび3M NaClを含有する0.2 M第一リン酸ナトリウム、pH 7.4からなる
)を用いて室温で2回洗浄し、1% SDSを含有する2X SSPEを用いて55℃にて2回
洗浄し、そして0.2X SSPEを用いて室温で2回洗浄した。次に各レーン中の総RNA
量を平均化するために、ブロットを、MacCalmanら、(1992)[前掲]に記載のプ
ロトコルに従って18 rRNAに対し特異的な放射性標識合成オリゴヌクレオチドを
用いて精査した。再度そのブロットをオートラジオグラフィーにかけて、放射性
標識プローブと18S rRNAとのハイブリダイゼーションを検出した。次にオートラ
ジオグラムををLKBレーザーデンシトメーターを用いて走査した。cad-11 mRNA転
写産物に関して得られた吸光度の値を、18 rRNAの吸光度の値に対して基準化し
た。
【0054】ウエスタンブロット分析 ウエスタンブロット分析のために、栄養膜を、振動プラットホーム上で100Lの
細胞溶解バッファー(0.5% Nonidet P-40、0.5mM CaCl2、および1.0 mM PMSFを
含有するTris-HCl、pH 7.5)中で4℃にて30分間インキュベートした。細胞溶解
物を10,000 x gで20分間遠心し、その上清をウエスタンブロット分析に使用した
。続いてアリコートをサンプルから取り出し、Laemmli (1970) Nature 227: 680
-685に記載のように還元条件下におけるSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に
かけた。積層ゲルは5%アクリルアミドを含有し、分離ゲルは、7.5%アクリル
アミドで構成された。タンパク質を、Towbinら、(1979)[前掲]の方法に従って
、電気泳動によってゲルからニトロセルロース紙上にトランスファーした。ニト
ロセルロースブロットを、MacCalmanら、1996[前掲]およびGetsiosら、1998 D
evelopmental Dynamics 211: 238-247に記載のマウスモノクローナル抗体C11-11
3Hを用いて精査した。Amersham ECLシステムを用いて抗原に結合した抗体を検出
した。続いてオートラジオグラムをLKBレーザーデンシトメーターを用いて走査
した。
【0055】免疫細胞化学法 細胞をPBSで2回洗浄し、0.1%グルタルアルデヒド/2%ホルムアルデヒド中で
4℃にて20分間かけて固定した。ヒトサイトケラチンフィラメント8および18に
対するマウスモノクローナル抗体(Becton Dickson. San Jose. CA)、またはさ
らにヒトcad-11に対するモノクローナル抗体(C11-113E;ICOS Corporation. Bo
thell, WA:ATCC受託番号HB-12515)を用いて、MacCalmanら、1996[前掲]およ
びGetsiosら、1998[前掲]に記載のように免疫細胞化学法を実施した。Cartun
およびPedersen (1989) J. of Histotechnology 12: 273-280の方法に従って連
続インキュベーションを行った。該方法は、10%正常ウマ血清と共に30分間、第
1抗体と共に37℃にて1時間、ビオチニル化第2抗体と共に37℃にて45分間、ス
トレプトアビジン−ビオチニル化西洋ワサビペルオキシダーゼ複合体試薬と共に
37℃にて30分間のインキュベーションと、PBS中での3回の洗浄(各5分間)を
含む。続いて細胞を色素体反応溶液(0.035%ジアミノベンジジンおよび0.03%
H2HO2)に10分間暴露し、水道水で5分間洗浄し、ヘマトキシリンで対比染色し
、乾燥し、透明にし、そしてスライドに載せた。
【0056】統計学的解析 得られた結果を、3回独立して行った実験についての平均相対吸光度(±SE)
として示す。処置の間の統計学的差は、分散の解析により評価した(ANOVA)。
差は、p<0.05の場合に有意とみなした。平均値の間の有意な差は、最小有意差
検定を用いて決定した。
【0057】 培養した絨毛外栄養膜細胞層から調製した全ての総RNA抽出物中1つのcad-11
mRNA転写産物(4.4kb)が検出された。TGF-1によって、培養した絨毛外栄養膜細
胞層におけるcad-11 mRNAレベルが用量依存的に増加した。しかしながら、cad-1
1 mRNAレベルにおける有意な増加は、1ngまたは10ng/mlのTGF-1の存在下にて培
養した栄養膜から調製した抽出物においてのみ観察された。10ng/ml TGF-1の存
在下にて培養した絨毛外栄養膜細胞層において最大cad-11 mRNAレベルが観察さ
れた。
【0058】 TGF-1の存在または不存在下にて培養した絨毛外栄養膜細胞層から調製した抽
出物およびヒトcad-11に対するマウスモノクローナル抗体を用いたウエスタンブ
ロット分析によって、全ての細胞抽出物において1つのcad-11タンパク質種(分
子量125 kDa)が示された。ノーザンブロット分析と一致して、TGF-1によって、
cad-11発現レベルが用量依存的に増加し、cad-11タンパク質発現レベルの有意な
増加は1ngまたは10ng/mlのTGF-1の存在下で培養した栄養膜細胞層においてのみ
観察された。10ng/ml TGF-1の存在下にて培養された細胞から調製した抽出物に
おいて最大cad-11発現レベルが観察された。
【0059】 TGF-1の存在または不存在下にて24時間培養した絨毛外栄養膜細胞層を、cad-1
1に関して免疫染色した。cad-11を発現する細胞数に関して1ngまたは10ng/mlの
TGF-1で処置した培養物中において顕著な増加が見られたが、低濃度のTGF-1で処
理した培養物では見られなかった。cad-11はさらに、1ngまたは10ng/mlのTGF-1
で処理した培養物において主に観察された巨大細胞会合物および多核細胞に局在
化した。これらの細胞構造は、10 ng/ml TGF-1で処理した培養物に優勢に存在し
ていた。
【0060】 cad-11発現を、分娩期胎盤および妊娠期間の最初の3ヶ月の胎盤から単離した
細胞栄養層細胞、および3種の絨毛癌細胞系、すなわちBeWo、JEG-3およびJARに
おいて試験した。分娩期胎盤から単離した細胞栄養層細胞は、容易に融合を受け
て培養物において合胞体を形成するだろう。低レベルのcad-11が、新たに単離さ
れた栄養膜細胞層にて検出された。しかしながら、単核栄養膜細胞層が会合し、
融合して合胞体を形成したため、cad-11 mRNAレベルの顕著な増大が見られた。c
ad-11 mRNAレベルの増加は、E-カドヘリン mRNAレベルの低減に付随して起こっ
た。このように、E-カドヘリンはダウンレギュレーションを受け、単核栄養膜細
胞層が分化し、そして融合して合胞体を形成する。一方、cad-11レベルは栄養膜
細胞が最終的な分化を受けて合胞体栄養膜を形成する場合に増大する。
【0061】 TGF-1による処置によって、細胞の分化が増大し、単離された絨毛外栄養膜細
胞層の浸潤能力が低減する。ブタTGF-1(10pg〜10ng/ml:Sigma Chemical Co. M
O)がこれらの1次細胞培養物中のcad-11発現に及ぼす作用は、ウエスタンブロ
ット分析により試験した。TGF-1によって、絨毛外栄養膜細胞層においてcad-11
レベルが用量依存的に増大した。巨大細胞会合物は、大部分が多核細胞を含有す
るが、それは0.1 ng/mlのTGF-1で12時間処置した培養物にて観察された。細胞会
合物の数および大きさは、TGF-lの存在下における継続培養に伴って増大した。
高濃度のTGF-1の存在下にて形成された細胞会合物の全てにおいて、cad-11につ
いての強度の免疫染色が検出された。
【0062】 このように、cad-11発現は栄養膜分化の間に高度に調節されている。特に、ca
d-11発現は、分娩期胎盤から単離された絨毛性単核栄養膜細胞層の融合と関連し
、かつTGF-1に応答して絨毛外細胞栄養層細胞の会合および融合にも関連してい
る。これらの分化過程は、栄養膜浸潤性の低減に関連している。絨毛外栄養膜細
胞層柱状体の形成および組織化、ならびに栄養膜と脱落膜細胞との相互作用は影
響を受ける可能性があり、それによって胎盤が母胎の脱落膜に固定される。cad-
11発現の欠損によって栄養膜細胞層が該柱状体から分離し、基底母胎組織中に浸
潤する。
【0063】 脱落膜側壁と絨毛性胎盤との同時培養を、ラット尾コラーゲンの3次元ゲル上
で行った。脱落膜組織および絨毛性組織を1〜2mmの立方形に切断して、組織片を
0.1mlのコラーゲン混合物を含有する35mm培養ディッシュ中に入れた。ゲルが形
成された後、絨毛性組織の切片を0.05mlの培養培地中に懸濁し、露出した脱落膜
表面上に配置した。2時間後、プレートを培養培地で満たした。絨毛性組織と脱
落膜組織との間の安定な接着が48時間以内に生じた。サンプルを培養の48、72ま
たは96時間後に回収し、組織をOCT化合物中に包理して急速凍結し、凍結切片を
調製した。接触部位の3次元の様相に関する情報を得るために、同時培養物を含
有する塊を全て切断した。接触部位は、ヘマトキシリン染色法で同定し、サイト
ケラチンに関する免疫染色法で確認した。接触領域では、基底脱落膜組織片を貫
通する、合胞体栄養膜の局在化浸食および絨毛外柱状体の形成を導く栄養膜細胞
層の層化が見られた。
【0064】 cad-11は脱落膜および胎盤組織片において発現された。特に、cad-11発現は絨
毛性組織全ての合胞体栄養膜および絨毛外栄養膜細胞層柱状体に局在化し、絨毛
外栄養膜細胞層柱状体は絨毛性組織片と脱落膜組織片との間の接触領域に形成さ
れる。培養した絨毛性組織片におけるcad-11の時空的発現は、妊娠期間の最初の
3ヶ月の胎盤で観察された発現と一致した。
【0065】 アンチセンスオリゴヌクレオチド配列(18 mer、50% AT/GC)を、MacVectorTM プログラムを用いて完全長cad-11 cDNA配列から選択した。cad-11 cDNAの5'末端
の近くに位置するDNA配列を選択し、GenBankおよびEMBLバンクのヒト配列データ
ベースと比較した。2つの配列は、他の既知のヒトDNA配列と低い相同性(41.5
%)を示し、表1で示すようにOB-1およびOB-2と同定された。センスオリゴヌク
レオチド(OB-3およびOB4)を対照として調製した。ホスホチオラート(phospho
thiorate)標識オリゴヌクレオチドをBiotechnology Lab. of The University o
f British Columbiaで調製した。OB-2およびOB-4と同じ結果がOB-1およびOB-3を
用いても得られた。
【0066】
【表1】
【0067】 OB-1の特異性を判定するために、OB-1の作用をヒト顆粒膜細胞において測定し
た。ヒト顆粒膜細胞は、培養において自発的黄体化を受ける際に、3種のカドヘ
リンサブタイプ(cad-11、cad-6およびN-cad)を発現する。36時間培養した顆粒
膜細胞を、OB-1またはOB-3(0.5〜5M)により処置した。培養物をさらに24時間
維持し、その後、細胞をノーザン分析のために回収した。ノーザンブロットを、
前述の通りcad-11、cad-6、またはN-カドヘリン(神経性カドヘリン)cDNAプロ
ーブを用いて精査した。OB-1によってcad-11 mRNA転写産物のレベルが用量依存
的に低減したが、cad-6またはN-カドヘリンmRNAレベルに対しては全く影響がな
かった。一方、OB-3は3種のカドヘリンサブタイプのいずれのレベルに対しても
影響を及ぼさなかった。したがって、OB-1はcad-11に対し特異的であり、他の2
型カドヘリン(cad-6)または典型的カドヘリン(N-カドヘリン)のmRNAレベル
には有意に影響を及ぼさない。
【0068】 アンチセンスオリゴヌクレオチドが細胞生存力および細胞のステロイド産生能
力に及ぼす非特異的作用を、ステロイド急性調節タンパク質(Dr. J. F. Straus
s, III. University of Pennsylvania, Philadelphia, PAから入手)を用いてト
ランスフェクトしたCos-1細胞を用いて判定した。これらの細胞はcad-11を発現
せず、コレステロール前駆体から高プロゲステロンを産生することができる。CO
S-1細胞を、種々の濃度のOB-1、OR、OB-3(0.5〜5M)の存在または不在下にて48
時間培養した。各培養物に存在する細胞数をCoulterTM細胞カウンターを用いて
測定し、培養培地に存在するP4濃度をプロゲステロンRIATMキットを用いて測定
した。これらのパラメータにより測定した結果、OB-1またはOB-3は、試験したい
ずれのオリゴヌクレオチド濃度においても、これらの細胞のステロイド産生能力
を有する細胞の数に対し有意な作用を及ぼさなかった。
【0069】 ヒトの分娩期胎盤から単離した単核栄養膜細胞層は、培養時間に伴って会合し
、融合して合胞体を形成するだろう。これらの培養物における細胞会合は、約12
時間後に観察され、合胞体構造は約24時間後に観察される。72時間後には、これ
らの培養物の細胞の特徴として多核合胞体が優勢となる。上述のように、これら
の細胞の最終的な分化および融合はcad-11 mRNAおよびタンパク質発現レベルの
増大およびそれに付随するE-cad発現の低下に関連する。さらに、これらの進行
過程によってP4およびヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)産生が顕著に増大す
る。
【0070】 OB-1が分娩期胎盤から単離されたこれらの栄養膜の分化に及ぼす作用を判定し
た。栄養膜細胞層を0、6、12または24時間培養した後に、OB-1またはOB-3(5 M
)のいずれかで処置した。その培養物をさらに24または48時間維持し、その後、
ウエスタンブロット分析のために細胞を回収した。OB-1の存在下にて培養した栄
養膜は、培養時間に伴ってcad-11をアップレギュレートしなかったが、E-cadレ
ベルはその全期間にわたって一定であった。
【0071】 OB-1およびOB-3が栄養膜細胞層の形態に及ぼす作用を、光学顕微鏡法および間
接免疫蛍光法により判定した。細胞培養物全てにおいて巨大細胞会合物が観察さ
れ、このことは、OB-1が、栄養膜細胞層が会合する能力に影響を及ぼすとは考え
られないことを示唆している。E-カドヘリンに対するモノクローナル抗体(Tran
sduction laboratories, Lexington. KY)を用いた間接免疫蛍光法によって、こ
れらの細胞会合物が単核栄養膜細胞層から構成されることが示された。細胞会合
物に存在する細胞の形態は、該細胞が細胞融合に先立つ事象である「整列(align
ment)」をうけたことを示唆している。一方、E-カドヘリンはOB-3で処置した培
養物において形成された多核合胞体構造においては検出されなかった。
【0072】 絨毛性栄養膜細胞層におけるcad-11発現の低減が1次細胞培養物の機能的分化
に影響を及ぼす可能性を判定するために、P4およびhCG濃度を培養培地にて測定
した。これらの細胞培養物に存在する細胞の数は、DNA含量により判定した。OB-
1で処置した細胞から得られた培養培地中のhCGおよびP4のレベルは、OB-3細胞か
ら得られた培地において観察された該レベルよりも有意に低かった。
【0073】 OB-1が絨毛性栄養膜細胞層に及ぼす作用が可逆的であるかどうかを判定するた
めに、OB-1またはOB-3の存在下にて細胞を48時間培養した。該細胞をPBSを用い
て十分に洗浄した。続いて培養培地を交換し、細胞をさらに24時間培養した。本
研究期間において、巨大な合胞体構造がOB-3処置培養物において観察された。一
方、OB-1で処置した細胞はもはや生存していなかった。細胞の大部分(90%)が
培養物およびディッシュから離れていた。cad-11は残存する細胞においては検出
されなかった。
【0074】 ヒト分娩期胎盤から単離された絨毛性栄養膜細胞層を72時間培養した後で、OB
-1またはOB-3を培養培地に添加した。この細胞をさらに24または48時間培養した
。本研究期間では、細胞をトリパンブルーで染色するか、または固定して、位相
差顕微鏡法を利用して調べた。OB-3により処置した培養物において巨大合胞体構
造が観察された。これらの合胞体構造は、トリパンブルー染色法で判定した結果
、生存能力を有していた。一方、OB-1で24時間処置した培養物においては細胞破
片が観察された。合胞体は高い程度まで断片化され、合胞体構造はもはや生存し
ていなかった。細胞破片の巨大な部分、特に合胞体膜が完全に欠損していたと考
えられる部分が培養ディッシュ上に固定されていた。
【0075】 cAMPの存在下にて培養したBeWo絨毛癌細胞においても、細胞の分化および融合
を誘導する同様の観察結果が得られた。cAMPの存在下における培養時間に依存し
て、OB-1は、cAMPの存在下にて12時間培養した細胞、または24時間後に形成され
た合胞体構造の膜の完全性を崩壊させた細胞において、細胞の分化および融合を
阻害できた。
【0076】 OB-1およびOB-3がヒト脱落膜細胞に及ぼす作用を調べるために、1次細胞培養
物を種々の用量(0.5〜5 M)のOB-1またはOB-3で24時間処置した。OB-3は、本研
究で用いたいずれのオリゴヌクレオチド濃度においても細胞の生存力および数に
対し有意な影響を及ぼさなかった。一方、OB-1によって細胞は互いに相互作用を
損ない、用量依存的にプラスチックから離れた。これらの細胞のトリパンブルー
染色法によって、これらの細胞がもはや生存していないことが示された。
【0077】 cad-11アンチセンスオリゴヌクレオチドが組織片におけるcad-11発現を低減さ
せる可能性を判定するために、脱落膜組織片をOB-1またはOB-3(5 M)の存在下
にて24時間培養した。ウエスタンブロット分析によって、cad-11発現が、OB-1の
存在下における脱落膜組織片培養物において有意に低減したことが示された。
【0078】 このように、栄養膜細胞におけるcad-11発現は、最終的な分化および浸潤性表
現型の欠損と関連している。非常に浸潤性の高い栄養膜におけるcad-11発現の増
大によって、これらの細胞の浸潤能力が減少し、細胞の会合および融合が促進す
る。cad-11発現は、TGF-1の存在下にて培養された絨毛外栄養膜細胞層において
増大する。cAMPの存在下にて培養した絨毛性栄養膜細胞層およびBeWO細胞の最終
的な分化の間にcad-11発現が増大しないことによって、融合が阻害されるだろう
。P4およびhCGの産生は、cad-11アンチセンスオリゴヌクレオチドの存在下にて
培養した栄養膜においては増大しない。該オリゴヌクレオチドの存在下にてこれ
らの細胞を長時間培養すると細胞死が起こる。
【0079】 cad-11発現は、細胞の分化の間、高度に調節され、発現パターンの崩壊が細胞
の進行結果および生存力に重大な影響を及ぼす。cad-11発現の阻害を利用して、
胎盤および脱落膜の完全性および機能を崩壊させて妊娠を防止しうる。
【0080】 C.前立腺癌細胞の腫瘍性形質転換の際の2型カドヘリンの調節された発現 in vivoでのcad-11と前立腺癌細胞の進行とを関連づけるために、臨床的結果
が確立されている前立腺癌においてcad-11発現を測定した。慣例的に固定し処理
したパラフィン包埋組織を、癌腫の放射線前立腺切除術の8つの事例から入手し
た。腫瘍を診断し、グリーソン組織学的グレードを判定し、H&E染色切片を用い
てスコアリングした。グリーソンスコアリングを以下に詳述する。前立腺を体系
的に切片にし、その切片を、腫瘍の解剖学的位置決定および測定、ならびにそれ
らの前立腺の種々のエリアとの比較を容易にするためにマップを作製した。この
切片をE-カドヘリンおよびcad-11に関して免疫染色した。E-カドヘリンおよびca
d-11が、前立腺癌の腫瘍の進行の間に示差的に発現されることが見出された。E-
カドヘリンは転移する可能性が低い細胞で発現された。cad-11は、中程度のグリ
ーソンスコアと判定された癌腫検体において発現され、この判定は最も困難であ
り信頼性の低い予後に関連している。これらの細胞は、転移する可能性が中程度
である。cad-11は、転移する可能性が高い、ほとんど分化していない癌腫(グリ
ーソンスコアが高い)において検出されなかった。一方、cad-11は転移性骨腫瘍
において容易に検出された。
【0081】 絨毛外栄養膜細胞層の浸潤と同様に、RT-PCRを用いて、非常に侵略的なTSU-Pr
l前立腺癌細胞系(K. Jarvi, Dept. of Urology, University of Torontoより入
手)およびPC3前立腺癌細胞系(American Type Culture Collectionより入手)
において、N-カドヘリンおよびcad-6は優勢に存在するカドヘリンサブタイプで
あることが見出されている。しかしながら、これらの細胞系においてE-カドヘリ
ンおよびcad-11をコードするmRNA転写産物もまた低レベルで検出された。
【0082】 TGF-1は前立腺癌細胞において細胞の増殖および浸潤を調節することが示され
ているので、TGF-1(10pg〜1ng/ml)の存在下にて24時間培養した該細胞系にお
けるcad-11発現を測定した。cad-11 mRNAレベルは、半定量的PCRを用いて、TGF-
1の存在下にて培養したPC3細胞において容易に検出された。cad-11の増大は、ca
d-6およびN-カドヘリンmRNAレベルの低減に付随して起きた。
【0083】 cad-11アンチセンスオリゴヌクレオチドが、TGF-1で24時間処置したPC3細胞に
おいてcad-11発現をモジュレートする能力を判定した。種々の用量の(0.5〜5 M
)のOB-1またはOB-3の存在下にて細胞を24時間培養した。OB-3は、本研究で用い
たいずれのオリゴヌクレオチド濃度においても細胞の生存力および数に対し有意
な作用を及ぼさなかった。一方、OB-1によって細胞は互いに相互作用を損ない、
用量依存的にプラスチックから離れた。これらの細胞のトリパンブルー染色法に
よって、これらの細胞がもはや生存していないことが示された。
【0084】 このように、cad-11発現は、癌腫の腫瘍性形質転換の間に厳密に調節されてい
る。E-カドヘリンおよびcad-11は、これらの細胞の腫瘍性形質転換の間に示差的
に発現される。さらに、cad-11発現は、転移する可能性が低〜中程度の癌腫細胞
に限定され、浸潤経路に沿った継続的脱分化では失われる。cad-11は、骨におけ
る転移性腫瘍の形成の間、癌腫と骨細胞との結合に関連している。原発性または
転移性腫瘍におけるcad-11と癌腫細胞の浸潤能力の低減との相関は、栄養膜細胞
において観察される発現パターンを反映するものである。同様に、cad-11発現は
、TGF-1の存在下にて培養したPC3細胞において増大する。この増殖因子は、細胞
増殖およびこれらの細胞の浸潤能力を低減させると示されている。アンチセンス
オリゴヌクレオチドによって、cad-11発現が途絶する前に細胞が腫瘍性形質転換
の段階にある場合には、これらの癌細胞の生存力が低減される。
【0085】 D.癌腫が転移する可能性の評価 グリーソン分類体系は、前立腺癌の転移する可能性を評価するために慣例的に
使用され、低倍率(×40〜100)を利用し、腫瘍の腺パターンおよび間質画分に
対する関係を評価するものである(例えば、Tannenbaum. M.(編);"Urologic
Pathology: The Prostate";Lee & Folger, Phil. Penn. USA, p. 171-197参照
)。5段階の腫瘍グレード、すなわち最も進行したグレード(1)〜最も進行の
遅いグレード(5)を評価し、腫瘍グレードを観察し記録する。グリーソンスコ
アは、最も数の多いグレードと、2番目のグレードとの合計からなり、それを算
出する。
【0086】 前述の実施例に記載のように入手した前立腺サンプルに対しグリーソン分類体
系を行い、実施例の方法に従ってcad-11およびE-カドヘリン発現に関してモニタ
ーした。
【0087】 グレード1のパターンの細胞は、単一かつ球形〜卵形であり、そして分離して
いるが非常に密集した腺のかなり均質な系列を含有する。かかる細胞の間質浸潤
は稀であり、存在する場合には、自然に膨張するものである。腫瘍の境界は十分
に明確である。これらの細胞においてE-カドヘリンは腺細胞の膜に局在化してい
た。cad-11は検出されなかった。
【0088】 グレード2のパターンは、パターン1と非常に類似した腺房のパターンを有す
るが、腺の形状の統一性が低い点、および腺房単位間の距離が最大1倍率である
場合が多い点において異なっていた。軽度の量の間質浸潤がみられ、その結果、
腫瘍の境界が十分には定められない。この段階は、腺の構造および形状の欠損を
特徴とし、不規則なE-カドヘリン発現(顆粒細胞質免疫染色法、腺細胞間の境界
面に非ず)またはE-カドヘリン発現の欠損に関連していた。cad-11は、E-カドヘ
リン発現を欠損した腺構造において容易に検出可能であった。不規則なE-cad発
現を有するいくつかの細胞においてcad-11免疫染色がわずかに観察された。さら
にcad-11発現が、間質中に浸潤していた細胞において検出された。
【0089】 グレード3のパターンは、3つの特徴的なサブパターンを含む。第1のサブパ
ターンは、単一であるが、1倍率以上で腺が互いに分離されている非常に不規則
な腺を特徴とする。間質浸潤は中程度を示し、そして腫瘍の境界は一般的にほと
んど明確ではない。第2のサブパターンは、小集団を形成する微小腺の細胞巣か
ら構成される。第3のサブパターンは、滑らかな鋭い縁を有する乳頭上皮の明確
な範囲の塊として明確に現れる。これらは、間質中に膨張性の塊として見られ、
中程度〜巨大な腺中に見出され、そしてまたほとんど明確にできない腫瘍の境界
と関連している。低レベルのE-cadが、いくつかの不規則な腺構造において検出
された。一方、cad-11は、グリーソンのグレード3の3つのサブパターン全てに
おいて容易に検出可能であった。
【0090】 グレード4のパターンは、2つのサブパターンを含む。第1のサブパターンは
、顕著な分枝形成を示す、不揃いの腺の塊の融合物から構成される。間質浸潤が
顕著であり、腫瘍は非常に不明確な境界を有するようである。第2のサブパター
ンは、巨大細胞の存在を除いて、非常に活性の低い「副腎様」細胞を有する同じ
形態学的タイプの腫瘍から構成される。cad-11は、グレード4のパターンにおい
て検出された主要なカドヘリンサブタイプであった。特に、cad-11はグレード4
の組織学的な第1のサブパターンを示す細胞において検出された。一方、cad-11
は「副腎様」細胞においては検出されなかった。
【0091】 グレード5のパターンは、通常は腺の形成が全くない悪性細胞の不規則な浸透
性の塊を特徴とする。このパターンは、拡大性の間質浸潤、腫瘍と隣接する実質
との間の事実上関知し得ない境界面という特質を示す。E-cadおよびcad-11の免
疫染色は、グレード5の腫瘍においてはほとんど観察されなかった。
【0092】 約50%の腫瘍が1以上のグリーソンの組織学的パターンを表すであろう。この
因子は組織学的に不均質な腫瘍の発生と共に、グリーソンスコアとして第1およ
び第2パターンの合計の使用を導くものである。2〜10の範囲の可能なパターン
スコアは、前者は十分に分化した腫瘍を特に示すものであり、後者は非常に未分
化の多様性を有するものである。
【0093】 グリーソンスコアを設定した組織サンプル(n=18)において、以下のことが
確定した: 1.E-カドヘリンは、転移する可能性が低く、スコアが2〜4と判定された腫瘍
において優勢に発現されるカドヘリンサブタイプである; 2.cad-11は、転移する可能性が中程度であり、スコアが5〜6(7)と判定さ
れた腫瘍において優勢に発現されるカドヘリンサブタイプである; 3.両方のカドヘリンサブタイプは、転移する可能性が高く、グリーソンスコア
が(7)8またはそれ以上である腫瘍においては存在しない。
【0094】 転移する可能性が中程度でありグリーソンスコアが判定された腫瘍(n=4)
におけるcad-11発現は、続いて起こる腫瘍の進行と転移の予測因子となった。グ
リーソンスコア自体は、該疾患の進行を予測し得るものではない。cad-11発現の
欠損が転移のインジケータであり、その一方で発現は、腫瘍の含有を予測する。
E-カドヘリンを発現するか、またはcad-11発現に切り替わった細胞は、本発明の
方法に従って処置を行い、cad-11発現を増大させて浸潤性に影響を及ぼすか、ま
たはcad-11発現もしくは機能を低減させて生存力を低減させうる。E-カドヘリン
を発現する細胞がcad-11発現の段階まで進行した場合には、該細胞を処置してca
d-11発現能力を低減させ、それにより該細胞の生存力を低減させうる。cad-11を
発現する細胞はcad-11発現または機能を低減させる処置により殺傷しうる。ある
いは、かかる細胞を処置してcad-11を増大させうる。cad-11をもはや発現しない
非常に転移性の高い細胞は、この方法では殺傷されない可能性があるが、cad-11
発現を再開するように刺激を与える(例えば、TGF-1などの因子を用いた処置に
よる)ことによって細胞の浸潤性を低減させうる。
【0095】 本明細書に引用した刊行物、特許および特許出願は全て、参照により本明細書
に組み入れる。特定の実施形態に従って、およびいくつかの実施例を参照しなが
ら本発明を説明したが、当業者には、本明細書に記載の本発明の修飾および変更
が、添付した特許請求の範囲の精神および範囲内に入ることが明らかであろう。
【配列表】
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年12月23日(2000.12.23)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 45/00 A61P 5/30 4C085 A61P 5/30 5/34 4C086 5/34 15/00 15/00 15/04 15/04 35/00 35/00 C12Q 1/02 C12N 5/10 1/68 A C12Q 1/02 G01N 33/15 Z 1/68 33/50 Z G01N 33/15 33/53 D 33/50 M 33/53 33/566 C12N 15/00 ZNAA 33/566 5/00 B (72)発明者 マックカルマン、コリン、ディー. カナダ国 ヴイ6ビー 5エックス6 ブ リティッシュ コロンビア、 バンクーバ ー、カンビー ストリート 1802−930 Fターム(参考) 2G045 AA26 AA40 CB01 CB02 DA12 DA13 DA14 DA36 DA78 FB02 FB07 4B024 AA01 AA11 BA80 CA01 CA09 CA11 CA12 CA20 DA03 GA11 HA14 HA17 4B063 QA01 QA13 QA19 QQ08 QQ53 QQ79 QR32 QR35 QR40 QR48 QR55 QS32 QS34 QX02 4B065 AA93X AA93Y AB01 AB10 AC14 AC20 BA01 BA30 CA24 CA44 CA46 4C084 AA17 NA14 ZA86 ZB21 ZB26 ZC11 4C085 AA13 BB11 CC21 EE01 4C086 AA01 AA02 DA09 DA10 EA16 MA01 MA04 NA14 ZA86 ZB21 ZB26 ZC11

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞のcad-11発現または機能を増大または低減させることに
    よって該細胞の分化または腫瘍性形質転換をモジュレートする方法。
  2. 【請求項2】 前記モジュレーションが細胞の分化または腫瘍性形質転換の
    モジュレーションである、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記モジュレーションが妊娠の防止または終了のために行わ
    れる請求項1記載の方法であって、栄養膜細胞におけるcad-11機能または発現を
    低減させることを含む、上記方法。
  4. 【請求項4】 前記モジュレーションが転移する可能性が低〜中程度の癌腫
    細胞の生存力を低減させるために行われる請求項1記載の方法であって、該細胞
    におけるcad-11発現または機能を低減させることを含む、上記方法
  5. 【請求項5】 cad-11発現を前記細胞のホルモン処置によって増大させる、
    請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 【請求項6】 cad-11機能を前記細胞とcad-11機能を妨害する薬剤とを接触
    させることにより低減させる、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記薬剤が抗cad-11抗体である、請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 cad-11発現を前記細胞とcad-11発現を妨害する薬剤とを接触
    させることにより低減させる、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記薬剤がcad-11 mRNAへの転写または該mRNAの翻訳を阻止
    する、請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記薬剤がアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求
    項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記オリゴヌクレオチドが、配列番号1と実質的に同一で
    あるかまたは配列番号1とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含む、請求
    項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記癌腫細胞が前立腺癌細胞である、請求項4記載の方法
  13. 【請求項13】 請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法で使用する医
    薬の製造のための、ホルモンの使用。
  14. 【請求項14】 請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法で使用する医
    薬の製造のための、cad-11機能を妨害する薬剤の使用。
  15. 【請求項15】 前記薬剤が抗cad-11抗体である、請求項14記載の使用。
  16. 【請求項16】 請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法で使用する医
    薬の製造のための、cad-11発現を妨害する薬剤の使用。
  17. 【請求項17】 前記薬剤がcad-11 mRNAへの転写および該mRNAの翻訳を阻
    止するアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項16記載の使用。
  18. 【請求項18】 前記オリゴヌクレオチドが、配列番号1と実質的に同一で
    あるかまたは配列番号1とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含む、請求
    項17記載の使用。
  19. 【請求項19】 癌腫細胞の転移する可能性を評価する方法であって、癌腫
    を含有すると疑われる組織サンプル中の細胞と、cad-11またはcad-11 mRNAに結
    合することができる検出可能なインジケータとを接触させ、そして該組織におけ
    るcad-11発現の存在または不存在を判定することを含む、上記方法。
  20. 【請求項20】 前記検出可能なインジケータがオリゴヌクレオチドを含む
    、請求項19記載の方法。
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