JP2002520031A - プレセニリナーゼインヒビターの同定方法 - Google Patents

プレセニリナーゼインヒビターの同定方法

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カーチャ フェヒテラー
クリスチャン ハース
ハーラルト シュタイナー
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ベーリンガー インゲルハイム ファルマ コマンディトゲゼルシャフト
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、プレセニリナーゼの活性を低減させるか、または排除することが可能な物質を同定するための方法に関し、プレセニリナーゼ活性を発現するように細胞または細胞ラインを培養し、完全長のプレセニリン1またはプレセニリン2とレポーターとを含む融合タンパクを測定する。本発明は、さらに上述した方法で同定される物質、その物質を含む医薬組成物、その物質の神経変性性疾患、またはアルツハイマー症の治療のための医薬の製造におけるその使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、プレセニリン(presenilin)および神経変性性疾患(nuerodegenerati
ve disease)の分野に関する。より詳細には、本発明は、プレセニリナーゼイン
ヒビターを同定するための方法、該方法により同定可能な物質、それらの神経変
性性疾患を治療するための医薬の製造への使用、および該物質を含む医薬学的組
成物に関する。
【0002】 (背景技術) 神経変性性疾患は、神経細胞およびシナプス細胞の損失により特徴付けられる
。神経細胞の損失は、少なくともその一部がアポトーシスによる細胞の死が原因
である。神経変性性疾患としては、慢性のアルツハイマー病(AD)、パーキン
ソン氏病、ハンチントン氏の舞踏病および急性発作を挙げることができる。アル
ツハイマー症は多くの場合これまで明らかな遺伝的リンケージが欠落しており、
発症が遅く散発性のものとして特徴付けられているが、症例のうち低いパーセン
テイジ(約10%)は、家系性アルツハイマー症(FAD)のサブグループに属し
、その発症が早く、家系内に強く局在していて遺伝的病因であることが示唆され
る。
【0003】 ADは、脳内において、特に海馬および隣接する皮質において細胞外神経麻痺部
位が徐々に形成されることにより特定される神経変性性疾患である。AD研究にお
いては、1つの小さなペプチドが、長い間大きな注目を引きつけてきた。βアミ
ロイド(Aβ)として知られるものは、AD患者の脳に散在する“アミロイド斑”(
amyloid plaque)と呼ばれる異常構造の主要な成分である。アミロイド前駆体タ
ンパク質(APP)(2つの推定されるセクレターゼ(β−およびγ−セクレタ
ーゼ)により切断されてAβを放出させる)をコードする遺伝子における変異は
、この疾患のいくつかの遺伝的的症例を説明する(Chartier-Harlin ら,1991; G
oate ら, 1991; Murrell ら, 1991; Hendriks ら, 1992)。
【0004】 新たな遺伝子ファミリ、プレセニリン(presenilins) 家系性ADの早発性常染
色体支配的症例に関与するという1995年の発見は、この疾病機構の基本的な
理解も遠くはないという期待につながった(Levy-Lahad ら, 1995; Rogaev ら, 1
995; Sherrington ら, 1995)。in vivoおよび線維芽細胞の双方において、およ
び、FAD患者の血漿において、およびトランスジェニック動物および細胞株にお
いて、プレセニリン(PS)変異は残基42において終わるAβのロングフォームで
ある細胞外Aβ42の産生を特異的に増加させることが見出された(Borchelt ら,
1996, 1997; Duff ら, 1996; Sheuner ら, 1996)。Aβ42は、疾病過程において
その初期に、かつ選択的に沈着し、残基40で終わるAβ40と呼ばれるAβの優勢な
種よりも繊維発生性であることがin vitroにおいて示された(Jarret ら, 1993;
Mann ら, 1996)。
【0005】 一過性にまたは安定的にPSを過剰発現する細胞について観察されるデータに基
づき、PSのプロアポトーシス的挙動の報告がいくつか記述されている(Deng ら,
1996; Vito ら, 1996; Wolozin ら, 1996; Janicki ら, 1997; Kim ら, Science
1997, 277: 373-376; Loetscher ら, 1997)。PS2の過剰発現は、ニューロンの
アポトーシスの刺激を受けやすくさせ、このためニューロンの死滅を生じさせる
(Kim ら, Science 1997, 277:373-376)。 プレセニリンは、制御されたタンパク質質分解を受けて正常なN−末端(NTF
)フラグメントおよびC−末端フラグメントへ開裂する。これらのフラグメント
は、それぞれ、それらのサイズが約21−28kDa(PS1NTF)、28−30kDa(PS2 NTF
)、16−24kDa(PS1CTF)、および約20−25kDa(PS2CTF)である(Okochi ら, 19
97; Haas ら 1998; Kim ら, Science 1997; Thinakaran ら, 1996; Podlisny ら
, 1997)。
【0006】 さらに、PSタンパクは、アポトーシス過程の後期において活性化後カスパーゼ
(caspase)3プロテーゼファミリー(CPP32)メンバーの基質を構成し、選択的フ
ラグメントへと開裂する(Kim ら, Science 1997, 277, 373-376; Loetscher ら,
1997)。Kim等(Science 1997, 277:373-376)によれば、PS2のこれらの選択的(al
ternative)フラグメントは、20kDaのCTFおよび34KDaのNTFである。我々のと
ころでは、PS2のCTFのこの選択的CTFフラグメントは、分子量が16kDaであり、こ
のためその後CTF16と命名された。正常なタンパク質分解性PS2開裂の切断領域は
、Met298とAla305との間に存在するexon 10の遠位領域(最初exon 9といわれて
いた)内に位置するが、選択的切断が行われると思われる領域は、Asp326または
Asp329の後ろのexon 11によりコードされるPS2ループ内に位置している(Kim ら,
Science 1997, 277:373-376)。WO98/47917号およびKim等(Science 1997, 277:3
73-376)によれば、PS1を過剰発現する細胞におけるPS1(分子量45kDa)のポリ
ペプチドの切断は、23kDaの正常な内在性CTFおよび14kDaの選択的CTFを生成する
【0007】 今日までに、プレセニリンの切断につながるような酵素活性、いわゆるプレセ
ニリナーゼも、APPのC−末端フラグメントであるC99およびC83をAβへと
切断する酵素活性、γ−セクレターゼの活性も同定されていない。プレセニリン
は、γ−セクレターゼの活性のためのコファクターの可能性を有し、またはγ−
セクレターゼ活性を有する自己活性化アスパルチルプロテアーゼであることによ
りγ−セクレターゼそれ自体である可能性がある。(Wolfe ら, 1999)。あるいは
、プレセニリンは輸送タンパク質であり、基質APP−C99およびC83を推
定されているγ−セクレターゼによりそれらが切断される細胞区画へと輸送する
可能性がある。 これらのタンパク質分解フラグメントは、プレセニリンの生物学的に活性形態
であるということの証拠がある(Thinakaran ら, 1996; Podlisny ら, 1997)。し
たがって、上述したタンパク質分解フラグメントがプレセニリンの活性形態を構
成するのであれば、これらはまたγ−セクレターゼ活性に直接的または間接的に
関与し、したがってAβの形成に関与するかもしれない。
【0008】 内在性プレセニリンタンパク質のレベルは、これらのタンパク質分解フラグメ
ントのみから構成されている。“定常状態”においては、PS−タンパク質は、完
全長では存在しないので、このことは完全長プレセニリンが発現すると直後に安
定なフラグメントへと切断されることを示すものである。プレセニリンの過剰発
現のため、タンパク質分解フラグメントのレベルは、飽和レベルとなるまで増大
する。この飽和レベルを超える場合には、もはやタンパク質分解は起こらず、完
全長のタンパク質が検出される。すなわちプレセニリンを過剰発現している細胞
において、過剰発現の程度に応じて完全長タンパク質の他にフラグメントも検出
される。しかしながら完全長PSの増加は完全長PSの(例えば、タンパク質分解
経路における)分解を増加させ、最終的には完全長PSの量を減少させるかもしれ
ない(Steiner ら, 1998も参照)。 マウスにおけるPS1遺伝子の欠失は、PS1 1−ノックアウトマウス胚から得ら
れたニューロンでのAβ切断を著しく低減させる(De Strooper, B. ら, 1998)。
【0009】 現在では、神経変性性疾患、特に特定のADには対症療法しか存在しない。しか
しながら、これらの疾患の病理学と協同できる疾患改善療法は存在しない。現在
では、Aβの沈着、これに続く“アミロイド斑”の形成という病理を防ぐ療法は
存在しない。また、その後にアポトーシスを生じさせるかもしれない正常のまた
は選択的PSフラグメントによる神経細胞の死滅を防止するための療法上の方法は
全く存在しない。プレセニリンの生物学的な活性形態である上述したPSフラグメ
ントの生成を抑制するとともに、それに続くAβの沈着を防止することは、プレ
セニリナーゼの活性を低減するか、または排除することにより達成できる。プレ
セニリナーゼの活性を低減するか、または排除することは、完全長タンパク質の
増加および生物学的に活性なフラグメントの減少と共に行ってよく、これにより
Aβの減少および/または細胞のアポトーシスによる死滅を防止することができ
る。したがって、上述したプレセニリナーゼは、神経変性性の疾患、特にADにお
ける治療のための良好な標的である。したがって、上述したプレセニリナーゼ活
性を低減または排除することができる高い特異性を有する物質を開発することが
必要とされている。加えて、上述した方法を用いてプレセニリナーゼ活性を特異
的に阻害することが可能な物質を見出すこと、およびこれらの物質を神経変性性
の疾患、特にADの治療に使用することが重要である。
【0010】 WO97/41443号は、PS1の18kDaおよび28kDa種へ分解の測定を含むPS1の切断を阻
害するか、または調節する化合物を同定するためのスクリーニング法を開示して
いる。 WO98/47917号は、選択的切断による20kDaのPS2-CTFフラグメント、および上述
のフラグメントに特異的な抗体、および、タンパク質分解的にPS2をプロッセシ
ングする細胞に対して化合物を与え、前記細胞中での前述のフラグメントを測定
することを含む、PS2のタンパク質分解的プロセッシングを阻害する化合物スク
リーニングするための方法を開示している。 WO97/27296号は、プレセニリン−相互作用タンパク質S5a、GT24、p0071、Rab11、
レチノイドXレセプター−β、細胞質シャペロニン、Y2H35、Y2H171、Y2H41を開示
している。 したがって、従来技術は、特異的なPSフラグメントの測定を開示するものに
すぎず、レポーターに融合された完全長プレセニリンの測定を開示するものでは
ない。さらには、プレセニリナーゼの活性を低減するか、または排除することが
可能な物質を開示するものではない。 従って、本発明が解決しようとする課題は、レポーターに融合された完全長プ
レセニリンの測定を含む、プレセニリナーゼ活性を低減させるかまたは排除する
ことができる物質を同定するための方法を提供すること、および前記物質を提供
することを目的とする。 (発明の概要) 上述した技術的問題は、請求項および詳細な説明により特徴付けられる態様に
より解決される。従来技術における上述した不都合は、請求項および詳細な説明
に記載の本発明により解決される。 本発明は、プレセニリナーゼの活性を低減させるか、または排除することが可
能な物質を同定するための方法に関連し、上述したプレセニリナーゼ活性を発現
するように細胞または細胞株が培養され、完全長プレセニリン1またはプレセニ
リン2とレポーターとを含有する融合タンパク質が測定される。本発明は、さら
に上述した方法で同定できる物質、前記物質を含む医薬組成物、および神経変性
性疾患、好ましくはアルツハイマー症の治療のための医薬の製造に前記物質を使
用することに関する。
【0011】 (発明の好適な実施例の詳細な説明) 本発明は、プレセニリナーゼの活性を減少させるか、または排除することを可
能とする物質を同定する方法に関する。本発明の方法は、細胞または細胞株を培
養して、上述したプレセニリン活性および融合タンパク質を発現させることを含
み、この融合タンパク質は、完全長プレセニリン1またはプレセニリン2とレポ
ーターとを含有するものであり;試験物質とともに前記細胞または細胞株をイン
キュベーションし、レポーターを用いて完全長融合タンパク質の量を測定し、前
述したステップにより得られた完全長融合タンパク質の量を、コントロールにつ
いて測定された完全長融合タンパク質の量と比較することを含む。したがって、
プレセニリナーゼの活性を低減するか、または排除することができる物質の非存
在下、すなわち試験物質が所望する効果を有していない場合には、プレセニリン
は、フラグメントへと切断され、したがってレポーターに結合した完全長タンパ
ク質は全く観測されない(図15参照)。本発明の方法の2つの特定の実施例は
実施例2および実施例3に開示されるが、これらは本発明を制限するものと解し
てはならない。
【0012】 本発明において用いるプレセニリナーゼの活性とは、いかなる酵素(例えば、
プロテアーゼ)の活性、またはタンパク質の活性、または上述したプレセニリン
を切断することが可能な化学物質の活性をいう。プレセニリナーゼの上述した活
性は、したがってタンパク質分解性の制限された、または選択的切断によるフラ
グメントを発生させる能力をいう。好ましくは、上述したプレセニリナーゼ活性
はプレセニリンの制御されたタンパク質分解性切断フラグメントへの分解につな
がり、例えばPS2の切断はMet298とA1a305の間のexon10遠位領域(最初はexon9と
呼ばれていた)内部である。好ましくは、プレセリニナーゼのこの活性はまた、
プレセニリンの自己触媒的な切断活性でもあり、プレセニリンそれ自体が、別の
酵素または物質の活性なしにフラグメントを生成させる。好ましくは、プレセニ
リンはγ−セクレターゼ活性を有しているかもしれない証拠があるので、プレセ
ニリナーゼのこの活性はγ−セクレータゼの活性でもあるかもしれない。
【0013】 上述した融合タンパク質を発現するための核酸構築物でトランスフォームされ
る適切な細胞または細胞株、好ましくは真核細胞または真核細胞株は、当分野に
おける熟練者に知られているいかなるものであってもよく、特に神経学および神
経生物学研究において使用される細胞または細胞株とすることができる。本発明
のトランスフォームされた細胞株を製造するために用いることができる細胞とし
ては、ほ乳動物細胞または細胞株(例えば、細胞株H4,U373,NT2,ヒト胎児腎臓(
HEK)293、PC12、COS、CHO、繊維芽細胞、骨髄腫細胞、神経腫細胞、ハイブリド
ーマ細胞、卵母細胞、胚性幹細胞)、昆虫細胞株(例えば、pPbacまたはpMbac(S
tratagene, La Jolla, CA)といったバキュロウイルスベクターを使用する)、酵
母(例えば、pYESHIS(Invitrogen, CA)のような酵母発現ベクターを使用する)
、および真菌を挙げることができる。
【0014】 真核細胞における発現を達成するために、人工的なプロモータエレメントの制
限下でプセリニンヌクレオチド配列の誘導発現を可能とする(例えば、LacSwitc
h発現ベクター、Stratagene, La Jolla、またはtTA-レスポンスプラスミドpUHD1
0-3, Gossen and Bujard, 1992)、またはコグネート(cognate)発現する(例え
ば、pcDNA3ベクター(Invitrogen, Chatsworh, CA))種々のベクターが開発され
ており、商業的に入手可能である。このようなプロモータエレメントは、しばし
ばCMVまたはSV40ウイルス遺伝子に由来するが、真核細胞内で活性な他の強力な
プロモータエレメントもまた、プレセニリンヌクレオチド配列の転写を誘導する
ために用いることができる。
【0015】 典型的には、これらのベクターはまた、人工的なポリアデニレーション配列お
よび3’UTR(未翻訳領域)を含んでいて、これらはまた外因性ウイルス遺伝子
配列から、または他の真核生物遺伝子に由来してよい。さらには、いくつかの構
築物においては、人工的な、コードされていないスプライシング可能なイントロ
ンおよびエクソンがベクターに含まれていて、注目しているヌクレオチド配列(
この場合には、プレセニリン配列である)の発現を向上させている。これらの発
現システムは、一般に市販の供給元から入手可能であり、pCDNA3およびpZeoSV(I
nvitrogen, SanDiego, CA)といったベクターにより類型化される。これらのベク
ターは、両方ともトランスフェクトしたCOS, CHO, PC12細胞(Levesque ら, 1996
)におけるプレセニリンタンパク質の発現を生じさせるために良好に使用するこ
とができた。構成的にまたは所定の外因性刺激に晒した後(例えば、テトラサイ
クリンの除去またはIPTGへの曝露)に、多かれ少なかれいかなる所望する細胞タ
イプにおいてもいかなる所望するプレセニリン転写物の発現を可能とするための
商業的に入手可能な、およびカスタム設計された、無数の発現ベクターが商業的
供給源から入手可能である。
【0016】 ベクターは、レシピエントまたは“宿主”細胞へと、当技術分野において良く
知られている方法により導入することができ、その方法には例えば、リン酸カル
シウムトランスフェクション、リン酸ストロンチウムトランスフェクション、DE
AEデクストラントランスフェクション、電気泳動、リポフェクション(例えば、
Dosper Liposomalトランスフェクション試薬、Boehringer Mannheim, Germany)
、マイクロインジェクション、マイクロ−ビーズ上のバリスティックインサーシ
ョン(ballistic insertion)、プロトプラスト融合、またはウイルスまたはファ
ージベクターについては、組み換えウイルスまたはファージによるインフェクシ
ョンが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0017】 本発明の融合タンパク質は、レポーター(後述する)をコードする核酸に結合
した完全長プレセニリン1(PS1)またはプレセニリン2(PS2)をコードする核
酸によりコードされるタンパク質であり、当技術分野における習熟した者に知ら
れている標準的な方法にしたがって、上述したように細胞株において発現される
(Sambrook ら, 1989をも参照)。本発明において用いる“完全長”とは、後述
する完全なプレセニリンおよびその遺伝子をいい、またその遺伝子の変異体をも
含むものである。したがって、“完全長”とはまた、例えば1-100アミノ酸また
は1-300のヌクレオチドのN−末端欠失を有するプレセニリンまたはその遺伝子
をもいい、これらは、例えば、後述するような融合構築物のクローニングの際に
生じる。本発明において理解される“完全長”は、制御されたまたは選択的切断
のフラグメントには関連しない。上述した融合タンパク質はまた、例えばプレセ
ニリン(PS)とレポータおよび/または構築物の5'または3'末端との間に配置さ
れた、1つまたはいくつかのリンカー若しくはスペーサ分子を含んでいても良い
。上述したリンカまたはスペーサ分子としては、好ましくは2-50アミノ酸長のペ
プチド、またはプレセニリンをレポーターに結合させることができる化学物質、
またはプレセニリンとレポーターとの間を所定の間隔に保持して両方の分子を適
切に機能させるとともに、立体的障害を生じさせない化学物質を挙げることがで
きる。好ましくは、レポーターは、PSのN−末端に下記の方法のうちの1つによ
り融合される。 (i)プレセニリンタンパク質におけるアミノ酸欠失を伴うまたはアミノ酸欠失
を伴わない、PSのN−末端への直接融合、または (ii)プレセニリンタンパク質におけるアミノ酸欠失を伴うまたはアミノ酸欠
失を伴わない、レポータータンパク質とプレセニリンN−末端との間のスペーサ
(2-50アミノ酸)によるN−末端への融合、または (iii)図15に示すように(上側のセクション)、プレセニリンタンパク質
におけるアミノ酸欠失を伴うまたはアミノ酸欠失を伴わない、プレセニリンタン
パク質のN−末端中への融合。
【0018】 本発明の上述した融合タンパク質は、好ましくは下記構築物のうちの1つによ
りコードされる。したがって、好ましい態様においては、レポーターをコードす
るDNAは、下記方法のうちの1つにおいて完全長PSをコードするDNAのN−末端へ
と融合される。 (i)プレセニリン遺伝子におけるヌクレオチド欠失を伴うまたはヌクレオチド
欠失を伴わないPSのN−末端への直接融合、または (ii)プレセニリン遺伝子におけるヌクレオチド欠失を伴うまたはヌクレオチ
ド欠失を伴わない、レポーター遺伝子とプレセニリンN−末端との間のスペーサ
(6-150アミノ酸)によるN−末端への融合、または (iii)発現タンパク質について図15に示したように(上側のセクション)
、プレセニリン遺伝子におけるヌクレオチド欠失を伴うまたはヌクレオチド欠失
を伴わないプレセニリンのN−末端中への融合。
【0019】 それぞれヒトの14番染色体(PS1)および1番染色体(PS2)にマッピングされ
る、PS1およびPS2の転写物をコードする遺伝子、および遺伝子産物PS1およびPS2
遺伝子産物は当技術分野において知られたものである。本発明において使用され
る用語“プレセニリン1遺伝子”または“PS1遺伝子”とは、Shgerrington ら(1
995)により最初に開示され記載されたほ乳類遺伝子を意味する。用語“プレセニ
リン2遺伝子”または“PS2遺伝子”とは、米国特許第5840540A号においてはじ
めて開示され記載され、後にRogaev ら(1995) および Levy-Lahadら (1995)およ
びWO96/34099A1(全体が引用により本明細書に含まれる)に記載されたほ乳動物
遺伝子を意味し、いかなる対立遺伝子変異体および異種特異的ほ乳動物ホモログ
をも含む。WO96/34099A1に開示されるているように更なるヒトスプライシング変
異体が発見されており、そこではある転写物において単一のコドンまたは33の残
基をコードする領域がスプライスアウトされているであろう。用語“プレセニリ
ン−2遺伝子”または“PS2遺伝子”は、主にコーディング配列をいうが、また
フランキング制限領域および/またはイントロン(intron)のいくつかまたはすべ
てを含むこともある。用語PS2遺伝子は、特にcDNAまたはゲノムDNAから形成さ
れる人工的または組換え遺伝子を含み、スプライシング変異体に基づく組み換え
遺伝子を含む。プレセニリン2遺伝子はまた、E5-1遺伝子(例えば、米国特許第58
40540A)またはSTM2遺伝子(例えば、Levy-Lahad ら., 1995)とも言われる。
【0020】 本発明のコントロールは、後述する細胞または細胞株を上述した試験物質とと
もにインキュベーションせずに本発明の方法を使用して実験をセットアップした
ものとすることができる。コントロールはまた、上清において測定されたプレセ
ニリンフラグメントに結合したレポーターの量とすることができる。上述したコ
ントロールは、次に固体支持体に結合したプレセニリンとレポーターの完全長融
合タンパク質の量に比較される。このようなコントロールの限定されない例は、
後述する実施例2に開示されている。上述したコントロールは、本発明の方法を
較正するためにも用いることができる。本発明の方法のためのコントロールまた
はスタンダードを与える更なる方法は、この技術分野におけるエキスパートに知
られており、本発明に包含されるものである。
【0021】 良く知られたレポーター遺伝子は、いかなるものでも完全長プレセニリン遺伝
子に機能可能に接続でき、本発明による細胞株において発現させることができる
。 適切なレポーター遺伝子としては、例えば大腸菌βガラクトシダーゼ(β-gal
, Luban and Goff, 1995)、キサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェ
ラーゼ(Chu and Berg, 1985)、ガラクトキナーゼ(Schumprliら, 1982)、インタ
ーロイキン−2(Cullen, 1986)、チミジンキナーゼ(Searleら, 1985)、アルカリ
ホスファターゼ(Toh ら、 1989; Henthornら、1988)、分泌型アルカリホスファ
ターゼ(SEAP)、または分泌型胎盤アルカリホスファターゼ(Bergerら, 1988)およ
びクロラムフェニコール−アセチルトランスフェラーゼ(CAT, Alton and Vapnek
, 1979, Gorman ら., 1982; Tsangら., 1988)、バイオルミネッセントジェリー
フィッシュから製造される緑色蛍光タンパク質(Chalfie ら, 1994)、青色蛍光タ
ンパク質(BFP)といったそれらの誘導体、ホタルルシフェラーゼ(deWetら, 1987,
Engebrecht and Silverman, 1984)を挙げることができる。これらおよび他の多
くの有用なレポーター遺伝子は、商業的な供給元から入手することができる。
【0022】 レポーター酵素のようなレポーター遺伝子の発現産物は標準的な方法を使用し
て測定することができる。例えば、インターロイキン−2といった生物学的に活
性なタンパク質についてはバイオアッセイを行うことができる。レポーター遺伝
子産物がアルカリホスファターゼまたはβ−ガラクトシダーゼといったレポータ
ー酵素である場合に酵素アッセイを行うことができる。あるいは、競合的イムノ
アッセイ、直接イムノアッセイ、間接イムノアッセイといった種々のイムノアッ
セイを使用することができる。これらのイムノアッセイは、レポーター遺伝子産
物と測定可能な“レポーター”または“ラベル”との免疫複合体形成を含む。本
発明において使用する用語“レポーター”とは、蛍光色素および放射ラベルのよ
うな直接的に検出できる部分、および、検出できるように反応させるかまたは誘
導体化される酵素といった部分を含む。したがって、本発明における用語“レポ
ーターの使用”または“レポーターの検出”とは、当技術分野において知られて
いる標準的な方法によりレポーター遺伝子の上述した発現産物の直接的または間
接的な検出をいう。レポーターの上述した検出の例としては、レポーター酵素の
基質または基質反応産物の測定、またはルミネッセンスといったレポーター遺伝
子産物により放出される光線の検出、レポーター酵素の活性による着色した基質
または基質反応産物の検出、およびレポーター遺伝子産物の活性による放射線の
検出を挙げることができる。
【0023】 競合的イムノアッセイにおいては、誘導された培養物からのサンプル(レポー
ター遺伝子が分泌されていない場合には、細胞の破壊の後)がレポータ−遺伝子
産物に対する抗体および既知の量のラベルされたレポーター遺伝子産物と共にイ
ンキュベーションされる。細胞により産生されたいかなる未ラベル産物も、抗体
への結合に関してラベルされた物質と競合する。得られる免疫複合体は分離され
、かつラベルされた複合体の量が測定される。細胞により産生されたレポーター
遺伝子産物は、観測された測定と標準曲線とを比較することにより定量される。
直接イムノアッセイは、レポーター遺伝子産物に対するラベルされた抗体と培養
サンプルをインキュベーションし、形成する一切の免疫複合体を分離することを
含んでいる。複合体内のラベルの量が測定され、標準曲線との比較により定量化
することができる。酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)も、例えば米国特許第466
5018号において記載されるように、良く知られた方法により行うことができる。
【0024】 使用する特定のレポーターは、使用するイムノアッセイのタイプに依存する。
使用できるレポーターの例としては、例えば32P、125I、3H、14Cのような放射ラベ
ル;フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル
およびウンベリフェロンといった蛍光レポーター;種々のルシフェリン化合物の
ような化学発光物質、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファ
ターゼ、リゾチーム、グルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼといった酵
素を挙げることができる。抗体またはレポーター遺伝子産物は、この場合には、
知られた方法により上述したラベルでタグ付けすることができる。例えば、アル
デヒド、カルボジイミド、ジマレイミド、イミデート、サクシンイミド、ビスジ
アゾ化ベンザジンその他は、蛍光、ケミルミネッセンス、または酵素ラベルによ
り抗体にタグを付けるために用いることができる 本発明において使用される遺伝子制御エレメントは、プラスミドpSV2Apap, pM
AMneo-CAT, pMAMneo-LUC, pSVOCAT, pBCO, pBLCAT2, pBLCAT3, pON1, pCH110, p
CH126,およびDe Wetら、1987に記載された種々のプラスミドを含む多くのレポー
ター遺伝子含有ベクターへ挿入することができるがこれらに限定されるわけでは
ない。
【0025】 好適な態様においては、本発明は、プレセニリナーゼがプレセニリン1に特異
的である、上述した方法に関連する。 別の好適な態様においては、本発明は、プレセニリナーゼがプレセニリン2に
特異的である、上述した方法に関連する。 別の好適な態様においては、本発明は、プレセニリナーゼの活性を低減または
排除することができる物質が、プレセニリンの自己タンパク質分解性切断を低減
または排除するものである、上述した方法に関連する。 したがって、別の好適な態様においては、本発明は、プレセニリナーゼの活性
を低減または排除することができる物質が、γ−セクレターゼの活性を低減また
は排除するものである、上述した方法に関連する。
【0026】 本発明の上述した方法によって見出された好適な物質は、より詳細に後述する
。 別の好適な態様では、本発明は、N−末端フラグメント(NTF)がサイズ約21-
28kDaであり、C−末端フラグメント(CTF)がサイズ約16-24kDaである(Haas ら
, 1998; Okochiら, 1997; Thinakaranら, 1996)という、制御されたタンパク質
分解性切断によるフラブメントへのプレセニリン1の開裂を前述の物質が阻害す
る前記方法に関連する。 本発明の別の態様では、本発明は、N−末端フラグメント(NTF)サイズが約2
8-30kDaであり、C−末端フラグメント(CTF)サイズが約20-25kDa(Haas ら, 19
98; Kimら, J. Biol. Chem. 1997, 272, 11006-11010; Podlisnyら, 1997)であ
るという制御されたタンパク質分解性切断によるフラグメントへのプレセリニン
2の開裂を前述の物質が阻害する前記方法に関連する。 当業者には知られているように、上述したフラグメントの正確なサイズは決定
できず、使用する方法(例えば、SDSポリアクリルアミドゲルおよびそれに使用さ
れるマーカータンパク質)に従ってわずかに変動するものである(1から4kDaまで
)。したがって、およそのサイズが示されているだけである。
【0027】 ここで理解されるように、制御されたタンパク質分解性切断フラグメントは、
プレセリナーゼによるプレセニリン切断産物であり(定義については後述する)
、カスパーゼ3プロテアーゼファミリ(CPP32)のメンバーによるものではない。本
発明によれば、制御されたまたは正常なタンパク質分解性切断のNTFフラグメン
トは、選択的切断のNTFよりも小さな分子量を有し(例えば、WO98/47917によれ
ば、PS2については、約30kDa(制御された)に対して、34kDa(選択的)である
)、制御されたまたは正常な切断のCTFは、より高い分子量を有する。 より具体的には、本発明は、レポータがプレセニリンのN−末端に融合された
ものである、上述した方法に関連する。
【0028】 さらなる側面においては、上述したように本発明は、“レポーターを使用した
完全長タンパク質の量の測定方法”が、プレセニリン1またはプレセニリン2の
C−末端部分、好ましくはC−末端部分のループ領域に特異的な抗体を固体表面
に固定化すること、培養後に上述した細胞または細胞株からタンパク質を抽出す
ること、このタンパク質抽出物を上述した抗体とインキュベーションすること、
レポーターを測定することにより、上述した抗体により結合された完全長融合タ
ンパク質の量を検出することを含む方法に関する。 より具体的には、本発明は、上述したステップにしたがって上述のタンパク質
抽出物をインキュベーションした後にレポーターを検出することにより、いかな
る未結合融合−タンパク質フラグメントも測定する、前述の方法に関連する。 より具体的には、本発明は、プレセリニナーゼの活性を低減させるまたは排除
する物質がまったく存在しない場合には、前記細胞または細胞株は完全長融合タ
ンパク質がほとんどまたは全く検出されないようなレベルで上述した融合タンパ
ク質を発現するものである、上述した方法に関連する。 より具体的には、本発明は、レポータがルシフェラーゼである上述した方法に
関連する。
【0029】 より具体的には、本発明は、高いスループットのスクリーニングアッセイ(HT
S)方法である、上述した方法に関連するものである。HTSとは、膨大な量の物質
を同時に試験することができる実験的セットアップに関する。好ましくは、上述
したHTSセットアップは、マイクロプレート上で行ってよく、さらに部分的にま
たは完全に自動化することができ、かつデータ記録、分析、バイオインフォマチ
ックスを利用した解釈のため、コンピュータのような電気デバイスとリンクさせ
ることもできる。好ましくは、上述した自動化は、大量のマイクロプレートを取
り扱うことができ、一日に数千の試験を行うことができるロボットを含むことが
できる。好ましくは、無細胞系において所望される阻害機能を示す試験物質はま
た、細胞ベースのシステムにおいても試験されるであろう。用語“HTS”はまた
、ウルトラハイスループットスクリーニングフォーマット(UHTS)を含む。好ま
しくは、上述したUHTSフォーマットは、384または1536ウェルのマイクロプレー
トを用いて、サブマイクロリットルまたはサブナノリットルのピペッター、およ
びエバポレーションに対応できる改善されたプレートリーダおよび手続を使用し
て行われる。HTS方法は、例えば、米国特許第5876946A号、または米国特許第5902
732A号に記載されている。当分野における熟練者であれば、上述の方法をHTSまた
はUTHSフォーマットへと、発明的段階を踏む必要なく適合させることができる。
【0030】 本発明によれば、上述した方法は、免疫学的、または分子生物学的、または生
化学的方法であってよい。免疫学的方法は、当業界におけるエキスパートに知ら
れており、ELISA(enzyme-linked immuno-sorbent assay)、またはサンドウイッ
チELISA、ドット−ブロット、イムノブロット、ラジオイムノアッセイ(Radioimm
unoassay; RIA)、拡散ベースのOuchterlony試験、ロケット免疫蛍光アッセイ、
またはウエスタンブロットを挙げることができるが、これらに限定されるもので
はない。免疫学的方法のための例としては、例えば、An Introduction to Radio
immunoassay and Related Techniques, Elsevier Science Publishers, Amsterd
am、オランダ(1986);Bullockら, Techniques in Immunocytochemistry, Acad
emic Press, Orlando, FL Vol. 1(1982), Vol. 2 (1983), Vol. 3 (1985);Tijs
sen, Practice and Theory of Enzyme Immunoassays: Laboratory Techniques i
n Biochemistry and Molecular Biology, Elsevier Science Publishers, Amste
rdam、オランダ(1985)を挙げることができる。
【0031】 分子生物学または生化学的方法は、当技術分野におけるエキスパートに知られ
ており、例えば、Sambrook ら, (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manu
al, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor、ニ
ューヨーク、およびBertrain, S. およびGassen, H. G. Genttechnische Method
en, G. Fischer Verlag, Stuttgart、ニューヨーク、(1991)に記載されている
ように、β-gal-, CAT-, SEAP-, GFP-, BFP-、またはルシフェラーゼアッセイ、
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、RT-PCR, Northern-またはSouthernブロット
といったレポーター遺伝子アッセイを挙げることができるが、これらに限定され
るものではない。 本発明は、さらに上述した方法で同定し得るプレセニリナーゼの活性を低減す
るか、または排除することを可能とする物質に関する。 本発明における用語“物質”とは、化学的、医薬学的、生化学的またはバイオ
テクノロジー的な物質を意味する。 好ましくは、本発明はさらに上述の方法で同定し得る物質に関し、この物質は
、 a)プレセニリナーゼの酵素活性を低減または排除することが可能な物 質、または b)プレセニリナーゼの発現を翻訳または転写レベルにおいて低減または排
除することが可能な物質、または c)プレセニリナーゼの基質の発現を低減または排除することが可能な物質
、または d)プレセニリンフラグメントの間での複合体の形成を低減または排除する
ことが可能な物質、 からなる群から選択される物質に関連する。
【0032】 本発明において用いる上述の方法で同定し得るa)の物質は、プレセニリナー
ゼの酵素活性をブロックすることによりプレセニリナーゼを直接阻害する。この
ような物質は、例えば、プロテアーゼまたはいわゆるアンチ酵素またはアンチザ
イムと呼ばれる、プレセニリナーゼを切断することができる別の酵素であるかも
しれない。このような物質には、さらに例えば基質アナログのようにプレセニリ
ナーゼの基質結合部位をブロッキングすることができるポリペプチドのような生
化学的な物質が含まれる。また、化学的な物質も含まれ、好ましくはプレセニリ
ナーゼがその酵素活性をもはや示さなくなるような方法においてプレセニリナー
ゼを化学的に修飾する、誘導体化剤のような物質を挙げることができる。同様の
機能を有する当技術分野において知られている他の物質もまた本発明に含まれる
【0033】 上述した方法で同定し得るb)の物質としては、プレセニリンの翻訳または転
写のいかなるインヒビターであってもよく、例えば、リボザイム、リファンピシ
ン(rifampicin)、またはクロラムフェニコールといった転写終結因子またはリプ
レッサーまたは翻訳阻害剤を挙げることができるが、これらのものに限定される
わけではない。 上述した方法で同定し得るc)の物質としては、プレセニリナーゼの基質の翻
訳または転写をブロックする物質であろう。このような物質としては、例えばPS
1またはPS2をRNAまたはDNAレベルで阻害する物質、例えば実施例1において開示
するリボザイム(RNAレベル、また図1および図4を参照)、または実施例4で
開示するPS1またはPS2の変異(DNAレベル、図13および図14を参照)を挙げ
ることができるが、これらのものに限定されるわけではない。 上述した方法で同定し得るd)の物質としては、プレセニリンフラグメントの
間の複合体形成を減少または排除することが可能な物質であろう。Steinerら(19
98)において開示されるように、プレセニリナーゼにより形成されるタンパク質
分解性のN−末端フラグメントおよびC−末端フラグメントは、会合して安定な
複合体を形成する。安定的に会合しないフラグメントは、分解される。したがっ
て、本発明のプレセニリナーゼの活性を低減するか、または排除することが可能
な化合物は、プレセニリンCTFとNTFとの間における上述した複合体の形成を低減
させるか完全にブロックすることが可能で、上述したフラグメントの分解を促進
させ、この結果Aβ沈着およびアミロイド斑を低減させることが可能な物質であ
ろう。
【0034】 上述したように、アポトーシスを発生させることになる正常のまたは選択的フ
ラグメントによる神経細胞死を防止するための治療方法はまったく存在しない。
プレセニリンの生物学的に活性な形態である上述したPSフラグメントの形成のを
抑制し、続いてAβの沈着を防止することは、プレセニリナーゼの活性を低減ま
たは排除することによって達成される。プレセニリナーゼの活性を低減または排
除することは、完全長タンパク質の増加、生物学的に活性なフラグメントの減少
と相俟って行われ、このためAβが低減でき、および/またはアポトーシスによ
る細胞の死滅を防止することが可能となる。したがって、別の好適な態様におい
ては、本発明は、プレセニリンフラグメントの量を低減させて神経細胞の死滅を
低減することが可能、および/またはAβの沈着を低減させることが可能、およ
び/またはアミロイド斑の形成を低減することが可能な上述した物質に関する。
【0035】 別の好ましい態様においては、本発明はプレセニリナーゼがプレセニリン1に
特異的である、上述した方法により同定し得る物質に関する。 別の好適な態様においては、本発明はプレセニリナーゼが、プレセニリン2に
特異的である、上述した方法により同定し得る物質に関する。 別の好適な態様においては、本発明は上述した物質であって、プレセニリンの
自己タンパク質分解的切断を低減または排除する物質に関する。驚くべきことに
、プレセニリンは、それ自体が自己タンパク質分解活性を有するかもしれないこ
とが見出された。さらに、プレセニリン1および2自体がAβの沈着を導くAP
PのC−末端フラグメントの切断を可能とするかもしれず、そのためそれ自体が
γ−セクレターゼまたはγ−セクレターゼのコファクターであるかもしれないこ
とが見出された。したがって、プレセニリンの自己タンパク質分解性切断を低減
または排除することが可能な物質は、プレセニリンフラグメントの存在によるア
ポトーシスの増加による神経細胞の死滅を防止することができ、またAβの沈着
を低減して、その後にアミロイド斑の形成を低減させることができるであろう。
【0036】 別の好適な態様においては、本発明はγ−セクレターゼの活性を減少させるか
、または排除する上述した物質に関する。 この態様の好ましい別の変形例においては、本発明は、プレセニリン1のN−
末端フラグメント(NTF)がサイズ約21-28kDaであり、C−末端フラグメント(C
TF)がサイズ約16-24kDaである制御されたフラグメントへのプレセニリン1の開
裂を防止する、上述した物質に関する。 この態様の好ましい別の変形性においては、本発明は、プレセニリン2のN−
末端フラグメント(NTF)がサイズ約28-30kDaであり、C−末端フラグメント(C
TF)がサイズ約20-25kDAである制御されたフラグメントへのプレセニリン2
の開裂を防止する、上述した物質に関する。 好ましくは、本発明は上述した方法で同定し得る物質であって、アンチセンス
-オリゴヌクレオチドまたはリボザイムである前記物質を含む。
【0037】 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、特異的mRNA分子の少なくとも一部に相補
的であるDNAまたはRNA分子である(Weintraub, 1990)。細胞においては、アンチ
センス核酸は、対応するmRNAとハイブリダイズし、二本鎖分子を形成する。細胞
が二本鎖mRNAを翻訳しないであろうから、このアンチセンス核酸はmRNAの翻訳を
阻害する。遺伝子のin vitroまたはin vivoでの翻訳(また動物モデルにおける
)を阻害するアンチセンス方法の使用は、当技術分野において良く知られている
(例えば、Marcus-Sekura, 1988)。アンチセンスコア核酸は、標的メッセージに
相補的な少なくとも10ヌクレオチドを含有しているであろう。上述したアンチ
センスオリゴヌクレオチドには、ペプチド核酸、ホスホジエステルアンチセンス
オリゴヌクレオチド、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドも含まれる(Boad
o RJ ら, 1998)。
【0038】 アンチセンス核酸は、例えば感染性因子(例えば、ウイルスなど)により細胞
内に導入されたような毒性体または遺伝子産物に関連したタンパク質の発現を阻
害するものとして当技術分野において記載されている。これらは、更に、WO9818
811A1に記載されているように、ADにおけるアミロイド前駆体のような変異型タ
ンパク質または優性に働く遺伝子産物の発現を阻害するために有効である。同様
に、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、神経変性性疾患または好まし
くはADまたはFADにおけるプリセリニリダーゼまたはプレセニリンの発現を阻害
するために用いることができる。
【0039】 本発明における用語“リボザイム”とは、標的RNAと特異的に相互作用するこ
とができ、所定の部位において非可逆的に標的RNAを切断することができるRNAを
いう。好ましくは、このリボザイムは、標的RNAに相補的ではない、触媒活性に
関与する中心配列(触媒ドメインまたは領域(a))と、標的RNAの2つの隣接
する配列に本質的に相補的である2つのフランキング配列(基質結合ドメインま
たはハイブリダイゼーション領域(b))とを含んでいて、塩基ペアリングによ
りリボザイムの結合を可能とし、標的RNAの選択的な切断を可能とする。 したがって、本発明によれば、上述のリボザイムは、触媒領域(a)と、少な
くとも1つのハイブリダイゼーション領域(b)とを含み、このハイブリダイゼ
ーション領域(b)は、本質的にプレセニリナーゼまたはプレセニリン遺伝子か
ら転写されるmRNAの領域に本質的に相補的である。
【0040】 本発明のリボザイムは、好ましくは、ハイブリダイゼーション領域(b)が触
媒領域(a)の側方に位置する(フランキング)2つのドメインから構成されて
おり、かつ本質的に標的核酸領域に相補的であることを特徴とする、プレセニリ
ナーゼまたはプレセニリン遺伝子により転写されるmRNAのすべてに選択的に結合
することができ、これらのRNAを選択的に切断し得る(ハンマーヘッドリボザイ
ムについての図1も参照)。 本発明における用語“本質的に相補的”とは、リボザイムと標的核酸領域との
間の相補性が高く、リボザイムが使用される条件下におけるハイブリダイゼーシ
ョンによるリボザイムの特異的結合および/または標的核酸領域の選択的切断が
可能であることを意味する。 本発明における“選択的切断”とは、例えば、プレセニリナーゼまたはプレセ
ニリン遺伝子のような標的遺伝子の発現が、所望する療法的効果を達成できる程
度まで抑制されることを意味する。
【0041】 本発明における細胞内でのリボザイムによる遺伝子発現の選択的な阻害は、 したがって標的遺伝子が非可逆的に損傷をうけるか、または排除されることを意
味するものではない。寧ろ、リボザイムの使用は、上述した遺伝子の翻訳を有利
に選択的に阻害できるだけである。標的RNAに結合し、切断によりそれらを不活
性化させるというリボザイムの特性は、HIV-RNAの特異的な阻害の場合について
何回か成功裡に示されている(Lisziewicz ら, 1993; Yuら, 1993; Morgan and
Anderson, 1993; Yamadaら, 1994). 上述したリボザイムはまた、下記一般式で示すことができる。 (b) (a) (b) 5’ [N3-20] [CUGANGARN0-30SGAAA] [N3-20] 3’, 上記式中、Nは、C,G,AまたはUであり、Rは、プリンであり、Sは、ピリミジンであ
り、配列(a)の中心領域N0-30は、例えば炭化水素鎖といった核酸とは異なる
リンカーにより置き換えることができる(Thomsonら, 1993)。
【0042】 触媒領域内の保存ヌクレオチドは、触媒効果のために本質的であるが、下記方
法により、当業者によれば随意に変更することができ(Joyce, 1992,; Yuan and
Altman, 1994)、リボザイムの有効性および選択性に対して適切に影響を与える
ことができる。ハイブリダイゼーション領域(b)(N3-20)の長さは、多くの
要因に依存し、切断されるRNAへの充分なハイブリダイゼーションが選択された
条件下(温度、イオン環境)で達成でき効果的な切断が可能であるが、標的RNA
と非標的RNAとの間の相違が切断モチーフ自体を含まない場合には、非標的RNAに
は充分なハイブリダイゼーションは起こらないように選択される。ハイブリダイ
ゼーション領域の長さの選択は、したがって、例えばRNAのGC含有量および標
的RNAと非標的RNAとの間において相違するヌクレオチドの数に依存する。5’ハ
イブリダイゼーション領域および3’ハイブリダイゼーション領域の長さは等し
いことが好ましいが、例えば3ヌクレオチドおよび20ヌクレオチドのように非
対称であってもよい。ハイブリダイゼーション領域(b)の全長は、12〜30
ヌクレオチドである。
【0043】 本発明のリボザイムは、ハンマーヘッド、ヘアピン、またはアックスヘッドリ
ボザイムとすることができる。ハンマーヘッドリボザイムの構造は、当業者によ
れば一般に知られており、例えばSymons (1992)、およびRossi(1993)に記載され
ている。後述するように、熟練した作業者は、目的とする用途における有効性お
よび基質特異性といった点で最適な結果が得られるように、触媒構造を改変する
ことができる。
【0044】 ヘアピンリボザイムは、最初TRSV(タバコリングスポットウイルス)サテライ
トRNAのマイナス鎖の一部として同定されていた。その後、これらのリボザイム
が、ハンマーヘッドリボザイムの機能と同様の作用機序により、効果的に標的RN
Aをtransに切断できることが示された。基質結合および触媒効果に関与する領域
は決定されており、不変的構造または配列モチーフが特徴付けられている。標的
RNAの切断モチーフは、N'GNPy(Nは、G,C,UまたはAであり、Pyは、CまたはUである)
(例えば、Rossi, 1993, and Hampelら, 1990を参照)である。当分野において
説明されている効果的な切断に必要なヘアピンリボザイムの構造および配列およ
び標的RNAの切断モチーフの要求に基づいて、熟練した作業者は、標準的な技術
を使用して所望する特性を有するリボザイムを構成することができる。
【0045】 アックスヘッドリボザイムは、最初、肝炎デルタウイルスのゲノムおよびアン
チゲノムRNAの一部として同定された。ここでもtransに切断を行うために必要な
最小の配列および/または構造を決定することができ、ハンマーヘッドおよびヘ
アピンリボザイムについて上述したようにして、当業者は当分野において説明さ
れているデータに基づいて、本発明の目的に必要とされる特性を示すアックスヘ
ッドリボザイムを構成することができる(例えば、Been, 1994, and Wu ら, 1993
)。 上述したリボザイムはまた、プレセニリナーゼ−またはプレセニリン特異的リ
ボザイムを含む融合−リボザイム、およびその5’末端を前記プレセニリナーゼ
−またはプレセニリン−特異的リボザイムの3’末端と融合させた自己触媒ハン
マーヘッド−リボザイムであってよい。 関連する高い特異性のリボザイムで決定された標的配列は、触媒領域を採用す
ることにより触媒活性が著しく増加することが可能となることが見出されている
(Kiozumi ら, 1989, Koizumi and Ohtsuka, 1992)。キネティックスデータが低
すぎるリボザイム効率を示す場合には、当業者によれば、そのリボザイム構造を
、充分に確立されたin vitro進化プロセスにより最適化させることができる(Jo
yce, 1992; Yuan and Altman, 1994)。
【0046】 本発明によれば、リボザイムは、保持時間を延長し、標的部位、例えば患者の
所定の細胞内におけるリボザイムの有効性を向上させるようにヌクレアーゼに対
する抵抗性を得るべく改変することができる。さらに、適用されるリボザイムの
量および、あるならば関連する副作用は、低減できる。 上述した改変の例は、2'-H、2'-O-メチル、2'-O-アリル、2'-フロロ、2'-アミ
ノ基によるリボースの2'-OH基の置換(Paolella ら, 1992 and Pieken ら, 1991)
、または例えば1つまたは2つの酸素原子をイオウ原子で置換することによるホ
スホジエステル化合物の改変(リン酸チオエートまたはリン酸ジチオエート;Ec
kstein, 1985, and Beaton ら, in: Eckstein, F. (ed) Oligonucleotides and
analogues- A practical approach-, オックスフォード、JRLプレス(1991), 109
-135、またはメチル基による置換(メチルホスホネート;Miller, loc. cit., 1
37-154)を挙げることができる。さらなる改変としては、ポリ-L-リジン、ポリ
アルキル誘導体、コレステロール、またはPEGでのRNAのコンジュゲーション
を挙げることができる。好ましくは、本発明のリボザイムは、少なくとも1つの
上述したリン酸改変および/または少なくとも1つの上述したリボース改変を含
む。
【0047】 加えて、本発明は、上述した物質および医薬学的に許容されるキャリアとを含
む医薬組成物に関連する。本発明における用語“医薬学的に許容可能なキャリア
”とは、医薬製造分野において使用される慣用的な医薬学的賦形剤または添加剤
を意味する(Remingtonの製剤科学(1980)を参照)。
【0048】 上述した本発明の医薬組成物は、遺伝子療法のために用いられる本発明の物質
を含むベクターを含むことができ、かつ医薬組成物の標的化デリバリーのための
コロイド分散系またはリポソームを含んでいても良い。好適なベクターとしては
、プラスミド、ウイルス(ファージを含む)、および組込み可能なDNAフラグメ
ント(すなわち、組換えにより宿主ゲノムへと組込ませることができる)を挙げ
ることができる。同様の機能を提供するまたは、提供できるようになる当分野に
おいて知られているまたは知られ得るすべての形態のベクターは、本発明におい
て使用するのに好適である。 好適なベクターは、所望の発現宿主と共存できる種に由来するレプリコンおよ
び制御配列を含んでいる。
【0049】 アンチセンスポリヌクレオチドのための標的化されたデリバリーシステムの1
つの例としては、上述したコロイド分散系を挙げることができる。コロイド分散
系には、巨大分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフィアー、ビーズ、オイル
−イン−ウオーターエマルジョンを含むリピッドベースシステム、ミセル、混合
ミセル、リポソームまたはリポソーム製剤が含まれる。本発明の好ましいコロイ
ド系は、リポソームである。リポソームは、人工的なメンブレンベヒクルであり
、in vitroおよびin vivoでのデリバリーベヒクルとして有用である。これらの
製剤は、正味で正、負、および中性の電荷特性を有していてよく、in vitro, in
vivo, ex vivoデリバリー方法において有効な特性を有している。0.2〜4.0μm
のサイズにわたる大きな単一ラメラベヒクル(LUV)は、巨大分子を大量に含
む水性バッファーをかなりのパーセンテージとしてカプセル化することができる
ことが見出された。RNA、DNAおよびインタクトなビリオンは水性の内部にカプセ
ル化することができ、生物学的に活性な形態において細胞へとデリバリーするこ
とができる(Fraley,ら, 1981)。ほ乳動物細胞に加えて、リポソームは、植物
、酵母、バクテリア細胞内ヘのポリヌクレオチドのデリバリーのために使用する
ことができる。リポソームが効果的な遺伝子トランスファーベヒクルであるため
には、下記の特性が存在しなければならない:(1)生物学的な活性を損なうこ
となく高い効率で関心のある遺伝子をカプセル化できること、(2)非標的細胞
に比較して標的細胞に対して優先的および多量に結合すること、(3)ベヒクル
の水性内容物を、標的細胞の細胞質へと高効率でデリバリーできること;(4)
遺伝的情報を正確にかつ効果的に発現すること(Mannino, 1988)。
【0050】 リポソームの組成は、通常リン脂質の組み合わせ、特に高い相転移温度のリン
脂質、通常ではステロイドとの組み合わせ、特にコレステロールとの組み合わせ
である。別のリン脂質または他の脂質を使用することもできる。リポソームの物
理的特性は、pH、イオン強度、および2価カチオンの存在に依存する。 本発明の医薬組成物は、上述したベクターを、裸の“遺伝子発現ベクター”と
して含んでいても良い。これは、構築物がデリバリーベヒクル(例えば、リポソ
ーム、コロイド粒子など)と会合していないことを意味する。裸のDNAベクター
の主要な利点の一つは、ベクター自身により刺激される免疫レスポンスがないこ
とである。 本発明はまた、神経変性性疾患の治療のための医薬の製造における上述した物
質の使用に関連する。 好ましくは、本発明はまた、アルツハイマー疾患の治療のための医薬の製造に
おける上述した物質の使用に関連する。 最も好ましくは、本発明は、家系性アルツハイマー疾患の治療のための医薬の
製造における上述した物質の使用に関連する。 神経変性性疾患としては、アルツハイマー症(AD)、パーキンソン氏病、ハン
チントンの舞踏病、および発作を挙げることができるが、これらに限定されるも
のではない。
【0051】 用語“アルツハイマー症(AD)”とは、脳内、特に海馬およびそれに隣接する皮
質において細胞外に神経炎性斑が徐々に形成されることにより特徴づけられる神
経変性性の疾患をいう。アルツハイマー症の症例の多くは、発症が遅く、明らか
な遺伝的関連性はなく、散発性として特徴付けられる。用語“家系性アルツハイ
マー症(FAD)”は、症例のうち、パーセンテージの小さい(約10%)ADのサブ
グループであり、発症時期が早く、家系内に強く局在化していて、遺伝性病因を
示唆するものをいう。 後述する実施例は、本発明をさらに説明するためのものであり、本明細書にお
いて開示された発明の範囲を制限するものと解してはならない。実施例1は、リ
ボザイムによりRNAレベルでのプレセニリナーゼ基質の減少または排除により、
プレセニリナーゼの活性を低減または排除する方法を例示する。実施例2は、プ
レセニリナーゼの活性を低減するかまたは排除することが可能な物質または複数
の物質を同定する方法を示す。実施例3は、プレセニリナーゼの活性を低減する
かまたは排除することが可能で、N−末端とC−末端のPSフラグメントの間にお
いて安定した複合体が形成されるのを低減、または排除することができる物質ま
たは複数の物質を同定する方法を示す。実施例4は、プレセニリナーゼの基質を
変異させることによる、プレセニリンフラグメントおよびAβの形成を低減また
は排除する方法を示すものである。
【0052】 (実施例) (実施例1)−リボザイムによるRNAレベルでのプレセニリナーゼ基質の減少
または排除によりプレセニリナーゼの活性を低減または排除する方法。
【0053】 本実施例は、物質、特にPS2特異的RNAを切断するリボザイムによりRNAレベル
においてプレセニリナーゼ活性を低減または排除することを示したものである。
したがって、上述したリボザイムは、プレセニリナーゼ基質、完全長PS2を低減
または排除して、プレセリニナーゼ活性および神経変性性の疾患、好ましくはAD
の病理に関連するプレセニリンフラグメントの発生を低減または排除するもので
ある。
【0054】 一般的方法 cDNA構築物 ヒト野生型(wt)PS2 cDNA(Science 269:937-977, 1995)。 ヒトPS2 cDNAのN141V変異を部位特異的変異導入(Stratagene)により形成させた
。両方の完全長PS2 cDNA配列を、tTA-レスポンスプラスミドpUHD10-3(Gossen a
nd Bujard, 1992)のEcoRI制限部位にクローン化して、テトラサイクリン−制御
発現ベクターpHUD10-3/PS2wtおよびpUHD10-3/PS2mutを、細胞中での誘導性発現
のために作製した。297bp PS2.NcoIcDNAフラグメント(EMBLデータバンク、Acces
sion No. L43964によるnts. 960-1257)を、pBluescriptII/SK+プラスミド(pBSK
+/PS2.NcoI)へとクローン化して、in vitro転写に使用した。
【0055】 オリゴヌクレオチド配列リボザイム配列 rz 1173/13.3 5’-UUCUUUGGCUGAUGAGGCCGUGAGGCCGAAACACAGCG-3’; rz 1173/12 5’-CUUUGGCUGAUGAGGCCGUGAGGCCGAAACACAG-3’; rz 1173/9 5’-UUGGCUGAUGAGGCCGUGAGGCCGAAACAC-3’; rz 1173/11.12 5’-CUUUGGCUGAUGAGGCCGUGAGGCCGAAACACAA-3’; as 1173/12 5’-CUUUGGCUGAUUCGGCCGUGAGGCCGAUACACA-3’; rz 232/15.1 5’-UGGUUUUUCUGAUGAGGCCGUUAGGCCGAAACACGUCG-3’; rz 232/12 5’-GUUUUUCUGAUGAGGCCGUUAGGCCGAAACACGU-3’; rz 232/10 5’-UUUUCUGAUGAGGCCGUUAGGCCGAAACACGU-3’; as 232/15.1 5’-UGGUUUUUCUGAUUCGGCCGUUAGGCCGAUACACGUC-3’; rz 308/15 5’-GAAUCCCGCUGAUGAGGCCGUUAGGCCGAAACCUUGG-3’; rz 308/12 5’-GAUCCCGCUGAUGAGGCCGUUAGGCCGAAACCUUG-3’.オートリボザイム配列: 5’-GAUCCGUCGACGGACUCGAGUCCGUCCUGAUGAGUC CGUGAGGACGAAACGGAUC-3’.PS2特異的リボザイムおよびオートリボザイムを含む融合リボザイム: rz 1173/13.3auto 5’-UUCUUUGGCUGAUGAGGCCGUGAGGCCGAAACACAGCGG AUCCGUCGACGGACUCGAGUCCGUCCUGAUGAGUCCGUGAGGACGAAACGGAUC-3’. rz 1173/12auto 5’-CUUUGGCUGAUGAGGCCGUGAGGCCGAAACACAGGAUCCG UCGACGGACUCGAGUCCGUCCUGAUGAGUCCGUGAGGACGAAACGGAUC-3’. rz 1173/9auto 5’-UUGGCUGAUGAGGCCGUGAGGCCGAAACACGAUCCGUCGA CGGACUCGAGUCCGUCCUGAUGAGUCCGUGAGGACGAAACGGAUC-3’. rz 1173/11.12 5’-CUUUGGCUGAUGAGGCCGUGAGGCCGAAACACAAGAUCC GUCGACGGACUCGAGUCCGUCCUGAUGAGUCCGUGAGGACGAAACGGAUC-3’. rz 232/15.1 5’-UGGUUUUUCUGAUGAGGCCGUUAGGCCGAAACACGUCGGAUCC GUCGACGGACUCGAGUCCGUCCUGAUGAGUCCGUGAGGACGAAACGGAUC-3’. rz 232/12 5’-GUUUUUCUGAUGAGGCCGUUAGGCCGAAACACGUGAUCC GUCGACGGACUCGAGUCCGUCCUGAUGAGUCCGUGAGGACGAAACGGAUC-3’. rz 232/10 5’-UUUUCUGAUGAGGCCGUUAGGCCGAAACACGUGAUCC GUCGACGGACUCGAGUCCGUCCUGAUGAGUCCGUGAGGACGAAACGGAUC-3’. rz 308/15 5’-GAAUCCCGCUGAUGAGGCCGUUAGGCCGAAACCUUGGGAUCC GUCGACGGACUCGAGUCCGUCCUGAUGAGUCCGUGAGGACGAAACGGAUC-3’. rz 308/12 5’-GAUCCCGCUGAUGAGGCCGUUAGGCCGAAACCUUGGAUCCG UCGACGGACUCGAGUCCGUCCUGAUGAGUCCGUGAGGACGAAACGGAUC-3’.RNA基質配列: 1173 5’-CGCUGUGUCCCAAAGAA-3’; 232 5’-CGACGUGUUAAAAACCA-3’; 308 5’-CCAAGGUCCGGGAUUC-3’. リボザイム番号付けは、ホスホジエステルが切断された後の、標的GUX(RNA基
質配列において太字で示した)内のグアニジンのPS2 mRNAにおけるヌクレオチド
位置に対応する。PS2配列に対応するヌクレオチドの番号付けは、EMBLデータバ
ンクにおけるAccession No. L43964に対応する。RNA基質は、PS mRNA部分配列を
表しており、それに対応させて名前が付けられている。リボザイムの基質結合ド
メインの標的mRNAへのハイブリダイゼーションにより形成される塩基対の数が数
字で示されており、小数点の後ろの数字は、ゆらぎ塩基対である(すなわち、rz
1173/13.3)。 合成およびin vitro転写したリボソームおよびRNA基質は、厳密にRNaseフリー
の条件下で取り扱った。DEPC(ジエチルピロカーボネート)水またはヌクレアー
ゼフリーの水(Promega, Heidelberg)を使用した。オリゴリボヌクレオチド精
製は、HPLC(逆相、trityl on)または変性SDS-PAGE/8 M尿素のいずれかにより行
った。
【0056】 合成リボザイムおよびRNA基質の合成。オリゴリボヌクレオチドを、標準的なホ
スホラミダイト化学(phosphoramidite chemistry)を使用して合成した(Boehring
er Ingelheim Pharma KG, Department of Chemical Research, Biberach; Inter
activa Inc., Ulm)。リボザイムは、安定化された2'-メチルヌクレオチドおよ
び3'−末端改変を含むリボザイム、すなわち、3'-3'-逆位末端および2',3'−ジ
デオキシヌクレオチドを含むリボザイムとし、細胞トランスフェクションに適切
となるようにした。2'-O-メチル−リボヌクレオチドを、エンドヌクレオチド分
解を防止するために導入し、3'−末端ジデオキシヌクレオチド(ddAおよびddC)
または3',3'−逆位dG残基は、エクソヌクレオチド分解を防止するために用いた
。これらの改変は、ネイティブなリボザイムに対して数千倍安定性を向上させる
ことができ、触媒活性については、最小限の損失であることが報告されている。
リボザイムを、塩基ペアリングによりPS mRNAとハイブリダイズする種々の長さ
の(6-8nts)フランキング結合領域を有するように合成した。設計されたハンマ
ーヘッドリボザイムの触媒ドメインは、保存リボヌクレオチドの最小セットを含
んでいた。
【0057】 プラスミドへのリボザイムDNAのクローニングおよびin vitro転写。 リボザイムrz1173/13.3をコードするDNAを、pBluescriptII/SK+(Stratagene)
へクローン化した。得られたプラスミドpBSK+/PS2-rz1173.13.3(図4b参照)
を、製造者(Clontech)の指示にしたがってT7ポリメラーゼを使用してin vitro
で転写し、リボザイムRNAの純度をOD260/280測定およびゲル電気泳動法により制
御した(20%SDS-PAGE/8M尿素)。HeLa細胞内でのテトラサイクリン−制御発
現のため、自己−スプライシングリボザイムをコードするDNAを、rz1173/13.3cD
NAの3’末端に直接結合させ、pBSK+/PS2-rz1173.13.3autoを作製した(図4a
、図4bを参照)。rz1173/13.3autoDNA配列を、tTA−応答性プラスミドpUHD10
-3へとクローン化して、プラスミドpUHD10-3/PS2-rz1173.13.3autoを生成した(
図4b)。
【0058】 PS2 mRNAの2次構造の予測 PS2 mRNAの最も可能性のある2次構造を、Zukerら(1989)の方法により、Wisco
nsin Sequence Analysis Package(Genetic Computer Group Inc.)SQUIGGLESソ
フトウエアを使用して決定した。
【0059】 基質およびリボザイムRNAの[32P]-ラベリング in vitro切断反応のためのRNA基質として、本発明者らは、短い16-17塩基(b)
、5'[32P]-ラベルした合成オリゴリボヌクレオチド、またはin vitro転写により
放射ラベルした367b長のRNA基質のいずれかを用いた。リン酸化反応を、20pmol
の合成基質RNA、3μlの(10μCi/μl)[γ-32P]-ATP、2μlの10xリン酸化バッファ
ー、13μlのH2O、および10Uのポリヌクレオチドキナーゼ(Boehringer Mannheim)
を含むトータル20μl中で、37℃にて1hインキュベーションすることにより
行った。in vitro転写のため、プラスミドpBSK+/PS2.NcoI(図4b)を、XhoIで
直線化し、フェノール/クロロホルム−抽出し、エタノール沈殿させた。In vit
ro転写は、1μlの10mMGTP、1μlの10mMのATP、10mMのUTPを1μl、2μlの10xトラン
スクリプションバッファー、0.2MのDTTを1μl、RNaseインヒビター (20U)1μl、32 P-CTP(10mCi/ml)5μl、0.1mMのCTP 1μl、H2Oを5μl、T7RNAポリメラーゼ1μl(1
0U)(in vitro転写キット、Clontech)を含む20μl中で行った。反応物を、
室温(RT)で45分間インキュベートした。テンプレートDNAを分解するため、RNa
seフリーの1μlのDNaseIを添加し、37℃で30分間インキュベートした。フェ
ノール/クロロホルム抽出の後、5’[32P]-ラベルした合成RNAおよびin vitro転
写RNAの双方を20%SDS-PAGE/6M尿素により精製し、ゲルから溶出させ、沈
殿させ、DEPC水中に再懸濁した。アリコートをシンチレーションカウンター(Ame
rsham)中でカウントして、比放射能を測定した。
【0060】 In vitroリボザイム切断アッセイ [32P]-ラベルした基質RNA(20.000cpm/反応)およびリボザイムRNAを、50mMの
Tris-HCl(pH7.5)および10mMMgCl2中で、5分間95℃でインキュベートし、その後
37℃で、60分間インキュベーションした。反応を、ホルムアミドゲル−ローデ
ィングバッファー(80%ホルムアミド、10mMのEDTA pH8.0、0.002%のブロム
フェノールブルー、キシレンシアノール)を添加して、停止させた。基質および
切断産物を、20%SDS-ポリアクリルアミド/6M尿素変性ゲルで電気泳動させ
て分離し、オートラジオグラフィー(X-OMAT AR フィルム、Kodak)により検出し
た。
【0061】 細胞培養、細胞株、DNAトランスフェクション細胞培養 コントロール細胞およびすべてのHeLa細胞株を、10%の加熱不活性化FCS、
ペニシリン100ユニット/ml、ストレプトマイシン(100μg)、1mMのL-グル
タミンを補充したDulbecco改変Eagle's培地(DMEM)中で37℃、5%CO2 の湿った空気下で培養した。細胞株 HtTa細胞株は、Tet-off”発現系の“テトラサイクリン−感受性トランスアク
チベーター(tTA)(Gossen, M. and Bujard, H. 1992)をコードするpUHD15-1/ne
o DNAプラスミドで安定にトランスフェクトされている。HtTa細胞株を、プラス
ミドpUHD10-3/PS2wt(野生型PS2)、pUHD10-3/PS2mut(変異型(N141V)PS2)また
はpUHD10-3/PS2-rz1173.13.3auto(リボザイムrz1173/13.3)でトランスフェク
トして、それぞれHtTA/PS2-wt.13, HtTA/PS2-mut.5、およびHtTA/PS-rz1173.40
の二重安定細胞株を得た。
【0062】 DNAトランスフェクション 安定なDNAトランスフェクションは、50μgの精製DNA(Qiagen, Hilden)お
よびハイグロマイシン選択のための5μgのpCEP4プラスミドDNAでカルシウム−
リン酸沈殿法により行われた。200オg/mlのハイグロマイシンを含む培地中での選 択の後、2週間の後にハイグロマイシン耐性クローンが得られた。個々の細胞ク
ローンを単離してエクスパンジョンし、PS2−特異的抗体を用いたWestern ブロ
ットおよび免疫細胞化学により野生型または変異型PS2のいずれかの過剰発現に
ついて調べた。PS2“ノック−ダウン”細胞クローンを、PS2 mRNAのレベル(RNa
seプロテクションアッセイ;Boeringer Mannheim)およびPS2タンパク質レベル
(免疫沈降/Westernブロット)を定量化することにより同定した。
【0063】 抗体、免疫沈降およびWesternブロット抗体。 PS2を認識するために、下記の3つの抗体を使用した。PS2/ループ−GST
およびPS2/N−末端−GST融合タンパク質のそれぞれについて生じさせたポリク
ロナール抗体3711および2972;3711と同一のPS2ループ−GST融合−タンパク質に
対して生じさせたモノクロナール抗体BI.HF5Cである。PS1のC−末端を認識する
ために、PS1/ループ−GST融合−タンパク質に対して与えるポリクロナール抗体
3875および同一の融合タンパク質に対して与えるモノクロナール抗体BI.3D7を使
用した。ポリクロナール抗体は、C. Haass(Mannheim)から贈与された。ポリ(AD
P−リボース)ポリメラーゼ(PARP)切断およびカスパーゼ3活性を分析するため
に、本発明者らは、それぞれ組換え完全長PARPに対するポリクロナール抗体(Boe
hringer Mannheim)およびCPP32のN−末端に対するモノクロナール抗体(Transl
ation Laboratories)を使用した。
【0064】 免疫沈降。6cm2のディッシュ中でコンフルエントまで増殖させた細胞を、5
0mM Tris-HCl, pH 7.6, 150mM NaCl, 2 mM EDTA, 0.2% NP-40, 1mM PMSFおよび5
μg/mlのロイペプチンの混合物(バッファーA)で溶解した。免疫沈降を、3μl
の抗体3711および20μlのあらかじめ洗浄したプロテインA−セファロース(Phar
macia)で4℃で2h行った。免疫沈降物を、連続的にバッファーA、高塩バッフ
ァー(500mMのNaClを含むバッファーA)、0.1%のSDSを含むバッファーAで洗
浄した。沈殿物を2xSDSサンプルバッファーに溶解させ、12%SDS-PAGE/6
M尿素で電気泳動した。タンパク質を、PVDFメンブレン上に1h、400mAでブ
ロットし、メンブレンをウエスタンブロットプロトコルにしたがって抗体で処理
した。
【0065】 ウエスタンブロット。細胞を6cm2のディッシュ中でコンフルエントまで増
殖させた。細胞溶解は150mM NaCl, 50ml Tris-HCl, pH 7.6, 2 mM EDTA, 0.2% (
v/v) NP-40, 1mM PMSFおよび5μg/mlのロイペプチンを含むバッファー中で行な
った。Triton X-100およびNonidet P-40を1%の最終濃度となるように添加した
。タンパク質抽出物30μgを10-12%のSDS-PAGEにのせ、電気泳動した。タン
パク質をPVDFメンブレン上へ1h、400mAでブロットした後、フィルターを、1
0mM Tris-HCl, 170 mM NaCl, pH 8.0/0.1% Tween(TBST)中の5%の低脂肪ミルク
パウダーで、4℃で1晩でブロックした。TBSTでフィルターを洗浄した後、メン
ブレンをRTにおいて、5%のミルクパウダー/TBST中の一次抗体でプローブし
た。TBSTでの洗浄ステップについで、フィルターを1h、ペルオキシダーゼ−結
合二次抗体(Amersham)を用いて5%のミルクパウダー/TBST中でRTにてインキュ
ベートした。化学発光をECL検出システム(Amersham)を用い、X−線フィルムを
照射して検出した(BioMax MR, Kodak)。
【0066】 RNA単離およびRNase保護アッセイによる定量化RNA単離。 mRNA単離は、製造者(Boehringer Mannheimの指示に従って上述したよ
うにして行った。細胞を、75cm2の培養フラスコ中で増殖させ、氷冷したリン
酸−緩衝生理的食塩水(PBS)(1.7M KH2PO4, 5mM Na2HPO4, 0.15 M NaCl, pH 7.4)
で2回洗浄した。細胞をトリプシン処理し、遠心分離してペレット化し、3mlの
溶解バッファー中で溶解した(0.1M Tris-HCl, pH 7.5, 0.3 M LiCl, 10mM EDTA,
1%リチウムドデシルスルフェート、5mM DTT)。21番ゲージのニードルを通して
6回抽出物を通過させて機械的にDNAに剪断力を加えた。ビオチンでラベルした
オリゴ(dT)20プローブ1.5mlを添加して、あらかじめ洗浄した150μlのストレプ
トアビジン磁性粒子と混合した。形成したビオチン−ストレプトアビジン複合体
を分離、洗浄した後に、ポリ(A+)-選択mRNAを25μlのH2Oで溶離し、その濃度を
測定した。RNAse保護アッセイ(RPA)。 RPAのためにプラスミドpBSK+PS2.NcoIをXhoIで線状
化し、T3ポリメラーゼを用いて上述したようにin vitro 転写を行った。RPAは
、製造者(Boehringer Mannheim)の指示に従って行った。放射能ラベルしたアン
チセンスRNAプローブ(5×105cpm)を、30μlのハイブリダイゼーションバッフ
ァー(40mM Pipes(1,4−ピペラジンジエタン−スルホン酸)、400mMのNaCl、1
mMのEDTA、80%のホルムアミド、pH 6.4)中で1μgの単離されたmRNAととも
に45℃にて1晩インキュベートして共沈殿させた。コントロール反応として同
量のmRNAを1μlの酵母tRNA(5オg/オl)とインキュベートした。RNaseA(5μg/ μl)および2.5μlのRNaseT1(10U/μL)で、30分間、37℃にて消化させた後、
保護されたRNAハイブリッドフラグメントを、フェノール/クロロホルム/イソ
アミルアルコール(25:24:1)で抽出した。エタノール沈殿の後、フラグメント
を5%SDS-ポリアクリルアミド/8M尿素ゲルで分離し、X-Omat AR フィルム(
Kodak)へ−80℃で1晩曝露した。
【0067】 アポトーシスの誘導および分析 アポトーシスの誘導。80%コンフルエントのHeLa細胞にアポトーシスを誘導
した。スタウロスポリン(staurosporine)を種々の時点で種々の濃度で添加した
。インキュベーションの後、細胞の生存率およびアポトーシスパラメータを試験
した。 細胞の生存率。アポトーシスの誘導後、細胞の生存をAlamar Blueリダクショ
ンアッセイを使用して決定した。加えて、細胞膜の健全性をLDHリリース(Boehri
nger Mannheim)を使用して測定した。 アポトーシスした細胞の形態変化の定性的な分析。アポトーシスした細胞の形
態変化を種々の染料を使用して細胞をラベリングすることで決定した。細胞を、
ポリ-L-リジン(100μg/ml, Sigma)およびラミニン(laminin)(2μl/ml, Sigma
)で被覆したガラススライド上に展開した。スタウロスポリンとインキュベーシ
ョン後、細胞をPBSでリンスし、100μg/mlアクリジンオレンジ(Sigma)および
100μg/mlエチジウムブロミド(Sigma)の混合物20μlで染色し、蛍光顕微鏡に
より観察した。アポトーシスした細胞は、クロマチン濃縮および核フラグメンテ
ーションという特徴的な変化に基づいてスコア付けした。これとは別に、ヘキス
ト33258(0.5μg/ml)で染色を行い、アポトーシスした細胞核を、蛍光顕微鏡によ
り検出した。 ELISAによる定量的な分析。DNAフラグメンテーションを、細胞死検出ELISAキ
ット(Boehringer Mannheim)を使用して、製造者の指示に従って細胞質ゾルオリ
ゴヌクレオソーム−結合DNAの定量により測定した。
【0068】 PS2 mRNAの“ノック−ダウン”のためのリボザイムストラテジー ハンマーヘッドリボザイムの切断活性のための要求は、標的RNA中にGUX(X=C,
A, U)トリプレットが存在することである(Haseloff and Gerlach, 1988; Ruffe
rら, 1990)。ハンマーヘッドリボザイムは、2つの領域からなり、基質結合ドメ
イン(すなわち、ハイブリダイゼーション領域(b))と、触媒ドメインまたは
領域(a)である(図1a)(Haseloff and Gerlach, 1988)。これらは、相補
的核酸という基質特異性と、ハイブリダイズする能力だけでなく可能な基質RNA
を触媒的に分解する能力とを組合せたものであるため、アンチセンスオリゴヌク
レオチドの進歩したクラスであるといえる。これらの触媒活性のため、標的mRNA
を効率的に“ノック−ダウン”させるためには、細胞中にはアンチセンスRNA分
子よりも少ないリボザイムRNA分子が存在していれば良い。
【0069】 PS2 mRNAについて、可能性のあるGUXコンセンサス部位を検索した。最も好適
なPS2−切断リボザイムを設計する場合にいくつかの要因を考慮した:(i)リ
ボザイムに対するmRNA標的部位のアクセス性、(ii)リボザイム−標的RNA結合の
強度、および(iii)リボザイムの安定性である。(i)PS2 mRNAの最もアクセス可能
な標的部位を選択するために、最も可能性のある構造を“mfold”ソフトウエア
(上述の一般的な方法に記載Zukerら1989)を用いて計算した(図1b)。これ
により、3つのGUXトリプレット(GUU232, GUC308, GUC1173,ヌクレオチドのナン
バリングは、EMBLデータバンク、Accession No. L43964による)が、PS2 mRNAの
開いたループ領域において、リボザイムによりin vivoでアクセス可能であると
同定された(図1b、図1c)。これらのリボザイムのうちの1つは、PS2のコ
ーディング領域を標的とするが、2つのリボザイムは、mRNAの5’未翻訳領域(
図1c)を標的とする。これらの3つの標的部位について、合成PS2特異的リボ
ザイム(rz232, 308, 1173)を、in vivoでの切断反応のために設計した。(ii)ハ
ンマーヘッドリボザイムの基質結合ドメインの長さは、その特異性およびそのタ
ーンオーバー数の双方に影響することが知られている。しかしながら、リボザイ
ムと基質RNAとの間の強い相互作用は、リボザイムの触媒活性を著しく低減させ
るであろう標的の切断に伴うリボザイムの迅速な解離を防止できるであろう。基
質結合ドメインの最適な長さは12-16ヌクレオチドであると報告されている。細
胞培養実験において最も効果的なリボザイムを注意深く選択するために、本発明
者らは、PS2 mRNA同一の部位を標的とするが、種々の長さのフランキング領域を
有するリボザイムを設計した(図1c)。リボザイム反応の特異性のコントロー
ルとして、本発明者らは、いわゆる“アンチセンスリボザイム”を用いた(すな
わち、rz2332/as-15.1)。これは、それぞれのリボザイムの正確な配列を含むが
、触媒ドメインにおける保存された塩基に変異を有し、そのためこのリボザイム
がその標的RNAを切断できないようにさせている。“アンチセンス−リボザイム
”で観察されるPS2タンパク質レベルへのいかなる影響も、リボザイムの影響よ
りはアンチセンスの影響に関連したものである。さらなるコントロールとして、
本発明者らは、非特異的効果を評価するため、ランダムな基質結合配列を含むリ
ボザイムを使用した。(iii)細胞培養実験においてリボザイムの安定性を向上さ
せるために、合成リボザイムを化学的に改変した(一般的方法として上述した)
【0070】 in vitroにおける最も有効な合成リボザイムの選択 リボザイムの切断活性を研究するため、およびそれらの効率を比較するために
、本発明者らは、in vitroリボザイム切断反応の最適化を開始した(一般的方法
を参照)。リボザイム反応のマグネシウム依存性(最終濃度MgCl2 20mM、データ
は示さず)を決定し、これは、ハンマーヘッドリボザイムがその切断活性を満た
すために2価金属イオン、好ましくはMg2+またはMn2+を絶対的に要求するという
、従前観察と一致した(Uhlenbeck, 1987)。
【0071】 最も効果的なリボザイムの選択のため、基質としてPS2 mRNAの種々の部分配列
を使用してin vitro切断反応を行った(図1c)。この基質は、サイズが16-17b
と短い合成オリゴヌクレオチドである。GUC(rz308, rz1173) またはGUU(rz232)
トリヌクレオチドを含むそれぞれのRNA基質を、フランキング基質結合ドメイン
の長さの変動した適切なリボザイムの標的とした(図1a,c,2a;塩基の長さを数字
で示す。すなわち、13.3,12,9である)。標準的なin vitro切断反応において、本発
明者らは、予想したRNA基質の5’末端ラベル切断産物を検出することができた(
GUC1173, GUC232, GUU308)(図2a、b)。これはすべての活性なリボザイムに
ついて見出された(rz232, rz308, rz1173)。15-16bまでのより長い基質結合ド
メインを有する合成リボザイムは、より短いフランキングアームの合成リボザイ
ムよりも高いin vitro切断活性を示した(図2a、b)。[32P]-ラベルRNA基質
を対応する“アンチセンスリボザイム”とともにインキュベーションした場合に
は、切断産物はまったく検出されなかった(図2a)。加えて、リボザイムを含
まないRNA基質のインキュベーションは、切断産物を与えなかった(図2a、b
、レーン“−”)。本発明者らは、rz1173/13.3, rz232/15.1, rz308/15の選択
された3つのリボザイムについて、効果的なin vitroRNA切断のために必要とさ
れるリボザイム:標的比をさらに検討した。図2c、dに示されるように、rz11
73/13.3およびrz308/15はどちらも、標準的なin vitro切断条件においてリボザ
イム:標的のモル比が1:1において標的PS2RNAを切断したが、リボザイム分子
が過剰の場合よりも効率はより低かった。対照的に、リボザイムrz232/15.1切断
産物は、リボザイムが標的RNAよりも50倍モル過剰となった場合にのみ検出され
た(図2c、d)。
【0072】 リボザイムrz1173は、PS2 mRNAをそのコーディング領域においてきわめて効率
的に切断するので、本発明者らは、このリボザイムを培養細胞のPS2“ノックダ
ウン”のために選択し、より詳細にその基質結合ドメインの最適長さを検討した
(一般的方法において上述した)。rz1173/13.3(基質結合ドメイン:13塩基
および標的mRNAとともに3塩基がゆらぎ塩基対を形成する)は、リボザイム:標
的モル比1:1で1h以内に予想した切断産物を著しい量で生成したが、結合ド
メインが9塩基にまで短くされた場合には、より高いモル比が必要であった(図
3a)。リボザイムrz1173/13.3を用いた時系列研究により、リボザイム−媒介
標的RNA切断は、インキュベーションから5分間後にはすでに検出できることが
明らかになった(図3b)。6時間後には、RNA基質は、ほとんど完全に分解し
ていた(図3b)。
【0073】 In vitro転写されたリボザイムrz1173/13.3は、またより長い基質RNAsを切断
する。 リボザイムrz1173が、すでに2次構造を有するより長い基質RNA分子も切断す
ることができることを確証するために、本発明者らは、プラスミドpBSK+/PS2.Nc
oIを367b RNAへin vitro転写し、in vitro転写されたリボザイムrz1173/13.3に
よるこの基質RNAの切断を調べた(図5)。自己触媒的リボザイムは、初期転写
物から自身をスプライシングして、所定の3'末端を有するリボザイムrz1173を
形成することができるはずである。このアプローチは、細胞質への輸送阻害があ
るためにリボザイムを細胞核内に止めるものとして報告されており、核内におい
て新たに転写される基質RNAにリボザイムが直接作用できることが報告されてい
る(Liu and Carmichael, 1994)。“mfold”ソフトウエア(一般的方法において
上述した。)による計算により、367bのin vitro転写された基質RNAの2次構造
が、完全長PS2 mRNA内における同一の配列の構造と同じであると予測された。生
合成したリボザイムrz1173/13.3の量が増加するにつれ、基質RNA(PS2.NcoImRNA
フラグメント)のインキュベーションは、標的RNAの予測された259塩基および10
8塩基のフラグメントへの切断を生じさせた(図5)。より長いRNA基質の切断は
、より短い合成オリゴヌクレオチドの切断ほどには効率的ではなかった(図2お
よび図3と比較して)。
【0074】 リボザイム発現HeLa細胞株における内在性PS2の“ノックダウン” 細胞中のPS2“ノックダウン”のために、本発明者らは、誘導可能な“Tet-off
”発現系を適用した。細胞内におけるリボザイムrz1173/13.3の効率は、一過性
トランスフェクション発現実験によりまず調べた。HtTA細胞を、プラスミドpUHD
10-3/PS2-rz1173.13.3autoで一過性にトランスフェクトしたところ(図4b)、
PS2 mRNAは約30%減少した(データは示さず。)本発明者らは、その後49を
越えるクローン細胞株を生成し、それらのPS2 mRNAレベルを、[32P]-ラベルした
アンチセンスPS2.NcoI mRNAフラグメントをプローブとして用いてRNAse保護アッ
セイ(RPA)で分析した。いくつかの細胞クローンのPS2 mRNAレベルを図6aに
示す。3日にわたりドキシサイクリンを除去することによってリボザイム発現の
完全な誘導を行った後、これらのクローンのPS2 RNAの含有量を分析した。シス
テムを、1μgまたは2ngのドキシサイクリン/mlでシャットオフした後、リボザイ
ム発現の誘導の時間経過を詳細に実験的に決定した(データは示さず。)。本発
明者らは、さらに分析を行うためクローン40を選択し、PS2の “ノックダウン”
をタンパク質レベルでも確認した(図6b)。リボザイムrz1173/13.3の発現は
、ドキシサイクリンの除去後2日後にはほとんど完全にPS2タンパク質の消滅と
いう結果を与えた。細胞をドキシサイクリン−フリーの条件下で連続的に培養し
たにもかかわらず、驚くべきことにPS2タンパク質は2週間でベースラインへと
戻った(図6b)。したがって、PS2k.d細胞をドキシサイクリンの除去後2日目
に更に分析した。
【0075】 PS2“ノックダウン”細胞においてはアポトーシス感受性は低下し、野生型ま
たは変異型PS2を、過剰発現する細胞では増加した。 野生型および変異型PS2は、種々の細胞株において過剰発現させた場合には、
プロアポトーシスの可能性を有していることが文献的に示されている(Deng ら,
1996; Vitoら, 1996; Wolozin ら, 1996; Janickiら, 1997)。さらには、PS2の
変異型を発現する細胞は、野生型のPS2を発現する細胞よりもアポトーシス刺激
に対して感受性を増加させることが示されている(Wolozin ら, 1996; Janicki
ら, 1997)。PS2がアポトーシスにおいて能動的に関与しているかどうかの疑問に
対応するために、本発明者らは、PS2 k.d.HeLa細胞のスタウロスポリンに対する
感受性を、野生型PS2および変異型PS2を誘導性に過剰発現するHeLa細胞と比較し
て調べた。誘導されたPS2発現のレベルを、免疫細胞化学分析(図7a)、生化
学的分析(データは示さず。)により検出した。アポトーシスを評価するために
、蛍光マイクロスコピー、細胞死検出ELISA、カスパーゼ 3活性化、およびPARP
およびPS2のタンパク質分解性切断といった種々の方法を使用した。細胞の生存
率の決定のためには、アラマーブルー低下(Alamar Blue reduction)およびLDH
リリースを測定した。
【0076】 スタウロスポリンの濃度を高めることによりアポトーシスを誘導した。生存細
胞をグリーンに染色するエチジウムブロミド/アクリジンオレンジ混合物と共に
細胞をインキュベーションした。アポトーシスした細胞は、特徴的なクロマチン
濃縮、核フラグメンテーション、アポトーシス体を示し、それらのクロマチンは
、エチジウムブロミドのインタカレーションによりオレンジに着色した(図7b
)。アポトーシス刺激がない場合には、PS2“ノックダウン”細胞(PS2k.d.
)および野生型(PS2 wt)または変異型PS2(PS2 mut)過剰発現細胞においては
、アポトーシスした細胞は検出されなかった(図7b、レーンK)。スタウロス
ポリンのきわめて低い濃度(1pM)でPS2 wt培養物およびPS2 mut培養物においてア
ポトーシスした細胞が見出されたが、PS2 mut細胞株においてはより高い頻度で
アポトーシスした細胞が見出された(図7b)。PS2 k.d.細胞株では、同一のスタ
ウロスポリン濃度においてはアポトーシスした細胞は、まったく見出されなかっ
た(図7b)。より高いスタウロスポリン濃度では、PS2 wt培養物およびPS2 mu
t培養物に匹敵しうる数のアポトーシスした細胞を生じさせた(図7b)。リボ
ザイム-媒介PS2k.d.細胞においては、細胞は最も高いスタウロスポリン濃度(1
nM)でのみアポトーシスが発生した。したがって、アポトーシス刺激であるス
タウロスポリンへのHeLa細胞の感受性は、PS2の発現レベルに依存する。N141V P
S2変異は、細胞死の程度が増えるというよりも、寧ろその早期開始を生じさせた
。興味深いことに、PS2“ノックダウン”は、アポトーシスの感受性を著しく減
少させる結果となった。同様のデータは、細胞をヘキスト33258で染色し、アポ
トーシスした細胞を視覚化した場合にも得られた(データは、示さず。)。
【0077】 アポトーシスした細胞を、エチジウムブロミド/アクリジンオレンジ染色で視
覚化するのは定量的な方法ではないので、本発明者らは、細胞分解物における細
胞質分画中のモノ−およびオリゴヌクレオソームを検出する細胞死検出ELISAを
適用した(図8a)。加えて、細胞の生存率を、アラマーブルーリダクションア
ッセイ(Alamer Blue reduction assay)(図8b)を用いて評価した。アポト
ーシスと、ネクロシスとを区別するために、LDHのリリースを測定した(図8c
)。図8aに示すように、PS2 wtおよびPS2 mut細胞は、スタウロスポリンのサ
ブトキシックな濃度(1-100pM)において、内在性PS2レベルを発現するHeLa細胞
よりもより顕著なレスポンスを示した。より高いスタウロスポリンの濃度(>1n
M)においては、二次的ネクロシスが開始し、これらの細胞株間の相違が不明瞭
となった。LDHリリースの増加と共にアポトーシスの程度がより低い(図8b)
ことは、明らかにスタウロスポリン濃度>10nMでは、アポトーシスではなくネ
クロシスが、細胞を損傷する主要なモードであることを示す。 ELISAの結果は、正常レベルのPS2を発現する細胞に比較して、1pM-1nMのスタ
ウロスポリンによるアポトーシス刺激へのPS2k.d.細胞の注目すべき耐性を反映
するものである。この濃度においては、スタウロスポリンは、細胞の生存に対し
て著しい影響を与えなかった。
【0078】 PS2発現レベルは、カスパーゼ3活性化およびPARP切断の速度に影響を与え
ない。 PS2“ノックダウン”または過剰発現が、アポトーシスの進行フェーズに特徴
的なプロセスのキネティックスを変化させるか否かを明らかにするために、本発
明者らは、スタウロスポリン1μMでのアポトーシスの誘導に続くカスパーゼ 3
活性化およびポリ(ADP)リボースポリメラーゼ(PARP)切断の時間変化を調べ
た。アポトーシスの際のプロテアーゼ活性化カスケードにおける最終ステップは
、カスパーゼ3の活性化であることが知られており、これは次にアポトーシスに
能動的に関与する特異的タンパク質または“罪のない傍観者(innocent bystande
r”に過ぎないタンパク質を切断する(Martin and Green, 1995; Alnemriら, 199
6; Chinnaiyan and Dixit, 1996)。Kimら.(Science, 1997, 277:373-376)およ
びLoetscher ら (1997)は、プレセニリン1およびプレセニリン2は、両方とも
カスパーゼ 3プロテアーゼファミリに属するプロテアーゼによりアポトーシス中
に切断されることを報告した。カスパーゼ 3、またはCPP32は、2つのタンパク
質分解フラグメントへの切断により活性化される(サイズで17および10kDa)。
カスパーゼ 3の免疫沈降のために用いた抗体は、未切断のCPP32-ホロ酵素および
17kDaのフラグメントを認識するが、10kDaのC−末端フラグメント(例えば、図
9aに示す)を認識しない。PS2wt,PS2mutおよびPS2k.d.細胞(図9b)の間に
おいて、アポトーシスの誘導に続くカスパーゼ 3活性化に相違は検出されなかっ
た。PARPは、活性化されたカスパーゼ 3の下流側の1つの標的を構成し、サイズ
が85kDaおよび27kDaの2つのタンパク質分解性フラグメントへと切断される(Kim
ら, Science 1997, 277:373-376)。したがって、PARPは、きわめて頻繁にアポ
トーシスのマーカとして用いられる(例えば、図10aに示す)。本発明者らは
、このため3つのHeLa細胞株におけるPARP切断のキネティックスを分析した。こ
こでも、タンパク質分解性のPARPフラグメントの発生の時間経過に著しい違いは
見られなかった(図10)。
【0079】 選択的PS2フラグメントではなく、正常なタンパク質分解フラグメントがアポ
トーシスにおいて直接関与するように思われる 内在性PS2の“ノックダウン”は、サブトキシックなスタウロスポリン濃度で
の誘導後18hにおいて、アポトーシスを著しく阻害した(図7および図8)。
一方、経時的実験において1μMのスタウロスポリンを使用したところ、リボザ
イム媒介PS2k.d.細胞株と、コントロール細胞との間には、カスパーゼ3活性化お
よびPARP切断のキネティックスに関して相違を観察することができなかった(図
9および図10)。細胞死の過程におけるCTF発生の分析により、PS2 k.d.が、
正常なタンパク質分解性PS2フラグメントおよび選択的PS2フラグメントの両方を
減少させることが見出された(図11a)。CTF16の生成は、PS2 wt培養物より
も、PS2 mut培養物において時間的に早い時点で生じ、このことはPS2のNV141V変
異による早期のアポトーシス開始を示すものである(図7bと比較して)。PS2
選択的フラグメントの存在または不存在は、アポトーシスに対する感受性におけ
る違いを説明することができるものであり(図11b)、選択的フラグメントが
アポトーシスの進行に直接関与することの証拠となるものである。
【0080】 本発明者らの発見の別の意味は、内在性の正常なPS2 CTF22の“ノック−ダウ
ン”はアポトーシス刺激に対して影響を受けづらくするということであり、正常
なCTF22が細胞死の活性なメディエーターであることを示唆するものである。正
常または選択的なPS2フラグメントがプログラムされた細胞死に能動的に関与す
るかどうかという疑問を検討するために、本発明者らは、サブトキシックなスタ
ウロスポリン濃度でのフラグメント形成を分析した(図12)。驚くべきことに
、細胞の生存性を損なうことなく細胞がアポトーシスし、PS2“ノック−ダウン
”がアポトーシスに対して強い阻害効果を与える(図8を参照)低濃度のアポト
ーシス刺激では、選択的CTF16の発生は全く観察されなかった。この発見は、ア
ポトーシスのカスケードにおける選択的PS2のフラグメントの積極的な役割に反
論するものであり、寧ろタンパク質の正常なエンド分解性切断産物がプログラム
された細胞死の活性な媒介であることを示すものである。
【0081】 (実施例2) プレセニリナーゼの活性を低減または排除することが可能な物質の同定 実施例2については、図15に概略的に示す。 この試験に使用した細胞株は、ルシフェラーゼが試験においてバックグラウン
ドを増大させないように、完全長タンパク質が検出されないかまたは僅かにしか
検出されない程度のレベルで、PS1およびルシフェラーゼ、またはPS2とルシフェ
ラーゼを含む融合タンパク質を発現するように(すなわち、上述した融合タンパ
ク質がわずかに過剰発現するように)選択されたものである。これは、適切な細
胞クローンを選択するか、またはこれとは別に例えば、tTA−レスポンスプラス
ミドpUHD10-3といった誘導可能な発現システムを適用することにより行うことが
でき(Gossen and Bujard, 1992)、これにより培地中の特定のドキシサイクリン
(テトラサイクリン)濃度を使用することによりプレセニリン−ルシフェラーゼ
融合タンパク質のような外来性タンパク質の発現レベルを変化させることを可能
とする。この細胞株においては、C−末端PS−フラグメントおよびPS−N−末端
を含むフラグメントおよびルシフェラーゼが検出される。通常では、これらのフ
ラグメントは、互いに結合しているか、または安定な複合体として相互に作用し
ているが、0.5%SDSまたは1%Tritonのいずれかを抽出バッファー(Capell
ら, 1998)中で使用することにより、互いに分離させることができる。0.5%SD
Sは、マイクロタイタプレートへの抗体の結合を阻害するであろうから、1%の
Tritonを抽出のために用いた。これらの細胞を抽出して、それらのタンパク質抽
出物を、PS C−末端に対して特異的な抗体であらかじめコートしたマイクロタ
イタプレートへインキュベーションすると、このC−末端フラグメントは、抗原
−抗体相互作用によりマイクロタイタプレートへ結合する。PS N−末端および
ルシフェラーゼを含むフラグメントを、さらに洗浄ステップにより除去した。ル
シフェラーゼ基質(Boehringer Mannheim GmbH, Mannheim, Germany)の添加は、
測定すると、バックグラウンド信号のみを与えるはずである。これらのバックグ
ラウンド信号は、融合タンパク質の発現の程度、したがって完全長融合タンパク
質の存在に依存する。この完全長融合タンパク質はC−末端を介してコートされ
たプレートへ結合し、ルシフェラーゼの存在のために、ルシフェラーゼ基質の添
加の後に信号を与える。この細胞株と試験物質とをインキュベーションすると、
プレセニリナーゼの活性を低減または排除することが可能な物質はプレセニリン
−ルシフェラーゼ融合タンパク質の切断を阻害し、したがって抗原−抗体相互作
用を介してコートされたマイクロタイタプレートへ結合する完全長融合タンパク
質を増加させ、それぞれ信号を生じさせまたは信号を増加させる。
【0082】 (材料および方法) レポーターのルシフェラーゼをコードするDNAを、下記の方法のうちの1つで完
全長PSをコードするDNAのN−末端に融合させた。 (i)プレセニリン遺伝子における核酸の欠失を伴うまたは核酸の欠失を伴わな
いPSのN−末端への直接融合、または (ii)プレセニリン遺伝子における核酸の欠失を伴うまたは核酸の欠失を伴わ
ない、レポータ遺伝子とプレセニリンN−末端との間のスペーサ(6-150アミノ
酸)を介してのN−末端への融合、または (iii)発現されるタンパク質について図15に示すように(上側のセクション)
、プレセニリン遺伝子における核酸の欠失を伴うまたは核酸の欠失を伴わないプ
レセニリンのN−末端中への融合。 上述した融合核酸構築物は、クローニングおよびサブクローニング(例えば、P
CR、リゲーション、バクテリア内でのプラスミド増幅および精製)のために当
技術分野で知られている標準的な方法にしたがって調製する(Sambrookら, 1989,
Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Lab
oratory Press, Cold Spring Harbor, ニューヨーク、Bertram, S. and Gassen,
H. G. Gentechnische Methoden, G. Fischer Verlag, Stuttgart、ニューヨー
ク、1991)。
【0083】 細胞株H4(ATCCHTB-148として入手可能)の細胞は、上述した転写構築物の
1つでlipofectAMINE(Life Technologies, Inc.)で製造者の指示に従って安定的
にトランスフェクトした。 得られた細胞株は、それぞれプレセニリン1(PS1)またはプレセニリン(PS2
)および上述したレポータルシフェラーゼを含む融合タンパク質を発現するもの
であり、これらをH4/Luc-Ps-1およびH4/Luc-PS-2と命名した。 上述した細胞株を、96穴のマイクロタイタプレートにプレーティングした。 安定してトランスフェクトされた細胞を、コンフルエントにまで増殖させ、試
験物質と共に8-16時間インキュベートした。細胞をリン酸緩衝生理的食塩水(P
BS)で洗浄し、その後細胞からのタンパク質抽出物を、Boehringer Mannheim
GmbH, Mannheim, Germanyにより与えられる最適なプロトコルにしたがって作製
した。変性剤の添加により2つのPSフラグメントの間に形成される安定な複合体
が破壊されることが示されているので、本発明者らは、抽出バッファーへ1%の
Tritonを加えた(Capell ら, 1998)。そうしないと、未破壊のPS-フラグメント複
合体が未切断の完全長PSと同一の信号を与えることになる。 マイクロタイタプレートは、PS1(ループ領域)C−末端に特異的なモノクロ
ナール抗体であるBI.3D7、またはPS2(ループ領域)のC−末端に特異的なモノ
クロナール抗体であるBI.HF5Cで各々あらかじめコートした(Steinerら, 1999;以
下の抗体は、これらの替わりに使用することができる:S182(C-20), cat#sc1244
およびSTM2(C-20), cat#sc1456;両方ともSanta Cruz Biotechnology, Inc., San
ta Cruz, Carifornia/USA)。
【0084】 上述したタンパク質抽出物を、マイクロタイタプレートへと添加し、標準的な
手順にしたがってインキュベートした(Immunochemistry 1, A Practical Approa
ch, A. P. Johnstone and M. W. Turner監修、Practical Approch Series, IRL
Press, at Oxford Univewrsity Press, Oxford, New York, Tokyo)。プレートを
、標準的な手順にしたがって強く洗浄し、この洗浄物を保存した(Immunochemist
ry 1, A Practical Approach, A. P. Johnstone and M. W. Turner 監修、上掲
)。 結合した物質について、Boehringer Mannheim GmbH, Mannheim, Germanyによ
り与えられるプロトコルにしたがって、ルシフェラーゼ活性を試験した。 試験物質がプレセニリナーゼの活性を実際的に低減または阻害することができ
る場合にのみ(すなわち、本発明の物質)(図15B+インヒビター、右側を参
照)、N−末端に融合されたルシフェラーゼは、マイクロタイタプレートに結合
し、完全長プレセニリンタンパク質の存在による信号を与える。
【0085】 プレセニリナーゼの活性を低減または阻害することができる物質が全く存在し
ない場合には(図15B−インヒビター、左側)、プレセニリナーゼ−ルシフェ
ラーゼ融合タンパク質は、内在性プレセニリナーゼにより切断され、C−末端が
マイクロタイタプレートへ抗原−抗体相互作用を介して結合し、N−末端へ融合
されたルシフェラーゼは、洗浄ステップの間に洗い流されることになる。この場
合には、信号は検出されない。 加えて、洗浄物(未結合物質)を、Boehringer Mannheim GmbH, Mannheim, Ge
rmanyにより与えられるプロトコルにしたがってルシフェラーゼ活性の試験のた
めのコントロールとした。
【0086】 (実施例3) N−末端およびC−末端PSフラグメントの間の安定な複合体の形成を低減また
は排除することが可能な物質の同定方法。 この実施例は、プレセニリナーゼの活性を低減または排除することが可能な物
質を同定するための方法を例示するものであり、この物質は、PS-フラグメント
のN−末端とC−末端との間の安定な複合体の形成を低減または排除することを
可能とする。アッセイは本質的に実施例2で示したように実行する、下記の変更
を加える。
【0087】 実施例2で開示した安定にトランスフェクトされた細胞をコンフルエントに増
殖させた。細胞を、リン酸−緩衝生理的食塩水(PBS)で洗浄し、その後タン
パク質抽出物を上述の細胞から作製した。N−末端フラグメントと、C−末端フ
ラグメントとの間の相互作用はSDS-およびTriton感受性であるため、CHAPS抽出
物を、刊行されているプロトコルにしたがって調製した(Capell ら, 1998)。こ
の抽出方法は、複合体形成を阻害しない。 マイクロタイタプレートは、PS1(ループ領域)のC−末端に特異的なモノク
ロナール抗体であるBI.3D7またはPS2(ループ領域)のC−末端へ特異的なモノ
クロナール抗体であるBI.HF5Cで各々あらかじめコートされている(Steiner ら,
1999;以下の抗体は、これらの替わりに使用することができる:S182(C-20), cat
#sc1244およびSTM2(C-20), cat#sc1456;両方ともSanta Cruz Biotechnology, In
c., Santa Cruz, Carifornia/USA)。
【0088】 上述したタンパク質抽出物を、あらかじめコートしたマイクロタイタプレート
へと添加し、標準的な手順にしたがってインキュベートする(Immunochemistry 1
, A Practical Approach, A. P. Johnstone and M. W. Turner監修、Practical
Approch Series, IRL Press, at Oxford Univewrsity Press, Oxford, New York
, Tokyo)。インキュベーションの後、プレートを、標準的な手順にしたがって強
く洗浄する(Immunochemistry 1, A Practical Approach, A. P. Johnstone and
M. W. Turner 監修、上掲)。TritonまたはSDSが存在しないため、N−末端およ
びC−末端が安定な複合体を形成するので、洗浄によっては邪魔され得ないので
、N−末端に融合させたルシフェラーゼの存在によるルシフェラーゼの信号を与
えない。ルシフェラーゼの活性は、Boehringer Mannheim GmbH, Mannheim, Germ
anyにより提供されたプロトコルにしたがって検出される。 プレートをその後、30分間〜数時間にわたり、試験物質とともにインキュベ
ートする。インキュベートした後プレートを、標準的な方法にしたがって強く洗
浄した(Immunochemistry 1, A Practical Approach, A. P. Johnstone and M. W
. Turner監修、Practical Approch Series, IRL Press, at Oxford Univewrsity
Press, Oxford, New York, Tokyo)。 PS−フラグメント相互作用を物質が阻害する場合には、N−末端に融合された
ルシフェラーゼは洗い流されて、ルシフェラーゼ活性の低減または阻害され、よ
り小さな信号が測定される。 洗浄物を保存し、またコントロールとしてBoehringer Mannheim GmbH, Mannhe
im, Germanyにより与えられるプロトコルにしたがってルシフェラーゼ活性のた
めに試験する。
【0089】 (実施例4) プレセニリンフラグメントの生成の低減または排除とそれによるAβの低減ま
たは排除 この実施例は、PS遺伝子の変異導入、したがってプレセニリナーゼ基質の改変
によるDNAレベルでのプレセニリナーゼ活性の低減または排除するための方法を
例示する。したがって、変異されたPS遺伝子は、PSフラグメントの低減およびま
た、神経変性性の疾患、好ましくはADの病理とリンクしたAβを低減させる。
【0090】 さらに、プレセニリニナーゼの活性を低減させるかまたは排除することを可能
とする物質を同定する方法を開示する。この方法は、実施例2で開示した方法と
類似する。アルツハイマー症(AD)は、アミロイドβ−ペプチド(Aβ)(Price
and Sisodia, 1998)から構成される老人斑の蓄積により特徴付けられる。常染色
体優性変異が病理学的に関連する42アミノ酸Aβ42の産生を増加させ(Price and
Sisodia, 1998)、マウスにおけるPS1遺伝子の欠失が生理的なAβ生成を低下させ
るため (De Strooper, B. ら, 1998)、プレセニリン−1(PS1)タンパク質がA
β形成において中心的な役割を担う。相同なPS2のアミロイド形成機能を検討す
るために、本発明者らは、推定される膜貫通ドメイン(TM)7内の進化的に保
存されているAsp残基を変異させることによりドミナントネガティブ変異を作製
した。変異型PS2は、エンドタンパク質分解的にプロセッシングされず、内在性
プレセニリンフラグメントの蓄積を阻害しない。ドミナントネガティブ変異を発
現する細胞は、βAPPのプロセッシングにおいて著しい欠陥を示す。驚くべきこ
とに、Aβ分泌は著しく減少し、PS2がAβの生理学的な形成を促進することが示
された。
【0091】 PS1遺伝子を欠損したニューロンは著しく少ないAβを分泌するので、ヒトPS1
はAβの形成に決定的に必要とされる(De Strooper, B. ら, 1998)。さらに、PS1
を欠損したニューロンは、アミロイド形成の直接的な前駆体であるβAPPのC−
末端フラグメントを蓄積する(Haass and Selkoe, 1993)。したがって、PS1は、
直接的に、またはβAPPの細胞内での輸送に影響を与えることにより、および/
またはβAPPプロセッシングに関与するプロテアーゼ影響を与える(De Strooper,
B. ら, 1998)ことによりγ−セクレターゼ機能に影響を与えると考えられる。P
S1相同PS2遺伝子におけるアルツハイマー関連変異は、Aβ42の病理学的産生を増
加させるが(Price and Sisodia, 1998)、PS2の生理学的なAβ形成における役割
は依然として知られていない。内在性PS1発現がβAPPプロセッシングの効果をな
くしてしまうことから、PS2遺伝子の欠失をアミロイド形成性におけるPS2の正常
な機能を調べるためには使用することができない。実際、PS2の遺伝子ノックア
ウトは、劇的な表現型をまったく生じさせない(Boeve ら, 1988)、PS1のノック
アウトは、胚死亡を生じさせる(Shen ら, 1997; Wong ら, 1997)。Aβ形成にお
けるPS2の機能的役割を調べるために、本発明者らは、そこで、PS2の過剰発現の
機能を阻害するばかりではなく、内在性プレセニリンの蓄積をブロックするドミ
ナントネガティブ変異を作製した。
【0092】 最近、同じAsp残基がヒトPS1のアミロイド形成性に重要であることが示された
(Wolfe ら, 1999)。対応するAsp残基は、ゼブラフィッシュのPS1のアミロイド形
成機能に必要とされることから、このようなAsp残基の重要な役割は、進化的に
保存されるものと考えられる(Leimer, U., Lun, K., Romig, H., Walter, J., G
runberg, J., Brand, M., and Haass, C. Expression, endo proteolytic proce
ssing, and amyloidogenic function of zebrafish (Danio rerio) presenilin-
1, submitted.)。対応するAsp残基は、またヒトPS2遺伝子においても保存されて
いる。
【0093】 本発明者らは、このためAsp366をAlaへと変異させ、Swedish変異型β−アミロ
イド前駆体タンパク質(βAPP)を過剰発現するヒト腎臓293(HEK293)細胞にこの
cDNA構築物を安定的にトランスフェクションした。この細胞株は、Aβ形成にお
けるプレセニリンの影響を分析するためにしばしば使用される(Steiner ら, 199
9)。35S-メチオニンによる代謝ラベルすると、変異型ホロタンパク質の発現がそ
れぞれの細胞株において観察された(図13a)。タンパク質分解的に生成され
たPS2のC−末端フラグメント(CTF)(Price and Sisodia, 1998)を同定するた
め、未トランスフェクトのHEK293細胞ライセートまたはPS2 Asp366A1aを安定的
に過剰発現する細胞株(クローン11)からの細胞ライセートを、PS2の大きな
細胞質ループに対する抗体で免疫沈降した。PS2 CTFは、PS2特異的モノクロナー
ル抗体を使用して検出された。これは、内在性PS2を発現している細胞におけるC
TFの高いレベルを示すものである。しかしながら、PS2 Asp366A1a cDNAを過剰
発現する細胞株においては、エンドタンパク質分解は完全に消滅していた(図1
3b)。
【0094】 同様のデータは、PS2 Asp366A1aを過剰発現する別個の細胞株において得られ
た(データは示さず)。PS2 CTFの欠損は、また内在性PS2が過剰発現している変
異した変異体により完全に置き換えられていることを示す。内在性PSフラグメン
トの異所性発現における置換は、協同的PS発現を明らかにした従前の発見と一致
する(Thinakaran rt. al., 1997)。本発明者らは、ついでPS2 Asp366A1aの過剰
発現もPS1 CTFの蓄積を阻害するかどうかを検討した。内在性プレセニリンを発
現する細胞のライセートまたはPS2 Asp366A1a変異体を過剰発現する細胞株のラ
イセートをPS1の細胞質ループに対する抗体で免疫沈降し、PS1特異的抗体を用い
てイムノブロットすることによりPS1 CTFを検出した。これにより、過剰発現す
るものがほとんど完全に内在性PS1フラグメントの形成を阻害することが示され
た(図13c)。 このように、この変異はエンドタンパク質分解性のPS2プロセッシングを阻害
し、同時に内在性PS1およびPS2フラグメントの両方の蓄積を低減させる。
【0095】 本発明者らは、そこで、βAPP代謝における変異型PS2の効果を分析した。wtPS
2を発現する細胞株、またはこれに対応する変異型PS2を発現する細胞株を、代謝
的に35S-メチオニンでラベルし、Aβを免疫沈降した。PS2 Asp366A1aを発現する
独立の細胞株において、Aβの生成の著しい減少が観察された(図14a)。変
異型PS2を発現する細胞株におけるAβ形成の減少は、βAPPのタンパク質分解性
フラグメントの劇的な増加を伴い、このフラグメントはβ−セクレターゼおよび
α−セクレターゼにより切断された中間体に対応する(Haass and Selkoe, 1993;
図14b)。 これらのデータは、ドミナントネガティブPS2変異が著しくβAPPのプロセッシ
ングに影響することを示す。PS1の遺伝子欠失と同様に、PS2のドミナントネガテ
ィブ変異は、著しくAβの形成を減少させ、βAPPのC−末端タンパク質分解誘導
体の蓄積を生じさせ、このことはPS1ばかりではなく、またPS2もAβの生理学的
な形成に関与することが示唆される。 決定的なAsp残基は、PS2の構造的健全性のために必要とされるかもしれない
。変異型PS2は、βAPPおよび/またはそのプロセッシング酵素の、タンパク質
分解が生じる細胞区画への輸送を阻害する。これは、PS1ノックアウトが、βAPP
を含む選択的な膜結合タンパク質の輸送に影響し(Naruse ら, 1998)、同時にA
β形成を阻害するという最近の発見と一致する(De Strooper, B. ら, 1998; Nar
use ら, 1998)。これらの結果の別の解釈は、プレセニリンが直接的にγ−セク
レターゼ活性の刺激に必要であるか、またはそれら自体がそのような活性を示す
ことであろう(Wolfe ら, 1999)。
【0096】 (方法)細胞培養および細胞株。 安定的にPS2 Asp366A1aを発現するHEK293細胞は、Swedi
sh 変異を発現する従前に記載された細胞株のトランスフェクションにより作製
した(Steiner ら, 1999)。変異導入。 PS2 Asp366A1aをコードするcDNAは、従前に記載されたプロトコルに
したがって構築した(Steiner ら, 1999)。変異型cDNAは、pcDNA3.1/Zeio(-)発
現ベクター(Invitrogen)へクローン化し、シーケンシングして変異導入の成功を
確認した。抗体。 PS1のアミノ酸263-407(3027, BI.3D7)およびPS2の297-356アミノ酸(3711,
BI.HF5C)に対するポリクロナール抗体およびモノクロナール抗体については、
すでに記載されている(Steiner ら, 1999)。合成Aβに対する抗体3926(Leimer
ら, submitted)、またはAβのアミノ酸1-16に特異的な抗体6E10(プロダクト300
-10、Senentek Plc.)またはAβ40またはAβ42に特異的な抗体(それぞれカタロ
グ番号、44-348および44-344、QCB, Quality Control Biochemicals, Inc., Hop
kintonm, USA)およびヒトβAPPの細胞質ドメインに対する抗体5818(Leimer ら,
submitted)またはAβのC−末端に対して特異的な抗体(SAD 3138, Labgen)を使
用した。
【0097】 PSおよびβAPP代謝の分析。メチオニンフリーおよび血清フリーMEM中の1hの
飢餓の後、 HEK293細胞をメチオニンフリーおよび血清フリーのMEM中、700μCi
35S-メチオニン(Promix, Amersham)で2時間代謝ラベルした。細胞抽出物を調
製して、記載されたようにPSの免疫沈降を行った(steiner ら, 1999)。コンディ
ション培地中でのAβの分析のため、細胞を、450μCiの35S-メチオニン(Promix,
Amersham)で2h代謝ラベルし、未ラベルのメチオニンを過剰に含む培地で2h
チェイスした。コンディション培地を抗体3926により免疫沈降し、10-20%のト
リス−トリシンゲル(Novex)で分離した。βAPP-CTFを解析するために、10-20%
のトリス−トリシンゲル(Novex)で細胞ライセートを分離し、抗体5818(Leimer
ら, submitted)を使用してイムノブロットにより分析した。 PSの免疫沈降/westernブロット組合せ 細胞抽出物を調製し、ポリクロナー
ル抗体3027(PS1)または3711(PS2)を使用して免疫沈降を行った。免疫沈降したPS
タンパク質は、モノクロナール抗体BI.3D7およびBI.HF5Cを使用して同定した(St
einer ら, 1999)。結合した抗体は、増感化学発光により検出した(ECL, Amersha
m)。
【0098】 参考文献 Alnemri, ES, Livingston, DJ, Nicholson, DW, Salvesen, G, Thornberry, NA,
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【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 a)一般的なハンマーヘッドリボザイム−標的RNA複合体の配列および構造。
ハンマーヘッドリボザイムは、2つのドメインを含んでおり、塩基ペアリング(
アステリスクによりマーク)を通してその標的RNAを認識して結合する基質結合
ドメインと、トリヌクレオチドGUX[X=C, A, U]の3’末端で標的RNAを切断する
触媒活性を有する触媒ドメインである。 b)PS2 mRNAの2次構造である。5'未翻訳領域のヌクレオチド1から開始し、
翻訳領域のnt1236位置において終了するPS2 mRNAの一部の2次構造を“mfold”
により予測した(実施例1において説明する)。リボザイムの標的とされる可能
性のある良好な候補領域であるオープンループを黒い丸で示す。標的トリヌクレ
オチドにおける切断部位を矢線で示す。番号付けは、AccessionNo.L43964である
EMBLデータバンクにおけるヒトPS2シーケンスに対応する。PS2 mRNAの残りの部
分(nts. 1001-2236)の2次構造の予測は、好適なオープンループ領域を与えな
かった(データは示さず)。
【図1c】 リボザイムおよびそれに対応する基質RNAの位置。異なった3つのトリヌクレ
オチドを選択し、in vitroにおけるリボザイム切断の研究のため、および、細胞
培養実験における外来性使用のために適切な合成リボザイムを設計した。トリヌ
クレオチドを標的とした種々の長さのフランキング基質結合領域を有するリボザ
イムを設計した。すなわち、GUC1173トリヌクレオチド(EMBLデータバンク
によるヌクレオチドナンバリング、Accesion No. L43964)を標的とする5つの
リボザイム(rz1173/13.3, rz1173/12など)を設計した。in vitro切断研究のた
め、基質RNA(標的部位)として、本発明者らは、合成した短い5’[32P]-ラベ
ル(アステリスクにより示した)RNA(センスRNAを示す右側の部位に向かう矢印
にともなう黒いバーとして示す)を日常的に使用した。加えて、標的部位GUC117 3 としては、本発明者らは、より大きなRNA(367bp)を、in vitroにおいてプラ
スミドpBSK+PS2.NcoIからT7ポリメラーゼで転写して生成し(図4b)、[32P-CT
P]-ラベリング(アステリスクで示す)した。さらに機能分析を行うために内在
性に使用した唯一のリボザイムは、リボザイムrz1173(“+”で示す)であった
。PS2 mRNAについてrz1173過剰発現をポジティブな細胞クローンのスクリーニン
グを行うため、本発明者らは、RNase保護アッセイのためのRNAプローブとしてPS
2のリボザイム標的部位を含むアンチセンスRNAを使用した(アンチセンスRNAを
示した左部位に向いた矢印にともなう黒いバーとして示す)。このプローブは、
T3ポリメラーゼ(図4b)および[32P-CTP]-ラベリングを使用してプラスミドpB
SK+PS2.NcoIからin vitro転写により生成させた。
【図2a】 PS2 mRNAにおける種々の領域を標的とする異なった合成リボザイムのin vitro
切断研究 3つの合成リボザイム(rz1173, rz232, rz308、EMBLデータバンクAccessi
on No. L43964のヌクレオチドナンバリングによる)をPS2 mRNAの種々の領域に対
して標的化し、それらの切断能力をin vitroにおいて特異的標的トリヌクレオチ
ドを含む5'[32P-CTP]-ラベルしたRNA基質により分析した。それぞれのリボザイ
ムは、フランキング基質結合領域の異なった長さを有するもの(すなわち、rz11
73/13.3, 12, 9など)が使用された。rz1173およびrz232について、いわゆる“
アンチセンスリボザイム”であるas-12およびas-15.1をそれぞれ作成した(実施
例1中で説明)。リボザイム切断を標準的な条件の下で行い、示したリボザイム
:標的モル比を用いた。コントロール基質RNAは、リボザイム処理を行わないも
のとした(レーン“−”)。反応を停止させ、20%SDS−ポリアクリルアミ
ド/6M尿素ゲルにのせ、濾紙上で乾燥して、X-Omat ARフィルム(Kodak)に曝
露した。
【図2b】 3つの合成リボザイム(rz1173, rz232, rz308、EMBLデータバンクAccessi
on No. L43964のヌクレオチドナンバリングによる)をPS2 mRNAの種々の領域に対
して標的化し、それらの切断能力をin vitroにおいて特異的標的トリヌクレオチ
ドを含む5'[32P-CTP]-ラベルしたRNA基質により分析した。それぞれのリボザイ
ムは、フランキング基質結合領域の異なった長さを有するもの(すなわち、rz11
73/13.3, 12, 9など)が使用された。rz1173およびrz232について、いわゆる“
アンチセンスリボザイム”であるas-12およびas-15.1をそれぞれ作成した(実施
例1中で説明)。リボザイム切断を標準的な条件の下で行い、示したリボザイム
:標的モル比を用いた。コントロール基質RNAは、リボザイム処理を行わないも
のとした(レーン“−”)。反応を停止させ、20%SDS−ポリアクリルアミ
ド/6M尿素ゲルにのせ、濾紙上で乾燥して、X-Omat ARフィルム(Kodak)に曝
露した。
【図2c】 5−16bの基質結合ドメインを有する異なった3つのリボザイム、rz1173, rz23
2, rz308を、in vitroにおける効率的切断のために要求されるリボザイム:標的
モル比に関するさらに詳細な分析のために使用した。リボザイム切断反応は、リ
ボザイム:標的モル比を示したようにして標準的な条件で行った(実施例1中で
説明)。コントロール基質RNAは、リボザイム処理を行わないものとした(レー
ン“−”)。反応を停止させて、濾紙上で乾燥して、X-Omat ARフィルム(Kodak
)に曝露した。
【図2d】 5−16bの基質結合ドメインを有する異なった3つのリボザイム、rz1173, rz23
2, rz308を、in vitroにおける効率的切断のために要求されるリボザイム:標的
モル比に関するさらに詳細な分析のために使用した。リボザイム切断反応は、リ
ボザイム:標的モル比を示したようにして標準的な条件で行った(実施例1中で
説明)。コントロール基質RNAは、リボザイム処理を行わないものとした(レー
ン“−”)。反応を停止させて、濾紙上で乾燥して、X-Omat ARフィルム(Kodak
)に曝露した。
【図3a】 異なったリボザイム:標的モル比における長さの異なった基質結合ドメインを
有するリボザイムrz1173のin vitro効率を示す。9-16bの間の長さのフランキン
グ基質結合ドメインを有する(rz1173/13.3, 12, 9) リボザイムrz1173を使用し
た。対応する合成RNA基質は、5’[32P]ラベルした。リボザイムの切断反応は、
リボザイム:標的モル比を示したようにして、標準的な条件(実施例1において
説明)の下で実施した。反応を停止させ、濾紙上で乾燥して、X-Omat ARフィル
ム(Kodak)に曝露した。切断効率は、Phospor Imaging System (Bio Rad)で算
出した。
【図3b】 合成rz1173/13.3のin vitroリボザイム切断のキネティクス。リボザイム切断
反応を、リボザイム:標的とRNAとの濃度のモル比を100:1として標準的な
条件の下で行った(実施例1において説明する)。RNA基質として、標的ヌクレ
オチドGUC1173を含む5’[32P]-ラベルした合成RNAを用いた。アリコートを示
した時点で採取し、20%SDS−ポリアクリルアミド/6M尿素ゲルにロード
した。リボザイムrz1173/13.3の切断速度は、上側の図に示す。パーセンテージ
でのリボザイム切断は、Phospor Imaging System (Bio Rad)で算出した。
【図4a】 リボザイムrz1173/13.3auto-PS2 mRNA複合体の配列と構造。ハンマーヘッドリ
ボザイムrz1173/13.3autoのPS2 mRNAの特異的配列への結合を示す(EMBLデ
ータバンクAccession No. L43964によるヌクレオチドナンバリング、)。rz1173
の基質結合ドメインのフランキング領域とPS2 mRNAにおけるGUC1173を取り囲む
ヌクレオチドとの間の塩基ペアリングをアステリスクにより示す。ゆらぎ塩基対
“G−U”を、ポイントによりマークする。リボザイム、rz1173/13.3autoは、P
S2−特異的リボザイムrz1173/13.3、および5’末端をPS2−特異的リボザイムrz
173/13.3の3’末端に直接融合させた自己触媒的ハンマーヘッド−リボザイムを
含む融合リボザイムの例である。
【図4b】 rz173/13.3のin vitro およびin vivo発現のベクター構成およびそれに対応す
る基質。プラスミドpBSK+/PS2 rz1173.13.3からのin vitro転写物により生合成
リボザイムrz1173を得、その後合成リボザイムとの比較においてin vitro切断活
性をテストした。プラスミドpBSK+/PS2 rz1173.13.3autoはリボザイム構築物ボ
ックスをコードしており、このボックスは、HeLa細胞のPS2“ノックダウン”と
して使用されるテトラサイクリン−感受性遺伝子発現システム(H. Bujard, Heid
elberg)のレスポンスプラスミド(pUHD 10-3)へと最終的にはクローニングされた
。このリボザイム構築物ボックスは、PS2特異的リボザイムrz1173/13.3および自
己触媒的リボザイム(a参照)を含む。構築物pBSK+/PS2.NcoIのT3プロモータか
らの転写により、PS2のリボザイムrz1173標的配列を含有するセンス PS2/NcoIフ
ラグメントを生成し、これをin vitroリボザイム切断反応に使用した。T7プロモ
ータからの転写により、アンチセンス PS2.NcoIフラグメントを生成し、これをr
z1173/13.3発現HeLa細胞クローンにおけるPS2 mRNAの定量のためのRnaseI保護ア
ッセイにおけるプローブとして使用した。
【図5】 In vitro 転写されたリボザイムrz1173/13.3は367b長のPS2転写物を切断した
。In vitro転写されたリボザイムrz1173を、367b長の[32P]-ラベルしたPS2転写
物と共に、標準的な条件で(実施例1において説明する)増量させつつ(in vitr
o転写反応全体の0, 1; 0, 3; 0, 5;1; 3; 5μl)インキュベーションした。第1
レーンは、処理なしの基質RNAである。レーン“−”における基質RNAは、リボザ
イムなしで標準的な条件でインキュベーションしたものである。サイズの知られ
たマーカRNAを、比較のためにポリアクリルアミドゲルにロードした。
【図6a】 rz1173/13.3を誘導可能に発現している種々の細胞クローンのPS2 mRNAレベル
。構築物pUHD103/PS2-rz1173.13.3autoで安定的にトランスフェクションできた
49クローンをドキシサイクリンを除去した後RNase保護アッセイ(RPA)でPS2発
現について試験した。はじめの2つのレーンは、コントロール反応であり、tRN
AをPS2の[32P]-ラベルしたアンチセンスRNAプローブとのハイブイリダイゼーシ
ョンのために用いた。これらのハイブリダイゼーション反応は、RNaseの非存在
(−)または存在(+)において行った。コントロール細胞株HtTAからのmRNAは
、RPAにおいて標準として用い、内在性PS2 mRNAレベルを示すために用いた。細
胞株HtTA/PS2rz1173.40をタンパク質レベルのさらに詳細な分析のために用いた
【図6b】 選択した細胞株HtTA/ps2RZ1173.40におけるPS2タンパク質レベル。ドキシサイ
クリンを除去した後、種々の時点でPS2“ノックダウン”細胞株から抽出物を作
製した。HeLa細胞における内在性PS2タンパク質との比較のため、ドキシサイク
リンを添加した標準培地で培養した細胞から第0日〜14日において抽出物を作
製した。タンパク質は、抗体3711を使用して免疫沈降し、SDS/ポリアクリルアミ
ドゲルで分離し、PVDFメンブレン上にブロッティングし、モノクロナール抗体BI
.HF5C(希釈率1:2000)でハイブリダイズした。両方の抗体とも、PS2の親水性ル
ープを認識した。
【図7】 PS2“ノックダウン”HeLa細胞株は、エチジウムブロミド/アクリジンオレン
ジ染色により計算されるように、アポトーシス性刺激に対して感受性が低かった
。3つのHeLa細胞株(PS2“ノックダウン”細胞[PS2 k.d.]および野生型[PS2 wt
]または変異型PS2[PS2 mut]を過剰発現している細胞株)を、それらのスタウロ
スポリンに対するアポトーシス性感受性を決定するために用いた。(a)野生型
または変異型PS2の過剰発現は、ドキシサイクリンの存在(+Dox)または非
存在下でPS2のN−末端を認識する抗体2972(希釈度1:300)を使用した免疫蛍光に
より示された。(b)示した濃度におけるスタウロスポリンでの18h処理の後、
細胞を固定し、実施例1で説明するようにエチジウムブロミドおよびアクリジン
オレンジと共にインキュベーションした。
【図8】 PS2“ノックダウン”はアポトーシス阻害を引き起こした。 トランスフェクトされた3つのHeLa細胞株(PS2“ノックダウン”細胞[PS2k.d
.]および野生型[PS2 wt]または変異型PS2を過剰発現している2つの細胞株)お
よび、元のHeLa細胞株を、標準的な条件(実施例1において説明)において示さ
れた濃度のスタウロスポリンで18h処理した。コントロールとして、細胞をスタ
ウロスポリンで処理しなかった(レーン“0”)。 (a)アポトーシス感受性。細胞死検出ELISAを使用して分析を行った(Boehri
nger Mannheim;実施例1において説明)。アポトーシスの程度は、直接405〜490
nmの吸収として表現した。 (b)アラマーブルーリダクションアッセイ(Alamar Blue reduction assay)
。アラマーブルーリダクション(実施例1)を用いてコントロールの所定のパー
センテージとして細胞生存率を測定した。 (c)LDHリリース。LDHリリースを測定し(Boehringer Mannheim;実施例1
において説明)、光学的濃度として示した。
【図9】 アポトーシス刺激に続くカスパーゼ 3(CPP32)の活性化には、PS2“ノック−
ダウン”は影響しないようである。3つのHeLa細胞株(PS2“ノック−ダウン”
細胞[PS2k.d.]および野生型[PS2 wt]または変異型PS2[PS2 mut]を過剰発現する
細胞株)を、標準的な条件(実施例1において説明)1μMのスタウロスポリン
で処理した。コントロールとして、スタウロスポリンで処理されていない細胞の
抽出物を作製した(レーン“c”)。(a)抽出物を示された時点で調製し、同
一量のタンパク質を12%SDS/ポリアクリルアミドゲル上にロードした。PV
DFメンブレン上にブロットした後、CPP-32−特異的抗体(Transduction Laborat
ories, 希釈率1:500)でハイブリダイゼーションした。この抗体は、CPP32ホロ
酵素およびタンパク質分解性切断の際に発生する17kDa活性N−末端フラグメン
ト(aにおいて例として示した)を認識した。(b)CPP32ホロ酵素を矢印で示し
てある。
【図10】 アポトーシス性刺激に続くPARP切断には、PS2“ノック−ダウン”は全く影響
を有しないようであった。3つのHeLa細胞株(PS2“ノック−ダウン”細胞[PS2k
.d.]および野生型[PS2 wt]または変異型PS2[PS2 mut] を過剰発現する細胞株)
を、標準的な条件(実施例1において説明)下で1μMのスタウロスポリンで処
理した。コントロールとして、スタウロスポリンで処理されていない細胞の抽出
物を作製した(レーン“c”)。(a)抽出物を示された時点で調製し、同一量
のタンパク質を、12%SDS/ポリアクリルアミドゲル上にロードした。PVDFメン
ブレン上にブロットした後、PARP-特異的抗体(Boehringer Mannheim, 希釈率1:
2000)でハイブリダイゼーションした。この抗体は、PARPホロ酵素およびタンパ
ク質分解フラグメントを認識した。(b)PARPホロ酵素および85kDaのタンパク
質分解フラグメントを矢印で示す。
【図11a】 PS2“ノック−ダウン”によるアポトーシスの阻害−時系列実験。 3つのHeLa細胞株(PS2“ノック−ダウン”細胞[PS2k.d.]および野生型[PS2 wt]
または変異型PS2[PS2 mut] を過剰発現する細胞株)を、標準的な条件下で(実
施例1において説明)1μMのスタウロスポリンで処理した。コントロールとし
て、スタウロスポリンで処理されていない細胞から抽出物を作製した(レーン“
c”)。 PS2“ノック−ダウン”細胞株におけるアポトーシスの際には、CTF16は、検出
されなかった。抽出物を示された時点で調製し、同一量のタンパク質を用いてポ
リクロナールPS2/ループ−特異的抗体3711による免疫沈降を行った。12%SDS
/ポリアクリルアミドゲル電気泳動およびPVDFメンブレン上にブロットした後、
ループ領域に対して生じさせたモノクロナール抗体BI.HF5C(希釈率1:2000)で
ハイブリダイゼーションした。
【図11b】 PS2“ノック−ダウン”によるアポトーシスの阻害−時系列実験。 3つのHeLa細胞株(PS2“ノック−ダウン”細胞[PS2k.d.]および野生型[PS2 wt]
または変異型PS2[PS2 mut] を過剰発現する細胞株)を、標準的な条件下で(実
施例1において説明)1μMのスタウロスポリンで処理した。 野生型または変異型PS2の過剰発現に比較してPS2“ノック−ダウン”はアポト
ーシスに対して阻害効果を示した。抽出物の調製(a)に並行して、細胞死検出
ELISA(Boehringer Mannheim)を使用して細胞をアポトーシスに関して分析した。
アポトーシスの程度は、直接的に405〜490nmの吸収として表現した。
【図12】 毒性水準下のタウロスポリンでは18h後もCTF16は生成されなかった。野生型[
PS2 wt]または変異型PS2[PS2 mut]を過剰発現するHeLa細胞株を、標準的な条件
(実施例1において説明)下で示した濃度のスタウロスポリンで処理した。コン
トロールとしては、細胞はスタウロスポリンで処理しなかった(レーン“c”)
。抽出は18h後に行い、同一量のタンパク質をポリクロナールPS2/ループ−特
異的抗体3711でによる免疫沈降に使用した。12%SDS/ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動およびPVDFメンブレン上にブロットした後、ループ領域に対して生
じさせたモノクロナール抗体BI.HF5C(希釈率1:2000)でハイブリダイゼーショ
ンした。
【図13a】 ドミナントネガティブPS2変異の作製。 安定的にPS2 Asp366Alaを発現する独立した細胞株において完全長PS2が蓄積す
る。個々のクローンを35S−メチオニンで代謝ラベルし、細胞のライセートをPS2
特異的抗体3711で免疫沈降した。
【図13b】 ドミナントネガティブPS2変異の作製。 PS2CTFの検出。HEK293細胞または安定してPS2 Asp366A1a変異を発現するHEK29
3細胞(クローン11)の細胞ライセートを、抗体3711で免疫沈降し、PS2CTFsを
モノクロナール抗体BI.HF5Cで検出した。トランスフェクションしていないHEK29
3細胞中で内在性PS2 CTFの高いレベルが検出されたが、安定的にPS2 Asp366A1a
を発現する細胞中においてPS2 CTFの生成はほとんど完全に阻害されていた。
【図13c】 ドミナントネガティブPS2変異の作製。 PS2 Asp366A1aの安定な発現は、内在性PS1フラグメントの蓄積を阻害する。HE
K293細胞または安定してPS2 Asp366A1aを発現するHEL293細胞(クローン11)
の細胞ライセートをPS1特異的抗体3027で免疫沈降し、PS1 CTFをモノクローナル
抗体BI.3D7で検出した。トランスフェクションしていないHEK293細胞中で内在性
PS1 CTFの高いレベルが検出されたが、安定的にPS2 Asp366A1aを発現する細胞中
においてPS1 CTFの生成はほとんど完全に阻害されていた。
【図14a】 PS2 ASP366A1aは、βAPPのプロセッシングに影響する。 PS2 Asp366A1aは、Aβ産生を著しく減少させる結果となる。PS2 Asp366A1aを
定常的に発現するプールされたクローンまたはサブクローン細胞株(クローン1
1)を、35S−メチオニンで2h代謝的にラベルし、ついでさらに2hコールド
チェイスした。コンディション培地を合成Aβに対する抗体3926を使用して免疫
沈降した。PS2 Asp366A1aを安定して発現する細胞は、Aβの生成量を著しく減少
させた。加えてα−セクレターゼおよびβ−セクレターゼの組み合わされた作用
から得られる(Haass and Selkoe, 1993)p3の生成の減少が観察された。アミロ
イド形成におけるドミナントネガティブPS2変異の効果は、サブクローンされた
細胞株において増大されているように見えた。
【図14b】 PS2 ASP366A1aは、βAPPのプロセッシングに影響する。 PS2 Asp366A1aの発現は、βAPPのC−末端タンパク質分解性フラグメント蓄積
を生じさせる。安定してPS2 Asp366A1aを発現するプールされたクローンまたは
サブクローンされた細胞株(クローン11)からの細胞ライセートを抗体5818で
免疫ブロットしてβAPPのC−末端フラグメントを検出した。
【図15】 上側部分:プレセニリン−ルシフェラーゼ融合タンパク質 プレセニリン−ルシフェラーゼ融合タンパク質を図説する。プレセニリンタン
パク質はおそらく8つの膜貫通ドメイン(TM)を含有し、N−およびC−末端
双方およびTM6とTM7との間の大きな親水性ループを細胞質に向けているらしい(
Haass、1997)。推定されるプレセニリナーゼはこのループ領域を切断する。灰
色のボックスは、公開されている切断部位を示した(Podlisny ら, 1997; Shiro
tani ら, 1999; Wisniewski ら 1997)。この図において、アミノ酸欠失、または
欠失なしでプレセニリンのN−末端へと融合されたルシフェラーゼが示されてい
る。 (A)プレセニリン(PS1またはPS2)−ルシフェラーゼ融合タンパク質を発現す
る安定にトランスフェクトされた細胞株。融合タンパク質は、プレセニリナーゼ
の作用により制御されたタンパク質分解切断によるフラグメントへと切断される
。NTFはレポーターのルシフェラーゼへ融合されている。 (B)本発明によりプレセニリナーゼの活性を低減させる、または排除すること
が可能な物質を同定するための方法を示す(詳細については、詳細な説明および
実施例2)。この物質はこの図においては“インヒビター”と称されている。 本発明の上述の物質がプレセニリナーゼの活性を実際に減少または阻害するこ
とができる場合に限り(図15B+インヒビター+右側)、N−末端に融合され
たルシフェラーゼはマイクロタイタプレートへ結合し、完全長プレセニリンタン
パク質が存在することによるシグナルを与える。 プレセニリナーゼの活性を低減または阻害することができる物質が存在しない
場合には(図15B−インヒビター、左側)、プレセニリナーゼ−ルシフェラー
ゼ融合ータンパク質は内在性プレセニリナーゼにより切断され、C−末端が抗原
-抗体相互作用によりマイクロタイタプレートへと結合し、ルシフェラーゼN−
末端へ融合したルシフェラーゼは、洗浄ステップの間に洗浄されてしまう。この
場合には、信号は、全く検出されない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 111 A61P 43/00 111 C07K 14/47 C07K 14/47 C12N 9/99 C12N 9/99 G01N 33/15 G01N 33/15 Z 33/50 33/50 Z 33/573 33/573 33/68 33/68 // C12N 15/09 ZNA C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),EA(AM,AZ ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AE ,AU,BG,BR,CA,CN,CZ,EE,HR, HU,ID,IL,IN,JP,KR,LT,LV,M X,NO,NZ,PL,RO,SG,SI,SK,TR ,UA,US,UZ,VN,YU,ZA (72)発明者 シュタイナー ハーラルト ドイツ連邦共和国 デー68159 マンハイ ム ツェー8−6

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プレセニリナーゼ活性を低減または排除することができる物質
    を同定するための方法であって、 a)細胞または細胞株を培養して前記プレセニリナーゼ活性および融合タンパ
    ク質を発現させる工程であって、前記融合タンパク質が完全長プレセニリン1ま
    たは完全長プレセニリン2とレポーターとを含むものである前記工程 b)前記細胞または細胞株を試験物質と共にインキュベートする工程、 c)前記レポーターを使用して前記完全長タンパク質の量を測定する工程、お
    よび、 d)工程c)で得られた完全長融合タンパク質の量をコントロールについて測
    定した前記完全長融合タンパク質の量と比較する工程、 とを含む方法。
  2. 【請求項2】 プレセニリナーゼがプレセニリン1に特異的である、請求項1
    に記載の方法。
  3. 【請求項3】 プレセニリナーゼがプレセニリン2に特異的である、請求項1
    に記載の方法。
  4. 【請求項4】 プレセニリナーゼ活性を低減または排除することが可能な物質
    が、前記プレセニリナーゼの自己タンパク質分解を低減または排除するものであ
    る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 プレセニリナーゼ活性を低減または排除することが可能な物質
    が、γ−セクレターゼの活性を低減または排除するものである、請求項1〜4の
    いずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記物質が、N−末端フラグメント(NTF)がサイズ約21-28kD
    aであってC−末端フラグメント(CTF)がサイズ約20-25kDaとなるプレセニリン
    1の制御されたエンドタンパク質分解性切断によるプレセリニン1のフラグメン
    トへの開裂を阻害するものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記物質が、N−末端フラグメント(NTF)がサイズ約28-30kD
    aであって、C−末端フラグメント(CTF)がサイズ約20-25kDaとなるプレセニリ
    ン2の制御されたエンドタンパク質分解性切断によるプレセニリン2のフラグメ
    ントへの開裂を防止する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 レポーターが前記プレセニリンのN−末端に融合されている、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 i)プレセニリン1のC−末端に特異的またはプレセニリン2のC−末端に特
    異的な抗体を固体表面に固定化する工程、 ii)培養後に細胞または細胞株からタンパク質を抽出する工程、 iii)前記タンパク質抽出物を前記抗体とインキュベーションする工程、 iv)レポーターを検出することにより、前記抗体が結合した完全長融合タン
    パク質の量を測定する工程、 とを含む、レポータ−を使用して完全長融合タンパク質の量を測定する、請求項
    1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 タンパク質抽出物のインキュベーション後に、レポーターの
    検出により一切の未結合融合タンパク質フラグメントを測定する、請求項1〜9
    のいずれか1項に記載の方法。
  11. 【請求項11】 プレセニリナーゼ活性を低減または排除することが可能な物
    質が存在しない場合には、細胞または細胞株が完全長融合タンパク質がわずかま
    たは全く検出されないレベルで前記融合タンパク質を発現する、請求項1〜10
    のいずれか1項に記載の方法。
  12. 【請求項12】 レポーターがルシフェラーゼである、請求項1〜11のいず
    れか1項に記載の方法。
  13. 【請求項13】 高スループットのスクリーニングアッセイ(HTS)である
    請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 【請求項14】 請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法により同定し得
    るプレセニリナーゼの活性を低減または排除することが可能な物質。
  15. 【請求項15】 a)前記プレセニリナーゼの酵素活性を低減するかまたは排除することが可能な
    物質、または b)プレセニリナーゼの発現を翻訳または転写レベルで低減するかまたは排除
    することが可能な物質、または c)プレセニリナーゼの基質の発現を低減するかまたは排除することが可能な
    物質、または d)プレセニリンフラグメントの間における複合体形成を低減または排除する
    ことが可能な物質、 からなる群から選択される、請求項14に記載の物質。
  16. 【請求項16】 プレセニリンフラグメントの量を低減することができ、神経
    細胞死を防止することが可能か、および/またはAβの沈着を低減することが可
    能か、および/またはアミロイド斑の形成を減少させることが可能である、請求
    項14または15に記載の物質。
  17. 【請求項17】 プレセニリナーゼがプレセニリン1に特異的である請求項1
    4〜16のいずれか1項に記載の物質。
  18. 【請求項18】 プレセニリナーゼがプレセニリン2に特異的である請求項1
    4〜16のいずれか1項に記載の物質。
  19. 【請求項19】 プレセニリンの自己タンパク質分解を低減または排除するも
    のである、請求項14〜18のいずれか1項に記載の物質。
  20. 【請求項20】 γ−セクレターゼの活性を低減または排除するものである、
    請求項14〜19のいずれか1項に記載の物質。
  21. 【請求項21】 プレセニリン1の制御されたエンドタンパク質分解性切断フ
    ラグメントへの開裂を阻害する請求項14〜20のいずれか1項に記載の物質で
    あって、前記制御されたエンドタンパク質分解性切断への開裂において、N−末
    端フラグメント(NTF)がサイズ約21-28kDaであり、C−末端フラグメント(CTF
    )がサイズ約16-24kDaである、前記物質。
  22. 【請求項22】 プレセニリン2の制限されたエンドタンパク質分解性切断フ
    ラグメントへの開裂を阻害する請求項14〜20のいずれか1項に記載の物質で
    あって、前記制御されたエンドタンパク質分解性切断への開裂において、N−末
    端フラグメント(NTF)がサイズ約28-30kDaであり、C−末端フラグメント(CTF
    )がサイズ約20-25kDaである、前記物質。
  23. 【請求項23】 アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムである請
    求項14〜22のいずれか1項に記載の物質。
  24. 【請求項24】 請求項14〜23のいずれか1項に記載の物質および医薬的
    に許容されるキャリアを含む医薬組成物。
  25. 【請求項25】 神経変性性疾患の治療のための医薬の製造における請求項1
    4〜23のいずれか1項に記載の物質の使用。
  26. 【請求項26】 アルツハイマー症の治療のための医薬の製造における請求項
    14〜23のいずれか1項に記載の物質の使用。
  27. 【請求項27】 家系性アルツハイマー症の治療のための医薬の製造における
    請求項14〜23のいずれか1項に記載の物質の使用。
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