JP2002518453A - 患者の体温の上昇または低下のための六フッ化硫黄と酸素を含む組成物 - Google Patents

患者の体温の上昇または低下のための六フッ化硫黄と酸素を含む組成物

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、六フッ化硫黄と酸素を含むガス混合物により過換気にすることによる患者の体温を変化させる方法に関する。本方法は、誘導された低体温症が望ましい任意の臨床的状態において患者を冷やすためにまたは低体温症患者を急速に再加温するために適用し得る。本発明は本方法で使用するガス混合物も含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】 発明の分野 本発明は患者の体温を急速に変化させる非侵襲性の方法に関する。これは、患
者を、六フッ化硫黄と酸素を含むガス状混合物により過換気にすることにより達
成する。本発明はまたこれらの方法に使用する組成物にも関する。
【０００２】 発明の背景 低血流または循環阻止を必要とする手術を受ける患者は、しばしば、心臓およ
び脳の保護を助けるために手術前に体温を低下させることが必要である。特に、
低体温法は、心臓手術および大脳動脈瘤の手術の患者に含まれる。より最近、体
温の低下が頭外傷患者の保護のための技術として使用されており、この方法が出
血性ショックの患者の処置に有用であり得るという示唆がある。不幸なことに、
現在、患者の体温を急速に低下させるための信頼性のある非侵襲性の方法はない
。本発明はこの問題に取り組み、急速に低体温症を誘導する、または、急速に低
体温症の患者を温めるのに使用できる方法を記載する。
【０００３】 発明の要約 本発明は、呼吸性熱交換が患者の体温を急速に変化させることに使用できると
いう概念に基づく。本方法は、ベンチレーターのような標準医療装置および患者
に投与する前にガスを加温または冷却するための手段以外には必要としない。
【０００４】 その最初の態様において、本発明は、六フッ化硫黄および酸素の組合わせを含
むガス混合物を投与することにより、患者の温度を低下させる方法に関する。熱
交換の速度を増加させるために、ガス混合物を、患者を本質的にまたは機械的換
気の結果として過喚起にしながら投与する。投与する混合物は患者の体温より低
くなければならず、投与は患者の体温が望ましいレベルまで低下するまで続ける
。
【０００５】 典型的に、六フッ化硫黄は２０から８０％の濃度で存在し、六フッ化硫黄対酸
素の比率が約８０／２０が好ましい。患者の動脈血の二酸化炭素の圧力が、ガス
投与中正常範囲内に維持されるのがまた一般に好ましい。体温の低下は、ガス混
合物中の水蒸気を低いレベル、好ましくは１０％より低く維持することにより促
進し得る。
【０００６】 上記の方法は、あるいは、患者の体温の上昇に使用できる。六フッ化硫黄と酸
素の同じ混合物を投与するが、投与前に冷却するよりむしろ患者よりも高い温度
に温める。また、混合物の投与は患者の望ましい体温が達成されるまで持続する
。上記の方法により、ナトリウムヘキサフルオリドは、２０から８０％の濃度に
維持すべきであり、ナトリウムヘキサフルオリド対酸素の８０／２０の比率が好
ましい。患者の動脈血液二酸化炭素圧は、この方法中、正常範囲内に維持し得る
。さらに体温の上昇を促進するため、患者に投与するガス混合物の水蒸気含量を
２０％から４０％よりも高いレベルに維持し得る。
【０００７】 本発明はまた上記に記載の方法で使用する患者の体温を急速に変えるための組
成物も含む。このように、本発明は、六フッ化硫黄と酸素の混合物を含み、典型
的に六フッ化硫黄は２０−８０％の濃度で存在する。好ましくは、本組成物は約
８０％の六フッ化硫黄を含むべきである。最も望ましい水蒸気の濃度は、組成物
の意図される使用に依存する。組成物を患者の体温の低下に使用する場合、水蒸
気は、好ましくは１０％より低い濃度で存在すべきである。患者を温めるために
使用する組成物は、２０％より高い、より好ましくは４０％より高い水蒸気の濃
度を有するべできある。
【０００８】 発明の詳細な説明 本発明の目的は、患者の体温を急速に変えるための単純な、非侵襲性の方法の
提供である。これは、六フッ化硫黄と酸素を含む呼吸混合物で患者を過換気にす
ることにより達成される。
【０００９】 本方法は、呼吸性熱交換が、瞬間の換気、呼吸混合物(ガス)の密度およびその
固有の熱、発散および吸入ガスの間の温度の差に直接比例するという事実に基づ
く。このように、呼吸性熱交換は： １)瞬間の換気の増加：これは、患者の一回換気量および呼吸速度の増加をさせ
および／または挿管した患者への標準手術室またはＩＣＵベンチレーターの使用
により達成できる。患者は、鎮静し、挿管する前に本質的に過換気にし、速い速
度の冷却または再加温を達成する。良炭酸ガス症(eucapnia)(等炭酸ガス症(isoc
apnia)としても既知)が望ましい場合、二酸化炭素を、患者の二酸化炭素の呼吸
終期または動脈圧によるガイドにより、呼吸混合物に添加できる。 ２)ガス(呼吸混合物)の密度の増加：混合物内の六フッ化硫黄の濃度が高いほど
、得られるガス密度が高い。 ３)呼吸混合物の特異的熱の増加：これは混合物への非常に特異的な熱を有する
他のガスの添加により達成し得る。 ４)発散および吸入ガスの間の温度の差の増加：患者を冷やすために、吸入する
呼吸混合物は患者の体温よりも低くなければならない；吸入する呼吸ガスが低温
であればあるほど、得られる呼吸性熱損失は大きい。患者を温めるためには、吸
入する呼吸混合物は温かくなければならない；吸入する呼吸混合物が温かいほど
、得られる呼吸性熱獲得は高い。 により最大化される。
【００１０】 加えて、吸入する呼吸混合物中の水蒸気の含量は、本方法の効果を改善するた
めに変えることができる。例えば、水蒸気の含量は、患者を冷やすことが必要な
場合、減少できる(例えば、０まで減少)；呼吸混合物が乾燥しているほど、気化
熱損失が高い。あるいは、水蒸気の含量を、患者を再加温することが必要な場合
、増加できる(飽和まで)。これは、気化熱損失を最小にする効果を有する。
【００１１】 好ましい態様において、約８０／２０六フッ化硫黄−酸素混合物による良炭酸
ガス症過換気を使用して加熱または加温する。患者を冷やすために、過換気はＣ
Ｏ2を等炭酸ガス症を維持するために添加したガス混合物で行う。ガス混合物を
、乾燥した、氷点下の温度で、手術に慣用的に使用するタイプの気管内管を介し
て送達する。患者を再加温するために、過換気を湿った、温かいガス混合物で行
う。
【００１２】 患者に投与するガス混合物を貯蔵所内で混合し、病院で通常利用可能な種類の
ベンチレーターの手段で患者に送達し得る。体温低下のために設計した方法では
、ガス混合物を、水蒸気を除くためにデシケーターを通し、その温度を低下する
ために熱交換機を通し得る(例えば、Beran, et al., J. App. Physiol. 39:337-
340 (1975)参照)。体温を上昇させるために設計した方法において、混合貯蔵所
からのガス混合物を、標準電動ヒーター／加湿器で加湿し、温めたベンチレータ
ーを使用して送達し得る。冷却と同様、再加温が、六フッ化硫黄と酸素の混合物
を使用して達成される。これらの方法は、単に説明的であり、本発明はガス混合
物の加温または冷却のためのおよびそれらの患者への効率的な送達のための任意
の方法と両立できる。
【００１３】 過換気を達成するための最も単純な方法は、麻酔の直前の患者の自発的な協力
の手段によるものである。意識不明または麻酔した患者では、過換気は標準手術
室またはＩＣＵベンチレーターを使用して誘導し得る。患者の体温および動脈血
ガス値のモニタリングは、当分野で慣用の方法を使用して達成し得る。
【００１４】 本発明は、典型的に心臓または神経外科の前に患者を冷やすために使用する。
それらはまた出血性ショックに罹患した患者の体温の急速な低下に、または低体
温症患者の急速な再加温のために設置された緊急治療室で使用し得る。一般に、
本方法は中心部の体温の変化が望ましい全ての患者において行い得、可能性のあ
る例外は、喘息の患者である。これらの患者においては、気管支痙攣の誘導の危
険があり、本方法を使用する危険／利点の比率をケース・バイ・ケースで考慮す
る必要がある。

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 ａ)過換気により患者にガス混合物を投与する、ここで： ｉ)ガス混合物は六フッ化硫黄と酸素の組合わせを含む； ii)ガス混合物は該患者の体温より低い温度で投与する；そして ｂ)工程ａ)のガス混合物の投与を、患者の体温が低下するまで持続する： ことを含む、変化が望まれる任意の臨床的状態の患者の体温を低下させる方法。
  2. 【請求項２】 該六フッ化硫黄が２０−８０％の濃度で存在する、請求項１
    記載の方法。
  3. 【請求項３】 該六フッ化硫黄が約８０％の濃度で存在する、請求項１記載
    の方法。
  4. 【請求項４】 患者の血中の二酸化炭素濃度が正常範囲に維持される、請求
    項１記載の方法。
  5. 【請求項５】 該ガス混合物の水蒸気濃度が１０％より低い、請求項１記載
    の方法。
  6. 【請求項６】 患者を手術の準備のためにまたは手術の間冷やす、請求項１
    記載の方法。
  7. 【請求項７】 該手術が心臓または神経外科手術である、請求項６記載の方
    法。
  8. 【請求項８】 該患者を出血性ショックの処置として冷やす、請求項１記載
    の方法。
  9. 【請求項９】 ａ)過換気により患者にガス混合物を投与する、ここで： ｉ)ガス混合物は六フッ化硫黄と酸素の組合わせを含む； ii)ガス混合物は該患者の体温より高い温度で投与する；そして ｂ)工程ａ)のガス混合物の投与を、患者の体温が上昇するまで持続する： ことを含む、変化が望まれる任意の臨床的状態の患者の体温を上昇させる方法。
  10. 【請求項１０】 該六フッ化硫黄が２０−８０％の濃度で存在する、請求項
    ９記載の方法。
  11. 【請求項１１】 該六フッ化硫黄が約８０％の濃度で存在する、請求項９記
    載の方法。
  12. 【請求項１２】 患者の血中の二酸化炭素濃度が正常範囲に維持される、請
    求項９記載の方法。
  13. 【請求項１３】 該ガス混合物の水蒸気濃度が２０％より高い、請求項９記
    載の方法。
  14. 【請求項１４】 該ガス混合物の水蒸気濃度が４０％より高い、請求項９記
    載の方法。
  15. 【請求項１５】 該患者の体温を低体温症の処置として上昇させる、請求項
    ９記載の方法。
  16. 【請求項１６】 六フッ化硫黄と酸素を含む、患者の体温を急速に変化させ
    るための組成物。
  17. 【請求項１７】 該六フッ化硫黄が２０−８０％の濃度で存在する、請求項
    １６記載の組成物。
  18. 【請求項１８】 該六フッ化硫黄が約８０％の濃度で存在する、請求項１６
    記載の組成物。
  19. 【請求項１９】 該ガス混合物の水蒸気濃度が１０％より低い、請求項１６
    記載の組成物。
  20. 【請求項２０】 該ガス混合物の水蒸気濃度が１０％より低い、請求項１７
    記載の組成物。
  21. 【請求項２１】 該ガス混合物の水蒸気濃度が２０％より高い、請求項１６
    記載の組成物。
  22. 【請求項２２】 該ガス混合物の水蒸気濃度が２０％より高い、請求項１７
    記載の組成物。
  23. 【請求項２３】 該ガス混合物の水蒸気濃度が４０％より高い、請求項１６
    記載の組成物。
  24. 【請求項２４】 該ガス混合物の水蒸気濃度が４０％より高い、請求項１７
    記載の組成物。
JP2000555624A 1998-06-24 1999-06-22 患者の体温の上昇または低下のための六フッ化硫黄と酸素を含む組成物 Ceased JP2002518453A (ja)

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