JP2002510976A - 均質のヒト・パピローマウイルスのカプソメアを含有する組成物、その製造方法、およびその診断的、予防的、治療的使用 - Google Patents

均質のヒト・パピローマウイルスのカプソメアを含有する組成物、その製造方法、およびその診断的、予防的、治療的使用

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Abstract

(57)【要約】 本発明は安定なHPVカプソメアに関する。このカプソメアは、ウイルス様粒子への集合が実質的に不可能である天然HPV L1タンパク質の少なくとも1つのウイルス中和立体配座エピトープを発現する。カプソメアの小さいサイズおよび免疫原性からして、HPVワクチンにおける使用または診断薬としての使用に非常に適している。さらに、この安定なカプソメアは、小さいサイズ(VLPに比して)からして、精製が容易であり、高い相同性のあるHPVワクチンとなり得る。

Description

【発明の詳細な説明】 均質のヒト・パピローマウイルスのカプソメアを含有する組成物、その製造方法 、およびその診断的、予防的、治療的使用 発明の分野 本発明は、安定なヒト・パピローマウイルス(HPV)のカプソメア、その含 有組成物、その酵素的、化学的および/または組換的な製造方法に関する。この HPVカプソメアおよび含有組成物は、例えばヒト・パピローマウイルス感染に 対する予防のためのワクチンとして、およびHPV L1タンパク質に特異的な 抗体の検出のための診断薬として有用である。本発明はさらに、修飾HPV L 1の核酸配列に関する。この配列は、ウイルス様粒子中に集合するのが実質的に できない安定なカプソメアを生成するために、部位特異的変異形成および/また は欠失によって修飾されているものである。 発明の背景 パピローマウイルスは、ヒトを含む様々な種の動物に感染する。その感染の典 型的な特徴は、感染部位に良性表皮および線維性表皮の腫瘍あるいは疣贅(ゆう ぜい)を誘発することである。脊椎動物は種別によって、全く違ったグループの パピローマウイルスに感染する。各グループは、いくつかの違った型のパピロー マウイルスを含む。例えば、60種あまりのヒト・パピローマウイルスの遺伝子 型が単離されている。パピローマウイルスは高度に種特異的な感染病原体である 。例えば、イヌおよびウサギのパピローマウイルスはヒトのような異種組織にパ ピローマを誘発させることができない。ある一つの型のパピローマウイルスに対 する感染を中和する免疫は、たとえその型が相同種を感染するときでも、他の型 に対する免疫を付与することは一般的にない。 ヒト・パピローマウイルスは、流行の性感染症である陰部疣贅を引き起こす。 HPV6型および11型は、良性の性器疣贅である尖形コンジローマともっとも 一般的に関連している。性器疣贅は非常にありふれているが、準臨床的すなわち 不顕性のHPV感染は臨床の感染症よりさらに広くみられる。たいていのHPV 誘発の病変は良性であるが、その一方、ある型のパピローマウイルス、例えばH PV−16型およびHPV−18型による病変が悪性に進行することがある。さ らに、悪性化関連パピローマウイルス型の一つによる感染は、子宮頚部ガンの病 状進行の重大な危険因子であると考えられている。子宮頚部ガンは世界中で女性 では第二番目に多いガンである。子宮頚部ガンに含まれるHPVの遺伝子型の中 で、HPV−16型が最も普通で、同ガンの約50%に検出される。 パピローマウイルス感染、特にヒト・パピローマウイルス感染によってもたら される重大な健康危険性を考慮して、様々の研究グループが、組換型パピローマ ウイルス抗原の開発およびその診断薬および予防ワクチンとしての使用法を報告 している。一般的にそれらの研究は、メジャーカプシドタンパク質(L1)のみ 、あるいはマイナーカプシドタンパク質(L2)との組合わせを含有する予防ワ クチンの生成に焦点をあてている。例えば、Ghins et al,Virology,190:548-5 52(1992)では、立体配座エピトーブを示すCos細胞中での種痘疹発現を使用し たHPV−1 L1タンパク質の発現、およびその種痘疹のワクチンとしての使 用、あるいは血清分類、または検査のための使用が報告されている。この研究は また、米国特許出願第07/903,109号(1992年6月25日に出願、 1994年3月22日出願の同第08/216,506号のために放棄)の基本 となっており、本出願の譲受人によりライセンスされている。また、Suzich et al,Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.,92:11553-11557(1995)に、顆粒病ウイル ス/昆虫細胞系に発現した組換COPVによるイヌの免疫についての報告がある。こ の系はウイルス性粘膜パピローマの進行が完全に阻害されている。これらの研究 結果は、多数のHPVおよびCOPVのあいだの顕著な類似性が示されている点で重 要である。例えば、COPVは、肛門性器および性器のパピローマ・ガンに関連した HPVと類似しており、粘膜部位の損傷に感染して病変を誘発する。また、L1 配列は、DNAレベルおよびタンパク質レベルの両方において、HPV L1配 列と構造的類似性を有する。それらの類似性によって、ビーグル犬COPVモデルは 、L1タンパク質含有ワクチンの研究、例えば感染防御免疫反応、自然感染予防 、予防接種適化プロトコールなどの研究に有用である(同上出典)。 また、ロチェスター大学の研究グループによるヒト・パピローマウイルスのメ ジャーカプシドタンパク質(L1)およびウイルス様粒子生成についての報告が ある。これは顆粒病ウイルス/昆虫細胞発現システムを使用している(Rose et al,University of Rochester,WO 94/20137,published on September 15,199 4)。このグループは、特にHPV−6およびHPV−11型のL1メジャーカ プシドタンパク質の発現およびHPV−6、HPV−11、HPV−16、HP V−18型のウイルス様粒子生成について報告している。 さらに、クイーンズランド大学研究グループもまた、パピローマウイルスL1 および/またはL2タンンパク質およびウイルス様粒子の組換体形成と、それら の可能な利用法について報告している。(Frazer et al,WO 93/02189,publishe d on February 4,1993)。 さらにまた、米国政府の研究グループが、立体配座抗原エピトープを含むカプ ソメア構造およびウイルス性カプシドに自己集合できる組換体パピローマウイル スカプシドタンパク質について報告している。(米国特許第5,437,951 号、Lowy et al,issued on August 1,1995)。この特許は、自己集合可能なL 1タンパク質をコード化する特異的HPV−16DNA配列およびそれを使用し た上記のHPV−16 L1タンパク質を含む組換体HPV−16カプシドの発 現を対象としている。 ワクチン含有のHPVカプシドタンパク質に関して当業者間で広く認識されて いるのは、HPV L1メジャーカプシドタンパク質依存のワクチンの効能に必 要な要件としてのL1タンパク質が天然ヒト・パピローマウイルス メジャーカ プシドタンパク質によって発現した立体配座エピトープを示すことである(例え ば、Hines et al,Gynecologic Oncology,53:13-20(1994);Suzich et al,Proc .Natl.Acad.Sci.,U.S.A.,92:11553-11557(1995)参照のこと)。 天然立体配座HPV L1エピトープを呈する非粒子型および粒子型組換HP V L1タンパク質が研究文献に報告されている。L1は、さまざまなオリゴマ ー立体配置、例えば(i)L1タンパク質のペンタマーを成すカプソメアおよび (ii)T=7正二十面体構造で72のカプソメアで構成されたカプシドなどにお いて安定していることが知られている。また、L1タンパク質がそれだけで、ま たはL2と共に真核細胞中に発現した場合、効果的に自己集合して、ウイルス様 粒子(VLP)と通常称せられカプシド様構造を呈することが知られている。 VLPは、形態的、抗原的に真性ビリオンに相当すると報告されている。さら に、VLPによる免疫処理はウイルス中和抗体の生成を誘発すると報告されてい る。さらに具体的に、さまざまな動物のパピローマウイルス(イヌ・口腔内パピ ローマウイルスおよびウシ・パピローマウイルス−4)に関する研究は、VLP による免疫処理が連続的パピローマウイルス感染に対する予防となることを示唆 している。その結果、HPV L1タンパク質含有のVLPが、ヒト・パピロー マウイルス感染症関連の疾患を予防するワクチンとして使用することが提案され ている。 これらに加えて、カプシド集合におけるL1欠失の効果を調べた研究がある。 例えば、Paintsil et alの最近の報告によると、BPV−1 L1タンパク質のある カルボキシ末端残基がカプシド形成にとって不必要である(Paintsil et al,Vir ol.,223:238-244(1996))。さらに、その239頁において、PCR変異生成で 起きたさまざまなBPV L1欠失の発現についての結果を図式的に要約してい る。特に、この要約は、そのようなフラグメントが、本来の(正二十面体の)カ プシド、異所性のカプシド、未組織L1集合体またはカプソメアとなるかどうか を示している。(同上出典)。また、Paintsil et alは特定のカルボキシ欠失に ついての研究結果を発表しており、BPV−1 L1タンパク質の451−49 5(ΔC1)残基の欠失についてである。しかしながら、生成カプソメアが天然 BPV−1立体配座エピトープを提示するのか、あるいは抗血清中和を誘出する のかどうかについて、はっきりしていない。また、Paintsil et al(同上出典)に は、さらにその21頁において、「これらの切断した結果が示唆するのは、[ア ミノ酸]471(図4)の上流の保存域の欠失がL1タンパク質固有の折りたた み方を完全に混乱させることである。したがって、これらの結果は、顕著なカル ボキシ末端欠失を含む修飾に反する教示である。また、彼らの実験はBPV−1 L1欠失および突然変異に限定されている。 したがって、これまでの報告にもかかわらず、天然(野生型)HPVと関連し た立体配座エピトープを提示する組成物を含む、新規のHPVメジャーカプシド タンパク質およびそれらの製法は、当業界においてなお必要とされている。発明の目的 本発明の目的は、真正型(野生型、感染性)HPVウイルス粒子により発現さ れる立体配座エピトープを提示する安定なHPVカプソメアを提供することであ る。 本発明のさらに特殊な目的は、精製HPVカプソメアおよび/またはウイルス 様粒子を酵素(トリプシン)消化することにより、真正型HPVウイルス粒子に より発現される少なくとも一つのウイルス中和立体配座エピトープを提示する安 定なHPVカプソメアを提供することである。 本発明のさらに特殊な別の目的は、化学的方法により、つまり1以上のシステ イン残基を離脱することより、安定なHPVカプソメアを産生することである。 例えば、還元型システイン残基を、アルキル化剤などのスルフヒドリルの酸化を 阻害する化合物と反応させると、ジスルフィド結合形成およびVLP集合を阻害 する。 本発明の別の特殊な目的は、修飾HPV L1配列をコードするDNAを発現 することにより安定なHPVカプソメアを提供することである。修飾HPV L 1配列において、このような修飾にはカルボキシ欠失および/または少なくとも 一箇所の特殊な変異体が含まれ、発現すると、VLP集合が実質的に不可能であ るカプソメアをもたらす。 本発明の別の特殊な目的は、修飾HPV L1核酸配列を提供することである 。この配列は、発現すると、VLP集合が実質的に不可能である安定なHPVカ プソメアをもたらす。 本発明のさらに特殊な目的は、修飾HPV L1核酸配列を提供することであ る。この配列には、カルボキシ末端の欠失および/または置換あるいは欠失修飾 が含まれ、発現するとVLP集合が実質的に不可能なカプソメアをもたらす少な くとも一つのシステイン残基を伴う。 本発明の別の目的は、酵素的、化学的および/または組換え方法により産生さ れる安定なHPVカプソメアを含むワクチンまたは診断組成物を提供することで ある。 本発明のさらに別の目的は、中和ポリクローナル抗体および中和モノクローナ ル抗体の製造のために本発明の安定なHPVカプソメアを使用することである。 本発明の別の目的は、HPV感染を予防するためにワクチンとして本発明の安 定なHPVカプソメアを使用することである。 本発明の別の目的は、抗HPV抗体を検出するために診断試薬として本発明の 安定なHPVカプソメアを使用することである。 発明の簡単な説明 従って、本発明は、天然(感染性)HPVによって発現されるL1タンパク質 によって発現される、少なくとも一つのウイルス中和立体配座エピトープを提示 する安定なHPVカプソメア、その製造方法、および診断試薬、予防薬、治療薬 としての使用に一般的に関する。 以下にさらに詳細に述べるが、驚くべき発見は、HPV L1タンパク質の修 飾が、カプソメア形成を促進し、実質的にこのカプソメアのVLPへの集合を阻 害し、天然の感染性HPVの立体配座エピトープを発現することである。特に、 このタンパク質は、天然の感染性HPVに対して産生された立体配座抗体と反応 し、中和抗体を産生する。 これらの結果は、L1タンパク質へのどんな小さな修飾にも起こり得る深刻な 副作用を考えると、驚くべきことである。例えば、HPV−16 L1タンパク 質中の点変異は、タンパク質がウイルス様粒子に集合するのを破壊し、立体配座 を損なわせることが報告されている(Roden et al,J.Virol.,68(11):1-5(1994 ))。 また、これらのカプソメアは、非常に均質なワクチン組成物をもたらすので、 さらに都合がよい。対象のカプソメアは、非修飾L1タンパク質と異なり、ウイ ルス様粒子または他の凝集体を有意に生成しないので、本発明における組成物は 、L1タンパク質の高分子量型が実質的にない。このことは、臨床的観点から好 都合である。臨床的には一定の製品を提供することが非常に重要であり、かつ必 須である。またカプソメアがVLPより有意に小さいので、従来のクロマトグラ フィー方法で精製しやすく、よってさらに製造しやすくなる。定義 メジャーカプシドタンパク質すなわちL1タンパク質 PVカプシド構造物のメジャー部分を形成するパピローマウイルス(PV)の 構成タンンパク質を意味する。このタンパク質は、HPVワクチンの製造におい て、および診断薬として適用性を有すると報告されている。マイナーカプシドタンパク質すなわちL2タンパク質 PVウイルス性カプシド構造物のマイナー部分を形成するパピローマウイルス の構成タンパク質を意味する。ウイルス様粒子すなわちVLP パピロウイルスL1 DNA配列の単独で、またはL2DNA配列との組合せ で発現および集合するカプシド様構造物を意味する。VLPは形態的および抗原 的に真正型ビリオンに類似する。VLPは生体内や適当な宿主細胞、例えば哺乳 動物や昆虫の宿主細胞内で生成でき、あるいは組換えL1タンパク質の精製時に おいて自然に形成する。カプソメア L1ペンタマーから構成されるL1タンパク質のオリゴマー立体配置を意味す る。したがって、カプソメアはウイルス性カプシド構造を構成する「モノマー」 単位を含む。安定なカプソメア 実質的にウイルス様粒子に集合できないカプソメアを意味する。この文脈にお ける「安定な」は、これらのカプソメアが、VLPに集合するのではなくて、実 質的にそのカプソメア形態を保持することを意味する。この状態は、(i)L1 タンパク質のカルボキシ末端部分を十分に除去して、VLP集合を防止または実 質的に阻害する、そして/または、(ii)ジスルフィド結合形成を防止あるいは 実質的に阻害することにより、達成するのが好ましい。ジスルフィド結合形成は 、例えば置換や欠失修飾によってシステイン残基の一つ以上を除去したり、また 、例えばスルフヒドリル還元剤中での培養および貯蔵による化学的方法でもって 阻害できる。還元剤との反応は、β−メルカプトエタノール、ジオトレイトール 、システインあるいはその他スリフヒドリル基の酸化を防止する化合物との反応 である。VLPのチオール還元によって生成したカプソメア上の遊離スルフヒド リルは、次に、アルキル化剤、例えばヨードアセトアミドまたはN−エチルマレ イ ドとの反応によって「離脱」される。主題の安定なカプソメアは、相応する天然 HPVビリオンのL1タンパク質で発現した少なくとも一つの立体配座中和エピ トープを発現する。カプシド カプソメアを含むパピローマウイルスの構造部分を意味する。さらに詳しくい えば、カプシドは、T=7正二十面体構造における72カプソメアから成ってい る。立体配座L1 HPVエピトープ 主題の安定なパピローマウイルスカプソメアの表面上に発現されたエピトープ を意味する。このエピトープは、相応する天然(野性型)感染性HPVのL1タ ンパク質によっても発現するものである。立体配座エピトープの提示が、HPV L1タンパク質免疫原の予防薬および診断薬としての両方の効能にとって重要不 可欠であることは当業者によく認識されている。立体配座中和L1 HPVエピトープ 主題の安定なパピローマウイルス カプソメアの表面上に発現されたエピトー プを意味する。このエピトープは、相応する天然(野性型)感染性HPVのL1 タンパク質によっても発現し、かつ中和抗体を生成するものである。立体配座中 和エピトープの提示が、HPV L1タンパク質免疫原の予防薬および診断薬と しての両方の効能にとって重要不可欠であることは当業者によく認識されている 。立体配座抗体 天然発生(野性型)HPV L1タンパク質、例えば天然HPVの表面に発現 したメジャーカプシドタンパク質によって発現したエピトープと特異的に結合す る抗体を意味する。修飾HPV L1 DNA 発現時に少なくとも一つのウイルス中和HPV L1立体配座エピトープを提 示し、ウイルス様粒子に集合が実質的に不可能なカプソメアを形成する修飾HP V L1 DNAを意味する。「実質的に不可能な」という意味は、哺乳動物ま たは昆虫の細胞などの適当な宿主細胞によって、あるいはインビトロタンパク質 精製過程において発現されたときに、VLPと自発的に集合することが知られて いる非修飾HPV L1タンパク質に関する。修飾はVLP集合をことごとく予 防することが好ましい。しかし、本発明はVLP形成を実質的に阻害する修飾を 採用しており、例えば阻害率は少なくとも50%、より好ましくは少なくとも9 0%、もっとも好ましくは少なくとも95%である。阻害率の測定法はすでに知 られており、例えば電子顕微鏡によるVLPの視像検出法である。HPV L1 DNA修飾は、さらに追加して、立体配座中和エピトープの提示に逆の影響を及 ぼすことがない限り、例えば付加、置換、欠失などが行い得る。VLP集合を阻 害する修飾は、カルボキシ末端の欠失および/またはVLP集合を阻害または予 防する少なくとも一つのシステイン残基の除去を含むことが好ましい。ジスルフィド結合形成を阻害する修飾 ジスルフィド結合形成を阻害するHPV L1 DNAおよびその相応タンパ ク質の修飾を意味する。この修飾は、少なくとも一つのシステイン残基の除去お よび/または置換によって行われるのが好ましい。しかし、この修飾にはさらに また、一つ以上のアミノ酸の置換が含まれる。そのアミノ酸は、システイン残基 と十分に近位で、システイン残基を立体的に妨害して、ジスルフィド結合形成を 防止するか、またはカプソメア対カプソメアの相互作用に干渉する。あるいは、 VLP集合に含まれるシステイン残基は、例えばβ−メルカプトエタノールまた はジオトレイトールによる反応と、それに続くヨードアセトアミドまたはN−エ チルマレイミドによるβ−アルキル化によって、化学的に「離脱」することがで きる。後述のさらに詳しい説明のごとく、上記システイン残基は、とりわけタン パク質のカルホキシ末端部分に含まれる。具体的にいえば、L1タンパク質のカ ルボキシ末端を含むアミノ酸30〜86にまたがる部分に含まれる。HPV−1 1の特別な事例においては、L1タンパク質の424の位置で保存システインが 見付かっており、これがVLP集合に影響することは明らかである。 図の詳細な説明 図1:精製HPV−11 L1タンパク質のSDS/PAGE分析。タンパク 質を2mM DTTの不存在下(レーン1)または存在下(レーン2)でサンプル 製造緩衝液と混合し、ゲル電気泳動の前に2分間煮沸した。分子量標準物(Da ×10-3で)が遊走した位置を左側に示す。 図2:HPV−11 VLP解集合の30%スクロースクッション分析。HP V−11製造物を、テキストに記載のように4℃で処理し、ゲル電気泳動の前に サンプルをスクロースクッションの上部(T)または底部(B)で採取した。グ ループ1、非処置、PBSにおける精製HPV−11 VLP出発物質。グルー プ2、5%βMEで16時間インキュベートしたVLP。グループ3、5%βM Eで1時間インキュベートしたVLP。グループ4、2%βMEで16時間イン キュベートしたVLP。グループ5、0.5%βMEで16時間インキュベート したVLP。グループ6、10mM DTT、5mM EDTAでで16時間インキ ュベートしたVLP。 図3:解集合されたHVP−11 VLPの5−20%線状スクロース勾配分 析。PBS中のVLPを5%βME(a)、または200mM NaHCO3、p H9.6(b)を用いて4℃で16時間インキュベートし、テキストに記載のよ うに5−20%線状スクロース勾配上で遠心分離した。勾配を25フラクション (0.5ml)に集め、0.5ml PBSにパレット(P)を再懸濁した。勾配と 交わったL1タンパク質の位置を示す免疫ブロットを表示する。また、分離勾配 上で作動すると沈降標準が遊走するピーク位置を示す。 図4:様々な状態の集合におけるHPV−11 VLPの10−65%線状ス クロース勾配分析。精製VLP出発物質(a)のアリコットを5%βMEを用い て4℃で16時間インキュベートした(b)。βME処置VLPの一部を透析法 によりPBS−0.5 NaClに再集合し、還元剤を除去した(c)。サンプ ルをテキストに記載のように10−65%線状スクロース勾配上で遠心分離した 。各々の勾配を12フラクション(1ml)に集め、パレット(P)を1ml PB Sで再懸濁した。異なる勾配上でL1タンパク質が遊走した位置を示す免疫ブロ ットを表示する。また、図3のように、沈降標準が遊走するピーク位置を表示す る。 図5:種々の状態の集合におけるHPV−11 VLPの電子顕微鏡写真。前 述のように処置したVLPを2%リンタングステン酸で染色し、グリッドに適用 し、15-25,000倍の培率で撮影した。a、精製VLP出発物質、b、5%βME を用いて4℃16時間インキュベートしてカプソメアのレベルに解集合したVL P、c、透析法により解集合VLPからPBS−0.5NaClに再集合したV LP、d、拡大した画像Cの中心部分。スケールバー:a、c=200nm;b、 c=100nm。 図6:HPV−11構造特異的モノクローナル抗体を有する無傷および解集合 VLPの反応。HPV−11 L1 VLP出発物質(A)、次いで透析法を行 って(B)、または行うことなく(C)、5%βMEで処置し、還元剤を除去す るためにPBS−0.5M NaClに解集合したVLP、および200mMカル ボネート、pH9.6の存在下で解集合し、PBS−0.5M NaClに透析 されたVLP(D)が、マイクロタイタープレートのウエルに付着している。材 料および方法に記載したように、HPV−11構造特異的モノクローナル抗体H 11.F1(HPV−11中和性;▽)およびH11.A3(HPV−11非中 和性;・)について、ELISAにおける結合抗原への免疫反応を調べた。HP V−11、L1上に見られる線上エピトープを認識するモノクローナル抗体AU 1(■)での反応はマイクロタイタープレートへの抗原付着物を示す対照として 使用した。 図7:抗HPV−11カプシドおよび抗HPV−11カプソメア血清をHPV −11ビリオンを用いてHaCaT細胞を添加する前に37℃で75分インキュ ベートした。別法として、ビリオンを血清でプレインキュベーションしない細胞 に添加するか、ビリオンをHaCat細胞の感染前にプレ免疫血清でプレインキ ュベーションした。感染後6日で、細胞を採取し、全RNAを抽出した。全RN Aの10%をオリゴd−Tプライマーを用いるcDNA合成に使用した。cDN Aの10%をHPV−11 E1^E4スプライスメッセージに特異的なプライ マーを用いて、整列PCRのテンプレートとして使用した。PCR産物を2%ア ガロースゲル上で分離した。ゲルを臭化エチジウムで染色し、紫外光下で0.6 kb E1^E4バンド(上部)の存在を調べた。βアクチンのPCR増幅を内部 コントロールとして全cDNAサンプル上で行った(底部)。βアクチンバンド の予測サイズは0.6kbである。レーンAは分子サイズマーカーを含む。レーン BおよびCは、10-2希釈の正常ウサギ血清でプレインキュベートしたHPV− 11により感染した細胞から単離されたRNAで得られたPCR産物を含む。E 1^E4PCR産物を検出する能力は、ウイルスがこのコントロール血清によ って中和されないことを示している。レーンDおよびEは、血清でプレインキュ ベートされなかったウイルスを用いてインキュベートした細胞からのRNAで行 った反応を示し、レーンFおよびGは、ウイルスなしでインキュベートした細胞 からである。予想通り、レーンH−Lは、E1^E4バンドを非ウイルス感染細 胞中ではなく、ウイルス感染細胞中に検出した。serial log10希釈の抗HPV −11カプシド抗血清(10-3−10-7)でプレインキュベートしたウイルスに 感染した細胞からのPCR産物を含む。この抗血清は、試験した全ての希釈にお いて、ウイルスを中和する。レーンM−Qは、serial log10希釈の抗HPV− 11カプソメア血清(10-3−10-7)でプレインキュベートしたウイルスで細 胞が感染したとき、得たPCR産物を示す。この抗血清は、ウイルスを効果的に 中和して10-6希釈度にする。 発明の詳細な説明 既に述べたように、本発明は一般的に、天然(感染性)HPVの少なくとも一 つのウイルス中和立体配座エピトープを提示する安定なHPVカプソメアに関す る。天然HPVは実質的にVLPへの集合が不可能である(通常VLP集合をも たらす状態にあるときでも)。 本発明は、HPV−11 VLPのインビトロでの定量的な解集合および再集 合に関する本発明者の観察に部分的に基づいている。特に、最大VLP解集合に は、非常に高濃度の還元剤に長期間さらすことが必要であることが観察された。 これは、安定であるジスルフィド結合が埋没し、接しがたくなり、局所的周期的 変動による結合の溶媒との接触が非常にまれであることを示している。 しかしながら、この観察は、他の実験報告にいくぶん反している。その実験報 告の示唆によると、L1タンパク質のC−末端における残基が、L1分子の一部 であるカプソメア形成に重要であるかもしれない。L1分子は溶媒に比較的接し やすいと、予測されていた。特に、比較的小さいカルボキシ末端欠失(24の炭 素−末端アミノ酸の除去)を含むBPV L1タンパク質が、VLP中になお集 合することが報告された。反対に、大きいカルボキシ欠失(44のアミノ酸)を 含むBPV−1 L1タンパク質は、カプシド形成能力を有意に阻害することが 示された(Paintsil et al,Virology,223:238-244(1996))。さらに、より大 きいC−末端欠失(86アミノ酸)を含むHPV−1タンパク質は、明らかにカ プシド様構造を形成することができないカプソメアを得ることが、最近報告され た(Li et al,J.Virol.,71:2988-2995(1997))。これらの結果から、VLP 形成におけるC−末端残基の重要性が示唆された。 これに関して、SV40ウイルスの3.8Å構造において、VP1タンパク質 のC−末端ドメインは、カプソメア内結合の形成に関係していることが報告され ている。カプソメア内結合は、カプソメア間の隙間を広げ、隣接するカプソメア L1タンパク質の拡張βシートの一部を形成することによりカプシドを安定化す る。しかしながら、この相互作用のためのジスルフィド結合の必要条件は、分子 のこの部分における異常のため、結晶構造において解明されなかった(Liddingt on et al,Nature,354:278-284(1991))。また、カプソメアと結合している1 5Å鎖は、BPV構造の超電子顕微鏡再構築において(Baker et al,J.Mol.Bi ol.,259:249-263(1996));および陰染性HPVウイルス粒子において(Yabe et al,Virology,227:13-23(1997))低解像度でみることができる。これらの結果 から、リンカーアームがパピローマウイルス性カプシドを安定化し得ることが示 唆された。[しかしながら、注意すべきことは、これらの参考文献には、何が特 異的残基であるのか、またはPVカプシド形成または安定化に影響をおよぼすか もしれない他の要因の役割に関する情報がなかった点である。] 本発明はさらに、HPV−11 VLPから産生されたカプソメアが、たとえ 高濃度の還元剤に長い間さらされた後でも、天然VLPにおいてみられた構造的 エピトープをなお保持していることを証明した実験に基づいている(以下の実施 例に開示する)。これは、HPV−11 L1 BLPと特異的に反応し、“変 性”L1タンパク質とは反応しない、抗体パネルとのエピトープの反応性に部分 的に基づいている。これらの結果は驚くべきことである。なぜなら、試験された 抗体のうち2つの結合がVLP依存性であると以前には報告されていたからであ る(Ludmeyer et al,J.Virol.,71:3834-3837(1997))。また、HPV−11 カプソメアがウイルス中和性抗体の産生(下記実施例6に開示)を促進し得るこ とが証明された(また後出)。従って、これらの結果と考察から、HPV感染の 予防に関する免疫原としての安定なHPVカプソメアの適切性が分かった。 既に述べたように、VLP形成への抵抗性からして、安定なカプソメアは、潜 在的に高均質性のワクチンをもたらす。また、HPVカプソメアは、VLPと比 較してその小さいサイズと分子量のせいで、VLPより精製しやすく、ワクチン の製造が容易である。 さらに特別には、これらの結果から、特に、カプソメア形成が非常に高濃度の 還元剤によって促進されるので、1以上のシステイン残基がVLP集合および解 集合におそらく関係していることが示唆された。さらに、L1タンパク質のカル ボキシ末端部分における欠失がVLP集合を阻害(または防止)していることか ら、VLP集合に関係する少なくとも1つのシステイン残基が、明らかにL1タ ンパク質のカルボキシ末端部分に含まれていることがさらに示唆された。 一般的に、安定なカプソメアは2つの一般的方法のうちの1つから産生される 。第1の方法には、発現すると安定なカプソメア産生をもたらす少なくとも一つ の修飾を含む修飾HPV L1 DNAの発現が含まれる。この第1の方法には 、下記の工程が含まれる: (i)所望のHPV L1 DNA配列を得ること; (ii)発現するとVLP集合を防止し、安定なカプソメアをもたらす欠失およ び/または部位特異的変異原性により適切な修飾を導入すること; (iii)適切な宿主細胞において該修飾HPV L1 DNAを発現させるこ と、および (iv)該宿主細胞からカプソメアを回収すること。 第2の方法には、非修飾HPV L1タンパク質の発現、および生じた発現産 物を修飾して安定なカプソメアを産生することが含まれる。特に、第2の方法に は、次の工程が含まれる: (i)所望のHPV L1 DNAを得ること; (ii)適切な宿主細胞において該HPV L1 DNAを発現させること; (iii)生じたVLPを、該VLPのカプソメアへの解離をなし、化学的な離 脱を行って、例えば遊離スルフヒドリルをアルキル化するなどのVLP再集合を 防止するのに必要な条件(例えば、高濃度の還元剤)下において精製すること; または (iv)生じたVLPまたは工程(ii)でHPV L1 DNAが発現して産生し たカプソメアを精製し、該VLPまたはカプソメアをプロテアーゼ(例えば、ト リプシン)で安定なカプソメアをもたらすような条件下において消化する。安定 なカプソメアにおいては、L1タンパク質の充分量のカルボキシ末端部分(VL P集合に必要)が除去されている。 多くのHPV L1 DNAが文献に報告され、公に入手可能である。(参照 、例えば、Baker,Sequence Analysis of Papillomavirus,Genomes,pp.321-3 84;Long et al,米国特許第5,437,931号,Cole et al,J.Mol Biol.,193:599-6 08(1987);danos et al,EMBO J.,1:231-236(1982);Cole et al J.Virol.,38(3 ):991-995(1986)。)また、HPV L1 DNAが顕著に相同性を示すことも よく知られている。従って、所望のHPV L1 DNAは、例えば、既に報告 されたHPV L1 DNAまたはそのフラグメントをポリメラーゼ連鎖反応法 (PCR)増幅におけるハイブリダイゼーションプローブまたはプライマーとし て使用して、容易に得られる。実際、多くのHPV L1 DNAがクローン化 および発現されている。 好ましくは、本発明における該HPV L1 DNAは、癌または尖圭コンジ ローマ関連のHPV由来であり、例えばHPV−16、HPV−18、HPV− 31、HPV−33、HPV−35、HPV−39、HPV−45、HPV−5 1、HPV−52およびHPV−56はガン関連であり、HPV−6、HPV− 11、HPV−30、HPV−42、HPV−43、HPV−44、HPV−5 4、HPV−55およびHPV−70は疣贅に関係している。しかしながら、対 象の安定なカプソメアはいかなる所望のHPV L1 DNAからも産生し得る 。 本発明の第1の態様によれば、選択されたHPV L1 DNAは修飾されて 、発現すると修飾L1 DNAが安定なカプソメアをもたらす。該カプソメアは 、VLPのような大きいオリゴマーに有意に集合せず、少なくとも一つの天然感 染性ウイルス中和立体配座エピトープを示す。これは下記の修飾の一つまたは両 方を導入することによって達成される: (i)86カルボキシ末端残基までの欠失およびさらに好ましくは約30−8 6カルボキシ末端残基を含む欠失;および (ii)ジスルフィド結合形成を、特にVLP集合関連ジスルフィド結合を阻害 または防止する1以上の部位特異的修飾を導入すること。L1タンパク質がジス ルフィド結合形成を防止または阻害する修飾を含んでいるときは、安定なカプソ メアを産生するためにカルボキシ末端アミノ酸を欠失させる必要がないことに注 意すべきである。 所望の欠失をDNA配列に導入する方法は、当業者に既知である。例えば、カ ルボキシ末端欠失は、L1 DNAを適切な制限酵素で開裂することによって導 入される。別法として、Paintsil et alが記載するように(Virology,223:238- 244(1996))、L1欠失は、L1遺伝子のPCR変異誘発により構築され得る。 さらに別法として、L1遺伝子のカルボキシ末端に欠失を含むHPV L1 D NAは、DNA合成によってつくられる。 同様に、DNA配列における所望の部位特異的変異の導入方法もよく知られて いる。好ましくは、選択されたHPV L1 DNAを、VLP集合に関与する 少なくとも一つのシステイン残基を除去することにより、変異誘発させる。既に 述べたように、これは、置換修飾、つまり、選択されたシステインコドンを別の コドンと置換すること、または欠失により達成される。置換変異は、生じたタン パク質の3次元構造および所望の立体配座エピトープの提示に有害な影響をもた らす能力を低下させるので、好ましい。修飾の標的となる特に好ましいシステイ ン残基は、タンパク質のカルボキシ末端部分のシステインであり、最も特にL1 タンパク質のカルボキシ末端86アミノ酸内に含まれるシステインである。しか しながら、他のシステイン残基も、発現するとカプソメア産生および立体配座エ ピトープの提示を弱めるならば、修飾することができる。PV L1 DNAに 変異導入する適切な方法はまた、Paintsil et al(Id.)に開示されている。HP V−11の特殊な事例において、修飾の標的となるシステイン残基は424位に ある。 別法として、ジスルフィド結合形成は、システイン残基に最も近い残基の修飾 によって防止し得る。例えば、立体的にジスルフィド結合形成を妨ぐか、カプソ メア−カプソメア相互作用を妨げるアミノ酸の導入によって防止し得る。 安定なカプソメアはこれらいずれか単独の修飾によって得られるが、カルボキ シ欠失とシステイン残基修飾とをHPV−L1配列へ導入すると、相乗効果がも たらされ得る。さらに、本発明のこの態様で注意するように、86カルボキシ末 端アミノ酸より少ない欠失がもたらされると、L1タンパク質のこの部分に存在 する立体配座エピトープが潜在的に保持される。 選択された宿主と発現ベクターは、対象の安定なHPVカプソメアの産生を促 進する条件で培養される。これは、選択された宿主系とベクターに含まれる調節 性配列に大いに依存している、例えば、発現に誘導が必要かどうか。発現後、H PVカプソメアは宿主細胞から回収される。回収の方法もまた、宿主/ベクター 系にある程度依存する。 例えば、細胞内発現ベクターが選択されるとき、宿主細胞は溶解される必要が あり、HPVカプソメアは溶解液から回収される。反対に、発現ベクターが分泌 を容易にする配列を含んでいるとき、HPVカプソメアは培地から直接回収され る。非相同性タンパク質を組換え宿主細胞および培地から回収する方法は、当業 者によく知られている。 対象の修飾HPV L1配列は、HPVカプソメアを回収し得る収率で発現す るために提供されるいかなる宿主細胞においても発現される。組換えタンパク質 の発現に適切な宿主系は、よく知られており、例として、細菌、哺乳動物細胞、 イースト菌および昆虫細胞がある。好ましい発現系には、実施例に使用されるバ キュロウイルス/昆虫細胞系が含まれる。この系は高いタンパク質収率を提供す る。しかしながら、HPV L1タンパク質は、他の系、特に細菌およびイース ト菌でも産生される。 DNA配列をコードする対象のHPV L1の発現をクローン化するのに適切 なベクターは、当業者によく知られており、商業的に入手可能である。さらに、 クローニングと発現を達成するのに適切な調節配列、例えば、プロモーター、ポ リアデニル化配列、エンハンサー、選択的マーカーなどもよく知られている。回 収可能なタンパク質収率を得るための適切な配列の選択は、当業者の日常的業務 である。 既に述べた通り、対象の修飾HPV L1 DNAが発現すると、宿主細胞は 、HPVカプソメアの形態においてのみHPV L1タンパク質を発現する(L 1 配列が修飾されていてVLP集合を防止するので)。しかしながら、既に述べた ように、本発明はさらに、非修飾HPV L1 DNAを発現すること、および 生じた発現産物を安定なHPVカプソメアの産生のために使用することを含む。 本発明のこの態様は、選択された宿主/ベクター系における非修飾HPV L 1 DNAの発現、生じたHPV VLPの回収および該VLPの安定なカプソ メアへの変換によって好ましく行われる。真核生物細胞における発現の際に非修 飾HPV L1 DNAがVLPへと集合する、または、集合がインビボで起こ らない細胞(細菌細胞)の場合に、集合が精製の間に起きる。 VLPはHPVワクチンや診断への適用が報告されているが、安定なカプソメ アが立体配座中和性エピトープを提示し、中和性抗血清を誘導することが発見さ れたので、本発明の目的は、安定なカプソメアを産生することである。 これは、適切な酵素、例えばトリプシンによるHPV VLPの酵素的処置を 、HPV VLPのカルボキシ末端部分を除去する条件下で行うことによって達 成される。HPV−11 VLPの特殊な場合には、トリプシンによるタンパク 型消化により86末端アミノ酸を除去することが報告されている(Li et al,J .Virol 71:2988-2995(1997))。さらに、精製HPV−11 VLPのこの制限 的タンパク質解集合性消化は、安定なHPVカプソメアの相同的集合をもたらす 、つまり、VLP集合に抵抗性があるということである(Li et al,J.Virol 7 1:2988-2995(1997))。 別法として、発現されたHPV L1タンパク質は、HPVカプソメア精製の 過程で解集合され得る。これは、高濃度の還元剤、例えばβ−メルカプトエタノ ールの、例えば、ほぼ1%−5%重量の存在下で、全ての精製工程を行うことに よって促進される。これについては実施例においてさらに詳細に述べる。 精製カプソメア上の反応性スルフヒドリルは化学的に離脱され、システイン残 基を還元後のインドアセトアミドのようなアルキル化剤と反応さえることにより ジスルフィド結合形成を防止する(異なるカプソメア上のシステイン残基の間で )。 既に述べたように、本発明はいかなるHPV L1配列にも広く適用される。 当業者に既知の種々のPV型がある。さらに、特定の型のPVが特定の感染症、 例えば、扁平疣贅、皮膚疣贅、表皮異形成疣贅、病変および頚部癌に関係してい る。60以上の異なるHPV型がウイルス性ヌクレオチド配列相同性検査により 臨床病変で同定されてきた。参照、例えば、Jenson et al,"Human papillomavi ruses"In:Belshe,R.ed.,Textbook of human virology,Second Edition,MAS S:PSG,1989:951およびKremsdorf et al,J.Virol.,52:1013-1018(1984)。H PV型は、感染部位、病理的特徴および臨床的外見および関係病変の臨床過程を 部分的に決定づける。 HPV型についての交差免疫がほとんどまたは全くなく、感染症に対する免疫 がHPV型特異性と考えられるので、予防または処置を行おうとする各々の特異 的HPV型について、組換えHPVカプソメアを産生する必要がある。しかしな がら、L1タンパク質と遺伝子の相同性のため、ハイブリダイゼーション法が所 望の特定L1遺伝子を単離するために使用できる。配列相同性を示すL1タンパ ク質の領域から選択されたヌクレオチドプローブは、他のL1遺伝子を単離する ために使用し得る。ハイブリダイゼーション法は、当業者に既知である。参照、 例えば、Nucleic Acid Hybridization,A Practical Approach,IRL Press,Was hington,D.C.(1985);Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Maniatis et al,eds.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1982); およびMolecular Cloning,A Laboratory Manual,Sambrook et al,eds.,Cold Spring Harbor Laboratory,Second Edition,Cold Spring Harbor,NY(1989) 。別法として、PCR法をL1遺伝子または遺伝子フラグメントを増幅するのに 使用し得る。参照、例えば、米国特許第4,683,195号;第4,683,202号;および4, 800,159号。 ウイルス粒子はまた、特定のパピローマウイルス型、クローニングされたDN Aおよび単離されたL1タンパク質をコードする核酸配列について単離される。 ウイルス粒子の単離法とウイルスDNAのクローニング法が報告されている。参 照、例えば、Heilman et al.J.Virology,36:395-407(1980);Beaudenon et al ,Nature,321:246-249(1986);Georges et al,J.Virology,51:530-538(1984) ;Kremsdorf et al,J.Virology,52:1013-1018(1984);Clad et al,Virology, 118:254-259(1982);DeVilliers et al,J.Virology,40:932-935 (1981);およびヨーロッパ特許出願第0133123号。 別法として、特にヒトパピローマウイルスに関するL1タンパク質が単離され 、予測したDNA配列に基づいてアミノ酸配列が決定され、核酸プローブが集合 される。このプローブはL1遺伝子をパピローマウイルスDNAライブラリーか ら単離するのに使用される。参照、例えば、Suggs et al,PNAS,78(11):6613-6 617(1981)。参照、Young and Davis,PNAS,80:1194(1983)。 HPVカプソメアが、無傷の感染性HPVにより発現される少なくとも一つの 中和立体配座エピトープを発現しなければならないので、特定の発現系が本発明 にとって重要である。使用される発現系は、適切な立体配座を有するカプソメア の産生を提供するものである。この発現系はまた、望ましくは高レベルのカプソ メアを産生する。一般的に、発現系は、所望のL1タンパク質と調節領域を有す るベクターおよび適切な宿主細胞を含む。 既に述べてきたように、バキュロウイルスベクターが好ましくは使用される。 バキュロウイルス系がもたらす有利性は、細胞の大部分がトランスフェクション 法よりも感染を利用するためにタンパク質を発現するように誘発される点である 。バキュロウイルスは昆虫ウイルスであり、昆虫細胞(SF9)において成長す るが、これらの細胞は、適切な立体配座のタンパク質を産生するのに重要となり 得る糖鎖形成およびリン酸化を含むタンパク質を処理するための多くの真核細胞 性メカニズムを保持している。バキュロウイルスベクター系は当業者に既知であ る。参照、例えば、Summers and Smith,Texas Agricultural Experimental Bul letin No.1555(1987);Smith et al,Mol.Cell Biol.,3:2156-2165(1985);Pos se,Virus Research,5:4359(1986);およびMatsuura,J.Gen.Virol.,68:1233 -1250(1987)。また、バキュロウイルス/感染細胞が、適切な立体配座を提示す るHPV L1タンパク質を発現することが報告されている。 適切な発現系における発現のために、L1遺伝子または修飾L1遺伝子を、操 作できるように発現ベクターに結合し、宿主細胞に導入して、その細胞によりL 1タンパク質を発現させる。適切な調節領域を有する遺伝子は、発現のための適 切な方向および読み取り枠において提供される。遺伝子構築法は当業者に既知で ある。参照、特に、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Sambrook et al , eds.,Cold Spring Harbor Laboratory,Second Edition,Cold Spring Harbor ,NY(1989)およびそこに引用されている文献。 非常に様々な転写および調節配列が使用される。シグナルはウイルス源由来で ある。ウイルス源において、調節シグナルは高レベルの発現を有する特定の遺伝 子に関係している。つまり、例えば、ウイルス源または哺乳動物源などの強いプ ロモーターが使用される。この方法で、本発明を実行するための最高の条件には 、L1遺伝子を発現ベクターにクローニングすることを含む。発現ベクターは、 形質導入または感染標的細胞におけるL1タンパク質の立体配座依存性ウイルス 中和性エピトープを過発現する。 本発明によって産生された特定の安定なHPVカプソメアのワクチンまたは診 断試薬としての適合性は、無傷のビリオン上に存在する立体配座エピトープに反 応または認識する抗体またはモノクローナル抗体との反応によって確認され、中 和抗血清の産生を促進する能力に基づいている。中和抗体が産生されるかどうか を決定する適切なアッセイは、当業者に既知である。さらに、本出願は(実施例 6において)、HPVカプソメアが中和抗体を促進するかどうかを判断するのに 適切なインビトロアッセイを教示する。これはHPVワクチンに使用されるべき HPVカプソメアの本質的特徴である。この方法において、HPVカプソメアが HPV感染を予防するかどうか証明される。従って、他の発現ベクターおよび発 現系は本発明において利用するために検査される。 既に述べてきたように、本発明のカプソメアは、パピローマウイルス感染につ いて検出、診断、血清型判定および治療に利用され得る。診断または血清型判定 に利用されるとき、本発明によるカプソメアは、種々の標識および標識法のいず れを用いても標識される。本発明において使用され得る標識型の例には、限定す るわけではないが、酵素標識、放射性同位体標識、非放射性同位体標識、蛍光標 識、毒素標識、化学発光標識が含まれる。 適切な酵素標識の例には、リンゴ酸ヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ 、デルタ−5−ステロイドイソメラーゼ、イースト菌アルコールデヒドロゲナー ゼ、α−グリセロールリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ 、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコース オキ シダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ 、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ、アセチルコリ ンエステラーゼなどがある。 適切な放射性同位体標識の例には、152Eu標識、フルオレセイン標識、イソ チオシアネート標識、ローダミン標識、フィコエリトリン標識、フィコシアニン 標識、およびアロフィコシアニン標識、o−フタルデヒド標識、フルオレサミン 標識などがある。 適切な毒素標識の例には、ジフテリア毒素、リシンおよびコレラ毒素がある。 化学発光標識の例には、ルミナル標識、イソルミナル標識、芳香族アクリジニウ ムエステル標識、イミダゾール標識およびアクリジニム塩標識、シュウ酸塩標識 、ルシフェリン標識、ルシフェラーゼ標識、エクオリン標識などがある。 当業者は、本発明において使用し得る他の適切な標識が分かるであろう。これ らの標識の被標識物との結合は、当業者が通常知っている標準的技法を用いて達 成し得る。典型的は技法は、Kennedy,J.H.,et al,Clin.Chim.Acta,70:1- 31(1976)およびSchurs,A.H.W.M.,et al,Clin.Chim.Acta,81:1-40(1977 )に記載されている。後者に記載されているカップリング技法は、グルタルアル デヒド法、過ヨウ素酸塩法、ジマレイミド法、m−マレイミド−ベンジル−N− ヒドロキシ−コハク酸イミドエステル法であり、これらの方法はすべて参照する ことにより、本明細書の一部とする。 対象のカプソメアを用いる抗HPV抗体の検出は、担体の使用を通して改良さ れ得る。よく知られた担体には、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ エチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然および修飾セルロース、 ポリアクリルアミド、アガロースおよび四三酸化鉄がある。担体の特性は、本発 明の目的のためある程度可溶性であるかまたは不溶性であるかのどちらかである 。当業者は、結合タンパク質に適切な多くの他の担体に留意し、また通常の実験 を行うことにより、それを確かめることができるであろう。 しかしながら、最も重要な本発明の態様は、PV型特異的ワクチンの開発であ る。本発明のワクチンは、薬学的に許容される担体中に含まれる宿主における中 和抗体の形成を誘導するのに充分な、対象の安定なHPVカプソメアの量を含む 。 ワクチンを含有する対象のカプソメアの投与は、薬学的に許容されるいかなる 方法、例えば、経口、鼻腔内、静脈内、筋肉内、局所的投与を例として含む、非 経口的、局所的、全身的方法によって達成される。投与方法は、感染の天然経路 を含む要因に依存する。投与用量は、年齢、健康状態、体重、もしあれば同時期 の治療の種類および特定ヒトパピローマウイルスの特性と型を含む要因に依存す る。ワクチンは、経口投与にはカプセル、溶液、懸濁液またはエリキシル、非経 口または鼻腔内使用には溶液または懸濁液などの無菌性液体製剤などの用量形態 で使用される。生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水などの不活性な免疫学的に許 容される担体が好ましくは使用される。 ワクチンは、治療に効果的な量で投与される。つまり、保護的免疫応答を産生 するのに充分な量ということである。一般的に、約0.1mg−約20mgタンパク 質の範囲の用量で、もっと一般的には、約0.001mg−約100mgタンパク質 の範囲の用量で投与される。単回または多回用量で投与される。 本発明の方法は、パピローマウイルス感染を防止するためのワクチンを含むH PVカプソメアの製造を可能とする。さらに、本発明の方法に従って、ヒト特異 的パピローマウイルスのいかなる免疫原性型に対してもワクチンをつくり得る。 1以上のPV型がPV感染に関係しているので、ワクチンは1以上のPV型由 来の安定なHPVカプソメアを含み得る。例えば、HPV16および18は子宮 頚癌に関係しているので、子宮頚部異常増殖のためのワクチンはHPV16;H PV18;またはHPV16および18の両方のカプソメアを含み得る。 実際、種々の異常増殖がPV感染に関係していることが分かっている。例えば 、HPV3aおよび10は、扁平疣贅に関係している。HPV3a、5、8、9 、10および12を含む多くのHPV型が表皮異形成疣贅(EV)に関係してい ることが報告された。HPV1、2、4および7が扁平疣贅に、HPV6b、1 1a、13および16が粘液細胞膜の病変に関係していることが報告された。参 照、例えば、Kremsdorf et al,J.Virol.,52:1013-1018(1984);Beaudenon et al,Nature,321:246-249(1986);Heilman et al,J.Virol.,36:395-407(1980) ;およびDeVillers et al,J.Virol.,40:932-935(1981)。従って、対象のワク チン製剤は、所望の保護により異なるHPV型からのカプソメアの混合物を含む 。 指摘したように、本発明のHPVカプソメアはまた、血清型判定に、および血 清型判定キットに組み入れて使用される。 血清学的検査において、キットは、対象のHPVカプソメアと酵素基質、標識 抗体のような検出手段とを含む。 これまで本発明について一般的に記載してきたが、下記の実施例によって、よ り詳細に述べる。特に記さない限り、限定するわけではない。 実施例 実施例では、下記の原材料および方法を使用した。 化学物質 抗HPVマウスモノクローナル抗体AU1については、バークレー・アンチボデ ィー・カンパニーから購入し、モノクローナル抗体H11.F1およびH11. A3についてはペンシルベニア・ステート・ユニバーシティー(クリステンセン ら、1990)から購入し、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識ヤギ抗 マウスIgGについては、サザーン・バイオテクノロジー・アソーシエーツ、イ ンコーポレイテッドまたはギブコ/BRLから購入し、10X燐酸緩衝食塩水( PBS)マイナスCa2+またはMg2+についてはギブコ/BRLから、ECL試 薬についてはアマーシャムから購入し、タンパク質分子量標準物質についてはバ イオラドから購入し、ホルムバール/炭素被覆銅グリッドおよびホスホタングス テン酸についてはエレクトロン・マイクロスコピー・サイエンシーズから購入し た。他の試薬については全てシグマから購入した。 HPV−11 VLP HPV−11 L1タンパク質は、Ghim et al,Immunology of Human Papill omaviruses,Plenum,NY,pp 147-152(1994)に記載された多面体プロモーターの 完全L1読取り枠下流をコード化する組換えバクロウイルスにより感染させたト リコプルシア・ニ(Trichoplusia ni、ハイ・ファイブ(商標))細胞で異種発 現させた。感染の約72時間後に細胞を採取し、遠心分離により沈殿させ、冷凍 した。VLPを製造するため(全段階とも4℃で行われた)、細胞ペーストを、 ホモジナイゼーション緩衝液(20ミリモルNaH2PO4、150ミリモルNa Cl、pH7.4、10mg/mlロイペプチン、1mg/mlアプロチニン、 および1mg/mlペプスタチンA含有)に再懸濁し、マイクロフルーイダイザー( マイクロフルーイディックスHC8000/3A型)中〜3000PSIで溶解 した。次いで、ホモジネート化したライゼートを100000×gで90分間遠 心分離し、上清を除去した。HPV−11 VLP含有ペレットをCsCl(4 05g/L)含有PBSに再懸濁し、66000×gで90分間遠心分離するこ とにより、汚染物質浮遊層を除去した。次いで、澄明化したライゼートを、垂直 ローター中83000×gで一夜遠心分離し、VLPバンドを集めた(1.28 g/cm3の密度で)。VLPをPBS−0.5モルNaCl中>2倍に希釈するこ とにより、溶液密度を低減化し、30%および63%スクロース(PBS−0. 5モルNaCl中w/w)で構成される2成分段階勾配で層状に重ねた。勾配を垂 直ローター中167000×gで3時間遠心分離し、精製したVLPバンドを3 0%および63%スクロース溶液間の界面で集めた。次に、VLPを選ばれた緩 衝液(PBS、またはPBSにNaClを加えて0.3モルまたは0.5モルの最 終濃度にする)に透析し、4℃で貯蔵した。参考タンパク質として牛血清アルブ ミンを用いるブラッドフォード検定法(ブラッドフォード、1976)によりタ ンパク質濃度を測定し、スージッヒら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92:11553 -11557(1995)による記載に従いL1含有率を測定した。含水細胞ペースト25− 30gから出発し、上記プロトコルにより15−25mgのHPV−11 VLPを 生成した。 スクロース密度勾配遠心分離 これらの実験では、3タイプのスクロース密度勾配を用いた。第一に、30% スクロースクッションでの遠心分離を用いることにより、小さな可溶性成分へV LPを解集合するのに適した条件を同定した。VLP(50−100μg総タン パク質)プラスまたはマイナス可能な崩壊剤を含む100−200μlの反応混 合物を、4.8mlの30%スクロース(PBS−0.5モルNaCl中w/w)を 充填した5ml遠心管上部に層状に重ね、スイングバケットローター中4℃で2時 間197000×gで遠心分離した。50μlアリコートを管の極上部から採取 し、2Xラエムリ試料調製緩衝液(Laemmli,Nature,227:680-685(1970))と混 合した。30%スクロースクッションの残りをピペットで除去し、「ペレッ ト」(一般的には何も見えない)を100μlの1Xラエムリ試料調製緩衝液に 再懸濁した。次いで、30%スクロースクッションの上部または下部でのHPV −11 L1タンパク質の存在を、SDS/PAGEにより測定し、ディジタル 化されたゲル分析によりL1の相対量を定量化した。第二に、5−20%直線ス クロース密度勾配でのレートゾーン遠心分離法により、解集合されたVLPの状 態を測定した。解集合されたVLP(400ml中100−200μg総タンパク 質)を、5−20%スクロース(PBS−0.5モルNaCl中w/v)から成 る前調製11.6ml勾配上部に層状に重ね、スイングバケットローター中4℃で 24時間111000×gで遠心分離した。勾配全体からフラクション(0.5m l)を集め、「ペレット」(一般的には何も見えない)を、ダウンスホモジナイ ゼーションにより0.5mlのPBSに再懸濁した。勾配全体に及ぶHPV−11 L1タンパク質の位置を、イムノブロッティングにより測定した。沈降係数が確 立された標準タンパク質(エシェリヒア・コリ(E.coli)β−ガラクトシ ダーゼ、19S、カタラーゼ、11.3S、牛血清アルブミン、4.3S)を用い て勾配を検定し、フラクションにおけるスクロースのパーセンテージを屈折率測 定により決定した。 第三に、初期、解集合および再集合VLPの状態を、10−65%直線スクロ ース勾配でのレートゾーン遠心分離法により測定した。様々な集合状態における HPV−11 L1タンパク質(400μl中100−200μg総タンパク質) を、10−65%スクロース(PBS−0.5モルNaCl中w/v)から成る 前調製11.6ml勾配上部に層状に重ね、スイングバケットローター中4℃で2. 5時間188000×gで遠心分離した。勾配を集め(1.0mlフラクションで )、分析し、上記要領で、ただし追加の検定標準物質としてパルボウイルスB1 9(70S)およびHPV−18 L1 VLP(160S)を用いて検定した 。 ゲル電気泳動 「SDS/PAGE」SDS/PAGEを、主にLaemmli(Nature,227:680-6 85(1970))の方法に従って行った。試料を試料調製緩衝液と混合し、2分間沸騰 させ、ミニフュージ中で短く回転させ、4%濃縮用ゲルと共に7. 5%(図1)または10%(図2−4)ミニゲルに負荷した。ゲルを室温で約1 時間20mAの一定電流で泳動させ、タンパク質をクーマシーブリリアントブル −R250染色により明視化した。 イムノブロッティング SDS/PAGEゲルからのHPV−11 L1のエレクトロブロットを、主 としてTowbin et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,76:4350−4354(1979))の 方法に従い製造した。4℃で一夜PBS中1%の脱脂乳タンパク質によりブロッ トを遮断した。ブロットをAU1、パピローマウイルスL1タンパク質の線形エ ピトープに対し指向したマウスモノクローナル抗体(Lim et al.,J.Infect.D is.,162:1263-1269(1990))で90分間プローブし、PBS、0.1%トウィー ン−80で洗浄し、次いで30分間再遮断した。次に、ブロットを40分間HR P−標識ヤギ抗マウスIgG(サザーン・バイオテクノロジー・アソーシエーツ 、インコーポレイテッド)とインキュベーションし、上記と同様に洗浄した。次 に、ブロットをECLウェスタンブロッティング試薬で展開し、エックス線フィ ルムに暴露した。 ゲルの分析 モノマーおよびオリゴマーL1の分子量を、標準タンパク質(See and Jackows ki,In T.E.Creighton(ed)Protein structure:a practical approach,IRL Press,NY,pp1-21,(1989))と比較して、7.5%SDS/PAGEでのそれら のRf値から決定した。指示された場合、ゲルおよびイムノブロットをヒューレ ット・パッカード・スキャンジェット・プラス平床濃度計でディジタル化し、ス キャン分析ソフトウェア(バージョン2.2、;スペコム・リサーチ)を用いて バンドの相対強度を測定した。 電子顕微鏡法 タンパク質試料をホルムバールおよび炭素被覆銅グリッドに定着させ、ブロッ ト乾燥し、新たにろ過した2%ホスホタングステン酸(pH6.8)で染色した 。100KVの加速ボルト数でJEOL1005型透過型電子顕微鏡によりグリ ッドを調べ、15−25000倍の名目倍率で撮影した。 固相酵素免疫測定法(ELISA) PBS−0.3モルNaCl中HPV−11 L1 VLP(0.5−1.0mg /ml L1)を4℃で処理せずに貯蔵するか、またはβME(5%の最終濃度ま で)または2.0モル炭酸緩衝液、pH9.6(200ミリモル炭酸の最終濃度ま で)の追加後4℃で一夜インキュベーションした。次いで、処理試料の一分量を 、4℃で約24時間4×1L PBS−0.5モルNaClに対して透析した。 試料を全て0.8μg L1/mlの濃度に希釈し、マイクロタイタープレートのウェ ル(1ウェル当たり80ng L1)中に分配した。未処理VLPおよび透析物 質をPBS中へ希釈した。後続の透析を行わなかったβME処理試料を、5%β ME含有PBSに希釈し、200ミリモル炭酸中でインキュベーションした非透 析試料を200ミリモル炭酸(pH9.6)に希釈した。37℃で1時間インキ ュベーション後、プレートを0.1%トウィーン20含有PBS(PBS−Tw )で洗浄し、PBS中5%脱脂乳タンパク質で遮断した。モノクローナル抗体を PBS中1%脱脂乳で希釈し、ウェルに加えた。室温で1時間インキュベーショ ン後、プレートをPBS−Twで洗浄し、HRP−標識ヤギ抗マウスIgG(ギ ブコ/BRL)を加えた。室温で1時間後、プレートを上記と同様に洗浄し、H RP基質で展開した。15分終点で光学密度測定を405nmで行った。デュプ リケイトのウェルの平均を最終光学密度値として計算した。 実施例1 HPV−11 VLPの定量的解集合 VLP解集合および再集合試験用出発物質として比較的大量のHPV−11L 1 VLPを製造した。HPV−11 L1 VLPを、CsClおよびスクロ ース密度勾配遠心分離法により組換えバクロウイルス感染ハイ・ファイブ(商標 )細胞から分離した。SDS/PAGEのデンシトメーター分析に基づいて計算 されたこれらのL1製品の純度は、70−90%の範囲であった(図1、レーン 2参照)。さらに、直線スクロース密度勾配では、個々および凝集VLPから成 る混合物に関する予測通りにタンパク質の大部分が移動し(図4a)、電子顕微 鏡では中間体および完全サイズ(50−55nm)粒子から成る混合物が現れた (図5a)。 集合したL1 VLPを安定化させる共有結合的および非共有結合的相互作用 については完全に判明しているわけではないが、パピローマウイルスVLPおよ び関連ポリオーマウイルスビリオンおよびVLPに関する初期の研究は、イオン 強度、2価カチオン(Brady et al,J.Virol.,23:717-724(1977);Salunke et al,Biophys.J.,56:887-900(1987))およびジスルフィド結合(Sapp et al,J .Gen.Virol.,76:2407-2512(1995);Volpers et al,Virology,200:504-512(1 994))の重要性を示唆していた。特に、Sappおよび共同研究者らによって、HP V−33 VLPのL1タンパク質の〜50パーセントは、見かけ上の分子量が L1の3量体と一致する範囲の大型オリゴマーにジスルフィド結合していたこと 、および穏やかな還元条件により、HPV−33 VLPがカプソメアのレベル まで部分的に分解されたことがイムノブロッティングにより立証された(Sapp e t al,J.Gen.Virol.,76:2407-2412(1995);Volpers et al,Virology,200:504 -512(1994))。我々の研究では、還元剤が存在しない場合、HPV−11 L1 タンパク質の一部分のみがSDS/PAGEを移動し、その見かけ上の分子量は 55000Daであった(図1、レーン1)。HPV−11VLPのL1タンパ ク質の約40%(パーセンテージはVLP製品によって変動した)は、大型オリ ゴマーにジスルフィド結合しており(図1、レーン1)、予測分子量値は約14 4000Da(恐らくはL1の3量体)および210000Da(恐らくはL1 の4量体)であった。L1オリゴマーは、単一バンドとしては移動せず、大きさ が不均質であると思われた。Sappおよび共同研究者によるイムノブロットで(Sa pp et al,J.Gen.Virol.,76:2407-2412(1995);Volpers et al,Virology,20 0:504-512(1994))、広い高分子量バンドの一部として、〜200000Daオ リゴマーも観察された。これらの結果は、HPV−11 VLPにおけるL1タ ンパク質の一部分が高分子量オリゴマーにジスルフィド結合していることを示す 。VLP安定性におけるジスルフィド結合および他の相互作用の役割を研究する ため、VLP解集合に関する急速スクリーニング検定法を開発した。精製HPV −11 L1 VLPを、様々な処理の前後とも、30%スクロースクッション 上部に層状に重ね、遠心分離し、30%クッションの上部および下部でのL1タ ンパク質の分布をSDS/PAGEにより視覚化した。無傷のVLPは、30% スクロースクッションを通って沈殿することが予測 された。非凝集カプソメアおよびL1モノマーは、クッション上部に残存するこ とが予測された。この検定の一例は図2に示されている。L1タンパク質の相対 配列を定量するため、ゲルをディジタル化し、クッションの上部および下部にお けるL1バンドの全強度を測定し、次にいずれかの位置で見出されるL1染色強 度のパーセンテージを計算した。若干の上記測定結果は、表1および2に示す。 図2で立証されているところによると、精製VLP出発物質は30%スクロース を通って沈降し、予測された通り、L1は上部には見られなかった。しかしなが ら、高濃度の還元剤β−メルカプトエタノール(βME)とのインキュベーショ ン後、L1タンパク質は主として30%スクロースクッション上部に見出された ことから、還元剤がHPV−11 VLPをより小さい非凝集成分に解集合する ことが示された。興味深いことに、VLPの最大解集合は、典型的には比較的長 い持続時間(4℃で〜16時間)で非常に高濃度の還元剤(この場合5%、また は713ミリモル、βME)への暴露を必要とした。還元剤濃度が低いことまた は還元持続時間が短いことは、VLP解集合にとって確実に効果的な条件とは考 えられなかった。低濃度のキレート剤を加えても、解集合は促進されなかった( 図2および表1)。 還元剤に加えて、VLPの定量的解集合に関する他の重要な変数は、解集合反 応中におけるイオン強度およびVLP出発物質の溶解度であることが見出された 。先にポリオーマウイルスビリオンに関して観察されたところによると、イオン 強度条件が低いとVLPは不安定となるが(Brady et al,J.Virol.,23:717-72 4(1977))、Sapp et al(J.Gen.Virol.,76:2407−2412(1996))は、VLPから のHPV−33カプソメア生成が0.15モルおよび0.6モルNaCl間の塩濃 度には影響されないと報告した。HPV−11 VLPの場合、16時間5%β MEに暴露されたVLPの最大解集合(〜90%)は、「生理学的」イオン強度 (すなわち、0.15モルNaCl)で観察されたが、イオン強度が増加すると 、それに応じて効果は低下した(表1)。イオン強度が増大した場合の安定化効 果は、持続時間を長くするか温度を上げてVLPを還元剤とインキュベーション することにより部分的に抑制され得た。しかしながら、4℃で120時間または 24℃で24時間VLPを5%βMEとインキュベーションすると、解集 合程度は0.5モルNaClで60−70%に増大したが、解集合はまだ完全で はなかった(データは示さず)。さらに、定量的解集合のためには、VLP出発 物質の凝集程度も重要であった。ここに報告されている実験では、VLP溶液を 様々なイオン強度緩衝液に透析し、解集合試験での使用時まで4℃で貯蔵した。 数日後、0.15モルNaClでは特に、溶液は僅かに濁り、ある程度の凝集を 示していた(沈殿は殆どまたは全く観察されなかったが)。濁ったVLP溶液を 還元剤で処理しても、最初の可溶性VLP溶液で観察されたのと同程度の解集合 は達成されないことから、凝集したVLPは解集合に抵抗を示すことが分かった 。しかしながら、凝集物質(製品の齢により異なるが全VLPの10−50%の 範囲に及ぶ)をろ過により除去すると、残存する可溶性VLPは再び最初の可溶 性VLP出発物質の場合と同程度に解集合され得た。 興味深いことに、キレート剤の濃度が高い場合でも、カチオンのキレート化は VLP解集合にあまり影響を及ぼさなかった。VLPを200ミリモルEDTA またはEGTA緩衝液(PBS−0.3モルNaCl、pH7.4)に透析しても 解集合は全く見られず、10ミリモルのジチオトレイトール(DTT)を透析緩 衝液に加えても、殆ど影響は無かつた(表2)。高濃度のキレート剤でもVLP を解集合できないことは電子顕微鏡分析により確認されたが、EDTA(ただし EGTAではない)はVLPを僅かに膨張させると思われた(データは示さず) 。これらの濃度のキレート剤は堅固に結合した構造的に重要なイオンを抽出する には不十分であるか、またはカチオンはVLPの構造的完全性を維持するのに不 可欠なものではない。逆に、NaHCO3緩衝液(pH9.6)の濃縮アリコート をVLPの溶液に200ミリモル炭酸(PBS−0.3モルNaCl中)の最終 濃度となるまで加えることにより、VLPは顕著に分解された(表2)。DTT (10ミリモルの最終濃度まで)を加えても、炭酸誘発による分解はそれ以上促 進されなかった。VLPと200ミリモル炭酸/10ミリモルDTTとのインキ ュベーションは、ELISAにおけるHPVビリオンまたはVLPの変性に常用 される(Favre et al,J.Virol.,15:1239−1237(1975);Christensen and krei der,J.Virol.,64:3151-3156(1990);Christensen et al,J.Gen.Virol.,75 :2271-2276(1994))。30%スクロースクッション検定により測定 されたとことによると、HPV−11 VLPとpH9.6グリシン緩衝液(2 00ミリモル最終濃度)とをインキュベーションしても、VLP解集合は殆ど誘 発されなかったため(表2)、炭酸の効果は緩衝液特異的であって、pHの関数 だけではないと思われる。同様に、Brady et al(J.Virol.,23:717−724(1977) )は、単にアルカリ性pHというだけではなく、アルカリ性pHの炭酸緩衝液が ポリオーマウイルスビリオンを分解することを観察した。しかしながら、Brady et al(J.Virol.,23:717−724(1977))により示されたところによると、pH9. 6での200ミリモルEDTA(+/−10ミリモルDTT)がVLP解集合に 全く非効果的であったように(データは示さず)、pH9.6での炭酸の特異効 果が、炭酸の潜在的キレート形成能力に起因するとは思われない。 実施例2 解集合されたVLPの特性確認 高濃度還元剤への長期暴露後、精製VLPはカプソメアレベルまで分解される と思われる。図3aに示されている通り、4℃で16時間5%βMEとのインキ ュベーションにより生成された解集合VLPは、5−20%直線スクロース密度 勾配で移動し、沈降標準に対して測定された平均沈降係数は11.3±1.5S( n=5)であった。計算された沈降係数が16−18Sである大型の種類(恐ら くは2量体カプソメア)、および沈殿物質ですら時折観察された。しかしながら 、L1の10%未満は勾配の上部(L1モノマーに関して予測される場所)また はペレット(無傷のVLPまたは凝集カプソメアに関して予測される場所)から 検出されることから、精製VLP出発物質は主として長期間還元後に個々のカプ ソメアレベルまで解集合されることが示された。この結論は、5%βMEと長期 インキュベーションした後のVLPの電子顕微鏡分析により裏付けられ、平均し て直径9.7±1.2nm(n=15)の均質カプソメアの視野(図5b)が描か れ、時折数個の大型凝集構造が見られた(この技術によりモノマーL1は検出さ れない)。推定されるカプソメア直径は、低温電子顕微鏡法(11−12nm) により観察されたものより僅かに小さく(Baker et al,Biophys.J.,1991;Hag ensee et al,J.Virol.,68:4503-4505(1994);Belnap et al,J.Mol.Biol. ,259:249−263(1996))、恐らく電子顕微鏡グリッド調製中におけ る収縮に起因すると思われる。図3aおよび5bに示されたデータは、高濃度の 還元剤への暴露時間が長いとき、精製された可溶性VLPはカプソメアの均質集 団に定量的に解集合されることを立証している。 高濃度の還元剤への長期間暴露時にHPV−11 VLPから生成されたカプ ソメアは、無傷のVLPから見出される構造的エピトープを含む。HPV−11 −特異的モノクローナル抗体のパネルで、「変性」L1ではなく無傷のHPV− 11 L1 VLPと反応するものが報告されている。これらのモノクローナル には、HPV−11ビリオンにおける優性中和エピトープを認識することが立証 されたH11.F1、およびH11.A3、すなわち独特な非中和構造依存的抗体 がある(Christensen and Kreider,J.Virol.,64:3151-3156(1990);Christens en et al,J.Virol.,64:5678−5681(1990))。予想通り、H11.F1および H11.A3は、ELISAにより分析すると精製HPV−11 VLP出発物 質と強く反応した(図6a)。しかしながら、これらの抗体はまた、還元剤への 暴露によりVLP出発物質から生成されたカプソメアとも反応した(図6b)。 すなわち、カプソメアは、無傷のVLPおよび真正ビリオンの表面で見出される 構造依存的エピトープの少なくとも幾つかを有しており、エシェリキア・コリ( E.coli)において発現されたHPV−11カプソメアに関してLi et al(J.Viro l.,71:2988−2995(1997))により行われた試験結果と一致している。これらの結 果は、さらにモノクローナル抗体H11.F1およびH11.A3が、結合用の「 天然様」立体配座を必要としながらも、先に報告されたようにVLP−依存的で はないことを立証している(Ludmerer et al,J.Virol.,71:3834-3839(1977) )。 対照的に、モノクローナル抗体H11.F1およびH11.A3は、pH9.6 での炭酸緩衝液処理により解離したHPV 11 VLPを認識することはでき ない(データは示さず、Christensen et al,J.Gen.Virol.,75:2271-2275(19 94))。炭酸処理を行ってもカプソメアの均質溶液は得られなかったが、電子顕 微鏡により調べると、部分凝集した小物体の不明瞭な混合物として現れた(デー タは示さず)。この研究結果は、5−20%直線スクロース密度勾配における炭 酸処理VLPの分析により一部確認されており、それによるとL1タンパク質 は主として−4Sで移動したが、9−11Sでの小集団が観察され(図3b)、 BPVビリオンに対する炭酸緩衝液(pH10.6、10ミリモルDTT)の効 果と一致していた(Favre et al,J.Virol.,15:1239−1247(1975))。最後に 、pH9.6でのグリシン緩衝液により処理した場合、VLPはさらに小さな個 々の粒子には解離されず(表2)、ある程度の効果が見られた。pH9.6グリ シンで処理したVLPは、電子顕微鏡では無傷、部分分解および凝集VLPの輪 郭不明瞭な混合物として現れた(データは示さず)。 実施例3 単離されたHPV−11 L1カプソメアの使用による誘導ウイルス中和性抗 体の製造 精製L1カプソメアを用いることにより、ウサギにおけるポリクローナル抗血 清、および組換えHPV−11、16および18カプシドに対し前もって産生し た抗血清と一緒にこれらの抗血清の3倍系列希釈液を製造し、HPVタイプ11 、16および18の無傷カプシドに対して試験した。HPV−11カプソメア特 異的およびカプシド特異的ポリクローナル抗血清は、試験された全希釈液で無傷 HPV−11カプシドと各々同等に免疫反応性を示したが、HPV−16または HPV−18カプシドとは反応しなかった。これらの結果は、HPV−11、1 6および18カプシド特異的ポリクローナル抗血清を用いて為された以前の観察 結果と一致しており(Rose et al,J.Gen.Virol.,75:2445−2449(1994))、 HPV−11単離L1カプソメアは、免疫原性が高く、無傷L1カプシドおよび 天然HPVビリオンが呈する遺伝子型制限抗原性を保持していることを示してい る。感染性HPV−11ビリオンを含むインビトロ中和検定で試験すると、免疫 後HPV−11 L1カプソメア−特異的ポリクローナル抗血清は、インビボで 無傷HPV−11ビリオンに対して産生した抗血清により得られた値と同等であ る10-5〜10-6の中和力価を呈した(Rose et al,J.Gen.Virol.(Id.)) 。単離されたL1カプソメアにより免疫化されたウサギからの免疫前血清は、ウ イルス中和活性を全く呈さず、またHPV−16カプシドに対して以前に産生し たポリクローナル抗血清も同様であった。すなわち、単離されたHPV−11カ プソメアは、HPV−11ビリオンおよび無傷カプシドの高免疫原性遺伝子型制 限カ プシド中和性抗原性ドメインを示すため、性器HPV疾患の予防に有用な免疫原 である。 表1 HPV−11 L1 VLPの解集合;還元剤の効果a aVLP(0.5−1.0mg/mlタンパク質)を4℃で指示通りに試験し、「方 法」の項で記載した要領で30%スクロースクッション全体にわたるL1の分布 を測定した。多重測定値(n=3−7)の平均±標準偏差が示されている。 表2 HPV−11 L1 VLPの解集合;キレート剤および緩衝液の効果a aVLP(0.5−1.0mg/mlタンパク質)を4℃で16時間指示通りに処理 し、「方法」の項に記載された要領で30%スクロースクッション全体にわたる L1の分布を測定した。二重測定値の平均±範囲を示す。 本発明は、その精神または不可欠な特徴から逸脱することなく、他の特殊な形 態でも実施され得る。記載された態様は、あらゆる点において説明的なものにす ぎず、限定的なものではないと見なされるべきであり、従って、本発明の範囲は 、前述の記載ではなく添付された「請求の範囲」により示されている。請求の範 囲の法的に同じ価値を有する意味および範囲内に含まれる修飾も全てその範囲内 に包含されるものとする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 7/00 G01N 33/569 F G01N 33/53 33/68 33/569 C12N 15/00 A 33/68 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR, NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL ,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR, BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E E,ES,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW (71)出願人 メディムーン・インコーポレイテッド アメリカ合衆国20878メリーランド州ゲイ ザーズバーグ、ウエスト・ワトキンズ・ミ ル・ロード35番 (72)発明者 スジッチ,ジョーアン・エイ アメリカ合衆国20880メリーランド州ワシ ントン・グローブ、ポスト・オフィス・ボ ックス441、チェスナット・アベニュー122 番 (72)発明者 マッカーシー,マイケル・ピー アメリカ合衆国20837メリーランド州プー ルズビル、モッシー・ウェイ19605番 (72)発明者 ローズ,ロバート・シー アメリカ合衆国14437ニューヨーク州ダン ズビル、コテージ・ストリート41番 (72)発明者 ガーセア,ロバート・エル アメリカ合衆国80301コロラド州ボールダ ー、パンパズ・コート2505番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.安定なヒト・パピローマウイルス(HPV)のカプソメアであって、 (i)ウイルス様粒子(VLP)への集合が実質的に不可能であり、 (ii)天然(野生型感染性)HPVウイルスにより発現されるメジャーカプシド タンパク質(L1)の少なくとも1つのウイルス中和立体配座エピトープを提示 し、 (iii)HPV中和抗体の産生を誘発する、 カプソメア。 2.HPV−6、HPV−11、HPV−16、HPV−18、HPV−30、 HPV−31、HPV−33、HPV−35、HPV−39、HPV−42、H PV−43、HPV−44、HPV−45、HPV−51、HPV−52、HP V−54、HPV−55、HPV−56およびHPV−70のカプソメアよりな る群から選ばれる、請求項1の安定なHPVカプソメア。 3.該安定なHPVカプソメアがHPV−11カプソメアである、請求項1の安 定なカプソメア。 4.該安定なHPVカプソメアが、VLP集合を阻害または防止するカルボキシ 末端欠失を含む修飾HPV L1のDNAの発現により産生される、請求項1の 安定なカプソメア。 5.該カルボキシ末端欠失がL1タンパク質のカルボキシ末端部分の少なくとも 30のアミノ酸の欠失をもたらす、請求項1の安定なカプソメア。 6.該修飾HPV L1のDNAが発現時に、L1タンパク質のカルボキシ末端 部分の約30のアミノ酸から約86のアミノ酸を欠くL1タンパク質をもたらす 、請求項5の安定なカプソメア。 7.該修飾HPV L1のDNAが、ジスルフィド結合の形成を阻害または防止 する少なくとも1つの追加,置換または欠失の修飾を含む、請求項4の安定なカ プソメア。 8.修飾が、少なくとも1つのシステインコドンの欠失および/または置換を含 む、請求項7の安定なカプソメア。 9.少なくとも1つの該システイン残基が、L1のカルボキシ末端を含む約30 から86残基にまたがるL1タンパク質の領域に含まれる、請求項8の安定なカ プソメア。 10.該カプソメアが、カプソメア−カプソメアのジスルフィド結合の形成を阻 害する変異を導入するように修飾されたHPV L1のDNAの発現により産生 される、請求項1の安定なカプソメア。 11.該修飾が、少なくとも1つのシステインコドンの欠失および/または置換 を含む、請求項10の安定なカプソメア。 12.該修飾HPVカプソメアが、ヒトにおいて中和抗体の産生を誘発する、請 求項1の安定なカプソメア。 13.該HPVカプソメアがHPV−11カプソメアを含む、請求項12の安定 なカプソメア。 14.HPVに対する保護を付与するワクチンであって、該HPVに対したとき に保護を付与するのに十分な量の請求項1の安定なHPVカプソメアおよび薬学 的に許容される担体を含むワクチン。 15.該組成物が該安定なHPVカプソメアから基本的には成る、請求項14の ワクチン。 16.該安定なHPVカプソメアが、ウイルス様粒子への集合が実質的に不可能 である安定なHPVカプソメアを発現に際しもたらす修飾を含むHPV L1の DNAの発現により産生される、請求項14のワクチン。 17.該修飾が、HPV L1タンパク質の少なくとも30のカルボキシ末端ア ミノ酸の欠失および/またはVLP集合に関与するジスルフィド結合の形成を阻 害または防止する欠失、追加または置換の修飾をもたらす、請求項16のワクチ ン。 18.該修飾が、少なくとも1つのシステイン残基の欠失および/または置換を 含む、請求項17のワクチン。 19.ワクチンに含有される安定なHPVカプソメアがHPV−6、HPV−1 1、HPV−16およびHPV−18のカプソメアまたはその混合物よりなる群 から選ばれる、請求項14のワクチン。 20.該安定なHPVカプソメアが、HPVウイルス様粒子またはカプソメアの トリプシン消化により、または活性スルフヒドリルの酸化を阻害する化合物での 処置により産生される、請求項14のワクチン。 21.HPV感染が疑われる宿主に保護を与える方法で、請求項1の安定なヒト ・カプトメアの予防的有効量を投与することを含む方法。 22.該安定なHPVカプソメアがHPV−6、HPV−11、HPV−16、 HPV−18、HPV−30、HPV−31、HPV−33、HPV−35、H PV−39、HPV−42、HPV−43、HPV−44、HPV−45、HP V−51、HPV−52、HPV−54、HPV−55、HPV−56およびH PV−70よりなる群から選ばれる、請求項21の方法。 23.該安定なHPVカプソメアがHPV−11カプソメアを含む、請求項22 の方法。 24.該安定なHPVカプソメアが、L1タンパク質のカルボキシ末端部分の少 なくとも30のアミノ酸を除去するカルボキシ末端欠失を含有する、請求項21 の方法。 25.該安定なHPVカプソメアがL1タンパク質の約30から86のアミノ酸 を欠く、請求項24の方法。 26.該安定なHPVカプソメアが、カプソメア−カプソメアのジスルフィド結 合の形成を直接または間接に阻害するするように修飾されたHPV L1のDN Aの発現により産生される、請求項21の方法。 27.修飾が少なくとも1つのシステインのコドンの欠失および/または置換を 含む、請求項26の方法。 28.請求項1の安定なヒト・パピローマウイルスのカプソメアの診断的に有効 な量を含む診断用組成物。 29.該カプソメアが検出を提供する部分に直接または間接に接触する、請求項 28の診断用組成物。 30.発現時に安定なHPVカプソメアの産生をもたらすような修飾を含有する HPV L1のDNAであり、このカプソメアはウイルス様粒子への集合が実質 的に不可能であり、そして天然HPVビリオンにより発現される少なくとも1つ のウイルス中和立体配座エピトープを提示するものである、HPV L1のDN A。 31.VLP集合に関与する少なくとも1つのジスルフィド結合の形成を阻害ま たは防止する修飾を含む、請求項30のHPV L1のDNA。 32.該修飾が少なくとも1つのシステイン残基の置換または欠失を含む、請求 項31のHPV L1のDNA。 33.ウイルス様粒子の形成を阻害するカルボキシ末端欠失をさらに含む、請求 項32のHPV L1のDNA。 34.該カルボキシ末端欠失がL1タンパク質の少なくとも30のアミノ酸の消 失をもたらす、請求項33のHPV L1のDNA。 35.該カルボキシ末端欠失がL1タンパク質の約30から86のアミノ酸の消 失をもたらす、請求項34のHPV L1のDNA。
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