【発明の詳細な説明】
ボール弁要素と上方シール用ガスケットとを有する混合弁技術分野
本発明の分野は、カートリッジ内に収容された可動の弁要素、特にカートリッ
ジ内に収容されたボール弁要素を組み込んでいる給水栓に関する。開示の背景
湯及び冷水の両者の流量を制御し一般に混合弁と呼ばれる取手が1個の給水栓
は、多くの消費者により受け入れられている。これら給水栓は、通常は、湯と冷
水との混合を調整しかつ体積速度又は流量を調整するために、取手又はノブが異
なった二つの方向で可動であるように構成される。
商業的に広く受け入れられている混合弁の基本的な二つの形式は板弁とボール
弁とである。ボール弁は、耐久性がありかつ容易に組み立てられる信頼し得る一
体式構造を提供するが、板弁は消費者により広く認められる異なった2方向にお
ける取手の運動を許す駆動機構を提供する。この望ましい取手の運動は、弁本体
に固定された長手方向中心線まわりの取手の軌道運動、及び弁本体に関して可動
の水平軸まわりの揺動、即ち旋回を許す。水平軸は取手に関して固定されかつ弁
本体の長手方向中心線に垂直である。この形式の取手の運動の際立った一つの特
徴は、取手が閉位置に回されたときに、湯と冷水の希望の混合比が取手の位置に
より記憶され得ることであり、このため、給水栓が開位置に戻されたとき、同じ
混合比の湯の流量と冷水の流量とが給水栓を通る。
近年、商業的に受けいれられている板弁式の混合弁と同じ方式で取手
を操作できるボール弁が考案された。これらボール型の混合弁では、ボール弁要
素の上方に取り付けられた回転可能な板材の形の別の運動部品の導入が必要であ
る。更に、これらボール弁は、総流量を制限するようにボール弁を制御する取手
が通過するカバー開口のまわりに調整可能に位置決めし得る板材器具と組み合わ
せられている。これに代わり、あるいはこれに追加して、これら限定用器具は湯
と冷水との最大混合比を限定し、従って出口における混合水の最高温度度を限定
する。
ボール弁構造に伴う種々の欠点がある。特に、ボール弁要素は、弁本体の入口ポ
ートのまわりに置かれた弾性体の入口シールと、弁カバーの下又は隙間に取り付
けられたシール用ガスケットとの間に取り付けられる。弾性体の入口シールとガ
スケットとは総て変形し易くかつボール弁要素に弁本体との間の浮遊特性及び隙
間を与える。ボール弁を適正位置に確実に位置決めする確実な固定機構又は位置
決め機構はない。ボール弁は弾性要素に対して併進方向で動き得るので、操作者
は、取手を動かすときに、混合弁の設計では意図されなかった方向を含む任意の
方向に取手を少しだけ動かすことができる。この望ましくない運動が、給水栓の
操作者に、望ましくないスポンジ状の感覚及び水栓の適正な作動に対する不安感
を与える。更に取手のこのスポンジ状の感覚は、取手が不安定であり適正に組み
立てられていないという印象を与える。
頂部のシール用ガスケットは3種の機能を提供する。第1に、これはボールの
周囲を水漏れに対して封鎖する。第2に、その外周が、漏洩を防ぐためにハウジ
ングの内面に対して密閉する。第3に、ガスケットは入口シールに対してボール
を下向きに押して弾性的に位置決めする。その結果、ガスケットはその体積及び
形状のため、費用の多くかかる部材
となる。滑らかな運動を得るために、弾性シール用ガスケットは、弾性材料がボ
ール部材と直接接触したときに比して摩耗を減らすためにボール弁と接触するテ
トラフルオリエチレンの薄層を持つ。
浮遊感覚を減らすために、多くのボール弁式混合弁には調節リングが組み込ま
れている。調節リングは、弁キャップ上に調整可能にねじ止めされる。調節リン
グはシール用ガスケットを下向きにボール弁要素に対して押し付け、一方ではこ
のボール弁要素は入口シールに対して押し付けられる。シール用ガスケット及び
ボール弁要素の下向きの配置は、望ましくない運動を減らすがこれを無くすこと
はない。更に調節リングと公知のガスケットとの組合せは混合弁の価格と複雑さ
とを増加させる。シール用ガスケットに加わる圧力の増加はガスケットを摩耗さ
せる。摩耗及び裂けが進行すると、調整用リングを繰り返し調整しなければなら
ない。これは、給水栓の取手に作用する重力に対抗して取手を維持する作動抵抗
を取手に与えるため、及びシール作用の両者のために、ガスケット上の圧力を復
元するためである。
板弁はカートリッジの形式で組み込まれることが多い。カートリッジは、可動
でかつ固定された板材を収容する。カートリッジは、給水栓の簡単な修理を行う
ために、容易にこれを外して別のもので置き換えることができる。可動板材は小
さな旋回ボール部分を有する制御棒により駆動される。ボール部分の赤道はその
周囲に弾性シールを有することができる。弾性シールは正方形断面、より特別に
は、4個の丸みのある稜、即ち2個の内径側の稜と2個の外径側の稜とを形成す
るように凹んだ側面を有する正方形で表される断面とすることができる。内径側
の2個の稜は旋回ボールの赤道の付近に当たり、外径側の2個の稜はハウジング
又はカートリッジの壁に対して当たる。
ボール弁は、カートリッジ構造に対しては受け入れにくい。第1に、伝統的な
ボール弁の浮遊性のため、どのカートリッジもボール弁を完全に囲みかつ支配す
ることが要求され、さもなければボール弁は簡単にカートリッジの底部から抜け
落ちるであろう。第2に、ボール弁構造が小型であるためカートリッジ収容のた
めの空間がない。ボールを収容しかつ確保する伝統的なカートリッジの給水栓ハ
ウジング内への導入は、カートリッジを入れるに要する追加の高さを組み入れる
ためにハウジングをより高く作ることを要求する。
要求されるものは、ハウジング外部への漏洩に対してシールしかつボール弁要
素の座る上方シール用部材を収容する混合弁用のボール弁カートリッジである。
更に要求されるものは、弁を操作するためにただ1個の可動片だけを持つという
利点を残したままで弁本体の長手方向中心線まわりの取手の揺動を提供する公知
の板弁の取手の運動と同効果の、言い換えれば、別の運動部品の導入なしのボー
ル弁要素を備えたボール弁カートリッジである。なお要求されるものは、調節リ
ングが不要でありかつ取手がその適正な作動に要求された方法とは異なった方法
で動く可能性を無くした弁を備えたボール弁組立体である。本開示の概要
本発明の1態様により、液体用混合弁は、ハウジングの弁受入れ用空洞部内に
旋回可能に取り付けられたボール弁を持つ。この空洞部は複数の入口ポート及び
少なくも1個の出口ポートと連通する。ボール弁は少なくも部分的に球状の表面
及びその表面上の複数の入口開口を持つ。この開口はポートと共同作用してポー
トを通って流れる流体を制御する。
弁ハウジングは制御開口を持つ。ボール弁は制御開口を通過する制御棒を持つ。
制御棒は一般にボール弁の赤道に直交して取り付けられる。
混合弁はカートリッジハウジングを収容する。カートリッジハウジング部材は
制御棒が通過できる上方開口を持つ。ボール弁は前記カートリッジハウジングに
旋回可能に取り付けられる。カートリッジは下方開口を有し、前記ボール弁要素
がこの開口を通って突き出して入口ポートと共同作用する。カートリッジハウジ
ングは、上方開口のまわりにシール座を持つ。シール用ガスケットがカートリッ
ジハウジングの前記上方開口のまわりのシール座に座り、ボール弁要素に当たり
気密を保つ。
好ましくは、シール用ガスケットは、ボール弁要素と気密に当たる半径方向内
向きのリップ、即ち稜を持つ。リップがボール弁要素に押し付けられるように、
シール用ガスケットに予備荷重を加えられることが望ましい。この予備荷重は、
内周部が外周部より高く斜めにされた上方開口のまわりのシール座により作られ
ることが好ましい。シール用ガスケットは、その内周部と外周部とがほぼ同一平
面上にある無負荷位置を持つ。シール用ガスケットは、その内周部がその外周部
より高くなるように前記ガスケットの内側を捩ることにより予備荷重が加えられ
、斜めのシール座内に座らせられる。
本発明の別の態様によれば、混合弁用のボール弁カートリッジは、ボール弁要
素及び操作的に固定された部材を備える。操作的に固定された部材はカートリッ
ジハウジング又はハウジング本体用のキャップ部材とすることができる。シール
用ガスケットは、ボール弁要素と操作的に固定された部材との間に配置されこの
両者間の気密を確立する。ガスケットは、少なくも3個の稜を形成する断面を有
し、その第1及び第3の稜
は中心線まわりで第2の稜から円周方向で約90°離される。
第4の稜が前記第1及び第3の稜から円周方向で約90°、そして第2の稜か
ら約180°離されることも好ましい。4個の稜を有するガスケットは正方形断
面ガスケットシールと呼ばれることが多い。
第1の稜はガスケットの上方外径位置に置かれる。第2の稜は上方内径位置に
ある。第1及び第2の稜は操作的に固定された部材と気密に当たる。第3の稜は
下方内径位置に置かれ、かつボール弁要素に気密に当たる。
第1の稜と第3の稜との間のガスケットの下表面部分は操作的に固定された部
材の内側の給水栓水圧に暴露され、かつこれは第4の稜を含むことができる。あ
る実施例においては、シール座は操作的に固定された部材の内壁から半径方向内
向きに間隔を明けられらた外周を持つ。
好ましくは、リング状の部材は、シール用ガスケットを押すように位置決めさ
れかつその内径部分がシール用ガスケットにより強制されてボール弁要素と接触
させられる。第4の稜は、リングの内側コーナーがボール弁要素と接触するよう
にリングを強制することが好ましい。このリングは、長方形又は台形のような実
質的に四辺形の断面形状を持つことができる。これは、全体的に平板状の弛緩状
態とすることができ、前記シール用ガスケットにより強制されたときは円錐台状
にされる。リングは、操作用の取手がそれ自身の重量により自然に動かないよう
にボール弁要素の作動抵抗を大きくさせるために使用される。
1実施例では、カートリッジハウジングは、カートリッジとこれが取り付けら
れた弁本体との間の漏洩を防止するためにそのまわりに外側シール用リングを持
つ。
本発明の別の態様によれば、混合弁用のボール弁カートリッジは、少なくも1
個の入口ポート及び出口ポートを有するボール弁要素を備える。カートリッジハ
ウジングは上方開口を有し、ボール弁に連結可能な制御棒がこの開口を通過でき
る。ボール弁はカートリッジハウジングに旋回可能に取り付けられる。カートリ
ッジは下方開口を有し、ボール弁要素はこれを通過して突き出す。ボール弁要素
は弁本体の入口ポートの加硫端部において入口シール部材と直接接触する。
本発明の別の態様によれば、給水栓混合弁は空洞部を定めるハウジング本体内
に取り付けられた可動の弁要素を持つ。本体は空洞部と連通する複数の入口ポー
トと1個の出口ポートとを持つ。可動の弁要素は入口ポートと共同作用してポー
トを通過する混合物の流量及び温度の両者において液流を制御する。弁本体はこ
れを通る制御開口を有し、この開口は可動の弁要素に連結された制御棒を受け入
れる。混合弁は、ハウジング部材、及び制御棒の通過可能な上方開口を有するカ
ートリッジを有するカートリッジ形式である。可動の弁要素は、カートリッジハ
ウジング部材に動き得るように取り付けられる。カートリッジは下方開口を有し
、前記可動の弁要素がこの開口を通って突き出して入口ポートと共同作用をする
。
この方法で、弁要素は弁本体の全高を増加させる必要なしに弁カートリッジ内
に組み込まれる。更に、シールは入口シール部材に対する可動の弁要素の押付け
と位置決めとの2重の機能を持たないので、可動の弁要素及びカートリッジのま
わりの漏洩防止のためのシールは最小の寸法と重量とを持つことができる。
正方形断面のガスケットの稜は耐久性がありかつ安定したシールを提
供する。弁要素空洞部内の水圧の直接的な作用として、シールの一方の側に作用
している水圧がシールとボール弁とを組み合うように強制する。その結果、ガス
ケットとボール弁要素との間の接触圧力は給水栓空洞部内の水圧と自動的に比例
する。ボール弁の棒に大きくて重い装飾的な給水栓取手が取り付けられたとき又
は身体障害者に適した長くて重い取手がボール弁の棒に取り付けられたときは、
このリングが望ましい。図面の簡単な説明
付属図面を参照する。図において、
図1は本発明の1実施例を示す混合弁の側面断面図であり、
図2は図1に示された混合弁の分解斜視図であり、
図3は図2に示された線3−3に沿って得られた混合弁の下方本体部材の断面
図であり;
図4は図2に示されたカートリッジの底視図であり;
図5は図2に示されたカートリッジハウジングの平面図であり、
図6は図1に示されたガスケットの無負荷状態における断面図であり、
図7は図1に示されたカートリッジハウジング及びボール弁要素を有するカー
トリッジの図式的な断面断面図であり、
図8はカートリッジハウジングとボール弁要素との間に挿入されたシール用ガ
スケットを示している図7の拡大部分図であり、
図9は第2の実施例を示している図7と同様な図であり、
図10は第2の実施例を示している図8と同様な図であり、
図11は図9に示されたリングの側方断面図であり、
図12は別なリング構造を示す図11と同様な図であり、
図13は第3の実施例を示している図7と同様な図であり、
図14は第3の実施例を示している図8と同様な図であり、そして
図15は本発明のカートリッジなしの実施例を示している給水栓混合弁の側面
図と断面図である。好ましい実施例の詳細な説明
図1及び2を参照すれば、混合弁10は、下方ベース部材14とカバー組立体
16とより形成される弁ハウジング12を備える。ベース部材14は、湯用及び
水用の2個の入口ポート18及び19が内部に形成された空洞部22を持ち、更
に空洞部22と連通する混合水通路として出口ポート20を持つ。ポート18及
び19の下流端部は皿穴にされ、筒状の弾性シール用部材25をボール弁要素2
4に押し付ける2個の強制用ばね23のための座を形成する。これらを通る穴は
直径が約6.5mmである。ポート18及び19の下流端部は、空洞部22の底部
の点27から約40°上方に置かれる。更に、ポート18及び19は、垂直軸2
8から測定して前後方向面より周囲方向で約15°に置かれる。
本体14のまわりに筒状の殻17が気密かつ摺動可能に取り付けられ、出口ポ
ート20と連通している環状室15を形成する。殻17の開口13を経て環状室
15と連通する注ぎ口21が殻に固定される。
ねじ部材31を有するカバー16がベース部材14上にねじ止めされる。部材
31上に装飾用の殻11が置かれる。弁空洞部22は、カートリッジ26内に収
容されたボール弁要素24を受け入れるような寸法にされた実質的に半球状の下
側面を持つ。カバー16がカートリッジ26を空洞部22内に保持する。ベース
部材14は、混合弁10のカートリッジを正しく方向付けるためにカートリッジ
26のキー72を受け入れるキー溝71のある直立したカラーフランジ70を持
つ。
ボール弁要素24は実質的に球状の表面29を有し、この球状面は、これを通
る冷水入口開口30と32、湯の入口開口34と36、及び出口開口38を持つ
。開口30と32とは冷水入口ポート28と共同作用し、開口34と36とは湯
の入口ポート19と共同作用し、そして出口開口38は出口ポート20と共同作
用し、それぞれ、2個の入口ポート18及び19からの混合割合、並びに流量、
即ち単位時間当たりの水の総量を調整することにより、2個の入口ポート18と
19とから出口ポート20への水の通過を調整する。
カバー組立体16は、これを通る制御開口40を持つ。カバー16は、ハウジ
ングの長手方向中心線28が制御開口40を通過するように位置決めされる。カ
ートリッジ26は開口40の下方に揃えられた上方開口58を有するハウジング
部材56を備える。
制御棒42がボール弁要素24の上方部分99においてこれに連結され固定さ
れる。制御棒は、一般に、ボール弁の上方部分99と下方部分90との間の赤道
に直交する方向に取り付けられる。制御棒42は制御開口40を通って伸びる。
制御棒42は通常の方法で給水栓の取手43に取り付けられるように作られる。
ボール弁要素24はカートリッジハウジング部材56に旋回可能に取り付けら
れる。ハウジング部材56は、これを給水栓用に適した公知の適切なプラスチッ
ク材料から作ることができる。ボール弁要素24は、これを通って伸びている円
柱状のピン60を有し、このピンの端末62はボール弁の表面29より外部に伸
びる。穴61は、ピン60を摺動可能に受け入れるような寸法にされる。ピン6
0は、ボール弁24の中心66と交差しかつ制御棒42と直交する方向に位置決
めされる。このピ
ンは、後で詳述されるように、これを定位置に溶接することができる。
各端末62は、カートリッジハウジング56に形成され円周方向に配置された
スロット68内に置かれる。図3に示されるように、各スロット68は軸線28
に直角な平面69内に配置された中心線を持つ。端末62は形が円柱状であるた
め円形断面を持ち、このため、中心線28に直角な軸線75まわりにスロット6
8内で旋回できる。
スロット68の円周方向端部74が端末62用の停止用ショルダー76を形成
する。スロット68は、スロット68内でピンの端末62が滑り運動できるに十
分な隙間だけを形成するように垂直方向の寸法を決められる。スロット68と端
末62との間に垂直方向隙間の無いことが望ましい。
ボール弁要素24の弁表面29の下方部分90は、カートリッジハウジング5
6の大きな下方開口端部92を通って突き出す。突出部分90はボールの重要な
部分である。図4及び7に明らかに示されるように、球状の弁表面29のほぼ下
半分は常にカートリッジ下方開口92の下方に突き出している。開口30、32
、34、及び36のある弁表面29は、ばねで押されているシール用部材25と
機能的に押し合う。
ボール要素24の上方部分99は、内部の付随円筒壁103により部分的に定
められるカートリッジハウジング56の内部室101内に収容される。内部室1
01は弁ハウジング12の空洞部22と連通する。
環状のガスケット座94が上方開口58のまわりに置かれ、かつ室101内で
ボール要素24に面する。ガスケット座94は、その内周部95がその外周部9
6より高く位置決めされ斜めにされる。内周部には下向きの付随ショルダー又は
カラー97が垂直方向に設けられる。環状の
ガスケットシールリング98が座94に押し付けられてカートリッジハウジング
56に取り付けられ、その内周100がその外周102より高くされ捩られて予
備荷重が加えられた状態で置かれる。ガスケットシールリング98は丸みの付け
られた4個の周囲リップ部分、即ち稜104、106、108、及び109を持
つ。稜104、106、108、及び109の各は、ガスケットの環状の中心線
105のまわりで隣接の稜から周囲方向でほぼ90°の間隔で置かれる。稜10
4と108とは約180°で反対側に置かれ、稜106と109とは同様に18
0°離される。ガスケットの下方内径位置に置かれた一つの稜104がボール弁
要素24に当たって、両者間における水漏れに対するシールを提供する。内径位
置の稜106及び外径位置の稜108は、図7及び8に明らかに示されるように
、内径の稜106が外径の稜108より高く置かれた状態で斜めの座94に当た
る。図6には、稜106と108とが水平に配置されている無負荷位置における
ガスケットシールリング98が示される。ガスケットシールリング98に当たる
ボール面29の上方部分99は、ガスケットとの適正な気密を提供するように適
切な平滑度に適正に研磨される。
この気密構造により、カートリッジハウジング56により形成された室101
内のいかなる水圧も、ガスケット98の断面の稜104と109との間に置かれ
た下方シール面107、及び稜108と109との間に置かれた外周面102の
両者上に作用する。稜104と109との間に置かれた下方の面107に作用し
ている圧力は、ガスケット98が圧力の異常上昇時にも偶発的に押し出されるこ
とのないように、これとショルダー97のまわりの座94との効果的な組合を保
つようにするだけで
ある。ガスケット94の断面の稜108と109との間にある外周102上に作
用している圧力は、ガスケットを変形させ稜104を押してボール弁要素24と
圧力接触させようとする。室101内の圧力増加による稜104のこの接触圧力
は、室101内の圧力が低下し、又はゼロになったときは無用な高圧は維持しな
いが、圧力が上昇したときは効果的な保持を保つ。本発明は、ボール弁要素が操
作されるときにこれにかかる抵抗を減らし、かつガスケット自体の摩耗と裂けと
を減らすと同時に、市販の弾性材料で作られる標準的かつ経済的なガスケットの
使用を可能にする利点を提供する。ガスケット98の稜109はカートリッジハ
ウジング56の横方向の壁103から間隔を明けられ、従ってカートリッジの室
101内を支配している圧力は稜108と109との間のガスケット98の外周
102上に作用できる。この間隔は、座94の傾斜によりガスケット98を傾い
た状態に配置することにより得られる。一方では、図13及び14に従って実施
方法を変更することができる。カートリッジハウジング56の座は傾けられない
が、カートリッジハウジング56の内壁103から僅かな距離Dの間隔をおいて
外周を持つ。同様に、ガスケット98の稜109はカートリッジハウジング56
の内壁103から間隔を明けた状態のままとされ、そしてこの組立体全体は第1
の実施例について前述された方法と正確に同じ方法で作動する。
示された2例においては、ガスケット98とカートリッジハウジング56の内
壁103とが互いに僅かに離されているため、水圧はガスケットの断面の第4の
稜109を回って内壁103に関して広がる。しかし、ガスケット94の稜10
9の連続性の中断によっても同じ効果を得ることができる。これは、標準製品の
ガスケットに幾つかの切れ目を作るこ
とにより、或いは大部分の断面は正方形断面のガスケットの断面と同様であるが
断面のの第4の稜109の相当する稜が中断され又は失われた適切なガスケット
を作ることにより達成することができる。
カートリッジハウジング56の外周110は、Oリング112の座る環状の溝1
11を持つ。Oリング112はハウジング12の下方本体部材14の凹所22と
共に外周110をシールするような寸法にされる。長手方向軸線28を含んだ平
面に沿った制御棒の揺動は、軸線28まわりのボール弁要素の角度位置とは無関
係にボール弁要素24を旋回軸75まわりで旋回させる。更に、端末62がスロ
ット68に沿って滑り、制御棒42が長手方向軸線28まわりで揺動したときの
ボール弁要素24の軸線28まわりの回転を許す。
軸線28まわりのボール弁要素24の回転は、端末68に当たる停止用ショル
ダー76の位置により限定される。異なった用途の混合弁は、停止用ショルダー
76の周囲方向の位置決めにより確立される異なった回転角度を持つことができ
る。説明されたボール弁要素24の回転が排出される混合水の混合比を、従って
温度を調整する。
これに代わって、或いは停止用ショルダー76に加えて、図5に示されたよう
に案内テンプレート120の上方開口115の半径方向に伸びているエッジ80
、82、84、及び86により軸線28まわりのボールの回転を限定することも
できる。このテンプレートは、カートリッジハウジング56の開口58のまわり
の上方凹所122内に適合する。凹所122は環状の保持用カラー126により
囲まれる。棒43がエッジ80−86と当たると、それぞれのエッジより先への
更なる運動が妨げられる。エッジ80と82とは最低温度を定め、エッジ84と
86とは
最高温度を定める。エッジ80−86は、ボールが垂直軸28まわりでほぼ90
°回転することを許す。
上方開口58も周囲のエッジ88と89とを有し、これらはそれぞれ閉位置か
ら全開位置に至るピン60の軸線75まわりの揺動運動の大きさを制御する。
カートリッジにはガスケット98と112とが適正に置かれて組み付けられる
。次いで、ボール弁要素24がガスケット98に対して位置決めされ、僅かに押
されてガスケット98を押し付ける。次に、ピン60が穴61及びボール表面2
9のスロット68に通される。ボール24に対するガスケット98の押付けが各
スロット68の下面67上へのピン端部62の摩擦適合を与え、ピン60の脱落
を防止する。次いで、凹所122にテンプレート120が置かれる。テンプレー
ト120は、凹所122内に押し込み又は嵌め込み得る薄い外側フランジ123
を持つ。組み立てられたカートリッジ26は独立した組立体であり、これを給水
栓混合弁10内に設置するための補修用交換部品として単独で販売することがで
きる。
組み立てられたカートリッジ26は給水栓本体14の空洞部22内に置かれる
。スロット72が空洞部内のカートリッジ26を適正に位置決めし、隆起130
はベース部材14の対応隆起132上でカートリッジ26を垂直方向で適正に位
置決めする。次いで、カートリッジ26を隆起132に対して下向きに押すよう
にばね負荷式の波形リング135をカートリッジ25とカバー16との間に挟ん
だ状態で、カバー16が直立フランジ70上にねじ止めされる。
ピン60の各端部62とスロット68との間の垂直方向の最小の隙間
が、弁ハウジング12とカートリッジハウジング56とに関するボール弁要素2
4の垂直方向変位を防ぐ。従って、ボールが前述の旋回可能な2方向に沿って旋
回するとき、制御棒は少しも不安定性を示さず、又は浮遊感を与えない。
これまで説明されたシール用ガスケット及びカートリッジでは、特に室101
内の圧力が低いか又はゼロであるときに、ガスケット98とボール弁要素24と
の間の摩耗及び裂けが、給水栓操作用取手の安定性を十分に確保できないほどひ
どく減らすことの生ずる可能性があり、操作用取手は自身の重量により、又は最
小の外部作用により動かされる可能性がある。このことは、大きくて重い装飾的
な取手43の場合、又は身体障害者用に特製された長くて大きな取手の場合によ
り顕著である。取手のこの浮遊感のある動きの発生が懸念される理由のあるとき
は、図9及び10に示された配置を採用することができる。この実施例において
は、リング状の部材140が、カートリッジハウジングの横壁103、ボール弁
要素24、及びガスケット98の間に挿入される。リング状部材140は、稜1
04と109との間に設けられた側面107に相当する下面を押して置かれる。
リング状部材140は、下側面107、恐らくはガスケット98の稜109で、
ボール弁要素24に当たりこれを弾性で押す。ボール弁要素24上にあるリング
部材140の内径側の下方コーナー142がボール弁要素の移動に制動をかけ、
この摩擦抵抗作用がガスケット98による生ずる摩擦抵抗に追加され、室101
内の圧力が低下し又はゼロになったときに給水栓操作用取手43を安定させる。
しかし、下面107に対する水圧による上向きの力(これはリング140にかか
るガスケットの力を減らす)のため、リング140のこの摩擦
抵抗は内圧の増加と共に低下する傾向がある。従って、この配置は、室101に
おける水圧の変動により引き起こされるガスケット98の保持作用の変化量を変
えることはないが、ボール弁要素の動きに対する操作抵抗の変動を補償しかつ減
らそうとする。リング部材140はカートリッジハウジング56の内壁103に
は少しも接触しない。
リング状部材140は、その作動時の形状においては、図9及び10に示され
るように切頭円錐、即ち円錐台の形状にされる。リング140は、その弛緩時に
おいては図11に示されるようなデザイン形状を有することができ、或いはその
弛緩時においては図12に示されるように単に平坦であり、そして給水栓内に設
置されている間はこれに加わる力により変形させることができる。図13及び1
4に示されるような平らな座を有するカートリッジハウジングに設置する方法で
取り付けられるときは、リング状部材140は、設置及び使用中、形状を維持し
得ることが明らかである。図示された形式においては、前記リング状部材140
は実質的に長方形断面を有するが、実際のモデルでは、これは、内径側の下方コ
ーナー142がボール弁要素24と接触する台形又はその他の四辺形にされる。
ガスケット94は、給水栓に使用される多くのガスケットに普通であるように
潤滑用グリスが塗られる。リング状部材140の一つの有用な機能は摩耗傾向を
減らすことであり、この部材は、ボール弁要素24がリング140の下方で滑っ
て満水の室101の中に入るより前にボール弁要素24の部分を拭うことにより
、室101においてガスケット94から潤滑用グリスのこの層を取り去る。
リング140は、上に明らかにされた水圧の変動に関する作動抵抗の
変動を減らす補償に加えて、作動抵抗に対する長期の補償効果も持つ。作動コー
ナー142が作動中に摩耗すると、給水栓への作動抵抗についてのその追加の効
果もまた減少する。これは、給水栓のその他の部品(特に筒状の弾性シール用リ
ング25)がこれらに塗布された潤滑用グリス又は減摩材の層を徐々に取り去り
、連続使用と共にそれら自体の作動抵抗が増加する傾向があるので有利である。
このため、リング状部材140により作られる作動抵抗の時間経過に伴う減少が
、時間経過と共に作動抵抗を増加させる給水栓自体の本質的な傾向を補償する傾
向がある。潤滑用グリスの除去防止におけるリング状部材140により行われる
有用な効果は、ボール弁要素24によるリング状部材12の接触カバー144の
摩耗により損なわれないことに注意すべきである。
図15に示されるように、ボール弁要素24及びシール用ガスケット98は、
これらをカートリッジなしの給水栓150に組み込むことができる。給水栓は本
体152及びキャップ部材154を持つ。キャップ部材154は上述と同じ方法
でガスケット98の座る座156を持つ。
ばね強制式のシール用部材25に対してボール弁要素24を下方に押し付ける
ように意図された大きな弾性強制式の調整リングの必要は無くされる。ガスケッ
トシールリング98は、ボール弁要素24とカートリッジハウジング54との間
の漏洩を防ぎかつボール弁要素24の作動抵抗の一部分を提供するように機能す
る。Oリング112は、カートリッジハウジング56と下方本体部材14との間
の漏洩を防ぐように単独で機能する。ボール弁要素24の垂直方向位置は、ピン
60とスロット68とによりカートリッジハウジング56内で決められる。更に
、ボール弁24を座の部材25に適正な強制力で押すためにこれまで必要であっ
た
調整リング部材160もオプションとなる。
更に、ボール弁要素24は、ボール弁要素を組み入れている従来技術の混合弁
と比較して、弁ハウジング12の全高を増加する必要なしに、交換の容易な弁カ
ートリッジ26内に組み込まれる。更に、カートリッジは変更可能であり、或い
はボール弁が適正に設計された入口と出口とを有するならば、従来技術に見いだ
されるボール弁が従来から適合していた標準のベース14において使用可能であ
る。
本発明の使用により、弾性材料よりなり正方形断面を有しかつ市場で入手可能
であり更に変形に対して大きな抵抗を有するシール用ガスケットをボール弁式混
合水栓に使用することが可能となる。本発明はシール用ガスケット98により作
られる抵抗を調整された方法で減らすことを可能とし、更にガスケット上に加わ
る力を限定することにより、ガスケットの摩耗と裂けとの有利な低減を確実なも
のとする。
特許請求の範囲に定められた本発明の範囲と精神とから離れることなく変化及
び変更が可能である。
【手続補正書】
【提出日】平成8年5月28日(1996.5.28)
【補正内容】
請求の範囲
『1.操作的に固定された部材と少なくも1個の入口、出口を有するボール弁要
素;及び取手に取り付けるための制御棒であって略前記ボール弁要素の赤道と直
角の方向に伸びている前記制御棒を備えた単一制御式の混合水栓であって;前記
ボール弁要素は貫通開口を有する前記操作的に固定された部材により保持され;
前記制御棒は前記開口を通過し;更にシール用具を備えた前記混合水栓において
;
前記シール用具が、前記ボール弁要素と前記操作的に固定された部材との間に
気密を確立するように配置されたガスケットを備え、
このガスケットは、第1の稜が前記ガスケットの上方外径位置に置かれそして
第2の稜が前記ガスケットの上方内径位置に置かれた状態で前記第1の稜と前記
第3の稜とが第2の稜より約90°にあるように中心線から周囲方向で間隔を明
けられた少なくも3個の稜を形成する断面を有し;
前記第1の稜と第2の稜とは前記操作的に固定された部材に対して気密に当た
り;
前記第3の稜は一般に前記ガスケットの下方内径に置かれかつ前記制御棒と前
記赤道との間の前記ボール弁要素の上方部分に対して気密に当たり;
ガスケットは第1の稜と第3の稜との間にあってかつ操作的に固定された部材
内の内部水圧に暴露されている下方の面を有する
ことを特徴とする混合水栓。
2.前記ガスケットが第4の稜を有し、この稜は操作的に固定された
部材と前記ボール弁要素との双方から間隔を明けられかつ操作的に固定された部
材内の内部水圧に暴露され、前記第4の稜は前記第1及び第3の稜から周囲方向
で約90°の間隔を明けられる請求項1に定められた単一制御式混合水栓。
3.前記操作的に固定された部材が記給水栓のハウジング本体に直接取り付け
られたキャップ部材である
ことを更に特徴とする請求項1に定められた単一制御式混合水栓。
4.前記操作的に固定された部材が前記給水栓のハウジング本体に取付け可能
なカートリッジハウジングである
ことを更に特徴とする請求項1に定められた単一制御式混合水栓。
5.前記操作的に固定された部材が前記開口のまわりのシール座を有し;
前記シール用ガスケットが前記シール座に据えられかつ前記座に対して気密に
組み合わせられた第1及び第2の稜を有する
ことを更に特徴とする請求項4に定められた単一制御式混合水栓。
6.前記開口まわりの前記シール用の座がその内周位置をその外周位置より高
くして斜めにされている
ことを更に特徴とする請求項5に定められた単一制御式混合水栓。
7.前記シール座が前記操作的に固定された部材の下向きの付随内壁から半径
方向内向きに間隔を明けられたその外周を有する
ことを更に特徴とする請求項5に定められた単一制御式混合水栓。
8.リング状部材が前記シール用ガスケットを押すように位置決めされかつ前
記シール用ガスケットにより前記ボール弁要素に対して接触するように押される
内径部分を有する
ことを更に特徴とする請求項1に定められた単一制御式混合水栓。
9.前記ガスケットは、操作的に固定された部材と前記ボール弁要素との双方
より間隔を明けられかつ操作的に固定された部材内の内部水圧に暴露されている
第4の稜を有し、前記第4の稜は前記第1及び第3の稜から周囲方向で約90°
間隔を明けられ;
前記第4の稜は前記リングと当たりかつ前記リングを前記ボール弁要素に対し
て当たるように強制する
請求項8に定められた単一制御式混合水栓。
10.前記リングが実質的に四辺形の断面形状を有しかつ平坦な弛緩状態を有
する
ことを更に特徴とする請求項8に定められた単一制御式混合水栓。
11.前記リングは、その上に前記ガスケットがその強制力を加えたときに円
錐台の形状を有し、かつ前記ボール弁に対して当たる内径側コーナーを有する
ことを更に特徴とする請求項10に定められた単一制御式混合水栓。
12.前記リングが実質的に四辺形の断面形状を有しかつ弛緩状態において円
錐台の形状を有し;
前記ボール弁が前記リングの内径側コーナーに対して当たる
ことを更に特徴とする請求項8に定められた単一制御式混合水栓。』
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G
B,HU,JP,KP,KR,KZ,LK,LU,LV
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