JP2002508951A - 脂肪酸シンターゼmRNA結合タンパク質 - Google Patents

脂肪酸シンターゼmRNA結合タンパク質

Info

Publication number
JP2002508951A
JP2002508951A JP2000540151A JP2000540151A JP2002508951A JP 2002508951 A JP2002508951 A JP 2002508951A JP 2000540151 A JP2000540151 A JP 2000540151A JP 2000540151 A JP2000540151 A JP 2000540151A JP 2002508951 A JP2002508951 A JP 2002508951A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
binding
protein
mrna
fas
glucose
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000540151A
Other languages
English (en)
Inventor
セメンコヴィッチ,クレイ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Washington University in St Louis WUSTL
Original Assignee
Washington University in St Louis WUSTL
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Washington University in St Louis WUSTL filed Critical Washington University in St Louis WUSTL
Publication of JP2002508951A publication Critical patent/JP2002508951A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • C07K14/4701Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals not used
    • C07K14/4702Regulators; Modulating activity
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/06Antihyperlipidemics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/08Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis
    • A61P3/10Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis for hyperglycaemia, e.g. antidiabetics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Obesity (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Endocrinology (AREA)
  • Emergency Medicine (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 均質になるよう精製され、そしてその結合要素が性質決定されている、178kDaグルコース誘導性ヒト脂肪酸シンターゼ(FAS)mRNA結合タンパク質が開示される。この大きなリンタンパク質は、FAS mRNAの3’非翻訳領域(UTR)の新規反復要素に結合する。特に、該結合は、mRNAの3’UTRの最初の65塩基内の37ヌクレオチド区間にマッピングされている。該結合タンパク質はFAS発現を仲介するのに、リポタンパク質分泌および細胞増殖を制御するのに、そしてFAS阻害剤としての活性に関し試験化合物をスクリーニングするのに有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の分野 本発明は、脂肪酸シンターゼのグルコース制御、およびより詳細には、グルコ
ース誘導性ヒト脂肪酸シンターゼmRNA結合タンパク質に関する。
【0002】 長鎖脂肪酸は、正常細胞構造および機能に必要である。新規(de novo
)合成は、これらの脂肪酸の重要な供給源を代表する。本過程に必須なのは、ア
セチル−CoA、マロニル−CoA、およびNADPHから飽和脂肪酸(大部分
パルミチン酸エステル)を合成する多機能タンパク質である酵素、脂肪酸シンタ
ーゼ(FAS)である。FASは、アテローム性動脈硬化症および悪性腫瘍など
の多用な疾患の病因に関与すると考えられる。FAS過剰発現は、アテローム性
動脈硬化症に罹りやすくする一般的な障害である、高トリグリセリド血症に関連
付けられている。FASが高レベルであると、ヒトにおいて、乳癌の予後が劣る
ことが予測される。 (注:以下の背景情報、ならびに当業者に周知の慣用的な試験法および実験法、
ならびに本明細書に用いられるような他の最新技術に関する参考文献は、括弧内
の文献番号により示され、そして本明細書の最後に添付される)。
【0003】 発明の背景 真性糖尿病のヒトに見られるような、慢性的に上昇した濃度のグルコースは、
おそらく有毒である。インスリンは、特定の組織におけるグルコース輸送に重要
であるが、グルコース取り込みの大部分はインスリン独立性であり、そして循環
しているグルコース濃度に比例する(6)。II型糖尿病などのインスリン耐性
状態では、肝臓などの特定の組織を横断するグルコース総流量は、実質的に増加
する。グルコース単独で、ホルモンによる撹乱とは独立し、高脂血症などの糖尿
病の合併症に寄与する可能性がある(33)。
【0004】 グルコースがどのように高脂血症を促進するかは正確には知られていない。肝
臓は本過程の中心であり、そして炭水化物は、脂肪酸シンターゼ、L−型ピルビ
ン酸キナーゼ、アセチル−CoAカルボキシラーゼ、ATP−クエン酸リアーゼ
、およびリンゴ酸酵素を含む、中間代謝および脂質合成に関与するいくつかの肝
遺伝子の発現を増加させる(10)。この効果は主に転写性であるが、グルコー
スはまた、多くの摂食(feeding)反応性肝遺伝子のmRNAも安定化す
る(32)。グルコースは、食物流動および脂質代謝に中心的な別のタンパク質
である、インスリン受容体のメッセージの安定を促進する(12)。
【0005】 mRNA安定性制御は、哺乳動物遺伝子発現を改変する重要な機構である。メ
ッセンジャーRNA半減期は、少なくとも3つの構成要素: 1)mRNAを分解する酵素; 2)mRNAのどこに位置してもよいが、通常該メッセージの3’末端に位置す
るシス決定因子;および 3)該メッセージと相互作用し、減衰を促進するまたは妨げるトランス作用因子
に依存する。
【0006】 おそらく、少数の真核リボヌクレアーゼが存在する(20)。制御されるメッ
セージ安定性は、リボヌクレアーゼへの接近を促進するまたは妨げる、結合タン
パク質と特定のRNA配列との相互作用に依存する可能性がある。
【0007】 脂肪酸シンターゼ(FAS)は、アセチル−CoA、マロニル−CoA、およ
びNADPHからパルミチン酸エステルを合成する、細胞質ゾル酵素である(3
6)。脂肪酸シンターゼは、脂肪酸合成の長期調節において速度を限定し(35
)、そしていくつかの異なる種類の栄養物により制御される(8)。FAS過剰
発現は、肥満症の動物モデルで起こる(16)。炭水化物はFAS発現を刺激し
、そして動物およびヒトにおいて高トリグリセミド血症を生じる(35、15)
【0008】 FASはまた悪性腫瘍とも関係する。培養癌腫細胞は、高濃度の外因性脂肪酸
が存在しても、高レベルの内因性脂肪酸合成を維持する(24)。乳癌および前
立腺癌におけるFAS過剰発現は、臨床的結果が劣ることを強く予測する(1、
9)。該酵素は、結腸直腸腫瘍で過剰発現されている(27)。癌細胞において
グルコース輸送および異化作用が亢進しており(28)、これによりグルコース
および脂質代謝の協調性の制御が悪性状態を特徴付けることが示唆される。
【0009】 グルコースは単独で、ホルモンとは独立し、HepG2細胞におけるFASメ
ッセージを安定化する(32)。本モデル系において、グルコースは、数時間、
メッセージレベルを維持する一方、グルコース枯渇後の減衰は迅速である(31
)。
【0010】 発明の概要 本発明において、グルコースが、新規178 kDaタンパク質の脂肪酸シン
ターゼ(FAS)メッセージに対する結合を誘導することが見出されてきた。こ
のグルコース誘導性ヒトFAS mRNA結合タンパク質は、均質になるよう精
製され、そしてその結合要素が定義されてきた。この大きなリンタンパク質は、
FAS mRNAの3’非翻訳領域(UTR)の新規反復要素に結合する。特に
、該結合は、mRNAの3’UTRの最初の65塩基内の37ヌクレオチド区間
にマッピングされている。
【0011】 本発明の新規178 kDaタンパク質の精製および性質決定を行うと共に、
グルコースがFASのmRNAを安定化する根底にある機構、および高脂血症、
肥満症および悪性腫瘍を含む、多様なヒト障害に対するその関係の決定を行った
【0012】 より詳細には、以下により詳細に記載されるように行った: RNAゲル移動度シフトアッセイを用い、ヒトHepG2細胞およびウシ肝臓
が、ヒトFAS mRNAの3’末端に特異的に結合する細胞質因子を含むこと
を立証した。
【0013】 D−グルコースは、グルコース供給(feeding)の3時間後、活性ピー
クが2.02倍(p=0.0033)になるよう、RNA結合活性を増加させた
【0014】 煮沸またはプロテイナーゼKでの抽出物の処理により、結合が消失した。 FAS mRNA結合因子のUV架橋の後、SDS−PAGEにより、見かけ
の分子量が178±7 kDのプロテイナーゼK感受性バンドを分離した。
【0015】 非変性ポリアクリルアミドゲルをアフィニティーマトリックスとして使用し、
該タンパク質を均質になるよう精製した。
【0016】 該タンパク質を酸性ホスファターゼで処理すると、FAS mRNAへの結合
が妨げられたが、結合活性はスルフヒドリル基修飾により影響されず、そしてM
++またはCa++依存性ではなかった。
【0017】 欠失およびRNase T1マッピングにより、該タンパク質の結合部位は、
反復モチーフACCCCにより特徴付けられ、そして3’UTRの最初の65塩
基内に見られる37ヌクレオチドに位置決定された。
【0018】 本配列に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドとのFAS転写物のハイブリ
ダイゼーションにより、結合が消失した。
【0019】 これらの知見は、178 kDのグルコース誘導性リンタンパク質が、グルコ
ースがFASメッセージを安定化するのと同じ時間枠で、FAS mRNAの3
’UTR内の(ACCCC)n含有配列に結合することを示す。本タンパク質は したがって、FAS遺伝子発現の転写後調節に関与すると考えられる。
【0020】 発明の詳細な説明 本明細書は、本発明を構成すると見なされる内容を詳細に指摘し、そして明瞭
に請求する請求項で結論付けられるが、本発明は、付随する図面と共に、以下の
本発明の好ましい態様から、よりよく理解されるであろうと考えられる。
【0021】 本発明をさらに詳細に例示するため、以下の特定の実験例を行った。このよう
に特定の実施例が本明細書に例示されるが、本発明はこれらの特定の例示的な実
施例またはその中の細部に限定されないことが理解されるであろう。
【0022】
【実施例】
方法 組織培養試薬および培養条件 グルコース不含/炭酸水素塩不含RPMI−1
640、炭酸水素塩、D−グルコース、L−グルコース、およびウシ血清アルブ
ミン(BSA、画分V)はSigmaより購入した。ウシ胎児血清(FBS)は
Intergenより購入した。MEMはワシントン大学組織培養支援センター
(Washington University Tissue Cultur
e Support Center)より提供された。
【0023】 大規模細胞抽出物調製およびタンパク質精製のため、HepG2細胞をMEM
+10% FBS中で増殖させた。グルコース制御を伴う実験には、細胞を記載
されるように処理した(31、32)。HepG2細胞は、世界中に広く分配さ
れているヒト肝癌細胞であり、そして長年に渡り、アメリカン・タイプ・カルチ
ャー・コレクション(American Type Culture Coll
ection)寄託施設、メリーランド州ロックビルから、制限なしに公共に容
易に入手可能となっている。
【0024】 継代後3または4日目に、細胞にMEM+10% FBSを供給した。5また
は6日目に、培地をRPMI−1640+10% FBS+4500 mg/l D−グルコースで置換した。24時間後、培地を除去し、そしてプレートを3
7℃でリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄した。その後、細胞にRPM
I−1640+3% BSA+4500 mg/ml D−グルコースを供給し
た。
【0025】 6時間後、培地を除去し、そしてプレートを37℃でPBSで2回洗浄した。
その後細胞に、4500 mg/l D−グルコースまたは4500 mg/l L−グルコースを含むRPMI−1640+3% BSAを供給した。
【0026】 S100細胞質ゾル抽出物の調製 HepG2細胞に関しては、培地を除去し
、そしてプレートを4℃でPBSで2回洗浄した。10 mM Tris(pH 7.4)、40 mM KCl、0.15 mM スペルミン、2 mM E
DTA、5 mM ジチオスレイトール、および100 μg/ml フェニル
メチルスルホニルフロリドからなる溶解緩衝液(250 μl/100 mmプ
レート)に、細胞を掻き取った。ダウンス(Dounce)ホモジナイザーを用
い、緊密にはめ込まれた内筒(pestle)を20回往復させることにより、
細胞をホモジナイズした。13,000 gで10分間遠心分離することにより
、核を除去した。この上清をBeckman TL−100超遠心分離機で、1
00,000 gで1時間遠心分離し、ポリソーム不含抽出物(S100)を得
た。BCAタンパク質アッセイ(Pierce)を用い、タンパク質濃度を測定
した。
【0027】 ウシ肝臓は、地元の食肉処理場(Schneider Packing Co
.、セントルイス)から得た。屠殺後直ちに肝臓をプラスチック袋に入れ、そし
て氷中に詰めた。実験室で、肝臓を生理食塩水で灌流し、血液を除去した後、W
aring混合器を用い、溶解緩衝液中でホモジナイズした。核を沈澱させ、そ
してその後、上清を100,000 gで遠心し、ポリソーム不含抽出物を得た
【0028】 in vitro転写によるRNAの調製 FAS全長3’非翻訳領域(UT
R)の転写のテンプレートとして用いる親プラスミドは、ヒトFAS cDNA
のNco I−Not I制限断片(参考文献31に番号付けられる、ヌクレオ
チド1190ないし2237)を、pGEM−5Zにサブクローニングすること
により、構築した。本断片(図6、転写物1)は、FASタンパク質の72カル
ボキシル末端アミノ酸に対するコード領域および3’UTRの全806塩基を含
んだ。いくつかのさらなるFASプラスミド(図6を参照されたい)が、標準的
クローニング技術により本構築物から得られた。鋳型をin vitro転写の
前に直線化し、そしてゲル精製した。
【0029】 放射標識FAS RNAプローブを、T7 RNAポリメラーゼ(センス)ま
たはSP6(アンチセンス)および32P−CTPを用いて調製し、そしてゲル移
動度シフトアッセイに用いる前にNucTrapカラム(Stratagene
)を用い精製した。競合研究に用いる非放射能転写物は、転写反応に非標識CT
Pを用いる以外は同じ方法で調製した。リポタンパク質リパーゼメッセージのコ
ード領域の一部の転写のテンプレートとして用いるプラスミドは、以前Seip
ら(30)に記載されている。
【0030】 in vitro転写により生成されるRNAはすべて、同一に処理した。プ
ローブは、調製後直ちに−70℃で凍結した。ゲル移動度シフトアッセイに使用
する前に、転写物を室温でゆるやかに融解した。
【0031】 ゲル移動度シフトアッセイ S100細胞質ゾル抽出物および0.5−1.0 x 105 cpmの32P標識RNAを用い、結合緩衝液(10 mM Tr is[pH 7.4]、2 mM EDTA、40 mM KCl、および5 m
M ジチオスレイトール)中で、結合反応を行った。競合実験には、標識RNA
添加前に、競合剤転写物、ポリリボヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドを
添加した。
【0032】 結合反応を4℃で10分間インキュベーションした。その後、タンパク質に結
合していない一本鎖RNAを分解するRNase T1の5単位を添加し、そし
て室温で10分間インキュベーションを続けた。その後、結合反応物を、6%非
変性ポリアクリルアミドゲルを通じ、電気泳動に供した。ゲルを−70℃で4−
24時間オートラジオグラフした。
【0033】 RNA−タンパク質複合体の紫外線架橋 6%非変性ゲルの多数のレーンに結
合反応産物を装填した。このうちいくつかは放射標識RNAのみを含んだ。電気
泳動後、ゲルに270,000 μJ/cm2でUV照射した。
【0034】 ゲルをオートラジオグラフし、その後、抽出物を装填したレーンから放射標識
バンドを切り出し;RNAのみで行ったレーンからも対応するゲル領域を切り出
した。試料をプールし、そして等量のLaemmli電気泳動緩衝液中で、50
℃で30分間、その後100℃で1時間インキュベーションした。抽出物を含む
レーンからの溶出物を2つのアリコットに分け、1つはプロテイナーゼKで処理
し、そしてもう1つは処理しなかった。試料を6%ゲル中でSDS−PAGEに
供し、その後、−70℃でオートラジオグラフした。
【0035】 サイズ排除クロマトグラフィー HepG2細胞またはウシ肝臓どちらか由来
のS100細胞質ゾル抽出物を、25−45% 硫酸アンモニウムで沈澱させた
。溶解緩衝液に対する透析の後、0.9 M NaCl+0.2 mM EDT
A+0.2 g/l NaN3で平衡化されているSuperose 6カラム に試料を装填した。流速0.4 ml/分で0.5 mlの分画を集め、そして
ゲル移動度シフトアッセイによりRNA結合活性に関しアッセイした。
【0036】 イオン交換クロマトグラフィー 硫酸アンモニウム分画化の後、Pharma
cia FPLCを用い、あらかじめ充填された陰イオン(Mono Q)また
は陽イオン交換カラム(Mono S)に試料を適用した。
【0037】 Mono Sカラムに関しては、別個の実験において、カラム平衡化のため、
50 mM マロン酸(pH 5.0)および50 mM MES(pH 6.
0)両方を用いた。Mono Qカラムに関しては、20 mM Tris(p
H 7.5)を用い平衡化を行った;溶出緩衝液は20 mM Tris;(p
H 7.5)+0−1.0 M KClであった。
【0038】 両イオン交換カラムに関し、流速は0.5 ml/分であり、そして集めた分
画をRNA結合活性に関しアッセイした。結合タンパク質は、多様な条件下で、
Mono Sカラムには結合しなかった。該タンパク質はMono Qカラムに
は結合し、そしてpH 7.5で0.3 M KClで溶出された。
【0039】 RNA結合タンパク質精製 典型的な精製において、S100細胞質ゾル抽出
物は、およそ109のHepG2細胞から調製した。上述のように、25−45 %の硫酸アンモニウムで分画化しそして透析した後、試料を陰イオン交換クロマ
トグラフィーに供した。
【0040】 RNA結合タンパク質を含む分画をプールし、Centricon−30繊維
で5000 gで濃縮し、その後40−45の非変性ポリアクリルアミドゲルを
用い、大規模ゲルシフト法に供した。
【0041】 バンドを切り出し、そして電気溶出(electroelution)装置(
BioRad モデル422)に入れた。溶出は、1X TBE中で、10mA
/ガラス試験管で5時間行った。Centriconフィルターを用いて、試料
を脱塩し、その後2−15%勾配ゲルを用いSDS−PAGEに供した。ゲルを
アミドブラックBで染色した後、−70℃でオートラジオグラフした。
【0042】 RNA結合タンパク質の脱リン酸化 S100抽出物を硫酸アンモニウム分画
化および陰イオン交換クロマトグラフィーに供した。部分的に精製したタンパク
質を、KwonおよびHechtに記載されるように(17)、MOPS(pH 6.5)、1 mM MgCl2、100 mM KCl、0.2 mM ロ イペプチン中でジャガイモ(potato)酸性ホスファターゼ(Boehri
nger Mannheim)と共に、30℃で30分間インキュベーションし
た。いくつかの試料には、インキュベーション前に、ホスファターゼ阻害剤オカ
ダ酸(10μM)を添加した。
【0043】 RNase T1マッピング HepG2細胞由来の25−45% 硫酸アン
モニウム分画を用い、ゲル移動度シフトアッセイを行った。上述のように、バン
ドをゲルから切り出し、そして電気溶出した。
【0044】 試料をフェノール/クロロホルムで抽出し、その後エタノール沈澱した。放射
能RNA(〜10,000 cpm)を2つのアリコットに分け、1つは20単
位のRNase T1で、室温で30分間消化した。第二のアリコットは、模擬
(sham)消化した。その後、試料を、末端標識サイズマーカーと共に15%
変性ポリアクリルアミドゲル上で分離し、そしてオートラジオグラフした。
【0045】 オリゴヌクレオチド競合 放射標識RNAを75℃で10分間加熱し、多様な
濃度の競合剤オリゴヌクレオチド(オリゴ#1、#2または#3)を添加し、そ
して混合物を、30−60分間に渡り、ゆるやかに室温まで冷却し、RNA転写
物とオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを可能にした。
【0046】 その後、RNA:DNAハイブリッドをHepG2抽出物とインキュベーショ
ンし、そしてゲルシフト活性に関しアッセイした。競合剤オリゴの配列は: オリゴ#1− GGGGGTGGGG TGGGGTGGGG TGGGGAT
GGT GGAGTGA [配列番号1] オリゴ#2− GATCTAGCTT CCCGCTGATG AGTCCGT
GAG GACGAAACAT GCCGGCA [配列番号2] オリゴ#3− GATCTGCCGG CATGTTTCGT CCTCACG
GAC TCATCAGCGG GAAGCTA [配列番号3] であった。結果 HepG2抽出物をFAS 3’末端に対応する転写物とインキュベーション
した際、RNAゲルシフトアッセイではっきりしたバンドが見られた(図1、レ
ーン2)が、RNAのみ(レーン1)では現れなかった。
【0047】 10倍モル過剰の非放射能FASセンス転写物を添加すると、本質的にゲルシ
フトシグナルが除かれた(レーン5)が、非放射能FASアンチセンス(レーン
10)およびLPLセンス(レーン12)転写物では、いかなる効果もなかった
。5つの別個の実験で同一の結果が見られた。
【0048】 他の実験において、100倍モル過剰までのFASアンチセンスおよびLPL
センス転写物を添加しても、結合に対し何の効果もなかった。HepG2抽出物
を放射標識リポタンパク質リパーゼRNAとインキュベーションした際、複合体
は見られなかった。
【0049】 ポリリボヌクレオチドは、結合に関し、32P標識FAS RNAと競合しなか
った。2つの別個の実験において、100倍モル過剰のFASセンス転写物は、
結合を除いたが、同モル過剰のポリアデニル酸、ポリウリジル酸、ポリグアニル
酸およびポリシチジル酸は何の効果も持たなかった。
【0050】 結合活性はまた、ウシ肝臓由来の細胞質抽出物にも存在した。容易に入手可能
であるため、始めは、ウシ肝臓から該タンパク質を精製しそして性質決定しよう
としたが、ウシ肝臓ではHepG2細胞より発現レベルが低く、そして後者の方
が、操作がより簡単だった。
【0051】 ゲルシフトしたバンドの強度は、アッセイに投入したタンパク質に依存した。
5つの別個の実験で、バンド強度は、5ないし20μgのタンパク質濃度で、直
線的に増加した。
【0052】 グルコースはFAS mRNA結合因子の発現を制御する(図2)。細胞を血
清不含培地で培養すると、D−グルコース(図2A、レーン3)はゲルシフトア
ッセイにおいて結合活性を増加させたが、L−グルコース(図2A、レーン4)
は増加させなかった。アッセイの直線反応範囲内のタンパク質濃度を用いた3つ
の別個の実験において、3時間の時点で、図2Bに示されるような結合強度(任
意の単位、平均±SEM)は、D−グルコースで14.95±1.20、そして
L−グルコースで7.40±0.18だった(p=0.003、不対ツーテール
t検定による)。
【0053】 結合におけるグルコース誘導増加に関する時間経過を、図2Cに典型的な実験
で示す。4500 mg/lのD−グルコースを供給した後、結合強度は、1時
間までに増加し、そして3時間でピークになった。ベースラインに戻る時間は多
様で、供給6時間後および11時間後の間に戻った。L−グルコースには何の効
果もなかった。結果は3つの別個の実験で確認した。
【0054】 HepG2抽出物をプロテイナーゼKまたは煮沸により処理すると、結合活性
が消失した(図3A)。3つの別個の実験で、同じ結果が見られた。
【0055】 図3Aのレーン2は、優勢な上部のバンド(矢じりで示される)と共により速
い移動度の下部のバンドを示す。この下部のバンドはおそらく分解産物を表す。
該バンドは新鮮な抽出物ではかすかで、そして時間が経つと強度が増した。
【0056】 図3Aの矢じりのバンドを、先の方法に記載されるように、UV架橋した後、
SDS−PAGEで分離した。バンドを多数のレーンから切り出し、溶出し、プ
ールし、そしてSDSゲル中で電気泳動した(図3B)。FAS mRNA結合
タンパク質(矢じり、図3B、レーン1)をこれらの条件下で解析すると、見か
け上178±7 kDの分子量を有した(4つの別個の実験の平均±SEM)。
【0057】 4つの実験のうち2つでは、未変性ゲルから上部の優勢なバンドのみを切り出
したにも関わらず、SDS−PAGEでは178 kDバンドのすぐ下により低
い分子量のタンパク質が示され、ゲルシフトアッセイで時々見られるパターンは
タンパク質分解のためであるという仮説と一致した。溶出したバンドをSDS−
PAGEの前にプロテイナーゼKで処理すると、178 kDシグナルは現れず
(図3B、レーン2)、そして抽出物を含まないレーンには存在しなかった(レ
ーン3)。
【0058】 SDS−PAGEで決定される見かけの大きさは、架橋リボヌクレオチドを含
むため、FAS RNA結合タンパク質の分子量を、先の方法に記載されるよう
にゲル濾過クロマトグラフィーでも測定した。HepG2またはウシ肝臓抽出物
のどちらかを用いると、RNA結合活性を持つ分画は、160−170 kDの
見かけの分子量で溶出された。
【0059】 先の方法に記載されるように、HepG2 S100抽出物から、硫酸アンモ
ニウム沈澱、陰イオン交換クロマトグラフィーおよびアフィニティー段階の組み
合わせにより、タンパク質を精製した。RNAアフィニティーカラムを作成する
代わりに、非変性ポリアクリルアミドゲルを、クロマトグラフィーマトリックス
として用いた。
【0060】 調製規模のゲルをUV架橋し、そしてオートラジオグラフし、その後RNA結
合タンパク質に相当するバンドを切り出し、そして電気溶出した。典型的な精製
の結果を図4に示す。精製の各段階でのタンパク質収量を表1に示す。図4にお
いて、レーン6はレーン5の精製タンパク質のオートラジオグラフである。精製
中、放射標識FAS RNAがタンパク質に架橋されているため、オートラジオ
グラフィー後、タンパク質は可視となる。4つの別個の精製で同一の結果が見ら
れた。
【0061】 178 kDタンパク質の精製により、その特性を定義することが可能になっ
た。いくつかのRNA結合タンパク質の活性には、リン酸化が必要である(17
、19)。酸性ホスファターゼは、用量依存方式で、Mono Q精製タンパク
質の結合活性を減少させ、この効果はホスファターゼ阻害剤であるオカダ酸で逆
転した(図5)。図5の結果は、3つの別個の実験の平均±SEMを表す。
【0062】 鉄反応性タンパク質(14)、AU結合因子(19)およびc−mycメッセ
ージに結合するタンパク質(26)は、結合活性に、損なわれていない(int
act)スルフヒドリル基を必要とするRNA結合タンパク質の代表的な例であ
る。
【0063】 ヒトFAS mRNA結合タンパク質の活性におけるスルフヒドリル基の役割
を試験するため、Mono Q精製タンパク質を、DTTの存在下または非存在
下で、SH−酸化剤ジアミド(0−10 mM)またはSH−アルキル化剤NE
M(N−エチルマレイミド、0−2 mM)で処理した。3つの別個の実験にお
いて、スルフヒドリル基の修飾は、RNA結合活性に実質的に何の効果も持たな
かった。
【0064】 いくつかのRNA結合タンパク質は二価陽イオンを必要とする(19)。Mo
no Q精製タンパク質を用いた4つの別個の実験において、0および4 mM
の間のマグネシウム濃度ならびに0および2 mMの間のカルシウム濃度は、ゲ
ルシフト活性に何の効果も持たなかった。
【0065】 178 kDタンパク質の別の重要な特性は、その結合要素である。一連の欠
失プラスミドを構築し、そしてゲルシフトアッセイのための転写物を生成するの
に用いた(図6)。結合活性は図6の転写物3に対するシグナルに対し規準化し
た。メッセージの全3’末端に相当する転写物(転写物1)は、転写物3に比べ
ると、より低い結合活性を有する傾向があった(88±13対100±2、p=
0.2976)。
【0066】 遠位(distal)3’UTRに相当する転写物2は、いかなる結合活性も
持たなかった。転写物1、3、4、および5に対するアンチセンス転写物もまた
、いかなる結合活性も持たなかった。転写物7の活性は転写物3の活性の6%だ
った(6±1対100±2、p<0.0001)。完全な結合活性は、近位3’
UTRを含む126ヌクレオチド転写物である、転写物8により保持された。
【0067】 高レベル結合活性を仲介する特定の配列は、FAS 3’UTRの最初の65
塩基内に同定された。図6の転写物4および5を用いたRNase T1マッピ
ングにより、37ヌクレオチド断片を同定した(図7)。結合しているタンパク
質から単離されたRNAのRNase T1消化は、単離RNAの泳動にいかな
る効果も持たなかった(図7A、レーン2および4)ため、該断片は、内部Gを
含まなかった。FAS 3’UTR内に、正確に37ヌクレオチドのG不含領域
が1つある。本配列に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド(図7B、オリゴ
#1)をFAS転写物にハイブリダイズさせると、RNA結合活性は消失した。
2つの異なるコントロールオリゴヌクレオチドにはいかなる効果もなかった。
【0068】 図6の転写物8の最も可能性が高い二次構造を図8に示す。G不含結合要素は
、矢印で示す。本要素の配列は: UC−ACUCC−ACC−AUCCCC−ACCCC−ACCCC−ACCC
C−ACCCCC [配列番号4] である。
【0069】 上述のように、ヒトFAS mRNAの近位3’UTR内の反復ACCCCモ
チーフに特異的に結合する大きな細胞質ゾルタンパク質を、均質になるよう精製
した。結合はグルコースで誘導され、そしてリン酸化を必要とする。グルコース
枯渇により、FAS mRNAは迅速に減衰するが、これはD−グルコース供給
により妨げられる(31)。グルコース枯渇がFAS mRNA減衰を促進する
因子に関連しているか、またはグルコース供給がメッセージを減衰から保護する
因子に関連しているか、どちらかである。
【0070】 上記の例では、D−グルコースがFAS mRNAを減衰から保護するのと、
正確に同じ時間枠で、D−グルコースは178 kD結合活性を増加させ、これ
により本タンパク質が保護能力を持つトランス作用mRNA結合タンパク質であ
ることが示唆される。
【0071】 いくつかのおそらく保護能力を持つmRNA結合タンパク質が、栄養または環
境的シグナルに反応し誘導される。鉄枯渇により、トランスフェリン受容体3’
UTRに対する鉄反応性タンパク質の結合が誘導され、そして該メッセージをヌ
クレオチド鎖切断(endonucleolytic)攻撃から保護する(14
)。
【0072】 エストロゲンは、メッセージ安定化と関連し、ビテロゲニン3’UTRに対す
るタンパク質結合を誘導する(7)。低酸素症は、チロシン水酸化酵素mRNA
を安定化させ、そしてその3’UTRに対するタンパク質結合を増加させる(5
)。
【0073】 AURE(配列AUUUAの反復コピー)は不安定性要素である;いくつかの
タンパク質が、メッセージ安定化と関連し、AUREと結合する(3、37)。
腫瘍壊死因子αはグルコース輸送体1(GLUT1)mRNAを安定化させ、そ
してGLUT1 3’UTRのGC−リッチ領域に対するタンパク質結合を誘導
する(20)。
【0074】 保護能力を持つRNA結合タンパク質がどのように作用するのか、正確には知
られていない。結合が、メッセージの重要な部位で恒常的エンドヌクレアーゼの
作用を遮断する可能性がある。細胞質メッセージがどのように区画化される(c
ompartmentalized)のかは、あまり理解されていないが、本明
細書に記載される新規グルコース誘導性タンパク質がFAS mRNA輸送を改
変し、細胞質減衰複合体への接近を妨げる可能性がある。
【0075】 記載された系において、グルコース枯渇後、ポリリボソームがFAS mRN
Aを減衰から保護する(31)ことにより、178 kDタンパク質がFASメ
ッセージの翻訳装置との結合を促進する可能性が生じる。
【0076】 本明細書に記載される結合活性は、以前報告された同様の大きさのmRNA結
合タンパク質のいずれでもないようであるため、新規であると考えられる。17
8 kD結合要素(ACCCC)nは、特有であるようである。該結合要素は、 シチジンがウリジンに対し置換されたAURE様である。最近のデータにより、
UUAUUUAUU[配列番号5]がAUREが与える不安定性の最小配列である
可能性が示唆される(38)。
【0077】 本要素が他のものに類似しているとすれば、機能モチーフはCCACCCCA
CC[配列番号6]である可能性がある;178 kD結合要素には本配列のオー
バーラップするコピーが3つある。多くのRNA結合タンパク質はポリピリミジ
ンを認識するが、シチジンではなくウリジンが一般的に好ましい(22)。
【0078】 β2アドレナリン受容体mRNAに結合する35 kD細胞質タンパク質(2 5)、およびapoB mRNAに結合しそして該mRNAを編集するシチジン
脱アミノ酵素、apobec−1(2)は、ポリ(U)で終わるRNA結合タン
パク質の例である。ポリリボヌクレオチドは、178 kDタンパク質のFAS mRNAとの相互作用にいかなる効果も持たなかった(上記、結果を参照され
たい)。(ACCCC)nモチーフの突然変異誘発、および本配列が、グルコー スが誘導する安定性を関連のないメッセージに与えることが可能であるか決定す
ることは、その機能をさらに性質決定するため不可欠であろう。
【0079】 1ダース以上の古典的な代謝酵素が核酸に結合することが示されてきており、
そしてこれらの酵素に一般的なジヌクレオチド結合ドメインが関与している可能
性がある(13)。鉄反応性タンパク質はまた、アコニターゼであり、クエン酸
からイソクエン酸への変換を触媒する(11)。グリセルアルデヒド−3−リン
酸デヒドロゲナーゼはtRNA(34)およびAURE(23)に結合する。カ
タラーゼはそれ自体のmRNAに結合しそして該mRNAを安定化する(4)。
【0080】 上記より、178 kD因子のFAS mRNAに対する結合を、グルコース
がどのように増加させるかが理解される。最適結合にはリン酸化が必要とされる
(図5)。グルコース代謝が178 kDタンパク質のリン酸化を誘導し、FA
S mRNAに対する結合を促進すると考えられる。リン酸化を通じたグルコー
スの遺伝子発現制御は酵母で起こることが知られており、これによりグルコース
は複雑なリン酸化カスケードを開始する。リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(21)お
よび転写活性化因子SIP4(18)はグルコース利用可能性に反応し、異なっ
てリン酸化される酵母タンパク質の例である。
【0081】 グルコースがFAS mRNA減衰を妨げるのと同じ時間枠で、グルコースは
一過的に大きなリンタンパク質の、ヒトFAS mRNAの3’UTR中のAC
CCC反復要素に対する結合を増加させる。
【0082】 異常なグルコースおよび脂質代謝は一般的に関連しているため、本タンパク質
のさらなる性質決定は、糖尿病性異脂肪血症(dyslipidemia)およ
び悪性腫瘍などの多様な障害の根底にある機構がよりよく理解されるように、解
糖および脂質生成をさらに関連付ける可能性がある。
【0083】
【表1】
【0084】 本発明の精神および範囲から逸脱することのない多様な他の例は、本開示を読
んだ後、当業者に明らかになるであろう。こうした他の例すべてが、付随する請
求の範囲に含まれることが意図される。
【0085】 参考文献 1. Alo, P.L., P. Visca, A. Marci, A
. Mangoni, C. Botti,およびU. Di Tondo.
「第1期乳癌患者における再発の予測因子としての脂肪酸シンターゼ(FAS)
の発現」 Cancer 77:478−482, 1996. 2. Anant, S., A.J. MacGinnitie,およびN
.O. Davidson.「哺乳動物アポリポタンパク質B mRNA編集酵
素の触媒サブユニット、apobec−1は、新規RNA結合タンパク質である
」 J. Biol. Chem. 270:14762−14767, 19
95. 3. Chen, C.−Y., Y. You,およびA.−B. Shy
u. 「2つの細胞タンパク質は、mRNA不安定性のc−fosタンパク質コ
ード領域決定因子の脱安定化機能に必要なプリン−リッチ配列に特異的に結合す
る」 Mol. Cell. Biol. 12:5748−5757, 19
92. 4. Clerch, L.B., J. Iqbal,およびD. Mas
saro. 「出生前ラット肺カタラーゼ遺伝子発現:コルチコステロイドおよ
び高酸素症の影響」 Am. J. Physiol. 260:L428−L
433, 1991. 5. Czyzyk−Krzeska, M.F., Z. Dominsk
i, R. Kole,およびD.E. Millhorn. 「低酸素症は、
ラットチロシン水酸化酵素mRNAの3’非翻訳領域におけるピリミジン−リッ
チ配列に対する細胞質タンパク質の結合を刺激する」 J. Biol. Ch
em. 269:9940−9945, 1994. 6. Dinneen, S., J. Gerich,およびR. Riz
za. 「非インスリン依存真性糖尿病における炭水化物代謝」 N. Eng
l. J. Med. 327:707−713, 1992. 7. Dodson, R.E.,およびD.J. Shapiro. 「エ
ストロゲン誘導性タンパク質は、エストロゲンに安定化されるビテロゲニンmR
NAの3’非翻訳領域中の配列に特異的に結合する」 Mol. Cell.
Biol. 14:3130−3138, 1994. 8. Dudek S.M.,およびC.F. Semenkovich.
「必須アミノ酸は、荷電されていないトランスファーRNA依存機構を通じ、脂
肪酸シンターゼ発現を制御する」 J. Biol. Chem. 270:2
9323−29329, 1995. 9. Epstein, J.I., M. Carmichael,および
A.W. Partin. 「前立腺の腺癌の病理学的状態の独立した予測因子
としてのOA−519(脂肪酸シンターゼ)」 Urology 45:81−
86, 1995. 10. Goodridge, A.G. 「遺伝子発現の食餌制御:炭水化
物および脂質代謝に関与する酵素」 Annu. Rev. Nutr. 7:
157−185, 1987. 11. Gray, N.K., S. Quick, B. Goosen
, A. Constable, H. Hirling, L. Kuhn,
およびM. Hentze. 「組換え鉄制御因子は、鉄反応性要素結合タンパ
ク質、翻訳リプレッサーおよびアコニターゼとして作用する」 Eur. J. Biochem. 218:657−667, 1993. 12. Hauguel−de−Mouzon, S., C. Mreje
n, F. Alengrin, F., およびE. Van Obberg
hen. 「培養細胞における、ヒトインスリン受容体mRNAおよびチロシン
キナーゼ活性のグルコース誘導刺激」 Biochem. J. 305:11
9−124, 1995. 13. Hentze, M.W. 「RNA結合タンパク質としての酵素:
(ジ)ヌクレオチド結合ドメインの役割?」 Trends Biochem. Sci. 19:101−103, 1994. 14. Hentze, M.W., T. Rouault, J.B.
Harford,およびR.D. Klausner. 「酸化還元および制御
性RNA−タンパク質相互作用の分子機構」 Science 244:357
−359, 1989. 15. Hudgins L.C., M. Hellerstein, C
. Seidman, R. Neese, J. Diakun,およびJ. Hirsch. 「ヒト脂肪酸合成は、適正カロリー(eucaloric)
低脂肪高炭水化物食餌により刺激される」 J. Clin. Invest. 97:2081−2091, 1996. 16. Jones, B.H., J.H. Kim, M.B. Zem
el, R.P. Woychik, E.J. Michaud, W.O. Wilkison,およびN. Moustaid. 「アグチ(agout
i)タンパク質による脂肪細胞上方制御:黄色マウス(yellow mous
e)肥満症にありうるパラクリン作用」 Am. J. Physiol. 2
70:E192−E196, 1996. 17. Kwon, Y.K.,およびN.B. Hecht. 「マウスプ
ロタミン2 mRNAの3’非翻訳領域に対するリンタンパク質の結合は、その
翻訳を一時的に抑制する」 Mol. Cell. Biol. 13:654
7−6557, 1993. 18. Lesage, P., X. Yang,およびM. Carls
on. 「酵母SNF1プロテインキナーゼは、C6亜鉛クラスター転写活性化 因子、SIP4と相互作用する;グルコース反応におけるSNF1の新たな役割
」 Mol. Cell. Biol. 16:1921−1928, 199
6. 19. Malter, J.S.,およびY. Hong. 「酸化還元ス
イッチおよびリン酸化は、ホルボールエステルおよびイオノホアによる、アデノ
シン−ウリジン結合因子の翻訳後上方制御に関与する」 J. Biol. C
hem. 266:3167−3171, 1991. 20. McGowan, K.M., S. Police, J.B.
Winslow,およびP.H. Pekala. 「グルコース輸送体(GL
UT1)mRNA代謝回転(turnover)の腫瘍壊死因子−α制御」 J
. Biol. Chem. 272:1331−1337, 1997. 21. Minard, K.I.,およびL. McAlister−He
nn. 「サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cer
evisiae)におけるリンゴ酸デヒドロゲナーゼMDH2アイソザイムのグ
ルコース誘導リン酸化」 Arch. Biochem. Biophys.
315:302−309, 1994. 22. Morris, D.R., T. Kakegawa, R.L. Kaspar,およびM.W. White. 「ポリピリミジン領域および
その結合タンパク質:遺伝子発現の転写後調節のための制御部位」 Bioch
emistry 32:2931−2937, 1993. 23. Nagy, E.,およびW.F. Rigby. 「グリセルアル
デヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼは、NAD(+)結合領域(ロスマンフォ
ールド)中のAU−リッチRNAに選択的に結合する」 J. Biol. C
hem. 270:2755−2763, 1995. 24. Pizer, E.S., F.D. Wood, G.R. Pa
sterack,およびF.P. Kuhajda. 「脂肪酸シンターゼ(F
AS):HL60前骨髄球性白血病細胞における細胞毒性代謝拮抗物質の標的」 Cancer Res. 56:745−751, 1996. 25. Port, J.D., L.−Y. Huang,およびC.C. Malbon. 「受容体mRNAを下方制御するβ−アドレナリンアゴニス
トは、β−アドレナリン受容体mRNAに選択的に結合する、Mr35,000 の単数または複数のタンパク質を上方制御する」 J. Biol. Chem
. 267:24103−24108, 1992. 26. Prokipcak, R.D., D.J. Herrick,お
よびJ. Ross. 「ヒトc−myc mRNAのC末端コード領域に結合
するタンパク質の精製および特性」 J. Biol. Chem. 269:
9261−9269, 1994. 27. Rashid, A., E.S. Pizer, M. Moga
, L.Z. Milgraum, M. Zahurak, G.R. Pa
sternak, F.P. Kuhajda,およびS.R. Hamilt
on. 「結腸直腸新生物における脂肪酸シンターゼの上昇発現および脂肪酸合
成活性」 Am. J. Path. 150:201−208, 1997. 28. Rempel, A., S.P. Methupala,およびP
.L. Pederson. 「癌細胞におけるグルコース異化作用:II型ヘ
キソキナーゼプロモーターのグルコースおよびサイクリックAMPによる制御」 FEBS Lett. 385:233−237, 1996. 29. Ross, J. 「より高次の真核生物におけるメッセンジャーR
NA安定性の調節」 Trends Genetics 12:171−175
, 1996. 30. Seip R.L., T.J. Angelopoulos,およ
びC.F. Semenkovich. 「運動は骨格筋でヒトリポタンパク質
リパーゼ遺伝子発現を誘導するが、脂肪組織では誘導しない」 Am. J.
Physiol. 268:E229−E236, 1995. 31. Semenkovich C.F., T. Coleman,およ
びF.T. Fiedorek Jr. 「ヒト脂肪酸シンターゼmRNA:組
織分布、遺伝子マッピング、およびグルコース枯渇後の減衰の動力学」 J.
Lipid Res. 36:1507−1521, 1995. 32. Semenkovich C.F., T. Coleman,およ
びR. Goforth. 「グルコースの生理学的濃度は、脂肪酸シンターゼ
mRNA安定性を仲介することにより、HepG2細胞における脂肪酸シンター
ゼ活性を制御する」 J. Biol. Chem. 268:6961−69
70, 1993. 33. Semenkovich C.F.,およびJ.W. Heinec
ke. 「糖尿病およびアテローム性動脈硬化症の謎:新たな構想の時」 Di
abetes 46:327−334, 1997. 34. Singh, R.,およびM.R. Green. 「グリセルア
ルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼによるトランスファーRNAの配列特異
的結合」 Science 259:365−368, 1993. 35. Volpe, J.J.,およびP.R. Vagelos. 「飽
和脂肪酸の生合成の機構および制御」 Physiol. Rev. 56:3
39−417, 1976. 36. Wakil, S.J., J.K. Stoops,およびV.C
. Joshi. 「脂肪酸合成およびその制御」 Annu. Rev. B
iochem. 52:537−579, 1983. 37. Zhang, W., B.J. Wagner, K. Ehre
nman, A.W. Schaefer, C.T. DeMaria, D
. Crater, K. DeHaven, L. Long,およびG.
Brewer. 「AU−リッチ要素RNA結合タンパク質、AUF1の精製、
性質決定、およびcDNAクローニング」 Mol. Cell. Biol. 13:7652−7665, 1993. 38. Zubiaga, A.M., J.G. Belasco,および
M.E. Greenberg. 「9量体、UUAUUUAUUは、mRNA
分解を仲介する重要なAU−リッチ配列モチーフである」 Mol. Cell
. Biol. 15:2219−2230, 1995.
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ヒトFAS mRNAの3’末端に特異的に結合する細
胞質ゾルHepG2因子を同定するゲル移動度シフトアッセイを示す。 FAS mRNAの遠位コード領域および3’UTRの最初の400塩基を含
む放射標識転写物(図6の転写物3)を、in vitro転写により生成した
。 各レーンにつき、HepG2 S100細胞質ゾル抽出物10μgを、放射標
識センスFAS RNAとインキュベーションした後、RNase T1で処理
し、そして非変性ゲルで電気泳動した。 インキュベーションは、非放射能競合剤RNAの存在下(レーン3−5および
7−12)および非存在下(レーン1、2、6)で行った。 ゲルシフトしたバンドの位置は、矢じりで示される。遊離のRNase T1
消化プローブの位置は、ゲルの底部に示される。 レーン1は抽出物を含まず、プローブのみ(P)を含んだ。 レーン3−5は、1−10倍モル過剰の非放射能FASセンスRNAの存在下
で行ったインキュベーションを表す。 レーン7−9は、1−10倍モル過剰の非放射能FASアンチセンスRNAの
存在下で行ったインキュベーションを表す。 レーン10−12は、1−10倍モル過剰のリポタンパク質リパーゼセンスR
NAの存在下で行ったインキュベーションを表す。
【図2】 図2の3つの部分、A、B、およびCは、FAS mRNA結合
因子の結合がD−グルコースにより誘導されることを示す。 図2Aは、時間ゼロ(レーン2)、および4500 mg/lのD−グルコー
ス供給の3時間後(レーン3)または同濃度のL−グルコース供給の3時間後(
レーン4)の、等量のHepG2細胞質ゾル抽出物(アッセイの直線反応範囲内
)のRNA結合活性を比較する、典型的なゲル移動度シフトアッセイの結果を示
す。 図2Bは、濃度測定(densitometry)により定量化された、図2
Aと同一の3つの別個の実験の結果を示す。ゲルシフトしたバンドの結合活性(
任意の単位、平均±SEM)は、D−グルコースでは14.95±1.20、そ
してL−グルコースでは7.40±0.18だった(p=0.0033)。 図2Cは、典型的な時間経過実験の結果を示す。4500 mg/mlのD−
またはL−グルコースの処理後、抽出物を多様な時点で調製し、ゲルシフトアッ
セイに供し、そして結果を濃度測定により、定量化した。
【図3】 図3の2つの部分、AおよびBは、FAS mRNA結合因子が
タンパク質であることを示す。 図3Aでは、レーンは、20μgのHepG2細胞質ゾルタンパク質の非存在
下(レーン1)または存在下(レーン2−4)で、放射標識FAS RNAを含
んだ。 HepG2抽出物を、FAS RNA添加前に、処理せず(レーン2)、50
0 μg/mlのプロテイナーゼKと共に37℃で1時間のインキュベーション
に供し(レーン3)、または100℃で5分間の加熱に供した(レーン4)。 より速い移動度の別のバンドが、レーン2の矢じりにより示される有力なバン
ドのすぐ下に見られる。この下部のバンドは、本文に記載されるように、上部の
バンドのタンパク質分解断片を表す可能性がある。 遊離のRNase T1消化プローブは各レーンにおいて、ゲルの底部に沿っ
て現れる。 図3Bでは、未変性ゲルの多数のレーンを用い、ゲル移動度シフトアッセイを
行った。ゲルはUV架橋し、その後、図3Aの矢じりで示されるバンドを切り出
し、そして6%ゲル中で直接SDS−PAGEに供するか(レーン1)、または
電気泳動前に500 μg/mlのプロテイナーゼKで37℃で1時間処理した
(レーン2)。HepG2抽出物の代わりに溶解緩衝液を装填した未変性ゲルの
適切な領域もまた切り出し、そして電気泳動した(レーン3)。矢じりは、17
8 kD位を示す。
【図4】 図4は、178 kDのFAS mRNA結合タンパク質の精製
を示す。HepG2抽出物を先の方法に記載されるように処理した。 精製の各段階でのタンパク質収量は、先の表1に示される。 レーン2−4には、レーン当たり20μgのタンパク質を装填した。 レーン5は、標準との比較により決定されるように10μgの精製タンパク質
に相当する。 レーン1−5は、2−15%勾配ゲルのアミドブラックB染色を表す。 レーン6は、レーン5に示されるのと同一のゲルのオートラジオグラフである
。178 kD位は、矢じりで示される。
【図5】 図5は、FAS mRNA結合タンパク質がリンタンパク質であ
ることを示す。 部分的に精製されたタンパク質を、増加する濃度のジャガイモ酸性ホスファタ
ーゼの非存在下(ホスファターゼなし)または存在下でインキュベーションした
後、ゲルシフトアッセイおよび濃度測定による定量化を行った。 実験は、10μM オカダ酸の存在下で、最高濃度のジャガイモ酸性ホスファ
ターゼ(0.36単位)を含む試験管を含んだ。 アスタリスクは、ホスファターゼ0.24単位(p<0.01)および0.3
6単位(p<0.001)の存在下での結合活性がどちらも、ホスファターゼの
非存在下での活性とは有意に異なっていたことを示す。 結果は3つの別個の実験の平均±SEMを表す。 挿入図は、典型的な実験の結果を示す: レーン1=ホスファターゼなし レーン2=0.09単位 レーン3=0.24単位 レーン4=0.36単位 レーン5=0.36単位+オカダ酸
【図6】 図6は、178 kDタンパク質に対する結合要素を位置決定す
るのに用いた転写物を示す。 178 kDタンパク質に関するゲルシフトアッセイの結果は、右に示されて
いる(RNA結合活性を%で示す)。 結合活性は濃度測定により定量化し、そして転写物3に対するシグナルに対し
規準化した。 各転写物は、少なくとも3回アッセイした。 転写物1および3により生成されたシグナルは、有意には異ならなかった(p
=0.2976、n=4)。 転写物3および7の間の相違は有意であった(p<0.0001、n=3)。 終止コドン(UAG)およびポリアデニル化シグナル(AUUAAA)の位置
を示す。 転写物2はRNA結合活性を持たなかった。転写物1、3、4、および5に対
するアンチセンス転写物と共にリポタンパク質リパーゼのセンス転写物もまた、
RNA結合活性を持たなかった。
【図7】 図7の2つの部分、AおよびBは、RNase T1マッピング
およびオリゴヌクレオチド競合による、178 kDタンパク質に対する結合要
素の同定を示す。 図7Aでは、図6の転写物4および5を用い、ゲルシフトアッセイを行った。
RNAタンパク質複合体を切り出し、溶出し、フェノール/クロロホルムで抽出
し、そして沈澱させた。 RNAをRNase T1の存在下(レーン2および4)または非存在下(レ
ーン1および3)でインキュベーションした後、15%変性ポリアクリルアミド
ゲル上で分離し、そしてオートラジオグラフした。 レーン1−2は、図6の転写物4を用いた結果を示し、そしてレーン3−4は
転写物5を用いた結果を示す。 図6の転写物3を用いた場合もまた、同一の結果が得られた。 ヌクレオチドサイズマーカーは、図7Aパネルの左に示され、そして37ヌク
レオチドの保護断片の位置は矢じりで示される。 図7Bでは、先の方法に記載されるように、競合剤オリゴヌクレオチドの存在
下で、HepG2抽出物および図6の転写物4を用い、ゲルシフトアッセイを行
った。 オリゴ#1は、図7Aに同定される37ヌクレオチドに対するアンチセンスで
あった。 オリゴ#2および#3は、関連のない調節配列であった。 レーン1−6は、増加する量のオリゴヌクレオチドの存在下でのゲルシフトア
ッセイの結果を示す。 オリゴは、以下の量で添加された。 レーン1=0 ng レーン2=4.5 ng レーン3=9 ng レーン4=18 ng レーン5=180 ng レーン6=900 ng
【図8】 図8は、178 kD結合要素の予測される構造を示す。 図6の転写物8は126ヌクレオチドを含み、該転写物を、www.ibc.
wustl.edu/〜zuker/rna/form1.cgi.のMich
ael Zuker、ワシントン大学医学部のRNA二次構造プログラムを用い
、フォールディングした。 本構造の予測される自由エネルギーは、−43.2 kcal/molである
。 本プログラムは、もう1つの潜在的な構造を予測するが、該構造はRNase T1マッピングデータと一致しない。 結合要素は、矢印により示される。 RNAハイブリダイゼーションの点は、黒丸で示される。 終止コドン(UAG)および3’UTRの最初の塩基の位置もまた、示される
【手続補正書】
【提出日】平成13年3月7日(2001.3.7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 3/06 A61P 3/10 4H045 3/10 35/00 35/00 43/00 111 43/00 111 C07K 14/47 C07K 14/47 C12Q 1/48 Z C12Q 1/48 C12N 15/00 ZNAA // C12N 5/10 5/00 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE, KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE, SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,U A,UG,US,UZ,VN,YU,ZW Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA10 BA43 CA04 DA06 EA04 GA11 HA01 HA14 4B063 QQ26 QQ42 QR32 QR62 QS34 4B065 AA90X AA93X AA99Y AB01 BA02 CA24 CA29 CA44 CA46 4C084 AA13 AA17 DC32 NA14 ZB262 ZC202 ZC332 ZC352 4C086 AA01 AA02 AA03 EA16 MA01 MA04 NA14 ZB26 ZC33 ZC35 4H045 AA11 BA10 BA41 CA40 DA01 DA86 EA27 FA74

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 178+7 kDaの分子量を有し、そしてヒト脂肪酸シ
    ンターゼmRNAの3’非翻訳領域に結合する、グルコース誘導性のリン酸化さ
    れているmRNA結合タンパク質。
  2. 【請求項2】 ヒト脂肪酸シンターゼmRNAの3’非翻訳領域の最初の
    65塩基内の反復ACCCC配列を含む37ヌクレオチド区間(stretch
    )に結合する、請求項1の結合タンパク質。
  3. 【請求項3】 ヒト肝癌細胞から均質になるよう精製されている、請求項
    1の結合タンパク質。
  4. 【請求項4】 配列番号4の37ヌクレオチド配列を含む、請求項1のタ
    ンパク質結合要素。
  5. 【請求項5】 請求項4の結合要素を含み、そして図8(配列番号7)の
    ヌクレオチド配列を有する、ヒト脂肪酸シンターゼmRNAの近位(proxi
    mal)3’非翻訳領域を含む、126ヌクレオチド転写物。
  6. 【請求項6】 ヒト脂肪酸シンターゼ遺伝子発現を仲介する方法であって
    、ヒト細胞におけるまたは温血動物の代謝経路における、請求項1の結合タンパ
    ク質の結合活性を阻害するまたは亢進することを含む、前記方法。
  7. 【請求項7】 リポタンパク質分泌および細胞増殖を制御する方法であっ
    て、ヒト細胞における、請求項1の結合タンパク質を不活性化させるまたは過剰
    発現させることを含む、前記方法。
  8. 【請求項8】 ヒト脂肪酸シンターゼ阻害剤としての活性に関し試験化合
    物をスクリーニングする方法であって、請求項1の結合タンパク質の結合活性に
    対する試験化合物の効果を測定することを含む、前記方法。
JP2000540151A 1998-01-13 1998-12-21 脂肪酸シンターゼmRNA結合タンパク質 Pending JP2002508951A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US7104398P 1998-01-13 1998-01-13
US60/071,043 1998-01-13
PCT/US1998/026225 WO1999036436A1 (en) 1998-01-13 1998-12-21 FATTY ACID SYNTHASE mRNA BINDING PROTEIN

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002508951A true JP2002508951A (ja) 2002-03-26

Family

ID=22098902

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000540151A Pending JP2002508951A (ja) 1998-01-13 1998-12-21 脂肪酸シンターゼmRNA結合タンパク質

Country Status (6)

Country Link
US (3) US6528637B1 (ja)
EP (1) EP1047712A1 (ja)
JP (1) JP2002508951A (ja)
AU (1) AU1907399A (ja)
CA (1) CA2315299A1 (ja)
WO (1) WO1999036436A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20040077570A1 (en) * 2002-10-17 2004-04-22 Freier Susan M. Antisense modulation of fatty acid synthase expression
BR0016570A (pt) 1999-12-22 2002-10-01 Unilever Nv Proteìna de fusão, composição detergente, e, processo para fornecer um agente de benefìcio a um tecido
US6938167B2 (en) * 2002-12-18 2005-08-30 America Online, Inc. Using trusted communication channel to combat user name/password theft
US7139239B2 (en) * 2004-10-05 2006-11-21 Siemens Building Technologies, Inc. Self-healing control network for building automation systems

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5665874A (en) * 1989-01-17 1997-09-09 John Hopkins University Cancer related antigen

Also Published As

Publication number Publication date
US6528637B1 (en) 2003-03-04
CA2315299A1 (en) 1999-07-22
US20030176388A1 (en) 2003-09-18
WO1999036436A1 (en) 1999-07-22
AU1907399A (en) 1999-08-02
EP1047712A1 (en) 2000-11-02
US6403318B1 (en) 2002-06-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Moinova et al. Up-regulation of the human γ-glutamylcysteine synthetase regulatory subunit gene involves binding of Nrf-2 to an electrophile responsive element
Seo et al. Regulation of histone acetylation and transcription by INHAT, a human cellular complex containing the set oncoprotein
Hollander et al. Mammalian GADD34, an apoptosis-and DNA damage-inducible gene
Lau et al. Cloning of an Apobec-1-binding protein that also interacts with apolipoprotein B mRNA and evidence for its involvement in RNA editing
Guo et al. Characterization and expression of iron regulatory protein 2 (IRP2): presence of multiple IRP2 transcripts regulated by intracellular iron levels
Nishida et al. DNA repair synthesis in human fibroblasts requires DNA polymerase delta.
Manzella et al. Insulin induction of ornithine decarboxylase. Importance of mRNA secondary structure and phosphorylation of eucaryotic initiation factors eIF-4B and eIF-4E
Li et al. MicroRNA-27a indirectly regulates estrogen receptor α expression and hormone responsiveness in MCF-7 breast cancer cells
Demonacos et al. Mitochondrial genes as sites of primary action of steroid hormones
Chang et al. Reduction in transforming growth factor β receptor I expression and transcription factor CBFa1 on bone cells by glucocorticoid
Goswami et al. The cell cycle-coupled expression of topoisomerase IIα during S phase is regulated by mRNA stability and is disrupted by heat shock or ionizing radiation
Dailey et al. Purification of the human histone H4 gene-specific transcription factors H4TF-1 and H4TF-2.
Municio et al. Identification of Heterogeneous Ribonucleoprotein A1 as a Novel Substrate for Protein Kinase C ζ (∗)
Ikeda et al. Transcriptional regulation of the murine acetyl-CoA synthetase 1 gene through multiple clustered binding sites for sterol regulatory element-binding proteins and a single neighboring site for Sp1
Peng et al. Mitogenic up-regulation of the PRL-1 protein-tyrosine phosphatase gene by Egr-1: Egr-1 activation is an early event in liver regeneration
Bergametti et al. Turnover of hepatitis B virus X protein is regulated by damaged DNA-binding complex
Kawamura et al. Identification of the nucleocytoplasmic shuttling sequence of heterogeneous nuclear ribonucleoprotein D-like protein JKTBP and its interaction with mRNA
Thompson et al. Oxysterols and apoptosis: evidence for gene regulation outside the cholesterol pathway
Chen et al. Interplay between base excision repair protein XRCC1 and ALDH2 predicts overall survival in lung and liver cancer patients
Niles et al. Induction of protein kinase C in mouse melanoma cells by retinoic acid
Akiyama et al. Molecular cloning and biological activity of a novel Ha-Ras suppressor gene predominantly expressed in skeletal muscle, heart, brain, and bone marrow by differential display using clonal mouse EC cells, ATDC5
Isomura et al. RFP is a DNA binding protein associated with the nuclear matrix
Menotti et al. Translational regulation of mRNAs with distinct IRE sequences by iron regulatory proteins 1 and 2
Chen et al. Hypermutation induced by APOBEC-1 overexpression can be eliminated
Ushio et al. RBM3 expression is upregulated by NF‐κB p65 activity, protecting cells from apoptosis, during mild hypothermia