JP2002504721A - ポリメラーゼ連鎖反応を含む核酸増幅手順の制御方法 - Google Patents

ポリメラーゼ連鎖反応を含む核酸増幅手順の制御方法

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JP2002504721A JP2000515237A JP2000515237A JP2002504721A JP 2002504721 A JP2002504721 A JP 2002504721A JP 2000515237 A JP2000515237 A JP 2000515237A JP 2000515237 A JP2000515237 A JP 2000515237A JP 2002504721 A JP2002504721 A JP 2002504721A
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ジョン マイケル クラークソン
ベンジャミン デイヴィッド コッブ
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モレキュラ センサーズ リミテッド
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 反応の間の変性、アニーリングおよび伸長の各事象の相対的な負担を決定するためにメンバシップ値を割当てるポリメラーゼ連鎖反応を制御するのに用いられるサイクル条件を最適化するための方法であって、遺伝アルゴリズムを使用して各事象を完了するのに必要な最適時間が決定される。

Description

【発明の詳細な説明】
[技術分野] 本発明は、ポリメラーゼの連鎖反応を制御するのに使用されるサ
イクリング条件(cycling conditions)の最適化に関する。 ポリメラ−ゼ連鎖反応(以下、PCRと言う)の増幅に用いられる温度制御の
最適化には、反応条件を注意深く考察することが求められる。本態の反応素子間
における相互作用および反応の複合的性質が意味するものは、伝統的な速度法(
kinetic methods)の解析を最適サイクル条件の予測に直ちに適用することはで きないということである。そこで、ここに述べる手法は、“グレイボックス”の
モデリング、遺伝アルゴリズムおよびニューラルネットワークの新規な組合せを
用いて増幅のレベルを予測することによって、サイクリング条件を明確に定義付
けするために増幅レベルをモデル化して予知し、従来の問題点を克服する。これ
を用いて、温度プロフィールのどの部分が最も大きく反応に作用するかを決定す
ることができる。遺伝アルゴリズムは、増幅時の温度プロフィールにおける作用
の変化をモデリングするのに使用される。それからこれらのアルゴリズムを用い
て、反応効率を増大させる温度サイクルが明確に定義される。このモデル化プロ
セスを増幅プロセスのオンラインモニタリングと組合せることによって、実時間
での反応の最適化が可能となる。これは、PCRを基準とした診断のような精密
な手法の品質管理には特に重要となる。 [背景技術] 米国特許第4683195号(ムーリス他、シータス社)は、ポ
リメラーゼ連鎖(PCR)による核酸の増幅プロセスを開示している。通常10
〜40塩基対の短いヌクレオチド配列を、増幅しようとする標的配列のどちらか
一方の側面域に設計する。これらのプライマーは、標的DNA配列に付加的に加
えられる。適当な緩衝剤、塩化マグネシウムイオン、熱安定性のポリメラーゼお
よび遊離ヌクレオチドも付加される。 熱サイクラーのプロセスは、典型的には数百万に重なったDNAを増幅するの
に用いられる。増幅は、サイクル温度を介して促進される。標的DNAは、初期
に95度で変性され、その後、通常は40度〜60度の間に冷やされて、個々の
鎖にプライマーをアニ−リングできるようにする。次ぎに、ポリメラーゼの最適
温度(通常は72度)に温度を上昇させ、標的配列をコピーするためにプライマ
ーを伸ばす。この一連の作業を通常、20〜40回繰り返す。最初の数サイクル
で、標的配列がコピーされる。続くサイクルで、コピーのコピーが作成され、標
的増幅が指数関数的に増大する。 従来の運動表記法を用いてPCRを数学的に説明することは、反応素子間の複
合的相互作用のため、不可能である。(“タグチ法の応用を用いてポリメラーゼ
連鎖(PCR)を最適化する簡単手法”、コッブ及びクラークソン著、1994
年、「ニュークリイク・アシッド・リサーチ」(Nucleic Acids Research)。第
22巻、18号、3801〜3805頁参照)。Mg2+およびデオキシヌクレ
オチド三リン酸は、変性、アニーリングおよび伸長温度において、ハイブリダイ
ゼーションの速度論およびプライマー鋳型の重複部位(duplexes)の解離につい
て変更を行うことによって、プライミングと伸長(extension)の効率に影響を 与えることを示してきた。これらの素子は、ポリメラ−ゼがこうした重複部位を
認識したり伸長したりする効率を変化させることにも関連がある。最適増幅に求
められるMg2+およびデオキシヌクレオチド三リン酸の濃度は、ミスマッチ伸
長の効率に主たる影響を有するプライマーの3’末端におけるヌクレオチドとと
もに、大方、標的配列およびプライマー配列によって決定される。ある一定のミ
スマッチヌクレオチド結合は、一定の反応条件のもとで、他より効率的に増幅さ
れることがある。反応において余剰Mg2+が存在する結果、非特異的増幅生成
が蓄積し、不十分な濃度が産生収量を減じる。加えて、デオキシヌクレオチド三
リン酸がMg2+イオンを量的に結合させるため、dNTP濃度におけるいかな
る修飾もMgClの代償調整が必要となる。 従来のやり方によるPCRの最適化では、重要な反応パラメータの反復的な試
行錯誤調整を必要としていた。この方法で最適化された反応は、通常、確固とし
ておらず、温度プロフィールの僅かな変化および/または反応混合構成要素の軽
微な変動にも影響を被りやすい。反応の複雑さ、および、ある程度の不確実性は
、モデリングが困難であることを意味する。標準型の参照としては、“ポリメラ
ーゼ連鎖反応技術:スー他著、1997年、「バイオテクノロジー・アンド・バ
イオエンジニアリング」(Biotechnology and Bioengineering)。第55巻、2
号、359〜366頁”があるが、重要な反応素子が無視されている。重要なの
は、現在の標準型は、サイクルにおいて一定の温度で発生する変性、伸長および
アニーリングが顕著にこれらの本質事象の個々について一定の温度に熱サイクラ
ーをプログラムしたその方法次第であることを想定している事実である。しかし
、これらの事象の比率は温度次第であるため、単一化されすぎ、それらは広い温
度範囲にわたって(over)発生するようになっている。 理論上、特異な鋳型配列の増幅は指数関数を有するべきである、すなわち、完
璧な条件の下、増幅された鋳型(テンプレート)の量を反応の各サイクル後に二
倍する。しかし、適合度および増幅率が反応素子間の複合的相互作用によって制
御されている以上、理論上最適に到達することは決してない。通常の条件の下で
は、伸長のために重複部位の数が反応において酵素活性を超過してしまい、産生
の蓄積は後方サイクルの間中、制限される。この点において、生産の蓄積は線形
になる。これは、80℃を超える温度に長期被爆したポリメラーゼの不活性化に
よって構成される。増幅はアニ−リング温度、アニ−リング時間(annealing ti
mes)およびアニ−リング傾斜を注意深く考察することによって最適化できる。 プライミング率を減じる(reduced rate)代償として、傾斜率(ramp rate)を 調整することにより、非特異的プライミングを避けてアニ−リング温度を上昇さ
せることが可能である。これは、 標識配列の指数的蓄積が発生する間のサイク ル範囲を増大させる。プライミング率とプライミングが発生する温度範囲は遊離
Mg2+の量によって決まる。 Taqポリメラーゼは高温の変性温度への余剰被爆で変性するため、変性時間
(denaturation times)および傾斜の類似した最適化は増幅に影響を与える(通
常は、1分〜5分あたり≧94℃)(参考文献:“耐熱性DNAポリメラーゼの
不活性化運動論”モハパトラおよびスウ著、1996年「バイオテクノロジー・
テクニック」(Biotechnology Techniques)、第10巻、569〜572頁)。
通常ポリメラーゼは過度に付加されるが、PCRにおける継続的な変性ステップ
はポリメラーゼの変性量に顕著な影響を及ぼす。さらに、これらの温度条件は、
DNA鋳型の純化(depurination)を生じる(通常、2Kbあたり94℃ mi n−1)。変性は、所定の変性温度に到達する前後に起こるため(一般的に、D NAは70℃と90℃の間で上昇速度とともに変性する)、傾斜時間(ramp tim
es)の修正が94℃にて時間(times)を制限するのに用いられる。 Taqのようなポリメラーゼはよく特徴づけされている。これらは、高温での
伸長率において緩やかな上昇を伴う標準的な温度依存性を示す。活性は、最適化
に到達し(通常、≒70℃)、その後、活性は鋭角に落ち込む(通常、≧80℃
)。伸長は、拡張された温度範囲にわたって発生する。この範囲にわたる伸長の
総計を考察することにより、伸長時間を減じることが可能である。例えば、顕著
な伸長がca.60℃で発生する。この温度で雑種核酸を生むオリゴヌクレオチ
ドは即座に伸長する。伸長時間は減じられるか、あるいは、時として、一緒に除
去される。 [発明の開示] 本発明は、ポリメラーゼ連鎖反応を制御するのに使用されるサ
イクリング条件の最適化を提供することを目的とする。 本発明の1つの態様によれば、請求項1に記載されたポリメラーゼ連鎖反応を
制御するのに用いられるサイクリング条件を最適化する方法が提供される。 好ましい実施例によれば、PCRのインテリジェント制御をもたらす方法が提
供される。これは、メンバシップ関数割当(membership function assignment: すなわち、温度と共に反応を起こす事象の集合状態)と、遺伝アルゴリズムと、
人工ニューラルネットワークとの新規な組合せにより増幅レベルをモデリングし
、予測することによって達成される。ここで、メンバシップ素子が暗示し、提供
するのは、特異な反応について増幅の度合いを決定する様々な反応パラメータの
明快な定義である。遺伝アルゴリズムは、温度サイクルの各段階において最適な
時間を決定するのに用いられる。ニューラルネットワーク素子は、メンバシップ
規則(membership rule)とメンバシップ関数を高めるために使用される。ニュ ーラルネットワークはその入力信号からより多くを学ぶため、初期訓練後に、メ
ンバシップ関数は更新される。この工程は、正確に最適化反応条件を予測するた
めに使用される(図1参照)。 好ましくは、この工程を用いて、プロトコルを1つの熱サイクラーから他のサ
イクラーへ伝達させる。この時、変性と、アニーリングと、伸長との相対的な寄
与(contributions)が、ソースサイクラーの熱性能を考察して初めに算出され 、それからサイクラー性能における差異を考察することによって、標的サイクラ
ーへ伝達される。 本発明の実施態様を添付の図面を参照しながら以下に説明するが、これは一例
に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
図1は、所定のサイクル条件において増幅レベルを予測するために、特異な反
応事象のメンバシップ関数および遺伝アルゴリズムを用いる“インテリジェント
”熱サイクラー制御を示した概略図である。 図2は、自己学習制御プロセスを用いた増幅レベルの予測を示したものである
。 図3は、テンプレート終点(destination)のS字形メンバシップ関数を示し たものである。 図4は、最終点、アニ−リング、および伸長のメンバシップ関数を用いてPC
R増幅のモデリングを行う具体例を示したものである。 図5aは、好ましい遺伝アルゴリズムにおいてキーとなる事象を示す概要図で
ある。 図5bは、図5aの遺伝アルゴリズムの演算を示したものである。 図6aおよび図6bは、それぞれ、一点および二点の交さを示したものである
。 図7は、人工ニューラルネットワークおよび三層人工ニューラルネットワーク
におけるモードを示した概略図である。 図8は、0.25〜2.00のS字ゲインを伴うS字形伝達関数を示したもの
である。 図9〜図15は、好ましい方法に関連して得られた結果を示したものである。 実時間でPCRの進行を監視する新規な技術が近年説明されている(例えば、
フルオロジェニック5’核酸分解酵素化学(fluorogenic 5’ nuclease chemist
ries)−PE適用生物系(PE Applied Biosystems)および臭化エチジウムけい光 :“DNA増幅反応のリアルタイム監視PCR分析速度論”、ヒグチ他著、19
93年、「バイオテクノロジー」(Biotechnology)、第11巻、1026〜1 030頁参照)。これらの方法が反応時に形成される生成物の数量化をもたらし
たが、実時間監視による主要な利益は、最適化増幅を正確に予知し、維持するこ
とが可能なアルゴリズムから生じる。本発明に説明された方法を産生検知システ
ムと組合せて用いれば、PCRの力学的な実時間制御、反応の進行に伴うサイク
ル条件の継続的な更新、最適性能の維持が可能となる。 PCR条件は、通常、増幅レベルを最適化するために注意深い考察が必要とさ
れる。しかし、ポリメラーゼ連鎖反応は複雑であるため、伝統的な速度解析論を
手軽に用いて最適条件を予知するのは不可能である。一方、本発明は、反応素子
間の複合的な相互作用によって構成されている。実施態様では、サイクルプロフ
ィールにおける温度の全体範囲にわたる伸長、アニ−リング、変性の総量を計算
することによって増幅レベルを予知し、従来のPCR最適化が抱えてきた問題を
解消することを目指している。これらの事象の各々にメンバシップ関数を適用す
る“グレイボックス”のモデル化、遺伝アルゴリズム、および人工ニューラルネ
ットワークの新規な組合せを用いることにより、増幅のレベルを予知することが
可能となる。その後、各サイクル事象に要した時間から見て、ニューラルネット
ワークによって生成される重量の解析結果を用いて反応最適化を定義することが
できる。このプロセスは、以下によって説明することができる: 1.グレイボックスのモデル化は、最適アニーリングと、伸長および変性温度と
、これらの事象が発生する温度範囲を定義するのに用いられる。 2.これらの事象の各々にメンバシップ関数を適用して、所定のサイクルに亘っ
て増幅レベルを予知する。 3.遺伝アルゴリズムは、これらの各段階ごとの最適回数を決定するのに用いら
れる。 4.ニューラルネットワークは、予知した増幅レベルの確認および/あるいは修
正に用いられる。 5.実時間監視は、このプロセスをさらに精緻なものとするために用いられる。 このアプローチが熱サイクル制御を標準化するために適用されるPCRの特異
的制御ソフトウエアの基礎を提供し、同時に、PCR最適化のインテリジェント
制御プロセスに関する初めての説明でもある。 [メンバシップ関数の定義] 実施態様のプロセスにおける基本には、PCRの重要素子(変性、アニ−リン
グ、伸長)の一連のメンバシップ関数への変換が含まれる。反応の“グレイボッ
クス”のモデリングは、反応効率に影響する様々なパラメータの一連のメンバシ
ップ関数及び規則、換言すれば、鋳型の変性と、プライマーアニーリングと、プ
ライマー/鋳型重複部分の伸長とに影響する係数を生成するために初期的に用い
られる。規則原理は、これらの事象を増幅サイクルにおける特異な温度と関連付
けるのに使用される。各反応変数の明快な値を用いて、単一のあるいは重複サイ
クルにわたる増幅のレベルを予知する。メンバシップ関数を用いれば、従来のモ
デリング法のような特有の段階ではなく、全温度サイクルにわたって様々なプロ
セスにおける比率の変化を考慮してPCRを動的にモデル化することが可能とな
る。 PCRは3つの原則的事象を含むと考察できる。すなわち、二本鎖鋳型の変性
と、プライマーの一本鎖変性鋳型へのアニーリングと、これらの重複部位の重合
とである。これらのプロセスが発生する比率は、温度によって決まる。反応にお
ける様々な素子間の相互作用は比率と最適の調整器である。これらのプロセスの
“グレイボックス”のモデリングがこれらの事象のメンバシップ関数を特異な温
度に関連付けさせる。遺伝アルゴリズムは、増幅を最適化するための各段階(t
1...t6)に割り当てる時間を修正し、素子の相互作用、不活性、純化など
の影響を制限するのに用いられる。ニューラルネットワーク素子は、段階の最適
を計算するのに要する時間を短縮するために使用する初期時間を学習するのに使
用される。 [変性メンバシップ関数] DNA鋳型の変性をS字形溶融カーブ(sigmoidal melting curve)で示すこ とができる。鋳型のアニーリング温度はDNAが半分変性される時の温度を定義
している。70℃未満では、変性は殆ど発生しない。これを超えて温度を上昇さ
せると、変性の比率に著しい上昇が見られる。これらの高温はまた、酵素の不活
性化および鋳型の純化における比率を上昇させることにもつながる。原則的には
、変性はサイクル期間中の全温度分布において、即ち、上昇中も下降中も指定さ
れた変性温度においても発生する。変性時間は、特定された変性温度に到達する
間、およびその前後の変性比率を計算することで顕著に減少する。これは、酵素
不活性化のレベルと鋳型変性の量数とを最小にする。従って、増幅効率が上がる
。 二本鎖鋳型の水素結合した連続塩基対間の共同相互作用は、溶解中、二本鎖が
完全に分離するまで継続的に分断させられる。鋳型変性のためのメンバシップ関
数Mdenatureは、従って、予知されたTおよび鋳型分子の最適変性温度によっ
て定義されるゲインqdenatureおよび中間点S(X)denatureと共にS字カーブ
(図3)によって定義することが可能である。ゲインqdenatureおよび中間点S
(X)denatureは、ニューラルネットワーク素子の修飾要因として使用される。
概括されたカーブはまた、例えば、ブール、台形、三角形、運動性などの変性の
メンバシップを定義するために用いられる。一般的には、ATおよびGC塩基対
を伴う天然(未変性)DNAは、72℃のT’sを有する。ポリ(AT)鋳型
はca.60℃のT’sを有し、ポリ(GC)鋳型はca.90℃のT’s
を有する。 [アニーリングのメンバシップ関数] アニーリングのメンバシップは、プライマーから鋳型へのハイブリダイゼーシ
ョンの比率を定義する。初期的には、プライミング温度T(または、T−5
℃)が、プライマーの長さで決まる最適ハイブリダイゼーションを定義するのに
使用される。一般的に、TおよびTは以下の等式の何れか1つから算出され
る:
【数1】 式中、Jが単価の陽イオンである時、lはオリゴヌクレオチドでFAはホル
ムアミドである。ハイブリダイゼーションのメンバシップ関数(Manneal)は、
その最大値がプライマーTまたはT−5℃で定義されるS字形カーブによっ
て示される(図3参照)。概括されたカーブはまた、例えば、ブール、台形、三
角形、運動性などのメンバシップを定義するために用いられる。アニーリングが
発生する温度範囲は、反応混合物における遊離マグネシウムイオンの濃度によっ
て決定される。中間点S(X)annealおよびゲインqannealは、アニーリングが
発生する温度範囲を定義し、これは反応中の遊離マグネシウムイオンの濃度と密
接に関わり合っている。ゲインqannealおよび中間点S(X)annealは、ニュー
ラルネットワーク素子の修飾要因として使用される。 [伸長メンバシップ関数] Taq活性の温度への依存については他者によって既に詳細に説明されている
(“DNAポリメラーゼ最大耐熱性細菌熱水性”シェン他著、1976年、「ジ
ャーナル・オブ・バクテリオロジー」(Journal of Bacteriology)第127巻 、3号、1550〜1557頁参照)。重複部位の重合のためのメンバシップ関
数は、その最大値を最適温度で定義するカーブによって示されている。これは、
使用される特定のポリメラーゼによって決定され、通常、ca.70℃の範囲で
ある。概括されたカーブはまた、例えば、ブール、台形、三角形、ベルなどのメ
ンバシップを定義するために用いられる。 図4は、t秒でのサンプルチューブ温度の単一PCRサイクルにおける反応メ
ンバシップであるMdenature、Manneal、Mextensionの値を示す。これらのサ イクルとサイクルの間、あるいはサイクル中の時間tの調節を到達増幅数量の最
適化に用いることができる。例えば、Taqポリメラーゼの純化や不活性化など
の増幅を減少させる係数は、最適化がこれらの事象の減少を前もって予想してい
るため、最適化のプロセスを通して減じられる。ニューラルネットワーク・アル
ゴリズムは、これらの事象のうちいずれが反応結果に最も影響するかを決定する
のに用いられる。 [遺伝アルゴリズムを用いての最適プロフィール時間の決定] 変性、アニーリングおよび伸長のために設定された時間の何れか1つの変更に
よって増幅レベルが変わるので、反応の最適化に対する戦略は明確でなく、算定
的に集約的なものでもない。本発明に記載した方法は、これらの問題点を克服す
るために独自に遺伝アルゴリズムを使用する。この問題への潜在性溶体(potent
ial solutions)の個体群は維持され、進化の原理、すなわち、選択、突然変異 、および/または組換え(乗換え)に従って繰返し更新されて来た。組換えが個
体群(親)の中から溶体の対を選択し、親からの素子を組合せて一連の新しい溶
体(子)を産生し、そうしてこれが溶体の新しい個体群に挿入される。選択原理
は、“悪”の溶体に優先して選ばれた“善”の溶体を要求する。これは、どの程
度“善”であるかに従って各溶体へ数を割当てる適性関数を定義することによっ
て達成される。選択は、最良の適合性を有する溶体(染色体)のみが未来の個体
群中に遺伝することを保証する。突然変異は、残りの個体群と相互作用すること
なく個体群の溶体を修飾するのに用いられる。遺伝アルゴリズムは従って、良い
溶体を共に産生する対立遺伝子(共同適合対立遺伝子)を探索する。 遺伝アルゴリズムの一般的な定義は存在しない。これは、オランダの文献の要
約に示されている(“自然系と人工系における適合”オランダ、1975年、ミ
シガン大学出版、アン・アーバー著参照)。この方法で使用している遺伝アルゴ
リズムの概略を図6に示すと共に、以下に手順を説明する。 1.初期設定:染色体の初期の集合体(通常、n=25...100)を無作為
に、あるいは、後述する人工ニューラルネットワーク素子から産生した入力染色
体を“シャッフル”して創作する。これは最適化を検索するアルゴリズムに要す
る時間を短縮させる。 2.評価:各染色体の適合性を評価する。この場合、前記に述べたメンバシップ
関数と個々の染色体によって特定されたサイクル時間を用いて増幅の量数が計算
される。次ぎに、適性関数が与えられ、各染色体の性能を数値的に符号化する。 3.取込み:最も適合性に優れたスコアの染色体(すなわち、最も短時間での最
高の予知増幅)を半無作為状態で、1回か2回、メイティングサブセットに置く
。2個の染色体を無作為に個体群から取り出す。最も適合性に優れたスコアの染
色体をメイティングサブセットに置く。両方の染色体を個体群に戻し、メイティ
ングサブセットが一杯になるまで、選択プロセスを繰り返す。これにより、適合
性の低い染色体はメイティング個体群から確実に取除かれる。親として選択され
る可能性は、適合性が正規化された染色体に比例する。これは、通常、より良い
染色体がより多くの子を産生することを意味する。しかし、プロセスの確率論的
性質から、時に不良な溶体から子が産生される。精鋭主義機能の付加もまた利益
をもたらす。ここで、何れかの親世代において単一の最良溶体が非修飾で子世代
にコピーされると、他の全ての子は正常に産生される。 4.探査:これは、次世代染色体の染色体を修飾するために組換えと突然変異演
算子を用いる(図5参照)。メイティングサブセットから無作為に2個の染色体
を選択し、かけ合せる。メイティングの確率は制御可能な関数で、通常、高い値
を示す(≒0.90)。組換え演算子は、2個の子を産生するために2個の親染
色体間の遺伝子を交換するのに使用される。図5では、3つの個体の個体群が示
されている。各々には適合性関数Fが与えられている。これらの適合性を基盤に
、選択期(the selection phase)が、第1の個体に0コピー、第2の個体に2 コピー、第3の個体に1コピーを割当てる。選択後に、遺伝演算子が確率的に付
与される:第1の個体は、1から0へ変異された第1ビットを有し、交差型は2
個の第2の個体を結合させて新しい個体にする(“フォレスタからの修飾”19
93年、「サイエンス」(Science)、第261巻、872〜878頁参照)。 組換えは一点および/あるいは二点交差型を伴う(図6参照)。一点交差型が
用いられる場合、乗換えポイントは、そのポイントまでに2個の親の間で交換さ
れる染色体および遺伝子に沿って選択される。二点交差型が生じる場合、2個の
乗換えポイントが選択され、その2点間で遺伝子が交換される。一部マッピング
された交差型(PMX)、序列交差型(order crossover:OX)、およびサイク
ル交差型(CX)などのその他の交差型アルゴリズムもまた使用できる。全ての
子は2個の親によって産生され、2個の子は同時に産生される。そして、子は次
世代の親となる。単一遺伝子の突然変異は他方の制御関数である。突然変異率は
、通常、低い確率を示し(≒0.001)、(N*L1/2−1で定義され、
式中Nは個体群の大きさ、Lは染色体の長さを示す。 5.この事象配列は、集束が生じるまで所定の世代数において繰り返される。密
集(crowding)の置換を用いて、未熟な集束に起因する問題を軽減させる。子は
多数の既存の親と比較され、最も自身と類似の親と置換えられる。密集の置換に
おいては、基本的に似たもの同士が置換えられ、副個体群が遺伝探索スペースの
様々な部位を探れるようになっている。これは、多数の散在する適合最大値があ
る場合、複合様態の検索スペースに対して特に有効である。 遺伝アルゴリズムに使われる基本構造は以下のように様式化できる: 個体群の初期設定 染色体の評価 正規化された適合性の算出 個体群での統計値の産生 連続世代の各々において { 候補置換の産生と評価 個体群の数を候補と置換 不変メンバーの再評価 適合性の正規化 個体群での統計値の産生 } サイクルプロフィールにおける各時間(対立遺伝子;t…t)をサイクル
の所定の段階で容認された最小限/最大限の時間に従ってビットI={0,1} に転換し、求められた時間分解能(表1)。次いで,これらをグループ分け
して、単一サイクルの総合時間プロフィールを示すビット連糸(染色体)が形成
される。初めに、各段階で容認された最小および最大時間に従ってストリングの
無作為個体群が創作される。変性、アニーリングおよび伸長段階に割当てられる
メンバシップ関数に従って初期時間を設定するのに、トレーニング後のニューラ
ルネットワークが用いられる。(注:通常、2進コード付けには欠点があり、あ
る段階で全てのビットを変更し、数字を1で変える必要がある。これは、最適条
件に近い個体にとっては、突然変異によってより近づくことを困難にする。1に
よって数字を増減させる事は、常に1ビットの変更なので、グレイコードの使用
が好ましい。) 表1に示すのは、ビットデータの符号化t、熱サイクラーがアニーリング(
72℃)から変性(94℃)へ温めるのに要した時間。最大許容時間は120秒
に設定(5℃sec−1ランプ)。
【表1】 サイクルでの各事象の最小時間は熱サイクラーの効率によって決定される。通
常、最小ランプ率は0.5℃−1と1℃−1の間に設定される。最大ランプ率は
通常、5℃−1を超えて高く設定する必要はない。従って、サイクル事象の最大
時間はランプ率および連続する次ぎの段階との温度差によって決定される。 増幅のモデル化は個体群における各染色体によって明示された時間プロフィー
ルと前述のメンバシップ関数とを用いて行われる。適合性は、可能な限り最短時
間で最大限の増幅を達成し、ミスプライミング、不活性化、および純化を促進す
る時間プロフィールの極値へは最小限に晒されることを基準に採点される。一定
の環境の下では、その他の適合特性を定義する助けとなる(例えば、RAPDや
差次表示などと共にミスプライミング事象を促進するのに欠かせない)。ひとた
び、個体群の全ての個体が評価されると、その適合性が次ぎの選択サイクルで染
色体を背sんたくするための取り込みおよび探査の基準として使用される。所定
回数の反復の後に染色体個体群の最適時間プロフィールが高度に示される。 [ニューラルネットワークの選択] このアプリケーションは、入力層、1つあるいは複数の隠れ層(hidden layer
)、および出力層を備えた正方向送りニューラルネットワークを使用する(図7
参照)。 各ノードは、外部信号または他のノードからの出力を表示する一連の重みつき
入力Wを設けている。隠れノードの数は、調節可能なパラメータである。重み
つき入力の合計は非直線的S字変換関数を用いて変換される。
【数2】 式中、f(x)は0〜1の範囲で、xは入力の加重和で、qはゲインである。
qの修飾がカーブの形を変える。qの小さな値がS字関数に急勾配を与える(例
えば、q=1.0)。反対に、qの大きな値はカーブをゆるい傾斜にする(例え
ば、q=2.0)。入力は温度制御された事象の塩基転移回数(transition tim
es)およびこれら事象の温度範囲を示す(図8参照)。変数ごとに1つの入力ノ
ードがある。入力ノードが重みつき入力信号を隠れ層のノードへ転送する。入力
層のノードiと隠れ層のノードjの接続は重み係数Wjiで表示される。従って
、隠れ層のJノードは、それぞれ重みベクターWを備える。これらの重みはト
レーニングの工程で調節される。各層はバイアス入力をも有し、データの非ゼロ
オフセットを取り込む。バイアス値は常に0に設定されている。項が重みベクタ
ーに含まれることによって、バイアスは対応する層に接続される。この重みもま
た、トレーニング期に調節される。タンジェント h(Tan h)、サイン、
コサイン、一次などのその他の関数も使用される。 初期のトレーニング工程において、重みが調節される一方、一連の入力パター
ンがそれぞれ対応する予想出力と共に反復状態でネットワークに表示される。こ
れは、予想観察出力間の認知レベルが所望のレベルに到達するまで継続される。
異なる学習アルゴリズムを使用することが可能であるが、後方伝播が現在優勢の
アルゴリズムである。予想出力における誤差は汎用デルタ規則を用いてネットワ
ークを介して後方伝播され、重みの調節が決定される(“ミクロ組織の認知にお
ける並列分散探査処理”第1部、ルメルハートおよびマッククレーランド著 1986年、マサチューセッツ、ケンブリッジ所在のMIT出版、参照)。出力
層のタームを以下に示す: δpk=(tpk−opk)opk(1−opk) 式中、dpkは出力ノードkにおける観測値pの誤差項であり、tpkは観測
値pの予想出力で、opkは実際のノード出力である。opk(1−opk)は
S字関数の導関数である。隠れ層のノードjにおける誤差項は、出力層の重みと
出力誤差項の積合計とによって積算されるS字関数の導関数である:
【数3】 出力層および隠れ層からの誤差項は各々が各層の重みを調節することによりネ
ットワークを介して後方伝播される。重み調整あるいはデルタ調整は以下の通り
算出される: ΔWji(n)=ηδpjpi+αΔWji(n−1) 式中、ΔWjiは隠れ層のノードjと入力層のノードiとの間における重みの
変化であり、ηは学習率で、dpjは隠れ層のノードjにおける観測値pの誤差
項で、opiは観測値pの入力層のノードiにおける予想出力であって、aは運
動量である。項nとn−1とはそれぞれ現在の反復と過去の反復とを示している
。トレーニング観測値pの全体の提示は、反復数nがpを超えた時に繰り返され
る。これに類似の方法がノードの隠れ層を次ぎの隠れ層に接続したり、最終隠れ
層と出力層の間を接続したりする重みを調節するのに用いられる。重み全体には
、トレーニングに先駆けて、初めに任意の数値が与えられる。 ニューラルネットアルゴリズムはメンバシップ関数を各増幅段階を定義する時
間プロフィールと関連付けするのに用いられる。トレーニング後に、この工程を
用いて高い精度で増幅レベルを予知することができる。予知された増幅レベルを
実時間監視と比較することにより、さらに反応を最適化することが可能となる。 コッブとクラークソンによって説明された方法(1994年)により、反応か
ら得られた増幅レベルで、様々な反応素子の効果をすばやく評価する方法が提供
されている。この方法を用いて、本発明のプロセスで使用されニューラルネット
ワーク素子をトレーニングすることができる。ニューラルネットワークは反応か
ら必要情報を取りこみ、増幅レベルを予知する。アニーリング温度、鋳型、プラ
イマー、dNTPおよびMgの濃度データから増幅を予想するのに、5、5、3
、1形式を用いた2個の隠れ層を備えた5個の入力ネットワークが使用された。
表2に記載された条件を使用して27のトレーニング反応が実行された。 5個の入力ノードを備えた4層ニューラルネットワーク、5個と3個のノード
を備えた2つの隠れ層、および単一の出力層をトレーニングするのに使用された
反応条件増幅レベルを表2に示す。
【表2】 これらの各反応から得られる増幅量が0〜5方式に基づいて採点された。この
データを用いて後方伝播およびS字伝達関数を使用するニューラルネットワーク
を養成したが、この方法は、これらの伝達関数や学習アルゴリズムに限定される
のもではない。図9〜15は、トレーニング中のニューラルネットワークからの
出力と、各入力が互いにどのように関連しているかを示している。これらのデー
タから反応のための最適温度はca.50℃であることが明白である。ネットワ
ーク情報は表3〜5に説明されている。(N.B.作用と共にこのデータの遺伝ア
ルゴリズムを用いれば、広い範囲の入力信号を試験し、最大出力を選択すること
で、反応の最適化が定義される)。
【表3】
【表4】
【表5】 [活用] 現在のところ、PCR技術に関する主とした試みは、増幅レベルを最適化する
温度サイクルのプロフィールを制御できる“インテリジェント”計装の開発であ
る。目下、これにはサイクル条件を定義するための高度な技術的関与(involvem
ent)が必要とされる。最適条件は、継続的な試行錯誤の実験を通して発見され る。これは、作業時間、演算時間および消耗品の点から見て高価である。最適条
件が見つかることは稀で、補助的最適条件を利用した場合、一連の相互作用およ
び/または増幅の結果分析が困難になる。 ここに記載した本発明による方法を用いて、サイクル条件のインテリジェント
制御によって熱サイクル条件を最適化することが可能である。これは変性、アニ
ーリング、及び伸長がサイクルにおける所定の温度に制限されずに、プロフィー
ルにおける温度範囲にわたって伸長するという優位性を備える。サイクル全体に
わたってのこれらの事象のモデル化は各事象に認められた時間(times)の最適 化をもたらす。ミスプライマー、不活性化および純化といった事象は、これらの
事象を促進する条件への露出(exposure)を軽減することによる最適化の結果と
して減少する。この方法は、ブロック温度とサンプル温度との差異を計算に入れ
ることによって更に改良できる。この2つには考慮すべき遅滞があり、増幅レベ
ルに顕著な影響を及ぼす。 反応混合物、Mg2+の濃度、dNTPs、プライマー配列、鋳型データなど
に関する詳細はメンバシップ関数を定義するのに用いられる。反応データおよび
予知した鋳型サイズは反応をモデル化し、増幅レベルを決定するのに用いられる
。遺伝アルゴリズムはサイクルの時間プロフィールを最適化するのに使用される
。これは、演算子のプログラミングの必要性を除き、プログラムを標準化する構
想を提供する。 オンラインでの増幅監視をこの方法と組合せて用いることで、実時間における
最適増幅条件を力学的に維持することができる。これは、増幅の一貫性を維持す
ることが品質管理の臨界係数である場合に、診断用として特に利用される。 予測と実際に達成された増幅の比較結果を利用して、反応性能が相殺されるか決
定することができる。この情報は、最適増幅を維持するためにサイクル条件を最
新のものとする場合にも利用できるし、ユーザーに問題点を警告する場合にも利
用することができる。 NAA技術への更なる挑戦には、研究スペースおよび技術者たちの雇用といっ
た面から高コストを伴う病院研究室における分析から実際に使用して活用するこ
とを目指す地域分散(例えば、地域の個人病院によって)が含まれる。 これは 、多くの問題を伴う。逆に作用する演算条件、サンプル調整における誤差、およ
びオペレータ・エラーは、全て増幅およびその後のデータ判定を変える。操作環
境における変化を相殺する確固とした増幅条件および品質管理手順の必要性がP
CRベースの診断の受容性を推進する。 定性試験として、重要な性能特性を理解し、各活用ごとに定義することが求め
られる。基準標本と臨床的な設定とがNAA試験の判定に影響を及ぼす。偽陰性
のPCR結果が、臨床標本における阻害因子の存在、作業環境の変化、またはオ
ペレータ・エラーによってしばしば生じる。偽陰性との結果は、標的配列に用い
た試薬の汚染から生じる。感受性の遮断(例えば、遺伝子コピー番号、アニーリ
ング温度などへの感受性)およびこの遮断にまとわる欠陥再現性(poor reprodu
cibility)ゾーンをPCRの性能特性の見地から定義することができる。これら
の特性は、標本タイプおよび試験の臨床上の目的と共に、品質管理が考慮できる
構成を提供する。本発明を活用すれば、最適増幅を維持し、特異な増幅のために
遮断制限を管理する因子を即座に確立するための基準が提供される。 本発明による方法で最適化された反応は、固有に、その確固性を増大させてい
る。従って、この方法を標準最適化処理の基準として用いることが可能である。
サイクリングを実行する際の変化などもろもろの変化に対する確固性が、特異性
及び感受性を高める。加えて、大量の情報が、反応性能のストリンジェント品質
管理の基準を提供するこの手法を用いて抽出される。熱サイクラーの性能、反応
混合物の必須構成要素の変化、操作環境、および試験で用意される核酸物質のレ
ベルに関する不可欠情報を限られた数の反応から得ることができる。さらに重要
なことには、本発明の好ましい方法によって、異なる条件のもとで操作するため
に能力を“植付けする”手法が提供される。さらに、分析処理の実行を継続的に
監視することによって一連の分析のフィードバック最適化が可能となる。 本出願の優先権出願である英国特許出願第9720926.6号および本願に 添付された要約書の開示事項を参考までにここに組み入れている。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成11年10月11日(1999.10.11)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 ポリメラーゼ連鎖反応を含む核酸増幅手順の制御方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】 [技術分野] 本発明は、ポリメラーゼの連鎖反応を制御するのに使用されるサ
イクリング条件(cycling conditions)の最適化に関する。 ポリメラ−ゼ連鎖反応(以下、PCRと言う)の増幅に用いられる温度制御の
最適化には、反応条件を注意深く考察することが求められる。本態の反応素子間
における相互作用および反応の複合的性質が意味するものは、伝統的な速度法(
kinetic methods)の解析を最適サイクル条件の予測に直ちに適用することはで きないということである。そこで、ここに述べる手法は、“グレイボックス”の
モデリング、遺伝アルゴリズムおよびニューラルネットワークの新規な組合せを
用いて増幅のレベルを予測することによって、サイクリング条件を明確に定義付
けするために増幅レベルをモデル化して予知し、従来の問題点を克服する。これ
を用いて、温度プロフィールのどの部分が最も大きく反応に作用するかを決定す
ることができる。遺伝アルゴリズムは、増幅時の温度プロフィールにおける作用
の変化をモデリングするのに使用される。それからこれらのアルゴリズムを用い
て、反応効率を増大させる温度サイクルが明確に定義される。このモデル化プロ
セスを増幅プロセスのオンラインモニタリングと組合せることによって、実時間
での反応の最適化が可能となる。これは、PCRを基準とした診断のような精密
な手法の品質管理には特に重要となる。 [背景技術] 米国特許第4683195号(ムーリス他、シータス社)は、ポ
リメラーゼ連鎖(PCR)による核酸の増幅プロセスを開示している。通常10
〜40塩基対の短いヌクレオチド配列を、増幅しようとする標的配列のどちらか
一方の側面域に設計する。これらのプライマーは、標的DNA配列に付加的に加
えられる。適当な緩衝剤、塩化マグネシウムイオン、熱安定性のポリメラーゼお
よび遊離ヌクレオチドも付加される。 熱サイクラーのプロセスは、典型的には数百万に重なったDNAを増幅するの
に用いられる。増幅は、サイクル温度を介して促進される。標的DNAは、初期
に95度で変性され、その後、通常は40度〜60度の間に冷やされて、個々の
鎖にプライマーをアニ−リングできるようにする。次ぎに、ポリメラーゼの最適
温度(通常は72度)に温度を上昇させ、標的配列をコピーするためにプライマ
ーを伸ばす。この一連の作業を通常、20〜40回繰り返す。最初の数サイクル
で、標的配列がコピーされる。続くサイクルで、コピーのコピーが作成され、標
的増幅が指数関数的に増大する。 従来の運動表記法を用いてPCRを数学的に説明することは、反応素子間の複
合的相互作用のため、不可能である。(“タグチ法の応用を用いてポリメラーゼ
連鎖(PCR)を最適化する簡単手法”、コッブ及びクラークソン著、1994
年、「ニュークリイク・アシッド・リサーチ」(Nucleic Acids Research)。第
22巻、18号、3801〜3805頁参照)。Mg2+およびデオキシヌクレ
オチド三リン酸は、変性、アニーリングおよび伸長温度において、ハイブリダイ
ゼーションの速度論およびプライマー鋳型の重複部位(duplexes)の解離につい
て変更を行うことによって、プライミングと伸長(extension)の効率に影響を 与えることを示してきた。これらの素子は、ポリメラ−ゼがこうした重複部位を
認識したり伸長したりする効率を変化させることにも関連がある。最適増幅に求
められるMg2+およびデオキシヌクレオチド三リン酸の濃度は、ミスマッチ伸
長の効率に主たる影響を有するプライマーの3’末端におけるヌクレオチドとと
もに、大方、標的配列およびプライマー配列によって決定される。ある一定のミ
スマッチヌクレオチド結合は、一定の反応条件のもとで、他より効率的に増幅さ
れることがある。反応において余剰Mg2+が存在する結果、非特異的増幅生成
が蓄積し、不十分な濃度が産生収量を減じる。加えて、デオキシヌクレオチド三
リン酸がMg2+イオンを量的に結合させるため、dNTP濃度におけるいかな
る修飾もMgClの代償調整が必要となる。 従来のやり方によるPCRの最適化では、重要な反応パラメータの反復的な試
行錯誤調整を必要としていた。この方法で最適化された反応は、通常、確固とし
ておらず、温度プロフィールの僅かな変化および/または反応混合構成要素の軽
微な変動にも影響を被りやすい。反応の複雑さ、および、ある程度の不確実性は
、モデリングが困難であることを意味する。標準型の参照としては、“ポリメラ
ーゼ連鎖反応技術:スー他著、1997年、「バイオテクノロジー・アンド・バ
イオエンジニアリング」(Biotechnology and Bioengineering)。第55巻、2
号、359〜366頁”があるが、重要な反応素子が無視されている。重要なの
は、現在の標準型は、サイクルにおいて一定の温度で発生する変性、伸長および
アニーリングが顕著にこれらの本質事象の個々について一定の温度に熱サイクラ
ーをプログラムしたその方法次第であることを想定している事実である。しかし
、これらの事象の比率は温度次第であるため、単一化されすぎ、それらは広い温
度範囲にわたって(over)発生するようになっている。 理論上、特異な鋳型配列の増幅は指数関数を有するべきである、すなわち、完
璧な条件の下、増幅された鋳型(テンプレート)の量を反応の各サイクル後に二
倍する。しかし、適合度および増幅率が反応素子間の複合的相互作用によって制
御されている以上、理論上最適に到達することは決してない。通常の条件の下で
は、伸長のために重複部位の数が反応において酵素活性を超過してしまい、産生
の蓄積は後方サイクルの間中、制限される。この点において、生産の蓄積は線形
になる。これは、80℃を超える温度に長期被爆したポリメラーゼの不活性化に
よって構成される。増幅はアニ−リング温度、アニ−リング時間(annealing ti
mes)およびアニ−リング傾斜を注意深く考察することによって最適化できる。 プライミング率を減じる(reduced rate)代償として、傾斜率(ramp rate)を 調整することにより、非特異的プライミングを避けてアニ−リング温度を上昇さ
せることが可能である。これは、標識配列の指数的蓄積が発生する間のサイクル
範囲を増大させる。プライミング率とプライミングが発生する温度範囲は遊離M
2+の量によって決まる。 Taqポリメラーゼは高温の変性温度への余剰被爆で変性するため、変性時間
(denaturation times)および傾斜の類似した最適化は増幅に影響を与える(通
常は、1分〜5分あたり≧94℃)(参考文献:“耐熱性DNAポリメラーゼの
不活性化運動論”モハパトラおよびスウ著、1996年「バイオテクノロジー・
テクニック」(Biotechnology Techniques)、第10巻、569〜572頁)。
通常ポリメラーゼは過度に付加されるが、PCRにおける継続的な変性ステップ
はポリメラーゼの変性量に顕著な影響を及ぼす。さらに、これらの温度条件は、
DNA鋳型の純化(depurination)を生じる(通常、2Kbあたり94℃ mi n−1)。変性は、所定の変性温度に到達する前後に起こるため(一般的に、D NAは70℃と90℃の間で上昇速度とともに変性する)、傾斜時間(ramp tim
es)の修正が94℃にて時間(times)を制限するのに用いられる。 Taqのようなポリメラーゼはよく特徴づけされている。これらは、高温での
伸長率において緩やかな上昇を伴う標準的な温度依存性を示す。活性は、最適化
に到達し(通常、≒70℃)、その後、活性は鋭角に落ち込む(通常、≧80℃
)。伸長は、拡張された温度範囲にわたって発生する。この範囲にわたる伸長の
総計を考察することにより、伸長時間を減じることが可能である。例えば、顕著
な伸長がca.60℃で発生する。この温度で雑種核酸を生むオリゴヌクレオチ
ドは即座に伸長する。伸長時間は減じられるか、あるいは、時として、一緒に除
去される。 [発明の開示] 本発明は、ポリメラーゼ連鎖反応を制御するのに使用されるサ
イクリング条件の最適化を提供することを目的とする。 本発明の1つの態様によれば、請求項1に記載されたポリメラーゼ連鎖反応を
制御するのに用いられるサイクリング条件を最適化する方法が提供される。 好ましい実施例によれば、PCRのインテリジェント制御をもたらす方法が提
供される。これは、メンバシップ関数割当(membership function assignment: すなわち、温度と共に反応を起こす事象の集合状態)と、遺伝アルゴリズムと、
人工ニューラルネットワークとの新規な組合せにより増幅レベルをモデリングし
、予測することによって達成される。ここで、メンバシップ素子が暗示し、提供
するのは、特異な反応について増幅の度合いを決定する様々な反応パラメータの
明快な定義である。遺伝アルゴリズムは、温度サイクルの各段階において最適な
時間を決定するのに用いられる。ニューラルネットワーク素子は、メンバシップ
規則(membership rule)とメンバシップ関数を高めるために使用される。ニュ ーラルネットワークはその入力信号からより多くを学ぶため、初期訓練後に、メ
ンバシップ関数は更新される。この工程は、正確に最適化反応条件を予測するた
めに使用される(図1参照)。 好ましくは、この工程を用いて、プロトコルを1つの熱サイクラーから他のサ
イクラーへ伝達させる。この時、変性と、アニーリングと、伸長との相対的な寄
与(contributions)が、ソースサイクラーの熱性能を考察して初めに算出され 、それからサイクラー性能における差異を考察することによって、標的サイクラ
ーへ伝達される。 本発明の実施態様を添付の図面を参照しながら以下に説明するが、これは一例
に過ぎない。
【図面の簡単な説明】 図1は、所定のサイクル条件において増幅レベルを予測するために、特異な反
応事象のメンバシップ関数および遺伝アルゴリズムを用いる“インテリジェント
”熱サイクラー制御を示した概略図である。 図2は、自己学習制御プロセスを用いた増幅レベルの予測を示したものである
。 図3は、テンプレート終点(destination)のS字形メンバシップ関数を示し たものである。 図4は、最終点、アニ−リング、および伸長のメンバシップ関数を用いてPC
R増幅のモデリングを行う具体例を示したものである。 図5aは、好ましい遺伝アルゴリズムにおいてキーとなる事象を示す概要図で
ある。 図5bは、図5aの遺伝アルゴリズムの演算を示したものである。 図6aおよび図6bは、それぞれ、一点および二点の交さを示したものである
。 図7は、人工ニューラルネットワークおよび三層人工ニューラルネットワーク
におけるモードを示した概略図である。 図8は、0.25〜2.00のS字ゲインを伴うS字形伝達関数を示したもの
である。 図9〜図15は、好ましい方法に関連して得られた結果を示したものである。 実時間でPCRの進行を監視する新規な技術が近年説明されている(例えば、
フルオロジェニック5’核酸分解酵素化学(fluorogenic 5’ nuclease chemist
ries)−PE適用生物系(PE Applied Biosystems)および臭化エチジウムけい光 :“DNA増幅反応のリアルタイム監視PCR分析速度論”、ヒグチ他著、19
93年、「バイオテクノロジー」(Biotechnology)、第11巻、1026〜1 030頁参照)。これらの方法が反応時に形成される生成物の数量化をもたらし
たが、実時間監視による主要な利益は、最適化増幅を正確に予知し、維持するこ
とが可能なアルゴリズムから生じる。本発明に説明された方法を産生検知システ
ムと組合せて用いれば、PCRの力学的な実時間制御、反応の進行に伴うサイク
ル条件の継続的な更新、最適性能の維持が可能となる。 PCR条件は、通常、増幅レベルを最適化するために注意深い考察が必要とさ
れる。しかし、ポリメラーゼ連鎖反応は複雑であるため、伝統的な速度解析論を
手軽に用いて最適条件を予知するのは不可能である。一方、本発明は、反応素子
間の複合的な相互作用によって構成されている。実施態様では、サイクルプロフ
ィールにおける温度の全体範囲にわたる伸長、アニ−リング、変性の総量を計算
することによって増幅レベルを予知し、従来のPCR最適化が抱えてきた問題を
解消することを目指している。これらの事象の各々にメンバシップ関数を適用す
る“グレイボックス”のモデル化、遺伝アルゴリズム、および人工ニューラルネ
ットワークの新規な組合せを用いることにより、増幅のレベルを予知することが
可能となる。その後、各サイクル事象に要した時間から見て、ニューラルネット
ワークによって生成される重量の解析結果を用いて反応最適化を定義することが
できる。このプロセスは、以下によって説明することができる: 1.グレイボックスのモデル化は、最適アニーリングと、伸長および変性温度と
、これらの事象が発生する温度範囲を定義するのに用いられる。 2.これらの事象の各々にメンバシップ関数を適用して、所定のサイクルに亘っ
て増幅レベルを予知する。 3.遺伝アルゴリズムは、これらの各段階ごとの最適回数を決定するのに用いら
れる。 4.ニューラルネットワークは、予知した増幅レベルの確認および/あるいは修
正に用いられる。 5.実時間監視は、このプロセスをさらに精緻なものとするために用いられる。 このアプローチが熱サイクル制御を標準化するために適用されるPCRの特異
的制御ソフトウエアの基礎を提供し、同時に、PCR最適化のインテリジェント
制御プロセスに関する初めての説明でもある。 [メンバシップ関数の定義] 実施態様のプロセスにおける基本には、PCRの重要素子(変性、アニ−リン
グ、伸長)の一連のメンバシップ関数への変換が含まれる。反応の“グレイボッ
クス”のモデリングは、反応効率に影響及ぼす様々なパラメータの一連のメンバ
シップ関数及び規則、換言すれば、鋳型の変性と、プライマーアニーリングと、
プライマー/鋳型重複部分の伸長とに影響する係数を生成するために初期的に用
いられる。規則原理は、これらの事象を増幅サイクルにおける特異な温度と関連
付けるのに使用される。各反応変数の明快な値を用いて、単一のあるいは重複サ
イクルにわたる増幅のレベルを予知する。メンバシップ関数を用いれば、従来の
モデリング法のような特有の段階ではなく、全温度サイクルにわたって様々なプ
ロセスにおける比率の変化を考慮してPCRを動的にモデル化することが可能と
なる。 PCRは3つの原則的事象を含むと考察できる。すなわち、二本鎖鋳型の変性
と、プライマーの一本鎖変性鋳型へのアニーリングと、これらの重複部位の重合
とである。これらのプロセスが発生する比率は、温度によって決まる。反応にお
ける様々な素子間の相互作用は比率と最適の調整器である。これらのプロセスの
“グレイボックス”のモデリングがこれらの事象のメンバシップ関数を特異な温
度に関連付けさせる。遺伝アルゴリズムは、増幅を最適化するための各段階(t
1...t6)に割り当てる時間を修正し、素子の相互作用、不活性、純化など
の影響を制限するのに用いられる。ニューラルネットワーク素子は、段階の最適
を計算するのに要する時間を短縮するために使用する初期時間を学習するのに使
用される。 [変性メンバシップ関数] DNA鋳型の変性をS字形溶融カーブ(sigmoidal melting curve)で示すこ とができる。鋳型の変性温度はDNAが半分変性される時の温度を定義している
。70℃未満では、変性は殆ど発生しない。これを超えて温度を上昇させると、
変性の比率に著しい上昇が見られる。これらの高温はまた、酵素の不活性化およ
び鋳型の純化における比率を上昇させることにもつながる。原則的には、変性は
サイクル期間中の全温度分布において、即ち、上昇中も下降中も指定された変性
温度においても発生する。変性時間は、特定された変性温度に到達する間、およ
びその前後の変性比率を計算することで顕著に減少する。これは、酵素不活性化
のレベルと鋳型変性の量数とを最小にする。従って、増幅効率が上がる。 二本鎖鋳型の水素結合した連続塩基対間の共同相互作用は、溶解中、二本鎖が
完全に分離するまで継続的に分断させられる。鋳型変性のためのメンバシップ関
数Mdenatureは、従って、予知されたTおよび鋳型分子の最適変性温度によっ
て定義されるゲインqdenatureおよび中間点S(X)denatureと共にS字カーブ
(図3)によって定義することが可能である。ゲインqdenatureおよび中間点S
(X)denatureは、ニューラルネットワーク素子の修飾要因として使用される。
概括されたカーブはまた、例えば、ブール、台形、三角形、運動性などの変性の
メンバシップを定義するために用いられる。一般的には、ATおよびGC塩基対
を伴う天然(未変性)DNAは、72℃のT’sを有する。ポリ(AT)鋳型
はca.60℃のT’sを有し、ポリ(GC)鋳型はca.90℃のT’s
を有する。 [アニーリングのメンバシップ関数] アニーリングのメンバシップは、プライマーから鋳型へのハイブリダイゼーシ
ョンの比率を定義する。初期的には、プライミング温度T(または、T−5
℃)が、プライマーの長さで決まる最適ハイブリダイゼーションを定義するのに
使用される。一般的に、TおよびTは以下の等式の何れか1つから算出され
る:
【数1】 式中、Jが単価の陽イオンである時、lはオリゴヌクレオチドでFAはホル
ムアミドである。ハイブリダイゼーションのメンバシップ関数(Manneal)は、
その最大値がプライマーTまたはT−5℃で定義されるS字形カーブによっ
て示される(図3参照)。概括されたカーブはまた、例えば、ブール、台形、三
角形、運動性などのメンバシップを定義するために用いられる。アニーリングが
発生する温度範囲は、反応混合物における遊離マグネシウムイオンの濃度によっ
て決定される。中間点S(X)annealおよびゲインqannealは、アニーリングが
発生する温度範囲を定義し、これは反応中の遊離マグネシウムイオンの濃度と密
接に関わり合っている。ゲインqannealおよび中間点S(X)annealは、ニュー
ラルネットワーク素子の修飾要因として使用される。 [伸長メンバシップ関数] Taq活性の温度への依存については他者によって既に詳細に説明されている
(“DNAポリメラーゼ最大耐熱性細菌熱水性”シェン他著、1976年、「ジ
ャーナル・オブ・バクテリオロジー」(Journal of Bacteriology)第127巻 、3号、1550〜1557頁参照)。重複部位の重合のためのメンバシップ関
数は、その最大値を最適温度で定義するカーブによって示されている。これは、
使用される特定のポリメラーゼによって決定され、通常、ca.70℃の範囲で
ある。概括されたカーブはまた、例えば、ブール、台形、三角形、ベルなどのメ
ンバシップを定義するために用いられる。 図4は、t秒でのサンプルチューブ温度の単一PCRサイクルにおける反応メ
ンバシップであるMdenature、Manneal、Mextensionの値を示す。これらのサ イクルとサイクルの間、あるいはサイクル中の時間tの調節を到達増幅数量の最
適化に用いることができる。例えば、Taqポリメラーゼの純化や不活性化など
の増幅を減少させる係数は、最適化がこれらの事象の減少を前もって予想してい
るため、最適化のプロセスを通して減じられる。ニューラルネットワーク・アル
ゴリズムは、これらの事象のうちいずれが反応結果に最も影響するかを決定する
のに用いられる。 [遺伝アルゴリズムを用いての最適プロフィール時間の決定] 変性、アニーリングおよび伸長のために設定された時間の何れか1つの変更に
よって増幅レベルが変わるので、反応の最適化に対する戦略は明確でなく、算定
的に集約的なものでもない。本発明に記載した方法は、これらの問題点を克服す
るために独自に遺伝アルゴリズムを使用する。この問題への潜在性溶体(potent
ial solutions)の個体群は維持され、進化の原理、すなわち、選択、突然変異 、および/または組換え(乗換え)に従って繰返し更新されて来た。組換えが個
体群(親)の中から溶体の対を選択し、親からの素子を組合せて一連の新しい溶
体(子)を産生し、そうしてこれが溶体の新しい個体群に挿入される。選択原理
は、“悪”の溶体に優先して選ばれた“善”の溶体を要求する。これは、どの程
度“善”であるかに従って各溶体へ数を割当てる適性関数を定義することによっ
て達成される。選択は、最良の適合性を有する溶体(染色体)のみが未来の個体
群中に遺伝することを保証する。突然変異は、残りの個体群と相互作用すること
なく個体群の溶体を修飾するのに用いられる。遺伝アルゴリズムは従って、良い
溶体を共に産生する対立遺伝子(共同適合対立遺伝子)を探索する。 遺伝アルゴリズムの一般的な定義は存在しない。これは、オランダの文献の要
約に示されている(“自然系と人工系における適合”オランダ、1975年、ミ
シガン大学出版、アン・アーバー著参照)。この方法で使用している遺伝アルゴ
リズムの概略を図5に示すと共に、以下に手順を説明する。 1.初期設定:染色体の初期の集合体(通常、n=25...100)を無作為
に、あるいは、後述する人工ニューラルネットワーク素子から産生した入力染色
体を“シャッフル”して創作する。これは最適化を検索するアルゴリズムに要す
る時間を短縮させる。 2.評価:各染色体の適合性を評価する。この場合、前記に述べたメンバシップ
関数と個々の染色体によって特定されたサイクル時間を用いて増幅の量数が計算
される。次ぎに、適性関数が与えられ、各染色体の性能を数値的に符号化する。
3.取込み:最も適合性に優れたスコアの染色体(すなわち、最も短時間での最
高の予知増幅)を半無作為状態で、1回か2回、メイティングサブセットに置く
。2個の染色体を無作為に個体群から取り出す。最も適合性に優れたスコアの染
色体をメイティングサブセットに置く。両方の染色体を個体群に戻し、メイティ
ングサブセットが一杯になるまで、選択プロセスを繰り返す。これにより、適合
性の低い染色体はメイティング個体群から確実に取除かれる。親として選択され
る可能性は、適合性が正規化された染色体に比例する。これは、通常、より良い
染色体がより多くの子を産生することを意味する。しかし、プロセスの確率論的
性質から、時に不良な溶体から子が産生される。精鋭主義機能の付加もまた利益
をもたらす。ここで、何れかの親世代において単一の最良溶体が非修飾で子世代
にコピーされると、他の全ての子は正常に産生される。 4.探査:これは、次世代染色体の染色体を修飾するために組換えと突然変異演
算子を用いる(図5参照)。メイティングサブセットから無作為に2個の染色体
を選択し、かけ合せる。メイティングの確率は制御可能な関数で、通常、高い値
を示す(≒0.90)。組換え演算子は、2個の子を産生するために2個の親染
色体間の遺伝子を交換するのに使用される。図5では、3つの個体の個体群が示
されている。各々には適合性関数Fが与えられている。これらの適合性を基盤に
、選択期(the selection phase)が、第1の個体に0コピー、第2の個体に2 コピー、第3の個体に1コピーを割当てる。選択後に、遺伝演算子が確率的に付
与される:第1の個体は、1から0へ変異された第1ビットを有し、交差型は2
個の第2の個体を結合させて新しい個体にする(“フォレスタからの修飾”19
93年、「サイエンス」(Science)、第261巻、872〜878頁参照)。 組換えは一点および/あるいは二点交差型を伴う(図6参照)。一点交差型が
用いられる場合、乗換えポイントは、そのポイントまでに2個の親の間で交換さ
れる染色体および遺伝子に沿って選択される。二点交差型が生じる場合、2個の
乗換えポイントが選択され、その2点間で遺伝子が交換される。一部マッピング
された交差型(PMX)、序列交差型(order crossover:OX)、およびサイク
ル交差型(CX)などのその他の交差型アルゴリズムもまた使用できる。全ての
子は2個の親によって産生され、2個の子は同時に産生される。そして、子は次
世代の親となる。単一遺伝子の突然変異は他方の制御関数である。突然変異率は
、通常、低い確率を示し(≒0.001)、(N*L1/2−1で定義され、
式中Nは個体群の大きさ、Lは染色体の長さを示す。 5.この事象配列は、集束が生じるまで所定の世代数において繰り返される。密
集(crowding)の置換を用いて、未熟な集束に起因する問題を軽減させる。子は
多数の既存の親と比較され、最も自身と類似の親と置換えられる。密集の置換に
おいては、基本的に似たもの同士が置換えられ、副個体群が遺伝探索スペースの
様々な部位を探れるようになっている。これは、多数の散在する適合最大値があ
る場合、複合様態の検索スペースに対して特に有効である。 遺伝アルゴリズムに使われる基本構造は以下のように様式化できる: 個体群の初期設定 染色体の評価 正規化された適合性の算出 個体群での統計値の産生 連続世代の各々において { 候補置換の産生と評価 個体群の数を候補と置換 不変メンバーの再評価 適合性の正規化 個体群での統計値の産生 } サイクルプロフィールにおける各時間(対立遺伝子;t…t)をサイクル
の所定の段階で容認された最小限/最大限の時間に従ってビットI={0,1} に転換し、求められた時間分解能(表1)。次いで,これらをグループ分け
して、単一サイクルの総合時間プロフィールを示すビット連糸(染色体)が形成
される。初めに、各段階で容認された最小および最大時間に従ってストリングの
無作為個体群が創作される。変性、アニーリングおよび伸長段階に割当てられる
メンバシップ関数に従って初期時間を設定するのに、トレーニング後のニューラ
ルネットワークが用いられる。(注:通常、2進コード付けには欠点があり、あ
る段階で全てのビットを変更し、数字を1で変える必要がある。これは、最適条
件に近い個体にとっては、突然変異によってより近づくことを困難にする。1に
よって数字を増減させる事は、常に1ビットの変更なので、グレイコードの使用
が好ましい。) 表1に示すのは、ビットデータの符号化t、熱サイクラーがアニーリング(
72℃)から変性(94℃)へ温めるのに要した時間。最大許容時間は120秒
に設定(5℃sec−1ランプ)。
【表1】 サイクルでの各事象の最小時間は熱サイクラーの効率によって決定される。通
常、最小ランプ率は0.5℃−1と1℃−1の間に設定される。最大ランプ率は
通常、5℃−1を超えて高く設定する必要はない。従って、サイクル事象の最大
時間はランプ率および連続する次ぎの段階との温度差によって決定される。 増幅のモデル化は個体群における各染色体によって明示された時間プロフィー
ルと前述のメンバシップ関数とを用いて行われる。適合性は、可能な限り最短時
間で最大限の増幅を達成し、ミスプライミング、不活性化、および純化を促進す
る時間プロフィールの極値へは最小限に晒されることを基準に採点される。一定
の環境の下では、その他の適合特性を定義する助けとなる(例えば、RAPDや
差次表示などと共にミスプライミング事象を促進するのに欠かせない)。ひとた
び、個体群の全ての個体が評価されると、その適合性が次ぎの選択サイクルで染
色体を背sんたくするための取り込みおよび探査の基準として使用される。所定
回数の反復の後に染色体個体群の最適時間プロフィールが高度に示される。 [ニューラルネットワークの選択] このアプリケーションは、入力層、1つあるいは複数の隠れ層(hidden layer
)、および出力層を備えた正方向送りニューラルネットワークを使用する(図7
参照)。 各ノードは、外部信号または他のノードからの出力を表示する一連の重みつき
入力Wを設けている。隠れノードの数は、調節可能なパラメータである。重み
つき入力の合計は非直線的S字変換関数を用いて変換される。
【数2】 式中、f(x)は0〜1の範囲で、xは入力の加重和で、qはゲインである。
qの修飾がカーブの形を変える。qの小さな値がS字関数に急勾配を与える(例
えば、q=1.0)。反対に、qの大きな値はカーブをゆるい傾斜にする(例え
ば、q=2.0)。入力は温度制御された事象の塩基転移回数(transition tim
es)およびこれら事象の温度範囲を示す(図8参照)。変数ごとに1つの入力ノ
ードがある。入力ノードが重みつき入力信号を隠れ層のノードへ転送する。入力
層のノードiと隠れ層のノードjの接続は重み係数Wjiで表示される。従って
、隠れ層のJノードは、それぞれ重みベクターWを備える。これらの重みはト
レーニングの工程で調節される。各層はバイアス入力をも有し、データの非ゼロ
オフセットを取り込む。バイアス値は初期的には常に0に設定されている。項が
重みベクターに含まれることによって、バイアスは対応する層に接続される。こ
の重みもまた、トレーニング期に調節される。タンジェント h(Tan h)
、サイン、コサイン、一次などのその他の関数も使用される。 初期のトレーニング工程において、重みが調節される一方、一連の入力パター
ンがそれぞれ対応する予想出力と共に反復状態でネットワークに表示される。こ
れは、予想観察出力間の認知レベルが所望のレベルに到達するまで継続される。
異なる学習アルゴリズムを使用することが可能であるが、後方伝播が現在優勢の
アルゴリズムである。予想出力における誤差は汎用デルタ規則を用いてネットワ
ークを介して後方伝播され、重みの調節が決定される(“ミクロ組織の認知にお
ける並列分散探査処理”第1部、ルメルハートおよびマッククレーランド著 1986年、マサチューセッツ、ケンブリッジ所在のMIT出版、参照)。出力
層のタームを以下に示す: δpk=(tpk−opk)opk(1−opk) 式中、δpk は出力ノードkにおける観測値pの誤差項であり、tpkは観測
値pの予想出力で、opkは実際のノード出力である。opk(1−opk)は
S字関数の導関数である。隠れ層のノードjにおける誤差項は、出力層の重みと
出力誤差項の積合計とによって積算されるS字関数の導関数である:
【数3】 出力層および隠れ層からの誤差項は各々が各層の重みを調節することによりネ
ットワークを介して後方伝播される。重み調整あるいはデルタ調整は以下の通り
算出される: ΔWji(n)=ηδpjpi+αΔWji(n−1) 式中、ΔWjiは隠れ層のノードjと入力層のノードiとの間における重みの
変化であり、ηは学習率で、δpj は隠れ層のノードjにおける観測値pの誤差
項で、opiは観測値pの入力層のノードiにおける予想出力であって、αは
動量である。項nとn−1とはそれぞれ現在の反復と過去の反復とを示している
。トレーニング観測値pの全体の提示は、反復数nがpを超えた時に繰り返され
る。これに類似の方法がノードの隠れ層を次ぎの隠れ層に接続したり、最終隠れ
層と出力層の間を接続したりする重みを調節するのに用いられる。重み全体には
、トレーニングに先駆けて、初めに任意の数値が与えられる。 ニューラルネットアルゴリズムはメンバシップ関数を各増幅段階を定義する時
間プロフィールと関連付けするのに用いられる。トレーニング後に、この工程を
用いて高い精度で増幅レベルを予知することができる。予知された増幅レベルを
実時間監視と比較することにより、さらに反応を最適化することが可能となる。 B.D.コッブとJ.M.クラークソン著の“タグチ法の応用を用いてポリメ ラーゼ連鎖(PCR)を最適化する簡単手法”「ニュークリイク・アシッド・リ サーチ」(NUCLEIC ACIDS RESEARCH)、1994年、第22巻、18号、380 1〜3805頁参照)により、 反応から得られた増幅レベルで、様々な反応素子
の効果をすばやく評価する方法が提供されている。この方法を用いて、本発明の
プロセスで使用されニューラルネットワーク素子をトレーニングすることができ
る。ニューラルネットワークは反応から必要情報を取りこみ、増幅レベルを予知
する。アニーリング温度、鋳型、プライマー、dNTPおよびMgの濃度データ
から増幅を予想するのに、5、5、3、1形式を用いた2個の隠れ層を備えた5
個の入力ネットワークが使用された。表2に記載された条件を使用して27のト
レーニング反応が実行された。 5個の入力ノードを備えた4層ニューラルネットワーク、5個と3個のノード
を備えた2つの隠れ層、および単一の出力層をトレーニングするのに使用された
反応条件増幅レベルを表2に示す。
【表2】 これらの各反応から得られる増幅量が0〜5方式に基づいて採点された。この
データを用いて後方伝播およびS字伝達関数を使用するニューラルネットワーク
を養成したが、この方法は、これらの伝達関数や学習アルゴリズムに限定される
のもではない。図9〜15は、トレーニング中のニューラルネットワークからの
出力と、各入力が互いにどのように関連しているかを示している。これらのデー
タから反応のための最適温度はca.50℃であることが明白である。ネットワ
ーク情報は表3〜5に説明されている。(N.B.データ遺伝アルゴリズムを用い
れば、広い範囲の入力信号を試験し、最大出力を選択することで、反応の最適化
が定義される)。
【表3】
【表4】
【表5】 [活用] 現在のところ、PCR技術に関する主とした試みは、増幅レベルを最適化する
温度サイクルのプロフィールを制御できる“インテリジェント”計装の開発であ
る。目下、これにはサイクル条件を定義するための高度な技術的関与(involvem
ent)が必要とされる。最適条件は、継続的な試行錯誤の実験を通して発見され る。これは、作業時間、演算時間および消耗品の点から見て高価である。最適条
件が見つかることは稀で、補助的最適条件を利用した場合、一連の相互作用およ
び/または増幅の結果分析が困難になる。 ここに記載した本発明による方法を用いて、サイクル条件のインテリジェント
制御によって熱サイクル条件を最適化することが可能である。これは変性、アニ
ーリング、及び伸長がサイクルにおける所定の温度に制限されずに、プロフィー
ルにおける温度範囲にわたって伸長するという優位性を備える。サイクル全体に
わたってのこれらの事象のモデル化は各事象に認められた時間(times)の最適 化をもたらす。ミスプライマー、不活性化および純化といった事象は、これらの
事象を促進する条件への露出(exposure)を軽減することによる最適化の結果と
して減少する。この方法は、ブロック温度とサンプル温度との差異を計算に入れ
ることによって更に改良できる。この2つには考慮すべき遅滞があり、増幅レベ
ルに顕著な影響を及ぼす。 反応混合物、Mg2+の濃度、dNTPs、プライマー配列、鋳型データなど
に関する詳細はメンバシップ関数を定義するのに用いられる。反応データおよび
予知した鋳型サイズは反応をモデル化し、増幅レベルを決定するのに用いられる
。遺伝アルゴリズムはサイクルの時間プロフィールを最適化するのに使用される
。これは、演算子のプログラミングの必要性を除き、プログラムを標準化する構
想を提供する。 オンラインでの増幅監視をこの方法と組合せて用いることで、実時間における
最適増幅条件を力学的に維持することができる。これは、増幅の一貫性を維持す
ることが品質管理の臨界係数である場合に、診断用として特に利用される。 予測と実際に達成された増幅の比較結果を利用して、反応性能が相殺されるか決
定することができる。この情報は、最適増幅を維持するためにサイクル条件を最
新のものとする場合にも利用できるし、ユーザーに問題点を警告する場合にも利
用することができる。 NAA技術への更なる挑戦には、研究スペースおよび技術者たちの雇用といっ
た面から高コストを伴う病院研究室における分析から実際に使用して活用するこ
とを目指す地域分散(例えば、地域の個人病院によって)が含まれる。 これは 、多くの問題を伴う。逆に作用する演算条件、サンプル調整における誤差、およ
びオペレータ・エラーは、全て増幅およびその後のデータ判定を変える。操作環
境における変化を相殺する確固とした増幅条件および品質管理手順の必要性がP
CRベースの診断の受容性を推進する。 定性試験として、重要な性能特性を理解し、各活用ごとに定義することが求め
られる。基準標本と臨床的な設定とがNAA試験の判定に影響を及ぼす。偽陰性
のPCR結果が、臨床標本における阻害因子の存在、作業環境の変化、またはオ
ペレータ・エラーによってしばしば生じる。偽陰性との結果は、標的配列に用い
た試薬の汚染から生じる。感受性の遮断(例えば、遺伝子コピー番号、アニーリ
ング温度などへの感受性)およびこの遮断にまとわる欠陥再現性(poor reprodu
cibility)ゾーンをPCRの性能特性の見地から定義することができる。これら
の特性は、標本タイプおよび試験の臨床上の目的と共に、品質管理が考慮できる
構成を提供する。本発明を活用すれば、最適増幅を維持し、特異な増幅のために
遮断制限を管理する因子を即座に確立するための基準が提供される。 本発明による方法で最適化された反応は、固有に、その確固性を増大させてい
る。従って、この方法を標準最適化処理の基準として用いることが可能である。
サイクリングを実行する際の変化などもろもろの変化に対する確固性が、特異性
及び感受性を高める。加えて、大量の情報が、反応性能のストリンジェント品質
管理の基準を提供するこの手法を用いて抽出される。熱サイクラーの性能、反応
混合物の必須構成要素の変化、操作環境、および試験で用意される核酸物質のレ
ベルに関する不可欠情報を限られた数の反応から得ることができる。さらに重要
なことには、本発明の好ましい方法によって、異なる条件のもとで操作するため
に能力を“植付けする”手法が提供される。さらに、分析処理の実行を継続的に
監視することによって一連の分析のフィードバック最適化が可能となる。 本出願の優先権出願である英国特許出願第9720926.6号および本願に 添付された要約書の開示事項を参考までにここに組み入れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 コッブ ベンジャミン デイヴィッド イギリス ウィルトシャー ビーエイ15 1ジェイエス ブラッドフォード・オン・ エイヴォン 4エイ ザ・シャンブルズ モレキュラ センサーズ リミテッド Fターム(参考) 4B024 AA11 AA20 CA01 CA11 HA11 HA19 4B063 QA20 QQ42 QQ52 QR08 QR32 QR42 QR62 QS25

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を制御するのに用いられる
    サイクル条件を最適化するための方法であって、反応の間の変性、アニーリング
    、および伸長の各事象の相対的な寄与(contribution)を決定するためにメンバ
    シップ値を割当てることによって制御し、かつ、遺伝アルゴリズムを使用して各
    事象を完了するのに必要な最適時間を決定することから成る方法。
  2. 【請求項2】 変性、アニーリング、および伸長の相対的な寄与がメンバシ
    ップ値の割当てを通して計算される請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 メンバシップ値が所定の時点、あるいは、一連の時点にわた
    っての変性、アニーリング、および伸長の相対量を決定するために使用される請
    求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 遺伝アルゴリズムが変性、アニーリング、および伸長のため
    の最適時間を決定するのに用いられる請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 プロセスがPCRプロトコルに使用される時間を標準化する
    ため、あるいは、PCRプロトコルを最適化するために用いられる請求項1に記
    載の方法。
  6. 【請求項6】 プロセスが、プロトコルを一方の熱サイクラーから他方の熱
    サイクラーへ伝達するために使用され、変性、アニーリング、および伸長の相対
    的寄与がソースサイクラーの熱性能を考慮して初めに計算され、次ぎに、サイク
    ル動作の誤差を考慮に入れて標的サイクラーへ伝達する請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 オンライン監視が反応の実行に関するフィードバック情報を
    提供し、算出されたサイクル時間を微細に調節するために用いられる請求項1に
    記載の方法。
  8. 【請求項8】 ニューラルネットワークが最適サイクル条件に関する情報を
    得るために用いられる前記請求項の何れかに記載の方法。
  9. 【請求項9】 ニューラルネットワークが算出された増幅レベルを計算、確
    認、あるいは修正するために用いられる前記請求項の何れかに記載の方法。
  10. 【請求項10】 ニューラルネットワークを使用して一定の反応基準として
    増幅レベルを予知する方法。
  11. 【請求項11】 ニューラルネットワークのためのトレーニング入力が直交
    配列からのデータであり、出力は関連づけされたPCRから入手した増幅レベル
    を表示する請求項11に記載の方法。
  12. 【請求項12】 直交配列をニューラルネットワークのトレーニング入力の
    回数を減少させるために使用する請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 決定された特性が感受性の遮断である前記請求項の何れか
    に記載の方法。
  14. 【請求項14】 決定された特性が遮断にまつわる再現性ゾーンである前記
    請求項の何れかに記載の方法。
  15. 【請求項15】 予知した増幅レベルからの逸脱を決定することによってプ
    ロセスが品質管理手段として用いられる前記請求項の何れかに記載の方法。
  16. 【請求項16】 ポリメラーゼ連鎖反応を制御するために用いられるサイク
    ル条件を最適化するためのシステムであって、反応の間、変性、アニーリング、
    および伸長の各事象の相対的寄与を決定するために、該各事象のメンバシップ値
    を割当てるよう動作する処理手段を含み、該処理手段は各事象を完了するのに要
    する最適時間を決定するように動作する遺伝アルゴリズム手段を備えることを特
    徴とするシステム。
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