JP2002335813A - 皮膚疾患モデルマウス及びその作製用飼料 - Google Patents

皮膚疾患モデルマウス及びその作製用飼料

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JP2002335813A
JP2002335813A JP2002021275A JP2002021275A JP2002335813A JP 2002335813 A JP2002335813 A JP 2002335813A JP 2002021275 A JP2002021275 A JP 2002021275A JP 2002021275 A JP2002021275 A JP 2002021275A JP 2002335813 A JP2002335813 A JP 2002335813A
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Hiroaki Nagatsuyu
博昭 永露
Masato Kuramoto
正人 倉本
Masayuki Hoshino
雅行 星野
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Shiseido Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 皮膚疾患モデル動物の提供。 【解決手段】 皮膚疾患および/または免疫指標の異常
に伴う疾患のモデルマウスであって、ヘアレスかつ胸腺
存在の表現型を有するマウスに由来するモデルマウス、
ならびに低減したマグネシウム含量(場合により、さら
に低減した亜鉛含量)の飼料を用いる飼育による該モデ
ルマウスの作製方法および該飼料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はモデル動物に関し、
より具体的には、例えば、皮膚疾患モデルマウスならび
にその作製のため手段および用途に関する。
【0002】
【従来の技術】病態モデル動物または疾患モデル動物
は、一般に、ヒト疾患の原因究明や治療法の確立などを
目的として、ある動物の系統のもつヒト疾患類似の異常
形質を利用するために樹立されてきた。かような病態モ
デルは、正常動物に人為的操作を施し、ヒト疾患に類似
の病態または症状をつくり出す実験的発症モデルと遺伝
的に固定された形質として病的状態を自然発症する自然
発症モデルが存在する。これらのモデルは、主として、
難治性疾患の治療法の開発に向けられている。
【0003】難治性または慢性難治性疾患とみなされて
いるアトピー性皮膚炎を初めとする皮膚疾患モデルは、
多種多様なモデルが提案されている。これらには、皮膚
での発症という観点から動物を特定の薬剤で感作してモ
デルを作製する実験的発症モデルが中心である。典型的
な例としては、近交系として樹立されているNC/Ng
aマウスのSPF(Specific Pathogen Free:特定の微
生物、寄生虫がいない)動物にパプテンを用いて皮膚炎
を誘導したモデル(第125回 日本獣医学会予稿F1
−12)、NC/Ngaマウスをコンベンショナルな環
境下で飼育し、掻痒性皮膚炎を自然発症させたモデル
(CRJ LETTERS Vol.11、No.1 19
98、1−10、Charles River Japan Inc.)が挙げら
れる。これらの動物における皮膚炎が臨床的、病理組織
学的にアトピー性皮膚炎と酷似すると示唆されている。
しかし、かようなマウスは被毛を有するため皮膚炎の確
認は耳介および顔面で行う必要がある。
【0004】さらに、上記SPF動物を用いる場合には
長期にわたりハプテン誘導(ピクリルクロライドの投
与)を行わなければ発症せず、他方、コンベンショナル
環境下での飼育を伴う後者では、飼育環境の微生物学グ
レードが低いために感染症の発生が危惧される。したが
って、被検物質を皮膚に投与して評価するためのモデル
動物としては必ずしも満足できるものでない。また、発
症率も最大で7〜8割程度とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、実験
動物としての取り扱いがより簡便であり、しかも、より
ヒトの皮膚疾患の病態に近似するモデル動物を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】一般的に、皮膚疾患は、
遺伝的および環境的等の複合的要因が関与していると示
唆されている。本発明者らは、両要因が組み合わさった
系であって、簡易に皮膚疾患が発症するモデル動物を探
求してきた。その結果、ヘアレスかつ胸腺存在の表現型
を有するマウスを、特殊飼料を用いて飼育した場合に、
アトピー様皮膚疾患(またはドライスキン)およびシワ
様皮膚疾患を安定して誘導でき、しかも、特殊飼料飼育
を通常飼料飼育に切り替えると約1週間で該症状が軽減
する可逆性を有することを見出した。さらに、かような
皮膚疾患が誘導されたマウスでは、アトピー性皮膚炎や
アレルギー性鼻炎、気管支喘息の発症、進展に関係する
最大の因子とみなされているIgE抗体が有意に増加す
ることも見出された。そして、これら疾患は実質的に1
00%の割合で誘導されることのみならず、随意漸進的
に症状を進行または軽減することができる。
【0007】したがって、本発明は、皮膚疾患および/
または免疫指標の異常に伴う疾患のモデルマウスであっ
て、ヘアレスかつ胸腺存在の表現型を有するマウスに由
来するモデルマウスを提供する。
【0008】また、別の態様の本発明として、ヘアレス
かつ胸腺存在の表現型を有するマウスを離乳後、ゲッ歯
類の通常飼育飼料におけるミネラル系のうちマグネシウ
ム含量を、好ましくはさらに亜鉛含量をも、有意に低減
させた特殊飼料を給餌すること以外は通常のマウスの飼
育条件下で、該マウスに皮膚疾患および/または免疫指
標の異常に伴う疾患が誘導されるのに十分な期間飼育す
ることを特徴とする前記モデルマウスの作製方法も提供
する。
【0009】さらに、かようなモデルマウスおよびモデ
ルマウスの作製方法を用いて、被検物質が皮膚疾患およ
び/または免疫指標の異常に伴う疾患に対して予防もし
くは治療効果を有するか否かについての評価方法も提供
する。
【0010】
【発明の具体的な記述】本発明を特定するのに使用され
ている語または語句は以下の概念または意味を表す。
【0011】「ヘアレスかつ胸腺存在の表現型を有す
る」とは、記載されている形質が侵襲的(例えば、外科
的等)な手段によってもたらされたものでなく、生来の
遺伝子の作用によって細胞または個体に現れることを意
味する。したがって、「ヘアレス」には、剃毛や人工的
な脱毛等により無毛となった状態は排除されている。
【0012】「皮膚疾患」は、必ずしも重篤な皮膚疾患
を意味するものでなく、皮膚の機能、構造または両方に
障害が起こっている状態をいう。例えば、これらの状態
には、皮膚バリヤー機能または構造上に障害のある皮膚
水分量の有意な低下、経皮水分蒸散量の有意な増大(ド
ライスキン)、皮膚厚の有意な増大、表皮の肥厚、異常
角化、基底細胞内の細胞内浮腫等の存在する状態が挙げ
られる。「有意に」とは、対照マウス(通常の飼育条件
下で飼育されたヘアレスかつ胸腺存在の表現型を有する
マウスであって、皮膚疾患の誘導されていないモデルマ
ウスに対応するマウス)と比較した場合に、統計学的に
有意差の認められる程度を意味する。
【0013】「免疫指標」とは、対象とされている動物
の免疫状態を反映する個体内の成分で、特に免疫グロブ
リンE(IgE)を典型的なものとして挙げることがで
きる。本発明に従うモデルマウスでは、血中IgE濃度
が有意に増加している。IgEは、一般にアトピー患者
で有意に増加することが知られている。また、上記皮膚
の機能または構造上の障害とIgEの増加傾向を併わせ
て考慮すると、本発明に従うモデルマウスの疾患は、軽
度から重度のアトピー様疾患(アトピー様のドライスキ
ンおよびシワ様皮膚の発現)に酷似しており、モデル動
物として有用であることが理解できる。
【0014】本発明に従うモデル動物で重要なことは、
上記の皮膚疾患やIgE濃度の変化を除き後述する、給
餌飼料におけるマグネシウム含量が、場合によっては、
さらに亜鉛含量をも、異なる以外は、同一ないしは近似
する条件下で飼育した場合、飼育中の成育状態、例えば
体重の推移は、該疾患を誘導していない対応する動物
(本明細書では、対照マウスともいう)のそれらと実質
的に識別できないことである。さらに、脳、心臓、肺、
腎臓、脾臓等の主要な臓器、ならびにIgE濃度を除き
血液学的性状、血液化学的性状も本発明に従うモデルマ
ウスと対照マウスとの間で飼育中に有意差はみられな
い。このような特性も本発明に従うモデルマウスが選択
的に皮膚疾患やIgE濃度の変化を示す、極めて有用な
モデル動物であることを意味する。
【0015】このような本発明に従うモデルマウスは、
もう一つの態様の発明として提供するモデルマウスの作
製方法によって簡易に取得できる。該作製方法では、ヘ
アレスかつ胸腺存在の表現型を有するマウスを用いる。
このようなマウスを、後述する飼育条件下で飼育するこ
とにより、前述の本発明に従うモデルマウスを誘導する
ことができる。限定されるものでないが、好ましくは、
テンプル大学 Skin and Cancer Hospital(米国、フィ
ラデルフィア)の Dr.Don Forbes から分与された Sk
n:HR−1系統(アルビノ系)をSPF化し、これら
の近交系の中から繁殖力のよいものとして選ばれたヘア
レスかつ胸腺存在の表現型のものを使用する。上記、Sk
n:HR−1系統は、由来不明のヘアレスマウスと近交
系のCBA/Manマウスとの交配を介してテンプル大
学で確立された系である。これに習い、当業者は、他の
利用可能なヘアレスマウスを用いて、本発明で使用でき
るヘアレスかつ胸腺存在の表現型を有するマウス系統を
確立できるであろう。なお、本発明で実施例で使用する
該表現型を有するマウスは、例えば、HR−1ヘアレス
マウスとして、埼玉県八潮市八条に居所を有する株式会
社星野試験動物飼育所より入手可能である。
【0016】このような表現型を有するマウスを、ゲッ
歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター)の通常飼
育飼料におけるミネラル系のうちマグネシウム含量を有
意に低減させた特殊飼料で飼育する。該通常飼育飼料に
は、一般的に、実験用マウス、ラット、ハムスターの飼
育用または繁殖用として、少なくとも、粗蛋白質を、例
えば、約16〜約30%、粗脂肪を、例えば、約2〜約
10%、粗繊維を、例えば、約2〜約17%、粗灰分
を、例えば、約5〜約10%、ビタミン系を、例えば、
約0.2〜約0.5%およびミネラル系を、例えば、約
0.18〜約0.40%含み、ミネラル系のマグネシウム
が元素換算で総飼料質量当たり、例えば、約0.24〜
0.26%含まれており、また、亜鉛が元素換算で総飼
料質量当たり、例えば、約0.006〜0.007質量%
含まれている。このような通常飼育飼料の組成は、各種
実験動物用飼料を製造または販売している業者のパンフ
レット類から知ることができるであろう。例えば、オリ
エンタル酵母工業株式会社から配布されている標準飼料
成分内容一覧等が利用できる。
【0017】本発明のモデルマウス作製方法で使用でき
る特殊飼料は、上記通常飼育飼料におけるミネラル系の
うちマグネシウム含量を、さらに場合により亜鉛をも、
有意に低減させたものである。有意に低減とは、マグネ
シウム含量を総飼料質量当たり約0.1質量%以下、好
ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質
量%〜0.02質量%とする。さらに、亜鉛を低減する
場合には、亜鉛含量を総飼料質量当たり約0.0055
質量%以下、好ましくは約0.006質量%〜0.005
5質量%とする。かような特殊飼料を用いてヘアレスか
つ胸腺存在の表現型を有するマウスを、該マウスに皮膚
疾患および/または免疫指標の異常に伴う疾患が誘導さ
れるのに十分な期間飼育する。この飼育に際し、動物に
対して特殊飼料の給餌を開始する時期は、原則として限
定されないが、通常、離乳直後(3〜4週齢)から開始
すると、皮膚疾患の発現が早くなる傾向が認められる。
その後、かような特殊飼料の給餌を継続すると、給餌開
始から2〜4週目(5〜8週齢時)に、上記の皮膚疾患
の症状が徐々に現れ、そして/またはIgE濃度が有意
に上昇する。他方、特殊飼料の給餌を停止し、代わりに
通常飼育飼料を給餌し続けると、約1週間で該症状は軽
減する。給餌は、動物が飼料を自由摂取できる状態で行
う。
【0018】その他の飼育条件は、「実験動物施設の建
築および設備」(平成8年版ガイドライン、日本建築学
会編)に準じる。要約すると、飼育室の設定条件として
温度は21〜25℃、湿度40〜70%、換気回数10
〜15回/時間、照明時間12時間照明(7〜19時点
灯)、飼育器材は合成樹脂製平底ケージ(単飼用:13
6:208×115mm、群飼用:225×338×1
40mm)、飲料水は紫外線照射およびミクロフィルタ
ー処理した水道水を自由摂取、飼育室の清浄度として塵
埃はクラス10,000以下(動物を飼育していない区
域)、落下細菌は3個以下(動物を飼育していない区
域)、臭気はアンモニア濃度で20ppm以下、照度は
150〜300ルクス(床上40〜85cm)、騒音は
60dB以下の飼育環境で飼育を行った。
【0019】上記のように、特殊飼料を用いることによ
り、本発明に従うモデルマウスを作製できることは、本
発明者らの知る限り、文献未載である。したがって本発
明は、さらなる別の態様の発明として、上記特殊飼料を
提供する。特に、上記特殊飼料は本発明に従うモデルマ
ウスを作製するために使用される。
【0020】本発明に従うモデルマウスまたはその作製
方法は、上述のとおり、被検物質が皮膚疾患および/ま
たは免疫指標の異常に伴う疾患の程度を変化(例えば、
予防または治療)できるか否かの評価に使用できる。こ
の評価は、例えば、皮膚科用製剤や化粧料あるいはそれ
らに含まれる特定成分が所期の効能を有すか否かの評
価、さらには、そのような効能を有する物質のスクリー
ニングに役立つであろう。モデルマウスを用いる場合に
は、被検物質を疾患が誘導されているモデルマウスに対
し任意の時期に経口投与もしくは非経口投与または経皮
的に投与して、その後も特殊飼料を給餌した後の病態の
変化をトレースすることによって評価のためのデータを
取得する。他方、モデルマウスの作製方法を被検物質の
評価に使用する場合には、特殊飼料の給餌前または給餌
中に被検物質を動物に上述のような投与経路で投与し、
疾患の誘導が抑制ないしは防止されるかをトレースする
ことによって、被検物質の効能を評価できる。上記トレ
ースの対象は、例えば、後述する、皮膚水分量、経皮水
分蒸散量、皮膚厚および血中IgE濃度が指標となる
が、これらに限定はされない。
【0021】
【実施例】以下、本発明を具体例を挙げて説明する。 例1.モデルマウスの作製 HR−1ヘアレスマウス(星野試験動物飼育所より購
入)に離乳後(3週齢)より下記の特殊飼料を自由給餌
(十分量を与え、自由に摂取させる)し、「実験動物施
設の建築および設備」(平成8年版ガイドライン、日本
建築学会編)に準じて飼育する。通常、1日に動物1匹
当たり4〜6gを摂取させる。
【0022】上記給餌後4週間目あたりから、アトピー
性皮膚疾患様の皮膚症状(乾燥、シワ)を呈するように
なる。特殊飼料の処方1(1000g中) カゼイン 240.0 シュクロース 643.1 セルロース 60.0 塩化コリン 1.0 ビタミン系 4.5 ミネラル系 1.5 CaHPO4・2H2O 33.0 CaCO3 3.0 NaCl 5.0 K2CO3 7.5 MgSO4・7H2O 1.4 1000.0 g ビタミン系 4.5g中 V.A (75万IU/g) 0.9528 V.D3(50万IU/g) 0.2133 V.E (50%W/W) 7.1104 V.K3 0.1778 V.B1 0.3555 V.B2 0.3555 V.B6 1.4221 V.B12 1.7775 V.C 3.5552 パントテン酸Ca 0.7110 ナイアシン 7.1104 ビオチン(2%W/W) 0.8888 DL−メチオニン 53.3276 リジン 22.0421 100.0 % ミネラル系 1.5g中 FeSO4・2H2O 61.81 CuSO4・5H2O 5.60 MnSO4・5H2O 23.17 ZnO 9.42 100.0 %特殊飼料の処方2 上記処方1におけるミネラル系を、 ミネラル系 1.5g中 FeSO4・2H2O 64.47 CuSO4・5H2O 5.60 MnSO4・5H2O 25.83 ZnO 4.10 100.0 % としたこと以外は、処方1と同じ組成を有する。 <評価試験>HR−1ヘアレスマウスを通常飼育飼料群
と特殊飼料群に分け、通常飼育飼料群には、通常飼育飼
料(マウス用飼料CRF−1:オリエンタル酵母工業株
式会社製)、特殊飼料群には、特殊飼料(上記低Mg飼
料)を自由給餌させ、「実験動物施設の建築および設
備」(平成8年版ガイドライン、日本建築学会編)に準
じて飼育し、以下の試験を行った。試験1:体重変化 通常飼育飼料群、特殊飼料(処方1および処方2)群
(共に雌雄各5匹);給餌開始4週齢 体重変化 給餌開始後から6週間、1週間毎にマウスの体重を測定
し、雌雄別にその推移を比較した。結果を図1(処方1
について)および図2(処方2について)に示す。試験2:皮膚状態 通常飼育飼料群、特殊飼料群(処方1および処方2)
(共に雄5匹);給餌開始5週齢 給餌開始4週間後のマウス背部の皮膚水分量、経皮水分
蒸散量、皮膚厚を以下の方法で測定した。さらに、マウ
ス背部の皮膚を肉眼および組織学的(HE染色)に観察
した。処方1を用いた結果を図面に代わる写真3および
4に示す。 皮膚水分量:スキコン200(日本IBS社製)を
用いて、皮膚のコンダクタンスを測定し、皮膚水分量の
指標とした。結果を図5(処方1について)および図6
(処方2について)に示す。 経皮水分蒸散量:テヴァメーターTM210(Cour
age+Khazaka 社製)を用いて、単位面積あたりの経皮
水分蒸散量を測定した。結果を図7(処方1について)
および図8(処方2について)に示す。 皮膚厚:ダイアルシックネスゲージを用いて、皮膚
厚を測定した。結果を下記表1(処方1について)およ
び表2(処方2について)に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】 血液性状 開始時と6週間給餌後、血液を採取し、IgE濃度を測
定した。
【0026】結果を下記表3(処方1について)および
表4(処方2について)に示す。
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】試験結果のまとめ: 体重 試験期間中特殊飼料を給餌した場合および通常飼育飼料
を給餌した場合に若干のバラツキはあるが雌雄とも同様
な体重の推移が認められた。 皮膚状態 皮膚水分量:特殊飼料(処方1および処方2の両方と
も)群の方が雌雄とも有意に皮膚水分量は少ない傾向が
認められた(P<0.001)。
【0030】経皮水分蒸散量:特殊飼料(処方1および
処方2)群の方が雌雄とも有意に単位面積あたりの経皮
水分蒸散量は多い傾向が認められた(P<0.00
1)。
【0031】皮膚厚:特殊飼料(処方1および処方2)
群の方が有意に厚くなる傾向が認められた(P<0.00
1)。
【0032】IgE濃度:特殊飼料(処方1および処方
2)群の方が雌雄とも有意にIgE濃度は増加する傾向
が認められた(P<0.001)。 例2.モデルマウスを用いた薬剤の評価 本例は、皮膚疾患の治療に有効であることが知られてい
るステロイド剤が本発明のモデルマウスの皮膚疾患にも
有効であることを確認し、該モデルマウスが皮膚疾患モ
デルとなりうることを例証する目的で提供する。動物と
して4週齢のHR−1マウス(雄)を用い、5週間上記
の特殊飼料(処方1)を給餌し、9週齢時より薬剤の塗
布実験を開始した。各群10匹として、下記の3群につ
いて観察した。
【0033】1群:薬剤投与群(特殊飼料(処方1)を
全期間給餌+薬剤投与) 薬剤として、リンデロン−VGクリーム12%(1g
中、吉草酸ベタメタゾン1.2mg、硫酸ゲンタマイシ
ン1mg力価;塩野義製薬株式会社)0.01gを背部
皮膚全面に5回/週(1回/1日)の頻度で塗布した。
【0034】2群:特殊飼料投与群(特殊飼料を全期間
給餌のみ) 3群:通常飼料投与群(通常飼料を全期間給餌のみ) 観察項目(1回/週の頻度で皮膚水分量、経皮水分蒸散
量および皮膚厚について、次の時期に測定:開始時、8
日目、15日目、22日目、29日目、終了時) 薬剤投与群の観察結果 1) 試験開始8日目より皮膚水分量、経皮水分蒸散
量、皮膚厚に変化が生じた。
【0035】2) 15日目より皮膚水分量、経皮水分
蒸散量および皮膚厚は、特殊飼料群と比較して有意に皮
膚の改善効果が認められた。
【0036】3) 22、29日目および試験終了時ま
で特殊飼料群と比較して、有意に皮膚の改善効果は継続
された。しかしながら、塗布35日間では通常飼料投与
群の皮膚水分量、経皮水分蒸散量、皮膚厚までには回復
しなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】通常飼育飼料と特殊飼料(処方1)を給餌した
場合の体重の推移を示すグラフである。
【図2】通常飼育飼料と特殊飼料(処方2)を給餌した
場合の体重の推移を示すグラフである。
【図3】各飼料給餌後のマウスの背部皮膚状態を表す図
面に代わる写真である。
【図4】各飼料給餌後のマウス皮膚組織の図面に代わる
組織学的写真である。
【図5】各飼料(特殊飼料は処方1)給餌後のマウス背
部の皮膚水分量を表すグラフである。
【図6】各飼料(特殊飼料は処方2)給餌後のマウス背
部の皮膚水分量を表すグラフである。
【図7】各飼料(特殊飼料は処方1)給餌後のマウスの
皮膚の単位面積当たりの経皮水分蒸散量を表すグラフで
ある。
【図8】各飼料(特殊飼料は処方2)給餌後のマウスの
皮膚の単位面積当たりの経皮水分蒸散量を表すグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 星野 雅行 埼玉県八潮市八条4035 Fターム(参考) 2B005 EA04 2B150 AA10 AB20 DE01 DH05 DH09 DH35

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 皮膚疾患および/または免疫指標の異常
    に伴う疾患のモデルマウスであって、ヘアレスかつ胸腺
    存在の表現型を有するマウスに由来するモデルマウス。
  2. 【請求項2】 皮膚疾患が、対照マウスとの比較におい
    て、皮膚水分量の有意な低下、経皮水分蒸散量の有意な
    増大および皮膚厚の有意な増大からなる群より選ばれる
    1種以上の症状を示すものである請求項1記載のモデル
    マウス。
  3. 【請求項3】 免疫指標の異常が、対照マウスとの比較
    において、血中IgE濃度の有意な増加である請求項1
    記載のモデルマウス。
  4. 【請求項4】 ヘアレスかつ胸腺存在の表現型を有する
    マウスが雌性HR−1(近交系)と雄性HR−1(近交
    系)との交配を介して得られる請求項1〜3のいずれか
    に記載のモデルマウス。
  5. 【請求項5】 モデルマウスがSPF化されている請求
    項1〜3のいずれかに記載のモデルマウス。
  6. 【請求項6】 ヘアレスかつ胸腺存在の表現型を有する
    マウスを、離乳後、ゲッ歯類の通常飼育飼料におけるミ
    ネラル系のうちマグネシウム含量を有意に低減させた特
    殊飼料を給餌すること以外は通常のマウスの飼育条件下
    で、該マウスに皮膚疾患および/または免疫指標の異常
    に伴う疾患が誘導されるのに十分な期間飼育することを
    特徴とする請求項1記載のモデルマウスの作製方法。
  7. 【請求項7】 特殊飼料が少なくとも粗蛋白質、粗脂
    肪、粗繊維、ビタミン系およびミネラル系を含んでな
    り、ミネラル系のマグネシウムが元素換算で総飼料質量
    当たり0.1質量%以下である請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 マグネシウムが元素換算で総飼料質量当
    たり0.01〜0.02質量%であり、疾患が誘導される
    のに十分な期間が特殊飼料の給餌開始日から3週間以上
    である請求項6または7記載の方法。
  9. 【請求項9】 該通常飼育飼料におけるミネラル系のう
    ち亜鉛含量もさらに有意に低減させた特殊飼料を給餌す
    る請求項6記載の方法。
  10. 【請求項10】 亜鉛が元素換算で総飼料質量当たり
    0.0055質量%以下である請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 亜鉛が元素換算で総飼料質量当たり
    0.004〜0.0055質量%である請求項9記載の方
    法。
  12. 【請求項12】 特殊飼料がマウスの離乳直後から給餌
    される請求項6〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 【請求項13】 飼育がSPF動物施設で行われる請求
    項6〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 【請求項14】 少なくとも粗蛋白質、粗繊維、ビタミ
    ン系およびミネラル系を含んでなり、ゲッ歯類の通常飼
    育飼料におけるミネラル系のうちマグネシウム含量を有
    意に低減させたこと以外は、通常飼育飼料と同様な組成
    を有する、ゲッ歯類の皮膚疾患および/または免疫指標
    の異常に伴う疾患を誘導するための飼料。
  15. 【請求項15】 マグネシウム含量が元素換算で総飼料
    質量当たり0.05質量%以下である請求項14記載の
    飼料。
  16. 【請求項16】 該通常飼育飼料におけるミネラル系の
    うち亜鉛含量もさらに有意低減された請求項14記載の
    飼料。
  17. 【請求項17】 亜鉛が元素換算で総飼料質量当たり
    0.0055質量%以下である請求項16記載の飼料。
  18. 【請求項18】 請求項1〜5のいずれかに記載のモデ
    ルマウスに被検物質を投与し、皮膚疾患および/または
    免疫指標の異常に伴う疾患の程度の変化を検出し、該疾
    患の程度の軽減が達成できるか否かについての該被検物
    質の評価方法。
  19. 【請求項19】 投与経路が経皮投与である請求項18
    記載の評価方法。
  20. 【請求項20】 請求項6〜13のいずれかに記載のモ
    デルマウスの作製方法において、被検物質を特殊飼料の
    給餌前または給餌中にマウスに投与し、皮膚疾患および
    /または免疫指標の異常に伴う疾患が誘導される程度を
    検出し、該疾患を予防もしくは治療しうるかについての
    該被検物質の評価方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014023526A (ja) * 2012-06-19 2014-02-06 Santen Pharmaceut Co Ltd ヘアレス動物の眼瞼状態の変化方法
JP2018183075A (ja) * 2017-04-25 2018-11-22 オリエンタル酵母工業株式会社 低蛍光性実験動物用飼料およびその製造方法

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