JP2002334207A - ポートフォリオ最適化システム - Google Patents

ポートフォリオ最適化システム

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JP2002334207A
JP2002334207A JP2001141688A JP2001141688A JP2002334207A JP 2002334207 A JP2002334207 A JP 2002334207A JP 2001141688 A JP2001141688 A JP 2001141688A JP 2001141688 A JP2001141688 A JP 2001141688A JP 2002334207 A JP2002334207 A JP 2002334207A
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linear programming
parameter
simulation
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JP2001141688A
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Norio Hibiki
規雄 枇々木
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Keio University
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Keio University
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Abstract

(57)【要約】 【課題】入力するパラメータを変更することなく、シミ
ュレーション型多期間確率計画モデルを用いたポートフ
ォリオの最適化を短時間で行うことができるシステムを
提供する。 【解決手段】入力部1から、ポートフォリオを求めるた
めのパラメータの初期値を入力され、シミュレーション
装置2で、モンテカルロ・シミュレーションにより、複
数のサンプル・パス(経路)について、各期間又は各時
点のパラメータの値が求められる。前処理装置3は、入
力装置1から入力されたパラメータの値及びシミュレー
ション装置で求めたパラメータの値を用いて新しいパラ
メータを生成し、生成したパラメータを用いた線形計画
問題の計算を指示する。この新しいパラメータの生成
は、ポートフォリオに含まれる危険資産および現金に関
するパラメータを用いて行い、前処理装置3からポート
フォリオに含まれる現金に関する決定変数を含まない線
形計画問題が、線形計画問題計算装置4に対して指示さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多期間ポートフォ
リオ最適化システムに関し、シミュレーションによるパ
スを用いて不確実性を記述した確率計画モデルを用いた
多期間ポートフォリオ最適化システムに関する。
【0002】
【従来の技術】複数の投資対象の中から投資家にとって
最も好ましいように、どの投資対象にどれだけ投資をし
たらよいかという問題をポートフォリオ最適化問題とい
う。ポートフォリオ最適化問題を解くためのモデルとし
ては、モデル構築や解法上の容易さから、運用期間にか
かわらず、平均・分散モデルを代表とする1期間モデル
が中心的に用いられている。しかし、年金基金などの長
期的な資金運用を行う投資家にとって、多期間にわたる
不確実性を考慮した動的投資政策の決定を「明示的に」
モデル化するためには、1期間モデルではなく、多期間
モデルを構築する必要がある。
【0003】多期間ポートフォリオ最適化問題を実際に
解くためのモデルとしては、シナリオ・ツリーを用いた
多期間確率計画モデルが中心となって発展している。シ
ナリオ・ツリーを用いた多期間確率計画モデルは近年、
コンピュータの高速化と解法アルゴリズムの発展に伴
い、大規模な問題を解くことが可能になり、様々な研究
が行われている。しかし、シナリオ・ツリー型モデルは
不確実性の記述を詳細にしようとすると、問題の規模が
指数的に増加するという欠点がある。また、問題を大規
模にしないためには数少ないシナリオでうまく不確実性
を記述しなければいけない難しさもある。
【0004】一方、発明者は、モンテカルロ・シミュレ
ーションによるパス(乱数を用いて離散的な価格変動を
数値的に記述した一連の経路。ここでは、シミュレーシ
ョン経路と呼ぶ。)を用いて不確実性を記述し、以下に
示す取引戦略による投資決定ルールを用いて線形計画問
題(目的関数が非線形凸関数の場合には、非線形凸計画
問題となるが、大域的最適解は保証される。)として記
述できるモデル化(定式化)を提案している(枇々木規
雄, 戦略的資産配分問題に対する多期間確率計画モデ
ル, 日本金融・証券計量・工学学会 1999年冬季大会予
稿集, pp. 36--55.)。
【0005】取引戦略「どの状態が生じた場合でも、取
引後(リバランス後)の危険資産jへの投資量(もしく
は投資額)を同一にする。各経路での富は異なるが、そ
の富と危険資産への投資量(もしくは投資額)の違いは
すべて現金で保有する。したがって、シミュレーション
経路の各時点(状態)における現金の保有額は同一では
ない。」
【0006】このタイプのモデルは「シミュレーション
型多期間確率計画モデル」と呼ばれる。以下、このモデ
ルの概要を説明する。
【0007】シミュレーション型モデルでは、 図3の
ようなシミュレーション経路によって、将来の資産価格
の不確実な変動を記述する。資産価格変動(収益率)の
振る舞いが確率微分方程式(確率差分方程式)や時系列
モデル式などで記述されるとき、モンテカルロ・シミュ
レーションによって複数のサンプル・パスを生成するの
は比較的容易である。
【0008】このようなタイプのモデルはシナリオ・ツ
リーに比べて不確実性をより詳細に記述することが可能
である。シミュレーションで生成された複数のサンプル
・パス(シミュレーション経路)を直接的に利用するこ
とができるので、どのような確率分布に従っている場合
でも(確率分布を複雑に合成した場合でも)、シミュレ
ーションでパスを生成することができれば、問題を解く
ことができるという極めて柔軟で強力なモデル化の方法
である。
【0009】シミュレーション経路は1本の経路にだけ
注目すると、t時点の状態の次に発生するt+1時点の
状態は1つしか想定しない。したがって、各状態毎に投
資の意思決定を別々に行うと、それは確定条件下での意
思決定を行うことになる。そこで、シミュレーション型
モデルの場合には、すべての時点で状態に依存しない
(どの状態に到達するかにかかわらない) 取引戦略に
よる意思決定を行わなければならない。ただし、現金は
運用する各時点で収益が確定するので状態に依存しても
よい。ここで、「 状態に依存しない取引戦略 」とは、
1つの投資決定をすべてのシミュレーション経路に適用
することを意味する。ここで、投資の意思決定が経路に
かかわらずに各時点で1通りしか許されないのは、非予
想条件(non-anticipativity condition)を保つためで
ある。非予想条件とは、モデルの定式化において、将来
の不確実な状態の中からどの状態が生じるかを確定的に
知っていることを利用して意思決定ができる機会を許さ
ない条件のことであり、不確実性下の投資決定を行う確
率計画モデルには必要な条件である。
【0010】次に、発明者が提案したシミュレーション
型モデルの定式化を示す。以降、投資量を決定変数とす
る2パラメータ・アプローチによる下方リスクモデルの
定式化を示す。これは投資量決定モデルと呼ばれる。こ
こでは、リターン尺度には計画最終時点における富(最
終富)の期待値(期待富)、リスク尺度には計画最終時
点における富がその目標水準(目標富WG)を下回る大
きさ(不足分)を示す1次の下方部分積率LPM1を設
定する。1次の下方部分積率LPM1は、次の式で表さ
れる。
【0011】
【数1】
【0012】はじめに用いる記号を示す。添字iは、経
路(パス)を示す。パラメータは、次の記号で表す。な
お、表記の都合上、添字を右肩でなく、かっこ[]を付加
して前に記載する場合もある。例えば、「t時点の経路
iの危険資産jの価格」を「[i]ρjt」と表記する。
【0013】
【数2】
【0014】決定変数は、次の記号で表す。
【0015】
【数3】
【0016】モデルは(1)〜(9)式のように定式化
できる。
【0017】
【数4】
【0018】なお、(5)式左辺は最終富を示し、次式
のように記述する場合もある。
【0019】
【数5】
【0020】したがって、上記したパラメータを入力
し、モンテカルロ・シミュレーションにより、開始時点
(0時点)以外の危険資産の価格及び金利を、シミュレ
ーション経路毎に求め、上記(1)〜(9)式で示され
る線形計画問題を解くことによって、最適なポートフォ
リオを求めることができる。
【0021】以上説明したモデルでは、危険資産に対す
る決定変数はシミュレーション経路に依存しないが、現
金に対する決定変数はシミュレーション経路数に依存す
るために、制約式の本数と決定変数の数は、ほぼ同じに
なる。不確実性の記述を詳細にするためには、シミュレ
ーション経路の本数を多くしなければならないため、問
題の規模は膨大になる。ただし、問題の係数行列は疎大
行列、すなわちほとんどの要素が零の行列である。
【0022】一般に、疎大行列を持つ大規模線形計画問
題は内点法を用い、実装を工夫することによって高速解
法が可能であり、汎用数理計画ソフトウェアを用いるこ
とによって、計算機上の実装も容易である。しかし、シ
ミュレーション型モデルの場合、制約式の係数行列の構
造(非零パターン)が数本の密な(非零要素の多い)列
(dense column)を含む(危険資産への投資量を表す部
分に密な列が含まれている。)ために、内点法のナイー
ブな実装ではこの問題を高速に解くことができない。例
えば、汎用数理計画ソフトウェアである NUOPT(バージ
ョン3.1、(株)数理システム社の製品)を用いた数
値計算では、内点法に対して、一般的な回避策として知
られている工夫を行わなければ係数行列の疎行列性が破
壊され、計算量が急増してしまうため、大規模で係数行
列が疎であるにもかかわらず、単体法の方が内点法に比
べて高速に解くことができている。また、この問題に対
しては、他にも様々な内点法の実装上の技法、特に一次
方程式の解法に対する技法を工夫することによって計算
時間を向上させることができる。
【0023】このようにシミュレーション型モデルは、
不確実性の記述を詳細にするため、シミュレーション経
路の本数が多くなり、問題の規模は膨大になるものの、
定式化の特別な構造を利用した計算アルゴリズムや実装
上の工夫により、汎用数理計画ソフトウェアを用いてポ
ートフォリオの最適化が可能となっている。しかし、問
題の規模がネックとなり、計算時間の向上には限度があ
った。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑み、利用者が認識する各種モデルにおいて、入力する
パラメータを変更することなく、シミュレーション型多
期間確率計画モデルを用いたポートフォリオの最適化を
短時間で行うことができるシステムを提供するものであ
る。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明のポートフォリオ
最適化システムは、シミュレーション型多期間確率計画
モデルを用いたものであって、多期間モデルに基づくポ
ートフォリオを求めるためのパラメータの初期値を入力
する入力装置と、前記各期間又は前記各期間経過時点の
前記パラメータの値を複数のサンプル・パスについて求
めるシミュレーション装置と、前記入力装置から入力さ
れたパラメータの値及び前記シミュレーション装置で求
めたパラメータの値を用いて新しいパラメータを生成
し、生成したパラメータを用いた線形計画問題の計算を
指示する前処理装置と、前記前処理装置から指示された
線形計画問題を計算する線形計画問題計算装置とを有
し、前記ポートフォリオは、複数の危険資産と現金を含
むものであり、前記前処理装置が行う前記新しいパラメ
ータの生成は、前記ポートフォリオに含まれる危険資産
および現金に関するパラメータの値を用いて行うもので
あり、前記前処理装置から指示される線形計画問題は、
前記ポートフォリオに含まれる現金に関する決定変数を
含まないものである。
【0026】本発明のポートフォリオ最適化システムに
おける前記多期間モデルは、複数であり、かつ選択可能
となっている。したがって、各種モデルについて、最適
化を実施することができる。
【0027】また、本発明のポートフォリオ最適化シス
テムにおける前記前処理装置は、変換されたパラメータ
を用いた線形計画問題に代えて、その双対問題の計算
を、前記線形計画問題計算装置に指示可能となってい
る。線形計画法の解法アルゴリズムである単体法の計算
時間は決定変数の数よりも制約式の本数に大きく依存す
るため、双対問題に書き直すことにより計算時間をさら
に減少させることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】まず、問題の規模を縮小し、計算
時間を向上させるための定式化について説明する。この
定式化は、「危険資産に対する決定変数がシミュレーシ
ョン経路に依存しない」という取引戦略の特徴をうまく
反映させたものである。
【0029】シミュレーション型モデルでは、危険資産
の決定変数を経路に依存せずに同一にすることによって
非予想条件を満足させた。しかし、そのために現金の決
定変数を経路毎に設定することになり、決定変数の数は
経路数と期間数に依存している。具体的には、(1)〜
(9)式で示したモデルの決定変数の数は、(n+I)T
+1個である。
【0030】しかし、現金は全資産への投資額の合計
(富の大きさ)から危険資産への投資額の合計を引いた
ものと考えると、特に決定変数として取り扱わなくても
問題を定式化できるはずである。現金を決定変数から取
り除くことができれば、決定変数の数は「危険資産×期
間数」となり、「危険資産に対する決定変数がシミュレ
ーション経路に依存しない」という取引戦略の特徴をう
まく反映させた定式化を行うことになる。
【0031】具体的には、(2)〜(4)式の等式を、
現金を表す決定変数について解き、その非負条件
((8)、(9)式) に代入することによって現金の
決定変数を除外した表現とするものである。この表現方
法を主コンパクト表現と呼ぶ。以降、書き換えの方法を
順次説明する。
【0032】(1−1)0時点の現金υ0の除去 (2)式をυ0について解くと、(10)式となり、
(8)式に代入すると、(11)式を得る。
【0033】
【数6】
【0034】(1−2)t時点の現金[i]υtの除去 (3)式に(10)式を代入し、[i]υ1について解く
と、(12)式を得る。
【0035】
【数7】
【0036】[i]υ2についても同様の計算を行うと、
(13)式を得る。
【0037】
【数8】
【0038】一般的に[i]υtは、(14)式で表すこ
とができる。
【0039】
【数9】
【0040】ただし、[i]ηjkk+1、[i]ηjkt、[i]
1、[i]Ftは、次式で定義される。なお、(j=1,
・・・,n;i=1,・・・,I)は、記述を省略して
ある。また、ηjkt=0,(k≧t)である。
【0041】
【数10】
【0042】したがって、(9)式は(15)式に書き
直すことができる。
【0043】
【数11】
【0044】(1−3)t時点の富[i]Wtの計算 (4)式の値は、t時点の富[i]Wtを表す。(4)式
の右辺を用いて、t時点の富[i]Wtを計算すると、
(16)式が得られる。なお、(4)式の左辺を用いて
も同様の結果が得られる。
【0045】
【数12】
【0046】特に、t=Tのときは(17)式になる。
【0047】
【数13】
【0048】ここで、[i]Wtを表す数式の意味を説明
する。[i]μj,k+1をk時点で投資した危険資産jの1
期間の(k+1時点で実現する)収益率とすると、[i]
ηj,k,k+1は、
【0049】
【数14】
【0050】と書き直せる。このことを利用して、(1
6)式の意味を解釈する。
【0051】zj0を 0時点から1期間運用すると、
([i]μj1−r0)ρj0j0の超過収益を得る。1時点
以降は、危険資産jは、zj1,zj2,...,zj,T-1
で運用することになるので、zj0に関する部分はこの超
過収益分だけとなる。その超過収益をt時点まで現金で
運用すると、[i]ηj0tj0となる。同様に、zj1を1
時点から1期間運用すると、([i]μj2−[i]r1
[i]ρj1j1の超過収益を得る。2時点以降、その超過
収益をt時点まで現金で運用すると、[i]ηj1tj1
なる。以降も同様に考えると、(16)式右辺第1項は
これらの合計である。超過収益は収益から金利を引いた
値なので、仮想的に運用資金を借りてきて、運用したと
きの収益と考えることができる。ここで、「収益」と記
述したが、マイナスの値を取ることもあることは、言う
までもないことである。一方、[i]Ftは初期富W0を
t時点まで現金で運用する場合のt時点での富である。
[i]Wtはこれらの2つの項の合計であると解釈するこ
とができる。なお、危険資産への投資の際に、説明のた
めに仮想的に運用資金を借りると考えたが、実際には初
期富の現金運用による各時点の富から資金を使うことに
なり、残った金額が現金での運用となる。(15)式
が、各時点の富以上に、危険資産を運用しないことを表
す制約となる。また、現金[i]υtはこの[i]Wtからt
時点での危険資産への投資額 ((4)式右辺第1項)
を引いたものであり、(14)式の意味も同様に解釈す
ることができる。
【0052】(1−4)定式化のまとめ (5)式の左辺は最終富、(6)式の左辺第一項は[i]
Tを表すので、これらを(17)式に代入し、主コン
パクト表現による定式化をまとめると、以下のように記
述できる。
【0053】
【数15】
【0054】このような主コンパクト表現を用いると、
決定変数の数がnT+I個となって大幅に減少し、線形
計画問題の計算処理時間が大幅に減少する。
【0055】次に、主コンパクト表現によるモデルを用
いてポートフォリオ最適化を行うシステムについて、説
明する。図1は、本発明のポートフォリオ最適化システ
ムの一例の概略構成を示す図である。図1のシステム
は、入力部1、シミュレーション装置2、前処理装置
3、線形計画問題計算装置4を含み、前処理装置3は、
線形計画問題生成部31、計算指示部32を含む。
【0056】入力部1は、ポートフォリオを求めるため
のパラメータの初期値を入力するものである。複数のモ
デルについての最適化が可能なシステムの場合は、最適
化を行うモデルの選択も、入力部1によって行う。
(1)〜(9)式で示したモデルの場合、経路の本数
I、0時点の危険資産jの価格ρj0、期間1の金利(0
時点のコール・レート)r0、0時点での富(初期富)
0、計画最終時点での投資家が要求する期待富WE、計
画最終時点での目標富WGが入力される。
【0057】シミュレーション装置2は、モンテカルロ
・シミュレーションにより、複数のサンプル・パス(経
路)について、各期間又は各時点のパラメータの値を求
めるものである。(1)〜(9)式で示したモデルの場
合、t時点の経路iの危険資産jの価格[i]ρjt、期間
tの経路iの金利(t−1時点のコール・レート)[i]
t-1が求められる。
【0058】前処理装置3は、入力装置1から入力され
たパラメータの値及びシミュレーション装置で求めたパ
ラメータの値を用いて新しいパラメータを生成し、生成
したパラメータを用いた線形計画問題の計算を指示する
ものである。この新しいパラメータの生成は、ポートフ
ォリオに含まれる危険資産および現金に関するパラメー
タを用いて行うものであり、前処理装置3から指示され
る線形計画問題は、ポートフォリオに含まれる現金に関
する決定変数を含まないものである。
【0059】新しいパラメータの生成及び現金に関する
決定変数を含まない線形計画問題の生成は、線形計画問
題生成部31で行う。(1)〜(9)式で示したモデル
の場合、新しいパラメータとして、現金運用による収益
に対する超過収益を意味する[i]ηjkt、初期富W0を
現金で運用する場合の各時点での富を意味する[i]Ft
を生成する。そして、これらのパラメータを使用し、現
金に関する決定変数を含まない(18)〜(24)式で
示される線形計画問題を生成するものである。計算指示
部32は、線形計画問題生成部31で生成した線形計画
問題の計算を線形計画問題計算装置4に指示するもので
ある。
【0060】線形計画問題計算装置4は、汎用の数理計
画ソフトウエアを実装したコンピュータで実現されるも
ので、数理計画ソフトウエアとしては、例えば、NUOPT
((株)数理システム社の製品)が利用できる。
【0061】なお、入力部1、シミュレーション装置
2、前処理装置3も、所定のプログラムを実装したコン
ピュータによって、実現されるが、別々のコンピュータ
であっても、線形計画問題計算装置4を含めて一部共通
のコンピュータを利用して実現してもよい。
【0062】(18)〜(24)で示した定式化は、決
定変数の数がnT+I個、制約式の数がTI+2本であ
る。従来の定式化の決定変数の数は(n+I)T+1個で
あるので、(T−1)I+1個減少している。一方、制約
式の数は不変である。従来の定式化は決定変数の数が制
約式の数を上回っているために、双対変数に書き換える
メリットはなかった。しかし、修正後の定式化は決定変
数の数が制約式の本数を大きく下回るので、双対問題へ
書き換えることにする。
【0063】主コンパクト表現の双対問題を双対コンパ
クト表現と呼ぶ。双対問題に書き換えるために、前述
(1−4)の定式化の行列形式を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】双対コンパクト表現は以下のように記述で
きる。
【0066】
【数16】
【0067】それぞれの双対変数は以下のようになる。
【0068】
【数17】
【0069】ところで、一般的な汎用数理計画ソフトウ
ェアでは、計算処理速度上有利であるため、 決定変数
に対する有界制約条件を明示的に記述する線形計画問題
の表記法に基づいて実装を行っている。すなわち、決定
変数の取りうる範囲を初めから計算アルゴリズムの中で
指定することによって、その有界制約式を陽に制約式と
して取り扱わない実装を行っている。
【0070】1次の下方部分積率のような2本の区分直
線を組み合わせた区分線形リスク尺度を用いる場合、上
述した双対コンパクト表現にはI本の決定変数の有界制
約式が存在するため、実質的に計算時間に影響を与える
制約式の本数をさらに減らす(nT+I本からnT本
へ)ことができ、計算時間の短縮が期待できる。
【0071】1次下方部分積率以外のこのタイプのリス
ク尺度としては、富がある確率水準(パーセント点)V
β(バリュー・アット・リスク)を下回るときの期待富
であるCVaR(Conditional Value at Risk : 条件付
バリュー・アット・リスク)、絶対偏差がある。
【0072】次に、問題のサイズについて述べる。各定
式化に対する決定変数の数と非負制約を除く制約式の本
数を表2に示す。また、非零要素数及び非零要素比率の
近似式を表3に示す。
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】コンパクト表現における非零要素数は、主
表現、双対表現ともに同じであるが、双対コンパクト表
現については上限制約式を除く場合についても記す。ま
た、各定式化の非零要素比率は、非零要素数を全要素数
(決定変数の数×非負制約を除く制約式の本数)で割る
ことによって求められる。これは、シミュレーション経
路数に依存するが、n,T≪Iであることを利用して、
シミュレーション経路に依存しない近似式を示す。
【0076】n=3,T=4の場合のいくつかの経路数
(I)に対する具体的な数値を表4に示す。
【0077】
【表4】
【0078】双対コンパクト表現の非零要素比率の近似
式はTの関数であり、厳密に求めても経路数にはほとん
ど依存しないことがわかる。
【0079】主コンパクト表現は従来の定式化に比べ
て、決定変数は(T−1)I+1個減少するが、非零要素
数は、(37)式に示す分だけ増加する。
【0080】
【数18】
【0081】非零要素数の増加倍率Zp/Z0,Zd/Z0
の近似式及び非零要素比率の増加倍率(近似式)Dp
0をそれぞれ、(38),(39)式に示す。
【0082】
【数19】
【0083】コンパクト表現の非零要素数と非零要素比
率は、主にnとTに依存して増加することがわかる。い
くつかのnとTの組み合わせに対する具体的な数値を表
5に示す。
【0084】
【表5】
【0085】以上説明したように、主コンパクト表現に
よる定式化を行った場合、決定変数の数が制約式の本数
を大きく下回るので、一般的に双対問題の計算を行った
方が計算時間を縮小できる。図2は、双対問題による計
算が可能なポートフォリオ最適化システムの一例の概略
構成を示す図である。図2のシステムは、入力部1、シ
ミュレーション装置2、前処理装置30、線形計画問題
計算装置4を含み、前処理装置3は、線形計画問題生成
部31、計算指示部32、双対問題生成部33を含む。
図1のシステムと異なる点は、前処理装置30が双対問
題生成部33を含み、計算指示部32が、線形計画問題
生成部31からの線形計画問題、又は双対問題生成部3
3からの線形計画問題の計算を線形計画問題計算装置4
に指示する点である。
【0086】(1)〜(9)式で示したモデルの場合、
双対問題生成部33は、(25)〜(31)式で示され
る線形計画問題を生成する。計算指示部32は、入力部
1からの選択により、又は選択されたモデルに応じて自
動的に最適化線形計画問題生成部31からの線形計画問
題、又は双対問題生成部33からの線形計画問題の計算
を指示する。
【0087】従来の定式化と主コンパクト表現及び双対
コンパクト表現の3種類の定式化に対する計算時間を比
較するための様々な数値実験を行った結果では、コンパ
クト表現は有利な定式化の方法であることがわかった。
特に単体法では、双対コンパクト表現の場合、最大で従
来の定式化の100倍近く高速化されることが分かっ
た。主コンパクト表現も最大で20倍近く高速化され
る。また、解法(内点法と単体法)の違いにかかわらず
に、シミュレーション経路数が多くなっても(大規模な
問題になっても)、問題の構造上、ほぼ同じような計算
時間で解くことができる。
【0088】以上単純なモデルで説明したが、実際のポ
ートフォリオでは、さらに複雑なモデルで最適化を図る
必要がある。その内のいくつかの例について、定式化及
びそれらのコンパクト表現について述べる。
【0089】(売買コストを考慮したモデル)実際の資
産の売買を行う場合、購入価格と売却価格は異なるし、
売買手数料もかかる。売買コストを考慮したモデルと
は、売買価格の違いや手数料を考慮したモデルのことで
ある。モデルを簡潔に、しかもわかりやすく記述するた
めに、資産の市場流動性のために生じるコストや有価証
券取引税などの取引コストなどを一括し、売買コスト率
として取り扱う。また、すべての資産及びすべての時点
で一定の値を取ることにする。 購入価格は市場価格に
売買コストを上乗せし、売却価格は市場価格から売買コ
ストを差し引く。売買コスト率をγとすると、購入価格
及び売却価格は以下のように示すことができる。
【0090】
【数20】
【0091】通常は、時点や資産の種類、売買量に依存
して決まるが、記号が煩雑になるためにここでは添字を
取り除き、一定の値とする。 資産の種類(j)、時点
(t)、経路(i)に依存させたいのであれば、γの代
わりに[i]γjtを用いればよい。また、売買の違いによ
り、[Bi]γjt(購入コスト率)、[Si]γjt(売却コス
ト率)のようにそれぞれ定義することもできる。これら
に依存させて定義しても問題の規模に影響はない。
【0092】以下に追加的に用いる記号を示す。
【0093】
【数21】
【0094】モデルは以下のように定式化できる。
【0095】
【数22】
【0096】次に、主コンパクト表現への書き換えの方
法を順次説明する。
【0097】(2−1)0時点の現金υ0の除去 (41)式をυ0について解くと、(53)式となり、
(50)式に代入すると、(54)式を得る。
【0098】
【数23】
【0099】(2−2)t時点の現金[i]υtの除去 (43)式に(53)式を代入し、[i]υ1について解
くと、(55)式を得る。
【0100】
【数24】
【0101】[i]υ2についても同様の計算を行うと、
(56)式を得る。
【0102】
【数25】
【0103】ここで、
【0104】
【数26】
【0105】とし、一般的に[i]υtを記述すると、
(57)式で表すことができる。なお、(j=1,・・
・,n;i=1,・・・,I)は、記述を省略してあ
る。また、θjkt=0,(k≧t)である。
【0106】
【数27】
【0107】したがって、(51)式は(58),(5
9)式に書き直すことができる。
【0108】
【数28】
【0109】(2−3)t時点の危険資産の投資量zjt
の計算 (42)式を逐次的に代入すると、t=1,・・・,T
−1に対するzjtを除去することができ、(60)式で
表される。
【0110】
【数29】
【0111】したがって、t=1,・・・,T−1に対
する (47)式は(61)式に書き直すことができ
る。
【0112】
【数30】
【0113】(2−4)計画最終時点(T時点)の富
[i]Wtの計算 (46)式の左辺第一項は計画最終時点(T時点)の富
を売却価格で評価した値[i]WTを表す。計画最終時点
(T時点)以外のt時点における富の大きさは取引前と
取引後では売買コスト差だけ異なる。また、t時点にお
いて危険資産を売却し、すべての富を現金にする(富を
売却価格で評価する)場合の富の大きさもこれらの値と
は異なる。ここでは、はじめに、t時点の富の売却価格
での評価額を求め、その計算式を用いて、[i]WTを計
算する。
【0114】
【数31】
【0115】ここで、[i]Wtを表す数式の意味を説明
する。k時点で投資した危険資産 jをt時点まで運用
したときの累積収益倍率を[i]Mjkt、k時点の現金を
t時点までコール運用したときの累積収益倍率を[i]R
ktと定義すると、以下のように表すことができる。
【0116】
【数32】
【0117】これらを用いて、[+][i]ξjkt、[−]
[i]ξjktを記述すると、
【0118】
【数33】
【0119】を得る。これらを利用して、(62)式の
意味を解釈する。危険資産jを0時点からt時点運用す
るとき、zj0は1時点以降のリバランスのベースとな
る。(16)式の意味を説明したときと同様に、仮想的
に資金を借りてきて、危険資産へ運用することを考え
る。(1+γ)ρj0j0の資金を借りて、zj0を0時点か
らt期間運用すると、危険資産jへの投資額は[i]M
j0tρj0j0となるので、売却価格による評価額は(1
−γ)[i]Mj0tρj0j0である。t時点では、(1+
γ)[i]R0tρj0j0を返済しなければならないので、
運用収益は[+][i]ξj0 tj0となる。
【0120】[+]yjk,[−]yjkはk時点におけるリバ
ランス量である。[+]yjkを正の投資量、[−]yjkを負
の投資量と考え、k時点において、仮想的に、(1+γ)
[i]ρjk[+]yjkの資金を借りて、危険資産jで(t−
k)期間運用する、もしくは、危険資産jを(1−γ)
[i]ρjk[−]yjkだけ売却(空売り)し、現金を(t−
k)期間運用するとしよう。k時点に正の追加投資をし
た危険資産jのt時点における投資額は、[i]M
jkt[i]ρjk[+]yjkであるので、売却価格による評価
額は(1−γ)[i]Mjkt[i]ρjk[+]yjkである。t
時点では(1+γ)[i]Rkt[i]ρjk[+]yjkを返済し
なければならないので、運用収益は[+][i]ξj 0t[+]
jkとなる。また、k時点に負の追加投資をした危険資
産jのt時点における売却価格での評価額は、(1−
γ) [i]Mjkt[i]ρjk[−]yjkである。t時点では
(1−γ) [i]Rjkt[i]ρjk[−]yjkを返済しなけれ
ばならないので、運用収益は−[−][i]ξj0t[−]yjk
となる。
【0121】[i]Ftは初期富W0をt時点まで現金で運
用する場合のt時点での富である。[i]Wtはこれらの4
つの項の合計であると解釈することができる。
【0122】(2−5)定式化のまとめ (45)式の左辺は最終富、(46)式の左辺第一項は
[i]WTを表すので、これらを(62)式に代入し、主
コンパクト表現による定式化をまとめると、以下のよう
に記述できる。
【0123】
【数34】
【0124】双対問題に書き換えるために、(2−5)
の定式化の行列形式を表6に示す。
【0125】
【表6】
【0126】双対コンパクト表現は以下のように記述で
きる。
【0127】
【数35】
【0128】(追加的な制約条件を考慮したモデル)シ
ミュレーション型モデルにも、通常のポートフォリオ最
適化モデルや多期間モデルと同様に、資産の組み入れ比
率に対する上下限制約式や売買回転率に対する上限制約
式を追加することができる。ここでは、基本モデルの定
式化((1)〜(9)式参照)を対象にして、これらの
追加的な制約条件をコンパクト表現によって記述する。
なお、他のモデルに対しても具体的な定式化は異なるか
もしれないが、同様の方法を用いて記述可能である。
【0129】(組み入れ比率の上下限制約の追加)現金
及び危険資産に対する組み入れ比率の上下限制約式は以
下のように記述できる。1時点以降の各資産に対する投
資比率はシミュレーション経路毎に異なるので、ここで
は平均投資比率に対して制約式を設定する。
【0130】(3−1)定式化
【0131】
【数36】
【0132】ここで、[I]Uj[I]Ljは組み入れ比率の
上限値および下限値である。また、各平均値は以下のよ
うに計算される。
【0133】
【数37】
【0134】(76)〜(79)は以下のように線形式
に書き直すことができる。
【0135】
【数38】
【0136】厳密に言うと、平均投資比率は各シミュレ
ーション経路における投資比率の平均ではなく、平均投
資額を平均富で割った比率である。各シミュレーション
経路における投資比率の平均は、
【0137】
【数39】
【0138】となり、分数式の和になるため、制約式を
線形式に書き直すことができない。そのため、(7
7),(79)式のような平均投資額を平均富で割った
比率を用いる。ただし、数値実験によるとこれらの値は
ほとんど変わらない。
【0139】(3−2)定式化の変換 平均富(富の期待値)は(16)式により、(84)式
のように計算することができる。以降、これを中間変数
として用いて、定式化を記述する。決定変数およびそれ
に関する制約式を増やさないために、中間変数を使わな
い方法でも記述できる。しかし、追加的な制約条件では
平均富が使われることが多く、分かりやすく定式化で
きるので、用いることにする。
【0140】
【数40】
【0141】(80)、(81)式に対する主コンパク
ト表現をそれぞれ記述する。
【0142】(80)式:(10)式を代入すると、
(85)式となるので、(86)式のように書き直すこ
とができる。
【0143】
【数41】
【0144】(81)式:(14)式の平均を代入する
と、(87)式となるので、(88)、(89)式のよ
うに書き直すことができる。
【0145】
【数42】
【0146】(82)、(83)式は書き換える必要は
ない。
【0147】(3−3)主コンパクト表現による記述の
まとめ
【0148】
【数43】
【0149】(3−4)双対コンパクト表現への書き換
え (90)式の双対変数をwt、(91)〜(94)式の
双対変数をそれぞれ、u00,u0t(t=1,・・・,T
−1),ujo(j=1,・・・,n),ujt(j=1,・・
・,n;t=1,・・・,T−1)、(95)〜(9
8)式の双対変数をそれぞれ、l00,l0t(t=1,・
・・,T−1),lj0(j=1,・・・,n),l
jt(j=1,・・・,n;t=1,・・・,T−1)と
すると、双対コンパクト表現は、(25)〜(31)式
の記述の中の目的関数を(99)式に、制約式の(2
6)、(27)式をそれぞれ(100)、(101)式
に書き換え、さらに、(102)式およびw{t}を除
く双対変数の非負制約式を追加したものとなる。
【0150】
【数44】
【0151】(危険資産の売買回転率の上限制約の追
加)売買回転率を投資量で定義すると、制約式は以下の
ように記述できる。
【0152】
【数45】
【0153】ここで、[T]Ujは危険資産の売買回転率
の上限値である。(103)、(104)式は(10
5)〜(108)式の線形式に書き直すことができる。
【0154】
【数46】
【0155】また、(105)〜(108)式の双対変
数をそれぞれ、
【0156】
【数47】
【0157】とすると、双対コンパクト表現は、上下限
制約式を考慮した制約式の(100)〜(102)式を
それぞれ(109)〜(112)式に書き換え、双対変
数の非負制約式を追加したものとなる。上下限制約式を
考慮せずに、売買回転率の上限制約のみを設定したい場
合には、上下限制約式を考慮する際に追加した目的関数
部分および制約式部分を取り除けばよい。なお、目的関
数の追加は不要である。
【0158】
【数48】
【0159】(CVaRを用いたモデル)CVaR(Co
nditional Value at Risk : 条件付バリュー・アット・
リスク)は、富がある確率水準(パーセント点)Vβ
(バリュー・アット・リスク)を下回るときの期待富の
ことである。β−VaRを富が確率β(ex.β=0.9
5)でVβを下回らないときの最大のVβの値とする
と、β−CVaRは富がそのVβを下回る場合の富の期
待値を表す
【0160】(4−1)モデルの定式化 リスク尺度として、CVaRを用いたモデルは以下のよ
うに定式化することができる。
【0161】
【数49】
【0162】(4−2)主コンパクト表現への書き換え (18)〜(24)式を求めた変換を利用すると、以下
のように定式化を書き直すことができる。
【0163】
【数50】
【0164】(4−3)双対コンパクト表現への書き換
え 双対問題に書き換えるために、(4−2)の定式化の一
部の行列形式を表7に示す。
【0165】
【表7】
【0166】双対コンパクト表現は以下のように記述で
きる。
【0167】
【数51】
【0168】追加及び変更される双対変数は以下の通り
である。
【0169】
【数52】
【0170】(その他のモデル)ALMに対する一般的
なモデルでは、コール・マネーによる資金調達が可能
で、コール・ローンとコールマネーの金利が異なる。こ
の一般的なタイプのモデルに対してはコンパクト表現が
できない。しかし、コール・ローンとコールマネーの金
利を同じに設定すれば(現金の運用金利と調達金利を同
じに設定すれば)、主コンパクト表現、双対コンパクト
表現がともに可能である。
【0171】発明者は、シナリオ・ツリー型モデルの
「投資の意思決定」の適切さとシミュレーション型モデ
ルの「不確実性の記述」の精細さを組み合わせたシミュ
レーション/ツリー混合型多期間確率計画モデルを開発
している(枇々木規雄, 資産配分問題に対するシミュレ
ーション/ツリー混合型多期間確率計画モデル, 日本金
融・証券計量・工学学会 2000年夏季大会予稿集, pp. 1
75--193.)。混合型モデルもシミュレーション型モデル
と同様に、現金の決定変数はシミュレーション経路に依
存する。したがって、同様の考え方を用いて、定式化を
コンパクト表現することができる。
【0172】以上説明した各種モデルは、図1及び図2
に示したシステムにおいて、適宜選択して実装してお
き、入力部1によって選択するのが好ましい。
【0173】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、利用者が認識する各種モデルにおいて、入力
するパラメータを変更することなく、シミュレーション
型多期間確率計画モデルを用いたポートフォリオの最適
化を短時間で行うことができるシステムを提供できる。
また、線形計画問題計算装置の実装上の変更も不要であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポートフォリオ最適化システムの一例
の概略構成を示す図
【図2】本発明のポートフォリオ最適化システムの他の
例の概略構成を示す図
【図3】シミュレーション経路と投資の意思決定を示す
【符号の説明】
1・・・入力部 2・・・シミュレーション装置 3、30・・・前処理装置 4・・・線形計画問題計算装置 31・・・線形計画問題生成装置 32・・・計算指示部 33・・・双対問題生成部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G06F 19/00 110 G06F 19/00 110

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シミュレーション型多期間確率計画モデ
    ルを用いたポートフォリオ最適化システムであって、 多期間モデルに基づくポートフォリオを求めるためのパ
    ラメータの初期値を入力する入力装置と、 前記各期間又は前記各期間経過時点の前記パラメータの
    値を複数のサンプル・パスについて求めるシミュレーシ
    ョン装置と、 前記入力装置から入力されたパラメータの値及び前記シ
    ミュレーション装置で求めたパラメータの値を用いて新
    しいパラメータを生成し、生成したパラメータを用いた
    線形計画問題の計算を指示する前処理装置と、 前記前処理装置から指示された線形計画問題を計算する
    線形計画問題計算装置とを有し、 前記ポートフォリオは、複数の危険資産と現金を含むも
    のであり、 前記前処理装置が行う前記新しいパラメータの生成は、
    前記ポートフォリオに含まれる危険資産および現金に関
    するパラメータの値を用いて行うものであり、 前記前処理装置から指示される線形計画問題は、前記ポ
    ートフォリオに含まれる現金に関する決定変数を含まな
    いものであるポートフォリオ最適化システム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポートフォリオ最適化シ
    ステムであって、 前記多期間モデルは、複数であり、かつ選択可能である
    ポートフォリオ最適化システム。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のポートフォリオ最
    適化システムであって、 前記前処理装置は、変換されたパラメータを用いた線形
    計画問題に代えて、その双対問題の計算を、前記線形計
    画問題計算装置に指示するものであるポートフォリオ最
    適化システム。
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