JP2002328143A - 電波暗箱 - Google Patents

電波暗箱

Info

Publication number
JP2002328143A
JP2002328143A JP2001177261A JP2001177261A JP2002328143A JP 2002328143 A JP2002328143 A JP 2002328143A JP 2001177261 A JP2001177261 A JP 2001177261A JP 2001177261 A JP2001177261 A JP 2001177261A JP 2002328143 A JP2002328143 A JP 2002328143A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
radio wave
wave absorber
antenna device
anechoic box
distance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001177261A
Other languages
English (en)
Inventor
Sei Kan
青 韓
Keizo Inagaki
惠三 稲垣
Kiyouichi Iigusa
恭一 飯草
Takashi Ohira
孝 大平
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ATR Adaptive Communications Research Laboratories
Original Assignee
ATR Adaptive Communications Research Laboratories
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ATR Adaptive Communications Research Laboratories filed Critical ATR Adaptive Communications Research Laboratories
Priority to JP2001177261A priority Critical patent/JP2002328143A/ja
Publication of JP2002328143A publication Critical patent/JP2002328143A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01RMEASURING ELECTRIC VARIABLES; MEASURING MAGNETIC VARIABLES
    • G01R29/00Arrangements for measuring or indicating electric quantities not covered by groups G01R19/00 - G01R27/00
    • G01R29/08Measuring electromagnetic field characteristics
    • G01R29/10Radiation diagrams of antennas
    • G01R29/105Radiation diagrams of antennas using anechoic chambers; Chambers or open field sites used therefor

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Electromagnetism (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Shielding Devices Or Components To Electric Or Magnetic Fields (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来技術に比較して小型であって、エスパア
ンテナなどの小型のアンテナ装置の近傍界を測定するた
めに構造が簡単である電波暗箱を提供する。 【解決手段】 内面に電波吸収体110を備え、エスパ
アンテナ装置400を収容してアンテナ装置400の近
傍界を測定するための電波暗箱である。エスパアンテナ
装置400から電波吸収体100までの距離を、エスパ
アンテナ装置400が電波吸収体100に接触しないよ
うに近接した実質的に0以上でありかつエスパアンテナ
装置400が放射する無線信号の波長の3倍未満の距離
に設定される。ここで、電波吸収体110は、ピラミッ
ド形状を繰り返してなる形状を有し、電波吸収体110
をそのピラミッド形状の先端が電波暗箱の内側に向くよ
うに配置されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電波吸収体を備え
た電波暗箱に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話や携帯情報端末などの無
線通信機器の小型化・高性能化・多機能化が急速に進ん
でおり、アンテナ装置に対してもこれらの要求が強くな
っている。本願出願人では、低コスト低消費電力で指向
性が制御できる小型高性能アンテナとして電子制御導波
器アレーアンテナ(Electronically Steerable Passive
Array Radiator, ESPAR;以下、エスパアンテナとい
う。)(例えば、従来技術文献1「大平孝ほか,“アン
テナの指向性を電子的に制御する:高周波ハードウエア
設計の観点から見たアダプティブアレー”,電子情報通
信学会誌,Vol.83,No.12,pp.920−
926,2000年12月」参照。)を提案し研究を進
めている。
【0003】図4にエスパアンテナの構成を示す。図4
において、このエスパアンテナは、無線信号が送受信さ
れる励振素子A0と、この励振素子から所定の間隔だけ
離れて設けられ、無線信号が送受信されない6個の非励
振素子A1乃至A6と、この非励振素子に接続されたバ
ラクタダイオードで代表される可変リアクタンス素子と
から構成されており、上記可変リアクタンス素子のリア
クタンス値を変化させることにより、上記アレーアンテ
ナの指向特性を変化させることができるもので、バラク
タダイオードの接合容量を制御することで、水平面内全
周にわたり9dB以上のビームや20dB以上のヌルが
形成できることが報告されている。
【0004】現在、知られているアンテナ装置の近傍界
を測定する従来技術の方法では、アンテナ装置と電波吸
収体との間の距離は少なくとも無線信号の波長の3倍か
ら5倍以上離さなければならないとしている(例えば、
従来技術文献2「D. Slater,“Near-Field Antenna Mea
surements”, Artech House Publishers, London, pp.7
-11, 1991」参照。)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のエスパアンテナ
のように、バラクタダイオードなどの半導体素子が直接
にアンテナ装置に集積されている可変リアクタンス装置
の場合、半導体素子の製造バラツキやその取り付け誤差
のために、個々のアンテナ装置によりビームパターンが
異なってしまうという課題がある。
【0006】アダプティブアンテナとして用いる場合に
は制御アルゴリズムによって多少の誤差は補正できる
が、方向探知機として用いる場合(例えば、従来技術文
献3「大平孝ほか,“携帯型電波到来方向探知機”,電
子情報通信学会技術報告,RCS2000−104,p
p.87−90,2000年9月」参照。)や無線アド
ホックコミュニティネットワーク(Wireless AdHoc Com
munity Network; WACNet)で近くにある端末の角度情報
を元に効率的なルーチングを行う場合(例えば、従来技
術文献4「大野雄一郎ほか,“アンテナ走査角対SIN
R情報に基づくルーチング方式の提案”,2000年電
子情報通信学会ソサイエティ大会,B−5−109,2
000年3月」参照。)などには方向に誤差を生じてし
まうという課題があった。
【0007】また、半導体素子(エスパアンテナの場合
はバラクタダイオードである。)の可変範囲が必要な範
囲をカバーしていない場合には所望の動作は期待できな
くなる。個々のエスパアンテナについて、遠方界パター
ン測定を繰り返して所望のビームパターンを与える制御
電圧を決定する方法(例えば、従来技術文献5「俵覚ほ
か,“モンテカルロ法による7素子エスパアンテナのビ
ームステアリング実験”,2000年電子情報通信学会
ソサエティ大会,B−1−117,2000年9月」参
照。)があるが、必要となる測定回数が多く、効率が悪
い。そこで実装状態における各バラクタの制御電圧に対
するリアクタンス値の簡単な校正方法を開発することが
望まれる。
【0008】さらに、従来技術においては、アンテナ装
置と電波吸収体との間の距離は少なくとも無線信号の波
長の3倍から5倍以上離さなければならないために、電
波暗箱が大型になるという問題点があった。
【0009】本発明の目的は以上の問題点を解決し、従
来技術に比較して小型であって、エスパアンテナなどの
小型のアンテナ装置の近傍界を測定するために構造が簡
単である電波暗箱を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電波暗箱
は、内面に電波吸収体を備え、アンテナ装置を収容して
上記アンテナ装置の電磁界を測定するための電波暗箱で
あって、上記アンテナ装置から上記電波吸収体までの距
離を、上記アンテナ装置が上記電波吸収体に接触しない
ように近接した実質的に0以上であり、かつ上記アンテ
ナ装置が放射する無線信号の波長の3倍未満の距離に設
定したことを特徴とする。
【0011】上記電波暗箱において、上記電波吸収体
は、ウェッジ型電波吸収体であることを特徴とする。こ
こで、上記ウェッジ型電波吸収体はピラミッド形、ウェ
ッジ形、ウネリ形、ハニカム形、又は多層コア形であ
る。
【0012】また、上記電波暗箱において、上記電波吸
収体は、上記アンテナ装置からの電波に対する反射係数
が−20dB以下となる厚みを有することを特徴とす
る。
【0013】さらに、上記電波暗箱において、上記アン
テナ装置は、無線信号を送信するための励振素子と、上
記励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられた複数の
非励振素子と、上記複数の非励振素子にそれぞれ接続さ
れた複数の可変リアクタンス素子とを備え、上記可変リ
アクタンス素子のリアクタンス値を変化させることによ
り指向性を変化させるアレーアンテナ装置であり、一方
の内面に設けられた電波吸収体の先端から、上記一方の
内面に対向する他方の内面に設けられた電波吸収体の先
端までの距離を、上記アンテナ装置が上記両電波吸収体
に接触しない値以上であり、かつ上記アンテナ装置が放
射する無線信号の波長の7倍未満に設定したことを特徴
とする。
【0014】
【発明の実施の形態】一般に、アンテナから放射される
電磁界は、距離によって近傍誘導界、近傍放射界、遠方
放射界に分類される。一般に、電波吸収体は遠方放射界
中で用いられ、平面波の電波が入射した場合の反射量が
仕様として規定されている。また、電波吸収体は構造面
からは層状とウェッジ状に、特性面からは狭帯域と広帯
域に分類される。層状の電波吸収体は、空間の電波イン
ピーダンスと吸収体の特性インピーダンスの差によって
生じる吸収体表面と裏面での反射が打ち消しあうように
設計され、一般に狭帯域である。ウェッジ状の電波吸収
体は、空間から吸収体へ体積比を徐々に変化させること
で空間の電波インピーダンスから吸収体の特性インピー
ダンスへの変化を滑らかにし、一般に広帯域な特性を持
つ。ただし、十分な吸収特性を得るには波長程度の厚み
が必要となり、層状の吸収体より厚くなることが多い。
【0015】以下、図面を参照して本発明に係る実施形
態について説明する。
【0016】図1は、本発明に係る一実施形態である電
波暗箱100の外観を示す一部破断斜視図であり、図2
は、図1の電波暗箱100の内面に設けられた電波吸収
体110の外観を示す斜視図である。図3は、本発明者
によって実行された実験システムの構成を示す縦断面図
及びブロック図である。ここで、被測定アンテナ装置と
して廉価で簡易に放射ビーム及びヌルを制御することが
可能なエスパアンテナ装置400を用いた。
【0017】本実施形態に係る電波暗箱100の概略構
成は、図1に示すように、すべての内面に電波吸収体1
10を備え、アンテナ装置としてのエスパアンテナ装置
400の近傍界を測定するための電波暗箱であり、エス
パアンテナ装置400から電波吸収体100までの距離
を、実質的に、無線信号の波長の1/4倍以上でかつ3
倍未満に設定してエスパアンテナ装置400を電波吸収
体110に接触しないように収容する寸法を有すること
を特徴としている。なお、この電波暗箱100の寸法は
詳細後述する本発明者らによる実験によって得られたも
のである。
【0018】図1において、電波暗箱100は、好まし
くは、中空の正方体形状の箱体であって、その6つの内
面のすべてに、ピラミッド形状を繰り返してなる形状を
有する電波吸収体110が、そのピラミッド形状の先端
が電波暗箱の内側に向くように貼付されて設けられてい
る。当該電波暗箱100の上面100aは開閉装置10
1により1辺を軸として開閉可能なドアとなっている。
この上面100aに対して垂直である対向する1対の側
面100cには運搬用取っ手102が設けられている。
図1の斜視図では、側面100bのみを一部判断して内
部を図示している。
【0019】ここで用いる電波吸収体110は、図2に
示すように、先鋭な先端部を有するピラミッド形状を繰
り返してなる形状を有し、その材料はポリウレタンフォ
ームにカーボンを含浸させたものである。なお、図2で
図示の寸法は後述する実験で用いた電波吸収体110の
ものを示しており、単位はmmである。
【0020】本実施形態では、この電波暗箱100内の
底面の中央部に図4を示したエスパアンテナ装置400
を配置し、本発明者らの実験による知見によれば、エス
パアンテナ装置400から電波吸収体100までの距離
を、実質的に、無線信号の波長の1/4倍以上でかつ3
倍未満に設定してエスパアンテナ装置400を電波吸収
体110に接触しないように収容する寸法を有すること
が好ましい。より好ましくは、電波暗箱100の一方の
内面100cに設けられた電波吸収体110のピラミッ
ド形状の先端から、上記内面に100c対向する他方の
内面に設けられた電波吸収体110のピラミッド形状の
先端までの距離(以下、内寸距離という。)は以下のよ
うに設定する。本実施形態に係るアレーアンテナ装置1
00の直径が1波長である場合にその外周縁端部から無
線信号の波長の1/4倍以上でかつ3倍未満であるとき
にマージン距離をその両側にとる必要があり、上記内寸
距離を実質的に無線信号の波長の1.5倍以上でかつ7
倍未満に設定してなる寸法を有することが好ましい。
【0021】小型電波暗室を実現するために電波吸収体
を近傍誘導界中で使用しようとすると、空間の電波イン
ピーダンスの値が問題となる。遠方放射界では電波は平
面波となり、電波インピーダンスは約377Ωの一定値
である。このため、使用周波数帯が限られている場合
は、層状の電波吸収体を設計し利用できる。ところが近
傍誘導界では電波は境界条件に応じて複雑になってお
り、電波インピーダンスは一定値ではなく位置によって
大きく変動してしまう。この場合、たとえ使用周波数帯
が限られていても層状の電波吸収体が遠方放射界で設計
された性能を発揮できるのはごく限られた位置だけとな
り、汎用的な使用には適さない。一方、ウェッジ状の吸
収体の場合は空間と吸収体の体積比の変化を緩やかにす
ることでインピーダンスの変化を緩やかにして反射を避
け、後は吸収体内で熱に変換するという原理である。こ
のため、たとえ空間のインピーダンスが377Ωからず
れても急激なインピーダンス変化がないため大きな反射
は生じない。あとは入射した電波を十分熱に変換できる
だけの吸収体の厚みがあれば良いことになる。具体的に
は、通常規定されている平面波の電波に対する反射係数
が例えば−20dB以下となるような厚みが望ましい。
【0022】
【実施例】エスパアンテナ装置400の非励振素子A1
乃至A6に取り付けられたバラクタダイオードのリアク
タンス値を推定する直接的な方法として、各非励振素子
A1乃至A6上の電流分布を測定する方法を提案する。
実際にはアンテナ近傍の電界及び磁界分布を測定するこ
とになるが、エスパアンテナ装置400のように、励振
素子A0及び各非励振素子A1乃至A6間の電磁的な結
合が強い場合、少しでもエスパアンテナ装置400から
離れると各素子A0乃至A6からの寄与が合成されて分
離が困難になる。そこで、できるだけ各素子A0乃至A
6の近傍で測定することが望ましいが、この場合は測定
プローブがアンテナ特性に与える影響が無視できなくな
ると考えられる。幸い,電磁界に与える擾乱を低減した
プローブとして、多層基板型磁界プローブ、電気光学
(EO)プローブ及び磁気光学(MO)プローブなどの
低擾乱のプローブを利用することで,この問題を解決で
きる。
【0023】一方、小型で低コストなアンテナの極近傍
界を測定するのに、高価で維持も困難な大型電波暗室の
利用は実用的ではない。このようなアンテナの性能測定
に合う実験系を実現するには、廉価でかつ小型な電波暗
箱が望ましい。ところが、電波暗箱のサイズを決定する
電波吸収体とアンテナ素子間に必要な最小距離について
は、誘導電磁界の範囲から3波長程度ともいわれるが
(従来技術文献2参照。)、詳細は明らかにされていな
い。以下では、電波暗箱100に必要な最小寸法を見極
めるためにアンテナと吸収体との距離の関係を調べる。
【0024】図3に示すように、電波暗室300内の底
面中央部に台座301を載置し、その台座301上に、
7素子のエスパアンテナ装置400と、ポリウレタンフ
ォームにカーボンを含浸させた電波吸収体110をレー
ル302によりエスパアンテナ装置400の放射方向3
03で摺動可能に配置した。パーソナルコンピュータ5
01からD/A変換器502を介してビーム制御のため
の印加バイアス電圧を発生して、非励振素子A1乃至A
6に接続された各バラクタダイオードに対して印加し
た。ここで、エスパアンテナ装置400の最大放射方向
が吸収体に向くように制御電圧を設定した(例えば、従
来技術文献5参照。)。
【0025】さらに、ネットワークアナライザ500か
ら無線信号をエスパアンテナ装置400の励振素子A0
に給電しかつその給電点から反射してくる反射損失量で
あるS11パラメータ値をネットワークアナライザ50
0により測定し、測定されたS11パラメータに基づい
て反射係数Γを演算した。この実験では、比較のため
に、実施形態に係る高いピラミッド形状の電波吸収体
(E&Cエンジニアリング(株)製エコソーブHPY−
W8型)に加えて、表1に示す電波吸収体又は反射板を
用いて測定を行った。なお、低い波線形状の電波吸収体
(E&Cエンジニアリング(株)製エコソーブCV−W
3型)はその入射面が特に高い周波数でのインピーダン
ス整合のために回旋形状に加工されている。測定条件を
表1に示す。
【0026】
【表1】 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 高さ(m) 高いピラミッド形状の電波吸収体:0.2 低い波線形状の電波吸収体:0.08 シート形状の電波吸収体:0.05 金属板の反射板:0.001 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 縦x横(mxm):0.3x0.35(いずれの電波吸収体、反射板も) ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 周波数(GHz):2.484(いずれの電波吸収体、反射板も) ――――――――――――――――――――――――――――――――――― アンテナの中心からの測定範囲(m):0.045〜0.8 (いずれの電波吸収体、反射板も) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0027】エスパアンテナ装置400の設計周波数
(2.484GHz)における反射損失量(S11パラメ
ータ)を測定するが、ここで、反射損失量が安定してい
ることはアンテナ近くの電磁界が吸収体によって乱れて
いないことを意味している。
【0028】次いで、測定結果について説明する。エス
パアンテナ装置400の中心と電波吸収体110又は反
射板までの距離(L)によるアンテナの反射損失量の測
定結果を図5と図6に示す。図5から明らかなように、
実施形態に係る高いピラミッド形状の電波吸収体につい
ては、距離に対して若干の変動があるが、ほぼ一定の値
を保持し、比較例に係る低い波線形状の電波吸収体につ
いては、距離に対してより大きな変動を示している。ま
た、図6から明らかなように、比較例に係るシート形状
の電波吸収体や金属板の反射板については、距離に対し
てより非常に大きな変動を示しており、金属板の反射板
については、反射による定在波が大きく存在している。
従って、図5及び図6から明らかなように、実施形態に
係る高いピラミッド形状の電波吸収体110は,距離に
対して反射係数の値がほとんど変動せず、反射がほとん
どない。それ故、厚さ20cmのピラミッド形状の電波
吸収体110を利用することでエスパアンテナ装置40
0に近いところでも安定な測定結果が得られることが分
かる。今回の測定結果によると、高いピラミッド形状の
電波吸収体110を利用した場合、エスパアンテナ装置
400からの距離は従来言われた3波長〜5波長(従来
技術文献2参照)(40cm〜65cmに対応する。)
という距離の数分の一(1波長以内)に短くすることが
できることが分かった。これは、小さいサイズの電波暗
箱を作成可能であることを示している。
【0029】以上説明したように、エスパアンテナ装置
400の極近傍界を測定するのに必要な電波暗箱の最小
寸法を見極めるために、まず、幾つかの電波吸収体につ
いて,エスパアンテナ装置400の反射損失量を測定
し,エスパアンテナ装置400と電波吸収体110の距
離Lとの関係を調べた。高いピラミッド形状の電波吸収
体110を利用した場合はエスパアンテナ装置400の
極近傍に置いても電波吸収体110からの反射量は低く
抑えられており、電波暗箱のサイズを1波長程度まで小
さくできることを確認した。
【0030】以上の実施形態においては、近傍界を測定
するアンテナ装置としてエスパアンテナ装置400を用
いているが、本発明はこれに限らず、種々のアンテナ装
置に適用することができる。例えば、アンテナ装置が1
/2波長ダイポールアンテナや1/4波長ホイップアン
テナなどである場合、励振素子A0のみであって、非励
振素子A1ないしA6は存在しない。この場合、電波暗
箱300内の電波吸収体310から励振素子A0までの
距離を、電波吸収体310に接触しないように近接した
実質的に0以上に設定してもよい。言いかえれば、電波
吸収体310を励振素子A0に対して接触しないように
できる限り近接してもよい。従って、当該電波暗箱30
0は、電波吸収体310から励振素子A0までの距離
を、アンテナ装置の励振素子A0が電波吸収体310に
接触しないように近接した実質的に0以上でありかつア
ンテナ装置が放射する無線信号の波長の3倍未満の距離
に設定してなる、アンテナ装置を収容する寸法を有して
もよい。
【0031】また以上の説明においては電波吸収体とし
てはピラミッド形を例示したが、このピラミッド形に限
定されることなく、例えば従来技術文献6「橋本修著,
“電波吸収体入門”,森北出版,pp.50,1997
年」に示されているような、ウェッジ形、ウネリ形、ハ
ニカム形、多層コア形なども用いることができる。図7
は、本発明に係る電波暗箱において用いる電波吸収体の
種々の形状を示す外観を示す斜視図であって、(a)は
実施例のピラミッド形の電波吸収体の外観を示す斜視図
であり、(b)はウェッジ形の電波吸収体の外観を示す
斜視図であり、(c)はウネリ形の電波吸収体の外観を
示す斜視図であり、(d)はハニカム形の電波吸収体の
外観を示す斜視図であり、(e)は多層コア形の電波吸
収体の外観を示す斜視図である。
【0032】図8(a)は本発明に係る電波暗箱におい
て用いる多層形電波吸収体の外観を示す斜視図であり、
図8(b)はその多層形電波吸収体の断面図である。電
波暗箱の電波吸収体の周波数特性を広帯域にするために
は、図8に示すように多層形電波吸収体を用いる。この
多層形電波吸収体は、図8(a)及び(b)に示すよう
に、電波暗箱の筐体に対応する金属板LM上に、それぞ
れ厚さd、特性インピーダンスZc及び伝搬定数γ
を有する複数の電波吸収体層Ln(n=1,2,…,
N)を形成してなり、さらに、多層形電波吸収体を図9
(a)又は(b)に示すように、ピラミッド型又は山形
に成形することが好ましい。
【0033】多層構造の電波吸収体を用いる理由をその
表面の反射特性から考察すると以下のようになる。 (1)電波吸収体の表面におけるインピーダンスを、自
由空間の電波特性インピーダンスZ(=377Ω)に
近づける必要があるが、自由空間の電波特性インピーダ
ンスZに近い材料は、電波に対する減衰定数が小さい
ために、そのような材料では電波吸収体の厚さは相対的
に厚くなる。 (2)減衰の大きな材料を用いれば、材料中に透過した
電波ははやく減衰するので、電波吸収体の厚さを薄くで
きる。しかしながら、電波吸収体の表面におけるインピ
ーダンスの違いから大きな反射を起こし、電波吸収体と
はならない。
【0034】そこで、上述のような多層構造にして表面
近くの材料は空気に近い特性を持つものにして、電波吸
収体の内部に入るに従って電波吸収の大きな材料にする
と、電波吸収体の表面での反射が小さい一方、各層の境
界面における反射も小さい。それ故、電波はしだいに損
失の大きい電波吸収材料の中に入っていくことになる。
以上のことは周波数が多少変化しても同様に作用するの
で、電波吸収体を多層構造にすることにより電波吸収体
の周波数特性を広帯域にすることができる。
【0035】次いで、図9(a)に示すピラミッド形を
有する多層形電波吸収体と、図9(b)に示す山形を有
する多層形電波吸収体の違いを材料定数の変化の観点か
ら比較すると、以下のようになる。ある断面に対する電
波吸収体の切り取られる部分の材料定数を電波吸収体の
表面からの距離に対して関数で表すと、山形の多層形電
波吸収体では、材料定数が1次関数で変化する一方、ピ
ラミッド形の多層形電波吸収体では、材料対数が2次関
数で変化する。従って、電波吸収体の厚さを薄くするた
めには、前者の山形の多層形電波吸収体を用いることが
好ましい。
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る電波暗
箱によれば、内面に電波吸収体を備え、アンテナ装置を
収容して上記アンテナ装置の電磁界を測定するための電
波暗箱であって、上記アンテナ装置から上記電波吸収体
までの距離を、上記アンテナ装置が上記電波吸収体に接
触しないように近接した実質的に0以上であり、かつ上
記アンテナ装置が放射する無線信号の波長の3倍未満の
距離に設定した。従って、従来技術に比較して小型であ
って、エスパアンテナなどの小型のアンテナ装置の近傍
界を測定するために構造が簡単である電波暗箱を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る一実施形態である電波暗箱10
0の外観を示す一部破断斜視図である。
【図2】 図1の電波暗箱100の内面に設けられた電
波吸収体110の外観を示す斜視図である。
【図3】 本発明者によって実行された実験システムの
構成を示す縦断面図及びブロック図である。
【図4】 従来技術のエスパアンテナ400の構成を示
す模式図である。
【図5】 図3の実験システムによる実験結果であっ
て、実施形態に係る高いピラミッド形状の電波吸収体
と、比較例に係る低いピラミッド形状の電波吸収体につ
いての、アンテナから電波吸収体までの距離Lに対する
反射係数Γを示すグラフである。
【図6】 図3の実験システムによる実験結果であっ
て、比較例に係る金属板の反射板と、比較例に係るシー
ト形状の電波吸収体についての、アンテナから電波吸収
体又は反射板までの距離Lに対する反射係数Γを示すグ
ラフである。
【図7】 本発明に係る電波暗箱において用いる電波吸
収体の種々の形状を示す外観を示す斜視図であって、
(a)はピラミッド形の電波吸収体の外観を示す斜視図
であり、(b)はウェッジ形の電波吸収体の外観を示す
斜視図であり、(c)はウネリ形の電波吸収体の外観を
示す斜視図であり、(d)はハニカム形の電波吸収体の
外観を示す斜視図であり、(e)は多層コア形の電波吸
収体の外観を示す斜視図である。
【図8】 (a)は本発明に係る電波暗箱において用い
る多層形電波吸収体の外観を示す斜視図であり、(b)
はその多層形電波吸収体の断面図である。
【図9】 図8の多層形電波吸収体の種々の形状の外観
を示す斜視図であって、(a)はピラミッド形を有する
多層形電波吸収体の外観を示す斜視図であり、(b)は
山形を有する多層形電波吸収体の外観を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
A0…励振素子、 A1乃至A6…非励振素子、 L1乃至LN…電波吸収体層、 LM…金属板、 100,300…電波暗箱、 110,310…電波吸収体、 400…エスパアンテナ装置 411…接地導体、 412…可変リアクタンス素子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲垣 惠三 京都府相楽郡精華町光台二丁目2番地2 株式会社エイ・ティ・アール環境適応通信 研究所内 (72)発明者 飯草 恭一 京都府相楽郡精華町光台二丁目2番地2 株式会社エイ・ティ・アール環境適応通信 研究所内 (72)発明者 大平 孝 京都府相楽郡精華町光台二丁目2番地2 株式会社エイ・ティ・アール環境適応通信 研究所内 Fターム(参考) 5E321 AA42 BB01 BB04 GG05 GG11

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内面に電波吸収体を備え、アンテナ装置
    を収容して上記アンテナ装置の電磁界を測定するための
    電波暗箱であって、 上記アンテナ装置から上記電波吸収体までの距離を、上
    記アンテナ装置が上記電波吸収体に接触しないように近
    接した実質的に0以上であり、かつ上記アンテナ装置が
    放射する無線信号の波長の3倍未満の距離に設定したこ
    とを特徴とする電波暗箱。
  2. 【請求項2】 上記電波吸収体は、ウェッジ型電波吸収
    体であることを特徴とする請求項1記載の電波暗箱。
  3. 【請求項3】 上記ウェッジ型電波吸収体はピラミッド
    形であることを特徴とする請求項2記載の電波暗箱。
  4. 【請求項4】 上記ウェッジ型電波吸収体はウェッジ形
    であることを特徴とする請求項2記載の電波暗箱。
  5. 【請求項5】 上記ウェッジ型電波吸収体はウネリ形で
    あることを特徴とする請求項2記載の電波暗箱。
  6. 【請求項6】 上記ウェッジ型電波吸収体はハニカム形
    であることを特徴とする請求項2記載の電波暗箱。
  7. 【請求項7】 上記ウェッジ型電波吸収体は多層コア形
    であることを特徴とする請求項2記載の電波暗箱。
  8. 【請求項8】 上記電波吸収体は、上記アンテナ装置か
    らの電波に対する反射係数が−20dB以下となる厚み
    を有することを特徴とする請求項1乃至7のうちのいず
    れか1つに記載の電波暗箱。
  9. 【請求項9】 上記アンテナ装置は、無線信号を送信す
    るための励振素子と、上記励振素子から所定の間隔だけ
    離れて設けられた複数の非励振素子と、上記複数の非励
    振素子にそれぞれ接続された複数の可変リアクタンス素
    子とを備え、上記可変リアクタンス素子のリアクタンス
    値を変化させることにより指向性を変化させるアレーア
    ンテナ装置であり、 一方の内面に設けられた電波吸収体の先端から、上記一
    方の内面に対向する他方の内面に設けられた電波吸収体
    の先端までの距離を、上記アンテナ装置が上記両電波吸
    収体に接触しない値以上であり、かつ上記アンテナ装置
    が放射する無線信号の波長の7倍未満に設定したことを
    特徴とする請求項1乃至8のうちのいずれか1つに記載
    の電波暗箱。
JP2001177261A 2001-02-27 2001-06-12 電波暗箱 Pending JP2002328143A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001177261A JP2002328143A (ja) 2001-02-27 2001-06-12 電波暗箱

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001-52075 2001-02-27
JP2001052075 2001-02-27
JP2001177261A JP2002328143A (ja) 2001-02-27 2001-06-12 電波暗箱

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002328143A true JP2002328143A (ja) 2002-11-15

Family

ID=26610168

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001177261A Pending JP2002328143A (ja) 2001-02-27 2001-06-12 電波暗箱

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002328143A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010019690A (ja) * 2008-07-10 2010-01-28 Denso Corp 電波暗箱
JP2012194187A (ja) * 2004-03-22 2012-10-11 Motorola Mobility Llc 改良型試験台を備えた高周波無響室
KR101254172B1 (ko) 2011-12-13 2013-04-18 국방과학연구소 함정 마스트 플랫폼의 RCS 감소용 웨지(Wedge)구조물
CN107064576A (zh) * 2017-05-04 2017-08-18 中山香山微波科技有限公司 电波暗室

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012194187A (ja) * 2004-03-22 2012-10-11 Motorola Mobility Llc 改良型試験台を備えた高周波無響室
JP2010019690A (ja) * 2008-07-10 2010-01-28 Denso Corp 電波暗箱
KR101254172B1 (ko) 2011-12-13 2013-04-18 국방과학연구소 함정 마스트 플랫폼의 RCS 감소용 웨지(Wedge)구조물
CN107064576A (zh) * 2017-05-04 2017-08-18 中山香山微波科技有限公司 电波暗室
CN107064576B (zh) * 2017-05-04 2023-08-04 中山香山微波科技有限公司 电波暗室

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Bouslama et al. Beam-switching antenna with a new reconfigurable frequency selective surface
Yu et al. Wideband angular stable absorber based on spoof surface plasmon polariton for RCS reduction
Tam et al. Compact circular sector and annular sector dielectric resonator antennas
JP4511406B2 (ja) 空中線装置
US9917376B2 (en) Method for determining an antenna array
CN101777703B (zh) 一种基于低折射率材料的高增益高功率天线的制作方法
US4644343A (en) Y-slot waveguide antenna element
Yousefbeiki et al. Ku-band dielectric-loaded SIW horn for vertically-polarized multi-sector antennas
Rodriguez-Cano et al. Handset frame blockage reduction of 5G mm-wave phased arrays using hard surface inspired structure
Huang et al. Dielectric-loaded SIW H-plane horn antenna with gradient air slots
Taghdisi et al. Low-profile substrate integrated choke rings for GNSS multipath mitigation
Alzidani et al. Ultra-wideband differential fed hybrid antenna with high-cross polarization discrimination for millimeter wave applications
Fang et al. A wideband Fabry–Perot cavity antenna with single-layer partially reflective surface
US20210218146A1 (en) Antenna apparatus and search apparatus
JP2002328143A (ja) 電波暗箱
CN111276799B (zh) 一种雷达天线装置和优化方法
Patrovsky et al. Substrate integrated image guide array antenna for the upper millimeter-wave spectrum
EP1324423A1 (en) Low-cost printed omni-directional monopole antenna for ultra-wideband in mobile applications
Zhou et al. Miniaturization of Quasi‐Yagi Antenna Array with High Gain Using Split‐Ring Resonators
US20230253717A1 (en) Inline slotted waveguide antenna
CN114927871A (zh) 一种宽带的角度不敏感天线罩及其设计方法
Shariff et al. Compact wideband two-element millimeter wave MIMO antenna with CMT based modified T-shaped decoupling structure for mobile applications with estimated link budget in urban scenario
CN112234341B (zh) 天线组件及电子设备
Ruphuy et al. Long-slot traveling-wave antenna exhibiting low squint-angle variation over frequency
Wongsin et al. A multiband circular loop antenna with parasitic C‐strip line and FSS ring resonator reflectors for WLAN and WiMAX applications

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20031210

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20040119

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20040305